主文 1 処分行政庁が令和3年9月16日付けで原告に対してした行政文書一部公開決定(3観名保第111号)のうち,復命書の名古屋市長の発言の一部(別表番号1)を非公開とした部分を取り消す。 2 処分行政庁が令和3年9月16日付けで原告に対してした行政文書一部 公開決定(3観名保第112号)のうち,①復命書(名古屋城総合事務所長以下5名分)(別表番号3),復命書(ナゴヤ魅力向上担当部長分)(別表番号4),及び「2018年7月20日文化庁打ち合わせメモ」と題する書面(別表番号5)の「本丸御殿の工事について」の項目に記載されている文化庁の職員の発言を非公開とした部分,②名古屋市長の発言の一部を非 公開とした部分(別表番号6~9及び12~15),③名古屋城天守閣整備事業基本計画書G107の「図-4.15 北階段の遮煙性能を確保した場合(避難安全レベル4)の避難イメージ」の一部を非公開とした部分(別表番号19の一部),④同計画書の防災拠点が設置されている場所又はこれとその設置場所を示す図面の記載を非公開とした部分(別表番号19~2 1及び28の各一部),並びに⑤同計画書のZ90の一部を非公開とした部分(別表番号29)を取り消す。 3 処分行政庁が令和3年9月16日付けで原告に対してした行政文書一部公開決定(3観名保第113号)のうち,①「石垣保存の基本的な考え方と天守台石垣の保存方針(案)について」と題する書面の一部を非公開と した部分(別表番号30),及び②名古屋市長の発言の一部を非公開とした部分(別表番号31~34及び47~50)を取り消す。 4 処分行政庁は,原告に対し,上記1~3の非公開とした部分を開示せよ。 5 本件訴えのうち,上記1~3の取消しに係る部分以外の部分の行政文書の公開決定の義務付け 34及び47~50)を取り消す。 4 処分行政庁は,原告に対し,上記1~3の非公開とした部分を開示せよ。 5 本件訴えのうち,上記1~3の取消しに係る部分以外の部分の行政文書の公開決定の義務付けを求める部分をいずれも却下する。 6 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 7 訴訟費用はこれを2分し,その1を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 処分行政庁が令和3年9月16日付けで原告に対してした行政文書一部公開 決定(3観名保第111号)のうち,別表番号1及び2の部分を非公開とした部分を取り消す。 2 処分行政庁は,原告に対し,別表番号1及び2の部分を公開せよ。 3 処分行政庁が令和3年9月16日付けで原告に対してした行政文書一部公開決定(3観名保第112号)のうち,別表番号3~29の部分を非公開とした 部分を取り消す。 4 処分行政庁は,原告に対し,別表番号3~29の部分を公開せよ。 5 処分行政庁が令和3年9月16日付けで原告に対してした行政文書一部公開決定(3観名保第113号)のうち,別表番号30~60の部分を非公開とした部分を取り消す。 6 処分行政庁は,原告に対し,別表番号30~60の部分を公開せよ。 第2 事案の概要本件は,原告が,名古屋市情報公開条例(平成12年条例第65号。以下「本件条例」という。)に基づき,名古屋市長及び被告の職員(以下,併せて「被告職員等」という。)が名古屋城天守閣木造復元事業(以下「本件事業」という。) に関連して文化庁を訪問した際の資料について,3回にわたり,行政文書の公開請求(3観名保第111号,3観名保第112号及び3観名保第113号。 以下,これらを併せて「本件各公開請求」という。)を に関連して文化庁を訪問した際の資料について,3回にわたり,行政文書の公開請求(3観名保第111号,3観名保第112号及び3観名保第113号。 以下,これらを併せて「本件各公開請求」という。)をしたところ,実施機関である名古屋市長(処分行政庁)から,令和3年9月16日付けで上記資料の一部を公開する旨の決定(以下,「3観名保第111号」に係る決定を「本件処分 1」,「3観名保第112号」に係る決定を「本件処分2」,「3観名保第113 号」に係る決定を「本件処分3」といい,これらの決定を併せて「本件各処分」という。)を受けたため,被告を相手方として,本件各処分のうち非公開とされた部分の一部の取消しを求めるとともに,当該部分の公開決定の義務付けを求める事案である。 1 関係法令の定めは別紙「関係法令の定め」に記載したとおりである。なお, 同別紙中で定義した略語は,以下の本文においても用いるものとする。 2 前提事実(争いのない事実及び証拠(枝番があるものは明記しない限り各枝番を含む。以下同じ。)等により容易に認められる事実)⑴ 当事者ア原告は,政治,行政,社会的影響力をもつ企業・団体等の不正・不当な 行為を監視し,これを是正することを目的として設立された権利能力なき社団である。 イ被告は,処分行政庁である名古屋市長が所属する行政主体である。 ⑵ 原告による本件各公開請求原告は,本件条例に基づき,実施機関である名古屋市長に対し,3回にわ たり,開示対象文書を以下の内容とする情報公開請求をした。 ア平成30年7月18日同年6月13日に名古屋城の件で文化庁を訪問した際の復命書,支出命令書(以下,この情報公開請求を「本件公開請求1」という。)イ平成30年7月30日 ①名古屋市 平成30年7月18日同年6月13日に名古屋城の件で文化庁を訪問した際の復命書,支出命令書(以下,この情報公開請求を「本件公開請求1」という。)イ平成30年7月30日 ①名古屋市職員が同月20日から25日までの間に名古屋城関連で文化庁を訪れた際の持参資料,復命書,支出命令書及び会談の内容や指摘事項が分かるもの,並びに,②同月26日に名古屋市職員が名古屋城関連で文化庁を訪れた際の復命書,支出命令書及び会談の内容や指摘事項が分かるもの(以下,この情報公開請求を「本件公開請求2」という。) ウ平成30年12月10日 名古屋市職員が同年7月27日から12月10日までの間に名古屋城天守閣整備事業の件で文化庁を訪れた際の持参資料,復命書,支出命令書及び会談の内容や指導事項が分かるもの(以下,この情報公開請求を「本件公開請求3」といい,本件公開請求1~3を併せて「本件各公開請求」という。) ⑶ 当初の一部公開決定処分行政庁は,原告に対し,①平成30年8月30日付けで本件公開請求1に対し一部を公開する旨の決定をし,②同年9月11日付けで本件公開請求2に対し一部を公開する旨の決定をし,③平成31年1月23日付けで本件公開請求3に対し一部を公開する旨の決定をした。 ⑷ 本件訴えの提起原告は,平成31年2月21日,上記⑶の各一部公開決定のうち非公開部分の全部(上記⑶の②)又は一部(同①及び③)の取消しを求め,本件訴えを提起した。 ⑸ 当初の一部公開決定の取消し及び一部公開決定(本件各処分) 処分行政庁は,①令和元年5月31日付けで,上記⑶の各一部公開決定を取り消し,同各決定で非公開とした部分を含む本件各公開請求に係る公開請求文書の一部をそれぞれ公開する旨の決定をし,さらに,②令和 処分行政庁は,①令和元年5月31日付けで,上記⑶の各一部公開決定を取り消し,同各決定で非公開とした部分を含む本件各公開請求に係る公開請求文書の一部をそれぞれ公開する旨の決定をし,さらに,②令和3年9月16日付けで,同各決定を取り消し,同各決定において非公開とした部分を含む本件各公開請求に係る公開請求文書の一部をそれぞれ公開する旨の決定 (本件各処分)をした。 ⑹ 原告による本件訴えの変更原告は,令和4年2月10日付けの訴えの変更申立書により,従前の請求を,前記第1の請求のとおり,本件各処分のうち非公開部分の一部の取消しを求めるとともに,当該部分の公開決定の義務付けを求める請求に変更した。 3 争点及びこれに関する当事者の主張 本件の争点は,別表番号1~60の非公開文書(以下,文書の同一性を問わず,非公開部分を単位とする別表の「番号」に従って,「文書1」,「文書2」などという。)が本件条例7条1項2号~5号の各非公開情報に該当するかであり,これに関する当事者の主張は,別表の「番号」に対応する「被告の主張」及び「原告の主張」のとおりである。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実前提事実に加えて,後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ⑴ 本件事業(名古屋城天守閣木造復元事業)の概要等 ア名古屋城は,慶長15年(1610年),尾張徳川家の居城として築城された近世城郭であり,太平洋戦争による空襲によって昭和20年に天守や本丸御殿等の主要な建造物が焼失したが,昭和27年,その跡地である名古屋城跡が代表的な近世城郭として特別史跡に指定され,昭和34年,市制70周年記念事業として,大天守,小天守及び正門が鉄骨鉄筋コンクリ ート造として再建された。(乙7~ 7年,その跡地である名古屋城跡が代表的な近世城郭として特別史跡に指定され,昭和34年,市制70周年記念事業として,大天守,小天守及び正門が鉄骨鉄筋コンクリ ート造として再建された。(乙7~9,31の3)イ被告は,特別史跡名古屋城跡全体の整備について検討するため,平成18年度,大学教授等の専門家を構成員とする有識者会議として,「特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議」(同年度から平成26年度までの名称は「特別史跡名古屋城跡全体整備検討委員会」。以下,名称変更前後を通じて「全 体検討会議」という。)を組織するとともに,全体検討会議の中に,同じく有識者会議として,建造物部会,石垣部会,庭園部会及び天守閣部会を組織し,各部会において,本丸御殿,重要文化財建造物,石垣,庭園及び天守閣の整備等に関する専門家の意見聴取等をし,全体検討会議でその内容を共有する体制を構築した。(乙8,31の3) ウ本丸御殿については,平成21年1月に史実に基づく復元に着手し,全 体を3期に分けて進めていたところ,被告は,平成27年度以降,特別史跡名古屋城跡保存活用計画を策定し,名古屋城跡の歴史的価値を後世に確実に継承するため,特別史跡全体の保存管理を厳格に行いながら,戦災等で失われた天守や本丸御殿等の当時の姿を実感することができる場を創出することとした。そして,本丸御殿の整備については,二の丸の整備や石 垣の調査及び修復とともに重点的な取組に位置付けられ,平成30年6月に完成した。(乙9,31の3)エ被告は,名古屋城天守閣整備事業として,平成27年12月,名古屋城天守閣木造復元の設計等の業務を行う事業者を選定するため,設計業務及び工事施工業務の費用の合計参考額を270億円から400億円とし,事 業者に「史実に忠実 業として,平成27年12月,名古屋城天守閣木造復元の設計等の業務を行う事業者を選定するため,設計業務及び工事施工業務の費用の合計参考額を270億円から400億円とし,事 業者に「史実に忠実な木造復元に配慮した実現可能な計画」,「火災発生時の対策と不特定多数の利用者が避難できる計画」,「耐震計画(耐震工法,免震工法,制振工法)」等について提案させ,その提案を「特別史跡内での業務であること」,「史実に忠実な復元であること」等の観点から評価し,最も優れた提案をした事業者と優先的に交渉するという枠組みで,公募型 プロポーザルを実施することとし,株式会社竹中工務店名古屋支店と株式会社安藤・間名古屋支店から,上記の事項を記載した技術提案書の提出を受けた。被告は,竹中工務店の技術提案書(以下「本件技術提案書」という。)について,バリアフリー化については史実に忠実という点について苦心の跡があり,防災避難計画については具体的にかなり検討され,構造計 画についても,現状での限界耐力試算も行っており,水平剛性確保も検討され努力しているなどと評価し,竹中工務店に対して優先交渉権を与えた。 被告は,平成29年5月,価格交渉等を経た上で,竹中工務店との間で,総事業費の上限を505億円,竣工期限を令和4年12月とする基本協定及び基本設計等業務契約を締結し,平成30年4月,実施設計業務契約を 締結した。(以上につき,乙8,13,乙20) オ被告は,令和元年,市政運営の基本となる名古屋市総合計画において,令和12年頃を見据えたまちづくりとして,名古屋城天守閣の木造復元により,特別史跡名古屋城跡を世界に誇れる日本一の近世城郭にする方針を示し,本件事業を市政の重要施策の一つに位置付け,1日当たり最大2万人の利用者を見込んだ。( くりとして,名古屋城天守閣の木造復元により,特別史跡名古屋城跡を世界に誇れる日本一の近世城郭にする方針を示し,本件事業を市政の重要施策の一つに位置付け,1日当たり最大2万人の利用者を見込んだ。(乙9,20,弁論の全趣旨) ⑵ 本件事業の進捗状況等ア本件事業は,特別史跡である名古屋城跡の現状を変更し,又はその保存に影響を及ぼすものであり,その実施に当たっては,文化庁長官の許可(以下「現状変更許可」という。)を受ける必要がある(文化財保護法2条3項,125条1項参照)。 被告は,同項所定の現状変更許可に至る手続の運用に従って,①文化庁に対し,本件事業についての被告の考え方や,仕様及び手法を示した基本計画書を提出し,②文化庁が史跡等における歴史的建造物等の復元の取扱いに関する専門委員会(以下「復元検討委員会」という。)の審議にかけ,③その審議が熟した段階で,被告が文化庁に対し現状変更許可申請書を提 出し,④文化庁長官が,文化審議会(文部科学大臣又は文化庁長官の諮問に応じて,文化の振興及び国際文化交流の振興に関する重要事項を調査審議し,文部科学大臣又は文化庁長官に意見を述べる審議会)に対し諮問し,文化審議会は復元検討委員会の報告を踏まえた上で答申し,⑤文化庁長官から現状変更許可を受けることとした。(乙22,弁論の全趣旨) イ名古屋市長及び被告の職員(被告職員等)は,平成30年6月13日以降,基本計画書の内容や現状変更許可申請書の提出時期等について事前に文化庁の職員(以下「文化庁職員」という。)と意見交換を行うとともに,我が国の文化財保護行政を担い,数多くの文化財復元事業等を実施する文化庁職員との意見交換を通じ,本件事業に関し,被告が想定し得なかった 問題や検討事項の提示を受けたり,文化財保護につ ともに,我が国の文化財保護行政を担い,数多くの文化財復元事業等を実施する文化庁職員との意見交換を通じ,本件事業に関し,被告が想定し得なかった 問題や検討事項の提示を受けたり,文化財保護についての専門的な知見を 得たりすることなどを目的として,複数回にわたり文化庁を訪問し,非公開の意見交換を行った。(乙30~32,弁論の全趣旨)ウ被告の職員は,平成30年7月20日,文化庁を訪問し,竹中工務店が作成した「名古屋城天守閣整備事業基本計画書(概要編・資料編・図面編)」(本件基本計画書)を提出しようとしたが,文化庁職員から,石垣の保存 方針について被告の認識と被告が組織する有識者会議である石垣部会の認識とが一致していない点を指摘されたため,その提出を留保した。(乙31の3,弁論の全趣旨)エ石垣部会においては,名古屋城跡の石垣の上部に江戸時代の石垣が残っていることが判明したことを受け,平成30年11月,被告の現在の計画 は根本的な見直しが必要であるとの意見が出されるなどした。 被告は,これらの状況を踏まえ,現状変更許可申請の内容を現天守閣の解体に限定することとし,平成31年4月18日,現天守閣の解体に係る現状変更許可申請(以下「本件変更申請」という。)をしたが,文化審議会が同申請を継続審議としたため,現状変更許可を受けることはできなかっ た。さらに,被告は,文化庁から,内堀等の地下遺構の発掘調査や石垣について更に確認を求められ,竹中工務店からの見解も聴いた上で,令和元年8月29日,今後,石垣部会との関係を構築し,同部会の方針をまとめていく必要があるから,現状では令和4年12月の竣工は難しいとして,本件事業の竣工期限を延長することを一般に公表し,現時点においても, 上記の事項の調査検討を行って 築し,同部会の方針をまとめていく必要があるから,現状では令和4年12月の竣工は難しいとして,本件事業の竣工期限を延長することを一般に公表し,現時点においても, 上記の事項の調査検討を行っている。(以上につき,乙23,27,32,弁論の全趣旨) 2 文書1の非公開情報該当性について⑴ア文書1の記載内容等について弁論の全趣旨によれば,文書1には,名古屋市長が平成30年6月13 日の文化庁訪問の際に発言した内容が記載されており,木造天守閣におけ る昇降の新技術に係る国際公募の予算等について言及していることが認められる。 被告は,文書1が公開されると,①上記国際公募への応募を検討している企業等が,当該情報を確定したものと誤解し,その情報に基づいて応募するか否かを検討することが考えられ,そのような企業等を始めとする市 民の間に不当に混乱が生ずるおそれがあるため,本件条例7条1項4号の非公開情報に該当し,また,②当該情報を確定したものと誤解した市民等が,被告,文化庁及び有識者会議構成員に対し問合せや苦情の申入れ等をし,被告がその対応等に追われることにより,本件事業の本来の事務が阻害されるおそれがあるため,同項5号の非公開情報に該当すると主張する。 イ本件条例7条1項4号及び5号の該当性判断まず,本件条例7条1項4号は,市の機関,国,独立行政法人等,他の地方公共団体及び地方独立行政法人の内部又は相互間における審議,検討又は協議に関する情報であって,公にすることにより,率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ,不当に市 民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定のものに不当に利益を与え,若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの(以下「意思形成過程情報」という。)を非公 の中立性が不当に損なわれるおそれ,不当に市 民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定のものに不当に利益を与え,若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの(以下「意思形成過程情報」という。)を非公開情報と定めている。 上記の情報を非公開情報とした趣旨は,被告の行政機関等の内部又は相互間における審議,検討又は協議という意思決定過程における情報が 公にされることによって,①外部からの圧力や干渉等の影響を受けることにより,率直な意見の交換が妨げられたり,意思決定の中立性が損なわれたりすることを防止し,適正な意思決定手続を確保することとし,また,②未成熟又は未確定の情報であるのに確定したかのように市民の誤解や憶測を招き,不当に市民の間に混乱を生じさせたり,特定の者に 利益若しくは不利益を与えたりすることによって,市民に不当な影響が 生じることを防止することにあるものと解される。もっとも,本件条例は,被告の保有する情報の一層の公開を図り,もって市政に関し市民に説明する責務が全うされるようにし,民主的で公正かつ透明性の高い市政の推進に資することを目的とするものであること(1条)からすれば,7条1項4号にいう「おそれ」は,単なる確率的な可能性ではなく,法 的保護に値する蓋然性があることを要すると解するのが相当であり,同号にいう「不当に」とは,審議,検討又は協議という意思形成過程情報を公にすることの公益性を考慮してもなお,適正な意思決定の確保等への支障が看過し得ない程度のものを意味し,これが認められるためには,当該情報の性質に照らし,公にすることによる利益と非公開にすること による利益とを比較衡量し,当該情報を公開することの利益を斟酌してもなお,公開によって生ずる支障が大きく,非公開とすることに合理性が認めら に照らし,公にすることによる利益と非公開にすること による利益とを比較衡量し,当該情報を公開することの利益を斟酌してもなお,公開によって生ずる支障が大きく,非公開とすることに合理性が認められることが必要であると解するのが相当である。そして,上記の趣旨に照らせば,同号は,当該審議,検討又は協議が終了し意思決定がされた後であっても,当該情報を公にすることにより,なお国民の間 に混乱を生じさせたり,将来の同種の審議,検討又は協議に基づく意思決定に不当な影響を与えたりするおそれがある場合を含むというべきである。 次に,本件条例7条1項5号は,市の機関,国,独立行政法人等,他の地方公共団体又は地方独立行政法人が行う事務又は事業に関する情報 であって,公にすることにより,当該事務又は事業の性質上,当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの(以下「事務支障情報」という。)を非公開情報と定めている。 上記の情報を非公開情報とした趣旨は,被告の行政機関等の行う事務又は事業は公共の利益のために行われるものであり,公にすることによ り当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報につ いては,非公開とすることによって,当該事務又は事業の適正な遂行を確保することにあるものと解され,これに本件条例の目的を併せ考慮すれば,同号柱書きの「支障」は,名目的なものでは足りず実質的なものであることを要し,その「おそれ」は,単なる確率的な可能性ではなく,法的保護に値する蓋然性が必要であると解するのが相当である。 ⑵ア本件文書1に係る認定事実証拠(甲17,乙20,25,26)及び弁論の全趣旨によれば,被告は,平成29年11月16日の天守閣部会において,木造天守閣にはエレベーターを設置 である。 ⑵ア本件文書1に係る認定事実証拠(甲17,乙20,25,26)及び弁論の全趣旨によれば,被告は,平成29年11月16日の天守閣部会において,木造天守閣にはエレベーターを設置せず,代替案として,チェアリフトや階段昇降機等によって車椅子使用者等への合理的配慮を目指す方針を公表しており,平成30 年2月,平成31年度に木造天守閣の昇降に関する新技術についての公募(以下「本件公募」という。)を実施して令和4年度までに同技術を実用化するスケジュールを前提に,公募支援業務及び上位入賞者に対する技術開発補助金として合計1億8455万円余りの予算を見込み,平成31年度分の予算として4093万円余りの予算の議決を受けており,上記の予算 見込額と平成31年度分の予算は一般に公表されていたことが認められる。また,前記1の認定事実に加えて,乙26号証及び弁論の全趣旨によれば,被告は,平成30年5月頃,天守閣部会において,木造天守閣の昇降についての新技術につき,従前,国内外から幅広く提案を募るという方針を公表していたが,現天守閣の解体に係る現状変更許可申請が継続審議 となり本件事業の竣工期限が延長されたことにより,改めて公募の仕組みやスケジュールを検討する必要が生じているとの見解を示しており,竣工期限の延長は一般に公表されていたことが認められる。さらに,甲25号証によれば,被告の職員は,令和2年7月頃に本件事業の関係で障害者団体と面談しており,その際に持参した資料には,木造天守閣の昇降の新技 術の公募につき,四つの部門に分けて公募を行い,1次審査において各部 門で最も評価された者に対し各2000万円を上限とする補助金を交付し,最終審査においては,部門分けをせず,全ての部門で最も評価された者を最優 に分けて公募を行い,1次審査において各部 門で最も評価された者に対し各2000万円を上限とする補助金を交付し,最終審査においては,部門分けをせず,全ての部門で最も評価された者を最優秀者として選定して契約候補者とし,その契約金額は2億円を上限とすることのほか,公募に要すると見込まれる期間,評価基準,評価方法等の概要が明記されていることが認められる。 イ前記1及び上記アの各認定事実に基づく検討文書1に記載された名古屋市長の発言は,本件各処分の3年以上前にされたものであり,本件公募は,上記発言がされた後,本件事業の竣工期限が延長されたことに伴い,当初想定していた仕組みやスケジュールの変更を余儀なくされ,竣工期限の延長は一般に公表されていたものである。加 えて,令和2年7月頃には,被告の職員が,本件事業の関係で障害者団体と面談し,本件公募について契約金額の上限を含めた具体的な説明をしていることからすれば,本件各処分の時点において,文書1の内容が確定したものであると誤解される可能性は相当低いというべきである。また,文書1に記載された名古屋市長の発言は文化庁職員との面談において行わ れたものであり,これが公にされることにより,国際公募に応募するかの検討を行う企業等を始めとする市民の間に契約金額の上限等に関して一定の混乱が生ずる蓋然性があるとしても,上記発言の時期等に照らせば,上記発言に係る情報を公開することの利益を斟酌してもなお,公開によって生ずる支障が大きく,非公開とすることに合理性が認められるものとい うことはできない。なお,被告職員等において,上記の混乱が生ずる可能性があることを考慮し,今後,文化庁職員との間の率直な意見の交換が妨げられ,将来における同種の協議に基づく意思決定に影響を及ぼすおそ うことはできない。なお,被告職員等において,上記の混乱が生ずる可能性があることを考慮し,今後,文化庁職員との間の率直な意見の交換が妨げられ,将来における同種の協議に基づく意思決定に影響を及ぼすおそれがあるとの主張があり得るとしても,上記発言の時期や,障害者団体に対し契約金額の上限を含む具体的な説明がされていることなどに照らせば, そのことをもって上記の判断を左右することはないというべきである。さ らに,本件公募のスケジュールや予算の総額は,平成30年2月の時点で一般に公表され,令和2年7月頃には障害者団体に対して本件公募についての具体的な説明がされているところ,一件記録を精査しても,それらの後,市民等が被告や文化庁及び有識者会議構成員に対し問合せや苦情の申入れ等をし,本件事業の円滑な進行等が阻害されたことをうかがわせる証 拠は見当たらない。 以上からすれば,文書1の内容が公開されたとしても,その情報が確定したものであるとの市民の誤解や憶測を招き,企業等がその情報を基に本件公募に応募するかの検討を行うなどして不当な混乱が生ずる蓋然性があるとは認められず,また,当該情報を確定したものと誤解した市民等が 被告や文化庁及び有識者会議構成員に対し問合せや苦情の申入れ等を行い,被告がその対応等に追われることで本件事業の本来の事務が阻害される蓋然性があるとも認められない。 ⑶ 小括したがって,文書1は,非公開情報(意思形成過程情報,事務支障情報) には該当せず,その他の事由を含めて非公開事由は存在しない。 3 文書2,10,11,16,17,35~46及び51~60の非公開情報該当性について⑴ 上記各文書の記載内容等について弁論の全趣旨によれば,文書2,10,11,16,17,35~46及 文書2,10,11,16,17,35~46及び51~60の非公開情報該当性について⑴ 上記各文書の記載内容等について弁論の全趣旨によれば,文書2,10,11,16,17,35~46及 び51~60には,平成30年6月13日(文書2),同年7月26日(文書10,11,16,17),同年8月3日(文書35,51),同年9月10日(文書36~38,52)及び同月25日(文書39~46,53~60)の被告職員等と文化庁職員との意見交換における,文化庁職員の発言内容が記載されていることが認められる。 被告は,上記各文書につき,①文化庁と被告との打合せは非公開で行われ ており,文化財保護の専門家である文化庁職員との間で,非公開であることを前提とした率直な意見交換が実施されているところ,仮に上記各文書の内容が公開されると,被告と文化庁との間の率直な意見の交換又は被告の意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるため,本件条例7条1項4号の非公開情報(意思形成過程情報)に該当し,また,②文化財保護の専門家 である文化庁職員から現状変更許可申請等の手続についての率直な感想や文化財保護についての助言等を受けられなくなると,本件事業の事務の適正な遂行に支障が生ずるおそれがある(文書2,10,11,16,17,35,38,43,45,51,52,57,59),又は,本件事業に関する中間的かつ暫定的な検討及び意見交換の内容が記載されており,仮定等を含んだ 未確定な情報であるため,被告が,確定情報と誤解した市民等からの問合せや苦情等に対する対応に追われたり,非公開を前提とする文化庁との間の率直な意見交換が不当に阻害されたりし,本件事業の実現そのものに支障が生ずるおそれがある(文書36,37,39~42,44,46 せや苦情等に対する対応に追われたり,非公開を前提とする文化庁との間の率直な意見交換が不当に阻害されたりし,本件事業の実現そのものに支障が生ずるおそれがある(文書36,37,39~42,44,46,53~56,58,60)ため,同項5号の非公開情報(事務支障情報)に該当すると主 張する。 ⑵ 前記認定事実等に基づく検討ア本件条例7条1項4号及び5号の該当性判断については前記2⑴イのとおりであり,被告は,本件事業の実施に当たり,文化庁長官から名古屋城跡についての現状変更許可を受ける必要があるところ,文化庁への訪問は, 本件事業の基本計画書の内容や現状変更許可申請書の提出時期等について,文化庁職員との間で事前に非公開の意見交換を行うとともに,文化財保護の専門家である文化庁職員から本件事業の遂行のための助言を受けることを目的とするものである(前記認定事実⑵ア及びイ)。そして,証拠(乙30~32)からすれば,その意見交換において,文化庁職員は,被告職員 等に対し,本件事業について専門的な助言をしていたことがうかがわれ, また,上記⑴の各文書の中には,本件事業に関する中間的かつ暫定的な検討及び意見交換の内容が記載されているものがあり,これは文化庁職員の発言であることから,本件事業についての専門的な観点からの内容であることがうかがわれる。そうすると,当該意見交換が非公開で行われていることのほか,上記の目的や実施時期等に照らせば,当該意見交換において は,主に,本件事業についての文化庁職員の率直かつ実務的な意見を聴取したり,文化財保護の専門家としての具体的な助言を受けたりする中で,本件事業の問題点を分析あるいは検討し,解決への筋道を立てることが目指されていたというべきである。さらに,本件事業は,主に名古 聴取したり,文化財保護の専門家としての具体的な助言を受けたりする中で,本件事業の問題点を分析あるいは検討し,解決への筋道を立てることが目指されていたというべきである。さらに,本件事業は,主に名古屋城跡の石垣の保存方法につき,被告が組織する有識者会議である石垣部会から, 被告の計画の根本的な見直しが必要であるとの意見が述べられる(前記認定事実⑵エ)など,特別史跡である名古屋城跡の保存方法について意見の対立がみられていたのであるから,文化庁職員の発言が公開されると,その発言が社会の注目を集めることが想定され,この意見交換の内容が公開されると,文化庁職員が,その立場に固執したり,非難をおそれたりする ことによって,率直な意見を述べることなく,硬直的かつ形式的な意見しか述べなくなることも予想される。そして,本件事業は,本件各処分時においても,文化審議会が本件変更申請を継続審議とするなどしており,今後も被告職員等と文化庁職員との間の非公開の意見交換が行われることが想定されているから,仮に文書2,10,11,16,17,35~46 及び51~60が公開されると,文化庁職員が被告職員等との意見交換の場で率直な意見を述べることなく,硬直的かつ形式的な意見しか述べなくなる蓋然性が認められる。 なお,証拠(乙30の2,乙31の2,乙32の2)及び弁論の全趣旨によれば,上記各文書の一部(文書2,10,11,16,17,35, 38及び51)には,いずれも名古屋市長の発言に対する文化庁職員の発 言内容が記載されており,その前後の文化庁職員の発言が一部公開されていることに照らし,名古屋市長の発言に対する部分のみが非公開とされているものと認められ,前記2及び後記5のとおり,この点の名古屋市長の発言に非公開情報があると 前後の文化庁職員の発言が一部公開されていることに照らし,名古屋市長の発言に対する部分のみが非公開とされているものと認められ,前記2及び後記5のとおり,この点の名古屋市長の発言に非公開情報があるとは認められないものの,これを受けた文化庁職員の発言が公開されることによって,文化庁職員が,名古屋市長がした発 言に対し,今後,率直な意見等を述べることがなくなり,硬直的かつ形式的な意見しか述べなくなる蓋然性があることに変わりはないというべきである。また,弁論の全趣旨によれば,文書45,52及び59には,文化庁職員の発言以外に,被告の職員の発言も記載されていることが認められるが,乙32号証の2によれば,文書45及び59の被告の職員の発言 は,文化庁職員の発言と同じ項目の中に記載されており,文書52は,被告の職員と文化庁職員の対話内容が記載されていることが認められ,上記文書の被告の職員の発言が公開されると,その前後の文化庁職員の発言内容を一定程度予想することが可能となるものであるから,これら文書については,被告の職員の発言が記載されている部分も含め,上記の蓋然性が 認められるというべきである。 イ以上によれば,上記各文書を公開することにより被告と文化庁との間の率直な意見交換が損なわれる蓋然性が認められ,被告が本件事業の実施に当たり文化庁長官の現状変更許可を受ける必要があり,本件事業の内容に照らして文化庁職員から専門的知見に基づく率直な意見を含む具体的な助 言を受ける必要があると考えられることからすれば,上記各文書を公開することの利益を斟酌してもなお,公開のもたらす支障が大きく,非公開とすることに合理性が認められるとともに,本件事業に係る事務の適正な遂行に実質的な支障が生ずる蓋然性が認められるというべきである。 ウ の利益を斟酌してもなお,公開のもたらす支障が大きく,非公開とすることに合理性が認められるとともに,本件事業に係る事務の適正な遂行に実質的な支障が生ずる蓋然性が認められるというべきである。 ウこれに対し,原告は,①非公開部分に記載された文化庁職員の発言は, 本件各処分の3年以上前にされたものであり,文化財保護についての専 門技術的なものであると考えられる上,被告と文化庁との間の交渉の概要は報道等により明らかになっているから,仮にこの内容が公開されても,被告と文化庁との間の信頼関係が損なわれたり,文化庁が外部から圧力を受けたりするとは想定し難く,②文化庁職員の助言等は,特別史跡である名古屋城跡の保全のために行われるものであるから,被告との 間の信頼関係が損なわれたからといって,文化庁職員が助言等を行わなくなるとは考え難いと主張する。 しかし,上記アで検討したとおり,本件事業については,特別史跡である名古屋城跡の保存方法についての意見の対立がみられ,その点についての文化庁職員の発言は,たとえ専門技術的な内容を含むものであっ たとしても,本件事業の性質等に鑑みて注目され,批判等の対象となる可能性が十分にあるといえる。そして,一件記録を精査しても,文化庁職員の具体的な発言内容が報道等により明らかになっていたものとは認められないから,その助言等が特別史跡である名古屋城跡の保全のために行われるものであることなどを考慮しても,非公開部分が公開される と,文化庁職員が上記の事態を懸念して,今後,率直な意見を述べることなく,硬直的かつ形式的な意見しか述べなくなることが予想されるところであり,さらに,本件各処分時においても本件事業についての議論が継続されていることに照らすと,このことは,当該発言が本件各処分の となく,硬直的かつ形式的な意見しか述べなくなることが予想されるところであり,さらに,本件各処分時においても本件事業についての議論が継続されていることに照らすと,このことは,当該発言が本件各処分の3年以上前にされたものであっても異ならないというべきである。し たがって,原告の上記主張はいずれも採用することができない。 また,原告は,文化庁は上記各文書に記載された情報の非公開を求めていないとも主張し,これに沿う証拠として,令和3年6月の名古屋市議会の定例会の議事録を提出するが,そこでの市議会議員の発言は,文化庁が上記各文書に記載された情報の非公開を求めていなかったと述べ ているものではない上に,上記アで検討した被告職員等と文化庁職員と の意見交換の性質等に照らせば,原告の上記主張は採用することができない。 ⑶ 小括したがって,文書2,10,11,16,17,35~46及び51~60は,非公開情報(意思形成過程情報,事務支障情報)に該当する。 4 文書3~5の非公開情報該当性について⑴ 上記各文書の記載内容等について弁論の全趣旨によれば,文書3~5には,平成30年7月20日の被告職員等と文化庁職員との意見交換における,文化庁職員の発言内容が記載されており,「本丸御殿の工事について」,「石垣部会関係」,「天守閣部会報告関係」, 「基本計画書」についての被告職員等の経過報告に言及していることが認められる。 被告は,上記各文書につき,前記3⑴と同様,①文化庁と被告との打合せは非公開で行われており,文化財保護の専門家である文化庁職員との間で,非公開であることを前提とした率直な意見交換が実施されているところ,仮 に上記各文書の内容が公開されると,被告と文化庁との間の率直な意見の交換 り,文化財保護の専門家である文化庁職員との間で,非公開であることを前提とした率直な意見交換が実施されているところ,仮 に上記各文書の内容が公開されると,被告と文化庁との間の率直な意見の交換若しくは被告の意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるため,本件条例7条1項4号の非公開情報(意思形成過程情報)に該当し,また,②文化財保護の専門家である文化庁職員から,文化財保護についての助言や現状変更許可申請等の手続についての率直な感想等を受けられなくなると, 本件事業の事務の適正な遂行に支障が生ずることになるため,同項5号の非公開情報(事務支障情報)に該当すると主張する。 ⑵ 前記認定事実に基づく検討本件条例7条1項4号及び5号の該当性判断については前記2⑴イのとおりであるところ,文書3~5のうち,「石垣部会関係」,「天守閣部会報告関係」, 「基本計画書」の経過報告についての文化庁職員の発言が記載された部分は, 前記3で検討したとおり,当該部分が公開されると,文化庁職員が,今後,被告職員等との間の非公開の意見交換の場で率直な意見を述べることなく,硬直的かつ形式的な意見しか述べなくなることが予想されるところであり,被告と文化庁との間の率直な意見交換が損なわれる蓋然性があり,上記文書を公開することの利益を斟酌してもなお,公開によって生ずる支障が大きく, 非公開とすることに合理性が認められるとともに,本件事業に係る事務の適正な遂行に実質的な支障が生ずる蓋然性が認められるから,非公開情報(意思形成過程情報,事務支障情報)に該当する。 他方,文書3~5のうち,「本丸御殿の工事について」の経過報告についての文化庁職員の発言が記載された部分については,本丸御殿の工事は,平成 21年1月に着手し, 務支障情報)に該当する。 他方,文書3~5のうち,「本丸御殿の工事について」の経過報告についての文化庁職員の発言が記載された部分については,本丸御殿の工事は,平成 21年1月に着手し,平成30年6月に完了している(前記認定事実⑴ウ)ところ,文化庁職員の上記発言は,平成30年7月20日の打合せの際に行われたものであって,既に終了した工事に関するものであり,その後に本丸御殿の工事に関して意見の交換若しくは被告の意思決定が必要とされるものではないから,継続中又は今後行われる工事に関する発言のように率直な意 見の交換や被告の意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれを考慮する必要はない。さらに,上記の発言部分は文化庁職員の発言内容が記載されたものであるが,当該部分は既に終了した工事に関する発言であって継続中又は今後行われる工事に関する発言ではないから,これが公開されることによって本件事業の他の部分に影響が生ずるおそれがあるとは認め難く,他にこれ を認めるに足りる証拠は見当たらない。そうすると,上記部分が公開されることによって,被告と文化庁との間の率直な意見交換が不当に損なわれたり,本件事業に係る事務の適正な遂行に実質的な支障が生じたりする蓋然性があるとは認められないというべきである。 ⑶ 小括 したがって,文書3~5のうち,「石垣部会関係」,「天守閣部会報告関係」 及び「基本計画書」の経過報告についての文化庁職員の発言が記載された部分は,非公開情報(意思形成過程情報,事務支障情報)に該当するが,「本丸御殿の工事について」の経過報告についての文化庁職員の発言が記載された部分は,上記の非公開情報に該当せず,その他の事由を含めて非公開事由は存在しない。 5 文書6~9,12~15,31~34及 殿の工事について」の経過報告についての文化庁職員の発言が記載された部分は,上記の非公開情報に該当せず,その他の事由を含めて非公開事由は存在しない。 5 文書6~9,12~15,31~34及び47~50の非公開情報該当性について⑴ 上記各文書の記載内容等について弁論の全趣旨によれば,文書6~9,12~15,31~34及び47~50には,平成30年7月26日(文書6~9,12~15)及び同年8月 3日(文書31~34,47~50)の被告職員等と文化庁職員との意見交換における,名古屋市長の発言内容が記載されていることが認められる。 被告は,上記文書が公開されると,①被告と文化庁との間の信頼関係が損なわれ,今後,硬直的かつ形式的な議論しか行われなくなり,被告と文化庁との間の率直な意見の交換が損なわれたり,被告に対する外部からの圧力や 干渉等により,被告の意思決定の中立性が不当に損なわれたりするおそれがあるため,本件条例7条1項4号の非公開情報(意思形成過程情報)に該当し,また,②当該情報を確定したものであると誤解した市民等が,被告や文化庁等に対し,問合せや苦情等を寄せることが考えられ,被告がその対応等に追われることにより,本件事業の本来の事務の遂行に支障が生ずるおそれ があるため,本件条例7条1項5号の非公開情報(事務支障情報)に該当すると主張する。 ⑵ 前記認定事実に基づく検討ア本件条例7条1項4号及び5号の該当性判断については前記2⑴イのとおりであるところ,被告は,本件事業の実施に当たり,文化庁長官から名 古屋城跡についての現状変更許可を受ける必要があり,文化庁への訪問は, 本件事業の基本計画書の内容や現状変更許可申請書の提出時期等について,文化庁職員との間で事前に非公開の意 古屋城跡についての現状変更許可を受ける必要があり,文化庁への訪問は, 本件事業の基本計画書の内容や現状変更許可申請書の提出時期等について,文化庁職員との間で事前に非公開の意見交換を行うとともに,文化財保護の専門家である文化庁職員から本件事業遂行のための助言を受けることを目的とするものであり,当該意見交換においては,主に,本件事業についての文化庁職員の率直かつ実務的な意見を聴取したり,文化財保護の専門 家としての具体的な助言を受けたりする中で,本件事業の問題点を分析あるいは検討し,解決への筋道を立てることが目指されていたものであることは,前記3⑵アで記載したとおりである。 しかしながら,文書6~9,12~15,31~34及び47~50の各文書には,名古屋市長の発言のみが記載され,文化庁職員の発言は記載 されておらず,当該部分が公開されることとなっても,文化庁職員の発言内容が公開されるわけではないから,このことをもって被告と文化庁との間の信頼関係が損なわれるとはいい難い。また,上記各文書に記載された名古屋市長の発言は,いずれも本件各処分から3年以上前にされたものであり(乙31の2,32の2,前提事実⑸),それらの発言がされた後,本 件事業のスケジュール等が大幅な変更を余儀なくされ,そのことは一般に公表されている(前記認定事実⑵エ)から,名古屋市長の発言の内容が確定したものであると誤解されたり,現時点においても同様の検討がされているものと捉えられたりする可能性は低いというべきである。さらに,本件事業について外部から圧力や干渉等を受ける蓋然性についてみても,平 成31年3月に行われた本件事業についての市民向けの説明会において,市民から不規則発言や被告の説明が虚偽であるとする発言があったことは て外部から圧力や干渉等を受ける蓋然性についてみても,平 成31年3月に行われた本件事業についての市民向けの説明会において,市民から不規則発言や被告の説明が虚偽であるとする発言があったことは認められる(乙20)ものの,不当に圧力を掛けて正常な検討ができなくなるようなものとはいい難い上,それ以外に,本件各処分時までの間に,被告や文化庁等に対し,本件事業についての正常な検討ができなくなるよ うな圧力が掛けられたという事情もうかがわれない。そして,本件各処分 から3年以上前にされた上記各文書が公開されることによって,被告や文化庁に新たに何らかの実質的な不利益が及ぶことは直ちに想定し難く,被告と文化庁との間の信頼関係が損なわれるとも認め難いほか,被告が上記各文書の情報が確定したものと誤解した市民等からの問合せや苦情等の対応等に追われることになるものとも認め難い。 イ以上によれば,上記各文書を公開することで被告と文化庁との間の率直な意見交換が損なわれる蓋然性があるとは認められず,上記各文書を公開することによる支障が大きいともいえないから,非公開とすることに合理性があるとは認められず,また,本件事業の本来の事務の遂行に支障が生ずるおそれがあるとは認め難いというべきである。 ウこれに対し,被告は,上記各文書を公開すると,被告に対する外部からの圧力や干渉等により,被告の意思決定の中立性が不当に損なわれたりするおそれがあるほか,上記各文書に記載された情報を確定したものであると誤解した市民等が,被告や文化庁等に対し,問合せや苦情等を寄せることが考えられ,被告がその対応等に追われることにより,本件 事業の本来の事務に支障が生ずるおそれがあると主張する。 しかし,上記アで検討したとおり,上記各文書に記載 ,問合せや苦情等を寄せることが考えられ,被告がその対応等に追われることにより,本件 事業の本来の事務に支障が生ずるおそれがあると主張する。 しかし,上記アで検討したとおり,上記各文書に記載された名古屋市長の発言の内容が確定したものであると誤解されたり,現時点でも同様の検討がされていると捉えられたりする可能性は低く,本件各処分時までの間に被告や文化庁等が本件事業について正常な検討ができなくなる ような圧力等を掛けられたこともうかがわれないから,上記文書が公開されることにより,被告に対し外部から圧力や干渉等が加えられ,その意思決定の中立性が不当に損なわれる蓋然性があるとは認められない。 また,本件各処分から遡って3年以上前にされた名古屋市長の発言に係る上記情報を確定したものであると誤解した市民等が,被告や文化庁等 に対し問合せや苦情を寄せるとも直ちに認め難いから,上記各文書の公 開により本件事業の事務の遂行に支障が生ずる蓋然性があるとも認められない。したがって,被告の上記主張は採用することができない。 また,被告は,上記各文書のうち文書32,34,48及び50について,本件事業に関する理解が十分ではない複数の団体や,本件事業に理解があり協力的な第三者について言及されており,上記の文書が公開 されると,その団体や第三者に対して問合せや苦情等が寄せられることが考えられ,被告がその対応等に追われることにより,本件事業の円滑な進行や調整が阻害され,本件事業の事務に支障が生ずるおそれがあると主張する。 しかし,本件各処分時までに被告が本件事業について正常な検討がで きなくなるような圧力等を掛けられたことはうかがわれず,本件各処分から3年以上前にされた名古屋市長の発言により上記団体や第三者に対して問 件各処分時までに被告が本件事業について正常な検討がで きなくなるような圧力等を掛けられたことはうかがわれず,本件各処分から3年以上前にされた名古屋市長の発言により上記団体や第三者に対して問合せや苦情等が寄せられるとは直ちに認め難い。さらに,仮に被告や上記団体又は第三者に対し一定の問合せ等が寄せられたとしても,それに対しては,被告において,誠実かつ真摯に対応し,正確な事実関 係を説明することもその通常の事務の範囲内というべきであり,それを超えて本件事業の事務に支障が生じるおそれがあることについては,単なる確率的な可能性をいうものにすぎず,法的保護に値する蓋然性までを認めることはできない。被告の上記主張も採用することができない。 ⑶ 小括 したがって,文書6~9,12~15,31~34及び47~50は,非公開情報(意思形成過程情報,事務支障情報)に該当せず,その他の事由を含めて非公開事由は存在しない。 6 文書18の非公開情報該当性について⑴ア上記文書の記載内容等について 弁論の全趣旨によれば,文書18には,木造天守閣に関する「構造計画 の考え方」が記載されており,どのような耐震補強が有用であるかなどを検討した結果が記載されていることが認められる。 被告は,上記文書には竹中工務店の独自のノウハウが記載されており,これが公開されると,競合他社がそのノウハウを模倣することにより,竹中工務店の競争上の利益が損なわれ,竹中工務店に明らかに不利益を与え ることになるため,本件条例7条1項2号の非公開情報に該当すると主張する。 イ本件条例7条1項2号の該当性判断本件条例7条1項2号は,法人等に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって,公にすることにより,当該法人等又は 情報に該当すると主張する。 イ本件条例7条1項2号の該当性判断本件条例7条1項2号は,法人等に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって,公にすることにより,当該法人等又は個人 に明らかに不利益を与えると認められるもの(以下「法人等利益侵害情報」という。)を非公開情報と定めている。そして,本件条例が,その解釈及び運用に当たっては,行政文書の公開を請求する権利を十分尊重しなければならないと定め(3条),非公開情報が記録されていない限り原則的に公開しなければならないとした(7条)上で,同条1項2号について,明らか に不利益を与えると認められるものを非公開情報に該当すると定めていることからすれば,法人等利益侵害情報に該当するためには,単に実施機関の主観においてその利益が害されると判断されるだけではなく,法人等又は事業を営む個人の権利,競争上の地位その他正当な利益が害されることが客観的に認められるものであることが必要であるというべきである (行政機関の保有する情報の公開に関する法律5条1項2号につき,最高裁平成20年(行ヒ)第67号同23年10月14日第二小法廷判決・集民238号57頁参照)。 もっとも,上記の「明らかに不利益を与えると認められるもの」といえるかの判断に当たり,当該文書の個別具体的な記載文言等から当該法人等 の権利が具体的にどのように害されるかが明らかにされなければならない とすることは,結果的に当該行政文書の公開を要求することに等しく,非公開情報を定めた本件条例の趣旨に反することは明らかである。したがって,行政文書に記載された情報につき,法人等利益侵害情報該当性が認められるかを判断するに当たっては,当該情報が,どのような法人等に関するどのような種類のもの 趣旨に反することは明らかである。したがって,行政文書に記載された情報につき,法人等利益侵害情報該当性が認められるかを判断するに当たっては,当該情報が,どのような法人等に関するどのような種類のものであるかなどといった一般的な性質から,法人等 又は事業を営む個人の権利,競争上の地位その他正当な利益が害されることが客観的に認められるかを判断することが相当である。 ⑵ 前記認定事実等に基づく検討ア竹中工務店は,過去に,「特別史跡平城京跡第一次大極殿正殿」や「特別史跡五稜郭跡内箱館奉行所庁舎」の復元工事を請け負うなどしており,歴 史的建造物の復元について独自の知見(ノウハウ)を有しているものと認められ(乙24の2,弁論の全趣旨),本件事業に係る公募型プロポーザルにおいて,「史実に忠実な木造復元に配慮した実現可能な計画」,「火災発生時の対策と不特定多数の利用者が避難できる計画」,「耐震計画(耐震工法,免震工法,制振工法)」等を記載した本件技術提案書を提出し,バリアフリ ー化は史実に忠実という点についての苦心の跡があり,防災避難計画については具体的にかなり検討され,構造計画についても,現状での限界耐力試算も行っており,水平剛性確保も検討され努力しているなどと評価されて,被告との優先交渉権を獲得している(前記認定事実⑴エ)のであり,本件事業のうち,特に,史実に忠実な復元計画,避難計画及び耐震計画(以 下,これらの計画を併せて「本件各計画」という。)の構築については,自らのノウハウに基づいた緻密な検討を行っているものといえる。そして,本件基本計画書は,被告が現状変更許可を得るために文化庁に提出することを目的として作成され,文化庁に対し本件事業についての被告の考え方や仕様及び手法を説明することを目的とするもの(前記認定事 して,本件基本計画書は,被告が現状変更許可を得るために文化庁に提出することを目的として作成され,文化庁に対し本件事業についての被告の考え方や仕様及び手法を説明することを目的とするもの(前記認定事実⑵ア及び ウ)であって,本件技術提案書よりも相当詳細な情報が記載されているこ とが認められ(甲30,乙31の3),乙28号証によれば,復元検討委員会は,歴史的建造物の復元の適否の判断に当たり,①復元する歴史的建造物の遺跡の位置・規模・構造・形式等について十分な根拠があり,復元後の歴史的建造物が規模・構造・形式等において高い蓋然性を有していること,②原則として,復元に用いる材料・工法は同時代のものを踏襲してい ること,③歴史的建造物の構造及び設置後の管理の観点から,防災上の安全性を確保すること等を総合して判断するものとされていることが認められるから,本件基本計画書には,上記目的を達成するため,本件各計画について,竹中工務店のノウハウの内容を含めて,相当に詳細な説明が記載されているものと認められる。 さらに,上記のほか,乙31号証の3及び弁論の全趣旨によれば,文書18は,本件基本計画書の一部であり,木造天守閣の剛性や耐力等の力学的特性を設定し,様々な模擬地震波を想定したシミュレーションの計算結果を示すものであって,地震時における木造天守閣の変形度合い等(最大層間変形角応答)についてのグラフや,ダンパー(耐震性能を向上させる ための装置)の設置箇所についての概要等,耐震強度の解析手法とその結果のほか,耐震補強方法等について具体的に記載されていることが認められる。そうすると,これらの情報は,上記の検討に照らし,竹中工務店のノウハウに属するものであるといえ,これらが公開されると,競合他社が模倣したり,参 方法等について具体的に記載されていることが認められる。そうすると,これらの情報は,上記の検討に照らし,竹中工務店のノウハウに属するものであるといえ,これらが公開されると,競合他社が模倣したり,参考にしたりすることにより,竹中工務店の競争上の地位が 害されるものと認められ,竹中工務店に明らかに不利益を与えるものといえる。 イ以上によれば,文書18は,非公開情報(法人等利益侵害情報)に該当する。 ウこれに対し,原告は,①ダンパーに係る記載につき,その設置場所は未 確定であり,具体的な設置箇所が記載されていないものと推認され,ダン パーを設置するか否かやその設置方法は,歴史的建造物ごとに検討すべき事項であるから,その情報が公開されても,竹中工務店の競争上の地位が害されることはなく,②最大層間変形角応答のグラフに係る記載につき,検証の結果が記載されているにすぎず,その情報が公開されても,竹中工務店のノウハウが明らかになるわけではなく,本件事業においては,上記 検証の前提とされた木造天守閣の基本構造が変更されているから,計算結果が公開されても,同業他社が竹中工務店のノウハウを模倣することはできないはずであると主張する。 しかし,上記⑴イのとおり,文書18には,ダンパーの設置箇所についての概要等が記載されているものと認められ,その情報は,竹中工務店の ノウハウを含むものであり,たとえダンパーの具体的な設置箇所が記載されていなかったり,ダンパーの設置方法が歴史的建造物ごとに異なったりするとしても,その情報が公開されれば,競合他社が他の歴史的建造物の復元について検討する際の参考資料を公開することとなり,当該他社の検討が充実するとともに,検討に要するコストが削減されることにより,竹 中工務店の競争 開されれば,競合他社が他の歴史的建造物の復元について検討する際の参考資料を公開することとなり,当該他社の検討が充実するとともに,検討に要するコストが削減されることにより,竹 中工務店の競争上の地位が害されることになる。また,最大層間変形角応答のグラフを導出するための計算パラメーター等は,本件基本計画書の公開部分には記載されておらず(乙31の3),特に木造天守閣の剛性や耐力等の値は,竹中工務店がこれまで培ってきた知見を基にして設定されるものであるところ,上記グラフが公開されれば,竹中工務店が採用した計算 パラメーターの内容を推知することができ,競合他社がそのパラメーターを模倣したり参考にしたりすることによって,竹中工務店の競争上の地位が害されることになるというべきである。そして,このことは,本件事業において木造天守閣の基礎構造が変更されたとしても何ら影響を受けるものではない。原告の上記主張はいずれも採用することができない。 ⑶ 小括 したがって,文書18は,非公開情報(法人等利益侵害情報)に該当する。 7 文書19~21及び28の非公開情報該当性について⑴ ア上記各文書の記載内容等について弁論の全趣旨によれば,文書19~21には,木造天守閣に関する防災及び避難計画の考え方等が記載され,火災時の観覧者の避難ルートや排煙 の方法等についての分析のほか,監視カメラ映像の監視及び発災時の防災情報の集約等を行う防災拠点の設置場所や人員配置等についての情報が記載されており,文書28には,防災拠点の設置場所や設備についての情報が記載されていることが認められる。 被告は,①文書19~21につき,木造天守閣の防災及び避難計画策定 に当たっては竹中工務店のノウハウが活用されており,これが公開される や設備についての情報が記載されていることが認められる。 被告は,①文書19~21につき,木造天守閣の防災及び避難計画策定 に当たっては竹中工務店のノウハウが活用されており,これが公開されると,競合他社が上記ノウハウを模倣することにより,竹中工務店の競争上の利益が損なわれ,竹中工務店に明らかに不利益を与えることになるため,本件条例7条1項2号の非公開情報(法人等利益侵害情報)に該当し,また,②文書19~21及び28につき,防犯及び防災情報が含まれ,公開 されると,悪意ある第三者によって防犯・防災機能が阻害され,観覧者や職員等の生命,身体の安全に支障を及ぼすおそれがあるため,同項3号の非公開情報に該当すると主張する。 イ本件条例7条1項3号の該当性判断本件条例7条1項3号は,公にすることにより,人の生命,身体,財産 又は社会的な地位の保護,犯罪の予防その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあるもの(以下「公共安全情報」という。)を非公開情報と定めている。この情報を非公開情報とした趣旨は,公共の安全や秩序の維持を確保することは市民全体の利益を擁護するために被告に課せられた重要な責務であるから,上記の公共の安全と秩序の維持に支障を及 ぼすおそれがある情報については,これを非公開とすることにより,市民 全体の利益を十分に保護することにあるものと解される。 ⑵ 前記認定事実等に基づく検討ア本件条例7条1項2号の該当性判断については前記6⑴イのとおりであるところ,まず,文書19~21の非公開情報(法人等利益侵害情報)該当性について検討すると,前記6⑵アのとおり,竹中工務店は,本件事業 のうち,特に,史実に忠実な復元計画,避難計画及び耐震計画(本件各計画)の構築について,自らのノ 情報(法人等利益侵害情報)該当性について検討すると,前記6⑵アのとおり,竹中工務店は,本件事業 のうち,特に,史実に忠実な復元計画,避難計画及び耐震計画(本件各計画)の構築について,自らのノウハウに基づいた緻密な検討を行っているものといえ,本件基本計画書には,本件各計画について,竹中工務店のノウハウの内容を含め,本件技術提案書よりも相当詳細な説明が記載されているものと認められる。そして,上記⑴アのほか,乙31号証の3及び弁 論の全趣旨によれば,文書19~21は,本件基本計画書の一部であり,木造天守閣の形状を前提とした避難完了時間等の分析や,安全な避難が可能かについての検証,消火設備の設置・作動の流れや,安全性を担保するための考慮をした排煙の方法及び排煙設備の発災時における作動の流れ,特殊な消火設備についての検証,避難困難者への対応等が記載されている ほか,防災拠点(警備員が常駐して木造天守閣内部の監視カメラ映像を昼夜監視し,発災時の防災情報の集約等を行う拠点)の人員配置等について記載されているものと認められ,これらの情報は,上記の検討に照らし,竹中工務店のノウハウが含まれるものであるといえ,これらが公開されると,競合他社が上記ノウハウを模倣したり,参考にしたりすることにより, 竹中工務店の競争上の地位が害されるものと認められ,竹中工務店に明らかに不利益を与えるものといえる。 したがって,文書19~21のうち,後記のとおり公開されている①防災拠点が設置されている場所(防災拠点設置場所),又はこれとその設置場所を示す図面(以下,併せて「防災拠点設置場所等」という。)及び②基本 計画書G107の「図-4.15 北階段の遮煙性能を確保した場合(避 難安全レベル4)の避難イメージ」の一部(別表番号 面(以下,併せて「防災拠点設置場所等」という。)及び②基本 計画書G107の「図-4.15 北階段の遮煙性能を確保した場合(避 難安全レベル4)の避難イメージ」の一部(別表番号19の一部。以下「本件避難イメージ図」という。)の記載を除く部分は,非公開情報(法人等利益侵害情報)に該当する。 イ次に,文書19~21及び28の非公開情報(公共安全情報)該当性について検討すると,木造天守閣には1日当たり最大2万人の利用者が見込 まれている(前記認定事実⑴オ)ところ,文書19~21には,上記アのとおり,火災発生時の人的又は物的な対処方法のほか,警備員が常駐して木造天守閣内部の監視カメラ映像を昼夜監視する防災拠点の人員配備等が記載され,文書28には,上記⑴アのとおり,防災拠点の設備についての情報が記載されており,これらの情報が公開されると,悪意ある第三者が 当該情報を悪用し,その防災機能又は防犯機能の弱点を突いた犯罪行為等が行われることが考えられ,木造天守閣の観覧者や職員等の生命,身体の安全に支障を及ぼすおそれがあるものといえる。 したがって,文書19~21及び28のうち防災拠点設置場所,防災拠点設置場所等及び本件避難イメージ図の記載を除く部分は,非公開情報 (公共安全情報)に該当する。 ウこれに対し,原告は,①非公開部分に記載された防災・避難計画の考え方は,今後更に検討を加えて確定させるべきものであり,②文書19~21及び28につき,被告は天守閣部会の議事録をインターネット上に公開しているところ,その議事録には,竹中工務店の担当者による防 災・避難計画の考え方についての説明が記載されているから,被告は上記文書を公開することに支障がないことを自認したものである,③文書19及び20につき,被告 録には,竹中工務店の担当者による防 災・避難計画の考え方についての説明が記載されているから,被告は上記文書を公開することに支障がないことを自認したものである,③文書19及び20につき,被告は一般財団法人日本消防設備安全センターから「消防設備システム評価書」を受領し,その添付資料の多くが市民に公開されているから,それらの文書が公開されても,竹中工務店の競争 上の利益が損なわれることはない,③文書20,21及び28につき, 被告がインターネット上に公開している竹中工務店の本件技術提案書に「加圧排煙」についての記載があり,平成30年7月19日の第12回天守閣部会(特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会(第12回))において記者クラブに提供された資料(以下「本件部会資料」という。)にも,防災・避難計画の考え方とその特徴等が記載されていると主 張する。 しかし,非公開部分に記載された防災・避難計画の考え方についての記載が未確定であるとしても,その情報が公開されることにより,竹中工務店のノウハウが流出することに変わりはなく,また,そこに記載された内容がそのまま確定することも考えられるから,非公開部分に記載 された防災・避難計画の考え方が未確定のものであることは,上記の非公開情報該当性についての判断に影響を与えるものとはいえない。また,証拠(甲18,30,31)によれば,インターネット上に公開された竹中工務店の担当者の説明内容,本件部会資料及び本件技術提案書には,防災・避難計画の考え方の概略が記載されているにすぎず,文書19~ 21及び28のうち,防災拠点設置場所又は防災拠点設置場所等及び本件避難イメージ図の記載を除く部分に記載された情報が,当該記載部分に含まれているとは認められず,その他一件 すぎず,文書19~ 21及び28のうち,防災拠点設置場所又は防災拠点設置場所等及び本件避難イメージ図の記載を除く部分に記載された情報が,当該記載部分に含まれているとは認められず,その他一件記録を精査しても,市民に公開されている消防設備システム評価書の添付資料に,文書19~21及び28の内容が記載されているとは認められない。したがって,原告 の上記主張はいずれも採用することができない。 また,原告は,文書19につき,防災情報は,社会通念上,利用者の安心及び安全のために公開されるべきであり,本件基本計画書G132,133の非公開部分は,自衛消防組織の責任者の職名が記載されているものと考えられるが,この情報が公開されても,観覧者や職員等の生命, 身体の安全に支障を及ぼすおそれはないなどと主張するほか,文書19 の個々の記載内容に着目して種々の主張をする。 しかし,文書19に記載された防災情報の性質上,同文書が社会通念上公開されるべきものであるとはいえず,自衛消防組織の責任者の職名が公開されれば,当該責任者に対して攻撃等が加えられることにより,当該組織の機能が阻害されるおそれが高まるから,当該情報が公開され れば,観覧者や職員等の生命,身体の安全に支障を及ぼすおそれがあるといえる。また,原告のその他の主張は,上記ア及びイの検討に照らし,いずれも採用することができない。 エ一方,本件避難イメージ図の記載については,証拠(甲31・通知書及び同書を含めて10枚目,乙31の3・G107頁)及び弁論の全趣 旨によれば,本件避難イメージ図と同様のイメージ図が,平成30年7月19日の第12回天守閣部会において記者クラブに提供された資料(本件部会資料)に記載されており,被告は,別件の情報公開請求におい 旨によれば,本件避難イメージ図と同様のイメージ図が,平成30年7月19日の第12回天守閣部会において記者クラブに提供された資料(本件部会資料)に記載されており,被告は,別件の情報公開請求において,同年8月3日付け決定により上記イメージ図を非公開とすることなく本件部会資料を公開したことが認められる。そうすると,本件避難 イメージ図に係る情報は,既に一般に知られている情報であるといえ,そこに記載された情報が公開されることによって,竹中工務店の競争上の地位が害されたり,木造天守閣の観覧者や職員等の生命,身体の安全に支障が生じたりするものとは認め難い。 また,基本計画書の防災拠点設置場所等の記載についても,証拠(甲 18・28頁,31・通知書及び同書を含めて15枚目)及び弁論の全趣旨によれば,防災拠点が設置されている場所は,第12回天守閣部会において,一般傍聴者がいる中で明らかにされ,インターネット上に公開された同部会の議事録にも,防災拠点の設置場所が記載されている上,同部会で記者クラブに提供された資料(本件部会資料)には,防災拠点 の設置場所と設置場所を示す図面が記載されており,被告は,別件の情 報公開請求において,防災拠点設置場所等の情報を非公開とすることなく本件部会資料を公開していることが認められる。そうすると,防災拠点設置場所等の情報は,既に一般に知られている情報であるといえ,基本計画書の防災拠点設置場所又は防災拠点設置場所等の記載が公開されることによって,竹中工務店の競争上の地位が害されたり,木造天守閣 の観覧者や職員等の生命,身体の安全に支障が生じたりするものとは認め難い。 これに対し,被告は,防災拠点設置場所等の記載が公開されると,他の非公開部分の内容が推知されると主張するが,防災 閣 の観覧者や職員等の生命,身体の安全に支障が生じたりするものとは認め難い。 これに対し,被告は,防災拠点設置場所等の記載が公開されると,他の非公開部分の内容が推知されると主張するが,防災拠点設置場所等の記載が公開されることによって他の非公開部分の内容が推知されること になるとは直ちに認められない上,被告の上記主張は具体的な記載等を明示するなどして行われたものでもないから,被告の上記主張は採用することができない。 なお,弁論の全趣旨によれば,防災拠点設置場所等の記載については,少なくとも,文書19,21及び28に防災拠点設置場所の情報が,文 書20に防災拠点設置場所等の情報がそれぞれ記載されていることが認められるが,本件処分2により非公開とされた部分の箇所の状況に照らし,文書19に防災拠点設置場所等の記載が含まれるかは明らかでないから,防災拠点設置場所又は防災拠点設置場所等の記載場所につき,文書19~21及び28の一部として特定するにとどめることとする。 ⑶ 小括したがって,文書19~21及び28のうち,防災拠点設置場所又は防災拠点設置場所等及び本件避難イメージ図の記載を除く部分は,非公開情報(文書19~21のうち上記部分は法人等利益侵害情報,公共安全情報,文書28の上記部分は公共安全情報)に該当するが,本件基本計画書の防災拠点設 置場所又は防災拠点設置場所等(別表番号19~21及び28の各一部)及 び本件避難イメージ図(文書19の一部)が記載された部分は,上記の非公開情報には該当せず,その他の事由を含めて非公開事由は存在しない。 8 文書22~26の非公開情報該当性について⑴ 上記各文書の記載内容等について弁論の全趣旨によれば,文書22~26には,「昭和実測図及び野帳・ その他の事由を含めて非公開事由は存在しない。 8 文書22~26の非公開情報該当性について⑴ 上記各文書の記載内容等について弁論の全趣旨によれば,文書22~26には,「昭和実測図及び野帳・調書」 のガラス乾板写真から読み取れる天守閣の断面図等を分析した結果及びその根拠(文書22),木造天守閣の復元の根拠とすべき資料とその資料を選択した根拠(文書23),焼失前の名古屋城天守で使用されていたと伝承される木材片(本件木材片)についての分析結果とその根拠(文書24),木造天守閣の復元原案についての考証(文書25及び26)が記載されていることが認 められる。 被告は,上記各文書につき,竹中工務店の独自のノウハウが記載されており,これらが公開されると,競合他社がそのノウハウを模倣することにより,竹中工務店の競争上の利益が損なわれ,竹中工務店に明らかに不利益を与えることになるから,本件条例7条1項2号の非公開情報(法人等利益侵害情 報)に該当すると主張する。 ⑵ 前記認定事実等に基づく検討ア本件条例7条1項2号の該当性判断については前記6⑴イのとおりであるところ,前記5⑵アのとおり,竹中工務店は,本件事業のうち,特に,史実に忠実な復元計画,避難計画及び耐震計画(本件各計画)の構築につ いては,自らのノウハウに基づいた緻密な検討を行っているものといえ,本件基本計画書には,本件各計画について,竹中工務店のノウハウの内容を含め,詳細な説明が記載されているものと認められる。そして,上記⑴アのほか,証拠(乙21,31の3)及び弁論の全趣旨によれば,文書22~26は,本件基本計画書の一部であって,いずれも史実に忠実な復元 計画の構築に係る記載であり,「昭和実測図及び野帳・調書」のガラス乾板 写真から 弁論の全趣旨によれば,文書22~26は,本件基本計画書の一部であって,いずれも史実に忠実な復元 計画の構築に係る記載であり,「昭和実測図及び野帳・調書」のガラス乾板 写真から読み取れる天守閣の断面図等を分析した結果及びその根拠(文書22),名古屋城天守閣に関する資料のうち復元の根拠とすべき資料とその資料を選択した根拠(文書23),本件木材片についての分析結果とその根拠(文書24),柱,梁及び貫について複数の資料を分析した結果とその根拠(文書25),瓦,橋台及び錺金物について複数の資料を分析した結果と その根拠(文書26)がそれぞれ記載されているものと認められる。そうすると,これらの情報は,上記アの検討に照らし,竹中工務店のノウハウが含まれるものであるといえ,これらが公開されると,競合他社が模倣したり,参考にしたりすることにより,竹中工務店の競争上の地位が害されるものと認められ,竹中工務店に明らかに不利益を与えるものといえる。 したがって,文書22~26は,非公開情報(法人等利益侵害情報)に該当する。 イこれに対し,原告は,①文書22~26につき,被告は,平成30年11月2日の第13回天守閣部会(特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会(第13回))の議事録と配布資料をインターネット上に公 表しているところ,それらの書面には,竹中工務店が作成した設計図面についての詳細なデータや,竹中工務店の担当者の具体的な説明が記載されているから,被告は,上記文書に竹中工務店のノウハウが含まれていないことを自認したものといえ,②文書22~24につき,文化の伝承を図ったり,木造天守閣復元の正確性を担保したりするため,社会通 念上公開されるべきであり,③文書23及び24につき,名古屋城天守閣につい 認したものといえ,②文書22~24につき,文化の伝承を図ったり,木造天守閣復元の正確性を担保したりするため,社会通 念上公開されるべきであり,③文書23及び24につき,名古屋城天守閣についての資料の分析や本件木材片の分析が本件事業以外で問題となるとは考え難く,その内容が公開されても,竹中工務店の競争上の地位が害されることはないし,④文書24につき,本件木材片の分析は,学術的な視点に基づいて行われるものであり,竹中工務店が独占的に利活 用できるものではないと主張する。 しかし,証拠(甲19,20,乙31の3)によれば,第13回天守閣部会では,本件基本計画書とは別の資料に基づいて議論が行われており,その議事録や資料の中に文書22~26に記載された情報が含まれているとは直ちに認められない。また,文書22~24は,竹中工務店が作成したものであり,文化の伝承や木造天守閣復元の正確性を担保す ることを理由として,当該各文書が社会通念上公開されるべきものであるとはいえない。そして,乙28号証によれば,復元検討委員会は,歴史的建造物の復元の適否の判断に当たり,復元する歴史的建造物の遺跡の位置・規模・構造・形式等について十分な根拠があることなどを基準としており,他の歴史的建造物の復元に当たっても文献等の資料の分析 は重要な意味を持つものと考えられるところ,文書23及び24が公開されると,競合他社が,竹中工務店が各種資料の分析の際に用いた視点や手法を模倣したり参考にしたりすることにより,その検討が充実したものとなるとともに分析に要するコストが削減され,竹中工務店の競争上の地位が害されることになる。さらに,本件木材片の分析手法を竹中 工務店が独占的に利活用することができないと考えるべき合理的な理由は るとともに分析に要するコストが削減され,竹中工務店の競争上の地位が害されることになる。さらに,本件木材片の分析手法を竹中 工務店が独占的に利活用することができないと考えるべき合理的な理由は見当たらない。したがって,原告の上記主張はいずれも採用することができない。 また,原告は,本件基本計画書で分析の対象とされた資料自体は公開されていることを主張するが,上記アで検討したとおり,竹中工務店の ノウハウは資料の分析の過程に含まれるものであり,資料のうちどの部分に着目するかもノウハウに含まれるというべきであるから,分析の対象となった資料自体が公開されていることは,上記の判断に影響を与えるものではない。 ⑶ 小括 したがって,文書22~26は,非公開情報(法人等利益侵害情報)に該 当する。 9 文書27の非公開情報該当性について⑴ 上記文書の記載内容等について弁論の全趣旨によれば,文書27には,仮設構造物及びそれを設置するために必要な堀の埋立方法についての具体的な設計図面が記載されていること が認められる。 被告は,上記文書につき,竹中工務店の独自のノウハウが記載されており,これが公開されると,競合他社がそのノウハウを模倣することにより,竹中工務店の競争上の利益が損なわれ,竹中工務店に明らかに不利益を与えることになるため,本件条例7条1項2号の非公開情報(法人等利益侵害情報) に該当すると主張する。 ⑵ 前記事実経過等に基づく検討ア本件条例7条1項2号の該当性判断については前記6⑴イのとおりであるところ,本件事業は,特別史跡である名古屋城跡内での作業であり,本件事業に係る公募型プロポーザルにおいても,「特別史跡内での業務である こと」が評価項目とされ(前記認定事実⑴ のとおりであるところ,本件事業は,特別史跡である名古屋城跡内での作業であり,本件事業に係る公募型プロポーザルにおいても,「特別史跡内での業務である こと」が評価項目とされ(前記認定事実⑴エ),乙28号証によれば,復元検討委員会は,歴史的建造物の復元の適否の判断に当たり,遺跡の保存に十分に配慮したものであることを判断基準の一つとしているから,竹中工務店は,特別史跡である名古屋城跡の保存に配慮するため,仮設構造物や堀の埋立方法について十分な工夫をしていたものと推認される。そして, 乙24号証の2によれば,本件事業においては,天守の周囲に深い堀や本丸御殿があり,工事のための作業スペースが限られているほか,特別史跡の構成要素の一つである石垣や堀等の遺跡を毀損しないように特別の配慮が求められており,鉄骨造の素屋根や重機を載せる構台等の仮設構造物の計画の構築に当たり,過去の歴史的建造物の復元のノウハウが活かされた ものと認められる。 以上からすれば,文書27には,竹中工務店のノウハウが含まれており,これが公開されると,競合他社が模倣したり,参考にしたりすることにより,竹中工務店の競争上の地位が害されるものと認められ,竹中工務店に明らかに不利益を与えるものといえるから,非公開情報(法人等利益侵害情報)に該当する。 イこれに対し,原告は,被告は,平成31年2月14日の第16回天守閣部会(特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会(第16回))の配布資料をインターネット上に公表しているところ,その資料には天守閣の解体工事についての記載があるほか,竹中工務店が提案する堀の埋立方法については,従前から石垣部会において疑問が述べられていたから,文書 27は非公開情報に該当しないと主張する。しかし,甲 閣の解体工事についての記載があるほか,竹中工務店が提案する堀の埋立方法については,従前から石垣部会において疑問が述べられていたから,文書 27は非公開情報に該当しないと主張する。しかし,甲22号証によれば,上記配布資料には仮設構造物の設計図面は記載されていないことが認められ,上記アで検討したところからすれば,石垣部会において竹中工務店が提案する堀の埋立方法に疑問が述べられていたことは上記の判断に影響を与えるものではないから,原告の上記主張はいずれも採用することができ ない。 ⑶ 小括したがって,文書27は,非公開情報(法人等利益侵害情報)に該当する。 10 文書29の非公開情報該当性について⑴ 上記文書の記載内容等について 弁論の全趣旨によれば,文書29には,竹中工務店が作成した本件基本計画書中の提案事業費として,木造天守閣の建設費及び設計業務費の概算工事費が記載されていることが認められる。 被告は,上記文書が公開されると,①未確定な情報が確定したものと誤解され,根拠を欠いた批判的な意見が流布されることなどにより,不当に市民 の間に混乱を生じさせるおそれがあるため,本件条例7条1項4号の非公開 情報(意思形成過程情報)に該当し,また,②当該情報を確定したものと誤解した市民等が被告や文化庁及び有識者会議構成員に対し問合せや苦情の申入れ等をし,被告がその対応等に追われることにより,文化庁や有識者との間でされるべき議論や調整を行うことができず,本件事業の円滑な進行や調整が阻害されるおそれがあるため,同項5号の非公開情報(事務支障情報) に該当すると主張する。 ⑵ 前記認定事実等に基づく検討本件条例7条1項4号及び5号の該当性判断については前記2⑴イのとおりであるところ,文書 るため,同項5号の非公開情報(事務支障情報) に該当すると主張する。 ⑵ 前記認定事実等に基づく検討本件条例7条1項4号及び5号の該当性判断については前記2⑴イのとおりであるところ,文書29の記載は,飽くまでも木造天守閣の概算工事費であって確定したものではなく,本件事業が,本件基本計画書の作成後,当初 想定されていた工法やスケジュールの変更を余儀なくされ,竣工期限の延長が一般に公表されていること(前記認定事実⑵エ)からすれば,上記文書が公開されたとしても,その内容が確定したものであると誤解される可能性は低いというべきである。また,乙20号証によれば,被告は,平成31年3月に行われた本件事業についての市民向けの説明会において総事業費の上限 が505億円であることを説明していることが認められ,証拠(甲30,乙24の2)及び弁論の全趣旨によれば,平成28年3月25日付けの本件技術提案書において,文書29の項目と対応した竹中工務店として提案する事業費の内訳が明らかにされ,その内容が公開されていることも認められるが,一件記録を精査しても,それらによって,不当に市民の間に混乱が生じたり, 被告の事務に支障が生じたりしたことはうかがわれない。 以上からすれば,上記文書が公開されることにより,市民の間に混乱が生ずる蓋然性は認められず,公開のもたらす支障が大きいとはいえないから,非公開とすることの合理性は認められず,また,当該情報を確定したものと誤解した市民等が被告や文化庁及び有識者会議構成員に対し問合せや苦情の 申入れ等をし,被告がその対応等に追われることにより,本件事業との関係 で本来行うべき業務が阻害される蓋然性があるとも認められない。 ⑶ 小括したがって,文書29は,非公開情報(意思形成過程 し,被告がその対応等に追われることにより,本件事業との関係 で本来行うべき業務が阻害される蓋然性があるとも認められない。 ⑶ 小括したがって,文書29は,非公開情報(意思形成過程情報,事務支障情報)に該当せず,その他の事由を含めて非公開事由は存在しない。 11 文書30の非公開情報該当性について ⑴ 上記文書の記載内容等について弁論の全趣旨によれば,文書30には,「石垣保存の基本的な考え方」,「天守台石垣保存に関する基本的な考え方」,「天守台石垣保存方針」,「城内石垣全体の保存に向けて」及び「天守閣木造復元事業との関係」の各事項について,被告の検討内容が記載されていることが認められる。 被告は,上記文書につき,これが公開されると,①未確定な情報が確定したものと誤解され,根拠を欠いた批判的な意見が流布されることなどにより,不当に市民の間に混乱を生じさせるおそれがあるため,本件条例7条1項4号の非公開情報(意思形成過程情報)に該当し,また,②有識者から了解が得られていない未確定な内容が流布され,あたかも被告がその内容の既成事 実化を図っていると有識者に誤解される可能性があり,被告と有識者との間の信頼関係が損なわれ,その後の石垣保存に関する有識者の円滑な協議・打合せ等が困難となり,被告の石垣保存の事務に支障が生ずるおそれがあるため,同項5項の非公開情報(事務支障情報)に該当すると主張する。 ⑵ 前記認定事実等に基づく検討 本件条例7条1項4号及び5号の該当性判断については前記2⑴イのとおりであるところ,上記⑴のほか,乙32号証及び弁論の全趣旨によれば,文書30は,被告の職員が平成30年9月10日に文化庁を訪問した際に持参した資料の一部であり,その時点における被告の名古屋城跡の石垣の保存 るところ,上記⑴のほか,乙32号証及び弁論の全趣旨によれば,文書30は,被告の職員が平成30年9月10日に文化庁を訪問した際に持参した資料の一部であり,その時点における被告の名古屋城跡の石垣の保存についての考え方等が記載されているものと認められる。そして,名古屋城跡 の石垣の保存は,石垣部会において主に検討されるべき事項である(前記認 定事実⑴イ)ところ,同部会においては,石垣の上部に江戸時代の石垣が残っていることが判明したことを受け,同年11月,被告の現在の計画は根本的な見直しが必要であるとの意見が出されるなどしており,被告は,文化庁から内堀等の地下遺構の発掘調査や石垣についての更なる確認を求められ,令和元年8月29日に本件事業の竣工期限の延長を公表した際,今後,石垣 部会との関係を構築し,同部会の方針をまとめていく必要があることも明らかにしている(同⑵エ)。 以上からすれば,文書30に記載された被告の検討内容は,本件各処分の3年以上前のものであり,その後,文化庁や石垣部会からの指摘を受けて変更を余儀なくされており,変更を余儀なくされたことは既に公表されている から,これが公開されたとしても,その内容が確定したものであると誤解されて市民の間に混乱が生じたり,その内容が流布され,被告がその内容の既成事実化を図っていると有識者に誤解されたりする蓋然性は,いずれも認められないというべきである。 ⑶ 小括 したがって,文書30は,非公開情報(意思形成過程情報,事務支障情報)に該当せず,その他の事由を含めて非公開事由は存在しない。 12 総括以上のとおり,本件各処分で非公開とされた情報のうち,文書1,文書3~5のうち「本丸御殿の工事について」の項目の文化庁職員の発言が記載さ れた部分, 非公開事由は存在しない。 12 総括以上のとおり,本件各処分で非公開とされた情報のうち,文書1,文書3~5のうち「本丸御殿の工事について」の項目の文化庁職員の発言が記載さ れた部分,文書6~9及び12~15,本件基本計画書の本件避難イメージ図が記載された部分(文書19の一部),同計画書の防災拠点整備場所又は防災拠点設置場所等が記載された部分(文書19~21及び28の各一部),並びに文書29~34及び47~50については非公開事由は存在しないが,その他の文書については非公開事由が存在する。したがって,本件各処分の うち,非公開事由が存在しない文書を非公開とした部分については,その処 分が取り消されるべきであり,現時点でこれを非公開とすべき事情も見当たらないから,行政事件訴訟法37条の3第5項の規定により,処分行政庁に対して上記部分の公開決定を命ずるのが相当である。他方,本件各処分のその余の部分は適法であるから,同部分の取消しを求める請求は理由がないものとして棄却し,同部分の公開決定の義務付けを求める訴えは,同部分を非 公開とする処分が取り消されるべきものでない以上,不適法な訴えとして却下するのが相当である(同法37条の3第1項)。 第4 結論よって,原告の請求は,⑴本件処分1については,同処分のうち,復命書の名古屋市長の発言の一部(文書1)を非公開とした部分,⑵本件処分2につい ては,同処分のうち,①復命書(名古屋城総合事務所長以下5名分)(文書3),復命書(ナゴヤ魅力向上担当部長分)(文書4),及び「2018年7月20日文化庁打ち合わせメモ」と題する書面(文書5)の「本丸御殿の工事について」の項目に記載されている文化庁職員の発言を非公開とした部分,②名古屋市長の発言の一部を非公開とした 及び「2018年7月20日文化庁打ち合わせメモ」と題する書面(文書5)の「本丸御殿の工事について」の項目に記載されている文化庁職員の発言を非公開とした部分,②名古屋市長の発言の一部を非公開とした部分(文書6~9及び12~15),③本件基本計 画書の本件避難イメージ図を非公開とした部分(文書19の一部),④本件基本計画書の防災拠点設置場所又は防災拠点設置場所等の記載を非公開とした部分(文書19~21及び28の各一部),並びに⑤本件基本計画書のZ90の一部を非公開とした部分(文書29),⑶本件処分3については,同処分のうち,①「石垣保存の基本的な考え方と天守台石垣の保存方針(案)について」と題 する書面の一部を非公開とした部分(文書30),及び②名古屋市長の発言の一部を非公開とした部分(文書31~34及び47~50)の取消し,並びに当該部分の公開決定の義務付けを求める限度においてそれぞれ理由があるからこれらを認容し,その余の部分の取消しを求める部分はいずれも理由がないからこれらを棄却し,同部分の公開決定の義務付けを求める訴えは,いずれも不適 法であるからこれらを却下することとし,主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第9部 裁判長裁判官日置朋弘 裁判官佐久間 隆 裁判官若林慶浩 (別紙)関係法令の定め第1 文化財保護法 1 2条(文化財の定義)3項この法律の規定(括弧内省略)中「史跡名勝天然記念物」には、特別史跡名 勝天然記念物を含むものとする。 2 125条(現状変更等の制限及び原状回復の命令)1項史跡名勝天然記念物に関しその現状を変更し,又はその保存に影響を及 勝天然記念物」には、特別史跡名 勝天然記念物を含むものとする。 2 125条(現状変更等の制限及び原状回復の命令)1項史跡名勝天然記念物に関しその現状を変更し,又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは,文化庁長官の許可を受けなければならない。(以下省略) 第2 名古屋市情報公開条例(平成12年条例第65号)(本件条例) 1 1条(目的)この条例は,地方自治の本旨にのっとり,市民の知る権利を尊重し,行政文書の公開を求める権利を明らかにするとともに,情報公開の総合的な推進に関 し必要な事項を定めることにより,名古屋市(括弧内省略)の保有する情報の一層の公開を図り,もって市政に関し市民に説明する責務が全うされるようにし,市民の市政への参加を進め,民主的で公正かつ透明性の高い市政の推進に資することを目的とする。 2 2条(定義) この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。 ⑴ 1号実施機関市長(中略)をいう。 ⑵ 2号省略⑶ 3号公開請求者行政文書の公開を請求するもの,公開を請求しようと するもの又は公開を請求したものをいう。 3 3条(実施機関の責務)実施機関は,この条例の解釈及び運用に当たっては,行政文書の公開を請求する権利を十分尊重するとともに,個人に関する情報がみだりに公にされることのないよう最大限の配慮をしなければならない。 4 5条(公開請求権) 何人も,この条例の定めるところにより,実施機関に対し,行政文書の公開を請求することができる。 5 7条(行政文書の公開の義務)⑴ 1項(抜粋)実施機関は,公開請求があったときは,公開請求に係る行政文書に次の各 号に 施機関に対し,行政文書の公開を請求することができる。 5 7条(行政文書の公開の義務)⑴ 1項(抜粋)実施機関は,公開請求があったときは,公開請求に係る行政文書に次の各 号に掲げる情報(以下「非公開情報」という。)のいずれかが記載されている場合を除き,公開請求者に対し,当該行政文書を公開しなければならない。 1号省略2号法人その他の団体(中略。以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって,公にすることにより, 当該法人等又は個人に明らかに不利益を与えると認められるもの。ただし,次に掲げる情報を除く。 ア法人等又は個人の事業活動によって生じ,又は生ずるおそれがある危害から人の生命,身体又は健康を保護するために,公にすることが必要であると認められる情報 イ法人等又は個人の違法若しくは不当な事業活動によって生じ,又は生ずるおそれがある支障から消費生活等の市民生活又は環境を保護するために,公にすることが必要であると認められる情報ウア又はイに掲げる情報に準ずる情報であって,公にすることが公益上特に必要であると認められるもの 3号公にすることにより,人の生命,身体,財産又は社会的な地位の保 護,犯罪の予防その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがある情報4号市の機関,国,独立行政法人等,他の地方公共団体及び地方独立行政法人の内部又は相互間における審議,検討又は協議に関する情報であって,公にすることにより,率直な意見の交換若しくは意思決定の 中立性が不当に損なわれるおそれ,不当に市民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定のものに不当に利益を与え,若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの5号 率直な意見の交換若しくは意思決定の 中立性が不当に損なわれるおそれ,不当に市民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定のものに不当に利益を与え,若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの5号市の機関,国,独立行政法人等,他の地方公共団体又は地方独立行政法人が行う事務又は事業に関する情報であって,公にすることによ り,次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上,当該事務又は事業の公正又は適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものア監査,検査,取締り,試験又は租税の賦課若しくは徴収に係る事務に関し,正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし,若しくはその発見を困難にするおそれ イ契約,交渉又は争訟に係る事務に関し,国,独立行政法人等,地方公共団体又は地方独立行政法人の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれウ調査研究に係る事務に関し,その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれ エ人事管理に係る事務に関し,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれオ国若しくは地方公共団体が経営する企業,独立行政法人等又は地方独立行政法人に係る事業に関し,その企業経営上の正当な利益を害するおそれ ⑵ 2項 実施機関は,公開請求に係る行政文書の一部に非公開情報が記録されている場合において,非公開情報に係る部分を容易に区分して除くことができ,かつ,区分して除くことにより当該公開請求の趣旨が損なわれることがないと認められるときは,当該非公開情報に係る部分以外の部分を公開しなければならない。 3項省略以上 報に係る部分以外の部分を公開しなければならない。 3項省略以上
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