1 令和6年2月26日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官令和3年(ワ)第3927号(第1事件)、同第25811号(第2事件) 地位確認等請求事件口頭弁論終結日 令和5年7月27日判 決5主 文1 本件訴えをいずれも却下する。 2 訴訟費用は、第1事件及び第2事件を通じ、原告らの負担とする。 事実及び理由第1 請求101 第1事件⑴ 原告らと被告との間で、原告ら各自が被告に対し雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認する。 ⑵ 被告は、原告らそれぞれに対し、1万9059.24USドル及びうち2382.40USドルについては令和2年11月2日から、うち2382. 1541USドルについては同月17日から、うち2382.40USドルについては同年12月2日から、うち2382.41USドルについては同月17日から、うち2382.40USドルについては令和3年1月2日から、うち2382.41USドルについては同月17日から、うち2382.40USドルについては同年2月1日から、うち2382.41USドルにつ20いては同月17日からそれぞれ支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 ⑶ 被告は、原告らそれぞれに対し、令和3年2月1日から本判決が確定する日まで、それぞれの月の分についてその翌月2日限り2382.40USドルを、同翌月17日限り2382.41USドルをそれぞれ支払え。 252 第2事件2 ⑴ 原告らと被告との間で、原告ら各自が被告に対し雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認する。 ⑵ 被告は、原告らそれぞれに対し、5万7177.72USドル及びうち別紙2遅延損害金算定表記載の番号1ないし24の各内金額に対する各遅延損害金起算日か の権利を有する地位にあることを確認する。 ⑵ 被告は、原告らそれぞれに対し、5万7177.72USドル及びうち別紙2遅延損害金算定表記載の番号1ないし24の各内金額に対する各遅延損害金起算日からそれぞれ支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 5⑶ 被告は、原告らそれぞれに対し、令和3年10月1日から本判決が確定する日まで、それぞれの月の分についてその翌月2日限り2382.40USドルを、同翌月17日限り2382.41USドルをそれぞれ支払え。 第2 事案の概要等1 事案の概要10本件は、被告において客室乗務員として勤務をしていた原告らが、被告に対して、被告が行った整理解雇は無効である等と主張し、①雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認、②原告らが労務を提供していないのは被告の責めに帰すべき事由によるものであると主張し、雇用契約に基づく賃金として、民法536条2項に基づき、賃金及びこれに対する各支払期日の翌日から支払15済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲の各証拠(証拠番号に枝番を含む場合、特に枝番を掲記しないときは、全ての枝番を含む。また、〔 〕内の数字は関係証拠の該当頁を指す。以下同じ。)及び弁論の全趣旨によって容易に認められる事実。なお、証拠等の掲記のない事実は、当事者間に争いが20ない。)⑴ 当事者等ア 被告は、米国イリノイ州シカゴに本社を置く国際旅客事業を営む航空会社である。 イ 原告らは、遅くとも平成15年までに、雇用条件等に関する合意書(「Pre-25Hire Agreement Regarding Terms and Conditions of Employment」と題3 する 15年までに、雇用条件等に関する合意書(「Pre- HireAgreementRegardingTermsandConditionsofEmployment」と題 する書面。)又は同書面と同内容の契約書(以下、これらを併せて「本件合意書」という。)に署名するか、被告から当初成田以外のベースを指定され、その後成田ベースに再指定を受けた際に、再指定レター(「NoticetoUnitedAirlinesFlightAttendantsTransferringToNarita, JapanDomicile」と題する書面。以下「本件再指定レター」という。)に署名し た(乙A1、9、弁論の全趣旨)。 ウ原告らはいずれも、被告と雇用契約を締結していたが、被告は、新型コロナウイルス感染症による航空需要の減少を理由として、成田ベース等を閉鎖することとし、閉鎖対象ベースに指定されていた客室乗務員のうち、残存するベースの就労資格がない者は解雇することとし、令和2年9月2 9日頃、閉鎖する成田ベースに指定されていた原告らに対し、原告らと被告との間の雇用関係が同年10月1日付けをもって解消される旨通知した(甲A1、弁論の全趣旨。以下「本件解雇」という。)。 ⑵ 本件合意書には、以下の定めがある(乙A1)。 本契約は、被告と原告らとの間で締結され、被告が原告らに対して客室 乗務員としての雇用を提示する条件に関する契約である(頭書き)。 ア 1項シカゴにおける訓練が終了した後、被告は原告らを客室乗務員として雇用する。 イ 2項 原告らは、被告の機内部(米国イリノイ州シカゴ所在)の客室乗務員として勤務するものであり、被告の日本支社に雇用されるものではない。 原告らの業務は、主に米国にお て雇用する。 イ 2項20原告らは、被告の機内部(米国イリノイ州シカゴ所在)の客室乗務員として勤務するものであり、被告の日本支社に雇用されるものではない。 原告らの業務は、主に米国において登録された被告の航空機が空中で運行する間に遂行される。ただし、一定の最小限の業務(航空機が成田に着陸後又は離陸前に機内で行う業務を含むが、これに限られない。)は、成25田において遂行される。 4 また、原告らの業務には、出発前の乗務員ブリーフィング、機内安全装備の確認、乗客の搭乗の補助、到着後の乗客の降機の補助及び移民当局における乗務員の通関手続が含まれるが、これらの限定的な業務の付随的な性質からすると、原告らは、米国籍の航空機内かつ日本国外で業務を遂行しており、米国以外のいかなる国でも雇用又は勤務しているとはみなされ5ない。原告らは、成田ベースに所属するものとされているが、これは各原告が業務を遂行するフライト群が成田を発着することを意味し、原告らに対し日本国内に居住することを求めるものではない。 ウ 3項原告らは、被告の客室乗務員として、客室乗務員組合(米国法に基づい10て被告の客室乗務員の唯一の代表となることが認定されている労働団体。 以下「AFA」という。)が代表する労働者群に含まれることとなる。原告らの雇用条件は、被告とAFAとの間の労働協約(以下「AFA協定」という。)に規定され、これに準拠する。 エ 4項15原告らは、180日間の試用期間終了後、AFA協定の規定に従った解雇又は一時解雇の対象となる。 オ 5項原告らの雇用条件は、鉄道労働法及びAFA協定を含む、適用ある米国法に排他的に準拠する(以下「本件準拠法条項」という。)。 20カ 6項原告らの雇用条件に何らかの意味で関連する全 オ 5項原告らの雇用条件は、鉄道労働法及びAFA協定を含む、適用ある米国法に排他的に準拠する(以下「本件準拠法条項」という。)。 20カ 6項原告らの雇用条件に何らかの意味で関連する全ての請求、不服、訴因、紛争及び訴訟は、AFA・ユナイテッドの不服申立手続及び労使関係調整委員会の管轄(この管轄は米国鉄道労働法及びAFA協定が規定する強制管轄である)、又は米国鉄道労働法及びAFA協定によって許容される場25合には、米国及びイリノイ州の権限ある裁判所の管轄に専属的に帰属する。 5 AFA不服申立手続に関する詳細についてはAFA協定26条から27条を参照のこと(以下、6項全体を「本件紛争解決条項」といい、6項前段の不服申立手続及び労使関係調整委員会の専属的管轄を定める部分を「本件紛争解決条項①部分」と、6項後段の米国及びイリノイ州の権限ある裁判所の専属的管轄を定める部分を「本件紛争解決条項②部分」とい5う。)。 キ 原告らは、イリノイ州シカゴに本社を置く被告機内部に雇用されることになること、並びに原告らの雇用条件に適用される準拠法がイリノイ州法及び米国法であり、日本法又はその他のいかなる法域の法でもないことを理解し、これに同意する。被告の雇用の提示の約因として、原告らの署名10は、原告らがこれらの雇用条件のそれぞれ及びすべてを受領し、読了し、これに同意したことを認めるものである(後書き)。 ⑶ 本件再指定レターには、以下のとおり、上記⑵オないしキ同様の定めがある(乙A9)。 日本・成田ドミサイルに再指定される客室乗務員は、引き続き、AFAに15代表され、給与・服務規定及び福利厚生はAFA協定に準拠する。 したがって、再指定される客室乗務員の雇用条件は、鉄道労働法を含む、適用あるイリノイ州法及び米国法に 務員は、引き続き、AFAに15代表され、給与・服務規定及び福利厚生はAFA協定に準拠する。 したがって、再指定される客室乗務員の雇用条件は、鉄道労働法を含む、適用あるイリノイ州法及び米国法に排他的に準拠する。当該客室乗務員の雇用に何らかの意味で関連する全ての不服、訴因、請求、紛争及び訴訟は、AFA・ユナイテッドの不服申立手続及び労使関係調整委員会の管轄、又は米20国鉄道労働法及びAFA協定によって許容される場合には、米国及びイリノイ州の権限ある裁判所の管轄に専属的に帰属する。(中略)原告らの署名は、原告らが、上記概要が記された、成田ドミサイルに再指定される客室乗務員に対して適用ある条件を検討し、これに同意したこと、及び本通知の写しを受領したことを確認するものです。 25⑷ AFA協定の定め6 AFA協定は平成28年に改訂されているところ、本件合意書で引用されているAFA協定旧17条は現行14条に、旧26条は現行23条に、旧27条は現行24条に相当する。これらの規定の内容は以下のとおりである。 ア AFA協定旧26条及び現行23条(乙A2)旧26条は、自己に影響を与える会社の行為について不服がある客室乗5務員は、これが懲戒処分に起因する場合を除き、まずは直属の上司と協議を行い、直属の上司の決定に不満がある場合には更に不服申立てを行うこととなる旨を規定するとともに、最終的な異議の申立ては、ユナイテッド・エアーラインズ客室乗務員システム調整委員会(以下「本委員会」という。)に対して付託される旨を規定する(26条C1ないし3)。 10現行23条においては、本委員会に不服申立てを行う前の不服申立先に変更はあったものの、最終的に紛争が解決できない場合には、本委員会に不服申立てを行うこととされている点に変更は ないし3)。 10現行23条においては、本委員会に不服申立てを行う前の不服申立先に変更はあったものの、最終的に紛争が解決できない場合には、本委員会に不服申立てを行うこととされている点に変更はない(23条C1、2)。 平成28年の改訂で、試用期間を満了した客室乗務員は、正当な事由がある場合を除き、懲戒又は解雇されないとの現行23条A項8号が新設さ15れた(以下「正当事由条項」という。)。 イ AFA協定旧27条及び現行24条(乙A3)旧27条は、①本委員会は、米国鉄道労働法204条2項の規定に従い、AFA協定の条項…に基づき生じる紛争又は不服であって、旧26条に定める紛争及び不服の解決に係る全ての手順が尽くされた後に適切に付託20されたものを調整及び判断する目的で設置される(27条A)、②本委員会の構成員はAFAから選任された者、被告から選任された者(いずれも1名又は2名)により構成されるが(27条B)、可否同数の場合には中立仲裁人(AFAと被告が合意する仲裁人名簿〔11名〕から選出される者)も構成員に加わる(27条L)、③本委員会は、労働者と会社との間25で生じるAFA協定の条項の解釈若しくは適用から生じる紛争について7 管轄権を有する(27条D)、④本協定の対象となる従業員等により適切に付託された紛争が、本協定に定められた条件に従って過去に解決されていなかった場合には、本委員会は当該紛争を審理する(27条E)、⑤本委員会は、口頭審理等を経たうえで、全委員の過半数の投票をもって決定を行う(27条H、J)、⑥本委員会に適切に付託することができる全て5の事件における本委員会の決定は最終的かつ当事者を拘束する(27条K)と規定している。 現行24条においては、当初から本委員会の構成員にはAFAから選任さ 会に適切に付託することができる全て の事件における本委員会の決定は最終的かつ当事者を拘束する(27条K)と規定している。 現行24条においては、当初から本委員会の構成員にはAFAから選任された者、被告から選任された者(いずれも1名又は2名)に加えて、中立仲裁人も加わることとされたが(24条B)、それ以外の上記の点には 変更はない(24条A(旧27条A)、C(旧27条D)、D(旧27条E)、F(旧27条H)、I(旧27条J)、J(旧27条K))。 ウ AFA協定旧17条A項及び現行14条A項(乙A20)旧17条及び現行14条は、①新たに雇用された客室乗務員については、ラインへの割り当ての際に、客室乗務員の訓練開始日がシニオリティの日 付となるように調整される(1号)、②人員削減のための一時帰休における雇用維持等は、客室乗務員が関連する業務を遂行するに足る資格を有することを条件として、シニオリティによって決定される(3号a)と規定している。 ⑸ 米国鉄道労働法の定め(乙A4、職権調査の結果) 米国鉄道労働法では、労働者又は労働者グループと航空運送事業者との間における労働条件に関する契約の解釈適用から生じる紛争は、当該紛争処理のために指定された運送事業者の最高執行責任者を含んで処理されなければならないが、当該方法で調整に至らない場合に、当該紛争は、両当事者又は一方当事者による申立てにより、当該紛争に係る事実に関する完全な陳述及 び裏付けとなる情報とともに、当該紛争を適切な調整委員会に付託すること ができるとされている。そして、労使関係、グループ又は地方調整委員会が、同法に基づいて合法的に行使する権限を越えない範囲において調整委員会を設立することは全ての運送事業者及びその労働者の義務とされ、かか きるとされている。そして、労使関係、グループ又は地方調整委員会が、同法に基づいて合法的に行使する権限を越えない範囲において調整委員会を設立することは全ての運送事業者及びその労働者の義務とされ、かかる調整委員会は労働者(労働者の一定のクラス又は複数のクラス)と単一の運送事業者又は運送事業者のグループ若しくはシステム間の合意によって設立され5ると定められている。(45 U.S.C. §184、サブチャプター2。 米国鉄道労働法204条)⑹ 排他的交渉代表制度(乙A5)NLRA(National Labor Relations Act)9条(a)は、「団体交渉のために、同目的のために適切な単位の被用者の過半数によって指名又は選出さ10れた代表者は、…雇用条件に関する団体交渉の目的について、その単位の全ての被用者の排他的な代表となる」という排他的交渉代表制度を定めており、交渉代表に選出された多数組合は、その組合を支持しない被用者も含めて単位内の全被用者のために団体交渉を行う権限を有し、同組合が使用者との間で労働協約を締結すれば、単位内の全被用者に適用される。その裏面として、15排他的交渉代表となった組合は、非組合員や他組合員を含む単位内の全ての被用者に対し公正代表義務を負う。航空会社にも適用される米国鉄道労働法は、NLRAと同様に排他的交渉代表制度を定めている。 3 争点⑴ 本件訴えは仲裁法14条1項本文に基づき却下されるべきか(本件紛争解20決条項①部分の有効性)ア 仲裁合意の成否及び効力イ 仲裁法附則4条適用の有無⑵ 当裁判所が本件訴えにつき管轄権を有するか(本件紛争解決条項②部分の有効性)25⑶ 本件解雇の有効性9 4 争点⑴に対する当事者の主張(争点⑵及び⑶についての当事者の主張は省 ⑵ 当裁判所が本件訴えにつき管轄権を有するか(本件紛争解決条項②部分の有効性) ⑶ 本件解雇の有効性 4 争点⑴に対する当事者の主張(争点⑵及び⑶についての当事者の主張は省略する。)⑴ 争点⑴ア(仲裁合意の成否及び効力)について(仲裁合意の準拠法が日本法であることを前提とした当事者の主張は省略する。)(被告の主張) ア原告らは、本件準拠法条項のとおり、雇用条件は米国法に準拠する旨を合意しており、本件紛争解決条項は本件合意書又は本件再指定レターの一部であるから、仲裁合意の成否及び効力についての準拠法は米国法である。 イ AFA協定は、米国法に基づき原告らを含む客室乗務員を排他的に代表するAFAが被告と締結したもので、同協定の改訂は別段の定めがない限 り改訂時に既に被告に雇用されている全ての客室乗務員に適用されるから、当然に原告らにも適用される。 AFA協定は米国法上有効に成立し、AFA協定で被告と客室乗務員との間の同協定の解釈、適用から生じる紛争については本委員会において最終的かつ拘束力を有する判断を示すとされている。 原告らは本件訴訟でAFA協定に基づいて被告が行った本件解雇の効力を争っており、それはAFA協定の解釈適用に関する紛争であって、本件紛争解決条項①部分は、本件解雇に関する紛争についての仲裁合意に該当する。 ウよって、原告らの本件訴えは仲裁法14条1項本文により却下されなけ ればならない。 なお、本件において仲裁合意は有効に成立しているから仲裁法14条1項1号に該当せず、また原告らは米国で仲裁手続を行うことができるから同項2号にも該当しない。 (原告らの主張) ア本件では仲裁合意の成否及び効力の準拠法に関して明示的な合意はない に該当せず、また原告らは米国で仲裁手続を行うことができるから同項2号にも該当しない。 (原告らの主張)25ア 本件では仲裁合意の成否及び効力の準拠法に関して明示的な合意はない10 ところ、被告が客室乗務員を募集していた際の広告内容や労務提供の実態等からすれば、原告らと被告との間には日本法を準拠法とする黙示の合意があったといえる。仮に黙示の合意が認められないとしても、原告らが雇用契約の申込みの通知を発した行為地(日本又は日本人以外の原告の場合は当該居住国)の法が準拠法となるから(法例7条1項2項、9条2項)、5日本法が準拠法である 。 イ 仮に、準拠法が米国法であったとしても、原告らに仲裁付託の意思がなく、当事者間の仲裁付託の意思の合致がないから、そもそも当事者間に合意は成立していない。 ウ 仮に当事者間に合意が成立しているとしても、そもそも本件紛争解決条10項は、本委員会の判断に終局的に服することが明確にされていないこと、本委員会の裁定主体には第三者性が認められないこと等からすれば、当該合意は「解決を仲裁人にゆだね、かつ、その判断に服する合意」に当たらず、本件紛争解決条項は仲裁合意に該当しない。 また、次の理由から、本件紛争については、当該合意の対象外であって、15少なくとも本件紛争に関する仲裁合意は成立していない。 ① 本件紛争解決条項は労働者が鉄道労働法及びAFA協定の適用を受けることを前提としているところ、原告らは専ら米国発着便に乗務していなかったため、鉄道労働法及びAFA協定の適用を受けないから、適用の前提を欠く。 20② 本件紛争は整理解雇の可否が問題となっているところ、本件紛争解決条項①部分の「雇用条件」に「関連する」紛争に雇用関係の「終了」に関する紛争は含まれない。 ③ 、適用の前提を欠く。 ② 本件紛争は整理解雇の可否が問題となっているところ、本件紛争解決条項①部分の「雇用条件」に「関連する」紛争に雇用関係の「終了」に関する紛争は含まれない。 ③ 本件紛争解決条項①部分は、AFA協定の解釈、適用を唯一の根拠とする紛争を対象とするところ、原告らは、本件訴えで労働契約法(以下 「労契法」という。)16条違反を主張しているため、本件訴えはAF A協定の解釈、適用を唯一の根拠とする紛争ではないから本件紛争解決条項①部分の対象に含まれない。 ④ 米国法上、労働協約の解釈適用に関する紛争を軽微な紛争として仲裁手続により解決すべきとされているところ、本件紛争は、原告らの重大な権利に関わり高度の公益性を有する重大な紛争であって、軽微な紛争 には該当しない。 ⑤ 本件紛争解決条項①部分を締結した後に正当事由条項が新設されたから、正当事由条項に関する紛争を含む仲裁合意は成立していない。 エ仮に仲裁合意が成立しているとしても、①同合意については、被告の圧倒的な交渉力が認められるなかで締結された上、実質的に原告らの訴 権を剥奪するものであること、②原告らは、米国在留資格を有していない上に、経済的苦境にある弱者であるため、原告らを保護する必要性が強く認められること、③仲裁人は被告とAFAにより選任され原告らが選任するものではないこと、④原告らが仲裁手続を行うことができないこと等からすれば、仲裁合意は公序に反する。よって、本件紛争解決条 項①部分は無効であり、仲裁法14条1項1号に該当する。 また本件合意書を締結するに至る経緯及びその内容等に鑑みれば、米国法における錯誤、強迫、不当威圧、不実表示、非良心性に該当するから本件紛争解決条項は無効、取消可能又は適用不可となる。 該当する。 また本件合意書を締結するに至る経緯及びその内容等に鑑みれば、米国法における錯誤、強迫、不当威圧、不実表示、非良心性に該当するから本件紛争解決条項は無効、取消可能又は適用不可となる。 さらに、米国連邦最高裁判所によれば、AFAが公正代表義務に違反20した場合には訴訟提起をすることが可能であるところ、AFAは公正代表義務に違反しているから本件解雇に係る紛争について訴訟を提起することは可能である。 ⑵ 争点⑴イ(仲裁法附則4条適用の有無)について(原告らの主張)25仮に正当事由条項を含む仲裁合意が成立しているとしても、正当事由条項12 が平成28年に新設されたことからすれば、当該仲裁合意が成立したのも平成28年であって、仲裁法附則4条の適用がある。 (被告の主張)本件紛争解決条項①部分は遅くとも平成15年までには締結されており、仲裁法の施行(平成16年3月1日)の前に成立したものであるから仲裁法5附則4条は適用されない。 第3 当裁判所の判断1 争点⑴ア(仲裁合意の成否及び効力)について⑴ 準拠法前記第2の2⑴イ、⑵、⑶のとおり、本件合意書又は本件再指定レターに10は本件紛争解決条項①部分が含まれているところ、①仲裁合意がされたといえるか、②仮に仲裁合意がされたとして、本件訴えに係る紛争がその仲裁合意の対象範囲に含まれ、その効力が原告らに及ぶかが問題となる。 まず、その前提として仲裁契約の成立及び効力の準拠法について検討する。 ア 仲裁は、当事者がその間の紛争の解決を第三者である仲裁人の仲裁判断15に委ねることを合意し、当該合意に基づいて、仲裁判断に当事者が拘束されることにより、訴訟によることなく紛争を解決する手続であるところ、このような当事者間の合意を基礎とする紛争解決 の仲裁判断15に委ねることを合意し、当該合意に基づいて、仲裁判断に当事者が拘束されることにより、訴訟によることなく紛争を解決する手続であるところ、このような当事者間の合意を基礎とする紛争解決手段としての仲裁の本質に鑑みれば、仲裁契約の成立及び効力については、法の適用に関する通則法7条により、第一次的には当事者の意思に従ってその準拠法が定められ20るべきものと解するのが相当である。そして、仲裁契約中で右準拠法について明示の合意がされていない場合であっても、仲裁地に関する合意の有無やその内容、主たる契約の内容その他諸般の事情に照らし、当事者による黙示の準拠法の合意があると認められるときには、これによるべきである(最高裁平成6年(オ)第1848号同9年9月4日第一小法廷判決民集2551巻8号3657頁参照)。 13 イ 本件は、原告らの雇用条件が米国法にのみ準拠する旨明示的に定められている(本件準拠法条項)から、本件合意書又は本件再指定レターの一部として定められている本件紛争解決条項①部分が仲裁合意に該当するか及びその有効性についても米国法に準拠して判断するのが相当である。 原告らは、本件準拠法条項の雇用条件とはAFA協定と同義であって、5同条項は、AFA協定の準拠法を指定したにすぎない旨主張するが、被告とAFAとの間で締結しているAFA協定の準拠法について、被告と個々の客室乗務員との間の契約で指定したと解するのは不合理であり、当事者の合理的な意思解釈として、雇用契約の雇用条件に関する準拠法とこれに伴う紛争解決に関する本件紛争解決条項の準拠法とを定めたと解するの10が相当であるから、原告らの主張は、採用できない。 原告らのその余の主張も上記準拠法についての認定判断を左右するに足りない。 ⑵ 仲裁合意の成否 件紛争解決条項の準拠法とを定めたと解するの10が相当であるから、原告らの主張は、採用できない。 原告らのその余の主張も上記準拠法についての認定判断を左右するに足りない。 ⑵ 仲裁合意の成否及び効力ア 本件合意書及び本件再指定レターには、雇用条件はAFA協定を含む適15用ある米国法によるべき旨定められているのは前記認定のとおりであり(前記第2の2⑴イ、⑵オ、⑶)、加えて、本件紛争解決条項①部分には、原告らの雇用条件に何らかの意味で関連する全ての請求、不服、訴因、紛争及び訴訟は、AFA・ユナイテッドの不服申立手続及び労使関係調整委員会の管轄等に専属的に帰属する旨規定されているから、原告らは、雇用20条件及びこれに関連する紛争等についてAFA協定の適用を受けることについて明示的に同意していたというべきである。 イ 次にAFA協定の内容について検討すると、AFA協定は、米国鉄労働法の規定(航空事業者について雇用契約の解釈、適用に関する紛争について解決するための調整委員会を使用者と労働者間の合意に基づき設置する25ことを義務づけるもの)を受けて、本委員会の設置について定めており、14 具体的には、同協定現行24条によれば、被告及びAFAがそれぞれ選任した委員に加え、被告とAFAが合意する仲裁人名簿から選出される委員で構成される本委員会が、従業員又はAFAと被告との間の不服又はAFA協定の解釈、適用から生じる紛争について審理を行い、その決定が最終的かつ当事者を拘束するとされていると認められる。 5このようなAFA協定の内容からすると、原告ら及び被告は紛争の解決を米国鉄道労働法の規定に従って設けられた第三者である本委員会に委ねる旨合意したものであるから、本件紛争解決条項①部分によって米国法上有効な仲裁合意が成立 内容からすると、原告ら及び被告は紛争の解決を米国鉄道労働法の規定に従って設けられた第三者である本委員会に委ねる旨合意したものであるから、本件紛争解決条項①部分によって米国法上有効な仲裁合意が成立していると解すべきである。また当該合意は、将来において生ずる一定の法律関係に関する民事上の紛争の解決を、二人以10上からなる本委員会に委ね、かつその判断に服する旨合意するものであるから、仲裁法2条1項の仲裁合意に該当するものといえる。本件紛争解決条項①部分について、仲裁合意に該当しないとの原告らの主張は採用できない。 ウ 次に本件紛争解決条項①部分によって、仲裁に付されるべきとされてい15る紛争の範囲について検討すると、現行24条Cによれば、当該紛争の範囲は、AFA協定の解釈又は適用に関する紛争であるとされていることが認められる。 原告らは被告が行った解雇は無効である旨主張しており、原告らが「業務を遂行するに足る資格を有する」か否か(同協定14条A項3号a)、20本件解雇について「正当な事由」があるか否か(同23条A項8号)が問題となることが想定されるから、本件訴えの対象となる紛争はAFA協定の解釈又は適用に関する紛争に該当するといえる。したがって、本件訴えの対象となる紛争は、有効な仲裁合意の対象となる紛争といえる。 ⑶ 原告らの主張に対する検討 25ア 原告らは、原告らには仲裁付託の意思もなく意思の合致がない旨主張す15 るが、原告らは本件紛争解決条項を含む本件合意書又は本件再指定レターに署名しており(本件合意書には、「被告の雇用の提示の約因として、原告らの署名は、原告らがこれらの雇用条件のそれぞれ及び全てを受領し、読了し、これに同意したことを認めるものである」旨、本件再指定レターには、原告らの署名は、原告 、「被告の雇用の提示の約因として、原告らの署名は、原告らがこれらの雇用条件のそれぞれ及び全てを受領し、読了し、これに同意したことを認めるものである」旨、本件再指定レターには、原告らの署名は、原告らに「適用ある条件を検討し、これに同意し5たこと、及び本通知の写しを受領したことを確認する」旨記載されている。)、原告らと被告との間で仲裁付託の意思の合致があったというべきである。 なお、原告らは、訳文を事前に配布した上での被告による米国鉄道労働法を含む米国の労働規制、雇用慣行、仲裁と訴訟の適用範囲等について説明がされていないから本件紛争解決条項の成立が否定される旨主張して10いると解する余地があるが、上記説明を受けることが有効な仲裁合意の成立要件となるとは解されない。 イ①原告らは専ら米国発着便に乗務していなかったため、米国鉄道労働法及びAFA協定の適用を受けないから、それらが適用されることを前提とする仲裁合意は成立していない旨主張する。 15しかしながら、本件合意書及び本件再指定レターは、特段限定することなく米国鉄道労働法及びAFA協定の適用を明記しているところであって、原告らの主張は採用できない。原告らは、それ以外にも米国鉄道労働法は域外適用されないとして、成田ベースであった原告らに同法は適用されない旨主張するが、少なくとも原告らが本件紛争解決条項を含20む本件合意書ないし本件再指定レターに署名することによって、AFA協定による有効な仲裁合意を締結することが妨げられることはないというべきである。 したがって、米国鉄道労働法の規定が原告らに適用されるかどうかにかかわらず、原告らはAFA協定の適用を受けるものであって、原告ら25の主張はその前提を欠くものである。 16 原告らは、本件紛争解決条項①部分 働法の規定が原告らに適用されるかどうかにかかわらず、原告らはAFA協定の適用を受けるものであって、原告ら25の主張はその前提を欠くものである。 16 原告らは、本件紛争解決条項①部分の「雇用条件」に「関連する」紛争に雇用関係の「終了」に関する紛争は含まれないから、整理解雇を問題とする本件紛争については仲裁合意が成立したということはできない旨主張する。 しかしながら、本件紛争解決条項①部分は原告らの「雇用条件に何ら5かの意味で関連する全ての請求」等を対象としているところ、その文言の合理的な解釈からすると、雇用条件には雇用関係の終了に関する事項が含まれると解するのが相当である。また、本件紛争解決条項は「何らかの意味で関連する全ての請求」として、その対象を広く捉える趣旨がうかがわれる一方で、本件合意書に雇用関係の終了に関する請求を対象10とする別段の定めがないこと(乙A1)も踏まえると、当事者の合理的な意思解釈としては、本件紛争解決条項①部分には雇用関係の終了に関する紛争も含まれると解するのが相当である。さらには、これまで非米国居住の成田ベースの客室乗務員などの解雇問題についても、少なからず本委員会による仲裁の対象として処理されてきたようであり(乙A1159)、このことは、同様の問題の解決について、AFA協定に基づく本委員会による紛争解決のルールによることが労使間の共通の認識になっていたことを裏付ける一事情というべきである。 これらを踏まえると、原告らの主張は採用できない。 原告らは、Hawaiian Airlines, Inc. v. Norris, 512 U.S. 246, 114 S. Ct.202239, 129 L. Ed. 2d 203 (1994)、Rabe v. United Airl es, Inc. v. Norris, 512 U.S. 246, 114 S. Ct.202239, 129 L. Ed. 2d 203 (1994)、Rabe v. United Airlines, Inc., 636 F.3d866 (7th Cir. 2011)といった裁判例を挙げた上で、本件紛争解決条項①部分は、AFA協定の解釈、適用を唯一の根拠とする紛争を対象とするところ、原告らは、本件訴えで労契法16条違反を主張しているため、本件訴えはAFA協定の解釈、適用を唯一の根拠とする紛争ではないか25ら本件紛争解決条項①部分の対象に含まれない旨主張する。 17 ここで原告らが挙げる裁判例について検討する。前者は、労働者が使用者(航空会社)の行った解雇は公序及びハワイ州の公益通報者保護法に違反するものであった旨主張して、会社を訴えたものである。連邦最高裁判所は、①鉄道労働法による必要的仲裁の仕組みが専占するのは、労働協約の解釈・適用が問題となる紛争(軽微な紛争)に限られるとこ5ろ、労働協約から独立した権利の請求は当該仕組みによって専占されない、②原告の請求は州の不法行為法に基づくものであって、使用者が何らかの報復目的をもって解雇をしたかとの純粋な事実の審理のみを必要とするものであるから、当該仕組みによって専占されることはないと判断した。(甲A72)10後者は、労働者が、使用者(航空会社)が行った解雇は国籍、年齢、性的指向による差別によるものである旨主張して、このような差別を禁止する公民権法(連邦法)に基づき、同法に定める救済を求めて、会社を訴えたものである。第7巡回区控訴裁判所は、①原告の主張が労働協約違反に基づく請求であれば、原告の請求は当該仕組みによって専占さ15れるものの、原告は労働協約に 同法に定める救済を求めて、会社を訴えたものである。第7巡回区控訴裁判所は、①原告の主張が労働協約違反に基づく請求であれば、原告の請求は当該仕組みによって専占さ15れるものの、原告は労働協約に基づく請求ではなく、差別を禁止する連邦法に準拠する個々の雇用契約に基づく請求をしている、②労働協約を解釈することなしに解決不可能なものであれば、原告の請求は当該仕組みによって専占されるが、原告の請求は、使用者のマネージャーがどのような理由から原告との雇用契約を終了させたかであり、原告の主張か20らすると労働協約の解釈は必要とならず、原告の請求は当該仕組みによって専占されることはないと判断した。(甲A73)本件において、原告らが労契法16条を主張しているとしても、本件合意書ないし本件再指定レターにおける合意内容からすれば、⑵で述べたとおり、被告の行った解雇が無効となるかを判断するにあたってはA25FA協定の内容を考慮することが必要になり、その際に、必然的にAF18 A協定の解釈、適用が問題になると解されるのであるから、本件訴えの対象となる紛争はAFA協定の解釈、適用に関する紛争であると解するのが相当である。そして、このような紛争について本件紛争解決条項による解決に係らしめるとするのが本件合意書ないし本件再指定レターに合意した当事者の合理的意思解釈として相当というべきである。いずれ5も労働協約の解釈、適用が問題とならない前記各裁判例と本件とは事案を異にするというべきであって、原告らの主張は採用できない。 原告らは、本件解雇に係る紛争は軽微な紛争ではないから本件紛争解決条項①部分の範囲に含まれない旨主張するが、現存する協約上の権利の解釈又は適用から生じる紛争は軽微な紛争とみなされる(甲A55、10乙A4)ところ、本件 紛争は軽微な紛争ではないから本件紛争解決条項①部分の範囲に含まれない旨主張するが、現存する協約上の権利の解釈又は適用から生じる紛争は軽微な紛争とみなされる(甲A55、10乙A4)ところ、本件がAFA協定の解釈、適用に関する紛争であることは前記のとおりである上、原告らが主張するような当事者に与える不利益等により軽微な紛争に当たるか否かが判断されるものともいえない。 また、これまで非米国居住の成田ベースの客室乗務員などの解雇問題についても、少なからず本委員会による仲裁の対象として処理されてきた15ようであることも前記のとおりである。 これらを踏まえると、本件解雇に関する紛争が本件紛争解決条項①部分に含まれない旨の原告らの上記主張は採用できない。 原告らは本件紛争解決条項①部分を締結した後に正当事由条項が新設されたから、正当事由条項を含む仲裁合意は成立していない旨主張す20るが、原告らは、包括的に雇用条件はAFA協定によるべきことに同意しており(前記第2の2⑴イ、⑵ウ、オ、⑶)、正当事由条項がその後に新設されたことをもって、本件解雇に係る紛争が本件紛争解決条項①部分の合意に含まれないとは解されない。よって、原告らの上記主張は採用できない。 25ウ原告らは、原告らは米国において仲裁手続を行うことができず、米国19 での手続は原告らの訴権を実質的に剥奪するものであるから、本件紛争解決条項は無効である、仲裁法14条1項2号に該当する旨主張する。 しかしながら、客室乗務員個人が本委員会に対して仲裁を申し立てることはできる(乙A3(AFA協定24条C、D項、旧27条D、E項)、19。また被告もその点を認めている。)から、原告らは本委員会に仲5裁の申立てをすることができるといえる。よって、原告らの主張は採用できな 乙A3(AFA協定24条C、D項、旧27条D、E項)、19。また被告もその点を認めている。)から、原告らは本委員会に仲5裁の申立てをすることができるといえる。よって、原告らの主張は採用できない。 原告らは、米国の裁判例(Sayles v. DirectSat USA, LLC,, No. 10 C2879, 2011 WL 382875 (N.D. Ill. Feb. 3, 2011))を引用した上で、被告の圧倒的な交渉力が認められるから本件紛争解決条項が無効である旨主10張するが、同裁判例は、法廷地選択条項(管轄)が問題となった事案(甲A76)であって、仲裁合意を問題とする本件とは事案を異にするものであり、本件に適用されるとは解されない。加えて、本件紛争解決条項は、米国鉄道労働法によって設置が義務付けられた労使関係調整委員会による仲裁手続によることを定めるものであって、原告らが主張する事15情を踏まえても、被告に圧倒的交渉力が認められることにより無効になるものとは認められず、原告らの上記主張は採用できない。 また、同様に米国法における錯誤、強迫、不当威圧、不実表示、非良心性に該当するとの原告らの主張も採用できない。 原告らは、①米国在留資格を有しておらず経済的苦境にあるなどの弱20者である原告らを保護する必要性が強く認められること、②仲裁人は被告とAFAにより選任され原告らが選任するものではないこと、③原告らが仲裁手続を行うことができないこと等からすれば、仲裁合意は公序に反し無効であると主張する。 そこで検討するに、①については、被告は、原告らが希望する場合に25は、本委員会における口頭審理への出席について、原告らの負担を軽減20 するために、航空券の手配を含む合理的な対応する用意がある旨を表明 に、①については、被告は、原告らが希望する場合に25は、本委員会における口頭審理への出席について、原告らの負担を軽減20 するために、航空券の手配を含む合理的な対応する用意がある旨を表明し、また本委員会においてはオンライン会議による審理をする例もあることに照らしても(乙A17)、本件紛争解決条項を無効とする事情とはいえない。②については、会社と労働組合が相互に仲裁人を選任する手続は一般的なものと認められる上、排他的交渉代表たるAFAは、非5組合員や他組合員を含む単位内の全ての被用者に対し公正代表義務を負っており(前記第2の2⑹)、また選任された個々の仲裁人も公平に裁定することが義務付けられていると解されること(乙A37〔33〕)からして、仲裁人をAFAが選任し原告らが選任できないことをもって公序に反する旨の原告らの主張は採用できない。③については、前記10のとおりであり、理由がない。 また、原告らは仲裁合意が仲裁法施行前に成立していたとしても、労務提供地が日本であり、仲裁地である外国の法によったのでは労働者保護が不十分であるときには仲裁法附則4条等の趣旨からすれば、仲裁合意が無効になる旨主張する。しかしながら、同条の趣旨は、当事者間の15情報の質及び量の格差等を踏まえて労働者保護のために同法施行後に成立した仲裁合意について当分の間無効とする一方、何らの効力の制限もないとして施行前に仲裁合意を締結した当事者に対しその効力を遡及的に制限することは妥当ではないためにその範囲を限定したものと解されるから、同条の趣旨に照らしても、仲裁法施行前に成立した仲裁合意(本20件紛争解決条項①部分)は有効である。 エ原告らは、AFAが公正代表義務に反していると主張し、原告らが訴訟を提起することが可能である旨主張する しても、仲裁法施行前に成立した仲裁合意(本 件紛争解決条項①部分)は有効である。 エ原告らは、AFAが公正代表義務に反していると主張し、原告らが訴訟を提起することが可能である旨主張するところ、この点については次の事実が認められる。 ① AFAは、令和2年に成田ベース等の客室乗務員を代表して、被告 はロンドンのベースに当該客室乗務員のために欠員を作る義務を負っ ていた旨を主張して、本委員会に仲裁の申立てをしたものの、仲裁廷はAFAの申立てを認めなかった(乙A4[4]、弁論の全趣旨)。 ② AFA及び被告は、これを受けて、令和2年9月30日、(ⅰ)被告が必要とする場合を除き、被告はロンドンベースに欠員を設ける義務を負っていないこと、(ⅱ)成田ベースの客室乗務員で、米国をベー スとする資格のない者は同年10月1日に解雇されるものの、希望者は任意退職に変更するように希望できること等を合意した(乙A21、弁論の全趣旨。以下、これを「9月30日合意」という。)。 ③ AFA及び被告は、同年10月27日、(ⅰ)閉鎖されたベースに所属していた客室乗務員であって米国内に配属される資格を有しない 者は同年10月1日付けで解雇されたこと、(ⅱ)被告がある期間において国際的なベースを開設するか、ロンドンベースに欠員を補充する場合には、(ⅰ)で解雇された客室乗務員らは以下の条件(条件は省略。)で優先的に呼び戻される権利を有すること、(ⅲ)ベースの閉鎖に関する不服申立て等を全て取り下げ、今後、ベース閉鎖を理由 とする追加の不服申立てを行わないこと、(ⅳ)当該解雇について、米国内外のあらゆる裁判所又は紛争解決機関において訴訟等を提起せず、また影響を受けた客室乗務員らによる訴訟等に対し支援することを含め、いかなる方 の不服申立てを行わないこと、(ⅳ)当該解雇について、米国内外のあらゆる裁判所又は紛争解決機関において訴訟等を提起せず、また影響を受けた客室乗務員らによる訴訟等に対し支援することを含め、いかなる方法によっても争う一切の権利を放棄することを合意した(甲A14、弁論の全趣旨。以下、これを「10月27日合意」20という。)。 ④ 原告らを含む成田ベースの客室乗務員らは、AFAに対して、上記のような合意に反対し、AFA協定に基づく一時帰休を求める旨を表明していた(争いなし)。 原告らは、上記の事実関係を踏まえて、①AFAは10月27日合意25において、閉鎖される各ベースに指定された客室乗務員の解雇について、22 仲裁付託を拒否した、②当該合意はAFAの圧倒的多数を占める米国ベースの組合員にとって有利であるものの、それ以外のベースの組合員にとっては不利なものであって、AFAの組合員間に利益相反があった、③当該合意を締結する際、米国就労資格を有しない者の実質的関与の機会がなかった等と主張する。 5しかしながら、上記認定によれば、AFAは、当初は成田ベース等が閉鎖されることにより、客室乗務員が不利益を被ることから、被告に対してロンドンベースに欠員を設けることを求めていたものの、これが仲裁廷の判断により認められなかったことから、順次、9月30日合意、10月27日合意を締結し、被告との間で紛争を終結させたと認められ10る。このように、AFAは、原告らを含む閉鎖されるベース所属の客室乗務員の利益を確保するために被告と交渉するなどの活動を行ったといえる。たしかに、原告らの雇用が継続されなかった点で、原告らに不満が残ったことは否定できないものの、全客室乗務員を代表するAFAには、被告と交渉するにあたって一定の裁量が認められるべ 動を行ったといえる。たしかに、原告らの雇用が継続されなかった点で、原告らに不満が残ったことは否定できないものの、全客室乗務員を代表するAFAには、被告と交渉するにあたって一定の裁量が認められるべきであると解 されるところ、上記認定の事実経過からすると、AFAにおいて仲裁廷の判断等の状況を踏まえ、閉鎖されたベースの客室乗務員に対する一定の権利を確保するなどしつつ上記各合意に至っているものと認められるところであって、原告らが主張するように仲裁判断がなされても原告らの利益が適正に代表されていなかったとか、不誠実に仲裁付託を拒否し たというような事情を認めることはできない。したがって、公正代表義務違反があるとの原告らの主張は採用できない。 オ原告らは、日本人原告(原告番号1ないし3、5ないし15、22、23、25ないし27の趣旨と解される。)らについて、被告の募集に対し応募し採用選考を受けたことが雇用契約の申込みに、被告からの内定通知 の電話が申込みに対する承諾に当たり、上記原告らと被告との間で、就労 の始期を訓練入所日とし、被告による解約権が留保された雇用契約が成立し、日本人原告らと被告との間には、仲裁について何らの合意がないなどと主張する。 しかしながら、上記日本人原告らはいずれも本件合意書に署名しており(争いなし)、本件合意書1項に、シカゴにおける訓練が終了した後被告 は原告らを雇用する旨定められていること(前記第2の2⑵ア)、原告らが提出した客室乗務員訓練申込書に被告の「採用手続の一環として」被告が情報を取得し調査報告を作成する場合があり、様々なテスト、面接などを含む応募について評価が行われることが記載されていること(乙A13)からすれば、訓練開始前は未だ採用選考過程であったというべきであって 報を取得し調査報告を作成する場合があり、様々なテスト、面接などを含む応募について評価が行われることが記載されていること(乙A13)からすれば、訓練開始前は未だ採用選考過程であったというべきであって、10訓練入所日を就労の始期とした雇用契約が成立したとは認められないから、原告らの主張は採用できない。 カ その他、原告らはるる主張するが、原告らの主張はいずれも上記認定判断を左右するに足りるものとは認められない。 2 争点⑴イ(仲裁法附則4条適用の有無)について15⑴ 前記第2の2⑴イ、⑵、⑶のとおり、本件紛争解決条項①部分を含む本件合意書又は本件再指定レターは、遅くとも平成15年までに締結されているところ、仲裁法の施行日は平成16年3月1日であるから、「この法律の施行後に成立した仲裁合意」を対象とする同附則4条は、本件においては適用されない。 20⑵ 原告らは、正当事由条項が新設された平成28年に、正当事由条項も含む仲裁合意が成立したから仲裁法附則4条が適用される旨主張するが、原告らと被告との間では、本件紛争解決条項を含む本件合意書又は本件再指定レターに合意した時点で仲裁合意が成立したというべきであって、仲裁法の施行後に新たに仲裁合意が成立したものではないから、原告らの主張は採用でき25ない。なお、原告らは、原告番号44について、上記施行日後の平成20年24 8月に成田ベースに再指定されたから、仲裁法附則4条が適用される旨主張するが、原告番号44は台北ベースに採用された平成5年に本件合意書に署名している(甲A107、弁論の全趣旨)から、原告らの主張は採用できない。 3 小括5よって、本件訴えは、仲裁合意の対象となる民事上の紛争について訴えが提起されたものと認められるから、仲裁法14条1項に基づきい 弁論の全趣旨)から、原告らの主張は採用できない。 3 小括5よって、本件訴えは、仲裁合意の対象となる民事上の紛争について訴えが提起されたものと認められるから、仲裁法14条1項に基づきいずれも却下すべきものである。 第4 結論以上によれば、その余の点について判断するまでもなく、原告らの本件訴えは10不適法であるからいずれも却下することとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第19部裁判長裁判官 小原 一人 15 裁判官 西澤健太郎 20裁判官 亀井直子
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