- 1 - 主文 1 本件控訴をいずれも棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。 2 被控訴人らの請求をいずれも棄却する。 第2 事案の概要 1 本件は,北海道南部の日高地方を流れる一級河川沙流川の下流部右岸(川の下流に向かって右手の岸)の富川北地区に居住し,店舗を設置し,又は農場若しくは牧場を所有する被控訴人ら8名を含む全9名の者が,平成15年8月9日から翌10日にかけて日高地方の沖合を台風10号が通過した際の大雨で,同月10日未明,富川北地区において,河川の洪水(以下「本件洪水」という。)による浸水被害(以下「本件水害」という。)が発生し,財産的損害等を受けたことについて,沙流川の管理者である控訴人には国家賠償法1条1項又は2条1項に基づく責任があると主張して,控訴人に対し,それぞれ損害賠償として下記各金額及びこれに対する同月11日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 記(1) 被控訴人A1 3591万1598円(2) 被控訴人A2 948万9700円(3) 原審原告A3 103万7021円(4) 被控訴人A4 292万6000円(5) 被控訴人A5 827万7398円(6) 被控訴人A6 716万1895円(7) 被控訴人A7 389万3123円- 2 -(8) 被控訴人A8 1629万4989円(9) 被控訴人会社 772万2037円 2 原審は,沙流川の管理を分掌する鵡川河川事業所長による樋門(河川管理施設)操作員に対する退避指示に違法行為があり,同違法行為がなければ樋門を閉扉して外水が堤 訴人会社 772万2037円 2 原審は,沙流川の管理を分掌する鵡川河川事業所長による樋門(河川管理施設)操作員に対する退避指示に違法行為があり,同違法行為がなければ樋門を閉扉して外水が堤防内に逆流することを防ぎ,浸水の被害を小さくすることができたと判断し,控訴人に国家賠償法1条1項に基づく責任があるとした上で,被控訴人ら8名については上記違法行為と相当因果関係の認められる損害として下記各金額を認定し,これに対する遅延損害金を付して,被控訴人会社の請求を全部認容し,その他の被控訴人ら7名の請求を一部認容,一部棄却する一方,原審原告A3については上記違法行為と相当因果関係の認められる損害を認定できないとして,その請求を全部棄却したところ,控訴人のみが敗訴部分を不服として本件控訴を提起した。 したがって,当審における審理の対象は,被控訴人らの請求の当否である。 記(1) 被控訴人A1 849万6183円(2) 被控訴人A2 368万0560円(3) 被控訴人A4 269万9702円(4) 被控訴人A5 213万3631円(5) 被控訴人A6 128万1888円(6) 被控訴人A7 98万4460円(7) 被控訴人A8 490万5255円(8) 被控訴人会社 772万2037円 3 前提事実は,次のとおり補正するほかは,原判決書「事実及び理由」欄の第2の1ないし6に記載のとおりであるから,これを引用する(なお,以下,本判決において,水位や地盤高等の高さをいう場合,全て標高すなわち東京湾平均海面をゼロメートルとする高さをいう。)。 (1) 原判決書5頁11行目の「別紙1」を「原判決書別紙1」と改める。 - 3 -(2) 原判決書5頁12行目の「設置されている」の すなわち東京湾平均海面をゼロメートルとする高さをいう。)。 (1) 原判決書5頁11行目の「別紙1」を「原判決書別紙1」と改める。 - 3 -(2) 原判決書5頁12行目の「設置されている」の次に「(樋門の構造及び機能等は,後記4(原判決書9頁13行目以下)に記載のとおりである。)」を加える。 (3) 原判決書5頁17行目の「別紙2」を「原判決書別紙2」と改める。 (4) 原判決書5頁23行目の「別紙3」を「原判決書別紙3」と改め,以下も同様とする。 (5) 原判決書7頁17行目の「本件水害」を「本件洪水」と改める。 (6) 原判決書7頁22行目の「天端」の次に「(堤頂面)」を加える。 (7) 原判決書8頁19行目の「富川観測所」から同頁20行目の「暫定堤防部分での」までを「富川観測所の受持区域内には暫定堤防が,平取観測所の受持区域内には無堤部があり,暫定堤防部分又は無堤部で」と改める。 (8) 原判決書9頁11行目から12行目にかけて掲記の証拠に「乙41」を加える。 (9) 原判決書9頁20行目の「別紙4」を「原判決書別紙4」と改める。 (10)原判決書10頁25行目の「本件水害以前の浸水等」を「本件洪水以前の洪水等」と改める。 (11)原判決書11頁1行目の「別紙5」を「原判決書別紙5」と改める。 (12)原判決書11頁1行目の「とおりである」の次に「(以下では,このうち,平成13年9月11日から同月13日にかけて発生した洪水を「平成13年洪水」ということがある。)」を加える。 (13)原判決書11頁25行目の「抑制するため,」の次に「「工事中における二風谷ダムの操作要領(案)(試験湛水終了後の建設中管理の操作要領案)*(平取町水道用水の取水後の期間の操作要領案)」(乙16),「工事中における二風谷ダムの操作運用(案) の次に「「工事中における二風谷ダムの操作要領(案)(試験湛水終了後の建設中管理の操作要領案)*(平取町水道用水の取水後の期間の操作要領案)」(乙16),「工事中における二風谷ダムの操作運用(案)(試験湛水終了後の建設中管理の操作運用案)*(平取町水道用水の取水後の期間の操作運用案)」(乙17)及び「二風谷ダムただし書き操作要領(平成9年11月10日北開局管第43号)」(乙18)に基づき,」を加える。 - 4 -(14)原判決書12頁2行目の「別紙6」を「原判決書別紙6」と改める。 (15)原判決書12頁5行目の「別紙7」を「原判決書別紙7」と改める。 (16)原判決書13頁4行目の「原告らは,」の次に「本件洪水により,」を加える。 4 争点及び争点に関する当事者の主張は,次のとおりである。 (1) 争点①(本件退避指示の時点において,事業所長は,なお樋門操作員を現場に留まらせて樋門の操作を行わせるべき義務を負っていたか否か)(被控訴人らの主張)そもそも,事業所長は,住民を水害の被害から守ることを第一に考えるべき立場にあり,逆流が発生するか,又は樋門操作員に危険が生じる直近まで,逆流の有無を監視させ,逆流が始まるまでは樋門を開いたままにすることによって内水を可能な限り本川に流し,また,逆流が始まったときには樋門を閉じることができる態勢を維持し,被害の軽減を図るべきであった。このことは,樋門操作員が近隣住民であっても変わるところがない。したがって,事業所長は,差し迫った危険(人事院規則10-4第29条参照)が生じない限りは,本件3樋門の樋門操作員を樋門の操作に従事させる義務があり,具体的には,本件では,外水位の急激な上昇が予測される時点,すなわち,ただし書き操作による放流水が本件3樋門付近に到達すると考えられる同操作開始 樋門の樋門操作員を樋門の操作に従事させる義務があり,具体的には,本件では,外水位の急激な上昇が予測される時点,すなわち,ただし書き操作による放流水が本件3樋門付近に到達すると考えられる同操作開始から1時間後の時点(10日午前2時27分)ないし1時間30分後の時点(午前2時57分)まで,樋門操作員を本件3樋門に留まらせる義務があったというべきである。そして,実際にこのころまで樋門操作員が本件3樋門に留まっていれば,逆流の発生を確認して樋門を閉扉し,外水の堤防内への流入を防ぐことが可能であった。 これに対し,控訴人は,樋門操作員に対する危険が急迫していたことから,10日午前1時5分の時点で退避させざるを得なかったと主張するが,この時点で沙流川の外水位(富川観測所の測定値をいう。以下,水位は特に断らない限り同観測所のものをいう。)は危険水位(6.30メートル)を超過していたものの,計画高- 5 -水位(7.06メートル)までは余裕があったから,富川北地区において破堤等による河川の氾濫が惹起する洪水等の具体的現実的危険は発生していなかった。この点について,控訴人は,浸水想定区域図(乙94)を提出するが,浸水想定区域図は,周辺住民の避難に関する検討のために作成されるものであり(甲170),樋門操作員の退避とはその趣旨,対象を異にする上,控訴人が上記浸水想定区域図につき浸水想定区域図作成マニュアル(甲170)所定の前提条件を明らかにしないことからすれば,同浸水想定区域図から控訴人の主張する具体的現実的危険の発生を認めることはできない。同浸水想定区域図によれば,本件洪水当時,平取樋門付近でも本件3樋門と同等又はそれ以上の危険が存在したにもかかわらず,平取樋門操作員に対する退避指示が出ていないことも,このことを裏付けている。 このほかに,控 図によれば,本件洪水当時,平取樋門付近でも本件3樋門と同等又はそれ以上の危険が存在したにもかかわらず,平取樋門操作員に対する退避指示が出ていないことも,このことを裏付けている。 このほかに,控訴人は,意見書(乙117)を提出するが,同意見書は,室蘭開発建設部治水課による当時の具体的な水位予測(甲3)を踏まえておらず,降雨に対する山地流域における降雨流出の遅れ時間に関しては,同意見書作成者自身の別の意見書(乙43)に反しており,また,具体的な外的条件の内容を示さずに破堤の可能性を論じているなど,一般論としては妥当であっても,本件退避指示の当否を具体的に検討するのに資するところがない。 さらに,本件洪水後の行政通達(平成18年10月1日付け国河情第3号河川局長通達)は,危険水位を超過したことを住民避難の判断の一要素としたにすぎない上,そもそも,市町村長の避難勧告等の発令及び住民の避難判断と,国家公務員である樋門操作員に対する退避指示を同列に論じることはできない。 加えて,控訴人は,過去にも,危険水位は超過したものの計画高水位には達していない時点で洪水が発生して浸水被害を生じた事例が存在すると主張するが,それらはいずれも本件洪水とは状況が異なっている。なお,富川観測所の危険水位は,本件洪水後に,6.30メートルから計画高水位にほぼ等しい6.90メートルに変更されているところ(甲166),この間右岸無堤部で改修工事が行われた事実がないことからすれば,危険水位の設定は客観的な基準に基づくわけではないから,- 6 -この点でも,危険水位を超過すれば具体的現実的危険が発生するということはない。 また,本件3樋門の周辺が暗くて転落等の事故の発生等が想定されるということもなく,本件3樋門の樋門操作員の退避路が水没する危険もなかった。 し れば具体的現実的危険が発生するということはない。 また,本件3樋門の周辺が暗くて転落等の事故の発生等が想定されるということもなく,本件3樋門の樋門操作員の退避路が水没する危険もなかった。 したがって,樋門操作員の安全のために本件退避指示を出さなければならない状況にはなかった。このほかにも,控訴人は,種々の資料等に基づき,事業所長の本件退避指示が相当であったと主張するが,当時の事業所長は,これらのことを認識していたわけではなく,単に沙流川の外水位が危険水位を超過したことをもって危険であると判断し,その他のことは検討しないで本件退避指示を発したにすぎないのであるから,控訴人の主張は失当である。 (控訴人の主張)そもそも,本件水害は,本件3樋門を通じて逆流した外水によるものではなく,もっぱら,それ以前の内水氾濫によって引き起こされたものであるから,被控訴人らの主張は本件水害が外水の逆流によって引き起こされたことを前提とする点で失当であるが,仮に,本件3樋門を通じて逆流した外水によって洪水による浸水被害が拡大した面があるとしても,樋門操作員は,高齢者を含む近隣住民が委嘱され,国家公務員の身分を有することから,控訴人は,樋門操作員に対する安全配慮義務をも負っており,樋門操作員に対する「災害発生の危険が急迫したとき」には退避させなければならないのであって(人事院規則10-4第29条),この点で,10日午前1時5分の時点で本件退避指示を出した事業所長の判断は合理的であった。 すなわち,本件退避指示以前に,外水位は危険水位を超過しており,沙流川水系直轄管理区間の全域において,破堤等による河川の氾濫が惹起する洪水等の具体的現実的危険が発生していた(この点について,浸水想定区域図(沙流川水系沙流川浸水想定区域図全体,乙94の1・2) 川水系直轄管理区間の全域において,破堤等による河川の氾濫が惹起する洪水等の具体的現実的危険が発生していた(この点について,浸水想定区域図(沙流川水系沙流川浸水想定区域図全体,乙94の1・2)参照。同浸水想定区域図に関して,被控訴人らは,本件洪水当時,平取樋門付近でも本件3樋門と同等又はそれ以上の危険が存在したと思われるにもかかわらず,平取樋門操作員に対する退避指示が出て- 7 -いないことが具体的現実的危険が発生していないことを裏付けるというが,当時,浸水等による危険は左岸部にのみ発生し,平取樋門操作員は危険ではなかった。)。 なお,本件洪水については,後に,この洪水を引き起こした降雨が記録的な豪雨であったこと,本件退避指示直前の時点では河川管理上最も警戒すべき降雨の時間分布,空間分布,雨域の移動特性となっていたことが判明し(乙117,118),また,本件洪水後には,危険水位に対応する水位である「はん濫危険水位」よりも低い「避難判断水位」をもって市町村長の避難勧告等の発令の目安及び住民の避難判断の参考にするものとされた(平成18年10月1日付け国河情第3号河川局長通達)。過去にも,危険水位は超過したものの計画高水位には達していない時点で洪水が発生して浸水被害を生じた事例が多数存在する。 また,堤防周辺は深夜で暗かったため,目前の危険を把握することが困難な状況となっており,転落等の事故の発生等が想定された上,支川において内水氾濫が拡大し,退避路が水没することにより,樋門操作員が避難経路を遮断され,孤立するおそれが極めて高くなっていた。 そこで,事業所長は,以上のような危険に関する総合判断として,これ以上樋門操作員らを堤防周辺に配置して作業を行わせるのは非常に危険であると判断し,10日午前1時5分,人的被害の発生を回避するため そこで,事業所長は,以上のような危険に関する総合判断として,これ以上樋門操作員らを堤防周辺に配置して作業を行わせるのは非常に危険であると判断し,10日午前1時5分,人的被害の発生を回避するため,控訴人の国家公務員に対する安全配慮義務の一環として,樋門操作員に退避指示を出したのである。 したがって,事業所長が本件退避指示を出した時期は適切であり,それ以降も樋門操作員を本件3樋門に留まらせる義務はなかった。 (2) 争点②(本件退避指示の時点において,事業所長が,逆流の発生を予見することが可能であり,本件3樋門を閉扉させる義務を負っていたか否か)(被控訴人らの主張)逆流の発生及び継続が,樋門箇所において内水位と外水位のいずれが相対的に高いかによって決定されることは当然であるが,本件において,事業所長は,逆流の発生を予見することができた。すなわち,本件退避指示の時点で,事業所長は,既- 8 -に,ただし書き操作による二風谷ダムからの放水量が毎秒5100立方メートルを超えるおそれがあることや外水位が危険水位を超過したこと等の情報を得ていたから,ただし書き操作により外水位が計画高水位(7.06メートル)を超えて急激に上昇することを予測していた。また,本件3樋門の内水域にのみ集中豪雨的な降雨でもない限り,外水位の上昇(危険水位から計画高水位まで0.76メートル)を上回るような内水位の上昇は考えられないところ,事業所長は,本件3樋門の内水域にのみ集中豪雨的な降雨がある一方で,それ以外の地域には降雨がないという事態があり得ないことも認識していた。そして,事業所長は,本件退避指示の時点までに内水氾濫の情報を得ていたから,外水位と内水位が拮抗していることも認識していた。 以上のような本件退避指示当時の事業所長の認識からすると,事業所 いた。そして,事業所長は,本件退避指示の時点までに内水氾濫の情報を得ていたから,外水位と内水位が拮抗していることも認識していた。 以上のような本件退避指示当時の事業所長の認識からすると,事業所長は,外水位が内水位よりも高くなり逆流が発生することを十分予見することができ,本件退避指示を出す際に,樋門操作員に指示して本件3樋門を閉扉させる義務を負っていたというべきである。この点,控訴人は,本件3樋門付近の内水流域の降雨流出特性等について主張するが,当時の事業所長は,これらのことを認識した上で本件退避指示を出したわけではないから,控訴人の主張は失当である。 (控訴人の主張)そもそも,逆流の発生及び継続は,樋門箇所において内水位と外水位のいずれが相対的に高いかによって決定されるところ,内水位と外水位の変動は,流域の地形,地質,林相,降水などの自然的要因と,それに加えて,土地利用,水利用の状況等の人為的及び社会的要因が複合的に関与し,さらに河川の流量を支配する最も重要な降雨という不確定要素を含むものであって,全く規則性に欠けるものである上,降雨予測等のデータの確度にも限界があり,実績雨量を根拠として内水位が急激に上昇はしないと予測することはできない。このため,外水位の予測のみでは逆流の発生を予見することはできず,また,内水位を正確に予測することも不可能であって,事業所長が本件退避指示を出した時点で本件3樋門での逆流の発生を確実性を- 9 -もって予見することは不可能である。 また,富川北地区における外水位の上昇は,ただし書き操作によって生じたのではなく,上流域に降った雨によってもたらされたものである。しかも,ただし書き操作は,外水位を自然状態から大きく上昇させるものではなく,必ずしも逆流を発生させるものではないから,これを行っ 生じたのではなく,上流域に降った雨によってもたらされたものである。しかも,ただし書き操作は,外水位を自然状態から大きく上昇させるものではなく,必ずしも逆流を発生させるものではないから,これを行っても,支川流域の降雨による内水位の上昇が生じれば逆流は発生しない。具体的には,内水域に,9日午後10時発表の流域雨量予測と同程度の降雨量が実際にあれば,内水位は外水位とほぼ同程度まで上昇したと考えられる(乙42)上,本件3樋門付近の内水流域の降雨流出特性として,降雨に対して0~3時間程度の遅れをもって洪水の発生がみられる(乙117)のに対し,栄町樋門やコンカン川樋門ではポンプ排水が継続して行われていたものの,その能力は限定的なので,内水位の上昇は十分に考えられる状況であった。 したがって,本件退避指示の時点で,事業所長が逆流の発生を予見することは不可能であり,樋門を閉扉させる義務はない。 なお,以上からすれば,10日午前2時であればコンカン川樋門及び栄町樋門における逆流の発生を予見できたなどということもない。 (3) 争点③(本件操作要領に瑕疵があったか否か)(被控訴人らの主張)仮に,本件退避指示が適法であったとしても,本件操作要領に樋門操作員が退避した場合の樋門操作についての規定がないことからすると,樋門という水害を防止するために設置された公の営造物が恒常的に住民に危害を及ぼす危険性のある状態で供用されることになるから,ここには営造物の設置又は管理の瑕疵があり,控訴人は国家賠償法2条1項に基づく損害賠償責任を負う。 (控訴人の主張)たとえ退避指示等により樋門操作が不可能となった場合の操作方法を規定したとしても,これが実現不可能であることは明らかである。したがって,本件操作要領が樋門操作員退避後の樋門操作に関する規定を )たとえ退避指示等により樋門操作が不可能となった場合の操作方法を規定したとしても,これが実現不可能であることは明らかである。したがって,本件操作要領が樋門操作員退避後の樋門操作に関する規定を欠いていたからといって,公の営造- 10 -物の設置又は管理に瑕疵があることにはならない。 (4) 争点④(本件3樋門に十分な排水能力のあるポンプを設置していなかったことが樋門の設置又は管理の瑕疵に当たるか否か)(被控訴人らの主張)仮に,樋門を閉扉させずに樋門操作員を退避させたこと(本件退避指示)が適法であったとすると,樋門を開扉したままで内水氾濫やその後の逆流による浸水被害を最小化するためにはポンプによる排水が必要となるが,本件洪水時に本件3樋門で稼働していたポンプはいずれも十分な排水能力がなかった。このように,控訴人が平均的雨量に伴う支川の水を十分に排水できる能力のあるポンプ排水設備を設置していなかったことは,国家賠償法2条1項の公の営造物の設置又は管理の瑕疵に当たる。 (控訴人の主張)樋門の機能からみても,控訴人にはポンプ排水を含め堤内側の水を除去する権限及び責任はなく(堤内側の水の除去は水防管理者である旧門別町長の権限及び責任に属する。),樋門とポンプ排水設備とでは設置権限及び管理権限が異なっていることからしても,樋門とポンプ排水設備を一体の公の営造物とみることはできない。 したがって,控訴人がポンプ排水設備の設置又は管理上の責任を負うことはない。 (5) 争点⑤(逆流によるヘドロの被害があったか否か)(被控訴人らの主張)本件水害では,被控訴人らの家屋や店舗,牧場などに浸水した後,水が引いた後も,ヘドロ様の汚泥が残留してひどい腐臭を発し,容易にこれをぬぐい去ることができないため,清掃費がかさみ,什器備 の主張)本件水害では,被控訴人らの家屋や店舗,牧場などに浸水した後,水が引いた後も,ヘドロ様の汚泥が残留してひどい腐臭を発し,容易にこれをぬぐい去ることができないため,清掃費がかさみ,什器備品等もことごとく廃棄を余儀なくされるという,ヘドロ様の汚泥を原因とする被害が発生した。 この点,泥からなる浮遊物質(SS)の濃度は,二風谷ダムの放流地点より下流で著しく上昇しているところ,このようにSS濃度を上昇させた主な原因は,二風谷ダムの下流で生じた洗掘によって河岸からもたらされた物質であり,大きく侵食- 11 -された沙流川の河床や氾濫原のへりである(乙77)。 これに対し,本件3樋門の支川の流域面積は極めて小さい上に,流域のほとんどは宅地や水田,畑,牧草地,丘陵地などであるから,大雨が降ったとしても,内水にヘドロ様の浮遊物質が多量に含まれるという事態は考えられない。 また,本件水害以前の水害や本件水害後の平成18年の水害では,逆流が発生しなかったため,ヘドロ様の汚泥を原因とする被害は発生していない。 したがって,被控訴人らが逆流によって沙流川本川からもたらされたヘドロ様の汚泥を原因とする被害を受けたことは明らかである。 (控訴人の主張)事業所の巡視職員等及び消防署員が目撃したとおり,逆流以前の時点で,既に被控訴人らの住居等は支川から溢れ出た内水に浸かっていた。内水氾濫であっても,土砂が堆積し,臭気が発生するのは当然であり,本件洪水後の平成18年8月18日の洪水でも,内水氾濫により同様の被害が発生している。この点,再現計算結果によっても,本件3樋門に関しては,窪地部分を除いて,全浸水深に対する内水による浸水深の割合が大きくなっているのであり,被控訴人らの家屋等への被害は,もっぱら内水氾濫によってもたらされたといえる。 によっても,本件3樋門に関しては,窪地部分を除いて,全浸水深に対する内水による浸水深の割合が大きくなっているのであり,被控訴人らの家屋等への被害は,もっぱら内水氾濫によってもたらされたといえる。 これに対し,被控訴人らは,調査観測論文(乙77)を根拠として,逆流によるヘドロ様の汚泥を原因とする被害があったと主張するが,同論文は,沙流川の下流におけるSS負荷量(SS濃度に流量を乗じた,水域に流入するSSの量的尺度となる値)増大の原因としては支川及び残流域からの土砂流入の影響は小さいと判断しているにとどまり,家屋に侵入した泥が本川又は支川のどちらに由来する割合が高いかということにまで触れてはいないから,被控訴人らの主張を裏付けるものとはいえない。また,本件洪水と平成13年洪水のSS負荷量とを比較すると,本件洪水の方が平成13年洪水よりも支川からのSS負荷量が明らかに大きいが,このことは,本件洪水の際に,内水氾濫によって支川由来の土砂が平成13年洪水よりも多く堤内地に堆積したという可能性を示すものである(乙88)。 - 12 -(6) 争点⑥(被控訴人らが被った損害の内容及び額)(被控訴人らの主張)被控訴人らは,本件洪水の結果,床上ないし床下浸水の被害を被ったことにより経済的被害,健康被害,精神的被害,生活の不便さといった多様な損害を被った。 その内容及び額は,原判決書別紙12,13,15ないし20に各記載のとおりである(なお,これらのうち,損害①は家屋,②は庭・植木,③は一般家財,④は特別家財,⑤は営業用什器・備品,⑥は営業用商品,⑦はその他の損害であり,請求費目がない部分は欠番となっている。)。 特に,本件水害において最も特徴的なヘドロ様の汚泥による被害は甚大であり,このため,内水氾濫であれば,水が引いた後で乾かせば使 ⑦はその他の損害であり,請求費目がない部分は欠番となっている。)。 特に,本件水害において最も特徴的なヘドロ様の汚泥による被害は甚大であり,このため,内水氾濫であれば,水が引いた後で乾かせば使用可能となるような物でも廃棄せざるを得なくなって,多大な経済的損害が生じた。また,家屋その他の財産がヘドロ様の汚泥にまみれたことの嫌悪感・驚愕,汚泥除去の労苦,汚泥の悪臭による生活苦は想像を絶するものがあり,これらによって被控訴人らの被った精神的苦痛は計り知れない。 (控訴人の主張)いずれも否認ないし争う。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,被控訴人らの本件請求はそれぞれ原判決主文掲記の限度で認容すべきものと判断する。その理由は,次のとおりである。 2 認定事実(本件退避指示に至る経緯及びその後の事実経過)本件退避指示に至る経緯及びその後の事実経過として,前提事実,証拠及び弁論の全趣旨から認められる事実は,次のとおりである。 (1) 10日午前0時ころまでの状況次のとおり補正するほかは,原判決書「事実及び理由」欄の第4の1ないし5に記載のとおりであるから,これを引用する。 ア原判決書19頁24行目の「別紙8ないし10」を「原判決書別紙8ないし- 13 -10」と改める。 イ原判決書21頁2行目の「別紙7」を「原判決書別紙7」と改める。 ウ原判決書21頁12行目冒頭から同頁15行目末尾までを次のとおり改める。 「引き続き堤防その他を見回り水防活動を行うよう求めた(甲1の129頁)。 なお,控訴人は,室蘭開発建設部が,10日午前0時50分に事業所長に電話連絡をし,門別町(富川北地区は門別町に含まれる。)と平取町に避難するよう助言することを指示し,事業所長が,その指示に従い,午前1時ころ,門別町と平 開発建設部が,10日午前0時50分に事業所長に電話連絡をし,門別町(富川北地区は門別町に含まれる。)と平取町に避難するよう助言することを指示し,事業所長が,その指示に従い,午前1時ころ,門別町と平取町に避難を助言したと主張し,事業所長も,その旨の連絡をした旨述べる(乙82,原審証人B)が,上記両町側にはその旨の記録はない(甲165,乙91,弁論の全趣旨)。」(2) 室蘭開発建設部治水課による水位予測次のとおり補正するほかは,原判決書「事実及び理由」欄の第4の6及び7に記載のとおりであるから,これを引用する。 ア原判決書22頁9行目の「午前0時54分」を「午前0時43分」と改め,同頁18行目の「予測された」の次に「(甲3)」を加える。 イ原判決書22頁23行目の「立法メートル」を「立方メートル」と改める。 (3) 本件退避指示及び樋門操作員の退避状況等次のとおり補正するほかは,原判決書「事実及び理由」欄の第4の8及び9に記載のとおりであるから,これを引用する。 原判決書23頁7行目から8行目にかけての「破堤の危険があるため」を削る。 (4) 本件退避指示後の状況次のとおり補正するほかは,原判決書「事実及び理由」欄の第4の10ないし15に記載のとおりであるから,これを引用する。 ア原判決書25頁3行目の「立法メートル」を「立方メートル」と改める。 イ原判決書26頁5行目の「富川北地区は,」の次に「本件洪水により」を加- 14 -える。 3 争点①(本件退避指示の時点において,事業所長は,なお樋門操作員を現場に留まらせて樋門の操作を行わせるべき義務を負っていたか否か)について(1) そもそも,洪水時における樋門操作は,外水の逆流を防いで洪水による被害を最小化するという目的のために行われるものであ 場に留まらせて樋門の操作を行わせるべき義務を負っていたか否か)について(1) そもそも,洪水時における樋門操作は,外水の逆流を防いで洪水による被害を最小化するという目的のために行われるものであり(本件操作要領2条),樋門操作員によって行われる外水位と内水位の観測も,この樋門操作を適切に行うためのものにほかならない。したがって,樋門操作員は,洪水時にこそ,的確に水位を把握し,適切に樋門操作をするために,できる限り現場に留まることが期待されているというべきである。 もとより,国土交通大臣は,一般職の国家公務員である樋門操作員に対する安全配慮義務の一環として,樋門操作員に対する災害発生の危険が急迫したときには,樋門操作員を退避させなければならず(人事院規則10-4第29条),本件退避指示も,国土交通大臣の当該権限を,事業所長がその事務分掌の範囲内で行使したものということができる。 しかしながら,災害発生の危険が急迫したか否かの判断が職員の業務の性質等を勘案して行われるべきことは当然であって,樋門操作員が洪水時に樋門を適切に操作して洪水による被害を最小化する役割を担っている以上,洪水時であるという一事をもって,災害発生の危険が急迫したと即断すべきものではない。事業所長は,たとえ洪水時であっても樋門操作員を現場に留まらせ,水位の観測や逆流の有無の監視に当たらせる必要があり,時々刻々変化する水位,流量及び雨量等の気象状況に関する情報を収集し,このような情報に基づいて水位予測を適切に行い,これらを総合的に考慮して,洪水や破堤による急迫の危険があると判断されるときに限り,樋門操作員に対して現場から離れて退避するように指示すべきことになるものと解される。 (2) これを本件についてみると,本件3樋門付近一帯の右岸は完成堤防であったから,計 と判断されるときに限り,樋門操作員に対して現場から離れて退避するように指示すべきことになるものと解される。 (2) これを本件についてみると,本件3樋門付近一帯の右岸は完成堤防であったから,計画高水位(7.06メートル)までは外水を安全に流下することができる- 15 -状態にあったと認められるのに対し,10日午前0時50分には外水位が危険水位(6.30メートル)に達していたとはいえ,これは計画高水位よりも76センチメートル低いのであるから,本件3樋門付近の完成堤防に破堤のおそれが生じたと考える根拠は見当たらない。この点,本件3樋門の上流には当時暫定堤防が残っており,計画高水位よりも低い危険水位であっても,この暫定堤防部分からは河川の氾濫を生じるおそれがあったとはいえるが,富川観測所の水位が危険水位まで上昇したとしても,本件3樋門付近の右岸堤防それ自体については,破堤や越流の危険が迫っている状況にあったとは認められないし,暫定堤防部分を端緒とする河川の氾濫の影響が本件3樋門付近に差し迫っている状況にあったとも認められない(浸水想定区域図(沙流川水系沙流川浸水想定区域図全体,乙94の1・2)は,一定の条件の下で想定される浸水の状況を示すものであるところ(甲170),本件では,上記浸水想定区域図がいかなる条件を設定して作成されたものか明らかでない(弁論の全趣旨)から,同浸水想定区域図をもって本件洪水時の具体的な危険の有無を論じることはできない。)。また,10日午前1時ころには,本件3樋門全てで内水氾濫が発生していたが,富川観測所の時間雨量は,同日午前1時には2ミリメートル,午前2時には1ミリメートル,午前3時以降は0であり(甲1),午前1時以降は,それまでの累積雨量により多少の内水流域の流量の増加(内水位の上昇)があるとしても(富 ,同日午前1時には2ミリメートル,午前2時には1ミリメートル,午前3時以降は0であり(甲1),午前1時以降は,それまでの累積雨量により多少の内水流域の流量の増加(内水位の上昇)があるとしても(富川観測所の外水位は,10日午前0時で6.15メートル,午前1時で6.34メートル,午前2時で6.64メートルであり(甲1),水位の上昇が認められるが,それに比べ本件3支川は小規模河川で内水流域の流量が小さいので,大幅に流量が増加するような事態は発生しなかったものと考えられる。),局地的な大雨により急激に内水氾濫が増大するとは考え難い状況にあった。 したがって,10日午前1時5分の時点では,沙流川水系直轄管理区間の全域において,破堤等による河川の氾濫が惹起する洪水や本件3樋門における内水氾濫の増大等の具体的現実的危険が発生し,本件3樋門付近の樋門操作員に対する災害発生の危険が急迫していたなどと認めることはできない。 - 16 -(3) なお,実際の水位上昇は午前0時水位予測よりも速く,実際の天候も午後10時雨量予測に反して雨脚が強まっていたから,危険水位を超過した後も継続して水位が上昇することは十分に予測されるところではあった。 とはいえ,10日午前0時以降,流域全体の降雨量は全体にそれまでよりも減少傾向にあり,このことは河川情報システムで10分単位の雨量としてほどなく把握されていたし,水位の上昇幅も午前1時までは10分単位で最大5センチメートルにとどまっており,ただし書き操作の影響が本件3樋門付近に及ぶのは,午前2時30分ころ以降と予測されていたから,午前1時の段階で,水位の計画高水位超過を直ちに懸念すべき状況にはなかったといわざるを得ない。 (4) これに対し,控訴人は,本件洪水後,危険水位(「はん濫危険水位」)よりも低い「避難判断 たから,午前1時の段階で,水位の計画高水位超過を直ちに懸念すべき状況にはなかったといわざるを得ない。 (4) これに対し,控訴人は,本件洪水後,危険水位(「はん濫危険水位」)よりも低い「避難判断水位」が市町村長の避難勧告等の発令の目安及び住民の避難判断の参考にするものとされたこと(平成18年10月1日付け国河情第3号河川局長通達)は,危険水位に達した河川の危険性を示しており,本件洪水当時も,事業所長から門別町と平取町に避難を助言する連絡をした旨主張し,事業所長もその旨供述する(原審証人B)。 しかしながら,既に検討したとおり,災害発生の危険が急迫したか否かの判断は職員の業務の性質等を勘案してなされるべきものであって,樋門操作員の任務の内容に鑑みると,住民避難に関する判断と樋門操作員に対する退避指示の判断の基準を同列に論じることはできないから,控訴人の上記主張は採用の限りではない。 また,控訴人は,C大学理工学部D教授作成の意見書(乙117)を根拠として,本件洪水後に,この洪水時の降雨が記録的な豪雨であったこと,本件退避指示直前の時点では河川管理上最も警戒すべき降雨の時間分布,空間分布,雨域の移動特性となっていたことが判明したとして,事業所長が本件退避指示を出した時点で洪水等の具体的現実的危険が発生していた旨主張する。 しかしながら,上記意見書は,室蘭開発建設部治水課による当時の具体的な水位予測(甲3)を考慮することなく,一般論を述べ,さらに,具体的にいかなる外的- 17 -条件が存在したことから破堤の可能性があったといえるのかを示さないなど,富川北地区において抽象的に洪水等の危険が発生していたことを認めるのはともかく,破堤等による河川の氾濫が惹起する洪水等の具体的現実的危険が発生していたことを裏付けるには足りないといわざる ないなど,富川北地区において抽象的に洪水等の危険が発生していたことを認めるのはともかく,破堤等による河川の氾濫が惹起する洪水等の具体的現実的危険が発生していたことを裏付けるには足りないといわざるを得ない(同意見書は,このほかに,平成23年3月11日の東日本大震災の際の津波による人的被害をもって本件洪水時の樋門操作員に対する災害発生の危険を根拠づけようとしているが,予測可能性の程度等に鑑みると,降雨による危険と津波による危険とを同列に論じるような議論は適切ではない。)。したがって,控訴人の上記主張は採用することができない。 さらに,控訴人は,全国で過去に生じた水害の事例を挙げ,本件水害でも同様に災害発生の危険が急迫していた旨主張する。 しかしながら,過去にそのような水害事例があることから,危険水位を超過すれば,計画高水位には達していなくとも,洪水が発生して浸水被害を生じる可能性があると抽象的にいうことはできるとしても,これらの水害事例はいずれも本件とは異なる場所で,本件とは異なる条件の下で生じた水害であるから,そこから直ちに危険水位を超過した時点で具体的に災害発生の危険が急迫していたと認めることはできない。したがって,控訴人の上記主張は採用することができない。 (5) このほかに,控訴人は,樋門操作員に対する災害発生の危険が急迫していたといえる事情として,現場が暗く,また,内水氾濫等により樋門操作員の退避路が水没するおそれがあったと主張するが,前記認定の事実関係からすると,その時点で樋門操作員を退避させなければ,以後樋門操作員が身を守るのが困難になるであろうと考えるべき根拠はなかったというべきであり,控訴人の上記主張は採用することができない。 また,控訴人は,本件3樋門における樋門操作員は一般職の国家公務員ではあるが,実際に が困難になるであろうと考えるべき根拠はなかったというべきであり,控訴人の上記主張は採用することができない。 また,控訴人は,本件3樋門における樋門操作員は一般職の国家公務員ではあるが,実際には,高齢者を含む近隣住民に委嘱されているのであり,特別な訓練や装備があるわけでもないから,近隣住民と比較して,樋門操作員が危険を速やかに認知し,回避できるものではないことは明らかであり,退避指示の是非,ひいては「災- 18 -害発生の危険が急迫したとき」との要件該当性を検討するに際しては,上記のような樋門操作員の能力等を前提に検討がなされるべきであると主張する。 しかしながら,樋門操作員の職務が高齢者を含む近隣住民に委嘱されているのだとしても,洪水時に樋門を適切に操作して洪水による被害を最小化する役割を担うという樋門操作員の任務の重大性に鑑みると,上記のような危険を速やかに認知し,回避する能力等を考慮して,退避指示の是非や「災害発生の危険が急迫したとき」との要件判断を検討することは,必ずしも相当とはいえない。 (6) 以上のとおりであって,10日午前1時5分に本件退避指示を出した事業所長の判断は,上記人事院規則における「災害発生の危険が急迫したとき」という要件の認定判断を誤ったものといわざるを得ない。 そして,事業所長は,水位,流量及び雨量等の気象状況に関する情報を収集し,このような情報に基づいて水位予測を適切に行い,これらを総合的に考慮して,洪水や破堤による急迫の危険があると判断されるときに限り,樋門操作員に対して現場から離れて退避するように指示すべきであったところ,10日午前1時5分以降の見通しについて,十分に情報を収集し,分析することなく,要するに沙流川の外水位が危険水位を超過したことを大きな拠り所として本件退避指示を出したものと 指示すべきであったところ,10日午前1時5分以降の見通しについて,十分に情報を収集し,分析することなく,要するに沙流川の外水位が危険水位を超過したことを大きな拠り所として本件退避指示を出したものと解されるのであって,この点で,事業所長は河川や樋門の管理を分掌する者として職務上尽くすべき義務に違反したものといわざるを得ない。 したがって,河川管理という公権力の行使に当たる公務員たる事業所長の出した本件退避指示は,国家賠償法上違法なものと評価すべきである。 4 争点②(本件退避指示の時点において,事業所長が,逆流の発生を予見することが可能であり,本件3樋門を閉扉させる義務を負っていたか否か)について(1) 事業所長が本件退避指示を出した10日午前1時5分の時点で災害発生の危険が急迫していたと認められないことは前示のとおりであり,本来,事業所長は,引き続き樋門操作員を現場に留まらせて樋門の操作を行わせるべきであったことになるので,以下では,仮に事業所長が本件退避指示を出さなかったならば,本件3- 19 -樋門を閉扉させることになったのかどうか,事業所長の本件退避指示と外水の逆流による損害との因果関係について検討する。 ア富川D樋門の逆流についてまず,事業所長が認識していた事情等をみるに,事業所長が二風谷ダムのただし書き操作に関する情報をどの時点で入手していたのかは,証拠上必ずしも判然としないが,河川管理に携わる者であれば,午前0時水位予測を見ることでただし書き操作が行われる予定であることは直ちに理解できるものと思われる。 そして,10日午前1時の富川観測所での水位・流量は,6.34メートル・毎秒2740立方メートルであったところ,事業所長が午前1時40分ころ入手した午前1時水位予測では,1時間前に入手した午前0時水位予測 ,10日午前1時の富川観測所での水位・流量は,6.34メートル・毎秒2740立方メートルであったところ,事業所長が午前1時40分ころ入手した午前1時水位予測では,1時間前に入手した午前0時水位予測とは大きく異なり,午前2時から午前4時にかけて急激に上昇することが記載され,富川観測所での水位が計画高水位を26センチメートル上回る7.32メートルに達することが記載されていた(甲3の14頁)。 その後,事業所長は,午前2時の時点では,外水位が午前1時50分に6.55メートル(計画高水位まで約50センチメートル)となったことを認識し,ただし書き操作の影響により,それまでは10分間に約5センチメートルの幅で上昇してきた水位が,以後,それまで以上の幅で上昇するであろうことも予想できたものと推認される。 そうすると,事業所長は,計画高水位まで約50センチメートルとなり,ただし書き操作の影響がほどなく本件3樋門付近に及ぶことを考慮し,退避指示を出してから実際に樋門操作員が退避するまでに要する時間にも配慮し,遅くとも午前2時の段階では,本件3樋門の樋門操作員に退避を指示すべき状況に至ったであろうということができる。そして,本件退避指示の際は実際の退避まで15分程度要していることからすれば,事業所長が午前2時に退避指示を出した場合,午前2時15分ころ,樋門操作員が樋門から離れて退避したであろうと推認することができる。 したがって,事業所長が本件退避指示を出さなければ,午前1時50分に逆流が- 20 -発生した富川D樋門では,逆流発生後ほどなくして,樋門操作員により樋門が閉扉されたであろうと考えられる。 イコンカン川樋門及び栄町樋門の逆流について富川D樋門と異なり,コンカン川樋門と栄町樋門では,10日午前2時の時点では未だ逆流は発生して 操作員により樋門が閉扉されたであろうと考えられる。 イコンカン川樋門及び栄町樋門の逆流について富川D樋門と異なり,コンカン川樋門と栄町樋門では,10日午前2時の時点では未だ逆流は発生していなかったと認められることは前記のとおりであるから,以下,事業所長が,午前2時に退避を指示するに当たり,樋門の閉扉を指示すべきであったか否かについて検討する。 まず,事業所長に逆流発生の予見可能性があったかをみると,事業所長は,午前2時までに,富川観測所での流量が午前2時以降は急速に増加し,最高水位が7. 32メートルに達すると予測する午前1時水位予測を入手し,本件3支川の流域面積の雨量が午前0時以降少量にとどまっていた事実を認識していたはずであるところ,これらのことから合理的に導かれる推論として,事業所長は,さほど時間を置かずに外水位が大幅に上昇する一方,本件3樋門の流域の降雨量は限られていて,内水位が大きく上昇しないため,逆流が発生することを予想できたと考えられる。 この点,事業所長が午前1時20分に入手した同日午前1時時点の流域雨量予測(甲3の12頁)では,同日午前1時から午前4時までの1時間雨量は,それぞれ20ミリメートル,20ミリメートル,16ミリメートルとなっていたが(この予測を前提とした試算によると,栄町樋門と富川D樋門では逆流が発生しない結果になっている(乙42の56頁)。),実際には,午前2時の段階では,沙流川流域の多くの観測所で1時間雨量が1ミリメートル以下と少量になっており,上記雨量予測と実際の雨量は異なっていたから,ポンプ排水が継続的に行われていたコンカン川樋門と栄町樋門で内水の急激な水位上昇があるとは予想しなかったはずである。逆に,外水位に関しては,ただし書き操作による急激な水量の増加により確実に水位が上がること 水が継続的に行われていたコンカン川樋門と栄町樋門で内水の急激な水位上昇があるとは予想しなかったはずである。逆に,外水位に関しては,ただし書き操作による急激な水量の増加により確実に水位が上がることが分かっていたのであるから,遅くとも午前2時の時点で,さほど時間を置かずに逆流が発生することを予想できたというべきである。そして,逆流を防止するために樋門を閉扉したとしても,それまでに発生していた内水氾濫- 21 -が更に増大するようなこともなかったといえる。 しかも,午前1時水位予測のグラフ(甲3の14頁)を見る限りは,一旦逆流が発生すると,相当の長時間にわたって逆流状態が続くであろうことや,逆流による浸水被害が非常に大きなものになるであろうことも,容易に予想できたものと推認される。 したがって,事業所長が本件退避指示を出していなければ,午前2時には,樋門操作員に対してコンカン川樋門及び栄町樋門を閉扉して退避するように指示すべき状況に至ったであろうということができ,しかも,そのような指示を出すことは容易で,そうすることによって,これらの樋門からの外水の逆流も回避されたものと認められる。 (2) 以上のとおりであって,事業所長が本件退避指示を出さなかったならば,樋門操作員をして本件3樋門を閉扉させることになって(当時樋門操作員が樋門を閉扉するのに困難をきたすような状況にあったとはうかがわれない。),本件3樋門からの外水の逆流を防ぐことができたといえるから,事業所長の本件退避指示と外水の逆流による浸水被害との間には相当因果関係があるというべきである。 5 争点⑤(逆流によるヘドロの被害があったか否か)について(1) 証拠(甲93,乙77)によれば,本件退避指示後に発生した外水の逆流により,本件3樋門の内水域には,SS(浮遊物質)濃度 ある。 5 争点⑤(逆流によるヘドロの被害があったか否か)について(1) 証拠(甲93,乙77)によれば,本件退避指示後に発生した外水の逆流により,本件3樋門の内水域には,SS(浮遊物質)濃度が平時より上昇した状態の外水が流入したこと,本件水害時に沙流川橋で観測された外水のSS濃度は,平成13年洪水時の1.5倍程度であるところ,本件水害時には,二風谷ダム放流地点と比較して下流でより高いSS濃度が観測されていることが認められる。 したがって,沙流川下流域において高いSS濃度が観測された主要な原因は,二風谷ダムの湖底堆積物ではなく,ダム下流での激しい洪水流による河床や河岸の侵食によるものであると推認することができる。 (2) 一方,証拠(甲17)によれば,自然河川ではヘドロ(汚泥)が生成されることはないが,ダム湖などの湛水域では落葉や木の枝といった粗粒有機物が沈殿・- 22 -堆積し,貧酸素状態でヘドロ(汚泥)となり,洪水時のダムの放流でこれが移動し,その一部が下流に流れ出ること,湖底堆積物のような湖底由来のSS物質は,細粒の腐敗した有機物を豊富に含み,臭気(悪臭)が特徴であることが認められる。 したがって,上記のとおり沙流川下流域において高いSS濃度が観測された主要な原因が河床や河岸の侵食に由来するとはいえ,一部には二風谷ダムの湖底堆積物の汚泥化した物質も含まれていたと推認することができる。 (3) 以上の点を踏まえ,前記認定の事実経過をも考え合わせると,本件洪水による富川北地区の約55ヘクタールの浸水は,外水の逆流が原因となっているものの,この逆流のみによって生じたのではなく,先に内水氾濫が発生し,その後,多量のSS物質を含む外水が開扉された樋門から逆流したことにより内水位が上昇して洪水が発生したことによるものであって,い ものの,この逆流のみによって生じたのではなく,先に内水氾濫が発生し,その後,多量のSS物質を含む外水が開扉された樋門から逆流したことにより内水位が上昇して洪水が発生したことによるものであって,いわば内水氾濫と外水の逆流による洪水とが複合して生じたものといえる。 6 争点⑥(被控訴人らが被った損害の内容及び額)について(1) 損害認定の手法ア前記認定のとおり,本件洪水による富川北地区の約55ヘクタールの浸水は,内水氾濫と外水の逆流による洪水とが複合して発生したものであるから,事業所長の本件退避指示と相当因果関係のある損害は,樋門を閉扉していた場合の内水氾濫のみによる浸水被害と比較して増加した部分,すなわち,外水の逆流により増加した洪水量及び汚泥量によって拡大した損害に限られることになる。 イそこで,検討するに,まず,逆流により増加した汚泥量についてみると,本件洪水時の外水のSS濃度は,他の洪水時の1.5倍程度に達していたものの,本件水害により堆積した泥の組成や由来について特定するに足りる証拠は見当たらない。 また,本件洪水時の外水のSS濃度が通常の洪水時に比べても高いものであったこと,本件3支川が小規模河川であり,本件洪水時に,河床や河岸を削り取って多量のSS物質を内水にもたらすほど激しい流れを発生させたとは考え難いことから- 23 -すれば,外水のSS濃度は内水のSS濃度よりも相当程度高かったとはいえても,これを具体的な数値で認定するに足りる証拠は見当たらない。 この点,被控訴人らは,支川では土砂の侵食はほとんど考えられないとして,内水由来の泥の堆積はないかの如く主張し,その根拠として本件水害の調査論文(乙77)を挙げている。 しかしながら,上記調査論文(乙77)は,平成13年洪水と比べて支川からの流入による いとして,内水由来の泥の堆積はないかの如く主張し,その根拠として本件水害の調査論文(乙77)を挙げている。 しかしながら,上記調査論文(乙77)は,平成13年洪水と比べて支川からの流入による本川の流量増加の影響が相対的に小さいことを理由に,本川のSS負荷量の原因として支川等からの土砂流入の影響は小さいと判断しているものの,富川北地区における浸水のように内水と外水が混じって浸水した場合について,浸水域でのSS濃度のほとんどが外水由来になると判断しているわけではなく,同調査論文を根拠にして本件水害時に内水域に堆積した泥のすべてが外水に由来するものと認めることはできない。沙流川流域において内水氾濫のみが発生した平成18年の洪水でも屋内外に泥が堆積する被害は発生している(乙75)から,本件水害時にも,仮に樋門が閉扉されていたとしても,ある程度は泥の堆積による被害が生じたであろうことは否定し難いというべきである。 ウ次に,汚泥の臭気についてみると,逆流した外水には,一定の限度で本件3支川(自然河川)には含まれていないダムの湖底堆積物由来のSS物質(細粒の腐敗した有機物を豊富に含み臭気を有する物質)が含まれていたと推認され,本件水害時に内水域に堆積した汚泥による被害も,適切に樋門が閉扉されていた場合と比較すると,腐敗有機物の臭気が入り混じるという点で,その臭気には質的な違いがあったと認められるところ,実際に,被控訴人らは,本件洪水により室内等に堆積した泥は,内水氾濫による泥よりもひどい臭いであったと供述している(原審における原告A4本人,同A6本人)。 しかしながら,ダムのない河川の氾濫の場合であっても,被災地域では下水を含む生活排水が溢れたことによる特有の不快臭が感じられることは経験的に知られており(公知の事実),洪水は,たとえ内水 人)。 しかしながら,ダムのない河川の氾濫の場合であっても,被災地域では下水を含む生活排水が溢れたことによる特有の不快臭が感じられることは経験的に知られており(公知の事実),洪水は,たとえ内水氾濫であっても不快臭を残すものである- 24 -以上,樋門閉扉の有無により,臭気が質的に異なるということはできても,両者の臭気の不快感の程度や質の差異を具体的に認定し,これを損害として評価することは困難といわなければならない。 エ被控訴人らは,このほかに,外水由来の汚泥は容易にぬぐい去ることができないため,清掃費がかさみ,什器備品等もことごとく廃棄を余儀なくされたと主張する。 しかしながら,内水氾濫で床上浸水が生じた場合であっても,清掃の実施や什器備品の廃棄は避けられないところであって,ダムの湖底堆積物由来のSS物質には細粒の有機物が豊富に含まれるという点で泥の質に違いがあるとしても,このことにより被控訴人らの財産上の損害にどの程度の差が生じたのかを具体的に認定することは困難である。 オこれらの点を踏まえると,外水の逆流で増加した洪水量及び汚泥量によって拡大した損害は,財産的損害に関しては,民事訴訟法248条の趣旨も勘案して,洪水による浸水によって被控訴人らが失った財産又は支出を余儀なくされた費用に,それらが外水に由来するとみられる一定割合を乗じて算定するとともに,精神的損害に関しては,慰謝料として損害額を検討するのが相当である(これに対し,もっぱら逆流した外水に起因すると認められる財産的損害については,このような手法によらずに,一般の損害賠償請求における財産的損害と同様に算定すべきものである。)。 カそこで,上記一定割合の数値を検討するに,以上の点を考慮し,この数値は,浸水した内水量(深さ)と外水量(深さ)を比較して,前者を 害賠償請求における財産的損害と同様に算定すべきものである。)。 カそこで,上記一定割合の数値を検討するに,以上の点を考慮し,この数値は,浸水した内水量(深さ)と外水量(深さ)を比較して,前者を1,後者を2とする加重平均値とするのが相当である。 そして,証拠(乙68)によれば,被控訴人らの住宅等の基底部(基底部は,被控訴人A1,同A2,同A5及び同A8の住宅が土台天端であり,それ以外が地盤面である。)の高さはそれぞれ下表の「基底部高」欄に記載のとおりであることが認められ,閉扉状態での堤内最高水位及び開扉状態での堤内最高水位の再現計算値- 25 -はそれぞれ第3の2(4)(原判決書「事実及び理由」欄の第4の15)のとおり(下表「閉扉水位」欄及び「開扉水位」欄のとおり)であるから,被控訴人らの住宅等に浸水をもたらした内水の量と外水の量を高さで比較すると,下表のとおりとなる。 基底部高=A(㎝)閉扉水位=B(㎝)開扉水位=C(㎝)内水の量=B-A(㎝)外水の量=C-B(㎝)被控訴人A1の住宅 被控訴人A1の厩舎 被控訴人A2の住宅 被控訴人A4の住宅 被控訴人A5の住宅 被控訴人A5の倉庫 被控訴人A6の住宅 被控訴人A7のハウス 被控訴人A8の住宅 被控訴人会社の倉庫 そう 人A7のハウス 被控訴人A8の住宅 被控訴人会社の倉庫 そうすると,被控訴人らそれぞれについて,内水の量を1,外水の量を2とする加重平均値は下表のとおりとなり,浸水によって被控訴人らが失った財産の額又は支出を余儀なくされた費用にその加重平均値(以下,下表の加重平均値を「外水比率」という。)を乗じた額をもって,増加した洪水量及び汚泥量によって拡大した損害の額と認めるのが相当である。 浸水量 内水の量=D(㎝)外水の量=E(㎝)加重平均値=E+E/E+E+D- 26 -被控訴人A1の住宅 0.5753被控訴人A1の厩舎 0.5385被控訴人A2の住宅 0.4800被控訴人A4の住宅 0.8112被控訴人A5の住宅 0.7706被控訴人A5の倉庫 0.4941被控訴人A6の住宅 0.8509被控訴人A7のハウス 0.7241被控訴人A8の住宅 0.4038被控訴人会社の倉庫 0.8112 キところで,被控訴人らは,浸水被害を受けて家屋や家財を失った場合には,当該財産の交換価値を失うという形で損害が顕在化するというよりも,生活や生計を維持するために再調達費用を支出するという形で損害が顕在化するから,その再調達費用が損害であると主張するが,相当程度の経年劣化が存在する家屋や家財を失ったことによる財産的損 いうよりも,生活や生計を維持するために再調達費用を支出するという形で損害が顕在化するから,その再調達費用が損害であると主張するが,相当程度の経年劣化が存在する家屋や家財を失ったことによる財産的損害については,公平の見地から,再調達費用について経年減価を考慮するのが相当である。 (2) 被控訴人らの損害の内容及び額以上の検討を踏まえた被控訴人らの損害の具体的な内容及び額は,次のとおり補正するほかは,原判決書「事実及び理由」欄の第8の1,2,4ないし13に記載のとおりであるから,これを引用する。 ア原判決書36頁17行目の「別紙12」を「原判決書別紙12」と改める。 イ原判決書38頁4行目の「万円」を「114万7500円」と改める。 ウ原判決書39頁1行目の「別紙13」を「原判決書別紙13」と改める。 エ原判決書40頁25行目の「別紙16」を「原判決書別紙16」と改める。 オ原判決書41頁11行目の「別紙17」を「原判決書別紙17」と改める。 - 27 -カ原判決書42頁12行目の「別紙19」を「原判決書別紙19」と改める。 キ原判決書42頁19行目の「別紙20」を「原判決書別紙20」と改める。 ク原判決書44頁5行目の「別紙21」を「原判決書別紙21」と改める。 7 よって,原判決は相当であって,本件控訴はいずれも理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 札幌高等裁判所第2民事部 裁判長裁判官山崎 勉 裁判官片岡 武 裁判官湯川克彦 裁判官 湯川克彦
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