昭和53(オ)1213 土地建物所有権移転登記抹消登記手続

裁判年月日・裁判所
昭和55年9月11日 最高裁判所第一小法廷 判決 その他 東京高等裁判所 昭和52(ネ)2750
ファイル
hanrei-pdf-53318.txt
🤖 AI生成要約2026/3/13

【DRY-RUN】主    文      原判決中被上告人の上告人に対する本訴請求を認容した部分を破棄する。      前項の部分に関する被上告人の控訴を棄却する。      上告人のその余の上告を棄却する。     

タグ

キーワード(AI生成)

判決文本文6,165 文字)

主    文      原判決中被上告人の上告人に対する本訴請求を認容した部分を破棄する。      前項の部分に関する被上告人の控訴を棄却する。      上告人のその余の上告を棄却する。      訴訟の総費用は、これを二分し、その一を上告人の、その余を被上告人 の負担とする。          理    由  上告代理人貝塚次郎の上告理由第一点及び第二点について  一 本訴請求につき、原審の確定した事実関係は、次のとおりである。   (1) 被上告人は、昭和四六年四月頃、訴外Dに対し、その所有にかかる第一 審判決別紙目録記載の不動産(以下「本件不動産」という。)を担保として金融機 関から一二〇〇万円の融資を受けることにつきあつせんを依頼したが、その際、右 金融の便をはかるため、被上告人において訴外Dに対し本件不動産に抵当権(以下 「本件原抵当権」という。)を設定したように仮装し、同年六月二五日付で第一審 判決添付第二登記目録記載の抵当権設定登記を経由した、(2) ところが、訴外D は、被上告人の依頼の趣旨に反して、同年八月頃、右登記手続をした際に被上告人 から交付を受けていた登記関係書類を利用して、本件原抵当権に転抵当権を設定す る約定のもとに、訴外D自身が上告人から三回にわたり合計四九五万一〇〇〇円を 借り受けた、(3) 上告人は、右貸付の際、本件原抵当権が仮装のものであること を全く知らなかつた、(4) その後、上告人は、訴外Dを被告として本件転抵当権 の設定につき登記手続を求める訴を提起し、公示送達の方法により、昭和四八年二 月二七日、請求認容の判決を得、同年六月二一日付で第一審判決添付第一登記目録 記載の各転抵当権設定登記(以下「本件転抵当権設定登記」という。)を経由した。   被上告人の本訴請求は、上記(1)(2)の事実に基づき、上告人に対し、上記( - 1 一日付で第一審判決添付第一登記目録 記載の各転抵当権設定登記(以下「本件転抵当権設定登記」という。)を経由した。   被上告人の本訴請求は、上記(1)(2)の事実に基づき、上告人に対し、上記( - 1 - 4)の本件転抵当権設定登記の抹消登記手続を求めるものである(なお、付言する に、記録によると、被上告人は、第一審において、当初は、(1) 訴外Dに対し本 件原抵当権設定登記の抹消登記手続を求めるとともに、(2) 同訴外人及び上告人 に対し本件転抵当権設定登記の抹消登記手続を求め、更に、(3) 上告人に対し本 件原抵当権設定登記の抹消登記に同意すべきことを求める訴を提起したが、第一審 に係属中に、訴外Dは被上告人の(1)の請求を認諾し、他方、被上告人は(3)の請 求につきその請求の趣旨を上告人の同意のもとに撤回した結果、(2)の請求につい てのみ審判されたものであることが認められる。しかし、右の(2)の請求は、原抵 当権設定登記とは無関係に、転抵当権設定登記が実体上の権利関係と齟齬すること を理由としてその抹消を求めるものではなく(所有権に基づく妨害排除請求として は、このような請求をすることはできない。)、(3)の請求と同様、(1)の抹消登 記義務者訴外Dとの関係で右抹消登記を実現するにつきその妨げとなる上告人の本 件転抵当権設定登記の抹消を求めようとするものであつて、実質的には(3)の請求 と重複する請求であるところ、この場合における右登記の抹消については不動産登 記法一四六条により原抵当権設定登記の抹消についての上告人の承諾を要し、かつ、 これで足りるのであるから、(2)の請求すなわち本訴請求も、前記のような形式の 変更にかかわらず、上告人に対し本件原抵当権設定登記の抹消の承諾を求めるもの と解すべきである。)。  二 次に、本訴請求についての原審の判断は、次のとおり の請求すなわち本訴請求も、前記のような形式の 変更にかかわらず、上告人に対し本件原抵当権設定登記の抹消の承諾を求めるもの と解すべきである。)。  二 次に、本訴請求についての原審の判断は、次のとおりである。すなわち、原 審は、(1) 上告人が訴外Dに対し金員を貸し付けて本件転抵当権の設定を受けた 際、上告人は本件原抵当権が仮装のものであることを知らなかつたから、被上告人 は上告人に対し本件原抵当権の無効をもつて対抗することができない、(2) しか し、転抵当権の取得をもつて原抵当権の抵当債務者に対抗するためには、民法三七 六条の規定に従い、原抵当権者からその抵当債務者へ右転抵当権設定の通知がされ - 2 - るか、又は右抵当債務者の承諾があることが必要であるところ、本件においてはそ の点の主張・立証がない、(3) したがつて、上告人は本件転抵当権の取得をもつ て被上告人に対抗することができない、として、被上告人の本訴請求を認容した。  三 しかしながら、原抵当権が虚偽仮装のものであることにつき善意で転抵当権 の設定を受けた者は、たとえ右転抵当権の取得につき民法三七六条一項所定の要件 を未だ具備しておらず、したがつて、右権利そのものを行使し、又は権利取得の効 果を原抵当権設定者に主張することができない場合であつても、民法九四条二項の 関係では、すでに有効な転抵当権設定契約に基づき一定の法律上の地位を取得した 者として同条項にいう善意の第三者に該当するものということを妨げないと解すべ きであるから、原抵当権設定者は、これに対する関係では、右原抵当権が虚偽仮装 のものであることを主張することができないというべきである。そして、前記原審 の認定するところによれば、本件において、上告人は訴外Dの有する本件原抵当権 が当事者の通謀による虚偽仮装のものであることを知らずに同訴外人から本 張することができないというべきである。そして、前記原審 の認定するところによれば、本件において、上告人は訴外Dの有する本件原抵当権 が当事者の通謀による虚偽仮装のものであることを知らずに同訴外人から本件転抵 当権の設定を受けたというのであるから、被上告人は、上告人に対しては、右原抵 当権が虚偽仮装のものであることを主張することができないものといわなければな らない。   ところで、被上告人の上告人に対する本訴請求は、さきに述べたように、本件 転抵当権が被上告人に対抗しえないこと、その意味において被上告人に対する関係 では不存在というべきものであることを理由として右転抵当権設定登記の抹消を求 めるものではなく、本件原抵当権設定登記の抹消登記を実現するにつき上告人の有 する転抵当権設定登記の存在が支障となつているので、上告人に対し、不動産登記 法一四六条による登記上の利害関係人として右抹消についての承諾をすべきことを 求めるものであり、被上告人が右原抵当権設定登記の抹消登記を請求する理由は、 右原抵当権が当事者の通謀による虚偽仮装のものであるというにあるのである。し - 3 - たがつて、問題は、上告人が、前記登記にかかる転抵当権の存在自体を被上告人に 対抗しえないにもかかわらず、なお前記のように被上告人から右原抵当権設定の無 効を対抗されない地位にあることを主張して右原抵当権設定登記の抹消登記に対す る承諾を拒み、自己の有する転抵当権設定登記を保持することができるかどうかに 帰するものというべきところ、原審は、その結論においてこれを否定するのである が、当裁判所は、次の理由により、逆にこれを肯定すべきものと考える。   すなわち、転抵当権の設定を受けた者が民法三七六条一項の規定との関係で右 転抵当権の取得を原抵当権設定者に対抗しうるかどうかということと、その者が右 転抵当権設 、逆にこれを肯定すべきものと考える。   すなわち、転抵当権の設定を受けた者が民法三七六条一項の規定との関係で右 転抵当権の取得を原抵当権設定者に対抗しうるかどうかということと、その者が右 転抵当権設定登記を取得し、かつ、これを保持しうるかどうかということとは本来 別個の問題であり、転抵当権の設定を受けた者は、民法の右規定による対抗力の取 得の有無にかかわらず、転抵当権設定者に対して有する契約上の登記請求権に基づ いてその設定登記の実現をはかることができ、その反面、すでに右転抵当権設定登 記を得ている場合には、原抵当権設定者に対する関係においても、被担保債権の消 滅による原抵当権の消滅等自己に対抗しうる原抵当権設定登記の抹消原因が存在す るときでなければ、その抹消登記についての承諾請求があつても、これを拒否して 自己の転抵当権設定登記を保持しうる地位を有するものであり、この場合、前記転 抵当権取得の対抗力の有無は、右の転抵当権取得者に対抗しうる原抵当権設定登記 の抹消原因の成否との関係で問題となりうるにすぎないと解されるのである。そう すると、本件においては、上告人はすでに本件転抵当権設定の附記登記を得ており、 他方被上告人の本件原抵当権設定登記の抹消の原因は、右原抵当権が被上告人と訴 外Dとの通謀による虚偽仮装のものであるというのであつて、右理由は前記のよう に本件転抵当権の対抗力の有無とは関わりなく上告人に対抗することができないも のであるから、上告人は、このような原因による原抵当権設定登記の抹消に対して は、その承諾を拒否することができるものといわざるをえない。 - 4 -  四 してみれば、原判決中、被上告人の本訴請求を認容した部分は、結局、民法 三七六条一項の解釈、適用を誤つた違法があることに帰するところ、右違法は原判 決に影響を及ぼすことが明らかであるから、同旨 -  四 してみれば、原判決中、被上告人の本訴請求を認容した部分は、結局、民法 三七六条一項の解釈、適用を誤つた違法があることに帰するところ、右違法は原判 決に影響を及ぼすことが明らかであるから、同旨をいう論旨は理由があり、右部分 は破棄を免れない。そして、原審の確定した事実関係のもとにおいては、被上告人 の本訴請求が理由のないものであることは、前記説示に照らして明らかである。し たがつて、被上告人の請求を棄却した第一審判決は正当であり、被上告人の本件控 訴は理由がないからこれを棄却すべきである。   同第三点について  一 上告人の反訴請求は、要するに、(1) 上告人は、前記上告理由第一点及び 第二点に対する判示中に明らかにされたように、訴外Dに対し、合計四九五万一〇 〇〇円を貸し付け、本件不動産につき転抵当権の設定を受けたから、右貸付の時点 で訴外Dの被上告人に対する仮装の貸付金債権につき法律上の利害関係を生じたも のであるところ、右貸付の当時、上告人は右貸付金債権が仮装のものであることを 知らなかつたから、民法九四条二項の善意の第三者に該当する、(2) その後、昭 和四七年三月二一日、上告人と訴外Dとの間で、同訴外人において上告人に対し、 前記貸金合計四九五万一〇〇〇円と他二口の貸金合計三〇万円とを併せて同月末日 限り支払うとの裁判上の和解が成立した、(3) 上告人は、昭和五〇年一一月二六 日、右和解調書に基づき、訴外Dを債務者とし、被上告人を第三債務者として右貸 付金債権七〇〇万円のうち四九五万一〇〇〇円について債権差押及び取立命令を得、 右決定正本はそのころそれぞれ訴外Dと被上告人に送達された、と主張して、上告 人に対して右四九五万一〇〇〇円の支払を求める、というのである。  二 思うに、民法九四条二項所定の第三者の善意・悪意は、同条項の適用の対象 となるべき法律 外Dと被上告人に送達された、と主張して、上告 人に対して右四九五万一〇〇〇円の支払を求める、というのである。  二 思うに、民法九四条二項所定の第三者の善意・悪意は、同条項の適用の対象 となるべき法律関係ごとに当該法律関係につき第三者が利害関係を有するに至つた 時期を基準として決すべきものと解するのが相当であるところ、本件反訴において、 - 5 - 上告人は、転抵当権を行使するのではなく、その主張の貸金債権についての債務名 義である和解調書に基づく強制執行として得た債権差押及び取立命令による取立権 を行使するものであるから、上告人が本件原抵当権の被担保債権である貸付金債権 七〇〇万円のうち四九五万一〇〇〇円について利害関係を有するに至つたのは、上 告人が訴外Dに右金員を貸し付けて転抵当権の設定を受けた時ではなく、上告人が これにつき債権差押命令を得た昭和五〇年一一月二六日である、と解すべきもので ある。しかるところ、原審の確定するところによれば、本件原抵当権及びその被担 保債権が仮装のものであることを主張して本件転抵当権設定登記の抹消を求める被 上告人の本訴の訴状が上告人に送達されたのは昭和四九年七月一九日であり、その 後の訴訟の経過により、上告人は、前記債権差押命令を得た当時、本件原抵当権が 虚偽表示によるものであつて、その被担保債権が存在しないことを知つていた、と いうのであるから、上告人がその差押にかかる四九五万一〇〇〇円の債権が存在し なかつたことについて民法九四条二項所定の善意の第三者といえないことは明らか である。してみれば、これと同旨の判断のもとに上告人の反訴請求を排斥した原審 の判断は、正当である。   もつとも、原審が、上告人の請求を排斥するについて、上告人が本件原抵当権 の被担保債権について法律上の利害関係を有するに至つたものといえない理由とし て、上告 を排斥した原審 の判断は、正当である。   もつとも、原審が、上告人の請求を排斥するについて、上告人が本件原抵当権 の被担保債権について法律上の利害関係を有するに至つたものといえない理由とし て、上告人は本件転抵当権の取得をもつて被上告人に対抗しえないものであること を挙げていること、右理由が必ずしも当を得たものといえないことは、所論のとお りである。しかしながら、右は、原審が付加的に説示した理由付けにすぎないもの であることは、原判決の判文に照らして明らかであるから、右説示部分の違法をい う論旨は、ひつきよう、原判決の結論に影響を及ぼさない原判決の見解を論難する にすぎないことに帰する。したがつて、論旨は、採用することができない。   結   論 - 6 -   よつて、民訴法四〇八条、三九六条、三八四条、九六条、九二条の規定に従い、 裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。      最高裁判所第一小法廷          裁判長裁判官    中   村   治   朗             裁判官    団   藤   重   光             裁判官    藤   崎   萬   里             裁判官    本   山       亨 - 7 -

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る