平成22(レ)13 不当利得返還請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
平成22年9月27日 大分地方裁判所 棄却 別府簡易裁判所 平成21(ハ)166
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判決文本文10,408 文字)

平成22年9月27日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成22年(レ)第13号不当利得返還請求控訴事件(原審・別府簡易裁判所平成21年(ハ)第166号不当利得返還請求事件(本訴),同第219号貸金請求事件(反訴))口頭弁論終結日平成22年7月12日判決主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実 及び理由第1控訴の趣旨 原判決を次のとおり変更する。 被控訴人は,控訴人に対し,42万3414円及び内金41万4860円に対する平成18年1月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被控訴人の反訴請求を棄却する。 訴訟費用は,第1,2審を通じ被控訴人の負担とする。 2項につき仮執行宣言(なお,控訴人の控訴状には,「判決は,全部不服であるから,控訴を提起する。」とし,その控訴の趣旨には,「1.原判決を以下の通り変更する。 記被控訴人は,控訴人に対し,42万3414円及びうち41万4860円に対する平成18年1月19日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 2.訴訟費用は第一審,第二審とも被控訴人の負担とする。との判決並びに第1項につき仮執行宣言を求める。」と記載されており,本訴請求と反訴請求とは,両立しない関係にある過払を前提とした不当利得返還請求権と貸金債権であることからしても,控訴人は原判決の被控訴人の反訴請求を認容した 部分の取消し・請求棄却も求めていることは明らかである。)第2事案の概要 本件は,控訴人が被控訴人に対し,平成12年10月31日から平成18年1月18日までの間,継続的になされた複数の貸付け及びこれらに対する弁済について,控訴人が支払った保証料は利息制限法3条のみなし利息に該当することを前提とした上で,同弁済金のうち 1日から平成18年1月18日までの間,継続的になされた複数の貸付け及びこれらに対する弁済について,控訴人が支払った保証料は利息制限法3条のみなし利息に該当することを前提とした上で,同弁済金のうち,利息制限法1条1項所定の利息の制限額を超えて利息として支払われた部分を元本に充当すると,原判決添付別紙計算書1(以下,単に「計算書1」という。)のとおり42万3414円の過払金等が発生しているとして,不当利得返還請求権に基づき,過払元金41万4860円及び確定利息8554円並びに過払元金に対する最終取引日の翌日から支払済みまで民法704条前段所定の年5分の割合による利息の支払を求めた(本訴)のに対し,被控訴人が控訴人に対し,控訴人が支払った保証料は利息制限法3条のみなし利息には該当しないなどと主張して,控訴人の請求を争った上で,上記貸付金につき利息制限法所定の利率に引き直して充当計算をしても,原判決添付別紙計算書2(以下,単に「計算書2」という。)のとおり貸金残2万2762円(元本)があるとして,元本及びこれに対する最終取引日の翌日である平成18年1月19日から支払済みまで約定利率である年26.28パーセントの割合による遅延損害金の支払を求めた(反訴)事案である。 原審は,控訴人が支払った保証料は利息制限法3条のみなし利息に該当せず,それを前提に計算すると控訴人に貸金債権が残るとして,本訴請求を棄却し,反訴請求の全部を認容したことから,これに不服の控訴人が控訴を提起した。 前提事実以下の事実は,当事者間に争いがないか,括弧内に記載した証拠及び弁論の全趣旨により認定することができる。 (1)平成12年6月1日施行の改正法(平成11年法律第155号)により, 出資法5条2項所定の上限利率は,年40.004パーセントから年29. 2パーセ 論の全趣旨により認定することができる。 (1)平成12年6月1日施行の改正法(平成11年法律第155号)により, 出資法5条2項所定の上限利率は,年40.004パーセントから年29. 2パーセントに引き下げられたが,有限会社A(以下「A」という。)は,上記改正法施行の直前である同年5月1日に設立された(甲11)。 (2)貸金業者である被控訴人は,同月22日,Aとの間で信用保証基本契約を締結した。同契約7条は「前条の保証債務の支払額は,甲(注・A)が,当該会計年度末(毎年9月末日)において,未経過保証料とされた受取保証料総額(乙(注・被控訴人)との関係で受領したものに限る)から甲の乙に対する当該年度の支払済業務委託手数料を控除した残額の90%を限度として,甲乙協議のうえ決定する。」と規定している(甲6)。 (3)被控訴人は,同日,Aとの間で業務委託契約を締結した。同契約書1条は「乙(注・被控訴人)は,信用保証委託契約に関して甲(注・A)を代理して,次の業務を行う。(1)借主から甲に対しての信用保証委託契約書の作成および徴収(2)保証委託契約の変更,解除の申し出の受付(3)甲の保証料の領収(4)保証書の交付ならびに保証料領収証の発行(5)その他,信用保証委託契約に関し必要とする調査等」と規定している(甲7)。 (4)控訴人は,被控訴人との間で,計算書1の年月日,借入金,返済金欄記載のとおり,いずれの貸付けも利息及び遅延損害金が年29.2パーセントの約定で金銭消費貸借取引等を行い,被控訴人は,利息制限法所定の制限利率を超過する部分を利息の債務の弁済として受領した(乙1,15の1ないし13)。 ただし,計算書1の左番号欄2,10,18,25,31,37,45,52,59,67,74,82,90,103記載の各金額は,い る部分を利息の債務の弁済として受領した(乙1,15の1ないし13)。 ただし,計算書1の左番号欄2,10,18,25,31,37,45,52,59,67,74,82,90,103記載の各金額は,いずれも後記(6)の保証料として控訴人が支払ったものであり,これが被控訴人において利得した利息とみなされるかについては後記のとおり争いがある。 また,計算書1の左番号欄102の50万円の貸付けの返済方法は,平成 17年7月から平成19年6月まで毎月18日限り元利金として毎回3万円(最終返済日は残元金と利息)を支払い,上記支払を1回でも怠ったときは期限の利益を失い,直ちに債務全額を弁済するとの約定であった(乙1)ところ,控訴人は平成17年7月18日の支払を怠ったので期限の利益を喪失した。 (5)Aは,控訴人と被控訴人との間の上記金銭消費貸借取引に係る控訴人の借入金債務につき,控訴人との間で,保証料5パーセントで保証委託契約を締結した(甲5,弁論の全趣旨)。 (6)控訴人は,上記保証委託契約に基づき,被控訴人を介して,前記(4)のとおりAに対して保証料を支払った(甲7,弁論の全趣旨)。 (7)Aは,被控訴人のほか,有限会社B,有限会社C,有限会社D,有限会社E,有限会社F,株式会社Gとの間でも保証業務を行っていたところ,被控訴人代表者の妻であるHは有限会社B及び有限会社Cの取締役に,被控訴人代表者の長女であるIは有限会社Dの取締役に就任している(甲9の1・2,甲10,12ないし14,15の2ないし5,甲20の1・2)。 (8)Aの平成12年10月1日から平成13年9月30日までの間における総売上高は16億2819万7894円,売上原価(保証弁済金)は14億4447万9265円,平成13年10月1日から平成14年9月30日までの間における総売 から平成13年9月30日までの間における総売上高は16億2819万7894円,売上原価(保証弁済金)は14億4447万9265円,平成13年10月1日から平成14年9月30日までの間における総売上高は18億8377万1207円,売上原価(保証弁済金)は15億4366万7621円,平成14年10月1日から平成15年9月30日までの間における総売上高は21億0830万4798円,売上原価(保証弁済金)は18億4655万3929円,平成15年10月1日から平成16年9月30日までの間における総売上高は22億6848万7970円,売上原価(保証弁済金)は20億0032万6813円であり,総売上高に対する売上原価(保証弁済金)の割合は,それぞれ約88.7パーセント,約81.9パーセント,約87.6パーセント,約88.2パー セントである(甲15の2ないし5)。 (9)被控訴人が所在するJビルは,平成7年12月15日から平成20年12月25日までの間,その敷地は,平成7年12月15日から平成17年3月22日現在まで,いずれも被控訴人の代表者であるKの所有であり,その隣にあるA所在のLビルは,平成12年11月24日から平成20年12月25日までの間,その敷地は,平成12年11月24日から平成17年3月28日現在まで,いずれもHの所有である(甲8の1ないし7,甲9の1・2,甲31の1・2)。 争点及びこれに対する当事者の主たる主張(1)控訴人が支払った保証料は利息制限法3条のみなし利息に該当するか。 (控訴人の主張)ア利息制限法及び出資法(以下「利息制限法等」という。)は一定の利率以上の利息の収受を禁止しているところ,その立法趣旨は,貸倒れリスク回避は利息制限法等の範囲内で行うべきということである。そうすると,借主が支払う保証料は,高 「利息制限法等」という。)は一定の利率以上の利息の収受を禁止しているところ,その立法趣旨は,貸倒れリスク回避は利息制限法等の範囲内で行うべきということである。そうすると,借主が支払う保証料は,高利での利息の約定同様に貸倒れリスク回避をその目的とするものであるから,上記各法の制限に服する。本件で,控訴人は,多数回なされた借換えの際にも貸付け額の5パーセントの保証料を支払っているところ,名目貸付額から保証料を除いた金額を貸付額,名目約定利息と保証料を合わせた金額を約定利息として計算した本件取引の利率は,平均して年約46.771パーセント,個別の貸付けごとにみると年53.173パーセントに達することもあり,著しい利息制限法等を超える高利となるから,本件で支払われた保証料は利息制限法3条のみなし利息に該当する。 なお,被控訴人は,保証料を代理受領しているし,Aからの代位弁済により保証料を回収できる立場にあるので,保証料は利息制限法3条の「債権者の受ける元本以外の金銭」に当たるし,不当利得返還請求の要件であ る「利得」は被控訴人に存する。 イ利息制限法3条は「債権者の『受ける』元本以外の金銭」を利息とみなす旨規定するところ,以下のとおり,被控訴人とAには一体性が認められ,控訴人が支払った保証料は代位弁済等という形で被控訴人に利益が環流している(少なくとも利益の環流目的がある)から,上記要件に該当するし,不当利得返還請求の要件である利得も認められる。 (ア)被控訴人の貸付けの大部分は保証を付けることが条件とされており,保証会社に委託する場合はAに限定されているところ,Aが保証する会社は,Kの関係者が経営する会社ばかりである。 (イ)被控訴人の所在地はKの所有であり,その隣のAの所在地はHの所有である。 (ウ)Aは,信用調査や保証料率の 限定されているところ,Aが保証する会社は,Kの関係者が経営する会社ばかりである。 (イ)被控訴人の所在地はKの所有であり,その隣のAの所在地はHの所有である。 (ウ)Aは,信用調査や保証料率の決定等,その業務の大半を被控訴人に委託している。 (エ)Aは平成14年10月に現在の住所に移転した後,高額の家賃・敷金・礼金を支払っているところ,現在の家主である有限会社Mは,代表取締役がK,取締役がHである。 (オ)Aは平成13年6月6日にKから高額のゴルフ会員権を購入している。 (カ)Aは,高額な役員報酬,従業員給与を支払っており,これが被控訴人に流れていないとは考えがたい。 (キ)Aと被控訴人との間の信用保証基本契約によれば,Aによる保証債務の支払額は,Aが被控訴人から受領した保証料総額から支払済み業務委託手数料を差し引いた残額の90パーセントを限度とするとされているところ,Aの総売上高に対する売上原価(保証弁済金)の割合は,いずれも90パーセント近くに上っており,被控訴人は,貸倒れリスク一切を回避して貸付金及び利息を満額回収できる立場にあった。 すなわち,Aは被控訴人の顧客から徴収した保証料名目の金銭を積み立てるだけの機関でしかなく,独立した信用保証会社としての体を成していなかった。 (ク)平成12年6月1日,業として金銭の貸付けを行う場合の上限金利を年40.004パーセントから年29.2パーセントに引き下げる出資法の改正法が施行されたが,Aが設立されたのは,その直前の平成12年5月1日であった。 (ケ)被控訴人においては,保証期間の途中で借換えが行われても保証料が精算されない。 (被控訴人の主張)ア利息制限法3条は「債権者の『受ける』元本以外の金銭」を利息とみなす旨規定するところ,被控訴人は,保証料を代理受領したに 期間の途中で借換えが行われても保証料が精算されない。 (被控訴人の主張)ア利息制限法3条は「債権者の『受ける』元本以外の金銭」を利息とみなす旨規定するところ,被控訴人は,保証料を代理受領したに過ぎず,受領した保証料はAに送金しているから,被控訴人は保証料を収受しておらず,保証料は「債権者の『受ける』元本以外の金銭」に当たらない。また,不当利得返還請求の要件である利得もない。 イ以下のとおり,被控訴人とAに一体性は認められず,控訴人が支払った保証料は代位弁済等という形で被控訴人に環流しているとはいえないから,利息制限法3条の「債権者の『受ける』元本以外の金銭」に該当しない。 (ア)被控訴人とAとの間には,被控訴人がAの株式を相当程度保有しているなどの資本関係はなく,これに準じる密接な人的関係もない。 (イ)被控訴人は,Aの複数ある取引先の1社に過ぎない。また,Aの保証先にはK及びその家族が役員を務める会社が存在するが,そうでない会社もある。 (ウ)被控訴人が信用保証委託契約の締結業務及び保証料の徴収業務を代行することは,業務の円滑な処理や顧客の便宜のためであり,何ら問題はないし,Aの行う顧客の信用調査を被控訴人の従業員が行ったり,被 控訴人が保証料率を決定した事実はない。 (エ)Aが賃貸借契約に基づいて家賃等を支払うのは当然であるし,ゴルフ会員権の購入や高額な役員報酬,従業員給与は,みなし利息該当性とは関係がない。 (オ)Aによる保証は被控訴人の融資の絶対条件ではない。 (カ)5パーセントの保証料率は決して高額ではない。 (2)被控訴人は民法704条前段所定の悪意の受益者か。 (控訴人の主張)貸金業者である被控訴人は利息制限法の制限を超える利息を受領していたことを認識していたのであるから,貸金業法43条1項の適用を満たす 被控訴人は民法704条前段所定の悪意の受益者か。 (控訴人の主張)貸金業者である被控訴人は利息制限法の制限を超える利息を受領していたことを認識していたのであるから,貸金業法43条1項の適用を満たすとの認識を有するに至ったことについてやむを得ないと認められる特段の事由を主張・立証しない限り悪意の受益者であると推定されるところ,被控訴人はこれについて何らの主張・立証もしていないから,悪意の受益者に当たる。 (被控訴人の主張)被控訴人は控訴人に対し,貸金業法17条1項の書面を交付している。また,同法18条1項の書面は交付していないが,同条2項は,預金又は貯金の口座に対する払込みその他内閣府令で定める方法により弁済を受ける場合については,当該弁済をした者の請求があった場合に限り同条1項の規定を適用するとしており,控訴人は,同項の書面の交付を請求しなかったのであるから,被控訴人は,同法43条1項のみなし弁済の要件を満たし,悪意の受益者に当たらない。 第3当裁判所の判断 争点(1)(控訴人が支払った保証料は利息制限法3条のみなし利息に該当するか。)について(1)利息制限法3条は,債権者の受ける元本以外の金銭は,礼金,割引金,手数料,調査料その他いかなる名義をもってするかを問わず,利息とみなす 旨規定している。これは,債権者の受ける元本以外の金銭は利息の実質を有することから,債権者がこれらの名義を用いて利息の制限を潜脱して金銭を収受することを防ぐ趣旨であるところ,かかる利息制限法3条の趣旨に照らせば,同条の「債権者の受ける」とは,債権者が自らに帰属するものとして交付を受けることを意味するものと解される。 そうすると,一般に,債務者が保証会社に保証料を支払った場合,金銭の交付を受けたのは保証会社なのであるから,これをもって直ちに保証料を 帰属するものとして交付を受けることを意味するものと解される。 そうすると,一般に,債務者が保証会社に保証料を支払った場合,金銭の交付を受けたのは保証会社なのであるから,これをもって直ちに保証料を「債権者の受ける」金銭ということはできないし,また,債権が回収不能となった場合に債権者が保証会社から保証債務の履行を受けることは保証契約に基づく当然の帰結であるから,将来において代位弁済がなされる可能性がある点を捉えて当該保証料が直ちに「債権者の受ける」金銭に当たると認めることもできない。 しかしながら,上記利息制限法3条の趣旨からすれば,債権者への金銭の帰属は実質的に判断すべきであるから,貸金業者において,法を潜脱し,最終的には保証料を自らに還流させる目的で,借主をして保証会社に対する保証委託をさせたような場合には,保証会社による代位弁済等を通じて当該保証料は実質的に債権者に帰属するから,保証会社が収受した保証料は利息制限法3条のみなし利息に当たると解すべきである(最高裁平成15年7月18日第二小法廷判決・民集57巻7号895頁参照)。 なお,控訴人は,貸倒れリスク回避は利息制限法等の範囲内で行うべきというのが利息制限法3条の立法趣旨であるから,一般に,保証料はみなし利息の対象になり得る旨主張するが,利息制限法3条の立法趣旨は,元本使用の対価である利息の実質を有するものは名義を問わず利息とみなすことにしたものであり,それ故,元本使用の対価ではなく費用たる実質を有する契約の締結及び債務の弁済の費用は利息とみなさない旨明記されている。そうすると,保証料は,元本使用の対価の実質を有しないものであるから,当然に は,みなし利息の対象となり得ないものである。よって,控訴人の上記主張は採用できない。 そこで,以下,被控訴人が法を潜脱し,最終的には保 は,元本使用の対価の実質を有しないものであるから,当然に は,みなし利息の対象となり得ないものである。よって,控訴人の上記主張は採用できない。 そこで,以下,被控訴人が法を潜脱し,最終的には保証料を自らに還流させる目的で本件保証料を支払わせたか否かを判断する。 (2)アまず,貸付額に対する利息及び保証料の割合は,利息制限法等の利息の制限利率を大きく超えており,控訴人は保証料の支払により高金利の負担を負うこととなる。 また,弁論の全趣旨によれば,被控訴人においては,保証期間の途中で借換えが行われても保証料が精算されていないことが認められる。 イさらに,Aの設立経緯についてみると,前記前提事実(1)のとおり,Aは,出資法5条2項所定の上限利率引下げの改正法施行直前に設立されている。もっとも,Aの設立に被控訴人が関与していることを認めるに足りる証拠はない。 ウ次に,業務の内容及び実態等についてみると,前記前提事実(3)のとおり,被控訴人はAから,信用保証委託契約書の作成,保証委託契約の変更,解除の申出の受付,保証書の交付等の業務委託を受けていたが,証拠(乙6ないし9)及び弁論の全趣旨によれば,これらの業務委託については,業務の円滑な処理や顧客の便宜のため,他の金融機関においても行われていることであり,また,保証料率の決定等の重要な業務については,被控訴人がAから業務委託を受けていたことを認めるに足りる証拠はない。 エまた,被控訴人とAとの関係についてみると,前記前提事実(7)及び(9)のとおり,Aは被控訴人代表者の妻であるHの所有地に所在し,その保証先には被控訴人の代表者であるKの関係者が役員を務める貸金業者が複数含まれているが,被控訴人とAとはあくまで別会社であり,両者間に資本関係が存しないことはもとより,両社に共通する役員や従 ,その保証先には被控訴人の代表者であるKの関係者が役員を務める貸金業者が複数含まれているが,被控訴人とAとはあくまで別会社であり,両者間に資本関係が存しないことはもとより,両社に共通する役員や従業員等の存在についても,これを認めるに足りる証拠はない。 オAの保証債務履行状況についてみると,前記前提事実(2)のとおり,Aと被控訴人との信用保証基本契約によれば,Aによる保証債務の支払額は,Aが被控訴人の借主から受領した保証料総額から支払済業務委託手数料を控除した残額の90パーセントを限度とされているところ,前記前提事実(8)によれば,Aは現に代位弁済を行っており,毎年,保証料収入のうち概ね10ないし20パーセント程度を自社の利益として計上している。 カ控訴人は,AがKから高額のゴルフ会員権を購入していると主張するが,Aが時価より高額な値段で同会員権を購入したことを認めるに足りる証拠はない。また,控訴人は,Aが高額な役員報酬等を支払っていると主張するが,これらが被控訴人に流れていることを認めるに足りる証拠はない。 さらに,控訴人は,Aが高額な家賃・敷金・礼金を支払っていると主張するが,当該家賃等が相場よりも高額であることを認めるに足りる証拠はない。 (3)そうすると,貸付額に対する利息及び保証料の割合が法の制限利率を大きく超えていること,保証期間の途中で借換えが行われても保証料が精算されていないこと及びAの設立時期は,被控訴人において法を潜脱する目的を有していたことを窺わせる事情といえるが,他方で,Aの業務の内容及び実態等をみても,法を潜脱する目的を推認させるに十分な事情は認められず,被控訴人とAとの関係についてみても,両者間に親密な関係があることは窺えるものの,法を潜脱する目的を推認させるような密接な関係があるとまではいえな 潜脱する目的を推認させるに十分な事情は認められず,被控訴人とAとの関係についてみても,両者間に親密な関係があることは窺えるものの,法を潜脱する目的を推認させるような密接な関係があるとまではいえない。 また,Aの保証債務履行状況についてみると,確かに信用保証基本契約によれば,Aによる保証債務の支払額は90パーセントを限度としており,通常の保証会社と異なる定めになっているが,被控訴人のような貸金業者の顧客は通常よりも貸倒れリスクが多いのであるから,そのような顧客に対する信用保証を行うに際し,その貸倒れリスクを保証料率に反映させて高額の保 証料を徴収する代わりに,上記のような約定を貸金業者と交わして,不測の事態に備えるということは経済的合理性を有しており,また,Aは,代位弁済を行いつつ,保証料収入との差額を自社の利益として概ね10パーセントないし20パーセント程度計上しているのであるから,上記のような約定や代位弁済状況でもって,Aが被控訴人の顧客から徴収した保証料名目の金銭を積み立てるだけの機関でしかなく,独立した信用保証会社としての体を成していなかったとの控訴人主張事実を認めることはできない。かえって,Aが概ね10パーセントないし20パーセント程度の利益を計上していること及びAが12名もの従業員を抱えて営業していること(甲15の4)からするならば,Aは保証料を被控訴人に環流させるための業者ではなく,自己の信用保証業務によって利益を追求しようとしている被控訴人とは独立した業者であると認めるのが相当である。 そうすると,控訴人が主張する諸事情を総合考慮しても,被控訴人において,法を潜脱し,最終的には保証料を自らに還流させる目的で,借主をして保証会社に対する保証委託をさせたものとは認められない。 よって,控訴人が支払った保証料は利息制限法 総合考慮しても,被控訴人において,法を潜脱し,最終的には保証料を自らに還流させる目的で,借主をして保証会社に対する保証委託をさせたものとは認められない。 よって,控訴人が支払った保証料は利息制限法3条のみなし利息に該当せず,控訴人の主張は採用できない。 結論 以上を前提に利息制限法に基づく引き直し計算をすると計算書2のとおりであるから,その余の争点を判断するまでもなく,過払金等は発生せず,被控訴人主張の貸金債権が残ることとなる。 よって,本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし,控訴費用の負担につき民事訴訟法67条1項本文,61条を適用し,主文のとおり判決する。 大分地方裁判所民事第2部裁判長裁判官一志泰滋 裁判官今井弘晃裁判官佐藤智彦

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