平成18(わ)2099 強姦未遂、強姦致傷被告事件

裁判年月日・裁判所
平成18年12月8日 大阪地方裁判所
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判決文本文4,282 文字)

- 1 -主文被告人を懲役17年に処する。 未決勾留日数中150日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,第1〔平成18年6月9日起訴分〕帰宅途中のA(当時19歳)を認めるや,強いて同女を姦淫しようと企て,平成17年6月22日午前零時55分ころ,大阪府吹田市a町b丁目c番d号付近歩道上において,同女に対し,いきなり背後からその口を手で塞ぐとともに,その腰部付近を腕で抱え込んで,同女を同歩道横に設置された階段に連れ込み,さらに,転倒した同女のスカートをつかんで引きずり,同女を同市a町b丁目c番e号f団地集会所東側畦道上に連れ込んだ上,その腹部に馬乗りになり,その両腕を両膝で地面に押し付け,「おとなしくしろ。刺したりせえへんから」「騒ぐなよ」と申し向けるなどの暴行,脅迫を加え,その反抗を抑圧して,強いて同女を姦淫し,その際,上記暴行により,同女に加療約3日間を要する全身多発性擦過傷の傷害を負わせた第2〔平成18年7月11日起訴分〕帰宅途中のB(当時23歳)を認めるや,強いて同女を姦淫しようと企て,平成17年10月19日午前零時20分ころ,大阪府吹田市a町b丁目c番f団地g棟南側路上において,同女に対し,いきなり背後からその口を手で塞ぐとともに,その腹部付近を腕で抱え込んで,同女を上記g棟南側敷地内に連れ込んだ上,同女を地面に転倒させ,同女に対し,「殺すぞ」などと申し向けるなどの暴行,脅迫を加え,その反抗を抑圧して,強いて同女を姦淫し,その際,上記暴行により,同女に全治約3週間を要する顔面及び両下肢切創,皮下出血創の傷害を負わせた- 2 -第3〔平成18年8月31日起訴分〕自転車で帰宅途中のC(当時19歳)を認めるや,強いて同女を姦淫しようと企て,平成17年12月7日午後10時ころ,大阪府吹田市a町 創の傷害を負わせた- 2 -第3〔平成18年8月31日起訴分〕自転車で帰宅途中のC(当時19歳)を認めるや,強いて同女を姦淫しようと企て,平成17年12月7日午後10時ころ,大阪府吹田市a町b丁目h番f団地i棟東側路上付近において,同女に対し,いきなり背後からその口を手で塞ぐとともに,その腹部付近を腕で抱え込んで,自転車から引きずり下ろし,同女を路上に転倒させた上,「静かにしろ。殺されたいんか」などと申し向けるとともに,その腹部を手拳で1回殴打するなどの暴行,脅迫を加え,その反抗を抑圧して,強いて同女を姦淫しようとしたが,同女の悲鳴を聞いた近隣住民が駆け付けたため,その場から逃走し,その目的を遂げず,その際,上記暴行により,同女に加療約1週間を要する両膝挫創等の傷害を負わせた第4〔平成18年5月12日起訴分〕帰宅途中のD(当時21歳)を認めるや,強いて同女を姦淫しようと企て,平成18年3月9日午前零時40分ころ,大阪府吹田市a町b丁目c番d号付近歩道上において,同女に対し,いきなり背後からその口を手で塞ぐとともに,その頚部付近を腕で抱え込み,同歩道下の空き地に同女を連れ込んだ上,「殺されたくないやろ。刺すぞ」などと申し向け,その頚部を両手で絞め付けるなどの暴行,脅迫を加えて,その反抗を抑圧し,さらに,同市a町b丁目c番f団地j棟北東側空き地に同女を連行して,強いて同女を姦淫しようとしたが,同女が生理中であったため,その目的を遂げなかった第5〔平成18年4月21日起訴分〕帰宅途中のE(当時29歳)を認めるや,強いて同女を姦淫しようと企て,平成18年4月1日午前零時18分ころ,大阪府吹田市a町b丁目c番d号付近歩道上において,同女に対し,いきなり背後からその目を手で塞ぐとともに,その肩付近を腕で抱え込み,「静かにしろ。騒ぐ と企て,平成18年4月1日午前零時18分ころ,大阪府吹田市a町b丁目c番d号付近歩道上において,同女に対し,いきなり背後からその目を手で塞ぐとともに,その肩付近を腕で抱え込み,「静かにしろ。騒ぐな」と申し向け,同歩道下の空き地に連れ込んで強いて姦淫すべく,同女を引きずったまま同空き地に続く階段を降りようとしたが,警戒中の警察官らに発見されたため,その目的を遂- 3 -げなかったものである。 (法令の適用)被告人の判示第1及び第2の所為は刑法181条2項(同法177条前段),判示第3の所為は同法181条2項(同法179条,177条前段),判示第4及び第5の所為は同法179条,177条前段にそれぞれ該当するところ,判示第1ないし第3について所定刑中有期懲役刑を選択し,以上は同法45条前段の併合罪であるから,同法47条本文,10条により刑及び犯情の最も重い判示第2の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役17年に処し,同法21条を適用して未決勾留日数中150日をその刑に算入することとし,訴訟費用については,刑事訴訟法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させないこととする。 (量刑の理由)本件は,強姦致傷3件(判示第1,第2は強姦既遂,第3は強姦未遂)及び強姦未遂2件(判示第4,第5)の事案である。 本件各犯行の現場となったのは,いずれも,住民が退去してほとんど人気のなくなったアパート団地内の一角であるが,被告人は,このような場所で女性を襲えば,他人に発見されずに犯行を行うことができると考えて,各犯行に及んだものである。 被告人は,深夜,同団地の周辺などで待ち伏せ,通行中の女性に狙いをつけて,いきなりその背後から襲いかかり,建物の陰などに連れ込むなどし,強烈な暴行脅迫を加えて被害者を極度に畏怖させて反抗を抑圧した上,姦淫し ,深夜,同団地の周辺などで待ち伏せ,通行中の女性に狙いをつけて,いきなりその背後から襲いかかり,建物の陰などに連れ込むなどし,強烈な暴行脅迫を加えて被害者を極度に畏怖させて反抗を抑圧した上,姦淫し,あるいは姦淫しようとしたもので,犯行態様は卑劣かつ悪質である。被告人は,犯行の前に,被害者の顔に被せるためのニット帽や,ローション,バイブレーターなどを準備するなどしており,いずれも極めて狡猾で計画的な手口による犯行である。現場付近を通行していて突然被告人に襲われ,強烈な暴行脅迫を受けて姦淫され,あるいは姦淫されそうになった被害者らの肉体的苦痛はもちろん,その精神的苦痛は計り知れず,その恐怖感や屈辱感は誠に大きいものであったと考えられる。2件の犯行において- 4 -は,被害者は強いて姦淫されたばかりか傷害を負わされており,結果は極めて重大である。そのほかの3件の犯行においては,強姦は未遂にとどまったが,それは,被害者の悲鳴を聞いて近隣住民が駆けつけたため被告人が逃走した,被害者が生理中であったとか,現場付近を警戒していた警察官に発見されて取り押さえられたなどのために未遂にとどまったに過ぎない。そのうちの傷害を負わせた件は当然のこと,傷害を生じなかった2件においても,被害者に与えた苦痛衝撃は著しいものであったと思われる。 被害を受けた女性は,いずれも深刻な被害感情を述べている。すなわち「外出するときも常に自分の背後に人がいないか確認しなければ歩くことができなくなった。 被害にあったことを思い出したくもないのに思い出して頭が痛くなったり,不安感に包まれる苦しみは今も続いている」「私は徒歩で帰宅しようとしていたというだけなのに被害に遭った,今でもそのときの恐怖がよみがえることがあって事件のことを忘れることができない。ニット帽を被せられ,口は塞がれ る苦しみは今も続いている」「私は徒歩で帰宅しようとしていたというだけなのに被害に遭った,今でもそのときの恐怖がよみがえることがあって事件のことを忘れることができない。ニット帽を被せられ,口は塞がれ苦しく,不安の中,「殺すぞ」と繰り返された恐怖は今も少しも消えることがない。本当に殺されるのだと死の恐怖で一杯だった」「突然男に襲われ,自分の身がどうなってしまうのか,これまでにない恐怖を感じた。事件以降現場付近を通るのが怖くなった」「一人では夜道を歩くことができなくなった。後ろから人が近づいてくる足音が聞こえると被害にあったことを思い出して,何かされるのではないかという恐怖心から何度も後ろを振り返って自分の安全を確認するようになった。私の心に深く傷をつけ,それまでの平凡な生活を奪い去った被告人のことを絶対に許すことができない」「自宅にいても,少しの物音でも気になり,怖くて仕方がないようになった。いつまでこのようにビクビクしないといけない日が続くのだろう,いつになったら被害のことを忘れることができるのだろうと思う毎日を送っている」などと訴え,一様に苦しい胸の内を述べているが,その癒えぬ思いは察するに余りある。被害感情がいずれも峻烈であるのも当然である。 被告人は,警察官として市民の安全を守る立場にありながら,レイプもののアダ- 5 -ルトビデオを見るうちに強姦願望を持つようになり,自己の性欲を満たすだけのために,被害女性らの心情など一顧だにせず犯行を繰り返したもので,自己中心的で余りに身勝手な動機に酌量の余地などあろうはずがない。また,被告人は,約10か月の間に本件5件の犯行を重ねたもので,この種事犯の常習性は顕著である。 以上によれば,被告人の刑事責任は極めて重いといわなければならない。 他方,被告人が,各事実を認め,反省の態度を示しているこ か月の間に本件5件の犯行を重ねたもので,この種事犯の常習性は顕著である。 以上によれば,被告人の刑事責任は極めて重いといわなければならない。 他方,被告人が,各事実を認め,反省の態度を示していること,判示第2及び第4の被害者に対し,各250万円を被害弁償金として支払い,第4の被害者との間では示談が成立していること(なお,被害者は示談成立後も厳しい処罰感情を有している。),他の被害者に対しても被害弁償を続けていく旨約していること,被告人の父親が今後の監督を約していること,被告人には前科前歴がないことなど被告人のために酌むべき事情も認められる。 そこで,これら諸般の事情を総合考慮した上,被告人を主文の刑に処するのが相当であると判断した。 よって,主文のとおり判決する。 (求刑懲役25年)平成18年12月8日大阪地方裁判所第1刑事部秋山敬裁判長裁判官山田裕文裁判官柏原佐紀裁判官

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