【DRY-RUN】主 文 本件抗告を却下する。 抗告費用は抗告人の負担とする。 理 由 抗告人は、小倉区裁判所が債権者D株式会社、債務者抗告人間の同裁判所昭和十 八年
主文 本件抗告を却下する。 抗告費用は抗告人の負担とする。 理由 抗告人は、小倉区裁判所が債権者D株式会社、債務者抗告人間の同裁判所昭和十八年(ケ)第七二号不動産競売事件について昭和十九年三月一日にした競落許可決定に対し、福岡地方裁判所に抗告の申立をしたが、同裁判所は同年八月三十一日抗告棄却の決定をしたところ、抗告人は、小倉区裁判所の競落許可決定及び福岡地方裁判所の抗告棄却の決定に対し大審院に抗告の申立をし、大審院において、昭和二十二年三月十三日抗告却下の決定があつた後、更に右小倉区裁判所、福岡地方裁判所及び大審院の各決定に対し大審院に抗告の申立をし、その抗告事件について、同年九月二十六日裁判所法施行令第一条の規定により東京高等裁判所が抗告却下の決定をしたことは記録上明かであつて、抗告人は、右小倉区裁判所、福岡地方裁判所、大審院及び東京高等裁判所の各決定に対し、本件抗告を申立てたのである。しかし、裁判所法第七条の規定によれば、最高裁判所は上告の外「訴訟法において特に定める抗告」について裁判権を有するのであるが、ここにいう「訴訟法において特に定める抗告」とは、日本国憲法の施行に伴う民事訴訟法の応急的措置に関する法律第七条に定める抗告又は日本国憲法の施行に伴う刑事訴訟法の応急的措置に関する法律第十八条に定める抗告のように訴訟法において特に最高裁判所の権限に属するものと定められた抗告をいうのであつて、訴訟法にかような特別の定めのあるものを除いては決定又は命令に対し、最高裁判所に抗告を申立てることは許されないものと解すべきである(当裁判所昭和二十二年(ク)第一号昭和二十二年十二月八日決定参照)。そして、現在訴訟法にかような特別の定めがあるのは、右両法条に定める法律、命令、規則又は処分が憲法 許されないものと解すべきである(当裁判所昭和二十二年(ク)第一号昭和二十二年十二月八日決定参照)。そして、現在訴訟法にかような特別の定めがあるのは、右両法条に定める法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するか否かについての判断の不当を理由- 1 -とする抗告のみであるが、本件抗告がこれに該当しないことは、抗告状自体により明白であるから、本件抗告は、この点において不適法といわなければならない。そればかりでなく、小倉区裁判所の競落許可決定に対しては、抗告人から当時適法な抗告を申立て、抗告裁判所たる福岡地方裁判所によつて抗告棄却の決定がなされたのであるからこれに対し更に抗告の申立が許さるべきものではなく、福岡地方裁判所の抗告棄却の決定は当時施行されていた裁判所構成法戦時特例により抗告裁判所のした決定に対しては抗告が許されないためすでに確定したのであるから、同法が廃止されたからといつて、これに対し更に抗告が許さるべきではない。又大審院の決定に対し更に民事訴訟法の規定による抗告を申し立てることが許されないことは、大審院が屡々判示した通りであり、この事は、東京高等裁判所が裁判所法施行令第一条の裁判権に基いてした前記決定についても、また同様である。この点からいつても、本件抗告が不適法であることは明かである。よつて本件抗告を却下すべきものとし、抗告費用を抗告人に負担せしめ、主文の通り決定する。 この決定は裁判官全員の一致した意見によるものである。 昭和二十二年十二月十九日最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官長谷川太一郎裁判官井上登裁判官庄野理一裁判官島 太一郎裁判官井上登裁判官庄野理一裁判官島保裁判官河村又介- 2 -
▼ クリックして全文を表示