主文 1 被告は、原告Aに対し、55万円及びこれに対する令和4年10月13日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 2 被告は、原告Bに対し、22万円及びこれに対する令和4年10月13日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 3 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用の負担は、次のとおりとする。 (1) 原告Aと被告との間に生じた費用はこれを2分し、その1を原告Aの負担とし、その余を被告の負担とする。 (2) 原告Bと被告との間に生じた費用はこれを5分し、その4を原告Bの負担 とし、その余を被告の負担とする。 5 この判決の第1項及び第2項は、仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求の趣旨被告は、原告ら各自に対し、それぞれ110万円及びこれに対する令和4年 10月13日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は、被告市議会議員である原告らが、被告市議会からそれぞれ出席停止の懲罰(地方自治法135条1項3号)を受けたことについて、同懲罰を原告 らに科したのは被告市議会の裁量権を逸脱するものであって違法な公権力の行使であるとして、国家賠償法1条による損害賠償請求権に基づき、被告に対し、それぞれ、慰謝料及び弁護士費用合計110万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である令和4年10月13日から支払済みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 1 前提事実(当事者間に争いがないか、文末掲記の証拠により容易に認定す ることができる事実)(1) 原告らは、いずれも被告市議会議員である。 (2) 本件に関連する古河市議会会議規則(以下「本件規則」という。 がないか、文末掲記の証拠により容易に認定す ることができる事実)(1) 原告らは、いずれも被告市議会議員である。 (2) 本件に関連する古河市議会会議規則(以下「本件規則」という。)の定めは、別紙1のとおりである(甲2)。 (3) 原告Aは、令和2年3月17日、令和2年第1回古河市議会定例会(以 下、古河市議会定例会については、「令和〇年第〇回定例会」などという。)において別紙2の最初の「◆21番(A君)」の部分のとおりの発言をし(以下「本件発言1」という)、同定例会において本件発言1を取り消す旨の発言をした(甲3)。その後、自己の市議会における活動を報告するチラシ(甲1。以下「本件チラシ」という。)に本件発言1に係る内容を 掲載し、本件チラシは同年5月25日の新聞の朝刊の折り込みに入れられていた。そして、同年6月9日、同日開会の令和2年第2回定例会において、C議員が本件チラシの配布に関して懲罰動議を発議し、これを受けてD議長(当時)は、前記C議員を含む議員10名を懲罰特別委員会委員として指名し、同委員会は原告Aについて出席停止の懲罰を科すべきと決し てその旨定例会に報告し、被告市議会は、別紙3の理由により原告Aを4日間の出席停止とする懲罰の議決をした(以下「本件懲罰1」という。甲4、乙18、19)。本件懲罰1により、原告Aは同日から4日間被告市議会に出席することができなかった。なお、本件発言1は被告市議会の会議録から削除されていない。 (4) 原告Bは、令和3年9月15日、令和3年第3回定例会において別紙4の「◆9番(B君)」及び「9番B議員」の部分のとおり発言したところ(以下「前件発言」という。)、被告市議会は、同日、別紙5の理由により原告Bを1日の出席停止とする懲罰の議決をした(以下 いて別紙4の「◆9番(B君)」及び「9番B議員」の部分のとおり発言したところ(以下「前件発言」という。)、被告市議会は、同日、別紙5の理由により原告Bを1日の出席停止とする懲罰の議決をした(以下「前件懲罰」という。乙5)。 (5) 原告Bは、令和4年3月3日、令和4年第1回定例会において別紙6の 「◆9番(B君)」の部分のとおり発言したところ(以下「本件発言2」という。)、これについてE議員が本件発言2に関して懲罰動議を発議し、これを受けてF議長(当時)は、前記E議員を含む議員10名を懲罰特別委員会委員として指名し、同委員会は原告Bについて5日間の出席停止の懲罰を科すべきと決してその旨定例会に報告し、被告市議会は、同日、別 紙7の理由により原告Bを5日間の出席停止とする懲罰の議決をした(以下「本件懲罰2」という。甲5、乙6、21)。本件懲罰2により、原告Bは同日から同月7日まで被告市議会に出席することができなかった。 (6) 原告らは、令和4年9月28日、本件訴訟を提起し、訴状副本は被告に同年10月12日、送達された(顕著事実)。 2 争点及び争点に関する当事者の主張本件の争点は、(1) 本件懲罰1の違法性の有無、(2) 本件懲罰2の違法性の有無、(3) 損害額であり、争点に関する当事者の主張は以下のとおりである。 (1) 本件懲罰1の違法性の有無 ア原告Aの主張(ア) 本件懲罰1は次のとおり本件規則に反して行われたものである。 a 本件規則上、懲罰の事由となるのは議会内の言動に限られるのにも関わらず、被告市議会は議会外の言動について懲罰を科した。 b 本件規則上、懲罰の動議は懲罰事犯があった日から起算して3日 以内に提出しなければならないとされているところ、本件懲罰1に のにも関わらず、被告市議会は議会外の言動について懲罰を科した。 b 本件規則上、懲罰の動議は懲罰事犯があった日から起算して3日 以内に提出しなければならないとされているところ、本件懲罰1に係る懲罰の動議はその要件を充足していない。 (イ) 原告Aが本件発言1を取り消す旨申し出たのは、発言内容が虚偽であったためではなく不確かな部分があったために再度調査するという理由によるものであり、調査の結果により裏付けが取れればそもそ も取り消す必要もなかったものであるから、原告Aが本件発言1を取 り消す旨申し出たことをもって、本件発言1と同じ内容を本件チラシに掲載したことが直ちに被告市議会の品位や権威を貶めるものと評価することはできない。 (ウ) 次のとおり、本件懲罰1は相当性を欠く。 a 本件発言1は会議録に掲載された公開の情報であり、そのような 情報を本件チラシに記載して配布することが被告市議会の品位や権威を貶めるとはそもそも考え難く、仮にそのようなことがあったとしても極めて軽微なはずである。 b いわゆるコロナ禍により被告市議会の会期が4日間に短縮されており、4日間の出席停止の懲罰を科すことによって原告Aは被告市 議会の令和2年3月定例会に全く出席することができなくなるのであるから、本件懲罰1は重きにすぎる。 (エ) 被告の主張に対する反論は、次のとおりである。 a 原告Aは、本件発言1について、議長が会議録から削除する旨の宣言をしなかったことから会議録に掲載されるであろうことを知っ ていた。 b 地方自治法134条2項は、懲罰に関し必要な事項は会議規則中に定めなければならない旨を規定し、懲罰の中には除名も含まれている。また、真に議会外の言動を懲罰の対象にする必要性があるのであれば会議規 地方自治法134条2項は、懲罰に関し必要な事項は会議規則中に定めなければならない旨を規定し、懲罰の中には除名も含まれている。また、真に議会外の言動を懲罰の対象にする必要性があるのであれば会議規則である本件規則を改正すれば足りるのであるから、 本件チラシの配布行為を懲罰の対象にすることは本件規則に違反する。 イ被告の主張議会外の言動であっても、議会の活動と密接な関係を有する場合には懲罰の事由となり得るものと解すべきであるところ、原告Aは、議場と いう公開の場において不確かな情報として取消を申し出た発言内容を本 件チラシに掲載して配布したものであるから、議会の活動と密接な関係を有するというべきである。 また、懲罰の動議の期間制限については、本件のように議会閉会中に議場外において起きたものに関しては、懲罰事犯があった直後の議会活動が開始した実質的な初日から起算して3日以内に懲罰の動議を提出す れば足りるものと解すべきである。本件懲罰1に係る動議は、原告Aが本件チラシを配布した後の直近の議会である令和2年第2回定例会の初日になされたものであり、期間制限に反しているとはいえない。 (2) 本件懲罰2の違法性の有無ア原告Bの主張 (ア) 原告Bが本件発言2をした際、ロシアのウクライナ侵攻を非難する決議は出されておらず、このような被告市議会の対応の遅さに注意喚起をする意味で本件発言2を行ったものである。また、被告市議会の議長が原告Bに対して明確に注意したのは2度目に声をかけた時であり、これに対して原告Bは「わかっています。もうすぐ終わりま す。」と答え、実際にその後12秒ほどで議案の内容に入ろうとしているが、議長は前記発言後8秒後に暫時休憩を告げており、5秒程度猶予を与えていれば原告 告Bは「わかっています。もうすぐ終わりま す。」と答え、実際にその後12秒ほどで議案の内容に入ろうとしているが、議長は前記発言後8秒後に暫時休憩を告げており、5秒程度猶予を与えていれば原告Bは本題に入っていた。そうすると、本件発言2が被告市議会の品位や権威を貶めるものと評価することはできない。 (イ) 本件発言2は議題との直接の関係はないにしても、地方議会の議員の責務及び令和4年第1回定例会の議題全体との関係からしても本件発言2は許容されるべきものである。 (ウ) 本件懲罰2は5日の出席停止というものであり、本件規則の定める最も長い出席停止期間を定めるものである。また、令和4年第1回 定例会の会期は令和4年3月3日から同月18日までであるところ、 同月7日まで出席が停止されるというのは、原告Bの住民代表としての責務に重大な制限を課する極めて重い懲罰であり、仮に本件発言2が被告市議会の品位や権威を貶めるものと評価されるものであったとしても、本件懲罰2は重きにすぎる。 (エ) 令和3年第3回定例会において原告Bに対してされた懲罰(前件 懲罰)は、原告Bが事実に基づく発言をしたのに対して事実と異なる発言をしたとの誤った事実認識のもとになされたものであるから、違法不当なものであり、本件懲罰2の内容を重くする理由とはならない。 イ被告の主張(ア) 本件発言2について議長が1度目に注意をしようとしたところ、 原告Bは議長の注意を遮って議案外の発言を続け、その後も議案の内容に入る様子が見られなかったため2度目の注意をしたが、原告Bは依然として議案外の発言を続けていたため、議長は暫時休憩の宣言をせざるを得なかった。なお、被告市議会においては、一般質問や討論等における読み上げ原稿の事前提出を求め め2度目の注意をしたが、原告Bは依然として議案外の発言を続けていたため、議長は暫時休憩の宣言をせざるを得なかった。なお、被告市議会においては、一般質問や討論等における読み上げ原稿の事前提出を求めておらず、どの時点で本題 に入るのかを予測することはできない。 (イ) 本件発言2は、本件発言2がされた議題の討論の場で発言がされるべきものではなく、緊急質問や動議において同意を得て発言をすべきものである。 (ウ) 原告Bは、令和3年第3回定例会において、今回と同様の行為を 行い、1日の出席停止の懲罰(前件懲罰)を受けているにも関わらず、今回の懲罰特別委員会においても反省が見られず、より重い処分が必要との判断により本件懲罰2の処分となったものである。 (エ) 原告Bは、本件懲罰2の出席停止期間中、討論を行う場面はなく、定例会最終日に議長の許可を得て広く討論を行っている。また、同出 席停止期間のうち、令和4年3月4日から同月6日までは休会となっ ており、出席停止の影響は同月3日及び同月7日の実質2日間にとどまっており、重きにすぎるとはいえない。 (3) 損害額ア原告Aの主張慰謝料100万円、弁護士費用10万円 イ原告Bの主張慰謝料100万円、弁護士費用10万円ウ被告の主張原告らの主張は争う。 第3 当裁判所の判断 1 前提普通地方公共団体の議会の議員に対する出席停止の懲罰の適否は、司法審査の対象となるというべきである(最高裁令和2年11月25日大法廷判決・民集74巻8号2229頁参照)。 2 本件懲罰1の違法性の有無(争点(1))について (1) 地方自治法134条1項が議員の懲罰を規定しているのは、議会の秩序を維持し、その運営を円滑ならしめるためであって 29頁参照)。 2 本件懲罰1の違法性の有無(争点(1))について (1) 地方自治法134条1項が議員の懲罰を規定しているのは、議会の秩序を維持し、その運営を円滑ならしめるためであって、議員の個人的行為を規律するためではない。そうすると、議員の議場外の行為であって、しかも議会の運営と全く関係のない個人的行為は同条による懲罰の事由にならないものと解するのが相当である(最高裁昭和28年11月20日判決・ 民集7巻11号1246頁参照)。 (2) 本件懲罰1について検討すると、本件懲罰1の対象とされた原告Aの言動は、被告市議会において本件発言1を撤回する発言をしておきながら、自己の被告市議会における活動を報告するチラシ(本件チラシ)に本件発言1にかかる内容を記載し(原告Aも、本件チラシの記載が被告市議会に おける活動報告であることを前提としている。)、本件チラシを新聞折り込 みの形で配布した(以下「本件配布行為」という。)というものである。 そして、被告市議会は、原告Aの前記言動のうち本件配布行為が、市民を惑わし議会の品位や権威をおとしめ議会の信用失墜になるとして本件懲罰1を科したものである(別紙3の内容に照らし、被告市議会が、本件発言1を行ったこと自体や本件発言1を取り消したこと自体を懲罰の対象とし ているわけではないことは明らかである。)。 (3) 地方自治法134条1項による懲罰の事由については、議会外の活動であっても、議会の存立活動と場所的時間的に接着する等密接不可分の関係に立つものであり、かつ、議会の秩序が維持されなくなったり、その運営が円滑に進まなくなったりするような具体的な危険が発生するものについ ては懲罰の事由となるとの見解もある。しかしながら、仮にこのような見解を採るとして 会の秩序が維持されなくなったり、その運営が円滑に進まなくなったりするような具体的な危険が発生するものについ ては懲罰の事由となるとの見解もある。しかしながら、仮にこのような見解を採るとしても、本件チラシの内容こそ被告市議会の定例会における発言が含まれているものの、本件配布行為自体は原告Aの個人的な政治活動にすぎないものというべきであって、前記見解において懲罰の事由となるとされる事情、すなわち、議会の存立活動と場所的時間的に接着する等密 接不可分の関係に立つものであるとか、議会の秩序が維持されなくなったり、その運営が円滑に進まなくなったりするような具体的な危険が発生するといった事情があるとは到底認められない。 (4) そうすると、本件配布行為はそもそも懲罰事由に当たらないものというべきであるから、その余の点について判断するまでもなく、本件配布行為 を懲罰事由とした本件懲罰1は国家賠償法1条1項の適用上違法というべきである。 3 本件懲罰2の違法性の有無(争点(2))について(1) 地方議会の議員に対する懲罰は、会議体としての議会内の秩序を保持し、もってその運営を円滑にすることを目的として科されるものであり、その 行使については、議事機関としての自主的かつ円滑な運営を確保すべく、 議会の自律的な権能が尊重されるべきものである。出席停止の懲罰については、議会の自律的な権能に基づいてされたものとして、議会に一定の裁量が認められ、これが違法となるのは、議会の判断が裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用した場合に限られるというべきである。 他方、出席停止の懲罰は、憲法上の住民自治の原則に根拠を持つ議会 の公選の議員に対し、議事に参与して議決に加わるなどの議員としての中核的な活動を不可能とさせ 限られるというべきである。 他方、出席停止の懲罰は、憲法上の住民自治の原則に根拠を持つ議会 の公選の議員に対し、議事に参与して議決に加わるなどの議員としての中核的な活動を不可能とさせ、住民から負託された議員としての責務を十分に果たすことを妨げるものであるから、議会がした出席停止の懲罰につき裁量権の範囲の逸脱又は濫用があるか否かの判断に当たっては、議会の紀律と品位を保持するために前記のような重大な結果を伴う出席停止の懲罰 を科すほどの必要性ないし相当性があるか否かという観点を考慮する必要がある。 また、普通地方公共団体の議員は住民の代表として議会において討論し、地方政治の問題点を質疑することを重要な責務とするものであるから、議会における発言を理由として出席停止の懲罰が科された場合には、その 適否の判断に当たり、議会における議員の発言の自由について高度の保障を必要とすることも考慮すべきである(以上につき、仙台高裁令和3年(ネ)第174号・令和4年6月1日判決参照)。 (2) 本件発言2は、原告Bが、古河市長の令和3年度古河市一般会計補正予算(第10号)の専決処分についての承認を求めるという議案に対して反 対討論を求め、その際に前記専決処分とは直接関連しないロシアによるウクライナ侵攻に対する対応を問いただしたというものであり、議長が同発言を途中で制止しようとして発言しかけているにも関わらず、前記発言を続行したものである。このように、本件発言2は議案の内容とは直接関連しないものであり、原告Bが議長による注意を最後まで聞くことなく発言 を続けたことから、議長としてもやむを得ず議事を止め暫時休憩とせざる を得なかったものと考えられ、本件発言2は全体から見れば円滑な議事進行を妨げたも を最後まで聞くことなく発言 を続けたことから、議長としてもやむを得ず議事を止め暫時休憩とせざる を得なかったものと考えられ、本件発言2は全体から見れば円滑な議事進行を妨げたものとして懲罰の事由があると評価されてもやむをえないものといえる。 (3) ところで、原告Bは、令和3年第3回定例会においても発言内容で出席停止1日の懲罰(前件懲罰)を受けているところ(前提事実(4))、その懲 罰事由は、提出議案の内容とかけ離れ、G議員が非民主的に議会運営を主導したかのような事実と異なる発言を繰り返したというものである。しかしながら、前件発言は、当該提出議案は陳情に基づくものであるところ、他の多くの陳情があるにもかかわらずG議員がそれらの陳情とは異なる扱いを求めたのではないかという問題提起から始まり、G議員が関与したと 原告Bの考えている他の事例も挙げて、当該議案提出に至る経緯をとらえて同議案の手続的な問題を指摘したものであるといえ、議案に関連していない意見であるとまではいえない。また、前件懲罰が「事実と異なる」とする発言内容は、当該定例会の議事録において削除された部分に照らすと、全員協議会の議題の公表時刻がG議員の一言により変更しないものとされ たことを指すものと考えられる。この部分については、原告B本人尋問において原告Bも供述するように、原告Bが直接体験した事実ではなく、会派代表者会議に参加したJ議員から聞いた話であることからすると(原告B本人27頁)、このような断定的な発言をするまでの根拠があったか否かについては疑いも残るところである。もっとも、そのほかの削除された 発言は断定的な表現をするものではなく、前件発言を総合的に見るならば、G議員の主導によって議会の議論が左右されてしまうことについて問 ては疑いも残るところである。もっとも、そのほかの削除された 発言は断定的な表現をするものではなく、前件発言を総合的に見るならば、G議員の主導によって議会の議論が左右されてしまうことについて問題提起をするものといえるから、被告市議会が前件懲罰に係る懲罰事由があったと認定したことには疑問が残るものといわざるを得ない。仮に、懲罰事由があった旨の認定が可能であったとしても、原告Bがそれ以前に懲罰を 受けたことがうかがわれないこと、議会における議員の発言の自由の重要 性にかんがみると、議会の自律性を踏まえても、当該発言を理由として発言機会を奪う結果となる出席停止1日という処分は重きにすぎたというべきである。 そうすると、本件懲罰2の相当性を判断するに際しては前件懲罰において出席停止1日という処分がされたことを前提とすることは相当ではな く、加えて前記同様、議会における議員の発言の自由の重要性にかんがみると、議会の自律性を踏まえても、本件懲罰2において発言機会を奪う結果となる出席停止3日という処分としたことは重きに過ぎ、議会の裁量権を著しく逸脱した又はこれを濫用したものというべきである。したがって本件懲罰2は国家賠償法1条1項の適用上違法というべきである。 4 損害額(争点(3))について被告は原告らに対して国家賠償法上の損害賠償義務を負うところ、原告らの懲罰の対象とされた言動の内容、出席停止の期間等、本件に顕れた全ての事情を考慮すると、慰謝料の額及び本件各懲罰と相当因果関係の認められる弁護士費用(原告らが訴訟代理人弁護士をそれぞれ選任したことは当 裁判所に顕著である。)は次のとおりと認めるのが相当である。 (1) 原告A慰謝料50万円、弁護士費用5万円(2) 原告B慰謝料2 告らが訴訟代理人弁護士をそれぞれ選任したことは当 裁判所に顕著である。)は次のとおりと認めるのが相当である。 (1) 原告A慰謝料50万円、弁護士費用5万円(2) 原告B慰謝料20万円、弁護士費用2万円 5 付言事案の性質にかんがみ付言する。証拠(甲4、17、乙18ないし21、証人F、証人D、原告A本人、原告B本人)によれば、前件懲罰、本件懲罰1及び本件懲罰2においてはいずれも、議長の指名により懲罰動議を発議した議員のみによって懲罰特別委員会が構成され、前記各懲罰を行うこ とを求める委員会報告がなされ、前記各懲罰に至ったことが認められる。 ところで、本件規則162条は「懲罰については、委員会の付託を省略して議決することはできない。」と定めている。これは、懲罰が議員の活動に一定の制約を及ぼす性質のものであることから慎重な審理を行うべきであるとの考えを前提として、まずは委員会に付託して委員会において審理を行い、その報告を踏まえて議会において審理及び議決を行うとしたものと 考えられる。そうすると、議員に対して懲罰の動議を発議する議員と懲罰特別委員会を構成する委員とが同じ場合、懲罰特別委員会の結論が動議の内容と異なるものとなるとはまず考え難いから、このような委員会の構成方法は、委員会へ付託し慎重な審理を求めた本件規則162条の趣旨に反するのではないかとの疑問を禁じ得ないところである。 第4 結論以上によれば、原告らの請求は、被告に対し、原告Aについては55万円及びこれに対する令和4年10月13日から支払済みまで年3分の割合による金員の支払を命ずる限度で、原告Bについては22万円及びこれに対する令和4年10月13日から支払済みまで年3分の割合による金員の支払を命ずる限度 10月13日から支払済みまで年3分の割合による金員の支払を命ずる限度で、原告Bについては22万円及びこれに対する令和4年10月13日から支払済みまで年3分の割合による金員の支払を命ずる限度 で、それぞれ理由があるから認容し、その余の請求は理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。 水戸地方裁判所下妻支部 裁判長裁判官渡辺力 裁判官石田憲一 裁判官三島聖子 (別紙1) 本件規則の定め (発言内容の制限)第55条発言は、全て簡明にするものとし、議題外にわたり、又はその範囲を超えてはならない。 2 議長は、発言が前項の規定に反すると認めるときは、注意し、なお従わない場合は、発言を禁止することができる。 3 議員は、質疑に当たっては、自己の意見を述べることができない。 (質疑の回数)第56条質疑は、同一議員につき、同一議題について3回を超えることができ ない。ただし、特に議長の許可を得たときは、この限りでない。 (発言時間の制限)第57条議長は、必要があると認めるときは、あらかじめ発言時間を制限することができる。 2 議長は、議長の定めた時間の制限について、出席議員4人以上から異議があ るときは、討論を用いないで会議に諮って決める。 (議事進行に関する発言)第58条議事進行に関する発言は、議題に直接関係のあるもの又は直ちに処理する必要があるものでなければならない。 2 議事進行に関する発言がその趣旨に反すると認めるときは、議長は、直ちに 制止しなければならない。 (中略)第6章懲罰(懲罰動議の提出) する必要があるものでなければならない。 2 議事進行に関する発言がその趣旨に反すると認めるときは、議長は、直ちに 制止しなければならない。 (中略)第6章懲罰(懲罰動議の提出)第161条懲罰の動議は、文書をもって所定数の発議者が連署して、議長に提 出しなければならない。 2 前項の動議は、懲罰事犯があった日から起算して3日以内に提出しなければならない。ただし、第49条第2項又は第113条第2項の規定の違反に係るものについては、この限りでない。 (懲罰動議の審査)第162条議会は、第37条第3項の規定にかかわらず、懲罰については、委 員会の付託を省略して議決することはできない。 (戒告又は陳謝の方法)第163条戒告又は陳謝は、議会の決めた戒告文又は陳謝文によって行う。 (出席停止の期間)第164条出席停止は、5日を超えることができない。ただし、数個の懲罰事 犯が併発した場合又は既に出席を停止された者について、その停止期間内に更に懲罰事犯が生じた場合は、この限りでない。 (別紙2) 令和2年第1回定例会(甲3)◆21番(A君)(略)次に、H市長のタイ旅行について伺います。答弁があまりいただけないので、残念です。都合のいいときは知事の公文書を持っていったのだと言い、都合の悪 いときには私費での旅行だから話せないでは、市民も職員も納得できないと思います。タイ旅行はツアーで、JALの飛行機で行ったようで、これは確実な筋からの情報です。H市長たちの一行はとても楽しそうな会話をしながら搭乗口にいたとのことです。たまたまその辺で見ていた人が教えてくれました。H市長とG議員のほかに、古河市の入札業者がツアーに参加していたようです。業者は3社 ちの一行はとても楽しそうな会話をしながら搭乗口にいたとのことです。たまたまその辺で見ていた人が教えてくれました。H市長とG議員のほかに、古河市の入札業者がツアーに参加していたようです。業者は3社 とのことですが、タイ旅行に同行した入札業者は誰ですか。分かったら教えていただきたいと思います。私的な旅行だから話せないでは、市民は納得しません。 市長である以上、いつでも、どこでも公人です。古河市14万3,000人の首長でもあります。行動に責任を持たねばなりません。いつまでも隠し事をすると、ますます疑惑が持たれると思います。一緒に行った業者名を胸を張ってお答えい ただきたいと思います。 (略)○議長(D君) この際、申し上げます。 ただいまA議員から、一般質問における発言について会議規則第65条の規定によって発言を取り消したいとの申出がありましたので、これを許します。 A議員。 ◆21番(A君) 先ほど一般質問において私が発言いたしました、入札業者3名の同行と、JALに乗った業者がいるとの2件につきましては、不確かな情報であったことから、おわびを申し上げます。発言を取消しさせていただき、この真意については改めて調査をしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 (別紙3)令和2年第1回古河市議会定例会(3月17日)の一般質問において、確かな筋の情報としてタイ旅行はツアーで、JALの飛行機で行った、指名業者3社が同行したなど発言を取り消したにもかかわらず、疑惑の4日間として新聞折り込みやポスティングを行い、市民を惑わしたことや議会の品位や権威をおとしめる ものであり、議会の信用失墜になる。よって議会として、また議員として名誉のため懲罰を科されたい。 (別 ティングを行い、市民を惑わしたことや議会の品位や権威をおとしめる ものであり、議会の信用失墜になる。よって議会として、また議員として名誉のため懲罰を科されたい。 (別紙4) 令和3年第3回定例会(注) 下線部は議事録から削除された部分である。 ◆9番(B君) 9番、日本共産党のBです。ただいま議題となりました議員提出議案第5号中華人民共和国による人権侵害問題に対する調査及び抗議を求める意見書について私の意見を述べます。 私は、中国の台湾をはじめとする人権侵害について認めるものではありません。 ただ、この意見書に添付された資料の文書の中で300万人が強制収容施設に連行されたとありますが、最大100万人と言われています。また、政府としてジェノサイドを認定しているのはアメリカだけで、他は議会決議を上げている程度です。中国に対して行うべきことは、中国自身が認めた一連の人権保障の国際的 な取決め、幾つかありますが、世界人権宣言、また国際人権規約、ウイーン宣言などをしっかりと守れと理を尽くして求めていくことが大事ではないでしょうか。 陳情のように、中国に対して自由、民主主義の保障を働きかけることは重要ですが、ジェノサイドと認定することなどがあり、賛同することはできません。 また、今議会には市外から郵送の陳情が、沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマ フヤー」と同じく、沖縄から新しい提案実行委員会、部落解放愛する会茨城県連合会からの要望書などが届いています。いずれも古河市議会の先例に従い、議員への通知ということで通知はされています。ところが、通常であれば通知のみの陳情を、今回のこの陳情については各会派代表者会議でG議員が各会派代表者に検討を促したようです。異例の取扱いではないでしょうか。この間、各会派 とで通知はされています。ところが、通常であれば通知のみの陳情を、今回のこの陳情については各会派代表者会議でG議員が各会派代表者に検討を促したようです。異例の取扱いではないでしょうか。この間、各会派代表 者会議は傍聴を認めず、密室で議事録もない各会派代表者会議の中で古河市議会の運営が行われています。古河市議会の議会基本条例は、市民に開かれた議会を目指すために、このことが目的でつくられました。この間の状況を見ると、これに反する非民主的な運営が行われています。 さきの全員協議会の議題についても、公表時刻を朝の8時半でなく前日の5時 と、全員協議会の場で執行部も了解の上で決まりました。しかし、その後の各会 派代表者会議で、G議員の一言で戻ってしまいました。茨城西南地方広域市町村圏事務組合の委員あるいは監査委員などの人事も「俺が」といって一人で決めて、議会に押し付けている状況ではないでしょうか。古河市議会のあり方が問われていると思っています。 現在古河市議会は…… ○議長(F君) I議員。 ◆11番(I君) 意見書の内容と違います。 〔9番B議員「G議員のG議員による、G議員のための議会になっていないか」と呼ぶ〕○議長(F君) もう一度お願いします。 ◆11番(I君) 意見書の内容と違います。 〔9番B議員「そういうことも言われています。皆さんで考え、市民に説明することが必要と思っていることも申し添えて、討論といたします」と呼び、「暫時休憩。要望します。動議」と呼ぶ者あり〕 ○議長(F君) 動議は成立いたしました。 ここで暫時休憩いたします。 (別紙5)B議員が令和3年第3回古河市議会定例会(9月15日)の議員提出議案第5号の討論において、提出議案の 動議は成立いたしました。 ここで暫時休憩いたします。 (別紙5)B議員が令和3年第3回古河市議会定例会(9月15日)の議員提出議案第5号の討論において、提出議案の内容とかけ離れ、G議員の発言や行動について、本議案に係る意見書提出や、議会人事等について、あたかも非民主的な運営を主導したかのような、事実と異なる発言を繰り返したことは、G議員及び古河市議 会の名誉を毀損し、古河市議会会議規則第152条の規定に違反する行為である。 3月定例会においても事実と異なる発言をしたにもかかわらず、全く反省をしておらず、本市議会として、今後の議場内での発言や議員活動報告などの情報の発言を行う場合は客観的な事実に基づいた内容を発言、発信すること、その表現については常に議会の品位を保つものであることを強く求めるものであります。 したがって、地方自治法第135条第1項第3号の規定により、今定例会の出席停止の罰則を科すべきものと決しました。 (別紙6) 令和4年第1回定例会◎市長(H君) 認定第1号令和3年度古河市一般会計補正予算(第10号)の専決処分の報告及び承認を求めることについて提案理由を申し上げます。 本件は、住民税非課税世帯等に対し臨時特別給付金を支給する経費、マイナポイント第2弾への対応に係る経費及び子育て世帯給付金を全額現金で給付するた めに要する経費等について補正予算を定める必要が生じましたが、議会を招集する時間的余裕がなかったため、地方自治法第179条第1項の規定に基づき専決処分により補正予算を定めましたので、同条第3項の規定により報告し、承認を求めるものであります。 (略) ◆9番(B君) おはようございます。9番、日本共産党のBです。議題となっていま 処分により補正予算を定めましたので、同条第3項の規定により報告し、承認を求めるものであります。 (略) ◆9番(B君) おはようございます。9番、日本共産党のBです。議題となっています認定第1号について、反対の立場から意見を述べます。 初めに、昨日国際連合では圧倒的多数で、ロシア軍のウクライナからの即日撤退を求める決議が採択されました。これに先立って、茨城県議会でも先月、ロシアに抗議する決議が全会一致で採択をされています。今朝のニュースでは、既に 4つの県議会で採択をされたと報道されています。主権国家であるウクライナへロシアのプーチン政権が軍事侵攻したことに抗議するとともに、ウクライナからの即事撤退、これは世界の大きな流れになっているのではないでしょうか。 ところが、国会で昨日も問題になりました。安倍元首相がウクライナ危機に乗じて、核兵器の共有や、憲法9条を変えて敵基地攻撃能力を持とうと発言したこ とが問題になりました。このことについて問われた岸田総理大臣は……○議長(F君) B議員に申し上げます。 議題の……◆9番(B君) (続)広島県出身の大臣として……○議長(F君) B議員に申し上げます。 ◆9番(B君) (続)分かっています。 非核三原則を堅持し……○議長(F君) よろしくお願いいたします。 ◆9番(B君) (続)我が国の立場から考えて認められないと述べた上で、自己防衛のためのアメリカの抑止力を共有する枠組みを想定したものであれば、これは認められないの考えを示しました。当然のことではないでしょうか。このよ うに……○議長(F君) B議員に申し上げます。 議案に沿った内容でお願いいたします。 ◆9番(B君) (続)分かっています。もうすぐ終わりま した。当然のことではないでしょうか。このよ うに……○議長(F君) B議員に申し上げます。 議案に沿った内容でお願いいたします。 ◆9番(B君) (続)分かっています。もうすぐ終わります。 そういう点では、これら国連憲章……(「分かってないよ」、「議長、休憩」と 呼ぶ者あり)下で許されない暴論……○議長(F君) 暫時休憩といたします。 (別紙7)令和4年第1回古河市議会定例会(3月3日)の認定第1号の討論において認定の内容とかけ離れた発言を行い、議長において認定に沿った発言を行うように再三にわたり注意したにもかかわらず、発言をやめなかった。その行為は、議会運営を混乱させ、議会の品位や権威をおとしめるものであり、古河市議会の名誉 を毀損し、古河市議会会議規則第152条の規定に違反する行為である。令和3年9月定例会においてもB議員は議案とかけ離れた発言を行い、出席停止の処分を重ねたにもかかわらず、全く反省の姿勢が見られない。今後の議場内での発言においては、古河市議会会議規則等のルールにのっとり、常に議会の秩序並びに品位を保つものであることを再度強く求めるものである。したがって、地方自治 法第135条第1項第3号の規定により、本定例会において本日より3月7日までの5日間の出席停止の罰則を科すべきものと決しました。
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