【DRY-RUN】主 文 原判決を破棄する。 本件を東京高等裁判所に差し戻す。 理 由 上告代理人佐藤成雄、同真田淡、同土肥倫之の上告理由二および三について。 原判
主 文 原判決を破棄する。 本件を東京高等裁判所に差し戻す。 理 由 上告代理人佐藤成雄、同真田淡、同土肥倫之の上告理由二および三について。 原判決は、上告人の本件詐害行為取消の対象とされているものは上告人の債務者 たるD精機株式会社(以下D精機と略称)がEタイヤ株式会社(以下Eと略称)に 対する売掛代金債権を昭和三四年二月一九日被上告人に譲渡した行為であり、右時 点において譲渡された債権はD精機のEに対する将来の取引によつて発生すべき一、 九〇〇、三一二円の売掛代金債権であつて、現実には同年五月一日から同年六月一 六日までの間に売り渡された防振ゴム止金具の売掛代金の残金債権として生じたも のであるとしている。 そして、右の事実関係から、原判決は、被上告人がD精機から現実に譲り受けた 債権はいづれも同五月一日以後に生じた債権であつて本件債権譲渡行為の当時には D精機の債務の一般担保となつていたもでないとして、右債権譲渡が詐害行為を構 成するに由ないことを判断している。 しかしながら、一方で原判決は、D精機が予てから鋼材買受取引による金銭債務 を被上告人に負うていたところがら、担保に供する趣旨で右債権譲渡契約がなされ、 その契約のもとに被上告人はD精機に対する従前からの取引を継続しD精機の更生 を図ることとし、右更生が不能の場合にはD精機の名義で債権譲渡の通知をEに発 送するという諒解でD精機から同通知書を預かり、同年六月一日まで右取引を継続 したが、更生の望みがなくなつたので同月一七日遂に右通知書をEに発送したこと を認定判示しており、また、被上告人の原審における主張自体に、右債権譲渡の後 もD精機は従前と何ら変らない経営を続け、譲渡の対象たるEに対する売掛代金債 - 1 - 権をも事由に取り立てていたことがあらわれ 定判示しており、また、被上告人の原審における主張自体に、右債権譲渡の後 もD精機は従前と何ら変らない経営を続け、譲渡の対象たるEに対する売掛代金債 - 1 - 権をも事由に取り立てていたことがあらわれている。叙上一連の事実関係から観て、 昭和三四年二月一九日に行われた原判示の債権譲渡契約なるものは、その時点にお いて直ちに債権譲渡の効力を生じる本契約の趣旨でなされたものではなく、その実 質は、将来の取引から発生する売掛代金債権についてその譲渡の予約がなされ、D 精機の更正が予期のとおり進まず遂に不能となつた場合には被上告人が一方的に右 予約の本契約への完結権を行使したうえ前示債権譲渡の通知書をEに対して発送し て対抗要件を具え得ることを約定したものと解する余地がある。このように解せら れるとすれば、本件債権譲渡の効力発生時点は、必ずしも原判示の如く昭和三四年 二月一九日と確定しなければならないものではなくして、むしろD精機のEに対す るその後の取引によつて本件債権譲渡の目的たる売掛代金債権が具体的に発生した 時点以後に右債権譲渡の効力が生じたものと見ることもできないではない。果して そうであれば、原判決のように、本件債権譲渡行為がD精機の債務の一般担保に何 ら消長を来すことのない行為であると断じ去ることはできないものといわねばなら ない。 これを要するに、原判決には右の点について審理不尽、理由不備の違法があり、 これを指摘すると解される論旨は理由がある。 よつて、その余の論点について判断するまでもなく、原判決は破棄を免れず、本 件は原審に差し戻すべきであり、裁判官全員の一致をもつて主文のとおり判決する。 最高裁判所第三小法廷 裁判長裁判官 石 坂 修 一 裁判官 五 鬼 上 堅 磐 をもつて主文のとおり判決する。 最高裁判所第三小法廷 裁判長裁判官 石 坂 修 一 裁判官 五 鬼 上 堅 磐 裁判官 横 田 正 俊 裁判官 柏 原 語 六 裁判官 田 中 二 郎 - 2 -
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