令和4(行ケ)3 地方自治法第251条の5に基づく違法な国の関与(是正の指示)の取消請求事件

裁判年月日・裁判所
令和5年3月16日 福岡高等裁判所 那覇支部 棄却
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判決文本文192,370 文字)

主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求の趣旨 被告が沖縄県に対して令和4年4月28日付け国水政第18号「埋立地用途変更・設計概要変更承認申請について(指示)」をもって行った地方自治法245条の7第1項に基づく是正の指示を取り消す。 第2 事案の概要等 1 沖縄防衛局は、沖縄県宜野湾市所在の普天間飛行場の代替施設を同県名護市 辺野古沿岸域に設置するための公有水面の埋立て(以下「本件埋立事業」という。)につき、原告(沖縄県知事)から、平成25年12月27日付けで公有水面埋立法(以下「埋立法」という。)42条1項所定の承認(以下「本件承認処分」という。)を受けており、その後、原告に対し、令和2年4月21日付けで、上記事業に係る埋立地用途変更・設計概要変更承認申請(以下「本件変 更承認申請」という。)をしたが、令和3年11月25日付けで、不承認処分(以下「本件変更不承認処分」という。)を受けた。これに対し、沖縄防衛局が行政不服審査法(以下「行審法」という。)に基づく審査請求(以下「本件審査請求」という。)をしたところ、被告(国土交通大臣)は、令和4年4月8日付けの裁決(以下「本件裁決」という。)により、本件変更不承認処分を 取り消した。また、被告は、沖縄県に対し、地方自治法245条の7第1項に基づき、令和4年4月28日付けで、本件変更承認申請について承認するよう是正の指示(以下「本件是正の指示」という。)をした。原告は、本件裁決及び本件是正の指示に不服があるとして、国地方係争処理委員会に対し、それぞれ審査申出をしたが、同委員会は、前者につき却下する旨の決定を行い、後者 につき本件是正の指示は違法でないと認める旨の決定をした( 正の指示に不服があるとして、国地方係争処理委員会に対し、それぞれ審査申出をしたが、同委員会は、前者につき却下する旨の決定を行い、後者 につき本件是正の指示は違法でないと認める旨の決定をした(以下、後者の決 定を「本件決定」という。)。 本件は、原告が、本件決定を不服として、地方自治法251条の5第1項に基づき、本件是正の指示が違法な国の関与であると主張し、その取消しを求める事案である。 2 関係法令等の定め 関係法令等の定めは、別紙2のとおりである(同別紙中の略語は本文中においても使用する。)。 3 前提事実(当事者間に争いのない事実又は後掲証拠及び弁論の全趣旨によって容易に認められる事実)本件承認処分 ア国は、アメリカ合衆国軍隊が使用する普天間飛行場につき、同国との間で、一定の措置を講じた後に返還される旨を合意し、その後、同飛行場の代替施設を名護市辺野古沿岸域に設置することとした(乙A3)。 イ沖縄防衛局は、名護市辺野古の辺野古崎地区及びこれに隣接する水域に上記代替施設を設置するため、平成25年3月22日、沖縄県知事に対し、 埋立法42条1項に基づき、同地区に隣接する水域の公有水面の埋立ての承認を求めて、公有水面埋立承認願書を提出した(乙A1。以下、上記願書を「本件願書」といい、本件願書による承認を求める出願を「本件出願」という。)。 ウ本件埋立ての用途、規模等は、以下のとおりである(乙A1〜3)。 用途、土地利用計画普天間飛行場の代替施設として離着陸施設、エプロン、管理・整備施設等及び作業ヤード用地を設ける。 埋立地の規模約2平方km(代替施設の施設面積)埋立面積約1.6平方km 滑走路約1200m(オーバ 理・整備施設等及び作業ヤード用地を設ける。 埋立地の規模約2平方km(代替施設の施設面積)埋立面積約1.6平方km 滑走路約1200m(オーバーラン600m)2本 エ原告(仲井眞弘多知事(当時。以下「仲井眞知事」という。))は、平成25年12月27日付けで、沖縄防衛局に対し、埋立法42条1項に基づく承認(本件承認処分)をした(乙A4)。 本件承認処分には、①「工事の実施設計について事前に県と協議を行うこと」、②「実施設計に基づき環境保全対策、環境監視調査及び事後調 査などについて詳細検討し県と協議を行うこと。なお、詳細検討及び対策等の実施にあたっては、各分野の専門家・有識者から構成される環境監視等委員会(仮称)を設置し助言を受ける」ことなどを内容とする留意事項が付された。上記②を受けて、平成26年4月11日、環境保全措置及び事後調査等に関する検討内容の合理性・客観性を確保するため、 科学的・専門的助言を得ることを目的として、十数名の学識経験者を委員とする「普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境監視等委員会」(以下単に「環境監視等委員会」という。)が設置された。環境監視等委員会は、同月以降、現在(口頭弁論終結時)までに合計40回にわたり開催され、環境保全措置等に関する検討を行い、検討に供された資料と議事 要旨がウェブサイトで公表されている。(以上につき、乙A4、弁論の全趣旨)本件承認処分の取消しア原告(翁長雄志知事(当時。以下「翁長知事」という。))は、平成27年10月13日付けで、沖縄防衛局に対し、本件承認処分に瑕疵があると して、本件承認処分を取り消した(以下「前件取消し」という。乙A13)。 イ被告は、平成28年3月1 。))は、平成27年10月13日付けで、沖縄防衛局に対し、本件承認処分に瑕疵があると して、本件承認処分を取り消した(以下「前件取消し」という。乙A13)。 イ被告は、平成28年3月16日、前件取消しが違法であるとして、沖縄県に対して前件取消しを取り消すよう是正の指示をしたが、その執行機関である原告(翁長知事)がこれに従わなかったため、国地方係争処理委員 会での審査を経て、同年7月22日、是正の指示に従わずに前件取消しを 取り消さないことは違法であるとして、不作為の違法確認訴訟を提起した。 最高裁判所は、同年12月20日、本件埋立事業が埋立法4条1項1号の要件(以下「第1号要件」という。)及び2号の要件(以下「第2号要件」という。)に適合するとした本件承認処分に係る原告(仲井眞知事)の判断に違法又は不当があるということはできない旨等を判示して、原告(翁 長知事)が前件取消しを取り消さないことが違法であることを確認した原審判決に対する原告の上告を棄却する旨の判決(最高裁平成28年(行ヒ)第394号同年12月20日第二小法廷判決・民集70巻9号2281頁。 以下「平成28年最高裁判決」という。)を言い渡した(乙A15)。原告(翁長知事)は、平成28年最高裁判決を受けて、同月26日、前件取消 しを取り消した(乙A16)。 本件承認処分の撤回処分ア沖縄防衛局は、本件承認処分の後に実施した土質調査により、辺野古崎地区の東側部分(以下「大浦湾側」という。)の水域の海底地盤に粘性土及び中間土が堆積していることが判明したことを踏まえ、所要の箇所に、 本件願書に記載された設計の概要に含まれていない内容の地盤改良工事を追加して行うことなどを決定した(乙A5〜8)。 イ原告(翁長知事)は、上記アな とが判明したことを踏まえ、所要の箇所に、 本件願書に記載された設計の概要に含まれていない内容の地盤改良工事を追加して行うことなどを決定した(乙A5〜8)。 イ原告(翁長知事)は、上記アなどの事後的に判明した事実からすると、埋立承認の要件を充足していないものと認められるなどとしていたところ、沖縄県副知事は、沖縄県知事の職務代理者の委任に基づき、平成30年8 月31日付けで、沖縄防衛局に対し、承認後の事情を理由として本件承認処分を取り消す処分(以下「前件撤回処分」という。)をした(乙A17)。 これに対し、沖縄防衛局が審査請求(乙A18)をしたところ、被告は、平成31年4月5日付けの裁決(以下「前件裁決」という。)により、前件撤回処分を取り消した(乙A19)。 ウ原告は、前件裁決に不服があるとして、平成31年4月22日付けで、 地方自治法250条の13第1項に基づき、国地方係争処理委員会に対し、審査の申出をした(乙A20)。 国地方係争処理委員会は、令和元年6月17日付けで、前件裁決は「国の関与」に当たらず同委員会の審査の対象とならないとして、同申出を却下する決定をした(乙A21)。 エ原告は、上記ウの決定に不服があるとして、令和元年7月17日、地方自治法251条の5第1項に基づき、前件裁決の取消しを求める訴えを提起した(以下、かかる訴えに基づく訴訟につき、審級を問わず、「前件関与取消訴訟」という。)。 最高裁判所は、令和2年3月26日、埋立法42条1項に基づく埋立て の承認は、国の機関が行審法7条2項にいう「固有の資格」において相手方となるものということはできないとして、原告の訴えを却下した原審判決に対する原告の上告を棄却する旨の判決(最高裁令和元年(行ヒ)第367号同 の機関が行審法7条2項にいう「固有の資格」において相手方となるものということはできないとして、原告の訴えを却下した原審判決に対する原告の上告を棄却する旨の判決(最高裁令和元年(行ヒ)第367号同2年3月26日第一小法廷判決・民集74巻3号471頁。 以下「令和2年最高裁判決」という。)を言い渡した(乙A24)。 本件変更承認申請ア技術検討会における検討防衛省は、沖縄県副知事が前件撤回処分をした後、本件変更承認申請を行うに先立って、本件変更承認申請において予定していた設計等の内容につき、技術的・専門的見地から提言・助言等を得ることを目的として、 「普天間飛行場代替施設建設事業に係る技術検討会」(以下「技術検討会」という。)を設け、委員として8名の学識経験者を委嘱した。上記の検討会は、令和元年9月から令和2年4月までの間、6回にわたり開催され、護岸や埋立地等の設計・施工・維持管理に関する検討を行い、検討に供された資料と議事録はウェブサイトで公表された。(甲18(第1回)、乙A 51(第2回)、A45(第3回)、A40(第4回)、A58(第5回)、 A74(第6回))イ沖縄防衛局は、令和2年4月21日付けで、埋立法42条3項において準用する同法13条ノ2第1項に基づき、原告に対し、本件変更承認申請をした(乙A5〜7、25〜30。以下、同申請に係る申請書(乙A5)を「本件変更承認申請書」という。)。 本件変更承認申請は、「埋立地ノ用途ノ変更」及び「設計ノ概要ノ変更」(埋立法13条ノ2)から成り、本件願書からの主な変更点は以下のとおりである(乙A5〜7。以下「本件変更部分」という。)。 「埋立地ノ用途ノ変更」 作業ヤードに供する埋立地の取りやめによる削除 ノ2)から成り、本件願書からの主な変更点は以下のとおりである(乙A5〜7。以下「本件変更部分」という。)。 「埋立地ノ用途ノ変更」 作業ヤードに供する埋立地の取りやめによる削除 「設計ノ概要ノ変更」 ①地盤改良工事の追加、②これに伴う設計・施工の合理化のための変更ウ本件変更承認申請書の概要埋立地の用途の変更施工計画を見直した結果、普天間飛行場代替施設(約152.5ha) の建設においてその作業ヤードに供するために造成することとしていた辺野古地区地先の埋立地(約4.6ha)が必要なくなったことから、埋立区域につき、名護市辺野古地区地先の位置(地番)、面積を削除し、埋立地の用途につき、名護市辺野古地区地先の配置及び規模を削除した(乙A5〔1~3頁〕)。 設計の概要の変更設計の概要の変更の内容は、上記の埋立ての取りやめに伴い、当該埋立てに関する部分を削除したほか、以下のとおりである。 ① 護岸、堤防、岸壁その他これらに類する工作物の種類及び構造本件承認処分の後に実施した土質調査の結果を踏まえ、地盤改良を 追加したことに伴い、設計について再検討し、合理化した結果、A護 岸、C護岸、護岸(係船機能付)などにつき、海底地形や地層構成を踏まえた工区分けをするとともに、地盤改良が必要と確認された工区に地盤改良を追加し、想定される沈下量を考慮した天端高に変更した(乙A5〔5〜8、14、15頁〕)。 ② 埋立てに関する工事の施行方法 埋立工法につき、本件承認処分の後に実施した土質調査の結果を踏まえ、地盤改良を追加したことに伴い、設計について再検討するとともに、工法についても合理化した結果、施行を合理化するため、一部の埋立区域について、護岸により外海と遮断する 実施した土質調査の結果を踏まえ、地盤改良を追加したことに伴い、設計について再検討するとともに、工法についても合理化した結果、施行を合理化するため、一部の埋立区域について、護岸により外海と遮断する前に、濁りの拡散防止に配慮した工法で埋立てを行うこととした(乙A5〔16、17 頁〕)。 エ設計概要説明書の概要 地盤改良工事の追加(乙A6〔1頁〕)本件承認処分の後に実施した土質調査により、地盤改良が必要となることが明らかになったことに伴い、所要の箇所に地盤改良を追加して行 うこととした。 本件埋立事業においては、海底地盤の地盤改良を行うに際して、海上施行が可能であることや、事業実施区域の特殊性を考慮し、C-1護岸からC-3護岸まで(C-2護岸の一部を除く。)及び護岸(係船機能付)直下の地盤改良については、地盤の安定性を確保するとともに、供 用開始後の残留沈下量を低減させることを目的として、サンドコンパクションパイル(SCP)工法によることとした。 また、埋立地内及びA護岸の地盤改良については、サンドドレーン(SD)工法によることとし、水深が浅い範囲の地盤改良については、ペーパードレーン(PD)工法又はSD工法によることとした。 護岸の設計及び施行の合理化(乙A6〔1、2頁〕) C-1護岸からC-3護岸まで及び護岸(係船機能付)(以下これらを「C護岸等」という。)の設計工区の設定につき、護岸法線の形状、護岸法線位置における海底地形及び地層構成を基に工区を再検討し、11工区に区分した。上記工区の設計につき、地盤改良により生じる盛り上がり土についても地盤改良して活用することとした。また、A護岸に ついても、設計工区を6工区に区分した。 埋 、11工区に区分した。上記工区の設計につき、地盤改良により生じる盛り上がり土についても地盤改良して活用することとした。また、A護岸に ついても、設計工区を6工区に区分した。 埋立工事の合理化(乙A6〔2、3頁〕)外周護岸(C護岸)概成前に、①地盤改良に影響を与えない位置に中仕切護岸を築造し、陸側の埋立区域を外海と遮断して埋立てを行い、②大浦湾側の水深が深い区域について、外周護岸概成前に、汚濁拡散防止 効果のある砂撒船(トレミー方式)による埋立てを行い、これらにより工期を短縮することとした。 なお、本件願書(乙A1)において、埋立てに関する工事の施行に要する期間(埋立法2条2項5号)は5年と記載されていたが、設計概要説明書においては、9年1月にわたる工程(付帯工を含む)が示されて いる(表3.1.1(1)及び(2)本埋立に関する工事の工程表【変更後】参照)。 オ資金計画書の概要(乙A8〔7頁〕、乙A25)埋立てに関する工事に要する費用の額は約7200億円(事業の総経費の見積りは約9300億円)である。本件願書に添付された資金計画書 からの増額の主な要因は、①警備に要する費用(約1700億円)、②地盤改良工事に要する費用(約1000億円)、③人件費や資材価格の上昇等である。 カ環境保全図書の概要(乙A7、8〔8頁〕)設計概要変更に伴う環境影響の予測及び評価(乙A7〔第1章(1 -1〜239頁)〕) 設計概要変更の内容(乙A7〔第1章1.1〕)及びその工事計画の内容(乙A7〔同章1.2〕)に基づき、変更される予測条件を整理した上で、設計概要変更に伴って影響を受ける可能性のある環境要素を変更前の項目構成に準じて選定した(乙A 章1.1〕)及びその工事計画の内容(乙A7〔同章1.2〕)に基づき、変更される予測条件を整理した上で、設計概要変更に伴って影響を受ける可能性のある環境要素を変更前の項目構成に準じて選定した(乙A7〔1-229頁〕)。 予測及び評価項目は、設計概要変更に伴う影響要因と環境要素との関 連性について検討を行い、影響要因により影響を受ける可能性のある環境要素の具体的な項目を選定した(乙A7〔1-230〜236頁〕)。 そして、設計概要変更に伴う環境影響の予測及び評価は、影響要因に変更が生じる環境要素に関して、変更前と変更後における環境への影響の比較検討を行った(乙A7〔1-237〜239頁〕)。 なお、環境影響を予測する項目、地域、地点及び手法は、基本的に変更前の環境保全図書と同じ考え方によることとし、環境負荷の算定方法や数値シミュレーションの方法、その計算条件等についても、変更前の環境保全図書における設定値や予測モデルを用いて行った。ただし、環境影響の予測において、参照している基準等が更新(改訂)されている 場合には、最新の情報を踏まえて予測を行うこととした。(乙A41〔資料3-2(4頁)〕) 環境保全措置(乙A7〔第3章(3-1~19頁)〕)変更後も、変更前と同様に、環境監視等委員会の指導及び助言を得つつ、影響要因に変更が生じる環境要素ごとに、環境保全措置を講ずるこ ととした。 事後調査(乙A7〔第4章(4-1頁)〕)変更後における環境影響は、いずれの項目についても変更前と同程度又はそれ以下であること、変更後も環境保全措置を講じていくことから、変更後の事後調査及び環境監視調査についても、引き続き、変更前と同 様の方針に従って実施していくこととし いても変更前と同程度又はそれ以下であること、変更後も環境保全措置を講じていくことから、変更後の事後調査及び環境監視調査についても、引き続き、変更前と同 様の方針に従って実施していくこととした。 環境影響の予測及び評価のまとめ(乙A7〔第5章(5-1~2頁)〕)設計概要変更が環境に及ぼす影響の程度は、いずれの項目についても変更前と比べて同程度又はそれ以下と考えられた。したがって、変更後における環境影響は変更前における予測の結果及び評価と変わらず、変更前と同様の環境保全措置を講ずることで、環境保全への配慮は適正に され、環境保全の基準又は目標との整合性も図られると評価した。 本件変更不承認処分、本件裁決及び本件是正の指示ア沖縄県は、令和3年1月から同年6月までの間、4次にわたり、沖縄防衛局に対し、本件変更承認申請の内容について、埋立法4条所定の要件に適合するか否かに関する質問をし、その回答を受けた(乙A52・103 (第1次)、A99(第2次)、A104(第3次)、A61(第4次))。 そして、原告は、行政手続法5条1項に基づいて定めた審査基準(以下「原告審査基準」という。その内容は別紙3の第1及び第2のとおり。)に則り、本件変更承認申請に係る審査を行い、令和3年11月25日付けで、沖縄防衛局に対し、本件変更不承認処分をした(乙A9〜12)。 本件変更不承認処分の理由の骨子は、本件変更承認申請につき、原告審査基準などに照らし、①埋立法13条ノ2第1項の「正当ノ事由」が認められないこと、②埋立の必要性についての合理性が認められないこと、③同法4条1項1号の要件(第1号要件)及び同項2号の要件(第2号要件。以下、同要件のうち災害防止に係るものを「災害防止要件」 が認められないこと、②埋立の必要性についての合理性が認められないこと、③同法4条1項1号の要件(第1号要件)及び同項2号の要件(第2号要件。以下、同要件のうち災害防止に係るものを「災害防止要件」とい い、環境保全に係るものを「環境保全要件」という。)を充足しないことを指摘するものであり、その内容は、別紙3の第3(以下「処分理由」という。)のとおりである。 イ沖縄防衛局は、本件変更不承認処分に不服があるとして、令和3年12月7日付けで、行審法2条及び地方自治法255条の2第1項1号に基づ き、被告に対し、本件審査請求をしたところ、被告は、令和4年4月8日 付けで、本件変更不承認処分を取り消す旨の本件裁決をした(甲4、5)。 本件裁決の理由の骨子は、本件変更不承認処分の処分理由に係る判断は、いずれも裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したものとして違法であり、不適切な裁量判断として不当であるから、本件審査請求は理由があるというものである。 なお、本件審査請求に対する原告の主張の要旨は、別紙4(本件裁決において処分庁の主張の要旨として整理されたもの)のとおりである(以下、本件変更不承認処分の処分理由及び上記の原告の主張の要旨を併せて「処分理由等」という。)。 ウ被告は、令和4年4月8日付けで、沖縄県に対し、地方自治法245条 の4第1項に基づき、同月20日までに、本件変更承認申請について承認するよう勧告した(乙1)。これに対し、原告は、同月20日、同日までに承認に関する判断ができない旨を回答した(乙2)。 エその後、被告は、令和4年4月28日付けで、沖縄県に対し、地方自治法245条の7第1項に基づき、本件変更承認申請について承認するよう 指示(本件是正の指示)をした(甲1)。 (乙2)。 エその後、被告は、令和4年4月28日付けで、沖縄県に対し、地方自治法245条の7第1項に基づき、本件変更承認申請について承認するよう 指示(本件是正の指示)をした(甲1)。 本件是正の指示の理由の骨子は、本件変更不承認処分の処分理由に係る判断は、裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したものとして違法であり、都道府県の法定受託事務の処理が法令の規定に違反していると認められ、又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認められ るから、原告は上記の承認をすべきであるというものである。 本件是正の指示の理由の内容は、「処分庁」を「沖縄県知事」に、「審査請求人」を「沖縄防衛局」に「事案の概要」を「第1章」にそれぞれ訂正するなど、語句の補正を行うほかは、本件裁決の理由の内容(甲5〔14頁以下〕)と同一であり、その判断は、本件審査請求において提出された 沖縄防衛局及び原告の各主張立証に係る資料に依拠している。 国地方係争処理委員会に対する本件裁決の審査の申出ア原告は、令和4年5月9日付けで、国地方係争処理委員会に対し、本件裁決が違法な国の関与であるとして、審査の申出をした。 イ国地方係争処理委員会は、令和4年7月12日付けで、原告に対し、上記審査の申出は不適法であるとして、同申出を却下する決定をした(乙 3)。 ウ原告は、令和4年8月12日、国地方係争処理委員会がした上記イの却下決定に不服があるとして、地方自治法251条の5第1項に基づき、被告による本件裁決が違法な国の関与であると主張して、その取消しを求める訴訟を提起した(当庁令和4年(行ケ)第2号)。 国地方係争処理委員会に対する本件是正の指示の審査の申出ア原告は、本件是正の指示に不服がある の関与であると主張して、その取消しを求める訴訟を提起した(当庁令和4年(行ケ)第2号)。 国地方係争処理委員会に対する本件是正の指示の審査の申出ア原告は、本件是正の指示に不服があるとして、令和4年5月30日付けで、地方自治法250条の13第1項に基づき、国地方係争処理委員会に対し、審査の申出をした(甲2)。 イ国地方係争処理委員会は、令和4年8月19日付けで、原告に対し、本 件是正の指示が違法でないと認める旨の本件決定をした(甲3)。 本件決定の理由の骨子は、本件変更承認申請に対する原告の事務の処理は、本件裁決の拘束力に基づき改めて本件変更承認申請に対する処分をする義務に違反しており、同事務処理が法令の規定に違反しているものと認めてした本件是正の指示は、地方自治法245条の7第1項の要件を満た してされたものといえるというものであり、本件変更不承認処分の処分理由の当否についての直接的な判断はされていない。 ウ原告は、令和4年8月24日、国地方係争処理委員会がした本件決定に不服があるとして、地方自治法251条の5第1項に基づき、本件是正の指示が違法な国の関与であると主張し、その取消しを求めて、本件訴訟を 提起した。 4 争点及びこれに対する当事者の主張本件における争点は、①本件裁決の拘束力が本件訴訟に及ぼす作用(争点1)、②本件裁決の有効性(争点2)、③本件是正の指示の有効性(争点3)及び④本件是正の指示の適法性である。 このうち、本件是正の指示の適法性については、本件変更承認申請について 災害防止要件(争点4)、環境保全要件(争点5)、第1号要件(争点6)、埋立ての必要性(争点7)及び変更の「正当ノ事由」の要件(争点8)を欠くとした原告の判断(処分理由等)が、 認申請について 災害防止要件(争点4)、環境保全要件(争点5)、第1号要件(争点6)、埋立ての必要性(争点7)及び変更の「正当ノ事由」の要件(争点8)を欠くとした原告の判断(処分理由等)が、その裁量権を逸脱し又は濫用したものとして、法令の規定に違反し又は著しく適正を欠きかつ明らかに公益を害している(以下これらを併せて「法令違反等」という。)と認められるか否かという点 であり、これらの争点に対する当事者の主張は以下のとおりである。なお、争点の記載順序は、各争点の内容に照らし上記のとおりとした。 本件裁決の拘束力が本件訴訟に及ぼす作用(争点1)(被告の主張)ア原告が本件裁決に拘束されること 本件変更不承認処分を取り消した本件裁決が有効である以上、原告は、関係行政庁(本件裁決の審査対象である本件変更不承認処分の処分庁)として、本件裁決に拘束される(行審法52条1項)。そして、処分庁である原告は、裁決の趣旨、すなわち、裁決の主文及びこれを根拠づける具体的理由に従った行動を義務づけられ、違法又は不当とされたのと同 一の理由により同一の処分を行うことが禁止される(同条2項)。 本件裁決は、本件変更承認申請が第1号要件及び第2号要件等に適合しないとした本件変更不承認処分が違法かつ不当であることの具体的理由を明らかにし、本件変更承認申請を不承認とする理由にはならないことを示した上で、本件変更不承認処分を取り消したものであるから、本件 裁決の拘束力により、処分庁である原告は本件変更不承認処分と同じ理 由で不承認とすることはできない立場にある。しかるに、原告が、本件変更不承認処分と同じ理由を、本件変更承認申請を承認できない理由として繰り返し、それをもって本件変更承認申請を承認するよう 由で不承認とすることはできない立場にある。しかるに、原告が、本件変更不承認処分と同じ理由を、本件変更承認申請を承認できない理由として繰り返し、それをもって本件変更承認申請を承認するよう指示した本件是正の指示が違法であると主張することは、本件裁決に反する行動であり、裁決の拘束力に反するものといわざるを得ない。本件変更不承 認処分の理由は、本件是正の指示の違法性を根拠づける事由にはなり得ないものである。 イ裁決等が「国の関与」から除かれていることの趣旨について地方自治法245条3号括弧書きは、行審法に基づく裁決等によるいわゆる裁定的関与を「国の関与」から除外しているところ、その趣旨は、 審査請求人に対する手続保障、審査請求人の権利利益の救済及び紛争の早期解決という点を考慮して、裁決等については、それを定めた法律等による手続(本件では、行審法に定められた審査請求手続)で完結させ、準司法的手続における判断を優先させることにあるのであり、国の関与についての係争において、裁決等の適否を審理することは予定されてい ない。かかる理解は、地方自治法が、限定を付すことなく一律に「裁決等」を除外していることにも合致するところである。 本件訴訟において、本件変更不承認処分が適正な判断であったか否かの点につき審理・判断に及ぶ場合、裁決等が機関訴訟で争われることと全く同様の弊害をもたらすことは明らかであり、審査請求人に対する手続 保障、審査請求人の権利利益の救済及び紛争の早期解決という点を考慮して、裁決等については、それを定めた法律等による手続で完結させ、準司法的手続における判断を優先させることとした地方自治法の趣旨に反し、また、裁決の拘束力を規定して審査庁の判断を処分庁の判断に制度上優越させることとした行審法の制度 た法律等による手続で完結させ、準司法的手続における判断を優先させることとした地方自治法の趣旨に反し、また、裁決の拘束力を規定して審査庁の判断を処分庁の判断に制度上優越させることとした行審法の制度的意義を失わせるもので、同法 の趣旨にも反するものであって、許されない。 ウ原告の主張について違法性の承継が否定されること違法性の承継は、抗告訴訟(取消訴訟)において原告となった者の私的権利利益を救済するための議論であり、私的権利利益を救済する手続保障の必要性が一つの大きな論拠であるとされている。そのため、私的 権利利益を問題とするものではない機関間の争いである本件にはそもそも当てはまらない。 また、①本件変更不承認処分を理由のないものとすることを目的として行われた裁決と、本件変更承認申請を承認すべきとする是正の指示とは、実体法的側面から、同一の目的を達成するためのものでもなければ、 裁決が是正の指示と結合して初めてその効果を発揮するという関係にもないこと、②原告は、公権力の行使をする側であって、本件変更不承認処分に関してその手続的保障が問題となる地位にはない上、本件裁決における対審構造による審理手続の過程で、弁明等として処分庁の言い分を述べる機会が十分に与えられていたこと、③地方自治法245条3号 括弧書きが、裁決等のいわゆる裁定的関与を「国の関与」から除外しており、審査請求人の権利利益を救済する内容の裁決等については、審査請求手続で完結させ、準司法的手続における判断を優先させるという制度となっていることに照らせば、実質的に見ても、本件に違法性の承継の議論は当てはまらない。 行政権限の濫用が否定されること被告は、本件において、本件変更承認申請の内容と、それに対する沖縄防衛 ていることに照らせば、実質的に見ても、本件に違法性の承継の議論は当てはまらない。 行政権限の濫用が否定されること被告は、本件において、本件変更承認申請の内容と、それに対する沖縄防衛局と原告の双方の主張するところを踏まえた上で、行審法や地方自治法等の法令の規定に従って、裁決、勧告、是正の指示を行ったにすぎず、被告において何ら行政権限の濫用はない。 (原告の主張) ア行審法52条の拘束力が関与に係る訴訟に及ばないこと地方自治法の解釈原理について憲法92条は、「地方自治の本旨」、すなわち団体自治(地方公共団体が自律権を有すること)及び住民自治(地方公共団体の支配意思の形成に住民が参画すること)を制度的に保障しているところ、地方自治法の 平成11年改正は、従来上級下級の関係にあった国と地方公共団体の関係を対等化した。すなわち、地方公共団体の長を国の下部機関とみていた機関委任事務は廃止され、国が地方公共団体に対してなし得る関与は法定され(同法245条の2)、必要な最小限度のもので、地方公共団体の自主性及び自立性に配慮しなければならないとされる(同法245 条の3)などした。そして、「地方公共団体に関する法令の規定は、地方自治の本旨に基づいて、かつ、国と地方公共団体との適切な役割分担を踏まえて、これを解釈し、及び運用するようにしなければならない。」(同法2条12項)とされている。 裁決の拘束力の及ぶ範囲について 行審法52条に定める裁決の拘束力は、裁決が争訟判断行為であることから認められた特殊な効力であり、裁決の実効性を確保し、審査請求人の権利利益の救済を図るためにあるところ、その効力は、審査請求に係る当該事案において、裁決において違法・不当とされた原処分と同一事 とから認められた特殊な効力であり、裁決の実効性を確保し、審査請求人の権利利益の救済を図るためにあるところ、その効力は、審査請求に係る当該事案において、裁決において違法・不当とされた原処分と同一事情、同一理由による処分を繰り返すことを禁止し、「当該裁決の趣旨 に従って行動する義務」を関係行政庁に負わせるという作用に尽きており、拘束力の作用の内容やその作用が及ぶ範囲を必要以上に拡張して理解すべきではない。 そして、地方自治法上の関与制度は、国民の権利利益の救済を図ることを目的とする制度ではなく、法令所管大臣が所管する法令に係る法定 受託事務の適法、適正な執行の確保を図ることを目的とする制度であり、 関与訴訟においては、当該法定受託事務に係る法令の解釈が司法により示され、広い意味での行政の適法、適正な執行が統一されることが制度的に予定されているのであって、また、そのことが担保されていなければならない。 仮に、関与訴訟において行審法52条の拘束力により処分庁が所属す る地方公共団体の主張が制限され、裁判所の審理範囲が制限されてしまうと、違法な解釈によって法定受託事務の処理の全国的な統一が図られることになりかねず、関与制度の趣旨・目的に正面から反する事態となってしまう。また、地方公共団体の側から見ても、上記のような制限が認められることになると、地方公共団体は、国に劣後し、服従する地位 に置かれることとなり、地方自治法が定める地方公共団体の自主性や自律性が侵害される。 関与制度の上記趣旨・目的に照らし、また、地方自治の本旨に適合的に解釈するのであれば、法定受託事務に係る処分について地方自治法255条の2に基づく審査請求において取消裁決がされ、その後、当該処 分に係る法定受託事務について関与がされ 方自治の本旨に適合的に解釈するのであれば、法定受託事務に係る処分について地方自治法255条の2に基づく審査請求において取消裁決がされ、その後、当該処 分に係る法定受託事務について関与がされた場合に、行審法52条の拘束力が後者の手続に及び、処分庁が所属する地方公共団体の主張が制限され、関与取消訴訟等における裁判所の審理範囲が限定されることにはならない。 被告の主張について 被告は、地方自治法245条3号括弧書きが裁決等を国の関与から除外した趣旨からして、裁決等の内容を踏まえた是正の指示がされたにもかかわらず、是正の指示を争う手続の中で裁決等の適否の審理・判断が行われるとすれば、地方自治法の趣旨や行審法の制度的意義を失わせると主張する。 しかしながら、地方自治法は、裁決等と関与を区別して取り扱ってい るのであって、裁決等の拘束力が関与取消訴訟等の手続にまで及ぶものとして関与制度が設けられているということはできないし、裁決と是正の指示を連結させることで、裁決の理由中の判断を是正の指示の要件判断に代替させることは、行審法においても、地方自治法においても予定されていない。 また、行審法52条1項及び2項は、裁決等の拘束力を作用させる時期を明定していないのであるから、対等な関係にある国と地方公共団体の双方が何らかの調整を経た後でなければ、同拘束力が生じないと考えられ、関与取消訴訟等の手続に裁決等の拘束力が及ばないと解しても、地方自治法の趣旨や行審法の制度的意義を失わせることにはならない。 その上、原告は、本件裁決の効力を争っているところ、裁決の拘束力を処分庁が争っているにもかかわらず、裁決が確定する以前に、その拘束力によって、裁決に反する主張をなし得ないというのは、どう考えて その上、原告は、本件裁決の効力を争っているところ、裁決の拘束力を処分庁が争っているにもかかわらず、裁決が確定する以前に、その拘束力によって、裁決に反する主張をなし得ないというのは、どう考えても不合理である。 イ違法性の承継が認められるべきこと 仮に、裁決等の拘束力が関与取消訴訟に及ぶとすれば、是正の指示の適法要件は裁決等の適法要件(理由中の判断)と重複するものとなるから、是正の指示の目的(一定の行政目的)は裁決等における判断によって達成され、裁決等の理由中の判断は、是正の指示と相まって現実化することになる。すなわち、是正の指示が裁決等と結合して、一定の行政目的 を達成するための手段となっている。この場合、裁決等と是正の指示との間には、実体法上の先決関係(裁決等の違法が直ちに是正の指示の違法をもたらす関係)が認められる。 そして、裁決等に対して、処分庁が所属する行政主体において争う手段が存在しないとすれば、是正の指示の適法性(裁決等の理由中の判断) を争う手続保障は一切ないことになる。 そうすると、違法性の承継が肯定され、関与取消訴訟において裁決等の違法性を争うことが許されるというべきである。 ウ行政権限の濫用として裁決の違法性が審査されるべきこと被告は、本件埋立事業を推進するという目的のために、審査庁としての立場で、沖縄防衛局の審査請求に対して裁決を行うという権限を行使し つつ、関与庁としての立場で、沖縄県に対する是正の指示として特定の処分をすることを指示するという権限を行使しているが、このような権限の行使は、権限を不当に連結し、仕組みを濫用して、それぞれの立場単独では得られない法的効果を得ようとするものである。仮に、違法性の承継が肯定されないとしても、上記のように行政権の が、このような権限の行使は、権限を不当に連結し、仕組みを濫用して、それぞれの立場単独では得られない法的効果を得ようとするものである。仮に、違法性の承継が肯定されないとしても、上記のように行政権の濫用があること から、本件裁決の違法性は、本件是正の指示を違法ならしめるものといえるから、本件訴訟において、本件裁決の違法性が審査の対象となるというべきである。 本件裁決の有効性(争点2)(原告の主張) 本件裁決は、次の理由により無効なものであり、本件変更不承認処分は失効していないから、本件是正の指示は、原告が処分をすることができないにもかかわらず処分の指示をしたものであり、違法な関与として取り消されるべきである。 ア本件裁決が行審法の適用がない処分についてされた裁決であること 本件変更不承認処分は、以下の点からして、沖縄防衛局がその「固有の資格」において相手方になったものと解すべきであり、行審法が適用されない(行審法7条2項)から、本件裁決は無効である。 前件関与取消訴訟における令和2年最高裁判決の判断は、免許・承認処分に紐づけられた免許・承認処分後の規律について、「固有の資格」 該当性の判断の考慮から除外している。しかし、国民の権利利益の救済 を目的とする行政不服審査制度において、「国民」に「国」を読み込めるケースは、本来、例外的でなければならない。そして、本件で問題となっている本件変更不承認処分は、埋立承認処分後の段階を必然的に伴う時点でなされたものであるところ、国の立場と一般私人との立場とを全く均質・対等なものとする前提から出発してよいかについては、十分 な検討がされるべきである。 手続や要件等の差異について埋立法は、埋立承認(埋立法42 ろ、国の立場と一般私人との立場とを全く均質・対等なものとする前提から出発してよいかについては、十分 な検討がされるべきである。 手続や要件等の差異について埋立法は、埋立承認(埋立法42条1項所定の都道府県知事の承認をいう。以下同じ。)に基づいて公有水面の埋立て(以下、単に「埋立て」という。)をする場合について、指定期間内における工事の着手及び竣 功の義務に係る規定(同法13条)や違法行為等に対する監督に係る規定(同法32条、33条)、埋立免許(同法2条1項所定の都道府県知事の免許をいう。以下同じ。)の失効に係る規定(同法34条、35条)を準用していない。また、国に対する変更承認(同法42条3項に基づく都道府県知事の承認をいう。以下同じ。)の対象については、埋立地 の用途の変更又は設計の概要の変更に係る部分に限るとしている。 このような埋立承認がされた後の規律が埋立免許の場合と相違するのは、国が本来的に公有水面の支配管理権を有していること等に由来するものである。すなわち、国は、埋立承認がされた後は、自律的に埋立てを施行することができ、竣功期間に制限がなく、都道府県知事の監督も 受けない。竣功期間に制限がない結果、その伸長につき変更承認を得る必要性はなく、埋立承認により大枠で要件の充足が判断されている以上、より環境負荷が少ない埋立区域の縮少についても自律的に施行できる。 これに対し、仮に、本件が、国以外の者が事業主体であった場合、竣功期間の伸長と埋立区域の縮少も伴っていることから、それらの点の変 更許可申請が必要である。また、実際にいつ完成するか不明確となり変 更許可が不許可とされるならば、埋立免許が失効し、原状回復義務を負うこととなる。しかし、本件では国が事業主体であるため、これらの が必要である。また、実際にいつ完成するか不明確となり変 更許可が不許可とされるならば、埋立免許が失効し、原状回復義務を負うこととなる。しかし、本件では国が事業主体であるため、これらの規律を受けず、竣功期間の伸長と埋立区域の縮少については変更承認申請がされず、これらの点は、変更承認において考慮されない。 以上のとおり、国が公有水面の支配管理権を有しており、埋立承認を 受けた後の異なる規律の法効果が既に生じているという背景から、国以外の者が変更許可を受ける場合と、国の機関が変更承認を受ける場合とでは手続及び要件に差異があり、この差異によって、「国の機関等が一般私人に優先するなど特別に取り扱われている」(令和2年最高裁判決)ところ、沖縄防衛局は、一般私人が立ち得ないような立場において変更 承認処分の相手方となるもの、すなわち、「固有の資格」において本件変更不承認処分の名宛人となったものである。 上記の点に関し、被告は、本件変更不承認処分の審査対象である埋立地の用途又は設計の概要の変更の手続や要件等には何ら差異が設けられていない旨主張するが、令和2年最高裁判決においても、具体的な処分 の規律のみを考慮する判断枠組みは採用されておらず、比較されるべきは制度としての変更承認と変更許可(埋立法13条ノ2第1項所定の都道府県知事の許可をいう。以下同じ。)の手続や要件等の規律(免許基準以外の規律も広く含む。)である。 工事の着手及び竣功の時期の指定(附款)に関する埋立法13条や埋 立免許後の失効に関する同法34条は、埋立免許には適用される一方、埋立承認には適用されず、その結果、国が変更承認を受けるべき場合が限定されることとなるのであるから、変更承認と変更許可とではその処分要件その他の規律に実質的な 34条は、埋立免許には適用される一方、埋立承認には適用されず、その結果、国が変更承認を受けるべき場合が限定されることとなるのであるから、変更承認と変更許可とではその処分要件その他の規律に実質的な差異があるというべきである。期間の指定の附款についての規律の相違は、処分要件その他の規律に当たると解 されるから、その限度では、令和2年最高裁判決の判断には見落としが あると言わなければならない。 法的効果について被告は、埋立承認と埋立免許はいずれも同じく埋立てをなし得る地位の取得に係る処分で、埋立承認処分については「固有の資格」該当性が否定されているところ、その内容の一部を変更する処分である変更承認 処分・変更許可処分についても同様に解される旨主張している。しかし、令和2年最高裁判決は、法的効果が同じであることから「固有の資格」該当性を否定したわけではない。埋立承認処分と埋立免許処分の規律と、埋立変更承認処分と埋立変更許可処分の規律が異なる以上、前者の法的効果と後者の法的効果が共通するからといって、後者についても「固有 の資格」該当性が当然に否定されるという関係にないことは明らかである。 イ本件裁決が本件審査請求の審査庁になり得ない行政庁によってされた裁決であること仮に本件変更不承認処分に行審法の適用があるとしても、行審法9条2 項が審理員について除斥事由を定めている趣旨からすれば、地方自治法255条の2第1項1号に基づいて法定受託事務に関する都道府県知事の処分についての審査請求を担当する「大臣」とは、審査請求に係る処分について利害関係を有しない大臣を指すと解すべきである。 しかるに、被告は、国土交通省の長として内閣の一構成員の地位にあり、 「閣議に の審査請求を担当する「大臣」とは、審査請求に係る処分について利害関係を有しない大臣を指すと解すべきである。 しかるに、被告は、国土交通省の長として内閣の一構成員の地位にあり、 「閣議にかけて決定した方針に基いて」(内閣法6条)される内閣総理大臣の指揮監督下にあるとともに、「特定の内閣の重要政策」に関する「閣議において決定された基本的な方針」(国土交通省設置法4条2項)に拘束される立場にあり、本件裁決の審査請求をした沖縄防衛局と一体化したものというべきであって、地方自治法255条の2第1項1号の「大臣」 として審査庁になり得ないから、本件裁決は無効というべきである。 ウ本件裁決が審査庁の立場を放棄して行審法上の審査請求制度を著しく濫用してされた裁決であること被告は、上記イのとおり、本件埋立事業を推進してきた内閣の一員であり、同事業に関する従前の被告の対応(特に、①平成27年の前件取消しにつき沖縄防衛局が審査請求をした際、被告が執行停止決定をするととも に、閣議了解の下、裁決を保留して地方自治法に基づく代執行等をし、審査請求の取下げまで審査を行わなかったこと、②平成30年にも前件撤回処分につき執行停止決定をしたこと)からしても、沖縄防衛局と役割分担をしてその時々に政府にとって都合のよい手続を濫用してきたことは明らかであって、本件審査請求を中立・公正に判断できる立場にはない。 そして、本件では、国土交通省水管理・国土保全局水政課が本件裁決及びこれと同趣旨の勧告を同時にしているところ、法定受託事務や自治事務における個別の処分に対して直接主務大臣が関与することは通常あり得ない上、当事者である沖縄防衛局が審査請求をしており、審査庁としての権限は原処分の取消しにとどまるのに、主務大臣が 受託事務や自治事務における個別の処分に対して直接主務大臣が関与することは通常あり得ない上、当事者である沖縄防衛局が審査請求をしており、審査庁としての権限は原処分の取消しにとどまるのに、主務大臣が別途地方自治法上の勧告 という前代未聞の対応をしたものである(なお、被告は、勧告に至る検討経過等の回答を拒否しており、審査庁として得た資料を基に審査と並行して勧告の発出を検討するなど中立性を毀損する行動をしていたと考えられる。)。 よって、本件裁決は、被告が、内閣の一致した方針に従い、沖縄県名護 市辺野古に普天間飛行場の代替施設を建設するために本件変更不承認処分を覆滅させることを一義的な目的として、中立的判断者たる審査庁の立場を放棄して行ったものであり、行政不服審査に名を借りた濫用的関与として違法無効なものであるから、地方自治法245条3号括弧書きの「裁決」に当たらず、「国の関与」から除外されないというべきである。 (被告の主張) 本件裁決は、沖縄防衛局による行審法に基づく審査請求に対する裁決であって、これが地方自治法245条3号括弧書きの「裁決」に当たることは明らかであるから、「国の関与」から除外される。したがって、本件訴えは、「国の関与」を対象としない不適法なものであり却下されるべきである。 本件裁決が無効であるとの原告の主張は、次のとおり理由がない。 ア本件裁決が行審法の適用がない処分についてされた裁決であるとの主張について前件関与取消訴訟において、令和2年最高裁判決は、埋立法42条1項に基づく埋立承認は、国の機関が行審法7条2項にいう「固有の資格」において相手方となるものということはできない旨の判決をしてい るところ、この法理判断に従えば、次のとおり、変更承 法42条1項に基づく埋立承認は、国の機関が行審法7条2項にいう「固有の資格」において相手方となるものということはできない旨の判決をしてい るところ、この法理判断に従えば、次のとおり、変更承認の処分も、国の機関が同項にいう「固有の資格」において相手方となるものということはできない。 法的効果について埋立法上の変更許可・変更承認の制度は、既にされた埋立免許・承認 を前提に、これを事業の完遂のために必要な範囲・事項につき、その内容の一部を変更し、事業者が、当該事業全体につき、変更後の内容でもって埋立てを適法に実施し得る地位を得ることに関するものである。 そして、変更承認は、これを受けて初めて変更後の設計の概要等に基づいて埋立てを適法に実施し得る地位を取得できるという法的効果が生 じるという点において、当初の埋立承認による法的効果と同様であり、また、これは、国以外の者が、変更許可によって、初めて変更後の設計概要等に基づいて埋立てを適法に実施し得る地位を取得できるという法的効果が生じる場合とも、何ら異ならない。 埋立承認と埋立免許が、いずれも埋立てをなし得る地位の取得に係る 処分であり、埋立承認が一般人が立ち得ないような立場において処分の 相手方になるものとはいえない以上、そこで得られた当該埋立てをなし得る地位の内容の一部を変更する処分である変更承認が、一般人が立ち得ないような「固有の資格」において相手方となるものとはなり得ないし、国が受ける変更承認も、国以外の事業者が受ける変更許可も、同様に埋立てをなし得る地位の内容の一部を変更する処分であることからし ても、変更承認が「一般人が立ち得ないような立場において処分の相手方になるもの」とならないことは明らかである。 手続や要件等の差異につ なし得る地位の内容の一部を変更する処分であることからし ても、変更承認が「一般人が立ち得ないような立場において処分の相手方になるもの」とならないことは明らかである。 手続や要件等の差異について埋立法42条3項は、埋立地の用途又は設計の概要の変更に係る部分に限って同法13条ノ2の規定を変更承認に準用しているところ、変更 承認の対象となる埋立地の用途又は設計の概要の変更に係る手続や要件等は、国以外の者が埋立免許につきそれらの変更許可を受ける場合と何ら差異はなく、変更承認と変更許可のいずれについても、同様の手続及び要件により、変更後の設計の概要等に基づいて埋立てを適法に実施し得る地位を得られることに変わりはないから、国の機関が一般私人が立 ち得ないような立場において処分の相手方になるものとはいえない。 原告は、埋立法42条3項が同法13条ノ2のうち埋立区域の縮少や竣功期間の伸長に係る部分を準用していないことを理由に国の機関等が一般私人に優先するなど特別に取り扱われていると主張するが、「固有の資格」該当性の判断に当たっては、対象となる処分に対する不服申立 てにおいて審査の対象となるべきもの、つまりは、不承認とされた変更事項が何かに着目し、それを審査する際に適合性が問題となる要件に着目することになるはずであって、審査対象ではない竣功期間の伸長等に着目して、その「固有の資格」該当性を判断すること自体が失当である。 なお、埋立区域の縮少及び竣功期間の伸長の許可に係る規定は、国が 公有水面について本来的な支配管理権能を有していること等に鑑みて国 による埋立てには準用されていないものである。 また、工事の着手及び竣功に関する期間の指定の有無をもって、国の機関が一般私人に優先するなど特別に取り扱われて していること等に鑑みて国 による埋立てには準用されていないものである。 また、工事の着手及び竣功に関する期間の指定の有無をもって、国の機関が一般私人に優先するなど特別に取り扱われているわけではなく、当該期間の指定が公有水面の埋立てを適法に実施し得る地位を受けるための処分の処分要件その他の規律自体に関係するものではないから、国 の機関と国以外の者との間で、上記の規律につき実質的な差異はない。 すなわち、工事の着手及び竣功に関する期間の遵守等に関する埋立法13条や34条の規定は利権屋の排除を趣旨とするものであり、これらの規定が国の機関による埋立てに準用されないのは、上記趣旨を考慮する必要がないからであって、国の機関を特別優先する趣旨に出たものでは ない。また、工事の着手及び竣功に関する期間の指定は、飽くまで附款であり、公有水面の埋立てを適法に実施し得る地位を付与するための処分を受けるための処分要件等の規律の本質的内容を構成するものではなく、一般私人が設計の概要や埋立地の用途の変更に併せて竣功期間の伸長について許可を得る必要があるとしても、設計の概要や埋立地の用途 の変更申請の審査において異なる規律が及ぶこととなるわけではないから、上記期間の指定に関する規律の差異は、「固有の資格」該当性を肯定すべき事情にはなり得ない。 したがって、変更承認について国の機関が「固有の資格」において相手方となるものでない以上、本件変更不承認処分は沖縄防衛局が「固有 の資格」において相手方となった処分とはいえないことは明らかであるから、本件裁決は行審法の適用がある処分についてされた有効なものである。 イ本件裁決が本件審査請求の審査庁になり得ない行政庁によってされた裁決であるとの主張について 行審 であるから、本件裁決は行審法の適用がある処分についてされた有効なものである。 イ本件裁決が本件審査請求の審査庁になり得ない行政庁によってされた裁決であるとの主張について 行審法では審査庁の除斥事由などを定めておらず、行審法上の審理員の 規定を審査庁に適用する余地がないのは明らかである。 また、行審法にいう「利害関係人」とは、審査請求に対する裁決の主文によって直接自己の権利利益を侵害される者をいうと解されるところ、本件変更不承認処分の根拠法令である埋立法に照らせば、被告は、正に当該法令を所管する大臣であり、公益の観点(行政による公権力の行使の適正 という観点)でこれに関与し、所管法令に基づく処分の違法性ないし相当性という範囲において準司法的な裁定機関として裁決を行う機関そのものであって、行審法にいう利害関係人に該当すると解する余地はないから、被告が審査庁になり得ないことを理由に本件裁決の違法無効をいう原告の主張には理由がない。 ウ本件裁決が審査庁の立場を放棄して行審法上の審査請求制度を著しく濫用してされた裁決であるとの主張について国の機関であってもその「固有の資格」によらずに相手方となった処分について審査請求ができ、それを審査庁が裁決できることは明らかである。 また、閣議決定は、内閣の重要政策に関する基本的な方針として決定さ れるものであり(内閣法4条2項)、個別の処分の法令適合性の判断を拘束するようなものではあり得ない。被告は、法律を誠実に執行する義務を負っており(憲法73条1号)、具体的な不承認理由を基にされた本件変更不承認処分について、埋立法の適用の見地から不承認とされるべきかどうかを判断したものであって、普天間飛行場の移設が基本方針だとしても、 法73条1号)、具体的な不承認理由を基にされた本件変更不承認処分について、埋立法の適用の見地から不承認とされるべきかどうかを判断したものであって、普天間飛行場の移設が基本方針だとしても、 それが個別の法令に反して行われることが許されるわけではない。 行審法や地方自治法上、裁決と勧告を同日で行うこと等についての禁止や制約はなく、被告は、本件変更承認申請の内容及びそれに対する沖縄防衛局と処分庁(原告)の言い分を踏まえた上で、法令の規定に従って、裁決、勧告、是正の指示を行ったにすぎず、上記一連の経緯をもって、被告 の中立性や公平性が損なわれるものではない。被告は、本件裁決に当たっ て、埋立法の所管大臣の立場において、行審法上の審査庁として、所管法令上の法定受託事務である処分について審理及び判断を行ったものであり、被告が内閣の一員であることによって、その中立性や公正性を損なうものではないから、本件裁決が審査請求制度を著しく濫用してされた違法なものであるとする原告の主張には理由がない。 本件是正の指示の有効性(争点3)(原告の主張)国は、公有水面埋立をなす事業者としての立場、地方自治法255条の2における審査庁の立場、及び同法245条の7の法令所管大臣すなわち関与庁としての立場という三つの立場を併有するものであるが、以下で述べると おり、本件埋立事業を実現することを目的として、上記三つの立場を連結させて、一つの立場ではなし得ない権限を行使してきたという事実関係があり、本件是正の指示は、その一環をなすものであるから、権限を不当に連結し、行政作用の法的仕組みを濫用するものとして、違法、無効である。 すなわち、本件埋立事業は、普天間飛行場の辺野古移設を唯一の解決策と す の一環をなすものであるから、権限を不当に連結し、行政作用の法的仕組みを濫用するものとして、違法、無効である。 すなわち、本件埋立事業は、普天間飛行場の辺野古移設を唯一の解決策と する閣議決定に基づき推進されている事業であり、「特定の内閣の重要政策」に該当し、被告は、内閣の構成員として、かかる政策について内閣補助事務を行う立場にある(内閣法3条、国家行政組織法4条、5条2項、国土交通省設置法3条2項、3項、4条2項)。 その一方で、被告は、埋立法を所管し、分担管理事務を行う立場として、 地方自治法245条の7等の関与や、同法255条の2に基づく審査請求の審査庁となるが(国家行政組織法4条、国土交通省設置法3条1項、4条1項57号)、その場合も内閣法6条の「閣議にかけて決定した方針に基づいて」行われる内閣総理大臣の指揮監督下に置かれることになる。 そして、本件埋立事業に関する従前の被告の対応(特に、①平成27年の 前件取消しにつき沖縄防衛局が審査請求をした際、被告が執行停止決定をす るとともに、閣議了解の下、裁決を保留して地方自治法に基づく代執行等をし、被告は審査請求の取下げまで審査を行わなかったこと、②平成30年にも前件撤回処分につき被告が執行停止決定をしたこと)からすると、沖縄防衛局と役割分担をして、その時々に政府にとって都合のよい手続を濫用してきたことは明らかである。 そして、本件裁決及び本件是正の指示は、極めて短期間で、かつ同内容によって行われており、被告が、審査庁としての立場に基づく権限行使とは別に、関与庁としての立場に基づく権限行使について検討した形跡はない。 また、本件是正の指示は、本件裁決により本件変更不承認処分が取り消されていることを前提として、審査庁としての立場ではな 行使とは別に、関与庁としての立場に基づく権限行使について検討した形跡はない。 また、本件是正の指示は、本件裁決により本件変更不承認処分が取り消されていることを前提として、審査庁としての立場ではなし得ない、特定の処 分を指示しているもので、審査庁して本件変更不承認処分を取り消すに当たって、地方公共団体が国とは対等な関係にあって上級下級の関係にないことから行審法上自ら承認処分をすることができないという制度の限界があることを没却し、他の権限を利用することによって地方公共団体の自律性を否定し、行審法の脱法を図るものである。結局、事業者として公益実現という目 的のために、関与庁としての立場と審査庁としての立場で権限を行使し、それぞれの立場では許容されない法効果を得ようとしたものといわざるを得ない。このような権限行使は、権限を不当に連結し、仕組みを濫用したものであって、違法・無効である。 被告の権限の濫用は、被告が本訴における答弁書において、原告の法定受 託事務の処理が本件裁決の拘束力に反し違法である旨主張したことにより、一層裏付けられたものといえる。 (被告の主張)本件裁決は、被告が、本件変更不承認処分を受けた者(沖縄防衛局)からの不服申出たる審査請求を受け、審査庁として、行審法に基づき、埋立法に よる当該処分の違法不当を審査する見地から行ったものであり、その有効性 に何ら疑義がない。そして、本件是正の指示は、被告が、地方自治法に基づき、埋立法の所管大臣として、法定受託事務に係る法適用の適正確保の見地から、勧告を経てしたものであって、本件変更承認申請について、本件裁決と整合する内容の勧告や是正の指示をしたことをもって、濫用であるとされる理由はない。 また、本件是正の指示等に当たってさ から、勧告を経てしたものであって、本件変更承認申請について、本件裁決と整合する内容の勧告や是正の指示をしたことをもって、濫用であるとされる理由はない。 また、本件是正の指示等に当たってされるべき原告に係る事務処理の法適合性という個別・具体的判断は、閣議決定等から直接帰結されるものではない。普天間飛行場の移設が基本方針であるとしても、それが個別の法令に反して行われることが許されるわけではなく、移設事業の一環として公有水面の埋立てが必要な場合において、その法令の適合性について所管大臣が判断 する必要性が生じた場合に、これについて法令の規定に基づき判断することは当然というべきである。 したがって、本件是正の指示に関与権限の濫用は認められない。 災害防止要件を欠くとした原告の判断の法令違反等の有無(争点4)(被告の主張) 原告の処分理由等のうち本件変更承認申請につき災害防止要件を満たさないとした部分はいずれも理由がなく、本件変更不承認処分は、裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したものとして違法であり、かつ、不適切な裁量判断によるものとして不当であるから、本件是正の指示は適法である。 ア B-27地点の力学調査の必要性がないこと(処分理由・4イ及び同 イ関係)B-27地点の力学調査が不要であること基準告示を解説している国土交通省港湾局監修、公益社団法人日本港湾協会発行「港湾の施設の技術上の基準・同解説(上・中・下巻)平成30年5月」(以下「港湾基準・同解説」という。)には、港湾施設の性 能照査の方法に関し、自重に関する永続状態における基礎地盤の円弧す べり(斜面等が円弧状のすべり面によって破壊する現象)に対して安定性を検討する際の性能照査式として、「式(2.2.2)」 照査の方法に関し、自重に関する永続状態における基礎地盤の円弧す べり(斜面等が円弧状のすべり面によって破壊する現象)に対して安定性を検討する際の性能照査式として、「式(2.2.2)」が掲げられている(1069及び1070頁)ところ、本件変更承認申請では、改良地盤の下部に未改良地盤が存在するC-1-1-1工区(C-1護岸のうち、直下において、改良地盤の下部に未改良地盤(Avf-c2層及 びAvf-c層の一部)が存在することとなる工区)について、港湾基準・同解説に適合する手法に基づいてせん断強さ(せん断強度)等の土質定数を算出し、これらの値を上記「式(2.2.2)」に代入して安定性能照査が行われているもので、Avf-c2層及びAvf-c層が一定の強度を有することから、予定されている範囲でSCP工法による 地盤改良を行えば、C-1-1-1工区の下部の地盤を通る円弧のせん断強さが増し、それによってB-27地点の下部を通る円弧全体としてのせん断強さ(せん断強度)が強くなり、最も作用耐力比の値が高くなる円弧であっても、その作用耐力比は1以下となって、港湾基準・同解説に基づく安定性能照査基準を満たすのであるから、改良地盤の下部に 未改良地盤が残ることそれ自体が特別な不確実性をもたらすものではない。そして、このC-1-1-1工区の安定性能照査をするに際し、検討断面の設定、部分係数・調整係数の設定、土質定数における補正、完成時の安定計算における変動係数の最も大きなAvf-c2層を代表とした部分係数・調整係数の設定及び動態観測の実施によって不確定性が 考慮されているのであるから、局所的にB-27地点の力学調査が行われていなくても安定性能照査の実施は可能であり、その技術的な確実性が否定される理由はない。 この点、 実施によって不確定性が 考慮されているのであるから、局所的にB-27地点の力学調査が行われていなくても安定性能照査の実施は可能であり、その技術的な確実性が否定される理由はない。 この点、港湾基準・同解説は、「式(2.2.2)」の性能照査式に代入するせん断強さ等の土質定数の設定方法に関し、各地層に存在する導 出値から算出して得られる推定値と比較して得られる変動係数(推定値 に対する導出値のばらつき)が0.6以上であれば信頼性に乏しく性能照査が行えず、試験結果の解釈を見直す必要があるとし、必要に応じて地層区分を再検討したり、地盤調査をやり直したりすることを示唆している一方、変動係数が0.6未満であれば、地層区分をやり直したり、更なる地盤調査を実施すべき必要はないとし、変動係数を踏まえた補正 は、区分された地層全体に対して行われるものとしているところ、本件変更承認申請において設計に用いたAvf-c2層の土質定数の変動係数につき、0.6以上となるものはないのであるから、港湾基準・同解説上、地層区分(地盤のモデル化)について再検討する必要や、土質調査(地盤調査)をやり直す必要はない。 また、B-27地点を含む大浦湾側の地盤調査については、港湾基準・同解説の記載に準拠し、地盤調査地点を機械的に設定することなく、①護岸法線及び海底地形を基に設定した各調査エリアの両端部、中央部付近及び法線変化点等を対象として調査地点を設定し、ボーリング調査を実施し、②ボーリング調査地点間の地層の成層状態を把握することを 目的として音波探査を実施し、③ボーリング調査地点間及び音波探査において、地層境界が不明瞭な箇所の把握等を目的として更に電気式コーン貫入試験(CPT)及びボーリング調査を実施している。その結果、 的として音波探査を実施し、③ボーリング調査地点間及び音波探査において、地層境界が不明瞭な箇所の把握等を目的として更に電気式コーン貫入試験(CPT)及びボーリング調査を実施している。その結果、61か所のボーリング調査、15か所の電気式コーン貫入試験(CPT)、22測線の音波探査及び2測線の弾性波探査が行われた。このよ うに、ボーリング調査等が高い調査密度で実施されており、調査地点の設定等も港湾基準・同解説に適合する適切かつ合理的なものであったから、B-27地点周辺の地盤の性状等は適切に考慮されている。 したがって、本件変更承認申請においてB-27地点のボーリング調査に基づく力学的試験を欠くことから、災害防止につき十分配慮してい ないとする原告の処分理由等には理由がない。 B-27地点の最下部が地層区分Avf-c2に属するとしてそのせん断強さを設定したことが適切であること設計上の地層区分は、本来不均質性等がみられる地盤について、正確にモデル化することは現実的に難しいことから、設計段階で単純化するものであり、精密科学を追求するものではない。設計上の地層区分を設 定する場合には、ある程度のばらつきが出ることはやむを得ない事態であり、他方で、そのようなばらつきが安定性能照査に与える影響を踏まえ、港湾基準・同解説上、ばらつきを示す変動係数が0.6未満であれば、変動係数の大きさに応じて補正を行った上で、各地層の代表値(特性値)を設定することとされている。 本件変更承認申請書においては、地盤から採取した試料の目視観察、物理的特性及び力学的特性等を総合的に判断し、設計上の地層区分として単純化して、当該地盤につきAvf-c層とAvf-c2層を分けて設定したのであるから、必ずしも、Avf-c層とAvf-c 目視観察、物理的特性及び力学的特性等を総合的に判断し、設計上の地層区分として単純化して、当該地盤につきAvf-c層とAvf-c2層を分けて設定したのであるから、必ずしも、Avf-c層とAvf-c2層内の全ての場所において、これらの傾向の全てが満たされるわけではない。 しかし、上記のとおり、これは、設計上の地層区分を設定する場合に想定されているものである。 そして、本件変更承認申請では、上記のとおり、せん断強さ(せん断強度)を含む土質定数の変動係数がいずれも0.6未満なのであるから、本件変更承認申請における地層区分は、港湾基準・同解説に適合し て行われた適正なものであるといえる。 この点、原告は、B-27地点におけるG.L.(海底面からの深度)-59mからG.L.-61mまでは、Avf-c2層に分類する理由はなく、G.L.-59mよりも上の部分のB-27地点のAvf-c2層の細粒分含有率は、他のボーリング調査を行った3地点(S-3、 S-20及びB-58)と異なるので、地層区分はあいまいであり、妥 当でないと主張するが、粘性土の力学的特性は、細粒分含有率等の粒度構成よりも、コンシステンシー(土の変形のしやすさの程度)に関連するものとされており、粒度構成のみで地層区分を判断するものではないから、これを重視することは相当ではない。 なお、本件変更承認申請では、B-27地点におけるG.L.-59 mからG.L.-61mまでの区間においては、薄層で腐植物(有機物の一種)と砂の互層状となっており、有機物を含むとするAvf-c2層の傾向が確認できることから、より安全側の検討とする観点から、当該区間の層について、砂礫層であるAg層ではなく、強度が低い粘性土層であるAvf-c2層とされたものであり、この地 とするAvf-c2層の傾向が確認できることから、より安全側の検討とする観点から、当該区間の層について、砂礫層であるAg層ではなく、強度が低い粘性土層であるAvf-c2層とされたものであり、この地層区分の判断は適 正である。 また、原告は、ボーリング調査を行ったS-3、S-20及びB-58の各地点におけるAvf-c2層のせん断強さ(せん断強度)の数値(導出値)をこれらの地点ごとにグラフ化して評価した上、深さと地盤強度との関係がばらばらであって、地層区分の設定について総合的な判 断が適切かつ合理的なものとはいえないと主張するが、港湾基準・同解説では、地層ごとに数値(導出値)のばらつきを確認するものとされており、当該地層内の各調査地点内又は各調査地点間の数値(導出値)の比較は必要とされていないから、当を得ない。 なお、ボーリング調査が行われたB-58地点について、目視観察の 結果、物理的特性及び力学的特性等を総合的に判断して、G.L.-37m以深をAvf-c2層に区分したことは合理性がある。 以上を踏まえ、Avf-c2層の地盤強度の主要な支配要因が土の自重であるという特性があることから、力学試験を行ったS-3、S-20及びB-58の各地点のAvf-c2層のせん断強さの導出値から、 B-27地点を含むAvf-c2層全体のせん断強さ(せん断強度)を 推定することには合理性がある。その上で、Avf-c2層の変動係数を確認し、統計的な平均値の推定誤差を勘案した補正を、B-27地点を含むAvf-c2層全体に対するものとして行っている。 したがって、本件変更承認申請においてB-27地点の最下部が地層区分Avf-c2に属するとしてそのせん断強さを設定したことから、 災害防止につき十分配慮していないとする ものとして行っている。 したがって、本件変更承認申請においてB-27地点の最下部が地層区分Avf-c2に属するとしてそのせん断強さを設定したことから、 災害防止につき十分配慮していないとする原告の処分理由等には理由がない。 イ施工時の斜面における安定性の評価に関し、調整係数mを1.10と設定したことが適切であること(処分理由・4ウ関係)港湾基準・同解説749頁は、施工中の安定計算に用いる調整係数につ いて、地盤の変位及び応力を観測する計測施工を行うことを前提とした場合には、γS=1.00、γR=1.00と設定すれば、調整係数mを1.10以上のいずれの値に設定してもよいとしており、設定する調整係数mを不確実性に応じて変更しなければならないとの見解を採用していない。調整係数mを1.10とすれば、港湾基準・同解説に適合し、 基準告示3条にも適合することになる。 しかも、本件変更承認申請においては、上記アのとおり、①B-27地点を含むC-1-1-1工区の安定性能照査に際して不確実性が考慮され、②設計に用いた地層区分と、その地層区分に基づいて各地層に設定された、せん断強さ(せん断強度)を含む土質定数(地盤物性値)は、 基準告示13条及び港湾基準・同解説に基づく適正なものであるから、調整係数mを1.10よりも大きな値にしなければ、施工時における最大の作用耐力比が1以上となる可能性があるとはいえない。 したがって、本件変更承認申請において施工時の斜面における安定性の評価に関し、調整係数mを一律に1.10と設定したことから、災害防 止につき十分配慮していないとする原告の処分理由等には理由がない。 ウ地盤改良工法に実績があること(処分理由・4エ関係)サンドコンパクションパイル(SCP)工 、災害防 止につき十分配慮していないとする原告の処分理由等には理由がない。 ウ地盤改良工法に実績があること(処分理由・4エ関係)サンドコンパクションパイル(SCP)工法は、地盤改良の工法として一般的な工法であり、施工実績が豊富で、沖縄県内においても施工実績がある。その規模についても、本件埋立事業と同程度又はそれ以上の規模のSCP工法を行った前例は複数存在する。砂杭を打設する深度につ いても、国内においてはC.D.L.(港湾管理用基準面。1年以上の実測値を基に設定された最低水面(D.L.)と同じ高さのもの。)-65mまでの、海外においてはC.D.L.-70mまでのそれぞれ施工実績があり、国内のサンドコンパクション船を改造することによって、C. D.L.-70mまでのSCP工法を施工することができる技術的な確 実性が認められる。このように、地盤改良工法が実績を欠くとした原告の処分理由等には理由がない。 したがって、本件変更承認申請において実績のない地盤改良工法を採用したことから、災害防止につき十分配慮していないとする原告の処分理由等には理由がない。 エ原告の主張に対する反論原告は、埋立地の護岸の安定性に関し、本件変更承認申請が港湾基準・同解説に適合しているだけでは足りず、港湾基準・同解説以上の事項を要求することも原告の裁量の範囲内である旨を主張する。 しかしながら、本件変更承認申請に係る護岸の安定性については、港湾 基準・同解説に適合していることが認められれば、設計上、護岸下部の地盤で円弧すべりが惹起される可能性がなく、所要の安定性を備えていることが認められるのであるから、災害防止に対する配慮に不足はないのであって、更に上乗せして何らかの事項を求めることは、災害防止上、必要 で円弧すべりが惹起される可能性がなく、所要の安定性を備えていることが認められるのであるから、災害防止に対する配慮に不足はないのであって、更に上乗せして何らかの事項を求めることは、災害防止上、必要でない措置を講じることを要求するものであり、そのような措置が 講じられないことを理由に第2号要件の充足を否定することは、裁量権 の範囲を逸脱し、又はこれを濫用するものである。 (原告の主張(処分理由等))ア本件変更承認申請は、処分理由等(別紙3の第3及び別紙4)に記載のとおり、以下の各点において、災害防止要件に関して原告が設けた審査事項に適合しておらず、同要件を満たさないとした原告の裁量判断は適法で あるから、同要件に関する原告の上記の判断に裁量権の逸脱又は濫用があるとした本件是正の指示は違法である。 B-27地点の力学的試験が必要であるのにこれを欠いており、同地点の最下部が地層区分Avf-c2に属するとしてそのせん断強さを設定したことが不適切であること(処分理由・4イ及び同イ) 施工時の斜面における安定性の評価に関し、調整係数mを1.10と設定したことが地盤の不確実性を十分に考慮しておらず不適切であること(処分理由・4ウ)地盤改良工法につきC.D.L.-70mまでしか実績がなく、約20mの未改良部が残ること(処分理由・4エ) イ本件訴訟における主張の要旨埋立法4条1項各号の要件は、平成28年最高裁判決が判示するとおり、埋立承認処分が裁量的な判断であることを前提に、最小限の要件を定めたものであり、第1号要件、第2号要件の充足に関する知事の判断は、その判断が事実の基礎を欠いたり社会通念に照らし明らかに妥当性を欠 いたりするものである場合に初め を前提に、最小限の要件を定めたものであり、第1号要件、第2号要件の充足に関する知事の判断は、その判断が事実の基礎を欠いたり社会通念に照らし明らかに妥当性を欠 いたりするものである場合に初めて、裁量権の逸脱・濫用が認められ、違法とされるから、本件においても、上記のような場合であるといえるかどうかが審査されなければならない。 本件では、原告審査基準のうち、免許禁止基準に係る審査事項2のとが問題となっている。同にいう「海岸護岸築造基準」は、港湾法5 6条の2の2第1項が定める技術基準であるところ、この技術基準は、 法、省令、告示により構成されており、本件では基準告示3条、13条、49条1項1号が問題となっている。技術基準を解説する文献として、港湾基準・同解説があるが、当然のことながら、同解説自体は技術基準を構成するものではなく、審査事項も「例えば、少なくとも海岸護岸築造基準に適合している」との表現を用いている。原告は、港湾基準・ 同解説の最低ラインをクリアしていれば要件を充足していると扱わなければならないよう義務付けられているわけではない。 以上を踏まえると、災害防止要件の充足性の審査は、港湾法の技術基準を参照しつつも、あくまでも、埋立承認申請ないし変更承認申請において、公有水面の埋立てにより生じ得る災害防止上の問題が的確に把握さ れ、これに対する措置が適正に講じられているか否かを知事の専門技術的な知見から審査するというものであり、本件においては、港湾基準・同解説を参照した上で、上記アの各点に関する知事の判断が、事実の基礎を欠き、あるいは社会通念に照らし明らかに妥当性を欠くと認められるか否かが審査されることになる。 しかし、本件において、上記の場合であるとは認められない。すなわち、 事の判断が、事実の基礎を欠き、あるいは社会通念に照らし明らかに妥当性を欠くと認められるか否かが審査されることになる。 しかし、本件において、上記の場合であるとは認められない。すなわち、知事は、B-27地点の力学的試験の必要性については、前提となる地層区分が総合的な判断で、不適切であるとまでは主張しないが、どうしてもあいまいさが残ること、S-3、S-20、B-58の各地点における深さと地盤強度の関係が地点間で乖離していること、変動係数はこ れらの3地点とB-27地点との間のばらつきを調整するものではないこと、Avf-c層及びAvf-c2層が水面下90mに達し、地盤未改良の粘性土が残置される計画になっていること、同地点が設計上重要であることなどに鑑み、B-27地点の力学的試験を実施すべきと判断したものであり、同試験のコストと総工費とを比較すれば、過大な要求 ではないことからすると、このような知事の判断が、事実の基礎を欠く とか、社会通念に照らし明らかに妥当性を欠くなどとは到底いえない。 調整係数についても、そもそも港湾基準・同解説の「1.10」との記述は、その元となっている論文が地盤の不確定性等に応じて1.10以上の数値を挙げていることからすると、1.10であればどのような場合でも問題がないという意味ではなく、地盤の不確定性等に応じて1. 10以上の数値から適切な数値を選択することを求めている趣旨であることが明らかである。そして、知事は、極めて膨大な土砂を投入して国内では例のない深度の地盤改良工事を行う本件においては、1.10以上の数値の中で適切な数値を選択することが必要と判断したのであり、このような知事の判断が、事実の基礎を欠くとか、社会通念に照らし明 らかに妥当性を欠くといえないこと 本件においては、1.10以上の数値の中で適切な数値を選択することが必要と判断したのであり、このような知事の判断が、事実の基礎を欠くとか、社会通念に照らし明 らかに妥当性を欠くといえないことは明らかである。 環境保全要件を欠くとした原告の判断の法令違反等の有無(争点5)(被告の主張)原告の処分理由等のうち本件変更承認申請につき環境保全要件を満たさないとした部分はいずれも理由がなく、本件変更不承認処分は、裁量権の範囲 を逸脱し、又はこれを濫用したものとして違法であり、かつ、不適切な裁量判断によるものとして不当であるから、本件是正の指示は適法である。 アジュゴンへの影響について本件埋立事業の実施がジュゴンに及ぼす影響についての情報収集や予測が適切であること(処分理由・4ア、ア関係) a 本件埋立事業の実施がジュゴンに及ぼす影響については、本件願書に添付された環境保全図書においても、当時、ジュゴンが国指定天然記念物で、既に環境省のレッドリストにおいて絶滅危惧ⅠA類と評価されていたことが前提とされており、そのことも踏まえて、航空機による生息状況調査、監視用プラットフォーム船による監視、水中録 音装置による監視、海草藻場の利用状況の調査などの各種調査が実施 されてきた。 実際に行われた海上工事の作業実績を基に、ジュゴンに影響を及ぼす可能性が考えられる水中音や振動を発する工事は、平成29年11月から平成30年8月までの期間がピークであったと推定することができるが、この期間には、嘉陽沖において、個体Aが定期的に確認さ れている。他方で、個体Aが嘉陽周辺海域の海草藻場を利用しなくなったと考えられる平成30年10月18日から同年12月5日までの間に行われていた工事は、工事 陽沖において、個体Aが定期的に確認さ れている。他方で、個体Aが嘉陽周辺海域の海草藻場を利用しなくなったと考えられる平成30年10月18日から同年12月5日までの間に行われていた工事は、工事再開に伴う復旧作業(台風影響による一部損傷等からの復旧)に限られており、護岸の造成等の水中音や振動を発する工事は実施されていなかった。したがって、個体Aが確認 されなくなったことについて、水中音や振動を発する工事の影響によるものとまで認めることはできない。 また、令和2年2月から同年6月まで及び同年8月に、大浦湾内に設置した水中録音装置から、ジュゴンの鳴音のような音が検出されたところ、各種の追加調査を実施したにもかかわらず、ジュゴンの姿や 痕跡は捉えられていないことなどから、水中録音装置から検出された音がジュゴンの鳴音であると確定するには至っておらず、地域特性の変化があったとは認められない。なお、沖縄防衛局は、上記の音がジュゴンの鳴音であり得ることを前提に、追加調査を実施し、継続するという対策を講じている。 b 本件願書及び本件変更承認申請書に添付された各環境保全図書においては、国内の測定事例における実測データにより発生源の音圧レベルを推定し、水中音の予測を行っており、その際、近距離音場の不規則性を考慮して、距離減衰量を減衰する方向で補正する予測モデルを用いており、より安全側に予測及び評価を行っている。 そして、水中音の予測を行うに当たって同種の海中土木工事及び船 舶騒音に関する実測データが基にされている上、水中音の発生レベルが大きくなると予測される時期に至っておらず、既存文献資料に基づく一般的な手法により適切に水中音の予測が行われていることを考慮すれば、現時点において、工事に伴う水 にされている上、水中音の発生レベルが大きくなると予測される時期に至っておらず、既存文献資料に基づく一般的な手法により適切に水中音の予測が行われていることを考慮すれば、現時点において、工事に伴う水中音を実測し、予測値と比較する実益は大きくないと認められ、また、工事に伴う水中音は本件承 認処分に際しても事後調査の対象とされておらず、その調査を沖縄防衛局に行わせなければならないような事情までは認められない。 本件承認処分に際しても工事に伴う水中音は事後調査の対象とされていなかったことに加え、本件願書に添付された環境保全図書については、当時の沖縄県知事等の意見も踏まえて作成され、本件承認処分 の段階で採り得ると考えられる環境保全措置及び対策が講じられており、環境保全に十分配慮した対策が採られていると判断されているところ、本件変更承認申請について、本件変更承認申請書に添付された環境保全図書における予測の結果は、本件願書に添付された環境保全図書における予測の結果と比較して、おおむね同程度又はそれ以下で あると評価されているから、本件願書に添付された環境保全図書における環境保全措置の内容を変更しなければならないような事情までは認められない。 c したがって、本件埋立事業の実施がジュゴンに及ぼす影響についての情報収集や予測が不適切であることから、環境保全につき十分配慮 していないとする原告の処分理由等には理由がない。 本件埋立事業の実施により生じ得る環境への影響を回避又は軽減するために採り得る措置の検討や当該措置を講じた場合の効果の評価が適切であること(処分理由・4ア、ア関係)a 本件願書及び本件変更承認申請書に添付された各環境保全図書に おいて、Hら(2007)が提案した評価基準は、ジュ じた場合の効果の評価が適切であること(処分理由・4ア、ア関係)a 本件願書及び本件変更承認申請書に添付された各環境保全図書に おいて、Hら(2007)が提案した評価基準は、ジュゴンとクジラ 目とでは常時海中で生活する生活様式が類似していること、中周波数帯域のクジラ目に係る可聴音域の中でも聞こえやすい周波数帯の範囲にジュゴンの可聴音域が含まれていること、海外の他の環境影響評価においても中周波数帯域のクジラ目の評価基準がジュゴンへの影響の予測に用いられていることを考慮して、水中音がジュゴンに及ぼす影 響についての評価基準の設定に当たり参考にされたものであり、そのことには合理的な根拠があると認められる。 また、沖縄防衛局は、Hら(2007)の整理による行動阻害に関する実験データを参考にしつつ、大浦湾内の水中音の測定結果による音圧レベルが113dBから124dBまでであったことや、ジュゴ ンの鳴音の音圧レベルが平均122dB程度と推定されることを総合的に判断した上、水中音の影響が及ぶ範囲の予測は、ジュゴンの鳴音について想定した平均音圧レベル(122dB)よりも低く想定して行う必要があるなどの当時の沖縄県知事の意見を踏まえて、行動阻害に関する影響レベルの評価基準を120dBに設定したもので、その ことには合理性が認められる。 そうすると、Hら(2019)において、海牛類グループに係る障害及び一時的な聴覚障害の影響についての評価基準が提案されたことを踏まえても、本件願書に添付された環境保全図書において設定された評価基準を変更しなければならないような事情までは認められない。 なお、本件変更承認申請書に添付された環境保全図書においては、Hら(2019)の評価基準を踏まえた評価基準によって て設定された評価基準を変更しなければならないような事情までは認められない。 なお、本件変更承認申請書に添付された環境保全図書においては、Hら(2019)の評価基準を踏まえた評価基準によっても、予測及び評価が行われているところ、本件願書に添付された環境保全図書における予測の結果と比較して、おおむね同程度又はそれ以下と評価されている。 原告は、本件埋立工事に伴う水中音につき沖縄防衛局が設定した評 価基準の範囲内であったとしても、ジュゴンに行動変化を生じさせている可能性を否定することができない旨を指摘するが、個体Aが嘉陽海域において確認されなくなったこと及びジュゴンの鳴音のような音が検出されたことなどの事情は、ジュゴンに対し何らかの工事による影響があったと認めるに足るものではなく、水中音の評価基準につい ても既往知見等を参考として合理的に設定されていること等を踏まえれば、ジュゴンの行動変化について本件埋立事業の影響があったとは認められない。 b 沖縄防衛局が環境保全措置の一つとして構築しているジュゴンの監視・警戒システムは、ヘリコプターからの生息確認、監視用プラット フォーム船による監視及び水中録音装置による機器観測から構成されており、複数の異なる手法から多角的な観察をし、ジュゴンの状況をより適切に把握しようとするものである。このうち、監視用プラットフォーム船による監視は、ジュゴンの工事海域への来遊(接近)状況を監視するため、3隻のプラットフォーム船により、目視観察、曳航 式ハイドロホンによる鳴音探知及びスキャニングソナーによる映像探知を実施し、工事期間中、毎日、工事の着手前においては、施工区域全域をできる限り短時間で調査し、又は監視し、工事の着手後においては、大浦湾東側海域 ンによる鳴音探知及びスキャニングソナーによる映像探知を実施し、工事期間中、毎日、工事の着手前においては、施工区域全域をできる限り短時間で調査し、又は監視し、工事の着手後においては、大浦湾東側海域を中心に終日継続して監視している。このように、ジュゴンの監視・警戒システムは、複数の異なる手法から多角的 な観察をし、ジュゴンの状況をより適切に把握するものであり、一部の手法によりジュゴンの姿や痕跡が確認された際に、一部の手法ではこれらが確認されなかったとしても、直ちに同システムの有効性に疑義が生じるべき性質のものではない。 原告の指摘するように、令和2年3月に、ジュゴンの鳴音のような 音が確認された際、監視用プラットフォーム船による監視ではジュゴ ンが確認されていないが、鳴音のような音が検出された同年2月以降、ジュゴンの姿や、映像、食跡が全く確認されていないことなどからすれば、鳴音のような音が検出された工事実施日の工事実施時間中において、監視用プラットフォーム船による監視によってジュゴンを確認することができなかったことなどをもって、同船による監視が機能し ていないとまではいうことができない。したがって、監視用プラットフォーム船による監視の有効性に疑義を生じさせる事情はない。 c したがって、本件埋立事業の実施により生じ得る環境への影響を回避又は軽減するために採り得る措置の検討や当該措置を講じた場合の効果の評価が不適切であることから、環境保全につき十分配慮してい ないとする原告の処分理由等には理由がない。 イ地盤改良に伴う地盤の盛り上がりが環境に及ぼす影響についての情報収集が適切であること(処分理由・4イ関係)本件変更承認申請に当たり、設計概要変更により地盤改良工事の実施に には理由がない。 イ地盤改良に伴う地盤の盛り上がりが環境に及ぼす影響についての情報収集が適切であること(処分理由・4イ関係)本件変更承認申請に当たり、設計概要変更により地盤改良工事の実施に伴って生じる、海底面の盛り上がり箇所を含めた改変範囲は、約1.8 haで、設計概要変更の前から約1%の増加となっており、かつ、増加した範囲は設計概要変更の前の海底面の改変範囲に隣接している。 原告が指摘する「大浦湾に向かって急激に深くなる斜面部かつ外洋からの潮流が流れ込む」箇所は、C-1護岸東側の新たに海底改変範囲となる箇所を指しているものと考えられるが、そのような環境条件の箇所は、 必ずしも護岸外側の新たに海底改変範囲となる箇所にとどまるものではなく、本件変更承認申請によって、新たな環境条件の地点が海底改変範囲に加わったということはできない。 沖縄防衛局は、本件願書に添付された環境保全図書に係る調査やその後の調査において、SCP工法による地盤改良工事の実施対象となる海底 面と同一の環境条件を有する調査地点イ269において、インベントリ ー調査(海藻草類、サンゴ類、大型底生動物(貝類、甲殻類、棘皮類等)、魚類を対象とした、標本、写真記録等に基づく生物種の目録作成)その他の底生生物の調査を実施しており、それらの調査において、特異な生物の生息や、普天間飛行場の代替施設の存在及び供用により個体群の存続が困難となる種の存在は確認されていない。 また、沖縄防衛局は、平成19年以降、大浦湾において水深20m以深の底生生物の調査を多数の地点で繰り返し実施してきており、その調査結果によれば、SCP工法による地盤改良工事の実施対象となる海底面における生物の生息状況は、これに隣接する、設計概要変更の前から改変範囲とな 物の調査を多数の地点で繰り返し実施してきており、その調査結果によれば、SCP工法による地盤改良工事の実施対象となる海底面における生物の生息状況は、これに隣接する、設計概要変更の前から改変範囲となっていた海底面における生物の生息状況と大きな差異はない。 したがって、地盤改良に伴う地盤の盛り上がりが環境に及ぼす影響についての情報収集が不適切であることから、環境保全につき十分配慮していないとする原告の処分理由等には理由がない。 (原告の主張(処分理由等))ア本件変更承認申請は、処分理由等(別紙3の第3及び別紙4)に記載の とおり、以下の各点において、環境保全要件に関して原告が設けた審査事項に適合しておらず、同要件を満たさないとした原告の裁量判断は適法であるから、同要件に関する原告の上記の判断に裁量権の逸脱又は濫用があるとした本件是正の指示は違法である。 ジュゴンへの影響について a 本件埋立事業の実施がジュゴンに及ぼす影響についての情報収集や予測が不適切であること(処分理由・4ア、ア)b 本件埋立事業の実施により生じ得る環境への影響を回避又は軽減するために採り得る措置の検討や当該措置を講じた場合の効果の評価が不適切であること(処分理由・4ア、ア) 地盤改良に伴う盛り上がりが環境に及ぼす影響についての情報収集 が不適切であること(処分理由・4イ)イ本件訴訟における主張の要旨ジュゴンへの影響に関し、本件願書に添付された環境保全図書は、工事着手前の本件承認処分の段階で採り得ると考えられる環境保全措置及び対策が講じられたものであったとしても、本件変更承認申請に際して添 付された環境保全図書を作成する時点においては、沖縄防衛局が平成2 の本件承認処分の段階で採り得ると考えられる環境保全措置及び対策が講じられたものであったとしても、本件変更承認申請に際して添 付された環境保全図書を作成する時点においては、沖縄防衛局が平成29年4月に護岸工事に着手したこと、嘉陽海域を主要な生育域としてきたジュゴンの個体Aが平成30年9月以降確認されていないこと、令和2年2月から6月まで、及び同年8月に鳴音のような音が検出され、専門家からジュゴンの鳴音の可能性が高いという意見が得られたことなど、 本件出願の時点からは地域特性が変化している。IUCNが令和元年12月に南西諸島のジュゴンに特化してレッドリスト絶滅危惧ⅠA類と評価を変更したことも、地域特性の変化の一つである。 しかるに、本件変更承認申請に添付された環境保全図書においては、上記の地域特性の変化について適切な情報収集が行われていないこと、ジ ュゴンの個体Aの行動変化に工事の影響が否定されないこと、ジュゴンの鳴音のような音が録音されたことへの対応が不十分であること、ジュゴンの行動監視も十分とはいえないこと、水中音に関し地域特性の変化を踏まえた適切な予測及び評価をすべきであったこと、水中音の評価基準に不確実性があることについて誤りはないから、知事がこれに基づい て上記アa及びbのとおり判断したことは、事実の基礎を欠くとか、社会通念に照らし明らかに妥当性を欠くとはいえない。 また、新たに地盤改良が加わることによって、海底地盤が盛り上がることによる環境影響を検討する必要が生じたところ、盛り上がる箇所は水深が深くなる斜面部に位置しており、変更前の海底面改変範囲と隣接し ているとしてもそれとは異なる環境も含まれており、一般的に環境が異 なると生息している生物も異なると考えら は水深が深くなる斜面部に位置しており、変更前の海底面改変範囲と隣接し ているとしてもそれとは異なる環境も含まれており、一般的に環境が異 なると生息している生物も異なると考えられるにもかかわらず、当該箇所については調査が実施されていないこと、沖縄防衛局が実施した6地点の調査は主に護岸法線上であり、大浦湾側の護岸外側の海底生物への影響調査としては環境条件の類似性を欠き不十分であること、既に実施された調査でも種や個体数について統一した傾向がみられないことなど からすれば、知事がこれに基づいて上記アのとおり判断したことは適切であり、事実の基礎を欠くとか、社会通念に照らし明らかに妥当性を欠くとはいえない。 第1号要件を欠くとした原告の判断の法令違反等の有無(争点6)(被告の主張) 第1号要件について、原告(仲井眞知事)は、本件承認処分をするに当たり、普天間飛行場の使用状況や、同飛行場の返還及び代替施設の設置に関する日米間の交渉経過等を踏まえた上で、騒音被害等により同飛行場の周辺住民の生活に深刻な影響が生じていることや、同飛行場の危険性の除去が喫緊の課題であることを前提として、①普天間飛行場の代替施設の面積や埋立面 積が同飛行場の施設面積と比較して相当程度縮小されること、②沿岸域を埋め立てて滑走路延長線上を海域とすることにより航空機が住宅地の上空を飛行することが回避されること及び上記代替施設が既に米軍に提供されているキャンプ・シュワブの一部を利用して設置されるものであることなどに照らし、埋立ての規模及び位置が適正かつ合理的であるなどとして、本件埋立事 業が第1号要件に適合すると判断したものであり、当該判断に違法又は不当な点はない。 このことを前提として、本件変更承認申請の内容、すな 模及び位置が適正かつ合理的であるなどとして、本件埋立事 業が第1号要件に適合すると判断したものであり、当該判断に違法又は不当な点はない。 このことを前提として、本件変更承認申請の内容、すなわち、①埋立地の用途につき、名護市辺野古地区地先の配置及び規模を削除すること、②所要の箇所に地盤改良を追加して行うことに加え、全般について、より合理的な 設計、施行方法等とすることという申請の内容その他の事実関係等を考慮す れば、本件変更承認申請は本件埋立事業が第1号要件に適合するとの判断を覆すようなものではなく、本件変更承認申請は第1号要件に適合すると認められる。 したがって、上記の判断と異なる原告の処分理由等には理由がなく、本件変更不承認処分は、裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したものとして 違法であり、かつ、不適切な裁量判断によるものとして不当であるから、本件是正の指示は適法である。 (原告の主張(処分理由等))ア本件変更承認申請は、処分理由等(別紙3の第3及び別紙4)に記載のとおり、以下の各点において、「埋立ての位置」に関する合理性を欠き、 同要件を満たさないとした原告の裁量判断は適法であるから、同要件に関する原告の上記の判断に裁量権の逸脱又は濫用があるとした本件是正の指示は違法である。 埋立てをしようとする場所につき、災害防止に十分配慮した検討が行われていないこと(処分理由・3) 「埋立ての位置」として選定された場所が、早期に着工して短期間で確実に埋立工事を完成させるという目的にとって著しく不適切な土層・土質が存在するため、否定的な評価を免れないこと(処分庁の主張の要旨・第1)イ本件訴訟における主張の要旨 埋立法42条3項により準用される同法 という目的にとって著しく不適切な土層・土質が存在するため、否定的な評価を免れないこと(処分庁の主張の要旨・第1)イ本件訴訟における主張の要旨 埋立法42条3項により準用される同法13条ノ2第2項が同法4条1項を準用しているところ、変更許可申請に対する免許権者の第1号要件適合性の判断においては、埋立てにより失われる利益の有無や程度だけではなく、埋立ての目的、必要性、公共性やその他の埋立てを実施することにより得られる国土利用上の効用などの公有水面を廃止するに 足りる積極的価値を考慮しなければならない。このことは、平成28年 最高裁判決が判示するとおりである。 本件承認処分において、原告(仲井眞知事)は、本件出願を審査し、埋立対象区域の地盤が設計土層・土質に示されたものであることを前提として、第2号要件に適合すると認めるとともに、5年次に本件埋立事業の工程を確実に終えることができ、「埋立工事を早期に着手して普天 間飛行場の代替施設を一日でも早く完成」させるために「極力短期間で移設」し、「移設を着実に実施」することを確実に実現するものと認めたことから、埋立てにより失われる利益を上回る価値があり、埋立法4条1項1号所定の「国土利用上適正且合理的ナルコト」の要件(第1号要件)に適合すると判断した。すなわち、5年次までに埋立ての工程を 終えることができる場所を埋立ての位置として選定したことが、第1号要件の判断の前提であった。 そして、このような前提があるからこそ、自然環境及び生活環境等に重大な悪影響を与え、地域振興の深刻な阻害要因となり、沖縄県における長年にわたる過重な基地負担を更に将来に向かって固定化するもので あるという埋立てにより失われる大きな不利益を上回る価値があるという判断が 与え、地域振興の深刻な阻害要因となり、沖縄県における長年にわたる過重な基地負担を更に将来に向かって固定化するもので あるという埋立てにより失われる大きな不利益を上回る価値があるという判断がなされたものである。 しかしながら、本件変更承認申請の内容からすると、埋立ての位置として選定された場所において確実に埋立工事を行うためには、前例がないような大規模かつ大深度の地盤改良工事が必要となり、本件変更承認 申請に係る変更後の工事に着手した時点を起点として、完成までに9年1か月(本件変更承認申請までの期間も合わせると16年超)を要することや、確実に埋立工事を行うためには著しく不向きな軟弱地盤があって、災害防止要件に適合するものではないことなどが明らかになったから、当該場所において普天間飛行場の危険性を早期に除去するためにそ の代替施設を一日でも早く完成させるという前提が成り立たなくなった。 このように、本件変更承認申請の内容に照らし、第1号要件に適合していると認めた本件承認処分の判断の前提は、覆滅しており、埋立てにより失われる利益を上回る積極的価値があるとはいえないから、本件変更承認申請につき、第1号要件に適合しているとは認められないとした原告の判断に、裁量権の逸脱又は濫用は認められないものである。 埋立ての必要性を欠くとした原告の判断の法令違反等の有無(争点7)(被告の主張)ア埋立法の規定ぶりに照らすと、同法は、出願事項の変更承認申請に係る審査においては、申請者が、既に埋立ての承認を受けており、埋立てに関する工事を適法に実施し得る地位を有していることを前提として、出願事 項を部分的に変更する変更承認申請の変更内容について、4条1項の要件への適合性や13条ノ2第1項 認を受けており、埋立てに関する工事を適法に実施し得る地位を有していることを前提として、出願事 項を部分的に変更する変更承認申請の変更内容について、4条1項の要件への適合性や13条ノ2第1項の正当の事由の有無を判断することとしているものと解されるから、本件変更承認申請においては、本件変更部分が審査の対象であって、埋立ての必要性は、第1号要件、第2号要件等から独立した審査事項にはならないというべきである。この点、原告審査基準 を見ても、埋立地の用途及び設計の概要の変更の承認についての判断に当たり、当然に埋立ての必要性についての審査が行われることが予定されていることはうかがわれない。 イ本件変更承認申請において、変更前後を通じて埋め立てることとなる埋立区域にはその用途の変更がなく、設計概要の変更に係る変更内容は、埋 立地を完成させるための手段及び方法を変更するものであって、いずれも埋立ての必要性に影響を及ぼすようなものではない。この点、埋立法は、42条3項において、国が行う埋立てに関しては、埋立てに関する工事の着手及び竣功の期間の伸長に係る13条ノ2を準用していないから、本件出願における埋立てに関し、工事の施行に要する期間が伸長されたとして も、そのことが承認に係る審査の対象となるものではない。 ウ以上の点を措くとしても、本件承認処分において本件埋立事業につき埋立ての必要性が認められていたことや、本件変更承認申請の内容が上記のとおりであることなどに加え、現在も普天間飛行場の周辺に学校や住宅、医療施設等が密集し、騒音被害等により住民生活に深刻な影響が生じており、また、過去に同飛行場周辺で航空機の墜落事故が発生しており、同飛 行場の危険性の除去が喫緊の課題であり、本件埋立事業を着実に進め、同 等が密集し、騒音被害等により住民生活に深刻な影響が生じており、また、過去に同飛行場周辺で航空機の墜落事故が発生しており、同飛 行場の危険性の除去が喫緊の課題であり、本件埋立事業を着実に進め、同飛行場の移転先を確保し、同飛行場の移設及び返還を実現する必要があることについては、本件承認処分の時から何ら変わりがないことが認められること等からすれば、埋立てに関する工事の施行に要する期間が変更されたからといって、埋立ての必要が失われたり、本件承認処分の時に認めら れた埋立ての必要性と整合性を欠いたりしていないことは明らかである。 したがって、埋立ての動機となった土地利用が可能となるまで不確実性が生じており、普天間飛行場の危険性の早期除去にはつながらないなどとして、本件変更承認申請につき埋立ての必要性が認められないとする原告の処分理由等には理由がなく、本件変更不承認処分は、裁量権の範 囲を逸脱し、又はこれを濫用したものとして違法であり、かつ、不適切な裁量判断として不当であるから、本件是正の指示は適法である。 (原告の主張(処分理由等))ア本件変更承認申請は、処分理由等(別紙3の第3及び別紙4)に記載のとおり、以下の各点において「埋立ての必要性」を欠き、同要件を満たさ ないとした原告の裁量判断は適法であるから、同要件に関する原告の上記の判断に裁量権の逸脱又は濫用があるとした本件是正の指示は違法である。 地盤の安定性等に係る設計において災害防止に十分配慮した検討がされておらず、埋立ての動機となった土地利用が可能となるまで不確実性が生じており、埋立ての必要性に関する審査事項1のからまでに該 当するといえないこと(処分理由・2~) 設計の概要に変更があった場合、改めて、変更後の で不確実性が生じており、埋立ての必要性に関する審査事項1のからまでに該 当するといえないこと(処分理由・2~) 設計の概要に変更があった場合、改めて、変更後の設計概要説明書を前提とした必要性の審査がされるべきところ、変更後の工期は9年1か月とされ、不確実性もあって、普天間飛行場の危険性の早期除去につながらないため、本件承認処分時に認められた必要性の前提が失われていること(処分庁の主張の要旨・第4) イ本件訴訟における主張の要旨国が行う公有水面埋立の変更承認について、埋立法42条3項により準用される同法13条ノ2第2項が同法4条1項を準用していることから、埋立免許等出願に対する審査と同様の審査がされることは当然であり、埋立ての必要性は変更承認における審査事項となる。そして、原 告審査基準では、第1号要件の審査のうち「埋立ての必要性」を独立の審査項目として、積極的な価値が乏しい埋立ては総合評価を待つまでもなく認めないという裁量判断を定式化している。 本件変更承認申請は、主として設計の概要の変更を内容とするものであるが、その場合でも、当初の承認の際に埋立ての必要性を認めたこと との整合性が問題となり、その意味で埋立ての必要性が審査対象となる。 すなわち、本件変更承認申請の判断時においては、設計の概要の変更が本件承認処分時に認められた埋立ての必要性に沿ったものか否かという視点での審査がされるべきである。 本件承認処分においては、本件埋立事業が早期に、かつ、確実に完成 することを前提として、同事業が普天間飛行場の危険性の早期除去に資するか否かという観点から、埋立ての必要性が判断されていたところ、本件変更承認申請における設計の概要の変更内容に照らすと、上記(原 することを前提として、同事業が普天間飛行場の危険性の早期除去に資するか否かという観点から、埋立ての必要性が判断されていたところ、本件変更承認申請における設計の概要の変更内容に照らすと、上記(原告の主張(処分理由等))イのとおり、本件埋立事業に係る埋立てが、普天間飛行場の危険性の早期除去につながるものであるとはいえ ず、本件出願時に説明された埋立ての必要性とは全く異なる事態を招来 するものであって、上記説明とは整合性を欠いており、本件承認処分時に認められた本件埋立事業に係る埋立ての必要性は妥当しなくなっている。そして、上記の説明は、沖縄防衛局が本件出願時に大浦湾側の地盤調査をしなかったという不作為を伴うものであったことにも照らせば、上記アのとおり、本件変更承認申請については埋立ての必要性が認め られないというべきである。 変更の「正当ノ事由」を欠くとした原告の判断の法令違法等の有無(争点8)(被告の主張)ア埋立法を通覧すると、埋立免許(承認)の変更許可(承認)については 「正当ノ事由」(13条ノ2第1項)が求められる一方で、埋立地に関する権利の移転又は設定若しくは埋立地の用途と異なる利用については当該権利の移転等につき「已ムコトヲ得ザル事由」(27条2項2号、29条2項2号)が、また、失効した埋立免許の効力を復活させる場合につき「宥恕スヘキ事由」(34条1項柱書き)が求められるものとされ、それ ぞれに必要とされる「事由」に係る用語が明確に使い分けられている。 また、それぞれの効果を対比すると、埋立免許(承認)の変更許可(承認)については、当初の埋立免許(承認)の中核部分を維持しつつ、「埋立区域ノ縮少」、「埋立地ノ用途若ハ設計ノ概要ノ変更」、「期間ノ伸長」という法定された一 対比すると、埋立免許(承認)の変更許可(承認)については、当初の埋立免許(承認)の中核部分を維持しつつ、「埋立区域ノ縮少」、「埋立地ノ用途若ハ設計ノ概要ノ変更」、「期間ノ伸長」という法定された一部の事項のみを変更するものであって、かつ、当初 の埋立免許後にこうした内容の変更を認める必要が生じることは十分に想定されるのに対し、後二者は、埋立権の帰属や効力の復活など権利そのものの本質的変動にかかわるもので、かつ、当初の免許の際には本来的には予定していない例外的なものといえる。こうした違いが、求められる事情の違いに反映され、埋立免許(承認)の変更については、その 申請の理由が様々であることから、事業者の帰責性といった観点が問題 とされないのに対し、後二者は、権利者の側の事情を考慮することも想定して事由の内容がより厳しく判断されることを法令上予定したものと解される。 そうすると、当初の埋立免許(承認)の変更許可(承認)申請についての「正当ノ事由」は、同法上の「宥恕スヘキ事由」や「已ムコトヲ得ザ ル事由」よりも緩やかな事情で足り、変更する理由に一定の合理性を求めたものであって、すなわち、変更の理由が相当なものであって、その内容がその理由に対応した相当なものであることを求める趣旨のものと解される。出願事項変更の許可に関する原告審査基準も、上記の趣旨に合致するものとして解釈されるべきであり、「正当ノ事由」の判断に当た り、当初の出願時に事業者に帰責性がないことを要求し、変更許可(承認)申請に際して、その瑕疵を糾すことを求めるなどすることは、原告審査基準からも導くことができない。 イ本件変更承認申請については、その内容、すなわち、①埋立地の用途につき、名護市辺野古地区地先の配置及び規模を削除すること とを求めるなどすることは、原告審査基準からも導くことができない。 イ本件変更承認申請については、その内容、すなわち、①埋立地の用途につき、名護市辺野古地区地先の配置及び規模を削除すること、②本件承 認処分の後に実施した土質調査により、大浦湾側の水域の海底地盤に粘性土及び中間土が堆積していることが判明したことを踏まえ、所要の箇所に地盤改良を追加して行うことに加え、全般について、より合理的な設計、施行方法等とすることという申請の内容等からすれば、本件変更承認申請に係る埋立地の用途及び設計の概要の変更の理由及び内容は、 承認を得た埋立区域における埋立事業を完遂するために必要かつ相当なもので、「正当ノ事由」があると認められる。 したがって、本件変更承認申請における変更の内容はやむを得ないと認められないなどとして、「正当ノ事由」があるとは認められないとする原告の処分理由等には理由がなく、本件変更不承認処分は、裁量権の範囲 を逸脱し、又はこれを濫用したものとして違法であり、かつ、不適切な 裁量判断として不当であるから、本件是正の指示は適法である。 (原告の主張(処分理由等))ア本件変更承認申請は、処分理由等(別紙3の第3及び別紙4)に記載のとおり、以下の点において、「正当ノ事由」を欠き、同要件を満たさないとした原告の裁量判断は適法であるから、同要件に関する原告の上記の判 断に裁量権の逸脱又は濫用があるとした本件是正の指示は違法である。 変更に至った理由は、客観的見地からやむを得ないと考えられるが、変更内容は、埋立ての必要性及び災害防止要件を充足せず、やむを得ないとは認められない(処分理由・1、処分庁の主張の要旨・第5)。 イ本件訴訟における主張の要旨 出願事項の変更許可 が、変更内容は、埋立ての必要性及び災害防止要件を充足せず、やむを得ないとは認められない(処分理由・1、処分庁の主張の要旨・第5)。 イ本件訴訟における主張の要旨 出願事項の変更許可又は変更承認(以下「変更の承認等」という。)は、当初出願に対する審査と判断がされていることや、埋立免許処分又は埋立承認処分(以下「免許等処分」という。)を受けて埋立事業のために資本投下がされていることなどを考慮して、免許等処分時には想定し得なかった事態に直面した事業者の利益のため、免許等処分に係る出 願に対して行われた審査と判断を前提として、改めて当該出願をすることに代えて、より簡略化された手続を設けたものと解される。このように、変更の承認等の制度は、免許等処分時には想定し得なかった事態に直面した事業者を救済する趣旨のものであるから、埋立法42条3項が準用する13条ノ2第1項にいう「正当ノ事由」は、簡略化した手続を 用いることを許容するための要件と解され、単に変更の承認等が必要であるというだけでは足りず、これを許容することの相当性が認められる場合をいうものと解される。 そして、変更の承認等の相当性については、①免許等処分後に新たに生じた事情や判明した事実の程度、②出願事項の変更の程度等より処分 要件により保護されている法益に鑑みて事情の変更があるにもかかわら ず手続を簡略化し、免許等処分の判断に一定の拘束性をもたせることの合理性、③免許等出願時における調査の程度、④工事の進捗の程度、⑤事情変更が生じたにもかかわらず工事が進行した理由等からの変更の承認等の申請者の要保護性の程度等を総合的に考慮して判断がされるべきものである。 原告審査基準が「変更の内容・理由が客観的見地から、やむを得ないと認められる 工事が進行した理由等からの変更の承認等の申請者の要保護性の程度等を総合的に考慮して判断がされるべきものである。 原告審査基準が「変更の内容・理由が客観的見地から、やむを得ないと認められるもの。」としているのは、「正当ノ事由」を上記のように解釈することを受けて、上記の必要性及び相当性を審査することを示している。 しかるに、本件変更承認申請については、出願事項の変更の規模・ 程度が免許等処分時の審査・判断を流用して手続を簡便化して免許等処分時の判断に拘束されることを相当とする範囲に収まっているとは到底いえないものであり、また、本件出願の内容と比較したとき、本件変更承認申請に示された工事の内容は不確実性が著しく高まった内容へと変更されているから、変更後の内容により工事が確実に実施できるかとい う点についても疑義を生じさせる要素が認められる。 また、本件変更承認申請が埋立承認出願時に埋立事業の内容・規模・影響等に照らして事業者としてなすべき調査を尽くしても予期し得なかったものか否かについてみても、①大浦湾側について、軟弱地盤が存在しないとする内容で設計概要説明書を作成したことがどのような合理的 根拠に基づくものであったのかが一切明らかにされていないこと、②本件出願に係る設計概要説明書は、1年次にC-1護岸からC-3護岸までの基礎工に着工し、5年次に埋立工事が完成するという内容になっていたにもかかわらず、沖縄防衛局が、本件承認処分を受けた後、C-1護岸からC-3護岸までの実施設計すらも行わなかったことなどからす れば、沖縄防衛局は、大浦湾側の海底地盤が設計概要説明書に示された 土質・土層と異なる可能性を認識していたものと認められるから、大浦湾側の海底に軟弱地盤があることを前提とした本件変更 れば、沖縄防衛局は、大浦湾側の海底地盤が設計概要説明書に示された 土質・土層と異なる可能性を認識していたものと認められるから、大浦湾側の海底に軟弱地盤があることを前提とした本件変更承認申請の内容は、本件出願時に埋立事業の内容・規模・影響等に照らして事業者としてなすべき調査を尽くしても予期し得なかったものであるとは認められない。 したがって、「正当ノ事由」に関する原告審査基準に適合しないとした判断に法令違反等はない。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(本件裁決の拘束力が本件訴訟に及ぼす作用)について本件是正の指示に関する原告の主張内容等 前記の前提事実及び当事者の主張で記載したとおり、原告が、本件訴訟において本件是正の指示が違法である根拠として主張する事実及び法律上の事項(争点4から8までに関するもの)は、本件変更不承認処分の処分理由等としていたが本件裁決において排斥されたものと、大筋において同一である。 この点に関し、被告は、①本件変更不承認処分は本件裁決により取り消 されたから、本件裁決の拘束力(行審法52条)により、原告は同処分においてその適法性の根拠とした理由をもって本件変更承認申請を不承認とすることは法律上できないこととなり、原告が本件訴訟において上記の理由をもって本件是正の指示が違法であると主張することはできず、当該主張は主張自体失当である旨、②本件裁決で取り消された部分に係る処分理由と同旨の 主張を認めることは、裁決等を「国の関与」から除外した地方自治法及び行審法の趣旨に反する旨を主張する。 検討ア行審法に基づく裁決の拘束力の趣旨と内容行審法に基づく審査請求は、行政庁のした処分に対し不服を有する国民 の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を る旨を主張する。 検討ア行審法に基づく裁決の拘束力の趣旨と内容行審法に基づく審査請求は、行政庁のした処分に対し不服を有する国民 の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを 目的とする手続であり(同法1条)、審査請求に理由がある場合、審査庁は処分の取消し等の裁決を行う(同法46条1項)。そして、審査庁のした裁決は関係行政庁を拘束し(同法52条1項)、申請を却下又は棄却した処分が裁決により取り消された場合、処分庁は裁決の趣旨に従って改めて申請に対する処分をすべきこととなる(同条2項)。審査請求に係る 裁決につき上記の拘束力が設けられた趣旨は、裁決は、行政処分の一種ではあるが、争訟手続を通じてされる処分であることから、これに由来する特別の効力を付与することとし、処分庁を含む関係行政庁をして、速やかに審査請求の裁決に示された内容を実現させることにある。このように、裁決の拘束力は、処分庁及びその関係行政庁と当該処分に不服 のある審査請求人との間の公法上の法律関係に関する紛争につき一定の解決をもたらすために認められた効力であり、この拘束力は、裁決主文を導き出すのに必要な、裁決理由中の要件事実の認定及び法律判断について生じると解される。 以上を前提として、本件訴訟において本件裁決の拘束力が及ぶか否かを 判断するのに必要な事項を順次検討する。 イ法定受託事務に係る審査請求における審査庁の地位都道府県知事その他の都道府県の執行機関がした処分が法定受託事務(地方自治法2条9項1号)に係るものである場合、審査請求は、当該都道府県知事に対してではなく、当該処分に係る事務を規定する法律又 はこれに基づく政令を所管する大臣(以下「所管大臣」という。)に対してするものとされ( に係るものである場合、審査請求は、当該都道府県知事に対してではなく、当該処分に係る事務を規定する法律又 はこれに基づく政令を所管する大臣(以下「所管大臣」という。)に対してするものとされ(同法255条の2)、所管大臣が審査庁となる。その趣旨は、法定受託事務は、地方公共団体の事務ではあるものの、「国が本来果たすべき役割に係るものであって、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるもの」という性質を有すること(同法2条9項1 号)を踏まえ、当該事務に係る判断の全国的な統一を図ることなどにあ ると解される。 しかし、所管大臣は、都道府県知事に対して一般的な指揮監督権を有する上級行政庁たる関係にはないことから、審査庁として審査請求に理由があると認めたとしても、裁決により処分の取消しができるにとどまり、審査請求人の簡易迅速な救済を図るなどの制度趣旨を考慮して、裁決に 一定の終局性が付与されている(最高裁令和4年(行ヒ)第92号同年12月8日第一小法廷判決参照)とはいえ、当該処分を変更して自ら処分をすることができず(行審法46条1項ただし書)、法定受託事務に属する埋立法42条1項に基づく事務を自ら行うことはできない。 そうすると、上記の法定受託事務に関しては、所管大臣と都道府県知事 との間で、当該処分に係る事務の適正な処理を巡り、審査請求手続とは異なる場面において、さらなる係争が生じる余地があるところ、その場合には、審査請求手続において審査請求人の救済のために認められた裁決の拘束力が、当該係争にいかなる作用を及ぼすかについて、その係争の内容に応じ、別途の検討を要することになる。 ウ地方自治法に基づく是正の指示の趣旨と内容地方自治法は、普通地方公共団体の事務に対する「国の関与」に関 を及ぼすかについて、その係争の内容に応じ、別途の検討を要することになる。 ウ地方自治法に基づく是正の指示の趣旨と内容地方自治法は、普通地方公共団体の事務に対する「国の関与」に関する制度を定め、都道府県の法定受託事務の処理に関して、所管大臣は、都道府県に対して是正の指示(同法245条の7)を行うことができるとされている。その趣旨は、上記のような法定受託事務の性質に照らし、 それが適正に処理されることを確保することにある。したがって、是正の指示は、公益の実現を目的とするものであり、都道府県知事が行う特定の処分の名宛人等が享受すべき権利利益の保護を目的とするものではない。そして、所管大臣が、この権限を行使して、都道府県に対し、法定受託事務に係る特定の処分を行うべきことを指示した場合、当該処分 の権限を有する都道府県知事と所管大臣との間において、当該処分を対 象とした新たな公法上の法律関係が生じるが、是正の指示をしたことそれ自体により、直ちに処分の名宛人等の権利利益の変動がもたらされることはない。 また、地方自治法は、所管大臣が都道府県に対して行った是正の指示の適否について、機関訴訟(行政事件訴訟法6条)としての関与取消訴訟 (地方自治法251条の5)の制度を設けている。その趣旨は、代執行に係る訴訟(同法245条の8第3項)と同様に、地方公共団体の長本来の地位の自主独立の尊重と、国の法定受託事務に係る適正な確保との間の調和を図る趣旨であると解され(最高裁昭和33年(オ)第776号同35年6月17日第二小法廷判決・民集14巻8号1420頁参照)、 是正の指示に関し不服を有する都道府県知事は、関与取消訴訟を提起することにより司法審査を受けることができる。したがって、都道府県知事がした 日第二小法廷判決・民集14巻8号1420頁参照)、 是正の指示に関し不服を有する都道府県知事は、関与取消訴訟を提起することにより司法審査を受けることができる。したがって、都道府県知事がした法定受託事務に係る処分に関し、所管大臣が是正の指示を行い、これに関して都道府県知事と所管大臣との間で係争が生じる事態が生じた場合は、当該係争は、審査請求人との間で行われる審査請求の手続と は別に、上記の訴訟手続により解決されることとなる。 エ裁決と是正の指示との相違及び関与取消訴訟との関係もっとも、地方自治法は、行審法に基づく審査請求について審査庁が行った裁決については「国の関与」から除外しており(245条3号)、そのため、都道府県知事は、所管大臣が審査庁として行った裁決を対象と して、地方自治法上の関与取消訴訟を提起することができない。その趣旨は、処分の相手方と処分庁との紛争を簡易迅速に解決する審査請求の手続における最終的な判断である裁決について、さらに関与取消訴訟の対象とすることは、処分の相手方を不安定な状況に置き、当該紛争の迅速な解決が困難となることから、このような事態を防ぐことにある。 しかしながら、地方自治法は、所管大臣が、法定受託事務に関して審査 庁として行った裁決(処分を取り消す旨のもの)に重ねて、地方自治法に基づき、是正の指示(特定の内容の処分を行うべきことを命じるもの)を行った場合について、都道府県知事が是正の指示を対象として関与取消訴訟を提起することを禁止していない(このこと自体については当事者間に争いがない。)。また、裁決の拘束力により都道府県知事の主張立 証が制限される旨の明文の規定も、置かれていない。これらの点は、上記のような場合であっても、関与取消訴訟の判断の対象 ては当事者間に争いがない。)。また、裁決の拘束力により都道府県知事の主張立 証が制限される旨の明文の規定も、置かれていない。これらの点は、上記のような場合であっても、関与取消訴訟の判断の対象は、裁決の適否ではなく、是正の指示の適否であることを前提とした上で、①単に処分の取消しを命じる裁決と特定の内容の処分を行うことを命じる是正の指示とでは、その内容において異なる点や、②是正の指示は、その根拠と して示された判断内容を問わず、都道府県知事に対し当該処分を行うべき義務を負わせるものであり、上記アで述べた裁決の拘束力(行審法52条)を超える法的効果を有する点などにおいて、両者には行政行為として本質的な相違があることを踏まえたものであると解される。 そして、関与取消訴訟の手続においては、処分の名宛人たる私人の手続 関与など、その権利利益の保護を企図した規定は見当たらず、また、判決効については、是正の指示の取消しを命じる判決には第三者効がないとされており(地方自治法251条の5第8項は行政事件訴訟法32条の準用を排除している。)、処分の名宛人に対しては効力が及ばない。 このように、地方自治法は、所管大臣が、法定受託事務に関して審査庁 として行った裁決に重ねて、特定の内容の処分を行うべきことを命じる是正の指示を行った場合については、是正の指示によって新たに生じた公法上の法律関係につき、都道府県知事が関与取消訴訟を提起して争うことを許容しており、この場合の関与取消訴訟においては、審査請求人の関与を必要とせず、地方公共団体の長本来の地位の自主独立の尊重と、 国の法定受託事務に係る適正な確保との間の調和を図るという制度趣旨 に基づき、行審法上の争訟手続とは独立して、国と普通地方公共団体との間で生じた法定 の地位の自主独立の尊重と、 国の法定受託事務に係る適正な確保との間の調和を図るという制度趣旨 に基づき、行審法上の争訟手続とは独立して、国と普通地方公共団体との間で生じた法定受託事務に関する係争を解決するための司法審査が行われることを予定している。 オ小括以上で判示したところによれば、①行審法52条が定める裁決の拘束力 は、処分庁と審査請求人との間の法律関係に関する紛争につき、審査請求人の簡易迅速な救済を図ることなどを目的として、一定の解決をもたらすために認められた効力であり、審査請求とは異なる場面で生じた他の係争に関していかなる作用を及ぼすかについては、その係争の内容に応じて別途検討を要すること、②地方自治法は、所管大臣が、法定受託 事務の適正な処理を確保することを目的として、都道府県に対して是正の指示をすることを認めているところ、是正の指示と裁決とでは、それぞれの制度に違いに即して、内容及び法的効果を異にする上、是正の指示については、裁決とは異なり、都道府県知事が所管大臣を相手方として関与取消訴訟を提起することが許容されており、同訴訟においては、 処分庁と所管大臣との間の法律関係に関し、行審法上の争訟手続とは独立して、司法審査が行われることが予定されていることに照らすと、所管大臣が審査庁として法定受託事務に係る処分の取消しの裁決を行った上、それに重ねて特定の内容の処分を行うことを命じる内容の是正の指示を行ったのに対し、都道府県知事がこれを争う関与取消訴訟を提起し た場合において、行審法52条が規定している裁決の拘束力を、行審法上の争訟手続に関する規律としての効果を超えて、関与取消訴訟にまで及ぼし、是正の指示の適法性に関する都道府県知事の主張の内容を制限することは、十分 、行審法52条が規定している裁決の拘束力を、行審法上の争訟手続に関する規律としての効果を超えて、関与取消訴訟にまで及ぼし、是正の指示の適法性に関する都道府県知事の主張の内容を制限することは、十分な根拠を欠いていると解すべきである。 したがって、法定受託事務に係る本件変更不承認処分をした都道府県知 事である原告が、本件是正の指示に関する関与取消訴訟において、審査 請求の手続では行政庁として主張していた処分適法理由を主張して、是正指示の適法性を争うことは、本件裁決の拘束力に反するとはいえず、また、裁決を関与から除外した地方自治法の趣旨に反するとはいえないと解するべきである。 被告の主張について ア被告は、裁決の拘束力とは、本件変更不承認処分を取り消した本件裁決の処分庁自身に対する拘束力であり、裁決の主文及びこれを根拠付ける具体的な理由に従った行動を義務付けられ、処分庁である原告は本件変更不承認処分と同じ理由で不承認とすることはできない以上、本件訴訟において、同じ理由により本件変更承認申請を承認できない旨を是正の 指示に対する違法事由として主張立証することは許されない旨主張する。 しかし、行審法が定める審査請求手続における裁決と地方自治法が定める是正指示とでは、その制度の目的、規律する法律関係及び法的効果が異なり、また、法定受託事務に関する是正の指示については、行審法が定める争訟手続とは独立したものとして関与取消訴訟が設けられ、司法 審査が予定されていることは上記で判示したとおりであるところ、上記の主張は、このような制度及び法律関係の違いを適切に考慮せず、行審法が定める審査請求手続における裁決の拘束力の作用を拡張し、地方自治法により認められた関与取消訴訟の制度において りであるところ、上記の主張は、このような制度及び法律関係の違いを適切に考慮せず、行審法が定める審査請求手続における裁決の拘束力の作用を拡張し、地方自治法により認められた関与取消訴訟の制度において司法審査を受けることができる普通地方公共団体の手続上の利益を害するものであって、 採用することはできない。 イ被告は、行審法に基づく裁決等が「国の関与」から除外されている趣旨は、審査請求人の権利利益の救済及び紛争の早期解決という点を考慮したものであり、国の関与についての係争において、裁決等の適否を審理することは予定されておらず、本件訴訟において本件変更不承認処分が 適正かどうかの審理判断に及ぶことは、裁決等が機関訴訟で争われるこ とと全く同様の弊害をもたらす旨主張する。 しかし、裁決に重ねて行われた是正の指示に関する関与取消訴訟は、裁決自体の適否を判断対象とするのものではなく、是正の指示の適否を判断対象とするものであり、是正の指示の取消しを命じる判決には第三者効がなく、処分の名宛人である審査請求人に対しては効力が及ばないか ら、是正の指示を対象とした関与取消訴訟が提起されることによって審査請求人の地位が間接的に不安定になり得るとしても、その権利利益に及ぼす影響は、裁決自体が関与取消訴訟の対象となる場合に比較して相当程度限定的である。 また、都道府県知事が裁決に従った処分を直ちに行わない場合に、所管 大臣が裁決に重ねて是正の指示をすることは、実質的にみて、審査請求人の権利利益の実現に資するものであり、かつ、審査請求人と都道府県知事との間の紛争の早期解決の実現にも適うという利益があることを勘案すれば、その反面において、是正の指示を争う関与取消訴訟が提起されることに伴い、間接的に審査請求 であり、かつ、審査請求人と都道府県知事との間の紛争の早期解決の実現にも適うという利益があることを勘案すれば、その反面において、是正の指示を争う関与取消訴訟が提起されることに伴い、間接的に審査請求人の地位が不安定となり得るという 不利益があるとしても、それは上記の利益との均衡からして受忍すべき範囲内の不利益であるといえる。とりわけ、審査請求人である沖縄防衛局において、被告が是正の指示を行うことに異議を唱えていることがうかがわれない本件のような場合は、審査請求人の不利益を重く取り上げることは適切でない。 加えて、被告が主張するように裁決の拘束力を及ぼして関与取消訴訟における主張の制限をしてみたところで、是正の指示を対象とする関与取消訴訟においては、都道府県知事が審査請求の手続での主張とは異なる処分理由を主張することは妨げられず、また、当該審査請求の裁決に明白かつ重大な瑕疵があることや是正の指示に固有の違法性があることを 主張することも妨げられないから、一定の審理が行われることになるこ とは不可避であって、主張の制限が紛争の早期解決に資する程度は、この点においても限定的なものである。 以上のとおりであるから、本件訴訟において原告が本件変更不承認処分の理由と同じ理由を主張して本件是正の指示が違法であると主張することは、裁決等が機関訴訟で争われることと全く同様の弊害をもたらすと はいえず、この点に関する被告の主張は採用することができない。 補充的な検討仮に、本件裁決の拘束力が本件訴訟に及ぶことを認め、原告が本件変更不承認処分においてそれを適法とした理由につき、原告が本件是正の指示の違法事由として主張できないと解するべきであるとしても、当該拘束力が受 訴裁判所にまで及ぶと解する理由はなく 告が本件変更不承認処分においてそれを適法とした理由につき、原告が本件是正の指示の違法事由として主張できないと解するべきであるとしても、当該拘束力が受 訴裁判所にまで及ぶと解する理由はなく、また、原告が、本件訴訟を適法に提起し、本件是正の指示が違法である旨を(その具体的な理由についてはともかく)適法に主張していると認められる以上、本件是正の指示の適否に関しては、被告において、それが適法であることにつき主張立証責任を負うことになるから、結局のところ、本件訴訟における審査の範囲は、本件是正の 指示においてその理由とされた事実関係及び法律判断の全般に及ぶこととなり、実質的にみると、本件裁決の拘束力によって限定されることにはならないと解される。 2 争点2(本件裁決の有効性)について 本件裁決の対象である本件変更不承認処分への行審法の適用の有無(同処 分の相手方である沖縄防衛局の「固有の資格」該当性)についてア令和2年最高裁判決の判断内容等 地方自治法251条の5第1項の訴えの対象は、「国の関与」(同法250条の7第2項)とされているところ、同法245条3号括弧書きにより、「審査請求その他の不服申立てに対する裁決、決定その他の行為」 は上記「国の関与」から除かれている。 もっとも、行審法7条2項は、国の機関又は地方公共団体その他の公共団体若しくはその機関(以下「国の機関等」という。)に対する処分で、国の機関等がその「固有の資格」において当該処分の相手方となるものについては、行審法の規定は適用しない旨を規定している。そうすると、国の機関等が「固有の資格」において当該処分の相手方となる処 分について、同法に基づくものとして審査請求がされ、これに対して裁決がさ ては、行審法の規定は適用しない旨を規定している。そうすると、国の機関等が「固有の資格」において当該処分の相手方となる処 分について、同法に基づくものとして審査請求がされ、これに対して裁決がされたとしても、当該裁決は、同法に基づく審査請求に対する裁決とはいえず、上記「国の関与」から除かれる裁決等には当たらないというべきである。 行審法7条2項にいう「固有の資格」とは、国の機関等であるからこ そ立ち得る特有の立場、すなわち、一般私人(国及び国の機関等を除くものをいう。以下同じ。)が立ち得ないような立場をいうものと解するのが相当である。 また、上記「固有の資格」は、国の機関等に対する処分がこの手続の対象となるか否かを決する基準であることからすれば、国の機関等が一 般私人が立ち得ないような立場において相手方となる処分であるか否かを検討するに当たっては、当該処分に係る規律のうち、当該処分に対する不服申立てにおいて審査の対象となるべきものに着目すべきである。 埋立承認のような特定の事務又は事業を実施するために受けるべき処分について、国の機関等が上記立場において相手方となるものであるか 否かは、当該事務又は事業の実施主体が国の機関等に限られているか否か、また、限られていないとすれば、当該事務又は事業を実施し得る地位の取得について、国の機関等が一般私人に優先するなど特別に取り扱われているか否か等を考慮して判断すべきである。そして、国の機関等と一般私人のいずれについても、①処分を受けて初めて当該事務又は事 業を適法に実施し得る地位を得ることができるものとされ、②かつ、当 該処分を受けるための処分要件その他の規律が実質的に異ならない場合には、国の機関等に対する処分の名称等 又は事 業を適法に実施し得る地位を得ることができるものとされ、②かつ、当 該処分を受けるための処分要件その他の規律が実質的に異ならない場合には、国の機関等に対する処分の名称等について特例が設けられていたとしても、国の機関等が一般私人が立ち得ないような立場において当該処分の相手方となるものとはいえず、当該処分については、等しく行審法が定める不服申立てに係る手続の対象となると解するのが相当である。 この点に関し、国の機関等と一般私人との間で、当該処分を受けた後の事務又は事業の実施の過程等における監督その他の規律に差異があっても、当該処分に対する不服申立てにおいては、直接、そのような規律に基づいて審査がされるわけではないから、当該差異があることは、それだけで国の機関等に対する当該処分について行審法の適用を除外する理 由となるものではなく、上記の解釈を左右するものではないというべきである。 公有水面は国の所有に属するものであり、国は、本来、公有水面に対する支配管理権能の一部として、自らの判断によりその埋立てをする権能を有すると解されるが、埋立法は、埋立てにより周囲に生ずる支障 の有無等についてはその地域の実情に通じた都道府県知事が審査するのが適当であること等から、埋立ての可否の第一次的な判断を都道府県知事が一元的に行うこととし、国においても都道府県知事の処分を受けるべきものとしている。そして、国の機関が埋立承認を受けることにより埋立てを適法に行うことができるようになるという効果は、国以外の者 が埋立免許を受ける場合と異ならない。このように、埋立法は、国の機関と国以外の者のいずれについても、埋立ての主体となり得るものとし、また、都道府県知事の処分である埋立承認又は埋立免許を受けて初めて、埋立 免許を受ける場合と異ならない。このように、埋立法は、国の機関と国以外の者のいずれについても、埋立ての主体となり得るものとし、また、都道府県知事の処分である埋立承認又は埋立免許を受けて初めて、埋立てを適法に実施し得る地位を得ることができるものとしている。 そして、埋立法においては、埋立承認及び埋立免許を受けるための手 続や要件等に差異は設けられておらず、名称の差異にかかわらず、当該 処分を受けるための処分要件その他の規律は実質的に異ならない。 他方、埋立法は、国以外の者が埋立免許に基づいて埋立てをする場合に適用される規定のうち、指定期間内における工事の着手及び竣功の義務に関する規定(13条)等を、国が埋立承認に基づいて埋立てをする場合について準用していないが、これは、埋立免許がされた後の埋立 ての実施の過程等を規律する規定であるところ、埋立法は、特定の区域の公有水面について一旦埋立承認がされ、国の機関が埋立てを適法に実施し得る地位を得た場合における、その埋立ての実施の過程等については、国が公有水面について本来的な支配管理権能を有していること等に鑑み、国以外の者が埋立てを実施する場合の規定を必要な限度で準用す るにとどめたものと解される。そして、このことによって、国の機関と国以外の者との間で、埋立てを適法に実施し得る地位を得るための規律に実質的な差異があるということはできない。 したがって、埋立承認は、国の機関が行審法7条2項にいう「固有の資格」において相手方となるものということはできず、埋立承認の取 消しである本件承認処分の撤回処分(前件撤回処分)について、これと別異に解すべき理由は見当たらない。 イ変更承認についての検討上記アの埋立承認に関する令和2年最高裁判決の判断 消しである本件承認処分の撤回処分(前件撤回処分)について、これと別異に解すべき理由は見当たらない。 イ変更承認についての検討上記アの埋立承認に関する令和2年最高裁判決の判断内容を踏まえ、国の機関が変更承認を受ける場合について検討する。 変更許可及び変更承認に係る規律について埋立法は、埋立ての免許に関し、免許を受けようとする者は、氏名住所等の事業主体を特定する事項のほか、埋立区域、埋立地の用途、設計の概要といった事項を記載した願書等を都道府県知事に提出すべきことを定めているところ(2条2項1号から4号まで、3項)、都道府県知 事による免許は、上記の各事項によって特定された内容の埋立てにつき、 同法3条所定の手続を行い、また、同法4条所定の要件の適合性の有無を審査するなどした上、当該内容の埋立てを適法に実施し得る地位をその出願者に対して与えるものであるといえる。なお、願書には、埋立てに関する工事の施行に要する期間を記載することとされているが(2条2項5号)、これは、都道府県知事は、免許を与える処分において、そ の条件(附款)として、工事の着手及び竣功の期間(以下これらを「着手及び竣功期間」という。)を指定することができることから(13条、公有水面埋立法施行令6条)、その判断の参考にする趣旨であると解される。 そして、埋立法は、埋立てに関する事項の変更及び着手及び竣功期間 の伸長に関し、①都道府県知事は、正当の事由があると認めるときは、埋立免許をした埋立てに関し、埋立区域の縮少、埋立地の用途若しくは設計の概要の変更又は同法13条所定の着手及び竣功期間の伸長を許可することができるとし(13条ノ2第1項)、②埋立地の用途の変更の許可については同法3条、4条1項及 区域の縮少、埋立地の用途若しくは設計の概要の変更又は同法13条所定の着手及び竣功期間の伸長を許可することができるとし(13条ノ2第1項)、②埋立地の用途の変更の許可については同法3条、4条1項及び2項等を準用し、埋立区域の縮 少又は設計の概要の変更の許可について、同法4条1項及び2項の規定を準用することを定めているところ(13条ノ2第2項)、都道府県知事による上記の変更の許可は、既に埋立免許が得られている埋立てを同法13条ノ2第1項記載の各事項に係る変更をした内容で行うことについて、その変更につき正当の事由がある場合において、同条2項所定の 事項については同項で準用する各規定の定める手続や要件の適合性を審査するなどした上、変更された内容において埋立てを適法に実施し得る地位等をその出願者に対して与えるものといえる。 他方、埋立法は、国が埋立てを施行する場合について、2条2項及び3項、3条ないし11条は準用するが、13条は準用せず、13条ノ2 については、埋立地の用途又は設計の概要の変更に係る部分に限って準 用し、都道府県知事の許可に代えてその承認を受けるべきものとしている(42条3項)。 以上のような埋立法の諸規定に照らすと、その文言上は、既に免許又は承認を受けた内容の埋立てにつき、埋立地の用途又は設計の概要に係る事項のみに関する変更をしようとする場合は、国と国以外の者のいず れについても、その手続及び要件に関する規律は同じであり、かつ、都道府県知事の処分(変更許可又は変更承認)を受けて初めて当該変更後の内容の埋立てを適法に実施し得る地位を得ることができることになる一方、埋立区域の縮少又は着手及び竣功期間の伸長に係る事項に関しても変更しようとする場合は、国以外の者においては、その変 て当該変更後の内容の埋立てを適法に実施し得る地位を得ることができることになる一方、埋立区域の縮少又は着手及び竣功期間の伸長に係る事項に関しても変更しようとする場合は、国以外の者においては、その変更につき正 当の事由の有無や同法4条1項及び2項の適合性の審査を受けることになるのに対し、国においては、その審査を受ける必要がない点で、国と国以外の者との間で適用される規律に差異があり、このような差異は、変更許可と変更承認の各処分に対する不服申立てがされた場合において、その審査の対象となるべきものの差異をもたらすといえる。 もっとも、埋立区域の縮少となる変更を行おうとする場合は、設計の概要についても、当該埋立区域の縮少を前提とした変更を行う必要が生ずるのが通常であり、必然的に設計の概要に係る変更を伴うことになるから、埋立区域の縮少となる変更については、国と国以外の者との間で、適用される規律に実質的な差異があるとはいえないと解される。したが って、同法13条ノ2については、着手及び竣功期間の伸長に係る事項の変更の規律の差異の存在をどのように解するかが問題となる。 具体的な変更承認申請の内容との関係前提事実エのとおり、本件変更承認申請は、本件願書等に記載されていた事項との比較において、埋立てに関する工事の施行に要する期間 を延長するという内容を含む。したがって、仮に本件埋立事業を国以外 の者が施行する場合には、竣功期間の伸長に関し、埋立法13条ノ2第1項所定の審査を受けることになるのに対し、本件におけるように国の機関が施行する場合には、その審査を受ける必要がないこととなる。 この点に関し、被告は、「固有の資格」該当性の判断に当たっては、対象となる処分に対する不服申立てにおい におけるように国の機関が施行する場合には、その審査を受ける必要がないこととなる。 この点に関し、被告は、「固有の資格」該当性の判断に当たっては、対象となる処分に対する不服申立てにおいて審査の対象となるべきもの、 つまりは、不承認とされた変更事項が何かに着目し、それを審査する際に適合性が問題となる要件に着目することになるはずであり、本件裁決で審査の対象とされていない竣功期間の伸長等の点において「固有の資格」該当性を判断すべきではないと主張する。 しかし、令和2年最高裁判決が、国の機関等が一般私人が立ち得ない ような立場において相手方となる処分であるか否かを検討するに当たって、当該処分に係る規律のうち当該処分に対する不服申立てにおいて「審査の対象となるべきもの」に着目すべきとしている(上記ア)のは、国の機関等と一般私人との対比がその前提となっていることが明らかであり(同)、また、埋立法における変更許可申請又は変更承認申 請一般につき、「審査の対象となるべきもの」の相違を検討する趣旨のものと解されるから(同、)、国の機関等が行った具体的な変更承認申請に含まれている変更事項及びそれに対する不承認処分や裁決における審査事項を取り上げても、それだけでは、一般私人との対比にはならないことが明らかである。したがって、被告の上記主張は、採用する ことができない。 着手及び竣功期間に関する規律についてそこで、改めて、着手及び竣功期間の伸長に係る事項の変更の規律の差異の趣旨等について検討する。 a 埋立法は、都道府県知事は埋立免許を受けた者に対して埋立工事の 着手及び竣功を一定の期間内に行うべきことを指定することができる こと(13条)、その期間内に埋立てに関する工事の着 埋立法は、都道府県知事は埋立免許を受けた者に対して埋立工事の 着手及び竣功を一定の期間内に行うべきことを指定することができる こと(13条)、その期間内に埋立てに関する工事の着手又は竣功をしないときは原則として埋立免許はその効力を失うこと(34条1項2号)、その期間の伸長について正当の事由があるときはその許可を受けることができること(13条ノ2第1項)を定める。そして、これらの規定は、国が埋立てを施行する場合には準用されない(42条 3項括弧書き)。 国以外の者が行う埋立てに関して着手及び竣功期間に係る上記の各規定が設けられた趣旨は、埋立権(埋立てを適法に実施し得る地位)はそれ自体一つの価値ある財産権として経済取引の対象となるものであることを踏まえ、埋立てを行う意思がないにもかかわらず埋立免許 を受けた上で埋立権を譲渡して利益を得ようとする者(いわゆる利権屋)を排除するとともに、埋立権者をしてできるだけ速やかに工事を完成させて埋立地という新しい経済価値の造成を期するため、期間内に工事に着手しない場合又は竣功しない場合には、埋立権を失効させることにし、他方で、実際に埋立てを行う意思を有していてもやむを 得ない事情のために工事の着手や竣功に至らない場合があることから、着手及び竣功期間の伸長に係る許可の制度を設けたものと解される。 そして、国については、その性格からして上記の趣旨(いわゆる利権屋の排除等)を考慮する必要がないことから、国が行う埋立てについては埋立法13条の規定を準用しないこととし、同法13条ノ2の 規定のうち着手及び竣功期間の伸長に係る部分についても、上記期間の指定を前提とするものであることから、同様に、国が埋立てを実施する場合には準用しないこととしたものと解される(乙 13条ノ2の 規定のうち着手及び竣功期間の伸長に係る部分についても、上記期間の指定を前提とするものであることから、同様に、国が埋立てを実施する場合には準用しないこととしたものと解される(乙34)。 b しかるところ、上記の規律は、単に工事の期間を指定するものではなく、利権屋等に対して埋立てを適法に実施する地位を与えないこと を目的とするものであって、期間の指定が、埋立免許との関係ではそ の失効をもたらし得る解除条件たる附款となっており、埋立てを適法に実施する地位の得喪に連結されていることからすると、埋立ての実施の段階に入った場面のみを規律するにとどまるものとみることは困難である。また、この附款については、例えば、国以外の者が、指定を受けた期間が短すぎることを理由として、行審法に基づく不服申立 てをすれば、その審査の対象となると解される。 とはいえ、上記の規律の趣旨は、埋立免許の濫用的な取得という弊害を除去することを目的とするものであり、埋立てを適法に実施し得る地位の取得につき、国以外の者に対して、国よりも実質的にみて重い要件を課すものとまではいえない。このことに照らせば、令和2年 最高裁判決の判断内容に含まれる「固有の資格」か否かの判定基準に照らしても、上記の規律は、埋立ての実施における監督措置に属するものと解することができる。 以上のような解釈を前提とした場合、同法13条ノ2第1項は、その文言において、①埋立地の用途・設計の概要の変更と、②着手及び 竣功期間の変更とを並列的に規定しているものの、変更許可の法的効果という観点からみれば、変更された内容の埋立てを適法に実施し得る地位を付与するものと、従前の地位又は変更後の地位を前提としてその実施に関する事項(着手及び竣功期間)を定めるも の、変更許可の法的効果という観点からみれば、変更された内容の埋立てを適法に実施し得る地位を付与するものと、従前の地位又は変更後の地位を前提としてその実施に関する事項(着手及び竣功期間)を定めるものという、段階を異にする二つのものがあるものと解すべきこととなり、前者につ いては、変更承認の法的効果と同様であって、国と国以外の者との間で差異があるとはいえないといえることとなる(なお、上記の場面の区別の存在は、昭和48年法律84号による改正により13条ノ2が設けられる以前は、上記改正により削除された13条2項が、専ら着手及び竣功期間の伸長に関する規定として設けられていたことからも うかがわれる。)。 c 以上のとおり、上記の規律の差異は、実質的にみて、埋立てを実施し得る地位の取得について、国の機関等を一般私人に優先するなどして特別に取り扱う趣旨に出たものとは解されないから、当該差異をもって、都道府県知事の処分(変更承認又は変更許可)を受けるための処分要件その他の規律について実質的な差異があるとはいえず、当該 差異があることは、国の機関等に対する当該処分について行審法の適用を除外する理由となるものではないというべきである。 上記と異なる原告の主張は、採用することができない。 ウ小括以上によれば、本件変更不承認処分は、国の機関である沖縄防衛局がそ の「固有の資格」において相手方となった処分とはいえず、当該処分は行審法の適用を受ける処分であるというべきである。 本件裁決が本件審査請求の審査庁になり得ない行政庁によってされた無効な裁決であるとの主張について原告は、被告が国土交通省の長として内閣の一構成員の地位にあり、閣議 の方針に拘束され 本件裁決が本件審査請求の審査庁になり得ない行政庁によってされた無効な裁決であるとの主張について原告は、被告が国土交通省の長として内閣の一構成員の地位にあり、閣議 の方針に拘束される立場にあるから、本件裁決の審査請求をした沖縄防衛局と一体化したものというべきであって、地方自治法255条の2第1項1号の「大臣」として審査庁になり得ないなどとして、本件裁決は無効である旨主張し、これに沿うものとして甲69(G意見書)を提出する。 そこで検討するに、①行審法は、国の機関であっても、その「固有の資格」 によらずに相手方となった処分については、行審法に基づく審査請求ができるものとしていること(同法7条2項参照)、②地方自治法は、法定受託事務に係る都道府県知事の処分についての審査請求は、当該処分に係る事務を規定する法律又はこれに基づく政令を所管する各大臣とすることとしていること(同法255条の2第1項1号)を勘案すれば、法定受託事務に係る都 道府県知事の処分については、審査請求人と審査庁のいずれもが国の機関と なる場合が生じることは、行政不服審査制度上、当然に予定されているといえる。 これに対し、原告は、行審法9条2項が審理員について除斥事由を定めている趣旨からすれば、上記の各「大臣」とは審査請求に係る処分について利害関係を有しない大臣を指すと解すべきである旨主張する。しかし、行審法 は、審査請求に係る審理の公正性・透明性を確保するため、一定の場合に審理員(審査庁に所属する職員のうちから審理手続を行う者として指名されたもの)による審理や行政不服審査会への諮問を義務付けているものの(行審法9条、43条)、それを超えて、審査請求人が審査庁と同一の行政主体(国)に所属する場合における審査庁について 者として指名されたもの)による審理や行政不服審査会への諮問を義務付けているものの(行審法9条、43条)、それを超えて、審査請求人が審査庁と同一の行政主体(国)に所属する場合における審査庁について除斥事由その他の規律を何ら 設けていない。 したがって、法定受託事務に係る都道府県知事の処分について国の機関から審査請求がされた場合において、国の機関である当該処分に係る事務を規定する法令の所管大臣が審査庁となり得ないものとは解されないから、そのことをもって本件裁決の違法無効をいう原告の上記主張は採用することがで きない。 本件裁決が審査庁の立場を放棄して行審法上の審査請求制度を著しく濫用してされた無効な裁決であるとの主張について原告は、被告が本件審査請求を中立・公正に判断できる立場にないことは本件埋立事業に関する従前の被告の対応からして明らかであり、被告が本件 裁決及びこれと同旨の勧告を同時に行い、都道府県知事を下級庁の立場に貶めていることからすると、被告は、内閣の一致した方針に従って本件変更不承認処分を覆滅させることを一義的な目的として、中立的判断者としての審査庁の立場を放棄し本件裁決を行ったものというべきであって、行政不服審査に名を借りた濫用的関与として違法無効である旨主張し、これに沿うもの として甲70(A意見書)を提出する。 しかしながら、法定受託事務に係る都道府県知事の処分については、審査請求人と審査庁のいずれもが国の機関となる場合が生じることが行審法及び地方自治法において当然に予定されていることは、前記のとおりであるし、被告が本件埋立事業に関する紛争につき審査庁として関与した際に本件承認処分の職権取消しや前件撤回処分につき執行停止決定をしたなどの従前の経 おいて当然に予定されていることは、前記のとおりであるし、被告が本件埋立事業に関する紛争につき審査庁として関与した際に本件承認処分の職権取消しや前件撤回処分につき執行停止決定をしたなどの従前の経 緯があるとしても、その後、当初の出願に係る本件承認処分が適法であると判断され(平成28年最高裁判決)、軟弱区域外における埋立てに関する工事は適法に実施し得ると判断されたこと(最高裁令和3年(行ヒ)第76号同年7月6日第三小法廷判決・民集75巻7号3422頁参照)に照らすと、被告が審査庁としての中立的な立場を放棄しているとの評価は当たらないと いうべきである。 また、被告が内閣の構成員であり、閣議にかけて決定した方針に基づいてされる内閣総理大臣の指揮監督下にあること(内閣法2条1項、6条)や、内閣が本件埋立事業を推進していく旨の閣議決定をしていることなどについては原告が指摘するとおりであるものの、他方で、閣議決定は、内閣の重要 政策に関する基本的な方針として決定されるものであって(同法4条2項)、個別の処分についての所管大臣による法令適合性の判断を直ちに拘束するものとは解されず、本件裁決について、内閣や内閣総理大臣による具体的な指示があったことなどをうかがわせる的確な証拠も見当たらない。 したがって、本件裁決が審査庁としての立場を放棄し行政不服審査に名を 借りた権限の濫用である旨の原告の主張は、採用することができない。 以上によれば、本件裁決は、地方自治法245条3号括弧書きの「裁決」として有効なものと解される。 3 争点3(本件是正の指示の有効性)について原告は、国が、普天間飛行場の辺野古移設を唯一の解決策とする閣議決定に 基づき本件埋立事業を推進する目的で、公有水面埋立をなす事業者としての立 争点3(本件是正の指示の有効性)について原告は、国が、普天間飛行場の辺野古移設を唯一の解決策とする閣議決定に 基づき本件埋立事業を推進する目的で、公有水面埋立をなす事業者としての立 場、地方自治法255条の2における審査庁の立場、及び同法245条の7の所管大臣すなわち関与庁としての立場における権限を連結し、被告が審査庁として本件裁決を行った上で、関与庁として直ちに本件裁決と同内容の本件是正の指示をしたことは、仕組みを濫用したものであって、違法無効である旨を主張し、これに沿う甲70(A意見書)を提出する。 しかしながら、本件埋立事業に係る閣議決定の存在や行審法上等の紛争における従前の経緯を勘案したとしても、本件裁決が行政不服審査に名を借りた権限の濫用であると認めることができないことは、上記2で判示したとおりである。 また、本件是正の指示は、法定受託事務が適正に処理されることを確保する という公益の実現を目的として、所管大臣が都道府県知事に対して特定の内容の処分を行うべきことを命じるものであり、行審法上の審査庁としては付与されていない権限を行使するものであるが、是正の指示が上記の制度目的に基づいて行われるものであることに加え、是正の指示については、地方公共団体の長本来の地位の自主独立の尊重と、国の法定受託事務に係る適正な確保との間 の調和を図る趣旨から、関与取消訴訟制度が設けられ、行審法上の争訟手続とは独立して、国と普通地方公共団体との間で生じた法定受託事務に関する係争を解決するための司法審査が行われることを勘案すると、裁決の後、公益上の必要性からさらに是正の指示が行われる場合があることは、法の予定するところであるというべきである。したがって、本件裁決の後に行われた本件是正の 指示の れることを勘案すると、裁決の後、公益上の必要性からさらに是正の指示が行われる場合があることは、法の予定するところであるというべきである。したがって、本件裁決の後に行われた本件是正の 指示の内容が、結果的に本件変更不承認処分の名宛人の保護に資することになることがあるとしても、直ちに、是正の指示の本来の制度目的や制度趣旨を逸脱して他の目的を実現するために行われたものとなるとはいえない。さらに、前記1で判示したとおり、本件是正の指示に関する関与取消訴訟においては、それに先行する本件裁決の拘束力の作用は及ばないと解され、審査庁としてし た裁決の効力と連結する仕組みとはなっていないことをも勘案すると、本件是 正の指示は、権限を不当に連結し仕組みを濫用したものということもできず、その内容の適法性を問わずに、当然に違法無効であると断ずることはできない。 したがって、原告の上記の主張は採用することができない。 4 争点4(災害防止要件を欠くとした原告の判断の法令違反等の有無)について 判断枠組みア埋立法は、42条1項において、国が行う埋立てにつき、当該事業を施行する官庁が都道府県知事から承認を受けるべきことを定め、同条3項において、同法4条1項を準用している。 同項は、同項各号に適合すると認める場合を除いては埋立ての承認又は 免許(以下「承認等」という。)をすることができない旨を定めているところ、同項2号の「其ノ埋立ガ(中略)災害防止ニ付十分配慮セレタルモノナルコト」という要件(災害防止要件)は、公有水面の埋立てにより生じ得る災害防止上の問題を的確に把握するとともに、これに対する措置が適正に講じられていることを承認等の要件とするものと解され、 その審査に当たっては、専門技術的な知見 公有水面の埋立てにより生じ得る災害防止上の問題を的確に把握するとともに、これに対する措置が適正に講じられていることを承認等の要件とするものと解され、 その審査に当たっては、専門技術的な知見に基づいて検討することが求められているということができる。そうすると、裁判所が、公有水面の埋立てが災害防止要件に適合するとし又は適合しないとした都道府県知事の判断に違法等があるか否かを審査するに当たっては、専門技術的な知見に基づいてされた上記都道府県知事の判断に不合理な点があるか否 かという観点から行われるべきであると解される(平成28年最高裁判決参照)。 イ埋立法における災害防止要件の審査の性格埋立法は、承認等の申請に際し、「設計ノ概要」を記載した願書及び添付資料として「設計ノ概要ヲ表示シタル図書」の提出を求めるにとどま り(2条2項4号、3項2号)、設計が依拠した地盤調査等の詳細にまで 及んだ文書の提出は求められていない(公有水面埋立法施行規則2条2号、別記様式第1の4項)。また、実施設計に関しては、承認等の申請に対する審査とは別に、私人に対する免許の場合は免許条件としてその認可申請を要する場合を定めることができ(埋立法34条1項1号参照)、国に対する承認の場合(同法42条3項は34条を準用していない。)は 承認条件としてその内容について協議を行うことができると解され、いずれにせよ、承認等の申請に対する審査の後に、実施設計を行う段階において、より詳細な審査又は協議が行われることが予定されている。さらに、埋立法は、承認等を得た後であっても、「設計ノ概要」の変更が許されることとし、当初の設計では災害防止要件を充足できないことが後 に判明した事情により明らかとなった場合に、新たな事情に基づいて 、埋立法は、承認等を得た後であっても、「設計ノ概要」の変更が許されることとし、当初の設計では災害防止要件を充足できないことが後 に判明した事情により明らかとなった場合に、新たな事情に基づいて設計を変更することを認めている。これらの規律は、海底等の情報が不確定性を有する段階で災害防止要件の審査がなされることを想定し、その審査が、承認等の時点で確実に判断することが困難な内容を含むものとならざるを得ないことを踏まえたものであると解される。 ウ港湾法における技術基準の内容本件埋立事業で建設される護岸は、港湾法上の外郭施設(2条5項2号)に当たり、外郭施設は、同法56条の2の2第1項所定の「技術基準対象施設」として、同施設に必要とされる性能に関しては国土交通省令が定める技術上の基準(技術基準)に適合するように、建設し、改 良し、又は維持しなければならないものであるところ、「港湾の施設の技術上の基準を定める省令」6条に基づき、「港湾の施設の技術上の基準の細目を定める告示」(基準告示)が定められ、性能照査の基本、自然状況等の設定(地盤に関する事項を含む)などの総則規定のほか、個別の外郭施設に関する性能規定が置かれている。そして、基準告示の内 容を具体化したものとして、国土交通省港湾局監修の下において、公益 社団法人日本港湾協会により「港湾の施設の技術上の基準・同解説」(港湾基準・同解説)が作成されているところ、この港湾基準・同解説は、技術的な知見の蓄積や社会的な情勢の変更等を踏まえて改訂が行われ、現時点では平成30年改訂版が最新のものとなっており、港湾施設の設計に関する技術的な知見を集約したものとして、一般的な合理性を 有していると認められる。(乙6、弁論の全趣旨) 基準告 時点では平成30年改訂版が最新のものとなっており、港湾施設の設計に関する技術的な知見を集約したものとして、一般的な合理性を 有していると認められる。(乙6、弁論の全趣旨) 基準告示3条は、技術基準対象施設に関する性能照査(性能規定を満足していることを確認する行為)は、作用、供用に必要な要件及び当該施設の保有する性能の不確定性を考慮できる方法又はその他の方法であって信頼性の高い方法によって行わなければならないと定めており、性 能照査につき、地盤自体の不均質性、試験や評価の手法に起因する不確実性等に起因する不確定性を前提としているところ、港湾基準・同解説は、総論として、性能照査では、特定の手法が義務付けられているものではなく、具体的な性能照査の手法の選択や許容される安全性余裕を表す指標等の設定は、設計者の判断を尊重するものとしつつ(13頁)、 各論として、不確定性を考慮できる方法等を詳細に記述している。 性能照査に関する上記のような考え方は、一定の社会的必要性を満たすことを目的として海底の地盤の上に人工的に築かれる護岸等に関する設計の手法(システム)が、以下のような性格を有していることを反映したものと考えられる。すなわち、地盤を含む構造物設計は、水平方向 に不連続な離散した調査地点によって得られる限定的な点情報を収集することから始まり、対象地盤の三次元空間の地盤特性を評価するに当たっては、地質学、地形学、土質力学、地盤工学等の知識を援用して、当該地盤をモデル化し、構造物設計に用いる設計地盤図を作成するものであり、地盤調査・土質試験・設計地盤図作成そして設計計算を行うとい う一連の設計システムからなるところ、これらは、精密科学を追求した ものではなく、社会が要求する構造物の構築を実 あり、地盤調査・土質試験・設計地盤図作成そして設計計算を行うとい う一連の設計システムからなるところ、これらは、精密科学を追求した ものではなく、社会が要求する構造物の構築を実現可能とする工学的手法であり、この設計システムの中での地盤調査の目的は、各地層構成等の幾何学的境界条件を把握し、土質試験等から得られる各地層の力学的係数の代表値を抽出することにあるというものである(乙B8(B鑑定書)、乙17)。 エ原告審査基準の内容原告審査基準においては、護岸に関し、「埋立地の護岸の構造が、少なくとも海岸護岸築造基準に適合している等」を審査すると定められているところ(別紙3の第1の5B2)、ここでいう海岸護岸築造基準は、技術基準(基準告示)を指すものと解される。そして、原告審査基準は、 国土交通省港湾局埋立研究会が編集し公刊されている実務便覧に掲載された「チェックポイント」の内容に準拠する一般的なものであり、基準告示の規律を具体化した港湾基準・同解説が記述する個別の項目につき、沖縄県が独自の専門的知見に基づいてこれを補完する審査内容を具体的に定めたものではないことを勘案すると、原告審査基準は、港湾基準・ 同解説が記述する性能照査の手法等を参照して災害防止要件の審査をすることを表明したものと解される。 オ小括以上で判示したとおり、①埋立法における災害防止要件の審査は、申請者から設計の概要として示された概略的な内容の図書等に基づき、確実 に判断することが困難な内容について行われることが想定されていること、②建設する施設が港湾法上の「技術基準対象施設」に該当する場合、技術基準に適合するように建設される必要があるところ、技術基準(基準告示)の規律を具体化したものとして作成されている港 されていること、②建設する施設が港湾法上の「技術基準対象施設」に該当する場合、技術基準に適合するように建設される必要があるところ、技術基準(基準告示)の規律を具体化したものとして作成されている港湾基準・同解説には、一般的な合理性が認められること、③護岸に関する原告審査基 準は、災害防止要件につき、技術基準(基準告示)に適合していること 等を審査することなどを定めているが、港湾基準・同解説の内容を補完するような審査内容を具体的に定めるものではないことを踏まえると、原告が、技術基準対象施設の建設等が災害防止要件に適合する又は適合しないとした判断に違法等があるか否かについては、当該判断につき、基準告示の規律を具体化した港湾基準・同解説の記述する性能照査の手 法等に照らし、不合理な点がないか否かという観点から行われるべきものと解される。 このことに、港湾基準・同解説が、護岸等に関する設計の手法は、必ずしも精密科学を追求したものではなく、社会が要求する構造物の構築を実現可能とする工学的手法であるとの性格を踏まえた内容となっている ことを勘案すると、原告が、上記の審査に関し、基準告示の規律を具体化した港湾基準・同解説の記述する性能照査の手法等を超えてより厳格な判断を行うことは、特段の事情がない限り、法の予定するところではなく、そのような判断は、裁量権の行使における公正かつ平等な取り扱いの要請や、港湾基準・同解説を想定した審査基準に係る相手方の信頼 の保護の観点から、考慮すべきではない事項を過剰に考慮したものとして、裁量権の範囲の逸脱又は濫用に当たるというべきである。 以上の理は、埋立法13条ノ2第2項において同法4条1項が準用される場合においても同様であると解される。 カ原告の主張に て、裁量権の範囲の逸脱又は濫用に当たるというべきである。 以上の理は、埋立法13条ノ2第2項において同法4条1項が準用される場合においても同様であると解される。 カ原告の主張について 以上に対し、原告は、災害防止要件の充足性の審査は、港湾法の技術基準を参照しつつも、飽くまで、埋立承認申請ないし変更承認申請において、公有水面の埋立てにより生じ得る災害防止上の問題が的確に把握され、これに対する措置が適正に講じられているか否かを知事の専門技術的な知見から審査することであるところ、港湾基準・同解説との関係で は不適切とはいえない調査や設計であったとしても、より確実性を高め るような調査や設計を求めることは許容されるべきであり、そのような知事の判断は、直ちに、事実の基礎を欠き、あるいは社会通念に照らし明らかに妥当性を欠くために裁量権の逸脱又は濫用となるとはいえない旨を主張する。 この点、埋立法4条1項各号の要件は、同条に係る承認等が都道府県知 事の裁量的な判断であることを前提に、上記承認等をするための最小限の要件を定めたものであると解されるところであるが、このことを踏まえたとしても、個別の要件における裁量判断の在り方は、各要件の性格やその審査対象に関する関係法令等の規律の内容等によって自ずと異なるものとなるというべきである。 しかるに、上記イからオまでで判示したとおり、①災害防止要件の審査は、申請者から設計の概要として示された概略的な内容の図書等に基づき、確実に判断することが困難な内容について行われることが想定されていること、②護岸の建設等については、これを規律する港湾法所定の技術基準を具体化し、技術的な知見を集約したものとして、一般的な合 理性を有する港湾基準・同解説が ついて行われることが想定されていること、②護岸の建設等については、これを規律する港湾法所定の技術基準を具体化し、技術的な知見を集約したものとして、一般的な合 理性を有する港湾基準・同解説が作成されているところ、その内容は、精密科学を追求したものではなく、社会が要求する構造物の構築を実現可能とする工学的手法であること、③原告審査基準には、港湾基準・同解説を補完するような審査内容が定められていないことを勘案すれば、港湾基準・同解説の記述する性能照査の方法等が「専門技術的な知見」 に当たると解すべきであり、これを離れてより厳格な審査を行うことは、特段の事情がない限り、法の予定するところではないというべきである。 したがって、原告の上記主張は採用することができない。 地盤調査等(B-27地点の力学的試験の必要性)についてア港湾基準・同解説の概要 基準告示13条は、地盤条件につき、地盤調査及び土質試験の結果をも とに、土の物理的性質、力学的特性等を適切に設定するものとする旨を定める。そして、港湾基準・同解説は、地盤調査に当たっては、技術基準対象施設の構造、規模及び重要度並びに当該施設を設置する地点周辺の地盤の性状を適切に考慮すべきであるとした上で(300頁)、地盤調査等に関する具体的な方法に関し、概要、以下の記述をしている(甲3 5、乙A54~A57、A59、A68、A77、弁論の全趣旨)。 地盤調査性能照査及び施工計画を決定する際に必要な地盤条件として、支持層の深さ、軟弱層の厚さなどの地盤の成層状態、物理特性、せん断特性、圧密特性、透水性、液状化特性などがある。土は、応力依存性の強い材 料であって、圧密などにおける時間の経過や上載圧の変化によってその力学的特性が著しく変化す の成層状態、物理特性、せん断特性、圧密特性、透水性、液状化特性などがある。土は、応力依存性の強い材 料であって、圧密などにおける時間の経過や上載圧の変化によってその力学的特性が著しく変化することから、状況に応じて必要と判断されれば新たな地盤調査を計画・実施することが重要である。 調査地点の位置、間隔及び深度については、対象とする施設の大きさ、重量、地盤の成層状態の均質性等のほか、施設の工費や重要度も考慮し て決定すべきである。調査地点の数やその間隔及び深度を一概に規定することはできないが、地盤の均質性・不均質性が考慮されるべき最も重要な事項である(300頁)。 地盤の調査方法の選定については、調査範囲、施設の重要度及び経済性などを考慮して、調査目的に最も適した方法を選択すべきである。① 成層状態の確認という調査目的に適うのは、ボーリング、サウンディング、物理探査(弾性波探査、表面波探査等)であり、これにより基盤深度、軟弱層厚等を調査する。②土の物理的性質(土質分類及び透水性)の調査目的に適うのは、乱れの少ないサンプリング等であり、これにより単位体積重量、含水比、土粒子の密度、粒度、コンシステンシー、透 水係数等を調査する(ただし単位体積重量以外の指標については乱れた サンプリングでも可能である)。③力学的特性(支持力、斜面安定、圧密特性など)の調査目的に適うのは、乱れの少ないサンプリング、サウンディング等であり、これにより非排水せん断強さ、粘着力、圧密係数等を調査する。 ボーリングによる調査においては、ボーリング孔掘削時に揚がってく る泥水を観察し、地盤の成層状態と土の種類を知り、柱状図を作成する。 また、ボーリング孔を利用して、試料の採取(サンプリング)や、標準貫入試験などのサ においては、ボーリング孔掘削時に揚がってく る泥水を観察し、地盤の成層状態と土の種類を知り、柱状図を作成する。 また、ボーリング孔を利用して、試料の採取(サンプリング)や、標準貫入試験などのサウンディングが実施される。高品質の試料のサンプリングを行うためには、地盤を極力乱さない状態でボーリングを行う必要がある。粘性土の性質につき、せん断強さや圧密特性を調べるための力 学的試験(室内における土質試験)を行う場合には、乱さない試料を用いることが望ましい。(301~303頁)サウンディング(標準貫入試験や電気式コーン貫入試験など)は、測定器を直接地盤に挿入し、回転、載荷などを行い、N値などの地盤の定数を求め、これを土質定数と関連付ける関係式を用いて土質定数を間接 的に推定する方法であり、コストが少なくて済むが、得られた結果の解釈は経験的なものにとどまり、地盤の種類や成層状態、求めようとしている定数、その必要精度によって適切に選択する必要がある(303頁)。なお、粘性土地盤については、N値の信頼度が低く、力学的な物性値をN値から決定することはできない(336頁)。 土の物理的特性の調査土質分類に関しては、単位体積重量、含水比、土粒子の密度、粒度、コンシステンシーなどを調査する(302頁)。 土及び岩石の分類法として、「地盤材料の工学的分類方法」があり、粒径により、粗粒分(粒径75μm以上75mm未満)が50%を超え るものを砂質土・礫質土と分類し、細粒分(粒径75μm未満)が5 0%以上のものを粘性土などと分類する。 土の強度や変形などの力学特性は、粗粒土については粒度、細粒土についてはコンシステンシー(含水比によって変化する土の硬軟の程度)と密接な関係がある。そして、コンシステ ものを粘性土などと分類する。 土の強度や変形などの力学特性は、粗粒土については粒度、細粒土についてはコンシステンシー(含水比によって変化する土の硬軟の程度)と密接な関係がある。そして、コンシステンシーは、「土の液性限界・塑性限界試験方法」により測定される液性限界(土が塑性状から液状に 変化するときの境界の含水比)などの指標で表現され、粘性土は、低液性限界のものと高液性限界のものに分類される。(311~315頁)土の力学的特性の調査土の力学的特性を示す指標には、①支持力に関するものとして、非排水せん断強さ、せん断強さ、粘着力、せん断抵抗角などがあり、②圧密 特性に関するものとして、圧密係数などがある(302頁)。 せん断強さは、一般に、砂質土と粘性土に分けて設定される。粘性土地盤については、透水性が低いために施工中に排水が生じず、せん断強さは施工前後でほとんど変化しないことから、施工前における非排水せん断強さを強度定数として用いる(326~327頁)。なお、粘性土 の非排水せん断強さは圧密の進行に伴って増大するところ、地盤改良工法を行う場合には、圧密による強度増加率が重要な定数となる(333頁)。 粘性土の非排水せん断強さを求める方法には、サンプリング試料につき室内において力学的試験を行うものとして、①qu法(一軸圧縮試験 によるもの)、②三軸非排水圧縮試験によるもの、③これらを併用する方法などがあり、地盤の特性や施設の重要性等を総合的に判断して、方法を選択すべきである(329~331頁)。なお、粘性土の非排水せん断強さは、圧密荷重が大きいほど大きく、したがって、土被り圧が大きな深部ほど圧密圧力が大きくなっていることから、深度とともに増大 することが一般的であり、性能照査に用いる式 粘性土の非排水せん断強さは、圧密荷重が大きいほど大きく、したがって、土被り圧が大きな深部ほど圧密圧力が大きくなっていることから、深度とともに増大 することが一般的であり、性能照査に用いる式はこれを踏まえたものに よることが多い(332頁)。 地盤物性値の推定性能照査に用いる地盤物性値の設計用値は、「性能設計概念に基づいた基礎構造物等に関する設計原則」に基づき推定する。具体的には、地盤調査や土質試験には、誤差や地盤そのものの不均質性などによる不確 定要因が存在することに照らし、以下の手順で行われる。①ボーリング調査等を実施して行われる各種の地盤調査・試験等により「計測値」(直接的な結果)を得る。②計測値に、理論及び経験等を適用して、「導出値」(推定された地盤物性値)を決定する。③地層区分を行って地盤のモデル化を行い、「推定値」の設定を行う。④導出値のばらつき (変動係数CV)が0.6未満となるときは、統計的な平均値の推定誤差を勘案し、推定値に対し、導出値のばらつきを考慮して補正を行い、また、データ数が10未満のときはその補正を行って、「特性値」(地盤物性値の代表値)を求める。⑤変動係数CVが0.6以上のときは、信頼性に乏しく性能照査が行えないので、試験結果の解釈を見直し、必要 があれば地盤のモデル化についても再検討し、場合によっては地盤調査をやり直す。(304~307頁)イ設計変更の前提となった地盤調査等の概要本件変更承認申請の際に提出された設計概要説明書には、本件承認処分後に行った地盤調査等の内容及び結果として、土質条件一覧表、土質 調査の調査箇所平面図、地層断面図が掲載されている(乙A6〔85、89~91頁〕)。 設計変更の詳細については、6回に 認処分後に行った地盤調査等の内容及び結果として、土質条件一覧表、土質 調査の調査箇所平面図、地層断面図が掲載されている(乙A6〔85、89~91頁〕)。 設計変更の詳細については、6回にわたって行われた技術検討会(前提 事実 ア)の資料及び議事録(甲18(第1回)、乙A51(第2回)、A45(第3回)、A40(第4回)、A58(第5回)、A74(第6 回))として公表されているところ、これらの内容と、沖縄県が沖縄防衛 局に対して行った質問に対する回答(前提事実ア)によれば、設計変更の前提となった地盤調査等の概要は、以下のとおりである。 地盤調査大浦湾側水域に設けられる東護岸(C護岸等及びA護岸)については、①護岸法線及び海底地形を基に設定した各調査エリアの両端部、中央部 付近及び法線変化点等を対象として、調査地点を設定し、ボーリング調査を実施し、また、②ボーリング調査地点間の地層の成層状態を把握することを目的として音波探査を実施し、さらに、③ボーリング調査地点間及び音波探査において、地層境界が不明瞭な箇所の把握等を目的として更に電気式コーン貫入試験(CPT)及びボーリング調査を実施した。 以上により、ボーリング調査61か所(乱れの少ない試料を採取した地点は34か所)、電気式コーン貫入試験(CPT)15か所(乱された試料を採取)、音波探査22測線、弾性波探査2測線が実施された(甲18資料3の12頁(別紙図面1)、同議事録4~5頁)。 このうち、C-1護岸付近については、法線平行方向につき、①当 該調査エリアの両端部及び中央部付近を対象として、B-25、B-26、B-28及びB-30の各調査地点を設定し、ボーリング調査を実施し(いずれも乱れの少ない試料を採取)、また、②当該調査エリ 該調査エリアの両端部及び中央部付近を対象として、B-25、B-26、B-28及びB-30の各調査地点を設定し、ボーリング調査を実施し(いずれも乱れの少ない試料を採取)、また、②当該調査エリアの法線平行方向の地層の成層状態を把握することを目的として、L-01の測線を設定し、音波探査を実施し、さらに、③上記①の各調査地点間 を補間する調査地点として、B-27及びB-29の各調査地点を設定し、電気式コーン貫入試験(CPT)を実施し、加えて、④ボーリング調査及び音波探査の結果から、地層境界が不明瞭な箇所の確認を目的として、S-1の調査地点を設定し、ボーリング調査を実施した(乱れの少ない試料を採取)。そして、法線直角方向につき、南側滑走路位置 に当たるB-28の調査地点を基点として、法線直角方向の地層の成層 状態を把握することを目的として、L-12の測線を設定し、音波探査を実施するとともに、S-2及びS-3の各地点でボーリング調査(乱れの少ない試料を採取)、S-22、S-4’及びS-28の各地点でボーリング調査(乱された試料を採取)、B-64及びS-30の各地点で電気式コーン貫入試験(CPT)を実施した。(甲18資料3の1 4頁)土質試験(土の物理的特性及び力学的特性の調査)上記の地盤調査によって得られた試料について、その基本的な物理的特性、せん断特性、圧密特性及び動的特性を把握することを目的として、各種の土質試験(物理的試験又は力学的試験)を実施した(甲18資料 3の26頁)。 このうち、粘性土(Avf-c層及びAvf-c2層)のせん断強さ(せん断強度)については、一軸圧縮試験による方法(qu法)が一般的であるが、砂分を多く含んだ中間土的な性状を示す部分があることから、上記試験では 性土(Avf-c層及びAvf-c2層)のせん断強さ(せん断強度)については、一軸圧縮試験による方法(qu法)が一般的であるが、砂分を多く含んだ中間土的な性状を示す部分があることから、上記試験では過小評価するおそれがあるため、qu法でなく、現地 盤の有効土被り圧相当まで圧密させた後に試験を行う再圧縮法による簡易CUbar試験による方法により設定した。ただし、Avf-c2層については、比較的塑性の高い粘性土であることから、qu法も併用し、破壊状況を確認の上、異常値と認められなければ、せん断強さ(せん断強度)として採用した。なお、簡易CUbar試験及びqu法により得 られた値は、それぞれ独立したものとして、データのばらつきに関する補正及びデータ数に関する補正に供された。(甲18資料3の38、40頁、乙A74資料の1頁、同議事録2頁) 地層区分の設定上記の地盤調査において実施された音波探査及び電気式コーン貫入試 験(CPT)により把握された成層状態と、ボーリング調査により採取 された試料の色調や混入物、土質試験で得られた土粒子の密度、細粒分含有率、自然含水比及び間隙比等の物理的特性、せん断強さ(せん断強度)、強度増加率及び圧密降伏応力等の力学的特性並びに透水係数等の各種調査及び試験の結果とを総合的に判断し、地層の空間的な分布の把握が可能な「三次元地盤モデル」を作成し、これにより、地層区分を設 定した。(甲18資料3の28頁~43頁、45頁、乙A51資料2の2頁、乙A61別紙9頁、10頁、乙A104別紙3頁、10頁、乙A120)。 上記の地盤調査により、大浦湾の埋立計画地内には、埋没谷があり、それを埋める形で主要な沖積層が堆積していることが判明した(甲18 資料3の28頁(別紙図 4別紙3頁、10頁、乙A120)。 上記の地盤調査により、大浦湾の埋立計画地内には、埋没谷があり、それを埋める形で主要な沖積層が堆積していることが判明した(甲18 資料3の28頁(別紙図面2))。C-1護岸付近においては、B-27地点及びS-3地点に深い谷地形(埋没谷)があることが確認され、東護岸全体では、上記の他にS-20地点及びB-58地点(乱れの少ない試料を採取)、B-59地点及びS-13地点(乱された試料を採取)において、深い谷地形があることが確認された(以下、上記の六つの調 査地点を「埋没谷6地点」という。)。 そして、埋没谷6地点(B-27、S-3、S-20、B-58、B-59及びS-13)についてみると、下層には、有機物を含み、色調が黒灰色を主体とし、土粒子の密度が上層に比べて小さい粘性土が堆積している層があって、この層は、混入物や、色調、土粒子の密度、飽和 単位体積重量といった物理的特性が、その上部の層(Avf-c層)とは異なり(甲18資料3の29頁(別紙図面3)、35頁、37頁、62頁※13)、また、大部分が高液性限界に区分されるなど工学的特性にも違いがあること(同34頁)等から、総合的に判断して、Avf-c2層として細分した。(乙A52別紙6頁、乙A61別紙19頁、乙 A99別紙8頁、乙A103別紙2の6頁) 地盤物性値の推定上記の地層区分を通じ、Avf-c2層に関して設定された推定値に係る導出値の変動係数(CV)は、①飽和密度(密度に重力加速度を乗じ算出した飽和単位体積重量)が0.04(甲18資料3の37頁)、②強度特性(非排水せん断強さ(せん断強度))が0.18(同40頁 表2.2-15)、③圧密後の強度増加率が0.13(同42頁図2. 2-27)、④圧 積重量)が0.04(甲18資料3の37頁)、②強度特性(非排水せん断強さ(せん断強度))が0.18(同40頁 表2.2-15)、③圧密後の強度増加率が0.13(同42頁図2. 2-27)、④圧密特性(圧密係数Cv)がΔp600(kN/㎡)で0.09、Δp400(kN/㎡)で0.08、Δp200(kN/㎡)で0.08(同43頁図2.2-29)、⑤圧密特性(過圧密比OCR)が0.02(同45頁図2.2-32)、⑥透水係数が室内透水試験で 0.06(同38頁表2.2-14、乙A51資料2の2頁表1.2-2)、⑦圧密特性(二次圧縮指数Cα)が二次圧密の前半(Cα1)で0.29、二次圧密の後半(Cα2)で0.23(同表1.2-3)であり、港湾基準・同解説において信頼性が乏しいとされるばらつき(変動係数CV)が0.6以上となる地盤物性値の推定値はなかった。その ため、地層区分について再検討する必要や、地盤調査をやり直す必要はないと判断した。 そして、推定値に対する補正については、上記のばらつきに応じて、非排水せん断強さについては補正係数b1を0.90と設定し、強度増加率について補正係数b1を0.95と設定するなどした(甲18資料 3の36頁表2.2-11)。なお、非排水せん断強さの導出値は13個であった(同40頁表2.2-15)以上により、Avf-c2層の非排水せん断強さとして設計に用いる値Cuは53.0+1.58Z(Zの基準はGL±0.0)と設定された。なお、Avf-c層のCuは11.4+1.62Zと設定され、い ずれの層も海底面からの深さに応じてせん断強さは増加するが、同じ深 度であればAvf-c2層の方がせん断強さが強いことが示されている(甲18資料3の40頁(別紙図面4))。 れの層も海底面からの深さに応じてせん断強さは増加するが、同じ深 度であればAvf-c2層の方がせん断強さが強いことが示されている(甲18資料3の40頁(別紙図面4))。 B-27地点のせん断強さの設定一般に、土質定数(地盤物性値)は、地層区分に基づき、地層ごとに設定され、同じ地層であれば、同じ強度特性を有しているものと扱うこ とができること、また、B-27地点とS-3地点との距離は約150m、S-3地点とS-20地点との距離は約150m、S-20地点とB-58地点との距離は約450mであること(甲18資料3の12、14、18、29、30頁、甲55別紙の10頁)を勘案し、主としてS-3、S-20及びB-58の各調査地点(以下、これらを「S-3 ほか2地点」という。)の土質試験の結果から設定された力学的特性(上記)を、B-27地点を含む埋没谷6地点のAvf-c2層の力学的特性として設定した(乙A58資料2頁、議事録22~24頁))。 ウ B-27地点の力学的試験の必要性等について上記アのとおり、港湾基準・同解説は、①地盤調査に関し、調査地 点の位置、間隔等につき、一概に規定することはできないものの、地盤の成層状態の均質性・不均質性を最も重要な考慮事項とし、②また、土の物理的特性や力学的特性の調査に関し、その調査の目的ごとに、それぞれ適切とされる各種の方法を選定すべきことを述べ、③さらに、得られた試料や土質試験による計測値などから、地層区分とモデル化を行い、 ④導出値のばらつき(変動係数CV)が0.6未満のときは、必要に応じて補正を行い、0.6以上のときは、見直し等を行うという方法を定めている。 しかるに、上記イのとおり、設計変更の前提となった調査においては、①大浦湾水 動係数CV)が0.6未満のときは、必要に応じて補正を行い、0.6以上のときは、見直し等を行うという方法を定めている。 しかるに、上記イのとおり、設計変更の前提となった調査においては、①大浦湾水域に設けられる東護岸については、多数の箇所でボーリング 調査、音波探査等を実施し、また、これを補完するために電気式コーン 貫入試験(CPT)を行い、これらによって、地層の成層状態を把握するとともに、②上記の調査によって採取された試料につき、土の物理的特性や力学的特性を把握するため、各種の土質試験を行い、③そのようにして得られた情報を基礎として、地層区分を総合的に判断し、埋没谷の存在と、埋没谷を埋めている粘性土に係る二つの地層区分(Avf- c層とAvf-c2層)などを措定し、④各種の推定値に係る導出値のばらつき(変動係数CV)が0.6未満であり、上記判断につき一定の信頼性が認められることから、さらに、ばらつきの程度に応じた補正を行って、上記各地層などの特性値(地盤物性値の代表値)を求め、これらの結果、埋没谷の下流部分にあり護岸の直下に当たるB―27地点に は、粘性土としてAvf-c層とその下部にAvf-c2層が存すると判断しているところ、このような調査手法と判断・推定内容は、港湾基準・同解説が記述する上記の方法に沿ったものであると認めることができる。 原告の処分理由等について 原告は、処分理由等において、①Avf-c層とAvf-c2層の地層区分は「総合的に判断」されたものであり、⒜B-27地点でAvf-c2層に属するとされた地層は、細粒分含有率に関し、S-3ほか2地点での同層と相違がみられる点や、⒝B-58地点でのボーリングで得られた試料T-31、T-34及びT-36のデータの取扱いが変更 2層に属するとされた地層は、細粒分含有率に関し、S-3ほか2地点での同層と相違がみられる点や、⒝B-58地点でのボーリングで得られた試料T-31、T-34及びT-36のデータの取扱いが変更 されている点など、あいまいさが残ること、②B-27地点においてAvf-c2層とされる部分の粘性土のせん断強さを、同点から距離が離れたS-3ほか2地点における力学的試験の結果から類推して求めることは、S-3ほか2地点における深さと地盤強度の関係がばらばらであることなどからして疑義があること、③B-27地点では粘性土が水面 下約90m(C.D.L.-90m)に達しているところ、同地点付近 は、外周護岸の設置場所であり、災害防止に関して最も重要であると考えられることなどを指摘し、同地点において三軸圧縮試験等の力学的試験を実施しないことは、施設の重要度や周辺の性状等を適切に考慮しているとはいい難いから、基準告示13条の規定に適合せず、また、原告審査基準の免許禁止基準に係る審査事項2及びに適合しないとする (処分理由・4イ及びイ、主張要旨第2の1)。 そこで検討するに、変更後の設計においては、前記イのとおり、埋立計画地内に存在することが判明した埋没谷の下部の粘性土につき、混入物、色調、土粒子密度、飽和単位体積重量、液性限界といった観点からみて差異がある二つの層を認め得ることから、総合的に判断して、A vf-c層とその下部のAvf-c2層とに区分し、B-27地点の粘性土もそのように区分されるとしている。 この区分に関して、原告の処分理由等が指摘する上記①⒜の点は、B-27地点の最下部の砂礫の直上にある砂質系の部分に属する試料C-15(乙A62参照)の属する範囲(G.L.-59mからG.L.- 61mま して、原告の処分理由等が指摘する上記①⒜の点は、B-27地点の最下部の砂礫の直上にある砂質系の部分に属する試料C-15(乙A62参照)の属する範囲(G.L.-59mからG.L.- 61mまで)をAvf-c2層には含めないことを前提として、S-3ほか2地点との細粒分含有率の相違をいうものであるが、変更後の設計においては、試料番号C-15につき、薄層で腐食物と砂の互層状となっていることを勘案し、これを安全側に評価して粘性土とするという処理がされており(弁論の全趣旨〔答弁書79頁〕)、前提を異にしている ものと考えられる(なお、同様の処理は、S-3地点についても行われている(乙A58資料2頁(注2)、乙A63参照)。)。また、上記①⒝の点は、本件変更承認申請に係る設計変更の検討過程において、当初は、B-58地点の試料T-31、T-34、T-36の部分がAvf-c2層に属するとされていたが、その後、三次元地盤モデル等で確認し、 埋没谷の前後の調査地点における地層区分と連続性があるように(別紙 図面3参照)、同部分(G.L.-37m以深)をAvf-c層に分類し直し、さらに、同部分はAvf-c層とAvf-c2層の中間的な性状にあるためAvf-c層の強度を過大評価する可能性があることからデータとしては棄却する処理としたこと(乙A74資料1頁、7頁、同議事録3、4頁)に関する指摘であるが、このような処理は、地盤自体 の不均質性や試験や評価の手法に起因する不確実性があることを前提に、地層の区分を設けて地盤のモデル化を行うという港湾基準・同解説の性能照査の手法の範囲内にあり、上記の処理がAvf-c2層にとって危険側となるとしても、地層の区分としては、直ちに不合理なものとはいえないと考えられる。 次に、上 という港湾基準・同解説の性能照査の手法の範囲内にあり、上記の処理がAvf-c2層にとって危険側となるとしても、地層の区分としては、直ちに不合理なものとはいえないと考えられる。 次に、上記②の点は、変更後の設計では、力学的試験が実施されたS-3ほか2地点においてAvf-c2層とされた部分のデータを、地点ごとに分けずに評価していることに関して、これを地点ごとにみれば、試料数が少なく、かつ、深さと地盤強度の関係がばらばらであることを指摘するものである。しかし、港湾基準・同解説は、地層区分による地 盤のモデル化に当たり、個々の調査地点ごとに評価することを予定しておらず、地盤物性値を求める地層ごとに10以上のデータを集めることを基本とする旨の内容であるから(前記ア)、原告の処分理由等における上記の指摘は、港湾基準・同解説の記述する性能照査の手法に沿わない考え方であるといわざるを得ない。 また、変更後の設計において、埋没谷6地点のうちの一つであるB-27地点のAvf-c2層の力学的特性が、同じく埋没谷6地点を構成するS-3ほか2地点のAvf-c2層の力学的特性と相関性があると推認したことについては、埋没谷6地点のAvf-c2層が同じ土質特性を有するといい得る地層に属するとされ、蛇行する一つの埋没谷の上 流から下流を構成する位置にあり、B-27地点とその直近のS-3地 点(力学的試験の実施対象)との水平方向の距離が約150mであること(前記イ)に照らすと、相応の合理性が認められ、港湾基準・同解説が記述する地盤のモデル化の手法に反するものではないと考えられる。 以上によれば、原告の処分理由等が指摘する上記の①及び②の点は、港湾基準・同解説が記述する性能照査の手法等において想定されている 不均 る地盤のモデル化の手法に反するものではないと考えられる。 以上によれば、原告の処分理由等が指摘する上記の①及び②の点は、港湾基準・同解説が記述する性能照査の手法等において想定されている 不均質性ないし不確実性の範囲内にある事象であるといえる。 このことに加え、①S-3ほか2地点についての力学的試験の結果から得られた深さ方向に関する非排水せん断強度は、Avf-c層、Avf-c2層共に海底面からの深さの一次関数で示され(前記イ)、当該地盤の強度は主として土の自重により支配されており、深度50mに おいてAvf-c2層と同程度の非排水せん断強度を持つ粘性土地盤は、理論上「非常に硬い」に分類される地盤であるとの指摘や、護岸の安定問題は平均値問題の類型に属し、すべり面上の特定の局所的な強度ではなく、すべり面に沿った抵抗力の総和あるいは平均値が支配する現象であるとの指摘があること(乙B8(B鑑定書)〔5~6頁〕)、②他方に おいて、原告が提出する意見書等(甲53、84(C意見書)、83(D意見書)、85(E意見書))は、いずれも、より慎重な調査の必要性を指摘するものであるが、現時点での調査不足が原因となって今後の護岸の構築工事等において災害が発生する具体的な危険性が高いなどの特段の事情があるとまで断定するものではないことを併せ考慮すれば、 本件変更承認申請における護岸に係る災害防止要件の審査において、あらかじめB-27地点において採取した乱れの少ないサンプルの力学的試験を経ていなければ、地盤特性値に関し基準告示に適合する性能照査が行われていないと判断することは、原告の処分理由等が指摘する上記③の点を踏まえたとしても、特段の事情がないにもかかわらず、港湾基 準・同解説の記述する性能照査の手法等を超えてより厳格な判 査が行われていないと判断することは、原告の処分理由等が指摘する上記③の点を踏まえたとしても、特段の事情がないにもかかわらず、港湾基 準・同解説の記述する性能照査の手法等を超えてより厳格な判断を行う ものであり、考慮すべきではない事項を過剰に考慮したものというべきである。 なお、原告は、B-27地点における力学的試験が必要であるとの判断をすることは、社会通念に照らし妥当であり、処分庁としての原告の裁量の範囲内である旨を主張するが、この主張を採用することができな いことは、上記カで判示したとおりである。 地盤の安定性の照査(施工時の照査における調整係数mの設定)についてア港湾基準・同解説の概要性能照査の方法(部分係数法)基準告示3条1項は、技術基準対象施設の性能照査につき、作用、供 用に必要な要件及び当該施設の保有する性能の不確定性を考慮できる方法又はその他の方法であって信頼性の高い方法によって行わなければならない旨を定める。 港湾基準・同解説は、上記の方法の一つとして、部分係数法による性能照査、すなわち、構造物への作用により生じる応答値の設計用値と、 構造物の抵抗(耐力)に基づく限界値の設計用値との比(作用耐力比)に、調整係数(m)等を乗じた値が1.0以下であることを確認することによって構造物の性能を照査する方法を示し、施設の構造形式や改良地盤ごとに提示される具体的な照査式や、作用耐力比の計算時に用いる部分係数(γ)等を定めている。ここで、部分係数とは、対象構造物の 目標とする性能を確保するために特性値に乗ずる係数として統計的解析又は信頼性の高い手法により算出された値であり、調整係数とは、過去の経験に基づく方法によって規定される安全性の水準と同等の構造断面となるように 性能を確保するために特性値に乗ずる係数として統計的解析又は信頼性の高い手法により算出された値であり、調整係数とは、過去の経験に基づく方法によって規定される安全性の水準と同等の構造断面となるように調整するための係数である。調整係数は、従来の安全率法や許容応力度法における許容安全率に対応する値であるとされ、調整係 数を用いる場合は全ての部分係数を便宜上1.0として計算する。(2 4~28頁、749~750頁)(乙6、乙A46、A47、A76)護岸の地盤の安定性に関する性能照査護岸に関し準用されている基準告示49条(43条1項、39条1項参照)は、重力式係船岸(ケーソン式係船岸など)に関し、主たる作用が自重である永続状態に対して、地盤のすべり破壊の生じる危険性が限 界値以下であることなどの性能を求めている。 港湾基準・同解説は、自重の作用(水圧、載荷重による従たる作用を含む。)に関し、「地盤の円弧すべり」を照査項目とし、限界値を定める標準的な指標として、円弧すべりに関する作用耐力比を挙げ(1062頁)、これに関する部分係数法による性能照査式(「式(2.2.2)」) を定めるとともに、性能照査に用いる部分係数を提示している。また、部分係数は、地盤物性値の算出過程で得られる変動係数に応じて設定し、円弧が通過する土層のうち最大の変動係数を有する土層を代表層とすることができるとされている。(1069~1070頁。同照査式が採用する修正フェレニウス法につき750~751頁。) なお、従来の安全率法による設計において、安全率は、永続状態に対しては1.30以上、同一の地盤における実績等から照査に用いる定数の信頼性が高いと考えられる場合や施工中に地盤の変位及び応力を観測する計測施工を実施する場合には1.1 おいて、安全率は、永続状態に対しては1.30以上、同一の地盤における実績等から照査に用いる定数の信頼性が高いと考えられる場合や施工中に地盤の変位及び応力を観測する計測施工を実施する場合には1.10以上の値を用いることができるとしていたことに倣い、部分係数が設定されていない場合には、調整 係数mは、従来の安全率相当の値に設定して安定性を照査することができるとしている(749頁)。(乙6、弁論の全趣旨) 地盤改良工法港湾基準・同解説は、地盤改良工法の基本原理としては、置換、圧密・排水、締固め、化学的・熱的固化などがあり、工法の種類としては 数十種にも達するが、工法の選定に当たっては、改良対象地盤の物理的 及び力学的性質を正確に把握するとともに、施設の種類・機能・重要性と規模等の諸条件から改良の目的を明確にし、施工の難易、工期、経済性、環境への影響等を考慮すべきであるとする(755頁)。そして、粘性土地盤の改良については、バーチカルドレーン法(粘性土層中に鉛直の排水層を人為的に設ける方法。砂を排水材とするサンドドレーン (SD)工法とプラスチック製の排水材を用いるペーパードレーン(PD)工法がある。)やサンドコンパクションパイル(SCP)工法(大径の良く締め固めた砂杭を地中に造成して地盤を改良する方法)などを挙げる(756~757頁、弁論の全趣旨)。 また、港湾基準・同解説は、SCP工法により地盤改良が行われた場 合の円弧すべりの検討において、置換率が50%から80%となるときに適用する部分係数(826頁)や、置換率が50%未満となるときに適用する調整係数(749頁)を提示している(乙A74資料8頁)。 イ変更後の設計における検討内容変更後の護岸の設計とその地盤の安定性の性能照 係数(826頁)や、置換率が50%未満となるときに適用する調整係数(749頁)を提示している(乙A74資料8頁)。 イ変更後の設計における検討内容変更後の護岸の設計とその地盤の安定性の性能照査の概要は、以下のと おりである。 護岸の設計工区C護岸等については、護岸法線の形状、護岸法線位置における海底地形(海底面が平坦な区間か否か)及び地層構成(深い谷地形に粘性土及び中間土が厚く堆積している区間か否かなど)を基に、設計工区を設 定し、設計工区ごとに、護岸の安定の検討を行う断面(検討断面)の位置を設定した。 C-1護岸については、上記の考慮要素により、さらに三つに区分した工区(C-1-1-1工区、C-1-1-2工区及びC-1-2-1工区)を設け、B-27の調査地点付近は、C-1-1-1工区として 区分した。そして、C-1-1-1工区の検討断面は、粘性土及び中間 土が堆積する最深箇所を設定し、さらに、この最深箇所を検討に反映させて安全側の設計とするため、検討断面の方向を、護岸法線直角方向そのものとしないで、B-27の調査地点からS-3の調査地点までの断面の谷地形が護岸法線直角方向に埋立地背後に続くものと仮定した。 (乙A51資料2の9、10頁(別紙図面5))。 他方、護岸構造としては、スリットケーソン式の護岸を構築することとした(乙A51資料2の11頁)。 護岸直下の地盤改良C護岸等(C-2護岸の一部を除く。)の直下の部分については、SCP工法により、C.D.L.-70m(水面下70m)まで地盤改良 を行うこととした(乙A51資料2の33頁(別紙図面6))。また、上記護岸よりも内側の部分については、SD工法又はPD工法による地盤改良を行うこととした(乙A45資料47 0m)まで地盤改良 を行うこととした(乙A51資料2の33頁(別紙図面6))。また、上記護岸よりも内側の部分については、SD工法又はPD工法による地盤改良を行うこととした(乙A45資料47頁(別紙図面7))。なお、C-1-1-1工区にあるB-27地点においては、SCP工法による上記地盤改良を経た後も、約20mの未改良部分が残ることとなる(甲1 8資料3の15頁、53頁、乙A41資料3-1の2頁、乙A45資料2~7頁、乙A51資料2の15頁)。 地盤の安定性に関する性能照査以上を前提に、C護岸等の地盤の円弧すべりに関して、修正フェレニウス法により照査を行った。 完成時(永続状態)の安定計算については、未改良の粘性土層のみを円弧が通過する場合には、通過する粘性土層のうち、非排水せん断強さ(せん断強度)の変動係数(CV)が最も大きな粘性土層を代表層として、その粘性土層の変動係数(CV)に応じた部分係数を適用した。C-1-1-1工区については、Avf-c2層を代表層として、その変 動係数(CV)=0.18に対応してγR=0.80、γS=1.02 と設定したところ、完成時において最も作用耐力比が大きくなる照査結果は、0.992であり、1を下回った。 施工時の安定計算については、施工中に動態観測を行う前提で、部分係数(γ)を1.00、調整係数(m)を1.10に設定したところ、施工時において最も作用耐力比が大きくなる照査結果は、0.928で あり、1を下回った。(乙A6〔107頁〕、乙A45資料67頁(別紙図面8)、乙A51資料2の14頁、25頁、29頁、乙A74資料1~3頁)なお、施工の過程においては、護岸部では、①SCP工法の施工に伴う盛り上がり土の荷重、②基礎捨石の設置 5資料67頁(別紙図面8)、乙A51資料2の14頁、25頁、29頁、乙A74資料1~3頁)なお、施工の過程においては、護岸部では、①SCP工法の施工に伴う盛り上がり土の荷重、②基礎捨石の設置による荷重、③スリットケー ソンの据付による荷重、④根固・被覆・裏込石の設置による荷重、⑤上部工の施工による荷重があり、埋立部では、⑥埋立土砂(海上埋立)の投入による荷重があるが、施工時の安定計算では、重量構造物であるケーソン及び裏込石を設置した段階を最も危険な状態とし、また、盛り上がり土の荷重による未改良部の強度の増加を考慮していない(乙A45 資料65~67頁、乙A74資料3頁)。 また、施工時には、地盤の変位及び応力の動態観測を実施することとし、仮設工を含む構造物の施工中の安全性の確認、施工前に見込んでいた構造物の沈下量・変位量等の検証と設計・施工へのフィードバックなどを行うこととしているが、具体的な方法は施工の実施段階に決定する としている(乙A40資料2頁、同議事録13~14頁)。 SCP工法の実績等SCP工法による打込深度は、国内においてはC.D.L.-65mまで、海外においてはC.D.L.-70mまでの施工実績がある(乙A52添付資料4)。また、国内のサンドコンパクション船には、改造 によりC.D.L.-70mに対応可能なものがある(乙A45資料8 4頁)。 なお、本件埋立事業において予定されているSCP工法による地盤改良の本数は、約1万6000本である(乙A43)が、神戸港PI(Ⅱ期)地区国際海上コンテナターミナル整備事業等は、SCP工法による地盤改良の本数が約1万8000本であり、東京国際空港再拡張事業の 同本数が約7万本、関西国際空港第Ⅰ期事業の同本数が約2 I(Ⅱ期)地区国際海上コンテナターミナル整備事業等は、SCP工法による地盤改良の本数が約1万8000本であり、東京国際空港再拡張事業の 同本数が約7万本、関西国際空港第Ⅰ期事業の同本数が約2万6000本である(乙A42)。 ウ施工時の安定性照査における調整係数mの設定について上記アのとおり、港湾基準・同解説において、調整係数とは、過去の経験に基づく方法によって規定される安全性の水準と同等の構造断面 となるように調整するための係数であるとされ、施工中に地盤の変位及び応力を観測する計測施工を実施する場合には、調整係数mを1.10以上とするものとされている。そして、調整係数mについては、部分係数とは異なり、地盤調査等を経て設定された各種の地盤特性値の変動係数の大きさと関連づけてその値を決定すべきことを求める旨の記述はな い。 そうすると、変更後の設計において、施工時の安定性照査について、調整係数mにつきその下限とされる1.10を用いたことは、港湾基準・同解説の記述する性能照査の手法等に直ちに反するものとまではいえないと考えられる。 原告の処分理由等について原告は、処分理由等において、施工時の地盤の安定性照査に関し、①C-1-1-1護岸付近には深い谷地形があり、護岸設置箇所において唯一粘性土のAvf-c2層が存在し、護岸毎の地盤条件が異なるのに、C護岸等について一律に調整係数m=1.10と設定していること、 ②完成時(永続状態)に関しては、粘性土の変動係数等で区分して部分 係数を設定し、部分係数において土質のばらつきのリスク等を考慮しているが、施工時に関しては、下限値である調整係数m=1.10と設定していることは、地盤の安定性の評価において、地盤条件の不確定性を考慮 数を設定し、部分係数において土質のばらつきのリスク等を考慮しているが、施工時に関しては、下限値である調整係数m=1.10と設定していることは、地盤の安定性の評価において、地盤条件の不確定性を考慮したものとはいえないとし、③港湾基準・同解説が引用している甲乙論文(甲52)が、地盤の均一性や地盤定数の信頼度に応じた安全率 を提案していることや、④B-27地点の力学的試験がされておらず地盤条件が適切に設定されていないこと、⑤C.D.L.-70m以深の地盤改良には約20mの未改良部が残ることにも照らすと、上記設定は不適切であり、基準告示3条に適合していると判断できず、原告審査基準の免許禁止基準に係る審査事項2に適合しないとする(処分理由・ ウ及び同エ、主張要旨第2の2)。 そこで検討するに、港湾基準・同解説は、①性能照査の方法として、信頼性設計法(レベル1ないし3)、数値解析に基づく方法、模型実験又は現地試験に基づく方法、過去の経験に基づく方法を併記し、性能照査の方法が単一ではないことを示し、②このうち、「レベル1信頼性設 計法」に当たるのが部分係数法であるが、この方法では評価パラメータを設計用値としているため、設計要因や設計モデル等の不確定性を適切に評価するとともに、目標とする破壊確率又は信頼性指標を反映した部分係数を適切に設定する必要があるとし、③他方、「過去の経験に基づく方法」とは、従来から利用されてきた安全率法など、過去の適用事例 が多く、十分に実績のある方法を指すが、信頼性設計法の場合とは異なり、限界状態を超過する可能性を定量的に評価できないとし、この場合に使用される調整係数は、過去の経験に基づく方法によって規定される安全率の水準と同等の構造断面になるように調整するための係数となるとしている( 態を超過する可能性を定量的に評価できないとし、この場合に使用される調整係数は、過去の経験に基づく方法によって規定される安全率の水準と同等の構造断面になるように調整するための係数となるとしている(24~28頁。乙A46、A47、乙A76。)。これらの 記述に照らすと、調整係数を「地盤条件の不確定要素を調整するための 係数」と理解することは必ずしも正確ではなく、事例の積み重ねによって確立した設計システムが成立するための係数と理解すべきものと解される(乙B8(B鑑定書)〔13頁〕。なお、信頼性設計は、期待総費用(=(1-破壊確率)×初期建設費+破壊確率×破壊損失費)を最小とする場合の破壊確率を指標として、安全性と経済性という、相反する社 会的な要求を調整するものであり(同〔14頁〕)、単に安全性を追求するものではないと考えられる。)。 また、港湾基準・同解説は、性能照査に当たっては、「設計状態」を設定するとし、設計状態として、永続状態、変動状態及び偶発状態の区別を設けた上、それぞれにおいて要求される性能(使用性、修復性、安 全性)を説明している(19~21頁)。港湾基準・同解説は、設計状態の一つとして明示的に「施工時状態」を取り上げていないが、各論には、それに関連する記述があり、例えば、段階施工により強度増加を見込む場合の非排水せん断強度を取り上げていること(328頁)に照らせば、施工時の安全率と完成時の安全率には差異があり、施工時状態で は、許容される損傷の程度が大きいとの考え方が採用されているといえる(乙B8(B鑑定書)〔16頁〕、弁論の全趣旨)。 以上のことを踏まえれば、港湾基準・同解説の「従来の安全率法による設計において、安全率は、永続状態に対しては1.30以上、同一の地盤における実績等 (乙B8(B鑑定書)〔16頁〕、弁論の全趣旨)。 以上のことを踏まえれば、港湾基準・同解説の「従来の安全率法による設計において、安全率は、永続状態に対しては1.30以上、同一の地盤における実績等から照査に用いる定数の信頼性が高いと考えられる 場合や施工中に地盤の変位及び応力を観測する計測施工を実施する場合には1.10以上の値を用いることができるとしていた」旨の記述(749頁。甲51、乙6。)には、①調整係数が必ずしも個別の地盤条件の不確定性を調整するための係数ではないことから、その差異を反映しなくとも適用できる旨の内容と、②完成時と施工時とでは安全率を別々 に設定し、施工時の安全率を低く設定できる旨の内容が含まれているも のと解釈することができる。また、港湾基準・同解説は、上記の記述に関し、参考文献として甲乙論文を挙げているが、同論文の内容は主として完成時の安全率を議論しているものと解されること(乙B8(B鑑定書)〔17頁〕)や、同論文が「地盤の不均一性を考慮した信頼性解析を行うことにより」最適な安全率について検討したとしており(甲52 〔117頁〕)、信頼性設計の立場での研究成果であることに照らすと、同論文は、必ずしも「従来の安全率法」に関する上記の記述の内容をなすものではないと考えられる。 以上に加え、①公益社団法人日本道路協会の「道路土工盛土工指針(平成22年度版)」(乙A121)において、修正フェレニウス法によ る盛土の性能照査に関し、軟弱地盤上の盛土で詳細な土質試験を行い適切な動態観測による情報化施工を適用する場合には、盛土施工直後の安全率を1.1としてよいとされていること、②粘性土地盤上の護岸の建設は、各施工段階直後の安全率が最も小さい短期安定問題であり、一定期間荷重の変動が よる情報化施工を適用する場合には、盛土施工直後の安全率を1.1としてよいとされていること、②粘性土地盤上の護岸の建設は、各施工段階直後の安全率が最も小さい短期安定問題であり、一定期間荷重の変動がなければ時間経過と共に粘性土層の圧密の進行により 粘性土の強度が増加するところ、変更後の設計における施工時の安定性の計算ではこの強度増加を見込んでいないことからして、計画された動態観測を着実に行うなどすれば調整係数に1.10を採用することに異論はない旨の指摘があること(乙B8(B鑑定書)〔17頁、21頁、22頁〕)、③上記で判示したとおり、B-27地点において力学的試 験を経ていなければ地盤特性値に関し基準告示に適合する性能照査が行われているとはいえないとまでは解されず、地盤条件が適切に設定されていないという指摘は当らないこと、④地盤改良工事においてC.D. L.-70m以深に未改良部分が残ることについても考慮して性能照査が行われていることを勘案すれば、原告の処分理由等が指摘する上記の 各点を理由として調整係数mの設定が不適切であると判断することは、 特段の事情がないにもかかわらず、港湾基準・同解説の記述する性能照査の手法等を超えてより厳格な判断を行うものであり、考慮すべきではない事項を過剰に考慮したものというべきである。 なお、原告は、調整係数mに関し、港湾基準・同解説は「1.10以上」という幅のある判断を許容する内容となっているから、原告がその 幅の中で安全側の判断をすることは、処分庁としての原告の裁量の範囲内である旨を主張するが、港湾基準・同解説の上記の記載の前提となっている調整係数の概念や施工時状態の安全率の考え方を正解しないものである上、B-27地点の地盤条件の設定等が不適切であるとする誤認 囲内である旨を主張するが、港湾基準・同解説の上記の記載の前提となっている調整係数の概念や施工時状態の安全率の考え方を正解しないものである上、B-27地点の地盤条件の設定等が不適切であるとする誤認を前提とするものであり、専門技術的な知見に基づく判断として合理性 を欠くといわざるを得ないことは、上記のとおりである。 小括以上のとおり、原告の処分理由等のうち、災害防止要件に適合しないとした部分は、裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用した違法があるというべきである。したがって、これと同旨の本件是正の指示の理由は正当なもの ということができる。 5 争点5(環境保全要件を欠くとした原告の判断の法令違反等の有無)について 判断枠組みア埋立法4条1項は、同項各号に適合すると認める場合を除いては埋立て の承認又は免許(承認等)をすることができない旨を定めているところ、同項2号の「其ノ埋立ガ環境保全(中略)ニ付十分配慮セラレタルモノナルコト」という要件(環境保全要件)は、公有水面の埋立て自体により生じ得る環境保全上の問題を的確に把握するとともに、これに対する措置が適正に講じられていることを承認等の要件とするものと解され、 その審査に当たっては、埋立ての実施が環境に及ぼす影響について適切 に情報が収集され、これに基づいて適切な予測がされているか否かや、事業の実施により生じ得る環境への影響を回避又は軽減するために採り得る措置の有無や内容が的確に検討され、かつ、そのような措置を講じた場合の効果が適切に評価されているか否か等について、専門技術的な知見に基づいて検討することが求められているということができる。そ うすると、裁判所が、公有水面の埋立てが環境保全要件に適合するとし又は適合 が適切に評価されているか否か等について、専門技術的な知見に基づいて検討することが求められているということができる。そ うすると、裁判所が、公有水面の埋立てが環境保全要件に適合するとし又は適合しないとした都道府県知事の判断に違法等があるか否かを審査するに当たっては、専門技術的な知見に基づいてされた上記都道府県知事の判断に不合理な点があるか否かという観点から行われるべきであると解される(平成28年最高裁判決参照)。 イ本件承認処分における審査及び判断の内容埋立法は、願書に添付すべき図書として、「其ノ他国土交通省令ヲ以テ定ムル図書」(2条3項5号)を挙げ、その一つとして「環境保全に関し講じる措置を記載した図書」(同法施行規則3条8号)(環境保全図書)が定められているところ、埋立法に基づく承認等の申請に対する環境保 全要件の審査は、環境影響評価法に基づいて作成された環境影響評価書等を用いて行われることとされているから(同法33条3項、同法2条2項1号ト、同法施行令別表第1の欄7)、上記の環境保全図書として、環境影響法所定の手続により作成された環境影響評価書等の内容が提出されることとなる。そして、環境影響評価法では、事業者が、評価項目 並びに調査、予測及び評価の手法等を記載した環境影響評価方法書を作成し(5条)、これについての公告及び縦覧(7条)を行うとともに都道府県知事等の意見を求め(10条)、その意見を勘案するなどして所要の検討を加えて選定した項目及び手法(11条)に基づいて対象事業に係る環境影響評価を行った上で(12条)、その結果を踏まえて環境影響評 価準備書を作成し(14条)、これについての公告及び縦覧(16条)を 行うとともに関係都道府県知事等の意見を求め(20条)、その意 上で(12条)、その結果を踏まえて環境影響評 価準備書を作成し(14条)、これについての公告及び縦覧(16条)を 行うとともに関係都道府県知事等の意見を求め(20条)、その意見を勘案するなどして所要の検討を加えて最終的な環境影響評価書を作成し(21条)、これを許認可等をする機関に送付し(22条)、許認可等の審査を受けることとされているところ、都道府県知事は、環境影響評価法の上記の規律に沿って作成された環境影響評価書等の内容を踏まえて、 環境保全要件の該当性を判断することとなる。 本件承認処分においても、沖縄防衛局長がその承認申請(本件出願)に先立って環境影響評価法に基づいて環境影響評価書を作成して当時の沖縄県知事に送付するなどし、その後にされた本件出願において、沖縄県知事は、本件願書に添付された環境保全図書(以下「変更前環境保全図 書」という。)の内容を審査し、それが環境保全要件に適合すると判断して、本件承認処分をしたことが認められる(前提事実、乙A2)。そうすると、本件承認処分においては、変更前環境保全図書の内容が、本件埋立事業において求められる環境保全配慮の水準を満たすものであるとの判断がなされたものと認められる。なお、本件承認処分には、沖縄防 衛局は、実施設計に基づく環境保全対策等を詳細検討し、環境監視等委員会の助言を受ける旨の留意事項が付されているから(前提事実エ)、これによる検討結果も事後的に上記の環境保全配慮の水準の内容に含まれることになると解される。 ウ変更の承認等の法的性格等 埋立法は、正当の事由があると認めるときは、埋立地の用途や設計の概要の変更に関し、変更を許可することができる旨規定するところ(13条ノ2第1項)、これは、当初の埋立ての免許 等の法的性格等 埋立法は、正当の事由があると認めるときは、埋立地の用途や設計の概要の変更に関し、変更を許可することができる旨規定するところ(13条ノ2第1項)、これは、当初の埋立ての免許に係る願書により特定された内容の埋立てにつき、その同一性を失わない範囲において、埋立地の用途や設計の概要を変更しようとする場合において、変更の許可をする ことを可能としたものと解され、このことは、国が行う埋立てに関する 変更の承認についても同様であるといえる。 また、当該変更に関する部分については、上記の変更の許可又は承認(変更の承認等)を受けて初めて、当該部分に含まれる範囲の工事を適法に実施し得る地位が得られる一方、当該変更に関する部分に含まれない範囲の工事については、特段の事情のない限り、当初の願書に記載さ れた設計の概要に基づいて適法に実施し得る地位が存続しているものと解される(最高裁令和3年(行ヒ)第76号同年7月6日第三小法廷判決・民集75巻7号3422頁参照)。 さらに、環境影響評価法は、評価書の公告後に対象事業の内容を変更する場合、政令で定める軽微な変更その他の政令で定める変更に該当する ときは、改めて環境影響評価の手続を経ることを要しない旨を規定しており(同法31条2項)、埋立法に基づく埋立ての事業においては、事業の諸元(埋立干拓区域となる部分の面積又は対象事業実施区域の位置)の変更が一定の基準以内のもの及び事業の諸元以外の変更については、原則として再度の環境影響評価手続が不要とされている(同法施行令1 8条1項、2項2号、別表第3の18の項)。 以上のとおり、埋立法上の変更の承認等は、当初の承認等と同一性を失わない範囲で行われるものとして位置付けられており、新たな承認等を行うとい 令1 8条1項、2項2号、別表第3の18の項)。 以上のとおり、埋立法上の変更の承認等は、当初の承認等と同一性を失わない範囲で行われるものとして位置付けられており、新たな承認等を行うという性格を有するものではなく、当初の承認等の内容を一部変更するという性格を有すること、変更申請に関する部分に含まれない範囲 の工事を適法に実施し得る地位は、変更の承認等を申請したことによって当然に失われるわけではないことに照らすと、変更申請の内容が再度の環境影響評価の手続が不要とされる変更にとどまる場合、変更申請に対して行われる環境保全要件の適合性の審査においては、特段の事情のない限り、当初の承認等において都道府県知事が設定していた環境保全 配慮の水準(前記イ参照。以下同じ。)と同じものが適用されることが予 定されていると解される。 エ小括以上で判示したとおり、当初の承認等の申請に対する環境保全要件の適合性の審査は、環境影響評価法の規律に沿って作成された環境影響評価書等の内容を踏まえて行われることとされており、上記の適合性を肯定 すると判断された場合は、環境影響評価書等の内容が、当該申請に係る埋立事業において求められる環境保全配慮の水準を満たすものであるとの判断がなされたものと解され(前記イ)、その後になされた変更申請に対する環境保全要件の適合性の審査においては、変更申請の内容が再度の環境影響評価の手続が不要とされる変更にとどまる場合であれば、特 段の事情のない限り、当初の承認等において設定されていた環境保全配慮の水準と同じものが適用されることが予定されていると解される(前記ウ)。 そして、上記の特段の事情としては、①当初の承認等の申請後、環境影響評価の内容に重要な影響を及ぼしその見直しが 環境保全配慮の水準と同じものが適用されることが予定されていると解される(前記ウ)。 そして、上記の特段の事情としては、①当初の承認等の申請後、環境影響評価の内容に重要な影響を及ぼしその見直しが必要となるような知見 や基準等の変化や、地域特性等に係る事情の変化が生じたことが認められる場合や、②設計の概要等の変更に伴って生じる工事内容の変更が、環境影響評価の内容に重要な影響を及ぼすことが認められる場合などが考えられ、これらの場合であれば、変更申請に対する審査において、従前の環境保全配慮の水準を変更する合理性を認め得るといえる。 しかるに、本件変更承認申請の内容は、再度の環境影響評価の手続が不要である変更にとどまると認められるから(環境影響評価法31条2項、同法施行令18条2項2号、別表第3の18の項)、本件変更承認申請に対する審査において、上記の特段の事情が認められるとすることに合理性を欠いているのに、それが認められるとして、本件承認処分において 変更前環境保全図書の内容に基づいて設定された環境保全配慮の水準を 変更して、環境保全要件に適合しないとすることは、変更申請に対する判断として、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用となるというべきである。 工事の実施がジュゴンに及ぼす影響についてア本件願書に添付された環境保全図書(変更前環境保全図書)の概要(ジュゴン関係部分) 調査の手法とその結果変更前環境保全図書においては、環境省等が平成17年度までに行った航空機による目視調査によれば、沖縄県の東海岸(金武湾、宜野座沖、嘉陽沖等)及び西海岸(古宇利海域等)で年間延べ3ないし10頭程度が確認され、海草藻場で食跡が確認されていることや、ジュゴンが国の 天然記念物に 査によれば、沖縄県の東海岸(金武湾、宜野座沖、嘉陽沖等)及び西海岸(古宇利海域等)で年間延べ3ないし10頭程度が確認され、海草藻場で食跡が確認されていることや、ジュゴンが国の 天然記念物に指定され、環境省のレッドリストにおいて平成19年に絶滅危惧ⅠA類に選定されていることなどを指摘した上で(乙A2〔3-72~80頁、87頁〕)、ジュゴンについては、生息状況と海草藻場の利用状況を調査すべき情報とし、生息状況の調査範囲については、事業実施区域のみならず沖縄島周辺海域とし、海草藻場の利用状況について は、金武湾から嘉陽地先にかけての海域に重点調査区域を設定した(乙A2〔5-25頁、97~103頁〕)。 そして、上記の海域における調査の結果については、平成19年度から平成23年度までに行った生息状況に係る航空機による目視調査によれば、沖縄島周辺のジュゴンは、嘉陽沖に1頭(個体A)と古宇利島沖 に親子と考えられる2頭(個体B及びC)がおり、個体Cは平成20年度から嘉陽沖等でも確認され、最小個体数は上記の3頭と推定されること、また、海草藻場の利用状況に係る潜水目視観察(マンタ法)による調査によれば、嘉陽沖の海草藻場でジュゴンの食跡が頻繁に確認されたとした。あわせて、当該利用状況に係る補足調査として平成21年度に 行った水中ビデオ調査及びパッシブソナー調査によれば、嘉陽沿岸域に おいて、個体識別まではできないもののジュゴンが遊泳する様子が確認されるとともに、ジュゴンの咀嚼音や鳴音の可能性が高い音が確認されたとした。(乙A2〔6-16-30~50頁、60~94頁、106~164頁、9-21頁〕) 予測の手法と評価基準 工事の実施がジュゴンに及ぼす影響については、工事中の水の濁り れたとした。(乙A2〔6-16-30~50頁、60~94頁、106~164頁、9-21頁〕) 予測の手法と評価基準 工事の実施がジュゴンに及ぼす影響については、工事中の水の濁り、騒音(水中音)・振動、夜間照明及び作業船の航行を取り上げて、その影響を予測することとした(乙A2〔6-16-221頁〕)。 このうち、水中音に関しては、ジュゴンに及ぼす影響についての知見が少なく、逃避等の影響を及ぼす音圧レベルを直接的に調査した事例は ほとんどなく、ジュゴンに関する知見のみでは水中音の影響についての評価基準を設定することが困難と考えられたため、クジラ類やイルカ類等の海産哺乳類の水中音に関する影響レベルの知見を収集整理し、それらを参考として、水中音がジュゴンに及ぼす影響を検討することとした。 そして、水中音が海産哺乳類に及ぼす影響については、これまでのデー タを総合的に整理し、騒音がクジラ目及び鰭脚類に及ぼす影響についての評価基準が提案されているところ(Hら〔2007〕)、(a)この評価基準は海産哺乳類の可聴域の周波数特性を考慮して設定されているため、ジュゴンに対してもジュゴンの可聴域の周波数特性に関する知見を基にすることにより適用することができるものと考えられること、(b)海外 の海洋土木工事に係る環境影響評価において、この基準を参考に水中音がジュゴンに及ぼす影響を評価している事例もみられたことから、本件埋立事業における水中音がジュゴンに及ぼす影響を評価する基準については、この評価基準の考え方を参考として、おおむね以下のとおり設定した(乙A2〔6-16-223~226頁〕) ① 水中音の影響を、上記の研究を参考にして、「障害」と「行動阻害」 の二つの観点から評価する。 ね以下のとおり設定した(乙A2〔6-16-223~226頁〕) ① 水中音の影響を、上記の研究を参考にして、「障害」と「行動阻害」 の二つの観点から評価する。 ② 本件埋立事業での主要な音源のうち、杭打ちはパルス音として、捨て石、浚渫及び船舶音は非パルス音として扱う。 ③ ジュゴンの可聴音域は、鳴音の周波数特性から、3kHzから18kHzまでの範囲を含むと推定されているため、中周波数帯域のクジ ラ目について提案されている基準値を参考とする。 ④ 基準値は、音圧レベル(SPL。ピーク値(障害の影響を評価する項目)及びRMS(行動阻害の影響を評価する項目)。)と、音響曝露レベル(SEL。累積した音による障害及び行動阻害の影響を評価する項目。)により設定する。 ⑤ 障害に関する影響レベルは、音圧レベルにつき230dBに設定し、音響曝露レベルにつき杭打ち音198dB、捨て石・浚渫・船舶音215dBに設定する。 行動阻害に関する影響レベルは、大浦湾内の水中音の測定結果による音圧レベルが平均119dB(113〜124dB)であったこと、 ジュゴンの鳴音の音圧レベルが平均122dB程度と推定されること及び上記の研究が整理した行動阻害に関する実験データを参考として、音圧レベルにつき120dBに設定し、音響曝露レベルにつき杭打ち音183dBに設定する(捨て石・浚渫・船舶音は適用外とする。)。 なお、行動阻害に関する上記の実験データ上は、120dB未満の非 パルス音であっても、それにも反応した中周波数帯域のクジラ目が相当数存在したことが示されていた。 予測対象の工種・時期と予測方式等工事に伴う水中音の主な発生源については、海中土木工事( あっても、それにも反応した中周波数帯域のクジラ目が相当数存在したことが示されていた。 予測対象の工種・時期と予測方式等工事に伴う水中音の主な発生源については、海中土木工事(二重締切矢板式護岸工、進入灯等の工事における杭打ち工事、ケーソン式護岸等 における捨て石投入工事及び作業船水深確保等のための浚渫工事)及び 船舶騒音を想定し、水中音が発生する海中土木工事の実施時期並びに埋立工に用いるガット船及び土運搬船が同時に稼働する隻数を踏まえ、水中音の発生レベルが高くなる時期を予測時期として設定した(1年次3〜4か月目、2年次10か月目、3年次12か月目とした。)。 そして、同種の海中土木工事及び船舶騒音に関する実測データを基に し、水中音の距離減衰、リーフ等の地形による回折減衰(遮音効果)及び海況や底質に依存する近距離音場の不規則性による効果を考慮して工事中の水中音圧レベルを推定し、水中音の音圧レベル(ピーク値とRMS)及び音響曝露レベル(SEL)について、水中音の予測式により、工事音の発生地点から大浦湾内及び安部から嘉陽地先までの海域におい て音圧レベル等の強さがどの程度減衰するかについて予測を行うこととした。その際、水中音の予測条件としては、各工事につき、作業船の種類、稼働隻数、施工位置、施工能力、発生源の音圧レベル、周波数特性、水深等を具体的に設定した。(以上につき、乙A2〔6-16-223〜249頁〕) 予測及び評価の結果上記で得られた水中音圧レベル(ピーク値とRMS)と音響曝露レベル(SEL)の予測の結果を、水中音がジュゴンに及ぼす影響についての上記の評価基準と対比し、次のとおり評価した(乙A2〔6-16-250頁〕)。 「障 とRMS)と音響曝露レベル(SEL)の予測の結果を、水中音がジュゴンに及ぼす影響についての上記の評価基準と対比し、次のとおり評価した(乙A2〔6-16-250頁〕)。 「障害」の観点では、いずれの予測時期においても、工事中の水中音圧レベル(ピーク値)が評価基準を上回る範囲はみられず、工事中の水中音のうち瞬時の音がジュゴンに障害を与える可能性はないと考えられたが、音響曝露レベル(SEL)については、設定された予測時期のうち1年次3か月目及び4か月目に、同時に杭打ち工事を施工する箇所を 5か所とした場合には、施工区域近傍における杭打ち音に関する値が評 価基準(198dB)を上回るレベル(205dB以上)となっていたことから、ジュゴンが施工区域近傍に来遊して長時間にわたって音の曝露を受けると障害を受ける可能性があると考えられた。 また、「行動阻害」の観点では、①ジュゴンが高頻度で確認される安部から嘉陽地先西側までの海域においては、予測時期のうち1年次3か 月目及び4か月目に工事中の水中音圧レベル(RMS)が評価基準(120dB)を一部上回るものの(105〜125dB)、2年次10か月目及び3年次12か月目には評価基準をおおむね下回っており、音響曝露レベルについては、いずれの予測時期においても評価基準を下回っていたことから、1年次3か月目及び4か月目における瞬時の音がジュ ゴンの行動に影響を与える可能性があると考えられた。②他方で、大浦湾内においては、水中音圧レベルが1年次3か月目及び4か月目には湾全域で、2年次10か月目及び3年次12か月目には同湾の西半分で評価基準を上回っており、また、音響曝露レベルについても、1年次3か月目及び4か月目には同湾の西半分で、2年次10か月 び4か月目には湾全域で、2年次10か月目及び3年次12か月目には同湾の西半分で評価基準を上回っており、また、音響曝露レベルについても、1年次3か月目及び4か月目には同湾の西半分で、2年次10か月目及び3年次1 2か月目には施工地点近傍の範囲で評価基準を上回っており、同湾内では長期的にジュゴンの行動に影響を与える可能性があると考えられた。 環境保全措置以上のような水中音の予測の結果を踏まえ、工事中において、水中音がジュゴンに及ぼす影響の低減を十分に図る保全対策が必要であり、特 に水中音の発生レベルが高い1年次3か月目及び4か月目に水中音の発生源としての寄与が大きな杭打ち工事について、極力騒音発生の少ない工法を採用するなどの対策が必要であると考えられた。 そこで、①同時に杭打ち工事を施工する箇所を上記の予測における想定のとおりの5か所ではなく2か所とした場合には、ジュゴンの生息範 囲における水中音圧レベルはおおむね評価基準を下回ると考えられたこ とから、杭打ち工事においては、最初の杭打ち工事が行われる際には水中音の測定を行い、予測した音圧レベルを検証するとともに、測定結果を基に、杭打ち工事の同時施工箇所の数を調整するなど、工事に伴う水中音がジュゴンの行動に及ぼす影響を低減する措置を講ずることとした。 また、②工事中は、ジュゴンの生息範囲に変化がみられないかを監視し、 変化がみられた場合には、工事との関連性を検討し、工事による影響と判断された場合には、速やかに施工方法の見直しを行うなどの対策を実施することとした。さらに、③工事中は、大浦湾内の広い範囲が長期的に行動阻害の評価基準を上回る音圧レベルになると予測され、ジュゴンが大浦湾内に来遊してきた場合には、ジュゴンの行動に変化を の対策を実施することとした。さらに、③工事中は、大浦湾内の広い範囲が長期的に行動阻害の評価基準を上回る音圧レベルになると予測され、ジュゴンが大浦湾内に来遊してきた場合には、ジュゴンの行動に変化を与える可 能性があると考えられるため、工事中はジュゴンの生息位置を監視し、ジュゴンが施工区域内において確認された場合には、施工区域から離れたことを確認した後、工事に着手することとし、また、ジュゴンが施工区域内に接近していることが確認された場合には、工事関係者に連絡し、水中音を発する工事を一時的に休止するなどの対策を講ずることとした。 加えて、④杭打ち工事による急激な音の発生は、ジュゴンの行動に変化を及ぼすおそれがあるため、杭打ちの開始時は弱く打撃し、一定時間経過後に所定の打撃力で杭打ちを行うことにより、ジュゴンへの水中音の影響を低減する措置を講ずることとした。 このほか、作業船の航行に当たっては、ジュゴンが頻繁に確認されて いる区域内をできる限り回避し、沖縄島沿岸を航行する場合は岸から10km以上離れて航行すること、ジュゴンとの衝突を回避するための見張りを励行し、衝突を回避できる速度で航行することなどの措置を講ずることとした。 なお、工事中における上記のジュゴンの生息位置の確認に当たっては、 「工事海域監視・警戒サブシステム」「生息・移動監視・警戒サブシス テム」を構築し、ヘリコプターによる生息確認、ジュゴン監視用プラットフォームによる監視、水中録音装置による監視を行い、これらにより得られたデータを工事関係者に伝達するとともに、一般市民に公開することとした。 そして、上記の環境保全措置は、沖縄県環境基本計画に記載のある 「自然性の高い地域にあっては、工事計画、飛行計画の工夫等により、騒音や 係者に伝達するとともに、一般市民に公開することとした。 そして、上記の環境保全措置は、沖縄県環境基本計画に記載のある 「自然性の高い地域にあっては、工事計画、飛行計画の工夫等により、騒音や光等による野生生物への影響の低減に努める」などの環境保全の基準又は目標との関係で、整合が図られていると評価した。(以上につき、乙A2〔6-16-251〜252頁、6-16-279~283頁、7-9頁、9-21頁〕) 事後調査環境影響評価に係る選定項目としたものについて、予測の不確実性の程度が大きい場合、効果に係る知見が不十分な環境保全措置を講じる場合等においては、環境への影響の重大性に応じ、工事中及び供用後の環境の状態を把握するための調査として、事後調査を行い、この調査は、 専門家による検討委員会の監視体制のもとに行うとした。 そして、ジュゴンについては、環境影響の回避、低減に係る措置を講ずるものの、その効果に係る知見が必ずしも十分ではなく、効果が発揮されない場合には、環境影響の程度が著しいものとなるおそれがあるため、次のとおり、工事期間中の事後調査を行うとした。(以上につき、 乙A2〔8-1頁、6〜9頁、9-21頁〕)① ヘリコプターからの監視調査項目ジュゴンの生息状況、工事海域への来遊(接近)状況調査地点工事海域周辺(辺野古地先〜安部地先)及び他の生息海域(古宇利島沖) 調査時期・期間工事期間中、毎月3〜4回 調査方法工事実施時間帯にヘリコプターからの目視調査② 監視プラットフォームによる監視調査項目ジュゴンの工事海域への来遊(接近)状況(工事海域への接近を 調査方法工事実施時間帯にヘリコプターからの目視調査② 監視プラットフォームによる監視調査項目ジュゴンの工事海域への来遊(接近)状況(工事海域への接近を監視する。)調査地点工事海域及びその周辺(大浦湾内) 調査時期・期間工事期間中、毎日調査調査方法船舶を利用した監視プラットフォームに水中録音装置、スキャニングソナー及び見張り櫓を装備し、機器観測による存在確認及び目視調査(ウミガメ類と併せて実施) ③ 嘉陽周辺海域及び他の生息海域における生息状況a 目視調査調査項目嘉陽周辺海域におけるジュゴンの生息状況調査地点安部及び嘉陽地先の海草藻場調査時期・期間工事期間中、毎月1〜2回調査 調査方法潜水目視観察(マンタ法)による食跡記録b 機器観測調査項目嘉陽周辺海域及び他の生息海域(古宇利島沖など)におけるジュゴンの生息状況調査地点サンゴ礁礁縁を中心とした海域 調査時期・期間工事期間中、毎日調査調査方法水中録音装置による来遊記録イ本件変更承認申請書に添付された環境保全図書(以下「変更後環境保全図書」という。)の概要(ジュゴン関係部分) 予測の手法と評価基準 変更後環境保全図書においては、工事に伴う水中音がジュゴンに及ぼ す影響につき、変更前環境保全図書とおおむね同様の手法により予測し、予測項目(音圧レベル(ピーク値、RMS)と音響曝露レベル)及び評価基準については、前記ア 中音がジュゴンに及ぼ す影響につき、変更前環境保全図書とおおむね同様の手法により予測し、予測項目(音圧レベル(ピーク値、RMS)と音響曝露レベル)及び評価基準については、前記アと同じ内容のものを採用した(前提事実カ、乙A7〔2-14-3頁〕、乙A88資料3-1〔218頁〕、資料3-7〔1頁〕)。 予測対象の工種・時期等に関する変更等予測の対象となる工種については、変更前のものに加えて、地盤改良工事の施工を行うサンドコンパクション船及びサンドドレーン船を水中音の主要な発生源として追加した。また、変更前から計画されていた杭打ち工事の一部について、環境影響を軽減する観点から、施工方法を油 圧ハンマからより音圧レベルが小さいバイブロハンマに変更した。 予測時期については、水中音が発生する海中土木工事の実施時期及びガット船の稼働隻数を踏まえ、水中音の発生レベルが高くなる時期を設定した(3年次11か月目、7年次11か月目、9年次6か月目とした)。(以上につき、前提事実カ、乙A7〔2-14-3〜26頁〕、 乙A88資料3-1〔220〜222頁〕、資料3-7〔1〜12頁、参考資料1〜4頁〕) 予測及び評価の結果「障害」の観点では、いずれの予測時期においても、工事中の水中音圧レベル(ピーク値)、音響曝露レベルともに評価基準を上回る範囲は みられなかった。 「行動阻害」の観点では、ジュゴンが高頻度で確認される安部から嘉陽地先西側までの海域においては、いずれの予測時期においても、工事中の水中音圧レベル、音響曝露レベルともに評価基準を下回っていた。 また、大浦湾内においては、水中音圧レベルが評価基準を上回る範囲 は変更前に係る前記 ずれの予測時期においても、工事中の水中音圧レベル、音響曝露レベルともに評価基準を下回っていた。 また、大浦湾内においては、水中音圧レベルが評価基準を上回る範囲 は変更前に係る前記アの予測結果(1年次3か月目及び4か月目につ き同時に杭打ち工事を施工する箇所を2か所とした場合)とおおむね同様又は狭くなる範囲であり、音響曝露レベルについては、予測時期のうち9年次6か月目に施工区域近傍で評価基準を上回るほかは、同湾の広い範囲で全般に評価基準を下回っていた。(以上につき、乙A7〔2-14-27頁〕、乙A88資料3-1〔223〜224頁〕、資料3-7 〔1〜16頁〕) 環境保全措置以上から、水中音の影響は、変更前環境保全図書における予測の結果と比較して、おおむね同程度又はそれ以下であり、変更前よりも軽減されているが、環境保全措置については、変更前と同じ環境保全措置(前 記ア参照)を講ずることとした(前提事実カ、乙A7〔2-14-30〜33頁、3-1頁、3-5〜8頁〕、乙A88資料3-1〔319〜321頁〕)。 事後調査変更後においても、変更前と同様の方針に従って事後調査を実施して いくこととされ、環境影響の程度や状況の変化、その他必要に応じて、専門家等の指導・助言を受け、更なる改善や見直しを図っていくこととされた(乙A7〔2-14-33頁、4-1頁〕)。 ウ本件承認処分後のジュゴンの生息状況の監視又は事後調査(乙A85) 沖縄島周辺での目視観察調査 航空機からの生息状況調査としては、①沖縄島北部の西海岸側から辺戸岬、沖縄島中部の東海岸側を対象とする年4回の「季別調査」が行われ、②平成26年8月からは、大浦湾、嘉 周辺での目視観察調査 航空機からの生息状況調査としては、①沖縄島北部の西海岸側から辺戸岬、沖縄島中部の東海岸側を対象とする年4回の「季別調査」が行われ、②平成26年8月からは、大浦湾、嘉陽沖、古宇利島沖を対象とする「ヘリ監視」が併用されて、おおむね毎月(各回4日程度)の調査が行われ、③平成29年2月からは「事後調査(ヘリ監視)」が実施され ているところ、個体Cについては、平成27年7月以降確認されなくな り、個体Aについては平成30年10月以降確認されなくなった。また、個体Bについては平成31年2月が最後の確認となり、同年3月に死体が発見され、死因はオグロオトメエイによる刺傷と判明した。(乙A52〔64頁〕、乙A80資料4〔7頁、8頁〕、乙A89別添資料1) 海草藻場の利用状況の調査 潜水目視観察(マンタ法)による海草藻場の利用状況の調査は、月1、2回、安部地先、嘉陽地先等の海草藻場を対象に実施しているところ、平成30年12月以降、食跡は発見されなくなった(乙A80資料4〔12頁〕、乙A88資料2〔8頁〕、乙A89別添資料2)。 水中録音装置による監視 水中録音装置による監視は、平成29年4月から嘉陽地先海域のうち大浦湾内(施行区域内)の2地点、平成30年3月から嘉陽地先海域、安田地先海域、辺戸岬地先海域及び古宇利島沖の18地点の合計20地点において、水中録音装置を設置し、毎日24時間の連続観測を実施しているところ、平成31年3月に古宇利島沖で検出された以降、鳴音が 確認されない状況となった。もっとも、令和2年2月から同年6月まで及び同年8月に、施行区域内の2地点における録音データから、鳴音のような音が検出された。(乙A80資料4〔6頁、10頁、11頁〕、乙A 認されない状況となった。もっとも、令和2年2月から同年6月まで及び同年8月に、施行区域内の2地点における録音データから、鳴音のような音が検出された。(乙A80資料4〔6頁、10頁、11頁〕、乙A84〔13~17頁〕) 監視用プラットフォーム船による監視 ジュゴンの工事海域への来遊(接近)状況を監視するため、3隻のプラットフォーム船により、①目視観察、②曳航式ハイドロホンによる鳴音探知及び③スキャニングソナーによる映像探知を実施し、工事期間中、毎日、工事の着手前においては、施工区域全域をできる限り短時間で調査又は監視してジュゴンの存在確認を行い、工事の着手後においては、 大浦湾東側海域を中心に終日継続して同湾内への移動の有無を監視して いる(乙A87)。 本件変更承認申請以後に追加された調査令和2年における鳴音のような音の検出(上記)を契機として、環境監視等委員会の指導及び助言を踏まえ(乙A92〔18頁〕)、以下の調査が追加で実施された。 a 航空機による生息状況調査の範囲の追加航空機による生息状況調査のうち、①「事後調査(ヘリ監視)」の範囲について、令和2年5月以降は、久志沖を追加し、②「季別調査」(セスナ)の範囲について、令和2年度の春季調査からは、金武湾から嘉陽までの海域を「重点海域」として調査を実施した(乙A84 〔19頁、22頁〕、乙A89別添資料1)。 b 海草藻場の利用状況の調査(上記)の範囲の追加令和2年4月から、過去(平成21年度)にジュゴンの食跡を発見した大浦湾奥部の海草藻場が生育している箇所において、補足的に海草藻場の利用状況の調査を実施し、令和2年5月から、大浦湾東部の 調査を追加し、同年5月から8月までの間、久 ジュゴンの食跡を発見した大浦湾奥部の海草藻場が生育している箇所において、補足的に海草藻場の利用状況の調査を実施し、令和2年5月から、大浦湾東部の 調査を追加し、同年5月から8月までの間、久志、松田、宜野座、漢那、金武並びに海中道路において、同調査を実施した(乙A89別添資料2、乙A92〔17頁、19頁、20頁〕、乙A93〔10~12頁〕)。 c 水中録音装置及び水中カメラの追加設置 令和2年6月以降、鳴音のような音が検出された地点付近に水中録音装置5台を追加して設置し、また、同年7月以降、当該地点に水中カメラを設置し、撮影を実施している(乙A84〔19頁、23頁〕、乙A90〔27~29頁〕、乙A93〔14頁〕、乙A94〔24頁、28頁〕、乙A95〔23頁、28頁〕)。 d 監視用プラットフォーム船による監視方法の変更 令和2年4月以降、監視用プラットフォーム船による監視を4隻体制とし、工事着手前においては、追加した1隻により大浦湾奥部の監視を行い、工事着手後においては、鳴音のような音が検出された地点付近に当該1隻を追加配置し、合計4隻を配置して監視を実施している(乙A84〔13頁〕、乙A88資料2〔10頁〕、乙A92〔23 頁〕)。 エ工事の実施がジュゴンに及ぼす影響についての情報収集や予測の適切さについて 水中音の実測調査原告は、処分理由等において、本件承認処分がされた後、本件変更承 認申請がされるまでの間に、⒜令和元年12月に公表された国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストにおいて日本の南西諸島に生息するジュゴンの地域個体群が絶滅危惧ⅠA類にあると評価され、その保護の重要性が高まっていること、⒝ジュゴンについては、平成30年9月以降に嘉陽海 IUCN)のレッドリストにおいて日本の南西諸島に生息するジュゴンの地域個体群が絶滅危惧ⅠA類にあると評価され、その保護の重要性が高まっていること、⒝ジュゴンについては、平成30年9月以降に嘉陽海域を主要な生息域としていた個体Aが確認されない状況が続 く一方で、令和2年2月から6月まで及び8月にジュゴンの可能性の高い鳴音のような音が施行区域内で水中録音されていることなどを指摘して、その地域特性が変化していることを理由に、工事の水中音による影響を検証するため、工事等の水中音を実測調査しなければ、調査の手法について必要な水準が確保されているとはいえず(環境保全省令24条 参照)、適切な予測が行われていないとして、このことを環境保全要件に適合しない理由としている。 しかし、変更前環境保全図書において、ジュゴンについては、国指定天然記念物であり、かつ、平成19年に環境省のレッドリストで絶滅危惧ⅠA類に選定されていることや、調査の結果、沖縄島周辺のジュゴン の最小個体数は3頭であることが判明したことなどを前提として、環境 影響評価がなされており(前記ア)、変更後環境保全図書においても同様であること(同イ)からすると、令和元年12月に公表された国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストにおいて日本の南西諸島に生息するジュゴンの地域個体群が絶滅危惧ⅠA類にあるとされたとしても、そのことは、保護の重要性に関し、上記の各環境保全図書が想定し ていた程度と実質的に異なるものとはいえないと考えられる。したがって、上記⒜の点が、環境影響評価の内容に重要な影響を及ぼしその見直しが必要となるような事情の変化に当たるとすることは必ずしも合理的ではないというべきである。 また、ジュゴンの生息状況については、確かに、 ⒜の点が、環境影響評価の内容に重要な影響を及ぼしその見直しが必要となるような事情の変化に当たるとすることは必ずしも合理的ではないというべきである。 また、ジュゴンの生息状況については、確かに、前記ウのとおり、本 件承認処分後に実施された各種調査において、従前確認されていた個体AないしCのいずれもが、航空機からの目視観察では平成31年3月以降確認できなくなり、海草藻場の目視観察では平成30年12月以降食跡が発見されず、水中録音装置による監視では平成31年4月以降鳴音が検出されなくなっており(ただし、令和2年2月から6月まで及び8 月に施行区域内においてジュゴンの可能性の高い鳴音のような音が録音された。)、生息状況に変化が生じていることが認められ、個体Aについては、海上工事開始後の生息域が変化していること(甲74、75)などに照らすと、評価基準の行動阻害の基準値に達していない大きさの水中音の影響を受けた可能性があるとの疑いは否定できないと考えられる。 (甲58、63(F意見書))しかしながら、①平成31年2月までの間に、主として古宇利島沖で生息していることから工事の影響を受けにくいと考えられる個体B及びCについての生息が確認できなくなっており、個体Bは、工事とは直接の関係が認め難い原因で死亡したことが判明していること(前記ウ)、 ②嘉陽沖で生息していた個体Aについては、海上工事が平成29年2月 に開始された後、相応の水中音が発生していたと考えられる同年11月から平成30年8月までの間も含めて、生息が確認できており(乙A79〔14頁、19頁、20頁、24~29頁〕)、令和2年に鳴音のような音が録音された日の中には海上工事が行われていた日も含まれていたこと(乙A52〔64頁、資料33〕)を 息が確認できており(乙A79〔14頁、19頁、20頁、24~29頁〕)、令和2年に鳴音のような音が録音された日の中には海上工事が行われていた日も含まれていたこと(乙A52〔64頁、資料33〕)を勘案すると、個体Aに関する 上記の変化の原因が、海上工事の施工に伴う各種作業や船舶の航行によって生じる水中音であると断定することは困難であると考えられる。 他方で、変更前環境保全図書は、参考にしたクジラ目に関する調査では、「行動阻害」の基準以下でも何らかの反応を示すことがある旨のデータを摘示しつつ、ジュゴンについての評価基準を設定し、また、大浦 湾内の水中音に関しては長期的にジュゴンの行動に影響を与える可能性があるとの評価をした上で、これらのことを前提として各種の環境保全措置を採ることとしており、工事により一定の影響が生じる可能性を踏まえた内容となっている(前記ア及び)。 これらの点を勘案すると、上記⒝の点が、工事に伴う水中音がジュゴ ンに与える影響の予測の適切さに関して、環境影響評価の内容に重要な影響を及ぼしその見直しが必要となるような地域特性等に係る事情の変化に当たるとすることは合理性を欠いているというべきである。 以上のとおり、上記⒜及び⒝の点は、前記エの「特段の事情」に当たるとはいえないから、上記の各点を理由として、工事等の水中音を実 測調査しなければ情報収集及び予測に関し必要な水準が確保されていないとすることは、変更申請に対する判断として、合理性を欠くというべきである。 水中音の予測原告は、処分理由等において、⒜水中音の伝搬予測の計算はもともと 困難なものであり、大浦湾には水深20m以上の箇所が存在するなど地 形が複雑であって不確実性があることを勘案すると、一般 処分理由等において、⒜水中音の伝搬予測の計算はもともと 困難なものであり、大浦湾には水深20m以上の箇所が存在するなど地 形が複雑であって不確実性があることを勘案すると、一般的な手法により水中音の予測をするのでは必要な水準が確保されているとはいえないこと、⒝水中音の予測条件について、近距離音場の不規則性に関する誤り(大浦湾の海況や底質を一律同じ評価とし、当該不規則性に係る減衰値を正の値ではなく負の値としていること)や水中音の予測式における 回帰係数の設定の問題点(他の海域での単純な平均値を用いていることなど)があることを指摘して、水中音の実測調査をした上で予測値と実測値を比較、検証すべきであるとし、このことを環境保全要件に適合しない理由としている。 しかし、上記の指摘は、本件承認処分後の地域特性等に係る事情の変 化とは直接的な関係がなく、工事内容の変更に係る事情の変化に伴うものでもないから、前記エの「特段の事情」に当たるとはいい難い。したがって、上記の指摘を理由として、工事等の水中音を実測調査しなければ情報収集及び予測に関し必要な水準が確保されていないとすることは、変更申請に対する判断として合理性を欠くというべきである。 オ環境保全措置や事後調査の検討やその効果の評価の適切さについて 水中音の実測調査(事後調査)原告は、処分理由等において、⒜近時の研究(Hら〔2019〕)では水中音の評価基準がより厳しくなっており、研究の進展によりジュゴンの行動阻害に関してもより厳しい評価基準が設定される可能性があっ て、ジュゴンの水中音の評価基準に不確実性があること、⒝個体Aの生息状況の変化など地域特性の変化があることを指摘して、それにもかかわらず、変更後環境保全図 い評価基準が設定される可能性があっ て、ジュゴンの水中音の評価基準に不確実性があること、⒝個体Aの生息状況の変化など地域特性の変化があることを指摘して、それにもかかわらず、変更後環境保全図書においても、杭打ち工事前にジュゴンが大浦湾に来遊した際の水中音の影響や、評価基準値以下の水中音の影響について確認することになっておらず、事後調査の結果と環境影響評価の 結果との比較検討ができず(環境保全省令32条2項2号参照)、検討 が適切でないとして、このことを環境保全要件に適合しない理由としている。 上記⒜の点に関し、変更前環境保全図書が採用している水中音に関する予測の手法は、水中音がジュゴンに及ぼす影響についての知見が少ない中で、クジラ類等の知見を参考にして設定された評価基準を基礎とし、 水中音の影響に関し、「障害」と「行動阻害」の二つの段階を設けて、それぞれ音圧レベル及び音響曝露レベルの基準値を設けて評価基準とし、これと水中音に関する予測式により得られた予測結果とを比較することで行われており(前記ア~)、評価基準について参考とされた知見がジュゴンのものではないなどの点で、予測の確実性には相応の限界が あることを前提としているものと考えられる。そして、このことを補完する措置として、各種の環境保全措置を行うこととし、具体的には、①最初の杭打ち工事が行われる際に、水中音の測定を行い、予測した音圧レベルを検証するとともに、測定結果を基に、杭打ち工事の同時施工箇所の数を調整するなど、工事に伴う水中音がジュゴンの行動に及ぼす影 響を低減する措置を講ずること、②工事中は、ジュゴンの生息範囲に変化がみられないかを監視し、変化がみられた場合には、工事との関連性を検討し、工事による影響と判断された場合には 行動に及ぼす影 響を低減する措置を講ずること、②工事中は、ジュゴンの生息範囲に変化がみられないかを監視し、変化がみられた場合には、工事との関連性を検討し、工事による影響と判断された場合には、速やかに施工方法の見直しを行うなどの対策を実施すること、③工事中は、大浦湾内の広い範囲が長期的に行動阻害の評価基準を上回る音圧レベルになると予測さ れ、ジュゴンが大浦湾内に来遊してきた場合には、ジュゴンの行動に変化を与える可能性があることを踏まえた対策を講ずることなどが予定されている(前記ア)。そして、本件承認処分においては、以上のような内容を有する環境影響評価につき、環境保全要件に適合するとの判断がされている。 しかるに、本件承認処分後に現れた上記の研究(Hら〔2019〕) では、ジュゴンを含む「海牛類グループ」について、「障害」と「一時的な聴覚への影響」を及ぼす基準値が提案され、これらは、変更前環境保全図書における「障害」の基準値を下回るものであったため、変更後環境保全図書においては、これらの基準値に基づく検討が行われたところ、水中音の影響は変更前とおおむね同程度又はそれ以下とされた。し かし、同研究においては、「行動阻害」については基準値が示されていない。(乙A7〔2-14-34~35頁〕)そうすると、上記の研究が出現し、研究の進展によりジュゴンの行動阻害に関してもより厳しい評価基準が提案される将来的な可能性があるとしても、現時点においては、評価基準のうちジュゴンの「行動阻害」 に係る基準値に関して、環境影響評価の内容に重要な影響を及ぼしその見直しが必要となる知見や基準等の変化が生じたということは困難であると考えられる。 また、上記⒝の変化の原因が、工事に伴う水中音がジュゴンに与える 関して、環境影響評価の内容に重要な影響を及ぼしその見直しが必要となる知見や基準等の変化が生じたということは困難であると考えられる。 また、上記⒝の変化の原因が、工事に伴う水中音がジュゴンに与える影響の予測の適切さに関して、環境影響評価の内容に重要な影響を及ぼ しその見直しが必要となるような地域特性等に係る事情の変化とまでは認められないというべきことは前記エで判示したとおりである。 そうすると、上記⒜及び⒝の点は、前記エの「特段の事情」に当たるとはいえないから、上記の各点を理由として、水中音につき事後調査をしなければ事後調査の項目及び手法に関して適切な検討が行われてい ないとすることは、変更申請に対する判断として合理性を欠くというべきである。 ジュゴンの行動監視(環境保全措置)原告は、処分理由等において、個体Aの生息状況の変化などに関連して、環境保全措置が的確に検討されていないとし、監視用プラットフォ ーム船によるジュゴンの監視については、これまでジュゴンを発見する ことができておらず、ヘリコプターによる生息確認でジュゴンが確認された際や、令和2年にジュゴンの可能性の高い鳴音のような音が検出された際に、ジュゴンを確認できていないことなどを指摘して、実効性について疑義があるとし、監視用プラットフォーム船によるジュゴンの監視を基礎としている環境保全措置(前記ア②)もまた実効性がないと して、このことを環境保全要件に適合しない理由としている。 しかし、環境保全措置として実施されているジュゴンの監視は、ヘリコプターからの確認、監視用プラットフォーム船による監視、水中録音装置による観測の組み合わせにより行われており、このうち、監視用プラットフォーム船による監視は、ジュゴンの工事海域への の監視は、ヘリコプターからの確認、監視用プラットフォーム船による監視、水中録音装置による観測の組み合わせにより行われており、このうち、監視用プラットフォーム船による監視は、ジュゴンの工事海域への接近状況を船 上からソナー等の機器及び目視により監視するものであって(前記ア、)、その監視手段としての性質上、監視範囲が限定されるし、工事海域への遊泳を行っている個体数も極めて少ないと考えられることをも勘案すると、通常の監視においてジュゴンを確認できないことや、他の手段でジュゴンが確認された日でも監視用プラットフォーム船による工事 海域における監視では確認されないこともあり得るといえる。 また、令和2年に鳴音のような音が検出された後、沖縄防衛局は、環境監視等委員会の指導及び助言を踏まえて、監視用プラットフォーム船を1隻追加配置したほか、海草藻場の利用状況調査の範囲の追加、航空機による重点海域としての調査の追加、水中録音装置及び水中カメラの 追加設置といった措置を採り、ジュゴンの行動監視に係る調査を強化したが(前記ウ)、未だこれらの調査によってもジュゴンの存在を確認するには至っていない。 そうすると、環境保全措置の一つとして実施されている監視用プラットフォーム船による監視においてジュゴンの存在が確認されていないか らといって、直ちにその実効性に疑義が生じたとまではいい難く、その 実効性の評価につき事情の変化があるとはいえず、前記エの特段の事情に当たるとはいい難い。したがって、ジュゴンの行動監視に関する上記の点が環境保全措置の的確な検討及びその効果の適切な評価を欠くものとすることは、変更申請に対する判断として、合理性を欠くというべきである。 カ小括以上によれば、原告が処分理由等 記の点が環境保全措置の的確な検討及びその効果の適切な評価を欠くものとすることは、変更申請に対する判断として、合理性を欠くというべきである。 カ小括以上によれば、原告が処分理由等においてジュゴンに関し環境保全要件に適合しない理由としていた点は、いずれも変更申請に対する判断として合理性を欠くものであるから、本件変更不承認処分には、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用の違法が認められる。 地盤改良に伴う海底面の改変範囲の拡張が環境に及ぼす影響についてア変更前環境保全図書の概要(海域生物、海域生態系等関係部分)変更前環境保全図書においては、埋立て等に伴う海底面の改変等により影響を受け得る生物環境に関して、海域生物、サンゴ類、海藻草類、ジュゴン、海域生態系などの項目を挙げて、それぞれにつき、調査、予 測及び評価の手法を定めた上、調査結果を整理し、解析を行っている(乙A2〔総合目次、第5章5.3(表-5.3.16~19、22)、第6章6.13~16、19〕)。 上記の調査の過程において、海藻草類、サンゴ類、大型底生動物(貝類・甲殻類・棘皮類等)、魚類に関しては、220地点でインベントリ ー調査(標本・写真記録等に基づく生物種の目録作成)が行われたところ、上記220地点は、名護市辺野古の前面海域及び大浦湾を中心に、海底面の改変範囲の内外を問わず、バン崎から前原地先にかけてのリーフ内(干潟・海岸部を含む。)、リーフ上、リーフ外を調査海域として同海域全域を均等に網羅するように設定されていた(乙A2〔6-19- 1-1~4頁〕、乙A106)。 そして、底生動物に関しては、メイオベントス(約0.04~1㎜のもの)、マクロベントス(1~4㎜のもの)及びメガロベントス(4㎜を超え - 1-1~4頁〕、乙A106)。 そして、底生動物に関しては、メイオベントス(約0.04~1㎜のもの)、マクロベントス(1~4㎜のもの)及びメガロベントス(4㎜を超える大型底生動物)を対象として、目視観察、徒手採捕、底質の採泥採集による現地調査が行われた(乙A2・参考資料編第2章2.4. 4〔2-55頁〕)。このうち、メイオベントス及びマクロベントスにつ いては、37地点において採泥器による表層堆積物の採取により調査が行われ、メガロベントスについては、上記インベントリー調査により生息する種を把握するとともに、サンゴ類のライン調査及びスポット調査(128地点)での潜水目視観察の実施時に出現した種及びその概数が記録されるなどした(乙A2〔5-81頁、6-13-6~9頁、11 頁、66~69頁、6-14-9~16頁、6-19-1-1~6頁、18~21頁、69~93頁、参考資料編第2章(2-55~146頁)〕)。 上記の調査等を踏まえ、変更前環境保全図書は、海底面の改変区域内に生息する底生動物のうち、主に自力移動能力の低い貝類や甲殻類の重 要な種、必要と判断される海藻類の重要な種について、工事の実施段階において、これらに影響を与える工事を実施する前に可能な限り各種の生息に適した周辺の場所に移動させるなどの措置を行うとした(乙A2〔6-13-344頁、345頁、7-9頁、9-14頁〕)。 イ変更後環境保全図書の概要(海域生物、海域生態系等関係部分) 変更後環境保全図書においては、設計概要変更に伴って変更が生じる環境影響の予測条件の一つとして、地盤改良工の追加を挙げている。 そして、①大浦湾側のケーソン式護岸部(C護岸等)の地盤改良においては、サンドコンパクションパイル 、設計概要変更に伴って変更が生じる環境影響の予測条件の一つとして、地盤改良工の追加を挙げている。 そして、①大浦湾側のケーソン式護岸部(C護岸等)の地盤改良においては、サンドコンパクションパイル(SCP)工法が施工されるため、現地盤面が盛り上がる現象が生じるが(乙A51資料2の15頁(別紙 図面9))、盛り上がり土は撤去せずに、その上に基礎マウンドを構築す ること、②上記の地盤改良工の実施などにより、本件埋立事業において行われる海底面の改変範囲の全体(上記護岸部以外の埋立て部分全体や消波ブロック設置範囲を含む。)の面積は、変更前の約165haから約1ha増加して約166haとなること、③このうち、大浦湾側のケーソン式護岸部における海底面の改変範囲は、東側に約2.2ha拡張 し(以下「海底面改変範囲の拡張部分」という。)、他方で約0.4ha減少する部分もあるため、差し引き約1.8ha増加することなどを指摘している。(以上につき、乙A7〔1-51頁、52頁〕、乙A52別紙〔26頁、59頁〕及び添付資料23(別紙図面10)、添付資料31、乙A103別紙2〔26頁〕、乙A104別紙〔52頁、53頁〕) 他方、変更後環境保全図書は、海域生物などの項目において、海底地形の変化につき、設計概要変更に伴う地盤改良工事の実施により現地盤の盛り上がりが生じるが、その範囲は代替施設本体近傍100m以内にとどまると予測されることなどから、局所的な範囲のものであり、海域生物への影響についての予測結果・評価は変更前と変わらないとした (乙A7〔2-11-31頁、107頁〕)。 なお、環境保全措置については、変更前環境保全図書(前記ア参照)と同様であるとした(乙A7〔3-6頁、8頁〕、乙A115)。 らないとした (乙A7〔2-11-31頁、107頁〕)。 なお、環境保全措置については、変更前環境保全図書(前記ア参照)と同様であるとした(乙A7〔3-6頁、8頁〕、乙A115)。 ウ水深20m以深の底生動物の調査水深20m以浅の底生生物については環境保全措置として移動を行 うこととされていたが、水深20m以深の底生動物に関しても生息状況の把握が必要であるとする環境監視等委員会の意見があったことから、平成26年までの間、28回にわたり、15地点において採泥器による表層堆積物の採取により実施された過年度調査の結果が整理された。このうち、海底面の改変範囲内のものは3地点(E16からE18まで) であり、そのうち2地点(E16、E17)がC-1護岸のほぼ直下の 位置にあった(乙A100(別紙図面11)、105〔13頁〕)。 また、平成31年4月、大浦湾内の水深20m以深の(埋在性)底生動物に関し、22地点において採泥器による表層堆積物の採取による調査が実施された。このうち、海底面の改変範囲内のものは14地点(既存のE16からE18までの3地点と、新たに設定されたBT1からB T11までの11地点)であり、そのうち6地点(E16、E17、BT5、BT6、BT7及びBT11)がC-1ないしC-3護岸の直下の位置にあった(以下、上記の6地点を「護岸直下6地点」という。)。 (乙A100、105〔16頁〕) さらに、本件変更承認申請後、環境監視等委員会における意見を受け て、令和2年7月から同年9月までの間、大浦湾内の水深20m以深40m以浅の(表在性)底生動物の調査が実施され、上記22地点のうち21地点(E16からE18まで及びBT1からBT11までを含む。)に 、令和2年7月から同年9月までの間、大浦湾内の水深20m以深40m以浅の(表在性)底生動物の調査が実施され、上記22地点のうち21地点(E16からE18まで及びBT1からBT11までを含む。)において潜水目視観察(写真撮影)が行われた。また、水深40m以深の底生動物の調査については、4地点(既存のE33地点と新たに設定 されたBT12からBT14までの3地点)においてROV(遠隔操作無人探査機)による表在性底生動物の調査が実施され、上記4地点のうち海底の谷の途中で深みとなっている特徴的な地形の3地点(BT12からBT14まで)において採泥器による表層堆積物の採取による埋在性底生動物の調査が実施された。(以上につき、乙A100、102 〔4~8頁〕) これらの調査の結果によれば、各調査によって記録された種は様々であり、重要な種(環境省レッドリスト2020、環境省版海洋生物レッドリスト、沖縄県レッドデータブック第3版、種の保存法、天然記念物)に該当するものが複数確認されたが、大浦湾の水深20m以深のみに生 息が限定される種は確認されなかった(乙A100、101、102 〔6~10頁〕、乙A105〔14頁、15頁、17~20頁〕、乙A107~A109)。 エ地盤改良に伴う盛り上がり部分における調査の要否について原告は、処分理由等において、SCP工法の実施に伴う地盤の盛り上がり箇所(C護岸等の東側に位置する海底面改変範囲の拡張部分をいうもの と解される。)と、変更前の海底面改変範囲である護岸直下6地点(E16、E17、BT5、BT6、BT7及びBT11)とを比較すると、①C-1護岸付近(E16、E17及びBT11)の拡張部分は、大浦湾中央に向かって水深が深くな 底面改変範囲である護岸直下6地点(E16、E17、BT5、BT6、BT7及びBT11)とを比較すると、①C-1護岸付近(E16、E17及びBT11)の拡張部分は、大浦湾中央に向かって水深が深くなる斜面部にあり、外洋からの潮流が斜面部に流れ込む場所となっていて、変更前の海底面改変範囲とは異なる環境条件が 含まれていること、②C-2護岸からC-3護岸及び護岸(係船機能付)付近(BT5、BT6及びBT7)の拡張部分も、水深が急に深くなり、砂床と泥地の境界付近となっていて、変更前の海底面改変範囲とは異なる環境条件が含まれていることなどから、護岸直下6地点の調査が行われているだけでは、上記各拡張部分の生物の生息状況の把握として不十分であ り、環境影響評価において求められる調査の手法について必要な水準が確保されていないことをもって、環境保全要件に適合しない理由としている。 しかし、①本件変更承認申請に係る設計概要変更に伴って生じる海底面改変範囲の拡張部分は、変更前の海底面改変範囲に隣接しており、海底面改変範囲全体の面積に占める割合は1%程度にすぎないこと(前記イ )、②拡張部分の幅(法線方向)は、最大でも約50m程度にすぎず、調査が実施された護岸直下6地点(代替施設本体)と拡張部分の外縁との距離(法線方向)は、最大でも100m程度にすぎないこと(乙A100)、③変更前の海底面改変範囲における調査実施地点(護岸直下6地点を含む14地点。前記ウ参照)の水深は最大で約39mに及んでお り、拡張部分の最大水深(40m以浅)とさほどの相違がないこと(乙 A100、A102、A105)、④原告が指摘する外洋からの潮流が流れ込む斜面部であるといった環境条件は、程度の差はあれ、護岸直下6地点付近のいずれにおいても認 相違がないこと(乙 A100、A102、A105)、④原告が指摘する外洋からの潮流が流れ込む斜面部であるといった環境条件は、程度の差はあれ、護岸直下6地点付近のいずれにおいても認め得ること(乙A2〔6-9-126頁以下〕、乙A100)、⑤海底面改変範囲内外において実施された種々の調査において、調査ごとに様々な種が記録されたが、大浦湾の水深20 m以深のみに生息が限定される重要な種は確認されなかったこと(前記ウ)、⑥環境監視等委員会では、水深20m以深の底生生物の調査の実施を示唆する意見があり、これを受けて護岸直下6地点を含む22地点の調査が行われ、さらに、令和2年に実施された調査の調査地点の選定に当たり、海底の谷の途中で深みとなっている特徴的な地形の3地点 (BT12からBT14まで)が新たに選ばれたが、海底面改変範囲の拡張部分を対象とすべきである旨の意見が出されたことはうかがわれず(前記ウ)、原告が指摘する同部分の環境条件の差異に応じた追加調査についてはその必要性の程度が必ずしも明らかではないことを総合勘案すると、地盤改良工事の追加に伴う海底面改変範囲の拡張が、海底生物 の生息状況の把握とその保護に関し、環境影響評価の内容に重要な影響を及ぼすものとすることは合理性を欠いていると考えられる。 そうすると、地盤改良に伴う盛り上がり箇所が生じるという点は、前記エの「特段の事情」に当たるとはいえないから、上記の点を理由として、当該箇所につき調査しなければ適切な情報収集や予測がされていな いとすることは、変更申請に対する判断として合理性を欠くというべきである。 小括以上のとおり、原告の処分理由等のうち、環境保全要件に適合しないとした部分は、変更申請に対する判断として合理性を欠く 、変更申請に対する判断として合理性を欠くというべきである。 小括以上のとおり、原告の処分理由等のうち、環境保全要件に適合しないとした部分は、変更申請に対する判断として合理性を欠くから、裁量権の範囲を 逸脱し、又はこれを濫用した違法があるというべきである。したがって、こ れと同旨の本件是正の指示の理由は正当なものということができる。 6 争点6(第1号要件を欠くとした原告の判断の法令違反等の有無)及び争点7(埋立ての必要性を欠くとした原告の判断の法令違反等の有無)について判断枠組みア埋立法4条1項1号の「国土利用上適正且合理的ナルコト」という要件 (第1号要件)は、埋立ての承認等の対象とされた公有水面の埋立てや埋立地の用途が国土利用上の観点から適正かつ合理的なものであることを承認等の要件とするものと解されるところ、その審査に当たっては、埋立ての目的及び埋立地の用途に係る必要性及び公共性の有無や程度に加え、埋立てを実施することにより得られる国土利用上の効用、埋立てを実施する ことにより失われる国土利用上の効用等の諸般の事情を総合的に考慮することが不可欠であり、また、同項が、同項各号の要件に適合すると認められる場合を除いては埋立ての承認等をすることができない旨を定めていることなどに照らすと、第1号要件においては、当該埋立てや埋立地の用途が当該公有水面の利用方法として最も適正かつ合理的なものであることま でが求められるものではないと解される。そうすると、上記のような総合的な考慮をした上での公有水面の埋立てが第1号要件に適合するとし、又は適合しないとした判断が、事実の基礎を欠いたり社会通念に照らし明らかに妥当性を欠いたりするものでない限り、その判断に瑕疵があるとはいい難いとい 上での公有水面の埋立てが第1号要件に適合するとし、又は適合しないとした判断が、事実の基礎を欠いたり社会通念に照らし明らかに妥当性を欠いたりするものでない限り、その判断に瑕疵があるとはいい難いというべきである(以上につき平成28年最高裁判決参照)。 イ争点6及び争点7の位置付け以上のとおり、第1号要件の審査においては、①埋立ての目的、埋立地の用途に係る必要性、その公共性の有無・程度や、②埋立てを実施することにより得られる国土利用上の効用といった積極的な要素と、③埋立てを実施することにより失われる国土利用上の効用といった消極的な要 素に係る事情を総合的に考慮することが求められている。そして、原告 審査基準は、第1号要件に関するものの一つとして、「埋立ての規模及び位置が適切かつ合理的か」との審査項目を挙げ、また、「埋立ての必要性」に関するものとして、「埋立ての動機となった土地利用が埋立てによらなければ充足されないか」「埋立ての動機となった土地利用に当該公有水面を廃止するに足る価値があると認められるか」「埋立地の土地利用開始予 定時期からみて、今埋立てを開始しなければならないか」「埋立てをしようとする場所が、埋立地の用途に照らして適切な場所といえるか」などの審査項目を設けているところ、上記と整合的に解釈すれば、これらの審査項目は、第1号要件の審査における積極的な要素を列挙したものであり、埋立ての必要性の審査を第1号要件の審査から切り離したもので はないというべきである。そうすると、原告の処分理由等が指摘している「埋立ての規模及び位置」の点や、「埋立ての必要性」の点は、いずれも、第1号要件の審査で行われる総合考慮において勘案されるべき個別の要素を並列的に取り上げているものと位置付けることが適切で している「埋立ての規模及び位置」の点や、「埋立ての必要性」の点は、いずれも、第1号要件の審査で行われる総合考慮において勘案されるべき個別の要素を並列的に取り上げているものと位置付けることが適切であると考えられる。これと異なる原告の主張は採用することができない。 そこで、以下では、争点6及び争点7についてまとめて検討を行うこととする。 ウ変更の承認等における第1号要件の審査の在り方前記5ウのとおり、埋立法上の変更の承認等は、当初の承認等と同一性を失わない範囲で行われるものとして位置付けられており、新たな承 認等を行うという性格を有するものではなく、当初の承認等の内容を一部変更するという性格を有する。また、変更申請に関する部分に含まれない範囲の工事を適法に実施し得る地位は、変更の承認等を申請したことによって当然に失われるわけではない。 そうすると、変更申請に対して行われる第1号要件の適合性の審査(埋 立法42条3項により準用される同法13条ノ2第2項において同法4 条1項が準用されている。)においては、埋立事業に係る全ての考慮要素を当初の承認等の段階と同様に改めて審査するものではなく、当初の承認等において審査の対象となった考慮要素を踏まえれば「国土利用上適正且合理的ナルコト」という要件に適合するという総合判断が適法にされたことを前提として、「埋立地ノ用途ノ変更」や「設計ノ概要ノ変更」 などの内容に従った変更を行った場合に、その変更部分が第1号要件の審査の対象となる考慮要素に重要な変更をもたらし、第1号要件適合性が失われることになるかどうかという観点からの判断が行われることが予定されているものと解される。したがって、上記の判断に合理性を欠いている場合には、変更申請に対する判断として、裁 、第1号要件適合性が失われることになるかどうかという観点からの判断が行われることが予定されているものと解される。したがって、上記の判断に合理性を欠いている場合には、変更申請に対する判断として、裁量権の範囲を逸脱 し、又は濫用したものとなるというべきである。 以上に対し、原告は、変更申請に対する審査においても、第1号要件の適合性が改めて審査されるべきであり、審査項目は承認等の処分時と異ならず、判断における裁量権の範囲も承認等の処分時と異ならない旨を主張するが、上記で判示したところに照らし、採用することができない。 検討ア本件承認処分における判断の内容本件埋立事業は普天間飛行場の代替施設及びその関連施設としての飛行場(以下「本件新施設等」という。)を設置するために実施されるものであるところ、原告(仲井眞知事)は、本件出願を受けて行った本件埋立 事業が第1号要件に適合するか否かの審査において、①普天間飛行場の周辺に学校や住宅、医療施設等が密集しており、騒音被害等により住民生活に深刻な影響が生じているほか、過去に同飛行場周辺で航空機の墜落事故が発生しており、同飛行場の危険性の除去が喫緊の課題であるところ、本件埋立計画は、集落等の上空を避け環境問題や危険の回避を図 ることになっていることから、「埋立ての動機となった土地利用が埋立て によらねば充足されない」とすることに合理性があり、また、「公有水面を廃止する価値がある」とすることや、「今埋立てを開始しなければならない」とすることに合理性があるとし、②同飛行場の施設面積が約4. 8平方kmであるのに対し、本件新施設等の面積が約2平方kmであり、そのうち埋立面積が約1.6平方kmであることなどから、「埋立地の規 模が適正」と認められるとし 、②同飛行場の施設面積が約4. 8平方kmであるのに対し、本件新施設等の面積が約2平方kmであり、そのうち埋立面積が約1.6平方kmであることなどから、「埋立地の規 模が適正」と認められるとし、③沿岸域を埋め立てて滑走路延長線上を海域とすることにより航空機が住宅地の上空を飛行することが回避されることや、本件新施設等が既に米軍に提供されているキャンプ・シュワブの一部を利用して設置されることなどから、「埋立ての位置が適正かつ合理的」であるなどとした上で、「埋立ての必要性」の審査基準(上記① 及び②)に適合し、また、免許禁止基準のうち「埋立ての規模及び位置が適正かつ合理的か」の審査基準(上記③)に適合するとして、本件埋立事業が第1号要件に適合すると判断した(乙A117〔1~5頁〕)。 そして、上記の原告(仲井眞知事)の判断が、普天間飛行場の使用状況や、同飛行場の返還及び代替施設の設置に関する我が国と米国との間の 交渉経過等を踏まえた上でのものであることをも勘案すると、それが事実の基礎を欠くものであることや、その内容が社会通念に照らし明らかに妥当性を欠くものであるという事情は認められず、本件埋立事業が第1号要件に適合するとした原告(仲井眞知事)の判断に違法等があるとはいえない(平成28年最高裁判決参照)。 イ本件変更不承認処分の判断の合理性について本件変更承認申請は、「埋立地ノ用途ノ変更」として、作業ヤードに供するために造成することとしていた埋立地が必要なくなったことから、埋立区域につき、名護市辺野古地区地先の位置(地番)、面積を削除し、埋立地の用途につき、名護市辺野古地区地先の配置及び規模を削除し、 また、「設計ノ概要ノ変更」として、海底地形や地層構成を踏まえた工区 分けをすると 置(地番)、面積を削除し、埋立地の用途につき、名護市辺野古地区地先の配置及び規模を削除し、 また、「設計ノ概要ノ変更」として、海底地形や地層構成を踏まえた工区 分けをするとともに、地盤改良が必要と確認された工区に地盤改良を追加し、想定される沈下量を考慮した天端高に変更した上、一部の埋立区域について、護岸により外海と遮断する前に、濁りの拡散防止に配慮した工法で埋立てを行うこととしたものである(前提事実イ、ウ)。 そうすると、上記の「埋立地ノ用途ノ変更」及び「設計ノ概要ノ変更」 の内容(本件変更部分)は、本件承認処分において第1号要件適合性の判断の基礎とされていた上記ア①から③までの事情に関し、重要な変更をもたらすものではなく、原告の審査基準である「埋立ての必要性」に係る各項目や「埋立ての位置」という審査事項からみても、同様であるといわざるを得ない。したがって、本件変更承認申請に係る「埋立地ノ 用途ノ変更」及び「設計ノ概要ノ変更」によって、第1号要件適合性が失われたとする原告の判断は、合理性を欠くというべきである。 ウ原告の主張(処分理由等)について 原告は、処分理由等において、①埋立てをしようとする場所につき、地盤の安定性等に係る設計に関して、災害防止に十分配慮した検討が行 われていないこと、②「埋立ての位置」として選定された場所が、確実に埋立工事を完成させるという目的にとって著しく不適切な土層・土質が存在し、不確実性が生じているため、否定的な評価を免れないことを指摘し、「埋立ての位置」や「埋立ての必要性」に関する原告審査基準に適合せず、第1号要件は充足しないとする。 しかし、変更後の変更の内容につき、技術基準の要件を満たさず災害防止要件を充足しない の位置」や「埋立ての必要性」に関する原告審査基準に適合せず、第1号要件は充足しないとする。 しかし、変更後の変更の内容につき、技術基準の要件を満たさず災害防止要件を充足しないとする判断が合理性を欠くことや、変更後の設計の内容が、港湾基準・同解説が許容する不確定性の範囲内にあることは、前記4において判示したとおりであり、また、上記の各点は災害防止要件において考慮されるべきものであるから、上記の各点をもって第1号 要件に関する消極的要素とみることは相当ではない。 したがって、上記の各点をもって、本件承認処分においては認められていた第1号要件適合性が失われたと判断することは、合理性を欠いているといわざるを得ない。 また、原告は、埋立ての必要性に関し、本件変更承認申請の内容は、本件承認処分において前提とされていた5年次までに埋立ての工程を終 えるという前提を覆すものである一方で、本件埋立事業における埋立ては、自然環境及び生活環境等に重大な悪影響を与え、地域振興の深刻な阻害要因となり、沖縄県における長年にわたる過重な基地負担を更に将来に向かって固定化するもので、埋立てによって生ずる不利益の程度は余りに大きなものであることから、埋立てによって生ずる上記不利益を 上回るほどの埋立てによる利益が認められないことが明らかとなっている旨を主張する。 この点、本件願書の添付図書である埋立必要理由書(乙A3)には、普天間飛行場の危険性を一刻も早く除去することが喫緊の課題であることや、県内での移設を行うことが適切である理由の一つとして極力短期 間で移設できる案が望ましいことが挙げられており、また、本件願書(乙A1)には、「埋立てに関する工事の施行に要する期間」として5 、県内での移設を行うことが適切である理由の一つとして極力短期 間で移設できる案が望ましいことが挙げられており、また、本件願書(乙A1)には、「埋立てに関する工事の施行に要する期間」として5年と記載されている。 しかしながら、公有水面の埋立ての当初の出願に係る審査は、埋立地となる海底等の情報に不確定性がある段階で行われ、実施設計の進展や 工事の過程において新たな事情が判明した場合には、設計を変更し工期を伸長することも許容され得る(埋立法13条ノ2第1項)。また、原告(仲井眞知事)が行った本件承認処分における第1号要件適合性の審査の内容(上記ア)をみても、本件願書に記載された上記の工期を順守することが適合性判断の重要な考慮要素となっていたことまではうかが われない。そうすると、軟弱地盤の判明に伴う設計の変更を理由とする 本件変更承認申請に対する第1号要件の審査に当たって、上記の工期の伸長それ自体をもって消極要素として重視することは、合理性を欠くといわざるを得ない。 また、本件埋立事業については、以下のような経緯が認められる。すなわち、①平成8年4月に行われた内閣総理大臣と駐日米国大使との会 談において、普天間飛行場につき、一定の措置を講じた後に返還される旨の合意がされたこと、更に同年12月、日米安全保障協議委員会(日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約4条を根拠として設置された協議機関)に出席した関係閣僚等により、同飛行場の代替施設を設置し、運用が可能となった後に同飛行場を返還する旨が承認 され、移転先として海上施設案を追求するとされたこと、②原告(稲嶺恵一知事)は、平成11年11月22日、一定の条件を付しつつ、普天間飛行場の移設候補地を「キャンプ・シュワブ水域内名護市辺 認 され、移転先として海上施設案を追求するとされたこと、②原告(稲嶺恵一知事)は、平成11年11月22日、一定の条件を付しつつ、普天間飛行場の移設候補地を「キャンプ・シュワブ水域内名護市辺野古沿岸域」とすることを表明し、名護市長も、同年12月27日、7項目の条件を付しつつ、上記の移設候補地を受け入れる旨を表明したところ、こ れを受けて、政府は、同月28日、「普天間飛行場の移設に係る政府方針」を閣議決定し、さらに、平成14年7月29日、代替施設の規模、工法、具体的建設場所及び環境対策に関する事項を内容とする「普天間飛行場代替施設の基本計画について」が決定されたこと、③その後、日米安全保障協議委員会は、平成17年10月29日、普天間飛行場の移 設先を名護市辺野古のキャンプ・シュワブとすること(L字型案)を発表し、さらに、平成18年5月1日、普天間飛行場代替施設を、辺野古崎とこれに隣接する大浦湾と辺野古湾の水域を結ぶ形で設置すること(V字型案)を発表し、この間、同年4月7日に防衛庁長官と名護市長及び宜野座村長との間で基本合意書が締結され、また、同年5月11日 に防衛庁長官と沖縄県知事との間で基本確認書が締結されたこと、④同 委員会は、平成22年5月28日、普天間飛行場代替施設の滑走路の長さ等を確認し、その位置、配置及び工法に関する検討を速やかに完了させることなどを発表し、これらを踏まえ、国において、本件新施設等を名護市辺野古沿岸域に設置するため、本件埋立事業を実施することとし、沖縄防衛局がその手続を進めたこと、⑤原告(仲井眞知事)は、平成2 5年12月27日付けで本件承認処分を行い、その後、沖縄防衛局は、令和2年4月21日付けで本件変更承認申請をするに至ったことが認められる(前提事実エ、 たこと、⑤原告(仲井眞知事)は、平成2 5年12月27日付けで本件承認処分を行い、その後、沖縄防衛局は、令和2年4月21日付けで本件変更承認申請をするに至ったことが認められる(前提事実エ、イ、乙A3、弁論の全趣旨)。 以上のとおり、普天間飛行場の危険性を早急に除去することが重要な政策課題として取り上げられ、平成8年に日米間の合意が行われてから、 その具体的な内容の決定に向けて、沖縄県の地方自治体も含めて意見の異なる多数の関係者間の各種協議・調整等が行われ、平成25年に本件承認処分が行われるまで、約17年という長い歳月を要しつつも漸進してきたという経緯があることに加え、上記の経緯からすると上記の政策課題を実現する他の現実的な方策を速やかに見出すことが現時点におい ては困難であると考えられること、本件承認処分に基づく工事が着工されて大浦湾側以外の部分につき工事が一定程度進捗していることをも総合勘案すると、5年次までに埋立ての工程を終えるという当初の出願の内容が変更され、本件変更承認申請に基づく承認がされた後完成までにさらに約9年1月の工程を要することになったことをもって、埋立ての 必要性を基礎づける考慮要素とされていた「普天間飛行場の危険性の除去が喫緊の課題であること」(上記ア①)との関係で、その積極的価値に重要な変更をもたらす事情であると評価することや、それと整合しないものであると評価し、第1号要件適合性が失われることになったと判断することは、合理性を欠くものといわざるを得ない。 エ小括 以上によれば、原告の処分理由等のうち、第1号要件に適合しないとした部分(埋立ての必要性を欠くとした部分を含む。)は、変更申請に対する判断として合理性を欠くから、裁量権の範囲を逸脱し、又はこれ 以上によれば、原告の処分理由等のうち、第1号要件に適合しないとした部分(埋立ての必要性を欠くとした部分を含む。)は、変更申請に対する判断として合理性を欠くから、裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用した違法があるというべきである。したがって、これと同旨の本件是正の指示の理由は正当なものということができる。 7 争点8(変更の「正当ノ事由」を欠くとした原告の判断の法令違反等の有無)について判断枠組みア埋立法は、「正当ノ事由」があると認めるときは、埋立地の用途や設計の概要に関し、変更を許可することができる旨規定するところ(13条ノ 2第1項)、これは、当初の埋立ての許可に係る願書により特定された内容の埋立てにつき、その後の事情の変化等に伴い、その同一性を失わない範囲において、埋立地の用途や設計の概要を変更しようとする場合に、改めて許可を取り直すことなく、変更の許可という形式で、変更後の内容により埋立てを適法に実施し得る地位を与えることを可能としたものと解さ れる。このうち、設計の概要の変更については、当初の出願においては埋立地となる海底等の情報に不確定性がある段階で審査がされ、実施設計の進展や工事の過程において新たな事情が判明する場合もあり得ることに照らし、設計の概要の変更の許可という形式で処理することが便宜であることを考慮したものと考えられる。 他方、埋立法は、同条2項において、埋立地の用途や設計の概要の変更の許可に関しては同法4条1項及び2項を準用する旨規定するところ、これは、同法13条ノ2第1項所定の「正当ノ事由」が認められる場合においては、変更申請がされた内容に関し、当初の許可に基づいて埋立てを適法に実施し得る地位を有することを前提として、同法4条1項及 び2項所定の審査を行う 所定の「正当ノ事由」が認められる場合においては、変更申請がされた内容に関し、当初の許可に基づいて埋立てを適法に実施し得る地位を有することを前提として、同法4条1項及 び2項所定の審査を行うことを定めたものと解される。 そして、以上のことは、国が行う埋立てに関する変更の承認についても同様であるといえる。 そうすると、当初の承認等がされた後に、埋立地の用途や設計の概要の変更の申請が行われた場合における埋立法13条ノ2第1項所定の「正当ノ事由」は、変更申請をすること自体の適法性に関する要件であり、 その充足性の審査においては、申請に係る変更を行う理由が客観的にみて相当か否か、変更を反映した後の埋立ての内容が当初の埋立ての承認等に係る願書により特定された内容と同一性を有するか否かという点を中心として、変更申請を正当なものとするに足りる客観的事情があるか否かを判断すべきものと解される。 イなお、埋立法は、「正当ノ事由」があると認めるときは、都道府県知事が免許の際に指定した期間につき、その伸長を許可することができる旨規定するところ(13条ノ2第1項)、期間の伸長については、埋立地の用途や設計の概要の変更の場合とは異なり、「正当ノ事由」の判断において、申請された期間の伸長の内容と理由につき、変更することの相当性 の有無を審査することになると解される。 また、埋立法は、2条3項4号所定のいわゆる分譲埋立て以外の場合における埋立地に関する権利の移転又は設定や、埋立地の用途と異なる利用については、当該権利の移転等や当該埋立地の利用につき「已ムコトヲ得ザル事由」(27条2項2号、29条2項2号)を要するものとし、 失効した埋立免許の効力を復活させる場合については、「宥恕スヘキ事由」(34条1 の移転等や当該埋立地の利用につき「已ムコトヲ得ザル事由」(27条2項2号、29条2項2号)を要するものとし、 失効した埋立免許の効力を復活させる場合については、「宥恕スヘキ事由」(34条1項柱書き)を要するものとしているところ、これらの文言と対比すると、埋立地の用途や設計の概要の変更の場合において求められる「正当ノ事由」は、より緩やかな事情が想定されているものと解される。 ウ原告の主張について 原告は、変更の承認等の制度が、当初の承認等の際には想定し得なかった事態に直面した事業者を救済する趣旨のものであるとの理解に立ったうえで、当初の出願時における調査の程度や、事情変更が生じたにもかかわらず工事が進行した理由等を踏まえた申請者の要保護性の程度等を総合的に考慮して、出願事項の変更を許容することの相当性が認められ ることを要する旨主張する。 しかしながら、前記アで判示したとおり、設計の概要の変更については、当初の出願においては埋立地となる海底等の情報に不確定性がある段階で審査がされ、実施設計の進展や工事の過程において新たな事情が判明する場合もあり得ることに照らし、設計の概要の変更の許可という形式 で処理することが認められたものである。このことを前提とすれば、出願者が、当初の出願時までに調査した情報に基づいて設計概要説明書を作成して提出し、都道府県知事が、それを審査した上、設計の概要の内容が災害防止要件に適合するとして、承認等をした以上、後に海底等に関する新たな情報が判明したからといって、当初の承認等における災害 防止要件に関する判断が事後的に違法となることはないと解される。そうすると、都道府県知事がいったん承認等をしておきながら、変更申請の段階において、当初の出願における 当初の承認等における災害 防止要件に関する判断が事後的に違法となることはないと解される。そうすると、都道府県知事がいったん承認等をしておきながら、変更申請の段階において、当初の出願における海底等の情報が工事を最終的に完成させるのに足りるものではなかったことをもって、出願者の調査義務に懈怠があり「正当ノ事由」を欠くとすることは、法の予定するところ ではないと解される。 したがって、原告の上記主張は採用することができない。 検討ア本件変更承認申請書(乙A5)によれば、「埋立地ノ用途ノ変更」の理由とその内容は、本件承認処分後に実施した土質調査の結果を踏まえた地 盤改良の追加に伴い、工程を見直して作業ヤード計画を合理化した結果、 従来作業ヤードを供するために造成することとしていた名護市辺野古地区地先の埋立地約4.6haが必要なくなったというものである(1~3頁)。また、「設計ノ概要ノ変更」を行う理由とその内容は、①上記のとおり作業ヤードのための埋立地が削除されたことに伴い、同埋立地の地盤の高さに関する記載を削除し(4頁、13頁)、その造成のための公共施設 (仮設道路等)の配置をとりやめたこと(17頁)、②本件承認処分後に実施した土質調査の結果を踏まえた地盤改良の追加等に伴い、設計を再検討して合理化し、護岸、堤防、岸壁その他これらに類する工作物の種類及び構造を変更し、工程についても見直して合理化した結果、普天間飛行場代替施設の埋立区域が152.54haから152.47haに減少した こと(1~2頁、5~8頁、14~15頁)、また、埋立工法や工事の施行順序を見直して合理化するとともに、埋立てに用いる土砂等の種類の再検討を行ったこと(16~17頁)などである。 以上のとおり、本件変更承認申 頁、5~8頁、14~15頁)、また、埋立工法や工事の施行順序を見直して合理化するとともに、埋立てに用いる土砂等の種類の再検討を行ったこと(16~17頁)などである。 以上のとおり、本件変更承認申請において「埋立地ノ用途ノ変更」と「設計ノ概要ノ変更」を行うことになった理由は、主として、本件承認 処分後に実施した土質調査の結果を踏まえ、地盤改良を追加し、設計の再検討や工法の見直しを行う必要が生じたという点にあるから、これらの変更は、客観的にみて相当であるということができる。また、上記の変更の結果、埋立地の面積が減少するが、本件新施設等に供される埋立区域の減少は僅かなものであり、本件埋立事業の用途、土地利用計画、 埋立地の規模、埋立面積などの点からみて、本件願書により特定された内容と同一性を有するといえる。そうすると、本件変更承認申請については、変更申請を正当なものとするに足りる客観的事情があるといえる。 イ原告の主張(処分理由等)について原告は、処分理由等において、変更内容が、埋立ての必要性及び災 害防止要件を充足せず、やむを得ないとは認められないから、原告審査 基準に適合せず、「正当ノ事由」が認められないと指摘する。 しかし、「正当ノ事由」は、「埋立地ノ用途ノ変更」又は「設計ノ概要ノ変更」に係る申請について、変更という形式で処理することの適法性を判断するものであって、埋立法13条ノ2第2項において準用されている同法4条1項及び2項所定の審査とは区別されたものであると解 されることは、上記アで判示したとおりである。したがって、上記の指摘をもって、「正当ノ事由」が認められないとすることはできない。 原告は、沖縄防衛局が、大浦湾側について軟弱地盤が存在しないとする内容で設計概要 記アで判示したとおりである。したがって、上記の指摘をもって、「正当ノ事由」が認められないとすることはできない。 原告は、沖縄防衛局が、大浦湾側について軟弱地盤が存在しないとする内容で設計概要説明書を作成したことがどのような合理的根拠に基づくものであったのかを一切明らかにしていないことや、沖縄防衛局が 本件承認処分後直ちに大浦湾側の実施設計を示さず工事に着手しなかったことは極めて不自然であり軟弱地盤である可能性を早期に認識していたという以外に説明がつかない旨を指摘して、本件埋立事業に係る当初の出願時において、埋立事業の内容等に照らし、軟弱地盤の存在に関して事業者としてなすべき調査を尽くしていなかった旨を主張する。 しかしながら、当初の出願後に新たに判明した海底等の情報につき、当初の出願時において、工事を最終的に完成させるのに足りる調査を尽くしていたか否かが「正当ノ事由」の審査対象となるとの見解を採用することができないことは、上記ウで判示したとおりである。 また、上記の点を措くとしても、本件出願における大浦湾側の海底 の土質調査に関する原告(仲井眞知事)の審査の経過をみるに、①本件出願時において提出された設計概要説明書には、既存の土質調査に基づいて作成された地層断面図が示されていたが、調査箇所は辺野古側も含めて4地点にとどまり、大浦湾側については1か所(B-1地点)の柱状図において、海底面下の沖積層が、砂礫、礫混じり砂又はシルト混じ り砂礫であり、粘性土ではないことが示されていたにすぎないこと(乙 A6〔85~88頁〕)、②原告は、平成25年10月4日付けで作成した質問書(乙18)において「埋立地東側(ケーソン式護岸、二重鋼管矢板式護岸等)の基礎地盤(地層)の状況について、ご教 A6〔85~88頁〕)、②原告は、平成25年10月4日付けで作成した質問書(乙18)において「埋立地東側(ケーソン式護岸、二重鋼管矢板式護岸等)の基礎地盤(地層)の状況について、ご教示頂きたい」旨の質問(質問事項14)をしたところ、③沖縄防衛局は、「設計概要説明書の地層断面図は音波探査とボーリング調査の併用により作成した ものであり、音波探査は広範囲の地域の成層状態を把握することができ、音波探査によって得られた反射がどの地層に該当するかをボーリング調査結果と対比し地層断面図を作成した」旨回答するとともに(乙19〔5/802頁〕)、液状化に関する別の質問(質問事項12)の回答に関する資料において、既存ボーリングデータ(B-1地点)をC-1護 岸の土層構成に合わせて代表させた旨の回答をしたこと(乙19〔782/802頁〕)、④その後、原告(仲井眞知事)は、上記の点に関して追加の質問をすることなく(乙20~25)、災害防止要件に適合するとの判断をしたことが認められる。 以上のような経過に照らすと、原告は、その専門的知見に基づいて、 本件出願時において提出された設計概要説明書に記載された地層断面図の不確定性の程度に疑義を抱き、調査の具体的な内容を問い合わせていたにもかかわらず、沖縄防衛局の上記③の回答に対して、追加の質問や資料提出を求めることなく、災害防止要件に適合する旨の判断に至ったことが認められ、上記の地層断面図の不確定性を許容していたことがう かがわれるところである(他方、沖縄防衛局においても当然に上記の不確定性を認識していたものと考えられる。)。そうすると、原告が、本件変更承認申請の審査に至って、本件出願時における調査の不十分さを指摘して、変更の「正当ノ事由」に欠けると判断することは、合理 記の不確定性を認識していたものと考えられる。)。そうすると、原告が、本件変更承認申請の審査に至って、本件出願時における調査の不十分さを指摘して、変更の「正当ノ事由」に欠けると判断することは、合理性を欠くといわざるを得ない。 ウ小括 以上によれば、本件変更承認申請について「正当ノ事由」があるとは認められないとした判断は、その裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用した違法があるというべきである。したがって、これと同旨の本件是正の指示の理由は正当なものということができる。 8 本件是正の指示の適法性について 以上で判示したところによれば、埋立法の解釈及び適用という法的な観点からみる限り、本件変更不承認処分の処分理由等は、いずれも裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用した違法があり、法令違反等が認められるから、これと同旨の本件是正の指示の理由は正当なものといえる。 そして、本件変更不承認処分に係る上記の事務処理の違法は、処分理由等の 根拠とされた埋立法4条1項1号及び2号並びに13条ノ2第1項所定の各要件の審査における裁量判断の在り方自体に係るものであり、所管大臣においてこれを是正する必要性があるといえる。 したがって、本件是正の指示は適法であると認められる。 9 結論 よって、原告の請求は理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。 福岡高等裁判所那覇支部民事部 裁判長裁判官谷口豊 裁判官下和弘 裁判官吉賀朝哉 (別紙1)当事者目録当事者目録添付省略(152頁) 和弘 裁判官吉賀朝哉 (別紙1)当事者目録当事者目録添付省略(152頁) 当事者目録添付省略(153頁) 当事者目録添付省略(154頁) (別紙2)関係法令等の定め 第1 地方自治法(第245条) 本章において「普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与」とは、普通地方公共団体の事務の処理に関し、国の行政機関(内閣府設置法(平成11年法律第89号)第4条第3項に規定する事務をつかさどる機関たる内閣府、宮内庁、同法第49条第1項若しくは第2項に規定する機関、デジタル庁設置法(令和3年法律第36号)第4条第2項に規定する事務をつかさ どる機関たるデジタル庁、国家行政組織法(昭和23年法律第120号)第3条第2項に規定する機関、法律の規定に基づき内閣の所轄の下に置かれる機関又はこれらに置かれる機関をいう。以下本章において同じ。)又は都道府県の機関が行う次に掲げる行為(普通地方公共団体がその固有の資格において当該行為の名あて人となるものに限り、国又は都道府県の普通地方公共団 体に対する支出金の交付及び返還に係るものを除く。)をいう。 一普通地方公共団体に対する次に掲げる行為イ助言又は勧告ロ資料の提出の要求ハ是正の要求(普通地方公共団体の事務の処理が法令の規定に違反して いるとき又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害しているときに当該普通地方公共団体に対して行われる 資料の提出の要求ハ是正の要求(普通地方公共団体の事務の処理が法令の規定に違反して いるとき又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害しているときに当該普通地方公共団体に対して行われる当該違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことの求めであって、当該求めを受けた普通地方公共団体がその違反の是正又は改善のため必要な措置を講じなければならないものをいう。) ニ同意 ホ許可、認可又は承認ヘ指示ト代執行(普通地方公共団体の事務の処理が法令の規定に違反しているとき又は当該普通地方公共団体がその事務の処理を怠っているときに、その是正のための措置を当該普通地方公共団体に代わって行うことをい う。)二普通地方公共団体との協議三前二号に掲げる行為のほか、一定の行政目的を実現するため普通地方公共団体に対して具体的かつ個別的に関わる行為(相反する利害を有する者の間の利害の調整を目的としてされる裁定その他の行為(その双方を名あ て人とするものに限る。)及び審査請求その他の不服申立てに対する裁決、決定その他の行為を除く。)(第245条の7) 1 各大臣は、その所管する法律又はこれに基づく政令に係る都道府県の法定受託事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、又は著しく適正 を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるときは、当該都道府県に対し、当該法定受託事務の処理について違反の是正又は改善のため講ずべき措置に関し、必要な指示をすることができる。 2〜4 (略)(第250条の13) 1 普通地方公共団体の長その他の執行機関は、その担任する事務に関する国の関与のうち是正の要求、許可の拒否その他の処分その他公権力の行使に当たるもの(次に掲げるものを (第250条の13) 1 普通地方公共団体の長その他の執行機関は、その担任する事務に関する国の関与のうち是正の要求、許可の拒否その他の処分その他公権力の行使に当たるもの(次に掲げるものを除く。)に不服があるときは、委員会に対し、当該国の関与を行った国の行政庁を相手方として、文書で、審査の申出をすることができる。 一〜四 (略) 2〜7 (略)(第251条の5) 1 第250条の13第1項又は第2項の規定による審査の申出をした普通地方公共団体の長その他の執行機関は、次の各号のいずれかに該当するときは、高等裁判所に対し、当該審査の申出の相手方となった国の行政庁(国の関与 があった後又は申請等が行われた後に当該行政庁の権限が他の行政庁に承継されたときは、当該他の行政庁)を被告として、訴えをもって当該審査の申出に係る違法な国の関与の取消し又は当該審査の申出に係る国の不作為の違法の確認を求めることができる。ただし、違法な国の関与の取消しを求める訴えを提起する場合において、被告とすべき行政庁がないときは、当該訴え は、国を被告として提起しなければならない。 一第250条の14第1項から第3項までの規定による委員会の審査の結果又は勧告に不服があるとき。 二第250条の18第1項の規定による国の行政庁の措置に不服があるとき。 三当該審査の申出をした日から90日を経過しても、委員会が第250条の14第1項から第3項までの規定による審査又は勧告を行わないとき。 四国の行政庁が第250条の18第1項の規定による措置を講じないとき。 2〜10 (略)(第255条の2) 1 法定受託事務に係る次の各号に掲げる処分及びその不作為についての審査請求は、他の法律に特別の定めがある 8第1項の規定による措置を講じないとき。 2〜10 (略)(第255条の2) 1 法定受託事務に係る次の各号に掲げる処分及びその不作為についての審査請求は、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、当該各号に定める者に対してするものとする。この場合において、不作為についての審査請求は、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、当該各号に定める者に代えて、当該不作為に係る執行機関に対してすることもできる。 一都道府県知事その他の都道府県の執行機関の処分当該処分に係る事務 を規定する法律又はこれに基づく政令を所管する各大臣二〜四 (略) 2 普通地方公共団体の長その他の執行機関が法定受託事務に係る処分をする権限を当該執行機関の事務を補助する職員若しくは当該執行機関の管理に属する機関の職員又は当該執行機関の管理に属する行政機関の長に委任した場 合において、委任を受けた職員又は行政機関の長がその委任に基づいてした処分に係る審査請求につき、当該委任をした執行機関が裁決をしたときは、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、当該裁決に不服がある者は、再審査請求をすることができる。この場合において、当該再審査請求は、当該委任をした執行機関が自ら当該処分をしたものとした場合におけるその処 分に係る審査請求をすべき者に対してするものとする。 第2 行政不服審査法(行審法)(第4条)審査請求は、法律(条例に基づく処分については、条例)に特別の定めがある場合を除くほか、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定め る行政庁に対してするものとする。 一処分庁等(処分をした行政庁(以下「処分庁」という。)又は不作為に係る行政庁(以下「不作為庁」という。)をいう。以下同じ。)に上級行政 、当該各号に定め る行政庁に対してするものとする。 一処分庁等(処分をした行政庁(以下「処分庁」という。)又は不作為に係る行政庁(以下「不作為庁」という。)をいう。以下同じ。)に上級行政庁がない場合又は処分庁等が主任の大臣若しくは宮内庁長官若しくは内閣府設置法(平成11年法律第89号)第49条第1項若しくは第2項若しく は国家行政組織法(昭和23年法律第120号)第3条第2項に規定する庁の長である場合当該処分庁等二・三 (略)四前三号に掲げる場合以外の場合当該処分庁等の最上級行政庁(第7条) 1 (略) 2 国の機関又は地方公共団体その他の公共団体若しくはその機関に対する処分で、これらの機関又は団体がその固有の資格において当該処分の相手方となるもの及びその不作為については、この法律の規定は、適用しない。 (第52条) 1 裁決は、関係行政庁を拘束する。 2 申請に基づいてした処分が手続の違法若しくは不当を理由として裁決で取り消され、又は申請を却下し、若しくは棄却した処分が裁決で取り消された場合には、処分庁は、裁決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分をしなければならない。 3・4 (略) 第3 公有水面埋立法(埋立法)(第2条) 1 埋立ヲ為サムトスル者ハ都道府県知事(地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の19第1項ノ指定都市ノ区域内ニ於テハ当該指定都市ノ長以下同ジ)ノ免許ヲ受クヘシ 2 前項ノ免許ヲ受ケムトスル者ハ国土交通省令ノ定ムル所ニ依リ左ノ事項ヲ記載シタル願書ヲ都道府県知事ニ提出スベシ一氏名又ハ名称及住所並法人ニ在リテハ其ノ代表者ノ氏名及住所二埋立区域及埋立ニ関スル工事ノ施行区域三埋立地ノ用途 四設 リ左ノ事項ヲ記載シタル願書ヲ都道府県知事ニ提出スベシ一氏名又ハ名称及住所並法人ニ在リテハ其ノ代表者ノ氏名及住所二埋立区域及埋立ニ関スル工事ノ施行区域三埋立地ノ用途 四設計ノ概要五埋立ニ関スル工事ノ施行ニ要スル期間 3 前項ノ願書ニハ国土交通省令ノ定ムル所ニ依リ左ノ図書ヲ添附スベシ一埋立区域及埋立ニ関スル工事ノ施行区域ヲ表示シタル図面二設計ノ概要ヲ表示シタル図書 三資金計画書 四埋立地(公用又ハ公共ノ用ニ供スル土地ヲ除ク)ヲ他人ニ譲渡シ又ハ他人ヲシテ使用セシムルコトヲ主タル目的トスル埋立ニ在リテハ其ノ処分方法及予定対価ノ額ヲ記載シタル書面五其ノ他国土交通省令ヲ以テ定ムル図書(第3条) 1 都道府県知事ハ埋立ノ免許ノ出願アリタルトキハ遅滞ナク其ノ事件ノ要領ヲ告示スルトトモニ前条第2項各号ニ掲グル事項ヲ記載シタル書面及関係図書ヲ其ノ告示ノ日ヨリ起算シ3週間公衆ノ縦覧ニ供シ且期限ヲ定メテ地元市町村長ノ意見ヲ徴スベシ但シ其ノ出願ガ却下セラルベキモノナルトキハ此ノ限ニ在ラズ 2 都道府県知事前項ノ告示ヲ為シタルトキハ遅滞ナク其ノ旨ヲ関係都道府県知事ニ通知スベシ 3 第1項ノ告示アリタルトキハ其ノ埋立ニ関シ利害関係ヲ有スル者ハ同項ノ縦覧期間満了ノ日迄都道府県知事ニ意見書ヲ提出スルコトヲ得 4 市町村長第1項ノ規定ニ依リ意見ヲ述ベムトスルトキハ議会ノ議決ヲ経ル コトヲ要ス(第4条) 1 都道府県知事ハ埋立ノ免許ノ出願左ノ各号ニ適合スト認ムル場合ヲ除クノ外埋立ノ免許ヲ為スコトヲ得ズ一国土利用上適正且合理的ナルコト 二其ノ埋立ガ環境保全及災害防止ニ付十分配慮セラレタルモノナルコト三埋立地ノ用途ガ土地利用又ハ環境保全ニ関ス 除クノ外埋立ノ免許ヲ為スコトヲ得ズ一国土利用上適正且合理的ナルコト 二其ノ埋立ガ環境保全及災害防止ニ付十分配慮セラレタルモノナルコト三埋立地ノ用途ガ土地利用又ハ環境保全ニ関スル国又ハ地方公共団体(港務局ヲ含ム)ノ法律ニ基ク計画ニ違背セザルコト四埋立地ノ用途ニ照シ公共施設ノ配置及規模ガ適正ナルコト五第2条第3項第4号ノ埋立ニ在リテハ出願人ガ公共団体其ノ他政令ヲ以 テ定ムル者ナルコト並埋立地ノ処分方法及予定対価ノ額ガ適正ナルコト 六出願人ガ其ノ埋立ヲ遂行スルニ足ル資力及信用ヲ有スルコト 2 前項第4号及第5号ニ掲グル事項ニ付必要ナル技術的細目ハ国土交通省令ヲ以テ之ヲ定ム 3 都道府県知事ハ埋立ニ関スル工事ノ施行区域内ニ於ケル公有水面ニ関シ権利ヲ有スル者アルトキハ第1項ノ規定ニ依ルノ外左ノ各号ノ一ニ該当スル場 合ニ非ザレバ埋立ノ免許ヲ為スコトヲ得ス一其ノ公有水面ニ関シ権利ヲ有スル者埋立ニ同意シタルトキ二其ノ埋立ニ因リテ生スル利益ノ程度カ損害ノ程度ヲ著シク超過スルトキ三其ノ埋立カ法令ニ依リ土地ヲ収用又ハ使用スルコトヲ得ル事業ノ為必要ナルトキ (第11条)都道府県知事埋立ヲ免許シタルトキハ其ノ免許ノ日及第2条第2項第1号乃至第3号ニ掲グル事項ヲ告示スヘシ(第13条)埋立ノ免許ヲ受ケタル者ハ埋立ニ関スル工事ノ著手及工事ノ竣功ヲ都道府 県知事ノ指定スル期間内ニ為スヘシ(第13条ノ2) 1 都道府県知事正当ノ事由アリト認ムルトキハ免許ヲ為シタル埋立ニ関シ埋立区域ノ縮少、埋立地ノ用途若ハ設計ノ概要ノ変更又ハ前条ノ期間ノ伸長ヲ許可スルコトヲ得 2 第3条、第4条第1項及第2項並第11条ノ規定ハ前項ノ規定ニ依ル埋立地ノ用途ノ変更ノ許可ニ関シ 埋立区域ノ縮少、埋立地ノ用途若ハ設計ノ概要ノ変更又ハ前条ノ期間ノ伸長ヲ許可スルコトヲ得 2 第3条、第4条第1項及第2項並第11条ノ規定ハ前項ノ規定ニ依ル埋立地ノ用途ノ変更ノ許可ニ関シ第4条第1項及第2項ノ規定ハ前項ノ規定ニ依ル埋立区域ノ縮少又ハ設計ノ概要ノ変更ノ許可ニ関シ之ヲ準用ス(第32条) 1 左ニ掲クル場合ニ於テハ第22条第2項ノ告示ノ日前ニ限リ都道府県知事 ハ埋立ノ免許ヲ受ケタル者ニ対シ本法若ハ本法ニ基キテ発スル命令ニ依リテ 其ノ為シタル免許其ノ他ノ処分ヲ取消シ其ノ効力ヲ制限シ若ハ其ノ条件ヲ変更シ、埋立ニ関スル工事ノ施行区域内ニ於ケル公有水面ニ存スル工作物其ノ他ノ物件ヲ改築若ハ除却セシメ、損害ヲ防止スル為必要ナル施設ヲ為サシメ又ハ原状回復ヲ為サシムルコトヲ得一埋立ニ関スル法令ノ規定又ハ之ニ基キテ為ス処分ニ違反シタルトキ 二埋立ニ関スル法令ニ依ル免許其ノ他ノ処分ノ条件ニ違反シタルトキ三詐欺ノ手段ヲ以テ埋立ニ関スル法令ニ依ル免許其ノ他ノ処分ヲ受ケタルトキ四埋立ニ関スル工事施行ノ方法公害ヲ生スルノ虞アルトキ五公有水面ノ状況ノ変更ニ因リ必要ヲ生シタルトキ 六公害ヲ除却シ又ハ軽減スル為必要ナルトキ七前号ノ場合ヲ除クノ外法令ニ依リ土地ヲ収用又ハ使用スルコトヲ得ル事業ノ為必要ナルトキ 2 前項第7号ノ場合ニ於テ損害ヲ受ケタル者アルトキハ都道府県知事ハ同号ノ事業ヲ為ス者ヲシテ損害ノ全部又ハ一部ヲ補償セシムルコトヲ得 (第33条) 1 第22条第2項ノ告示アリタル後第29条第1項ノ規定、埋立ニ関スル法令ニ依ル免許其ノ他ノ処分ノ条件又ハ第30条ノ規定ニ依リ命スル義務ニ違反スル者アルトキハ都道府県知事ハ其ノ違反ニ因リテ生シタル事実ヲ更正セシメ又ハ其ノ違反 タル後第29条第1項ノ規定、埋立ニ関スル法令ニ依ル免許其ノ他ノ処分ノ条件又ハ第30条ノ規定ニ依リ命スル義務ニ違反スル者アルトキハ都道府県知事ハ其ノ違反ニ因リテ生シタル事実ヲ更正セシメ又ハ其ノ違反ニ因リテ生スル損害ヲ防止スル為必要ナル施設ヲ為サシム ルコトヲ得 2 都道府県知事ハ第47条第1項ノ国土交通大臣ノ認可ヲ受ケタル埋立ニ関シ前項ノ規定ニ依ル命令ヲ為サムトスルトキハ予メ国土交通大臣ニ報告スベシ(第34条) 1 左ニ掲クル場合ニ於テハ埋立ノ免許ハ其ノ効力ヲ失フ但シ都道府県知事ハ 宥恕スヘキ事由アリト認ムルトキハ効力ヲ失ヒタル日ヨリ起算シ3月内ニ限リ其ノ効力ヲ復活セシムルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ埋立ノ免許ハ始ヨリ其ノ効力ヲ失ハサリシモノト看做ス一免許条件ニ依リ埋立ニ関スル工事ノ実施設計認可ノ申請ヲ要スル場合ニ於テ申請ニ対シ不認可ノ処分アリタルトキ又ハ免許条件ニ於テ指定スル期 間内ニ申請ヲ為ササルトキ二第13条ノ期間内ニ埋立ニ関スル工事ノ著手又ハ工事ノ竣功ヲ為ササルトキ 2 前項但書ノ規定ニ依リ免許ノ効力ヲ復活セシメタル場合ニ於テハ都道府県知事ハ免許条件ヲ変更スルコトヲ得 (第35条) 1 埋立ノ免許ノ効力消滅シタル場合ニ於テハ免許ヲ受ケタル者ハ埋立ニ関スル工事ノ施行区域内ニ於ケル公有水面ヲ原状ニ回復スヘシ但シ都道府県知事ハ原状回復ノ必要ナシト認ムルモノ又ハ原状回復ヲ為スコト能ハスト認ムルモノニ付埋立ノ免許ヲ受ケタル者ノ申請アルトキ又ハ催告ヲ為スニ拘ラス其 ノ申請ナキトキハ原状回復ノ義務ヲ免除スルコトヲ得 2 前項但書ノ義務ヲ免除シタル場合ニ於テハ都道府県知事ハ埋立ニ関スル工事ノ施行区域内ニ於ケル公有水面ニ存スル土砂其ノ他ノ物件ヲ無償ニテ国ノ所有ニ属セシムルコト ハ原状回復ノ義務ヲ免除スルコトヲ得 2 前項但書ノ義務ヲ免除シタル場合ニ於テハ都道府県知事ハ埋立ニ関スル工事ノ施行区域内ニ於ケル公有水面ニ存スル土砂其ノ他ノ物件ヲ無償ニテ国ノ所有ニ属セシムルコトヲ得(第42条) 1 国ニ於テ埋立ヲ為サムトスルトキハ当該官庁都道府県知事ノ承認ヲ受クヘシ 2 埋立ニ関スル工事竣功シタルトキハ当該官庁直ニ都道府県知事ニ之ヲ通知スヘシ 3 第2条第2項及第3項、第3条乃至第11条、第13条ノ2(埋立地ノ用 途又ハ設計ノ概要ノ変更ニ係ル部分ニ限ル)乃至第15条、第31条、第3 7条並第44条ノ規定ハ第1項ノ埋立ニ関シ之ヲ準用ス但シ第13条ノ2ノ規定ノ準用ニ依リ都道府県知事ノ許可ヲ受クベキ場合ニ於テハ之ニ代ヘ都道府県知事ノ承認ヲ受ケ第14条ノ規定ノ準用ニ依リ都道府県知事ノ許可ヲ受クヘキ場合ニ於テハ之ニ代ヘ都道府県知事ニ通知スヘシ第4 港湾法(昭和25年法律第218号) (第2条)1〜4 (略) 5 この法律で「港湾施設」とは、港湾区域及び臨港地区内における第1号から第11号までに掲げる施設並びに港湾の利用又は管理に必要な第12号から第14号までに掲げる施設をいう。 一 (略)二外郭施設防波堤、防砂堤、防潮堤、導流堤、水門、閘こう門、護岸、堤防、突堤及び胸壁三〜十四 (略)6〜10 (略) (第56条の2の2) 1 水域施設、外郭施設、係留施設その他の政令で定める港湾の施設(以下「技術基準対象施設」という。)は、他の法令の規定の適用がある場合においては当該法令の規定によるほか、技術基準対象施設に必要とされる性能に関して国土交通省令で定める技術上の基準(以下「技術基準」という。)に適合 するように、建設し、改良し の適用がある場合においては当該法令の規定によるほか、技術基準対象施設に必要とされる性能に関して国土交通省令で定める技術上の基準(以下「技術基準」という。)に適合 するように、建設し、改良し、又は維持しなければならない。 2〜5 (略)第5 港湾法施行令(昭和26年政令第4号)(第19条)法第56条の2の2第1項の政令で定める港湾の施設は、次に掲げる港湾 の施設(その規模、構造等を考慮して国土交通省令で定める港湾の施設を除 く。)とする。ただし、第4号から第7号まで及び第10号から第12号までに掲げる施設にあっては、港湾施設であるものに限る。 一 (略)二外郭施設(海岸管理者が設置する海岸法(昭和31年法律第101号)第2条第1項に規定する海岸保全施設及び河川管理者が設置する河川法 (昭和39年法律第167号)第3条第2項に規定する河川管理施設を除く。)三〜十二 (略)第6 港湾の施設の技術上の基準を定める省令(平成19年国土交通省令第15号)(第2条) 1 技術基準対象施設は、自然状況、利用状況その他の当該施設が置かれる諸条件を勘案して、当該施設の要求性能を満足し、かつ、施工時に当該施設の構造の安定が損なわれないよう、適切に設計されるものとする。 2・3 (略)(第6条) 技術基準対象施設の設計、施工又は維持における、自然状況、利用状況その他の当該施設が置かれる諸条件の設定に関し必要な事項は、告示で定める。 (第24条)この章に規定する国土交通大臣が定める要件その他の外郭施設の要求性能に関し必要な事項は、告示で定める。 第7 港湾の施設の技術上の基準の細目を定める告示(平成19年国土交通省告示第395号。以下「基準告示」という 大臣が定める要件その他の外郭施設の要求性能に関し必要な事項は、告示で定める。 第7 港湾の施設の技術上の基準の細目を定める告示(平成19年国土交通省告示第395号。以下「基準告示」という。)(第3条) 1 技術基準対象施設の性能照査は、作用、供用に必要な要件及び当該施設の保有する性能の不確定性を考慮できる方法又はその他の方法であって信頼性 の高い方法によって行われなければならない。 2 (略)(第5条)当該施設が置かれる諸条件の設定に関し省令第6条の告示で定める事項は、次条から第20条までに定めるとおりとする。 (第13条) 地盤条件については、地盤調査及び土質試験の結果をもとに、土の物理的性質、力学的特性等を適切に設定するものとする。 (第33条)外郭施設の要求性能に関し省令第24条の告示で定める事項は、次条から第46条までに定めるとおりとする。 (第39条) 1 第49条から第52条までの構造の安定に係る規定(船舶の牽引及び接岸に関する規定を除く。)は、構造形式に応じて、防潮堤の性能規定について準用する。 2・3 (略) (第43条) 1 第39条の規定は、護岸の性能規定について準用する。 2 (略)(第49条)重力式係船岸の性能規定は、次の各号に定めるものとする。 一主たる作用が自重である永続状態に対して、地盤のすべり破壊の生じる危険性が限界値以下であること。 二 (略)第8 公有水面の埋立て又は干拓の事業に係る環境影響評価の項目並びに当該項目に係る調査、予測及び評価を合理的に行うための手法を選定するための指針、 環境の保全のための措置に関する指針等を定める省令(平成10年農林水産 省・運輸 価の項目並びに当該項目に係る調査、予測及び評価を合理的に行うための手法を選定するための指針、 環境の保全のための措置に関する指針等を定める省令(平成10年農林水産 省・運輸省・建設省令第1号。以下「環境保全省令」という。)(第24条) 1 事業者は、対象埋立て又は干拓事業に係る環境影響評価の調査の手法を選定するに当たっては、前条に定めるところによるほか、次の各号に掲げる調査の手法に関する事項について、それぞれ当該各号に定めるものを、選定項 目について適切に予測及び評価を行うために必要な範囲内で、当該選定項目の特性、事業特性及び地域特性を勘案し、並びに地域特性が時間の経過に伴って変化するものであることを踏まえ、当該選定項目に係る予測及び評価において必要とされる水準が確保されるよう選定しなければならない。 一〜五 (略) 2〜4 (略)(第32条) 1 事業者は、次の各号のいずれかに該当すると認められる場合において、環境影響の程度が著しいものとなるおそれがあるときは、対象埋立て又は干拓事業に係る工事の実施中及び竣功後の環境の状況を把握するための調査(以 下「事後調査」という。)を行わなければならない。 一予測の不確実性の程度が大きい選定項目について環境保全措置を講ずる場合二効果に係る知見が不十分な環境保全措置を講ずる場合三工事の実施中及び竣功後において環境保全措置の内容をより詳細なもの にする必要があると認められる場合四代償措置について、効果の不確実性の程度及び知見の充実の程度を勘案して事後調査が必要であると認められる場合 2 事業者は、事後調査の項目及び手法の選定に当たっては、次に掲げる事項に留意しなければならない。 一事後調査の必要性 知見の充実の程度を勘案して事後調査が必要であると認められる場合 事業者は、事後調査の項目及び手法の選定に当たっては、次に掲げる事項に留意しなければならない。 一 事後調査の必要性、事業特性及び地域特性に応じ適切な項目を選定すること。 二 事後調査を行う項目の特性、事業特性及び地域特性に応じ適切な手法を選定するとともに、事後調査の結果と環境影響評価の結果との比較検討が可能となるようにすること。 三 (略) 四 必要に応じ専門家の助言を受けることその他の方法により客観的かつ科学的な根拠に基づき選定すること。 以上 (別紙3)本件変更不承認処分に係る原告の審査基準及び処分理由 第1 許認可等に係る審査基準(埋立法(以下、本別紙において「法」ということがある。)第2条) 1〜3 (略) 4 許認可等の種類公有水面埋立の免許 5 審査規準Ⅰ 形式審査 (略)Ⅱ 内容審査 A 埋立の必要性 1 必要理由 埋立ての動機となった土地利用が埋立によらなければ充足されないか。 埋立ての動機となった土地利用に当該公有水面を廃止するに足る価値があると認められるか。 埋立地の土地利用開始予定時期からみて、今埋立てを開始しなければならないか。 埋立をしようとする場所が、埋立地の用途に照らして適切な場所と云えるか。 ・(略) 2 (略) B 免許禁止基準 1 法第4条第1項第1号 埋立ての規模及び位置が、適正かつ合理的か。 〜 2 (略)B 免許禁止基準 1 法第4条第1項第1号 〜(略) 埋立ての規模及び位置が、適正かつ合理的か。 〜(略) 2 法第4条第1項第2号 護岸、その他の工作物の施工において、周辺の状況に対応して、生活環境への悪影響、水質の悪化、有害物質の拡散、にごりの拡散、水産物等への悪影響、大気汚染、騒音、振動、植生・動物への悪影 響、自然景観への悪影響、文化財天然記念物等への悪影響、交通障害等の防止、その他環境保全に十分配慮した対策(護岸等の構造の選定、作業機器の選定、工事工法の選定資材等の運搬の手段及び経路、その他)がとられているか。 (略) 埋立土砂等の採取・運搬及び投入において、埋立てに関する工事の施行区域内及び周辺の状況に対応して、生活環境への悪影響、水質の悪化、有害物質の拡散、にごりの拡散、水産生物等への悪影響、粉塵・飛砂、悪臭、害虫、大気汚染、騒音、振動、植生・動物への悪影響、自然景観への悪影響、文化財天然記念物等への悪影響、交 通障害等の防止、その他環境保全に十分配慮した対策(埋立て工法の選定、作業機器の選定、埋立土等の運搬の手段及び経路の選定、土取場跡地の保全、その他)がとられているか。 (略) 埋立地の護岸の構造が、例えば、少なくとも海岸護岸築造基準に 適合している等、災害防止に十分配慮されているか。 埋立区域の場所の選定、埋立土砂の種類の選定、海底地盤又は埋立地の地盤改良等の工事方法の選定等に関して、埋立地をその用途に従がって利用するのに適した地盤となるよう災害防止につき十分配慮しているか。 ⑺ (略) 種類の選定、海底地盤又は埋立地の地盤改良等の工事方法の選定等に関して、埋立地をその用途に従がって利用するのに適した地盤となるよう災害防止につき十分配慮しているか。 ⑺ (略) 3〜6 (略)C~F (略)第2 許認可等に係る審査基準(埋立法第13条ノ2第1項)1〜3 (略) 4 許認可等の種類出願事項変更の許可 5 審査規準 変更の内容・理由が客観的見地から、やむを得ないと認められるもの。 用途変更に係るものについては、変更後の用途が埋立地でなければ充足されないことが公共的に是認できる場合に限る。 (略) 第3 本件変更不承認処分の処分理由 1 変更承認申請に「正当ノ事由」があると認められないこと審査事項「変更の内容・理由が客観的見地から、やむを得ないと認められるもの」に次の理由により適合しないと認められること埋立地の用途及び設計概要の変更にいたった理由については、客観的見地 からやむを得ないと考えられるが、下記2「埋立の必要性」~及び4「其ノ埋立ガ環境保全及災害防止ニ付十分配慮」、に記載しているとおり、変更内容について、やむを得ないとは認められない。 2 「埋立の必要性」について、合理性があると認められないこと審査事項「埋立ての動機となった土地利用が埋立によらなければ充足され ないか。」に次の理由により適合しないと認められること変更承認申請書による用途(「普天間飛行場代替施設建設のための造成用地」は除く。)及び土地利用に変更はないものの、埋立承認後に実施した土質調査を踏まえた地盤改良に伴い、工程の変更を含め、大幅な見直しとなっている。 地盤の安定性等に係る設計に関して最も重要な地点において 及び土地利用に変更はないものの、埋立承認後に実施した土質調査を踏まえた地盤改良に伴い、工程の変更を含め、大幅な見直しとなっている。 地盤の安定性等に係る設計に関して最も重要な地点において必要な調査が 実施されておらず、地盤の安定性等が十分に検討されていないことから、災害防止に十分配慮されているとは言い難い。 このようなことなどから、埋立ての動機となった土地利用が可能となるまで不確実性が生じており、普天間飛行場の危険性の早期除去にはつながらないため、「埋立ての動機となった土地利用が埋立によらなければ充足されな い」ことについて、合理性があるとは認められない。 審査事項「埋立ての動機となった土地利用に当該公有水面を廃止するに足る価値があると認められるか。」に次の理由により適合しないと認められること変更承認申請書による用途(「普天間飛行場代替施設建設のための造成用 地」は除く。)及び土地利用に変更はないものの、埋立承認後に実施した土質調査を踏まえた地盤改良に伴い、工程の変更を含め、大幅な見直しとなっている。 地盤の安定性等に係る設計に関して最も重要な地点において必要な調査が実施されておらず、地盤の安定性等が十分に検討されていないことから、災 害防止に十分配慮されているとは言い難い。 このようなことなどから、埋立ての動機となった土地利用が可能となるまで不確実性が生じており、普天間飛行場の危険性の早期除去にはつながらないため、「埋立ての動機となった土地利用に当該公有水面を廃止するに足る価値」があることについて、合理性があるとは認められない。 審査事項「埋立地の土地利用開始予定時期からみて、今埋立てを開始しなければならないか。」に次の理由により適合しないと認められること変更承認申 とについて、合理性があるとは認められない。 審査事項「埋立地の土地利用開始予定時期からみて、今埋立てを開始しなければならないか。」に次の理由により適合しないと認められること変更承認申請書による用途(「普天間飛行場代替施設建設のための造成用地」は除く。)及び土地利用に変更はないものの、埋立承認後に実施した土質調査を踏まえた地盤改良に伴い、工程の変更を含め、大幅な見直しとなっ ている。 本件事業(本件埋立事業のことをいう。以下、本別紙において同じ。)の埋立ては既に開始されているものの、土地利用開始予定時期は、地盤改良の追加等に伴い延伸されることとなっている。 また、地盤の安定性等に係る設計に関して最も重要な地点において必要な調査が実施されておらず、地盤の安定性等が十分に検討されていないことか ら、災害防止に十分配慮されているとは言い難い。 このようなことなどから、埋立地の土地利用開始時期にも不確実性が生じており、普天間飛行場の危険性の早期除去にはつながらないため、「埋立地の土地利用開始予定時期」について、合理性があるとは認められない。 審査事項「埋立をしようとする場所が、埋立地の用途に照らして適切な場 所と云えるか。」に次の理由により適合しないと認められること本件事業の埋立計画は、集落等の上空を避け環境問題や危険性の回避、既存の施設の一部を利用するなど「埋立地の用途に照らして適切な場所」であることに、一定の合理性は認められるものの、「埋立をしようとする場所」については、法第4条第1項第2号の審査結果でも記載しているとおり、埋 立予定地に軟弱地盤が確認されたことを踏まえ、設計概要変更申請が行われているが、災害防止に十分配慮した検討が実施されていないことから、「埋立をしようとする 審査結果でも記載しているとおり、埋 立予定地に軟弱地盤が確認されたことを踏まえ、設計概要変更申請が行われているが、災害防止に十分配慮した検討が実施されていないことから、「埋立をしようとする場所」について、合理性があるとは認められない。 3 「国土利用上適正且合理的ナルコト」(法第4条第1項第1号)の要件を充足しないこと 審査事項「埋立ての規模及び位置が、適正かつ合理的か。」に次の理由により適合しないと認められること本件事業の埋立計画は、集落等の上空を避け環境問題や危険性の回避、既存の施設の一部を利用するなど「埋立地の用途に照らして適切な場所」であることに、一定の合理性は認められるものの、「埋立をしようとする場所」 については、法第4条第1項第2号の審査結果でも記載しているとおり、軟 弱地盤が確認されたことを踏まえ、設計概要変更が行われているが、災害防止に十分配慮した検討が実施されていないことから、「埋立ての位置」について、合理性があるとは認められない。 4 「其ノ埋立ガ環境保全及災害防止ニ付十分配慮」(法第4条第1項第2号)の要件を充足しないこと 審査事項「護岸、その他の工作物の施工において、周辺の状況に対応して、生活環境への悪影響、水質の悪化、有害物質の拡散、にごりの拡散、水産物等への悪影響、大気汚染、騒音、振動、植生・動物への悪影響、自然景観への悪影響、文化財天然記念物等への悪影響、交通障害等の防止、その他環境保全に十分配慮した対策(護岸等の構造の選定、作業機器の選定、工事工法 の選定資材等の運搬の手段及び経路、その他)がとられているか。」に次の理由により適合しないと認められることアジュゴンへの影響について本件事業の実施がジュゴンに及ぼす影響について適切に情報 の選定資材等の運搬の手段及び経路、その他)がとられているか。」に次の理由により適合しないと認められることアジュゴンへの影響について本件事業の実施がジュゴンに及ぼす影響について適切に情報が収集されておらず、よって適切な予測が行われていない。 a 公有水面の埋立て又は干拓の事業に係る環境影響評価の項目並びに当該項目に係る調査、予測及び評価を合理的に行うための手法を選定するための指針、環境の保全のための措置に関する指針等を定める省令(環境保全省令。以下、本別紙において「省令」という。)第24条において、調査の手法を選定するに当たっては、事業特性及び地域 特性を勘案し、並びに地域特性が時間の経過に伴って変化するものであることを踏まえ、当該選定項目に係る予測及び評価において必要とされる水準が確保されるよう選定しなければならないとされている。 b 国指定天然記念物であるジュゴンは、環境省において平成19年8月にレッドリストの絶滅危惧ⅠA類に追加され、令和元年12月に公 表された国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストにおいて、日 本の南西諸島に生息するジュゴンの地域個体群が絶滅危惧ⅠA類にあると評価されており、可能な限り、本件事業の実施がジュゴンに及ぼす影響についての情報を収集するとともに、実行可能な範囲内において、ジュゴンへの環境保全措置を実施する必要がある。 c ジュゴンについては、平成30年9月以降嘉陽海域を主要な生息域 としていた個体Aが確認されない状況が続いており、また、令和2年2月から6月、8月にジュゴンの可能性の高い鳴音が施行区域内で録音されるなど地域特性が変化していることから、海上工事による水中音の調査・解析や評価基準、環境保全措置を検証する必要がある。 d ジュゴンへ ら6月、8月にジュゴンの可能性の高い鳴音が施行区域内で録音されるなど地域特性が変化していることから、海上工事による水中音の調査・解析や評価基準、環境保全措置を検証する必要がある。 d ジュゴンへの工事による影響については、海中土木工事及び作業船 を予測対象工種とし、具体的には、杭打ち工事の杭打ち船や土砂を運搬する作業船(ガット船、土運船)等から発生する水中音を対象としている。 e 水中音の予測は、リーフによる仮想障壁の設定や、浅海域における吸収・反射の影響を強く受けると考えられるとして、海況や底質に依 存する近距離音場の不規則性による効果を考慮しているが、大浦湾は、水深が20m以上の個所が存在するなど地形が複雑であることから、不確実性が含まれると考えられるが、変更前と同様な予測となっている。 f 埋立工事が行われ多数の船舶が航行していること等水中音を発する 工事が実施されていることからすれば、水中音調査を実施し、予測値と実測値を比較し、必要に応じて、予測値の補正を行う等してより精度の高い水中音等を予測し、当該予測に基づき環境保全措置を検討することも実行可能である。 g ジュゴンについては、承認後の令和元年12月に公表された国際自 然保護連合(IUCN)のレッドリストにおいて、南西諸島に生息す るジュゴンの地域個体群が絶滅危惧ⅠA類に評価されている。ジュゴン保護の重要性や水中音を発する船舶が航行するなど地域特性に変化が生じていること、水中音の予測に不確実性が含まれることを鑑みると、水中音の調査を行わず、予測値と実測値の比較が行われていないことは、調査の手法について必要な水準が確保されているとは言えな い。よって、本件事業の実施がジュゴンに及ぼす影響について適切に情報が収集されておら 行わず、予測値と実測値の比較が行われていないことは、調査の手法について必要な水準が確保されているとは言えな い。よって、本件事業の実施がジュゴンに及ぼす影響について適切に情報が収集されておらず、適切な予測が行われているとは言えない。 本件事業の実施により生じ得る環境への影響を回避又は軽減するために採り得る措置が的確に検討されておらず、措置を講じた場合の効果が適切に評価されていない。 a ジュゴンに対する水中音による影響について変更後の環境保全図書では、「ジュゴンが高い頻度で確認されていた安部から嘉陽地先西側の範囲においては、瞬時の音により障害や行動阻害を引き起こす影響はなく、累積する音による障害や行動阻害の影響もないと考えられます。」としている。 b また、沖縄県からの質問に対して事業者は、「変更後においても、変更前と同様に、初めて杭打ち工事を行う際に水中音を測定し、予測した音圧レベルを超過する場合やジュゴンの生息範囲における水中音圧レベルが評価基準以上となる場合には、杭打ち工事から発生する水中音を低減する対策を検討することが適当と考えています。この場合 には、水中音の低減策を検討する中で、必要に応じて、水中音の測定を継続することを考えています。他方、水中音の測定の結果、予測した音圧レベルを超過せず、かつ、ジュゴンの生息範囲における音圧レベルが評価基準を下回る場合は、ジュゴンへの影響は軽微と考えられるため、水中音調査を継続して実施する必要はないと考えています。」 としている。 c ジュゴンについては、平成30年9月以降嘉陽海域を主要な生息域としていた個体Aが確認されない状況が続いており、一方で、令和2年2月から6月、8月にジュゴンの可能性の高い鳴音が施行区域内で録音される ジュゴンについては、平成30年9月以降嘉陽海域を主要な生息域としていた個体Aが確認されない状況が続いており、一方で、令和2年2月から6月、8月にジュゴンの可能性の高い鳴音が施行区域内で録音されるなど地域特性が変化しており、安部から嘉陽地先西側の範囲への水中音の影響に加え、ジュゴンが来遊した際の影響を考慮し、 環境保全措置を検討する必要がある。しかしながら、変更前と同様な手法で、安部から嘉陽地先西側の範囲においては、瞬時の音による障害や行動阻害を引き起こす影響の予測・評価となっており、ジュゴンの生息域に変化が生じていることを踏まえた環境保全措置となっておらず、的確に環境保全措置が検討されているとは認められない。 d また、事業者が設定しているジュゴンの水中音の評価基準(障害:230dbre:1μpa等)については、2019年の論文において、当該評価基準よりも低い値が新たに提案されていることからすると、水中音によるジュゴンへの影響については、研究の進展によっては、更に低い値で影響を及ぼす可能性もあり、不確実性があるもの と考えられる。 e 事業者は、事後調査において、水中音の測定の結果、予測した音圧レベルを超過せず、かつ、ジュゴンの生息範囲における音圧レベルが評価基準を下回る場合は、ジュゴンへの影響は軽微と考えられるため、水中音調査を継続して実施する必要はないとしている。 f 省令第32条第2項第2号では、「事後調査を行う項目の特性、事業特性及び地域特性に応じ適切な手法を選定するとともに、事後調査の結果と環境影響評価の結果との比較検討が可能となるようにすること。」とされている。 g ジュゴンの水中音の評価基準に不確実性があることやジュゴンの生 息範囲に変化が生じているにも係わらず、水中音の調査は 響評価の結果との比較検討が可能となるようにすること。」とされている。 g ジュゴンの水中音の評価基準に不確実性があることやジュゴンの生 息範囲に変化が生じているにも係わらず、水中音の調査は、変更後に おいても、変更前と同様に、杭打ち工事の実施時期まで水中音の調査を実施しないとしており、更に、ジュゴンの生息範囲における音圧レベルが評価基準を下回る場合は、ジュゴンへの影響は軽微と考えられるため、水中音調査を継続して実施する必要はないとしている。 事業者の行う事後調査では、杭打ち工事前にジュゴンが大浦湾に来 遊した際の水中音による影響や、評価基準値以下の範囲内におけるジュゴンへの影響について確認することができず、事後調査の結果と環境影響評価の結果との比較検討が可能となっておらず、省令第32条第2項第2号に適合しているとは認められない。 よって、事業の実施により生じ得る環境への影響を回避又は軽減す るために採り得る措置が的確に検討されておらず、措置を講じた場合の効果が適切に評価されていない。 イ地盤改良に伴う盛り上がり箇所についてサンドコンパクションパイル工法(SCP工法)の実施に伴う地盤の盛り上がりが環境に及ぼす影響について適切に情報が収集されていな い。 a 省令第24条において、調査の手法を選定するに当たっては、予測及び評価において必要とされる水準が確保されるよう選定しなければならないこととされている。 b 事業者は、地盤改良に伴う盛り上がり箇所の調査について、「変更 後の海底改変範囲は、変更前と比較して約1%増加したにとどまり、かつ、増加した範囲は変更前の海底改変範囲に隣接していることから、海底状況が大きく変化するものではありません。」としている。 c しかしながら、地盤 囲は、変更前と比較して約1%増加したにとどまり、かつ、増加した範囲は変更前の海底改変範囲に隣接していることから、海底状況が大きく変化するものではありません。」としている。 c しかしながら、地盤改良として改良径2m及び1.6mのSCP工法を東側護岸の約1kmに約1万6千本実施することにより盛り上が る箇所は、水深が深くなる斜面部に位置しており、変更前の海底改変 範囲に隣接しているとしても、海底改変範囲と異なる環境も含まれており、一般的に環境が異なると、生息している生物も異なると考えられ、また、盛り上がりの面積も1.8haと小さい範囲とはなっていない。 d 辺野古・大浦湾周辺の海域は、陸域から流れ込む河川、特異な地形 的特徴を反映し、多様な生態系が狭い水域に組み合わさっており、ジュゴンやウミガメ類などの絶滅危惧種262種をはじめ、5334種の生物が生息しており、ここ10数年の間に多くの希少種等が発見されている。 eSCP工法の実施に伴い地盤が盛り上がる箇所は、水深が深くなる 斜面部となっており、変更前の海底改変範囲と異なる環境が含まれていることを考慮した場合、盛り上がり箇所の調査が実施されていないことについて、調査の手法について必要な水準が確保されているとは言えない。 よって、地盤の盛り上がりが環境に及ぼす影響について適切に情報 が収集されておらず、適切な予測が行われているとは認められない。 以上のことから、審査事項「護岸、その他の工作物の施工において、周辺の状況に対応して、生活環境への悪影響、水質の悪化、有害物質の拡散、にごりの拡散、水産物等への悪影響、大気汚染、騒音、振動、植生・動物への悪影響、自然景観への悪影響、文化財天然記念物等への悪影響、交通障害等 の防止、その他環境保 水質の悪化、有害物質の拡散、にごりの拡散、水産物等への悪影響、大気汚染、騒音、振動、植生・動物への悪影響、自然景観への悪影響、文化財天然記念物等への悪影響、交通障害等 の防止、その他環境保全に十分配慮した対策(護岸等の構造の選定、作業機器の選定、工事工法の選定資材等の運搬の手段及び経路、その他)がとられているか。」に適合しない。 審査事項「埋立土砂等の採取・運搬及び投入において、埋立てに関する工事の施行区域内及び周辺の状況に対応して、生活環境への悪影響、水質の悪 化、有害物質の拡散、にごりの拡散、水産生物等への悪影響、粉塵・飛砂、 悪臭、害虫、大気汚染、騒音、振動、植生・動物への悪影響、自然景観への悪影響、文化財天然記念物等への悪影響、交通障害等の防止、その他環境保全に十分配慮した対策(埋立て工法の選定、作業機器の選定、埋立土等の運搬の手段及び経路の選定、土取場跡地の保全、その他)がとられているか。」に次の理由により適合しないと認められること アジュゴンへの影響について本件事業の実施がジュゴンに及ぼす影響について適切に情報が収集されておらず、よって適切な予測が行われていない。 a 省令第24条において、調査の手法を選定するにあたっては、事業特性及び地域特性を勘案し、並びに地域特性が時間の経過に伴って変 化するものであることを踏まえ、当該選定項目に係る予測及び評価において必要とされる水準が確保されるよう選定しなければならないとされている。 b 国指定天然記念物であるジュゴンは、環境省において平成19年8月にレッドリストの絶滅危惧ⅠA類に追加され、令和元年12月に公 表された国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストにおいて、日本の南西諸島に生息するジュゴンの地域個体群が絶滅 て平成19年8月にレッドリストの絶滅危惧ⅠA類に追加され、令和元年12月に公 表された国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストにおいて、日本の南西諸島に生息するジュゴンの地域個体群が絶滅危惧ⅠA類にあると評価されており、可能な限り、事業の実施がジュゴンに及ぼす影響についての情報を収集するとともに、実行可能な範囲内において、ジュゴンへの環境保全措置を実施する必要がある。 c ジュゴンへの工事による影響については、海中土木工事及び作業船を予測対象工種とし、具体的には、杭打ち工事の杭打ち船や土砂を運搬する作業船(ガット船、土運船)等から発生する水中音を対象としている。 d 水中音の予測は、リーフによる仮想障壁の設定や、浅海域における 吸収・反射の影響を強く受けると考えられるとして、海況や底質に依 存する近距離音場の不規則性による効果を考慮しているが、大浦湾は、水深が20m以上の個所が存在するなど地形が複雑であることから、不確実性が含まれると考えられる。 e 承認後は、埋立工事が行われ多数の船舶が航行していること等水中音を発する工事が実施されていることから、水中音調査を実施し、予 測値と実測値を比較し、必要に応じて、予測値の補正を行う等してより精度の高い水中音等を予測し、当該予測に基づき環境保全措置を検討することも実行可能である。 f ジュゴンについては、承認後の令和元年12月に公表された国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストにおいて、南西諸島に生息す るジュゴンの地域個体群が絶滅危惧ⅠA類に評価されている。ジュゴン保護の重要性や水中音を発する船舶が航行するなど地域特性に変化が生じていること、水中音の予測に不確実性が含まれることを鑑みると、水中音の調査を行わず、予測値と実測値の比 類に評価されている。ジュゴン保護の重要性や水中音を発する船舶が航行するなど地域特性に変化が生じていること、水中音の予測に不確実性が含まれることを鑑みると、水中音の調査を行わず、予測値と実測値の比較が行われていないことは、調査の手法について必要な水準が確保されているとは言えな い。よって、事業の実施がジュゴンに及ぼす影響について適切に情報が収集されておらず、適切な予測が行われているとは言えない。 事業の実施により生じ得る環境への影響を回避又は軽減するために採り得る措置が的確に検討されておらず、措置を講じた場合の効果が適切に評価されていない。 a ジュゴンに対する水中音による影響について変更後の環境保全図書では、「ジュゴンが高い頻度で確認されていた安部から嘉陽地先西側の範囲においては、瞬時の音により障害や行動阻害を引き起こす影響はなく、累積する音による障害や行動阻害の影響もないと考えられます。」としている。 b また、沖縄県からの質問に対して事業者は、「変更後においても、 変更前と同様に、初めて杭打ち工事を行う際に水中音を測定し、予測した音圧レベルを超過する場合やジュゴンの生息範囲における水中音圧レベルが評価基準以上となる場合には、杭打ち工事から発生する水中音を低減する対策を検討することが適当と考えています。この場合には、水中音の低減策を検討する中で、必要に応じて、水中音の測定 を継続することを考えています。他方、水中音の測定の結果、予測した音圧レベルを超過せず、かつ、ジュゴンの生息範囲における音圧レベルが評価基準を下回る場合は、ジュゴンへの影響は軽微と考えられるため、水中音調査を継続して実施する必要はないと考えています。」としている。 c ジュゴンについては、平成30年9月 音圧レベルが評価基準を下回る場合は、ジュゴンへの影響は軽微と考えられるため、水中音調査を継続して実施する必要はないと考えています。」としている。 c ジュゴンについては、平成30年9月以降嘉陽海域を主要な生息域としていた個体Aが確認されない状況が続いており、一方で、令和2年2月から6月、8月にジュゴンの可能性の高い鳴音が施行区域内で録音されるなど地域特性が変化しており、安部から嘉陽地先西側の範囲への水中音の影響に加え、ジュゴンが来遊した際の影響を考慮し、 環境保全措置を検討する必要がある。しかしながら、変更前と同様な手法で、安部から嘉陽地先西側の範囲においては、瞬時の音による障害や行動阻害を引き起こす影響の予測・評価となっており、ジュゴンの生息域に変化が生じていることを踏まえた環境保全措置となっておらず、的確に環境保全措置が検討されているとは認められない。 d また、事業者が設定しているジュゴンの水中音の評価基準(障害:230dbre:1μpa等)については、2019年の論文において、評価基準よりも低い値が新たに提案されていることから、水中音によるジュゴンへの影響については、研究の進展によっては、更に低い値で影響を及ぼす可能性もあり、不確実性があるものと考えられ る。 e 事業者は、事後調査において、水中音の測定の結果、予測した音圧レベルを超過せず、かつ、ジュゴンの生息範囲における音圧レベルが評価基準を下回る場合は、ジュゴンへの影響は軽微と考えられるため、水中音調査を継続して実施する必要はないとしている。 f 省令第32条第2項第2号では、「事後調査を行う項目の特性、事 業特性及び地域特性に応じ適切な手法を選定するとともに、事後調査の結果と環境影響評価の結果との比較検討が 要はないとしている。 f 省令第32条第2項第2号では、「事後調査を行う項目の特性、事 業特性及び地域特性に応じ適切な手法を選定するとともに、事後調査の結果と環境影響評価の結果との比較検討が可能となるようにすること」とされている。 g ジュゴンの水中音の評価基準に不確実性があることやジュゴンの生息範囲に変化が生じているにも係わらず、水中音の調査は、変更後に おいても、変更前と同様に、杭打ち工事の実施時期まで水中音の調査を実施しないとしており、更に、ジュゴンの生息範囲における音圧レベルが評価基準を下回る場合は、ジュゴンへの影響は軽微と考えられるため、水中音調査を継続して実施する必要はないとしている。 事業者の行う事後調査では、杭打ち工事前にジュゴンが大浦湾に来 遊した際の水中音による影響や、評価基準値以下の範囲内におけるジュゴンへの影響について確認することができず、事後調査の結果と環境影響評価の結果との比較検討が可能となっておらず、省令第32条第2項第2号に適合しているとは認められない。 よって、事業の実施により生じ得る環境への影響を回避又は軽減す るために採り得る措置が的確に検討されておらず、措置を講じた場合の効果が適切に評価されていない。 以上のことから審査事項「埋立土砂等の採取・運搬及び投入において、埋立てに関する工事の施行区域内及び周辺の状況に対応して、生活環境への悪影響、水質の悪化、有害物質の拡散、にごりの拡散、水産生物等への悪影響、 粉塵・飛砂・悪臭、害虫、大気汚染、騒音、振動、植生・動物への悪影響、 自然景観への悪影響、文化財天然記念物等への悪影響、交通障害等の防止その他環境保全に十分配慮した対策(埋立て工法の選定、作業機器の選定、埋立土等の運搬の手段及び経路の選定、土 響、 自然景観への悪影響、文化財天然記念物等への悪影響、交通障害等の防止その他環境保全に十分配慮した対策(埋立て工法の選定、作業機器の選定、埋立土等の運搬の手段及び経路の選定、土取場跡地の保全、その他)がとられているか。」に適合しない。 審査事項「埋立地の護岸の構造が、例えば、少なくとも海岸護岸築造基準 に適合している等、災害防止に十分配慮されているか。」に次の理由により適合しないと認められること。 護岸や地盤の安定性能の照査方法については、港湾法第56条の2の2の規定に基づく港湾の施設に関する技術上の基準(技術基準)により具体的に規定されており、当該基準については、国土交通省港湾局監修による「港湾 の施設の技術上の基準・同解説」(以下、本別紙において「港湾基準・同解説」という。)において詳細に解説されている。また、技術検討会資料においても、主に、技術基準を参照し地盤の安定性等について性能照査を行っている。このようなことから、「少なくとも海岸護岸築造基準に適合している等」については、技術基準への適合状況について審査を行う。 ア地盤改良箇所の状況a 改良が必要とされる地盤(「粘性土」と粘性土と砂質土の中間的な性質をもつ「中間土」)は、C護岸から護岸(係船機能付)付近に分布しており、中でもC-1-1-1護岸のB-27地点付近において、粘性土(Avf-c層及びAvf-c2層)が水面下約90mに達している。 また、B-27地点付近は、護岸設置箇所において唯一Avf-c2層が存在しており、一部未改良の粘性土が残置する計画となっているほか、地盤の安定性を保つために使用される軽量盛土の範囲が広範に渡っている。 bB-27地点付近は、港湾法施行規則において規定されている、公 共の安全そ の粘性土が残置する計画となっているほか、地盤の安定性を保つために使用される軽量盛土の範囲が広範に渡っている。 bB-27地点付近は、港湾法施行規則において規定されている、公 共の安全その他の公益上の影響が著しいと認められる外郭施設(外周護 岸)(港湾基準・同解説p10)の設置場所となっており、更に、飛行場として運用上重要な、滑走路の延長線上となっている。 c これらのことから、供用後50年の使用を見込んでいる飛行場の安定的な運用を図る上でも、C-1-1-1護岸のB-27地点付近の地盤条件の設定が、災害防止に関して最も重要と考える。 イ B-27地点の力学的試験の必要性についてaC-1-1-1護岸のB-27地点においては三軸圧縮試験等の力学的試験が実施されておらず、同地点付近に存在する粘性土のAvf-c2層のせん断強さについては、港湾基準・同解説p304に示された地盤物性値の推定に示された方法で検討して、S-3、S-20、B- 58地点の三軸圧縮試験等の力学的試験から類推して求めている。 b しかしながら、技術基準及び港湾の施設の技術上の基準の細目を定める告示(基準告示。以下、本別紙において「告示」という。)第13条において「地盤条件については、地盤調査及び土質試験の結果をもとに、土の物理的性質、力学的特性等を適切に設定するものとする。」と 規定されており、更に、その[解釈]として「地盤調査に当たっては、技術基準対象施設の構造、規模及び重要度、並びに当該施設を設置する地点周辺の性状を適切に考慮する。」とある(港湾基準・同解説p300)。 cB-27地点付近は、港湾法施行規則において規定されている、公 共の安全その他の公益上の影響が著しいと認められる外郭施設(外周護岸)(港 慮する。」とある(港湾基準・同解説p300)。 cB-27地点付近は、港湾法施行規則において規定されている、公 共の安全その他の公益上の影響が著しいと認められる外郭施設(外周護岸)(港湾基準・同解説p10)の設置場所となっている。また、粘性土(Avf-c層及びAvf-c2層)が水面下約90mに達し、護岸設置箇所において唯一Avf-c2層が存在しており、更に、一部未改良の粘性土が残置する計画となっているほか、地盤の安定性を保つため に使用される軽量盛土の範囲が広範に渡っている。 dAvf-c2層のせん断強さは、護岸等の安定性能照査に用いられる照査用震度の算出にも関係しており、護岸の滑動、転倒及び支持力などの安定計算にも影響するなど、設計に大きく関わる。 e 事業者は、港湾基準・同解説に基づく設計手法により検討しているものの、軟弱地盤の最深部が位置するB-27地点において力学的試験 を行わず、約150m離れたS-3地点、約300m離れたS-20地点、約750m離れたB-58地点からせん断強さを類推しており、地点周辺の性状等を適切に考慮しているとは言い難い。 f 軟弱地盤の最深部が位置するC-1-1-1護岸直下のAvf-c2層のせん断強さは、同一層と判断した他の3地点からの類推ではなく、 B-27地点における三軸圧縮試験等の力学的試験等を実施し、その結果をもって設定することが最も適切と考えられ、告示第13条に規定に適合しているとは認められない。 以上のことから、審査事項「埋立地の護岸の構造が、例えば、少なくとも海岸護岸築造基準に適合している等災害防止に十分配慮されているか。」に 適合しない。 審査事項「埋立区域の場所の選定、埋立土砂の種類の選定、海底地盤又は埋立地の地盤改良等の ば、少なくとも海岸護岸築造基準に適合している等災害防止に十分配慮されているか。」に 適合しない。 審査事項「埋立区域の場所の選定、埋立土砂の種類の選定、海底地盤又は埋立地の地盤改良等の工事方法の選定等に関して、埋立地をその用途に従って利用するのに適した地盤となるよう災害防止につき十分配慮しているか。」に次の理由により適合しないと認められること。 ア地盤改良箇所の状況a 上記4アで示したとおり、供用後50年の使用を見込んでいる飛行場の安定的な運用を図る上でも、C-1-1-1護岸のB-27地点付近の地盤条件の設定が、災害防止に関して最も重要と考える。 イ B-27地点の力学的試験の必要性について aB-27地点において三軸圧縮試験等の力学的試験が実施されてお らず、C-1-1-1護岸直下のAvf-c2層のせん断強さについては、港湾基準・同解説p304に示された地盤物性値の推定に示された方法で検討して、S-3、S-20、B-58地点の三軸圧縮試験等の力学的試験から類推して求めている。 b しかしながら、告示第13条において「地盤条件については、地盤 調査及び土質試験の結果をもとに、土の物理的性質、力学的特性等を適切に設定するものとする。」と規定されており、更に、その[解釈]として「地盤調査に当たっては、技術基準対象施設の構造、規模及び重要度、並びに当該施設を設置する地点周辺の性状を適切に考慮する。」とある(港湾基準・同解説p300)。 c 事業者は、港湾基準・同解説に基づく設計手法により検討しているものの、軟弱地盤の最深部が位置するB-27地点において力学的試験を行わず、約150m離れたS-3地点、約300m離れたS-20地点、約750m離れたB-58地点からせん断強さ 法により検討しているものの、軟弱地盤の最深部が位置するB-27地点において力学的試験を行わず、約150m離れたS-3地点、約300m離れたS-20地点、約750m離れたB-58地点からせん断強さを類推しており、地点周辺の性状等を適切に考慮しているとは言い難い。 d 軟弱地盤の最深部が位置するC-1-1-1護岸直下のAvf-c2層のせん断強さは、同一層と判断した他の3地点からの類推ではなく、B-27地点における三軸圧縮試験等の力学的試験等を実施し、その結果をもって設定することが最も適切と考えられ、告示第13条に規定に適合しているとは認められない。 ウ施工時の地盤の安定性についてa 告示第3条において、「技術基準対象施設の性能照査は、作用、供用に必要な要件及び当該施設の保有する性能の不確定性を考慮できる方法又はその他の方法であって信頼性の高い方法によって行わなければならない。」と規定されている(港湾基準・同解説p24)。 b 施工時の地盤の安定性能照査について、C-1-1-1護岸付近に は深い谷地形があり、護岸設置箇所において唯一粘性土のAvf-c2層が存在しているが、C-2-1-1護岸付近には粘性土がわずかしか存在しないなど、護岸毎の地盤条件が異なることから、これらの不確定性を考慮する必要があると考える。 c 事業者は、施工時の安定計算に用いる部分係数は、港湾基準・同解 説p749を参考とし、施工中に計測施工を行う前提で、C-1護岸~C-3護岸、護岸(係船機能付)について、一律に部分係数γS=1. 00、γR=1.00、調整係数m=1.10としたとしている。 d 事業者に対し、安定計算に用いる調整係数mを一律に下限値の1. 10とするのではなく、護岸毎に地盤条件や施設の重要性を勘案し S=1. 00、γR=1.00、調整係数m=1.10としたとしている。 d 事業者に対し、安定計算に用いる調整係数mを一律に下限値の1. 10とするのではなく、護岸毎に地盤条件や施設の重要性を勘案し、合 理的な値を設定する必要がある旨を確認したところ、事業者から、①引用元の論文を参考文献とした上で、それでもなお、港湾基準・同解説において計測施工を実施する場合は、1.10以上とすることができるとされている、②「道路土工盛土指針(平成22年度版)」に情報化施工を適用する場合には盛土施工直後の安全率を1.1としてよいとされて いる、③第6回技術検討会において、動態観測を行うのであれば調整係数を1.10とすることは妥当との意見が委員から述べられている、との説明はあったものの、護岸毎の地盤条件や施設の重要性の勘案についての説明はなかった。 e 一方で、事業者は、完成時(永続状態)においては、港湾基準・同 解説p1070に基づき、粘性土の変動係数等で区分して部分係数、調整係数を設定している。 f 港湾基準・同解説p13には、「具体的な性能照査の手法の選択や許容される安全性余裕を表す指標及び変形量等の限界値の設定は、設計者の判断を尊重している」とされているが、事業者からは、性能照査にあ たって地盤条件等の不確定性をどのように判断し、調整係数mを1.1 0と設定したか明確に示されていない。 g 調整係数は、地盤条件の不確定要素を調整するための係数であり、B-27地点の力学的試験の必要性にも関わってくる。軟弱地盤の最深部があるB-27地点が、地盤の安定性について最も危険な断面であり、B-27地点の地盤条件を力学的試験等により適切に設定することが、 不確定性を考慮できる方法の1つであると考える。 h し 深部があるB-27地点が、地盤の安定性について最も危険な断面であり、B-27地点の地盤条件を力学的試験等により適切に設定することが、 不確定性を考慮できる方法の1つであると考える。 h したがって、B-27地点の地盤条件を適切に設定しておらず、地盤の均一性や地盤定数の信頼性等の区分についても合理的な説明がないため、どのように不確定性を考慮したか不明であり、告示第3条への適合について判断できない。なお、B-27地点で力学的試験等を実施し た場合のせん断強さの値は変わる可能性があり、それに伴い、完成時の作用耐力比の値も変わる可能性がある。 エ地盤改良工法の実績(地盤改良深度をC.D.L.-70mまでとし、約20mの未改良部が残ること)についてa 告示第43条において準用する第39条において準用する第49条 第1項において「主たる作用が自重である永続状態に対して、地盤のすべり破壊の生じる危険性が限界値以下であること。」と規定されている。 b 事業者は、SCP工法について、韓国において改良径2mと1.6mを深度C.D.L.-70mまで実施した実績があるとしており、本事業においては、深度C.D.L.-70m以深の粘性土約20mが未 改良部で残るとしている。 c 深度C.D.L.-70m以深の地盤改良については、これまでに施工実績がないことから、現時点における技術力では施工できないものと考えられる。 d 一方、事業者は、地盤の円弧すべりについて、地盤改良箇所を通過 するすべりと、地盤改良せずに軟弱地盤が存置する箇所を通過するすべ りを検討し、どちらも作用耐力比が1.0未満であることから、安定性能照査基準を満足するとしているため、約20mの未改良部が残ることが、設計上問題があるとは言えない 所を通過するすべ りを検討し、どちらも作用耐力比が1.0未満であることから、安定性能照査基準を満足するとしているため、約20mの未改良部が残ることが、設計上問題があるとは言えない。 e しかしながら、作用耐力比の算出には地盤のせん断強さが関係することから、B-27地点の力学的試験の必要性にも関わってくる。C- 1-1-1護岸のB-27地点付近に存在する粘性土のAvf-c2層のせん断強さは、同一層と判断した他の3地点からの類推であるため、B-27地点で力学的試験等を実施した場合のせん断強さの値は変わる可能性があり、それに伴い、作用耐力比の値も変わる可能性がある。 f 軟弱地盤の最深部が位置するC-1-1-1護岸直下のAvf-c 2層のせん断強さは、同一層と判断した他の3地点からの類推ではなく、B-27地点における三軸圧縮試験等の力学的試験等を実施し、その結果をもって設定することが最も適切と考える。また、B-27地点の力学的試験を実施していないことについて、性能照査にあたっては、適切に不確実性を考慮する必要があると考えられる。 以上のことから、審査事項「埋立区域の場所の選定、埋立土砂の種類の選定、海底地盤又は埋立地の地盤改良等の工事方法の選定等に関して、埋立地をその用途に従って利用するのに適した地盤となるよう災害防止につき十分配慮しているか。」に適合しない。 以上 (別紙4)処分庁の主張の要旨 第1 「埋立ての位置」の合理性を欠き第1号要件適合性が認められないこと 1 埋立法(以下、本別紙において「法」という。)13条ノ2第2項による法 4条1項の準用法42条3項により国のなす埋立てについて準用されている出願事項の変更の根拠規定である法1 1 埋立法(以下、本別紙において「法」という。)13条ノ2第2項による法 4条1項の準用法42条3項により国のなす埋立てについて準用されている出願事項の変更の根拠規定である法13条ノ2は、2項において埋立免許の規定である法4条1項を準用している。 免許処分についての前提となった事実の相違の程度や当該事実の判断におけ る重要性、判断の前提とされた事実に相違が生じた経緯・理由などから、埋立免許時の判断の前提が覆滅し、免許時の要件適合との判断が実質的に無意味となっていると評価される場合には、埋立免許時に要件適合と判断された事項について、不適合と評価することは免許処分の判断と矛盾するものではなく、不適合として処分をすることができる。 2 本件承認処分時の「埋立ての位置」が合理的で第1号要件に適合するとした判断の前提平成25年12月27日付け公有水面埋立承認処分(本件承認処分)においては、本件埋立事業の承認に係る申請(以下、本別紙において「本件埋立承認出願」という。)について、埋立ての位置として選定された場所は、本件願書 添付図書「設計概要説明書」(以下、本別紙において「旧設計概要説明書」という。)の埋立対象区域の地盤の設計土層・土質のとおり液状化、圧密沈下やすべりの危険性などがないものとして、法4条1項2号所定の要件に適合すると認めるとともに、5年次に本埋立ての工程を確実に終えることができ、同願書添付図書「埋立必要理由書」の埋立ての動機のとおり「埋立工事を早期に着 手して普天間飛行場の代替施設を一日でも早く完成」し、「極力短期間で移設」、 「移設を着実に実施」することを確実に実現するものとして、同項1号所定の「国土利用上適正且合理的ナルコト」の要件(以下「第1号 代替施設を一日でも早く完成」し、「極力短期間で移設」、 「移設を着実に実施」することを確実に実現するものとして、同項1号所定の「国土利用上適正且合理的ナルコト」の要件(以下「第1号要件」ということがある。)に適合すると認めるという判断がされた。 すなわち、5年次までに本埋立ての工程を確実に終えることができることが「国土利用上適正且合理的」との判断の前提であり、さらに、5年次までに本 埋立ての工程を終えることができる場所が埋立ての位置として選定されていることがその前提であった。 3 第1号要件適合を認めた本件承認処分の判断の前提が覆滅していること 以下で述べるとおり、「埋立ての位置」として選定された場所の実際の土層・土質は旧設計概要説明書の記載等と全く異なり、本件埋立事業について は着工から5年で完成するどころか、1年次に着工すべき護岸等の実施設計すら提出できないまま、令和2年4月21日付け埋立地用途変更・設計概要変更承認申請(本件変更承認申請)までに7年余が経過し、また、災害防止に十分配慮した検討もできておらず、埋立対象区域の選定を適当とした本件承認処分の判断の前提が覆滅している。 本件承認処分は、旧設計概要説明書等のとおりの土質・土層であり、埋立対象区域に軟弱地盤は存在しないことを前提としてされた。 埋立ての位置として選定された区域は辺野古崎を挟んでリーフエリアと大深度の大浦湾側から成り、埋立土量でいえば埋立工事の約85%を大浦湾側が占めるが、大浦湾側の実際の土層・土質は旧設計概要説明書等と全く相違 した。すなわち、大浦湾側の実際の地盤は、非常に緩い砂質土又は非常に軟らかい粘性土のために地盤の液状化の危険性や、当該箇所に護岸等を構築した場合には圧密等による 旧設計概要説明書等と全く相違 した。すなわち、大浦湾側の実際の地盤は、非常に緩い砂質土又は非常に軟らかい粘性土のために地盤の液状化の危険性や、当該箇所に護岸等を構築した場合には圧密等による沈下等が生じる可能性があった。また、本件承認処分後の土質調査に基づく安定計算の結果(円弧すべりの照査結果)については、大浦湾側の護岸等の大半で、地盤の強度が足りず、所定の安定性が認め られなかった。埋立地内でも、旧設計概要説明書の埋立工法で工事をすると、 積載荷重により地盤破壊が生じる危険性があった。 本件変更承認申請の内容は一般的に想定され得るような変更内容といえず、埋立地の位置として選定された海底の実際の土質・土層が本件承認処分の前提とされた設計土層・土質と全く異なったため、5年次までに本埋立ての工程を終えるという本件承認処分の前提が成り立たなくなり、「埋立工事を早 期に着手して普天間飛行場の代替施設を一日でも早く完成」させるという目的を実現するには、「埋立ての位置」として選定された場所を埋め立てることが「国土利用上適正且合理的」であるとして第1号要件適合性を認めた本件承認処分の判断は、その前提が覆滅している。 4 第1号要件に適合しているとは認められないこと 本件願書添付図書「埋立必要理由書」では、「普天間飛行場の危険性を早期に除去する必要があり、極力短期間で移設」、「移設を着実に実施」することが埋立ての動機とされ、また、「埋立の時期」について「埋立工事を早期に着手して普天間飛行場の代替施設を一日でも早く完成」するとされ、本件承認処分においては、この埋立ての目的、必要性、公共性ないし埋立ての効 用との関係において、埋立ての位置として選定された場所を適切と認め、本件埋立承認出願 を一日でも早く完成」するとされ、本件承認処分においては、この埋立ての目的、必要性、公共性ないし埋立ての効 用との関係において、埋立ての位置として選定された場所を適切と認め、本件埋立承認出願について第1号要件適合性を認めた。 しかし、本件変更承認申請については、埋立ての位置として選定されている場所は、埋立てを行うには、規模的に前例がないような大規模な地盤改良工事とこれに伴う構造物の設計変更等の抜本的な埋立工事の内容の変更が必 要となるとともに、技術的にも前例がないような特殊ないわば未知の工事が必要となり、工事に著しく長期間の工期を要する上に、確実性も認められず、また、前例がないような大深度に及ぶ軟弱地盤が存在し、災害防止に十分配慮した検討もされていない。 上記3で述べたとおり、埋立ての位置として選定された場所は、軟弱地盤 が極めて広い範囲にわたって存在していること、N値0など軟弱の程度が著 しいこと、軟弱地盤の土層が分厚いことなどから、埋立てをするには、砂杭の本数や、土量、国内の作業船の船舶数と本件で予定されている船舶数という点からみて、前例がないような大規模な地盤改良工事が必要になる。 このような本件変更承認申請による変更後の工期については、本件変更承認申請書添付図書「設計概要説明書」の表3.1.1(1)及び(2)「本 埋立に関する工事の工程表【変更後】」によれば、本件変更承認申請の承認が得られ、当該変更に係る工事に着手した時点を起点として、「9年1ヶ月」後が終期であり、本件変更承認申請時までの期間との合計で16年を超え、本件埋立承認出願の工期の3倍以上もの長期間を要する。 このように、埋立ての位置として選定された場所で埋立工事を行うには、 前例がないよ 更承認申請時までの期間との合計で16年を超え、本件埋立承認出願の工期の3倍以上もの長期間を要する。 このように、埋立ての位置として選定された場所で埋立工事を行うには、 前例がないような大規模地盤改良工事が必要となり、工期が著しく長期化するため、本件埋立事業により「普天間飛行場の危険性を早期に除去する必要があり、極力短期間で移設」、「埋立工事を早期に着手して普天間飛行場の代替施設を一日でも早く完成」するという埋立ての目的を達成することについては、不確実性が大きいことが明らかとなった。 埋立ての位置として選定された場所は、確実に埋立工事を行うには、前例がないような大規模工事が必要となるとともに、技術的にも前例がないような特殊ないわば未知の工事が必要となることから、著しく不向きな軟弱地盤から成る。 また、護岸計画地の軟弱地盤で最も深いものは海面から-90mまでに及 ぶが、その深さまで砂杭を打ち込むことができる作業船が存在しないため、-70mまでしか地盤改良されず、さらに、その箇所については地盤の強度(せん断強さ)の把握を目的とする力学的試験も行われていない。後記第2で述べるとおり、本件変更承認申請は法42条3項によって準用される法13条ノ2第2項により準用される法4条1項2号所定の「其ノ埋立ガ災害防 止ニ付十分配慮セラレタルモノナルコト」の要件(以下、本別紙において 「災害防止要件」ということがある。)に適合していると認められないが、これは埋立工事が行われた前例がないような大深度の軟弱地盤が存在する場所が、「埋立ての位置」として選定されたことによる。 以上のとおり、「埋立ての位置」として選定された場所は早期に着工して短期間で確実に埋立工事を完成させるという目的に の軟弱地盤が存在する場所が、「埋立ての位置」として選定されたことによる。 以上のとおり、「埋立ての位置」として選定された場所は早期に着工して短期間で確実に埋立工事を完成させるという目的にとっては著しく不適切な 土層・土質が存在し、「埋立ての位置」の選定は否定的な評価を免れず、第1号要件に適合しているとは認められない。 第2 災害防止要件に適合していると認められないこと 1 B-27地点の地盤調査の必要性について「地盤調査に当たっては、技術基準対象施設の構造、規模及び重要度、並び に当該施設を設置する地点周辺の地盤の性状を適切に考慮する。」(国土交通省港湾局監修『港湾の施設の技術上の基準・同解説(平成30年5月)』(以下、本別紙において「港湾基準・同解説」という。)300頁)とされる。以下で述べるとおり、B-27地点は、本件工事の実施において、最も重要な地点で、設計の安全性の確保が最も困難な地点であり、必要な力学的試験が実施されな ければならない。 B-27地点のせん断強度の測定がされていないこと沖縄防衛局は、B-27地点においては、地層境界が不明確な箇所の把握等を目的とする電気式コーン貫入試験(CPT)のみを実施し、力学的試験を実施していない。沖縄防衛局は、Avf-c2層のせん断強度を、S-3 地点、S-20地点及びB-58地点の力学的試験の結果から設定している。 技術基準対象施設の重要性B-27地点は、港湾法施行規則において規定されている、公共の安全その他の公益上の影響が著しいと認められる外郭施設(外周護岸)の設置場所となっており、さらに、飛行場として運用上重要な滑走路の延長線上に位置 している。 護岸構造について 公益上の影響が著しいと認められる外郭施設(外周護岸)の設置場所となっており、さらに、飛行場として運用上重要な滑走路の延長線上に位置 している。 護岸構造について大浦湾側には、地盤改良が必要とされる「粘性土」(Avf-c層及びAvf-c2層)及び粘性土と砂質土の中間的な性質を持つ「中間土」(Aco-c層及びAvf-s層)、いわゆる軟弱地盤が東側護岸沿線上においてはC護岸から護岸(係船機能付)まで付近に分布し、C-1-1-1護岸の B-27地点付近においては、粘性土(Avf-c層及びAvf-c2層)が水面下約90m(C.D.L.-90m)に達している。また、Avf-c2層は、護岸設置箇所においては、唯一B-27地点付近だけに存在する。 「粘性土」と「中間土」についてはサンドコンパクションパイル(SCP)工法で地盤改良されるが、これまでの国内外のSCP工法の施工実績や国内 のSCP船の規格から、SCP工法による改良深度はC.D.L.-70mが限界であり、B-27地点付近においてはC.D.L.-70~-90mの粘性土(Avf-c層及びAvf-c2層)が改良されずに残る。 B-27地点については、上記のとおり、本件施設において重要性の高い護岸の設置場所であり、さらに、滑走路の延長線上に位置するが、軟弱地盤 が厚く堆積することから、地盤改良はどの程度の深さまで必要か、改良率はどの程度必要か、軽量盛土の範囲はどの程度必要かなど、様々な検討を行う必要があり、本件工事の実施において、最も重要な地点である。 地盤の安定性を的確に照査するには、地盤の力学的性質を的確に把握する必要があり、最も正確な方法は、ボーリング調査を実施し、力学的試験を行 うことであり、B-2 最も重要な地点である。 地盤の安定性を的確に照査するには、地盤の力学的性質を的確に把握する必要があり、最も正確な方法は、ボーリング調査を実施し、力学的試験を行 うことであり、B-27地点においては、力学的試験が必要である。 Avf-c2層のせん断強さの重要性沖縄防衛局はAvf-c2層のせん断強さをS-3地点、S-20地点及びB-58地点の力学的試験から求めているが、同層のせん断強さは非常に重要な値であり、B-27地点においても力学的試験を実施した上で設定す べきである。 沖縄防衛局の主張に理由がないことア沖縄防衛局の主張の概要沖縄防衛局は、港湾基準・同解説300頁に依拠して適切に地盤調査地点を設定し、普天間飛行場代替施設建設事業に係る技術検討会(技術検討会)の委員からもデータの密度が担保できている等の意見を受けてい る旨主張する。 イ沖縄防衛局の主張に理由がないこと沖縄防衛局の主張の前提としてB-27地点のAvf-c2層の強度特性がS-3地点、S-20地点及びB-58地点の強度特性と同様でなければならないが、その前提が自明ではない(不確実性がある。)。 沖縄防衛局は、地質区分を、土質調査により採取した試料の目視観察、物理的特性、力学的特性及び三次元地盤モデル等を「総合的」に判断して設定したとしている。 しかし、例えば、細粒分含有率について、B-27地点は93.4~96.8%であるのに対して、S-3地点は51.7~83.5%、S- 20地点は35.2~77.2%、B-58地点は50.2~73. 7%であり、明らかに異なっている。Avf-c2層に区分された地点の一部には、色調がAvf-c 地点は51.7~83.5%、S- 20地点は35.2~77.2%、B-58地点は50.2~73. 7%であり、明らかに異なっている。Avf-c2層に区分された地点の一部には、色調がAvf-c2層の「黒灰(黒色)」に該当せず(B-58地点及びS-3地点)、また、「有機物の混入」が確認できない(B-59地点)箇所もあり、他方で、Avf-c層に区分された地点の一 部にも、「黒灰(黒色)」の色調や「有機物の混入」が確認されている箇所がある。さらに、B-58地点のT-31、T-34及びT-36の土質調査データの取扱いについて、地盤に係る設計・施工の検討結果報告書(平成31年1月)においては、Avf-c2層に分類されていたが、土粒子の密度がAvf-c層に近いとして棄却され、他方で、第1 回技術検討会資料(令和元年9月)では、Avf-c層に分類されてい るが、有機物の影響等からAvf-c層とAvf-c2層の中間的な性状であるとして棄却されている。沖縄防衛局はAvf-c層の層厚を大きくとることで地層区分が安全側にとられていると主張するが、高液性限界を根拠とするなら、T-32以深をAvf-c2層に分類することもでき、その場合、T-34及びT-35の土質調査データは同層に含 まれ、同層のせん断強さが危険側になるため、地層区分が安全側にとられているとはいえない。 地質区分は、「総合的」に判断されており、あいまいな点が残り、同じAvf-c2層に分類されているから、同じ地盤特性であると単純にいえない。 沖縄防衛局は不確実性については変動係数CVにより評価していると主張するが、変動係数が0.6に収まっていることは当然であり、力学的試験実施場所の選定に問題がないことを導かない。B-27地点で力 沖縄防衛局は不確実性については変動係数CVにより評価していると主張するが、変動係数が0.6に収まっていることは当然であり、力学的試験実施場所の選定に問題がないことを導かない。B-27地点で力学的試験を実施し、その結果を含めれば、変動係数は変化する。B-27地点を含まない他の3地点の計測値(飽和密度を除く。)に基づく変動係 数は、B-27地点との間のばらつきの有無には関係がなく、B-27地点の力学的試験の必要性を否定する根拠にならない。その3地点の計測値ですら、補正が必要となる程度のばらつきがあり、特にAvf-c2層の深さと地盤強度の関係は、3地点で明らかに異なり、全地点での近似曲線と相違し、全地点での近似曲線をもってB-27地点に妥当す ると考える根拠がない。 B-27地点は、他の3地点と明らかに細粒分含有率が異なっており、B-27地点の力学的試験を実施し、ばらつきがないかを判断する必要がある。 小括 飛行場の安定的な運用を図る上で、C-1-1-1護岸のB-27地点付 近の地盤条件の設定が災害防止に関して最も重要であるところ、同地点は粘性土(Avf-c層及びAvf-c2層)が水面下約90mに達し、護岸設置箇所において唯一Avf-c2層が存在しており、さらに、一部未改良の粘性土が残置する計画となっているほか、地盤の安定性を保つために使用される軽量盛土の範囲が広範に渡っている。 Avf-c2層のせん断強さは、護岸等の安定性能照査に用いられる照査用震度の算出にも関係し、護岸の滑動、転倒及び支持力などの安定計算にも影響するなど、設計に大きく関わる。地層区分にはあいまいな点があり、B-27地点とその他の3地点の強度が同様であることを直ちに前提とすることは も関係し、護岸の滑動、転倒及び支持力などの安定計算にも影響するなど、設計に大きく関わる。地層区分にはあいまいな点があり、B-27地点とその他の3地点の強度が同様であることを直ちに前提とすることはできず、B-27地点においても力学的試験を実施すべきである。 しかし、沖縄防衛局はB-27地点において力学的試験を実施していないことから、本件変更承認申請は、港湾の施設の技術上の基準の細目を定める告示(平成19年国土交通省告示第395号の基準告示)13条に適合しているとは認められず、「埋立地の護岸の構造が、例えば、少なくとも海岸護岸築造基準に適合している等、災害防止に十分配慮されているか。」、「埋立 区域の場所の選定、埋立土砂の種類の選定、海底地盤又は埋立地の地盤改良等の工事方法の選定等に関して、埋立地をその用途に従がって利用するのに適した地盤となるよう災害防止につき十分配慮しているか。」という審査事項に適合せず、災害防止要件に適合していない。 2 調整係数mの設定について 地盤の安定性能照査に関して、以下で述べるとおり、少なくとも施工時の安定性についての調整係数mの設定に不適切な点がある。 1.10とすることは不適切であること基準告示3条は、技術基準対象施設の性能照査は、作用、供用に必要な要件及び当該施設の保有する不確定性を考慮できる方法又はその他の方法であ って信頼性の高い方法によって行わなければならないと規定する。 沖縄防衛局が準拠している上記の港湾基準・同解説749頁の記述は、飽くまでも「1.10以上」であり、「1.10」でない。同文献が該当記述について引用している論文は甲・乙「港湾構造物の円弧すべり解析における最適な安全率」港湾技術研究所報告 同解説749頁の記述は、飽くまでも「1.10以上」であり、「1.10」でない。同文献が該当記述について引用している論文は甲・乙「港湾構造物の円弧すべり解析における最適な安全率」港湾技術研究所報告35巻1号117頁(以下「甲乙論文」という。)であるが、甲乙論文は計測施工を行う場合に自動的に安全率(現 在の調整係数に相当)を1.10としていない。甲乙論文は、観測施工・対応可の場合、安全率を、地盤が均一で地盤定数の信頼度が高い場合(V=0. 1程度)は1.10、地盤が不均一あるいは地盤定数の信頼度が低い場合(V=0.15程度)は1.15、地盤が非常に不均一で地盤定数の信頼度が低い場合(V=0.20程度)は1.20とするのが適切としている(甲 乙論文136頁)。計測施工を行うことは、調整係数を1.10以上にする際の前提条件にすぎない。Avf-c2層の非排水せん断強度のばらつき(CV)は0.18であり、調整係数を最低でも1.15(安全側とするならば1.20)としなければ、適切とはいえない。 沖縄防衛局は、C-1-1-1工区ですべり円弧が通過するAvf-c層 の変動係数(CV)は0.11であるから、甲乙論文に準じて調整係数を設定するとしても、調整係数は1.10であると主張する。しかし、施工時の調整係数に関する処分庁の指摘は、C-1-1-1工区に限定されるものではない。C-3-1-2工区ですべり円弧が通過するAco-c層の変動係数(CV)は0.33であるから、調整係数は1.2よりも大きい値を用い なければならない。 沖縄防衛局は調整係数を一律に下限値の1.10とした合理的な根拠を示しておらず、本件変更承認申請は基準告示3条に適合していない。 沖縄防衛局の主張に理由がないことア沖縄防衛局の 沖縄防衛局は調整係数を一律に下限値の1.10とした合理的な根拠を示しておらず、本件変更承認申請は基準告示3条に適合していない。 沖縄防衛局の主張に理由がないことア沖縄防衛局の主張の概要 沖縄防衛局は、港湾基準・同解説1069頁ないし1070頁の式2. 2.2においては、部分係数及び調整係数により不確定性が考慮されている上、土質定数が式の構成要素とされているところ、土質定数はばらつきを考慮して補正し安全側に設定されており、不確実性が考慮されている、港湾基準・同解説749頁においては、計測施工を行うことを前提に、調整係数を1.10と設定することができるとされている、『道路 土工盛土工指針(平成22年度版)』109頁においては、「適切な動態観測による情報化施工を適用する場合には、盛土施工直後の安全率を1.1としてよい。」とされている、本件護岸の設計工区については、護岸法線の形状、海底地形及び地層構成を考慮して細かく区分し、その上で、各工区の地盤条件で最も危険な状態を想定した断面となるよう検討 断面を設定して性能照査を行ったので、護岸ごとの不確定性が考慮されている等と主張する。 イ沖縄防衛局の主張に理由がないこと沖縄防衛局は、完成時の性能照査では、地盤条件等に応じて適正に設定された土質定数を用いた上で、部分係数及び調整係数において土質のば らつきのリスク等を考慮しているが、同じ性能照査式及び地盤に関する特性値が使用される、施工時の性能照査で、当該リスク等を考慮しないとする合理的な説明をしていない。調整係数について、完成時と施工時とで取扱い(考え方)を変えなければならない理由はない。 港湾基準・同解説1069頁式2.2.2で部分係数及び を考慮しないとする合理的な説明をしていない。調整係数について、完成時と施工時とで取扱い(考え方)を変えなければならない理由はない。 港湾基準・同解説1069頁式2.2.2で部分係数及び調整係数によ り不確定性が考慮されているとの沖縄防衛局の主張は、処分庁は調整係数の設定の際に不確定性を考慮すべきと主張しているので、反論となっていない。 土質定数が式の構成要素とされ、適切に設定されているとの沖縄防衛局の主張は、上記のとおり、Avf-c2層の土質定数はB-27地点の 力学的試験を行わずに設定され、B-27地点と他の3地点との間のば らつきが考慮されておらず、適切に設定されていないし、甲乙論文においても、地盤定数が式の構成要素となっていても、地盤定数の設定に際してのばらつきによって調整係数が設定されており、地盤定数が構成要素となっているから、調整係数を1.10としてよいということにはならない。 また、沖縄防衛局が引用している道路土工盛土工指針も、飽くまでも道路土工盛土工の指針であり、C.D.L.-70mもの場所の地盤改良工事において、直ちに妥当するものでない。 本件護岸の設計工区の区分も、工区を区分したのであれば、各工区の調整係数を各工区の条件に合致したものとすべきであり、調整係数を、工 区にかかわらず、一律で下限値の1.10とすべき根拠にはならない。 港湾基準・同解説の「1.10以上」という記載が地盤の不確実性にかかわらず「1.10」でも問題がないという意味であるとしても、そのことは処分庁がその幅の中で最も危険側で審査しなければならないことを意味しない。港湾基準・同解説に違反しないとしても、その考え方の 中で安全側の数値をとることが妥 いう意味であるとしても、そのことは処分庁がその幅の中で最も危険側で審査しなければならないことを意味しない。港湾基準・同解説に違反しないとしても、その考え方の 中で安全側の数値をとることが妥当との処分庁の判断に裁量逸脱・濫用はない。 小括以上のとおり、沖縄防衛局は、施工時の安定性照査の調整係数mを一律に下限値の1.10としているが、その合理的な根拠を示していない。 本件変更承認申請は、基準告示3条に適合していると認められず、「埋立区域の場所の選定、埋立土砂の種類の選定、海底地盤又は埋立地の地盤改良等の工事方法の選定等に関して、埋立地をその用途に従がって利用するのに適した地盤となるよう災害防止につき十分配慮しているか。」という審査事項に適合せず、災害防止要件に適合していない。 第3 環境保全要件に適合していると認められないこと 1 本件変更不承認処分の理由法13条ノ2に基づく本件変更承認申請について承認処分をするには、同条2項において準用される法4条1項の要件を充足していなければならない。処分庁は、以下の事項について、同項2号中の「其ノ埋立ガ環境保全ニ付十分配慮セラレタルモノナルコト」(環境保全要件)の要件に適合していると認めら れないと判断した。 2 ジュゴンに及ぼす影響について ジュゴンの地域個体群保全の必要性国指定天然記念物であるジュゴンについては、平成19年8月に環境省のレッドリストにおいて絶滅危惧ⅠA類に追加され、本件承認処分後の令和元 年12月に公表された国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストにおいて日本の南西諸島に生息するジュゴンの地域個体群が絶滅危惧ⅠA類にあると評価されるなど、その保護の重要性が更に高 の令和元 年12月に公表された国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストにおいて日本の南西諸島に生息するジュゴンの地域個体群が絶滅危惧ⅠA類にあると評価されるなど、その保護の重要性が更に高まっている。 本件変更承認申請における環境保全措置の必要性ア公有水面の埋立て又は干拓の事業に係る環境影響評価の項目並びに当該 項目に係る調査、予測及び評価を合理的に行うための手法を選定するための指針、環境の保全のための措置に関する指針等を定める省令(環境保全省令)24条は、調査の手法を選定するに当たっては、事業特性及び地域特性を勘案し、並びに地域特性が時間の経過に伴って変化するものであることを踏まえ、当該選定項目に係る予測及び評価において必要 とされる水準が確保されるよう選定しなければならないとしている。したがって、本件変更承認申請における環境保全措置の検討に当たっても、本件承認処分以後の地域特性の変化などに対応したものでなければならない。 イ地盤改良に伴い水中音を発する工事がされること 本件変更承認申請においては、地盤改良工事として、サンドコンパクシ ョンパイル(SCP)工法、ペーパードレーン(PD)工法及びサンドドレーン(SD)工法を採用している。このうち東側護岸に実施するSCP工法による杭打ちだけでも約1万6千本予定されている。このため、工事段階における杭打ちによる水の濁りや水中音などの影響を適切に調査し、予測し、及び評価することが求められている。 ウジュゴンの生息状況の変化ジュゴンについては、以下で述べるとおり、平成30年9月以降、嘉陽海域を主要な生息域としていた個体Aが確認されない状況が続き、一方で、令和2年2月から6月まで及び ュゴンの生息状況の変化ジュゴンについては、以下で述べるとおり、平成30年9月以降、嘉陽海域を主要な生息域としていた個体Aが確認されない状況が続き、一方で、令和2年2月から6月まで及び8月にジュゴンの可能性の高い鳴音が施行区域内で水中録音されるなど、地域特性が変化しており、安部か ら嘉陽地先西側までの範囲への水中音の影響に加え、ジュゴンが来遊した際の影響を考慮し、環境保全措置を検討する必要がある。 沖縄防衛局による適切な情報収集と予測が行われていないことア沖縄防衛局による適切な情報収集と予測が行われていないこと 処分庁の指摘 処分庁は、本件変更承認申請について令和3年11月25日付けで不承認とした処分(本件変更不承認処分)に当たり、ジュゴンに及ぼす影響について適切に情報が収集されておらず、適切な予測が行われていないと指摘した。 沖縄防衛局の主張 これに対し、沖縄防衛局は、ジュゴンに及ぼす影響について、適切に情報収集をした上で予測・評価を行っているとする。沖縄防衛局が行っているとする調査は、いずれもジュゴンの生息状況や来遊状況を確認する調査である。一方で、沖縄防衛局は、ジュゴンへの影響について、工事中の水の濁り、騒音・振動、夜間照明及び作業船の航行によるジュゴ ンの生息環境及び行動に及ぼす影響を予測し、このような調査や予測に ついて、「ジュゴンについて特に配慮して情報収集をした上で予測・評価を行って」いるとしている。 反論沖縄防衛局は、水中騒音については、実際発生している騒音についての調査をこれまで実施していない。 変更前の環境保全に関し講じる措置を記載した図書( 反論沖縄防衛局は、水中騒音については、実際発生している騒音についての調査をこれまで実施していない。 変更前の環境保全に関し講じる措置を記載した図書(以下、本別紙において「環境保全図書」という。)においては、「ジュゴンは音に対して敏感と言われていますが、ジュゴンに対する水中音の知見は少なく、逃避等の影響を及ぼす音圧レベルを直接的に調査した事例はほとんど見られません。」と記載されている。これに対し、水中音のジュゴンへの影 響についての調査・予測については、環境保全図書の変更前も変更後も、音圧レベル(ピーク値)、音圧レベル(RMS)及び音響曝露レベル(SEL)について同じ評価基準を採用し、シミュレーションによる予測値を挙げ、それが評価基準内にとどまるとしているのみである。 しかし、上記のとおりジュゴンに対する水中音の知見が少ないために 容易に安全性の評価ができない上に、本件埋立地周辺海域に生息しているジュゴンについては、本件承認処分以降、その生息状況が変化して個体群の存続に懸念が高まってきていること、IUCNの指摘のとおり国際的にもジュゴンの保護の重要性が高まってきていることを踏まえ、より慎重で適切な環境保全措置が求められる。沖縄防衛局は、変更後にお いても、変更前と同様に、初めて杭打ち工事を行う際に水中音を測定するとしているが、上記の状況の変化を踏まえ、既に一部の埋立工事が行われて作業船が多数航行しており、現実に水中音を測定し、実測値と予測値の比較が可能な条件があるから、その実施を行った上でより正確な予測を行う必要があり、それがされていないことを処分庁は本件変更不 承認処分の理由の一つとした。 また、以下で述べるとおり、 から、その実施を行った上でより正確な予測を行う必要があり、それがされていないことを処分庁は本件変更不 承認処分の理由の一つとした。 また、以下で述べるとおり、調査・予測に当たっての評価基準の妥当性にも問題がある。評価基準についても再検討すべきである。 イ個体Aが確認されていないこと等の地域特性の変化に対応する必要があること 処分庁の指摘 処分庁は、嘉陽海域周辺を主な生息域としていた個体Aについては、平成30年9月を最後に確認されない状態が続き、一方で、令和2年2月から6月まで及び8月にジュゴンの可能性の高い鳴音が施行区域内で録音されるなど、本件承認処分以降、明らかに生息状況に変化が見受けられることを踏まえた環境保全措置の検討が必要であることを指摘した。 沖縄防衛局の主張これに対し、沖縄防衛局は、個体Aが嘉陽沖の海草藻場を利用しなくなったと考えられる時期に水中音を発する工事を実施していないことを理由として、水中音も含めて工事による影響といえないとし、また、ジュゴンの鳴音である可能性が高い音が記録されたことから、普天間飛行 場代替施設建設事業に係る環境監視等委員会(環境監視等委員会)の指導・助言を踏まえ、警戒・監視を強化するなどしているという。 工事の影響が否定できないことしかし、個体Aが確認された時期と水中音を発する工事を実施した時期との単純な比較で工事の影響を否定するのは短絡的である。水中音が 発生していた時期には生息していたが、水中音が発生していない時期に行方不明になったというだけで水中音とジュゴンの行動が無関係と断ずることはできない。 新聞報道や、処分庁が行った現 発生していた時期には生息していたが、水中音が発生していない時期に行方不明になったというだけで水中音とジュゴンの行動が無関係と断ずることはできない。 新聞報道や、処分庁が行った現場調査による掘削船や運搬船の隻数等から、水中音の予測の設定条件にも疑義があり、評価基準を超える水中 音が発生し、工事による水中音が個体Aに行動変化をもたらした可能性 は否定できない。 また、個体による水中音への行動反応の差異は相当程度あるとみられるところ、捨石投入が実施されていたり、船舶が航行していたりすることからも、評価基準以下の水中音が個体Aに影響を及ぼしている可能性を否定できない。個体Aはより低い音圧レベルへの感受性が高く大浦湾 内の水中音の環境を避けていた可能性も考えられる。 また、工事の影響との関係でいえば、鳴音が確認された時期からも否定し得ないデータを確認し得る。令和2年2月11日以降、ジュゴンの鳴音が確認されたそのほとんどは休工日又は工事を実施していない時間帯であり、現に行われている海上工事の水中音をジュゴンが避けている 可能性がある。 さらに、以下で述べるとおり、ジュゴンの行動監視が十分ではなく、沖縄防衛局が個体Aの来遊を確認していた期間と、実際に個体Aがその海域に来遊していた期間も必ずしも一致せず、調査不足のため、工事のジュゴンへの影響を現時点においては否定し得ない。 以上のとおり、個体Aの観察経過や鳴音の記録状況からも、その状況からある程度推認され得るジュゴンの生息状況からも、工事の影響を否定できず、調査が行われていない水中音によるジュゴンへの影響は否定できない。 ジュゴンの行動監視が十分とはいえないこと 度推認され得るジュゴンの生息状況からも、工事の影響を否定できず、調査が行われていない水中音によるジュゴンへの影響は否定できない。 ジュゴンの行動監視が十分とはいえないこと また、沖縄防衛局は環境監視等委員会の指導・助言を受け警戒・監視を強化しているというが、十分とはいえない。 第26回環境監視等委員会資料5によれば、令和2年3月にジュゴンの鳴音が確認された際に、同一時間帯における海域でのプラットフォーム船による海上監視でもジュゴンを確認できていないことから、プラッ トフォーム船による監視が機能しているとはいえない。 沖縄防衛局が行う事後調査では、杭打ち工事前にジュゴンが大浦湾に来遊した際の水中音の影響や、評価基準値以下の範囲内の水中音の影響について確認できず、事後調査の結果と環境影響評価の結果との比較検討が可能となっておらず、環境保全省令32条2項2号に適合しているとは認められない。 よって、事業の実施により生じ得る環境への影響を回避又は軽減するために採り得る措置が的確に検討されておらず、措置を講じた場合の効果が適切に評価されていない。 ウ地形の複雑性考慮の必要性 処分庁の指摘 処分庁は、ジュゴンへの影響の予測に関し、大浦湾は水深が20m以上の箇所が存在するなど、地形が複雑であるから、水中音の予測については不確実性が含まれると考えられるが、変更前と同様の予測にとどまっていることを指摘した。 沖縄防衛局の主張 これに対し、沖縄防衛局は、水中音の予測・評価に用いたモデルは「一般的なモデルであり、…予測の不確実性の程度が大きいものではない。」としている。 沖縄防衛局の主張 これに対し、沖縄防衛局は、水中音の予測・評価に用いたモデルは「一般的なモデルであり、…予測の不確実性の程度が大きいものではない。」としている。 反論沖縄防衛局は、水中音の予測・評価に用いた予測モデルは音の伝搬理 論に基づく距離減衰を基本とし、リーフ等による障壁条件を設定するとともに、水中音の測定事例を参考として工種ごとに発生源の音源の音圧レベルを設定した一般的なモデルであり、予測の不確実性の程度は大きくないとしているが、一般的だからといって予測の不確実性の程度が大きくないとはいえない。 また、沖縄防衛局は、「大浦湾の底質は全般に砂又は泥である」とし、 一律に海況が「階級0」、底質が「砂」と設定し、近距離音場による効果(近距離音場の不規則性)の予測を行っている。しかし、第22回環境監視等委員会資料6の13頁に底質として泥地、砂床、岩盤などが存在しているとあるとおり、大浦湾から嘉陽海域までの底質には泥地、砂床、岩盤があり、さらに、海況の「階級0」が当該海域を代表するもの か不明なため、予測が定量的なシミュレーションに耐える精度になっていない。沖縄防衛局は、水中音の予測式における、近距離音場の不規則性に係るkLについて、正の値として算出すべきところ、負の値として算出している疑いがある。沖縄防衛局は、距離減衰量に対する減衰値は「-1」を乗じた上で代入しているとする。しかし、水中音の予測式に おいて、kLについては正の値を減算する体裁になっており、負の値として代入することは確認できず、説明が不自然であり、計算結果も示されておらず、算出の過誤があったおそれがある。 加えて、リーフ等の地形による遮音効果に 減算する体裁になっており、負の値として代入することは確認できず、説明が不自然であり、計算結果も示されておらず、算出の過誤があったおそれがある。 加えて、リーフ等の地形による遮音効果について、リーフ等の地形は複雑であるにもかかわらず、リーフ等の位置を単純に-2.5m、-5. 0m、-7.5mに分けて仮想障壁としているところにも不確実性が生じている。 そして、沖縄防衛局は水深20m以上の海域を含め海底面での反射を予測モデルに組み込む必要はないとしているが、その場合の予測の精度も示されていない。 水中音の予測式に用いられた回帰係数(-23.5)については、東京湾、長崎県、浜名湖等の平均値が用いられているが、それらの回帰係数にも幅があり、不確実性が生じている。このような係数は当該海域においてのみ有効であり、平均値によりシミュレーションを行っていることで不確実性が生じる。そのような取扱いにより球面拡散を想定した場 合の減衰係数(-20)よりも過大な減衰を見込む結果となっている。 伝搬減衰係数について、大浦湾における実測値により推定することで、他の水域の平均値を用いるよりも精度が高くなる。実際に使用しているガット船の音圧レベルを実測することで推定することもできる。 上記イのとおり、これまでの工事実績に照らし、沖縄防衛局が行っている水中音の予測の設定条件にも疑義があり、水中音のジュゴンへの 影響の評価に疑義が残る。 大浦湾のように地形が複雑な浅海域においては、音の反射などの伝搬形式が複雑であることに加え、一般的な距離減衰式を用いたとしても水中音のレベルに係る知見は十分でなく、不確実性が生じる。 ジュゴンについては、上記のとおり においては、音の反射などの伝搬形式が複雑であることに加え、一般的な距離減衰式を用いたとしても水中音のレベルに係る知見は十分でなく、不確実性が生じる。 ジュゴンについては、上記のとおり生息範囲に変化が生じているが、 水中音調査が実施されていないため、工事による影響が十分に解析されておらず、また、埋立工事が行われ、多数の船舶が航行していること等、本件承認処分当時とは地域特性に変化が生じている。水中音を発する工事が実施されていることからすれば、水中音調査を実施し、予測値と実測値を比較し、必要に応じて予測値の補正を行うなどしてより精度の高 い予測をし、当該予測に基づき環境保全措置を検討することも可能である。これらのことからすれば、上記のような水中音予測の手法は、調査の手法について、予測及び評価において必要とされる水準が確保されるよう選定されているといえない。 沖縄防衛局による適切な環境保全措置とその評価がされていないこと ア沖縄防衛局による適切な環境保全措置とその評価がされていないこと 処分庁の指摘処分庁は、本件変更不承認処分に当たり、ジュゴンに及ぼす影響について、本件埋立事業の実施により生じ得る環境への影響を回避又は軽減するために採り得る措置が的確に検討されておらず、措置を講じた場合 の効果が適切に評価されていないとして、以下の点を指摘した。 沖縄防衛局は、変更後においても、変更前と同様に、杭打ち工事の実施時期まで、水中音の調査を実施しないとしており、さらに、ジュゴンの生息範囲における音圧レベルが評価基準を下回る場合は、ジュゴンへの影響は軽微と考えられるため、水中音の調査を継続して実施する必要はないとしている。 しないとしており、さらに、ジュゴンの生息範囲における音圧レベルが評価基準を下回る場合は、ジュゴンへの影響は軽微と考えられるため、水中音の調査を継続して実施する必要はないとしている。 沖縄防衛局の行う事後調査では、杭打ち工事前にジュゴンが大浦湾に来遊した際の水中音の影響や、評価基準値以下の範囲内の水中音の影響について確認できず、事後調査の結果と環境影響評価の結果との比較検討が可能となっておらず、環境保全省令32条2項2号に適合しているとは認められない。 沖縄防衛局の主張沖縄防衛局は、「施行区域の状況の変化をも踏まえながら、ジュゴンに及ぼす影響に配慮した適切な環境保全措置を講じることとしており、また、実施した環境保全措置については、その都度、環境監視等委員会に報告し、その指導・助言を得て、環境保全措置の効果を適切に評価す る態勢も構築している。」としている。 反論しかし、沖縄防衛局が行っているとする調査はジュゴンの生息状況や移動状況を確認するものにとどまっており、工事のジュゴンへの影響を予測して効果的な措置が採られるものとなっていない。すなわち、水中 騒音についてはこれまで調査が実施されておらず、ジュゴンの行動と水中音による影響を比較することができない。 ジュゴンについては、平成30年9月以降、嘉陽海域を主要な生息域としていた個体Aが確認されない状況が続いており、一方で、令和2年2月から6月まで及び8月にジュゴンの可能性の高い鳴音が施行区域内 で録音されるなど、地域特性が変化しており、安部から嘉陽地先西側ま での範囲への水中音の影響に加え、ジュゴンが来遊した際の影響を考慮し、環境保全措置を検討する必要があ 区域内 で録音されるなど、地域特性が変化しており、安部から嘉陽地先西側ま での範囲への水中音の影響に加え、ジュゴンが来遊した際の影響を考慮し、環境保全措置を検討する必要がある。しかし、変更前と同様な手法で、安部から嘉陽地先西側までの範囲においては、瞬時の音による障害や行動阻害を引き起こす影響の予測・評価のみとなっており、ジュゴンの生息域に変化が生じていることを踏まえた環境保全措置となっておら ず、的確に環境保全措置が検討されているとは認められない。 イ水中音の評価基準に不確実性があること 処分庁の指摘処分庁は、上記のとおり、工事中の水中音がジュゴンに及ぼす影響について、評価基準に不確実性があり、また、ジュゴンの生息範囲に変化 が生じているにもかかわらず、沖縄防衛局は、変更後においても変更前と同様に杭打ち工事の実施時期まで水中音の調査を実施しないとし、さらに、ジュゴンの生息範囲における音圧レベルが評価基準を下回る場合は、ジュゴンへの影響は軽微と考えられるため、水中音調査を継続して実施する必要はないとしており、沖縄防衛局の行う事後調査では、杭打 ち工事前にジュゴンが大浦湾に来遊した際の水中音の影響や、評価基準値以下の範囲内の水中音の影響について確認できず、不適切であることを指摘している。 沖縄防衛局の主張沖縄防衛局は、「変更後の環境保全図書において、変更前と同様に、 ジュゴンに対する水中音の知見が少なく、ジュゴンに関する知見だけでは水中音の影響の評価基準を設定することが困難と考えられたため、クジラ類やイルカ類などの海産哺乳類の水中音に関する影響レベルの知見を収集整理し、それらを参考としてジュゴンの水中音の影響レベルを検討して 中音の影響の評価基準を設定することが困難と考えられたため、クジラ類やイルカ類などの海産哺乳類の水中音に関する影響レベルの知見を収集整理し、それらを参考としてジュゴンの水中音の影響レベルを検討している。」とし、上記のとおり変更前の環境保全図書での評価基準 と同じ基準を設定し、また、処分庁が指摘する「2019年の論文」、 すなわち「Hら(2019)」が「「海牛類グループ」を含む海産哺乳類に対する評価基準を提案していたため、…当該基準に基づく予測・評価も行っているが、その結果においても、変更後のジュゴンに対する水中音の影響は、変更前と概ね同程度又はそれ以下と予測・評価している」とする。 反論しかし、沖縄防衛局が評価基準の参考としたとするTable17(非パルス音)では、評価基準以下でも比較的小さな行動反応を超える行動反応を示した事例が幾つもみられ、90dB以上100dB未満で反応大である「8」という行動反応を示した事例もある。沖縄防衛局は ジュゴンと可聴音域が共通するクジラ目のデータに依拠しているところ、ジュゴンへの影響が中周波数帯域のクジラ目への影響と同様でない可能性もある。工事の進捗に伴って個体Aの生息範囲が変化し、本件承認処分後の工事の進行と並行してジュゴンの生息状況が変化するなどの状況が生じているから、従前の予測手法や評価基準が正当であったかどうか が再検討されなければならない。 すなわち、嘉陽海域周辺を主な生息域としていた個体Aについては、平成30年9月を最後に確認されない状態が続き、明らかに生息状況に変化がみられる。沖縄防衛局は、個体Aが嘉陽沖の海草藻場を利用しなくなったと考えられる時期に水中音を発する工事を実施していないこと を理由と を最後に確認されない状態が続き、明らかに生息状況に変化がみられる。沖縄防衛局は、個体Aが嘉陽沖の海草藻場を利用しなくなったと考えられる時期に水中音を発する工事を実施していないこと を理由として、事業による影響はないとしているが、第18回環境監視等委員会資料によると、濁度や海草藻場等定量的な調査が実施されている項目については、大きな変化が認められないとしている一方で、水中音は調査が行われていない。調査が行われていない水中音による影響があった可能性も否定できないが、水中音の調査が実施されていないため に評価できず、その後の解析も行われていない。個体による水中音への 行動反応の差異は相当程度あるとみられるところ、捨石投入が実施されていたり、船舶が航行していたりすることからも、水中音が評価基準以下であったとしても、個体Aに影響を及ぼしていた可能性もある。 また、処分庁の指摘は、「Hら(2019)」の評価基準を反映させていないというものではなく、同論文が変更前の環境保全図書で評価基準 としていた値よりも低い値を新たに提案していたから、研究の進展によっては今後更に低い値で影響を及ぼす可能性もあり、現時点で沖縄防衛局が採用している評価基準に不確実性があるというものである。「Hら(2019)」による海牛類グループに対する評価基準では、「行動阻害」についての評価基準が設定されていないが、沖縄防衛局による評価基準 よりも厳しい評価基準が設定されているから、知見の蓄積により、「行動阻害」についても、クジラ目での数値を参考にした沖縄防衛局による評価基準よりも厳しい評価基準が設定される可能性がうかがえる。「Hら(2007)」の実験データをみても、個体による水中音への行動反応の差異は相当程度あるとみられ、大 数値を参考にした沖縄防衛局による評価基準よりも厳しい評価基準が設定される可能性がうかがえる。「Hら(2007)」の実験データをみても、個体による水中音への行動反応の差異は相当程度あるとみられ、大浦湾周辺に来遊するジュゴンが評 価基準以下の水中音で行動反応を起こす可能性は否定できない。さらに、工事実施前の大浦湾内の音圧レベルの平均は、既に119dBとなっており、評価基準のレベルにほぼ達している。 沖縄防衛局が認めているとおり、ジュゴンに対する水中音の知見が少ないことや、工事実施後の平成30年9月以降ジュゴン個体Aが確認さ れない状況が続いているが、事業による水中音の影響が十分解析されていないこと、専門家においても評価基準について異なる意見があること、「Hら(2019)」において「海牛類グループ」を含む海産哺乳類に対する評価基準が提案されるなど、評価基準には不確実性があることを前提とする必要があり、水中音の実測値を測定し、予測値と比較した上 で、必要に応じ、補正を行う必要がある。 ウ事後調査の結果と環境影響評価の結果との比較検討が可能となっていないこと 処分庁の指摘処分庁は、上記のとおり、沖縄防衛局の行う事後調査では、杭打ち工事前にジュゴンが大浦湾に来遊した際の水中音の影響や、評価基準値以 下の範囲内の水中音の影響について確認できず、事後調査の結果と環境影響評価の結果との比較検討が可能となっておらず、環境保全省令32条2項2号に適合しているとは認められないことを指摘している。 沖縄防衛局の主張沖縄防衛局は、「処分庁により承認された変更前の環境保全図書にお いて、水中音の予測・評価に用いた予測モデルが一般的なモデル いことを指摘している。 沖縄防衛局の主張沖縄防衛局は、「処分庁により承認された変更前の環境保全図書にお いて、水中音の予測・評価に用いた予測モデルが一般的なモデルであり、予測の不確実性の程度が大きくないことから、水中音の影響について事後調査の対象としておらず、変更後の環境保全図書においても、変更前と同様の手法により予測・評価を行っているため、事後調査の対象としていないのであって、そのことを不適当であるとする理由はない」とし ている。 反論処分庁は、工事実施後の平成30年9月以降ジュゴン個体Aが確認されない状況が続いていることや、水中音を発する船舶が航行するなど、地域特性に変化が生じていること、水中音の予測に不確実性が含まれる ことを鑑みると、水中音の調査を行わず、予測値と実測値の比較が行われていないことは、調査の手法について必要な水準が確保されているとはいえないとした。 沖縄防衛局が認めているとおり、ジュゴンに対する水中音の知見が少ないことや、工事実施後の平成30年9月以降ジュゴン個体Aが確認さ れない状況が続いていること、専門家においても評価基準について異な る意見があること、Hら(2019)において「海牛類グループ」を含む海産哺乳類に対する評価基準が提案されるなど、評価基準には不確実性があることを前提として事後調査を行う必要がある。 沖縄防衛局は、杭打ち工事までは水中音の調査を実施しないとしており、杭打ち工事の際も、水中音の測定の結果、予測した音圧レベルを超 過せず、かつ、ジュゴンの生息範囲における音圧レベルが評価基準を下回る場合は、ジュゴンへの影響は軽微と考えられるため、水中音の調査を継続して実施す 、水中音の測定の結果、予測した音圧レベルを超 過せず、かつ、ジュゴンの生息範囲における音圧レベルが評価基準を下回る場合は、ジュゴンへの影響は軽微と考えられるため、水中音の調査を継続して実施する必要はないとしている。 しかし、本件承認処分後のジュゴンの状況の変化を踏まえた場合、評価基準には不確実性があることから、水中音の調査を実施し、大浦湾又 は嘉陽海域にジュゴンが来遊した際の水中音の影響を確認するとともに、ジュゴンの行動状況を確認することにより、事後調査の結果と環境影響評価の結果との比較が可能となる。沖縄防衛局は、個体Aが確認されていないことは、水中音も含め、工事による影響とはいえないとしているが、水中音調査は実施されていないことから、水中音による影響につい て解析できていない。水中音の調査を恒常的に実施することにより、工事の状況と水中音の状況、ジュゴンの行動を科学的データに基づき比較検討することが可能となる。 以上のことから、事後調査の結果と環境影響評価の結果との比較検討が可能となっておらず、環境保全省令32条2項2号に適合していると は認められない。 よって、事業の実施により生じ得る環境への影響を回避又は軽減するために採り得る措置が的確に検討されておらず、措置を講じた場合の効果が適切に検討されていない。 ジュゴンについて沖縄防衛局が行うとしている事後調査では、杭打ち 工事前にジュゴンが大浦湾に来遊した際の水中音の影響や、評価基準以 下の範囲内の水中音の影響について確認できない。 また、ジュゴンの生息範囲に変化が生じていることを踏まえると、水中音については上記のとおり事後調査の項目とすべきところ、沖縄防衛局は水中音につい 内の水中音の影響について確認できない。 また、ジュゴンの生息範囲に変化が生じていることを踏まえると、水中音については上記のとおり事後調査の項目とすべきところ、沖縄防衛局は水中音について事後調査の項目としておらず、変更後の環境保全図書における水中音についての環境影響評価の結果との比較検討が可能と なっていない。 3 地盤改良に伴う盛り上がり箇所の環境影響について 処分庁の指摘処分庁は、本件変更不承認処分に当たり、サンドコンパクションパイル(SCP)工法の実施に伴う地盤の盛り上がりが環境に及ぼす影響について 適切に情報が収集されていないとして、以下の点を指摘した。 SCP工法の実施に伴い地盤が盛り上がる箇所は水深が深くなる斜面部となっており、変更前の海底改変範囲と異なる環境が含まれていることを考慮した場合、盛り上がり箇所の調査が実施されていないことについては、調査の手法について必要な水準が確保されているといえない。 沖縄防衛局の主張沖縄防衛局は、「盛り上がり箇所を含めた地盤改良工に伴う改変範囲は、約1.8haで、変更前と比較して約1%増加したにとどまり、かつ、増加した範囲は変更前の海底改変範囲に隣接していることから、海底改変範囲を変更したとしても、変更前の海底改変範囲内における生物の生息状況から大 きく変化するものではない。そのため、変更前と同様に、変更前の海底改変範囲内に生息する海域生物の重要な種を対象に、本件埋立事業による影響を予測・評価することにより、変更により増加した範囲も含め、変更後の海底改変範囲における影響を適切に予測・評価できている。」と主張する。 また、盛り上がる箇所は、「隣接する変更前の海底改変範囲の生物相と大 きな 変更により増加した範囲も含め、変更後の海底改変範囲における影響を適切に予測・評価できている。」と主張する。 また、盛り上がる箇所は、「隣接する変更前の海底改変範囲の生物相と大 きな違いはなく、また、水深20m以深のみに生息が限定される重要な種も 確認されていない。そのため、盛り上がり箇所に水深が深くなる斜面部が含まれているからといって、生物の生息状況が、変更前の海底改変範囲内における生物の生息状況から大きく変化するものではない。」ともいう。 反論ア 「盛り上がり箇所を含めた地盤改良工に伴う改変範囲は約1.8haで、 変更前と比較して約1%増加したにとどまり、かつ、増加した範囲は変更前の海底改変範囲に隣接していることから、海底改変範囲を変更したとしても、変更前の海底改変範囲内における生物の生息状況から大きく変化するものではない。」と結論付けられている根拠は、改変範囲増加が僅かであり、元の改変範囲に隣接しているというだけである。 しかし、環境監視等委員会においても、「改変区域には水深20m以深の海底もあり、それら部分の底生動物についても生息状況を把握しておくべきとの意見があったことから、過年度調査について整理を行った。」とあるとおり、改変区域については調査が必要とされている。 イさらに、環境監視等委員会の委員の中に底生のマクロベントスの専門家 がおらず、当該専門家による意見を受けた上で調査箇所等が選定されていない。環境監視等委員会の指摘を受けて沖縄防衛局が調査を実施した6地点は主に護岸法線上又は飛行場建設場所内となっており、調査が不十分である。調査地点E16、E17及びBT11は海底面において尾根部に位置し、ほぼ同じ水深であるが、東側の新たな改変箇所と 実施した6地点は主に護岸法線上又は飛行場建設場所内となっており、調査が不十分である。調査地点E16、E17及びBT11は海底面において尾根部に位置し、ほぼ同じ水深であるが、東側の新たな改変箇所となる場 所は大浦湾側において更に10m程度深くなる箇所である。 これらの3地点では潜水目視調査による記録種について19種が確認されているが、そのうち2地点間で確認された同一種は4種だけであり、3地点間では同一種は確認されていない。また、これらの3地点間の距離はそれぞれ約150mであるが、これらの調査地点から盛り上がり箇 所の深い地点までの距離は平面距離で約100mである。 しかも、水深40m以深の調査地点BT12からBT14までの3地点をみても、3地点が約70mの距離の中にあるにもかかわらず、ROV調査による記録種において確認された種に統一した傾向はみられない。 こうしたことから、沖縄防衛局が主張するように、「生息状況から大きく変化するものではない。」とはいえない。 また、C-2護岸からC-3護岸まで及び護岸(係船機能付)の盛り上がりによる改変箇所については、BT5、BT6及びBT7地点の調査結果をもって「変更前の海底改変範囲内における生物の生息状況から大きく変化するものではない。」としていると考えられる。しかし、BT5、BT6及びBT7地点はいずれも同じ水深の砂床となっており、C-2 護岸からC-3護岸まで及び護岸(係船機能付)の盛り上がりによる改変箇所は急激に深くなる箇所で、砂床と泥地の境界付近となっており、BT5、BT6及びBT7地点付近と環境が異なることが想定され、その地点における種や個体数の生息状況を含めた生物相が他の生物相と同様かについて、季節ごとに詳細な 、砂床と泥地の境界付近となっており、BT5、BT6及びBT7地点付近と環境が異なることが想定され、その地点における種や個体数の生息状況を含めた生物相が他の生物相と同様かについて、季節ごとに詳細な調査を行い、予測・評価を行う必要が ある。 ウ以上のことから、沖縄防衛局は「変更前の環境保全図書で予測した内容と同程度か、それ以下」としているが、地盤の盛り上がりが環境に及ぼす影響について適切に情報が収集されておらず、適切な予測・評価が行われていない。 第4 「埋立の必要性」を充足していると認められないこと 1 旧設計概要説明書が前提とした移設 本件変更承認申請の概要では、「埋立承認後に実施した土質調査の結果から、地盤改良工事を追加。大浦湾側の護岸や埋立地の設計等を変更。 地盤改良工事の追加を踏まえ、より合理的な設計・施工計画に見直し(辺野古 地区地先(作業ヤード)の埋立てを取りやめ等)。 工期を変更後の計画に 基づく工事に着手してから工事完了までに9年3ヵ月とし、事業の総経費を9300億円と算出した。」と述べている。 しかし、沖縄防衛局は、本件埋立承認出願時には、軟弱地盤の存在を想定しておらず、旧設計概要説明書には、地盤改良に関する記載はない。そして、地盤改良が不要であることを前提に、「埋立てに関する工事の施行に要する 期間5年」と説明し、また、埋立てに関する工事に要する費用を2310億8700万円と見積もっていた。すなわち、沖縄防衛局は、本件承認処分を受けるに当たって、本件埋立事業を行うことにより、予算規模2310億余円で、5年で、普天間飛行場の代替施設が完成し、普天間飛行場の移設が可能となり、普天間飛行場の危険性の早期に除去につながると説明していた。 しか 埋立事業を行うことにより、予算規模2310億余円で、5年で、普天間飛行場の代替施設が完成し、普天間飛行場の移設が可能となり、普天間飛行場の危険性の早期に除去につながると説明していた。 しかし、実はそうではなかった。 2 埋立て必要性審査の根拠 変更承認申請時の埋立ての必要性審査埋立て必要性の要件は埋立免許・承認を認めるための要件であり、その存否は出願時に審査される。しかし、それは出願時だけでなく、設計概要変更 許可・承認申請時にも審査される。それは以下の理由による。 ア設計概要説明書は、埋立免許・承認出願の際の願書の添付図書として必須のものである(法施行規則2条2号ニ)。この図書は、他の添付図書と共に埋立免許・承認の審査の資料となる。そして、埋立ての必要性の審査は、当該設計概要説明書の設計の概要によって実施されるであろう埋 立ての必要性を審査するものであり、設計の概要を離れて抽象的に埋立ての必要性を審査するものではない。 したがって、設計の概要に変更があった場合は、変更前の設計概要説明書を前提として認められた埋立ての必要性についてはその前提を欠くことになり、変更後の設計概要説明書によって実施されるであろう埋立事 業については改めて変更後の設計概要説明書を前提とした「埋立の必要 性」が審査されなければならない。 イ国の通達もそのことを前提とする。「行政手続法の施行に伴う公有水面埋立法における処分の審査基準等について」(平成6年9月30日港管第2159号、建設省河政発第57号。以下、本別紙において「平成6年通知」という。)の記の1の表2の「出願事項の変更の許可(法第13条 ノ2第1項)」に係る審査基準の根拠として、「49年局長通達の記の1か 、建設省河政発第57号。以下、本別紙において「平成6年通知」という。)の記の1の表2の「出願事項の変更の許可(法第13条 ノ2第1項)」に係る審査基準の根拠として、「49年局長通達の記の1から、記の3及び記の4」が示されている。平成6年通知により、同条の変更承認申請に係る審査に際しても、昭和49年通達(昭和49年6月14日港管第1580号、建設省河政発第57号、港湾局長・河川局長から港湾管理者の長、都道府県知事あて「公有水面埋立法の一部 改正について」をいう。)における「埋立の必要性」に係る記載(記の1、3)が用いられることとされている。すなわち、出願事項の変更の許可・承認についても、埋立ての必要性の審査をすることが求められている。 3 本件変更承認申請における「埋立ての必要性」の判断 本件承認処分時の埋立ての必要性の理由第1で述べたとおり、本件承認処分においては、本件埋立承認出願について、埋立対象区域の地盤が設計土層・土質のとおりであることを前提として、法4条1項2号所定の要件に適合すると認められるとともに、5年次に本埋立ての工程を確実に終えることができ、「埋立工事を早期に着手して普天間 飛行場の代替施設を一日でも早く完成」し、「極力短期間で移設」、「移設を着実に実施」するという埋立ての目的が確実に実現すること、すなわち、本件埋立事業が早期に、かつ、確実に完成することを前提として、埋立ての必要性が判断されていた。 本件承認処分時の埋立ての必要性を認めた前提が失われたこと 本件変更承認申請による変更後の工期については、本件変更承認申請の承 認が得られ、当該変更に係る工事に着手した時点を起点として、「9年1ヶ月」後が終期とされている。本件変 本件変更承認申請による変更後の工期については、本件変更承認申請の承 認が得られ、当該変更に係る工事に着手した時点を起点として、「9年1ヶ月」後が終期とされている。本件変更承認申請時までの期間との合計で16年を超え、本件埋立承認出願に示された工期の3倍以上の長期間を要する。 その9年余という期間も、不確実なものである。 本件変更承認申請は、「代替の施設の…建設が著しい遅延がなく完了でき ることを確保する」としていた本件埋立事業の前提条件を覆すものとなっている。そして、本件変更承認申請に基づくとすれば、以上のような不確実性が生じ、本件埋立工事によっては「普天間飛行場の危険性を一刻も早く除去すること」につながらないことになるため、本件承認処分時の埋立ての必要性の前提は失われた。 本件承認処分時の埋立必要性の理由が妥当しなくなったこと「埋立の必要性」の「埋立ての動機となった土地利用が埋立によらなければ充足されないか。」、「埋立ての動機となった土地利用に当該公有水面を廃止するに足る価値があると認められるか。」、「埋立地の土地利用開始予定時期からみて、今埋立てを開始しなければならないか。」という審査事項につ いて、本件承認処分時の判断は普天間飛行場の危険性の除去が喫緊の課題であり、早期に除去する必要があることを根拠としていたところ、以上で述べたとおり、本件変更承認申請は本件埋立事業の前提条件を覆すものとなっており、また、埋立地の土地利用が可能となるまでに様々な不確実性が生じることになる。実際には5年では完成させることができず、これまでに費やし た期間に加え、更に9年余の工期を要し、その延伸の期間にも不確実な要素があるというのであれば、「早期」とはいえず、期間伸長の問題 なる。実際には5年では完成させることができず、これまでに費やし た期間に加え、更に9年余の工期を要し、その延伸の期間にも不確実な要素があるというのであれば、「早期」とはいえず、期間伸長の問題にとどまらず、本件埋立事業における埋立ての必要性との整合性を喪失する程度に至っている。 さらに、「埋立をしようとする場所が、埋立地の用途に照らして適切な場 所と云えるか。」という審査事項についても、災害防止に十分配慮した検討 がされていない。 以上のとおり、本件変更承認申請は普天間飛行場の危険性の早期除去にはつながらないため、「埋立の必要性」のこれらの項目について合理性があるとは認められない。すなわち、いつ普天間飛行場の危険性が除去されるかも分からない状況になっており、本件承認処分時に認められた「埋立の必要性」 は喪失している。 第5 「正当ノ事由」が認められないこと 1 法13条ノ2第1項(「正当ノ事由」)の判断 処分庁の審査事項法42条3項が準用する法13条ノ2第1項において、都道府県知事は、 「正当ノ事由アリト認ムルトキ」に限り、出願事項の変更を許可・承認することができることとされている。 処分庁は、法13条ノ2第1項の要件該当性の審査事項として、「変更の内容・理由が客観的見地から、やむを得ないと認められるもの」かを挙げている。これは、変更の内容と理由の両面から審査するものであり、「変更の 理由が客観的見地から、やむを得ないと認められるもの」かと、「変更の内容が客観的見地から、やむを得ないと認められるもの」かという二つの事項で審査される。 「変更の理由が客観的見地から、やむを得ないと認められるもの」かについての審査は、「変更の動機」が正 内容が客観的見地から、やむを得ないと認められるもの」かという二つの事項で審査される。 「変更の理由が客観的見地から、やむを得ないと認められるもの」かについての審査は、「変更の動機」が正当であるか否かを確認する。 「変更の内容が客観的見地から、やむを得ないと認められるもの」かについての審査は、「変更の動機」がやむを得ないとしても、その内容(手段)が正当(客観的見地からやむを得ない)と認められるか否かを確認する。具体的には、「変更することについて合理的理由がある」かどうか、「変更後の設計の概要に基づいて埋立に関する工事の実施が確実にできることが認めら れる」かどうかを審査する。 具体的な審査ア 「変更の理由が客観的見地から、やむを得ないと認められるもの」か前記第4で述べたとおり、旧設計概要説明書は沖縄防衛局が軟弱地盤を想定していなかったため、旧設計概要説明書のままでは、およそ埋立事業は成し得ないから、埋立事業を成し得ない旧設計概要説明書の変更を 求めるという沖縄防衛局の動機そのものを否定するものではなく、処分庁は変更の理由が客観的見地からやむを得ないと判断した。 イ 「変更の内容が客観的見地から、やむを得ないと認められるもの」か変更の内容が客観的見地から、やむを得ないと認められるものといえるには、「変更することについて合理的理由がある」場合であり、かつ、 「変更後の設計の概要に基づいて埋立に関する工事の実施が確実にできることが認められる」場合でなければならない。 「変更することについて合理的理由がある」について「変更することについて合理的理由がある」とは、本件埋立承認出願時に審査された「埋立の必要性」 」場合でなければならない。 「変更することについて合理的理由がある」について「変更することについて合理的理由がある」とは、本件埋立承認出願時に審査された「埋立の必要性」の要件充足が変更承認申請時において も依然として存続していることが前提となる。設計の概要の変更によって埋立ての必要性が消失してしまうような場合には、当該変更を認める必要性がないばかりか、仮にそのような変更を認めるとすると、埋立ての必要性のない工事を容認するのに等しく、無益な埋立てを認めることになるからである。 つまり、当該設計の概要の変更に基づく設計の概要によって行われる予定の埋立てについて、その埋立ての必要性が認められない場合には、「変更することについて合理的理由がある」ものとは認められず、その意味で、埋立ての必要性のない場合は、「正当ノ事由」がない。沖縄防衛局は、埋立承認が有効である以上、埋立ての必要性が維持されている ことが前提となると主張するが、前者があれば、当然に後者があるとい うものではなく、合理的な主張でない。 そして、前記第4で述べたとおり、本件変更承認申請の内容については本件埋立事業の前提条件を覆すものとなっており、また、埋立ての動機となった土地利用が可能となるまでに不確実性が生じ、普天間飛行場の危険性の早期除去にはつながらないことになるから、このような変更 の内容については埋立ての必要性を認めることができず、「変更することについて合理的理由がある」ものとは認められない。 「変更後の設計の概要に基づいて埋立に関する工事の実施が確実にできることが認められる」か前記第2で述べたとおり、本件変更承認申請に関しては、軟弱地盤の 最 ない。 「変更後の設計の概要に基づいて埋立に関する工事の実施が確実にできることが認められる」か前記第2で述べたとおり、本件変更承認申請に関しては、軟弱地盤の 最深部が位置するB-27地点において力学的試験が行われていないほか、地盤の安定性能照査に当たって適切に不確定性が考慮されていないため、災害発生の懸念を払拭することができない。 「埋立に関する工事の実施が確実にできる」とは、「施工性」(信頼性のある適切な方法を用いることにより、適正な工期で工事の安全を確保 しながら施工できる性能)を満たすことを求めるものであるが、構造物の安全性に問題がある場合には、工事を完成させることができず、「埋立に関する工事の実施が確実にできる」ものとは認められない。 ウ以上のとおり、本件変更承認申請については、「変更の内容が客観的見地から、やむを得ない」ものとは認められず、法13条ノ2第1項の 「正当ノ事由」を認めることはできない。 第6 (略)以上

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