主文 本件即時抗告を棄却する。 理由 第1弁護人らの即時抗告の趣旨及び理由基本事件の期日間整理手続において,弁護人らが別紙「開示を求める証拠」記載の各証拠(以下「本件開示請求証拠」という。)の開示の裁定を請求したところ,神戸地方裁判所は,平成19年3月9日,本件開示請求証拠1,2①及び3ないし5の証拠については未開示の証拠は存在しないと認められ,同2②の証拠は刑事訴訟法316条の15第1項6号に該当しないとして,上記請求を棄却する旨の決定をした。しかしながら,本件開示請求証拠1,2①及び3ないし5の未開示証拠が真に不存在であるかには疑問があるし,同2の②は捜査官の原供述として刑事訴訟法316条の15第1項6号に該当する。したがって,原決定は不当であるから,これを取り消した上,検察官は弁護人に対し本件開示請求証拠の開示をせよとの裁判を求める。 第2即時抗告理由に対する判断本件公訴事実の概要は,被告人が,広場で母親から離れて一人でいた当時2歳の被害者を連れ去り,同広場から被告人方を経由して公園まで連れ回して誘拐し(未成年者誘拐。公訴事実第1),被害者を被告人の支配下においている間に被害者の意識が混濁するなどして直ちに医師の治療を受けさせるなどの必要が生じたのに,誘拐の露見をおそれて被害者を公園のベンチ上に置き去りにした(保護責任者遺棄。同第2)というものである。 まず,本件開示請求証拠1,2①及び3ないし5の証拠についてみる。検察官は平成19年3月2日付けの意見書においてこれらの未開示証拠は存在しないと回答している。そして一件記録によれば,弁護人らの類型証拠開示に関する裁定申立て(平成19年2月23日)のなされる以前,検察官において弁護人らの求めに応じて数点の証拠を開示していること,平成18年12月27日に本件が期日間 録によれば,弁護人らの類型証拠開示に関する裁定申立て(平成19年2月23日)のなされる以前,検察官において弁護人らの求めに応じて数点の証拠を開示していること,平成18年12月27日に本件が期日間整理手続に付されて以降,弁護人らが開示を求める証拠の存否及び開示請求の可否についての協議がなされていることが窺われる。 また,本件開示請求証拠1,2①及び3ないし5の証拠の性質等弁護人らがその存在を主張する理由を勘案しても,これらに該当する証拠中未開示のものがあると疑われる具体的事情は見受けられない。原決定は,上記意見書における検察官の意見及び類型証拠開示請求に対する検察官の対応情況にかんがみてこれらの未開示証拠は存在しないと判断しているのであり,この判断に誤りがあるとはいえない。なお,弁護人らは,従前検察官は本件開示請求証拠2 ①についてこれに当たる未開示証拠がある旨回答していたと主張しているが,検察官がそのように回答していたといえるかに疑問がある上,次に述べるようにこの証拠もまた刑事訴訟法316条の15第1項6号に該当するものではない。また,弁護人らは,原裁判所が証拠の一覧表の提示を命じていない点を不当としているが,上記のとおりこれらの証拠についてその存在を窺わせる事由はないか,類型証拠として開示すべきものとは認められないのであるから,原裁判所のこの措置が不当であるとはいえない。 次に本件開示請求証拠2②についてみる。弁護人は,これが捜査官の供述書として刑事訴訟法316条の15第1項6号に該当すると主張するが,そのように解することはできない。すなわち,移動経路における被告人らの動向に関する目撃供述を内容とする捜査報告書について検討すると,類型証拠として刑事訴訟法316条の15第1項6号に定める証拠は,「検察官が特定の検察官請求証拠により わち,移動経路における被告人らの動向に関する目撃供述を内容とする捜査報告書について検討すると,類型証拠として刑事訴訟法316条の15第1項6号に定める証拠は,「検察官が特定の検察官請求証拠により直接証明しようとする事実の有無に関する供述」を内容とするものであるところ,検察官請求証拠の証明力を判断するための類型証拠開示の趣旨をも勘案すれば,この供述はいわゆる原供述を指すのであって,原供述者(目撃者)から聞き取った内容をその内容とする捜査報告書を同号所定の証拠と解することはできない。また,このような目撃者の有無等について述べる捜査報告書については,もとより捜査官は現場にいた訳ではなく,単に目撃したとする者が見つかったというのみでは上記移動の経路を証明する供述ということはできないし,逆に単に見つからなかったというのみではその経路をとらなかった旨の供述ということはできないのであるから,これも上記「直接証明しようとする事実の有無」に関する供述には当たらない。なお,本件開示請求証拠2①についても,捜査官が移動経路について直接目撃しているものではなく,これもまた「検察官が直接証明しようとする(被告人らの移動経路という)事実の有無」に関する供述であるとはいえない。 弁護人らは防御準備の必要性を強調しているが,段階的に証拠開示と主張明示,争点整理を組み合わせていくという争点整理の構造に反し,類型証拠開示の段階で,それ以上の検察官手持ちの証拠の開示を求めるものといわざるを得ない。 以上のとおり,検察官が刑事訴訟法316条の15第1項の規定による開示をすべき証拠を開示していないと認めることはできないとした原決定は相当で,本件即時抗告は理由がない。よってこれを棄却することとし,主文のとおり決定する。 第3適用法令刑事訴訟法426条1項(裁判長裁判官 拠を開示していないと認めることはできないとした原決定は相当で,本件即時抗告は理由がない。よってこれを棄却することとし,主文のとおり決定する。 第3適用法令刑事訴訟法426条1項(裁判長裁判官・島敏男,裁判官・小島正夫,裁判官・伊藤寿)別紙「開示を求める証拠」 次の事項に関する各捜査報告書,供述調書及び実況見分調書①被告人が本件幼児を連れて行くまでの被告人,本件幼児,A及びBのC広場内での位置,その後の動向等②平成18年9月5日午後2時50分前後にC広場にいた・以外の人物(子供,その母親,売店,バス会社,D関係の従業員等を含む。)のC広場内での位置,被告人,本件幼児の動向に関する目撃供述 次の事項に関する各捜査報告書①被告人の移動経路②移動経路上での被告人及び本件幼児の動向に関する目撃供述目撃者に関する各捜査報告書 次の事項に関する各捜査報告書及び供述調書A及びBが本件幼児の捜索をEバスまたはDの従業員,警備員等に依頼した際の依頼内容,状況 次の人物の立会いの実況見分調書①A,②B,③平成18年9月5日午後2時50分前後にC広場にいた人物,④被告人及び本件幼児の目撃者 次の人物の未開示の供述録取書等全てA,B,F,G,H,Iの供述録取書等のうち未開示のもの全て
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