平成6(行ウ)4等 公金違法支出差し止め等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成11年2月8日 新潟地方裁判所 住民訴訟
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判決文本文11,334 文字)

主文 原告らの四号事件請求の趣旨第一及び第二項の訴えをいずれも却下する。 原告らの被告妙高高原町に対する訴えを却下する。 原告らのその余の訴えにかかる請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は、すべて原告らの負担とする。 事実 第一請求一請求の趣旨(原告ら平成一〇年七月六日付準備書面)(四号事件、平成元年度から平成四年度支出分及び弁護士費用の請求) 1 被告A、被告B、被告関川地区土地改良区連合及び被告中江土地改良区は妙高高原町に対し、連帯して八〇〇万円及びこれに対する平成六年二月二五日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。 2 被告A、被告B及び被告関川地区土地改良区連合は妙高高原町に対し、連帯して四〇〇万円及びこれに対する平成六年二月二五日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。 3 被告C、被告B及び被告関川地区土地改良区連合は妙高高原町に対し、連帯して四〇〇万円及びこれに対する平成六年二月二五日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。 4 被告妙高高原町は原告らに対し、二〇〇万円及びこれに対する本判決確定の翌日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。 (七号事件、平成五年度支出分の請求) 1 被告C、被告B及び被告関川地区土地改良区連合は妙高高原町に対し、連帯して四〇〇万円及びこれに対する平成六年一月一日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。 (九号事件、平成六年度及び平成七年度支出分の請求) 1 被告C及び被告関川地区土地改良区連合は妙高高原町に対し、連帯して四〇〇万円及びこれに対する平成七年一月一日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。 2 被告C及び被告関川地区土地改良区連合は妙高高原町に対し、連帯して四〇〇万円及びこれに対する平成八年一月一日から完済まで年五分の割合による金員を 一日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。 2 被告C及び被告関川地区土地改良区連合は妙高高原町に対し、連帯して四〇〇万円及びこれに対する平成八年一月一日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。 二請求の趣旨に対する被告らの答弁 1 本案前の答弁(四号事件について)請求の趣旨第一及び第二項にかかる訴え(平成元年度から平成三年度の支出分)を却下する。 (四号事件についての被告妙高高原町の答弁)同被告に対する訴え(弁護士費用分)を却下する。 (九号事件についての被告Cの答弁)請求の趣旨第一項にかかる訴え(平成六年度の支出分)を却下する。 2 本案についての答弁(全被告)原告らの請求をいずれも棄却する。 第二当事者の主張(請求原因)(【 】内の記載は、相手方の認否等であり、記載のない事項は争いがない)一(当事者)1(原告)原告らは被告妙高高原町(以下「被告町」という)の住民である。 2(被告)(一) 被告Aは昭和五二年四月から平成四年四月二八日まで被告町の町長であった者である。 (二) 被告Cは平成四年四月二九日から平成八年四月まで被告町の町長であった者である。 (三) 被告Bは昭和五八年一二月当時から被告中江土地改良区の代表者であり、平成元年一一月一日からは被告関川地区土地改良区連合(以下「被告連合」という)の代表者でもある。 (四) 被告連合は土地改良法に基づいて設立された法人である。 (五) 被告中江土地改良区は土地改良法に基づいて設立された法人である。 二(公金の支出)(四号事件、平成元年度から平成四年度支出分) 1 被告Aは、被告町町長として平成元年度から平成三年度同町上水道特別会計から各年度四〇〇万円を各年末ころ(平成元年一二月二九日、平成二年一二月五日及び平成四年三月一〇日)に予算執行し、被告連合に支 1 被告Aは、被告町町長として平成元年度から平成三年度同町上水道特別会計から各年度四〇〇万円を各年末ころ(平成元年一二月二九日、平成二年一二月五日及び平成四年三月一〇日)に予算執行し、被告連合に支払ったが、その内平成元年分と平成二年分は被告町と被告連合との合意により被告中江土地改良区が受領した。 【被告B、被告連合、被告中江土地改良区:上水道特別会計によるものであることは知らない】 2 被告Cは、被告町町長として平成四年度同町一般会計から観光振興費四〇〇万円を同年末(平成四年一二月二五日)に予算執行し、被告連合に支払った。 【被告B、被告連合、被告中江土地改良区:一般会計によるものであることは知らない】(七号事件、平成五年度支出分) 3 被告Cは、被告町町長として平成五年度同町一般会計から観光振興費四〇〇万円を同年末(平成五年一二月二七日)に予算執行し、被告連合に支払った。 (九号事件、平成六年度及び平成七年度支出分) 4 被告Cは、被告町町長として、平成六年度同町一般会計から観光振興費四〇〇万円を同年末に予算執行し、被告連合に支払った。 5 被告Cは、被告町町長として、平成七年度同町一般会計から観光振興費四〇〇万円を同年末に予算執行し、被告連合に支払った。 (以上の支出を「平成元年度支出分」などという)三(違法性)【否認する】【争点】これらの支出は、次のとおり違法である。 1 (被告町と被告連合との間の協定書、協議書による合意など)(一) 昭和五八年一二月二〇日、被告Aは、町長として被告連合(代表者D)との間で、町が被告連合から、冬期間(一二月から翌年三月まで)日量五〇〇〇トン以上の上水道用水の取水を認めて貰うのに対し、笹ケ峰ダム運営協力費として年額三〇〇万円を支払うとの契約を締結し、それを内容とする協定書、協議書を作成した。 【被告町 ら翌年三月まで)日量五〇〇〇トン以上の上水道用水の取水を認めて貰うのに対し、笹ケ峰ダム運営協力費として年額三〇〇万円を支払うとの契約を締結し、それを内容とする協定書、協議書を作成した。 【被告町、被告A、被告C:取水のみではなく、将来の水道用水取水増量申請の際の被告連合の協力、被告連合が受託管理する笹ケ峰ダムの観光資源としての保全管理等、被告連合が負担する同ダムの運営維持管理費用の援助をも内容とするものである。また、合意の日量五〇〇〇トンは被告町が河川管理者から許可を得て取水する日量五〇〇〇トンを超える部分の取水量を意味する】【被告連合:対価としてのものではない】(二) 右協定に関して、昭和五九年三月二一日付で、被告町、被告連合、被告中江土地改良区との間で、被告町の被告連合への支払いは、被告中江土地改良区理事長発行の納付書により行う旨の覚書が作成された。 (三) 昭和六三年一二月一日、被告町と被告連合は、前記昭和五八年作成協定書と同内容の協定書を新たに作成し、被告町が支払うべき笹ケ峰ダム運営協力費を四〇〇万円に改定した。 (四) 右協定に関して、前と同様に、被告町、被告連合、被告中江土地改良区との間で、被告町の被告連合への支払いは、被告中江土地改良区理事長発行の納付書により行う旨の覚書が作成された。 (五) 前記公金の支出(平成元年度から年額四〇〇万円。平成三年度までは上水道特別会計予算、平成四年度からは一般会計予算観光振興費)は、これらの合意によるものである。 2(合意による支出の違法性)(一)(取水の対価としての支出の違法性)しかし、被告町が、上水道用水として関川から取水しているのは、建設大臣の許可を受けて、苗名滝下流の残水を取水しているものであって、被告連合とは無関係である。 したがって、被告町の被告連合に対する義務の負担 被告町が、上水道用水として関川から取水しているのは、建設大臣の許可を受けて、苗名滝下流の残水を取水しているものであって、被告連合とは無関係である。 したがって、被告町の被告連合に対する義務の負担及び被告中江土地改良区に対する支出は根拠がない。 【被告町、被告A、被告C:支出は、取水のみではなく、将来の水道用水取水増量申請の際の被告連合の協力、被告連合が受託管理する笹ケ峰ダムの観光資源としての保全管理等、被告連合が負担する同ダムの運営維持管理費用の援助をも内容とするものである。また、合意の日量五〇〇〇トンは被告町が河川管理者から許可を得て取水する日量五〇〇〇トンを超える部分の取水量を意味するのであって、原告らはこの両者を混同している。被告中江土地改良区への支払いは同被告と被告連合との内部問題に過ぎず、違法性とは無関係である】【被告連合:否認する】(二)(観光振興費としての支出の違法性)(1) 被告Aは、町長として、平成三年度中に原告らから笹ケ峰ダム運営協力費の支出の不正を指摘され、平成四年度から、一般会計予算に観光振興費として計上し、その後任町長である被告Cも同様に観光振興費として計上してきた。 (2) しかし、被告連合が、被告町の観光振興に寄与をしているわけではないので、支出の根拠はない。 【否認する】四(監査請求) 1 各事件原告らは、次のとおり各支出の是正を求めて妙高高原町監査委員に対し住民監査請求を提起した。 ① 四号事件(平成元年度から平成四年度支出分)及び七号事件(平成五年度支出分)請求分平成五年一一月二四日監査請求② 七号事件(平成五年度支出分)請求分平成六年四月二七日監査請求③ 九号事件(平成六年度及び平成七年度支出分)請求分平成八年八月二八日監査請求 2 同監査委員は住民監査請求につき、そのころいずれも請求を 件(平成五年度支出分)請求分平成六年四月二七日監査請求③ 九号事件(平成六年度及び平成七年度支出分)請求分平成八年八月二八日監査請求 2 同監査委員は住民監査請求につき、そのころいずれも請求を棄却もしくは却下した。 五(監査請求期間徒過の正当な理由)【争点】監査請求の中には請求日が支出から一年を経過したものがあるが、被告A、被告Bらが共謀して、被告連合に水利権があるかのように仮装して、町議会を欺罔してきたため長期間にわたって公金支出の違法性が明らかにならなかったためであるから、地方自治法二四二条二項但書に定める「正当な理由」がある。 また、平成六年度分については、被告Cは、平成六年二月二五日の記者会見で裁判の結果が出るまでは予算執行しない旨言明しており(甲三八)かつ、七号事件(平成六年二月二〇日提起)において、予算執行したことを明らかにしないままでいたのであり、このような場合には期間徒過について正当な理由があるというべきである。 【被告町及び被告連合を除く四号事件被告ら:四号事件中平成元年度から平成三年度の支出(請求の趣旨第一及び第二項)についての監査請求は支出から一年を経過しているところ、支出はいずれも被告町の予算に計上され町議会で議決されているものであって、住民としての原告らが知ることは容易であったし、特に原告Eは平成三年一一月付で各支出について金額を明示して不当支出であると主張するチラシを町民に配布しているのであって、遅延についての正当な理由は存在しない。したがって、この支出にかかる訴えは却下されるべきである】【被告C:九号事件中平成六年度の支出(請求の趣旨第一項)についての監査請求は支出から一年を経過しているところ、同事件原告Eは、毎年一二月に支出がされていることを知って四号及び七号事件訴訟を提起しているものであるから 中平成六年度の支出(請求の趣旨第一項)についての監査請求は支出から一年を経過しているところ、同事件原告Eは、毎年一二月に支出がされていることを知って四号及び七号事件訴訟を提起しているものであるから、同法同条二項但書に定める正当な理由はないので、請求の趣旨第一項にかかる訴えは却下されるべきである】【被告連合:否認する】六弁護士費用【争点】本件(四号事件及び七号事件)に関する弁護士費用としては二〇〇万円が相当である。 同事件原告らは、地方自治法二四二条の二、七項に基づき、被告町に対し右費用額及びこれに対する本判決確定の翌日から完済まで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める。 【この請求権の発生には代位請求訴訟において原告らが勝訴判決を得、かつそれが確定することが必要であり、停止条件付で発生する将来の請求権である。被告町は住民訴訟についての当事者ではなく、この将来請求についてのみ被告とされている。勝訴を前提とした弁護士費用を本来の被告以外の者を引き込んで本訴で確定しておく必要性は応訴者の負担という点からも認められないから、本訴請求にかかる訴えは却下されるべきである】七(まとめ)(四号事件、平成元年度から平成四年度支出分及び弁護士費用の請求) 1 原告らは、被告A、被告B、被告連合及び被告中江土地改良区に対し、地方自治法二四二条の二、一項四号に基づき、損害賠償もしくは不当利得返還を求めて、妙高高原町に代位して、 平成元年度及び平成二年度に妙高高原町に生じた損害損失につき、被告Aが町長として被告Bと共謀して被告連合及び被告中江土地改良区に支出した八〇〇万円及びこれに対する支出日後である平成六年二月二五日から完済まで民法所定年五分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める。 2 原告らは、被告A、被告B及び被告連合に対し、地 地改良区に支出した八〇〇万円及びこれに対する支出日後である平成六年二月二五日から完済まで民法所定年五分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める。 2 原告らは、被告A、被告B及び被告連合に対し、地方自治法二四二条の二、一項四号に基づき、損害賠償もしくは不当利得返還を求めて、妙高高原町に代位して、平成三年度に妙高高原町に生じた損害損失につき、被告Aが町長として被告Bと共謀して被告連合に支出した四〇〇万円及びこれに対する支出日後である平成六年二月二五日から完済まで民法所定年五分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める。 3 原告らは、被告C、被告B及び被告連合に対し、地方自治法二四二条の二、一項四号に基づき、損害賠償もしくは不当利得返還を求めて、妙高高原町に代位して、平成四年度に妙高高原町に生じた損害損失につき、被告Cが町長として被告Bと共謀して被告連合に支出した四〇〇万円及びこれに対する支出日後である平成六年二月二五日から完済まで民法所定年五分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める。 4 原告らは、地方自治法二四二条の二、七項に基づき、被告町に対し、本訴(四号事件及び七号事件)弁護士費用二〇〇万円及びこれに対する本判決確定の翌日から完済まで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める。 (七号事件、平成五年度支出分の請求)原告らは、被告C、被告B及び被告連合に対し、地方自治法二四二条の二、一項四号に基づき、損害賠償もしくは不当利得返還を求めて、妙高高原町に代位して、平成五年度に妙高高原町に生じた損害損失につき、被告Cが町長として被告Bと共謀して被告連合に支出した四〇〇万円及びこれに対する支出日後である平成六年一月一日から完済まで民法所定年五分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める。 (九号事件、平成六年度及び平成 して被告Bと共謀して被告連合に支出した四〇〇万円及びこれに対する支出日後である平成六年一月一日から完済まで民法所定年五分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める。 (九号事件、平成六年度及び平成七年度支出分の請求)原告らは、被告C及び被告連合に対し、地方自治法二四二条の二、一項四号に基づき、損害賠償もしくは不当利得返還を求めて、妙高高原町に代位して、1 平成六年度に妙高高原町に生じた損害損失につき、被告Cが町長として被告連合に支出した四〇〇万円及びこれに対する支出日後である平成七年一月一日から完済まで民法所定年五分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める。 2 平成七年度に妙高高原町に生じた損害損失につき、被告Cが町長として被告連合に支出した四〇〇万円及びこれに対する支出日後である平成八年一月一日から完済まで民法所定年五分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める。 理由 一(当事者)争いがない。 二(監査請求) 1 監査請求の経緯は争いがない。 2 そこで監査請求の適法性(監査請求期間の徒過の正当理由)について争いがある分(①平成元年度から平成三年度②平成六年度支出分)について判断する。 ① 四号事件中平成元年度から平成三年度の支出に対する住民監査請求について(一) 右支出が各年末ころ(平成元年一二月二九日、平成二年一二月五日及び平成四年三月一〇日)にされたこと、これらの支出について、原告らは平成五年一一月二四日になって監査請求をしたことは争いがない。 (二) 証拠(原告E、乙一の1、二の1の1、1の2、丙一七)によれば、次の事実を認めることができる。 (1) 原告らは、被告Aが被告町町長として、水源地である鎌谷池を含む被告町所有地にゴルフ場を誘致する計画を公にしたことを契機に、環境破壊の防止と水源地を守るため、ゴ の事実を認めることができる。 (1) 原告らは、被告Aが被告町町長として、水源地である鎌谷池を含む被告町所有地にゴルフ場を誘致する計画を公にしたことを契機に、環境破壊の防止と水源地を守るため、ゴルフ場誘致計画に反対する有志の集まりとして平成三年三月ころ結成した「妙高高原町を守る会」の代表である。 (2) 代表の中心である原告Eは、平成三年一〇月に各支出について金額を指摘して不正支出を糾弾するチラシ(乙一の1)を作成して配布し、原告E及び同Fは平成三年一〇月一五日に平成二年度支出までの公金支出について監査請求(乙二の1の1。丙一七による請求が形式不備で返却されたために、同日再度提出したもの。請求は不受理とされた、乙二の1の2)を行った。 (3) これらのチラシ及び監査請求の内容は、予算書、決算書での支出先が被告連合であるのに実際には被告中江土地改良区に支払われていることを糾弾するものであったが、右監査請求原告二名は、右各支出があったことを認識し、かつ支出について法律的問題があったことを認識していた(守る会の相代表者であった他の原告らも同様の認識を持っていたと推認することができる)。 (4) また、平成三年度の支出に関しても、予算への計上は町議会での議決事項であるから町民としての原告らが調査することは容易であり、原告らは、右認定のように、それまでの年度の支出が各年末ころにされていたことを認識していたのであるから、平成三年度についても、同年末ころには支出がされうることを予測することは可能な状態であり、かつ支出がされたことも主として原告Eの調査協力者であるG被告町町議会議員から入手しうる被告町の予算書及び決算書から確認することは容易な状況であった。 (三) 右認定の事実からすれば、四号事件中平成元年度から平成三年度の支出に対する住民監査請求につ あるG被告町町議会議員から入手しうる被告町の予算書及び決算書から確認することは容易な状況であった。 (三) 右認定の事実からすれば、四号事件中平成元年度から平成三年度の支出に対する住民監査請求について、監査請求期間を徒過したことに正当な理由があるとは認められない。 したがって、以上のいずれについても原告らの訴えは適法な監査請求を経ていないので、不適法であり、却下すべきことになる。 ② 九号事件中平成六年度の支出に対する住民監査請求について(一) 右支出が同年末にされたこと、これについて原告らが平成八年八月二八日になって監査請求をしたことは争いがない。 (二) 右支出については、被告Cは、被告町町長としての平成六年二月二五日の記者会見で本件住民訴訟の結果が出るまでは予算執行しない旨改めて強調しており(甲三八)、このような場合には期間徒過について正当な理由があるというべきである。 三(適法な監査請求を経た平成四年ないし七年度分支出の違法性) 1 原告主張の支出及び受領の事実(請求原因二)は争いがない。 2 支出の違法性(請求原因三)について(一) 右各支出が、被告町一般会計予算中の観光振興費として計上支出されてきたことは争いがない。 (二) 証拠(証人H、甲七、八、乙三の1の1、1の2、2の2、四の1、五の2、5、六の1、一一、一二、一三、一四の1から5、一六、一七、一九の1及び2、二〇、丙二、三、四)によれば、次の事実を認めることができる。 (1) 被告町の近隣地方自治体の人口は、昭和三〇年と比較して、大幅減少しているが、被告町の人口は横這い状態である。 (2) 被告町は、昭和四三年三月に簡易水道を統合化して関川からの日量計画給水量五〇〇〇トン、簡易水道等による日量計画給水量三五〇〇トンとする上水道事業の許可を取得した。関川からの取水は慣行水 る。 (2) 被告町は、昭和四三年三月に簡易水道を統合化して関川からの日量計画給水量五〇〇〇トン、簡易水道等による日量計画給水量三五〇〇トンとする上水道事業の許可を取得した。関川からの取水は慣行水利権を持つ杉野沢部落からの金銭代価支払いによる分水を前提としたものであったが、後日新潟県から慣行水利権からの分水は法律的に問題があるという指摘がされたため、被告町は建設大臣に五〇〇〇トンの取水の許可を求めることとし、建設省からは杉野沢部落を含めた下流水利権者の同意を取得するようにと指導された。 (3) 被告町は観光立町であり特に冬場のスキー客が観光客の圧倒的大多数を占めていて、その時期に水道需要が急激に高まることになり、昭和五七年に日量計画給水量一万三〇〇〇トンとする拡張事業認可を取ったが、そのために掘った浅井戸も鉄分含有のため飲用には適さなかった。これらの事情で、被告町は、やむを得ず昭和五一年ころから許可取水量日量五〇〇〇以上の取水を関川から行ってきており、昭和六〇年には最大約一万トンの取水を行っていたが、担当被告町水道課では取水量を五〇〇〇トン前後に書き換えて建設省に報告していた。 (4) 被告町は、簡易水道時代の昭和三九年、臨時的に関川から取水をしたことで慣行水利権を待つ被告中江土地改良区から苦情を受け、最終的に同被告の了解を得て臨時に取水をしたことから同被告と関係を持つようになり、昭和四六年に土地改良区の連合である被告連合が設立された後の昭和四八年には水利権者である土地改良区との関係を良好に保つことを目的として被告連合特別会員となり賦課金を負担するようになった。 (5) 昭和五四年に農業用水専用ダムとして笹ケ峰ダムが完成し、慣行水利権が許可水利権に統合された。その際に、被告町はダムを上水道水源としても利用すべく計画したが、時間的制限のた するようになった。 (5) 昭和五四年に農業用水専用ダムとして笹ケ峰ダムが完成し、慣行水利権が許可水利権に統合された。その際に、被告町はダムを上水道水源としても利用すべく計画したが、時間的制限のため実現できなかった。 (6) 笹ケ峰ダムは被告町の夏場の最大の観光資源であるところ、冬場のスキー客のみでなく、夏場も観光客を誘致し、四季を通じて観光客を誘致することにより、雇用及び税金収入の確保を計画していた被告町は、観光資源としてのダムの活用、具体的にはダム及び周辺遊歩道への観光客の立ち入り、ダム事務所手洗所の利用を予定するとともに観光客の多い冬場に上水道用水が確保できなくなることによる観光イメージの悪化を懸念して、関川下流の水利権者の連合体でもある被告連合との友好関係を保つため、被告連合の負担するダム管理費の一部分担として、被告連合への金銭支払いを継続していた。 昭和五四年から特別会員制度は廃止となったため、被告町は会費ではなく寄付金として支払いを継続することとし、同年度からは上水道特別会計から支払いを継続し、平成四年度からは、観光面を重視して被告連合に金銭を支払う協定書が作成されていることから主として被告町町長被告Cの判断で一般会計から観光振興費として支払うこととして、同様の支払いを継続した。 (7) 将来関川からの取水量の増量許可を取得する際に下流水利権者の同意を取得する必要があり、支障なく取得することができるように、土地改良区との友好関係を保っておく必要があったため、昭和五八年には、それを明確にする協定書(乙三の1の1)、協議書(乙三の1の2)が被告町と被告連合、被告中江土地改良区との問で作成され、ダム運営協力費名目で年額三〇〇万円が被告町から被告連合に支払われるようになった。 (8) 昭和五九年から被告連合は笹ケ峰ダムの建設経費の償 )が被告町と被告連合、被告中江土地改良区との問で作成され、ダム運営協力費名目で年額三〇〇万円が被告町から被告連合に支払われるようになった。 (8) 昭和五九年から被告連合は笹ケ峰ダムの建設経費の償還をしなければならなくなり、同時期からダム管理が被告連合に委託された。 (9) ダムの維持管理費の内、地元負担金が昭和五九年の八〇〇万円から昭和六三年には約一〇一九万円に増加したことから、昭和六三年には被告町が支払うダム運営協力費名目金は年額四〇〇万円に増額となった、(10) 年間三〇〇ないし四〇〇万円の金額は補助金の額としては、被告町の予算あるいは他の団体等に対する補助金の額と比較して著しく高額ということはない。 (11) 被告町は水利権を持つ東北電力の協力を得て、平成六年末になって冬期間に限定して一年更新での取水許可を取得した。 (三) このような状況のもと、被告A及び同Cが被告町町長として観光振興を目的に平成四年ないし七年度分の各支出につき予算計上してそれを執行したことには、観光振興という一応の合理性があったと認められ、それに裁量権の逸脱があったとは認められない。原告らは、右支出は平成三年度分までの根拠のない取水に対する対価としての笹ケ峰ダム運営協力費支出の違法性を隠蔽するためのものに過ぎないと主張しているが、仮にそのような意図が右町長らにあったとしても、右認定のように観光振興費としての支出自体に合理性がある限り支出が裁量権の逸脱とされることはない。 また、被告中江土地改良区への支払いは同被告と被告連合との合意に基づいて行われているものである(乙三の1の3、三の2の3)から、被告中江土地改良区の不当な利得とはならない。 したがって、町に損害損失はないので、右各支出に関する原告らの請求は理由がない。 四(弁護士費用請求(四号事件請求の趣 乙三の1の3、三の2の3)から、被告中江土地改良区の不当な利得とはならない。 したがって、町に損害損失はないので、右各支出に関する原告らの請求は理由がない。 四(弁護士費用請求(四号事件請求の趣旨四)の適法性について)この請求権は、地方自治体である被告町に代位して提起した訴訟(同事件のその余の請求及び七号事件)において原告らが勝訴判決を得、かつそれが確定することにより発生する停止条件付請求権であるから、未だ請求権は発生していないところ、代位請求訴訟における被告ではない被告町に対する、他の当事者に対する判決の確定を条件とするような訴えは、不確定な条件を付したものであって訴訟の安定性を著しく害するので、不適法といわざるを得ない。 五(結論)よって、原告らの請求にかかる訴えの内、一部は不適法であるので却下することとし、その余の請求は理由がないので、主文のとおり判決する。 新潟地方裁判所第二民事部裁判長裁判官松田清裁判官野島香苗裁判官野島久美子

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