令和2年11月26日判決言渡平成28年(行ウ)第586号法人税更正処分等取消請求事件 主文 1 E1税務署長が平成24年3月27日付けで原告に対してした平成18年4 月1日から平成19年3月31日までの事業年度に係る法人税の更正処分(ただし,平成26年1月28日付け減額更正及び平成28年6月21日付け裁決により一部取り消された後のもの。)のうち納付すべき税額円を超える部分及び同更正処分に伴う過少申告加算税の賦課決定処分(ただし,平成26年1月28日付け変更決定及び上記裁決により一部取り消 された後のもの。)のうち税額円を超える部分をいずれも取り消す。 2 E1税務署長が平成24年3月27日付けで原告に対してした平成19年4月1日から平成20年3月31日までの事業年度に係る法人税の更正処分(ただし,平成26年1月28日付け減額更正及び平成28年6月21日付け裁決 により一部取り消された後のもの。)のうち納付すべき税額円を超える部分及び同更正処分に伴う過少申告加算税の賦課決定処分(ただし,平成26年1月28日付け変更決定及び上記裁決により一部取り消された後のもの。)のうち税額円を超える部分をいずれも取り消す。 3 E1税務署長が平成24年3月27日付けで原告に対してした平成20年4月1日から平成21年3月31日までの事業年度に係る法人税の更正処分(ただし,平成26年1月28日付け減額更正により一部取り消された後のもの。)のうち納付すべき税額円を超える部分及び同更正処分に伴う過少申告加算税の賦課決定処分をいずれも取り消す。 4 E1税務署長が平成24年3月27日付けで原告に対してした平成21年4 月1日から平成22年3月31日までの事業年度に係る法人税の更正処分の 賦課決定処分をいずれも取り消す。 4 E1税務署長が平成24年3月27日付けで原告に対してした平成21年4 月1日から平成22年3月31日までの事業年度に係る法人税の更正処分のうち納付すべき税額円を超える部分及び同更正処分に伴う過少申告加算税の賦課決定処分のうち税額円を超える部分をいずれも取り消す。 5 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 6 訴訟費用は,これを6分して,その1を原告の負担とし,その余は被告の負担とする。 事実 及び理由以下の目次は,次のとおりである。 第1 請求・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3頁 第2 事案の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4頁 1 関係法令等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6頁 2 前提事実・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14頁 3 争点及び当事者の主張・・・・・・・・・・・・・・26頁第3 当裁判所の判断・・・・・・・・・・・・・・・・・27頁 1 検討の順序・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28頁 2 認定事実・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28頁 3 本件超過利益の発生メカニズムの検討・・・・・・・・59頁 4 重要な無形資産以外の利益発生要因の位置付け・・・・70頁 5 争点⑴①(基本的利益の算定方法の適否)について・・73頁 6 争点⑴②(残余利益の分割方法の適否)について・・・78頁 7 本件国外関連取引に係る独立企業間価格について・・・94頁 8 争点⑵(理由付記の不備の有無) 6 争点⑴②(残余利益の分割方法の適否)について・・・78頁 7 本件国外関連取引に係る独立企業間価格について・・・94頁 8 争点⑵(理由付記の不備の有無)について・・・・・・96頁 9 本件各処分の適法性について・・・・・・・・・・・・97頁(別紙)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・101頁 (別表)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・200頁 第1 請求 1 主文第1項と同旨 2 E1税務署長が平成24年3月27日付けで原告に対してした平成19年4月1日から平成20年3月31日までの事業年度に係る法人税の更正処分(ただし,平成26年1月28日付け減額更正及び平成28年6月21日付け裁決 により一部取り消された後のもの。)のうち納付すべき税額円を超える部分及び同更正処分に伴う過少申告加算税の賦課決定処分(ただし,平成26年1月28日付け変更決定及び上記裁決により一部取り消された後のもの。)のうち税額円を超える部分をいずれも取り消す。 3 主文第3項と同旨 4 E1税務署長が平成24年3月27日付けで原告に対してした平成21年4月1日から平成22年3月31日までの事業年度に係る法人税の更正処分のうち納付すべき税額円を超える部分及び同更正処分に伴う過少申告加算税の賦課決定処分をいずれも取り消す。 第2 事案の概要セラミックス製品の製造を主たる事業とする内国法人である原告は,ディーゼル車用の微粒子除去フィルター(炭化ケイ素を原料とするセラミックス製ディーゼル・パティキュレート・フィルター〔DieselParticulateFilter〕。以下,同フィルターを「DPF」といい,セラミッ 子除去フィルター(炭化ケイ素を原料とするセラミックス製ディーゼル・パティキュレート・フィルター〔DieselParticulateFilter〕。以下,同フィルターを「DPF」といい,セラミックス製DPFのうち炭化ケイ素を原料 とするものを「製品E2」といい,原告及びその関係会社が製造販売する製品E2を「本件製品」という。)の製造に関する特許権やノウハウ等の無形資産を有していたところ,製品E2は,ヨーロッパ連合(以下「EU」という。)において設けられた自動車の排ガス規制の基準を満たすために有用なものであった。 原告は,ポーランド共和国(以下「ポーランド」という。)に,間接子会社で あるE3(以下「本件国外関連者」という。また,同社の通称である「E3」と 表記することがある。)を設立し,本件国外関連者との間で上記無形資産の使用に関するライセンス契約を締結した(以下,同契約を「本件ライセンス契約」といい,同契約に係る取引を「本件国外関連取引」という。)。本件国外関連者は,上記無形資産を使用して本件製品を製造し,これを原告の間接子会社を通じて,ヨーロッパの自動車メーカーに販売した。 原告は,平成19年3月期(平成18年4月1日から平成19年3月31日までの事業年度をいい,他の事業年度についても同様に表記する。)から平成22年3月期までの各事業年度(以下「本件各事業年度」という。)に係る法人税の確定申告に際し,本件国外関連取引(本件ライセンス契約)の対価であるロイヤルティの額(以下「本件対価額」という。)を収益の額に算入した。これに対し, E1税務署長(処分行政庁)は,本件対価額が,租税特別措置法(平成19年3月期については平成19年法律第6号による改正前のもの,その余の事業年度については平成22年法 算入した。これに対し, E1税務署長(処分行政庁)は,本件対価額が,租税特別措置法(平成19年3月期については平成19年法律第6号による改正前のもの,その余の事業年度については平成22年法律第6号による改正前のもの。以下,これらを包括して「措置法」という。)66条の4第2項2号ロ,租税特別措置法施行令(平成19年3月期については平成19年政令第92号による改正前のもの,その余の事 業年度については平成22年政令第58号による改正前のもの。以下,これらを包括して「措置法施行令」という。)39条の12第8項1号に定める方法により算定した独立企業間価格に満たないことを理由に,措置法66条の4第1項に定める国外関連者との取引に係る課税の特例の規定により,本件国外関連取引が独立企業間価格で行われたものとみなされるとし,原告の本件各事業年度の所得 金額に独立企業間価格と本件対価額との差額を加算すべきであるとして,法人税の各更正処分及びこれらに伴う過少申告加算税の各賦課決定処分をした。本件は,原告が,被告を相手に,これらの処分の全部又は一部の取消しを求める事案である。 なお,以下においては,E1税務署長が原告に対してした上記各更正処分(た だし,平成19年3月期及び平成20年3月期については平成26年1月28日 付け減額更正及び平成28年6月21日付け裁決〔以下「本件裁決」という。〕により一部取り消された後のもの,平成21年3月期については平成26年1月28日付け減額更正により一部取り消された後のもの。)を「本件各更正処分」といい,個別の事業年度に係る更正処分を示すときは「平成19年3月期更正処分」などという。また,上記各賦課決定処分(ただし,平成19年3月期及び平 成20年3月期については平成26年1月 処分」といい,個別の事業年度に係る更正処分を示すときは「平成19年3月期更正処分」などという。また,上記各賦課決定処分(ただし,平成19年3月期及び平 成20年3月期については平成26年1月28日付け変更決定及び本件裁決により一部取り消された後のもの。)を「本件各賦課決定処分」といい,個別の事業年度に係る賦課決定処分を示すときは「平成19年3月期賦課決定処分」などという。そして,本件各更正処分と本件各賦課決定処分を併せて「本件各処分」という。 また,以下においては,国名や法人名について特に定義しないまま略称を用いることがあるほか,証拠番号を掲記する際に枝番の表記を省略することがある。 1 関係法令等本件に関係する措置法(ただし,平成22年法律第6号による改正前のもの。)の定めは別紙2-1,措置法施行令(ただし,平成22年政令第58号 による改正前のもの。)の定めは別紙2-2のとおりである。 また,租税特別措置法関係通達(法人税編,乙14)については,平成19年3月期につき平成19年改正前のもの,その余の事業年度につき平成22年改正前のものが適用され(以下,これらを包括して「措置法通達」という。),平成13年6月1日付け査調7-1ほか「移転価格事務運営要領の制定につい て(事務運営指針)」(乙19)については,平成19年3月期につき平成19年改正前のもの,平成20年3月期につき平成20年改正前のもの,その余の事業年度につき平成22年改正前のものが適用される(以下,これらを包括して「事務運営指針」という。)。 なお,本件の争点に関しては,法令及び通達のいずれについても,上記各改 正の前後で有意な差異はない。 ⑴ 移転価格税制についてア措置法66条の4第1項は,法人が国外関連者(外 お,本件の争点に関しては,法令及び通達のいずれについても,上記各改 正の前後で有意な差異はない。 ⑴ 移転価格税制についてア措置法66条の4第1項は,法人が国外関連者(外国法人で,当該法人との間にいずれか一方の法人が他方の法人の発行済株式〔又は出資〕の総数〔又は総額〕の100分の50以上を直接又は間接に保有する関係その他の政令で定める特殊の関係のあるものをいう。)との間で,資産の販 売・購入,役務の提供その他の取引(以下「国外関連取引」という。)を行った場合に,当該法人が当該国外関連者から支払を受ける対価の額が独立企業間価格(当該国外関連取引につき,特殊の関係のない者〔以下「非関連者」という。〕との間で,同様の状況下で行われた場合に成立するであろう合意に係る価格をいい,その算定方法は同条2項各号に規定されて いる。)に満たないときは,当該法人の当該事業年度の所得に係る法人税法その他法人税に関する法令の規定の適用については,当該国外関連取引は独立企業間価格で行われたものとみなされる旨を定めている。そして,内国法人の各事業年度における所得の金額は,当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額である(法人税法22条1項) ところ,措置法66条の4第1項の適用により上記のとおり当該国外関連取引が独立企業間価格で行われたものとみなされることにより,独立企業間価格と当該国外関連取引における実際の対価の額との差額が,当該事業年度の益金の額に加算されることになる。 イ国際的な経済交流の発展に伴い,企業の多国籍化が進み,グループ間 の取引が増大しているところ,このようなグループ内の関連企業間における取引について,その取引の当事者たる企業が,それぞれ異なる国で事業活動を行い別個の課 い,企業の多国籍化が進み,グループ間 の取引が増大しているところ,このようなグループ内の関連企業間における取引について,その取引の当事者たる企業が,それぞれ異なる国で事業活動を行い別個の課税管轄に属する場合に,相互に独立した企業間の取引において通常設定される対価の額と異なる取引価格を設定するときには,本来一方の企業の所得となるべきであった経済的利益が他方の 企業に移転されることにより,その移転元の企業の課税管轄に係る国の 課税権が侵害されるという問題が生ずる。 先進各国では,こうした移転価格の問題に対処するために,国家間の課税権の適正な調整の観点から,現実の取引価格ではなく,独立企業間価格で取引が行われたと仮定した場合に得られる当該企業の所得に即して課税を行う制度(以下「移転価格税制」という。)を導入しており, 我が国も,昭和61年税制改正により,法人間の国際取引に関して移転価格税制を導入した(乙8)。 また,OECD(経済協力開発機構)租税委員会では,移転価格税制に関する継続的な議論がされており,1995年(平成7年)に「多国籍企業及び税務当局のための移転価格の算定に関する指針」(以下「O ECDガイドライン」という。)が公表されて以降,順次改定が行われ,2010年(平成22年)には独立企業間価格の算定方法についての見直しをする改定がされた(乙8,9。以下,OECDガイドラインの改定の経緯に合わせ,例えば同年版のOECDガイドラインを示す場合には,「2010年版ガイドライン」などという。)。 ⑵ 独立企業間価格の算定方法についてア措置法66条の4第1項に規定する「独立企業間価格」について,同条2項は,国外関連取引が同項各号に掲げる取引のいずれに該当するかに応じ当該各号に定める方 ⑵ 独立企業間価格の算定方法についてア措置法66条の4第1項に規定する「独立企業間価格」について,同条2項は,国外関連取引が同項各号に掲げる取引のいずれに該当するかに応じ当該各号に定める方法により算定した金額をいうと規定し,同項1号において,典型的な取引形態として棚卸資産の販売又は購入に関する独立企 業間価格の算定方法を定め(後記イ参照),同項2号において,それ以外の取引に関する算定方法を定めている(後記ウ参照)。 イ棚卸資産の販売又は購入に関する独立企業間価格の算定方法措置法66条の4第2項1号は,棚卸資産の販売又は購入に関する独立企業間価格の算定方法について,①独立価格比準法(同号イ。特殊の関 係にない売手と買手が,国外関連取引に係る棚卸資産と同種の棚卸資産 を当該国外関連取引と取引段階,取引数量その他が同様の状況の下で売買した取引の対価の額に相当する金額をもって独立企業間価格とする方法をいう。),②再販売価格基準法(同号ロ。国外関連取引に係る棚卸資産の買手が特殊の関係にない者に対して当該棚卸資産を販売した対価の額から通常の利潤の額を控除して計算した金額をもって独立企業間価 格とする方法をいう。),③原価基準法(同号ハ。国外関連取引に係る棚卸資産の売手の購入,製造その他の行為による取得の原価の額に通常の利潤の額を加算して計算した金額をもって独立企業間価格とする方法をいう。また,上記①から③までを併せて「基本三法」という。)のほか,④基本三法に準ずる方法及び⑤その他政令で定める方法(いずれも 同号ニ。)を規定し,適用順序については,基本三法を用いることができない場合に限り,上記④,⑤の方法を用いることができる旨規定している。 また,措置法66条の4第2項1号ニの規定を受けて定められ 同号ニ。)を規定し,適用順序については,基本三法を用いることができない場合に限り,上記④,⑤の方法を用いることができる旨規定している。 また,措置法66条の4第2項1号ニの規定を受けて定められた措置法施行令39条の12第8項各号は,上記⑤の政令で定める方法として, ⒜利益分割法(同項1号。後記エ),⒝取引単位営業利益法(同項2号及び3号)などを規定している。 ウ上記イ以外の取引に関する独立企業間価格の算定方法措置法66条の4第2項2号は,棚卸資産の販売又は購入以外の取引に関する独立企業間価格の算定について,上記イ①から③まで(基本三 法)と同等の方法(同号イ),上記イ④及び⑤と同等の方法(同号ロ)による旨規定し,適用順序については,前者(同号イに掲げる方法)を用いることができない場合に限り,後者(同号ロに掲げる方法)を用いることができる旨規定している。 措置法通達66の4⑹-1は,「同等の方法」の内容について,有形資 産の貸借取引,金銭の貸借取引,役務提供取引,無形資産の使用許諾又 は譲渡の取引等,棚卸資産の販売又は購入以外の取引において,それぞれの取引の類型に応じて上記イに掲げる各方法に準じて独立企業間価格を算定する方法をいうものとしている。 エ利益分割法(措置法施行令39条の12第8項1号)措置法施行令39条の12第8項1号が定める利益分割法は,国外 関連取引に係る棚卸資産の法人又は国外関連者による購入,製造,販売その他の行為に係る所得(以下「分割対象利益」という。)が,当該棚卸資産に係るこれらの行為のためにこれらの者が支出した費用の額,使用した固定資産の価額その他これらの者が当該所得の発生に寄与した程度を推測するに足りる要因(以下「分割要因」という。)に応じて,当 に係るこれらの行為のためにこれらの者が支出した費用の額,使用した固定資産の価額その他これらの者が当該所得の発生に寄与した程度を推測するに足りる要因(以下「分割要因」という。)に応じて,当 該法人及び当該国外関連者に帰属するものとして計算した金額をもって,独立企業間価格とする方法である。 措置法通達66の4⑷-2は,利益分割法の適用に当たり,分割対象利益の配分に用いる分割要因は,国外関連取引の内容に応じ,法人又は国外関連者が支出した人件費等の額,投下資本の額等,これらの者が 当該分割対象利益の発生に寄与した程度を推測するにふさわしいものを用いることに留意するものとし,分割要因が複数ある場合には,それぞれの要因が分割対象利益の発生に寄与した程度に応じて,合理的に計算するものとしている(乙14)。 また,事務運営指針の別冊である「移転価格税制の適用に当たっての 参考事例集」(以下「参考事例集」という。)は,例えば,製造,販売等経常的に果たされている機能が利益の発生に寄与している場合には,当該機能を反映する人件費等の費用の額や減価償却費などを用いるのが合理的と考えられるとしている(平成23年改正後の参考事例集・事例7〔甲289〕)。 ⑶ 残余利益分割法について ア残余利益分割法は,利益分割法の一つとして措置法通達66の4⑷-5に定められている方法であり,法人又は国外関連者が重要な無形資産を有する場合に,分割対象利益のうち重要な無形資産を有しない非関連者間の取引において通常得られる利益(以下「基本的利益」といい,基本的利益を得るための活動を「基本的活動」という。)に相当する金額を当該法人 及び当該国外関連者それぞれに配分し,これを配分した後の残額(以下「残余利益」というほか,分割対象利 利益」といい,基本的利益を得るための活動を「基本的活動」という。)に相当する金額を当該法人 及び当該国外関連者それぞれに配分し,これを配分した後の残額(以下「残余利益」というほか,分割対象利益のうち基本的利益を超える額であるという観点から「超過利益」ということがある。)を,当該法人又は当該国外関連者が有する重要な無形資産の価値に応じて合理的に配分するというものである(乙14)。 残余利益分割法の適用上考慮要素となる無形資産の定義について,措置法通達66の4⑵-3は,著作権,工業所有権等のほか,顧客リスト,販売網等の重要な価値のあるものをいうとしている(乙14)。また,事務運営指針は,無形資産が法人又は国外関連者の所得にどの程度寄与しているかを検討するに当たっては,例えば,①技術革新を要因として 形成される特許権,営業秘密等,②従業員等が経営,営業,生産,研究開発,販売促進等の企業活動における経験等を通じて形成したノウハウ等,③生産工程,交渉手順及び開発,販売,資金調達等に係る取引網等の重要な価値を有し所得の源泉となるものを総合的に勘案することに留意するものとしている(平成19年改正後の事務運営指針2-11〔乙 19〕)。 なお,平成23年税制改正においては,これまで措置法通達で定められていた利益分割法の下位分類についても法令で定めることとなり(乙13),平成23年政令第199号による改正後の措置法施行令(以下「改正後措置法施行令」という。)39条の12第8項1号は,比較利 益分割法(同号イ),寄与度利益分割法(同号ロ)と並んで,残余利益 分割法(同号ハ)について規定している。同号ハに定められた残余利益分割法は,下記の①及び②に掲げる金額につき当該法人及び当該国外関連者ごとに合計した 割法(同号ロ)と並んで,残余利益 分割法(同号ハ)について規定している。同号ハに定められた残余利益分割法は,下記の①及び②に掲げる金額につき当該法人及び当該国外関連者ごとに合計した金額がこれらの者に帰属するものとして計算する方法であり,措置法通達に定められた残余利益分割法を法定化したものということができる。 記① 当該国外関連取引に係る棚卸資産の当該法人及び当該国外関連者による販売等に係る所得が,当該棚卸資産と同種又は類似の棚卸資産の非関連者による販売等(以下「比較対象取引」という。)に係る割合(再販売価格基準法,原価基準法及び取引単位営業利益法により独立 企業間価格を算定するために用いられる割合で,当該算定のための必要な調整を加えないものとした場合のもの。なお,当該比較対象取引と当該国外関連取引に係る棚卸資産の当該法人及び当該国外関連者による販売等とが当事者の果たす機能その他において差異がある場合には,その差異〔当該棚卸資産の販売等に関し当該法人及び当該国外関 連者に独自の機能が存在することによる差異を除く。〕により生ずる割合の差につき必要な調整を加えた後の割合。)に基づき当該法人及び当該国外関連者に帰属するものとして計算した金額② 当該国外関連取引に係る棚卸資産の当該法人及び当該国外関連者による販売等に係る所得の金額と,上記①の金額との差額(残余利益) が,当該残余利益の発生に寄与した程度を推測するに足りるこれらの者が支出した費用の額,使用した固定資産の価額その他これらの者に係る要因に応じてこれらの者に帰属するものとして計算した金額 上記規定の適用に関し,平成23年改正後の措置法通達(以下「改正 後措置法通達」という。)66の4⑸-4は,「残余 れらの者に係る要因に応じてこれらの者に帰属するものとして計算した金額 上記規定の適用に関し,平成23年改正後の措置法通達(以下「改正 後措置法通達」という。)66の4⑸-4は,「残余利益等を法人及び 国外関連者で配分するに当たっては,その配分に用いる要因として,例えば,法人及び国外関連者が無形資産を用いることにより独自の機能を果たしている場合には,当該無形資産による寄与の程度を推測するに足りるものとして,これらの者が有する無形資産の価額,当該無形資産の開発のために支出した費用の額等を用いることができることに留意す る。」としている(乙29)。 イ独立企業間価格を算定する手順残余利益分割法を適用して独立企業間価格を算定する手順は,次のとおりである。 分割対象利益の算出 措置法通達66の4⑷-1は,分割対象利益について,国外関連取引に係る棚卸資産の販売等により法人及び国外関連者に生じた営業利益の合計額としている。 基本的利益の算出事務運営指針は,基本的利益の算定について,「国外関連取引の事業 と同種の事業を営み,市場,事業規模等が類似する法人(重要な無形資産を有する法人を除く。以下「比較対象法人」という。)の事業用資産又は売上高に対する営業利益の割合等で示される利益指標に基づき計算する」としている(平成19年改正後の事務運営指針3-5〔乙19〕。 同改正前の事務運営指針3-3〔乙18〕も同旨。)。 参考事例集は,比較対象法人の選定について,「例えば,業種コード,取扱製品,取引段階(小売か卸売か等),海外売上比率,売上規模,設備(有形固定資産)規模,従業員数,無形固定資産の有無,研究開発費や広告宣伝費の水準等を選定の基準として用いることが適当」であるとし,併せて ,取引段階(小売か卸売か等),海外売上比率,売上規模,設備(有形固定資産)規模,従業員数,無形固定資産の有無,研究開発費や広告宣伝費の水準等を選定の基準として用いることが適当」であるとし,併せて,異常値の混入を防ぐため,「倒産等により通常の事業状況 にないと認められる法人は除く必要がある。」としている。また,比較 対象法人の選定手順の例として,別紙4の手順を示している(平成19年改正後の参考事例集・事例21〔乙28〕)。 ウ残余利益の分割上記イにより得られた基本的利益を当該法人及び当該国外関連者に配分した後の残額である残余利益の分割方法について,措置法通達66の 4⑷-5は,当該重要な無形資産の価値による配分を当該重要な無形資産の開発のために支出した費用等の額により行っている場合には,合理的な配分としてこれを認めるものとしている。また,参考事例集は,その費用等の額について,無形資産の取得原価のほか,無形資産の形成・維持・発展の活動を反映する各期の支出費用等(①特許権,製造ノウハ ウ等の製造活動に用いられる無形資産については,研究開発部門,製造部門の関係費用等。また,②事業判断,リスク管理,資金調達,営業に関するノウハウ等の無形資産については,企画部門,業務部門,財務部門,営業部門等,活動の主体となっている部門の関係費用等。)の額を用いるものとしている(平成19年改正後の参考事例集・事例22〔乙 28〕)。 エ独立企業間価格の算定上記イ及びウにより当該法人及び当該国外関連者にそれぞれ配分された基本的利益と残余利益の合計額によって,独立企業間価格が算定される。 2 前提事実(争いのない事実,顕著な事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)⑴ 当事者 た基本的利益と残余利益の合計額によって,独立企業間価格が算定される。 2 前提事実(争いのない事実,顕著な事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)⑴ 当事者等ア原告について原告は,大正8年に,E4株式会社(現在は株式会社E5)から,碍 子(陶器製の絶縁体)部門を分離独立して設立された会社であり,主と して電力会社・重電メーカー向けの特別高圧碍子等の製造販売を行ってきたが,その後,セラミックス製品一般に事業を展開し,国内外に子会社66社及び関連会社4社を有するに至っている(以下,原告並びにその子会社及び関連会社を併せて「原告グループ」という。)。 原告グループの事業は,電力関連事業(電力用碍子等),セラミックス 事業(セラミックス製品等)及びエレクトロニクス事業(電子工業用セラミックス製品等)から構成されており,これらのうちセラミックス事業については,ディーゼルエンジンの排ガス浄化処理部品である製品E2(本件製品)等を製造し,自動車メーカーに供給するなどしている。 イ本件国外関連者(E3)について 本件国外関連者は,原告の間接子会社として2003年(平成15年)に設立されたポーランドに所在する法人であり,発行済株式の95%を原告が間接保有していることから,原告との関係で,措置法66条の4第1項にいう「国外関連者」に該当する。 本件国外関連者の主たる事業はセラミックス事業であり,本件各事業年 度においては,その全てが本件製品の製造及び販売であった。 本件国外関連者の組織には,製造部門(Production)のほか,「プロセスと技術」部門(Process & Technology)の下に,部門(と部門がある(乙133)。 ⑵ EUに 本件国外関連者の組織には,製造部門(Production)のほか,「プロセスと技術」部門(Process & Technology)の下に,部門(と部門がある(乙133)。 ⑵ EUにおける排ガス規制等と製品E2 ア Euro規制及び各国規制についてEuro規制EU欧州委員会は,EU加盟各国における環境意識の高まりを受けて,1998年(平成10年),排ガスを規制する指令を定め,2000年(平成12年),乗用車・小型商用車の排ガスに関する規制である「E uro3」を導入し,また,2005年(平成17年),同規制の内容 を強化する「Euro4」を導入し,さらに,2007年(平成19年)6月,これを強化する「Euro5」及び「Euro6」の導入を決定した(以下,Euro3から6までの各規制を総称して「Euro規制」という。)。Euro5は,2009年(平成21年)からその規制の一部の適用が開始され,2011年(平成23年)1月に乗用車 及び小型商用車の一部について規制が全面適用され,その他の車種については2012年(平成24年)1月に規制が全面適用された(甲197)。 Euro4及びこれに続くEuro5の規制の下では,新型車について,EU加盟国の法令に基づく型式指定により基準を満たすことが確認 されない限り,EU加盟国における自動車の販売,新車登録又は利用が保証されないこととなった(甲197)。 Euro規制において重要な対象とされた物質の一つが,燃料の不完全燃焼による黒煙微粒子を核とした粒子状物質(ParticulateMatter;以下「PM」ということがある。)であり,この物質は肺の深部に侵入 し人体に深刻な影響を及ぼすとされている。ディーゼル車は,ガソリン 核とした粒子状物質(ParticulateMatter;以下「PM」ということがある。)であり,この物質は肺の深部に侵入 し人体に深刻な影響を及ぼすとされている。ディーゼル車は,ガソリン車に比べてPMを多く発生させるところ,EUの自動車市場においてはディーゼル車が占める割合が大きいことから,PMが健康に及ぼす悪影響を防止するために,Euro規制においては,PMの排出量について規制することとしたものである(甲68)。ディーゼル乗用車(M-B 型)のPMの排出量の最大値について,Euro3では50mg/Kmであったのに対し,Euro4ではその半分である25mg/Km,Euro5ではさらにその5分の1である5mg/Kmとされ,規制が強化されていった。 EU大気指令 EU欧州委員会は,上記の自動車の排ガス規制とは別に,自動車か ら排出される粒子状物質を含む大気中の浮遊粒子状物質(SuspendedParticulateMatter〔SPM〕)を規制する指令(以下「EU大気指令」という。)を定め,2005年(平成17年)1月,これを施行した。 これを受けて,EU加盟国の各政府(又は地方政府)は,それぞれ独自の規制を定め,例えば,ドイツの主要都市では,Euro規制の基準 を満たしていることの証明がないディーゼル車の乗入れを禁止又は規制する区域が設けられ,また,オランダでは,2007年(平成19年),ディーゼル車の新車についてDPFを装着することが義務付けられた(甲69。以下,EU大気指令を契機とする各国の規制を総称して「各国規制」といい,Euro規制と併せて「Euro規制等」という。)。 イ製品E2について製品E2の機能製品E2は,セラミックス製DPFの一種であり,炭 る各国の規制を総称して「各国規制」といい,Euro規制と併せて「Euro規制等」という。)。 イ製品E2について製品E2の機能製品E2は,セラミックス製DPFの一種であり,炭化ケイ素(SiC)を原料とするものである(ディーゼル乗用車用のセラミックス製DPFとしては,製品E2のほか,チタン酸アルミニウムを原料と するAT-DPFもあるが,本件各事業年度の当時はその製造販売量はまだ少なく,ほとんどを製品E2が占めていた。)。 製品E2は,ディーゼル車に装着され,排出される黒煙微粒子を捕集し,これを触媒等の作用により酸化除去することにより,排ガスを浄化する機能を有する(乙34)。したがって,ディーゼル車に製品 E2を装着することにより,PMの排出量を抑制することができ,Euro規制の基準を満たすことができる。 製品E2の需要の急増原告は,上記アのとおりEuro3が導入された後の2002年(平成14年)12月頃,ポーランドに工場を立ち上げて製品E2を量 産する旨の事業計画を策定し(以下「本件事業化決定」という。),こ れに基づき,2003年(平成15年)1月,本件国外関連者(E3)を設立し,本件国外関連者は,製品E2(本件製品)を量産することができる生産設備を整備した(以下,本件国外関連者による生産設備の整備及びこれに係る投資を「本件設備投資」という。)。その後,2005年(平成17年)以降にEuro4,5及び6が順次導入されるなど した結果,EUのセラミックス製DPF市場(以下「EU市場」という。)における需要が急増し,これに伴い,本件国外関連者の売上高も急伸した。(甲80~83,乙116~118)。 本件各事業年度当時,EU市場におけるマーケットシェアは,E6グ 「EU市場」という。)における需要が急増し,これに伴い,本件国外関連者の売上高も急伸した。(甲80~83,乙116~118)。 本件各事業年度当時,EU市場におけるマーケットシェアは,E6グループ(E6株式会社〔甲183〕を頂点とするグループ)と原告グル ープとでほとんどを占めており,原告グループのシェアは%程度であった(甲92,乙92)。E6グループでは,フランス及びハンガリーに設立した各社(甲184。以下,ヨーロッパにおけるE6グループの会社を「E6・ヨーロッパ」と総称する。)が製品E2の製造を行い,原告グループでは,ポーランドにおける本件国外関連者が本件製品の製 造を行っていた(以下,EU市場における本件国外関連者及びE6・ヨーロッパによる寡占状態を「2社寡占状態」という。)。 本件国外関連者の営業利益率等本件国外関連者における本件各事業年度(原告の本件各事業年度に相当する年度をいう。以下同じ)の売上高営業利益率は,2006年(平 成18年)については%,2007年(平成19年)については%,2008年(平成20年)については%,2009年(平成21年)については%であった(なお,本件国外関連者の決算期は,2011年〔平成23年〕までは12月であったが,その次の年度から3月に変更した。本判決では,原告以外の法人に係る 事業年度を表記する際,決算期となる月の記載を省略し,単に年のみを 記載する場合がある。)。 また,本件国外関連者は,上記のとおり本件設備投資をしたものであるところ,総営業費用に占める減価償却費(ただし,部門に係るものを除く。)は,本件各事業年度において,年平均で%(被告の算定によれば,%)であった。 ⑶ 本件国外関連取引についてア ところ,総営業費用に占める減価償却費(ただし,部門に係るものを除く。)は,本件各事業年度において,年平均で%(被告の算定によれば,%)であった。 ⑶ 本件国外関連取引についてア本件ライセンス契約の締結及びその内容 本件各事業年度において,本件ライセンス契約に基づいて原告が収受した本件ロイヤルティの総額(本件対価額)は,平成19年3月期については円,平成20年3月期については 円,平成21年3月期については円,平成22年3月期については円であった(乙35)。 ウ本件製品の販売本件国外関連者が製造する本件製品は,1985年(昭和60年)に ドイツのフランクフルト近郊に設立された原告の関連会社(発行済株式の100%を原告が間接保有している。)であるE7に独立企業間価格で販売され,E7が,ヨーロッパに所在する自動車メーカーに対し本件製品を販売していた(甲268)。 E7は,本件国外関連者のために行う販売活動(以下「本件販売活 動」という。)の対価として,本件製品の販売価格の%(ただし,2 006年〔平成18年〕の一時期は%)の報酬を得ていた(甲268)。 ⑷ 確定申告と本件各処分の経緯等ア原告は,本件各事業年度の法人税に係る確定申告書を,いずれも法定申告期限までにE1税務署長に提出した(乙166,168,170,17 2。別表1「確定申告」欄)。 イ E1税務署長は,原告の平成19年3月期及び平成20年3月期の法人税につき, ウ原告は平成19年3月期の法人税につき, エ原告は,平成21年3月期の法人税につき, オその後,E1税務署長は,名古屋国税局の職員 成20年3月期の法人税につき, ウ原告は平成19年3月期の法人税につき, エ原告は,平成21年3月期の法人税につき, オその後,E1税務署長は,名古屋国税局の職員による税務調査に基づき, 平成24年3月27日付けで,平成18年3月期及び本件各事業年度に係る法人税につき,原告が二つの国外関連者(ただし,平成22年3月期は本件国外関連者のみ。)から支払を受けた対価の額が独立企業間価格に満たないなどとして,各更正処分及びこれらに伴う過少申告加算税の各賦課決定処分をした(甲1の1~4。別表1「本件更正処分等」欄)。なお, 上記二つの国外関連者とは,本件国外関連者(E3)と,米国法人であり 原告が発行済株式の100%を間接保有しているE8である。 カ原告は,平成24年5月8日,名古屋国税局長に対し,上記オの各更正処分及び各賦課決定処分に対する異議申立て(乙1。以下「本件異議申立て」という。)をした。なお,本件異議申立てにおいては,平成22年3月期については一部の取消しを求め,その余の事業年度については全部の 取消しを求めていた。 キ原告は,平成24年5月8日,名古屋国税局長に対し,原告とE8及び本件国外関連者(E3)との間の各国外関連取引を対象とした国外移転所得金額について,それぞれ「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の条約」 (以下「日米租税条約」という。)及び「所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とポーランド人民共和国との間の条約」(以下「日波租税条約」という。)に基づき,権限ある当局間の相互協議を申し立てることを検討しているとして,本件異議申立ての審理の留保を求める旨の上申書を提出し 国とポーランド人民共和国との間の条約」(以下「日波租税条約」という。)に基づき,権限ある当局間の相互協議を申し立てることを検討しているとして,本件異議申立ての審理の留保を求める旨の上申書を提出した(乙2)。そのため,名古屋国税局長は,本件異議 申立てに係る審理を留保した。 ク原告は,平成24年6月27日,国税庁長官に対し,米国を相手国とする「名古屋国税局が行った更正処分に係る二重課税の排除に関する二国間協議」(いわゆる相互協議)の申立てを行い,平成25年11月6日,同相互協議につき国税庁から提示された内容の合意が成立した場合にはその 合意を受け入れることに同意した(乙3)。 なお,原告は,日波租税条約に基づく相互協議の申立てをしていない。 ケ原告は,国税庁長官から平成26年1月15日付けで上記クの相互協議の合意が成立した旨の通知を受け(乙4),同月31日,本件異議申立てについて,平成18年3月期に係る申立ての全部,平成19年3月期から 平成21年3月期までに係る申立てのうちE8との間の国外関連取引を対 象とした国外移転所得金額に関する部分を取り下げた(乙5)。 コ E1税務署長は,平成26年1月28日付けで,上記ケの相互協議の結果に基づき,平成19年3月期から平成21年3月期までについて法人税の減額更正(以下「本件各減額更正」といい,個別に示すときは「平成19年3月期減額更正」などという。)及び過少申告加算税を減額する旨の 変更決定(以下「本件各変更決定」といい,本件各減額更正と併せて「本件各減額更正等」という。)をした(甲2の1~3。別表1「本件各減額処分等」欄)。 サ原告は,平成26年8月28日付けで,国税不服審判所長に対し,本件各事業年度に係る各更正処分及び各賦課決定処分(平成1 更正等」という。)をした(甲2の1~3。別表1「本件各減額処分等」欄)。 サ原告は,平成26年8月28日付けで,国税不服審判所長に対し,本件各事業年度に係る各更正処分及び各賦課決定処分(平成19年3月期から 平成21年3月期までについては本件各減額更正等により一部取り消された後のもの。以下,シにおいても同じ)について審査請求をした(乙6)。 シ国税不服審判所長は,平成28年6月21日付けで,原告に対し,平成19年3月期及び平成20年3月期の各更正処分及び各賦課決定処分について一部を取り消し,その余の審査請求を棄却する旨の本件裁決をした (甲3。別表1「本件裁決」欄)。なお,本件裁決において一部取消しがされた理由は,上記各更正処分における比較対象法人の一部について売上高営業利益率の算出に誤りがあるとされたこと,比較対象法人の選定の一部に誤りがあるとされたこと,残余利益の分割において原告が有する重要な無形資産の価値を示す指標の計算に誤りがあるとされたことである(裁 決書30頁)。 ス原告の主張額と本件各処分の金額本件各事業年度について原告が認めている法人税額及び過少申告加算税額(請求の趣旨記載の金額)と,本件各処分における法人税額及び過少申告加算税額(ただし,本件各減額更正等及び本件裁決により一部取り消さ れた後のもの。)を対比すると,それぞれ次の表のとおりである(次の表 において,上段は納付すべき法人税額を,下段〔(過)と記載のあるもの。〕は過少申告加算税額を示す。)。 原告が認める金額本件各処分の額平成19年3月期 平成20年3月期 平成21年3月期 平成22年3月期 以上によ める金額本件各処分の額平成19年3月期 平成20年3月期 平成21年3月期 平成22年3月期 以上によれば,本件各処分の額(法人税額合計円,過少申告加算税額合計円)と原告が認め る額(法人税額合計円,過少申告加算税額合計円)との差額は,法人税について円,過少申告加算税額について円となり,その合計は円となる。 ⑸ 課税の根拠等 被告が主張する本件各処分に係る課税の根拠は,別紙3―1のとおりであり,原告は,後記3の争点に関する部分を除き,その計算の基礎となる金額及び計算方法を明らかに争わない。 また,被告が主張する本件国外関連取引に係る独立企業間価格の算定方法は,別紙3―2のとおりであり,その概要は以下のとおりである(別紙3- 1及び3-2において定義する略語は,本文においても用いる。)。 ① 本件国外関連取引には残余利益分割法(関係法令等⑶)を用いるのが最も適切であるから,残余利益分割法を適用する。 ② 分割対象利益につき,本件国外関連取引により原告及び本件国外関連者に生じた営業利益(原告については,支払を受けた本件ロイヤルティ,本件国外関連者については,本件製品を製造販売したことによる営業利 益。)とする(別表6「5」欄)。 ③ 基本的利益(分割対象利益のうち,重要な無形資産を有しない非関連者間の取引において通常得られる利益)については,次のとおりとする。 ⒜ 原告については,本件ロイヤルティはその全てが重要な無形資産の貢献によるものであるから,基本的利益は0円とする。 ⒝ 本件国外関連者については,比較対象法人を,「EU加盟国に所在する自動車部品製造業に分類される企業を抽出 はその全てが重要な無形資産の貢献によるものであるから,基本的利益は0円とする。 ⒝ 本件国外関連者については,比較対象法人を,「EU加盟国に所在する自動車部品製造業に分類される企業を抽出した上で,事業内容が不明な企業や稼働していない企業など不適当なものを除外し,重要な無形資産の有無について考慮する。」との考え方に基づき,本件抽出基準(別表7)により選定すると,本件比較対象法人(5社)が選定される ため,各事業年度ごとにこれら法人の売上高営業利益率の平均値を求め,これに本件国外関連者の総売上高を乗じることにより,基本的利益を算出する(別表11「3」欄)。 ④ 残余利益(分割対象利益の額から基本的利益の額を差し引いた金額)の分割については,原告及び本件国外関連者が保有する重要な無形資産 の開発のために支出した費用を分割要因として考慮することとし,次のとおり算出する。 ⒜ 原告については,その保有する重要な無形資産(本件製品に関する特許権及び製法等のノウハウ。)に係る研究開発費の額をもって,分割要因の基礎となる原告の支出額とする(別表13「4」欄)。 ⒝ 本件国外関連者については,その保有する重要な無形資産(本件製 品の量産工程における生産性改善に係る知見やノウハウ。)が超過利益の獲得に寄与したものとし,部門の部門費をもって,分割要因の基礎となる本件国外関連者の支出額とする(別表5)。 ⒞ 原告に配分すべき残余利益の額は,上記⒜及び上記⒝の合計額に占める上記⒜の額の割合を残余利益の額に乗じた金額となる(別表14 「6」欄。)。 ⑤ 以上により,本件国外関連取引に係る独立企業間価格は,原告の基本的利益の額(上記③⒜)と原告に配分すべき残余利益の額(上記④⒞)とを合計した金額となる(別 なる(別表14 「6」欄。)。 ⑤ 以上により,本件国外関連取引に係る独立企業間価格は,原告の基本的利益の額(上記③⒜)と原告に配分すべき残余利益の額(上記④⒞)とを合計した金額となる(別表15「3」欄)。 なお,以下においては,被告が主張するこのような残余利益の分割方法 を「本件分割方法」という。 3 争点及び当事者の主張⑴ 本件の争点は本件各処分の適法性であり,具体的には,本件国外関連取引に係る独立企業間価格の算定(残余利益分割法の適用)に関し,①基本的利益の算定方法(比較対象法人の選定等)の適否,②残余利益の分割方法の適 否が争われている。 前提事実⑵のとおり,Euro規制等の導入によりEU市場におけるセラミックス製DPFの需要が急増したことに伴い,本件国外関連者及びE6・ヨーロッパによる2社寡占状態の下で,本件国外関連者の売上高が急増している。原告は,上記①に関し,基本的利益を算定するための比較対象法人の 選定に当たり,このようなEuro規制等による影響などの市場条件や,大規模な設備投資により多額の減価償却費が生じることとなった本件国外関連者における費用構造等についても考慮されるべきであるのに,これらが考慮されていないことにより,本件国外関連者と比較可能性を有していない本件比較対象法人が選定されている点で,被告の主張する基本的利益の算定には 誤りがあるなどと主張している。 また,原告は,仮に被告が主張する基本的利益の算定方法に誤りがないとした場合の主張として,上記②に関し,本件国外関連取引に係る超過利益(残余利益と同じ。以下「本件超過利益」という。)には,原告及び本件国外関連者が保有する重要な無形資産に起因するもののほか,Euro規制等のEU市場の状況や,本件国外関連 国外関連取引に係る超過利益(残余利益と同じ。以下「本件超過利益」という。)には,原告及び本件国外関連者が保有する重要な無形資産に起因するもののほか,Euro規制等のEU市場の状況や,本件国外関連者による大規模な設備投資など,重要な 無形資産以外の要因により生じたものも含まれているというべきであり,そうであるにもかかわらず,被告が残余利益の分割に当たって重要な無形資産の開発に係る原告及び本件国外関連者の各支出額のみを分割要因として考慮すれば足りるとしていることは誤りであると主張している。 また,その前提として,本件超過利益が,いかなる要因により,いかなる 機序で発生したか(発生メカニズム)についても,当事者間に争いがある。 ⑵ また,原告は,本件各処分は,理由付記の不備があり違法である旨主張し,被告はこれを争っている。 ⑶ 以上の点に関する被告の主張の要旨は別紙5,原告の主張の要旨は別紙6のとおりである。なお,同各別紙において定義する略称は,本文において も用いる。 第3 当裁判所の判断当裁判所は,本件国外関連取引に係る独立企業間価格の算定において残余利益分割法を適用するに当たり,被告の主張する基本的利益の算定は相当である一方,残余利益の分割については,重要な無形資産の開発に係る原告及び本件国外関連 者の各支出額のほかに,本件国外関連者に係る超過減価償却費を分割要因に加えて配分するのが相当であり,これをもとに計算すると,本件各事業年度のうち平成22年3月期についてのみ国外移転所得が生じることとなるから,本件各処分のうち主文第1項から第4項までの各金額を超える部分は違法であり,本件各処分の取消しを求める原告の請求はその限度で理由があるからこれを認容すべきで あり,その余の請求は理由がないから棄却す 分のうち主文第1項から第4項までの各金額を超える部分は違法であり,本件各処分の取消しを求める原告の請求はその限度で理由があるからこれを認容すべきで あり,その余の請求は理由がないから棄却すべきものと判断する。 その理由の詳細は,以下のとおりである。 1 検討の順序本件においては,本件国外関連取引に係る独立企業間価格の算定(残余利益分割法の適用)に関し,基本的利益の算定方法の適否(争点⑴①)及び残余利益の分割方法の適否(争点⑴②)が争われているところ,その判断の前提とし て,本件超過利益の発生メカニズムが問題となる(上記第2の3⑴)。 そこで,以下においては,争点に関する事実の認定(後記2)に続いて,本件超過利益の発生メカニズムについて検討し(後記3),その検討結果を踏まえて,同メカニズムに関する重要な無形資産以外の要因の位置付け(基本的利益の算定において考慮すべきものか)について検討する(後記4)。その上で, 被告が主張する基本的利益の算定方法の適否(後記5)及び残余利益の分割方法(本件分割方法)の適否(後記6)について検討を加え,それらの検討結果に基づき,本件国外関連取引に係る独立企業間価格及び国外移転所得の額を算出し(後記7),さらに,原告が主張する理由付記の不備の有無(争点⑵)についても検討し(後記8),最後に,本件各処分の適法性について判断を示す (後記9)こととする。 2 認定事実前提事実に加えて,後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実を認めることができる。 ⑴ EU市場とセラミックス製DPF ア EUの自動車市場におけるディーゼル車の販売動向本件各事業年度当時,EUの自動車市場においては,ディーゼル車が占める割合が大きく,特に,ディーゼル乗用車の台 場とセラミックス製DPF ア EUの自動車市場におけるディーゼル車の販売動向本件各事業年度当時,EUの自動車市場においては,ディーゼル車が占める割合が大きく,特に,ディーゼル乗用車の台数が非常に多かった。 EU加盟国における乗用車(新車)登録台数のうちディーゼル乗用車の登録台数の割合(平均値)は次のとおりであり,全体の約5割を占めて いた(甲75)。 2006年(平成18年) 51.2%2007年(平成19年) 53.6%2008年(平成20年) 52.9%2009年(平成21年) 46.1%また,このようなEUの自動車市場におけるディーゼル車を好む傾向 は,次の表のとおり,本件各事業年度当時のディーゼル乗用車の新車登録台数に関するEU主要国(ドイツ,フランス,イタリア,英国)と日本及び米国との比較からも顕著である(甲65~67)。 【ディーゼル乗用車新車登録台数】 平成18年(2006年)平成19年(2007年)平成20年(2008年)平成21年(2009年)EU主要国5,222,1875,330,9624,954,2984,533,044米国63,6058,1767,735158,521日本2,5434,1643,1094,562 イ Euro規制等の導入 ディーゼル車は,ガソリン車に比べて,燃料の不完全燃焼による黒煙微粒子を核とする有害な粒子状物質(PM)を多く発生させる。EU欧州委員会は,PMが人の健康に及ぼす悪影響を考慮して,1998年(平成10年)に排ガスを規制する指令を定め,その後,Euro3か らEuro6までを順 子状物質(PM)を多く発生させる。EU欧州委員会は,PMが人の健康に及ぼす悪影響を考慮して,1998年(平成10年)に排ガスを規制する指令を定め,その後,Euro3か らEuro6までを順次導入して,自動車の排ガス規制を強化していった。特に,2005年(平成17年)1月に導入されたEuro4は,PM排出量の最大値をEuro3の半分とした上,新型車について排ガス規制に係る基準を満たすことが確認されない限り,EU加盟国における販売,新車登録又は利用が保証されないこととなるというものであり, これに続き2007年(平成19年)6月に導入されたEuro5は, かかる体制を維持しつつ,PM排出量の最大値をEuro4の5分の1とするものであった。 また,EU欧州委員会は,上記の自動車の排ガス規制とは別に,大気中の浮遊粒子状物質を規制するEU大気指令を2005年(平成17年)に施行し,これを受けてEU加盟国の各政府もそれぞれ独自の規制 (各国規制)を定めた。 (以上につき,前提事実⑵ア)ドイツにおける規制等ドイツは,EU加盟国の中で乗用車の販売台数が最も多く,2006年(平成18年)において,EU15か国の乗用車の販売台数の約4分の1を占めていた(甲199)。 EU大気指令が施行された2005年(平成17年)当時,ドイツの主要都市の大気の状況は同指令の基準に満たない状況であり,その主要な原因はディーゼル車によるPMの排出にあると考えられていた。そこで,ドイツの各都市において,Euro規制の基準を満たしていることの証明がないディーゼル車の乗入れを禁止又は規制する区域(Low EmissionZone)を設けるとともに,同区域に入ろうとする全てのドイツの自動車につき,所定のE 準を満たしていることの証明がないディーゼル車の乗入れを禁止又は規制する区域(Low EmissionZone)を設けるとともに,同区域に入ろうとする全てのドイツの自動車につき,所定のEuro規制の基準を満たしていることを証明するステッカーを貼ることを義務付け,これに違反した場合には罰金を科することとした。このような規制は,2007年(平成19年)10月にミュンヘンで最初に導入されて以降,多くの都市で採用され,2 010年(平成22年)1月時点で41都市に上った。(甲203)また,ドイツ連邦政府は,国内の自動車業界に対して,ディーゼル車用の微粒子除去フィルター(DPF)の搭載を繰り返し要請し,その結果,2004年(平成16年)7月13日,ドイツの自動車メーカーらは,2009年(平成21年)までに新しく製造する全てのディーゼル 車にDPFを装着することを宣言した(甲204。以下「シュツットガ ルト宣言」という。)。 その他の国における規制等オランダでは,2007年(平成19年),ディーゼル車の新車についてDPFを装着することが義務付けられた(前提事実⑵ア)。 オーストリアでは,所定のDPFを装着したディーゼル車に対して は,自動車保有者が負担する2005年(平成17年)7月以降の標準燃料消費税(自動車税の一種)について一定の軽減がされる一方,DPFを装着していないディーゼル車に対しては,同月以降の同税について一定の加算がされることとなった(甲210)。 デンマークでは,2006年(平成18年)1月以降,所定のDP Fを装着したディーゼル車について,登録税が軽減されることとなった(甲211の1)。 また,スウェーデンでは,2006年(平成18年)7月以降,所定のDPFを装着 年)1月以降,所定のDP Fを装着したディーゼル車について,登録税が軽減されることとなった(甲211の1)。 また,スウェーデンでは,2006年(平成18年)7月以降,所定のDPFを装着したディーゼル車の購入について,車両税が軽減されることとなった(甲212)。 ウセラミックス製DPFの仕組み等セラミックス製DPFは,細かく均一な気孔を多数有するセラミックスの特質(多孔質)を利用したものであり,自動車の排ガスに含まれる黒煙微粒子をセラミックスの微細な気孔で捕集し,薄壁で濾過することにより,浄化ガスだけを通過させる仕組みである。捕集した黒煙微粒 子が堆積して貯蔵許容量を超えないよう,付着した黒煙微粒子を除去してフィルター機能を再生するため,エンジン技術の一つであるコモンレール燃料噴射システムが用いられており,黒煙微粒子の堆積が増加し抵抗が増えて排圧の上昇がセンサーにより感知されると,燃料の後期噴射が行われ,さらに,DPFに塗布された酸化触媒による反応熱も加わっ て,DPFの温度が上がり,付着した黒煙微粒子を燃焼させる(セラミ ックスは耐熱性に優れているため,黒煙微粒子だけが燃焼する。)。これにより,黒煙微粒子は二酸化炭素と水という無害な物質に化学変化し,大気中へ排出される。(甲213)セラミックス製DPFには,セラミックスの原料として炭化ケイ素(SiC)を用いる製品E2,コージェライトを用いるコージェライト 製DPF,チタン酸アルミニウムを用いるAT-DPFがあるが,コージェライト製DPFは主にトラック等のディーゼル商用車に使用されるため,ディーゼル乗用車に使用されるのは製品E2及びAT-DPFの2種類である(本件で問題とされている市場とは,正確には,ディーゼル乗用車用の 製DPFは主にトラック等のディーゼル商用車に使用されるため,ディーゼル乗用車に使用されるのは製品E2及びAT-DPFの2種類である(本件で問題とされている市場とは,正確には,ディーゼル乗用車用のセラミックス製DPFの市場である。)。そして,本件各 事業年度当時においては,AT-DPFの製造販売量はまだ少なく,ほとんどを製品E2が占めていた。(前提事実⑵イ,甲213)。 エ EU市場の状況 上記ウのとおり,セラミックス製DPFは,セラミックスの微細な気孔を用いて黒煙微粒子を捕集し,ディーゼル車の排気ガスを浄化するこ とから,セラミックス製DPFを装着することによりEuro5の厳しい基準を満たすことができ,逆に,これを装着しなければ,Euro4の基準までしか満たすことができなかった(甲204,205)。このことに加え,上記イ及びのような各国規制やDPFの装着に関する税の優遇措置等の影響もあって,EU市場におけるセラミックス製DP Fの需要は急増した。特に,ドイツにおいては,2004年(平成16年)のシュツットガルト宣言の影響により,2005年(平成17年)以降,ドイツの大手自動車メーカーのセラミックス製DPFに対する需要が顕著に増加した。 E6グループ及び原告グループの参入(2社寡占状態) 製品E2を世界で最初に実用化したE6グループのヨーロッパ子会社 (E6・ヨーロッパ)は,2002年(平成14年)からフランスで製品E2の製造を開始し,2005年(平成17年)7月,ハンガリーにも工場を開設した(前提事実⑵イ,甲84,214)。 原告グループも,2003年(平成15年)に本件国外関連者を設立し,製品E2(本件製品)の製造を開始したところ,2004年(平成 16年)後 工場を開設した(前提事実⑵イ,甲84,214)。 原告グループも,2003年(平成15年)に本件国外関連者を設立し,製品E2(本件製品)の製造を開始したところ,2004年(平成 16年)後半から2005年(平成17年)前半にかけて,といったドイツの主要な自動車メーカーとの間で本件製品の供給に関する合意が成立した(甲221)。なお,このように本件国外関連者が次々に受注することができたのは,E6・ヨーロッパだけではEU市場におけるセラミック ス製DPFの需要に供給が追いつかない状況であったことのほか,自動車メーカーにおける一般的な取扱いとして,自動車部品の供給を1社に依存することによる弊害(その供給に支障が生じるなどして自動車の生産計画全体へ影響が及ぶこと)を避けるため,部品の供給に係る取引先を2社以上とする2社購買制を採用していたことによるものである(甲 214)。 その後,EU市場におけるセラミックス製DPFの需要がさらに急増したため,本件国外関連者は,各自動車メーカーとの間で,本件製品の供給量を大幅に増加する内容の合意をした(甲214,222,223)。その結果,本件国外関連者の売上高は,設立時の予想をはるかに 上回るものとなった(本件国外関連者の売上予測と実績売上高の比較は,次の表のとおりである。)。 【本件国外関連者の売上予測と実績売上高の比較】 単位:億円 2005年2006年2007年2008年2009年予測売上高 実績売上高 実績/予測比 一方,E6・ヨーロッパも順調に売上げを伸ばし,EU市場は本件国外関連者及びE6・ヨーロッパ(以下「 実績売上高 実績/予測比 一方,E6・ヨーロッパも順調に売上げを伸ばし,EU市場は本件国外関連者及びE6・ヨーロッパ(以下「先行2社」ということがある。)による2社寡占状態となり,本件国外関連者は本件各事業年度を 通じ,おおむね%程度のシェアを維持していた(前提事実⑵イ,甲185)。 自動車メーカーとの (甲214) 3社寡占状態への移行,販売単価の下落米国法人であるE9は,2006年(平成18年)頃からEU市場に 参入し,AT-DPFの製造を開始した。EU市場におけるE9のシェアは,参入当初は僅かであったが,炭化ケイ素よりも安価なチタン酸アルミニウムを原料とする利点を活かして低価格の製品で販売量を伸ばし,2010年(平成22年)にはシェアが%を超え,市場はE9を加えた3社寡占状態へと移行した。(甲92,268) そして,E9が製造するAT-DPFが上記のとおり価格競争力を有していたことから,E9のシェアが伸びた2010年(平成22年)頃から製品E2の販売単価もその影響を受けて値崩れを起こし,本件製品の販売単価も,次のとおり,毎年の比率で下落していった(いずれも単位はユーロ,括弧内は前年に対する下落率を示す。)。 2010年(平成22年) 2011年(平成23年) 2012年(平成24年) 2013年(平成25年) もっとも,Euro5の適用が2012年(平成24年)1月までに段階的に拡大したことから,EU市場におけるセラミックス製DPF の需要は増加を続け, 2013年(平成25年) もっとも,Euro5の適用が2012年(平成24年)1月までに段階的に拡大したことから,EU市場におけるセラミックス製DPF の需要は増加を続け,上記のようなE9のシェアの拡大や本件製品の販売単価の下落にもかかわらず,本件国外関連者の売上高は伸びていった。 需要の減少その後,2015年(平成27年)に発覚したE10の排ガス不正問題によりディーゼル車の技術及び検査に対する消費者の不信感が高まっ たことなどを契機として,消費者のディーゼル車離れが進行し,EUの自動車市場におけるディーゼル車の割合は,かつての約50%(上記⑴ア)から,2018年(平成30年)には35.9%にまで低下した。 そのため,EU市場におけるセラミックス製DPFの需要も減少し,本件国外関連者における本件製品の売上高も2018年(平成30年)以 降,減少に転じた(甲268,273,乙152)。 他の競争者の参入と撤退aE11フランス法人であるE11は,2006年(平成18年)頃からEU市場に参入し,製品E2を製造していたが,高いときでも のシェアしか獲得できず,遅くとも2015年(平成27年)以降,製品E2の製造事業から撤退した。E11は,建設用ガラス,クリスタル製品,機能樹脂製品において世界的に著名な企業である上,E6グループとフランスで合弁事業を営み製品E2を製造していたこともあったため,その製品はE6グループの製品と同等のものであり,本 件製品と比べても優れた面を有していたが,生産量が少ないため原価 の低減を図ることができず,競争的な販売価格を設定することができなかった。(甲92,214)bE12E12は,2011年(平成23年)にポー 生産量が少ないため原価 の低減を図ることができず,競争的な販売価格を設定することができなかった。(甲92,214)bE12E12は,2011年(平成23年)にポーランド子会社を設立し,2014年(平成26年)頃からAT-DPFの製造を開始したが, 2016年(平成28年)3月期に80億円以上の減損損失を計上した。E12の製品は,Euro5よりも厳しいEuro6の基準を満たすことができるほど技術レベルが高く,また,原料として安価なチタン酸アルミニウムを用いたものであったが,既にE9が低価格の製品でシェアを伸ばし3社寡占状態となっていたEU市場において販売 量を伸ばすことができなかった。(甲96,153,214)⑵ 本件国外関連者における売上高営業利益率等の推移本件国外関連者の売上高,売上高営業利益率等の推移は,次の表のとおりである。なお,同表の基礎となるデータは別表Ⅱより抜粋したものであり,金額の単位は百万ズロチ(ズロチはポーランドの通貨)である。また,本件 国外関連者は,決算期を12月から3月に変更したため,2013年(平成25年)の事業年度の数値は,2012年(平成24年)1月から翌年3月までのものとなっている。 事業年度2006200720082009201020112013売上高① 総営業費② 減価償却費③ ③/① 他費用④(②-③) ④/① 売上高営業利益率 上記の表から,本件国外関連者の売上高営業利益率(営業利益の ) ④/① 売上高営業利益率 上記の表から,本件国外関連者の売上高営業利益率(営業利益の売上高に対する割合)は,2008年(平成20年)のが,これは,減価償却費の負担が減ったことによるものであると解される。一方,2011年(平成23年)には, 減価償却費の負担は低いままであるにもかかわらず,売上高営業利益率は%に低下し,さらにその翌年には%に低下しているが,これは,売上高に対する費用(減価償却費以外)の比率が上がったことによるものであり,E9のシェアの拡大に伴う販売単価の下落(上記⑴エ)を反映するものであると解される。 なお,本件国外関連者の売上高営業利益率は,上記⑴エのとおり本件製品の売上高が減少に転じた2018年(平成30年)以降,顕著に減少し,同年には%,2019年(平成31年)には%となり,特にその下半期には%となった。 ⑶ 本件国外関連者の設立等の経緯について ア原告は,2002年(平成14年)12月頃,EU市場で販売する製品E2の生産拠点としてポーランドに新会社(本件国外関連者)を設立する旨の事業計画を策定した(本件事業化決定,前提事実⑵イ)。 これは,2000年(平成12年)にEuro3が導入されたこと(前提事実⑵ア)を踏まえ,今後,さらに自動車の排ガス規制が強化され るであろうとの見通しの下で,ディーゼル車の占める割合が高いEU市場においてセラミック製DPFの需要が増加することを見込んだものであった。 イ 2002年(平成14年)10月の常務会原告のセラミックス事業部は,「製品E2の中欧生産拠点検討」と題する資料(以下「本件事業化資料1」 ることを見込んだものであった。 イ 2002年(平成14年)10月の常務会原告のセラミックス事業部は,「製品E2の中欧生産拠点検討」と題する資料(以下「本件事業化資料1」という。)を作成し,2002年(平成14年)10月23日に実施された原告の常務会に提出した(乙31)。 本件事業化資料1には,以下の記載がある。 ウ 2002年(平成14年)11月の常務会原告のセラミックス事業部は,「製品E2の事業化」と題する資料(以下「本件事業化資料2」という。乙116)及び「ポーランド/製品E2生産新会社設立と土地購入」と題する資料(乙117)を作成し, 平成14年11月14日に実施された原告の常務会に提出した。 本件事業化資料2には,以下の記載がある。 このほか,本件事業化資料2には,「6 事業損益見通し」として,2003年(平成15年)から2012年(平成24年)までの売上 げ予想に基づいた損益の見通しが記載されている。これらの売上げ予想の基礎となったEU市場におけるセラミックス製DPFの需要見込みは,原告グループのドイツ子会社であるE7(前提事実⑶ウ)において,Euro規制等の導入に係る情報を収集,分析したり,取引先である自動車メーカーからの聞き取りをするなどして,需要予測を積 み重ねていった結果に基づくものである(甲268)。 エ原告が現地で行った準備活動原告は,2002年(平成14年)頃,製品E2の事業化に関する「製品E2中欧工場プロジェクト組織」(以下「プロジェクト組織」という。)を立ち上げた。 オ本件国外関連者の 2002年(平成14年)頃,製品E2の事業化に関する「製品E2中欧工場プロジェクト組織」(以下「プロジェクト組織」という。)を立ち上げた。 オ本件国外関連者の設立,の整備原告は,2003年(平成15年)1月,本件国外関連者を設立した。 ⑷ 本件国外関連者における増産体制の構築 キ事業拡大に係る意思決定 上記アからオまでのとおり,本件国外関連者は,本件製品の量産開始後,数次にわたって事業を拡大してきた(以下「本件事業拡大」という。)ところ,本件事業拡大に係る意思決定の過程は,①本件国外関連者が,E7から提供された情報を踏まえ,半年に1度の予算編成において,先3年にわたる事業計画を見直し,想定される需要を基に設備投資計画を 策定して原告へ提出する,②その提出された計画に基づき,原告がその当否を決定するというものであった(甲291,乙119~125)。 ⑸ 本件製品の製造に係る無形資産についてア本件製品の製造工程上記⑴ウのとおり,本件製品(製品E2)は,自動車の排ガスに含 まれる黒煙微粒子をセラミックスの微細な気孔で捕集して薄壁で濾過するセラミックス製DPFの一種であり,セラミックスの原料として炭化ケイ素を用いるものであるところ,その製造工程(以下「本件製造工程」という。)は,次の①から⑥までのとおりである(甲54,55,乙33)。なお,付着した黒煙微粒子を除去するための触媒の塗布は, 本件製品がE7へ販売された後,自動車メーカーに販売される前に,連携する触媒メーカーによって行われる(甲21 (甲54,55,乙33)。なお,付着した黒煙微粒子を除去するための触媒の塗布は, 本件製品がE7へ販売された後,自動車メーカーに販売される前に,連携する触媒メーカーによって行われる(甲214)。 ① 調合工程において,⒜原料となる炭化ケイ素及び金属シリコンの粉末を,更に細かく砕いて,粒の形や大きさを揃え,⒝コンピュータ制御を用いて,正確な割合で原料と結合材を調合する。 ② 混練・成形・乾燥工程において,⒜水分を加えて原料が均一に分布するように混ぜ,粘土状にした上,⒝真空室内で空気を抜きながら練り,口金から押し出してハニカム構造(蜂の巣状の構造)にし,⒞高周波で内部の水分を除去し,⒟熱風で乾燥させる。これにより,直方体のセグメントが生成される。 ③ 目封じ工程において,セグメントの断面につき,出入口が互い違い になるように目封じをする。 ④ 焼成工程において,セグメントを焼き上げる〔甲53〕。)。これにより,微細な気孔が均一に分散する炭化ケイ素セラミックスが生成される。 ⑤ 接合・加工・コート工程において,⒜複数のセグメントを組み立てて接合し(セグメント複合体を形成),乾燥させ,⒝セグメント複合体の外周を砥石で削って円筒形にし,⒞削った外周面に強度を持たせるためのコート材を塗り,乾燥させる。 ⑥ 完成後には,通気を損なわないかの圧損検査,形状及び表面を目視 する外観検査,寸法・重量を測定する寸法・重量検査を行う。 なお,本件製品のように原料(粉末のほか,液体,気体等)を加工して製品を生産する場合,多くは,複数の工程を経て加工され,かつ,その加工が連続しており,このような製造工程は「プロセス型」と呼ばれている。プロセス型の製造業では,生産量の大小によらず一連の設備 の使 生産する場合,多くは,複数の工程を経て加工され,かつ,その加工が連続しており,このような製造工程は「プロセス型」と呼ばれている。プロセス型の製造業では,生産量の大小によらず一連の設備 の使用が必要となる上,各設備が大規模であることが多いため,生産量によって生産効率が大幅に異なるとされている。 他方,自動車や家電製品など,材料(固形)や部品を加工・組立てしながら製品を製造する工程は,「ディスクリート型」(discreteは「別個の部分から成る」の意味)と呼ばれている。 (以上につき,甲39)イ原告が保有する重要な無形資産本件製品の製造に関して原告が保有する重要な無形資産は,別表2のとおりであるところ,これらを本件製造工程に従って整理すると,以下のとおりである(乙36~50)。 ウ本件国外関連者が保有する重要な無形資産本件製品の製造に関して本件国外関連者が保有する重要な無形資産は,別表3のとおりであるところ,これらを本件製造工程に従って整理する と,次のとおりである(乙51)。 ⑹ 本件国外関連者の各部門の貢献ア部門について本件国外関連者の部門(前提事実⑴イ)の主な役割は, 等であるところ,上記⑸ウの本件国外関連者が保有する重要な無形資産は,部門が中心となって得た知見・ノウハウであった。 イ部門について本件国外関連者の部門(前提事実⑴イ)の主な役割は, ウ品質不良問題への対応一般に,セラミックスの製造は多数の工程を経て行われるものであ り,各工程には変化因子が多く, 連者の部門(前提事実⑴イ)の主な役割は, ウ品質不良問題への対応一般に,セラミックスの製造は多数の工程を経て行われるものであ り,各工程には変化因子が多く,工程に影響を及ぼす因子が異なると,得られるセラミックスの微構造は,同じ原料粉体を用いた場合でもしばしば大きく変動する。同一の工場でも,使用原料あるいはプロセス条件が季節によって変化し,これが焼結や構造形成に影響を及ぼすことがある。また,セラミックス製造業者は歩留に関するリスクを負っていると ころ,特に新設した工場を稼働させたり,新しい製品を製造する際には,不良品が発生しやすく,歩留率が悪化するとされる。(甲287)本件製品については,において開発・改良された量産化のための製造技術,製造工程(設備の設計や設定条件,作業フロー,品質の管理条件等を含む。)が適用された。 しかし,本件国外関連者の工場の立上げ当初,で開発・改良された技術や工程をそのまま適用したところ, これらの対策を講じたことにより,本件製品の品質不良問題は改善し,年間の歩留率は次のとおり向上した。 2005年(平成17年)% 2006年(平成18年)%2007年(平成19年)%2008年(平成20年)%2009年(平成21年)%上記⑵のとおり,本件国外関連者の売上高営業利益率は,2006年 (平成18年)の%から翌年の%へと顕著に増加して いるところ,これは,減価償却費以外の費用が売上高に占める割合がへと低下していることに照らすと,上記のような歩留率の上昇(へ)が大きく寄与しているものと解される。 著に増加して いるところ,これは,減価償却費以外の費用が売上高に占める割合がへと低下していることに照らすと,上記のような歩留率の上昇(へ)が大きく寄与しているものと解される。 (以上につき,甲214,乙38,51,161) ⑺ E7の貢献ア E7についてE7は,原告が発行済株式の100%を間接保有する原告の関連会社であり,1985年(昭和60年)にドイツにおいて設立され,原告グループのセラミックス製品についてヨーロッパにおけるマーケティング 及び販売活動を担当し,30年以上にわたり,ヨーロッパの自動車メーカーとの間で取引を行っている(前提事実⑶ウ,甲268)。 イ E7の本件販売活動E7は,本件国外関連者が本件製品の生産を開始してからは,その実質的な販売部門として,ヨーロッパの自動車メーカーに本件製品を販売し, その対価として,本件国外関連者から,販売価格の%(ただし,2006年〔平成18年〕の一時期は%)の報酬の支払を受けていた(前提事実⑶ウ)。 本件各事業年度においてE7が本件国外関連者から支払を受けた報酬の額は,次のとおりである。 2006年(平成18年)円2007年(平成19年)円2008年(平成20年)円2009年(平成21年)円ウ本件製品に関するE7の貢献 E7は,2000年(平成12年)頃,ヨーロッパにおける環境運動 の高まりを踏まえ,このようにしてE7が収集した情報が,原告において2002年(平成14年)12月頃に 本件事業化決定を行う上で,重要な基礎となったものである。(上記⑶ウ,甲268) また,本件製品の自動車メーカーへの販売価格についても, 原告において2002年(平成14年)12月頃に 本件事業化決定を行う上で,重要な基礎となったものである。(上記⑶ウ,甲268) また,本件製品の自動車メーカーへの販売価格についても,E7が, E7の営業担当従業員は,高い技術知識を有しており,自動車メーカーや本件国外関連者との間で技術的な観点からの意見交換や協議を重ね,自動車メーカーの技術的な要望を十分に理解した上で,これを本件国外関連者に伝達し,本件国外関連者が製作する試作品の提供を行うなどの営業活動を行っていた(甲268)。 ⑻ 原告グループにおける配当等の支払についてア配当の支払本件国外関連者は,設立当初は原告の直接の子会社であったが,2006年(平成18年)末の事業再編の結果,ベルギーに所在する法人であるE13の子会社となり,その後は,原告は間接的に,本件国外関連者 の発行済株式の95%を保有している。 本件国外関連者からE13へ支払われた配当金額本件国外関連者から直接の親会社であるE13に対して支払われた配当額は次のとおりである(甲288)。 2010年(平成22年)億円 2011年(平成23年)億円 2013年(平成25年)億円2014年(平成26年)億円2015年(平成27年)億円2016年(平成28年)億円2017年(平成29年)億円 E13から原告へ支払われた配当金額E13から親会社である原告へ支払われた配当金額は次のとおりである(甲288)。 2013年(平成25年)億円2014年(平成26年)億円 2015年(平成27年 へ支払われた配当金額は次のとおりである(甲288)。 2013年(平成25年)億円2014年(平成26年)億円 2015年(平成27年)億円2016年(平成28年)億円2017年(平成29年)億円2018年(平成30年)億円E13の配当原資は,主として①E13自身の営業利益,②本件国外 関連者からの受取配当及び③本件国外関連者以外の子会社からの受取配当である。 イ利子の支払本件国外関連者は,上記⑷カのとおり,工場の建設や生産設備の整備に要した費用のうち円を原告からの借入れによって調 達し,次のとおり,原告に対し利子の支払をした(甲288)。 2005年(平成17年)円2006年(平成18年)円2007年(平成19年)円2008年(平成20年)円 2009年(平成21年)円 ⑼ ロイヤルティ率についてア本件国外関連取引(本件ライセンス契約)において定められたロイヤルティ率は,契約期間中に本件国外関連者によって製造されるライセンス製品(本件製品)の純売上高の%である(前提事実⑶イ)。 これに対し,被告の主張を前提として算定される独立企業間価格に基 づき,本件ロイヤルティの料率(本件製品の純売上高に対する割合)を計算すると,次のとおりであり,その平均は%となる。 2007年(平成19年)%2008年(平成20年)%2009年(平成21年)% 2010年(平成22年)%イなお,特許庁が平成22年3月に公表した %2008年(平成20年)%2009年(平成21年)% 2010年(平成22年)%イなお,特許庁が平成22年3月に公表した「知的財産の価値評価を踏まえた特許等の活用の在り方に関する調査研究報告書 ~知的財産(資産)価値及びロイヤルティ料率に関する実態把握~」(甲166)には,特許権・商標権等のロイヤルティ料率に関する実態調査の結果が記載されてい るところ,これによれば,本件製品に近い分野のロイヤルティ料率は,次のとおりである。 「セメント,粘土,または石材の加工」を含む技術分類である「成形」のロイヤルティ料率平均値 3.4% 最大値 9.5%「車両一般」 を含む技術分類である「運輸」のロイヤルティ料率平均値 3.7%最大値 6.5%⑽ 本件比較対象法人との比較について ア本件比較対象法人 本件比較対象法人は,被告において,本件国外関連取引の事業と同種で市場や事業規模等が類似し,重要な無形資産を有しない法人として選定した5社である。本件比較対象法人のうち3社(E14,E15,E16)はポーランドに,その余はチェコ(E17)及びハンガリー(E18)に所在し,これら5社のいずれも,①自動車部品製造業を営 んでおり,②2006年(平成18年)から2009年(平成21年)までのいずれかの年度の売上高が本件国外関連者の約10倍から約10分の1までの範囲内にあり,③重要な無形資産は保有していない。(別紙3-2の⑷イ,ウ)本件比較対象法人の事業開始時期は,E15については1949年 (昭和24年),E18については1971年(昭和46年),E14については1991年(平成3年)であり 紙3-2の⑷イ,ウ)本件比較対象法人の事業開始時期は,E15については1949年 (昭和24年),E18については1971年(昭和46年),E14については1991年(平成3年)であり,その余の2社(E17,E16)についても,本件各処分当時,事業開始から30年以上が経過していた(甲90)。 本件比較対象法人が製造する製品 本件比較対象法人が製造する製品(自動車部品)は,エンジン部品,排気系ホルダー,ギアボックス部品等(E17),ブレーキパッド,連結リング等(E18),エンジン・排気性システムの熱シールド等(E14),排気系シールド,マフラー等(E15),ホイールキャップ(E16)である(甲17~25)。 これらの製品は,金属又は金属部材を材料とし,鋳造,切削,プレス,鍛造・圧延といった外形的な金属加工を施すことにより製造されるものであり,ディスクリート型(上記⑸ア)の製造工程によるものである(甲53)。 本件比較対象法人の競争状況 公開データベースORBIS登載のEU加盟国(当時28か国)所在 の企業(1535万4497社)のうち,業種コード3714(自動車部品・付属品製造業)に該当し,事業内容が不明の法人以外のもの(3623社)について,本件比較対象法人が所在する3か国(ポーランド,ハンガリー及びチェコ)で当該法人と同様の事業を行っている法人を見ると,E17につき79社,E18につき9社,E14につき82社, E15につき79社,E16につき6社である(甲99)。 E15についてE15は,2006年(平成18年)12月31日時点の従業員数273名のうち121名が障害者であり,本件各事業年度に係る他の年度においても従業員の約半数が障害者であった。そのため,E 15についてE15は,2006年(平成18年)12月31日時点の従業員数273名のうち121名が障害者であり,本件各事業年度に係る他の年度においても従業員の約半数が障害者であった。そのため,E15は,本 件各事業年度当時,障害者雇用助成金の支給を受けていた。(甲114~117)イ本件国外関連者と本件比較対象法人の財務状況の比較本件各事業年度における本件国外関連者及び本件比較対象法人に係る財務状況は,別表Ⅰ-1(貸借対照表関係)及び別表Ⅰ-2(損益計 算書関係)のとおりである。 なお,これらの表において,現地通貨の金額が記載されているもの(各表の表題に「現地通貨」との記載があるもの。)については,通貨の単位は,本件国外関連者,E14,E15及びE16についてはポーランドの通貨であるズロチ(PLN),E17についてはチェコの通貨 であるコルナ(CZK),E18についてはハンガリーの通貨であるフォリント(HUF)である(甲27)。 有形固定資産の額及び割合本件各事業年度における本件国外関連者及び本件比較対象法人の有形固定資産の額は,別表Ⅰ-1⑤(有形固定資産〔現地通貨〕)及び⑨ (有形固定資産〔円〕)のとおりであり,本件各事業年度を通じた平均 額は,本件国外関連者が約億円(ただし,部門に係るものを除く。)であるのに対し,本件比較対象法人(平均)は約9億円である。 本件各事業年度における本件国外関連者及び本件比較対象法人の売上高に対する有形固定資産額の割合(同各年度の平均値)は,別表Ⅰ-1⑥(有形固定資産/売上高)のとおりであり,本件国外関連者が であるのに対し,本件比較対象法人(平均)は0.27である。 減価償却費の額及び割合本件各事業年度における本件国外関連 Ⅰ-1⑥(有形固定資産/売上高)のとおりであり,本件国外関連者が であるのに対し,本件比較対象法人(平均)は0.27である。 減価償却費の額及び割合本件各事業年度における本件国外関連者及び本件比較対象法人の減価償却費の額は,別表Ⅰ-2④(減価償却費〔現地通貨〕)のとおりである。同表によれば,本件各事業年度における総営業費用に占める減価償 却費の割合(同各年度の平均値)は,本件国外関連者が%(ただし,部門に係るものを除く。)であるのに対し,本件比較対象法人(平均)は3.53%である。 原材料費の額及び割合本件各事業年度における本件国外関連者及び本件比較対象法人の原材 料費の額は,別表Ⅰ-2②(原材料費〔部品費〕〔現地通貨〕)のとおりである。同表によれば,本件各事業年度における本件国外関連者及び本件比較対象法人の総営業費用に占める原材料費の割合(同各年度の平均値)は,本件国外関連者が%(ただし,部門に係るものを除く。)であるのに対し,本件比較対象法人(平均)は67.8 3%である。 本件国外関連者の売上高,総営業費用等の推移本件各事業年度における本件国外関連者の売上高,総営業費用,材料費,減価償却費及び売上高営業利益率等の推移は,別表Ⅱのとおりである。 他方,本件比較対象法人の売上高営業利益率は,別表8のとおりであ り,5社の平均は,2006年(平成18年。同年12月期又は翌年3月期を指す。以下,この項において同じ)については約8.4%,2007年(平成19年)については約6.5%,2008年(平成20年)については約4.5%,2009年(平成21年)については約7. 3%である。 3 本件超過利益の発生メカニズムの検討上記認定事実を踏まえ,本件 ついては約6.5%,2008年(平成20年)については約4.5%,2009年(平成21年)については約7. 3%である。 3 本件超過利益の発生メカニズムの検討上記認定事実を踏まえ,本件超過利益の発生メカニズムについて検討を加える。 ⑴ 被告が主張する本件国外関連取引に係る独立企業間価格の算定方法(前提事実⑸,別紙3-2)によれば,残余利益分割法の適用に当たり,本件各事 業年度に係る各事業年度ごとに,本件比較対象法人の売上高営業利益率の平均値を求め,これに本件国外関連者の総売上高を乗じることにより基本的利益を算出し,このようにして得た基本的利益を分割対象利益(本件国外関連者が本件製品を製造販売したことによる営業利益と,原告が支払を受けた本件ロイヤルティとの総和。)から差し引いたものを,残余利益(すなわち本 件超過利益)としている。 したがって,本件超過利益(本件ロイヤルティによるもの以外の部分。以下同じ)の発生は,本件国外関連者の総売上高(次表の①)のほか,本件国外関連者と本件比較対象法人との売上高営業利益率の差(次表の④)に基づくものといえる(なお,次表は,認定事実⑵の表及び別表11に基づくもの であり,総売上高については1億円未満を切り捨て,売上高営業利益率については小数点第1位未満を切り捨てた概数値である。)。 事業年度2006年2007年2008年2009年①総売上高(本件国外関連者) ②売上高営業利益率(本件国外関連者) ③売上高営業利益率(本件比較対象法人)8.4%6.5%4.5%7.3%④(上記②と③の差) そこで,以下,本件国外関連者において上記のように高い総売上高及び売上 高営業利益率(本件比較対象法人)8.4%6.5%4.5%7.3%④(上記②と③の差) そこで,以下,本件国外関連者において上記のように高い総売上高及び売上高営業利益率が生じた要因を検討することとする(なお,以下においては,総売上高について単に「売上高」と表記する場合がある。)。 ⑵ 本件国外関連者において高い売上高が生じた要因 ア EU市場におけるセラミックス製DPFの需要の急増従来から,EUの自動車市場においてはディーゼル乗用車の台数が非常に多く,その新車登録台数は500万台前後を推移していた(認定事実⑴ア)ところ,ディーゼル車は燃料の不完全燃焼により人体に深刻な影響を及ぼす黒煙微粒子を核とする粒子状物質(PM)を多く発生させる ことから,EU欧州委員会は,1998年(平成10年)に排ガスを規制する指令を定め,その後,Euro3からEuro6までを順次導入して自動車の排ガス規制を強化し(Euro規制),また,EU加盟国の各政府もそれぞれ独自の規制(各国規制)を定めるなどした(認定事実⑴イ)。 そして,セラミックス製DPFは,セラミックスの微細な気孔を用いて黒煙微粒子を捕集することにより排気ガスを浄化することから,セラミックス製DPFをディーゼル車に装着することによりEuro規制の基準を満たすことができ,そのため,EU市場におけるセラミックス製DPFの需要は急増した(認定事実⑴ウ,エ)。特に,EU15か国に おける乗用車の販売台数の4分の1を占めるドイツでは,2004年 (平成16年),連邦政府からの要請を受けた自動車メーカーらにより,2009年(平成21年)までに新しく製造する全てのディーゼル車に対しDPFを装着する旨のシュツットガルト 004年 (平成16年),連邦政府からの要請を受けた自動車メーカーらにより,2009年(平成21年)までに新しく製造する全てのディーゼル車に対しDPFを装着する旨のシュツットガルト宣言がされ,その影響により,2005年(平成17年)以降,ドイツの大手自動車メーカーのセラミックス製DPFに対する需要が顕著に増加した(認定事実⑴イ, エ)。さらに,2007年(平成19年)6月に導入されたEuro5の厳しい基準を満たすためには,セラミックス製DPFを装着することが不可欠であったことから,EU市場におけるセラミックス製DPFの需要はなお増加し続けた(認定事実⑴イ,エ)。 イ本件国外関連者がEU市場に早期に参入したこと セラミックス製DPFについては,E6グループが,世界で初めてセラミックスの原料として炭化ケイ素を用いる製品E2を実用化し,2002年(平成14年)からE6・ヨーロッパにおいてフランスでの製造を開始していたところ,原告グループも,2003年(平成15年),ポーランドに本件国外関連者を設立し,2004年(平成16年)10 月から本件製品の製造を開始した(認定事実⑴エ,⑷ア)。 本件国外関連者のEU市場への参入を可能にした要因としては,次のものが挙げられる。 まず,原告における研究開発によって得られた本件製品の製造に係る技術やノウハウ(重要な無形資産)の存在は,本件国外関連者が本件製 品を量産するために不可欠であった。 次に,セラミックス製DPFの製造は複数の連続した工程を経て行われるものであり,EU市場における需要の規模からしても相当規模の設備投資をする必要があったところ,本件国外関連者は,初期投資()として 万円を支出した(認定事実⑶オ,⑷ア) た工程を経て行われるものであり,EU市場における需要の規模からしても相当規模の設備投資をする必要があったところ,本件国外関連者は,初期投資()として 万円を支出した(認定事実⑶オ,⑷ア)。 さらに,本件国外関連者が業界2番目という早さでEU市場に参入することができたのは,原告グループの統括会社である原告が,Euro規制等の動向やセラミックス製DPFに対する需要の見通しについて,競争者に先駆けていち早く察知し,Euro4が導入される2年以上前の2002年(平成14年)12月頃に,本件国外関連者を設立する旨 の事業計画を策定したこと(本件事業化決定)によるところが大きいといえる。 ウ 2社寡占状態の継続により高いシェアを維持できたこと 本件国外関連者の参入後,EU市場へは,2006年(平成18年)頃にE9やE11が参入したが,E9は,セラミックスの原料として炭 化ケイ素よりも安価なチタン酸アルミニウムを用いたAT-DPFを製造していたにもかかわらず,2010年(平成22年)に%のシェアを獲得する以前は僅かなシェアしか得ることができなかった(認定事実⑴エ)。また,E11は,優れた製品(製品E2)を製造していたにもかかわらず,高いときでも%程度のシェアしか得ることができ ず,2015年(平成27年)頃に撤退するに至った(認定事実⑴エa)。 これに対し,本件国外関連者については,本件各事業年度を通じて,EU市場における2社寡占状態が継続し,おおむね%程度のシェアを維持することができた(認定事実⑴エ)。 このようにEU市場における2社寡占状態が継続し本件国外関連者が高いシェアを維持することができた要因については,①ドイツの大手自動車メーカーのセラミックス製DPFに対 認定事実⑴エ)。 このようにEU市場における2社寡占状態が継続し本件国外関連者が高いシェアを維持することができた要因については,①ドイツの大手自動車メーカーのセラミックス製DPFに対する需要が顕著に増加した2005年(平成17年)当時,EU市場に参入していた企業がE6・ヨーロッパ及び本件国外関連者の先行2社しか存在せず,しかも,自動 車メーカーは自動車部品の供給に係る取引先を2社以上とする2社購買 制を採用していたことから,その当時にセラミックス製DPFの供給を受けようとしていたヨーロッパの自動車メーカーは,ほぼ必然的に本件国外関連者と契約せざるを得ない状況にあったこと(認定事実⑴エ),②このような状況の下で,本件国外関連者は 追加の設備投資を行うことにより当該メーカーが要求する生産能力を確保することを前提に,,本件製品の供給契約において長期の契約期間が設定されたこと(認定事実⑴エ),③また,本件国外関連者において, (認定事実⑷イ~オ)が挙げられる。 これらの結果として,本件国外関連者が ,後からEU市場に参入する競争者にとっては自動車メーカーから受注を得るのが困難な状況が続き,これが非常に高い参入障壁となって,2社寡占状態が継続したものと認められる。 エ本件製品の 上記ウのような高いシェアの維持に加え,2社寡占状態の下で本件製品の,本件国外関連者が高い売上高を得ることができた原因の一つである。 すなわち,本件国外関連者は ⑶ 本件国外関連者において高い売上高営業利益率が生じた要因売上高営業利益率とは営業利益の売上高に対する割合のことであるから, 売上高に対する生産費用の割合が減少すれば売上高営業利益率 ⑶ 本件国外関連者において高い売上高営業利益率が生じた要因売上高営業利益率とは営業利益の売上高に対する割合のことであるから, 売上高に対する生産費用の割合が減少すれば売上高営業利益率が増大し,同割合が増大すれば売上高営業利益率が減少するという関係にある。そこで,以下においては,本件製品につき,売上高に対する生産費用の割合を減少させ,あるいはその増大を防ぐことができた要因について検討する。 ア売上高の増大に伴う規模の利益 一般に,事業規模が大きくなると,仕入れ単価の低減が生じるなどして売上高営業利益率の増大をもたらす傾向にある(規模の利益)ところ,労働力に比して資本設備をより多く用いる資本集約度が高い生産構造においては,生産費用のうち固定費(生産量の大小にかかわらず発生する一定の費用)の占める割合が相対的に大きいことから,売上高が伸びる ほど製品1個当たりの生産に必要な費用が減少し,売上高の伸び以上に利益が増加することとなるため,損益分岐点を超えた後は急速に利益が増加し,売上高営業利益率の増大がより顕著に表れる(甲30,31,36)。また,セラミックス製品の製造は,原料を複数の連続した工程を経て加工するというプロセス型の製造工程によることから,生産量の 大小にかかわらず一連の設備の使用が必要となるため,生産量が増大するほど生産効率が向上することとなる(認定事実⑸ア)。 これを本件について見ると,セラミックス製品の一種である本件製品は,調合工程,混練・成形・乾燥工程,目封じ工程,焼成工程,接合・加工・コート工程等の一連の製造工程により製造されるものであって(認 定事実⑸ア),本件国外関連者は, 多額の有形資産が計上されるとともに,本件各事業年度における総営業費用に 占 ート工程等の一連の製造工程により製造されるものであって(認 定事実⑸ア),本件国外関連者は, 多額の有形資産が計上されるとともに,本件各事業年度における総営業費用に 占める減価償却費の割合も平均して%(被告の算定によっても%)に上っている(前提事実⑵イ,認定事実⑽イ,)。 これらに照らせば,本件製品の生産が資本集約度の高い生産構造によるものであることは明らかである。 そして,本件国外関連者が得た売上高は,本件各事業年度のいずれにお いても,設立時の予想をはるかに上回り(認定事実⑴エ),損益分岐点を大きく超えるものであったことから,本件国外関連者の売上高営業利益率は,本件各事業年度を通じて本件比較対象法人の売上高営業利益率を大きく上回るものとなった。特に, には,その減少分だけ損益分岐点が低くなったことから,売上高が損益分岐点を超える程度が大きくなり,その結果,売上高営業利益率は前年の%から%へとほぼ倍増するに至っている(認定事実⑵)。 このように,本件国外関連者が行っていた本件製品の生産は資本集約度 が高い生産構造によるものであり,損益分岐点を大きく超える売上高が得られたことにより,製品1個当たりの生産に必要な費用が大幅に減少し,かかる規模の利益によって売上高営業利益率が増大したものと認められる。 イ本件製品の 上記⑵エのとおり本件製品の ことは,本件国外関連者の売上高が増大したことの要因であるとともに,売上高営業利益率が増大したことの要因でもあると解される。 すなわち, ため,売上高営業利益率が減少することとなる。これに対し,場合には,このような売上高営業利益率の減少を免れることになる。 これを本件について見る との要因でもあると解される。 すなわち, ため,売上高営業利益率が減少することとなる。これに対し,場合には,このような売上高営業利益率の減少を免れることになる。 これを本件について見ると,本件各事業年度を通じて,2社寡占状態の下で 売上高営業利益率の減少を免れていたということができる。なお,2011年(平成23年)以降においては,E9のシェアの拡大に伴う (認定事実⑵)。 ウ生産効率の向上セラミックス製品の製造工程には変化因子が多く,同じ原料を用いた場合であってもセラミックスの微構造は大きく変動し得るとされているところ,本件製品については,量産開始の当初,で開発・改 良された技術や工程をそのまま適用した結果,日本とポーランドにおける湿度の違いなどから,歩留率が極めて悪化する深刻な品質不良問題が発生し,本件国外関連者の部門等においてこれに対する対策を講じた結果,歩留率は2005年(平成17年)の%から,翌年の%,翌々年の%へと大きく改善した(認定事実⑹ウ)。 このような歩留率の改善による生産効率の向上により,製品1個当たり の生産に必要な費用が減少し,これに伴い,売上高に対する生産費用(減価償却費を除く。)の割合は2006年(平成18年)の%から翌年の%へと減少し,売上高営業利益率が%から%へと増大している(認定事実⑵)。 そして,上記の品質不良問題に対する対策は,主に本件国外関連者の保 有する重要な無形資産により可能となったものである(認定事実⑸ウ,⑹ウ)。 ⑷ 本件超過利益の発生メカニズムについての小括以上のとおり,①本件国外関連者において高い売上高が生じた要因は,⒜EUにおいて自動車の排ガス規制を強 ものである(認定事実⑸ウ,⑹ウ)。 ⑷ 本件超過利益の発生メカニズムについての小括以上のとおり,①本件国外関連者において高い売上高が生じた要因は,⒜EUにおいて自動車の排ガス規制を強化するEuro規制が導入されたこと などを契機として,EU市場におけるセラミックス製DPFの需要が急増する中で(上記⑵ア),⒝本件国外関連者が競争者に先駆けて業界2番目という早さでEU市場に参入し(同イ),⒞EU市場への参入企業が本件国外関連者を含む先行2社しか存在しないという状況の下で, 後からEU市場に参入する競争者にとって非常に高い参入障壁が形成されて2社寡占状態が継続した結果,本件国外関連者がEU市場において高いシェアを維持できたこと(同ウ),⒟また,このような2社寡占状態の下で,本件製品の(同エ)によるものである。 また,②本件国外関連者において高い売上高営業利益率が生じた要因は,⒜資本集約度が高い本件製品の生産構造の下で,損益分岐点を大きく超える売上高が得られたことにより,製品1個当たりの生産に必要な費用が大幅に減少するという規模の利益が生じたこと(上記⑶ア),⒝本件製品の (同イ),⒞本件国外関連者が品質不良問 題への対策を行った結果,歩留率が改善して生産効率が向上したこと(同ウ)によるものである。 本件超過利益は,このようにして本件国外関連者に高い売上高及び売上高営業利益率が生じたことにより,発生したものである(上記⑴)。 ⑸ 被告の主張について ア被告は,本件超過利益は,その全部が原告及び本件国外関連者が保有する重要な無形資産により生じたものである旨主張し,その根拠として,①2社寡占状態は,原告が保有する重要な無形資産の独自性・先進性がもたらした競争上の優 益は,その全部が原告及び本件国外関連者が保有する重要な無形資産により生じたものである旨主張し,その根拠として,①2社寡占状態は,原告が保有する重要な無形資産の独自性・先進性がもたらした競争上の優位により得られたものである,②Euro規制は自動車の排ガスを規制するものにすぎず,これ自体が本件国外関連者の 利益を直接的に生じさせるものとはいえない,③本件国外関連者において売上高の増大による規模の利益が得られたとはいえないなどと主張する。 イしかし,上記①については,上記⑵から⑷までに説示したとおり,原告が保有する重要な無形資産は本件製品の量産を可能にするために不可欠 なものであり,本件国外関連者が保有する重要な無形資産は本件製品の生産効率を向上させるために貢献したものの,これらのみで本件超過利益が得られたものではなく,上記説示において掲げた種々の利益発生要因が重なり合い,相互に影響し合った結果として本件超過利益が得られたものというべきである(なお,このことは,先行2社の後からEU市 場に参入したE9及びE11が,本件製品に劣らない性能のセラミックス製DPFを製造していたにもかかわらず,本件各事業年度中にシェアを伸ばすことができなかったこと〔上記⑵ウ〕からも裏付けられる。)。 ウ次に,上記②については,EUにおけるEuro規制等は自動車の排ガスを規制するものであるが,これらの規制の導入によって,セラミック スの微細な気孔を用いて排気ガスを浄化することのできるセラミックス 製DPFの需要がEU市場において急増したことは,上記⑵アに説示したとおりである。そして,このような需要の増加が,セラミックス製DPFの一種である本件製品の売上高を増大させる重要な要因であったことは,明らかである。 エまた て急増したことは,上記⑵アに説示したとおりである。そして,このような需要の増加が,セラミックス製DPFの一種である本件製品の売上高を増大させる重要な要因であったことは,明らかである。 エまた,上記③については,上記⑶アに説示したとおり,本件国外関連者 が行った本件設備投資は大規模なものであり,本件製品の生産が資本集約度の高い生産構造の下で行われたこと,また,損益分岐点を大きく超える売上高が得られたことは明らかであって,これらにより売上高の伸びを超える利益を得ることができたのであるから,規模の利益が得られたことも認められる。 なお,この点に関し,被告は,2011年(平成23年)以降,本件国外関連者の売上高が増大しているにもかかわらず売上高営業利益率が減少していることは,規模の利益が生じていないことを示すものである旨指摘する。しかし,上記⑶イに説示したとおり,本件国外関連者の売上高営業利益率が同年以降に減少しているのは,E9のシェアの拡大に 伴う販売単価の下落により,売上高に対する生産費用の割合が増大したことによるものと解されるから,被告の指摘に係る売上高営業利益率の減少は本件国外関連者に規模の利益が生じたことを否定する根拠となるものではない。 オしたがって,被告の上記主張はいずれも採用することができない。 4 重要な無形資産以外の利益発生要因の位置付け⑴ 原告は,EU市場におけるセラミックス製DPFの需要の急増や,資本集約度が高い本件製品の生産構造は,本件比較対象法人との市場条件や収益構造の違いを示すものにほかならないから,これらの利益発生要因は基本的利益の算定(比較対象法人の選定)において考慮すべきものである旨を主張す る。 ⑵ しかし,残余利益分割法が,重要な を示すものにほかならないから,これらの利益発生要因は基本的利益の算定(比較対象法人の選定)において考慮すべきものである旨を主張す る。 ⑵ しかし,残余利益分割法が,重要な無形資産の寄与によって得られた利益についてこれを直接算出する方法を採用していないのは,技術やノウハウ等の無形資産については,それが法人の利益に寄与したといえる場合であってもその独自の価値を絶対的に評価することが困難である一方で,基本的活動により得られる基本的利益については,比較可能性を有する法人(比較対象 法人)が類似の取引において通常得ることができる利益を参照して算出することが可能であることから,まず基本的利益を算出してこれを当該法人及び当該国外関連者に配分した上で,分割対象利益から基本的利益を除いた残余利益につき,重要な無形資産の貢献により得られた利益であると捉えて両者に配分するのが,簡明な利益の分割に資するためであると解される。 そうすると,残余利益分割法において,比較対象法人が行う類似の取引(基本的活動)は,重要な無形資産を有しない非関連者間の取引であることが前提とされており,したがって,その取引において通常得られる利益である基本的利益も,重要な無形資産の貢献により得られる利益でないことが前提とされているというべきである。 ⑶ 以上の観点から本件について見ると,そもそもセラミックス製DPFは,セラミックスの微細な気孔を用いてディーゼル車の排気ガスに含まれる黒煙微粒子を捕集するというものであり,セラミックス製DPFを量産するためには,精密なセラミックス製品の製造に係る技術やノウハウ等の重要な無形資産の存在が不可欠である。したがって,セラミックス製DPFの市場に参 入できるのは,このような重要な無形資産を使用 るためには,精密なセラミックス製品の製造に係る技術やノウハウ等の重要な無形資産の存在が不可欠である。したがって,セラミックス製DPFの市場に参 入できるのは,このような重要な無形資産を使用することができる企業(重要な無形資産を保有し,あるいは,契約に基づきその使用の許諾を受けた企業。以下同じ)のみであり,Euro規制等を契機とする需要の増加も,セラミックス製DPFを量産することが可能な(重要な無形資産を使用することができる)上記企業にのみ利益をもたらすものである。また,本件国外関 連者がした大規模な設備投資も,セラミックス製DPFである本件製品を大 量に生産するためのものであるから,本件製品を量産するために必要である重要な無形資産の存在と,上記のようなEuro規制等を契機とする需要の増加を前提としたものということができる。 そうすると,基本的利益の算定(比較対象法人の選定)の基礎となる比較可能性の要素として,上記のようなセラミックス製DPFであるがゆえの事 業内容,市場条件,生産構造(収益構造)等について類似性を求めることは,重要な無形資産を使用してセラミックス製DPFを量産できる企業が比較対象法人に選定されることを求めることにほかならず,比較対象法人が重要な無形資産を有しない者であることを要する残余利益分割法の本質と相容れないこととなってしまい,許されないものというべきである。 ⑷ また,上記3で説示したとおり,本件超過利益は,原告及び本件国外関連者が保有する重要な無形資産のほか,EU市場におけるセラミックス製DPFの需要の急増や,2社寡占状態による,資本集約度が高い本件製品の生産構造など,様々な利益発生要因が重なり合い,相互に影響しながら一体となって生じたものであるから,本件超過利 るセラミックス製DPFの需要の急増や,2社寡占状態による,資本集約度が高い本件製品の生産構造など,様々な利益発生要因が重なり合い,相互に影響しながら一体となって生じたものであるから,本件超過利益をそれぞれの 要因ごとに分別し,当該要因のみによって生じた利益の額を算定することは困難である。しかも,そもそも重要な無形資産が存在しなければ本件国外関連者がEU市場に参入して本件製品を量産すること自体が不可能であったことからすれば,重要な無形資産の影響は本件超過利益の全てに及んでいるものといえる。 そうすると,本件超過利益を重要な無形資産により発生したものとそうでないものとに分別して,重要な無形資産に係る超過利益のみを残余利益とすることは困難であり,かかる観点に照らしても,基本的利益の算定において原告が主張する重要な無形資産以外の利益発生要因を考慮することはできないというべきである。 ⑸ 重要な無形資産以外の利益発生要因の位置付けについての小括 以上のとおり,残余利益分割法の適用において基本的利益は重要な無形資産の貢献により得られる利益でないことが前提とされているところ(上記⑵),基本的利益の算定(比較対象法人の選定)に当たって,セラミックス製DPFであるがゆえの事業内容,市場条件,生産構造(収益構造)等について類似性を求めることは,重要な無形資産を使用してセラミックス製DP Fを量産できる企業が比較対象法人に選定されることを求めることにほかならず,残余利益分割法の本質と相容れないものとなってしまうこと(同⑶),また,本件超過利益を重要な無形資産により発生したものとそうでないものとに分別することが困難であること(同⑷)に照らせば,本件超過利益をもたらした各要因のうち原告が主張する重要な無形 こと(同⑶),また,本件超過利益を重要な無形資産により発生したものとそうでないものとに分別することが困難であること(同⑷)に照らせば,本件超過利益をもたらした各要因のうち原告が主張する重要な無形資産以外の利益発生要因を 基本的利益の算定において考慮することはできないものというべきであり,これに反する原告の上記主張は採用することができない(なお,これらの利益発生要因を残余利益の分割において考慮すべきか否かについては,後記6において詳述する。)。 5 争点⑴①(基本的利益の算定方法の適否)について 被告が主張する基本的利益の算定方法は前提事実⑸③のとおり(詳細は別紙3-2⑷のとおり。)であり,原告については基本的利益を0円とする一方,本件国外関連者については,本件比較対象法人を本件抽出基準(別表7)に基づき選定し,本件各事業年度ごとに求めた本件比較対象法人の売上高営業利益率(平均値)に本件国外関連者の総売上高を乗じるというものである。これに 対し,原告は,①本件比較対象法人の選定の適否,②利益指標として売上高営業利益率を用いることの適否を争っているため,以下,これらの点について検討する。 ⑴ 本件比較対象法人の選定の適否ア関係法令等⑶イのとおり,事務運営指針は,基本的利益の算定につい て,国外関連取引の事業と同種の事業を営み,市場,事業規模等が類似す る法人(比較対象法人)の事業用資産又は売上高に対する営業利益の割合等で示される利益指標に基づき計算するものとしている。また,参考事例集は,比較対象法人の選定について,例えば,業種コード,取扱製品,取引段階(小売か卸売か等),海外売上比率,売上規模,設備(有形固定資産)規模,従業員数,無形固定資産の有無,研究開発費や広告宣伝費の水 対象法人の選定について,例えば,業種コード,取扱製品,取引段階(小売か卸売か等),海外売上比率,売上規模,設備(有形固定資産)規模,従業員数,無形固定資産の有無,研究開発費や広告宣伝費の水 準等を選定の基準として用いることが適当であるとした上で,比較対象法人の具体的な選定手順の例として別紙4の手順(事業区分が同種の法人の中から,①非関連者間取引と認められない法人を除外し,②異なる市場で活動する法人を除外し,③事業規模が異なる法人を除外し,④重要な無形資産を有する法人を除外する。)を示している。このような基本的利益の 算定方法は,重要な無形資産を有しない非関連者間の取引において通常得られる利益に相当する金額である基本的利益を算定する方法として,合理性を有するというべきである。 そして,本件比較対象法人の選定は,本件抽出基準(別表7「除外基準」欄)に基づき行われているところ,具体的には,企業データベース であるORBIS登載のEU加盟国所在の企業の中から業種コード3714(自動車部品,付属品製造業)に当たる企業を抽出し(別表7①,②),そのうち,事業内容不明の企業を除外し(同表③,⑪),活動中の企業を抽出し,損失を計上している企業を除外し(同表④,⑤),所在地が著しく異なる企業を除外し(同表⑨),株式50%超保有の企業, その他関連者間取引が想定される企業を除外し(同表⑥,⑩),2006年(平成18年)から2009年(平成21年)までのいずれかの事業年度の売上高が本件国外関連者の約10倍を超えず,約10分の1を下回らない企業を抽出し(同表⑦),事業概要や貸借対照表からR&D(reseachanddevelopment;研究開発)を行っているとうかがわれる企 業,その他研究開発活動を行っていると見込まれ い企業を抽出し(同表⑦),事業概要や貸借対照表からR&D(reseachanddevelopment;研究開発)を行っているとうかがわれる企 業,その他研究開発活動を行っていると見込まれる企業を除外し(同表 ⑧,⑫,⑭),売上高及び営業利益率に影響する差異の調整ができない企業を除外する(同表⑬)というものである。このような選定方法は,事務運営指針及び参考事例集に示された選定方法の在り方に沿うものとして,合理性を有するものといえる。 イ原告の主張について 原告は,①本件比較対象法人の製品は,金属部材等を材料とし,鋳造,切削,プレス等の金属加工を施すことにより製造されるエンジン部品やブレーキパッド,マフラー,ホイールキャップ等であり,セラミックス製DPFである本件製品とは構造や機能等を異にする上(事業内容の相違),②Euro規制等の自動車の排ガス規制により需要が増加するも のではない点や,多数の企業が市場に参入している点において,セラミックス製DPFの市場と異なっており(市場条件の相違),③その製造工程はディスクリート型であって本件製品(プロセス型)のように大規模な生産設備を必要とするものではなく,総営業費用に占める減価償却費の割合も低いレベルにとどまり,本件製品のように売上高の伸び以上 に企業の利益が増加するという費用構造を有するものではない(生産構造,収益構造の相違)旨を主張する。 しかし,上記4で説示したとおり,基本的利益の算定(比較対象法人の選定)においてセラミックス製DPFであるがゆえの事業内容,市場条件,生産構造(収益構造)について類似性を求めることはできないと ころ,原告が主張する上記各相違は,セラミックス製DPFである本件製品とそうでない本件比較対象法人 あるがゆえの事業内容,市場条件,生産構造(収益構造)について類似性を求めることはできないと ころ,原告が主張する上記各相違は,セラミックス製DPFである本件製品とそうでない本件比較対象法人の製品との比較における事業内容,市場条件,生産構造(収益構造)の違いであるから,これらを基本的利益の算定において考慮することはできないものというべきである。 したがって,上記各相違をもって比較可能性を欠くとする原告の上記 主張は,採用することができない。 業種に係る相違の主張に関し原告は,本件国外関連者の事業はセラミックス製品の製造業であり,「化学,ゴム,プラスチック,非鉄金属 」の下位分類「土石,ガラス,コンクリート製品製造業 」のうちの業種コード3255(耐火粘土)に分類されるから,本件比較対象法人とは業種が異なると主張する。 しかし,ORBISの事業コード3255(耐火粘土)に分類される事業者が製造する製品は,れんが,セメント,ブロック,タイル等であり(乙69),自動車用部品であるセラミックス製DPFとはおよそ類似性を有しないものである。他方,本件比較対象法人の製品は,少なくとも自動車用部品であるという点では共通しており,自動車の販売台数 の増減による影響を受けるという点でも一定の類似性が認められる。 これらに照らせば,業種コードの相違をもって比較可能性を欠くとする原告の上記主張は,採用することができない。 所在国に係る相違の主張に関し原告は,チェコに所在するE17及びハンガリーに所在するE18は, ポーランドに所在する本件国外関連者とは市場の地理的範囲を異にするものであると主張する。 しかし,ポーランド,チェコ及びハンガリーはいずれも単一の自由貿易市場である ーに所在するE18は, ポーランドに所在する本件国外関連者とは市場の地理的範囲を異にするものであると主張する。 しかし,ポーランド,チェコ及びハンガリーはいずれも単一の自由貿易市場であるEUに加盟しており,その中でも東欧という類似の経済圏において製造事業を行っているものであり,物価や人件費等の水準が明 らかに異なるとは認められない。また,本件比較対象法人のうちE17及びE18を,ポーランドに所在する他の3法人(E14,E15及びE16)と比較しても,売上高営業利益率に顕著な差異があるとは認められない(別表8)。 そうすると,所在国の相違をもって比較可能性を欠くとする原告の上 記主張は,採用することができない。 為替リスクに係る相違の主張に関し原告は,本件国外関連者はドイツ法人であるE7に本件製品をユーロで販売しているため,国内取引が多い本件比較対象法人とは異なり,ポーランドの通貨であるズロチとユーロとの為替レート変動を要因とする為替リスクを負っており,2007年(平成19年)から翌年にかけて 本件国外関連者のユーロ建て売上高は増加したが,2008年(平成20年)においてズロチの対ユーロ価格が前年に比べて大きく上昇したために,ズロチ建て売上高は前年に比べ大きく減少し,逆に,2009年(平成21年)はズロチ安に動いたため,ユーロ建て売上高は前年に比べ減少したにもかかわらず,ズロチ建て売上高は増加していると主張す る。 しかし,原告の主張によっても,上記のような為替レートの変動が本件国外関連者の売上高営業利益率にどの程度の影響をもたらしたのかは明らかではない。また,仮に,2008年(平成20年)における一時的なズロチ高によりズロチ建て売上高が減少し,これにより売上高に占 め 連者の売上高営業利益率にどの程度の影響をもたらしたのかは明らかではない。また,仮に,2008年(平成20年)における一時的なズロチ高によりズロチ建て売上高が減少し,これにより売上高に占 める生産費用の割合が高くなり,売上高営業利益率が減少したのだとしても(認定事実⑵の表では,同年の売上高営業利益率は%であり,前年の%より減少している。),かかる事情は独立企業間価格の算定の上では原告に有利となる事情であるから,本件比較対象法人の比較可能性を直ちに否定するものとはいい難い。 以上によれば,為替リスクの相違をもって比較可能性を欠くとする原告の上記主張は,採用することができない。 E15に係る主張に関し原告は,本件比較対象法人のうちE15について,重度の障害者を含む障害者の割合が高く,本件国外関連者とは生産効率等が異なることを 主張する。 しかし,原告の主張によっても,E15において重度の障害者を含む障害者の割合が高いことが,同社の売上高営業利益率にいかなる影響を与えているのかは不明である。また,原告が主張するようにE15の営業利益から障害者雇用助成金を減算すると2008年(平成20年)において赤字になるとしても,このような単年度における収支をもって, E15について比較可能性に欠けるとは直ちに認め難い。 したがって,E15について比較可能性に欠けるとする原告の上記主張は,採用することができない。 ⑵ 利益指標の選択の適否原告は,基本的利益の算定に係る利益指標として売上高営業利益率を用 いることは誤りである旨を主張する。 しかし,事務運営指針によれば,基本的利益は,比較対象法人の事業用資産又は売上高に対する営業利益の割合等で示される利益指標に基づき計算するものとされて いることは誤りである旨を主張する。 しかし,事務運営指針によれば,基本的利益は,比較対象法人の事業用資産又は売上高に対する営業利益の割合等で示される利益指標に基づき計算するものとされており(関係法令等⑶イ),売上高営業利益率が客観的な利益指標として選択し得るものであることは明らかである。 原告の上記主張は,要するに,本件製品が資本集約度の高い生産構造であるため,資本と利益との関係性をよく表す利益指標(事業用資産に対する営業利益の割合)を用いるべき旨をいうものと解されるところ,かかる主張は,本件国外関連者と本件比較対象法人との生産構造(収益構造)の相違をもって比較可能性を欠く旨の主張に帰結するものということができ, かかる主張が採用できないものであることは上記⑴イで説示したとおりである。 したがって,利益指標の選択の誤りをいう原告の上記主張は,採用することができない。 ⑶ 基本的利益の算定についての小括 以上によれば,被告の主張する基本的利益の算定は相当であり,これに反 する原告の主張はいずれも採用することができない。 6 争点⑴②(残余利益の分割方法の適否)について⑴ 残余利益の分割において重要な無形資産以外の利益発生要因を考慮することの可否ア被告は,残余利益分割法は分割対象利益から基本的利益を控除した後の 残余利益をもって重要な無形資産の貢献により獲得された利益とみなし,これを重要な無形資産の価値に応じて法人又は国外関連者に配分するものであるから,残余利益の分割において重要な無形資産以外の利益発生要因を考慮することはそもそも想定されていない旨主張する。そこで,以下,この点についてまず検討する。 イ残余利益分割法は,措置法施行令39条の1 割において重要な無形資産以外の利益発生要因を考慮することはそもそも想定されていない旨主張する。そこで,以下,この点についてまず検討する。 イ残余利益分割法は,措置法施行令39条の12第8項1号に定める利益分割法の一種であるところ,同号の規定によれば,利益分割法は,分割対象利益が,国外関連取引に係る棚卸資産の購入,製造,販売その他の行為のために法人又は国外関連者が支出した費用の額,使用した固定資産の価額その他これらの者が分割対象利益の発生に寄与した程度を推測 するに足りる要因(分割要因)に応じて,当該法人及び当該国外関連者に帰属するものとする方法である(関係法令等⑵エ)。 そして,措置法通達66の4⑷-2は,利益分割法の適用に当たり用いる分割要因につき,法人又は国外関連者が支出した人件費等の額,投下資本の額など,これらの者が当該分割対象利益の発生に寄与した程度 を推測するにふさわしいものを用いるものとし,分割要因が複数ある場合には,それぞれの要因が分割対象利益の発生に寄与した程度に応じて合理的に計算するものとしている(関係法令等⑵エ)ところ,このような方法は,措置法施行令39条の12第8項1号の規定を具体化するものとして相当である。 ウところで,残余利益分割法の適用に当たり,基本的利益の算定において は重要な無形資産の影響が排除されているから,分割対象利益から基本的利益を控除して得られる残余利益は重要な無形資産に起因して得られる利益であることとなるが,残余利益(超過利益)をもたらした利益発生要因は必ずしも一つに限られるものではなく,重要な無形資産以外の利益発生要因が寄与していることも十分に想定し得るのであり,現に, 上記3で説示したとおり,本件超過利益については,原告 た利益発生要因は必ずしも一つに限られるものではなく,重要な無形資産以外の利益発生要因が寄与していることも十分に想定し得るのであり,現に, 上記3で説示したとおり,本件超過利益については,原告及び本件国外関連者が保有する重要な無形資産とともに,他の複数の利益発生要因が重なり合い,相互に影響しながら一体となって得られているものである。 そして,このような他の利益発生要因の中には,法人又は国外関連者のいずれかが超過利益の発生に寄与したものとして,独立企業間価格の算 定においてその寄与の程度に応じた利益を当該法人又は当該国外関連者に帰属させることが相当であると評価すべきものが含まれている可能性がある。 そうすると,本件のように重要な無形資産とともに他の複数の利益発生要因が重なり合い,相互に影響しながら一体となって得られた超過利益 (残余利益)について,法人及び国外関連者に合理的に配分するためには,重要な無形資産以外の利益発生要因に関しても,当該法人又は当該国外関連者が支出した人件費の額や投下資本の額など,その寄与の程度の推測にふさわしい要素(分割要因)を適切に考慮すべきである。なお,このような重要な無形資産以外の利益発生要因の考慮は,利益分割法の 一種である残余利益分割法の適用の在り方として相当であるというべきであり,また,措置法通達で定められていた残余利益分割法を平成23年税制改正により法定化した後の措置法施行令の規定(改正後措置法施行令39条の12第8項1号ハ)との関係でも整合性を有するものというべきである(関係法令等⑶ア参照)。 エしたがって,一般に,残余利益の分割において重要な無形資産以外の利 益発生要因を分割要因として考慮することは許されるものというべきであり,これに 係法令等⑶ア参照)。 エしたがって,一般に,残余利益の分割において重要な無形資産以外の利 益発生要因を分割要因として考慮することは許されるものというべきであり,これに反する被告の上記主張は,採用することができない。 そこで,以下においては,本件超過利益をもたらした重要な無形資産以外の利益発生要因についても,①当該要因につき,原告又は本件国外関連者の寄与はいかなるものであったか,②その寄与は,独立企業間価 格の算定において原告又は本件国外関連者に利益を帰属させるのが相当といえるものであるか,③その寄与の程度を推測させる人件費の額や投下資本の額等はいかなるものであるかという観点から,検討を加えることとする。 ⑵ 本件超過利益の発生に対する原告及び本件国外関連者の寄与 ア本件超過利益に係る利益発生要因本件超過利益の発生メカニズムは上記3⑷に説示したとおりであり,要するに,①EU市場におけるセラミックス製DPFの需要の急増,②本件国外関連者によるEU市場への早期の参入,③,並びにこれによってもたらされ た2社寡占状態の継続による高いシェアの維持及び,④売上高の増大に伴う規模の利益,⑤生産効率の向上を利益発生要因とするものである。 そして,上記3⑵及び⑶によれば,上記①から⑤までに係る利益発生要因の詳細は,それぞれ次のとおりである。 上記①につき,ディーゼル乗用車の台数が多いEUにおいて,自動車の排ガス規制を強化するEuro規制が導入されるなどしたこと上記②につき,⒜原告において,EU市場におけるセラミックス製DPFの需要の見通しを競争者に先駆けていち早く察知し,ポーランドに本件国外関連者を設立する旨の事業計画を策定したこと(本件事業化 決定),⒝原告におい おいて,EU市場におけるセラミックス製DPFの需要の見通しを競争者に先駆けていち早く察知し,ポーランドに本件国外関連者を設立する旨の事業計画を策定したこと(本件事業化 決定),⒝原告において保有する,本件製品の製造に係る技術やノウハ ウ等の重要な無形資産,⒞本件国外関連者における初期の設備投資上記③につき,⒜EU市場に参入していた企業が先行2社しか存在しない状況下で,,⒝本件国外関連者において,自動車メーカーが要求する生産能力を確保するための追加の設備投資を行ったこと 上記④につき,⒜本件国外関連者において,初期・追加の設備投資(本件設備投資)を行い,本件製品は資本集約度の高い生産構造によるものとなったこと,⒝損益分岐点を大きく超える売上高が得られたこと上記⑤につき,本件国外関連者において,本件製品の品質不良問題に関し,歩留率を改善するための対策を講じたこと(本件国外関連者が 保有する,本件製品の生産性改善に係る知見やノウハウ等の重要な無形資産)イ各利益発生要因に係る原告及び本件国外関連者の寄与上記アによれば,上記各利益発生要因に係る原告の寄与は,本件事業化決定(上記②⒜)及び重要な無形資産(上記②⒝)であり,本件国外関 連者の寄与は,本件設備投資(上記②⒞,③⒝,④⒜)及び重要な無形資産(上記⑤)である。 そこで,以下においては,上記各寄与につき,重要な無形資産によるものとそれ以外のものに分けて,それぞれ検討する。 ⑶ 重要な無形資産による寄与 ア重要な無形資産による寄与の程度を推測するための要素(分割要因)としては,当該重要な無形資産の開発のために支出した費用等の額によるのが合理的であり,本件のように製造活動に用いられる ア重要な無形資産による寄与の程度を推測するための要素(分割要因)としては,当該重要な無形資産の開発のために支出した費用等の額によるのが合理的であり,本件のように製造活動に用いられる技術やノウハウ等の無形資産については,研究開発部門や製造部門の関係費用等を用いるのが相当である(関係法令等⑶ウ参照)。 イ原告が保有する重要な無形資産に関し 原告については,別表2の本件製品(製品E2)の製造に係る技術やノウハウ等の重要な無形資産が本件製品の開発及び量産化に貢献したものであるところ,これらの無形資産は原告における研究開発活動により形成されたものであるから,その研究開発費を残余利益の分割要因とするのが合理的である。そして,原告が開発した本件製品の製造に係る重要 な無形資産は,原告グループにおけるEU市場以外での本件製品の製造にも用いられていることからすると,EU市場での本件超過利益の発生に貢献した研究開発費の額は,原告が支出した本件製品に係る研究開発費の総額に,原告グループ全体の本件製品に係る売上高に占める本件国外関連者の売上高の割合を乗じて計算した金額と認めるのが相当である。 その額は,別表13「5」欄のとおりである。 ウ本件国外関連者が保有する重要な無形資産に関し 本件国外関連者については,別表3の本件製品の生産性改善に係る知見やノウハウ等の重要な無形資産が生産効率の向上に貢献したものと認められるところ,本件国外関連者が保有する重要な無形資産は,そのほ とんどが本件国外関連者の部門が中心となって獲得した知見・ノウハウであるから,部門費を残余利益の分割要因とするのが合理的である。その額は,別表5「3」欄のとおりである。 これに対し,原告は,本件国外関連者の部門も 部門が中心となって獲得した知見・ノウハウであるから,部門費を残余利益の分割要因とするのが合理的である。その額は,別表5「3」欄のとおりである。 これに対し,原告は,本件国外関連者の部門も重要な無形資産の形成に貢献しているから,部門費も残余利益の分割要因に含める べきである旨を主張する。 製造業に当たっては,通常,原材料について何らかの品質管理や調合上の工夫を行っていると考えられるところ,これが超過利益の源泉となるものと評価されるためには,通常の品質管理等とは異なる独自の機能を発揮したものと認められることが必要である。そして,本件において は,本件製品の品質不良問題に関し,部門も,原料の などして,同問題の改善に一定の貢献をしたことが認められる(認定事実⑹ウ)。 しかし,本件製品の品質不良問題が発生した主たる要因は,これを解決するため,部門が 部門による貢献は全体のごく一部を占めるにすぎない。また,,部門ではこれに基づき調整を行ったものにすぎない。 これらに鑑みると,部門費のほかに,部門費も残余利益の分割要因に加えることは,重要な無形資産による本件国外関連者の寄与の程度を的確に推測させるものとは認め難いから,原告の上記主張は採用することができない。 ⑷ 重要な無形資産以外による寄与 ア本件国外関連者の本件設備投資による寄与に関し 上記3及び上記⑵のとおり,本件国外関連者による初期の設備投資は,本件製品の量産を開始しEU市場に参入するために不可欠なものであった。また,追加の設備投資は,本件国外関連者が自動車メーカーの要求する本件製品の生産能力を確保するために不可欠であったものであるが, かかる生産能力の確保がされたために,本件国外関連者は自動 た。また,追加の設備投資は,本件国外関連者が自動車メーカーの要求する本件製品の生産能力を確保するために不可欠であったものであるが, かかる生産能力の確保がされたために,本件国外関連者は自動車メーカーとの間で長期の契約期間による供給契約を締結することができ,2社寡占状態を継続させて高いシェアを維持するとともにことができたのであるから,これらの利益発生要因との関係でも,追加の設備投資による貢献は重要なものであったといえる。そして,これ ら初期及び追加の設備投資(本件設備投資)は,本件製品の生産構造に つき資本集約度を高めるものであり,損益分岐点を大きく超える売上高が得られたことと相まって規模の利益をもたらしたという点でも,重要な貢献をしたものである。 このように,本件国外関連者による本件設備投資は,本件超過利益をもたらした複数の利益発生要因に関して重要な貢献をしているものと認 められるから,本件設備投資に係る減価償却費につき,上記⑶の原告の研究開発費及び本件国外関連者の部門費と同等のウエイトにより,残余利益の分割要因とするのが相当である。 ところで,本件国外関連者の減価償却費には,重要な無形資産の開発に関するものや,基本的活動としての製造機能に関するものも含まれて いることからすれば,本件超過利益の発生に寄与した減価償却費の額を算定するに当たっては,本件国外関連者の減価償却費から,これらのものを控除するのが相当である。 そこで,本件国外関連者の本件各事業年度における減価償却費から,部門に係る減価償却費及び基本的な製造活動に係る減価償却費(以 下「基本的減価償却費」という。)を控除したもの(超過減価償却費)が残余利益の分割要因となるところ,基本的減価償却費の計算に当たっては 係る減価償却費及び基本的な製造活動に係る減価償却費(以 下「基本的減価償却費」という。)を控除したもの(超過減価償却費)が残余利益の分割要因となるところ,基本的減価償却費の計算に当たっては,本件比較対象法人における売上高に対する減価償却費の割合(平均値)を,本件国外関連者の売上高に乗じることにより求めるのが相当である。 本件に係る超過減価償却費の計算は,以下のとおりである。 a 本件国外関連者の部門以外の減価償却費(A)本件国外関連者の減価償却費から部門に係る減価償却費を除いた額は,次のとおりである。 2006年(平成18年)ズロチ 2007年(平成19年)ズロチ 2008年(平成20年)ズロチ2009年(平成21年)ズロチb 基本的減価償却費(B)本件比較対象法人における売上高に対する減価償却費の割合(平均値)は,次のとおりである。 2006年(平成18年) 3.14%2007年(平成19年) 3.07%2008年(平成20年) 3.43%2009年(平成21年) 3.65%上記比率を本件国外関連者の売上高に乗じた金額(基本的減価償却 費の額)は,次のとおりである。 2006年(平成18年)ズロチ2007年(平成19年)ズロチ2008年(平成20年)ズロチ2009年(平成21年)ズロチ c 超過減価償却費(C)本件国外関連者の部門以外の減価償却費(A)から基本的減価償却費(B)を除いた額(超過減価償却費)は,次のとおりである。 2006年(平成18年)ズロチ c 超過減価償却費(C)本件国外関連者の部門以外の減価償却費(A)から基本的減価償却費(B)を除いた額(超過減価償却費)は,次のとおりである。 2006年(平成18年)ズロチ2007年(平成19年)ズロチ 2008年(平成20年)ズロチ2009年(平成21年)ズロチ処分行政庁が用いた為替レートによると,上記の超過減価償却費に係る円建ての金額は次のとおりである(D)。 2006年(平成18年)円 2007年(平成19年)円 2008年(平成20年)円2009年(平成21年)円d 以上によれば,上記(D)の各金額が超過減価償却費の額であり,残余利益の分割要因を基礎付ける支出額である。 これに対し,被告は,基本的利益の算定に当たり,事業規模が類似 する法人を本件比較対象法人として選定しているのであるから,本件国外関連者が本件設備投資により事業規模を拡大したことに伴う利益は基本的利益の算定において既に考慮済みである旨を主張する。 しかし,本件比較対象法人の選定において,事業規模の類似性は,本件各事業年度のいずれかの年度の売上高が本件国外関連者の約10倍 を超えず,約10分の1を下回らない企業とすることにより確保されており(上記5⑴ア),相当程度の幅の下に認められた類似性である上,売上高の規模に着目したものであって設備投資の規模(有形固定資産の規模)に着目したものではない。そして,有形固定資産の額及び割合について両者を比較すると,本件国外関連者における有形固定資産の額 (部門に関するものを除く。)が約億円であるのに対し,本件比較対象法人における有形固定資産の額(平均値)は約9億円で, 合について両者を比較すると,本件国外関連者における有形固定資産の額 (部門に関するものを除く。)が約億円であるのに対し,本件比較対象法人における有形固定資産の額(平均値)は約9億円で,本件国外関連者のを下回っており,また,本件国外関連者における売上高に対する有形固定資産の割合はであるのに対し,本件比較対象法人における同割合(平均値)はで,本件国外関連 者のに満たない(認定事実⑽イ)。このように,設備投資の規模において両者の間に大きな差があることは明らかである。 また,本件国外関連者が本件設備投資をしたことにより得られた利益は,EU市場におけるセラミックス製DPFの需要の急増など他の利益発生要因と一体となって発生したものであるところ,本件比較対象法 人が製造する自動車部品はこのような需要増の影響を受けるものではな く,市場条件や競争状況を異にするものである(認定事実⑽ア,)から,設備投資による事業規模の拡大が利益の発生にもたらす効果も異なるものと考えられる。 そうすると,本件設備投資に伴う利益が基本的利益の算定において既に考慮済みであるということはできないから,被告の上記主張は採用 することができない。 また,被告は,超過減価償却費の計算(その基礎となる基本的減価償却費の算定方法)に関し,本件比較対象法人は基本的利益の算定における営業利益率の比較のために抽出された企業であり,売上高に対する減価償却費の割合については,営業利益率とは異なり,自由で競争的な 市場において一定の標準的な割合に収束するという理論的な裏付けがあるとはいえないから,上記のような算定方法によるのは相当でない旨を主張する。 しかし,本件国外関連者の減価償却費を残余利益の分割要因とすべき 一定の標準的な割合に収束するという理論的な裏付けがあるとはいえないから,上記のような算定方法によるのは相当でない旨を主張する。 しかし,本件国外関連者の減価償却費を残余利益の分割要因とすべきであること,その計算に当たり基本的な製造活動に係る減価償却費(基 本的減価償却費)を控除すべきであることは上記に説示したとおりであるところ,このような前提の下において,上記⑴のような寄与の程度の推測にふさわしい要素(分割要因)を探求するという観点から検討すると,自動車部品について基本的な製造活動を営む本件比較対象法人がどの程度の減価償却費をもって製造活動を行っているのかは,本件国外 関連者における本件設備投資による寄与の程度を推測するために参照するに値する有意な情報というべきであり,これに代わるものとして更に的確な推測を可能とする情報が得られない以上,本件比較対象法人における売上高に対する減価償却費の割合に基づき基本的減価償却費を算定するという上記の計算方法は,合理性を有するものというべきである。 したがって,被告の上記主張は採用することができない。 イ原告の本件事業化決定による寄与に関し 上記3⑵イによれば,本件国外関連者が業界2番目という早さでEU市場に参入することができたのは,原告が,EU市場におけるセラミックス製DPFに対する需要の見通しについて,競争者に先駆けていち早く察知し,本件事業化決定を行ったことによるところが大きく,EU市 場における2社寡占状態を形成・維持する上で重要な貢献をしたものである。 もっとも,本件事業化決定は,原告グループを統括する親会社である原告が,ポーランドに同グループの子会社である本件国外関連者を設立する旨の事業計画を策定したというものであって(認 ものである。 もっとも,本件事業化決定は,原告グループを統括する親会社である原告が,ポーランドに同グループの子会社である本件国外関連者を設立する旨の事業計画を策定したというものであって(認定事実⑶ア~ ウ),その行為自体について本件国外関連者から対価を受けるべき性質のものではなく,このようなグループ会社の親会社が行う投資判断から得られる利益は,本来,配当として子会社から親会社に還元されるべきものである。そして,現に,本件国外関連者は,直接の親会社であるE13に相当額の配当金を支払っており,E13は,これに自身の営業利 益等を合わせたものを原資として,原告に相当額の配当金を支払っていることが認められる(認定事実⑻ア)。 これらに鑑みると,原告の本件事業化決定による寄与は,独立企業間価格の算定において原告に利益を帰属させるのが相当といえるものではないから,残余利益の分割要因として考慮することができないものと いうべきである。 なお,原告は,本件事業化決定以外にも,本件国外関連者の設立前における事業化に向けた準備活動(認定事実⑶エ)や,本件国外関連者が追加の設備投資をする際の本件国外関連者への投資又は資金の貸付け(認定事実⑷カ~)を行っているが,このような設立前の準備活動 や投資は,上記と同様,本件国外関連者から対価を受けるべき性質の ものではなく,また,貸付けについては,本件国外関連者から利子の支払を相応に受けている(認定事実⑻イ)。 また,本件国外関連者の設立後における事業計画については,本件国外関連者が自ら,半年に1度の予算編成において,先3年にわたる事業計画を見直し,想定される需要に基づき設備投資に係る計画を策定し ていたものであり,原告は,本件国外関連者から については,本件国外関連者が自ら,半年に1度の予算編成において,先3年にわたる事業計画を見直し,想定される需要に基づき設備投資に係る計画を策定し ていたものであり,原告は,本件国外関連者から提出された計画に対し,その当否を判断していたものにすぎない(認定事実⑷キ)。そして,原告による同計画の当否の判断は,原告グループの親会社として,同グループの子会社である本件国外関連者に対する投資又は貸付けを行うか否かの判断と表裏の関係にあるものであって,本件国外関連者から対価を 受けるべき性質のものではない。 以上によれば,本件事業化決定以外に原告が行った上記各行為についても,残余利益の分割要因として考慮することができないものというべきである。 なお,被告は,原告が本件国外関連者の設立前にした事業計画の策 定は,設立することが決定されていた本件国外関連者についてその事業計画の策定を行ったものであって,本件国外関連者は原告による事業計画の策定作業から便益を受けているのであるから,有償性のある活動であると主張する。 しかし,原告が本件国外関連者を設立するか否かの判断をする上で, 設立後の事業損益の見通しは重要な判断要素となるものであり,そのために原告は本件国外関連者を設立した場合の具体的な事業計画を策定しその当否について判断しているのであるから(認定事実⑶ア~ウ),このような設立前における投資判断のための事業計画の策定について,設立後の本件国外関連者から対価の支払を受けるべき有償性のある活動で あると評価することはできない。 したがって,被告の上記主張は採用することができない。 ⑸ 寄与に関するその他の主張についてア原告のその他の主張について EU側の事情であるとの主張に はできない。 したがって,被告の上記主張は採用することができない。 ⑸ 寄与に関するその他の主張についてア原告のその他の主張について EU側の事情であるとの主張に関し原告は,Euro規制等の導入やEU市場におけるセラミックス製D PFの需要の急増はいずれもEU側の要因であるから,これらの要因に係る利益は全てEU側(本件国外関連者側)に帰属すべきものであると主張する。 しかし,原告が主張するような地理的な事情は,本件国外関連者が本件超過利益の発生に寄与した程度を合理的に推測させる要素であるとは 認め難い。また,EU市場におけるセラミックス製DPFの需要の急増は,ディーゼル車の台数が多いEUにおいて,ディーゼル車が人体に深刻な影響を及ぼす粒子状物質(PM)を多く発生させるという状況を改善するためにEuro規制等が導入されたことなど,EUにおける社会経済状況の変化によってもたらされたものであり,その変化の発生につ いて原告又は本件国外関連者のいずれかが関与したものではないから,かかる需要の急増に対する寄与を観念し得るものではない。原告又は本件国外関連者の寄与は,かかる需要の急増という好機を活かして利益を得るためにこれらの者がどのような行為をしたのかを評価すべきであるところ,この点については上記⑷に説示したとおりである。 したがって,原告の上記主張は採用することができない。 E7の貢献に係る主張に関し原告は,本件国外関連者の実質的な販売部門であるE7が本件製品の発注の獲得に大きな貢献をしていることから,本件国外関連者がE7の販売機能に対して負担した対価にE7の技術者比率を乗じた額を残余利 益の分割要因として考慮すべきである旨を主張する。 しかし,一 貢献をしていることから,本件国外関連者がE7の販売機能に対して負担した対価にE7の技術者比率を乗じた額を残余利 益の分割要因として考慮すべきである旨を主張する。 しかし,一般的に,販売会社(販売部門)が取引先の要望を聴取し,その内容を製造会社(製造部門)に伝え,製品の改良や開発に反映させること自体は,それが営業担当社員の高い技術知識に基づき行われたものであるとしても,直ちに,超過利益の獲得に対して独自性のある貢献といえるものではない。また,本件国外関連者からE7に対する本件製 品の販売は独立企業間価格に基づくものであり(前提事実⑶ウ),本件国外関連者がE7に支払っていた販売手数料も,販売価格の%(2006年〔平成18年〕の一時期は%)にとどまり(認定事実⑺イ),原告が主張するようなE7の独自の機能を考慮した販売価格や販売手数料が設定されていたものとは解し難い。 なお,原告が本件事業化決定をするに当たっては,EU市場におけるセラミックス製DPFの需要の見通しについてE7が収集した情報が重要な基礎となった(認定事実⑺ウ)ものの,これは,原告グループの子会社であるE7が同グループの親会社である原告の投資判断に役立つ情報を収集したものであって,グループ会社間における協力活動の一環 として評価されるものであるから,原告の本件事業化決定による貢献が残余利益の分割要因として考慮されないのと同様に,E7の情報収集による貢献も残余利益の分割要因として考慮することができないものというべきである。 以上によれば,E7の貢献に係る原告の上記主張は採用することがで きない。 イ被告のその他の主張について 「E19ブランド」の主張に関し被告は,本件国外関連者による本件製品の販売 ,E7の貢献に係る原告の上記主張は採用することがで きない。 イ被告のその他の主張について 「E19ブランド」の主張に関し被告は,本件国外関連者による本件製品の販売先の確保等は,原告が有する「E19ブランド」の貢献によるものであると主張する。 しかし,上記3⑵ウで説示したとおり,本件国外関連者がEU市場に おいて高いシェアを維持することができたのは,セラミックス製DPFに対する需要が顕著に増加した2005年(平成17年)当時,EU市場に参入していた企業がE6・ヨーロッパと本件国外関連者の先行2社しか存在せず,自動車部品について2社購買制を採る自動車メーカーは, ,2社寡占状態が継続したことによるものである。他方,後からEU市場に参入した企業は,原告と同様に技術力及びブランド力を有する企業であった(認定事実⑴エ,)が,2社寡占状態の下で非常に高い参入障壁が形成されていたため,本件各事 業年度を通じて僅かなシェアしか得ることができなかったものである。 これらによれば,本件製品は,原告のブランド力によって差別化が図られたために競争上優位になったものとは認め難く,原告が有する「E19ブランド」は,本件超過利益の発生につき独自の機能を有するものとはいえず,残余利益の分割要因として考慮すべきものとは認められな い。したがって,被告の上記主張は採用することができない。 リスク分析の主張に関し被告は,本件国外関連者が行う経済活動に通常伴うリスク(市場リスク,製造ラインの操業度リスク,製品の在庫リスク及び市場価格の変動リスク)は,原告の資金力,技術力,ブランド力のほか,需要予測や設 備設計等の実施によって極限まで低減されたものであり,このようなリス ラインの操業度リスク,製品の在庫リスク及び市場価格の変動リスク)は,原告の資金力,技術力,ブランド力のほか,需要予測や設 備設計等の実施によって極限まで低減されたものであり,このようなリスクのコントロールに係る原告の貢献は,残余利益の分割要因として考慮されるべきである旨を主張する。 しかし,本件国外関連者の本件設備投資に伴うリスクが低減されたとしても,それは,EU市場におけるセラミックス製DPFの需要の急増 や2社寡占状態を背景として, (認定事実⑴エ),直接には原告の貢献によるものではない。また,本件国外関連者が本件設備投資を行うための資金は,原告からのにより調達されているところ(認定事実⑷カ),これら の資金調達が原告の財務力や信用力のために容易になった面はあるにしても,このようなグループ会社としての財務力や信用力によってもたらされた利益は,本来,配当によって親会社へ還元されるべきものであり,独立企業間価格の算定において残余利益の分割要因として考慮されるべきものではない。 そして,本件国外関連者は,本件設備投資のために自ら債務を負担していたのであり,本件製品の歩留率が向上しなかったり,EU市場への競争者の参入に伴いシェアが奪われたり,本件製品の販売単価が下落したり,EU市場におけるセラミックス製DPFの需要が減少するなどした場合に収支が悪化し債務の返済が滞るリスクを負っていたといえる。 実際にも,本件国外関連者が工場を立ち上げた当初は歩留率が極めて低かったのであり(認定事実⑹ウ),また,E9が2010年(平成22年)頃からEU市場におけるシェアを伸ばしたことにより本件製品の販売単価は大幅に下落したのであり(認定事実⑴エ),さらには,その後,EUの自動車市場における消 ),また,E9が2010年(平成22年)頃からEU市場におけるシェアを伸ばしたことにより本件製品の販売単価は大幅に下落したのであり(認定事実⑴エ),さらには,その後,EUの自動車市場における消費者のディーゼル車離れが進行した ため,EU市場におけるセラミックス製DPFの需要が減少しているのであって(認定事実⑴エ),リスクの一部は現実化していることが認められる。 なお,被告が主張するリスク低減に対する原告の貢献の具体的内容は,残余利益の分割要因として既に考慮されているもの(重要な無形資産) か,あるいは,上記説示において残余利益の分割要因として考慮すべき でないとされたもの(投資・貸付け,需要予測等,ブランド力)にすぎず,このほかに,リスク低減への原告の寄与について本件超過利益の発生に係る独自の機能として評価すべきものは見当たらない。 以上によれば,リスク分析に関する被告の上記主張は,採用することができない。 ⑹ 残余利益の分割方法についての小括以上によれば,本件国外関連取引に係る残余利益の分割については,原告につき,重要な無形資産に係る支出額(研究開発費の額〔上記⑶イ〕)を分割要因とし,本件国外関連者につき,重要な無形資産に係る支出額(部門費〔上記⑶ウ〕)及び超過減価償却費(上記⑷ア)を分割要因として, それぞれに配分するのが相当である。 7 本件国外関連取引に係る独立企業間価格について⑴ 以上のとおり,被告の主張する基本的利益の算定は相当である一方,残余利益の分割については,重要な無形資産の開発に係る原告及び本件国外関連者の支出額のほかに,本件国外関連者の超過減価償却費を分割要因に加えて 配分するのが相当である。 ⑵ そこで,被告が主張する本件国 割については,重要な無形資産の開発に係る原告及び本件国外関連者の支出額のほかに,本件国外関連者の超過減価償却費を分割要因に加えて 配分するのが相当である。 ⑵ そこで,被告が主張する本件国外関連取引に係る独立企業間価格の算定方法(前提事実⑸,別紙3-2)について,基本的利益の額及び残余利益の額の算出後の計算過程につき上記⑴を踏まえて修正すると,以下のとおりとなる。 ア原告の基本的利益の額は本件各事業年度を通じて0円であり,本件国外関連者の基本的利益の額は別表11「3」欄のとおりであり,本件国外関連取引に係る残余利益の額(分割対象利益から基本的利益を控除した残額)は別表12「3」欄のとおりである。 イ残余利益の分割要因の基礎となる原告の支出額(原告が支出した研究開 発費の総額に,原告グループ全体の売上高に占める本件国外関連者の売上 高の割合を乗じたもの)は,別表13「5」欄のとおりである。 他方,残余利益の分割要因の基礎となる本件国外関連者の支出額は,別表Aのとおり(部門費と超過減価償却費の合計額)である。 ウ原告に配分すべき残余利益の額は,上記アの「残余利益の額」に,上記イの「分割要因の基礎となる原告の支出額」と「分割要因の基礎となる本 件国外関連者の支出額」の合計額に占める「分割要因の基礎となる原告の支出額」の割合を乗じた額(別表B「6」欄)となる。 エ本件国外関連取引に係る独立企業間価格は,原告の基本的利益の額(0円)と原告に配分すべき残余利益の額(上記ウ)とを合計した額(別表C「3」欄)となる。 これによれば,原告が本件国外関連者から支払を受けた本件ロイヤルティの額は,平成19年3月期から平成21年3月期までにおいては,独立企業間価格を超えるから,国外移転所得の発 」欄)となる。 これによれば,原告が本件国外関連者から支払を受けた本件ロイヤルティの額は,平成19年3月期から平成21年3月期までにおいては,独立企業間価格を超えるから,国外移転所得の発生を認めることができない(別表D「3」欄)。 他方,平成22年3月期については,原告が本件国外関連者から支払を 受けた本件ロイヤルティの額が独立企業間価格に満たないことから,独立企業間価格をもって本件国外関連取引が行われたものとみなされる(措置法66条の4第1項)。独立企業間価格のうち,原告が本件国外関連者から支払を受けた金額を超える部分(円)は,本件国外関連者に対する国外移転所得金額であり(別表D 「3」欄),その金額は原告の所得に帰属するものとして法人税に関する法令の規定が適用される。 8 争点⑵(理由付記の不備の有無)について⑴ 認定事実本件各更正処分に係る更正通知書には,原告の所得の金額の計算上,本件 国外関連取引に係る独立企業間価格の算定について,①原告及び本件国外 関連者が重要な無形資産を保有していることから残余利益分割法により独立企業間価格を算定する旨,②分割対象利益の額,③基本的利益の計算(比較対象法人の選定)につき,データベースであるORBISを使用して公開情報から財務情報等を確認し,EU加盟国内の自動車部品・付属品製造業の企業を抽出した上で,重要な無形資産を有する可能性のある企業 を除外するなどして比較対象法人7社を選定した旨(併せて,7社の法人名,所在地国,事業内容,売上高営業利益率),比較的対象法人の売上高営業利益率の単純平均値を用いて本件国外関連者の基本的利益を算出した旨(及びその金額),④残余利益の配分につき,原告及び本件国外関連者が保有する重要な無形資産 高営業利益率),比較的対象法人の売上高営業利益率の単純平均値を用いて本件国外関連者の基本的利益を算出した旨(及びその金額),④残余利益の配分につき,原告及び本件国外関連者が保有する重要な無形資産の価値を示す指標(及びその金額)がそれぞれ 記載されている(甲1の1~4)。 ⑵ 理由付記の不備の有無についての検討本件のように内国法人の提出した青色申告書に係る法人税の課税標準等について更正処分をする場合には,その更正に係る更正通知書にその更正の理由を付記しなければならないところ(法人税法130条2項),帳簿書類の 記載自体を否認して更正処分をする場合においては,単に更正処分に係る勘定科目とその金額を示すだけでなく,そのような更正をした根拠を帳簿の記載以上に信憑力のある資料を摘示することによって具体的に明示することを要するが,帳簿書類の記載自体を否認することなしに更正処分をする場合においては,付記された理由が,そのような更正処分をした根拠について帳簿 の記載以上に信憑力のある資料を摘示するというものでないとしても,処分庁の恣意の抑制及び不服申立ての便宜という理由付記制度の趣旨目的を充足する程度に具体的に明示するものである限り,理由の付記として欠けるものではないと解される(最高裁昭和56年(行ツ)第36号同60年4月23日第三小法廷判決・民集39巻3号850頁)。 本件各更正処分は,帳簿書類の記載自体の信憑性を否認しているわけでは なく,本件各事業年度に係る各確定申告において原告が算定した本件国外関連取引に係る独立企業間価格についての算定方法を修正したものであるから,上記のうち後者の場合に当たる。そして,上記⑴の認定のとおり,本件各更正処分に係る更正通知書においては,残余利益分割法を採用する 連取引に係る独立企業間価格についての算定方法を修正したものであるから,上記のうち後者の場合に当たる。そして,上記⑴の認定のとおり,本件各更正処分に係る更正通知書においては,残余利益分割法を採用することを示した上で,これを適用するに当たっての基本的利益の算定方法及び残余利益の 分割方法等について,その根拠及び具体的な計算方法を示しているのであるから,上記のような理由付記制度の趣旨目的を充足する程度の理由の付記がされているものというべきである。 したがって,理由付記の不備による違法をいう原告の上記主張は,採用することができない。 9 本件各処分の適法性について以上によれば,原告の本件各事業年度における納付すべき法人税額及び過少申告加算税額については,別紙7のとおり計算されるべきであり,その結果は以下のとおりである。納付すべき法人税額について裁判所が認定した金額と本件各更正処分における金額との差額は合計円であり, 過少申告加算税額について裁判所が認定した金額と本件各賦課決定処分における金額との差額は合計万円である。 ⑴ 平成19年3月期原告の平成19年3月期の所得金額は円,納付すべき法人税額は円であるから,平成19年3 月期更正処分のうち上記金額を超える部分は違法である(納付すべき法人税額につき,同処分との差額は円。)。 平成19年3月期の過少申告加算税額は円であるから,平成19年3月期賦課決定処分のうち上記金額を超える部分は違法である(同処分との差額は円。)。 したがって,これらの処分につき上記各部分の取消しを求める原告の請求 は理由がある。 ⑵ 原告の平成20年3月期の所得金額は円,納付すべき法人税額は円であるから,平成20年3月期更正処分のうち上記金 分につき上記各部分の取消しを求める原告の請求 は理由がある。 ⑵ 原告の平成20年3月期の所得金額は円,納付すべき法人税額は円であるから,平成20年3月期更正処分のうち上記金額を超える部分は違法である(納付すべき法人税額につき,同処分との差額は円。)。 平成20年3月期の過少申告加算税額は円であるから,平成20年3月期賦課決定処分のうち上記金額を超える部分は違法である(同処分との差額は円。)。 したがって,これらの処分につき請求の趣旨第2項記載の部分の取消しを求める原告の請求は,上記各部分の取消しを求める限度で理由があり,その 余は理由がない。 ⑶ 原告の平成21年3月期の所得金額は円,納付すべき法人税額は円であるから,平成21年3月期更正処分のうち上記金額を超える部分は違法である(納付すべき法人税額につき,同処分との差額は円。)。 平成21年3月期の過少申告加算税額は0円であるから,平成21年3月期賦課決定処分はその全部が違法である(同処分との差額は円。)。 したがって,これらの処分につき上記各部分(過少申告加算税額については全部)の取消しを求める原告の請求は理由がある。 ⑷ 原告の平成22年3月期の所得金額は円,納付すべき法人税額は円であるから,平成22年3月期更正処分のうち上記金額を超える部分は違法である(納付すべき法人税額につき,同処分との差額は円。)。 平成22年3月期の過少申告加算税額は円であるから, 平成22年3月期賦課決定処分のうち上記金額を超える部分は違法である (同処分との差額は円。)。 したがって,これらの処分につき請求の趣旨第4項記載の部分の取消しを求める原告の請求は,上記各部分の取消しを求める限度で理由が を超える部分は違法である。 (同処分との差額は円。)。したがって,これらの処分につき請求の趣旨第4項記載の部分の取消しを求める原告の請求は,上記各部分の取消しを求める限度で理由があり,その余は理由がない。 第4 結論 以上の次第で,原告の請求は主文第1項から第4項までの限度で理由があるからこれを認容し,その余の請求は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第51部 裁判長裁判官清水知恵子 裁判官村松悠史及び裁判官松原平学は,転補につき,署名押印することができない。 裁判長裁判官清水知恵子 (別表につき、別表7及び同8以外省略) (別紙2-1) ○ 租税特別措置法(平成二二年法律第六号による改正前のもの) (国外関連者との取引に係る課税の特例) 第六十六条の四 法人が、昭和六十一年四月一日以後に開始する各事業年度において、当該法人に係る国外関連者(外国法人で、当該法人との間にいずれか一方の法人が他方の法人の発行済株式又は出資(当該他方の法人が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額の百分の五十以上の数又は金額の株式又は出資を直接又は間接に保有する関係) 出資を除く。 )の総数又は総額の百分の五十以上の数又は金額の株式又は出資を直接又は間接に保有する関係その他の政令で定める特殊の関係(次項及び第六項において「特殊の関係」という。 )のあるものをいう。 以下この条において同じ。 )との間で資産の販売、資産の購入、役務の提供その他の取引を行つた場合に、当該取引(当該国外関連者が法人税法第百四十一条第一号から第三号までに掲げる外国法人のいずれに該当するかに応じ、当該国外関連者のこれらの号に掲げる国内源泉所得に係る取引のうち政令で定めるものを除く。 以下この条において「国外関連取引」という。 )につき、当該法人が当該国外関連者から支払を受ける対価の額が独立企業間価格に満たないとき、又は当該法人が当該国外関連者に支払う対価の額が独立企業間価格を超えるときは、当該法人の当該事業年度の所得及び解散(合併による解散を除く。 以下この条において同じ。 )による清算所得(清算 人の当該事業年度の所得及び解散(合併による解散を除く。 以下この条において同じ。 )による清算所得(清算所得に対する法人税を課される法人の清算中の事業年度の所得及び同法第百三条第一項第二号の規定により解散による清算所得とみなされる金額を含む。 第七項において同じ。 )に係る同法その他法人税に関する法令の規定の適用については、当該国外関連取引は、独立企業間価格で行われたものとみなす。 前項に規定する独立企業間価格とは、国外関連取引が次の各号に掲げる取引のいずれに該当するかに応じ当該各号に定める方法により算定した金額をいう。 一 棚卸資産の販売又は購入 次に掲げる方法(ニに掲げる方法は、イからハまでに掲げる方法を用いることができない場合に限り、用いることができる。 ) イ 独立価格比準法(特殊の関係にない売手と買手が、国外関連取引に係る棚卸資産と同種の棚卸資産を当該国外関連取引と取引段階、取引数量そ ない売手と買手が、国外関連取引に係る棚卸資産と同種の棚卸資産を当該国外関連取引と取引段階、取引数量その他が同様の状況の下で売買した取引の対価の額(当該同種の棚卸資産を当該国外関連取引と取引段階、取引数量その他に差異のある状況の下で売買した取引がある場合において、その差異により生じる対価の額の差を調整できるときは、その調整を行つた後の対価の額を含む。 )に相当する金額をもつて当該国外関連取引の対価の額とする方法をいう。 ) ロ 再販売価格基準法(国外関連取引に係る棚卸資産の買手が特殊の関係にない者に対して当該棚卸資産を販売した対価の額(以下この項において「再販売価格」という。 )から通常の利潤の額(当該再販売価格に政令で定める通常の利益率を乗じて計算した金額をいう。 )を控除して計算した金額をもつて当該国外関連取引の対価の額とする方法をいう。 ) ハ 原価基準法(国外関連取引に係る棚卸資産の売手の購入 該国外関連取引の対価の額とする方法をいう。 原価基準法(国外関連取引に係る棚卸資産の売手の購入、製造その他の行為による取得の原価の額に通常の利潤の額(当該原価の額に政令で定める通常の利益率を乗じて計算した金額をいう。)を加算して計算した金額をもって当該国外関連取引の対価の額とする方法をいう。 イからハまでに掲げる方法に準ずる方法その他政令で定める方法 (別紙2-1) 前号に掲げる取引以外の取引次に掲げる方法(ロに掲げる方法は、イに掲げる方法を用いることができない場合に限り、用いることができる。) 前号イからハまでに掲げる方法と同等の方法 前号ニに掲げる方法と同等の方法 (略) 第一項の規定の適用がある場合における国外関連取引の対価の額と当該国外関連取引に係る同項に規定する独立企業間価格との差額(寄附金の額に該当するものを除く。)は、法人の各事業年度の所 係る同項に規定する独立企業間価格との差額(寄附金の額に該当するものを除く。)は、法人の各事業年度の所得の金額(法人税法第百二条第一項第一号に規定する所得の金額を含む。)の計算上、損金の額に算入しない。 (別紙2-2) 〇 租税特別措置法施行令(平成二二年政令第五八号による改正前のもの) (国外関連者との取引に係る課税の特例) 第三十九条の十二 法第六十六条の四第一項に規定する政令で定める特殊の関係は、次に掲げる関係とする。 一 二の法人のいずれか一方の法人が他方の法人の発行済株式の総数又は出資金額(自己が有する自己の株式又は出資を除く。第三項までにおいて「発行済株式等」という。)の百分の五十以上の株式の数又は出資の金額を直接又は間接に保有する関係 二~五(略) 法第六十六条の四第二項第一号ニに規定する政令で定める方法 有する関係 二~五(略) ~ (略) 法第六十六条の四第二項第一号ニに規定する政令で定める方法は、次に掲げる方法とする。 一 国外関連取引に係る棚卸資産の法第六十六条の四第一項の法人又は当該法人に係る同項に規定する国外関連者による購入、製造、販売その他の行為に係る所得が、当該棚卸資産に係るこれらの行為のためにこれらの者が支出した費用の額、使用した固定資産の価額その他これらの者が当該所得の発生に寄与した程度を推測するに足りる要因に応じて当該法人及び当該国外関連者に帰属するものとして計算した金額をもつて当該国外関連取引の対価の額とする方法 二 国外関連取引に係る棚卸資産の買手が非関連者に対して当該棚卸資産を販売した対価の額(以下この号において「再販売価格」という。 )から、当該再販売価格にイに掲げる金額のロに掲げる金額に対する割合(再販売者が当該棚卸資産と同種又は類似の棚卸資産を非関連者に に掲げる金額のロに掲げる金額に対する割合(再販売者が当該棚卸資産と同種又は類似の棚卸資産を非関連者に対して販売した取引(以下この号において「比較対象取引」という。 )と当該国外関連取引に係る棚卸資産の買手が当該棚卸資産を非関連者に対して販売した取引とが売手の果たす機能その他において差異がある場合には、その差異により生ずる割合の差につき必要な調整を加えた後の割合)を乗じて計算した金額に当該国外関連取引に係る棚卸資産の販売のために要した販売費及び一般管理費の額を加算した金額を控除した金額をもつて当該国外関連取引の対価の額とする方法 イ 当該比較対象取引に係る棚卸資産の販売による営業利益の額の合計額 ロ 当該比較対象取引に係る棚卸資産の販売による収入金額の合計額 三 国外関連取引に係る棚卸資産の売手の購入、製造その他の行為による取得の原価の額(以下この号において「取得原価の額」という。 )に、イに掲 の購入、製造その他の行為による取得の原価の額(以下この号において「取得原価の額」という。)に、イに掲げる金額にロに掲げる金額のハに掲げる金額に対する割合(販売者が当該棚卸資産と同種又は類似の棚卸資産を非関連者に対して販売した取引(以下この号において「比較対象取引」という。)と当該国外関連取引とが売手の果たす機能その他において差異がある場合には、その差異により生ずる割合の差につき必要な調整を加えた後の割合)を乗じて計算した金額及びイに掲げる金額の合計額を加算した金額をもって当該国外関連取引の対価の額とする方法 イ 次に掲げる金額の合計額 ⑴ 当該取得原価の額 ⑵ 当該国外関連取引に係る棚卸資産の販売のために要した販売費及び一般管理費の額 ロ 当該比較対象取引に係る棚卸資産の販売による営業利益の額の合計額 ハ 当該比較対象取引に係る棚卸資産の販売による収入金額の合計額からロに掲げる金額を 利益の額の合計額 ハ 当該比較対象取引に係る棚卸資産の販売による収入金額の合計額からロに掲げる金額を控除した金額 四 前二号に掲げる方法に準ずる方法 ~(略) (別紙3―1)課税の根拠(被告の主張) 1 本件各更正処分の根拠及び適法性 本件に係る課税処分等の経緯は別表1,本件各事業年度の所得金額等の経緯は別表17のとおりであるところ,原告は,本件各更正処分の前に,平成19年3月期につき(乙58,以下「平成19年3月期直前申告」という。)を,平成21年3月期につき(乙59,以下「平成21年3月期直前申告」という。)をし, 平成22年3月期につき平成22年6月29日受付確定申告(乙60,以下「平成22年3月期直前申告」という。)をしている。また,平成20年3月期について(以下,これらの直前申告又は直前処分を総称して「本件各直前申告等」という。)。 したがって,本件各更正処分のうち,本件各直前申告等に係る各所得金額及び各法人税額を超えない部分は,適法に確定していることとなる。 そこで,被告は,本件各事業年度の所得金額及び法人税額のうち,本件各直前申告等により確定した各所得金額及び各法人税額を基礎として,本件各更正処分の根拠及び適法性を主張する(なお,以下に主張する税額の計算において, 法令の規定により1000円未満又は100円未満の端数を切り捨てる場合があるが,これらの切り捨てに関する説明は省略する。)。 ⑴ 平成19年3月期更正処分の根拠原告の平成19年3月期の所得金額は円(別表17⑦の「平成28年6月21日本件 の端数を切り捨てる場合があるが,これらの切り捨てに関する説明は省略する。)。 ⑴ 平成19年3月期更正処分の根拠原告の平成19年3月期の所得金額は円(別表17⑦の「平成28年6月21日本件裁決後」欄),納付すべき法人税額 は円(別表17⑫の同欄)である。 これらの計算根拠は次のとおりである。 ア所得金額円上記金額は,次のの金額にの金額を加算した金額からの金額を減算した金額である。 平成19年3月期直前申告の所得金額 円上記金額は,平成19年3月期直前申告における所得金額(別表17⑦の欄)と同額である。 所得金額に加算すべき金額 円 上記金額は,平成19年3月期におけるE3(本件国外関連者)に対する国外移転所得金額円(別表17⑨の「平成28年6月21日本件裁決後」欄)とE8に対する国外移転所得金額円(別表17⑩の同欄)との合計額である。 これらの国外移転所得金額は,原告とE3及びE8との間で行った国 外関連取引について,原告がE3及びE8から支払を受けた対価(ロイヤルティ)の額が,上記各取引に係る独立企業間価格に満たないことから,措置法66条の4第1項の規定に基づき,上記各取引が独立企業間価格により行われたものとみなして算出した原告の当期の所得金額に加算すべき金額(ただし,E3に対する国外移転所得金額については,本 件裁決による一部取消し後のもの,E8に対する国外移転所得金額については,平成19年3月期減額更正後のもの。)である。 事業税の損金算入額円上記金額は,平成18年3月期に係る平成24年3月27日付 の,E8に対する国外移転所得金額については,平成19年3月期減額更正後のもの。)である。 事業税の損金算入額円上記金額は,平成18年3月期に係る平成24年3月27日付け更正処分直前の所得金額である円(別表17① の欄)に事業税の標準税率である7. 68%を乗じて算出した事業税相当額円と,平成18年3月期に係る平成24年3月27日付け更正処分の所得金額である円(別表17①の「平成24年3月27日更正処分」欄)に事業税の標準税率である7.68%を乗じて算出した事業税相当額円との差額であり,損金 の額に算入される金額である。 イ所得金額に対する法人税額円上記金額は,上記アの所得金額円に,法人税法66条1項(平成19年3月30日法律第6号による改正前のもの。)に規定する税率(100分の30の割合)を乗じて算出した金額(別 表17⑪の「平成28年6月21日本件裁決後」欄)である。 ウ法人税額の特別控除額円上記金額は,試験研究費の額が増加した場合の法人税額の特別控除額であり,平成19年3月期直前申告における金額と同額である。 エ法人税額から控除される所得税額等円 上記金額は,法人税法68条(平成20年法律第23号による改正前のもの。)に規定する法人税額から控除される所得税額と,同法69条(平成21年法律第13号による改正前のもの。後記⑵,⑶において同じ。)に規定する法人税額から控除される外国税額との合計額であり,平成19年3月期直前申告における金額と同額である。 オ納付すべき法人税額円上記金額は,上記イの金額から上記ウの金額と上記エの金額を差し引いた金額(別表1 あり,平成19年3月期直前申告における金額と同額である。 オ納付すべき法人税額円上記金額は,上記イの金額から上記ウの金額と上記エの金額を差し引いた金額(別表17⑫の「平成28年6月21日本件裁決後」欄)である。 カ既に納付の確定した法人税額円上記金額は,平成19年3月期直前申告において納付の確定した法人税 額(別表17⑫の欄)と同額である。 キ差引納付すべき法人税額円上記金額は,上記オの金額から上記カの金額を差し引いた金額であり,原告が新たに納付すべき法人税額である。 ⑵ 平成20年3月期更正処分の根拠原告の平成20年3月期の所得金額は円(別 表17⑬の「平成28年6月21日本件裁決後」欄),納付すべき法人税額は円(別表17⑱の同欄)である。 これらの計算根拠は次のとおりである。 ア所得金額円上記金額は,次のの金額にの金額を加算した金額からの金額を減 算した金額である。 平成20年3月期直前処分の所得金額 円上記金額は,平成20年3月期直前処分における所得金額(別表17⑬の欄)と同額である。 所得金額に加算すべき金額円上記金額は,平成20年3月期におけるE3に対する国外移転所得金額円(別表17⑮の「平成28年6月21日本件裁決後」欄)とE8に対する国外移転所得金額万円(別表17⑯の同欄)との合計額である。 これらの国外移転所得金額は,原告とE3及びE8との間で行った国外関連取引について,原告がE3及びE8から支払を受けた対価の額が上記各取引に係る独立企業間価格に満たないことから 額である。 これらの国外移転所得金額は,原告とE3及びE8との間で行った国外関連取引について,原告がE3及びE8から支払を受けた対価の額が上記各取引に係る独立企業間価格に満たないことから,措置法66条の4第1項の規定に基づき,上記各取引が独立企業間価格により行われたものとみなして算出した原告の当期の所得金額に加算すべき金額(ただ し,E3に対する国外移転所得金額については,本件裁決による一部取 消し後のもの,E8に対する国外移転所得金額については,平成20年3月期減額更正後のもの。)である。 事業税の損金算入額円上記金額は,平成19年3月期直前申告の所得金額円(別表17⑦の欄)に, 事業税の標準税率である7.68%を乗じて算出した事業税相当額円と,平成19年3月期更正処分の所得金額円(別表17⑦の「平成28年6月21日本件裁決後」欄)に事業税の標準税率である7.68%を乗じて算出した事業税相当額円との差額であり,損金の額に算 入される金額である。 イ所得金額に対する法人税額円上記金額は,上記アの所得金額円に,法人税法66条1項(平成20年法律第23号による改正前のもの。)に規定する税率(100分の30の割合)を乗じて算出した金額(別表17⑰の 「平成28年6月21日本件裁決後」欄)である。 ウ法人税額の特別控除額円上記金額は,試験研究費の額が増加した場合の法人税額の特別控除額であり,平成20年3月期直前処分における金額と同額である。 エ法人税額から控除される所得税額等円 上記金額は,法人税法68条(平成20年法律第23号による改正前のもの。)に規定する法人税額から控除される所得税 おける金額と同額である。 エ法人税額から控除される所得税額等円 上記金額は,法人税法68条(平成20年法律第23号による改正前のもの。)に規定する法人税額から控除される所得税額と,同法69条に規定する法人税額から控除される外国税額との合計額であり,平成20年3月期直前処分における金額と同額である。 オ納付すべき法人税額円 上記金額は,上記イの金額から上記ウの金額と上記エの金額を差し引い た金額(別表17⑱の「平成28年6月21日本件裁決後」欄)である。 カ既に納付の確定した法人税額 円上記金額は,平成20年3月期直前処分において納付の確定した法人税額(別表17⑱の欄)と同額である。 キ差引納付すべき法人税額円上記金額は,上記オの金額から上記カの金額を差し引いた金額であり,原告が新たに納付すべき法人税額である。 ⑶ 平成21年3月期更正処分の根拠原告の平成21年3月期の所得金額は円,納 付すべき法人税額は円である。 これらの計算根拠は次のとおりである。 ア所得金額円上記金額は,次のの金額にの金額を加算した金額からの金額を減算した金額である。 平成21年3月期直前申告の所得金額 円上記金額は,平成21年3月期直前申告における所得金額(別表17⑲の欄)と同額である。 所得金額に加算すべき金額円 上記金額は,平成21年3月期におけるE3に対する国外移転所得金額(別表16「3」「平成21年3月期」欄)と同額である。 この国外移転所得金額は,原告と 額に加算すべき金額円 上記金額は,平成21年3月期におけるE3に対する国外移転所得金額(別表16「3」「平成21年3月期」欄)と同額である。 この国外移転所得金額は,原告とE3との間で行った国外関連取引について,原告がE3から支払を受けた対価の額が,同取引に係る独立企業間価格に満たないことから,措置法66条の4第1項の規定に基づき, 同取引が独立企業間価格により行われたものとみなして算出した原告の 当期の所得金額に加算すべき金額(ただし,平成21年3月期減額更正後のもの。)である。 事業税の損金算入額円上記金額は,平成20年3月期直前処分による所得金額円(別表17⑬の 欄)に事業税の標準税率である7.68%を乗じて算出した事業税相当額円と,平成20年3月期更正処分の所得金額円(別表17⑬の「平成28年6月21日本件裁決後」欄)に事業税の標準税率である7.68%を乗じて算出した事業税相当額円との差額であり,損金の 額に算入される金額である。 イ所得金額に対する法人税額円上記金額は,上記アの所得金額円に,法人税法66条1項(平成22年法律第6号による改正前のもの。)に規定する税率(100分の30の割合)を乗じて算出した金額である。 ウ法人税額の特別控除額円上記金額は,試験研究費の額が増加した場合の法人税額の特別控除額であり,平成21年3月期直前申告における金額と同額である。 エ法人税額から控除される所得税額等円上記金額は,次のの金額にの金額を加算した金額である。 平成21年3月期直前申告における法人税額から控除される所得税額等円上記金額は,法人 除される所得税額等円上記金額は,次のの金額にの金額を加算した金額である。 平成21年3月期直前申告における法人税額から控除される所得税額等円上記金額は,法人税法68条(平成23年法律第114号による改正前のもの。)に規定する法人税額から控除される所得税額と,同法69条に規定する法人税額から控除される外国税額( 円)との合計額であり,平成21年3月期直前申告における金額と 同額である。 法人税額から控除される所得税額等に新たに加算すべき金額 円上記金額は,次の①から⑦までのとおり,「国外所得対応分」の金額が異動したため,法人税法69条(平成23年法律第114号による改 正前のもの。)の規定により法人税額から控除される外国税額を再計算した結果,同外国税額が円となったことにより,上記の同外国税額円との間に生じた差額であり,法人税額から控除される所得税額等に加算すべき金額である。 オ納付すべき法人税額 円 上記金額は,上記イの金額から上記ウの金額と上記エの金額を差し引いた金額である。 カ既に納付の確定した法人税額 円上記金額は,平成21年3月期直前申告において納付の確定した法人税 額(別表17㉔の欄)と同額である。 キ差引納付すべき法人税額円上記金額は,上記オの金額から上記カの金額を差し引いた金額であり,原告が新たに納付すべき法人税額である。 ⑷ 平成22年3月期更正処分の根拠 原告の平成22年3月期の所得金額は 円上記金額は,上記オの金額から上記カの金額を差し引いた金額であり,原告が新たに納付すべき法人税額である。 ⑷ 平成22年3月期更正処分の根拠 原告の平成22年3月期の所得金額は円,納付すべき法人税額は円である。 これらの計算根拠は次のとおりである。 ア所得金額円上記金額は,次のの金額にの金額を加算した金額からとの金額 を差し引いた金額である。 平成22年3月期直前申告の所得金額 円上記金額は,平成22年3月期直前申告における所得金額(別表17㉕の「平成22年6月29日確定申告」欄)と同額である。 所得金額に加算すべき金額円 上記金額は,平成22年3月期におけるE3に対する国外移転所得金額(別表16「3」「平成22年3月期」欄)と同額である。 この国外移転所得金額は,原告とE3との間で行った国外関連取引について,原告がE3から支払を受けた対価の額が,同取引に係る独立企業間価格に満たないことから,措置法66条の4第1項の規定に基づき, 同取引が独立企業間価格により行われたものとみなして算出された原告の当期の所得金額に加算すべき金額である。 事業税の損金算入額円上記金額は,平成21年3月期直前申告の所得金額円(別表17⑲の 欄。)に事業税の標準税率である7.68%を乗じて算出した事業税相当額円と,平成21年3月期の所得金額円に事業税の標準税率である7.68%を乗じて算出した事業税相当額円との差額であり,損金の額に算入される金額である。 イ所得金額に対する法人税額 である7.68%を乗じて算出した事業税相当額円との差額であり,損金の額に算入される金額である。 イ所得金額に対する法人税額円上記金額は,上記アの所得金額円に,法人税法66条1項(平成22年法律第6号による改正前のもの。)に規定す る税率(100分の30の割合)を乗じて算出した金額である。 ウ法人税額の特別控除額円上記金額は,試験研究費の額が増加した場合の法人税額の特別控除額であり,平成22年3月期直前申告における金額と同額である。 エ法人税額から控除される所得税額等円 上記金額は,次のの金額からの金額を差し引いた金額である。 平成22年3月期直前申告における法人税額から控除される所得税額等 円上記金額は,法人税法68条に規定する法人税額から控除される所得税額と,同法69条(平成22年法律第6号による改正前のもの。)に 規定する法人税額から控除される外国税額との合計額であり,平成22年3月期直前申告における金額と同額である。 法人税額から控除される所得税額等から減算すべき金額 円上記金額は,当事業年度において,法人税額から控除されない所得税 額等(平成20年6月30日を納付確定日とする外国法人税額)が,法人税額から控除される所得税額等に含まれていたことから,当該所得税額等から減算すべき金額である。 オ納付すべき法人税額円上記金額は,上記イの金額から上記ウの金額と上記エの金額を差し引い た金額である。 カ既に納付の確定した べき金額である。 オ納付すべき法人税額円上記金額は,上記イの金額から上記ウの金額と上記エの金額を差し引い た金額である。 カ既に納付の確定した法人税額円上記金額は,平成22年3月期直前申告において納付の確定した法人税額(別表17㉚の「平成22年6月29日確定申告」欄)と同額である。 キ差引納付すべき法人税額円上記金額は,上記オの金額から上記カの金額を差し引いた金額であり, 原告が新たに納付すべき法人税額である。 ⑸ 本件各更正処分の適法性被告が主張する原告の本件各事業年度の所得金額,納付すべき法人税額及び差引納付すべき法人税額は,前記⑷のとおりであるところ,平成19年3月期及び平成20年3月期の各金額は,それぞれ平成19年3月期更正処分 及び平成20年3月期更正処分の各金額と同額であり,平成21年3月期及び平成22年3月期の各金額は,それぞれ平成21年3月期更正処分及び平成22年3月期更正処分の各金額を上回るから,本件各更正処分はいずれも適法である。 2 本件各賦課決定処分の根拠及び適法性 原告には,本件各更正処分により新たに納付すべき税額の計算の基礎となった事実のうち,本件各更正処分前における税額の計算の基礎とされていなかったことについて,国税通則法(以下「通則法」という。)65条4項に規定する過少申告加算税を賦課しない場合の「正当な理由」があるとは認められない。 したがって,被告が主張する原告に課されるべき過少申告加算税の額は,次 のとおりであるところ,当該各金額は,いずれも本件各賦課決定処分の各金額と同額であるから,本件各賦課決定処分は適法である。 ⑴ 平成19年3月期賦課決定処分円 額は,次 のとおりであるところ,当該各金額は,いずれも本件各賦課決定処分の各金額と同額であるから,本件各賦課決定処分は適法である。 ⑴ 平成19年3月期賦課決定処分円上記金額は,平成19年3月期更正処分における差引納付すべき法人税額万円(前記1⑴キの金額と同額。通則法118条3項の規定に より1万円未満の端数を切り捨てた後の金額。以下同じ)に,通則法65条 1項に基づき,100分の10の割合を乗じて算出した過少申告加算税の金額である。 ⑵ 平成20年3月期賦課決定処分円上記金額は,平成20年3月期更正処分における差引納付すべき法人税額万円(前記1⑵キの金額と同額)に,通則法65条1項に基 づき,100分の10の割合を乗じて算出した過少申告加算税の金額である。 ⑶ 平成21年3月期賦課決定処分円上記金額は,平成21年3月期減額更正処分により新たに納付すべきこととなる税額万円(別表17㉔の「平成26年1月28日本件減額更正処分」欄と欄との差額)に,通 則法65条1項に基づき,100分の10の割合を乗じて算出した過少申告加算税の金額である。 ⑷ 平成22年3月期賦課決定処分円上記金額は,平成22年3月期更正処分により新たに納付すべきこととなる税額万円(別表17㉚の「平成24年3月27日本件更正 処分」欄と「平成22年6月29日確定申告」欄との差額)に,通則法65条1項に基づき,100分の10の割合を乗じて算出した過少申告加算税の金額である。 以上 (別紙3-2) を乗じて算出した過少申告加算税の金額である。 以上 (別紙3-2)被告が主張する独立企業間価格の算定方法 ⑴ 残余利益分割法の適用が相当であること処分行政庁は,合理的な調査を尽くしたにもかかわらず,本件国外関連取 引の比較対象取引を把握することができなかったから,基本三法(関係法令等⑵イ)を用いることができない。 また,本件国外関連取引は,本件製品(製品E2)の製造・販売に係る原告の保有する特許及びノウハウについて非排他的に使用を許諾すること等に係る取引であり,「棚卸資産の販売又は購入に係る取引以外の取引」に当た ることから,処分行政庁は,基本三法と同等の方法(関係法令等⑵ウ)の適用可能性について検討したが,比較対象取引を把握することができなかった。 利益分割法(措置法施行令39条の12第8項1号)と同等の方法は,基本三法と同等の方法を用いることができない場合に限り,これを用いることができるところ(関係法令等⑵ウ),上記によれば,本件国外関連取引につ いては,基本三法と同等の方法を用いることができない場合に当たる。 そして,原告は,別表2記載の重要な無形資産(技術に関する無形資産及び製造工程に関する無形資産)を保有し,本件国外関連者は,別表3記載の重要な無形資産(生産性改善に係る無形資産)を保有しており,それぞれが保有している重要な無形資産の貢献により,重要な無形資産を有しない非関 連者間の取引において通常得られる利益に相当する金額(基本的利益)を超える利益(超過利益)を得ていると認められるから,法人又は国外関連者が重要な無形資産を有する場合における独立企業間価格の算定方 連者間の取引において通常得られる利益に相当する金額(基本的利益)を超える利益(超過利益)を得ていると認められるから,法人又は国外関連者が重要な無形資産を有する場合における独立企業間価格の算定方法である残余利益分割法(関係法令等⑶ア)を適用するのが最も適切である。 ⑵ 分割対象利益の額 分割対象利益は,国外関連取引に係る棚卸資産の販売等により法人及び国 外関連者に生じた営業利益の合計額である(関係法令等⑶イ)。 原告が,本件各事業年度において,本件国外関連取引により獲得した営業利益の額は,本件ロイヤルティに係る収入から控除すべき費用はないことから,本件国外関連取引により原告が収受した各金額と同額である(別表6「1」欄)。 本件国外関連者が,本件各事業年度において,本件国外関連取引により獲得した営業利益の額は,本件製品(製品E2)に係るライセンスを利用して,本件製品を製造・販売したことにより獲得した営業利益である(別表6「2」欄)。 以上の原告及び本件国外関連者の本件国外関連取引に係る営業利益の合計 額が,本件における分割対象利益の額となる(別表6「5」欄)。 ⑶ 原告の基本的利益基本的利益は,分割対象利益のうち重要な無形資産を有しない非関連者間の取引において通常得られる利益である(関係法令等⑶ア)ところ,原告は,本件国外関連取引において,原告が保有する重要な無形資産を本件国外関連 者に提供することによって対価を得たのであるから,その全てが重要な無形資産の貢献により獲得した利益と認められ,重要な無形資産を有しない非関連者間の取引において通常得られる基本的利益は存しないこととなる。したがって,原告の基本的利益の額は0円である。 ⑷ 本件国外関連者の基本的利益 ア利益指標 重要な無形資産を有しない非関連者間の取引において通常得られる基本的利益は存しないこととなる。したがって,原告の基本的利益の額は0円である。 ⑷ 本件国外関連者の基本的利益 ア利益指標本件国外関連者は本件製品を製造及び販売することにより利益を得たものであるから,その全てが重要な無形資産により獲得した利益であるとは認められず,基本的利益が存する。 基本的利益は,比較対象法人の事業用資産又は売上高に対する営業利益 の割合等で示される利益指標に基づき計算する(関係法令等⑶イ)と ころ,本件国外関連者の基本的利益の算定において用いる利益指標については,売上高営業利益率を用いるのが相当である。 イ比較対象法人の選定基本的利益は,分割対象利益のうち重要な無形資産を有しない非関連者間の取引において通常得られる利益であり,重要な無形資産から生じる 利益は基本的利益ではなく残余利益に配分されることから,比較対象法人の選定に当たっては, ①国外関連取引の事業と同種で,②市場(地理的場所を含む。),③事業規模等が類似し,④重要な無形資産を有しない法人であって,比較的単純な製造・販売活動を行う法人を選定することとなる(関係法令等⑶イ,別紙4)。 本件国外関連者については,①同種の事業は「自動車部品・付属品製造業」であり,②同種の事業を営む企業を選定することにより,自動車部品の販売市場に参入している企業が比較対象法人となることから,市場の規模及び競争の程度についての類似性は確保される。また,本件国外関連者がポーランド国内において製造活動を行い,製造した自動車部品 を主にドイツ所在のE7に販売していることから,同一の経済圏及び販売市場となるEU加盟国に所在する企業で,所在地が著しく異なる企業 がポーランド国内において製造活動を行い,製造した自動車部品 を主にドイツ所在のE7に販売していることから,同一の経済圏及び販売市場となるEU加盟国に所在する企業で,所在地が著しく異なる企業(西欧及び北欧に所在する企業)を除外することで,地理的場所についての類似性は確保される。 ③「事業規模」の類似性については,比較可能な範囲の水準を,比較対 象法人の売上高について,平成18年(2006年)度から平成21年(2009年)度のいずれかの年度の売上高が本件国外関連者の約10倍から約10分の1の企業とすることにより確保される。 以上のほか,関連者間取引,機能,製品の特徴,事業規模及び継続性等の観点を加え,データ取得可能性等も考慮して,(ⅰ)ⓐEU加盟国に所 在し,ⓑ自動車部品製造業に分類される企業を抽出した上で,(ⅱ)ⓒ事 業内容が不明な企業,ⓓ稼働していない企業,ⓔ損失計上している企業,ⓕ関連者の株式を50%以上保有している企業,ⓖ2006年度(平成18年度)から2009年度(平成21年度)までのいずれかの年度の売上高が本件国外関連者の約10倍を超え,あるいは約10分の1を下回る企業などを除外し,さらに(ⅲ)ⓗ重要な無形資産の有無について入 手可能な情報を基に個別に検討の上,比較対象法人を選定することとなる。 以上の手順を具体的に示すものが,別表7の①から⑭まで(以下「本件抽出基準」という。)である。 ウ本件比較対象法人 本件抽出基準により選定された次の5社(以下「本件比較対象法人」という。)が,本件国外関連者の比較対象法人である。上記イのⓐについては,企業データベースであるORBIS登載のEU加盟国所在の企業を抽出し,上記イのⓑについては業種コード3714(自動車部品,付属品製造 )が,本件国外関連者の比較対象法人である。上記イのⓐについては,企業データベースであるORBIS登載のEU加盟国所在の企業を抽出し,上記イのⓑについては業種コード3714(自動車部品,付属品製造業)に当たる企業を抽出した。 ⒜ E17(甲16,17)所在国チェコ事業内容エンジン部品,排気系部品,ギアボックス部品等の製造⒝ E18(甲18,19)所在国ハンガリー 事業内容ブレーキパッド等の製造⒞ E14(甲20,21)所在国ポーランド事業内容排気系シールド,サスペンション等の製造⒟ E15(甲22,23) 所在国ポーランド 事業内容排気系シールド,マフラー,ホイスト等の製造⒠ E16(甲24,25)所在国ポーランド事業内容ホイールキャップの製造エ基本的利益の算出 本件比較対象法人の2007年(平成19年)3月期~2010年(平成22年)3月期の売上高営業利益率は別表8「1」欄から「5」欄までのとおりであるところ,各事業年度ごとにその平均値を求め,これに本件国外関連者の総売上高を乗じることにより,本件国外関連者の基本的利益が算出される。その際,本件国外関連者の総売上高について は,入手した財務データにおける本件比較対象法人の売上高算出方法と一致させるため,棚卸調整額,その他調整額及びその他の営業収入を加算及び減算した上で,各事業年度ごとに,原告が作成した「年度別外貨レート実績(連結決算用)」(乙54)を基に,外貨電信売買相場の各年度通期における平均レートを適用して,円換算額を算出する(別表1 0「7」欄)。 なお,E15については,財務データから営業外収入に計上すべき障害者雇用助成金の受領が認 電信売買相場の各年度通期における平均レートを適用して,円換算額を算出する(別表1 0「7」欄)。 なお,E15については,財務データから営業外収入に計上すべき障害者雇用助成金の受領が認められたため,営業利益から当該助成金を減算することによる調整を行った上で,売上高営業利益率を算定する(その結果,平成21年3月期の売上高営業利益率はマイナス1.33%と なる。別表9「3」欄)。 以上により算出される本件国外関連者の基本的利益の額は,別表11「3」欄のとおりである。 ⑸ 残余利益の分割についてア前記⑵の原告及び本件国外関連者の分割対象利益の合計額から,前記⑷ で算出した本件国外関連者の基本的利益の額を差し引いた金額が,本件 における残余利益の額となる(別表12「3」欄)。 残余利益については,当該法人又は国外関連者が有する当該重要な無形資産の価値に応じて,合理的に配分する必要があるところ,措置法通達66の4⑷-5において,当該無形資産の価値による配分を当該重要な無形資産の開発のために支出した費用等の額により行っている場合に は,合理的な配分としてこれを認めるものとされていること(関係法令等⑶ウ)から,以下のとおり,原告及び本件国外関連者が保有する重要な無形資産の開発のために支出した費用が分割要因となる。 イ分割要因の基礎となる原告の支出額原告が保有する重要な無形資産である本件製品(製品E2)に関する 特許権及び製法等のノウハウが,本件国外関連取引における超過利益の獲得に寄与したものと認められる。 原告が保有する重要な無形資産は,別表2のとおりであるところ,かかる無形資産は,継続的な研究開発活動により形成されたものであるから,その研究開発費を,重要な無形資産の開発のために支 と認められる。 原告が保有する重要な無形資産は,別表2のとおりであるところ,かかる無形資産は,継続的な研究開発活動により形成されたものであるから,その研究開発費を,重要な無形資産の開発のために支出した費用と して,残余利益の配分における分割要因とするのが合理的である。 原告が支出した本件製品に係る研究開発費の総額は,別表4のとおりである(乙55)ところ,このうち,本件国外関連取引に関し支出されたと認められる部分は,上記研究開発費の総額に,原告グループ全体の本件製品に係る各事業年度の売上高の金額に占める,本件国外関連者の 本件製品に係る各事業年度の売上高の金額の割合(小数点9位未満切捨て)を乗じて計算した金額(別表13「4」欄)となるから,これが,分割要因の基礎となる原告の支出額である。 ウ分割要因の基礎となる本件国外関連者の支出額他方で,本件国外関連者が保有する重要な無形資産である本件製品の 量産工程における各種の生産性改善に係る知見やノウハウも,本件国外 関連取引において超過利益の獲得に寄与したものと認められる。 本件製品の製造に関して本件国外関連者が保有する無形資産は,別表3のとおりであるところ,かかる無形資産は,本件国外関連者の部門が中心となって改善した知見・ノウハウであるから,部門の部門費(乙56,57。別表5)が,分割要因の基礎となる本件国外関連者 の支出額である。 エ原告に配分すべき残余利益の額について以上によれば,原告に配分すべき残余利益の額は,前記アの「残余利益の額」に,前記イの「分割要因の基礎となる原告の支出額」と前記ウの「分割要因の基礎となる本件国外関連者の支出額」の合計額に占める 「分割要因の基礎となる原告の支出額」の割合を乗じた金額(別表14「 に,前記イの「分割要因の基礎となる原告の支出額」と前記ウの「分割要因の基礎となる本件国外関連者の支出額」の合計額に占める 「分割要因の基礎となる原告の支出額」の割合を乗じた金額(別表14「6」欄)である。 ⑹ 独立企業間価格及び国外移転所得金額本件国外関連取引における独立企業間価格は,原告の基本的利益の金額と原告に配分すべき残余利益の額とを合計した金額(別表15「3」欄)であ る。 そして,原告が本件国外関連取引により本件国外関連者から支払を受けた金額(別表6「1」欄)は,独立企業間価格に満たないことから,各事業年度において,当該独立企業間価格をもって本件国外関連取引が行われたものとみなされる(措置法66条の4第1項)。 このように本件国外関連取引の価格とみなされた独立企業間価格の金額のうち,原告が本件国外関連者から支払を受けた金額を超える部分の金額は,本件国外関連者に対する国外移転所得金額であり(別表16「3」欄),その金額は原告の所得に帰属するものとして法人税に関する法令の規定が適用される。 以上 (別紙4) (別紙5)被告の主張の要旨 第1 本件超過利益の利益発生メカニズムについて 1 本件超過利益は,その全部が原告及び本件国外関連者の重要な無形資産に起 因して発生したものであり,それ以外の要因(Euro規制等,消費者選好,費用構造及び事業規模,市場の寡占)による超過利益が発生したとはいえない。 ⑴ Euro規制等についてまず,Euro規制は,自動車から排出される規制対象物質の規制にすぎず,自動車用排ガスフィルター(DPF)の売上価格に対し,上乗せした価 格による販売が い。 ⑴ Euro規制等についてまず,Euro規制は,自動車から排出される規制対象物質の規制にすぎず,自動車用排ガスフィルター(DPF)の売上価格に対し,上乗せした価 格による販売が可能になるとか,上乗せした価格での販売が義務付けされるようなものではない。Euro規制自体が直接利益を生み出すものではなく,Euro規制が本件国外関連者の売上高及び営業利益に影響を及ぼす機序は明らかになっておらず,むしろ,Euro規制を充足することが可能となる原告の保有する重要な無形資産を使用した高性能な製品に需要が集まり,超 過利益が発生・拡大したことがうかがわれるから,超過利益は,当該製品の高い性能ゆえに大きな利益を獲得することができたものである。 また,およそいかなる商品であっても,それが購買者に選好されることによって,利益の獲得に結び付き得るものであり,このような通常得られる利益を超えて,本件において特に消費者選好によって超過利益が発生している とは認められない。また,製品E2が特に消費者等に選好されたのは,Euro規制をクリアできる高い機能を有する製品であり,多くの需要に応えられる生産ノウハウを有していたからであって,原告及び本件国外関連者が有していた重要な無形資産の貢献にほかならない。 ⑵ 本件費用構造等について 原告は,本件国外関連者が大規模な設備投資をし続けたことにより,多額 の減価償却費を生じる費用構造(以下「本件費用構造」という。)にあり,このような費用構造や事業規模の影響により超過利益が生じたと主張する。 しかし,本件国外関連者の現実の売上高や売上高営業利益率等の推移を見ると,売上高が増加しても,必ずしも売上高営業利益率は増加しておらず,2010年(平成22年)以降については,む 生じたと主張する。 しかし,本件国外関連者の現実の売上高や売上高営業利益率等の推移を見ると,売上高が増加しても,必ずしも売上高営業利益率は増加しておらず,2010年(平成22年)以降については,むしろ売上高営業利益率は下落傾 向を示しているのであって,本件国外関連者が「規模の経済性」を享受できているとはいえず,費用構造及び事業規模の影響により特別の超過利益を獲得できていたとは認められない。 ⑶ 2社寡占状態について製品E2市場は後発事業者の参入が困難な寡占状態にあり,その結果,本 件国外関連者における売上・利益の増加をもたらしたとしても,それは,原告グループにおいて,長年の研究開発活動により,原告の保有する製品E2の製造技術等の重要な無形資産を開発し,他社に先駆けて製品E2の製造を実現したことによるものであり,重要な無形資産の影響を受けたもの,又は重要な無形資産によりもたらされた結果そのものといえる。 また,E11等の他社のDPF事業が成功しなかったことをもって,本件超過利益が重要な無形資産以外の要因によって発生したものであるという原告の主張は,他社の有する重要な無形資産と原告や本件国外関連者の有する重要な無形資産とは,その具体的内容のほか,市場への投入時期や市場それ自体が異なるのであるから,他社のDPF事業が成功しなかったからといっ て,本件各事業年度当時において,原告及び本件国外関連者の有する重要な無形資産が超過利益の獲得に寄与・貢献したことは何ら否定されるものではない。 ⑷ E7の貢献についてア E7(前提事実⑶ウ)が,本件製品の開発・量産過程において自動車 メーカーからの様々な技術的な要求や質問等に対応しているとしても, 販売会社(部門)がメーカーの要望を聴取して,そ 7(前提事実⑶ウ)が,本件製品の開発・量産過程において自動車 メーカーからの様々な技術的な要求や質問等に対応しているとしても, 販売会社(部門)がメーカーの要望を聴取して,その内容を製造会社(部門)に伝え,製品の開発・製造過程に反映させること自体は,独自性のある貢献とはいえない。 イ本件国外関連者がE7に対して負担した販売報酬は,E7の活動,機能に対する対価として正当であって,所得移転は生じていない。このこ とは,原告が,税務調査時に,自らE7に所得移転の蓋然性がない旨を述べていることなどから明らかである。 ウ E7の技術サポート活動による寄与・貢献を考慮するのであれば,本来は,連鎖取引として利益分割法を適用すべきか否かを検討すべきものである。原告はE7の発行済株式の100%を保有していたことから, E7も国外関連者であって,原告と本件国外関連者,本件国外関連者とE7の取引全体を検証対象とすべきか否かを検討することとなるが,本件国外関連者とE7との取引において,所得移転が生じておらず,これを連鎖取引として利益分割法を適用する必要はないものである。 ⑸部門の活動について ア本件国外関連者の部門の活動は,本件製品を製造するに当たり,であるところ,およそ製造活動を行う企業では,当該製造過程の中で得られた情報や経験等の蓄積を基に,日々何らかの品質管理や改善策の分析・試行等を行っているのが通常であって,このような品質管理業務の実施が直ちに基本的活動のみを 行う法人との比較において,国外関連取引に係る所得の源泉になっているとは認められない。 セラミックス製造は方法や条件のわずかな違いにより著しく変化するものであるとしても,本件国外関連者が,製造現場の現実の条件の下で行った試行錯誤 取引に係る所得の源泉になっているとは認められない。 セラミックス製造は方法や条件のわずかな違いにより著しく変化するものであるとしても,本件国外関連者が,製造現場の現実の条件の下で行った試行錯誤は,セラミックス製品の性質上必要不可欠となる品質管 理業務をいうものにすぎず,基本的活動のみを行う製造企業においても 日々行われている性格のものである。 したがって,本件国外関連者の部門では,通常の品質管理業務の一環としての取組がされたにすぎず,その独自性ゆえに超過利益の源泉となったとは認められない。 イまた,部門が行った対応により,原告が挙げる品質不良問題が解決 に至ったものとはいえない。本件国外関連者が作成した,本件製品の生産に関する改良内容を説明した資料によれば,部門における改良策により品質不良問題が改善したことが認められる。 ウ本件国外関連者の業務分掌規程によれば,部門の本来的な責務は, と解される。そうすると,部門が,その業務の一環として原告の挙げる取組にも従事したとしても,それは部門における全活動のごく一部にすぎないのであり,そのような貢献の程度をもって,部門費の全額を本件における残余利益の分割 要因に含めるべきとする原告の主張は失当というほかない。 2 以上のとおり,本件において,Euro規制等,消費者選好,費用構造及び事業規模の影響により超過利益が生じているとは認められないし,仮に,これらの影響により利益が生じているとしても,その実質は,原告及び本件国外関連者の有する本件製品(製品E2)に関する重要な無形資産の貢献とは別の要 因として検討すべきものとはいえない。そして,超過利益の発生に貢献した無形資産は以下のとおりである。 ⑴ 原告が有する重要な無形資産は, 品(製品E2)に関する重要な無形資産の貢献とは別の要 因として検討すべきものとはいえない。そして,超過利益の発生に貢献した無形資産は以下のとおりである。 ⑴ 原告が有する重要な無形資産は,原告の研究開発により生み出された製品E2に係る材料技術,製造技術及び生産技術等であり,原告は,長年培ってきた高度なセラミックス技術,経験及び実績を生かし,研究開発を継続して, 高気孔率で薄壁の製品E2を開発して製品化し,本件国外関連者に対して安 定的かつ継続的に供給してきたところ,原告が有する製品E2に関する材料技術,製造技術及び生産技術等の重要な無形資産の開発・維持・発展は,全て原告自身の寄与・貢献によりされたものであった。 ⑵ これに対し,本件国外関連者が有する重要な無形資産は,製品E2の量産のための試作や試験等を行い,製造部門にリリースして生産性を改善したと いう生産性改善に係るものであり,主に本件国外関連者の部門が中心となって,原告と共同で,本件国外関連者が有する生産性改善に係る重要な無形資産の開発・維持・発展がされてきたものであるところ,このような本件国外関連者が有する生産性改善に係る重要な無形資産の開発・維持・発展は,主に本件国外関連者自身の寄与・貢献によりされたものであった。 第2 基本的利益の算定方法の適否について(争点⑴①) 1 基本的利益の範囲⑴ 上記第1のとおり,Euro規制は自動車の排ガス規制であり,自動車部品製造業者の営業利益率に影響があるとしても飽くまで間接的なものにすぎず,企業の営業利益率に影響を及ぼすことが客観的に明らかな政府規制では ない。 また,仮にEuro規制等により本件製品を含むDPFに対して特需が発生していたとしても,本件製品自体が,原告の保有する重要 営業利益率に影響を及ぼすことが客観的に明らかな政府規制では ない。 また,仮にEuro規制等により本件製品を含むDPFに対して特需が発生していたとしても,本件製品自体が,原告の保有する重要な無形資産なしには製造できない製品であるのであるから,上記のような特需による恩恵が発生していたとしても,原告の保有する重要な無形資産の貢献により初めて 獲得することができるものである。したがって,このような超過利益は,残余利益そのものというべきであって,重要な無形資産を有しない基本的活動のみを行う企業が通常得るべきルーティンの利益としての基本的利益の算定(比較対象法人の選定)に当たり,排除し又は調整すべき差異には当たらない。 東京地裁平成26年8月28日判決(甲4。以下「ホンダ事件判決」とい う。)における政府規制は,企業の営業利益に直接的な影響を及ぼす税恩典を付与する点で,Euro規制等とは性格が異なる上,一定の条件を満たせば重要な無形資産を有しない企業に対しても付与されるものであったため,基本的利益において考慮すべき政府規制であるとされたものである。本件の場合,Euro規制等による恩恵は,重要な無形資産なしには享受し得ない ものであり,基本的利益において考慮すべき政府規制とはいえない。 ⑵ また,市場の競争状況の差異については,DPF市場に参入障壁があるとすれば,それは重要な無形資産を用いて製造される製品E2の優位性によるのであるから,基本的利益の算定において考慮されるべき事柄ではない。 2 比較可能性について ⑴ 比較可能性の程度ア残余利益分割法は,通常,比較可能性分析の結果,基本三法が適用できない場合に用いられるから,基本的利益の算定において基本三法を適用する場合と同様に厳格な比較 て ⑴ 比較可能性の程度ア残余利益分割法は,通常,比較可能性分析の結果,基本三法が適用できない場合に用いられるから,基本的利益の算定において基本三法を適用する場合と同様に厳格な比較可能性を要求することはできない。残余利益分割法における基本的利益の算定においては,再販売価格基準法や原価基準 法とは異なり,取引商品や機能の類似性の要件はなく,その他の要件も推定課税の要件に近いものとされている。 また,残余利益分割法における基本的利益の算定方法は,米国財務省規則の利益比準法(以下「CPM」という。)の考え方を採り入れたものである。CPMは,営業利益率を検証する方法であり,その理論的基 礎は,「自由で競争的な市場においては営業利益率はいずれ収束するはずであり,標準以下の営業利益率しか得られない企業の存立は資本市場が許さない。」という近代経済学の考え方であり,産業セグメント別又は法人単位で営業利益率を比較すれば足りる。 残余利益分割法は,独立企業間であれば期待したであろう利益分割に 近似させて独立企業間価格を算定する方法であり,このうち基本的利益 の算定は,無形資産の関連する国外関連取引から,直接無形資産の関連しない部分を取り出してその利益を算定することが極めて困難であるため,①重要な無形資産を有さず,かつ,②当該国外関連取引の事業と同種で,市場,事業規模等が類似する法人を比較対象法人として選定し,その売上高に対する営業利益の割合等の利益指標の平均値に基づいて算 定するものである。そして,本件国外関連者のように重要な無形資産を多数有する法人については,当該法人それ自体との類似性(上記②)を強調すると,その利益に無形資産の影響が取り込まれ,上記①の要請を満たせなくなることからすれば, 件国外関連者のように重要な無形資産を多数有する法人については,当該法人それ自体との類似性(上記②)を強調すると,その利益に無形資産の影響が取り込まれ,上記①の要請を満たせなくなることからすれば,比較対象法人の比較可能性は,国外関連者の基本的利益に係る市場利益の水準を合理的に推測するものであれ ば足りるものである。 イ米国の移転価格白書に由来する残余利益分割法は,重要な無形資産に関連しない生産要素を用いる企業の総収入は,各生産要素への支払の合計額に長期的には等しくなる傾向にある(超過利潤がゼロに収束する)ことを,その理論的な基礎としており,残余利益分割法における基本的利益の 算定に当たっては,重要な無形資産による影響を取り込んでしまわないことが重要となる。過度の比較可能性を要求することは,本来は残余利益として考慮すべき無形資産の影響を基本的利益に取り込みかねず,評価困難な無形資産を含む取引に対応しようとした残余利益分割法の工夫を損ねる結果となる。 ウ移転価格税制は,納税者が自ら独立企業間価格を調査して確定申告を行うことを前提とする申告調整型の制度として設計されているのであり,納税者及び課税庁の双方に利用可能な情報を用いることが求められる。課税庁のみに利用可能で納税者に開示されない資料を用いた独立企業間価格の算定を行うことは,比較可能性分析のプロセスの透明性と事後の検証可能 性を重視するOECDガイドラインの立場に逆行するものであり,適切で ない。 エ原告の主張は,重要な無形資産を有しない法人を選定することを前提としながら,他方で,費用構造その他において本件国外関連者それ自体との精密な一致を要求するものであり,現実に存在可能性の乏しい法人を想定し,それ以外の法人の比較可能性を認めな 人を選定することを前提としながら,他方で,費用構造その他において本件国外関連者それ自体との精密な一致を要求するものであり,現実に存在可能性の乏しい法人を想定し,それ以外の法人の比較可能性を認めないものであり,このような法解 釈は,我が国の課税権を確保するという移転価格税制の趣旨・目的に反し,無形資産の関連する国外関連取引に適用し得る最後の手段として有用な残余利益分割法の適用可能性を著しく狭めるものであって,法解釈として誤りというほかない。 オ以上を踏まえると,残余利益分割法における基本的利益の算定に当たっ ては,重要な無形資産による影響を取り込んでしまわないことが重要となる。本件各処分について,その基本的利益の算定の当否を判断するに当たっては,本件比較対象法人を選定するために採用した抽出基準(本件抽出基準)が,重要な無形資産を有さず,かつ,本件国外関連者の基本的利益に係る利益水準を合理的に推測するに足りるものであるかといった観点 から検証されるべきであって,本件抽出基準は十分にこれを満たすものである。処分行政庁が合理的な選定基準に基づき選定した本件比較対象法人は,必要かつ十分な比較可能性が確保されている。 ⑵ 比較可能性の要素ア事業の類似性 本件国外関連者が製造する本件製品(製品E2)は,原告の有する特許権等の重要な無形資産を用いることにより初めて製造することが可能な製品であり,かつ,セラミックス製DPFという製品類型自体,これを製造する競合他社が極めて限定される特殊なものである。このような重要な無形資産の貢献により初めて製造が可能となる製品で,製品類型と しても極めて特殊性の高いものにつき,厳格な製品の類似性を要求する ことは,重要な無形資産の類似性を要求するに等しいもの 産の貢献により初めて製造が可能となる製品で,製品類型と しても極めて特殊性の高いものにつき,厳格な製品の類似性を要求する ことは,重要な無形資産の類似性を要求するに等しいものというべきである。本件国外関連者が製造する製品と本件比較対象法人が製造する製品との間に,製品の素材や,製品の性状,構造,機能等の特徴に違いがあるとしても,本件製品と同じ自動車部品である本件比較対象法人の製造製品との間において,基本的利益の算定に必要な比較可能性は確保さ れている。 また,本件国外関連者の事業を自動車部品製造業と同種のものと認定して比較対象法人を選定することは合理的であり,形式的な業種コードの分類に従うべき合理性はない。ORBISで用いられる事業コードで,本件国外関連者が属するという3255(耐火粘土製品製造業)に含ま れる製造製品をみると,代表例としては,れんが(粘土製耐火物として使用),キャスタブル耐火物(粘土製),セメント(粘土製耐火物として使用)などが挙げられるが,自動車用排ガスフィルターに相当する製品類型は見い出せず,これら製品の多くは,本件製品と類似するとはいい難い。 他方で,本件国外関連者が製造する製品は,実態として自動車に搭載される自動車部品の一種であり,一般に,自動車部品は,自動車の需要に連動して市場が変動する点に特色があると考えられることなどを踏まえると,本件国外関連者と類似の製品を製造し,機能や市場の点で差異のない企業を選定するための母集団としては,セラミックス製品製造業と いう広範かつ不特定の事業類型に求めるよりも,自動車部品製造業という事業類型に求めるのが相当である。 イ市場の状況の差異Euro規制等について上記第1で述べたとおり,Euro規制は自動車の排ガス かつ不特定の事業類型に求めるよりも,自動車部品製造業という事業類型に求めるのが相当である。 イ市場の状況の差異Euro規制等について上記第1で述べたとおり,Euro規制は自動車の排ガス規制であり, 自動車部品製造業者の営業利益率に影響があるとしても飽くまで間接的 なものにすぎないから,企業の営業利益率に影響を及ぼすことが客観的に明らかな政府規制ではない。また,Euro規制等による製品E2に対する特需は,残余利益そのものというべきであるから基本的利益の算定に当たり,排除し又は調整すべき差異には当たらない。 本件各事業年度における本件製品の売上高は,本件各事業年度の前の 期間との比較においては増減しているものの,本件各事業年度のそれぞれの年度においては,本件製品の売上高が急激に増減した事実は認められず,Euro規制等が本件製品の売上高の増減や営業利益率に及ぼす影響の有無は具体的には明らかではない。仮に,Euro規制等による影響があるとすれば,本件国外関連者と同種の事業である「自動車部品 製造業」を営む本件比較対象法人の売上高及び営業利益率にも何らかの影響を与えたであろうことが想定されるものの,その程度についても明らかではない。 新規事業か陳腐化事業化について本件比較対象法人が事業開始の時期から同一の製品を製造するもので あるかは不明である以上,本件比較対象法人の製造する個々の製品について一律に陳腐化製品であるとみなす原告の主張に合理的根拠はない。 本件国外関連者が新規性の高い本件製品を製造したのは,原告の長年にわたるセラミックス技術の研究開発の成果そのものであり,重要な無形資産の貢献によるものにほかならない。 競争状況の差異について本件国外関連者が,新規性の高い本件 したのは,原告の長年にわたるセラミックス技術の研究開発の成果そのものであり,重要な無形資産の貢献によるものにほかならない。 競争状況の差異について本件国外関連者が,新規性の高い本件製品を製造し,これにより,セラミックス製DPF市場で競争上優位な地位を確立するに至ったのも,原告の長年にわたるセラミックス技術の研究開発の成果そのものであり,正に,重要な無形資産の貢献によるものにほかならない。 地理的市場の差異 比較対象法人の選定における市場の特定に当たり,所在地国を単位としてみるか,あるいは複数の国からなる地域若しくは一国内の特定の地域を単位としてみるかといったことは,個々の具体的事実に基づいて検討すべき問題であって,単に所在地国が異なることをもってその比較可能性が一概に否定されるというものではない。本件比較対象法人の選定 に当たっては,市場の類似性を確保する観点から,同一の経済圏及び販売市場を構成する「EU加盟国の企業」の中でも,「所在地が著しく異なる企業を除外」すべく,本件国外関連者と同じ中・東欧地域に所在する国の企業を抽出している。このように,EUという単一の自由貿易市場の中で,物価や人件費等の水準の異なる西欧・北欧を除くこと等によ り差異は排除されているところ,本件比較対象法人の売上高営業利益率をみても,所在地国の違いによる顕著な傾向は認められないことに照らしても,所在地国の違いが,直ちに,本件国外関連者と本件比較対象法人との比較可能性を否定する重大な差異をもたらすものではないというべきである。 ウ費用構造等本件比較対象法人が装置産業ではないとする根拠はない。 もとより固定費と変動費の分類は一義的ではない上,固定費に含まれる減価償却費の額は減価償却資産の うべきである。 ウ費用構造等本件比較対象法人が装置産業ではないとする根拠はない。 もとより固定費と変動費の分類は一義的ではない上,固定費に含まれる減価償却費の額は減価償却資産の取得時期や償却方法などに影響される。法人設立から間もない本件国外関連者は,全ての機械設備について 取得直後であり,償却の認められる上限まで減価償却費を固定費として計上していると推認されるのに対し,本件比較対象法人は,設立後相応の期間を経た企業であるため,機械設備などの減価償却資産を保有していても償却を終えたものが存すると考えられる。 したがって,本件比較対象法人につき,財務諸表上のデータに基づき, 固定費の計上が少ないとか,有形固定資産の規模が小さいことのみを理 由として,生産工程の機械化が図られていないとか,装置産業の側面を有しないなどと断ずることはできない。 原告は,本件国外関連者の財務諸表に計上される固定費や有形固定資産の規模,変動費と固定費の割合などに基づき,経済学及び統計学の理論を用いて,本件国外関連者と本件比較対象法人との間にみられる費 用構造,生産要素,製造機能及び投資損失リスクの差異が売上高営業利益率に影響していると主張するが,固定費の額や有形固定資産の規模については,減価償却費の算出方法が国や会計基準によって様々であるなどの不明確さがあるため,そのような不明確な概念を基礎とした検証には限界がある。変動費と固定費の割合についても,変動費と固定費の分 類が一義的なものでないことを踏まえると,費用構造の分析にも不確実さがある。 この点をおくとしても,原告が主張する本件国外関連者の事業の特徴は,多国籍企業グループが重要な無形資産を活用して行う関連者間取引に特有のものであり,重要な無形 費用構造の分析にも不確実さがある。 この点をおくとしても,原告が主張する本件国外関連者の事業の特徴は,多国籍企業グループが重要な無形資産を活用して行う関連者間取引に特有のものであり,重要な無形資産を持たず,非関連者間取引のみを 行う企業において通常みられるものではない。このような差異は,重要な無形資産を有しない非関連者間の取引において通常得られる利益を算定するに当たり考慮すべき差異とはいえず,基本的利益においてこれらの差異を排除し,又は差異を調整すべきものではなく,残余利益において考慮すれば足りる。 原告は,本件国外関連者が行う事業は,本件比較対象法人が収穫一定型であるのとは異なり,設備(装置)産業であり,固定費比率が高いため,収穫逓増型の生産構造である旨主張する。 しかし,本件国外関連者は2003年(平成15年)1月に設立された法人であり,本件各事業年度にはそのスタートアップ期が含まれてお り,原告が主張する固定費の額や比率等に係る本件比較対象法人との差 異は,この時期に多額に計上された減価償却費の影響による一時的なものであったことを考慮する必要がある。実際,本件各事業年度後の本件国外関連者の状況を見ると,減価償却費の比率は低減する一方,材料費の比率は上昇し,その費用構造は本件比較対象法人と遜色ない。 また,本件国外関連者の売上高及び売上高営業利益率を見ると,本件 各事業年度後は,売上高が上昇する一方,同利益率は減少しているのであって,本件国外関連者が,原告の主張するような規模の利益を享受する生産構造でなかったことが分かる。 また,米国財務省が1988年(昭和63年)に公表した“AStudyofIntercompanyPricing” (以下「米国白書」という。)は,産 する生産構造でなかったことが分かる。 また,米国財務省が1988年(昭和63年)に公表した“AStudyofIntercompanyPricing” (以下「米国白書」という。)は,産業が 競争的であるなどの一定の条件下において,長期的には,個々の生産要素の収益率は均等化することを述べたものであり,その意味で,投入する生産要素が全く同一・同量であれば,そうした企業の収益「額」は一定化するといえる。収穫逓増型企業が超過利益を得るようになれば産業に新規参入が生じ競争圧力によって価格と売上高が下落して,超過利益 は消滅していくのであり,無形資産の影響を排除した基本的利益のレベルで考える限り,収穫逓増による利益率の変動は長期的には補正される。 本件国外関連者の生産関数が収穫逓増(規模の利益性)を示しているのは,無形資産の効果によって営業資産の見かけ上の生産性が高まったことによるものである可能性が高い。 米国移転価格白書には,生産構造や費用構造と利益率との間に何らかのシステマティックな関連があることを示すような言及はない。 理論的にも,特定の生産要素(例えば,営業資産)の使用割合と利益率の大きさには長期的には関連はないはずであって,企業の生産構造が異なる場合には収益額も異なるとはいえない。 総費用が一般的な変動費と固定費とで構成されている限り,平均費 用をプロットした曲線は,固定費の多寡に応じて曲線の傾き度合いに差が生ずることはあるにせよ,生産量(売上高)が拡大するほど生産量(売上高)一単位当たりの営業費用(平均費用)が減少する形状を示すことに変わりない。本件比較対象法人については,毎年利益が生じるようになった後のごく短期間を取り出して見た場合に,平均営業費用が一 定している 位当たりの営業費用(平均費用)が減少する形状を示すことに変わりない。本件比較対象法人については,毎年利益が生じるようになった後のごく短期間を取り出して見た場合に,平均営業費用が一 定しているように見えるにすぎないと考えられ,本件国外関連者が収穫逓増型であるのに対し本件比較対象法人が収穫一定型であるとする原告の分析には理由がない。 原告は,内部発生費用が高ければ付加価値が付与され売上高営業利益率も比例的に高くなるという前提に立って基本的利益の調整計算を主 張する。しかし,①原告による調整計算(甲151)は,本件国外関連者が重要な無形資産を用いた状況で発生した費用である付加価値費用を計算要素としているため,重要な無形資産の影響を排除できておらず,基本的利益の調整計算としては誤りがある。また,②内部発生費用が当然に付加価値を生むものであり,内部発生費用の増加に比例して売上高 営業利益率も増加するとする前提自体が,理論上の域を出ないものであって,統計的な裏付けもなく,合理性がない。 エ機能の差異について一般に,価格は,製品の差異に影響を受ける傾向があり,粗利益は,機能の差異に影響を受ける傾向がある。しかしながら,営業利益指標は, そのような差異によってそれほど大きな影響を受けないとされる(2010年版ガイドライン)。したがって,営業利益指標の算定に影響を及ぼすことが客観的に明らかな差異が認められない限り,比較対象取引として採用することが可能である。本件比較対象法人は,本件国外関連者と類似の製品である自動車部品を製造し,本件国外関連者と同様に主た る機能として製造機能を有するから,営業利益指標に影響を及ぼすこと が客観的に明らかな差異は認められない。 オ事業規模の差異について売 造し,本件国外関連者と同様に主た る機能として製造機能を有するから,営業利益指標に影響を及ぼすこと が客観的に明らかな差異は認められない。 オ事業規模の差異について売上規模における国外関連者と比較対象法人との差異については,取引数量ないし取引規模に関して,通常は,取引規模の差異が10倍以内である場合には,その調整は不要と解されているところ,本件比較対象法 人の売上高は,本件国外関連者の売上高のおおむね10分の1以上10倍以内であることからすれば,比較可能性の確保に必要な事業規模の類似性が満たされている。 カリスクについて為替差損益は,為替リスクの分担割合に応じても異なることとなるなど, 個々の法人又は取引により,そのリスクの発生が異なるのであって,当該リスクの本件国外関連者の営業利益への影響の度合い等は,全く明らかではないのであるから,基本的利益の算定において調整が必要な営業利益指標に影響を与えることが明らかな差異とまではいえない。 キその他 E15について本件比較対象法人のうちの1社であるE15(別紙3-2の⑷ウ⒟)における障害者雇用が,E15の営業利益の水準にどのような影響を与えたかは明らかではなく,障害者雇用助成金の給付による差異につき合理的な調整(営業利益から当該助成金を減算した。)が行われたもので あり,かかる調整後のE15につき,基本的利益の算定においてなお調整が必要な差異が存するとはいえない。 また,国外関連者との比較可能性を確保するための差異調整を行った結果,E15のようにたまたま1事業年度において営業損失を計上することとなる企業が存したとしても,その一事をもって,直ちに当該企業 の比較可能性が失われるということはできない。また,差異調整に 結果,E15のようにたまたま1事業年度において営業損失を計上することとなる企業が存したとしても,その一事をもって,直ちに当該企業 の比較可能性が失われるということはできない。また,差異調整によっ て計上することとなる営業損失の額がばく大である,あるいは,差異調整によって営業損失を計上する事業年度が長期間にわたることとなるといった事情はない。僅か1事業年度の赤字計上は継続企業の原則に問題があることを示す事情でもない。 運転資本の差異について 事務運営指針は,運転資本の差異が利益指標等の算定に影響を及ぼすかどうかは,必ずしも明確でない場合が多いことから,こうした調整は常時機械的に行うのではなく,当該差異が及ぼす影響について十分検討することに留意するとしている。そして,運転資本の対売上高比率の差異が本件国外関連者の営業利益に与える影響の度合い,更にいえば,影 響を与えるか否かすら,全く明らかなものではなく,基本的利益の算定において調整が必要な営業利益指標に影響を与えることが明らかな差異とまではいえない。 3 利益指標について本件で利益指標として売上高営業利益率を採用したのは,「売上高」が普遍 的な指標であっておおむねそのまま使用可能であるのに対し,資産を使った利益指標は複雑な調整等が必要であるため,本件の実態に即していないと判断されることなどを考慮したものであり,適正である。 事務運営指針には,「事業用資産又は売上高に対する営業利益の割合等で示される利益指標に基づき計算することに留意する。」との記載があるところ, 「資産」のうち,例えば有形固定資産は,国や会計基準によって減価償却制度等(償却方法,耐用年数等,加速度償却及び減損会計等の有無など)が異なること,事業年度中に当該資産 の記載があるところ, 「資産」のうち,例えば有形固定資産は,国や会計基準によって減価償却制度等(償却方法,耐用年数等,加速度償却及び減損会計等の有無など)が異なること,事業年度中に当該資産に対する修繕があり得ること,資産の購入や交換,売却や除却により当該有形固定資産の増減変動があり得ること及び各企業の投資計画や投資サイクルによってもその増減変動が異なることなどの理由から, 利益指標として採用する際に調整すべき項目は多い。仮にその全てが調整でき たとしても,貸借対照表に計上されている当該資産が稼働していなければ,事業規模等を示しているとはいえないこととなる。 第3 残余利益の分割方法の適否について(争点⑴②) 1 残余利益の分割方法について残余利益分割法の基本的概念及び計算方法からすれば,分割対象利益のうち 非関連者間取引において通常得られる利益に相当する金額(基本的利益)を法人及び国外関連者にそれぞれ配分した後の残額である残余利益(超過利益)は,重要な無形資産の貢献により得られた利益であり,残余利益の配分は,「当該法人又は国外関連者が有する重要な無形資産の価値に応じて,合理的に配分する」ことになる(措置法通達66の4⑷-5)。 この重要な無形資産の価値をどのように算定するかについては,重要な無形資産の絶対的価値を客観的に算定することは困難である一方,残余利益の配分に当たっては,法人及び国外関連者が有する重要な無形資産の相対的な価値の割合を把握すれば足りると考えられること,課税の恣意性を排除し,判断の客観性を担保するためには,客観的に測定可能な要因によるのが相当であること などを考慮し,重要な無形資産による超過利益の獲得に対する寄与や貢献の程度を推測するに足りるものとして,当該重要な の客観性を担保するためには,客観的に測定可能な要因によるのが相当であること などを考慮し,重要な無形資産による超過利益の獲得に対する寄与や貢献の程度を推測するに足りるものとして,当該重要な無形資産の開発のために支出された客観的な費用等の額により配分を行うことが合理的である(措置法通達66の4⑷-5)。このことは,改正後措置法施行令39条の12第8項1号ハ⑵及び改正後措置法通達66の4⑸-4(関係法令等⑶ア)からも是認されて いるといえる。 2 本件への当てはめ上記第1のとおり,残余利益は,原告及び本件国外関連者の有する重要な無形資産のみにより生じたものというべきであるところ,原告及び本件国外関連者の有する重要な無形資産の相対的価値は,共に製品E2の開発,製造に関わ るノウハウの研究活動を反映する同種の費用を内容とする指標である原告の研 究開発費及び本件国外関連者の部門費により把握するのが適切である。 ⑴ 原告の有する重要な無形資産の価値について本件において超過利益を生み出す製品E2に関する材料技術,製造技術及び生産技術等という無形資産の形成・維持・発展は,全て原告自身の寄与・貢献によるものであるから,原告の有する重要な無形資産の価値によっ て,超過利益の獲得に対する原告の寄与・貢献の程度を測ることができるといえる。 そして,原告は,製品E2に関する材料技術,製造技術及び生産技術等という重要な無形資産の形成・維持・発展に係る研究活動を継続して行い,そのための費用である研究開発費が当該研究活動を的確に反映するものといえ るから,本件分割方法では,原告における各事業年度の製品E2に係る研究開発費を原告の有する重要な無形資産の価値を表す指標として採用した。 このような考え方は,「研 を的確に反映するものといえ るから,本件分割方法では,原告における各事業年度の製品E2に係る研究開発費を原告の有する重要な無形資産の価値を表す指標として採用した。 このような考え方は,「研究開発費が特許等の重要な営業無形資産の開発に関連している場合,研究開発費は製造業者にとって適切なキーとなり得る。」(2010年版ガイドラインのパラグラフ2.138)との記述によっ ても支持されている。 ⑵ 本件国外関連者の有する重要な無形資産の価値について本件において超過利益を生み出す製品E2に関する生産性改善のためのノウハウの構築という無形資産の形成・維持・発展は,主に,本件国外関連者の寄与・貢献によるものであるから,本件国外関連者の有する上記生産性 改善のノウハウに係る重要な無形資産の価値によって,超過利益の獲得に対する本件国外関連者の寄与・貢献の程度を測ることができるといえる。 そして,本件国外関連者は,製品E2に関する生産性改善のためのノウハウという重要な無形資産の形成・維持・発展に係る研究活動を継続して行い,そのための費用である部門費が当該研究活動を的確に反映するものとい えるから,本件分割方法では,各事業年度の製品E2に係る部門費を本 件国外関連者の有する重要な無形資産の価値を表す指標として採用した。 ⑶ その他の要因について仮に,本件において,原告及び本件国外関連者が有する重要な無形資産の影響とは別に,「Euro規制等」,「消費者選好」,「費用構造及び事業規模」並びに「寡占状態」といった要因により得られた超過利益を観念し, かつ,これが残余利益の一部を構成しているとみたとしても,本件において,原告の研究開発費と本件国外関連者の部門費を分割要因として用いることが相当である。 要因により得られた超過利益を観念し, かつ,これが残余利益の一部を構成しているとみたとしても,本件において,原告の研究開発費と本件国外関連者の部門費を分割要因として用いることが相当である。 ア残余利益の分割において重要な無形資産以外の利益発生要因を考慮すべきではないこと 残余利益分割法は,法人又は国外関連者が重要な無形資産を有する場合であることを念頭に置いた算定方法であり,分割対象利益から基本的利益を控除した後の残余利益をもって重要な無形資産の貢献により獲得された利益とみなし,これを重要な無形資産の価値に応じて配分することで独立企業間価格を算定する手法であるところ,本件のように重要な 無形資産の影響によって超過利益が発生している場合,残余利益を重要な無形資産の価値に応じて分割することは,経済的に合理的なものである。残余利益について,重要な無形資産以外の利益発生要因を考慮することは残余利益分割法がそもそも想定していない。 また,Euro規制等の導入による影響を分割要因として考慮したとし ても,以下のとおり,本件分割方法により残余利益が合理的に分割されている。 イ投資判断が本件超過利益の獲得に寄与したこと一般に,利益分割において,仮に重要な無形資産の価値以外の「特殊要因」を考慮するのであれば,「特殊要因」による超過利益を「最初 に知識,アイデア,そして資金を拠出し,企業家リスクを取った」とい う親会社に帰属させるのか,「超過収益を直接発生させた」という国外関連者である子会社に帰属させるのかという点を,親会社と国外関連者である子会社の相対的な寄与・貢献を十分に分析,検討することで明らかにする必要がある。 原告は,ディーゼル車用の微粒子除去フィルター(DPF)の需要 させるのかという点を,親会社と国外関連者である子会社の相対的な寄与・貢献を十分に分析,検討することで明らかにする必要がある。 原告は,ディーゼル車用の微粒子除去フィルター(DPF)の需要 が見込まれるEU市場において,原告が研究開発した本件製品(製品E2)を中核として,この需要増に時機を逸せず対応するため,原告のEUにおける生産拠点として本件国外関連者を設立し,継続的な製品開発や十分な供給量を持続させるための設備投資を機を逸せずに行い,自動車排ガス浄化用セラミックスの販売量を増加させ,的確な経営判断の下, EUの自動車市場の自動車排ガス浄化用セラミックス分野におけるセカンドランナーの立ち位置を確保して寡占市場を創出し,超過利益の獲得に成功したものである。このEuro規制等が影響した需要増による超過利益の獲得に大きく寄与・貢献したのは,①原告がその製造技術及びノウハウ等の重要な無形資産を有する製品E2が,Euro規制に対応 してEUの自動車メーカーの要求を満たすものであったことはもとより,②原告が,Euro規制への対応を見越してポーランドに本件国外関連者を設立することを決断し,EU市場に進出した上で,適時,追加の設備投資を行って生産能力を拡大したことに関する投資判断(以下「本件投資判断」という。)であったといえる。 他方で,本件国外関連者は,ポーランドで設立され,形式的には設備投資をした主体ではあるが,Euro規制等への対応やEuro規制等が影響した需要による超過利益の獲得に関して寄与・貢献したのは,製品E2の製造と生産性改善にすぎず,経営判断や販売網の開拓等の特別な寄与・貢献があったとは認められない。 このように,原告には特殊要因による超過利益の獲得に対して多大 な寄与・貢 製造と生産性改善にすぎず,経営判断や販売網の開拓等の特別な寄与・貢献があったとは認められない。 このように,原告には特殊要因による超過利益の獲得に対して多大 な寄与・貢献があるのに対し,本件国外関連者には特殊要因による超過利益の獲得への寄与・貢献がほとんどないものと認められるから,重要な無形資産の価値のみを考慮する分割方法によっても,本件国外関連者の寄与・貢献の程度(なお,重要な無形資産の価値のみを考慮する分割方法における相対的な寄与・貢献の程度の比率は,平成19年3月期で は原告:本件国外関連者,平成20年3月期では原告:本件国外関連者,平成21年3月期では原告:本件国外関連者,平成22年3月期では原告:本件国外関連者である。)を過小評価することにはならない。 原告は,残余利益の分割要因として考慮できるのは原告のライセン サーとしての活動による寄与・貢献に限られる旨主張するが,仮に,本件残余利益が,原告及び本件国外関連者が有する重要な無形資産の影響とそれ以外の特殊要因(Euro規制等,消費者選好,費用構造及び事業規模並びに寡占状態)とによって生じたものであることを前提として検討する場合には,超過利益の発生要因として,本件国外関連取引の対 象とされた重要な無形資産とは別の特殊要因があると観念する以上,本件国外関連取引の当事者としての寄与・貢献とは別に,特殊要因による超過利益の獲得に対する原告の寄与・貢献を考慮しなければならないはずである。 ウ 「有償性のある活動」について 原告は,本件国外関連者の単なる投資家ではなく,「究極の投資家」であり,単なる投資家としての活動(株主活動)とは異なる活動を行っているのであるから,その活動に係る寄与・貢献は,単なる投資によ 原告は,本件国外関連者の単なる投資家ではなく,「究極の投資家」であり,単なる投資家としての活動(株主活動)とは異なる活動を行っているのであるから,その活動に係る寄与・貢献は,単なる投資による寄与・貢献とは異なるものであり,有償性のある活動であるから,残余利益の分割に当たり考慮に加えられるべきである。 そして,①株主活動に該当するか否か,②有償性があるか否かとい う判断枠組みに沿って検討すると,原告による本件国外関連者の設立前事業計画策定及び設立後事業計画見直しなどの活動が,株主活動以外の活動である「究極の投資家」として有償性のある活動であることが明らかである。また,これらの活動は,本件国外関連者に便益をもたらし,独立企業であれば対価を支払うべきものであるから,2010年版ガイ ドラインのパラグラフ7.6が定めるグループ内役務提供に当たるものである(以下,同パラグラフが示す基準を「便益テスト」という。)。 すなわち,①本件事業化決定については,本件国外関連者は,その決定に至る作業の時点で既に設立することが決定されていたから,株主としての活動ではなく,また,これにより本件国外関連者は便益を受けて いるから,本件国外関連者に対する有償性のある活動である。②事業の拡大に係る決定については,本来であれば,本件国外関連者の役割であるから,原告の株主としての活動ではなく,子会社に対する有償性のある活動である。③それ以外の「究極の投資家」としての活動(原告による製品E2の)は,原告 が創り上げた「E19ブランド」を用いたことにより実現されたものであるから,原告の株主としての活動ではなく,子会社に対する「究極の投資家」としての有償性のある活動である。 なお,①原告による本件国外関連者の事業計画 ブランド」を用いたことにより実現されたものであるから,原告の株主としての活動ではなく,子会社に対する「究極の投資家」としての有償性のある活動である。 なお,①原告による本件国外関連者の事業計画の策定等の寄与・貢献が対象事業年度前の判断,計画及び活動であっても,この活動が「超 過利益」の獲得に対する寄与・貢献をしている以上,考慮に入れることができない理由はないというべきである。 エリスク分析について原告は,Euro規制等,消費者選好,寡占状態,費用構造及び事業規模といった要因がEU側の事情であるとして,いずれも本件国外関連者が寄与したものである旨主張するが,これらの要因による「超過利 益」については,原告による「究極の投資家」としての有償性のある活動をしたことにより獲得できたものである。 以下のとおり,本件国外関連取引に関して,経済的に重要なリスクのコントロールをしたのは本件国外関連者ではなく,原告であるから,その超過利益は原告に配分されるべきである。 移転価格税制の適用に当たっては,納税者及び国外関連者が果たす機能及び負担するリスクの分析が重要となり,果たす機能及び負担するリスクに応じたリターンを獲得することが期待される。2017年版ガイドラインでは,リスクについて,「第1章 D.1.2.1 商業上又は財務上の関係におけるリスク分析」(パラグラフ1.56から1. 106まで)の項目を設け,リスクに対するアプローチなどの指針を示している。 そして,同指針が示すリスク分析の観点から検討すると,①原告は,多国籍企業グループである原告グループの豊富な資金と,競争上の優位な地位を獲得し得る重要な無形資産である製品E2に係る材料技術,製 造技術及び生産技術等並びに の観点から検討すると,①原告は,多国籍企業グループである原告グループの豊富な資金と,競争上の優位な地位を獲得し得る重要な無形資産である製品E2に係る材料技術,製 造技術及び生産技術等並びにこれらに対する自動車メーカーの信頼としての「E19ブランド」を有し,また,原告がこれらの要素を活用するための需要予測や設備設計を行うことにより,製品E2に係る事業のリスクを限りなく低減させたのに対し,②本件国外関連者が負うリスク(市場リスク,製造ラインの操業度リスク,製品の在庫リスク及び市場 価格の変動リスク)は原告によって極限まで低減されたものであり,重 要なリスクのコントロールに貢献したのは原告であるから,残余利益は原告に配分されるべきである。 原告は,製品E2の製造を事業化する際,原告による正確な需要予測に基づき,欧州の自動車メーカーへの採用を果たし,自動車メーカー側の要請に迅速に対応できるよう需要量を予測・交渉しながら,工場 建屋及び生産ライン等の設備を整えていったものであり,このような事業戦略に沿う形で事業を行った本件国外関連者は,原告によりリスクがコントロールされていたから,市場リスクや本件設備投資に係るリスク自体がほとんどなかった。 また,本件国外関連者は,製造に関するリスクを負っていなかった。 歩留が向上しないリスクについては,そもそも歩留率が100%ということはあり得ず,およそ工場を有し製造する製造業者は等しく当該リスクを負っているものであり,特に新工場の稼働時や新製品の立上げ時には顕著なリスクを負うものであるし,歩留の改善については,原告の寄与・貢献もあったことが明らかである。 また,量産技術の確立は,があって初めて,本件国外関連者の工場において量産開始が可能となったも スクを負うものであるし,歩留の改善については,原告の寄与・貢献もあったことが明らかである。 また,量産技術の確立は,があって初めて,本件国外関連者の工場において量産開始が可能となったものであり,原告の多大な貢献によって成し遂げられたもので あった。本件国外関連者の設立前の段階で, このように,原告の主張するリスクについては,リスク自体がほとんどなかったり,そのリスクコントロールに原告が寄与・貢献していたり,通常の製造業者が等しく負っているリスクであって基本的利益の算 定で考慮されたものであるなど,いずれも,残余利益の分割要因として考慮する必要のないものである。本件国外関連者は,形式的には設備投資の主体であり,生産設備の法的な所有者ではあるが,製品E2のすることにより,本件国外関連者が負担した費用を賄えるほど十分な需要が見込めたことから,本件国外関連者が負うリスクは極限ま で低い状況にあり,生産設備の使用は,経済的に重要なリスクとまではいえない状況であった。 オ本件費用構造等について費用構造及び事業規模の影響を分割要因として考慮したとしても,本件分割方法により残余利益が合理的に分割されている。 本件において,①多国籍企業グループである原告グループの豊富な資金,②競争上の優位な地位を獲得し得る重要な無形資産である製品E2に係る材料技術,製造技術及び生産技術等,③これらに対する自動車メーカーの信頼としての「E19ブランド」及び④これらの要素を活用するための需要予測や設備設計等があったからこそ,多額の資金を投下 してポーランドにおいて大規模な事業展開をすることが可能となったの であり,本件国外関連者の費用構造及び事業規模(設備投資)の 測や設備設計等があったからこそ,多額の資金を投下 してポーランドにおいて大規模な事業展開をすることが可能となったの であり,本件国外関連者の費用構造及び事業規模(設備投資)の影響を残余利益の分割要因として考慮するとしても,「究極の投資家」としての原告が多大な寄与・貢献をしていることは明らかである。 また,そもそも本件国外関連者の費用構造が,原告のいう「プロセス型事業」となったのは,原告が,製品E2の製造技術に関し,原料の調 合から成形までの全ての生産工程において重要な無形資産を有し,本件国外関連者における一貫生産をしていたためであると考えられ,原告の寄与・貢献によるものであるといえる。 原告は,「超過利益アプローチ」を根拠に,超過利益に関するライセンシー側である本件国外関連者の「投資寄与度」も評価すべきである として,本件国外関連者に係る減価償却費のうち超過減価償却費(別紙6の第3の2⑵イ)を分割要因として考慮すべきである旨主張するが,そもそも,ライセンサー側の開発寄与度については何の検討もせず,ライセンシー側の投資寄与度のみを検討するなど,「超過利益アプローチ」とはかけ離れたものである。 また,本件比較対象法人は,基本的利益の算定のために抽出された企業であり,売上高に対する減価償却費の割合について,自由で競争的な市場において一定の標準的な割合に収束するという理論的な裏付けがあるとはいえないから,本件超過利益の分割において超過減価償却費を考慮するのは相当ではない。 さらに,分割対象利益の配分に用いる要因が複数ある場合には,それぞれの要因が分割対象利益の発生に寄与した程度に応じて,合理的に計算すべきであり,超過減価償却費を考慮に加えるとしても原告の研究開発費により大きな価値が 益の配分に用いる要因が複数ある場合には,それぞれの要因が分割対象利益の発生に寄与した程度に応じて,合理的に計算すべきであり,超過減価償却費を考慮に加えるとしても原告の研究開発費により大きな価値が認められる可能性があることを前提として,各要因が分割対象利益の発生に寄与した程度に応じてウエイト付けをしな ければならない。 カ 2社寡占状態について2社寡占状態による影響を分割要因として考慮したとしても,本件分割方法により残余利益が合理的に分割されている。 2社寡占状態は,原告が有する製品E2に関する重要な無形資産がEuro規制に係る基準をクリアできるものであることを前提として,原告 が,ディーゼル車の普及割合が高いEUの自動車市場においてEuro規制がされればディーゼル車用の微粒子除去フィルター(DPF)の需要が高まることを見越して,この需要の獲得に必要な知識,アイデアを用いて,EUにおける製品E2の生産拠点となる子会社を設立し,必要な設備投資をするという判断をして,この需要の獲得に必要な製品の するなどし,その結果として生じたものであるから,2社寡占状態による超過利益が発生したとしても,それは原告が多大な寄与・貢献をしたことによるものであった。 キ消費者の選好等について原告は,本件各事業年度と最近の事業年度とを比較すると,同じ重要 な無形資産が用いられているにもかかわらず,最近の事業年度における本件国外関連者の売上高営業利益率は非常に低くなっているとして,超過利益の主たる稼得要因は重要な無形資産ではなく,消費者選好などであったなどと主張するが,近時,本件国外関連者の売上高営業利益率が低下しているとしても,それが原告の挙げる消費者選好等によるもので あるとは認められない上, 無形資産ではなく,消費者選好などであったなどと主張するが,近時,本件国外関連者の売上高営業利益率が低下しているとしても,それが原告の挙げる消費者選好等によるもので あるとは認められない上,重要な無形資産にも耐用年数があり,どの事業年度でも一定の超過利益を生み出すものではないから,原告の主張に理由はない。 3 以上によれば,本件各処分は適法である。 原告は,処分行政庁の算定した独立企業間価格ではロイヤルティ料率が著し く高く異常な数値となるというが,無形資産ごとに付加価値が異なるにもかか わらず,他の取引と本件国外関連取引とのロイヤルティレートを比較して多寡を論じること自体に意味がなく,何ら理由がない。 第4 理由付記の不備の有無(争点⑵)について被告は,本件における残余利益の分割は,原告及び本件国外関連者が有する重要な無形資産の価値に応じて分割すべきであり,かつ,それで足りると主張して いるのであって(被告の主位的主張),本件各処分に係る通知書には,本件分割方法に関し,その判断及び計算の過程や結果が具体的に記載されていることは明らかである。 以上 (別紙6)原告の主張の要旨 第1 本件超過利益の発生メカニズムについて本件超過利益の発生メカニズムは,Euro規制等や,消費者のディーゼル乗 用車選好の結果生じたEUの自動車市場におけるディーゼル乗用車数の多さにより,自動車メーカーの製品E2に対する需要が急増し,これに対応するために,本件国外関連者が,自ら投資損失リスクや設備稼働率リスク等を負担して行った設備増設により大量生産・供給体制を構築し,製品E2の生産・供給量の増加を通じた原価 する需要が急増し,これに対応するために,本件国外関連者が,自ら投資損失リスクや設備稼働率リスク等を負担して行った設備増設により大量生産・供給体制を構築し,製品E2の生産・供給量の増加を通じた原価低減により競争力を向上させ,また,多額の設備投資による参入障壁 の構築により2社寡占状態を形成した結果,製品E2の販売単価への下落圧力を抑制する効果を有していたという状況下で,製品E2に対する需要増を本件国外関連者の実質的な販売部門であるE7が本件製品(重要な無形資産によりEuro規制の基準をクリアできる製品)への受注増の形で取り込み,本件国外関連者の売上増が増加し,かつ,売上高の伸びほどに費用が増加しない費用構造により 営業利益も増加し,規模の利益が実現したというものである。 このように,本件各事業年度においては,重要な無形資産の寄与のみならず,それ以外の多くの要因の寄与が相まって,本件超過利益が発生したものである。 第2 基本的利益の算定方法の適否について(争点⑴①) 1 基本的利益の範囲 ⑴ 残余利益分割法は,①重要な無形資産を有しない事業活動から得られる基本的利益と②重要な無形資産の貢献によって得られる残余利益という二つの明確に性質の異なる利益を2段階で分割する方法であるので,前者の事業活動において重要な無形資産とは異なる比較可能性要素の貢献によって獲得される超過利益を後者の重要な無形資産の貢献により獲得される残余利益とみ なして残余利益分割法を適用すべきであるという被告の主張は,そのように みなすこと自体に無理があり,残余利益分割法の基本的な考え方に反するものである。 ⑵ Euro規制等の位置付けア政府規制には,一般に「法令,行政処分,行政指導その他の行政上の行為」といった様々な種 こと自体に無理があり,残余利益分割法の基本的な考え方に反するものである。 ⑵ Euro規制等の位置付けア政府規制には,一般に「法令,行政処分,行政指導その他の行政上の行為」といった様々な種類のものが含まれるが(甲6の1及び甲6の2参 照),①政府規制の直接的な法的効果により規制対象法人の売上高や利益に影響を及ぼし得るものと,②そのような直接的な法的効果はないが,法人の売上高や利益に事実上の影響を及ぼし得るものの2種類があるところ,いずれの種類の政府規制も,比較可能性要素である市場の条件として基本的利益の算定において考慮しなければならない。 Euro規制等は,東京地裁平成24年4月27日判決(甲57)の事案における規制と同様,間接的ではあっても本件国外関連者の売上高及び利益に影響を及ぼしたので,市場の条件として基本的利益の算定において考慮に入れなければならない。また,EU市場における製品E2に対する需要の大幅な増大は,Euro規制等の強化とディーゼル乗用 車の数が圧倒的に多いというEUの自動車市場独自の状況が相まってもたらされたと評価できるので,Euro規制等は,ディーゼル乗用車が非常に多いEUの自動車市場の状況と密接不可分な関係に立つ。重要な無形資産とは異なる比較可能性要素については,超過利益の獲得に重要な無形資産の寄与が併存する場合であったとしても,残余利益の分割で はなく,基本的利益の配分において考慮されるべきである。 イ EUにおけるDPF市場は,Euro規制等の導入及び強化がなければ上記のような発展・拡大はしなかった。この事実は,DPFは2000年(平成12年)にディーゼル乗用車に初めて搭載されたが,その後PMに関する規制が強化されたEuro4の施行によって需要が急増し,Eur o 展・拡大はしなかった。この事実は,DPFは2000年(平成12年)にディーゼル乗用車に初めて搭載されたが,その後PMに関する規制が強化されたEuro4の施行によって需要が急増し,Eur o5によってさらに増加したとするE6の報告書の内容からも明らかであ る。原告が特許等の重要な無形資産を有していたとしても,Euro規制等の導入及び強化がなければ,製品E2市場は発展・拡大せず,その結果,製品E2に対する需要も増大せず特需による超過利益の恩恵も受け得なかったのである。 また,製品E2を製造できる特許技術等の重要な無形資産を有していた としても,現地で人的・物的投資を行った上で,競争的な供給価格を設定できるように製造原価を低減させるなどの企業努力を行わなければ,利益を上げることができない。 被告は,Euro規制等による製品E2に対する特需が存在したとしても,原告の保有する特許等の重要な無形資産の貢献により,製品E2が 製造可能となることによって初めて恩恵を受け得る性質のものであるから,そのような特需による超過利益は,全て残余利益として観念し残余利益の分割において考慮すべきであると主張し,Euro規制等による特需がもたらす上記超過利益の全ては,あたかも特許等の重要な無形資産の貢献により獲得されたとみなしているようであるが,無形資産とは 全く異なるEuro規制等に起因する超過利益を重要な無形資産の貢献により獲得される残余利益とみなすこと自体に無理があるというべきである。 2 比較可能性についてホンダ事件判決は,「ある非関連者たる法人を比較対象法人として選定する ためには,当該法人が当該国外関連取引(検証対象取引)の事業と同種の事業を営み,市場,事業規模等が類似するものであり,かつ,重要な無 判決は,「ある非関連者たる法人を比較対象法人として選定する ためには,当該法人が当該国外関連取引(検証対象取引)の事業と同種の事業を営み,市場,事業規模等が類似するものであり,かつ,重要な無形資産を有する法人ではないことが,その要件となるところ,このような基本的利益の算定方法は,比較対象法人の事業用資産又は売上高に対する営業利益の割合等で示される利益指標に比準して基本的利益の算定をしようとするものであるため, 独立価格比準法のように棚卸資産の厳密な類似性(同種性)は必要とならず, 単なる類似性で足りる一方で,比較対象法人と検証対象法人とがその果たす機能,負担するリスクその他において差異がないことが必要となる。」と説示し,「当該法人が当該国外関連者の事業と同種の事業(機能,リスクを含む。)を営み,市場,事業規模等が類似するものであること」を要件とすべきことを明示する。これは,課税根拠事実であり,課税庁に主張立証責任があるところ, 上記の諸点において,本件国外関連者と本件比較対象法人が「類似」することは主張立証されていない。 ⑴ 比較可能性の程度ア残余利益分割法が,基本三法が適用されない場合の適用方法であるからといって,被告が主張するように比較可能性の程度が緩やかなものでよい ことにはならない。 イまた,推定課税は,残余利益分割法における基本的利益の算定とは大きく異なる別個の制度であり,基本的利益の算定が推定課税の要件に近いものではないし,残余利益分割法における基本的利益の算定において機能等の類似性の要件が求められていることは,残余利益分割法を明確化した改 正後措置法施行令39条の12第8項1号ハ⑴(関係法令等⑶ア)から明らかである。 ウ米国財務省規則の利益比準法(CPM)に対し 性の要件が求められていることは,残余利益分割法を明確化した改 正後措置法施行令39条の12第8項1号ハ⑴(関係法令等⑶ア)から明らかである。 ウ米国財務省規則の利益比準法(CPM)に対して,日本やヨーロッパの税務当局は,比較可能性が取引単位から大きく乖離して非常に緩く判断されてしまうなどの問題を挙げ,強く反発し,OECDも消極的対応をとっ ている。基本的利益の算定は取引単位営業利益法(関係法令等⑵イ)と同じ基準を用いるべきであり,CPMのように緩やかなものであってはならない。 エ被告の主張は,E20(E21大学大学院E22研究科教授)作成の意見書(乙76)に大きく依存しているところ,同意見書は,競争的環境の 下では市場収益率は長期的に均等化する傾向にあるという米国白書の経済 理論及びそれを基礎とした独立企業間価格算定方法(BALRM)に大きく依拠するものであるが,それは我が国の措置法の法令解釈の根拠となり得るものではない。OECDガイドラインは,残余利益分割法の基本的利益の算定において会計的な利益指標を重視し,会計的利潤の水準である営業利益指標は様々な要因によって影響を受けることを指摘しており,会計 的利潤の水準である営業利益指標は均等化しないという立場をとっている。 オ残余利益分割法における基本的利益の算定方法は,営業利益率指標を用いる場合には,平成23年税制改正前においても,また,同改正後においても,取引単位営業利益法と同様のものであった。そして,取引単位営業利益法の比較可能性基準は,売上高総利益率指標を用いる再販売価格基準 法や原価基準法の比較可能性基準と比べて,被告が主張するほど大きく異なるものではなく,十分な比較可能性の確保が求められる。しかも,営業利益指標を用いる方 高総利益率指標を用いる再販売価格基準 法や原価基準法の比較可能性基準と比べて,被告が主張するほど大きく異なるものではなく,十分な比較可能性の確保が求められる。しかも,営業利益指標を用いる方法は,売上高総利益率には影響を及ぼさない様々な要因が売上高営業利益率には影響を及ぼす事態も生じるので,独立企業間価格の正確な算定がより困難になる状況も存在するのである。したがって, 営業利益指標を用いる方法の方が,売上高総利益指標を用いる方法よりも,理念的に,比較可能性が確保される範囲が大幅に広くなるというべきである。 ⑵ 比較可能性の要素ア事業の類似性 本件比較対象法人の主力製品は金属製又はプラスチック製の覆い(シールド,ホイールキャップ)など,比較的単純な加工度の低い自動車部品であり,本件国外関連者が製造する製品E2とは,製品の性状,構造,機能等,製品の特徴が異なることから類似性を欠く上に,製品E2は,セラミックス製品であるから素材の点でも明らかに異なっている。 本件比較対象法人は,業種コード3714(自動車部品・付属品製造 業)に属する企業として選定されたものであるところ,本件国外関連者は,本件各事業年度において,主要セクター分類の一つである「化学,ゴム,プラスチック,非鉄金属 」の下位分類「土石,ガラス,コンクリート製品製造業 」のうちの3255(耐火粘土)に分類されているから,業種が明らかに異なるものである。検証対象法人と比較対象法人が,業 種コードが大分類(上2桁)のレベルで異なる場合には,もはや比較可能性の最低限の担保すらなく,類似性の推定は働かないものというべきである。 同一業種の比較対象法人を選定せずに,異なる業種の比較対象法人を選定すれば,利益率に大きな影響が生じるこ は,もはや比較可能性の最低限の担保すらなく,類似性の推定は働かないものというべきである。 同一業種の比較対象法人を選定せずに,異なる業種の比較対象法人を選定すれば,利益率に大きな影響が生じることになるものであり,処分行 政庁は,本件国外関連者と本件比較対象法人について,それぞれが属する業種の収益性に影響を与える要因を一切検討しなかったものである。 なお,同じ自動車部品製造業でも売上高営業利益率は同様ではない。同じ自動車部品でも,素材として粘土,金属,樹脂等様々なものを含み,排ガスフィルターのように精密な構造を有するものから,ホイールキャ ップのように単なる覆いの役割しかなく,簡易な構造を有するものまで存在する。このように様々な棚卸資産の製造を全て含む自動車部品製造業こそ,広範かつ不特定の事業類型であり,同じ自動車部品と分類された製品の中にも様々な種類が存在するので,それらを自動車部品製造業として一括りにすることは不合理である。 イ市場の状況の差異OECDガイドラインは,比較対象法人の比較可能性を決定する際に重要である要素(比較可能性要素)には「市場の類似性」を含む経済状況が含まれるとした上で,その市場の類似性を決定する上で関係する具体的な「経済状況」として,「地理的場所,市場の規模,当該市場に おける競争の程度及び買手と売手の競争上の相対的地位,代替商品や代 替役務の利用可能性又はリスク,市場全体及び特定の地域における需給の水準,消費者の購買力,市場に対する政府の規制の性格及び程度,地代,人件費,資本を含む生産コスト,輸送コスト,小売又は卸売などの市場のレベル,並びに取引の日時など」を挙げている(2010年版ガイドラインのパラグラフ1.55〔甲63〕)。 Euro規制 代,人件費,資本を含む生産コスト,輸送コスト,小売又は卸売などの市場のレベル,並びに取引の日時など」を挙げている(2010年版ガイドラインのパラグラフ1.55〔甲63〕)。 Euro規制等本件国外関連者は,ディーゼル車が多いEU市場において事業活動を行うに当たり,Euro規制等の相当大きな影響を受けており,本件製品を含むセラミックス製DPFに対する需要及び供給は大きく増加していた。これに対して,本件比較対象法人は,排ガス規制とは無関係なホ イールキャップ,マフラーといった製品を製造していることに照らせば,Euro規制等の影響を受けているものではなく,むしろ一般の自動車部品に対する需要及び供給は減少傾向にあった。 仮に影響を受けているとしても,本件比較対象法人の製品は製品E2とはEuro規制の内容・程度及び搭載される自動車の種類が異なるた め,本件国外関連者と同様の影響を受けているとは到底認められないので,ホンダ事件判決が示した判断基準に基づけば,本件比較対象法人が事業活動を行う市場と本件国外関連者が事業活動を行う市場とが類似するものであるということはできない。その結果,本件比較対象法人は本件国外関連者との比較可能性を有するものとは認められない。 ホンダ事件判決は,本田技研工業株式会社のブラジル子会社が事業を行うブラジルのマナウス(ブラジル北部,アマゾナス州の州都)市場の条件に該当するマナウス税恩典制度が,比較対象法人が事業を行う他の市場においては通常得られない超過利益をもたらすので,残余利益の分割においてではなく,基本的利益の算定において考慮する必要があると 判示したものである。なお,ホンダ事件判決の説示においては,マナウ ス税恩典利益を享受するための基準は,「基本的活動のみ ではなく,基本的利益の算定において考慮する必要があると 判示したものである。なお,ホンダ事件判決の説示においては,マナウ ス税恩典利益を享受するための基準は,「基本的活動のみを行い重要な無形資産を有しない法人であっても有しているような基本的技術,ノウハウのみで満たすことのできるものであり,重要な無形資産の貢献がなければ満たすことができないものではないということができる。」とされているところ,仮に超過利益が重要な無形資産の貢献と,それとは別 個の比較可能性要因の貢献の双方によってもたらされる場合には,残余利益分割法の適用において,重要な無形資産とは別個の比較可能性要因の貢献による超過利益の部分はあくまで基本的利益の算定において考慮する必要があるものというべきである。 新規事業か陳腐化事業かの差異 本件比較対象法人の各ウェブサイトによれば,本件比較対象法人の事業開始年は,最も早いものがE15の1949年(昭和24年)であり,最も遅いものがE14の1991年(平成3年)である。これに対して,製品E2は,1991年(平成3年)以前には製品としてこの世の中に存在すらしていなかった。また,本件国外関連者が本件製品の製造・販 売を開始したのは2004年(平成16年)である。このように,本件各事業年度において,本件製品は新規製品であり,本件比較対象法人の製品は陳腐化製品であるという市場の状況の明白な違いが存在する。 競争状況の重大な差異2010年版ガイドラインは,市場の類似性の有無を決定する上での 重要な考慮要因として,「市場における競争の程度」を挙げている(上記)。 本件各事業年度当時,製品E2のほぼ全てを本件国外関連者とE6・ヨーロッパのみで製造販売していた(2社寡占状態)。新規参入 重要な考慮要因として,「市場における競争の程度」を挙げている(上記)。 本件各事業年度当時,製品E2のほぼ全てを本件国外関連者とE6・ヨーロッパのみで製造販売していた(2社寡占状態)。新規参入に大規模投資が必要な設備産業の場合には,規模の経済性が働くため,既に参 入している企業は規模の経済性のおかげで,低い生産費用で生産するこ とができ,それを武器として新規参入を阻止しようとするので,参入障壁が高くなって自然と独占が発生するとされている。本件国外関連者は,規模の経済が生み出した参入障壁のゆえに,EUの製品E2市場に先に参入した企業(本件の場合,E6・ヨーロッパと本件国外関連者)が寡占企業となり,先行者利益を享受できたのである。 これに対し,本件比較対象法人の競争状況は相当激しいものであったと推測される。このことは,本件比較対象法人の市場と競合する地理的市場(EU加盟国のうち西欧諸国を除いたもの)において自動車部品・付属品製造企業として活動中のものが3000社近くも存在するという事実からも明らかである。 このように,本件国外関連者と本件比較対象法人は,競争の状況が異なる。 取引段階の差異取引段階の類似性は,比較対象分析において重要な要素である。 本件国外関連者は,粉末素材である原料を購入し,これを化学変化さ せる加工を行って本件製品を製造するプロセス型の産業であり,「川上・川中産業」に位置付けられるのに対し,本件比較対象法人は,鋼材,金属部品等の中間製品を購入し,これに成形・加工等(ただし,化学変化は伴わない。)を行う非プロセス型の産業であり,「川中産業」に位置付けられるのであり,両者は取引段階においても異なる。 地理的市場の違い事業を行う国が異なっていれば取引 し,化学変化は伴わない。)を行う非プロセス型の産業であり,「川中産業」に位置付けられるのであり,両者は取引段階においても異なる。 地理的市場の違い事業を行う国が異なっていれば取引市場の差異は存在するのが通常である。チェコで製造事業を行うE17及びハンガリーで製造事業を行うE18は,ポーランドで製造事業を行う本件国外関連者とは取引市場を異にするものである。 本件各事業年度においては,ポーランドと,チェコ及びハンガリーと の間では,生産要素を含め製造活動に重大な影響を及ぼす要素について,相当大きな違いがある。ポーランドは,実質GDP(国内総生産)成長率が高く,経済成長を続けていながら,失業率が高いことから労働力の調達が容易で ,電気料金・ガス料金が低く,消費者物価上昇率・長期金利が中位で比較的安定しており,「中欧の優等生」と言われ,マクロ 経済はヨーロッパでも屈指の堅調さを見せている。ポーランド所在の企業の売上高営業利益率(4年平均)は9.59%であったのに対し,チェコは5.01%,ハンガリーは4.18%と明確な差異が見られた。 このような大きな差異は,事業環境の差異を反映したものと考えられる。 また,同じポーランド法人間でも,製品の販売市場が異なれば比較可 能性を欠くと解すべきである。ポーランド法人であるE14,E15及びE16,特に前二者(10.09%,33.37%)と比べて,本件国外関連者は国外売上比率が圧倒的に大きい(%)ので,両者間で製品の取引市場は異なると解すべきである。 ウ費用構造 本件国外関連者の事業内容を検討すると,本件国外関連者は多額の投資を要する設備産業である点に最も重要な経済的特徴がある。セラミックス製品である製品E2を製造するためには大規模 費用構造 本件国外関連者の事業内容を検討すると,本件国外関連者は多額の投資を要する設備産業である点に最も重要な経済的特徴がある。セラミックス製品である製品E2を製造するためには大規模設備が必要であり,また,多額の投資を要する以上,それが大きな費用負担として課され,その費用負担を超える利益をいかに獲得するかが本件国外関連者の事業 経営における最も重要な課題になるものである。 本件国外関連者は,素材を化学的に変化させて製品を製造するために大規模設備が必要なプロセス型の設備産業であり,資本集約度が高く,固定費の割合が相対的に大きいことから,売上高の伸び以上に企業の利益が増加するという収穫逓増型の費用構造を有するものである。かかる 費用構造は,本件国外関連者の事業の内容を構成するものとして,比較 対象法人の選定の際に考慮されるべきものである。 これに対し,本件比較対象法人は,素材を化学的に変化させることなく,部材を集めて加工・組立てを行い製品化するタイプの非プロセス型の産業であり,収益一定型の費用構造を有するものである。 そして,本件国外関連者と本件比較対象法人とでは,設備産業か否か の違いを反映して,それぞれの費用のうちに固定費・変動費が占める割合が大きく異なり,それゆえに固定費を吸収するための売上高の水準や,固定費を吸収した後の営業利益の水準も必然的に異なるので,それが両者の売上高営業利益率に差異を生じさせている。 本件国外関連者と本件比較対象法人との間においては,プロセス型事 業であるか非プロセス型事業であるかの相違に対応して,基本的事業活動を営むために使用する生産設備の規模に非常に大きな差異が存在しており,有形固定資産額の大きな差異として現れている。そして,有形固定資産規模 か非プロセス型事業であるかの相違に対応して,基本的事業活動を営むために使用する生産設備の規模に非常に大きな差異が存在しており,有形固定資産額の大きな差異として現れている。そして,有形固定資産規模の非常に大きな違いは,設備の減価償却等を通じて,費用構造の重大な違いをもたらしている。 「固定費対変動費比率」は企業の収益性に関して重要な意味を持ち,固定費と変動費の比率を含む費用構造の差異は,比較可能性要素であり(2010年版ガイドラインのパラグラフ2.70及び2.71),国税庁の参考事例集[事例11]においても,評価の対象とされている。 本件国外関連者及び本件比較対象法人の各財務諸表によれば,本件 国外関連者の有形固定資産・売上高比率は,本件比較対象法人(平均)の約倍(=/0.27)であり,有形固定資産の投資に見合う売上高を計上するために倍以上の長い期間を要し,設備投資を回収するための実質的負担が大きく,それに伴う投資回収リスクも高いという,設備(装置)産業としての特質を有する。典型的な固定費であ る減価償却費について,本件国外関連者の減価償却費/総営業費用比率 が約%である(被告の算定によっても%)のに対して,本件比較対象法人(平均)は約3.5%であり,また,典型的な変動費である原材料・部品費について,本件国外関連者の原材料・部品費/総営業費用率は約%であるのに対して,本件比較対象法人(平均)は約67.8%であって,大きな差異は否定の余地がない。 さらに,減価償却費/原材料費・部品費の数値を求めると,本件国外関連者が%,本件比較対象法人(平均)は5.5%であり,一層著しい差異がある。「取得時期や償却方法」に影響されない「取得価額」による分析によっても,有形固定資産の規模にお 数値を求めると,本件国外関連者が%,本件比較対象法人(平均)は5.5%であり,一層著しい差異がある。「取得時期や償却方法」に影響されない「取得価額」による分析によっても,有形固定資産の規模において本件国外関連者(約円)は本件比較対象法人(平均約14億円)の倍を 超えて大きく,有形固定資産回転期間(=有形固定資産(取得価額)/売上高)において本件国外関連者は本件比較対象法人(平均)の約倍(=/0.42)であり,両者の違いは明らかである。 以上の費用構造により,本件国外関連者において,生産量(出荷容積)の増加に対して,平均営業費用は,最初は急速に減少し,その後緩 やかに減少する曲線(L字型)を描く。本件比較対象法人においては,売上高の増加に対して,平均営業費用は概ね一定である。 これらの差異は,製造に要する設備に関して行った投資の大小という基本的な製造活動内容に由来しているので,その差異が結果としてもたらす営業利益及び営業利益水準の差異は,残余利益と峻別される基本的 利益の問題である。基本的利益は営業利益全体を構成する重要な部分であるから,設備規模及び費用構造に起因して本件国外関連者の売上高が伸びるほどに多くの利益(営業利益)が得られるのであれば,それに応じて,その重要な構成部分である基本的利益も当然増加するものである。 OECDガイドラインも,「固定費と変動費の比率」や間接固定費 (減価償却費等)を吸収するための売上高の水準の差異が,売上高営業 利益率に影響を与えることを明記し,固定費が大きい事業において売上高が高い水準にある場合,平均営業費用の低下という費用構造に起因する理由によって営業利益が高くなることを数値例により指摘している。 この場合に,そのような高い営業利益率の原因を きい事業において売上高が高い水準にある場合,平均営業費用の低下という費用構造に起因する理由によって営業利益が高くなることを数値例により指摘している。 この場合に,そのような高い営業利益率の原因を正しく特定せず,高い営業利益率のみに着目した移転価格課税を行うとすれば,それは誤謬 である旨をOECDガイドラインは述べているが,処分行政庁も同様の誤謬を犯している。 E23(E24大学大学院E25研究科教授)は,本件国外関連者と本件比較対象法人の事業の類似性の有無について,重要な生産要素である原材料,資本,労働に着目し,それらを表象する原材料費,営業資 産額及び労務費の金額を使用した分析を行い,さらに原材料,営業資産及び労働力それぞれと売上高との個別の関係のみならず,これら3つの生産要素を同時に取り扱う生産関数の統計的分析を行った。これらの回帰分析の結果,使用する生産要素に関し,本件国外関連者は資本が中心となっている資本集約度が高い事業であり,本件比較対象法人はそうで はないこと,本件国外関連者は売上高の伸び以上に利益が増加する収穫逓増型企業の特徴を強く示しているのに対して,本件比較対象法人は売上高の伸びほどには利益が伸びない収穫一定型企業の特徴を有していることが明らかにされた。(甲30)原告は,本件国外関連者と同様にセラミックス製品を製造し,その 工程も類似すると推察される企業(セラミックス企業群),及び,本件比較対象法人と同種の自動車部品・付属品を製造する企業(自動車部品企業群)を選定し,重要な無形資産を有する企業は除外したうえ,それぞれの企業群の費用構造(資本集約度及び費用増加率)に類型的・一般的な差異があるかを検証した(甲254)。具体的には,資本集約度を 示す指標として,①「減価償却費/ る企業は除外したうえ,それぞれの企業群の費用構造(資本集約度及び費用増加率)に類型的・一般的な差異があるかを検証した(甲254)。具体的には,資本集約度を 示す指標として,①「減価償却費/総営業費用比率」,②「原材料・部 品費/総営業費用比率」,③「減価償却費/原材料・部品費比率」及び④「有形固定資産/売上高比率」を計算し,かつ,売上高が1単位増加した場合に増加する総営業費用(費用増加率)を計算して,各企業群における資本集約度と費用増加率を分析した。 その結果,セラミックス企業群は,資本集約度が高く,費用増加率が 低く,売上高が増加しても総営業費用がそれほど増加しない収穫逓増型の費用構造を有するのに対し,自動車部品企業群は,資本集約度が低く,費用増加率が高く,収穫一定型の費用構造を有することが明らかになった。本件比較対象法人は,自動車部品企業群と同様,資本集約度が低く,費用増加率が高く,収穫一定型の費用構造を有するのに対して,本件国 外関連者は,セラミックス企業群よりもさらに資本集約度が高く,また,費用増加率が低く,収穫逓増型の費用構造を強く有しており,本件比較対象法人とは資本集約度の点でも費用増加率の点でも著しく異なり,この両者間における「装置産業的側面」の強弱は大きくかけ離れていることが実証された。 上記の分析に加えて,いずれも重要な無形資産を有しないセラミックス企業群及び自動車部品企業群の固定費の総営業費用に占める比率(固定費比率)と費用増加率の関係を調べたところ,両企業群を通じて,固定費比率が高いほど,費用増加率が低く,「製造原価に占める固定費部分」の割合が,売上高営業利益率に対して重要な影響を与えている蓋然 性があることが実証された。 エ機能の類似性機能の類似性 比率が高いほど,費用増加率が低く,「製造原価に占める固定費部分」の割合が,売上高営業利益率に対して重要な影響を与えている蓋然 性があることが実証された。 エ機能の類似性機能の類似性は比較可能性の要件である。このことは,平成23年税制改正後の措置法66条の4第2項が,独立企業間価格の算定に際し「当該国外関連取引の内容及び当該国外関連取引の当事者が果たす機能 その他の事情を勘案」すべき旨を規定していること等から明らかである。 独立した両当事者間の取引においては,対価は,(使用する資産及び引き受けるリスクを考慮に入れたうえで)各当事者が果たす機能を通常反映するため,機能の差異は,取引の対価にも差異を及ぼすものである。 製造企業の利益の水準は外部から調達した原材料の金額よりも,付加価値と対応する度合いが高いことから,具体的な機能の差異を表すもの として,加工等の程度の違いに着目すべきであり,その差異は利益率に影響すると理解されている。そして,本件国外関連者と本件比較対象法人は,製造工程の長短及び加工の程度の大小について,大きな違いがあるため,比較可能性があるとはいえない。 本件国外関連者は,プロセス型事業であり,粉末素材を原料として, これを化学的に変化させるプロセスを通じて本件製品を製造するため,多くの大規模な設備を使用して,上記原料を①調合,②混練・成形し,③乾燥・目封じをして,④焼成の上で,⑤組立・接合し,⑥外周研削後コート材を塗り,⑦完成後検査に至るという多数かつ複雑な加工工程を経て本件製品を製造する。これに対して,本件比較対象法人においては, 中間製品である金属板等を使用して製品を製造するために,原材料を化学的に変化させるというプロセスは存在せず,加工の程度は小さく,使用 品を製造する。これに対して,本件比較対象法人においては, 中間製品である金属板等を使用して製品を製造するために,原材料を化学的に変化させるというプロセスは存在せず,加工の程度は小さく,使用する設備も小規模である。 このことから,機能の違いや工程の長さと関わりの深い指標として,保有する有形固定資産に対する売上高の比率について大きな差異が存す る。本件比較対象法人の有形固定資産回転率の値は高く,本件比較対象法人平均で,本件国外関連者の約倍(=4.18/)である。一般に,利益率の高い業界の総資産回転率は低くなる一方,利益率の低い業界の総資産回転率は高くなるという傾向があることが実証分析によって明らかにされているところ,本件国外関連者と本件比較対象 法人は,上記の工程の長短に反映される機能の差に起因して,本来利益 率を異にする企業であることが明らかである。 製造工程の長短に表れる機能の差異は,費用構造に着目することで,定量的に把握し,より明確に示すことができる。企業が製品に付与する付加価値は,製造業の場合,入口(インプット)と出口(アウトプット)の差によって計測することが可能であり,仕入価格に関しては,当 該製造企業の貢献はないのに対し,原材料・部品の仕入後に要した費用(内部発生費用)には当該企業自身の貢献が現れる。 そして,本件国外関連者は総営業費用に占める内部発生費用(外部から調達した原料の金額を除いた費用であり,付加価値と対応する。)の割合が約%であり,本件比較対象法人(平均)の約32.2% と比較して顕著に高く,両者の機能が異なることを示している。両者間のこのような機能の程度の差は,売上高営業利益率%分に相当するが,本件各処分はこれを無視している。 オ事業規模の差異 と比較して顕著に高く,両者の機能が異なることを示している。両者間のこのような機能の程度の差は,売上高営業利益率%分に相当するが,本件各処分はこれを無視している。 オ事業規模の差異国税庁の定める事務運営指針は,基本的利益の算定において,事業 規模が類似する法人を検証対象法人の比較対象法人として選定しなければならない旨定めている(甲9)。すなわち,事業規模の類似性は,基本的利益の算定が適正なものとなるために必要な要件である。 有形固形資産の規模において,本件比較対象法人の規模は,本件国外関連者の未満にすぎず,両者の「設備の規模」は全く異な る。売上規模においても,本件各事業年度において,本件比較対象法人5社のうち3社が本件国外関連者の売上高のよりずっと小さい規模であり,未満の企業も5社中2社である。 このような水準の違いがある以上,本件国外関連者と本件比較対象法人との間に事業規模の類似性が認められないことは明らかである。 カリスクの差異 工場及び設備への投資損失リスク本件国外関連者と本件比較対象法人との間には,事業の特質,特に設備(装置)産業か否か及びこれに伴う費用構造の差異に相応して,リスクの差異が存する。 設備(装置)産業は高いリスクを有する。大きな設備投資を要する事 業(設備産業)においては,生産量の有無にかかわらず大きな固定費負担があるところ ,生産量が増加した場合には平均費用の低下が著しく収穫逓増の傾向が顕著であるのに対して,生産量が減少した場合には固定費の大きな負担のゆえに,損益が急速に悪化する。このような意味で,費用構造が収穫逓増である事業はハイリスク・ハイリターンである。 本件製品に対する需要増に対応して工場や設備を増設すること 定費の大きな負担のゆえに,損益が急速に悪化する。このような意味で,費用構造が収穫逓増である事業はハイリスク・ハイリターンである。 本件製品に対する需要増に対応して工場や設備を増設することは,本件国外関連者の製造能力及び安定供給機能を高めることになるが,他方で,本件国外関連者は,このような重大な投資損失リスクを負って,工場の新・増設のための投資を行ったものである。 これに対して,非設備(非装置)産業であり,資産規模も本件国外関 連者に比べてはるかに小さい本件比較対象法人は,上記のような巨額の設備投資に匹敵するような重大な損失リスクを負っていない。 為替リスクの差異本件国外関連者の本件製品販売の取引通貨はユーロがほとんどである。 したがって,本件国外関連者の所在するポーランドの通貨であるズロチ の対ユーロの価値が上昇することで,売上高が減少する。他方,本件国外関連者の費用は,その大半がズロチ建てで生じる。このように,本件国外関連者は,EU市場で販売を行うことに伴い売上高がユーロ・ズロチの為替レートによって変動するが,他方で費用はそれほどの変動を受けないため,ユーロ・ズロチの為替レート変動を要因として売上高営業 利益率が変動するというリスクを負っている。 2007年(平成19年)12月期から2008年(平成20年)12月期にかけて本件国外関連者のユーロ建て製品売上高は増加したが,2008年(平成20年)においてズロチの対ユーロ価格は前年に比べて大きく上昇したために,ズロチで評価した製品売上高は2007年(平成19年)12月期に比べ大きく減少している。また,逆に,20 09年(平成21年)はズロチ安に動いたので,本件国外関連者のユーロ建て売上高は2008年(平成20年)12月期に比べ 007年(平成19年)12月期に比べ大きく減少している。また,逆に,20 09年(平成21年)はズロチ安に動いたので,本件国外関連者のユーロ建て売上高は2008年(平成20年)12月期に比べ減少したが,ズロチで評価した製品売上高は増加している。このように,本件国外関連者は,ユーロ・ズロチの為替変動により売上高が大きな影響を受け,他方で前述のとおり費用は大きな影響を受けないために,売上高営業利 益率が左右されるリスクを負っている。 本件国外関連者に比べて,ポーランド所在の本件比較対象法人(E14,E15及びE16)のいずれも国外売上高比率が低く,本件国外関連者のように売上高において直接的に為替リスクを負うことはないから,為替リスクに重要な差異がある。また,ポーランド所在以外の本件比較 対象法人については,E17は国外売上高比率が低いので為替リスクを負う程度が低く,E18は国外売上高比率が高いが,それにより負うことになるリスクはハンガリーの通貨(フォリント)とユーロの為替レートの変動に関するリスクであり,ポーランドの通貨(ズロチ)とユーロの為替レートの変動に関するリスクとは異なる。 キその他本件比較対象法人のうちE15については,障害者雇用助成金を減算調整しただけでは,本件国外関連者との比較可能性を認めることはできない。 製造業であるE15にとって,工場経営は会社全体の経営の中枢を占 めるところ,重度の障害者を含む障害者が同社全従業員の半数程度も占 めているため,全部又はほとんどの従業員が健常者である場合に比べて,生産効率を含む工場経営の効率性が低下する可能性が高い。すなわち,重度又は中度の障害者は,社会的役割を果たすために他人の補助が必要となる者である以上,これらの障害者の 員が健常者である場合に比べて,生産効率を含む工場経営の効率性が低下する可能性が高い。すなわち,重度又は中度の障害者は,社会的役割を果たすために他人の補助が必要となる者である以上,これらの障害者の生産性は,健常者のそれと比較すれば相当低いものと考えざるを得ない。本件各事業年度において,本 件国外関連者の従業員には障害者は1人も含まれていなかった。したがって,両者間で「経営の効率性」は相当異なり,その結果,売上高営業利益率に直接的な影響を及ぼした可能性が高く,この点をもって比較可能性を失わせるに十分である。 また,処分行政庁は,本件比較対象法人の選定・除外基準として,本 件各事業年度のいずれかの年度において損失を計上している企業は全て除外するという基準を当初設けていたのであるから,当該基準に明らかに反する結果となる企業の選定は許されない。しかし,営業利益から障害者雇用助成金を減算すると2008年(平成20年)は赤字になるものであり,E15は,本件国外関連者との間に比較可能性が認められな い。 運転資本とは,一般に,企業の経常的用途のために投下され,短期間に回収される流動的な資本のことをいい,売掛金や買掛金の残高,棚卸資産の保有高の水準によって増減する。 本件国外関連者は,運転資本の対売上高比率が本件比較対象法人に比 べて高く,それに相応して,運転資本の調達に要する費用(運転資本コスト)を本件国外関連者より余分に負担しているので,同一条件での比較とするために,その分を調整(基本的利益に加算)する。上記適用の結果,運転資本の差異調整により,本件国外関連者の基本的利益に関する売上高営業利益率は,各事業年度について,それぞれ% (2006年〔平成18年〕),%(2007年〔平成1 運転資本の差異調整により,本件国外関連者の基本的利益に関する売上高営業利益率は,各事業年度について,それぞれ% (2006年〔平成18年〕),%(2007年〔平成1 9年〕),%(2008年〔平成20年〕)及び%(2009年〔平成21年〕)増加し,その結果,本件国外関連者の基本的利益の計算額に関し,対象事業年度合計で約円の影響が生じており,その分だけ,本件国外関連者に帰属する基本的利益が誤って小さく計算されていたことになる。 ⑶ 利益指標の選択についてア移転価格税制においては,独立企業であれば行ったであろう経済条件を見積もるものである以上,独立企業が価格算定において重視するような重要な経済的特徴を反映する営業利益指標をもって比較を行うのでなければならず,営業利益指標が検証対象取引の重要な経済的特徴における差異を 適切に表すものでなければ,比較そのものが合理性を欠く。 そして,合理的な利益指標とは,営業利益と最も相関性の高い利益率ベースを分母とする指標であるということができる。検証対象企業の事業の特徴を考慮し,利益の源泉が何かという観点から,最も適切な利益率ベースを選択することが重要となる。利益と利益率ベースとの相関性が なければ比較可能とならない。 イ売上高営業利益率など損益計算書ベースの利益水準指標を用いる場合には,資本集約度の差異も考慮する必要がある。資本は労働と並ぶ主要な生産要素であるが,どの程度資本を用いて企業活動を行うかは企業ごとに異なる。一般的に,販売業よりも製造業のほうが設備等に投資を要するため 資本集約的であるし,製造業の中でも資本集約的な業界と,そうでない業界がある。また同一製品の製造工程の中でも,資本集約的な工程と,労働集約的な工程がある。 資 うが設備等に投資を要するため 資本集約的であるし,製造業の中でも資本集約的な業界と,そうでない業界がある。また同一製品の製造工程の中でも,資本集約的な工程と,労働集約的な工程がある。 資本を投下して設備を導入することによって,より効率的な生産が可能となり,生産コストが下がるか,高付加価値製品の生産が可能となるこ とで利益率が向上するケースを想定すると,この場合,資本と利益の関 係が強く,売上や売上原価は事業に投下された資本の量やその費用を必ずしも適切に反映しないため,売上高営業利益率では正確な利益水準指標とならない可能性がある。 非設備(非装置)産業であり非プロセス型事業を行う本件比較対象法人の売上高営業利益率を利益指標として使用して,資本集約的な設備 (装置)産業でありプロセス型事業を行う本件国外関連者の本件基本的利益の金額を算定することは,明らかに不合理である。 第3 残余利益の分割方法の適否について(争点⑴②) 1 残余利益の分割方法について平成23年税制改正前の措置法施行令39条の12第8項1号(関係法令 等⑵イ)は,国外関連取引の各当事者が分割対象利益の獲得に寄与した程度に応じて当該利益を合理的に分割することを求めるものであるから,最初に,通常の事業活動が寄与した程度に応じて基本的利益を分割し,次に,残余利益をその獲得に寄与した程度を推測するに足りる要因に応じて分割する二段階の分割法(残余利益分割法)の適用も上記規定の下で認められる。そして, 最初の基本的利益として捉えることのできなかった超過利益である残余利益の獲得に寄与する分割要因は,重要な無形資産に必ずしも限定されるものではない。 2 本件への当てはめ⑴ 原告の重要な無形資産以外の要因の寄与が大きかったこと のできなかった超過利益である残余利益の獲得に寄与する分割要因は,重要な無形資産に必ずしも限定されるものではない。 2 本件への当てはめ⑴ 原告の重要な無形資産以外の要因の寄与が大きかったこと ア Euro規制は,EUの関係政府機関がEU加盟国に適用するものとして策定・施行したものである。Euro規制は,EU圏内の住民の健康保護とEUの大気環境の保護にあり,極めて属地性の強いものである。Euro規制等,消費者のディーゼル乗用車選好,費用構造及び事業規模(設備投資),それによる参入障壁の形成並びに市場の寡占状態の影響は,い ずれもEU側(本件国外関連者側)の要因であり,また,原告の重要な無 形資産とは別個のものであるから,原告に係る要因には該当しない。 したがって,これらの要因に起因する利益は全てEU側(本件国外関連者側)に帰属すべきものである。 イ重要な無形資産を有する他社との比較について本件各事業年度と同様,全く同じ本件国外関連取引に基づき供与され た重要な無形資産を用いて本件国外関連者において排ガス規制をクリアする製品E2の製造・販売活動を同様に行ったにも関わらず,また,原告において製品E2に係る研究開発が継続的に行われたにも関わらず,本件国外関連者は最近の事業年度において超過利益を獲得できていないのに対して,本件各事業年度においては多額の超過利益を獲得できてい たのは,重要な無形資産よりも,それ以外の寄与の方が大きかったためである。 すなわち,本件各事業年度に係る2006年(平成18年)から2009年(平成21年)においてはE6・ヨーロッパと本件国外関連者の2社寡占状態であったが,本件各事業年度後の2010年(平成22 年)頃からE9のAT-DPF(前提事実⑵イ 18年)から2009年(平成21年)においてはE6・ヨーロッパと本件国外関連者の2社寡占状態であったが,本件各事業年度後の2010年(平成22 年)頃からE9のAT-DPF(前提事実⑵イ)の販売量が増加しマーケットシェア%以上の有力な競合品となり,同社を加えた3社寡占の状態に変容していった。E9が製造するAT-DPFの原料であるチタン酸アルミニウムは,炭化ケイ素(SiC)よりも安価であるために,AT-DPFは,製品E2に比べて価格競争力を有しており,本件 各事業年度後,上記の特性を持つE9のAT-DPFの市場シェアが増加するにつれて,製品E2の販売単価は大きく下落していった。 また,2015年(平成27年)に発覚したE10の排ガス不正問題などによりディーゼル車の技術及び検査に対する消費者の不信感が高まり,EUの自動車市場における消費者のディーゼル乗用車選好に大きな影響 を及ぼした。また,複数の国や地域がディーゼル車の販売又は乗入れの 禁止を打ち出したこともあり,EU加盟国を含む多くの国々において,ディーゼル乗用車から電気乗用車やガソリン乗用車への流れが急加速してきており,本件各事業年度においては,乗用車の販売台数に占めるディーゼル乗用車の割合(単純平均)は50%を超えていたにもかかわらず,2017年(平成29年)には44.0%,2018年(平成30 年)には35.9%と大きく落ち込んできている。 そして,E9のAT-DPFが有力な競争品となったことによる製品E2の販売単価の大幅な下落に続く,上記ウの消費者のディーゼル乗用車離れに伴う製品E2需要の減少という市場環境の急激な変化を反映して,本件国外関連者における製品E2に係る売上高営業利益率も,原告にお いて製品E2に係る研究開発が ウの消費者のディーゼル乗用車離れに伴う製品E2需要の減少という市場環境の急激な変化を反映して,本件国外関連者における製品E2に係る売上高営業利益率も,原告にお いて製品E2に係る研究開発が継続的に行われたにもかかわらず,大きく低下してきている(2018年〔平成30年〕3月期は%,2019年〔平成31年〕3月期は%〔その下半期は%〕)。 これらの事実は,重要な無形資産のみでは本件国外関連者の営業利益を 増大させることができなかった(特に, 2019年〔平成31年〕3月の下半期)こと,及び,本件各事業年度における本件国外関連者の営業利益増大に対して,重要な無形資産よりも,当時のEU市場の特殊性(消費者のディーゼル乗用車選好が強く乗用車販売総数に占める割合が5割を超えるほどだったこと,参入障壁の形成に よるE6・ヨーロッパとの2社寡占状態の形成等)の寄与の方が大きかったことを表している。すなわち,本件各事業年度におけるかかる市場の特殊性に起因する製品E2に対する超過需要をE6・ヨーロッパと本件国外関連者が分け合ったことが超過利益獲得の主たる要因であった。 ウ 2社寡占状態について 本件国外関連者は,Euro規制等により,製品E2について大きな 需要が生じたため,これに対応できるように工場の増設等の設備投資を行い,増産体制の構築等を行った。本件国外関連者は,設備稼働率が低くなると固定費が回収できない「設備稼働率リスク」などの,設備投資による実質的かつ重大なリスクを負い,多数の工場労働者を雇用して工場を自主運営し大量生産を行う体制を整えた結果,本件国外関連者の製 品E2の生産・供給力は増強された。 そして,本件国外関連者は,大規模設備を稼働させて製品E2の大量生産を行い低価格で供 て工場を自主運営し大量生産を行う体制を整えた結果,本件国外関連者の製 品E2の生産・供給力は増強された。 そして,本件国外関連者は,大規模設備を稼働させて製品E2の大量生産を行い低価格で供給できることにより,競争優位に立ち,EU市場に先に参入したE6・ヨーロッパと共に寡占企業となった。 これについて,セラミックス製DPF製造業は大規模設備が必要な設備 (装置)産業であり,同産業に属する本件国外関連者の事業には規模の経済が働いていること,そのような規模の経済が生み出した参入障壁のゆえに,原価低減を図れない企業は淘汰されることは,後の参入を企図したE26とE27のセラミックス製DPF合弁事業計画中止の例(甲59,60)や,E12が更に遅れて参入後,短期間のうちにポーラン ド子会社のセラミックス製DPF工場等の生産設備の減損損失(事業用固定資産の収益性が低下して投資金額の回収見込みが立たなくなった場合に,その資産の簿価を一定の条件の下で回収可能な金額に減額させることによる損失)を計上しその後撤退した例(甲96,153~155,257)によっても,具体的に示されている。 また,本件各事業年度開始前にEU市場に参入し(E6グループとの合弁会社も有し)かつ多くの特許を含む高度な技術を保有していたE11のマーケットシェアが増加せず,E12も同様であることからすれば,2社寡占状態は重要な無形資産によりもたらされた結果そのものとはいえない。 エ E7の販売機能(本件販売活動)について 本件国外関連者は販売部門を有しておらず,E7が製品E2について販売機能(本件国外関連者の販売部門であれば果たすであろう機能)を果たしている(前提事実⑶ウ)ところ,E7は,1985年(昭和60年)以降30年超と は販売部門を有しておらず,E7が製品E2について販売機能(本件国外関連者の販売部門であれば果たすであろう機能)を果たしている(前提事実⑶ウ)ところ,E7は,1985年(昭和60年)以降30年超という長期にわたり,EUの自動車メーカーとの間で取引上の信頼関係を構築・発展・維持し,そのマーケティング・販売 技術サポート活動により,EUにおける製品E2の売上増に大きく寄与している。すなわち,EUの自動車メーカーとの取引関係を維持・強化し,製品E2に対する発注を獲得し発注量を増加させるには,製品E2は乗用車の排気系統の構成部品の一つとして位置付けられていることから,技術面のすり合わせを頻繁に長期間継続して行い,開発・量産過程 において自動車メーカーからの様々な技術的な要求や質問等に対応していかなければならない。実質的に見て製品E2に係る本件国外関連者の独占的な販売コミッション・エージェントであるE7は,Euro規制等の動向を探知し,EUの自動車メーカーから情報を得て需要動向の予測を行い,技術力を活かした販売・技術・マーケティング活動(以下, このような活動に係る機能を「独自販売機能」という。)を行い,その対応を適切に行っているのであり,製品E2に対する受注を増加するのに大きな貢献をしたといえる。 なお,E7と本件国外関連者との間で所得移転の蓋然性がないとしても,ここで議論しているのは,本件国外関連者の実質的販売代理人 (販売部門)であるE7の本件販売活動が本件国外関連者(製造部門)の製造活動と結び付き,両者が相まって超過利益を生み出しているかどうかであるから,E7による本件超過利益への貢献が否定されるものではない。 オ部門の貢献について 生産性向上に寄与する部門費も,本件国外関連者の分割要因に含 利益を生み出しているかどうかであるから,E7による本件超過利益への貢献が否定されるものではない。 オ部門の貢献について 生産性向上に寄与する部門費も,本件国外関連者の分割要因に含め る必要がある。 これに対し,現地の製造過程における試行錯誤によって重要なノウハウが形成されており,このノウハウの蓄積は,原告における研究開発と質量ともに劣らないものであ る。本件国外関連者も重要なノウハウを要し,当該ノウハウが蓄積,管理されている。 製品E2の製造における試行錯誤は,本件国外関連者の部門において製造工程を検証・調整することのみならず,部門において,品質管理に係る活動を すること(以下,同活動に係る機能を「部門独自機能」という。)によって行われたものであり,本件国外関連者においては,部門のみならず,部門も重要な無形資産の形成に寄与している。 カ本件投資判断について原告による経営判断(設立前事業計画の策定及び設立後事業計画見 直し)は,親会社としての投資決定という性質を有するにすぎず,本件国外関連者がこれらの投資決定や実行について原告に対し直接の対価として報酬を支払う性質の活動ではない。 残余利益の分割は,検証対象である本件国外関連取引(本件ライセンス契約)に係る独立企業間価格(ロイヤルティー)を算定するために 行うものであるから,そこで考慮に入れるべき原告の寄与・貢献は,同 契約のライセンサーとしての寄与・貢献に限られるべきである。そもそも,経営判断そのものに対してライセンス契約の下で対価が支払われるものではなく,そのような経営判断に基づいて実際に費用が支出された研究開発活動により生み出された無形資産を同契約の下で供与することに も,経営判断そのものに対してライセンス契約の下で対価が支払われるものではなく,そのような経営判断に基づいて実際に費用が支出された研究開発活動により生み出された無形資産を同契約の下で供与することによって,初めて対価(ロイヤルティー)を得ることができるのである。 投資家としての原告の法的地位とその実質である活動内容・機能は,ライセンサーとしての原告の法的地位や活動内容・機能とは全く異なるものである。投資家としての原告のリターンは,ライセンサーとしての原告が受け取るべきリターン(ロイヤルティー)とは全く別個のものであり,両者を混同するならば,本件国外関連取引に係る残余利益の分割 は明白に誤ったものとなり,正確な独立企業間価格の算定はできなくなってしまう。 原告の投資家(株主)としての機能や活動を考慮することは,移転価格税制の中核を構成する独立企業原則に反するものというべきである。 キ 「有償性のある活動」及び便益テストについて 原告が投資家(株主)としての立場において行う活動を利益分割法の分割要因を決定するに当たって考慮することは,独立企業原則に反する結果となるところ,かかる結論は,移転価格税制の適用対象となる役務提供の範囲に関して適用される便益テスト(別紙5の第3の2⑶ウ)との整合性という観点からも導かれる。 すなわち,グループ企業の事業活動は,究極的には全て最上位の親会社の意思に基づくと位置付けられかねないのであって,株主としての意思や計画をそのまま考慮すると,子会社の活動は全て親会社に帰着し,その活動による(ノン・ルーチン)利益は親会社に帰属するとの考え方も導き得る。しかし,親会社又は投資家としての抽象的属性それ自体は, 独立した企業間の取引における対価の支払の根拠となるものではない。 る(ノン・ルーチン)利益は親会社に帰属するとの考え方も導き得る。しかし,親会社又は投資家としての抽象的属性それ自体は, 独立した企業間の取引における対価の支払の根拠となるものではない。 独立企業原則の下では,株主の意思や計画が親会社又は投資家という属性を捨象してなお子会社に具体的な便益を直接与えた場合に初めて,独立企業は,その便益を与えた役務に対して,対価を支払うのである。 グループ内役務提供における便益テストは,類似の状況にある独立企業が当該役務提供に対して報酬を支払うか否かを判断するものである (2010年版ガイドラインのパラグラフ7.6~7.13)。 そして,本件投資判断に係る原告の活動は,本件国外関連者が原告に対して報酬を支払う性質のものではない。 原告が,設立前の本件国外関連者の事業計画の策定を行っていたとしても,そもそも設立前の未だ法人格を有していない子会社は契約の当 事者となり得ないので,当該策定の対価の請求を行うことはできない。 また,設立前の本件国外関連者の事業計画の策定及び設立後の本件国外関連者の事業計画の見直しを中心になって行ったのは,原告ではなく,E7及び本件国外関連者であった。 原告は,あくまでE7及び本件国外関連者が策定した事業計画及び設 立後事業計画見直しに基づいて,投資家(株主)として投資・出資に関する判断をしていたにすぎない。仮に,原告自身が上記活動を行っていたとしても,事業計画の実行を伴わなければ超過利益を獲得することはできないところ,事業計画を実行したのは本件国外関連者である。 また,設立前事業計画の策定及び設立後事業計画見直しが単なる投資 家(株主)の活動に該当しないとしても,当該役務提供取引自体について独立企業間価格を算定すれば足りるの 本件国外関連者である。 また,設立前事業計画の策定及び設立後事業計画見直しが単なる投資 家(株主)の活動に該当しないとしても,当該役務提供取引自体について独立企業間価格を算定すれば足りるのであり,別個の取引単位である本件国外関連取引の独立企業間価格の算定とは切り離して扱うべきものである。 便益テストに当てはめても,設立前事業計画の策定及び設立後事業計 画見直しに係る作業は,本件国外関連者が原告に対して報酬を支払う性 質のものではないから,便益テストを満たさない。 クリスク分析について改正後措置法施行令39条の12第8項1号ハ(関係法令等⑶ア)を見ても,「リスク」という表現は一切規定されておらず,「機能」と「独自の機能」という用語が規定されているだけである。また,令和元 年に改正された措置法通達においても,2017年版ガイドラインとは異なり,「リスク分析」について新たな項目を設けるようなことはしていない。同通達66の4⑶-3は,リスクについてあくまで「機能」の類似性分析の中で検討される一考慮要素と位置付けているにすぎない。 移転価格税制におけるリスク分析に関する我が国の法令通達の考え方は, 2017年版ガイドラインではなく,むしろ2010年版ガイドラインの内容と整合性を有している。 したがって,2017年版ガイドラインのリスク分析の記載内容に過度に依拠し,機能分析から逸脱するリスクの認定を行うべきであるとする被告の主張は,合理的なものではない。 この点を措いても,原告の負担により本件国外関連者のリスクが極限まで低減されたという被告の主張は誤りである。 本件国外関連者は,本件製品の製造及び販売において,実質的なリスクを負っていた。 具体的には,① リスク,②製品の歩 国外関連者のリスクが極限まで低減されたという被告の主張は誤りである。 本件国外関連者は,本件製品の製造及び販売において,実質的なリスクを負っていた。 具体的には,① リスク,②製品の歩留まりが向上しないリスク,③生産設備の増設に伴うリスク,④災害や事故によって生産設備に被害が発生するリスク,⑤設備稼働率リスク(市場動向による生産量の多寡の影響,オペレーションの巧拙や故障・保守点検のための不使用時間の多寡,保有する生産能力の大きさの影響),⑥多数の工場労働者を雇用することに伴うリス クである。 被告は, また,本件国外関連者は,製造方法や条件等のわずかな違いにより著しく変化するセラミックスを取り扱うため,歩留まりの安定のために長期間の試行錯誤を要し,特に,スタートアップ期には特異な問題により歩留まり率の落ち込みは激しく,約半分にまで落ち込み,顕著なリスク を負っていたものである。 また, 本件国外関連者は,製品E2に対する需要予測に係る不確実性が存在する状況下で大規模な設備投資をしたものであり,操業度が低下し,償却負担により営業損失を被るリスクを負っていた。このような投資リスクは,残余利益の分割要因の一つにほかならないものである。 本件国外関連者が市場リスク等の重大なリスクを負っていることは, 本件国外関連者がポーランドの税務当局に提出した書面(取引記録)の 記載からも明らかである。 ⑵ あるべき分割方法ア本件超過利益には重要な無形資産とは別個の要因によってもたらされた超過利益が含まれているにもかかわらず,本件分割方法は分割要因として原告の製品E2に係る研究開発費及び本件国外関連者の部門費のみを 用いて残余利益を分割した結果 別個の要因によってもたらされた超過利益が含まれているにもかかわらず,本件分割方法は分割要因として原告の製品E2に係る研究開発費及び本件国外関連者の部門費のみを 用いて残余利益を分割した結果,本件国外関連者の寄与を不当に過小評価してしまっている。 イ本件超過リズムの発生メカニズムの要点は,上記第1に述べたとおり,①Euro規制等や②消費者のディーゼル乗用車選好の結果生じたディーゼル乗用車数の多さにより,③EUの自動車メーカーのセラミックス製D PFに対する需要が急増し,これに対応できるよう,④重要な無形資産の寄与のほか,⑤本件国外関連者が設備を増設することにより大量生産・供給体制を構築し,⑥本件製品の生産・供給量の増加を通じた原価低減により競争力を向上させ,また,多額の設備投資による参入障壁の構築により2社寡占状態を形成した結果として本件製品の販売単価への下落圧力を抑 制する効果を有していた状況下で,⑦本件国外関連者の実質的販売部門であるE7が上記需要増を本件製品への受注増の形で取り込み,⑧本件製品の売上高を増加させた結果,⑨本件国外関連者の売上高の伸びほどに費用が増加しない費用構造により,営業利益が増加し規模の利益が実現したものである。 このような本件超過利益の発生メカニズムを残余利益の分割において社会通念上合理的に反映するためには,本件超過利益の獲得に寄与した,上記⑤(本件国外関連者の本件設備投資)及び⑦(E7の本件販売活動)を追加の分割要因として取り込む必要がある。その際,基本的利益において考慮されている通常の製造・販売機能を超える独自の製造・販 売機能に着目して当該機能を反映する分割要因を選定する必要があると ころ,これらを具体的な費用との関係で見ると,以下のとおりである る通常の製造・販売機能を超える独自の製造・販 売機能に着目して当該機能を反映する分割要因を選定する必要があると ころ,これらを具体的な費用との関係で見ると,以下のとおりである。 本件国外関連者の減価償却費につき本件超過利益の発生メカニズムに鑑みれば,その中心的役割を果たしたのは,本件国外関連者による積極的な本件設備投資であった。そして,設備投資額を合理的に表象する費用は減価償却費である。 超過利益獲得に関する本件国外関連者(ライセンシー)側の投資寄与度の評価に当たっては,本件各事業年度における本件国外関連者の部門以外に係る減価償却費から,基本的利益の算定において考慮されている製造に係る通常の機能(設備投資)を表すものと評価できる減価償却費の額を控除し,当該減価償却費を超えた部分(以下「超過減価償却 費」という。)を算出することによって,超過利益に貢献した独自の機能(以下「独自製造機能」という。)を表す費用を求めることができる。 そこで,本件比較対象法人の減価償却費の売上高に占める割合の平均を求め,その比率を本件国外関連者の売上高に乗じることによって,本件国外関連者の通常の製造機能を表象する費用の金額を求め,これを本 件国外関連者の部門以外に係る減価償却費から控除したものが本件独自機能を示す超過減価償却費であり,その金額は次のとおりである。 2006年(平成18年)円2007年(平成19年)円2008年(平成20年)円 2009年(平成21年)円E7の貢献につきE7の独自販売機能(上記⑴エ)に係る分割要因の算定は,本件国外関連者がE7の販売機能に対して負担した対価(E7による本件製品の正味売上高の%)に,E7の総人員に対 円E7の貢献につきE7の独自販売機能(上記⑴エ)に係る分割要因の算定は,本件国外関連者がE7の販売機能に対して負担した対価(E7による本件製品の正味売上高の%)に,E7の総人員に対する技術部員数の占める割合 (技術者比率)を乗じて算出した金額をE7の独自販売機能を表す分割 要因とすることが合理的である。 これにより算出されるE7の独自販売機能に係る費用の額(以下「独自販売費」という。)は以下のとおりであり,これを本件国外関連者の分割要因に追加すべきである。 2006年(平成18年)円 2007年(平成19年)円2008年(平成20年)円2009年(平成21年)円 部門の貢献につき 部門独自機能(上記⑴オ)は,本件超過利益の発生原因であるこ とから,以下の部門費も本件国外関連者の分割要因に追加すべきである。 2006年(平成18年)円2007年(平成19年)円2008年(平成20年)円 2009年(平成21年)円ウェイト付けの主張に関し被告は,重要な無形資産及び超過減価償却費というそれぞれの要因が分割対象利益の発生に寄与した程度に応じてウエイト付けをしなければならない旨主張する。しかし,重要な無形資産に係る費用(研究開発 費及び部門費)の内訳を見ると,減価償却費と人件費等が混在しているところ,処分行政庁はそれらを同等の価値を表すものとして何ら調整(ウエイト付け)を行うことなく,そのままの金額を用いている。そうであれば,原告主張の超過減価償却費を加算した残余利益の分割においても,ウエイト付けは不要と解すべきである。 被告の主張する (ウエイト付け)を行うことなく,そのままの金額を用いている。そうであれば,原告主張の超過減価償却費を加算した残余利益の分割においても,ウエイト付けは不要と解すべきである。 被告の主張する原告に係る分割要因(事業計画策定・見直し及び各種 リスク負担)の寄与割合は,課税要件事実としての具体的数値が主張されていない以上0%とせざるを得ない。したがって,本件分割方法において用いられなかった本件国外関連者に係る超過利益獲得の分割要因として合理的に数値化できる具体的要因が存在することを原告が指摘すれば十分であり,厳格なウエイト付けまでを原告において主張・立証する ことはそもそも求められないのである。 ウ処分行政庁は,Euro規制等の非無形資産の要因による超過利益が分割対象に含まれていることの影響を考慮せずに残余利益分割法を適用していることからすれば,正しい法令適用に基づいて,国外関連取引の対価が独立企業間価格に満たないとの立証があるとは認められないため,本件各 更正処分は全部取り消されるべきである。 なお,E7の独自販売機能を表象する費用(独自販売費)等を考慮せずに,本件国外関連者の独自製造機能を表象する費用(超過減価償却費)だけを分割要因に追加するとした場合,本件各処分のうち平成19年3月期,平成20年3月期及び平成21年3月期に係るものは全て取 り消されることになり,また,平成22年3月期分に係るものについても,ほとんどが取り消されることになる。 次に,超過減価償却費のみならずE7に係る独自販売費も分割要因に追加するとした場合,部門費を追加するまでもなく,本件各処分は全て取り消されることになる。 エ公開された複数のロイヤルティデータベースによるロイヤルティ料率調査によれば,本 分割要因に追加するとした場合,部門費を追加するまでもなく,本件各処分は全て取り消されることになる。 エ公開された複数のロイヤルティデータベースによるロイヤルティ料率調査によれば,本件国外関連者と関連する分類において,いずれも最大値10.0%,中央値4.5%ないし3.0%であった。特許庁の実態調査においても,本件国外関連者と関連する分類において,最大値10.0%,平均値3.0%~4.0%であった。これに対し,本件各更正処分を反映 したロイヤルティ料率は,%(4事業年度平均)であり,特に 平成22年3月期は%となり,異常である。 第4 理由付記の不備の有無(争点⑵)について本件において,原告の研究開発活動と「究極の投資家」としての活動は,それぞれ異なる法的地位に基づき,異なる経済的実質を持ち,事実関係としても異なるものであるから,本件各更正処分に係る通知書の記載から「究極の投資家」と しての原告の活動が残余利益分割の要因となり,巨額の課税の根拠となっていることを容易に知り得たはずもなく,その記載は,処分行政庁の恣意を抑制し,不服の申立に便宜を与えるものではない。このように判断過程を逐一検証することができず,法適用の理由を容易に知りえない理由付記は,違法である。 以上 (別紙7)課税の根拠(裁判所の認定) 1 所得金額及び法人税額について⑴ 原告の本件各事業年度の所得金額及び納付すべき法人税額は,以下のとおり である。 ⑵ 平成19年3月期原告の平成19年3月期の所得金額は円,納付すべき法人税額は円である。 これらの計算根拠は次のとおりである。 ア所得金額円上記金額は,次のの金額にの金額を加 9年3月期の所得金額は円,納付すべき法人税額は円である。 これらの計算根拠は次のとおりである。 ア所得金額円上記金額は,次のの金額にの金額を加算した金額からの金額を減算した金額である。 平成19年3月期直前申告の所得金額 円 上記金額は,平成19年3月期直前申告における所得金額(別表17⑦「」欄)と同額である。 所得金額に加算すべき金額円上記金額は,平成19年3月期におけるE3(本件国外関連者)に対する国外移転所得金額0円(別表D「3」欄)とE8に対する国外移転所 得金額円(別表17⑩「平成28年6月21日本件裁決後」欄)との合計額である。 上記のE8に対する国外移転所得金額は,原告とE8との間で行った国外関連取引について,原告がE8から支払を受けた対価(ロイヤルティ)の額が,同取引に係る独立企業間価格に満たないことから,措置法 66条の4第1項の規定に基づき,同取引が独立企業間価格により行わ れたものとみなして算出した原告の当期の所得金額に加算すべき金額(ただし,平成19年3月期減額更正後のもの。)である。 事業税の損金算入額円上記金額は,平成18年3月期に係る平成24年3月27日付け更正処分直前の所得金額である円(別表17① 「」欄。1000円未満切捨て。)に,事業税の標準税率である7.68%を乗じて算出した事業税相当額円(100円未満切捨て。)と,平成18年3月期に係る平成24年3月27日付け更正処分の所得金額である円(別表17①「平成24年3月27日更正処分」 欄。1000円未満切捨て。)に事業税の標準税率で 0円未満切捨て。)と,平成18年3月期に係る平成24年3月27日付け更正処分の所得金額である円(別表17①「平成24年3月27日更正処分」 欄。1000円未満切捨て。)に事業税の標準税率である7.68%を乗じて算出した事業税相当額円との差額であり,損金の額に算入される金額である。 イ所得金額に対する法人税額円上記金額は,上記アの所得金額円(1000 円未満切捨て。)に,法人税法66条1項(平成19年法律第6号による改正前のもの。)に規定する税率(100分の30の割合)を乗じて算出した金額である。 ウ法人税額の特別控除額円上記金額は,試験研究費の額が増加した場合の法人税額の特別控除額であ り,平成19年3月期直前申告における金額と同額である。 エ法人税額から控除される所得税額等円上記金額は,法人税法68条(平成20年法律第23号による改正前のもの。)に規定する法人税額から控除される所得税額と,同法69条(平成21年法律第13号による改正前のもの。後記⑶,⑷において同じ)に規定す る法人税額から控除される外国税額との合計額であり,平成19年3月期直 前申告における金額と同額である。 オ納付すべき法人税額円上記金額は,上記イの金額から上記ウの金額と上記エの金額を差し引いた金額(100円未満切捨て。)である。 カ既に納付の確定した法人税額円 上記金額は,平成19年3月期直前申告において納付の確定した法人税額(別表17⑫「」欄)と同額である。 キ差引納付すべき法人税額円上記金額は,上記オの金額から上記カの金額を差し引いた金額であり,原告が新たに納付すべき の確定した法人税額(別表17⑫「」欄)と同額である。 キ差引納付すべき法人税額円上記金額は,上記オの金額から上記カの金額を差し引いた金額であり,原告が新たに納付すべき法人税額である。 ⑶ 平成20年3月期原告の平成20年3月期の所得金額は円,納付すべき法人税額は円である。 これらの計算根拠は次のとおりである。 ア所得金額円 上記金額は,次のの金額にの金額を加算した金額からの金額を減算した金額である。 平成20年3月期直前処分の所得金額 円上記金額は,平成20年3月期直前処分における所得金額(別表17⑬ 「」欄)と同額である。 所得金額に加算すべき金額円上記金額は,平成20年3月期におけるE3(本件国外関連者)に対する国外移転所得金額0円(別表D「3」欄)とE8に対する国外移転所得金額円(別表17⑯「平成28年6月21日本件裁 決後」欄)との合計額である。 上記のE8に対する国外移転所得金額は,原告とE8との間で行った国外関連取引について,原告がE8から支払を受けた対価(ロイヤルティ)の額が,同取引に係る独立企業間価格に満たないことから,措置法66条の4第1項の規定に基づき,同取引が独立企業間価格により行われたものとみなして算出した原告の当期の所得金額に加算すべき金額 (ただし,平成20年3月期減額更正後のもの。)である。 事業税の損金算入額円上記金額は,平成19年3月期直前申告の所得金額円(別表17⑦「」欄。1000円未満切捨て。)に,事業税の標準税率である7.68%を乗じて算出 した事 算入額円上記金額は,平成19年3月期直前申告の所得金額円(別表17⑦「」欄。1000円未満切捨て。)に,事業税の標準税率である7.68%を乗じて算出 した事業税相当額円と,上記⑵アの平成19年3月期の所得金額円(1000円未満切捨て。)に事業税の標準税率である7.68%を乗じて算出した事業税相当額円との差額であり,損金の額に算入される金額である。 イ所得金額に対する法人税額円上記金額は,上記アの所得金額円(1000円未満切捨て。)に,法人税法66条1項(平成20年法律第23号による改正前のもの。)に規定する税率(100分の30の割合)を乗じて算出した金額である。 ウ法人税額の特別控除額円上記金額は,試験研究費の額が増加した場合の法人税額の特別控除額であり,平成20年3月期直前処分における金額と同額である。 エ法人税額から控除される所得税額等円上記金額は,法人税法68条(平成20年法律第23号による改正前のも の。)に規定する法人税額から控除される所得税額と,同法69条に規定す る法人税額から控除される外国税額との合計額であり,平成20年3月期直前処分における金額と同額である。 オ納付すべき法人税額円上記金額は,上記イの金額から上記ウの金額と上記エの金額を差し引いた金額(100円未満切捨て。)である。 カ既に納付の確定した法人税額円上記金額は,平成20年3月期直前処分において納付の確定した法人税額(別表17⑱「」欄)と同額である。 キ差引納付すべき法人税額円上記金額は,上記オの金額から上記カの金額を差し引いた金 成20年3月期直前処分において納付の確定した法人税額(別表17⑱「」欄)と同額である。 キ差引納付すべき法人税額円上記金額は,上記オの金額から上記カの金額を差し引いた金額であり,原 告が新たに納付すべき法人税額である。 ⑷ 平成21年3月期原告の平成21年3月期の所得金額は円,納付すべき法人税額は円である。 これらの計算根拠は次のとおりである。 ア所得金額円上記金額は,平成21年3月期直前申告の所得金額(別表17⑲「」欄)と同額である。 なお,平成21年3月期におけるE3(本件国外関連者)に対する国外移転所得金額は0円であり(別表D「3」欄),E8に対する国外移転所得金 額も0円である(別表17㉒「平成26年1月28日本件減額更正処分」欄)。 また,上記のとおり,所得金額は平成21年3月期直前申告と同額であり,事業税の損金算入の時期の特例については,事業税の損金算入のみを行う場合(申告等により確定した所得金額ないし税額の減額のみを行う場合)には 適用されないことから,事業税の損金算入額は0円である。 イ所得金額に対する法人税額円上記金額は,上記アの所得金額円(1000円未満切捨て。)に,法人税法66条1項(平成22年法律第6号による改正前のもの。)に規定する税率(100分の30の割合)を乗じて算出した金額である。 ウ法人税額の特別控除額円上記金額は,試験研究費の額が増加した場合の法人税額の特別控除額であり,平成21年3月期直前申告における金額と同額である。 エ法人税額から控除される所得税額等円上記金額は,法人税法68条(平成23年法律第114号 増加した場合の法人税額の特別控除額であり,平成21年3月期直前申告における金額と同額である。 エ法人税額から控除される所得税額等円上記金額は,法人税法68条(平成23年法律第114号による改正前の もの。)に規定する法人税額から控除される所得税額と同法69条(平成21年法律第13号による改正前のもの。)に規定する法人税額から控除される外国税額との合計額であり,平成21年3月期直前申告における金額と同額である。 オ納付すべき法人税額円 上記金額は,上記イの金額から上記ウの金額と上記エの金額を差し引いた金額(100円未満切捨て。)である。 カ既に納付の確定した法人税額円上記金額は,平成21年3月期直前申告において納付の確定した法人税額(別表17㉔「」欄)と同額である。 キ差引納付すべき法人税額 0円上記金額は,上記オの金額から上記カの金額を差し引いた金額である。 ⑸ 平成22年3月期原告の平成22年3月期の所得金額は円,納付すべき法人税額は円である。 これらの計算根拠は次のとおりである。 ア所得金額円上記金額は,次のの金額にの金額を加算した金額からの金額を差し引いた金額である。 平成22年3月期直前申告の所得金額 円 上記金額は,平成22年3月期直前申告における所得金額(別表17㉕「平成22年6月29日確定申告」欄)と同額である。 所得金額に加算すべき金額円上記金額は,平成22年3月期におけるE3(本件国外関連者)に対する国外移転所得金額(別表D「3」欄)である 年6月29日確定申告」欄)と同額である。 所得金額に加算すべき金額円上記金額は,平成22年3月期におけるE3(本件国外関連者)に対する国外移転所得金額(別表D「3」欄)である。 この国外移転所得金額は,原告とE3との間で行った本件国外関連取引について,原告がE3から支払を受けた対価(本件ロイヤルティ)の額が,同取引に係る独立企業間価格に満たないことから,措置法66条の4第1項の規定に基づき,同取引が独立企業間価格により行われたものとみなして算出された原告の当期の所得金額に加算すべき金額である。 なお,E8に対する所得移転額は0円である(別表17○ 28 「平成24年3月27日本件更正処分」欄)。 また,事業税の損金算入額については,上記⑷のとおり,平成21年3月期の所得金額が平成21年3月期直前申告の所得金額と同額であり,平成22年3月期に損金算入し得る事業税の額がないことから0円であ る。 イ所得金額に対する法人税額円上記金額は,上記アの所得金額円(1000 円未満切捨て。)に,法人税法66条1項(平成22年法律第6号による改正前のもの。)に規定する税率(100分の30の割合)を乗じて算出した金額である。 ウ法人税額の特別控除額円上記金額は,試験研究費の額が増加した場合の法人税額の特別控除額であ り,平成22年3月期直前申告における金額と同額である。 エ法人税額から控除される所得税額等円上記金額は,次のの金額からの金額を差し引いた金額である。 平成22年3月期直前申告における法人税額から控除される所得税額等円 上記金額は,法人税法68条に規定する法人税額から 上記金額は,次のの金額からの金額を差し引いた金額である。 平成22年3月期直前申告における法人税額から控除される所得税額等円 上記金額は,法人税法68条に規定する法人税額から控除される所得税額と同法69条(平成22年法律第6号による改正前のもの。)に規定する法人税額から控除される外国税額との合計額であり,平成22年3月期直前申告における金額と同額である。 オ納付すべき法人税額円 上記金額は,上記イの金額から上記ウの金額と上記エの金額を差し引いた金額(100円未満切捨て。)である。 カ既に納付の確定した法人税額円上記金額は,平成22年3月期直前申告において納付の確定した法人税額(別表17○「平成22年6月29日確定申告」欄)と同額である。 キ差引納付すべき法人税額円上記金額は,上記オの金額から上記カの金額を差し引いた金額であり,原告が新たに納付すべき法人税額である。 2 過少申告加算税について⑴ 平成19年3月期円 上記金額は,平成19年3月期更正処分(ただし,前記1⑵記載の各金額を上回る部分を除く。)に基づき納付すべき税額(前記1⑵キの差引納付すべき法人税額円〔1万円未満切捨て。〕と同額である。)に,通則法65条1項に基づき,100分の10の割合を乗じて算出した過少申告加算税の金額である。 ⑵ 平成20年3月期円上記金額は,平成20年3月期更正処分(ただし,前記1⑶記載の各金額を上回る部分を除く。)に基づき納付すべき税額(前記1⑶キの差引納付すべき法人税額円〔1万円未満切捨て。〕と同額である。)に,通 上記金額は,平成20年3月期更正処分(ただし,前記1⑶記載の各金額を上回る部分を除く。)に基づき納付すべき税額(前記1⑶キの差引納付すべき法人税額円〔1万円未満切捨て。〕と同額である。)に,通則法65条1項に基づき,100分の10の割合を乗じて算出した過少申告加算 税の金額である。 ⑶ 平成21年3月期 0円前記1⑷のとおり,差引納付すべき法人税額は0円であり,平成21年3月期更正処分に基づき納付すべき税額はないから,過少申告加算税は課されない。 ⑷ 平成22年3月期円 上記金額は,平成22年3月期更正処分(ただし,前記1⑸記載の各金額を 上回る部分を除く。)に基づき納付すべき税額(前記1⑸キの差引納付すべき法人税額円〔1万円未満切捨て。〕と同額である。)に,通則法65条1項に基づき,100分の10の割合を乗じて算出した過少申告加算税の金額である。 以上 別表7「本件比較対象法人の選定」順番除外基準選定社数順番除外基準選定社数① ORBIS登載のEU加盟国企業を抽出 2518 万9,411 社 ⑧事業概要においてR&D又はリサーチアンドディベロップというワードがある企業を除外 84 社② 業種コード3714(自動車部品、付属品製造業)9,626 社 ⑨所在地が著しく異なる企業を除外 38 社③ 事業内容不明の企業を除外3,261 社 ⑩関連者間取引が想定される企業を除外社④ 活動中の企業を抽出2,971 社 ⑪Websiteaddress が閲覧できないなど、事業内容が不明の企業を除外 社 ⑩関連者間取引が想定される企業を除外社④ 活動中の企業を抽出2,971 社 ⑪Websiteaddress が閲覧できないなど、事業内容が不明の企業を除外 9 社⑤ 損失を計上している企業を除外 654 社⑫貸借対照表「無形資産」のR&D 勘定に計上のある企業を除外 7 社⑥ 50%超保有の企業を除外 270 社⑬売上高及び営業利益率に影響する差異の調整ができない企業を除外 6 社⑦平成18 年度から21 年度のいずれかの年度の売上高が約10 倍から1/10の企業抽出 86 社⑭研究開発活動を行っていると見込まれ、重要な無形資産が形成されている可能性が高い企業を除外社 別表8「本件比較対象法人の売上高営業利益率」 (単位:%)№法人名平成19 年3 月期(2006 年12 月期)平成20 年3 月期(2007 年12 月期)平成21 年3 月期(2008 年12 月期)平成22 年3 月期(2009 年12 月期) E176.76261634724.69675591101.36233759234.3215436127 E189.12016273815.11214199353.97534239576.6562049289 E1414.707446808511.555242166512.959123482217.6445605659 E152.61948994430.4283404918 △1.33286894141.1159189713 E169.201903005011.1253439 E152.61948994430.4283404918 △1.33286894141.1159189713 E169.201903005011.12534396055.65245869826.9619194917 6 平均売上高営業利益率8.4823237686.5835649044.5232786457.340029514(注)「4」欄の△印はマイナス数値を示し,「6」欄の数値は小数点第9位未満を切り捨てた数値である。
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