令和6年9月26日判決言渡令和5年(行コ)第70号法人税等更正処分等取消、更正をすべき理由がない旨の通知処分取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所令和元年(行ウ)第539号) 主文 1 原判決主文第1項のうち、次の部分を取り消す。 ⑴ α税務署長が平成30年5月30日付けで被控訴人に対してした平成24年4月1日から平成25年3月31日までの事業年度の法人税の更正処分のうち、所得金額マイナス3億9107万7312円を超えない部分及び翌期へ繰り越す欠損金3億9107万7312円を上回る部分をそれぞれ取り消した部分 ⑵ α税務署長が平成30年5月30日付けで被控訴人に対してした平成25年4月1日から平成26年3月31日までの事業年度の法人税の更正処分のうち、所得金額0円を超えない部分及び翌期へ繰り越す欠損金3億4694万2849円を上回る部分をそれぞれ取り消した部分⑶ α税務署長が平成30年5月30日付けで被控訴人に対してした平成26 年4月1日から平成27年3月31日までの事業年度の法人税の更正処分のうち、所得金額マイナス431万2179円を超えない部分及び翌期へ繰り越す欠損金3億5125万5028円を上回る部分をそれぞれ取り消した部分⑷ α税務署長が平成30年5月30日付けで被控訴人に対してした平成28 年4月1日から平成29年3月31日までの事業年度の法人税の更正処分のうち、所得金額0円を超えない部分及び翌期へ繰り越す欠損金4億1016万2607円を上回る部分をそれぞれ取り消した部分 2 原判決主文第2項のうち、次の部分を取り消す。 ⑴ α税務署長が平成31年4月24日付けで被控訴人に対してした平成23 年4月1日から平成24年3月31日までの事 れぞれ取り消した部分 2 原判決主文第2項のうち、次の部分を取り消す。 ⑴ α税務署長が平成31年4月24日付けで被控訴人に対してした平成23 年4月1日から平成24年3月31日までの事業年度の法人税の更正の請求 に対する更正をすべき理由がない旨の通知処分を取り消した部分⑵ α税務署長が平成31年4月24日付けで被控訴人に対してした平成27年4月1日から平成28年3月31日までの事業年度の法人税の更正の請求に対する更正をすべき理由がない旨の通知処分のうち、所得金額マイナス1億8293万4181円を超えない部分及び翌期へ繰り越す欠損金5億34 18万9209円を上回る部分をそれぞれ取り消した部分⑶ α税務署長が平成31年4月24日付けで被控訴人に対してした平成29年4月1日から平成30年3月31日までの事業年度の法人税の更正の請求に対する更正をすべき理由がない旨の通知処分のうち、翌期へ繰り越す欠損金2億4669万5502円を上回る部分を取り消した部分 3 上記1及び2の部分につき、被控訴人の請求をいずれも棄却する。 4 控訴人のその余の控訴を棄却する。 5 原判決別紙2の4の処分一覧表4第2項のうち、「所得金額マイナス3億7780万6106円」とあるのを「所得金額マイナス3億7780万6106円を超える部分」と更正する。 6 訴訟費用は、第1、2審を通じてこれを2分し、その1を控訴人の、その余を被控訴人の各負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人の請求をいずれも棄却する。 第2 事案の概要(略称は原判決の例による。) 1 被控訴人は、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施 被控訴人の請求をいずれも棄却する。 第2 事案の概要(略称は原判決の例による。) 1 被控訴人は、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(整備法)による改正前の民法上の財団法人(公益法人)として設立さ れたが、整備法44条の特例民法法人としての移行期間と同法45条に基づく 内閣府の認可及び移行の登記を経て、平成23年2月3日(本件移行日)に一般財団法人へと移行した。本件移行日前の被控訴人は、法人税法(令和2年法律第8号による改正前のもの)7条の公益法人等に当たるとして、非収益事業(収益事業以外の事業)から生じた所得について法人税が課されていなかった。 被控訴人は、公益法人時代から複数の銘柄の売買目的外有価証券を取得し非 収益事業に属する財産として保有していたところ、移行後の事業年度(平成25年3月期、平成26年3月期及び平成27年3月期)において順次売却するなどし、有価証券の譲渡損益について、譲渡対価の額(本件各譲渡有価証券譲渡対価額)から取得価額(移行前取得価額)を控除した譲渡損失額を損金算入した上、本件各事業年度(平成24年3月期から平成30年3月期まで)の法 人税等について確定申告をしていたところ、α税務署長は、有価証券の譲渡損益について、譲渡対価の額から移行時の帳簿価額(整備法上の公益目的財産額算定のため時価評価したもの。本件各譲渡有価証券処理後価額)を控除すべきであり、そうすると、被控訴人に譲渡益が生ずるとして、平成30年5月30日、被控訴人に対し、平成25年3月期、平成26年3月期、平成27年3月 期及び平成29年3月期の法人税等について、有価証券譲渡益の計上漏れを理由とする更正処分及び過少申告加 成30年5月30日、被控訴人に対し、平成25年3月期、平成26年3月期、平成27年3月 期及び平成29年3月期の法人税等について、有価証券譲渡益の計上漏れを理由とする更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分(本件各更正処分等)を行った。 一方、被控訴人は、移行前から収益事業に属する減価償却資産と非収益事業に属する減価償却資産を保有しており、その取得価額(帳簿価額)の合計額は 180億9729万1282円(本件各減価償却資産処理前価額)であった。 被控訴人は、移行前の会計処理として合計55億0257万3525円を過年度減価償却費等として一括して計上し、移行後の本件各事業年度において、減価償却後の125億9471万7757円(本件各減価償却資産処理後価額)を基に計算される減価償却費を損金として計上していたところ、本件各事業年 度における減価償却は、本件各減価償却資産処理前価額に基づいて行うべきで あったとして、平成30年12月10日、本件各事業年度の法人税、平成25年3月期及び平成26年3月期の復興特別法人税並びに平成29年3月期及び平成30年3月期の地方法人税について、更正の請求をした。しかし、α税務署長は、平成31年4月24日、被控訴人に対し、更正をすべき理由がない旨の通知処分(本件各通知処分)をした。 2 本件は、被控訴人が、控訴人に対し、本件各更正処分等(別紙2の1処分一覧表1記載の各処分)の取消し(請求①)及び本件各通知処分(別紙2の2処分一覧表2記載の各処分)の取消し(請求②)を求めるほか、これと選択的に、増額更正処分の取消しを求める請求において更正の請求に係る税額を超える部分の取消しを求めることができるとして、本件各更正処分等のうち有価証券譲 渡益の計上漏れを理由とする増額更正部分及 的に、増額更正処分の取消しを求める請求において更正の請求に係る税額を超える部分の取消しを求めることができるとして、本件各更正処分等のうち有価証券譲 渡益の計上漏れを理由とする増額更正部分及び減価償却額の計上の誤りを理由とする減額更正処分がされるべき部分並びに賦課決定処分(別紙2の3処分一覧表3記載の各処分)の取消し(請求③)及び本件各通知処分のうち本件各更正処分の対象とされていない平成24年3月期、平成28年3月期及び平成30年3月期の法人税等の更正の請求に係る更正をすべき理由がない旨の通知処 分(別紙2の4処分一覧表4記載の各処分)の取消し(請求④)を求める事案である(請求①及び請求②と請求③及び請求④は、選択的併合の関係に立つ。)。 原審は、有価証券の譲渡損益の額は、本件各譲渡有価証券譲渡対価額から移行前取得価額を控除した額をもって算定すべきであり、本件各事業年度における減価償却は、本件各減価償却資産処理前価額に基づいて行うべきであったと して、請求③及び請求④を全部認容したところ、控訴人がこれを不服として控訴した。また、控訴人は、当審において、後記4⑶及び⑷のとおり、予備的主張を追加した。 3 関係法令の定め及び前提事実は、原判決の「事実及び理由」第2の1及び2(原判決3頁9行目冒頭から11頁18行目末尾まで、77頁2行目冒頭から 94頁17行目末尾まで。原判決別紙3及び4の1から3並びに別表を含む。) に記載のとおりであるから、これを引用する。 4 争点⑴ 本件各更正処分等の適法性(有価証券の譲渡原価の額は、移行時に評価替えした帳簿価額(本件各譲渡有価証券処理後価額)によるべきか、取得価額(移行前取得価額)によるべきか。) ⑵ 本件各通知処分の適法性(本件各事業年度におけ 券の譲渡原価の額は、移行時に評価替えした帳簿価額(本件各譲渡有価証券処理後価額)によるべきか、取得価額(移行前取得価額)によるべきか。) ⑵ 本件各通知処分の適法性(本件各事業年度における減価償却は、本件各減価償却資産処理後価額に基づいて行うべきか、本件各減価償却資産処理前価額に基づいて行うべきか。)⑶ 実施事業に係る有価証券譲渡損の増加及び減価償却費の増加に伴い損金不算入額は増加するか(当審で追加された予備的主張1)。 ⑷ 移行前において償却費を計上した減価償却資産の償却限度額の計算の基礎となる金額は、取得価額から移行前に償却限度額内で損金経理をした金額を差し引いた金額であるか(当審で追加された予備的主張2)。 ⑸ 平成24年3月期の更正の請求は国税通則法70条1項の期間制限により許されないか。 5 争点に関する当事者の主張⑴ 本件各更正処分等の適法性(有価証券の譲渡原価の額は、移行時に評価替えした帳簿価額(本件各譲渡有価証券処理後価額)によるべきか、取得価額(移行前取得価額)によるべきか。争点1)(控訴人) 法人税法61条の2第1項2号が、有価証券の譲渡原価の額につき、取得価額ではなく、その増減額を考慮した税務上の帳簿価額に基づく金額として、「一単位当たりの帳簿価額」を基礎とすることとした趣旨は、有価証券につき税務上の帳簿価額の増減を伴う評価替えがあり、その増減額が所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入された場合に、評価損益の額が所得 金額を二重に減額させ又は増額させる方向で損金の額又は益金の額に算入さ れることを防ぐことにある。被控訴人は、本件各移行有価証券(本件各譲渡有価証券を含め、本件移行日の前日の時点で被控訴人が非収益事業に属する資産として せる方向で損金の額又は益金の額に算入さ れることを防ぐことにある。被控訴人は、本件各移行有価証券(本件各譲渡有価証券を含め、本件移行日の前日の時点で被控訴人が非収益事業に属する資産として保有していた有価証券)について、整備法上の公益目的財産額の算定のため、本件移行日の直前の事業年度の末日時点における時価を算定して評価損を計上し、これを貸借対照表上の帳簿価額としたのであるから、こ の帳簿価額(本件各譲渡有価証券処理後価額)を譲渡原価の額とすべきである。 施行令119条の2第1項1号の移動平均法は、同一銘柄の有価証券を複数回取得する場合を念頭においており、有価証券の取得が一度であり、「一単位当たりの帳簿価額」が明らかな場合に移動平均法を適用することは不必 要かつ不合理であるから、同号を適用するまでもなく、法人税法61条の2第1項2号の解釈として、「帳簿価額」を有価証券の総数で除した「一単位当たりの帳簿価額」をもって譲渡原価の額と解すべきである。 施行令119条の2第1項1号の移動平均法を適用するとしても、結局のところ、譲渡直前の税務上の帳簿価額を有価証券の総数で除する方法によっ て算出するという同号の規定全体の文意に照らすと、移行に当たって評価替えをした帳簿価額をもって「有価証券のその取得の直前の帳簿価額とその取得をした有価証券の取得価額(中略)との合計額」に当たるとして同号を適用するのが合理的である。 (被控訴人) 公益法人等が非収益事業に属する資産として有価証券を取得する場合も、施行令119条の2第1項1号にいう「取得」に当たり、同号の移動平均法は、有価証券を1回のみ取得した場合も適用されるから、本件各譲渡有価証券の取得価額(移行前取得価額)を当該銘柄の有価証券の総数で除した金額が、法人 第1項1号にいう「取得」に当たり、同号の移動平均法は、有価証券を1回のみ取得した場合も適用されるから、本件各譲渡有価証券の取得価額(移行前取得価額)を当該銘柄の有価証券の総数で除した金額が、法人税法61条の2第1項2号にいう「一単位当たりの帳簿価額の算出 の方法により算出した金額」となり、これをもって譲渡原価の額とすべきで ある。 ⑵ 本件各通知処分の適法性(本件各事業年度における減価償却は、本件各減価償却資産処理後価額に基づいて行うべきか、本件各減価償却資産処理前価額に基づいて行うべきか。争点2)(控訴人) ア公益法人等の非収益事業から生じた所得については、法人税法第2編の規定の規律が及ばず、その適用が観念できないから、移行前の非収益事業に属する減価償却資産の償却費について、法人税法31条4項により損金経理額に含まれるとされる「当該償却事業年度前の各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されなかった金額」は存在しない。 上記金額は、償却限度額を超えて損金の額に算入されなかった償却超過額を指すものというべきところ、償却超過額に限られず、いかなる償却費であってもこれに該当するとすれば、公益法人等は普通法人に移行するまで損金算入額を繰り延べる効果が継続することとなり、収益の獲得に寄与しなくなった減価償却資産であっても損金算入できることとなるが、この ような解釈は費用収益対応の原則に基づく減価償却制度の基本的趣旨・目的に反する。 非収益事業に属する減価償却資産については、課税対象外である非収益事業から生ずる所得に関する経理において減価償却すべきであって、課税対象たる収益事業から生ずる所得に関する経理の中で費用とされるべき ではないし、課税対象外である以上、当該減価償却費は、損金の 事業から生ずる所得に関する経理において減価償却すべきであって、課税対象たる収益事業から生ずる所得に関する経理の中で費用とされるべき ではないし、課税対象外である以上、当該減価償却費は、損金の額に算入されるものではない。 イ公益法人等が法人税法上の普通法人に該当することとなったときは、移行まで非課税とされてきた非収益事業から生じた所得の累積額(累積所得金額等)については、移行日の属する事業年度の課税対象となるところ、 その額は移行前の非収益事業から生じた所得(欠損)金額の累積額であり、 累積所得金額を減少させる要因(又は累積欠損金額を増加させる要因)は、課税所得を減少させる要因になるから、いわば移行前の損金の額に該当する。移行後の事業年度において旧定率法により償却限度額を計算する場合、移行前に減価償却費に計上した金額については、累積所得金額等の計算による清算的な課税をもって、施行令48条1項1号イ⑵の取得価額から控 除される「既にした償却の額で各事業年度の所得の金額(中略)の計算上損金の額に算入された金額」に含まれるというべきである。 ウしたがって、本件各事業年度における減価償却は、本件各減価償却資産処理後価額に基づいて行うべきである。 (被控訴人) ア法人税法7条は、公益法人等の収益事業から生じた所得以外の所得については法人税を課さないことを定めるにとどまり、公益法人等であっても、内国法人に該当する限りは同法第2編の規定が適用され、「所得の金額の計算」が発生するから、被控訴人が移行前最終事業年度に一括計上した減価償却費は、法人税法31条4項にいう「所得の金額の計算上損金の額 に算入されなかった金額」に当たり、移行後の事業年度において損金の額に算入することができる。 イ移行時資産等 括計上した減価償却費は、法人税法31条4項にいう「所得の金額の計算上損金の額 に算入されなかった金額」に当たり、移行後の事業年度において損金の額に算入することができる。 イ移行時資産等減価償却資産に係る償却限度額を、旧定率法を用いて計算する場合、移行法人の移行後最初の事業年度においては、既にした償却の額で各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入された金額は存在 しない。 ウしたがって、本件各事業年度における減価償却は、本件各減価償却資産処理前価額に基づいて行うべきである。 ⑶ 実施事業に係る有価証券譲渡損の増加及び減価償却費の増加に伴い損金不算入額は増加するか。(予備的主張1。争点3) (控訴人) 争点1及び2において、仮に被控訴人の主張するとおりとすれば、その結果認定される有価証券譲渡損の増加額及び減価償却費の増加額の中には、被控訴人の実施事業(納骨堂の経営)に係るものが含まれている。移行日の属する事業年度以後の各事業年度において、公益目的支出の額(整備法119条2項1号)が公益目的支出計画に係る公益事業から生ずる実施事業収入の 額(同項2号)を超えるときは、その超える部分の金額(支出超過額)は、当該法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入されないところ(施行令131条の5第5項)、実施事業に係る有価証券譲渡損の増加額及び減価償却費の増加額は、整備法施行規則16条1号の事業費の額に当たり、公益目的支出の額に含まれるため、当該部分は損金の額に算入すること ができない。 被控訴人は、別紙3の表1(平成25年3月期)、表2-1(平成26年3月期)及び表3-1(平成27年3月期)のとおり、実施事業(納骨堂の経営)に係る有価証券を償還・売却しているところ、公益目的支出 被控訴人は、別紙3の表1(平成25年3月期)、表2-1(平成26年3月期)及び表3-1(平成27年3月期)のとおり、実施事業(納骨堂の経営)に係る有価証券を償還・売却しているところ、公益目的支出計画実施報告書を提出するに際し、移行時の帳簿価額(本件各譲渡有価証券処理後価 額)を譲渡原価の額として譲渡損益を計算し、これに基づいて支出超過額を算出しており、法人税の確定申告における所得の金額の計算に際しても、当該支出超過額をもって損金不算入となる額とした。争点1において仮に被控訴人の主張するとおり、有価証券の譲渡損益の算出に当たって移行前取得価額を譲渡原価の額とするのであれば、実施事業に係る有価証券譲渡損が増加 するから、別紙3の表1(平成25年3月期)、表2-1(平成26年3月期)及び表3-1(平成27年3月期)の「⑥」欄の各合計額は、各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入することができない。 また、被控訴人は、別紙4の表1から表6まで(平成24年3月期から平成29年3月期まで)のとおり、実施事業(納骨堂の経営)に係る減価償却 資産を償却しているところ、争点2において仮に被控訴人の主張するとおり、 本件移行日前に計上した償却費を、移行後の事業年度において損金の額に算入することができるとするのであれば、実施事業に係る減価償却資産についても減価償却費が増加するから、別紙4の表1から表6までの「⑦」欄の各合計額は、各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入することができない。 (被控訴人)ア控訴人の予備的主張1は、訴訟上の信義則・禁反言の法理に反するものであり、時機に後れた攻撃防御方法を提出するものであって、違法な処分の理由の差替えを行うものであるから、却下されるべきである。 控訴人の予備的主張1は、訴訟上の信義則・禁反言の法理に反するものであり、時機に後れた攻撃防御方法を提出するものであって、違法な処分の理由の差替えを行うものであるから、却下されるべきである。 イ施行令131条の5第5項にいう「公益目的支出の額」を定める整備法 119条2項1号ハ及び整備法施行規則16条1号における当該事業年度の損益計算書に計上すべき実施事業に係る事業費の額は、法人税法の所得金額の計算である有価証券譲渡損益の金額(法人税法61条の2第1項)又は減価償却資産の償却費の損金の額に算入される金額(同法31条)とは、別個独立に算定される金額であり、これらの法人税法上の所得金額の 計算は、上記当該事業年度の損益計算書に計上すべき実施事業に係る事業費の額に影響を与えない。このことは、同額の算定に際して、法人税法上の所得金額の計算の規定が引用又は参照されていないことからも明らかである。 ⑷ 移行前において償却費を計上した減価償却資産の償却限度額の計算の基礎 となる金額は、取得価額から移行前に償却限度額内で損金経理をした金額を差し引いた金額であるか。(予備的主張2。争点4)(控訴人)公益法人等の非収益事業から生じた所得について、法人税が課されないにもかかわらず、法人税法第2編の規定の規律が及び、同法31条4項にいう 「所得の金額の計算」が存在するというのであれば、その所得の計算の基礎 となる損金の額の計算についても同様に同法第2編の規定の規律が及び、減価償却費が損金の額に算入されるものと解さなければ明らかに整合性を欠くこととなる。そうすると、「既にした償却の額で各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入された金額」(施行令48条1項1号イ⑵)における減価償却資産の償却限度 のと解さなければ明らかに整合性を欠くこととなる。そうすると、「既にした償却の額で各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入された金額」(施行令48条1項1号イ⑵)における減価償却資産の償却限度額の計算に当たっても、取得価額から、移行前にお いて償却限度額内で損金経理をした金額を「損金の額に算入された金額」として差し引いた額を、移行後の償却限度額の計算の基礎とすべきである。 (被控訴人)ア控訴人の予備的主張2は、訴訟上の信義則・禁反言の法理に反するものであり、時機に後れた攻撃防御方法を提出するものであり、違法な処分の 理由の差替えを行うものであるから、却下されるべきである。 イ公益法人等は、移行前には、非収益事業から生じた所得につき法人税を課されないため(法人税法7条)、敢えて必要のない所得金額の計算をすることはないから、移行前に実際に償却費の金額が損金の額に算入されることはない。そうすると、公益法人等が、移行前に計上した非収益事業に 属する減価償却資産の償却費の額は、「既にした償却の額で各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入された金額」(施行令48条1項1号イ⑵)には該当しない。 ⑸ 平成24年3月期の更正の請求は、国税通則法70条1項の期間制限により許されないか。(争点5) (控訴人)平成24年3月期の更正の請求は、減価償却資産に係る償却費の損金算入額の誤りを理由に、①課税標準の減額(1億0373万6719円を減額)、②還付金の額に相当する税額の増額(1349万8103円を4365万8903円に増額)及び③純損失等の金額の発生(3億2549万1778円 の発生)を求めるものであるところ、同事業年度の法人税の法定申告期限か ら5年を経過した日(平成2 4365万8903円に増額)及び③純損失等の金額の発生(3億2549万1778円 の発生)を求めるものであるところ、同事業年度の法人税の法定申告期限か ら5年を経過した日(平成29年6月1日)以後である平成30年12月10日に提出された。そうすると、上記①及び②の請求については、平成27年法律第9号による改正前の国税通則法(以下同じ。)70条1項の更正の期間制限の規定により、更正をすべき理由がない。 (被控訴人) ア国税通則法70条2項には、③純損失等の金額の発生を変更するもののみならず、その内容の不可欠な一部を構成する①課税標準の減額、②還付金の額に相当する税額の増額も含まれる。また、納税者からの是正方法である更正の請求の期限を定める同法23条1項2号においては、納税申告書を提出した者は、当該申告書に係る国税の法定申告期限から9年以内で あれば、その申告に係る課税標準等又は税額等に関する更正の請求を適法に行うことができると解されるところ、国税当局による職権による更正期限を定める同法70条2項においても、法人税に係る純損失等の金額がある場合には、課税標準等又は税額等に関する更正ができる場合があると解することが整合的であり、このような解釈が租税法律関係の早期安定に役 立つというべきである。 イ仮に、国税通則法70条1項2項により、上記①及び②についての更正ができないとしても、上記③についての更正を行うとともに、上記①及び②について同法71条1項1号に基づく更正は可能である。 第3 当裁判所の判断 1 本件各更正処分等の適法性(有価証券の譲渡原価の額は、移行時に評価替えした帳簿価額(本件各譲渡有価証券処理後価額)によるべきか、取得価額(移行前取得価額)によるべきか。争点1)に 判断 1 本件各更正処分等の適法性(有価証券の譲渡原価の額は、移行時に評価替えした帳簿価額(本件各譲渡有価証券処理後価額)によるべきか、取得価額(移行前取得価額)によるべきか。争点1)について⑴ 引用する原判決第2の2の前提事実のとおり、被控訴人は、整備法による改正前の民法上の財団法人(公益法人)として設立され、整備法44条の特 例民法法人としての移行期間と同法45条に基づく内閣府の認可及び移行の 登記を経て、平成23年2月3日(本件移行日)に一般財団法人へと移行したものであり、本件移行日前の被控訴人は、法人税法(令和2年法律第8号による改正前のもの)7条の公益法人等に当たるとして、収益事業から生じた所得以外の所得について法人税が課されていなかった。 一般社団法人等への移行の認可を受けようとする特例民法法人は、当該認 可を受けたときに解散するものとした場合において上記改正前の民法72条の規定によれば当該特例民法法人の目的に類似する目的のために処分し、又は国庫に帰属すべきものとされる残余財産の額に相当するものとして当該特例民法法人の貸借対照表上の純資産額を基礎として内閣府令で定めるところにより算定した額が内閣府令で定める額を超える場合には、内閣府令で定め るところにより、当該算定した額(公益目的財産額)に相当する金額を公益の目的のために支出することにより零とするための計画(公益目的支出計画)を作成しなければならない(整備法119条1項)。また、法人税法上の公益法人等が普通法人に移行する場合、移行日前の非収益事業から生じた所得の金額又は欠損金額の累積額としてそれぞれ政令で定めるところにより計算し た累積所得金額又は累積欠損金額(累積所得金額等)に相当する金額は、移行日の属する事業年度の所得の 益事業から生じた所得の金額又は欠損金額の累積額としてそれぞれ政令で定めるところにより計算し た累積所得金額又は累積欠損金額(累積所得金額等)に相当する金額は、移行日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金又は損金の額に算入され(同法64条の4第1項)、これにより、移行前の公益法人等としての非収益事業から生じた所得の累積額等につき、清算的な課税がされるが、特例民法法人である公益法人等が普通法人に移行する場合には、移行日以後に公益の 目的のために支出される金額として政令で定める金額は、累積所得金額から控除し、又は累積欠損金額に加算することとされ(法人税法64条の4第3項、施行令131条の5第1項3号)、これにより、当該政令で定める金額については、清算的な課税の対象から除外されている。 被控訴人は、本件移行日より前に、本件各譲渡有価証券を含む本件各移行 有価証券を、短期的な価格の変動を利用して利益を得る目的で取得した有価 証券ではない売買目的外有価証券として取得し、これらを非収益事業に属する資産として保有して公益法人の会計帳簿にもその取得価額を記載していたところ、移行に当たって、公益目的財産額の算定のためにこれを時価評価することが義務付けられたため(整備法119条1項、整備法施行規則14条1項1号ロ)、被控訴人は、本件各譲渡有価証券を含む本件各移行有価証券に つき、平成23年3月13日及び同年4月13日、平成22年4月1日付けの会計処理として、同日の時価に基づいて算出した評価損を計上し、さらに、平成23年3月21日及び同年4月13日、本件移行日の前日である同年2月2日付けの会計処理として、同日の時価に基づいて算出した評価損を計上した。そして、被控訴人は、移行後の事業年度(平成25年3月期、平成2 1日及び同年4月13日、本件移行日の前日である同年2月2日付けの会計処理として、同日の時価に基づいて算出した評価損を計上した。そして、被控訴人は、移行後の事業年度(平成25年3月期、平成2 6年3月期及び平成27年3月期)において本件各譲渡有価証券を順次売却するなどしたものである。 ⑵ 法人税法61条の2第1項は、内国法人が有価証券の譲渡をした場合には、その有価証券の譲渡に係る対価の額と原価の額とを比較し、その利益額又は損失額を、その譲渡に係る契約をした日の属する事業年度の所得の金額上、 益金の額又は損金の額に算入するとしており、原価の額につき、その有価証券について、その内国法人が選定した一単位当たりの帳簿価額の算出の方法により算出した金額(算出の方法を選定しなかった場合又は選定した方法により算出しなかった場合には、算出の方法のうち政令で定める方法により算出した金額)にその譲渡をした有価証券の数を乗じて計算した金額をいうと 定めている(同項2号)。また、同条第23項は、有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出の基礎となる取得価額の算出の方法、有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出の方法の種類、その算出の方法の選定の手続その他前各項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定めるとしている。 被控訴人は、一単位当たりの帳簿価額の算出の方法を選定していなかった ため、被控訴人が譲渡した有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出の方法 は、施行令119条の2第1項1号の移動平均法によることとされ(施行令119条の7第1項)、同号の移動平均法は、有価証券をその銘柄の異なるごとに区別し、その銘柄を同じくする有価証券の取得をする都度その有価証券のその取得の直前の帳簿価額とその取得をした有価証券の取得価額との合計額をこ )、同号の移動平均法は、有価証券をその銘柄の異なるごとに区別し、その銘柄を同じくする有価証券の取得をする都度その有価証券のその取得の直前の帳簿価額とその取得をした有価証券の取得価額との合計額をこれらの有価証券の総数で除して平均単価を算出し、その算出した平均 単価をもってその一単位当たりの帳簿価額とする方法をいうとされている。 移動平均法は、その内容からして特定の銘柄の有価証券を複数回にわたって購入した場合を想定し、その平均単価をもってその一単位当たりの帳簿価額とするものであるが、取得した特定の銘柄の有価証券を買い足すことなくそのまま譲渡する場合についても、あえてその適用を排除しているとは考え難 く、当初の取得価額を記載した帳簿価額をもって一単位当たりの帳簿価額とし、有価証券の譲渡原価としているものと解される。 ⑶ 被控訴人は、上記⑴のとおり、公益法人時代から複数の銘柄の売買目的外有価証券を取得し非収益事業に属する財産として保有し、公益法人の会計帳簿にその取得価額を記載していたところ、普通法人への移行に当たって、整 備法上の公益目的財産額算定のため本件各移行有価証券について時価評価し、その会計上帳簿に評価損を計上しているから、当該評価替え後の帳簿価額(本件各譲渡有価証券処理後価額)をもって、有価証券の譲渡原価の額とすることができるかが問題となる。 法人税法61条の2第1項2号は、平成12年度の法人税法改正において 新設されたものであるところ、同号が「一単位当たりの帳簿価額」を譲渡原価の計算の基礎としているのは、金融商品に係る会計基準により、企業会計上、時価法が採用され、損益計算書に評価損益と譲渡損益を区別して計上することになったことを踏まえて、法人税法も売買目的有価証券について時価法を採用し、時価評価額をも 品に係る会計基準により、企業会計上、時価法が採用され、損益計算書に評価損益と譲渡損益を区別して計上することになったことを踏まえて、法人税法も売買目的有価証券について時価法を採用し、時価評価額をもって期末評価額(帳簿価額)とし、評価損益と 譲渡損益を区分して認識させることとしたことから(同法61条の3第1項 1号及び2項)、期末における有価証券の帳簿価額が、評価替えにより取得価額と異なる価額(時価評価額)になる状況が生じたことに起因するものである(乙70~72)。一方、売買目的外有価証券については、時価法ではなく原価法が維持されているから(同条1項2号)、法人税法61条の2第1項2号をもって、有価証券一般について、その譲渡原価を時価評価した帳簿価額 によるとの立法政策を採用したものであるということはできない。まして、法人税法61条の2第1項2号が、平成18年に制定された整備法上の公益目的財産額の算定を目的とする有価証券の時価評価を念頭においたものでないことは明らかである。 また、法人税法61条の2第23項は、有価証券の一単位当たりの帳簿価 額の算出の方法の種類は、政令で定めるとしており、その委任を受けた規定は、施行令119条の2以外には見当たらないから、同規定を離れて、有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出の方法を解釈することは、租税法律主義の観点から許されないというべきである。すなわち、租税法は、侵害規範であり、法的安定性の要請が強く働くから、その解釈は原則として文理解釈 によるべきであり、みだりに拡張解釈や類推解釈を行うことは許されない。 規定の文理上その意味を直ちに明らかにすることができない場合、文理解釈を基礎とし、規定の文言や当該法令を含む関係法令全体の用語の意味内容を重視しつつ、事案に応じそ や類推解釈を行うことは許されない。 規定の文理上その意味を直ちに明らかにすることができない場合、文理解釈を基礎とし、規定の文言や当該法令を含む関係法令全体の用語の意味内容を重視しつつ、事案に応じその文言の通常の意味内容から乖離しない範囲内で、規定の趣旨目的を考慮することは許容されているというべきであるが、施行 令119条の2の規定の文言は、不明確とはいえず、同規定が想定していない解釈をして納税者に不利益を負わせることは租税法律主義の観点から許されない。 本件において適用される施行令119条の2第1項1号の移動平均法は、前記⑵のとおり、その内容からして特定の銘柄の有価証券を複数回にわたっ て購入した場合を想定し、当初の取得価額とこれによる帳簿価額を基礎とし て、取得をする都度その取得の直前の帳簿価額とその取得をした有価証券の取得価額の平均単価をもってその一単位当たりの帳簿価額とするものであるから、有価証券の取得とは別の目的で時価評価した価額に依拠して、有価証券の一単位当たりの帳簿価額とすることは、同規定の想定するところではないというべきである。被控訴人は、普通法人への移行に当たって、整備法上 の公益目的財産額算定のため本件各移行有価証券について時価評価し、その会計上帳簿に評価損を計上したものであり、有価証券の取得とは別の目的で時価評価した価額であることは明らかであるから、これをもって、有価証券の一単位当たりの帳簿価額とすることはできない。 施行令131条の6は、公益法人等が普通法人若しくは協同組合等に該当 することとなった場合のその該当することとなった時において有するその収益事業以外の事業に属していた移行時資産等の帳簿価額は、当該移行時資産等の価額としてその該当することとなった時においてその帳簿に記載 ることとなった場合のその該当することとなった時において有するその収益事業以外の事業に属していた移行時資産等の帳簿価額は、当該移行時資産等の価額としてその該当することとなった時においてその帳簿に記載されていた金額とすると規定し、会計上の帳簿価額を税務上の帳簿価額とすることを明らかにしているが、同規定が有価証券の譲渡損益の計算について定めた 法人税法61条の2の委任を受けたものでないことは明らかであり、同規定を有価証券の譲渡原価の額を算定する根拠とすることもできないというべきである。 そもそも、平成18年に公益法人等を普通法人に移行させる法整備が行われた際に、公益法人等が保有していた有価証券を移行後に売却した場合の譲 渡損益をどのように算出するかについて検討された形跡は見当たらず、この問題は、法令上の手当がされなかったことによるものと言わざるを得ないが、後付けの無理な法解釈を行ってそのつけを納税者に負わせることはできないというべきである。 したがって、移行時に評価替えした帳簿価額(本件各譲渡有価証券処理後 価額)を譲渡原価の額とすることはできず、取得価額(移行前取得価額)を 譲渡原価の額とするのが相当である。 そうすると、本件各譲渡有価証券に係る譲渡原価の額は、移行前取得価額(原判決別紙4の1から3までの「本件各譲渡有価証券譲渡損益計算一覧」の各表の「移行前取得価額②」欄記載の金額)であり、その譲渡対価の額は、本件各譲渡有価証券譲渡対価額(同各表の「譲渡対価の額①」欄記載の金額) であるから、譲渡利益又は譲渡損失の額は、本件各譲渡有価証券譲渡対価額から移行前取得価額を控除した額(同各表の各「原告主張譲渡利益額又は譲渡損失額③(①-②)」欄記載の金額)となるところ、本件各更正処分等は、本件各譲渡有価 渡損失の額は、本件各譲渡有価証券譲渡対価額から移行前取得価額を控除した額(同各表の各「原告主張譲渡利益額又は譲渡損失額③(①-②)」欄記載の金額)となるところ、本件各更正処分等は、本件各譲渡有価証券譲渡対価額から本件各譲渡有価証券処理後価額を控除した額をもって譲渡利益又は譲渡損失の額としたものであるから、その点にお いて違法である。 2 本件各通知処分の適法性(本件各事業年度における減価償却は、本件各減価償却資産処理後価額に基づいて行うべきか、本件各減価償却資産処理前価額に基づいて行うべきか。争点2)について⑴ 法人税法31条1項は、内国法人の各事業年度終了の時において有する減 価償却資産につきその償却費として第22条第3項(各事業年度の損金の額に算入する金額)の規定により当該事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入する金額は、その内国法人が当該事業年度においてその償却費として損金経理をした金額(損金経理額)のうち、その取得をした日及びその種類の区分に応じ政令で定める償却の方法の中からその内国法人が当該資産につ いて選定した償却の方法(償却の方法を選定しなかった場合には、償却の方法のうち政令で定める方法)に基づき政令で定めるところにより計算した金額(償却限度額)に達するまでの金額とするとし、同条4項は、損金経理額には、第1項の減価償却資産につき同項の内国法人が償却費として損金経理をした事業年度(償却事業年度)前の各事業年度における当該減価償却資産 に係る損金経理額(中略)のうち当該償却事業年度前の各事業年度の所得の 金額の計算上損金の額に算入されなかった金額(損金不算入額)を含むことを定めている。 被控訴人は、移行前から収益事業に属する減価償却資産と非収益事業に属する減価償却資産を保有して 得の 金額の計算上損金の額に算入されなかった金額(損金不算入額)を含むことを定めている。 被控訴人は、移行前から収益事業に属する減価償却資産と非収益事業に属する減価償却資産を保有しており、その取得価額(帳簿価額)の合計額は180億9729万1282円(本件各減価償却資産処理前価額)であったが、 償却の方法を選定しなかったため、平成19年3月31日以前に取得をされた減価償却資産として、償却限度額は旧定率法によることとされた(施行令53条1号イ。ただし、旧定率法を選択できない資産(施行令48条1項1号ロ等参照)については旧定額法が適用される。)。施行令48条1項1号イ⑵は、旧定率法について、当該減価償却資産の取得価額(既にした償却の額 で各事業年度の所得の金額又は各連結事業年度の連結所得の金額の計算上損金の額に算入された金額がある場合には、当該金額を控除した金額)にその償却費が毎年一定の割合で逓減するように当該資産の耐用年数に応じた償却率を乗じて計算した金額を各事業年度の償却限度額として償却する方法をいうと定めている。 ⑵ 上記のとおり、減価償却資産につきその償却費として当該事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入する金額は、損金経理額のうち、償却限度額に達するまでの金額とするとされ、損金経理額には、当該償却事業年度前の各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されなかった金額(損金不算入額)を含むとされているから、まずは被控訴人が移行前最終事業年度に 一括計上した減価償却費が損金不算入額に当たり、被控訴人の損金経理額に含まれるかが問題となる。 この点、控訴人は、公益法人等の非収益事業から生じた所得については、法人税が課されず、所得の金額が計算されることがないから、移行前の非収益事業に属する 訴人の損金経理額に含まれるかが問題となる。 この点、控訴人は、公益法人等の非収益事業から生じた所得については、法人税が課されず、所得の金額が計算されることがないから、移行前の非収益事業に属する減価償却資産の償却費について、法人税法31条4項により 損金経理額に含まれるとされる「当該償却事業年度前の各事業年度の所得の 金額の計算上損金の額に算入されなかった金額」は存在しない旨主張する。 しかし、法人税法7条は、公益法人等の収益事業から生じた所得以外の所得については法人税を課さない旨を定めているにすぎず、非収益事業についても所得が生ずることを前提にしているから、法人税法7条によって非課税とされているために損金の額に算入することができない減価償却費であって も、「当該償却事業年度前の各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されなかった金額」に当たり得るというべきである。問題は、公益法人等が非課税とされていた期間の減価償却費を、普通法人に移行後にこれを損金の額に算入することが法人税法31条4項によって排除されているかに帰着するというべきところ、同項の「当該償却事業年度前の各事業年度の所得の 金額の計算上損金の額に算入されなかった金額」が、償却限度額を超える減価償却費であるため損金の額に算入できなかったものを想定しているとしても、非課税のために損金に算入できなかったものについては、これと区別して損金経理額に含まれないことを明らかにしていると解釈することは同項の文理上困難といわざるを得ない。 そもそも、減価償却資産とは、固定資産のうち使用又は時間の経過によって価値の減少するものを指し、事業者において長期間にわたって収益を生み出す源泉であるから、その取得に要した金額は、将来の収益に対する費用の一括前払の 資産とは、固定資産のうち使用又は時間の経過によって価値の減少するものを指し、事業者において長期間にわたって収益を生み出す源泉であるから、その取得に要した金額は、将来の収益に対する費用の一括前払の性質を有しており、費用収益対応の原則からすると、使用又は時間の経過による減価に応じて徐々に費用化すべきものである。もっとも、い つどの限度において償却できるかについては、法人税法において法定されているところであるが、非課税のために損金に算入できなかった期間の減価償却費については、償却の対象からおよそ排除されることを明らかにした定めはないから、公益法人等が普通法人に移行してから償却限度額の範囲内で損金の額に算入することも許容されているというほかない。控訴人の上記主張 も、移行前の収益事業に属する減価償却資産の償却費については、移行後に おいても損金の額に算入できることを前提としていると理解され、償却限度額を超える減価償却費であるために損金の額に算入できなかったもの以外のものについても、損金の額に算入できることを認めているというべきである。 そうすると、被控訴人が移行前最終事業年度に一括計上した原判決別紙5の1から8までの各「⑥過去の償却不足額の一括償却費(①-③)」欄記載 の減価償却費は、法人税法31条4項により、被控訴人の損金経理額に含まれるというべきである。 ⑶ 上記のとおり、被控訴人が移行前最終事業年度に一括計上した減価償却費が損金不算入額として損金経理額に含まれるとしても、旧定率法の適用に当たって、施行令48条1項1号イ⑵の「既にした償却の額で各事業年度の所 得の金額(中略)の計算上損金の額に算入された金額」がある場合には、当該減価償却資産の取得価額から控除して償却限度額を計算する必要があるから、こ 1号イ⑵の「既にした償却の額で各事業年度の所 得の金額(中略)の計算上損金の額に算入された金額」がある場合には、当該減価償却資産の取得価額から控除して償却限度額を計算する必要があるから、この点について更に検討する。 普通法人移行前の被控訴人は、非収益事業に係る収益について法人税の申告をしておらず、減価償却費を損金として計上していなかったことは明らか であるところ、控訴人は、公益法人等が法人税法上の普通法人に該当することとなったときは、移行まで非課税とされてきた非収益事業から生じた所得の累積額(累積所得金額等)については、移行日の属する事業年度の課税対象となることから、被控訴人が移行前最終事業年度に一括計上した減価償却費については、累積所得金額等の計算による清算的な課税がされたことをも って、「既にした償却の額で各事業年度の所得の金額(中略)の計算上損金の額に算入された金額」に含まれる旨主張する。 しかし、前記1⑴のとおり、法人税法上の公益法人等が普通法人に移行する場合、移行日前の非収益事業から生じた所得の金額又は欠損金額の累積額としてそれぞれ政令で定めるところにより計算した累積所得金額又は累積欠 損金額(累積所得金額等)に相当する金額は、移行日の属する事業年度の所 得の金額の計算上、益金又は損金の額に算入され(同法64条の4第1項)、これにより、移行前の公益法人等としての非収益事業から生じた所得の累積額等につき、清算的な課税がされるが、被控訴人のように特例民法法人である公益法人等が普通法人に移行する場合には、移行日以後に公益の目的のために支出される金額として政令で定める金額(当該内国法人の移行日におけ る修正公益目的財産残額と、当該内国法人の移行日における資産の帳簿価額から負債帳簿価 る場合には、移行日以後に公益の目的のために支出される金額として政令で定める金額(当該内国法人の移行日におけ る修正公益目的財産残額と、当該内国法人の移行日における資産の帳簿価額から負債帳簿価額等を控除した金額(簿価純資産価額)とのいずれか少ない方に相当する金額)は、累積所得金額から控除し、又は累積欠損金額に加算することとされ(法人税法64条の4第3項、施行令131条の5第1項3号)、これにより、当該政令で定める金額については、清算的な課税の対象 から除外されている。そうすると、移行前における非収益事業に属していた減価償却資産の帳簿価額は、累積所得金額等による算入の基礎から除外され、移行時の課税の対象にならないのであるから、移行前における非収益事業に属していた減価償却資産の償却費の金額が移行時の課税において損金の額に算入されたという評価をすることはできず、控訴人の上記主張は採用するこ とができない。 したがって、被控訴人の減価償却資産には、施行令48条1項1号イ⑵の「既にした償却の額で各事業年度の所得の金額(中略)の計算上損金の額に算入された金額」があるとはいえないから、当該減価償却資産の取得価額(本件各減価償却資産処理前価額)に基づいて償却限度額を計算すべきである。 ⑷ そうすると、移行前最終事業年度に一括計上した減価償却費は被控訴人の損金経理額に含まれ、旧定率法の適用に当たっては、本件各減価償却資産処理前価額に基づいて償却限度額を計算すべきところ、これによらずに計算した本件各通知処分は違法であり、正しく計算した結果として増加する償却費の額は、原判決別紙5の1から8までの「⑤更正の請求により損金の額に算 入される償却費の増加額」欄記載のとおりとなる。 その額の認定に関する理由は、 結果として増加する償却費の額は、原判決別紙5の1から8までの「⑤更正の請求により損金の額に算 入される償却費の増加額」欄記載のとおりとなる。 その額の認定に関する理由は、原判決の「事実及び理由」第3の3⑵及び⑶(原判決59頁7行目冒頭から64頁18行目末尾まで。原判決別紙5の1から8までを含む。)に記載のとおりであるから、これを引用する。 3 実施事業に係る有価証券譲渡損の増加及び減価償却費の増加に伴い損金不算入額は増加するか(予備的主張1。争点3)について ⑴ 被控訴人は、控訴人の予備的主張1が、訴訟上の信義則・禁反言の法理に反し、時機に後れた攻撃防御方法を提出するものであるほか、違法な処分理由の差替えを行うものであるから、却下されるべきであると主張するが、控訴人の当該主張は、争点1及び争点2における被控訴人の主張が認められることを前提とする予備的主張であって、当該主張に対する判断に当たって改 めて証拠調べを必要とするものでもなく、税額計算に当たっての法の適用の問題である。証拠(甲50)及び弁論の全趣旨によれば、控訴人は、原審において、裁判所から仮に被控訴人の主張が認められた場合の税額計算の確認を求められ、事実上これに回答した際には、予備的主張を前提とした税額計算をしていなかったことが認められるが、これをもって控訴人がおよそ予備 的主張をしないとの意思を表示したとまではいえず、同回答によって受けた被控訴人の信頼も、在るべき法の適用を回避するのを正当化するほど保護に値するものともいえないから、訴訟上の信義則・禁反言の法理によって排斥することはできない。もとより許されない処分理由の差替えにも当たらないから、いずれにしても控訴人の主張を却下すべきものとはいえない。 ⑵ そこで、控 訴訟上の信義則・禁反言の法理によって排斥することはできない。もとより許されない処分理由の差替えにも当たらないから、いずれにしても控訴人の主張を却下すべきものとはいえない。 ⑵ そこで、控訴人の当該主張について検討するに、移行日の属する事業年度以後の各事業年度において、公益目的支出の額(整備法119条2項1号)が公益目的支出計画に係る公益事業から生ずる実施事業収入の額(同項2号)を超えるときは、その超える部分の金額(支出超過額)は、当該法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入されず(施行令131条の5 第5項)、実施事業に係る有価証券譲渡損及び減価償却資産の減価償却費は、 整備法施行規則16条1号の事業費の額に当たり、公益目的支出の額に含まれるため、当該部分は損金の額に算入することができないところ、被控訴人は、移行前から不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与する目的に関する事業(実施事業)として、納骨堂を経営していた(乙64の1~6)。 被控訴人は、前記1のとおり、平成25年3月期から平成27年3月期に かけて本件各譲渡有価証券を売却するなどして譲渡したが、その中に実施事業に係る有価証券が含まれており、被控訴人は、別紙3の表1(平成25年3月期)、表2-1(平成26年3月期)及び表3-1(平成27年3月期)のとおり、これらを売却するなどした。一方、被控訴人は、移行後、公益目的支出計画実施報告書を提出するに際し、移行時の帳簿価額(本件各譲渡有 価証券処理後価額)を譲渡原価の額として譲渡損益を計算し、これに基づいて支出超過額を算出しており、法人税の確定申告における所得の金額の計算に際しても、当該支出超過額をもって損金不算入となる額とした(乙64の1~6、65の1~6、66の2~4)。しかし、前 れに基づいて支出超過額を算出しており、法人税の確定申告における所得の金額の計算に際しても、当該支出超過額をもって損金不算入となる額とした(乙64の1~6、65の1~6、66の2~4)。しかし、前記1のとおり、有価証券の譲渡損益の算出に当たっては移行前取得価額を譲渡原価の額とすべきと ころ、これを前提にすると、実施事業に係る有価証券譲渡損が増加し、別紙3の表1(平成25年3月期)、表2-1(平成26年3月期)及び表3-1(平成27年3月期)の「⑥」欄の各合計額のとおり公益目的支出の額が増加することとなるが、その増加額は、支出超過額として各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入することができない。 また、被控訴人は、前記2のとおり、移行前から減価償却資産を保有し、移行後の本件各事業年度において、償却費を損金として計上したところ、その中には、被控訴人は、別紙4の表1から表6まで(平成24年3月期から平成29年3月期まで)のとおり、実施事業に係る減価償却資産が含まれていた(弁論の全趣旨)。前記2のとおり、本件移行日前に計上した償却費を、 移行後の事業年度において損金の額に算入することができるとするのであれ ば、実施事業に係る減価償却資産についても減価償却費が増加し、別紙4の表1から表6までの「⑦」欄の各合計額のとおり公益目的支出の額が増加することとなるが、その増加額は、支出超過額として各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入することができない。 ⑶ これに対し、被控訴人は、法人税法上の所得金額の計算である有価証券譲 渡損益の金額(法人税法61条の2第1項)や減価償却資産の償却費の損金の額へ算入される金額(同法31条1項)の計算は、上記支出超過額の計算に影響を与えない旨主張する。 しかし 価証券譲 渡損益の金額(法人税法61条の2第1項)や減価償却資産の償却費の損金の額へ算入される金額(同法31条1項)の計算は、上記支出超過額の計算に影響を与えない旨主張する。 しかし、上記⑵のとおり、施行令131条の5第5項により、当該法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入されない支出超過額は、 整備法119条2項1号の公益目的支出の額を基礎とするものであり、整備法施行規則16条は、この公益目的支出の額について、当該事業年度の損益計算書に計上すべき公益目的支出計画に記載した公益目的事業又は整備法45条の認可を受けた後も継続して行う不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与する目的に関する事業(実施事業)に係る事業費の額等の合計額とすると 定めている。そして、この事業費の額には、当該移行法人の有価証券の譲渡損や減価償却資産の償却費が含まれるところ、法人税法の解釈によってこれらの額が増加するのであれば、それに伴い損益計算書に計上すべき実施事業の事業費の額も増えることになるから、上記支出超過額の計算に影響を与えない旨の被控訴人の主張を採用することはできない。 4 移行前において償却費を計上した減価償却資産の償却限度額の計算の基礎となる金額は、取得価額から移行前に償却限度額内で損金経理をした金額を差し引いた金額であるか(予備的主張2。争点4)について控訴人は、公益法人等の非収益事業から生じた所得についても法人税法31条4項にいう「所得の金額の計算」が存在するというのであれば、施行令48 条1項1号イ⑵における減価償却資産の償却限度額の計算に当たっても、取得 価額から、移行前において償却限度額内で損金経理をした金額を「損金の額に算入された金額」として差し引いた額を移行後の償却限度額の ⑵における減価償却資産の償却限度額の計算に当たっても、取得 価額から、移行前において償却限度額内で損金経理をした金額を「損金の額に算入された金額」として差し引いた額を移行後の償却限度額の計算の基礎とすべきであると主張する。 しかし、前記2のとおり、公益法人等の非収益事業から生じた所得については、非課税であり、そのために減価償却費を損金に算入できなかったものであ るから、移行前において償却限度額内で損金経理をした金額を「損金の額に算入された金額」として差し引くべき理由はない。争点2については、前記2のとおり、公益法人等が非課税とされていた期間の減価償却費についても普通法人に移行後に損金の額に算入することを法人税法31条4項が許容しているとして、当該減価償却資産の取得価額(本件各減価償却資産処理前価額)に基づ いて償却限度額を計算すべきとするものであるから、控訴人の上記主張は、前提において失当というほかない。 5 平成24年3月期の更正の請求は国税通則法70条1項の期間制限により許されないか(争点5)について⑴ 平成24年3月期の更正の請求は、同事業年度の法人税の法定申告期限(法 人税法74条)から5年を経過した日(平成29年6月1日)の後である平成30年12月10日に提出されたものである(引用する原判決第2の2⑶ウ(イ))から、国税通則法70条1項の更正の期間制限により、減価償却資産に係る償却費の損金算入額の誤りを理由に、①課税標準の減額(1億0373万6719円を減額)、②還付金の額に相当する税額の増額(1349万 8103円を4365万8903円に増額)については、更正を求めることができない。 ⑵ これに対し、被控訴人は、国税通則法70条2項は、純損失等の金額の発生の変更のみを対象とするもの 9万 8103円を4365万8903円に増額)については、更正を求めることができない。 ⑵ これに対し、被控訴人は、国税通則法70条2項は、純損失等の金額の発生の変更のみを対象とするものではなく、その内容の不可欠な一部を構成する①及び②も含まれると主張する。 しかし、国税通則法70条2項において、9年を経過する日まで許される のは、「法人税に係る純損失等の金額で(中略)当該金額があるものとする更正」であるところ、上記①及び②はその対象とはされていない。この定めは、平成23年税制改正において、法人税の欠損金の繰越期間が9年に延長されることとなり、適正公平な課税を確保するためには、繰越期間内の欠損金額が正しいかどうかを過去に遡って検証し、誤りがあれば更正できるよう にする必要があることから、この繰越期間に併せて法人税に係る純損失等の金額についての更正の期限が法定申告期限から9年に延長されたものであって、上記①及び②についてはその趣旨があてはまるものとはいえない。被控訴人の上記主張は、上記①及び②については、期間制限を5年としていることを無意味なものにするものであって、採用できない。 ⑶ また、被控訴人は、国税通則法70条1項2項により、上記①及び②についての更正ができないとしても、純損失等の金額の発生についての更正を行うとともに、上記①及び②について同法71条1項1号に基づく更正は可能であると主張する。 しかし、同法71条1項1号は、更正決定等に係る裁決等による原処分の 異動又は更正の請求に基づく更正に伴い当該裁決等又は更正の対象とならなかった年分又は事業年度分について更正すべき場合に、当該年分又は事業年度分の課税標準等又は税額等につき、当該裁決等又は更正があった日から6月間なお に基づく更正に伴い当該裁決等又は更正の対象とならなかった年分又は事業年度分について更正すべき場合に、当該年分又は事業年度分の課税標準等又は税額等につき、当該裁決等又は更正があった日から6月間なお更正決定等をすることができることを定めたものであるから、更正の対象となった同一事業年度である平成24年3月期の課税標準等又は税額 等を変更する更正を同号に基づいてすることはできない。 6 税額等の計算(税額計算の結果は別紙6「税額計算表」のとおり)⑴ 法人税の額等被控訴人が本件各確定申告において申告した、本件各事業年度における所得金額又は欠損金額(ただし、平成24年3月期については、平成24年1 0月31日付け更正処分による所得金額)は、別紙6「税額計算表」の「申 告所得金額等」欄の金額であった(正の金額は所得金額を、負の金額は欠損金額を意味する。)。そして、前記1のとおり、本件各譲渡有価証券の譲渡利益額が過少である又は譲渡損失が過大である旨の控訴人の主張は理由がないから、有価証券の譲渡損益に関する本件各確定申告の内容に誤りはなく、これに対し、前記2のとおり、損金の額に算入すべき償却費の額が過少である 旨の被控訴人の主張は理由があり、減価償却に関する本件各確定申告の内容に誤りがあるから、正しい税額計算としては、まずは、同表の「申告所得金額等」欄記載の金額から、同表の「損金算入償却費増加額」欄記載の金額(原判決別紙5の1から8までの表の各「⑤更正の請求により損金の額に算入される償却費の増加額」の「合計」欄記載の金額と同一である。)が、所得金額 については減算され、欠損金額については加算される。そして、予備的主張1によって認められる損金不算入額の増加額の合計額は、別紙5「(予備的主張1)原判決の判示を と同一である。)が、所得金額 については減算され、欠損金額については加算される。そして、予備的主張1によって認められる損金不算入額の増加額の合計額は、別紙5「(予備的主張1)原判決の判示を前提とした場合における本件各事業年度の支出超過額に係る損金不算入額一覧」における「支出超過額の増加額の合計額③(①+②)」欄のとおりであり、この額は損金の額に算入することができないから加 算し、所要の調整をすると、被控訴人の本件各事業年度における所得金額又は欠損金額は、別紙6「税額計算表」の「認定できる所得金額又は欠損金額」欄記載の金額となる(正の金額は所得金額を、負の金額は欠損金額を意味する。ただし、平成24年3月期の所得金額は、国税通則法70条1項の期間制限により、「申告所得金額等」欄と同額となり、平成29年3月期は、「認 定できる所得金額又は欠損金額」欄につき「0円」、「翌期へ繰り越す欠損金額」欄につき「4億1016万2607円」とすることに当事者間において異議がないためその額とした。)。 その結果、平成24年3月期を除く本件各事業年度のいずれにおいても、欠損金額が発生しているか、又は所得金額が0円であるから、これらの法人 税の額は0円である(法人税法66条1項)。 そして、本件各事業年度において、法人税額から控除される所得税等の額は、同表の「税額控除の額」欄記載の金額であるから、被控訴人が納付すべき法人税額は、同表の「納付すべき法人税額」欄記載の金額となる。 なお、平成24年3月期について、同表の「翌期へ繰り越す欠損金額」欄の金額は国税通則法70条1項の期間制限を受けないが、欠損金額は発生し ていないから0円である(計算式:申告所得金額等(1億0373万6719円。別紙6の「申告所得金額等」欄の金 す欠損金額」欄の金額は国税通則法70条1項の期間制限を受けないが、欠損金額は発生し ていないから0円である(計算式:申告所得金額等(1億0373万6719円。別紙6の「申告所得金額等」欄の金額)-損金算入償却費増加額(4億2922万8497円。別紙6の「損金算入償却費増加額」欄の金額)+支出超過額増加額(3億8445万4310円。別紙5の「支出超過額の増加額の合計額③(①+②)」欄の金額)=5896万2532円)。 ⑵ 復興特別法人税の額等前記⑴のとおり、被控訴人の平成25年3月期及び平成26年3月期における法人税の額はいずれも0円であるから、復興特別法人税に係る基準法人税額は0円であり(東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法44条1号)、復興特別法人税の額も 0円である(同法47条2項本文、48条)。 そして、平成25年3月期及び平成26年3月期において、復興特別法人税額から控除される復興特別所得税(東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法49条1項)の額は、別紙6「税額計算表」の「控除復興特別所得税額」欄記載の金額であるから、 被控訴人が納付すべき復興特別法人税額は、0円から同欄記載の金額を控除した金額である、同表の「納付すべき復興特別法人税額」欄記載の金額となる。 ⑶ 地方法人税の額等前記⑴のとおり、被控訴人の平成29年3月期及び平成30年3月期にお ける法人税の額はいずれも0円であるから、地方法人税に係る基準法人税額 は0円であり(地方法人税法9条1項、2項、6条1号)、地方法人税の額も0円であるから(平成28年法律第15号による改正前の地方法人税法10条1項)、納付すべき地方法人税の 基準法人税額 は0円であり(地方法人税法9条1項、2項、6条1号)、地方法人税の額も0円であるから(平成28年法律第15号による改正前の地方法人税法10条1項)、納付すべき地方法人税の額は0円となる。 ⑷ 過少申告加算税の賦課決定処分本件各更正処分等のうち、各過少申告加算税の賦課決定処分については、 いずれについても、上記の納付すべき法人税及び復興特別法人税の額は、被控訴人が本件各確定申告において納付すべき税額として申告した金額を上回らず、各更正処分に基づき国税通則法35条2項の規定により納付すべき税額はないから、その全部が違法である。 7 以上によれば、予備的主張1の限度で控訴人の主張は理由があるから、その 限度で原判決を取り消して、その部分に係る被控訴人の請求をいずれも棄却し、控訴人のその余の控訴は理由がないから、これをいずれも棄却すべきである。 なお、原判決別紙2の4の処分一覧表4第2項のうち、「所得金額マイナス3億7780万6106円」とあるのは、「所得金額マイナス3億7780万6106円を超える部分」の明白な誤りであるから、民訴法257条1項により更正 し、その旨を明らかにすることとする。 よって、主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第21民事部 裁判長裁判官永谷典雄 裁判官伊藤由紀子 裁判官 𠮷 田光寿(別紙1、別紙2の1~4、別紙3~6省略) 光寿(別紙1、別紙2の1~4、別紙3~6省略)
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