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昭和41(オ)1234 所有権移転登記手続請求

裁判所

昭和44年12月19日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所 昭和40(ネ)303

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1,620 文字

主文 本件上告を棄却する。上告費用は上告人の負担とする。理由 上告代理人瀬沼忠夫の上告理由について。不動産の買主がその売主に対してなした右不動産の譲渡、質権抵当権賃借権の設定その他一切の処分を禁止する旨の仮処分、すなわちいわゆる処分禁止の仮処分は、これによつて被保全権利の確実な実現を図ることを目的としてされるものであり、それ故、仮処分後これに反する処分行為がされたとしても、右処分行為をもつて仮処分債権者に対抗することができないとされているのである。そして、第一次の処分禁止の仮処分がある場合に、右不動産の他の買主が同一の不動産について第二次の処分禁止の仮処分をすることは、何ら第一次の仮処分の内容に牴触しないから、これを妨げる理由はないが、しかし、第一次仮処分の債権者が、被保全権利の実現として、前示売買契約に基づく所有権移転登記を経由したときには、第二次仮処分の債権者は自己の仮処分の効力を主張して右所有権の取得を否定することはできないと解するのが相当である。けだし、第三者は、第一次仮処分後の権利の取得をもつて仮処分債権者に対抗することができないことはもとより、かような権利を保全するための第二次仮処分の効力を主張して、すでに存在する第一次仮処分の債権者が行なう被保全権利の実現を阻害することができるとすることは、前示仮処分の目的に照らし、是認することができないからである。これを本件についてみるに、原審の確定したところによれば、上告人は昭和三六年六月八日訴外D建設株式会社(第一審被告、原審昭和四〇年(ネ)第三〇三号事件控訴人)から本件建物を買い受け、その後同建物について右訴外会社を相手方として原判示処分禁止の仮処分命令を得て、昭和三八年七月二日登記簿にその記入を- 1 -受け、つ 和四〇年(ネ)第三〇三号事件控訴人)から本件建物を買い受け、その後同建物について右訴外会社を相手方として原判示処分禁止の仮処分命令を得て、昭和三八年七月二日登記簿にその記入を- 1 -受け、ついで同年七月二〇日右売買を原因とする所有権移転の仮登記を、さらに昭和四〇年五月二九日右仮登記の本登記を経由したが、一方被上告人は、昭和三二年八月二二日右訴外会社から本件建物を買い受け、上告人の右仮処分に先立ち、昭和三六年八月三〇日右売買契約上の自己の権利を保全するため原判示処分禁止の仮処分命令を得て、同日登記簿にその記入を受けたというのであるから、本訴において、被上告人の右売買契約による所有権取得の主張が肯定され、同人が右訴外会社に対してした本件建物の所有権移転登記手続請求が認容すべきものとされる以上、上告人は、自己のした前示仮処分の効力を主張して、被上告人の右所有権の取得を否定することはできないというべきである。 月三〇日右売買契約上の自己の権利を保全するため原判示処分禁止の仮処分命令を得て、同日登記簿にその記入を受けたというのであるから、本訴において、被上告人の右売買契約による所有権取得の主張が肯定され、同人が右訴外会社に対してした本件建物の所有権移転登記手続請求が認容すべきものとされる以上、上告人は、自己のした前示仮処分の効力を主張して、被上告人の右所有権の取得を否定することはできないというべきである。したがつて、被上告人が本件建物について右所有権移転登記を受けることを条件に、上告人は被上告人に対し右建物を明け渡し、原判示損害金を支払う義務があるとした原審の判断は正当として是認できる。原判決に所論の違法はなく、論旨は、独自の見地に立つて原判決を非難するものであつて、採用することができない。よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官草鹿浅之介裁判官城戸芳彦裁判官色川幸太郎裁判官村上朝一- 2 - 裁判官 色川幸太郎 裁判官 村上朝一

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