平成18年4月27日判決言渡平成15年(ワ)第1354号強制配転無効確認等請求事件判決主文 原告らの請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実 及び理由第1請求 原告らと被告との間で,原告らが被告の客室乗務員(フライト・アテンダント)の地位にあることを確認する。 被告は,原告らに対し,それぞれ100万円及びこれに対する平成15年6月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要本件は,航空会社である被告の従業員としてフライト・アテンダント(以下「FA」という。)の業務に従事していた原告らが,それぞれ平成15年3月1日付けで地上職である成田旅客サービス部に配転を命じられた(以下,原告らに対する各配転命令を一括して「本件配転命令」という。)ため,①雇用契約上,原告らの職種をFAに限定する旨の合意がある,②そうでないとしても,本件配転命令は配転命令権の濫用である,③そうでないとしても,本件配転命令は不当労働行為に当たる,として本件配転命令が違法になされたことによる無効を主張し,原告らが被告のFAの地位にあることの確認をそれぞれ求めるとともに,不法行為に基づき,本件配転命令により被った精神的苦痛に対する慰謝料100万円及びこれに対する本件配転命令以後の日である平成15年6月27日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払をそれぞれ求めた事案である。 前提事実(争いのない事実並びに後掲各証拠及び弁論の全趣旨により容易に 認定できる事実)(1)被告の概要等ア被告は,アメリカ合衆国A州法に基づいて設立された一般航空輸送業等を目的とする外国株式会社であり,アメリカ合衆国A州に本店を置き,肩書住所地に日本における主たる事務所を有している。 被告の概要等ア被告は,アメリカ合衆国A州法に基づいて設立された一般航空輸送業等を目的とする外国株式会社であり,アメリカ合衆国A州に本店を置き,肩書住所地に日本における主たる事務所を有している。 被告が日本地区で雇用する従業員数は,平成15年7月末日当時,約1250名であり,そのうち被告との間で期間の定めのない雇用契約を締結する従業員(正社員)が約730名,期間の定めのある雇用契約を締結する従業員(契約社員)が約520名であった。 イ被告が就航している路線は,アメリカ合衆国の各都市を結ぶ国内路線,アメリカ合衆国と日本を結ぶ太平洋路線,日本とアジア各国を結ぶアジア路線,アメリカ合衆国とヨーロッパ各国を結ぶ大西洋路線等である。 太平洋路線には,現在,成田とニューヨーク,デトロイト,ミネアポリス・セントポール,シアトル,サンフランシスコ,ロサンゼルス,ポートランド及びハワイを結ぶ就航便,名古屋とデトロイトを結ぶ就航便,大阪とハワイ及びデトロイトを結ぶ就航便等がある。 アジア路線には,現在,成田とグアム,サイパン,ソウル,釜山,北京,上海,広州,台北,マニラ,香港,バンコク及びシンガポールを結ぶ就航便,名古屋とマニラ及びサイパンを結ぶ就航便,大阪と台北を結ぶ就航便等がある。 ウ被告は,旅客機に搭乗して乗客に対し役務を提供する職種として,FA及びインフライト・サービス・レプレゼンタティブ(以下「IFSR」という。)を設けている。 (ア)FAは,正社員であり,旅客機に搭乗し,機内サービス業務全般及び保安業務等に従事する者である。 アメリカ連邦航空規則は,客室乗務員として旅客機に乗務するために 履修しなければならないトレーニングについて定めている。そのため,被告は,FAとして旅客機に乗務するためのトレーニング(以下「FAトレーニング」という は,客室乗務員として旅客機に乗務するために 履修しなければならないトレーニングについて定めている。そのため,被告は,FAとして旅客機に乗務するためのトレーニング(以下「FAトレーニング」という。)のプログラムを作成し,アメリカ連邦航空局の許可を受け,そのトレーニングを所定の成績で修了した者に限り,FAとして旅客機に乗務させている。 被告は,現在,成田とソウル,香港,バンコク,シンガポール,北京,上海,グアム,サイパンとを結ぶ各アジア路線に,日本地区のFAを乗務させている。 被告には,現在,成田空港にFAの乗務基地(以下「東京ベース」といい,各乗務基地を「○○ベース」のようにいう。)がある。 (イ)IFSRは,原則として雇用期間を1年間とする契約社員であり,旅客機に搭乗し,免税品の販売,マイレージ・メンバーズカードの未加入者への案内や勧誘等のマーケティング業務,日本語のアナウンス業務,機内食サービスのための補助業務,入国手続案内等の手続業務等に従事する者である。 被告は,日本地区で採用した日本人IFSRを,アメリカ地区で採用したアメリカ人FAとともに,太平洋路線に乗務させている。 被告には,成田空港,関西空港及び名古屋空港にIFSRの乗務基地がある。 (ウ)被告は,IFSRが旅客機内で保安業務に従事するためのトレーニングプログラムを作成し,そのトレーニングを所定の成績で修了したIFSRを,クォリファイド・インフライト・サービス・レプレゼンタティブ(以下「QIFSR」という。)と称し,現在,太平洋路線及び成田と釜山及び台北,大阪と台北,名古屋とサイパンを結ぶ各アジア路線に乗務させており,業務上の必要性がある場合,香港,グアムなどの他のアジア路線に乗務させている。 (2)原告ら原告甲1,原告甲2,原告甲3,原告甲4及び原告甲5 屋とサイパンを結ぶ各アジア路線に乗務させており,業務上の必要性がある場合,香港,グアムなどの他のアジア路線に乗務させている。 (2)原告ら原告甲1,原告甲2,原告甲3,原告甲4及び原告甲5は,本件配転命令当時,いずれも被告の正社員であり,東京ベースに所属し,FAの業務に従事していた。 (3)労働組合被告には,日本地区の従業員で構成される唯一の労働組合である乙日本支社労働組合(以下「支社組合」という。)がある。 本件配転命令当時,支社組合の組合員数は約350名であり,東京ベースのFA85名のうち84名が支社組合の組合員であった。 原告らは支社組合の組合員である。 なお,日本地区のIFSRは,すべて非組合員である。 (4)就業規則被告の日本地区就業規則(以下,単に「就業規則」という。)には次の規定がある。 ア20条A項「業務上の都合あるいは本人の希望により,同一職場内に於ける職種の変更又は他の職場内ないしは地域への転出,転任を当該本部長・部長,及び人事・労務本部長の承認を得て行う事がある。」イ同条B項「社員は異動を命ぜられたときは正当な理由がなければこれを拒む事は出来ない。」(5)労働協約書被告と支社組合が平成14年12月17日に締結した平成14年度の労働協約書(以下「平成14年度労働協約書」という。)は,第1部として地上職員について,第2部として客室乗務員について定めており,次の各規定がある。 ア第1部38条「業務上の都合或は従業員の希望に依り同一職場内に於ける職種の変更又は他の職場への転出又は他の地域への転任を当該部長及び 日本地区人事・労務本部長の承認を得て行うことがある。社命によりトランスファーされる従業員の個人的住居,通勤事情は充分会社が考慮する。」イ第2部前文「この協約の第2部をなす以下の条項は, び 日本地区人事・労務本部長の承認を得て行うことがある。社命によりトランスファーされる従業員の個人的住居,通勤事情は充分会社が考慮する。」イ第2部前文「この協約の第2部をなす以下の条項は,第1部の各条項に加えて日本で雇用され東洋地域を乗務する客室乗務員(フライトアテンダント,以下『客室乗務員』と称す)のみに適用される。」ウ第2部20条A項「本協約第1部の下記の各条項は客室乗務員には適用しない。 第12条『休息時間』,第13条『定休日』,第14条『祝日規定』,第17条『育児時間』,第21条『超過勤務手当』,第22条『夜勤手当』,第26条『通勤手当』,第27条『マイレージ』,第30条『シフト手当』。」(6)労使確認書の作成等ア被告は,平成13年5月ころ,同年9月末日をもって大阪とクアラルンプール及び高雄を結ぶ各路線を廃止し,当時関西空港にあった大阪ベースを閉鎖することを決定した。 イ被告は,同年8月ころ,大阪ベースの閉鎖等によってFAの余剰が生じるとして,甲2及び甲4を含むFA9名を,その個別的な同意を得ずに,同月20日付け,同月30日付け又は同年9月1日付けで成田旅客サービス部等の地上職に配転した。 ウ被告と支社組合は,上記イのFAの配転を契機として生じた日本地区のFAの配転に関する問題について団体交渉を行い,平成14年4月9日,「2002年日本地区客室乗務員問題に関する確認書」と題する書面(以下「本件労使確認書」という。)を作成した。 エ本件労使確認書には,次の各合意内容の記載がある。 1項「会社は,2001年に客室乗務員より旅客サービス部ならびにク ルースケジューリング部に配置転換された組合員である6名(丙1,甲4,丙2,丙3,甲2,丙4)を客室乗務員に配置転換する。(以下省略)」3項「会社は,第1項の6名 員より旅客サービス部ならびにク ルースケジューリング部に配置転換された組合員である6名(丙1,甲4,丙2,丙3,甲2,丙4)を客室乗務員に配置転換する。(以下省略)」3項「会社は,第1項の6名を含む客室乗務員である全ての組合員については,資質,適性,執務能力がある限り,客室乗務員としての職位を失うことがないように努力する。」5項「会社は,会社の業務上の必要に基づき,あるいは会社の経営改善等のために,新たな制度を導入し,あるいは客室乗務員の労働諸条件,諸制度を変更し,あるいは経営改善のための諸施策を実施することがある。 但し,組合が要求した場合は,会社は誠意をもって組合と協議する。」オ被告は,本件労使確認書の1項に基づき,同項に記載された6名を平成14年10月3日付けで東京ベースのFAに配転した。 (7)本件配転命令ア被告は,平成15年2月4日,東京ベースのFAに対し,同年3月からFAの人員を15名削減する旨通知し,人員削減のため早期退職制度や長期会社都合休職制度の利用者を募集したところ,同年2月21日までに,3名が早期退職制度を利用し,4名が長期会社都合休職制度を利用することになった。 イ被告は,同月21日,原告らを含む東京ベースのFA8名に対し,同年3月1日付けで成田旅客サービス部に所属するカスタマー・サービス・エージェントへの異動を命じた(本件配転命令)。 原告らは,被告に対し,同年2月22日又は23日,「配転に対する異議申立て」と題する書面を提出して本件配転命令に不服がある旨を申し立てつつ,成田旅客サービス部での業務に就き,現在に至っている。 争点 (1)本件配転命令は雇用契約に違反するか。 ア被告は,原告らをFAとして採用する際,各原告との間で,それぞれそ の職種をFAに限定する旨の合意をしたか。(争点①) 現在に至っている。 争点 (1)本件配転命令は雇用契約に違反するか。 ア被告は,原告らをFAとして採用する際,各原告との間で,それぞれそ の職種をFAに限定する旨の合意をしたか。(争点①)イ被告は,支社組合との間で,本件労使確認書を作成することによって,組合員であるFA全員の職種をFAに限定する旨を確認し,これによって,原告らとの間で,その職種をFAに限定する旨の合意をしたか。(争点②)(2)本件配転命令は配転命令権の濫用に当たるか。(争点③)(3)本件配転命令は不当労働行為に当たるか。(争点④)(4)原告らは,被告に対し,違法な本件配転命令により精神的損害を被ったとして,不法行為に基づき,それぞれ100万円の慰謝料を請求することができるか。(争点⑤) 争点に関する当事者の主張(1)争点①(被告は,原告らをFAとして採用する際,各原告との間で,それぞれその職種をFAに限定する旨の合意をしたか。)について【原告らの主張】ア以下の諸事情からすれば,被告は,原告らをFAとして採用する際,各原告との間で,それぞれその職種をFAに限定する旨の合意をしたというべきである。 (ア)FAの職務の専門性,特殊性aFAは,旅客機内での接客業務のほか,乗客の生命及び身体の安全を確保する保安業務を担っているところ,それらの業務を適切に行うためには,航空機の構造や機能,機内の設備,飛行計画,気象,医療,救命,看護,健康管理,危機管理,防火,消火,危険物,薬物,心理学,出入国管理など様々な分野について専門的な知識,技術,技能を身に付けていなければならず,しかも,数多くの経験を経て高度に習熟しておかなければならないから,FAは専門性の高い職種であるといえる。 bFAの業務を行うためには,アメリカ連邦航空規則上,アメリカ連 けていなければならず,しかも,数多くの経験を経て高度に習熟しておかなければならないから,FAは専門性の高い職種であるといえる。 bFAの業務を行うためには,アメリカ連邦航空規則上,アメリカ連邦航空局から許可を受けたFAトレーニングを修了し,特別な資格を取得しなければならないから,FAは専門的で特殊な職種である。 cいずれの航空会社においても,従業員の職種は機内乗務職系統と地上職系統に大別されており,客室乗務員は,機内乗務職の重要な一つと位置づけられているから,FAは地上職系統とは異なる機内乗務職系統の専門職であるといえる。 (イ)原告らがFAとして採用されるまでの経緯a甲3及び甲5は,被告がB紙に掲載した募集広告を見てこれに応募したものであるが,その募集広告は,FA及びIFSRの職種に限られた募集であり,地上職について全く記載がなかったのであるから,被告が募集していた職種はFA及びIFSRに限られており,採用した者を地上職に配転することは想定していなかった。 甲3及び甲5が応募した当時,6000名の応募があったのに対し,筆記試験及び面接試験に合格してFAトレーニングの受講資格を得た者は28名にすぎず,実際にFAトレーニングを修了してFAとして正式採用された者は25名にすぎなかった。このように,募集人員に比べ採用人数が極めて少ないのは,FAとして必要な人数に限り採用が行われたからに他ならない。 b甲1,甲2及び甲4は,いずれも被告の従業員であったところ,被告が実施したFAを募集する社内公募に応募した。 被告は,ある職種のポストが空いた場合に,そのポストに就きたい者を社内の従業員から募集し,応募した者の中から適任者を選抜する社内公募制度を採っており,専らこの制度により異職種間の人事異動を行い,本人の意に反して一方的に配転を いた場合に,そのポストに就きたい者を社内の従業員から募集し,応募した者の中から適任者を選抜する社内公募制度を採っており,専らこの制度により異職種間の人事異動を行い,本人の意に反して一方的に配転を行うこと自体がまれであった。そのため,社内公募制度により従業員をFAとして採用した以上, FAの専門職性に照らして,その者を地上職に配転することは,被告の人事制度として予定されていなかったというべきである。 cFAは他の職種と異なり,社外募集による場合も社内公募による場合も,筆記試験及び面接試験に合格しただけでは当該職に就くことはできず,被告のアメリカ合衆国の本社において,FAトレーニングを履修し合格することが採用の条件とされていた。実際,甲1,甲3及び甲5が受けたFAトレーニングの受講者28名の中には,所定の成績を修めることができず不合格となった者が3名おり,この者はFAとして採用されなかったばかりか,その他の職種の職員(地上職)としても不採用となった。また,甲2及び甲4が受けたFAトレーニングの受講者11名のうち,不合格となった者が1名おり,この者はFAとして採用されなかった。このように被告がFAトレーニングに合格することを採用の条件としたのは,採用する者の職種をFAに限定していたからである。 d原告らが受講したFAトレーニングの内容は,保安業務に関するものが約8割,接客業務に関するものが約2割であり,単に机上の学習だけでなく,実物大の機材,救命ボート,人形などを使った実践さながらの訓練が行われた。FAトレーニングは,旅客機内における安全をいかに確保するかという観点から組み立てられた極めて専門的な訓練であった。 e被告は一人のFAを養成するために,数次にわたる面接を行うほか,上記FAトレーニングを受けさせるために,渡航費用,滞 をいかに確保するかという観点から組み立てられた極めて専門的な訓練であった。 e被告は一人のFAを養成するために,数次にわたる面接を行うほか,上記FAトレーニングを受けさせるために,渡航費用,滞在費用,トレーニングプログラム遂行のための諸費用など膨大な養成コストを負担している。 f被告は,FAトレーニングを修了した者に対し,FAとして採用すると同時に,FAの認定証を交付しており,原告らもこれを受領した。 (ウ)原告らのFAとしての就労実績原告らは,FAトレーニングを修了した後,半年間の試用期間を経て,本採用となった。原告らは,アメリカ連邦航空局の規則に基づき,毎年トレーニングを受け,また,新機種に乗務するに当たってはその機種のトレーニングを受け,FAとしての知識・技術・技能を高めてきた。 甲1,甲3及び甲5は,平成9年4月にFAとなってから本件配転命令を受けるまでの約6年間,甲2及び甲4は平成9年12月にFAとなってから本件配転命令を受けるまで通算して約4年間,FAとして旅客機に乗務し,経験を重ねることにより,FAの業務を習熟し,その実務的能力を高めるとともに,空の安全維持と被告の業績に貢献してきた。 (エ)FAと地上職との労働条件の違い就業規則及び労働協約で定められたFAと地上職との労働条件の違いからすれば,被告は,FAを地上職とは別系統の職種として区別しており,その点からもFAとして採用した場合には,その者の職種をFAに限定したといえる。 イ後記被告の主張に対する反論(ア)被告は,原告らをFAとして採用するに当たり,応募者に対する会社説明会,面接試験,FAトレーニングの受講者に対する説明会及びFAトレーニングの合格者に対する説明会のいずれにおいても,原告らに対し,FAから地上職への配転可能性について説明しなかっ 者に対する会社説明会,面接試験,FAトレーニングの受講者に対する説明会及びFAトレーニングの合格者に対する説明会のいずれにおいても,原告らに対し,FAから地上職への配転可能性について説明しなかった。 (イ)原告らは,被告に入社する際,被告に対し,就業規則を遵守する旨の誓約書を提出したが,入社時に同誓約書の提出を拒めるような状況にはなく,被告の求めに応じて被告が作成した文書に署名したにすぎないし,就業規則を熟知した上で誓約書に署名したわけでもない。 (ウ)昭和50年ころ以降の約30年間で,組合員であるFAが異職種へ転出した事例は,平成13年の大阪ベース閉鎖の際の事例を除くと, わずか3名にすぎない。その3名すべてが,家庭の事情や健康状態等から,自ら配転を希望したものであり,被告がFAの個別的な同意を得ずに配転を命じた事例は1件もない。 【被告の主張】ア被告は,原告らをFAとして採用する際,各原告との間で,それぞれその職種をFAに限定する旨の合意をしておらず,このことは,以下の諸事情から明らかである。 (ア)就業規則の定め被告と日本地区の従業員との間の雇用契約の内容は,原則として就業規則の定めによるところ,その20条において,従業員は異動を命じられた場合にはそれに従わなければならない規定があり,この規定は当然FAにも適用される。 (イ)平成14年度労働協約書の定め原告らは,本件配転命令当時,支社組合の組合員であったから,平成14年度労働協約書に服する立場にあるところ,その第1部38条及び第2部前文並びに第2部20条において,被告がFAに対して業務上の都合により他の職種に配転を命じることができることが定められている。 (ウ)FAから地上職への配転事例被告が就業規則及び被告と支社組合との間の労働協約(以下「労働協約」とい がFAに対して業務上の都合により他の職種に配転を命じることができることが定められている。 (ウ)FAから地上職への配転事例被告が就業規則及び被告と支社組合との間の労働協約(以下「労働協約」という。)の定めに基づいてFAをその個別的な同意を得ずに地上職へ配転を命じた事例は,昭和50年以降に限っても,27例ある。 (エ)原告らの認識原告らは,いずれも,FAとして採用されるまでの間に行われた面接試験又は会社説明会において,被告の人事部の担当者から,FAも業務命令により配転に応じなければならない旨の説明を受けた。また,被告は,これまで大阪ベースの閉鎖に伴うFAの強制配転を含め,多数のF Aをその個別的な同意を得ずに地上職に配転してきたが,本件訴訟に至るまで,支社組合及び組合員がFAの職種限定の合意を主張したことはなかった。したがって,原告らは,FAとして採用されたとしても,地上職に配転を命じられることがあることを承知していたというべきである。 イ原告らの主張に対する反論(ア)FAの職務の専門性,特殊性についてaFAの職種が重要であるかどうか又は専門的であるかどうかということは,当該業務に従事してきた原告らの職種が雇用契約上限定されていたということとは全く別の問題である。 FAが担当しなければならない職務は広い範囲に及びうるが,その主たるものは,①接客,②定時運航及び③安全確保のための乗客に対する保護器具の使用方法の説明である。①接客は,一般の接客業務と同様のものであり,特別の技術,技能が要求されるものではない。②定時運航,③安全確保のための乗客に対する保護器具の使用方法の説明のために要求される能力も,サービス業一般で要求される適応性,適格性及び状況判断能力等であり,これらの資質は,航空会社における地上職にも概ね必要とされ 保のための乗客に対する保護器具の使用方法の説明のために要求される能力も,サービス業一般で要求される適応性,適格性及び状況判断能力等であり,これらの資質は,航空会社における地上職にも概ね必要とされる資質である。職務内容としてFAに固有の面があるとすれば,旅客機内という限定された場所における業務であるという点に由来する特殊性であって,それ以上のものではない。 したがって,FAの職務に高度の専門性,特殊性があるわけではない。 bFAトレーニングを修了することは,旅客機内で乗務することのできる資格を取得するという意味にすぎず,国家資格ではない。FAトレーニングのプログラム内容は,各航空会社ごとに異なることから,例え被告でFAとして勤務した者でも,他の航空会社でFAとして勤務するためには,当該航空会社の定めたFAのトレーニングを最初か ら受講して修了しなければならない。 (イ)FAの採用手続についてa社外募集の際に明示する職務は,採用直後に配置を予定する部署の意味であり,職種を限定する趣旨ではない。 社外募集におけるFAの採用試験では,提出書類による書面審査及び一般常識や英語力を問う筆記試験により選考者が絞り込まれ,口頭面接において,受験者の志望動機や職業観,接客業についての考えを中心に選考しており,地上職の採用試験とほとんど同様の選考内容である。 社員採用試験における合格率は,当該職種の専門性や特殊技能とは何ら関係がない。 b社内公募における選考基準は,社外募集における場合と同様,専門性や特殊技能に関する選考基準は存在しない。 cFAトレーニングのプログラム内容は,大別すると安全及びサービスに関するものがあり,各2分の1の時間を費やして実施することとなっている。そのうちアメリカ連邦航空局の許可の対象となっているものは前者のみで レーニングのプログラム内容は,大別すると安全及びサービスに関するものがあり,各2分の1の時間を費やして実施することとなっている。そのうちアメリカ連邦航空局の許可の対象となっているものは前者のみである。 安全に関するトレーニングといっても,その内容のほとんどは一般的知識,乗務員間のコミュニケーション,使用機種等,知識に属するものである。 トレーニングの期間も約30日程度である。受講者のうち修了者の占める割合は,平成6年から平成15年に限ってみても95パーセント以上であるから,FAトレーニングはまじめに受講しさえすればだれでも修了できる内容であったといえる。 (ウ)FAと地上職との労働条件の違いについて就業規則及び労働協約において,FAと地上職とで異なる労働条件が 定められているのは,FAの職務が専門的で特殊であるからではなく,あくまで旅客機での乗務という勤務態様が異なる部分があるからにすぎない。 (2)争点②(被告は,支社組合との間で,本件労使確認書を作成することによって,組合員であるFA全員の職種をFAに限定する旨を確認し,これによって,原告らとの間で,その職種をFAに限定する旨の合意をしたか。)について【原告らの主張】ア本件労使確認書の意義支社組合は,平成14年2月,被告に対し,大阪ベースの閉鎖に伴い地上職に配転されたFAの復帰及びFAの配転に関する覚書の締結等を求め,団体交渉を申し入れた。被告は,将来のことを約束するような覚書を受け入れることはできないという立場であり,支社組合と被告の立場に大きな隔たりがある状況で団体交渉が始まった。 支社組合と被告は,同年3月29日の第6回団体交渉において,FAの配転に関する諸問題での団体交渉は決裂したとの共通認識を持つに至り,支社組合としては,FAの配転に関する諸問題が長期化 渉が始まった。 支社組合と被告は,同年3月29日の第6回団体交渉において,FAの配転に関する諸問題での団体交渉は決裂したとの共通認識を持つに至り,支社組合としては,FAの配転に関する諸問題が長期化することもやむを得ないと判断したが,同年4月4日の三六協定の団体交渉の際,被告から,FAの配転に関する諸問題の解決が急務であるとして,被告が譲歩するので支社組合も交渉決裂時の提案に譲歩の余地がないかとの打診を受けた。 そして,同月9日のFAの配転に関する諸問題の団体交渉において,初めて被告としての譲歩案が示され,交渉の結果,支社組合と被告との間で,本件労使確認書が交わされた。 本件労使確認書は,その作成に至る交渉経過からすれば,FAの配転に関する諸問題を抜本的に解決し,もって労使関係の安定を図ることを目的として作成されたものであり,従来よりも組合員FAの職位を強めたもの といえる。したがって,被告は,支社組合との間で,本件労使確認書を作成することによって,組合員であるFA全員の職種をFAに限定する旨を確認したというべきである。 イ本件労使確認書の第3項の文言上は,被告に努力義務を課したにすぎないような表現になっている。しかし,このような表現は,被告がFAに対する配転命令権が制約されないという立場にこだわり,支社組合としても合意文書を取り交わすためには一定の妥協をしなければならないと判断したためである。もちろん支社組合の意図としては,FAの職種限定合意を否定したのではない。 【被告の主張】被告が本件労使確認書を作成したのは,支社組合が成田空港第2滑走路のオープンをターゲットに予定していた大規模な争議行為や取引先である旅行代理店本支店付近での争議ビラ配布行為等を回避するとともに,支社組合が一向に実質的な交渉に入ろうとしなかった平成14年度 滑走路のオープンをターゲットに予定していた大規模な争議行為や取引先である旅行代理店本支店付近での争議ビラ配布行為等を回避するとともに,支社組合が一向に実質的な交渉に入ろうとしなかった平成14年度の労働協約改定交渉を早急に開始するため,さらには内容的にはほぼ合意に至っていた三六協定を締結するためであり,支社組合もそのことを知っていた。 平成14年4月4日の団体交渉では,支社組合は,被告に対し,大阪ベースの閉鎖に伴いFAから地上職に配転された6名をFAに戻した上で,何らかの文書を作成してFAの配転に関する諸問題を解決したい旨強く要求した。 被告は,FAが余剰である以上,上記6名のFA復帰は容認できるものではなかったが,支社組合が,数次にわたり,会社都合休職制度の積極的な応募等を含む様々な手段でFAの余剰問題等の解決に向けて被告に積極的に協力する意思を表明したことから,これ以上の争議拡大を防止するとともに,労使の円満を図るため,やむを得ず支社組合の要求を受けることとした。 被告は,本件労使確認書を作成するまでの間の団体交渉の際,一貫して,本人の同意がない限りFAの配転を実施してはならない,との支社組合の要 求及びその趣旨の確認書の締結要求について拒否し,支社組合に対し,業務上の必要性があればFAを地上職へ将来配転することがあり得ることを説明した。支社組合もそのことを十分認識し,被告の作成した文書に同意した上で,本件労使確認書を作成した。 したがって,本件労使確認書は,被告が原告らの職種をFAに限定する旨を確認したものではない。 (3)争点③(本件配転命令は配転命令権の濫用に当たるか。)について【原告らの主張】ア業務上の必要性の不存在(ア)被告は,本件労使確認書を作成したことにより,FAに対して高度の配転回避努力義務を負う。そのた 件配転命令は配転命令権の濫用に当たるか。)について【原告らの主張】ア業務上の必要性の不存在(ア)被告は,本件労使確認書を作成したことにより,FAに対して高度の配転回避努力義務を負う。そのため,配転命令権行使の要件として,本件労使確認書の作成当時に予測し難いほどの急激な事情の変化が生じ,FAを地上職に配転しなければならない高度の業務上の必要性が新たに生じたことが必要であり,かつ,被告がこれを主張立証すべきである。 本件労使確認書が作成されたのは,平成14年度第1四半期直後であるところ,この当時,航空業界は平成13年9月にアメリカ合衆国で発生した同時多発テロ事件の余波を受けて,業績に厳しさをみせていた時期であり,世界的に急激な景気回復を展望できない時期でもあった。つまり,本件労使確認書は,平成14年度第2四半期以降も相当に経営が厳しいことが見込まれた時期に作成されたものである。したがって,被告が主張する本件労使確認書の作成以後の業績に関する事実は,本件労使確認書の作成時に予測し難いほどの急激な事情の変化には当たらず,本件配転命令を合理的に理由付ける事情とはならない。 また,被告の太平洋地区最高経営戦略会議(以下「EPMT」という。)において被告が主張するような決定がなされたかは疑わしいし,仮にEPMTで被告が主張するような決定がなされたとしても,EPM Tは被告の内部機関であり,外的,客観的な本件労使確認書の作成当時に予測し難いほどの急激な事情の変化とはいえず,内部決定された施策は本件配転命令を合理的に裏付ける事情とはならない。 (イ)被告は,意図的にFAの余剰を作り出した。 すなわち,被告には,本件配転命令当時,166名のIFSRが在籍しており,その中にQIFSRは58名いたところ,被告は,1970年代前半から一貫して,支 )被告は,意図的にFAの余剰を作り出した。 すなわち,被告には,本件配転命令当時,166名のIFSRが在籍しており,その中にQIFSRは58名いたところ,被告は,1970年代前半から一貫して,支社組合に対し,IFSRを導入する目的として,景気の変動に応じて雇用調整機能を持たせることにあると説明してきたのであるから,FAが余剰であるならば,まずはIFSRについて契約期間満了に伴い更新をせず,雇止めをすべきであった。しかし,被告は,IFSRの雇止めを一切行わず,かえってIFSRを客室乗務員としての業務に就かせるという方策を講じ,FAをIFSRに置き換えて排除しようとした。 (ウ)被告は,FA15名の人員削減の必要性につき,具体的な計算根拠を明らかにしていない。 すなわち,被告は,Cというコンピューターソフトにより,FA15名の人員削減が必要であるとの答えが出たと説明する。しかし,Cはもともと効率的な乗務パターンを算出するソフトであり,余剰を算出するソフトではないこと,Cで試算する際の設定条件について,QIFSRの乗務している成田と台北,釜山及び高雄を結ぶ路線並びに関西と台北を結ぶ路線を含めていないこと,客室乗務員の勤務態様は複雑であるにもかかわらず,被告の分析手法は,Cで算出された東京ベースのFAの1か月当たりの総乗務時間数約3300時間を,乗務するパターンがあらかじめ決められているFA1名当たりの平均給与支払対象時間で除すという大まかなものであり,このような大まかな分析手法では現実に必要なFA数が算出できないこと,分析に当たって,FA全員がフル稼働 してフライトを維持できる人数を念頭においており,育児休業等を考慮していない点で妥当ではないことからすれば,Cの結果を信用することはできない。被告には15名のFAを削減するという目 がフル稼働 してフライトを維持できる人数を念頭においており,育児休業等を考慮していない点で妥当ではないことからすれば,Cの結果を信用することはできない。被告には15名のFAを削減するという目的があり,その説明のため本件訴訟になってCを持ち出しているにすぎない。 (エ)原告らを地上職に配転しても,一部の手当を除いた全賃金を支払わなければならないし,本件配転命令により旅客サービス部に配転したFAに替えて,新たな路線,機種に乗務させるためにIFSRを雇い入れなければならないから,本件配転命令は人件費削減に結びついていない。 (オ)原告らFAを別の職種に配転させることは,それまでに原告らに対して費やした人材育成費用に照らすと有効とはいえず,成田旅客サービス部の人員不足をFAで補うことに合理性はない。成田旅客サービス部の人員を確保するためには,より人件費の低い契約社員を外部から採用した方が合理的である。 イ配転回避義務の不履行本件労使確認書の合意内容,本件労使確認書の作成に至る経緯及び本件労使確認書に基づいて6名をFAに復職させた経緯等にかんがみれば,被告は,本件配転命令を回避するための努力を尽くす義務があったにもかかわらず,ワークシェアリングによるFA全員の飛行時間の低減,FA全員の賃金カット,会社都合休職制度の持ち回り取得等,FAの地上職への配転を回避するための努力を何ら行わなかった。 ウ説明義務違反本件労使確認書の2項で「会社は,会社が行う各施策について客室乗務員の理解を深め,業務の円滑な推進を図るため,客室乗務員に対して,人員計画,事業計画,その他の客室乗務員に関する諸問題についての説明を適切な時期,方法により行うように努力する。」と取り決められているの であるから,被告は,FAの削減通知をする前に,支社組合及び組 計画,事業計画,その他の客室乗務員に関する諸問題についての説明を適切な時期,方法により行うように努力する。」と取り決められているの であるから,被告は,FAの削減通知をする前に,支社組合及び組合員に対し,本件労使確認書による合意を短期日のうちに反故にせざるを得ないようなやむを得ない事情があるのであればその事情を,15名のFAをその職務から外さざるを得ないようなやむを得ない業務上の必要性があるのであればその必要性を,裏付ける資料を呈示しつつ十分な説明を尽くし,納得を得る努力を最大限行う義務があったにもかかわらず,事前に何らの説明もしなかった。 また,被告は,FAの削減通知をした後も,支社組合からの公開質問状にまともな回答を行わず,団体交渉においても財政状況を示す資料を一切呈示せず,本件配転命令によってどのくらいコストの削減を見込んでいるのかも説明せず,支社組合及びFAの納得を得るための真摯な努力を行わなかった。 エ動機・目的の不当性後記(4)の原告らの主張のとおり,本件配転命令の動機・目的は,支社組合の弱体化を図ることにあった。 オ原告らが被る不利益(ア)原告らは,本件配転命令によって,FAの職を一方的に奪われ,FAとしての誇りを傷つけられるとともに,FAとしての能力を発揮する機会とその能力を向上させる機会を失った。 (イ)FAは,地上職とは異なり,基本給のほかに,インセンティブ・ペイ,深夜乗務手当,クリーニング手当,免税販売手数料,宅配サービス業務手数料の支払を受けることができるところ,原告らは,本件配転命令により成田旅客サービス部に配転されたことで,これらの支払を受ける余地がなくなった。 (ウ)FAの勤務体系は7日勤務4連休が基本であるのに対し,地上職の勤務体系は5日勤務2連休であるところ,原告らは,本件配転命令に ビス部に配転されたことで,これらの支払を受ける余地がなくなった。 (ウ)FAの勤務体系は7日勤務4連休が基本であるのに対し,地上職の勤務体系は5日勤務2連休であるところ,原告らは,本件配転命令に よりFAから成田旅客サービス部に配転されたことで,1か月の休日が11日から8日に減少した。 また,FAの勤務時間は月間70時間から80時間であるのに対し,地上職の勤務時間は月間160時間であるところ,原告らは,本件配転命令によりFAから成田旅客サービス部に配転されたことで,勤務時間が大幅に増加した。 (エ)FAと地上職とでは交通費支給条件が異なるところ,原告らは,本件配転命令によりFAから成田旅客サービス部に配転されたことで,交通費の一部を自己負担することになった。 【被告の主張】ア業務上の必要性について被告が本件配転命令を実施した理由は,当時,多数の余剰が生じていた東京ベースのFAを必要数まで減じた上で,対象となる者を人員不足が生じていた成田旅客サービス部へ配置することにより,人件費削減を実現するところにあった。 (ア)財政状況の悪化とEPMTの決定平成14年の第1四半期の被告の業績は,1億7100万ドルという巨額の経常損失を計上し,同年の第2四半期も9300万ドルの経常損失を計上し,第3四半期の業績の回復も見込めず,被告の財政状況は極めて悪化していた。特に,太平洋地区(太平洋路線及びアジア路線を併せた地域)における被告の業績が近年の各期において大幅な損失を計上し続けるなど,他の地区の業績と比較しても不振が顕著であった平成14年12月9日から14日にかけて開催されたEPMTにおいて,太平洋地区として可能な限りの施策を講じるべく検討された。EPMTで実施が決定された経営の合理化策,経費削減策の内容は広範なものであったが,早 2月9日から14日にかけて開催されたEPMTにおいて,太平洋地区として可能な限りの施策を講じるべく検討された。EPMTで実施が決定された経営の合理化策,経費削減策の内容は広範なものであったが,早急に実施すべきものとされたのが,東京ベースのFA の余剰の解消であり,当時東京ベースに在籍していた86名のFAのうち15名を早急に削減すべきことが決定された。 (イ)東京ベースのFAの余剰a東京ベースのFAの人件費が他のベースのFAと比べて突出して高かった。各ベースのFA1名に要する1時間当たりの人件費額を算出すると,東京ベースの人件費は,2番目に高い香港ベースの人件費の約2倍,最も低いマニラベースの人件費の約11倍に相当した。 FAとIFSRの労働条件を比較すると,FAは,有給休暇,慶弔休暇,病気休暇という点でIFSRより優遇されており,賃金の点でも,その基本月給がIFSRの2倍であり,さらに,FAには,住宅手当,扶養家族手当,超過勤務手当,インセンティブ・ペイ,深夜乗務手当,ボーナス,クレジットタイム補償制度等,IFSRには存しない様々な手当が支給されていた。そのため,FAの1時間当たりの平均人件費は,IFSRの平均人件費の約2倍であった。 b東京ベースのFAの賃金水準が高かったことから東京ベースのFAが乗務できる路線が少なかったことに加え,被告は平成12年10月に国際線全路線においてファーストクラスを廃止したこと,平成13年1月に日本人乗客の少なかったマニラ路線において日本人FAの乗務を中止したこと,平成13年9月に大阪ベースを閉鎖したことによって,東京ベースのFAの余剰が拡大した。 c被告は,東京ベースのFAは各便に原則1名,例外的に3名を配置することとし,Cというコンピューターソフトを用いて最も合理的な乗務パターンを策 たことによって,東京ベースのFAの余剰が拡大した。 c被告は,東京ベースのFAは各便に原則1名,例外的に3名を配置することとし,Cというコンピューターソフトを用いて最も合理的な乗務パターンを策定し,その結果に基づいて,平成15年度において必要とされる東京ベースのFAの数を試算したところ,多く見積もったとしても70名にとどまるとされた。当時FAの総数は85名であるから,上記70名との差である15名が余剰人員であった。 (ウ)本件配転命令による人件費削減の効果被告は,本件配転命令により,将来的には,日本地区全体で,配転先である成田旅客サービス部に契約社員を配置する必要がなくなり,新たな人件費支出が不要となったほか,本件配転を行わずに8名を従前どおりFAとして配置していれば必然的に生じたであろうインセンティブ・ペイ等の人件費を年間大幅に削減することが見込まれた。 被告が,IFSRに対し,客室乗務員として旅客機で乗務するためのトレーニングを受講する機会を付与したのは,乗務予定のQIFSRの急な欠勤等のため,客室乗務員を配置する緊急の必要が生じた場合など,いざというときのために旅客機に乗務することのできるQIFSRを相当程度確保し,スケジュールを策定する際の弾力性を確保しておくためである。すなわち,IFSRの給与は実際に乗務した場合に実乗務時間に応じて算定して支払う給与制であるから,実際に乗務しない限り被告にはコストは生じないのに対し,FAを緊急の必要が生じた場合などのために待機させておいた場合,それだけで基本給額を保障しなければならないなどの様々なコスト負担が生じ,さらに実際に乗務させることとなれば,QIFSRの2倍の運航コストを要することになる。加えて,太平洋路線にFAを乗務させることができないのに対し,QIFSRであれば, などの様々なコスト負担が生じ,さらに実際に乗務させることとなれば,QIFSRの2倍の運航コストを要することになる。加えて,太平洋路線にFAを乗務させることができないのに対し,QIFSRであれば,太平洋路線についてはIFSRとして,アジア路線についてはQIFSRとして乗務させることができるのであるから,柔軟な乗務管理が可能となる。 イ配転回避義務の不履行について被告は,過去3年間に,平成12年10月におけるファーストクラス廃止,アメリカ採用のFAのアジア路線での増員,マニラ路線への日本地区FAの乗務廃止等に伴う早期退職制度又は会社都合休職制度の導入,平成13年3月における会社都合休職制度の導入,同年5月における大坂ベー スの閉鎖等に伴う早期退職制度等の提案,同年9月におけるFAの乗務時間の弾力的運用に伴う規制の緩和,早期退職制度の継続的導入等,FAの余剰の問題等を解消するための努力を重ねてきた。 また,被告は,本件配転命令の際も,早期退職制度及び長期会社都合休職制度を導入し,異動対象者を最小限に抑制するべく最大限の努力を行った。 ウ説明義務違反について被告は,本件配転命令をする前に,原告らを含む組合員及び支社組合に対し,被告の経営状況や財務内容,アメリカ航空業界の厳しい経営環境や太平洋地区の機内業務の本部の余剰問題等について説明し,東京ベースのFAの余剰を解消するべく,FA15名の削減策並びに早期退職制度及び長期会社都合休職制度の導入の説明を行い,両制度の内容を説明した書面を東京ベースのFA全員及び支社組合に送付した。また,被告は,FA全員に対し,電話により直接,上記説明書面を東京ベースのFA全員に送付したこと,両制度への募集期限等を伝えた。さらに,その後のベースミーティングや団体交渉の場で,コスト削減計画を説明し,東京ベ FA全員に対し,電話により直接,上記説明書面を東京ベースのFA全員に送付したこと,両制度への募集期限等を伝えた。さらに,その後のベースミーティングや団体交渉の場で,コスト削減計画を説明し,東京ベースのFAが余剰であり,その人員を社内で欠員がある部署に有効に再配置する必要性がある旨の説明もし,支社組合からの公開質問状にも誠実に回答した。 エ動機・目的の不当性について後記(4)の被告の主張のとおり,争う。 オ原告らが被る不利益について(ア)FAの職を奪われることそのものの不利益は考慮すべきではない。 原告らの配転先である旅客サービス部のカスタマー・サービス・エージェントは,被告を利用する乗客に対し,搭乗便の座席指定,搭乗手続,搭乗案内,乗り継ぎ便利用の際の誘導,航空券の発券,到着客に対するサービス,遺失物の取扱い等を担当する部署であり,それまで旅客機内 において乗客に対してサービスを提供してきた原告らのFAとしての職務経験を生かせる部署である。 (イ)本件配転前における原告らの基本給についてみると,甲1は23万7300円,甲2は27万1700円,甲3は23万7300円,甲4は27万1700円,甲5は23万7300円であるのに対し,本件配転命令後における原告らの基本給についてみると,甲1は23万7300円,甲2は27万9700円,甲3は23万7300円,甲4は39万7900円,甲5は23万7300円であり,本件配転命令による原告らの基本給の減額はない。 また,原告らがインセンティブ・ペイ,深夜乗務手当,クリーニング手当,免税販売手数料,宅配サービス業務手数料による支払を受けることができなくなったのは,いずれも職種の変更に伴う当然の結果であり,本件配転命令の当然の帰結である。 (ウ)休日については,FAの勤務スケジュールが旅客 ,宅配サービス業務手数料による支払を受けることができなくなったのは,いずれも職種の変更に伴う当然の結果であり,本件配転命令の当然の帰結である。 (ウ)休日については,FAの勤務スケジュールが旅客機の運航スケジュールに基づいて可変的に編成されるのに対し,旅客サービス部の勤務スケジュールは1週7暦日につき2日の休日を前提として設定されるので,単純に比較して論ずることはできない。 (エ)被告における交通費の支給条件及び支払方法は,地上職については月間の定期券購入に要する実費額,FAについては自宅と成田空港間の片道3500円を上限とした払戻方式によることが定められている。 (4)争点④(本件配転命令は不当労働行為に当たるか。)について【原告らの主張】①FA職の専門職性,②被告による全面的かつ一貫した支社組合弱体化攻撃(下記ア),③組合員であるFAに対する熾烈な攻撃(下記イ),④本件労使確認書を一方的に反故にして強行した本件配転命令の経緯,⑤本件配転命令の手続の不当性,⑥本件配転命令を回避する措置の欠如,⑦人選基準の 合理性の欠如等を勘案すれば,本件配転命令の主たる動機・目的が,支社組合の弱体化を図るところにあると考えられる。すなわち,被告は,本件配転命令により,支社組合の組合員であるFAを退職に追い込むこと又はみせしめとして差別的,屈辱的処遇を強いることによって,支社組合の結束力をそぎ,ひいては支社組合の弱体化を図った。 ア被告による全面的かつ一貫した支社組合弱体化攻撃(ア)支社組合は,昭和35年6月に結成されたが,その後の歴史は,以下に挙げる裁判又は労働委員会への申立案件が示すとおり,被告による組合敵視と干渉・攻撃の歴史そのものであった。 a被告は,昭和35年の支社組合結成当初から,その承認を拒否し,団交も拒否するという異 下に挙げる裁判又は労働委員会への申立案件が示すとおり,被告による組合敵視と干渉・攻撃の歴史そのものであった。 a被告は,昭和35年の支社組合結成当初から,その承認を拒否し,団交も拒否するという異常な事態が続いた。 b被告は,昭和36年9月,従業員の退職金問題で東京都労働委員会(以下「都労委」という。)に調停を申し立てられ,同年12月,都労委から事情聴取を受けた。 c被告は,昭和37年8月,ストライキ禁止条項のない労働協約には調印できないとして,労働基本権を否定する驚くべき対応をし,労働協約の締結を拒否した。 d被告は,昭和38年4月,支社組合の当時の委員長に出勤停止処分をした。 e被告は,昭和39年12月,空港旅客及び羽田整備で無期限ロックアウトを行い,貨物課及び機内食課でも適用を拡大し,さらに,日活地区,渋谷地区,メカニックも相次いで無期限ロックアウトを行ったが,同月18日,都労委公益委員会議からこれらのロックアウトは労働関係調整法37条に違反するとの警告を受けた。 f被告の日本支社長であったDは,昭和40年1月,「問題は都労委へ持っていっても解決しない。会社はたとえ労働委員会の前でも総理 大臣の前でも天皇の前でも力には絶対に屈しない。アメリカの歴史は建国以来力には必ず力で対抗してきた。そして,いまだかつて敗北したことはない。組合がスト権を放棄しないかぎり会社も力で対応する。」と発言した。 g支社組合は,昭和41年1月,ロックアウト中の賃金請求訴訟を東京地方裁判所に提起し,昭和44年11月11日,全面勝利判決を得た(昭和47年12月に東京高等裁判所,昭和50年7月に最高裁判所でいずれも支社組合の勝訴により確定した。)。 h被告は,昭和42年11月,支社組合の旅客課組合員を不当解雇した。 i支社組合の丙5委員長は 7年12月に東京高等裁判所,昭和50年7月に最高裁判所でいずれも支社組合の勝訴により確定した。)。 h被告は,昭和42年11月,支社組合の旅客課組合員を不当解雇した。 i支社組合の丙5委員長は,同月,不当解雇されたため,昭和43年10月,東京地方裁判所に提訴し,昭和45年5月,勝訴判決を得た。 j被告は,昭和44年1月,組合員である客室乗務員13名をシアトルベースに移すという組織攻撃をした。 k被告は,昭和45年4月,支社組合の丙6組合員を不当解雇したが,後日,解雇を撤回した。 l支社組合は,昭和47年6月ころ,支社組合の丙7組合員に対する降格処分及び定昇遅延問題について,都労委に不当労働行為救済を申し立て,昭和51年7月,不当労働行為であるとの救済命令を得た。 m被告は,同年12月,FA60名が支社組合に加入したのに対し,これを承認しないとの態度を示した。 n被告の日本支社長であったE及び運輸総支配人であったFは,昭和49年10月,搭乗課の丙8組合員(現中央執行委員)に暴力をふるい,傷害を負わせた。 o被告は,昭和50年3月以降,運航課の組合員に対し,第1次6名,第2次5名,第3次5名と相次いで不当配転命令をしたため,上記運 航課の組合員のうち5名が,同年7月,東京地方裁判所に仮処分を申請し,同年12月,被告が課員らの意向をほぼ全面的に受け入れるかたちで合意が成立した。 p機内食課の丙9組合員が,昭和51年5月,暴行を理由に空港警察に連行されたが,同年6月,不起訴となった。これ以降,被告が刑事事件を捏造し刑事弾圧を加える攻撃が相次いで発生した。 q大阪及び沖縄の従業員が,不当休業通告による賃金不払があったとして,昭和52年5月11日に提訴し,昭和57年7月19日に休業補償として賃金の6割に当たる給付判決を得た。 撃が相次いで発生した。 q大阪及び沖縄の従業員が,不当休業通告による賃金不払があったとして,昭和52年5月11日に提訴し,昭和57年7月19日に休業補償として賃金の6割に当たる給付判決を得た。 r被告は,昭和52年6月7日,機内食課の皿洗い職の従業員に対する定昇遅延問題について,不当労働行為救済を申し立てられた。 s被告は,同年9月,支社組合の三役に対し,ストライキ指導を理由に約23億円の損害賠償請求をすると恫喝したが,結局,提訴できなかった。 t支社組合の丙10書記長は,昭和53年11月10日,昇格差別問題で,都労委に不当労働行為救済を申し立て,昭和56年11月10日,不当労働行為であるとの救済命令を得た。 u被告が100パーセント出資するGホテルの従業員が,昭和54年9月,支社組合に加盟し,支部(以下「ホテル支部」という。)を結成したが,被告は,ホテル支部の結成直後から強烈な脱退攻撃を開始し,団交拒否を続けた。この問題について,昭和55年10月31日,組合勝訴の緊急命令が出され,千葉地方労働委員会が,昭和56年1月10日,被告の行為は不当労働行為に当たるとして,救済命令を発し,中央労働委員会も,昭和57年9月8日,不当労働行為であるとする組合側勝利の命令を発し,東京地方裁判所も,昭和59年2月6日,組合勝利の緊急命令を発した。また,支社組合は,昭和60年9 月26日,上記ホテル支部脱退強要について,同地方裁判所から勝訴判決を得た。 v千葉地方裁判所佐倉支部が,昭和56年9月2日,夏季一時金の不払に関する仮払仮処分申立事件について,総額約3億4500万円の支払を被告に命ずる決定をした。 wホテル支部の丙11組合員及び丙12組合員が,昭和57年2月,暴行等を理由に解雇されたが,千葉地方労働委員会が,昭和61年2月2 ついて,総額約3億4500万円の支払を被告に命ずる決定をした。 wホテル支部の丙11組合員及び丙12組合員が,昭和57年2月,暴行等を理由に解雇されたが,千葉地方労働委員会が,昭和61年2月25日,丙11組合員解雇は不当労働行為に当たるとして救済命令を発し,重ねて,中央労働委員会も,昭和63年7月20日,不当労働行為であると断じる救済命令を発した。 x被告は,昭和57年12月ころから,エスコート(有期雇用契約の機内通訳)の組合員らに対する脱退攻撃を強め,次々に解雇通告を郵送したため,エスコート職場は壊滅的打撃を受けた。 y運航課の丙13組合員及び丙14組合員は,昭和62年1月,被告から,自費でディスパッチャーのライセンスをとらなければ配転か解雇かと恫喝されたため,苦情処理委員会に申立てをした。 z被告は,平成3年8月18日,整備士である丙15組合員を,職場中の飲酒を理由に解雇したが,これが争われた訴訟において,千葉地方裁判所から,平成5年9月24日,解雇を無効とする判決を受けた。 (イ)平成14年の夏季一時金差別被告は,平成14年度春闘において,支社組合に対し,一時金につき年間7か月(夏季3.5か月,冬季3.5か月)との回答を行ったが,「ベースアップゼロ,定期昇給もゼロ」との回答を受諾することを条件にするという,いわゆる「差し違え条件」を提示するものであった。そして,上記前提条件を組合が受諾しなかったことを口実として,非組合 員には夏季一時金3.5か月を支給する一方,組合員らへの支給を拒否した。 これに対して,組合員ら342名が夏季一時金仮払仮処分を申し立てた(千葉地方裁判所平成14年(ヨ)第323号)。そして,千葉地方裁判所は,平成14年11月19日,被告に対して総額2億円余の仮払いを命ずる決定を下した。 イFA組 夏季一時金仮払仮処分を申し立てた(千葉地方裁判所平成14年(ヨ)第323号)。そして,千葉地方裁判所は,平成14年11月19日,被告に対して総額2億円余の仮払いを命ずる決定を下した。 イFA組合員に対する熾烈な攻撃FAは,航空運送企業にとって,いわば顔ともいえる存在である。その接客態度をはじめとした知識・経験・能力いかんは,営業成績にも大きな影響を与える。しかも,ストライキ等に至れば,旅客機の運航自体へも直接影響する。そして,被告にあっては,FAのほぼ全員が支社組合の組合員であった。そのため,被告は,次のとおり,FAに対してとりわけ苛烈な切り壊し攻撃を加え続けてきた。 (ア)組合加入を否認昭和47年12月,FA60名が組合に加入したのに対し,被告は,組合加入を承認しないという驚くべき態度で対抗した。 (イ)エスコートに対する卑劣な脱退攻撃昭和57年11月10日,エスコート職員25名が組合に加入したのに対し,当時被告の人事部長であったHと管理部長であったIは,同年12月9日から同月17日にかけて,エスコート組合員に対し,その不安定な地位にあることを奇貨として,雇止め通知を発し,春闘において一切の要求に応じないなどの卑劣な脱退攻撃を加えた。エスコート組合員は,こうした一連の激しい攻撃によって相次いで組合を脱退し,昭和59年6月には,エスコート組合員は一人もいなくなった。 (ウ)FAに対する組合加入妨害,干渉 採用試験における面接に際し,ほとんどのFAらは人事部長等の被告管理職から,「労働組合についてどう思っていますか。」,「組合活動をどう思いますか。」,「ストライキについてどう思いますか。」などといったあからさまな質問を受けた。これは明らかに労働組合法第7条1号(黄犬契約)及び3号(支配介入)に違反する不当労働行為である 動をどう思いますか。」,「ストライキについてどう思いますか。」などといったあからさまな質問を受けた。これは明らかに労働組合法第7条1号(黄犬契約)及び3号(支配介入)に違反する不当労働行為である。 加えて,採用内定後の研修卒業式や入社式の席上においても,人事部長らは,「ここの組合は共産党員にコントロールされています。暴力に訴えることも辞さず,乙を駄目にすることを唯一の目的として活動しています。」などと組合を敵視する発言を繰り返し行ってきた。そして,「組合に加入したら裏切り行為になります。」,「組合に入って私たちを失望させないでください。」,「組合の人から勧誘を受けたりしたらすぐに相談してください。」,「組合活動をするような人はいないですよね。」などと,組合への加入を妨害し干渉する発言を重ねてきた。さらには,労働組合関係や思想にかかわる書籍を持っていないかどうかをチェックすることを主たる目的として,採用内定期間中に家庭訪問を行い,居室内に入り込んで書棚を調査した。 入社後の説明会でも,ほとんどのFAは管理職から「組合は悪い。」,「加入してはいけない。」,「組合員である先輩とは一緒に食事をしないように。」といった干渉と攻撃を受けている。勤務時間外においても,多くの従業員らが成田ニュータウン内に居住していたこともあって,管理職らが新入社員らを「J会」なる集団への加入を誘い,飲み食いをしながら「組合に入るな。」などと干渉したり,組合役員を誹謗中傷するような発言を重ねてきた。 【被告の主張】本件配転命令と組合活動とは全く関係がない。原告ら組合員が配転の対象となったのは,本件配転命令当時,東京ベースのFA全員が支社組合に所属 していたためであるにすぎない。 (5)争点⑤(原告らは,被告に対し,違法な本件配転命令により精神的損害を被った 転の対象となったのは,本件配転命令当時,東京ベースのFA全員が支社組合に所属 していたためであるにすぎない。 (5)争点⑤(原告らは,被告に対し,違法な本件配転命令により精神的損害を被ったとして,不法行為に基づき,それぞれ100万円の慰謝料を請求することができるか。)について【原告らの主張】原告らは,違法な本件配転命令が強行されたことにより,誇りと責任を持って遂行してきたFA職を追われ,不慣れで不本意な地上職勤務を強要され,著しい精神的苦痛を被り続けている。 その損害は,少なくとも,各原告ごとに100万円を下回らない。 【被告の主張】いずれも争う。 第3当裁判所の判断 争点①(被告は,原告らをFAとして採用する際,各原告との間で,それぞれその職種をFAに限定する旨の合意をしたか。)について(1)事実関係前記前提事実に加え,証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の各事実が認められる。 ア原告らの採用時の状況等(ア)甲1a甲1は,アメリカ合衆国にある短期大学を卒業し,日本に帰国後,歯科医院でのアルバイト勤務を経て,被告が平成6年8月ころに実施した中途採用による契約社員の募集に応募し,採用試験に合格して契約社員として採用され,被告と提携関係にあったK航空に出向し,同社で客室乗務員として勤務していた。 甲1は,被告が平成9年1月9日に日本地区の従業員に対して実施した社内公募制度によりFAを募集する社内掲示の記事を見て,これ に応募した。同社内掲示の記事には,応募資格として,「①正社員,②契約社員,③パート社員」との記載があった。(原文は英語)b甲1は,被告が同年2月19日に行った面接試験を受け,その際,面接官から,FAになったとしても,他の部署へ再度配転されることがあり得る旨の説明を受け,意向を確認され,これを了 た。(原文は英語)b甲1は,被告が同年2月19日に行った面接試験を受け,その際,面接官から,FAになったとしても,他の部署へ再度配転されることがあり得る旨の説明を受け,意向を確認され,これを了承した。甲1は,採用試験に合格し,アメリカ合衆国で実施されるFAトレーニングを受講することとなり,被告が同月26日にFAトレーニングの受講者に対して実施した説明会に出席し,当時人事課長であったLから,就業規則の説明を受けた。 c甲1は,同年3月ころからの約4週間,アメリカ合衆国にあった当時の被告の本社で,FAトレーニングを受講し,所定の成績を修めた。 FAトレーニングにおいては,教室で,指導書や客室乗務員手引書を用いて,旅客機内における接客業務の方法,航空機の構造,緊急時の対処方法,機内での急病及びけがの対処方法,スケジューリングの規則,アメリカ連邦航空法等の知識を学ぶことのほか,実物大の模型航空機を用いるなどして,消火作業,人工呼吸,ドア操作,機内サービス,緊急着陸,緊急着水,機内アナウンス,安全機器の操作等の実習を行い,さらに,航空機の構造,緊急時の対処法,機内サービス,スケジューリングの規則等についてテストが行われた。なお,甲1とともにFAトレーニングを受講した者は28名であり,そのうち3名が所定の成績を修めることができず不合格となり,この者は被告に入社することができなかった。 d甲1は,同年4月23日,被告から,「本書は,客室乗務員基礎訓練を成功裡に修了したことを証明するものとして,甲1に対して付与されるものであり,同人が乙株式会社のウイングに恥じぬよう,上質なサービスを提供するであろうことを証明するものである。」と記載 された修了証書(原文は英語)を受領した。 甲1は,同日,「私は会社の就業規則を熟知し,会社人事代表から イングに恥じぬよう,上質なサービスを提供するであろうことを証明するものである。」と記載 された修了証書(原文は英語)を受領した。 甲1は,同日,「私は会社の就業規則を熟知し,会社人事代表から勤務時間,超過勤務,病欠,給与その他の勤務条件に関する会社の規定を聞きました。」,「貴社に雇用中は,私は現在および将来にわたって有効な労働条件に関する会社の規定を熟知し,かつこれらを遵守することに同意致します。」と記載された同意書に署名,指印し,これを被告に提出した。 甲1は,同日,正社員として採用され,成田機内サービス部に配属され,東京ベースのFAとしての勤務を開始した。 (イ)甲2a甲2は,カナダにある大学に在学して就職活動をしていた平成3年5月ころ,被告に対して案内書等の資料を請求し,同年7月に日本で行われた会社説明会に参加した。その後,甲2は,被告が行った入社試験に合格し,平成4年4月,正社員として採用され,成田旅客サービス部に配属され,平成5年7月,乗務管理部に異動した。 甲2は,平成9年9月ころ,被告が日本地区の従業員に対して実施した社内公募制度によるFAの募集に応募した。 b甲2は,被告が同月18日に行った面接試験を受け,その際,面接官からFAになったとしても,他の部署へ再度配転されることがあり得る旨の説明を受け,意向を確認されたが,これを了承した。甲2は,面接試験等の結果,FAトレーニングの受講者に選考された。 c甲2は,同年11月ころの約4週間,アメリカ合衆国にあった当時の被告の本社で,前記ア(ア)cと同内容のFAトレーニングを受講し,所定の成績を修めた。甲2とともにFAトレーニングを受講した者は11名おり,そのうち1名が所定の成績を修めることができず,その者は社内公募への応募当時に在籍していた部署から他の部署へ異 を受講し,所定の成績を修めた。甲2とともにFAトレーニングを受講した者は11名おり,そのうち1名が所定の成績を修めることができず,その者は社内公募への応募当時に在籍していた部署から他の部署へ異 動となった。 d甲2は,同年12月14日,被告から,前記ア(ア)dと同内容の修了証書の交付を受け,前記ア(ア)dと同内容の同意書に署名,指印し,これを被告に提出した。甲2は,同日,成田機内サービス部に配属され,東京ベースのFAとして勤務を開始した。 甲2は,大阪ベースの閉鎖に伴い,平成13年8月30日付けで成田旅客サービス部への配転命令を受け,同部での勤務をしていたところ,本件労使確認書の作成により,平成14年10月3日付けで成田機内サービス部に所属する東京ベースのFAへの配転命令を受け,再びFAとしての勤務に就いた。 (ウ)甲3a甲3は,アメリカ合衆国にある高等学校を卒業した後,成田空港内で搭乗手続,搭乗案内,到着案内,荷物の取扱い等を業とする外資系のハンドリング会社に勤務しながら,航空会社の入社試験に備えるための専門学校に通っていたところ,被告が平成9年1月ころにB紙に掲載したFA及びQIFSRを中途採用により募集する広告記事を見て,被告に対し,応募書類を提出した。 同広告記事には,「乙は,日本地区における下記の職種を募集します。」,「IFSR:日本とアメリカ合衆国のゲートウェイシティの間を乙にてご旅行される日本人のお客様に対するサービス補助及び通訳等の業務に従事する,英会話が堪能な日本人を募集します。乗務ベースは成田及び大阪で,雇用形態は契約社員となります。」,「FA:乙にてアジア諸国をご旅行される日本人のお客様に対する機内サービス全般を提供する職務に従事する,英会話が堪能な日本人を募集します。乗務ベースは成田で,雇用形 用形態は契約社員となります。」,「FA:乙にてアジア諸国をご旅行される日本人のお客様に対する機内サービス全般を提供する職務に従事する,英会話が堪能な日本人を募集します。乗務ベースは成田で,雇用形態は正社員となります。」,「応募するための最低条件:①総合大学,単科大学,短期大学又はその他 の各種専門学校を卒業した方,②好感の持てる態度と明るい性格の方,③健康な方,④英会話が堪能で,丁寧な日本語を話せる方」との記載があった(原文は英語)。 b甲3は,応募書類による選考を通過し,被告が行った筆記試験及び面接試験を受け,これに合格した。筆記試験は,国語,数学等の一般常識や英語力を問うものであり,面接試験は,外国語能力を審査するとともに,勤務可能日,前職の離職理由,採用された場合に従事したい希望職種等について聴取するためのものであった。 甲3は,応募当初,IFSRを希望していたが,被告からFAトレーニングへの参加を提供したい旨の申出を受け,これを承諾して,アメリカ合衆国で実施されるFAトレーニングに参加することとなり,前記ア(ア)bの説明会に出席し,就業規則の説明を受けた。 c甲3は,前記ア(ア)cのFAトレーニングを受講し,所定の成績を修めた。 d甲3は,平成9年4月23日,被告から,前記ア(ア)dと同内容の修了証書の交付を受け,前記ア(ア)dと同内容の同意書に署名,指印し,これを被告に提出した。 甲3は,同日,正社員として採用され,成田機内サービス部に配属され,東京ベースのFAとしての勤務を開始した。 (エ)甲4a甲4は,日本の大学を卒業した後,外資系の金融機関等での勤務を経て,被告が平成3年6月ころB紙に掲載した中途採用による従業員の募集広告を見てこれに応募し,入社試験に合格し,同年11月,正社員として採用され,機内食部 を卒業した後,外資系の金融機関等での勤務を経て,被告が平成3年6月ころB紙に掲載した中途採用による従業員の募集広告を見てこれに応募し,入社試験に合格し,同年11月,正社員として採用され,機内食部に配属され,スーパーバイザー等として勤務していた。 甲4は,平成9年9月ころ,当時の直属の上司から,被告が日本地 区の従業員に対して実施した社内公募制度によるFAの募集に応募するよう勧められ,これに応募した。 b甲4は,被告が同月18日に行った面接試験を受け,その際,面接官から,FAになったとしても,他の部署へ再度配転されることがあり得る旨の説明を受け,意向を確認されたが,これを了承した。甲4は,面接試験等の結果,FAトレーニングの受講者に選考された。 c甲4は,同年11月ころの約4週間,アメリカ合衆国にあった当時の被告の本社で,前記ア(イ)cのFAトレーニングを受講し,所定の成績を修めた。 d甲4は,同年12月14日,被告から,前記ア(ア)dと同内容の修了証書の交付を受け,前記ア(ア)dと同内容の同意書に署名,指印し,これを被告に提出した。甲4は,同日,成田機内サービス部に配属され,東京ベースのFAとして勤務を開始した。 甲4は,大阪ベースの閉鎖に伴い,平成13年8月30日付けで成田旅客サービス部への配転命令を受け,同部での勤務をしていたところ,本件労使確認書の作成により,平成14年10月3日付けで成田機内サービス部に所属する東京ベースのFAへの配転命令を受け,再びFAとしての勤務に就いた。 (オ)甲5a甲5は,日本の大学を卒業した後,ホテル等での勤務を経て,航空会社の入社試験に備えるための専門学校に通っていたところ,被告が平成9年1月ころにB紙に掲載した前記ア(ウ)aと同内容の広告記事を見て,被告に対し,応募書類を提出した ,ホテル等での勤務を経て,航空会社の入社試験に備えるための専門学校に通っていたところ,被告が平成9年1月ころにB紙に掲載した前記ア(ウ)aと同内容の広告記事を見て,被告に対し,応募書類を提出した。 b甲5は,応募書類による選考を通過し,被告が行った前記ア(ウ)bと同内容の筆記試験及び面接試験を受け,これに合格した。甲5は,応募当初,IFSRを希望していたが,被告からFAトレーニングへ の参加を提供したい旨の申出を受け,これを承諾して,アメリカ合衆国で実施されるFAトレーニングを受講することとなった。甲5は,前記ア(ア)bの説明会に出席し,当時人事課長であったLから,就業規則の説明を受けた。 c甲5は,同年3月ころからの約4週間,アメリカ合衆国にあった当時の被告の本社で,前記ア(ア)cのFAトレーニングを受講し,所定の成績を修めた。 d甲5は,同年4月23日,被告から,前記ア(ア)dと同内容の修了証書を受領し,同日,前記ア(ア)dと同内容の同意書に署名,指印し,これを被告に提出した。 甲5は,同日,正社員として採用され,成田機内サービス部に配属され,東京ベースのFAとしての勤務を開始した。 イFAの業務内容FAの具体的な業務内容としては,主に次のものが挙げられる。 (ア)煙探知機,消火器及び酸素ボトル等,機内非常用設備の確認(イ)客室の読書灯及び乗務員呼出しボタンの機能の確認(ウ)乗員との非常時のドアの取扱い及び操縦室との連絡法の確認,ハイジャック等緊急時の対応の確認,飛行計画や気象情報の確認(エ)乗客搭乗中,不審者,酒気帯び者等のチェック。身障者に対する非常時脱出時の説明。乗客全員に対するビデオ又は実演による救命用具,緊急時脱出等の説明。異臭,異音への注意。不審な手荷物への注意(オ)離陸前,乗客のシートベルト 帯び者等のチェック。身障者に対する非常時脱出時の説明。乗客全員に対するビデオ又は実演による救命用具,緊急時脱出等の説明。異臭,異音への注意。不審な手荷物への注意(オ)離陸前,乗客のシートベルト,客室のテーブル,リクライニング等の確認。機内持込み手荷物の整理。航空機のドアモードの変更(緊急時に備え,ドアを開けると同時に脱出用スライドが出るように)。緊急時の対応を暗唱,確認(カ)飛行中,飲食サービス業務,入国書類の配布と説明,乗客の気分, 身体的条件に対する配慮,客室内温度に対する留意,定期的な機内の巡回。乱気流への対処,揺れによる事故防止(キ)着陸前,乗客のシートベルト,客室のテーブル,リクライニング等の確認。イヤホン,ゴミ等の回収。機内持込み手荷物の整理。緊急時の対応を暗唱,確認(ク)到着後,飛行機のドアモード変更。忘れ物,不審物の有無確認。 付添いのない未成年者,身障者のアシスト(ケ)搭乗開始から到着後,乗客が飛行機を降りる間,アメリカベースのチーフパーサー及び操縦席からのアナウンスはすべて日本語に訳し,機内アナウンスを行う。 (コ)搭乗開始から到着後乗客が飛行機を降りるまで,常に非常時の対処,緊急脱出方法(どの非常口を使用し,どのタイミングで非常口を開け,機外へ誘導するかなど),病人に対しての緊急看護に備える。 (サ)機内で突発し得る様々な病気,やけどの症状,原因及び対処について学習し,心臓マッサージ,人工呼吸,ハイムリックマニューバー(気管の障害物の排出法),心臓除細動器の操作等を習熟する。機内に医師や看護士がいない場合はアメリカのMの指導のもと救命救急活動を行う。 (シ)ハイジャック時の対処,武器,爆弾,爆弾以外の危険物についての扱い,例えばストックホルムシンドロームなど犯人,乗員,乗客それぞれの非 ない場合はアメリカのMの指導のもと救命救急活動を行う。 (シ)ハイジャック時の対処,武器,爆弾,爆弾以外の危険物についての扱い,例えばストックホルムシンドロームなど犯人,乗員,乗客それぞれの非常時の心理面に関する学習をし,常に非常事態に備える。 (ス)様々な飛行機事故のシチュエーションを想定し,それぞれの場面に対応した乗客保護,避難誘導,救命筏での海上避難等が安全にできるよう,訓練を重ね緊急事態に備える。 ウFAの配転事例被告は,昭和50年以降原告らがFAとして採用されるまでの間,下記 の表「異動日」欄記載の日付に,「氏名」欄記載のFAを,その個別的な同意を得ずに,「異動先部署」欄記載の部署に配転した。 氏名異動日異動先部署N1昭和50年6月1日伊丹旅客サービス部のトランスポート・エージェントN2昭和62年12月1日伊丹旅客サービス部のトランスポート・エージェントN3昭和62年12月1日東京予約センターのリザベーション・セールス・エージェントN4昭和63年3月1日成田旅客サービス部のトランスポート・エージェントN5平成1年5月1日情報システム部のセクレタリーⅡN6平成1年10月20日東京営業支店のセクレタリーⅡN7平成3年4月1日機内サービス部のクルー・スケジューリング・スペシャリストN8平成4年6月1日東京営業支店のセールス・プロモーターN9不明東京営業支店のセールス・プロモーターN10平成4年11月1日機内サービス部のクルー・スケジューリング・スペシャリストN11平成4年12月1日伊丹旅客サービス部のカスタマー・サービス・スーパーバイザーN12平成7年3月1日東京営業支店のセールス・プロモーター(2) 判断 ア前記前提事実(4) N11平成4年12月1日伊丹旅客サービス部のカスタマー・サービス・スーパーバイザーN12平成7年3月1日東京営業支店のセールス・プロモーター(2) 判断 ア前記前提事実(4)のとおり,就業規則には,被告は業務上の都合により従業員の職種の変更を行うことがある旨の規定(20条A項)及び異動を命じられた従業員は,正当な理由がない限り,これを拒むことのできない旨の規定(同条B項)があること,前記前提事実(5)のとおり,平成14年度労働協約書には,被告は業務上の都合により地上職員の職種の変更を行うことがある旨の規定(第1部38条)があり,しかるに,この規定はFAにも適用される(第2部前文,第2部20条A項)こと,本件では,原告らがFAとして採用される際,上記就業規則の条項及び上記労働 協約書の条項を排除して職種をFAに限定する旨の明示の合意がされたと認める客観的証拠はなく,前記(1)ウのとおり,原告らがFAとして採用された際,被告が日本地区のFAをその個別的な同意を得ずに地上職に配転した事例が,少なくとも12例あったことなどの事情をも併せて考慮すれば,被告は,原告らに対し,その個別的な同意を得ずに職種の変更を伴う配転を命じる権限を有するものと認めるのが相当である。 イ原告らは,FAは高度の専門性,特殊性を有する職種であると主張し,その根拠として,①FAの業務を適切に行うためには,様々な分野について専門的な知識,技術,技能を身に付けていなければならず,しかも,数多くの経験を経て高度に習熟しておかなければならないこと,②FAの業務を行うためには,アメリカ連邦航空規則上,アメリカ連邦航空局から許可を受けたFAトレーニングを修了し,特別な資格を取得しなければならないこと,③いずれの航空会社においても,従業員の職種は機 の業務を行うためには,アメリカ連邦航空規則上,アメリカ連邦航空局から許可を受けたFAトレーニングを修了し,特別な資格を取得しなければならないこと,③いずれの航空会社においても,従業員の職種は機内乗務系統と地上職系統に大別されていることを挙げる。 しかし,①ないし③の事情を考慮したとしても,原告らの上記主張を採用することができない。すなわち,①についてみると,確かに,前記(1)イで認定したFAの業務内容からすれば,保安業務を適切に遂行するに当たっては,航空機の構造や機能,機内の設備,飛行計画,気象,医療,救命,看護,健康管理,危機管理,防火,消火,危険物,薬物,心理学,出入国管理に関し,ある程度専門的な知識又は技能が必要であるといえる。しかし,前記(1)ア(ウ)a及び(オ)aのとおり,FAの社外募集の応募条件としては「①総合大学,単科大学,短期大学又はその他の各種専門学校を卒業した方,②健康な方,③英会話が堪能で,丁寧な日本語を話せる方」とあるのみであり,FAの社内公募の応募条件としては「①正社員,②契約社員,③パート社員」とあるのみであり,いずれも何ら専門的な知識や技能が要求されておらず, 前記(1)アのとおり,筆記試験及び面接試験に合格した者は,約4週間という比較的短期間のFAトレーニングを修了すれば,FAとして旅客機に乗務できることが認められるものであるから,FAとしての保安業務を適切に遂行するために要求される知識又は技能は,高度に専門的なものであるとまではいうことはできない。また,FAの接客業務を遂行するに当たっては,旅客機内という場所的な特殊性はあるものの,それ以上に,特殊な知識又は技能が要求されるとまでは認め難い。これらの事情に照らせば,FAは,その業務内容によって職種限定の合意を基礎づけることができるほど高度 内という場所的な特殊性はあるものの,それ以上に,特殊な知識又は技能が要求されるとまでは認め難い。これらの事情に照らせば,FAは,その業務内容によって職種限定の合意を基礎づけることができるほど高度の専門性を有する職種であると認めることはできない。 ②についてみると,証拠によれば,FAトレーニングのプログラムは各航空会社ごとに異なり,ある航空会社で客室乗務員として勤務していた者が他の航空会社で客室乗務員として勤務するためには,原則として,新たに当該航空会社が作成したFAトレーニングを修了しなければならないことが認められ,このことからすれば,FAトレーニングを修了することは国家資格等の一般性のある資格ということはできず,当該航空会社において客室乗務員として勤務するための条件にすぎないというべきである。 ③についてみると,原告らが裏付けとして挙げる証拠をもってしても,航空会社において,一般的に従業員の職種が機内乗務系統と地上職系統に大別されていると認めるに足りず,併せて,後記オのとおり,就業規則及び労働協約においては,単に勤務場所の差違又は勤務時間の差違に着目して,FAを他の職種と分類しているにすぎないと認められるから,原告らの上記③の指摘をもって機内乗務職系統のFAが専門職であるということはできない。 ウ原告らは,原告らがFAとして採用されるまでの経緯からすれば,被告は原告らをFAとして採用した以上,地上職に配転することを予定していなかったというべきであると主張し,その根拠として,①甲3及び甲5 は,被告のFA及びIFSRの採用募集に応募し,FA及びIFSRを採用するための筆記試験及び面接試験に合格したこと,②甲3及び甲5が応募した当時,6000名の応募があったのに対し,筆記試験及び面接試験に合格してFAトレーニングの受講資格を ,FA及びIFSRを採用するための筆記試験及び面接試験に合格したこと,②甲3及び甲5が応募した当時,6000名の応募があったのに対し,筆記試験及び面接試験に合格してFAトレーニングの受講資格を得た者は28名であり,実際にトレーニングに合格してFAとして採用された者は25名にすぎなかったこと,③原告らは,FAを採用するためのFAトレーニングを受講し,所定の成績を修めてこれを修了したのであり,FAトレーニングで所定の成績を修められなかった者は,前記筆記試験及び面接試験に合格したとしても,被告の従業員として不採用となったこと,④甲1,甲2及び甲4は,社内公募によりFAとして採用されたのであるが,被告の人事制度として,社内公募により従業員をFAに採用した場合は,その者を地上職に配転することは予定されていなかったこと,⑤被告は,1名のFAを養成するために,渡航費用,滞在費用,トレーニングプログラム遂行のための諸費用など膨大なコストを負担していること,⑥被告は,FAトレーニングを修了した者に対し,FAの修了証書を交付しており,原告らもこれを受領したことを挙げる。 しかし,これら①ないし⑥の事情を考慮したとしても,原告らの上記主張を採用することはできない。すなわち,①についてみると,前記(1)ア(ア)a及び(オ)aのとおり,甲3及び甲5が応募する動機となった広告記事には,応募条件として何ら専門的な知識や技能が要求されていないこと,同広告記事には,FAの雇用形態は正社員である旨記載されており,長期雇用を前提としていること,応募者に対する筆記試験及び面接試験のいずれにおいても,FAとしての業務を遂行する上で要求される専門的な知識や技能の有無が選考基準となっているものではないことが認められ,これらの事実に照らせば,被告のFAを募集する行 験及び面接試験のいずれにおいても,FAとしての業務を遂行する上で要求される専門的な知識や技能の有無が選考基準となっているものではないことが認められ,これらの事実に照らせば,被告のFAを募集する行為は,採用した者を採用後相当期間FAの業務に従事させ ることを予定していたと認められるが,それを超えて,採用した者をFA以外の職種には一切就かせないことを前提として申込みをさせたとみることはできない。 ②についてみると,原告らが主張するとおり筆記試験及び面接試験等の合格率が低いことが認められるとしても,それは単に被告が募集したFAの人数に比して多くの応募があったということを示すにとどまり,それを超えて,合格率の低さがFAとして採用された者の雇用契約の効力や内容に影響を及ぼすものではない。 ③についてみると,前記(1)ア(ア)ないし(オ)の各cのとおり,FAトレーニングは,約4週間という比較的短期間であり,受講者のうち合格者の占める割合が大きいこと,上記①で説示したとおり,被告は採用した者を採用後相当期間FAの業務に従事させることを予定していたと認められることからすれば,被告がFAトレーニングで所定の成績を修められなかった者を被告の従業員としても不採用としていたことをもって,FAとして採用した者を将来にわたってFA以外の職に一切就かせないことを予定していたとみることはできない。 ④についてみると,前記前提事実(4)及び(5)のとおり,就業規則及び平成14年度労働協約書には配転予定条項が規定されているところ,これに反する原告ら主張の慣行が被告において成立していたと認めるに足りる証拠はない。 ⑤についてみると,FAを養成するための費用が多額であることとFA職種が限定されていることとの関連性は必ずしも明らかでない上,原告らの主張する渡航費用,滞 成立していたと認めるに足りる証拠はない。 ⑤についてみると,FAを養成するための費用が多額であることとFA職種が限定されていることとの関連性は必ずしも明らかでない上,原告らの主張する渡航費用,滞在費用及びトレーニングプログラム遂行のための諸費用がどの程度であったのかについての具体的な立証はない。 ⑥についてみると,前記(1)ア(ア)ないし(オ)の各dで認定した修了証書の記載文言及びその体裁からすれば,修了証書はFAトレーニン グを修了した事実を確認する文書としての意味を有するにすぎず,それ以上に,修了証書の受領者の職種をFAに限定する意味を有するものとは認められない。 エ原告らは,原告らのFAとしての就労実績からすれば,被告との間で,原告らの職種をFAに限定する旨の合意が成立していたとみるべきであると主張するが,原告らがFAとしての勤務した期間は,約4年間ないし約6年間にとどまるから,原告らの就労実績をもって,その職種をFAに限定する旨の合意が成立したと評価することはできない。 オ原告らは,FAと地上職との労働条件の違いからすれば,被告は,FAを地上職とは別系統の職種として区別しており,その点からもFAとして採用した場合には,その者の職種をFAに限定したといえると主張する。 この点,証拠によれば,FAの労働条件は,就業時間(就業規則2条A項),深夜勤務手当(同14条),妊娠中及び出産後の健康管理の取扱い(同10条D項),試用期間(同18条D項),FAトレーニングを受ける場合の一定の賃金保障(平成14年度労働協約書2部3条A項),海外出張中に災害に遭遇した場合の配偶者等の現地派遣(同2部9条C項)などの規定において地上職員との差違が認められる。しかし,これらの規定は,いずれも,FAの勤務場所が主として旅客機であり,その勤務時間も 張中に災害に遭遇した場合の配偶者等の現地派遣(同2部9条C項)などの規定において地上職員との差違が認められる。しかし,これらの規定は,いずれも,FAの勤務場所が主として旅客機であり,その勤務時間も旅客機の運航に合わせて不規則であるという勤務態様の特殊性に着目して特に定められたものであるといえる。そうである以上,上記労働条件の違いをもってFAから地上職に配転が予定されていないと評価することはできない。 カそして,上記認定できる事情を総合しても,被告が各原告をFAとして採用する際,各原告との間で,その職種をFAに限定する旨の合意をしたと認めることはできない。 (3)よって,被告が各原告をFAとして採用する際,各原告との間で,そ の職種をFAに限定する旨の合意をしたとの原告らの主張は理由がない。 争点②(被告は,支社組合との間で,本件労使確認書を作成することによって,組合員であるFA全員の職種をFAに限定する旨を確認し,これによって,原告らとの間で,その職種をFAに限定する旨の合意をしたか。)について(1)事実関係前記前提事実及び前記1(1)で認定した事実に加え,証拠及び弁論の全趣旨によれば,本件労使確認書の作成に至る経緯について,次の各事実が認められる。 ア被告は,平成13年5月ころ,同年9月末日をもって,旅客数が大幅に減少していた大阪とクアラルンプール及び高雄を結ぶ各路線を廃止し,FAの大阪ベースを閉鎖することを決定し,当時大阪ベースに在籍していたFA7名に対し,早期退職制度の利用及びIFSRとしての再雇用の希望を募ったが,だれもこれに応募しなかった。 そこで,被告は,同年8月ころ,東京ベースのFAに余剰が生じているとして,大阪ベースに在籍していたFA7名のうち,3名を東京ベースのFAに配転し,残りの4名と甲2及び甲4 れもこれに応募しなかった。 そこで,被告は,同年8月ころ,東京ベースのFAに余剰が生じているとして,大阪ベースに在籍していたFA7名のうち,3名を東京ベースのFAに配転し,残りの4名と甲2及び甲4を含むもともと東京ベースのFAであった5名の合計9名を,同月20日付け,同月30日付け又は同年9月1日付けで,本人の個別的な同意を得ずに,成田旅客サービス部等の地上職に配転した。 イ被告は,平成14年1月ころ,同年4月にオープン予定の成田空港第2滑走路において,成田と釜山及び高雄を結ぶ新路線で新規の就航を開始すること,成田空港の第2滑走路の長さが当初の計画より短縮されたため,大型機であるB747型機(353名から430名の旅客の搭乗が可能)が離発着できず,短い滑走路でも使用可能なA320型機(144名の旅客の搭乗が可能)を導入せざるを得ないこと,そのため,被告としては,上記新路線及び従来からあった成田と台北,大阪と台北を結ぶ各路線で, A320型機を導入すること,A320型機には,QIFSRを乗務させ,東京ベースのFAを乗務させないことを決定し,その旨を支社組合に対して伝えた。 支社組合は,この決定に強く反発し,大阪ベースの閉鎖に伴うFAの配転を放置すると,客室乗務員の正社員から契約社員への不当な切替えが既成事実化されるとの危機感を強め,「キャビン団交」と呼んでFAの配転問題に対する取組を強化することとし,平成14年1月ころ,大阪ベースの閉鎖に伴い地上職に配転された者のFA復帰と,FAの配転に関する協定書の締結等を求めて,被告に対して団体交渉を申し入れた。 ウ平成14年2月4日,同月7日,同月21日,同年3月1日,同月7日に被告と支社組合の団体交渉が行われた。団体交渉において,被告は,支社組合に対し,人件費及び弾力的な運航計画の必要 を申し入れた。 ウ平成14年2月4日,同月7日,同月21日,同年3月1日,同月7日に被告と支社組合の団体交渉が行われた。団体交渉において,被告は,支社組合に対し,人件費及び弾力的な運航計画の必要性等の様々な点を考慮した結果,A320型機にQIFSRを乗務させることを決定したことを説明したが,支社組合の納得を得ることはできなかった。支社組合は,被告に対し,東京ベースのFAに対してもA320型機で乗務するためのトレーニングを受けさせること,大阪ベースの閉鎖に伴い地上職に配転された者を再びFAに復帰させることなどを要求したが,被告はこれを拒否した。そのため,支社組合は,被告に対し,成田空港第2滑走路オープンに向けて争議行為を拡大していく方針を明らかにし,同年2月22日から同月26日までの間,抗議運動の一貫として,成田空港第1ターミナルで,乗客向けのビラまきを実施した。 エ支社組合は,平成14年3月11日,被告に対し,「キャビン問題に関する要求書」と題する書面を提出し,①大阪ベースの閉鎖に伴い地上職に配転された者のうち,退職した者を除く6名(丙1,甲4,丙2,丙16,甲2,丙4)の組合員をFAにすぐ復帰させること,②支社組合との間で,太平洋地区の就航便にIFSRが乗務している限り,組合員であるFA8 4名を本人の意思に反して他の部署や他の職種へ強制的に配転しない旨の協定を締結すること,③被告が新しく作ったFAAQualifiedIFSRのJOBタイトルをFlightAttendantに統一すること,④支社組合との間で,組合員であるFA全員に対し,これから太平洋地区に新しく導入される全ての航空機の機種(A320型機を含む)で乗務するためのトレーニングを受けさせ,すべての便に乗務させる旨の協定を締結すること,⑤支社組合との間で,こ 員に対し,これから太平洋地区に新しく導入される全ての航空機の機種(A320型機を含む)で乗務するためのトレーニングを受けさせ,すべての便に乗務させる旨の協定を締結すること,⑤支社組合との間で,これから新しく旅客機内で保安業務に従事するためのトレーニングを受けるIFSRを,3年後に正社員にする旨の協定を締結することを要求した。 オ被告と支社組合の団体交渉は,さらに,同年3月15日,同月19日,同月21日,同月26日に行われ,主として上記エの①及び②に関する交渉が行われたが,被告は支社組合の要求を拒否し,合意には至らなかった。 支社組合のFA支部は,同年3月12日から同月14日までの間,抗議運動の一環として,成田空港第1ターミナルで,乗客向けのビラまきを実施した。 カ支社組合は,同年3月28日,被告に対し,「キャビン問題に関する譲歩案」と題する書面を提出し,上記エの①ないし⑤に加え,⑥客室乗務員のうちIFSRの占める割合を最大25パーセントとすることを要求した。 キ被告と支社組合の団体交渉は,さらに,同年3月29日,同年4月4日に行われた。支社組合は,被告に対し,FAの配転に関する諸問題が解決しない限り,当時交渉時期となっていた三六協定の改訂交渉と春闘交渉を先送りにすること,ビラまきや腕章着用等の抗議運動の拡大を進めることを明示した。 ク被告と支社組合の団体交渉は,さらに,同年4月9日に行われた。その際,被告が用意した「1.会社は,2001年に客室乗務員より旅客サービス部ならびにクルースケジューリング部に配置転換された組合員である 6名(丙1,甲4,丙2,丙3,甲2,丙4)を客室乗務員に配置転換する。(以下省略)」,「3.会社は,第1項の6名を含む客室乗務員については,資質,適性,ならびに条件を満たす限り,客室乗務員としての職 名(丙1,甲4,丙2,丙3,甲2,丙4)を客室乗務員に配置転換する。(以下省略)」,「3.会社は,第1項の6名を含む客室乗務員については,資質,適性,ならびに条件を満たす限り,客室乗務員としての職位を失うことがないように努力する。」,「5.本確認書の各項は,会社が,会社の業務上の必要性に基づき,あるいは会社の経営改善等のために,新たな制度を導入し,あるいは客室乗務員の労働諸条件,諸制度を変更し,あるいは経営改善のための諸施策を実施することを妨げるものではない。」などと記載された労使確認書の文案に対し,支社組合が意見を述べ,協議の上で条項を修正するという方法で交渉が進み,最終的に,前記前提事実(6)エのとおりの条項がある本件労使確認書が作成された。 (2) 判断 ア前記(1)で認定した事実によれば,被告は,平成13年8月ころ,大阪ベースの閉鎖に伴いFAの余剰が生じていることを理由として,FA9名を本人の個別的な同意を得ずに地上職に配転したところ,それにより,被告と支社組合との間で,FAの配転に関する紛争が生じたこと,その後の団体交渉において,支社組合は,主として,①大阪ベースの閉鎖に伴い地上職に配転された者をFAとして復帰させること及び②個別的な同意のないFAの配転を行わない旨の協約書を締結することを要求したのに対し,被告は,①については受け入れたものの,②については一貫してその要求を拒否していたことが認められる。かかる本件労使確認書の作成に至る経緯に加え,本件労使確認書の3項「努力する」との記載文言を考慮すれば,本件労使確認書の3項は,被告のFAに対する配転命令権を制約する法的拘束力を持つものではなく,被告がFAを配転する際に努めるべき努力目標を明らかにしたものにすぎないというべきである。 イ原告らは,本件労使確認書は,FAにつ 告のFAに対する配転命令権を制約する法的拘束力を持つものではなく,被告がFAを配転する際に努めるべき努力目標を明らかにしたものにすぎないというべきである。 イ原告らは,本件労使確認書は,FAについての諸問題を抜本的に解決することを目的として作成されたものであると主張する。しかし,本件労使 確認書の3項「資質,適性,執務能力がある限り」との文言は具体性を欠き,いかなる場合に被告の配転命令権が制約されるのか明らかではないし,本件労使確認書の5項において,被告が業務上の必要に基づきFAの労働諸条件の変更等を実施することができ,その場合には,支社組合との間で別途協議する旨の規定があり,本件労使確認書の作成時には,大阪ベースの閉鎖に伴うFAの配転に端を発したFAの配転に関する諸問題を,本件労使確認書のみによって抜本的に解決することができる状況にあったとは認められない。これらの事情に照らせば,本件労使確認書により,支社組合と被告との間でFAの配転に関する諸問題について一定の合意が成立したものと認められるとしても,本件労使確認書が同諸問題を抜本的に解決するために作成されたとまで認めることは困難である。したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 (3)よって,被告は,支社組合との間で,本件労使確認書を作成することによって,組合員であるFA全員の職種をFAに限定する旨を確認し,これによって,原告らとの間で,その職種をFAに限定する旨の合意をしたとの原告らの主張は理由がない。 争点③(本件配転命令は配転命令権の濫用に当たるか。)について(1)前記1及び2で説示したとおり,被告は,原告らとの間で,その職種をFAに限定する旨の合意をしたとは認められないから,被告は,就業規則20条及び平成14年度労働協約書1部38条に基づき,業務上 (1)前記1及び2で説示したとおり,被告は,原告らとの間で,その職種をFAに限定する旨の合意をしたとは認められないから,被告は,就業規則20条及び平成14年度労働協約書1部38条に基づき,業務上の必要に応じ,その裁量により,原告らの個別的な同意を得ずに,業務内容の変更を伴う配転を命ずる権限を有する。もっとも,かかる配転命令権を濫用することは許されないと解されるところ,当該配転命令につき業務上の必要性が存しない場合又は業務上の必要性が存する場合であっても,当該配転命令が他の不法な動機・目的をもってなされたものであるとき若しくは労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるとき等,特段 の事情がある場合には,当該配転命令は権利の濫用に当たり無効であるというべきである(最高裁判所昭和61年7月14日第二小法廷判決・裁判集民148号281頁参照)。 そこで,以下,本件配転命令につき業務上の必要性が存するか否か,存するとしても,上記特段の事情があるか否かについて検討する。 (2)事実関係前記前提事実,前記1(1)及び前記2(1)で認定した事実に加え,証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の各事実が認められる。 ア本件配転命令に至るまでの被告の経営状況(ア)被告全体の経営状況被告は,1990年代,クリントン政権下でアメリカ合衆国の経済が順調に回復するに伴い,業績を順調に伸ばしていた。ところが,平成13年初頭,アメリカ合衆国でITバブルの崩壊に伴い景気が後退し,ビジネス客の需要が大幅に減少したこと,同年9月11日,アメリカ合衆国での同時多発テロが発生し,それ以降,旅行客の需要が大幅に減少したこと,新興の航空会社の台頭により競争が激化したことなどを主たる要因として,被告を含むアメリカ合衆国の大手航空会社の業績は急激に 衆国での同時多発テロが発生し,それ以降,旅行客の需要が大幅に減少したこと,新興の航空会社の台頭により競争が激化したことなどを主たる要因として,被告を含むアメリカ合衆国の大手航空会社の業績は急激に悪化していった。 被告の財務状況についてみると,平成12年度の第4四半期の営業利益がマイナス3400万ドル,純利益がマイナス6900万ドル,平成13年度の第1四半期の営業利益がマイナス2億3600万ドル,純利益がマイナス1億7100万ドル,同年度の第2四半期の営業利益がマイナス3600万ドル,純利益がマイナス5500万ドル,同年度の第3四半期の営業利益がマイナス1億5500万ドル,純利益が1900万ドル(第3四半期にアメリカ合衆国政府から2億4900万ドルの無償補償援助があった。),同年度の第4四半期の営業利益がマイナス4 億4100万ドル,純利益がマイナス2億1600万ドル,平成14年度の第1四半期の営業利益がマイナス1億9600万ドル,純利益がマイナス1億7100万ドル,同年度の第2四半期の営業利益がマイナス4600万ドル,純利益がマイナス9300万ドル,同年度の第3四半期の営業利益が800万ドル,純利益がマイナス4600万ドル,同年度の第4四半期の営業利益がマイナス6億1200万ドル,純利益がマイナス4億8800万ドル,平成15年度の第1四半期の営業利益がマイナス3億2600万ドル,純利益がマイナス3億9600万ドルであった。 (イ)日本地区の経営状況被告は,昭和22年に日本に就航して以来,1990年代初頭までは,順調に業績を伸ばしてきた。ところが,1990年代半ば,日本のバブル経済が崩壊したことで日本経済が低迷し,ビジネス客の需要が大幅に減少したこと,日米航空協定の改定による空の自由化政策の実施により,他の航空会社との競 てきた。ところが,1990年代半ば,日本のバブル経済が崩壊したことで日本経済が低迷し,ビジネス客の需要が大幅に減少したこと,日米航空協定の改定による空の自由化政策の実施により,他の航空会社との競争が激化したこと,それに伴う運賃の低廉化による収益力の低下などにより,被告の日本地区の業績は悪化した。 日本地区が中心となる被告の太平洋地区の財務状況に限ってみると,平成8年までは利益を計上していたものの,平成9年以降は,毎年損失を計上するようになり,平成12年の第4四半期の営業利益がマイナス3000万ドル,純利益がマイナス3000万ドルであり,平成13年度の第1四半期の営業利益がマイナス1億1100万ドル,純利益がマイナス7900万ドルであり,同年度の第2四半期の営業利益がマイナス9900万ドル,純利益がマイナス7700万ドルであり,同年度の第3四半期の営業利益がマイナス1700万ドル,純利益がマイナス1700万ドルであり,同年度の第4四半期の営業利益がマイナス1億5600万ドル,純利益がマイナス1億0700万ドルであり,平成14 年度の第1四半期の営業利益がマイナス7500万ドル,純利益がマイナス5800万ドルであり,同年度の第2四半期の純利益がマイナス5900万ドル,純利益がマイナス5500万ドルであり,同年度の第3四半期の営業利益が2100万ドル,純利益が200万ドルであり,同年度の第4四半期の営業利益がマイナス1億2600万ドル,純利益がマイナス9400万ドルであり,平成15年度の第1四半期の営業利益がマイナス1億2100万ドル,純利益がマイナス1億3300万ドルであった。 イ業績悪化に対する経営改善施策等被告は,上記のような業績悪化に対し,人件費等のコストを削減し,経営を合理化するため,次のような施策を講じた。 (ア) 益がマイナス1億3300万ドルであった。 イ業績悪化に対する経営改善施策等被告は,上記のような業績悪化に対し,人件費等のコストを削減し,経営を合理化するため,次のような施策を講じた。 (ア)平成8年,関西空港旅客サービス部の搭乗手続,搭乗案内,遺失物取扱い,航空券発券業務等のほとんどの部門を空港業務支援会社に外部委託し,同部門に在籍していた従業員は他の部門に配転となった。 (イ)平成10年,日本地区において初めて特別希望退職制度をFAを除く勤続4年以上の全従業員を対象に実施したところ,約110名がこれに応募し,退職した。 (ウ)同年以降,それまで25年以上にわたって継続してきた新卒採用を中止した。 (エ)同年,仙台営業支店を閉鎖し,同支店に在籍していた従業員は退職又は配転となった。 (オ)同年,九州営業支店を段階的に縮小,廃止し,同支店に在籍していた従業員は退職又は他の部署に配転となった。 (カ)同年,広島営業所を廃止し,同営業所に在籍していた従業員は他の部署に配転となった。 (キ)同年,大阪予約課における個人予約部門を廃止し,同部門に在籍 していた従業員は,退職又は他の部門に配転となった。 (ク)同年,関西営業支店を段階的に縮小し,平成10年当時,同部門に在籍していた26名の従業員は,平成14年末時点で8名まで削減された。 (ケ)同年,成田空港の貨物サービス部では,貨物上屋の業務(航空輸出貨物の航空機への搭載準備業務)の外部委託を進め,同部に在籍していた従業員は監督業務に配転した。 (コ)平成11年,成田機内食部の機内食搭載部門を外部委託し,同部門に在籍していた従業員は退職又は他の部門に配転となった。 (サ)同年,成田整備部のプラント・メンテナンス部門を外部委託し,在籍していた従業員は,退職又は他の部門に配転 食搭載部門を外部委託し,同部門に在籍していた従業員は退職又は他の部門に配転となった。 (サ)同年,成田整備部のプラント・メンテナンス部門を外部委託し,在籍していた従業員は,退職又は他の部門に配転となった。 (シ)同年,名古屋の航空券発券カウンターを閉鎖し,同カウンターに在籍していた従業員は他の部門に配転となった。 (ス)平成13年,日本地区のFAを対象として特別退職制度を導入し,5名のFAが同制度に応募して退職した。 (セ)同年,成田空港旅客サービス部箱崎シティエアーターミナルの事務所を閉鎖し,同事務所に在籍していた従業員は退職又は他の部署に配転となった。 (ソ)同年,管理職を中心とした退職勧奨を実施したことにより,約20名の管理職が退職した。また,約10名弱の管理職等が業務縮小を理由として配転となった。 (タ)同年,FAの大阪ベースを閉鎖し,大阪ベースに在籍していたFAは,東京ベースへ異動又は他の部署に配転となった。 (チ)同年,人件費削減のために更なる退職勧奨を行い,その結果,更に18名の管理職及び専門職が退職することとなった。 (ツ)同年,機内サービス部において契約期間が満了となったIFSR 30名を雇止めとした。 (テ)平成15年,日本地区の本社施設を大幅に縮小(従来使用していた5フロアーのうち1フロアーを貸主に返却)し,港区に所在した貨物営業支店の施設を港区に所在する日本地区本社施設と統合し,さらには,長年営業してきたO内の発券カウンターを閉鎖し,中央区に所在する予約センターに統合した。 (ト)被告の最高経営責任者であったPは,平成14年9月10日,被告の全従業員に向けたメッセージ(NEWSWIRE)において,競争力を維持するため,少なくとも1億ドルコスト削減と売上げ増を実現するためのアイディアを全従業員 であったPは,平成14年9月10日,被告の全従業員に向けたメッセージ(NEWSWIRE)において,競争力を維持するため,少なくとも1億ドルコスト削減と売上げ増を実現するためのアイディアを全従業員から募集すること,及び平成15年1月1日から,アメリカ合衆国の管理医療プランに加入している従業員に対し,医療費の20パーセントを負担させることを発表した。 上記発表を受けて,成田機内サービス部では,多額なものとしては,①余分に搭載しているワールド・ビジネス・クラス用の食事を乗務員用の食事として利用することによる86万ドルの削減,②国内線にて酒類代金を値上げすることによる60万ドルの削減,③エクスプレス飲物サービスの拡大による17万ドルの削減,④不必要な供給品の搭載を減らすことによる12万ドルの削減,⑤日本とホノルルを結ぶ路線において朝食の搭載を減らすことによる11万2000ドルの削減をはじめ,少額なものとしては,⑥無駄な紙の使用を減少するためにプリンター機種を変更することによる3000ドルの削減,⑦紙製のドリーの搭載を取りやめることによる2000ドルの削減,⑧コートタグの再利用による2000ドルの削減,⑨より低価格の紙を使用してのメニュー作成による2000ドルの削減,⑩ボイスメールの廃止による100ドルの削減に至るまで,50項目以上のアイデアを採用し,実施した。 ウアメリカ合衆国本社の執行副社長,各ビジネスユニットの最高責任者等 で構成されるEPMTにおいて,平成14年の12月,東京ベースFAの余剰について検討がなされ,最終的に,余剰であったFA15名を早急に削減すべきことが決定された。 エ本件配転命令に至るまでの団体交渉の経緯(ア)被告は,平成14年10月,東京ベースのFAを対象として,1か月,3か月又は6か月間のいずれかの休職 A15名を早急に削減すべきことが決定された。 エ本件配転命令に至るまでの団体交渉の経緯(ア)被告は,平成14年10月,東京ベースのFAを対象として,1か月,3か月又は6か月間のいずれかの休職期間を選択することのできる会社都合休職制度を策定し,利用者を募集したところ,1名のFAがこれに応募した。 被告は,さらに,同月,東京ベースのFAを対象として,平成14年12月31日から平成15年12月30日までの1年間を休職期間とする,長期会社都合休職制度を策定し,利用者を募集したが,これに応募した東京ベースのFAはいなかった。 被告は,平成15年1月31日,東京ベースのFAを対象として,同年3月2日から1年間,2年間又は3年間のいずれかの休職期間を選択することのできる長期会社都合休職制度を策定し,利用者を募集したところ,4名のFAがこれに応募した。 (イ)被告は,同年1月下旬,支社組合に対し,電話で日本地区の機内業務本部の今後の人員計画を含む事業計画を発表,説明するための団体交渉の開催を申し入れ,支社組合もこれを受諾し,同年2月3日に団体交渉が開催されることが決定した。 しかし,この団体交渉は,支社組合の中央執行委員1名の団体交渉に出席するための有給休暇を取得することが認められないのであれば,団体交渉に応じられないという支社組合の申出によって,とりやめとなった。 (ウ)被告は,同月4日,東京ベースのFAを対象とする会合(ベース・ミーティング)において,出席したFAに対し,①航空業界の現状及 び被告の業績が悪化していること,今後も厳しい状況が予測されること,②日本地区のFAが余剰であること,③同月末日をもって東京ベースのFAの人員を15名削減すること,④早期退職制度及び長期会社都合休職制度を実施すること,⑧両制度の応募者が15名に達 予測されること,②日本地区のFAが余剰であること,③同月末日をもって東京ベースのFAの人員を15名削減すること,④早期退職制度及び長期会社都合休職制度を実施すること,⑧両制度の応募者が15名に達しない場合は,FAの配転を行うことを検討していることなどを説明した。 (エ)被告は,同月4日,東京ベースのFA全員に対し,上記(ウ)で説明した内容が記載されている「PDinflightMemo」と題する書面を送付した。 (オ)被告は,同月5日,機内業務本部を中心とした経営環境,人員削減計画,早期希望退職制度,長期会社都合休職制度の実施などについて,機内業務本部長名で発表された文書及び制度概要の文書を支社組合に送付した。 (カ)支社組合は,同月6日,被告に対し,「客室乗務員課に関連した会社事業計画についての団体交渉の申し入れ」と題する書面を提出し,FAの早期希望退職制度に関する団体交渉を同月10日に開催するよう申し入れた。 (キ)支社組合は,被告に対し,同月11日付けの「東京ベース客室乗務員課縮小に関する公開質問状」と題する書面を提出し,FAの人員削減問題に関し,①削減すべきFAの人員が15名であることの根拠,②配転が行われる場合の人選基準,③配転が行われる場合の配転先,④長期会社都合休職制度の利用期間,同制度利用者の職場復帰の可否,⑤同制度の締切り期限を延長することの可否について,回答を求めた。 (ク)同月13日,第2回ベースミーティングが行われた。被告は,業績悪化とコスト削減の必要性を説明し,早期希望退職制度と長期会社都合休職制度の期限を,同月17日から同月20日まで3日間のみなら延長することが可能であることを説明した。また,被告は,FAの配転先 としては,成田旅客サービス部が検討されていること,配転の人選基準については 限を,同月17日から同月20日まで3日間のみなら延長することが可能であることを説明した。また,被告は,FAの配転先 としては,成田旅客サービス部が検討されていること,配転の人選基準については検討中であることなどを説明し,支社組合の理解を求めたが,支社組合の納得を得ることはできなかった。 (ケ)被告は,同月14日,支社組合に対し,「貴殿による2003年2月11日付け『東京ベース客室乗務員課縮小に関する公開質問状』について」と題する書面を送付し,①Cの分析により,現在のフライトスケジュールを最も経済的に効率性の高い状態で運航するには,少なくとも東京ベースのFAの人員を15名削減する必要があるという結果が出たこと,②配転が行われる場合の人選基準は,先任順位の低い者,すなわちFAの資格取得日が遅い者から行うこと,③配転が行われる場合の配転先は成田旅客サービス部であること,④長期会社都合休職制度を利用したとしてもFAの人員がなくなることには直接つながらないが,期間が終了した段階でFAに欠員がない場合には,FAとして復帰することができないこと,⑤早期希望退職制度及び長期会社都合休職制度の募集期限を同月20日まで延長することなどを回答した。 (コ)団体交渉が同月18日に行われ,被告は,支社組合に対し,FAの人員を15名削減する必要があることなどを説明して理解を求めたが,支社組合の納得を得ることはできなかった。 (サ)支社組合は,同月19日,被告に対し,「東京ベース客室乗務員課縮小に関する公開質問状の追加」と題する書面を提出し,FAの人員削減問題に関し,長期会社都合休職制度を利用したFAは,期間が終了した時点で正社員としての地位が保障されるか否かについて,回答を求めた。 これに対し,被告は,同月20日,支社組合に対し,「『東京ベース客室 に関し,長期会社都合休職制度を利用したFAは,期間が終了した時点で正社員としての地位が保障されるか否かについて,回答を求めた。 これに対し,被告は,同月20日,支社組合に対し,「『東京ベース客室乗務員課縮小に関する公開質問状の追加』に対する回答」と題する書面を送付し,被告の厳しい経営環境からすれば,長期会社都合休職制 度を利用した後の身分について,何らかの保障をすることはできないことなどを回答した。 (シ)団体交渉が同月21日に行われ,被告は,支社組合に対し,FAの人員を15名削減する必要があることなどを説明し,これまで3名のFAが早期退職制度に応募したこと,4名のFAが長期会社都合休職制度の申請を行ったこと,8名のFAを同年3月1日付で成田旅客サービス部には移転する予定であることを発表して理解を求めたが,支社組合の納得を得ることはできなかった。 オ成田旅客サービス部の人員不足(ア)成田旅客サービス部のカスタマー・サービス・エージェントの業務内容は,被告を利用する乗客に対し,搭乗便の座席指定,搭乗手続,搭乗案内,乗り継ぎ便の利用の際の誘導,航空券の発券,到着客に対するサービス,遺失物の取扱いなどである。 (イ)平成13年9月にアメリカ合衆国で起きた同時多発テロ事件以後,空港での手荷物検査の強化等の保安の必要性が高まったことにより,成田旅客サービス部においては,平成14年1月以降,正社員の数が約10名不足していた。 カQIFSRの人数被告は,平成14年3月以降,日本地区のIFSRに対し,アメリカ合衆国の被告の本社において,A320型機で乗務するためのトレーニングを受講させるなどしたため,日本地区のIFSRのうちQIFSRの人数は,同年6月には約35名,平成15年3月には約58名となっていた。 キFAとIFSRの労働条 20型機で乗務するためのトレーニングを受講させるなどしたため,日本地区のIFSRのうちQIFSRの人数は,同年6月には約35名,平成15年3月には約58名となっていた。 キFAとIFSRの労働条件の違い(ア)休暇等の違いFAには有給休暇(平成14年度労働協約書1部15条,2部7条参照),慶弔休暇(同1部18条,2部7条参照),病気休暇(労働協約 書第1部16条,第2部7条参照)などの休暇が付与されているが,IFSRには付与されていない。 (イ)給与等の違いFAの基本月給は,IFSRの基本月給よりも相当高額である。 また,FAには,住宅手当が月額1万7000円以上,扶養家族手当が月額7000円以上支給されるが,IFSRにはこれらは支給されない。 月間80時間の給与支払対象時間(クレジットタイム)を超えて勤務した場合には,FAにもIFSRにも超過勤務手当が支給されるが,FAについては,時間給(月間基本給に住宅手当を加えた額に80分の1を乗じて得た金額に1.35を乗じて算出した額)に超過勤務時間数を乗じた金額を支給しているのに対し,IFSRに対しては,時間給(月間基本給に80分の1を乗じた金額に1.30を乗じて算出した額)に超過勤務時間数を乗じた金額を支給している。 FAが月間65時間のクレジットタイムを超えて乗務した場合には,80時間に達するまでの時間に応じてインセンティブ・ペイが支給されるが,IFSRには,クレジットタイムが80時間以下の場合には何らインセンティブ・ペイは支給されない。 FAが出発地の現地時間午後10時から午前5時までの間に乗務を行った場合には,実際の乗務時間に応じて,1時間当たり,時間給に1. 5を乗じた金額が深夜乗務手当として支給されるが,IFSRには,深夜乗務手当は支給されない。 例年,FAに対してはI での間に乗務を行った場合には,実際の乗務時間に応じて,1時間当たり,時間給に1. 5を乗じた金額が深夜乗務手当として支給されるが,IFSRには,深夜乗務手当は支給されない。 例年,FAに対してはIFSRよりもはるかに高額のボーナスが支給されてきた。例えば,FAに対しては,平成14年度には基本月給に住宅手当及び扶養家族手当を加えた額の7か月分,平成15年度には5か月分がボーナスとして支給されたのに対し,IFSRに対しては,平成 14年度には基本月給の3か月分,平成15年度には2か月分がボーナスとして支給されていたにすぎない。 FAには,乗務予定便のキャンセルなど,被告の都合で乗務時間が減少した場合,実際には乗務していない時間も乗務したものと取り扱われ,原則として全月間乗務予定時間分の給与が保障されるが,IFSRにはこの制度はない。 (ウ)乗務路線の違い被告は,労使間協定等の制約のため,太平洋路線においては,日本人FAを乗務させず,成田とソウル,香港,バンコク,シンガポール,北京,上海,グアム及びサイパンとを結ぶ各アジア路線にのみ,日本地区のFAを乗務させている。これに対し,IFSRは,1か月の乗務スケジュールのうち,太平洋路線の乗務とアジア路線の乗務を半分ずつ遂行することになっている。 ク本件配転命令以降の被告の経営状況及び経営改善策等(ア)被告の本件配転命令以降の財務状況についてみると,平成15年度の第2四半期の営業利益がマイナス7300万ドル,純利益が2億2700万ドル(Q社を売却したことにより,1億9900万ドルの特別利益があった。),同年度の第3四半期の営業利益が1億4600万ドル,純利益が4700万ドル,同年度の第4四半期の営業利益がマイナス1200万ドル,純利益が3億7000万ドル,平成16年度の営業利益は, あった。),同年度の第3四半期の営業利益が1億4600万ドル,純利益が4700万ドル,同年度の第4四半期の営業利益がマイナス1200万ドル,純利益が3億7000万ドル,平成16年度の営業利益は,合計マイナス5億0500万ドル,純利益はマイナス8億6200万ドル,平成17年度の第1四半期の営業利益はマイナス2億9200万ドル,純利益はマイナス4億5000万ドル,同年度の第2四半期の営業利益はマイナス1億9000万ドル,純利益はマイナス2億2600万ドルであった。 (イ)被告は,平成16年1月末,経営の合理化施策を発表した。日本 地区においては,複数部門の本社機能への統合,複数部門の外部委託化,運航管理部の本社移管,運航部POCコーディネーターの業務廃止,「2004年度日本地区特別退職制度」の実施など,事業再編を実施した。 (ウ)被告は,上記施策を採ってもなお業績が改善されないことから,経営再建を図るため,平成17年9月14日,アメリカ連邦破産法第11条に基づき,R州南部地区連邦破産裁判所に対して破産申請した。 (3) 判断 ア業務上の必要性について(ア)被告は,日本地区の人件費を削減するために本件配転命令を実施したものであると主張するところ,前記(2)アで認定した被告の経営状況からすれば,本件配転命令当時,人件費を削減する必要性があったことは明らかである。 (イ)ところで,前記(2)ウによれば,本件配転命令は,東京ベースのFAを15名削減する必要があるというEPMTの決定に伴い実施されたものであると認められるから,東京ベースのFAを15名削減する必要性の有無につき検討する。 この点,証拠及び弁論の全趣旨によれば,a東京ベースのFAには,乗務するパターンがあらかじめ決められているFA(ブロックホルダー)と乗務を予定して Aを15名削減する必要性の有無につき検討する。 この点,証拠及び弁論の全趣旨によれば,a東京ベースのFAには,乗務するパターンがあらかじめ決められているFA(ブロックホルダー)と乗務を予定していたFAが急な病気等で乗務できなくなった場合又は乗客数が予定外に増加してFAを増員する必要が生じた場合等のためにあらかじめ待機しているFA(リザーブホルダー)があり,東京ベースで必要とされるFA数はブロックホルダーとリザーブホルダーを合計した人数であること,bEPMTの決定に先立ち,C(スケジュールに従い旅客機を運航するに際して,各国の法令,労働協約,労働契約上の各制約の下で,各ベースの乗務員の賃金水準,ホテル,交通のため に要する経費の水準,各ベースの乗務員の稼働率等,様々な要素を勘案するといずれのベースを使っていかなる乗務パターンで乗務させるのが最も合理的かつ経済的であるかを検証するためのコンピューターソフト)を用いて,アジア路線において,原則として東京ベースのFAを1名,成田とグアム及びサイパンを結ぶ路線については東京ベースのFAを3名配置するとの条件を設定して,最も合理的なFAの乗務パターンを策定したところ,東京ベースのFAが乗務することとなる1か月当たりの総乗務時間数は,約3300時間と試算されたこと,c平成15年度中に東京ベースのFAが取得する年次有給休暇クレジットタイムは,1か月当たり約500時間であると見込まれたこと,dそのため,平成15年度の1か月当たりの月間総クレジットタイムは,bとcを足した約3800時間と見込まれ,これを平成14年度のブロックホルダー1名当たりの平均クレジットタイムである約73時間で除して得られた約52名が東京ベースで必要とされるブロックホルダーの人数と試算されたこと,他方,e平成14 ,これを平成14年度のブロックホルダー1名当たりの平均クレジットタイムである約73時間で除して得られた約52名が東京ベースで必要とされるブロックホルダーの人数と試算されたこと,他方,e平成14年度のリザーブホルダーの月間総クレジットタイムは約1250時間であり,これを同年度のリザーブ要員の1名当たりの月間平均クレジットタイムである約72時間で除して得られた約18名が東京ベースで必要とされるリザーブホルダーの人数と試算されたこと,fそのため,平成15年度に必要とされるFAの数は,dで得られた約52名とeで得られた約18名の合計である70名であると試算されたこと,gEPMTの決定当時,東京ベースのFAは85名であったことが認められる。とすれば,被告の試算によれば,EPMTの決定当時,東京ベースのFAに15名の余剰が生じており,これを削減する必要があったといえる。 これに対し,原告らは,Cを用いた余剰FAの算定結果を信用することはできないと主張し,その理由として,①CはもともとFAの効率 的な乗務パターンを算出するソフトであり,余剰を算出するソフトではないこと,②Cで試算する際の設定条件について,QIFSRの乗務している成田と台北,釜山及び高雄を結ぶ路線及び関西と台北を結ぶ路線を含めていないこと,③月間総クレジットタイムをブロックホルダー1名当たりの平均クレジットタイムで除すという大まかな分析では,現実に必要なブロックホルダーの要員数が算出できないし,仮にできるとしても,その手法で算出された数字は,FA全員がフル稼働してやっとフライトを維持できる人数であり,育児休業等を考慮していない点で妥当ではないことを挙げる。しかし,①についてみると,FAの効率的な乗務パターンを算出することができれば,その結果に基づいてFAの余剰 フライトを維持できる人数であり,育児休業等を考慮していない点で妥当ではないことを挙げる。しかし,①についてみると,FAの効率的な乗務パターンを算出することができれば,その結果に基づいてFAの余剰も計算することができると認められる。②についてみると,どの路線にFAを乗務させるか,IFSRを乗務させるかについては,法令に反する場合は別として,基本的には,事業戦略にかかわるものとして,被告の意思決定を尊重すべきであるから,Cで試算する際の設定条件について,QIFSRの乗務している成田と台北,釜山及び高雄を結ぶ路線及び関西と台北を結ぶ路線を含めていないことのみをもって相当性を欠くということはできない。③についてみると,確かに月間総クレジットタイムをブロックホルダー1名当たりである平均クレジットタイムで除す方法は,分析方法としては必ずしも綿密とはいえないが,考えられる試算方法の一つであり,合理性があると認められる。とすれば,東京ベースのFAに15名の余剰が生じているとの結果は,信用することができるというべきである。 (ウ)次に,東京ベースのFAに15名の余剰が生じていたとしても,原告らを含めた合計8名の東京ベースのFAに対する地上職への配転命令(以下「本件配転命令等」という。)を実施することで,人件費の削減が見込まれたのかにつき検討する。 この点,前記(2)オのとおり,成田旅客サービス部では約10名の人員不足が生じていたところ,本件配転命令等により,成田旅客サ-ビス部に8名の従業員を配置する必要がなくなり,新たな人件費支出が不要となったこと,本件配転命令等を実施せずに8名を従前どおりFAとして配置していれば必然的に生じたであろうインセンティブ・ペイ等の人件費を大幅に削減することが見込まれたことが認められ,これらによる人件費の削減は ,本件配転命令等を実施せずに8名を従前どおりFAとして配置していれば必然的に生じたであろうインセンティブ・ペイ等の人件費を大幅に削減することが見込まれたことが認められ,これらによる人件費の削減は,一時的なものにとどまらず,長期的なものであることからすれば,被告が本件配転命令等を実施することにより社内全体に見込まれる人件費の削減は,相当程度に及ぶものというべきである。 これに対し,原告らは,原告らを地上職に配転しても,一部の手当を除いた全賃金を支払わなければならないし,本件配転命令により旅客サービス部に配転したFAに替えて,新たな路線,機種に乗務させるためにIFSRを雇い入れなければならないから,本件配転命令は人件費の削減に結びつかないと主張する。しかし,前記(2)カのとおり,FAに対しては,インセンティブ・ペイ,深夜乗務手当,クリーニング手当等の手当が支給されているところ,これを長期的に原告らに対して支払う必要がなくなるのであるから,多額の人件費を削減することが可能になるというべきである。また,前記(2)カで認定した事実からすれば,被告は,本件配転命令等の前後にIFSRを雇い入れたことが認められるものの,前記(2)キのとおり,IFSRの基本給及び各種手当を含めた人件費がFAの人件費よりかなり低額であることに照らせば,上記事情をもって人件費の削減に結びつかないとはいえない。 (エ)以上のとおり,本件配転命令等は,人件費の削減に資するものと認められるところ,FAに余剰が生じていたこと及び成田旅客サービス部の人員に不足が生じていたことに照らせば,労働力の適正配置という観点からも合理性が認められるところである。したがって,被告には, 本件配転命令を実施する業務上の必要性があったというべきである。 イ原告らの負う不利益について(ア) ,労働力の適正配置という観点からも合理性が認められるところである。したがって,被告には, 本件配転命令を実施する業務上の必要性があったというべきである。 イ原告らの負う不利益について(ア)原告らは,本件配転命令によってFAの職を一方的に奪われ,FAとしての誇りを傷付けられるとともに,FAとしての能力を発揮する機会とその能力を向上させる機会を失ったと主張する。しかし,かかる事情は主観的かつ抽象的なものであること,前記認定した成田旅客サービス部のカスタマー・サービス・エージェントの業務内容からすれば,原告らがこれまで習熟してきた知識や技能やFAとしての経験を十分生かせる業務内容であることが認められるのであるから,上記原告らの主張する事情をもって,原告らの受ける不利益が通常甘受すべき程度を著しく超えるものということはできない。 (イ)また,原告らは,本件配転命令により,インセンティブ・ペイ,深夜乗務手当,クリーニング手当,免税販売手数料,宅配サービス業務手数料の支払を受けることができなくなったと主張する。しかし,インセンティブ・ペイはFAが国外に滞在となった場合に必要とされる諸費用についての実費支払の性質を有するものと解されること,深夜乗務手当はFAとして深夜乗務をした場合の対価として支払われるものであること,クリーニング手当はFAが着用するユニフォームのクリーニング代に対する実費支払の性質を有するものであること,免税販売手数料及び宅配サービス手数料も業務実績に対する対価として支払われるものであることからすれば,本件配転命令により,上記手当等の支払を受ける機会がなくなったことをもって,原告らの受ける不利益が通常甘受すべき程度を著しく超えるものということはできない。 (ウ)原告らは,休日の減少や通勤上の不利益を主張するが,就業 記手当等の支払を受ける機会がなくなったことをもって,原告らの受ける不利益が通常甘受すべき程度を著しく超えるものということはできない。 (ウ)原告らは,休日の減少や通勤上の不利益を主張するが,就業規則及び労働規則上,地上職員の勤務体系は1日8時間,5日勤務制を原則とすること,地上職員に対しては,相当額の通勤手当が支払われること からすれば,原告らの主張事実をもって通常甘受すべき程度を著しく超える不利益ということはできない。 (エ)その他,本件配転命令が原告らに対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものというべき事情は見当たらない。 ウ不当な動機・目的について後記4で説示するとおり,当該配転命令が他の不法な動機・目的をもってなされたものであるとは認められない。 エ配転回避義務の不履行原告らは,ワークシェアリングによるFA全員の飛行時間の低減,FA全員の賃金カット,会社都合休職制度の持ち回り取得等,FAの地上職への配転を回避するための努力を行わなかったと主張する。 しかし,前記(2)アのとおり,本件配転命令当時,被告の経営状況が極めて悪化していたと認められること,前記(2)イのとおり,被告は,本件配転命令までに経営改善のための様々な施策を実施したことに加え,被告において,FAの地上職への配転に先立ってワークシェアリングによるFA全員の飛行時間の低減,FA全員の賃金カット,会社都合休職制度の持ち回り取得等を実施するか否かは,経営判断にかかわる高度に専門的なものであり,基本的に被告の経営陣の判断を尊重すべきであることに照らせば,本件労使確認書の作成に至る経緯を考慮したとしても,被告に原告らの主張する上記努力義務があったと認めることはできない。 したがって,被告が原告らの主張する上記努力を行わなかったとしても,これが配 ば,本件労使確認書の作成に至る経緯を考慮したとしても,被告に原告らの主張する上記努力義務があったと認めることはできない。 したがって,被告が原告らの主張する上記努力を行わなかったとしても,これが配転命令権の濫用を根拠付けるものとは認められない。 オ説明義務違反について原告らは,本件配転命令に当たって,被告が支社組合及び組合員に対し,説明義務を十分に尽くさず,支社組合及び組合員の納得を得るための真摯な努力を行わなかった旨主張する。 確かに,本件配転命令に先立ち,被告が支社組合及び組合員に対して説明をする際に,支社組合がFAの配転に強く反発して,被告と支社組合との団体交渉における話合いが硬直化したことがうかがえるところである。 そして,被告が,本件労使確認書の作成から約1年半という短期間でFA15名を地上職に配転する通知をし,同通知から配転の実施予定日までが比較的短期間であったこと,本件配転命令の対象には大阪ベースの閉鎖に伴って地上職に配転された者も含まれていたことからすれば,支社組合の上記対応を非難することはできない。 しかし,前記(2)エで認定した被告と支社組合との団体交渉等の経過にかんがみれば,被告は,東京ベースのFAの人員削減を決定して以降,支社組合及び東京ベースのFAに対し,可能な限り協議の場を設け,FAの配転の必要性,配転の実施時期及び実施方法等について説明し,その理解を得るため,複数回にわたって協議をしたと認めることができるから,被告は,本件配転命令を実施するに当たって要求される説明義務を一応果たしたというべきである。 カさらに,上記認定できる事実を総合的に考慮しても,配転命令権の濫用を認めるべき特段の事情があるとはいえない。 (4)よって,本件配転命令が権利濫用に当たるとする原告らの主張は理由がない。 争点④ らに,上記認定できる事実を総合的に考慮しても,配転命令権の濫用を認めるべき特段の事情があるとはいえない。 (4)よって,本件配転命令が権利濫用に当たるとする原告らの主張は理由がない。 争点④(本件配転命令は不当労働行為に当たるか。)について(1)前記3(3)アで説示したとおり,本件配転命令は業務上の必要性に基づくものであると認められること,証拠によれば,平成14年度労働協約書において,人員削減の必要性が生じた場合の人員整理に際し,先任順位の低い従業員からその対象とするという人選基準が定められていることが認められること(1部40条,同41条)に照らせば,先任順位の低い者から選定するとした本件配転命令における人選基準には,合理性が認められる。そ うであれば,本件配転命令は主として不当労働行為の意思に基づくものであるとはいえない。 (2)原告は,本件配転命令の主たる動機・目的が,支社組合の弱体化を図るところにあったと主張し,これを推認させる事情として,①FAの専門性,特殊性,②被告による全面的かつ一貫した支社組合弱体化攻撃,③組合員であるFAに対する熾烈な攻撃,④本件労使確認書を一方的に反故にして強行した本件配転命令の経緯,⑤本件配転命令の手続の不当性,⑥本件配転命令を回避する措置の欠如,⑦人選基準の合理性の欠如を指摘する。 しかし,これらの事情は,いずれも原告らの上記主張事実を推認させるものとは認められず,他に前記(1)の判断を左右するに足りる事情も認められない。すなわち,①についてみると,FAにある程度の専門性,特殊性が認められるとしても,そのことと原告らの上記主張事実には関連性がない。 ②及び③についてみると,原告らは,被告が支社組合の結成当初から支社組合を敵視し,継続的に不当労働行為を加えており,とりわけFAに対して としても,そのことと原告らの上記主張事実には関連性がない。 ②及び③についてみると,原告らは,被告が支社組合の結成当初から支社組合を敵視し,継続的に不当労働行為を加えており,とりわけFAに対して熾烈な攻撃を加えてきたとの事実を根拠にして,本件配転命令もそのような被告の一貫した不当労働行為が顕現したものであると主張する。しかし,前記説示のとおり,本件配転命令に業務上の必要性及び人選基準の合理性が認められるのであるから,過去に被告と支社組合との間で原告らが主張するような事実があったとしても,これらの事実から本件配転命令が原告らの主張するような動機・目的をもって行われたと推認することはできない。 ④,⑤,⑥及び⑦についてみると,前記説示のとおり,本件労使確認書の第3項は被告の努力義務を定めたものにすぎないこと,本件配転命令において説明義務違反が認められないこと,本件配転命令の回避義務違反が認められないこと,本件配転命令の人選基準には合理性が認められることからすれば,原告らの上記④,⑤,⑥及び⑦の指摘はいずれもその前提を欠くもので ある。 (3)よって,本件配転命令が不当労働行為に当たるとする原告らの主張は理由がない。 争点⑤(原告らは,被告に対し,本件配転命令により精神的損害を被ったとして,不法行為に基づき,それぞれ100万円の慰謝料を請求することができるか)について前記1ないし4のとおり,本件配転命令の違法性は認められないから,原告らの被告に対する慰謝料請求は,その前提を欠き失当であり,その余の点につき判断するまでもなく理由がない。 結論 以上より,原告らの被告に対する請求は,いずれも理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 千葉地方裁判所民事第5部裁判長裁判官安藤裕子裁判官森田淳裁 結論 以上より,原告らの被告に対する請求は,いずれも理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 千葉地方裁判所民事第5部裁判長裁判官安藤裕子裁判官森田淳裁判官小濱浩庸は転補のため,署名押印することができない。 裁判長裁判官安藤裕子
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