【DRY-RUN】主 文 一 原判決主文第二、第三項を次のとおり変更する。 1 一審被告は一審原告に対し、昭和六一年四月一日から昭和六三年八月一九日ま で、毎月二五日限り各二九万八二〇〇円、毎年七月三一日及び一二月
主文 一原判決主文第二、第三項を次のとおり変更する。 1 一審被告は一審原告に対し、昭和六一年四月一日から昭和六三年八月一九日まで、毎月二五日限り各二九万八二〇〇円、毎年七月三一日及び一二月三一日限り各四四万七三〇〇円並びに右各金員に対する各支払日の翌日から支払済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。 2 一審原告のその余の請求を棄却する。 二一審被告の本件控訴を棄却する。 三訴訟費用はこれを一〇分しその一を一審原告の、その余を一審被告の負担とする。 四この判決は主文第一項1につき仮に執行することができる。 事実 一当事者の求めた裁判 1 一審原告(一)(1) 原判決主文第二、第三項を次のとおり変更する。 一審被告は一審原告に対し、昭和六一年四月一日から昭和六三年八月一九日まで、毎月二五日限り二九万八二〇〇円、毎年七月三一日限り五三万円、八月三一日限り四六万九八〇〇円、一二月三一日限り五五万〇一〇〇円及び各金員に対する各支払日の翌日から支払済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。 (2) 訴訟費用は第一、二審とも一審被告の負担とする。 (3) 右(1)(金員支払部分)項につき仮執行の宣言(二)(1) 一審被告の本件控訴を棄却する。 (2) 控訴費用は一審被告の負担とする。 2 一審被告(一)(1) 原判決中一審被告の敗訴部分を取り消す。 (2) 一審原告の請求を棄却する。 (3) 訴訟費用は第一、二審とも一審原告の負担とする。 (二)(1) 一審原告の本件控訴を棄却する。 (2) 控訴費用は一審原告の負担とする。 二当事者双方の事実に関する主張は次のとおり改めるほか原判決事実摘示のとおりであるから、これをここに引用する。 1 原判決三枚目裏三行目「によると、」を「により、」と、同四行目「となる。」を「と 二当事者双方の事実に関する主張は次のとおり改めるほか原判決事実摘示のとおりであるから、これをここに引用する。 1 原判決三枚目裏三行目「によると、」を「により、」と、同四行目「となる。」を「として取り扱われた。」と改め、同四枚目裏九行目「4」の次に「(一)」を加え、同五枚目表二行目終に続き行を変えて「(二) なお、一審被告の昭和六〇年度の決算が赤字であつたとしても、その原因は同年八月代表取締役Aの退職金八〇〇〇万円を支払つたため生じたもので一時的な現象にすぎず、それが昭和六一年の賞与に影響を及ぼすものではなく、実際にも多い人で四・六か月分もあつたから一審原告についての昭和六一年から昭和六三年までの賞与は、少なくても、昭和五九年の支給実績に基づき、それと同額を支給すべきである。」を加える。 2 同五枚目裏五行目「3」の次及び「4項」の次に各「(一)」を加え、同六枚目表一行目「そして、」を「(二)」と、六枚目表末行目冒頭から同裏一行目終までを次のとおり改める。「 一審被告は、人件費の高騰を押さえ又荷役会社における以下に述べるような特殊性により労災事故発生率を減少することを目的として、従業員の定年につき、従前の六〇歳を五五歳に短縮する就業規則改正をした。すなわち、1(一) 一審被告の従業員中高給である高齢者の占める割合が大きいため、会社の経済上の圧迫が強く、定年を短縮することにより、人件費の負担を軽減することができる。但し、暫定措置を定めるとともに、定年後の再雇用についても認めている。 (二) 一審被告は労災率が他より高く、その災害の原因は作業内容である本船への積卸及び積込の性質上体力と迅速で敏捷な行動が要求されるが、これに適しない高齢の従業員が多いこともその一因である。しかし、本船の入港が不定期で入港すると短期間に作業が終了するため 内容である本船への積卸及び積込の性質上体力と迅速で敏捷な行動が要求されるが、これに適しない高齢の従業員が多いこともその一因である。しかし、本船の入港が不定期で入港すると短期間に作業が終了するため、常時多数の従業員を雇用することができず、作業量に応じ不足する人数の作業員を臨時に雇用し、従業員とともに作業を行わせる必要があり、その際通常は事務をしている者もまたその監督指示等のため、現場作業に従事することがしばしばであつた。従つて、定年を作業職と事務職とに区別して定めることは実際できないばかりでなく、作業職のみを短縮することは不平等取扱となるので、従業員全員につき定年を一律に短縮したものである。さらに、昭和五八年以後の労災事故の発生率が高くなつているが、一般に高齢となるに従い労災事故が多くその態様も重大事故につながり保険給付額が多くなるため、一審被告の負担する労災保険料率が高く、その分だけ経費が増大する結果となるので、その点からも、定年を短縮した。」 3 同六枚目裏二行目「1」、同八枚目表九行目「2」、同裏一行目「3」、同九枚目表一行目「4」を、順次「2」ないし「5」と繰り下げる。 三証拠関係(省略) 理由 一一審被告が昭和五九年四月二日就業規則に定める三四条につき労働者の定年を従前の六〇歳から五五歳に短縮する改正を行い(以下「本件就業規則」という。)、その実施の暫定措置の一つとして、課長については昭和四年三月三一日以前の出生者は昭和六一年三月三一日をもつて定年退職する旨定めたこと、一審原告(昭和三年八月一九日生)が昭和四三年三月二五日海上運送業を営む一審被告の従業員として入社し、経理課長を経て総務部総務課長(この点は成立に争いのない甲第九号証により認められる。)であつたところ、本件就業規則改正及び暫定措置により、一 三月二五日海上運送業を営む一審被告の従業員として入社し、経理課長を経て総務部総務課長(この点は成立に争いのない甲第九号証により認められる。)であつたところ、本件就業規則改正及び暫定措置により、一審被告から昭和六一年三月三一日限り定年退職となつたとして、その後従業員としての地位ないし雇用関係が否認されていることは当事者間に争いがない。 二本件就業規則改正の効力について検討する。 1 各成立に争いのない甲第六号証の一、二、乙第一号証の一ないし三、乙第五、第六、第九、第一〇ないし第一二号証、原審における一審原告本人尋問の結果によつて欄外等部分の成立が認められその余の部分の成立について争いのない甲第二ないし第五号証、原審及び当審証人B、原審証人C(但し、各証言中各一部認定に反する部分を除く。)の各証言、原審における一審原告本人尋問の結果を総合すると、次の事実が認められる。 (一) 一審被告は、アメリカ、ソ連などより入港した船から木材を積み卸したり、輸出向けの船に自動車を積み込むなどの港湾荷役作業が主たる業務内容である。右作業の性質上作業に当る労働者には、体力と敏捷な行動や相当の熟練を要するところ、右目的の船舶の入港が不定期でその荷役作業が二、三日の短時日で行われ終了することが多いため、一審被告の荷役作業に従事する全労働者の六〇パーセントは臨時雇用の港湾労働者で賄われ、残り四〇パーセントにあたる約七五ないし八〇名が常時雇用の労働者であつて、これらの者が本件就業規則の適用の対象となつている。 (二) 一審被告は、五五歳以上の高齢の労働者について、労災事故発生率が高く、重大事故となることが多く、その結果一審被告が支払うべき労災保険の料率が高くなるので、その事故の発生を減少させ保険料率を下げて経費を節減すること、右高齢の労働者が作業能力が衰えたのに高 生率が高く、重大事故となることが多く、その結果一審被告が支払うべき労災保険の料率が高くなるので、その事故の発生を減少させ保険料率を下げて経費を節減すること、右高齢の労働者が作業能力が衰えたのに高給を維持し人件費増大の一因となつているので、その経費を節減し、その分で若年労働力を多く雇用し売上を向上させ、人件費を売上高の三〇パーセント以内に抑制することを目的として、従前の労働者の定年六〇歳を五五歳に短縮する本件就業規則改正をした。その暫定措置として前記一などを定めた。 (三) 右改正にあたつては、一審被告は労働者の過半数の者から諸労働条件に関する協定を一審被告と締結するについて労働者代表として選出(組合が未組織のため各労働者から直接選出)されたDから、本件就業規則改正に賛成する旨の書面の提出をえて改正し、労働基準監督署にこれを添えて届出した。 (四) 一審被告は労働基準監督署から他の同種企業に比較し労災事故の発生率が高いので善処するよう指導を受けていたが、その労災事故の発生状況は、昭和五四年一月から昭和五八年一二月まで五か年間の内訳では、事故種類別(五か年)が別表一、同(年度別、年齢別)が別表二、昭和五五年から昭和五八年の事故発生率(年度別、年齢別)が別表三、昭和五六年から昭和五八年までの職種別件数が別表四、負傷個所別件数が別表五のとおりであり、そのうち、昭和五六年から昭和五八年までの間事件件数六〇件のうち三六件(別表四)が、昭和五九年度では六件中三件、昭和六〇年度では七件中四件(甲第四、第五号証)がいずれも臨時雇用労働者であり、また、昭和五四年から昭和六一年までの労災保険料率が別表六のとおりである。 (五) 一審被告は昭和五九年度と昭和六〇年度決算において損失を掲上した。そうして、一審被告の昭和五四年度から昭和六〇年度にいたる売上対直接 から昭和六一年までの労災保険料率が別表六のとおりである。 (五) 一審被告は昭和五九年度と昭和六〇年度決算において損失を掲上した。そうして、一審被告の昭和五四年度から昭和六〇年度にいたる売上対直接人件費比率は別表七のとおりであるが全常時雇用労働者中五五歳以上六〇歳未満の人数は常時平均六人強(別表三)にすぎない。そうして直接の人件費の内訳、比率は別表七のとおりであるが、そのうち日雇労務費を除く内訳、五五歳以上六〇歳未満の内訳は明らかではない。 以上のとおり認められ、一部右認定に反する原審及び当審証人B、原審証人Cの各証言の一部はにわかに信用し難く、他に右認定を左右する証拠はない。 2 ところで就業規則は、一種の社会的規範としての性質を有するだけでなく、それが合理的な労働条件を定めているものである限り経営主体と労働者との間の労働条件は、その就業規則によるという事実たる慣習が成立しているものとして、その法的規範性が認められるに至つている。そこで、このような就業規則の変更によつて労働者の既得の権利を奪い、労働者に不利益な労働条件を一方的に課することは原則として許されないと解すべきであるが、就業規則が労働条件の集合的処理、特にその統一的かつ画一的な決定をすることを建前としているので、その規則条項の変更が合理的なものである限り、個々の労働者においてこれに同意しないことを理由としてその適用を拒否することは許されない反面、その合理性が存在しない場合その就業規則条項は効力を生じないものと解するのが相当である。 前記認定事実によると、本件において、従前の就業規則が労働者の定年を六〇歳と定めていた規定を五五歳に短縮することは、労働者が従前の就業規則によつて、解雇など特段の事由がない限り、六〇歳まではその意思に反して退職させられないという労働者の既得権を奪 が労働者の定年を六〇歳と定めていた規定を五五歳に短縮することは、労働者が従前の就業規則によつて、解雇など特段の事由がない限り、六〇歳まではその意思に反して退職させられないという労働者の既得権を奪い、労働者に不利益な労働条件を課するものというべきである。そこで、本件就業規則改正に合理性があつたかの点についてみるのに、一審被告は右改正の目的は、五五歳以上六〇歳未満の労働者の労災事故発生率が高くその事故が重大事故になることが多くその結果一審被告の労災保険料率が高くなること、及び、右年齢の労働者はその労働能力が衰えたのに高給を維持しているので人件費を節減する必要があり、これを定年短縮により経営を改善することにあるという。前記認定事実中別表三によれば一審被告においては五五歳以上の労災事故発生率が三九名中一四件(三五パーセント)であり、五四歳以下のそれが四四九名中七二件(一六パーセント)であることが明らかであるが、右労災事故の発生には臨時雇用労働者の事故が多発していることも明らかである。そしてこれら臨時雇用労働者についてはもともと、定年制の適用がない。そうだとすると定年の短縮によつて労災事故の減少という目的を達するには十分でないといわなければならない。また、前記認定事実によれば一審被告の売上に対する人件費の占める割合が昭和五四年以降高騰していることが明らかであり、昭和五九年ないし昭和六一年度決算において欠損を掲上しているが、一審被告の常用労働者中右年齢の労働者は常時平均六人強にすぎず、右認定事実によればそれらの者の人件費の占める割合は全人件費中の低い割合と考えられ、定年の短縮により全人件費を節減し経営改善を図るという一審被告の意図は到底達せられるものとはいえない。 それ故、一審被告のした本件就業規則の改正は、二年間の経過措置の定めがあることを 合と考えられ、定年の短縮により全人件費を節減し経営改善を図るという一審被告の意図は到底達せられるものとはいえない。 それ故、一審被告のした本件就業規則の改正は、二年間の経過措置の定めがあることを考慮しても定年を短縮することには合理性があると断定することはできず、本件就業規則に異議を述べている一審原告に対しては前記説示により、その効力を生じないものといわなければならない。 三したがつて、一審原告は昭和六一年四月一日以降従前の就業規則三四条に定める六〇歳の定年退職の日である昭和六三年八月十九日まで一審被告の従業員としての地位を有し、本件口頭弁論終結の日である昭和六三年五月一三日においてはなおその雇用関係が存在するものであり、一審原告の本訴請求中、雇用関係存在確認請求は理由がある。 四給与及び賞与について 1 一審原告の昭和六一年三月三一日現在の給与月額が二九万八二〇〇円であることは当事者間に争いがない。 2 各成立に争いのない乙第一三ないし第一八号証、原審及び当審証人B、原審証人Cの証言、原審における一審原告本人尋問の結果を総合すると、次の事実が認められる。 昭和六〇年の賞与は、一審原告の場合同年七月(夏季)に五三万六八〇〇円、同年八月(期末)に二〇万円、同年一二月(冬期)に二九万八二〇〇円であつた。しかし、一審被告においては昭和六一年の賞与につき八月は支給されなかつたが、一審原告より基本給が少なくこれに近い数人の場合いずれも七月及び一二月に、ほぼ二か月分ずつ、全労働者(常用)平均各一・五か月分が支給され、昭和六二年もほぼ同様の支給率であつた。 以上のとおり認められ、これを左右する証拠はない。 右認定事実によると、一審原告の昭和六一年四月から昭和六三年八月一九日まで各年七月及び一二月の各賞与は、右支給状況からみて、少なくとも、全労働 。 以上のとおり認められ、これを左右する証拠はない。 右認定事実によると、一審原告の昭和六一年四月から昭和六三年八月一九日まで各年七月及び一二月の各賞与は、右支給状況からみて、少なくとも、全労働者の平均支給率各一・五か月分の四四万七三〇〇円ずつが支払われるべきであつたと認められる。 3 したがつて、給与及び賞与として、一審被告は一審原告に対し昭和六一年四月一日から昭和六三年八月一九日まで給与支払日の毎月二五日限り二九万八二〇〇円、遅くても支払期日の到来する毎年七月三一日、一二月三一日各四四万七三〇〇円及びこれらの各金員に対する各支払日の翌日から支払済に至るまで民事法定利率年五分の割合による遅延損害金の支払義務を負う。一審原告の本訴請求中全員支払部分については右の限度で理由があり、その余は理由がない。 五以上のとおりであるから、金員支払部分につきこれと異なる原判決は一部相当ではないので、原判決主文第二、第三項を右のとおり変更することとし、一審被告の本件控訴は理由がないので棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法九六条、八九条、九二条を仮執行の宣言につき同法一九六条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官中村捷三高木積夫池田克俊)別表一事故種類別(五か年)<07944-001><07944-002>別表二事故種類別(年度別、年齢別)<07944-003><07944-004>別表三事故発生率(年度別、年齢別)<07944-005><07944-006>別表六労災保険料率<07944-007>別表七売上対直接人件費比率<07944-008> 費比率<07944-008>
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