令和7年8月28日判決言渡同日原本受領裁判所書記官 令和6年(ワ)第4500号損害賠償請求事件(甲事件) 令和6年(ワ)第11698号損害賠償請求事件(乙事件) 口頭弁論終結日令和7年5月30日判決 原告A訴訟代理人弁護士岩﨑博之 同澤田昌孝 同福田俊介 同中森真史 同谷垣友 同佐藤和樹 同清原直己 訴訟代理人弁理士板谷康夫 甲事件被告株式会社トライアルホールディングス 甲事件被告株式会社トライアルカンパニー 乙事件被告株式会社トライアルストアーズ 乙事件被告株式会社SU-PAY 乙事件被告株式会社RetailAI 被告ら訴訟代理人弁護士城山康文 同前田康熙 同安田達士 訴訟代理人弁理士大石敏幸 補佐人弁理士(甲事件関係)山崎貴明 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 (甲事件)甲事件被告らは、原告に対し、連帯して、22億9253万5812円及びこれに対する令和6年6月8日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。 (乙事件)乙事件被告らは、原告に対し、連帯して、22億9253万5812円及びこれに対する令和6年12月3日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本判決で用いる主な呼称 (以下、被告らにつき、甲事件及び乙事件 12円及びこれに対する令和6年12月3日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本判決で用いる主な呼称 (以下、被告らにつき、甲事件及び乙事件並びに株式会社の表示は省略す る。)(1) 本件特許(権):特許第6784787号に係る特許(権)。(本件特許権にかかる明細書及び図面は「本件明細書」。本件明細書の内容は、別紙特許公報記載のとおり。なお、本件明細書中の段落は【(4桁の数字)】として示す。) (2) 本件発明:本件特許の特許請求の範囲請求項1及び請求項2の発明の総称(各発明は「本件発明1」「本件発明2」)(3) 被告店舗:被告トライアルストアーズが運営するディスカウントストア(被告トライアルホールディングス及び被告トライアルカンパニーが運営しているかどうかは争いがある。) (4) 被告アプリ:スマートフォン向けアプリケーション「SU-PAY」(5) 被告カート:被告店舗において使用されるショッピングカート「SkipCart」(6) 被告製品:被告カートと被告アプリを用いたシステム(7) 第1要件(等):最高裁平成6年(オ)第1083号同10年2月24日 第三小法廷判決・民集52巻1号113頁において判示された、均等侵害が成立するための各要件(第1要件:非本質的部分、第2要件:置換可能性、第3要件:置換容易性、第4要件:容易推考性、第5要件:意識的除外)。 (8) 乙8発明:国際公開第2018/002864号(乙8。平成30年1月4日公開)に記載の発明 (9) 乙9発明:国際公開第2017/146595号(乙9。平成29年8月31日公開)に記載の発明(10) 乙10発明:特開2018-147252号(乙10。平成30年9 に記載の発明 (9) 乙9発明:国際公開第2017/146595号(乙9。平成29年8月31日公開)に記載の発明(10) 乙10発明:特開2018-147252号(乙10。平成30年9月20日公開)に記載の発明 2 原告の請求 被告製品が原告の特許権を侵害すること及び被告らが被告店舗の顧客による 被告製品の利用に関与していることを前提とする、不法行為(民法709条、民法719条)に基づく損害賠償請求及びこれに対する不法行為の後日から支払済みまでの民法所定の割合(年3パーセント)による遅延損害金の支払請求 3 前提事実(1) 当事者等 ア原告は、本件特許権を有する者である。 イ被告トライアルホールディングスは、百貨小売業等の事業を営む会社、組合及び事業体の株式又は持分を所有することにより、当該会社の事業活動を支配、管理することを目的とする株式会社である。 ウ被告トライアルカンパニーは、百貨店小売業及びこれに関連する商品の 製造・加工・輸出入・卸売業、訪問販売業、通信販売業等を目的とする株式会社である。 エ被告トライアルストアーズは、百貨店小売業及びこれに関連する商品の製造・加工・輸出入・卸売業、訪問販売業、通信販売業等を目的とする株式会社である。 オ被告SU-PAYは、資金決済に関する法律による前払式支払手段の発行及び資金移動業等を目的とする株式会社である。 カ被告RetailAIは、IoT機器とAIを使用した業務の改善及び効率化等のコンサルティング等を目的とする株式会社である。 (2) 本件特許権の書誌的事項 本件特許権の書誌的事項は、次のとおりである。 ア特許番号特許第6784787号イ出願日平成31年2月15日ウ登録日令和2年 社である。 (2) 本件特許権の書誌的事項 本件特許権の書誌的事項は、次のとおりである。 ア特許番号特許第6784787号イ出願日平成31年2月15日ウ登録日令和2年10月27日エ発明の名称買物決済システム (3) 本件発明の構成要件の分説 本件発明は、次のとおり構成要件に分説される(以下各構成要件を「構成要件A」などという。)(本件発明1)A 店舗での顧客による商品買物の決済を支援する買物アプリケーションに基づき商品代金の決済を処理する管理サーバと、 B 顧客によって買物かごに出し入れされる商品を撮像する、前記管理サーバと通信可能なカメラと、C 前記管理サーバにアクセスでき、前記買物アプリケーションをダウンロードした顧客の顧客端末と、を備え、D 前記管理サーバは、前記買物アプリケーションを起動した前記顧客端末 からのアクセスにより前記カメラのIDが入力・送信されること、又は、顧客が装着した顧客識別情報を前記カメラが撮像し送信すること、又は、前記顧客端末の買物アプリケーションのID若しくは店舗側が用意した店用端末のIDを前記カメラが取得し送信することにより、当該顧客端末と前記カメラとの紐付けを行い、 E 前記カメラは、前記管理サーバにアクセスすることで撮像始動の指示を受け、前記買物かごに出し入れされる商品の撮像情報を前記管理サーバに送信し、F 前記管理サーバは、前記カメラから送信された撮像情報と予め格納している商品データベースとから商品種別を識別し、正常に識別できれば、正 常状態として前記顧客端末に商品明細を通知し、正常に識別できないなら異常状態としてその旨を前記顧客端末に通知し、G 前記顧客端末は、当該顧客端末からの指示により前 、正常に識別できれば、正 常状態として前記顧客端末に商品明細を通知し、正常に識別できないなら異常状態としてその旨を前記顧客端末に通知し、G 前記顧客端末は、当該顧客端末からの指示により前記管理サーバを介してカード決済を承認する会社のサーバにカード決済処理を依頼してカード決済与信を行い、買物終了後に当該顧客端末に表示された買物終了ボタン をタップすることにより買物商品の合計金額が表示され、これを顧客が承 認すると、その承認情報が前記管理サーバに通知され、前記管理サーバが当該承認情報を受けると決済完了とする、H ことを特徴とした買物決済システム。 (本件発明2)I 前記カメラは、前記買物かごに装着され、 J 前記買物かごは、正常状態か異常状態かに応じて複数の点灯状態で点灯する表示灯をさらに備え、K 前記管理サーバは、前記顧客端末と前記カメラとの紐付けが成されると、該当するカメラを起動させ、かつ前記買物かごの表示灯を正常状態に点灯表示させ、 L 前記管理サーバは、前記カメラから送信された撮像情報より商品を正常に識別できないなら、前記買物かごの表示灯を異常状態に点灯表示させ、M 前記顧客端末に表示された買物商品の明細に対し顧客が承認すると、前記管理サーバにその情報が通知され、前記管理サーバは、前記買物かごの表示灯を決済終了状態に点灯表示させる N ことを特徴とした請求項1に記載の買物決済システム。 (4) 被告製品の構成及び使用態様(争いのない事実のほか、乙5、6)ア被告店舗入口において、顧客が、被告アプリがインストールされた顧客のスマートフォン等(以下「顧客端末」)の被告アプリを起動し、又はプリペイドカードを取り出し、現金チャージ機にて現金をチャージする。又 はあら いて、顧客が、被告アプリがインストールされた顧客のスマートフォン等(以下「顧客端末」)の被告アプリを起動し、又はプリペイドカードを取り出し、現金チャージ機にて現金をチャージする。又 はあらかじめ銀行口座を登録し、その口座からの現金チャージをする。 被告アプリ及びプリペイドカードの配布・運用を行っているのは、被告SU-PAYである。現金チャージ機の運用を行っているのは、被告トライアルストアーズである。 イ顧客が、店舗に用意されている被告カートを1台選択する。 被告カートには、ディスプレイ画面のついたカート用コンソール(以下 「店舗端末」)が備えられている。店舗端末の裏面にはカートのかご内を撮像するカメラが付き、店舗端末の頭部には緑色・赤色・青色のライトと商品を識別するバーコードスキャナーが装着されている。なお、バーコードスキャナーは、被告カートに、店舗端末下部に固定されているものとハンディータイプの2つが装着されている。 ウ顧客が、被告カートに装着されているバーコードスキャナーを使用し、顧客端末の被告アプリ画面に表示されるバーコード又はプリペイドカードに表示されているバーコードを読み取らせる。 この作業後は、顧客の情報(会員番号)が店舗端末に登録される。ここで、仮に、顧客が、顧客端末の画面又はプリペイドカードに表示されるバ ーコードを店舗端末に読み取らせず、商品バーコードを読み取らせた場合、店舗端末がエラー画面になり『プリペイドカードの確認をしてください。』と表示され、店舗端末の画面には商品の明細が表示されない。 次に、顧客が、顧客端末の画面又はプリペイドカードに表示されるバーコードを店舗端末に読み取らせてから、再度、商品バーコードを読み取ら せると商品の明細が店舗端末の画面に表示され 示されない。 次に、顧客が、顧客端末の画面又はプリペイドカードに表示されるバーコードを店舗端末に読み取らせてから、再度、商品バーコードを読み取ら せると商品の明細が店舗端末の画面に表示されるが、顧客端末の画面に商品の明細が表示されることはない。 エ店舗端末に顧客の情報(会員番号)が登録された状態で買物を行った場合、バーコードスキャナーで商品バーコードを読み取ると、正常の場合は商品の明細が店舗端末の画面に表示されるとともにその頭部に設けられた ライトが点灯しない。商品バーコードの読み取りを行わずに商品を買い物かごに投入したことを買物カートに備えられた重量センサーが検知した場合、店舗端末の画面に『商品のスキャン忘れはありませんか?』とのメッセージとともに買い物かご内の商品投入前と投入後の画像が交互に表示され、店舗端末上部のライトが赤色及び緑色に点灯する。 オ買物を終了させる場合には、顧客が、店舗端末画面右下に常時表示され ている『お会計ボタン』を押せば、レジ袋購入画面→ポイント使用画面→「従業員の対応がございます。ゲートの前でお待ちください」のお知らせ画面になり、緑色のライトが点灯する(ただし、緑色ライトが点灯するようになったのは令和5年11月以降であり、それ以前はライトの点灯はされなかった)。その後、顧客がゲートに進むと、ゲート付近に所在する被 告店舗の係員が確認した後、係員がスキャンチェック端末操作を行うことで会計処理が終了し、緑色のライトが消灯する。顧客がレジ袋以外の商品を購入する操作は、店舗端末の『お会計ボタン』を押すこと並びにレジ袋購入画面及びポイント入力画面の操作が最後である。 (5) 原告が非充足を争わない構成要件 ア原告は、被告製品が、正常、異常の各状態を「顧客端末」に 『お会計ボタン』を押すこと並びにレジ袋購入画面及びポイント入力画面の操作が最後である。 (5) 原告が非充足を争わない構成要件 ア原告は、被告製品が、正常、異常の各状態を「顧客端末」に通知せず、また、買い物終了ボタンは「顧客端末」には表示されないことから、本件発明1の構成要件F、同Gを充足しないことを争わない。 イまた、原告は、被告製品は、正常状態ではライトは点灯しないことを争わず、構成要件Jの非充足を自認するものと解される。 4 争点(1) 各被告が被告製品に関与しているか(争点1)(2) 被告製品が、本件特許の技術的範囲に属するか(争点2)(本件発明1に係るもの)ア構成要件Aを充足するか(争点2-1) イ構成要件Bを充足するか(争点2-2)ウ構成要件Cを充足するか(争点2-3)エ構成要件Dを充足するか(争点2-4)オ構成要件Eを充足するか(争点2-5)カ非充足を争わない構成以外につき構成要件Fを充足するか(争点2- 6) キ非充足を争わない構成以外につき構成要件Gを充足するか(争点2-7)(本件発明2に係るもの)ク構成要件Lを充足するか(争点2-8)(3) 被告製品の特許請求の範囲の構成と異なる次の構成につき、均等侵害が 成立するか(争点3)ア本件発明の「カメラ」を「バーコードスキャナー」に置き換えた構成(争点3-1)イ本件発明の「顧客端末」(ただし、構成要件F、Gに係るもののみ)を、「店舗端末」に置き換えた構成(争点3-2) ウ本件発明の「与信」を「現金チャージ」に置き換えた構成(争点3-3)エ本件発明2の「正常状態に点灯表示」を、「正常状態である場合に点灯しない」に置き換えた構成(争点3-4) ウ本件発明の「与信」を「現金チャージ」に置き換えた構成(争点3-3)エ本件発明2の「正常状態に点灯表示」を、「正常状態である場合に点灯しない」に置き換えた構成(争点3-4)(4) 本件特許に、次の無効理由があるか(争点4) ア明確性要件違反(争点4-1)イサポート要件違反(争点4-2)ウ実施可能要件違反(争点4-3)エ乙8発明を主引用例とする新規性欠如又は進歩性欠如(争点4-4)オ乙9発明を主引用例とする進歩性欠如(争点4-5) カ乙10発明を主引用例とする進歩性欠如(争点4-6)(5) 原告の被った損害額(争点5)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(各被告が被告製品に関与しているか)について【原告の主張】 (1) 被告トライアルホールディングス及び被告トライアルカンパニーは、被 告店舗を運営しているか、又は被告トライアルストアーズと共同して運営している。 (2) 被告トライアルカンパニーは、被告アプリを提供、販売している。 (3) 被告RetailAIは、被告カートの開発・製造を行っている。 (4) 被告製品は、被告らが各工程において関与し、複数主体が共同して本件 特許権を侵害しており、共同不法行為(民法第719条)を構成し連帯責任を負う。 【被告らの主張】(1) 被告トライアルホールディングス及び被告トライアルカンパニーは、被告製品を使用していない。被告店舗を運営しているのは被告トライアルスト アーズであり、店舗の設備である被告製品を使用しているのも、被告トライアルストアーズである。 (2) 被告SU-PAYは、被告アプリの提供、運営主体である。 (3) 原告の主張によっても、各被告がいかなる意味において「各工程 る被告製品を使用しているのも、被告トライアルストアーズである。 (2) 被告SU-PAYは、被告アプリの提供、運営主体である。 (3) 原告の主張によっても、各被告がいかなる意味において「各工程において関与」し、共同不法行為を構成するのかが不明である。 2 争点2-1(構成要件Aを充足するか)について【原告の主張】(1) 被告アプリが「店舗での顧客による商品買物の決済を支援する買物アプリケーション」に相当すること被告アプリは、アプリ上で現金をチャージし、その現金相当の残高を商品 代金の支払に利用することができ、また被告アプリ限定のクーポンやポイント付与が行われる。 また、顧客が被告製品を使用して買物を行う際は、被告アプリと店舗端末のアクセスへのアクセスが必要となり、アクセス後はレジコーナーを通過せず、店舗端末からの操作のみで代金の決済が可能となる。 このように、被告アプリは、商品代金の決済に関与しているから、構成要 件Aの「店舗での顧客による商品買物の決裁を支援する買物アプリケーション」に相当する。 (2) 「管理サーバ」が存在すること被告アプリは、現金やバンクペイサービスなどにより残高をチャージして代金の支払に充てることができるものであり、被告アプリと、店舗端末は、 買物途中の現金チャージが反映されるなど、互いに連携したシステムが構築されている。したがって、(仮に店舗端末が交信するサーバーと被告アプリの管理サーバーが異なるとしても、)店舗端末が交信するサーバーは、「買物アプリケーションに基づき商品代金の決済を処理する管理サーバ」に当たる。 (3) よって、被告製品は、構成要件Aを充足する。 【被告らの主張】(1) 被告アプリは「決済を支援する買物アプリケーション」 に基づき商品代金の決済を処理する管理サーバ」に当たる。 (3) よって、被告製品は、構成要件Aを充足する。 【被告らの主張】(1) 被告アプリは「決済を支援する買物アプリケーション」に当たらないこと本件明細書の記載(【0013】【0020】【0022】)からすると、構 成要件Aにいう「決済を支援する」という語は、顧客端末で顧客の操作によって決済がされることを意味する。 被告製品においては、代金の決済は、係員のスキャンチェック端末の操作によって完結し、顧客端末での操作は必要でなく、被告アプリは、店舗端末に対し会員番号を読み取らせる機能を果たすにすぎない。 よって、被告アプリは、構成要件Aの「店舗での顧客による商品買物の決済を支援する買物アプリケーション」に該当しない。 (2) 本件発明における「決済」とはカード決済を指すこと本件発明において、「決済」とは、構成要件Gにおける「管理サーバを介してカード決済を承認する会社のサーバにカード決済処理を依頼してカード 決済与信を行う」ものいうところ、このようなカード決済処理を行わない決 済については、構成要件Aの決済からも除かれる。 被告アプリはこのような意味において決済を支援することはなく、また、被告製品は、顧客端末が接続されるような「商品代金の決済を処理する管理サーバ」を備えない。 (3) 以上より、被告製品は構成要件Aを充足しない。 3 争点2-2(構成要件Bを充足するか)について【原告の主張】(1) カメラとは、光学的な手段で外界の情報を取得し、それを電気信号に変換する装置であるところ、バーコードスキャナーの構成は、可視光線を使用し、レンズで集光し、イメージセンサーで電気信号に変換することでバーコ ードパターンとい の情報を取得し、それを電気信号に変換する装置であるところ、バーコードスキャナーの構成は、可視光線を使用し、レンズで集光し、イメージセンサーで電気信号に変換することでバーコ ードパターンという視覚的な情報をデジタルデータに変換しているから、一般的なカメラが光を捉えて画像データを生成するプロセスと本質的に同一である。 また、本件明細書の記載(【0016】【0021】【図1】)には、本件発明のカメラは、被告カートのバーコードスキャナーと同様に、買い物かごに 投入する際に、バーコードを読み取らせ、買い物かごに投入する旨の記載があるから、本件発明のカメラは、バーコードも読み取り可能な光学撮像手段であり、被告カートのバーコードスキャナーはこれに当たる。 (2) 被告カートは、店舗端末の裏面にカメラを設けているところ、このカメラにより、買い物かごの中に投入された商品が識別できない場合には、店舗 端末の画面に読み取りに失敗した商品の情報をサーバーに通知することができるから、このカメラとバーコードスキャナーにより、構成要件Bのカメラと同等の機能を発揮する。 【被告らの主張】本件発明に係る課題とその解決手段、作用効果についての本件明細書の記載 (【0003】、【0004】、【0006】)からすると、構成要件Bの「カメ ラ」は、少なくとも商品全体の形態や色調に関する画像情報を取得可能なものを指すと解される。 また、本件明細書の記載(【0009】、【0015】)を参酌すると、「撮像」とは動画を撮影するものと解される。 したがって、単にバーコードを読み取ることのみ可能なバーコードスキャナ ーは、構成要件Bの「カメラ」に当たらない。 4 争点2-3(構成要件Cを充足するか)について【原告の主張】前記のとお たがって、単にバーコードを読み取ることのみ可能なバーコードスキャナ ーは、構成要件Bの「カメラ」に当たらない。 4 争点2-3(構成要件Cを充足するか)について【原告の主張】前記のとおり、被告アプリは「買物アプリケーション」に当たり、これをダウンロードした顧客端末は、ネットワークを通じて管理サーバにアクセス可能 であるから、被告製品は構成要件Cを充足する。 【被告らの主張】(1) 被告製品は、「顧客端末」を備えないこと構成要件Cの顧客端末は、その文言上顧客の管理する端末であって、被告製品が備える構成要素ではないから、被告製品は構成要件Cを充足しない。 (2) 被告製品において、管理サーバにアクセスできる顧客端末はないこと(1)を措いても、顧客の管理するスマートフォン等の端末が商品代金の会計処理を行うサーバーにアクセスすることはない(会計処理を行うサーバーにアクセスするのは、店舗端末である。)。 5 争点2-4(構成要件Dを充足するか)について 【原告の主張】(1) 被告アプリに表示されるバーコードは、「買物アプリケーションのID」に当たること構成要件DのアプリケーションのIDは、そもそも顧客情報を管理サーバに送信するためのものであるところ、被告アプリで表示されるバーコード は、会員番号自体ではなく、セキュリティ強化目的のために暗号化された、 会員番号情報を含むワンタイム顧客IDであるから、「アプリケーションのID」に該当する。 そして、顧客自身の端末にダウンロードされた被告アプリとの連携が完了している店舗端末のバーコードスキャナーが当該アプリケーションのIDを取得し、管理サーバに送信することになるため、「前記顧客端末の買物アプ リケーションのID・・を前記カメラ プリとの連携が完了している店舗端末のバーコードスキャナーが当該アプリケーションのIDを取得し、管理サーバに送信することになるため、「前記顧客端末の買物アプ リケーションのID・・を前記カメラが取得し送信」している。 (2) 顧客端末と店舗端末又はバーコードスキャナーとの紐付けが行われること顧客端末にダウンロードされた被告アプリに表示されるバーコードを店舗端末のバーコードスキャナーで読み取り、ワンタイム顧客IDが店舗端末に 登録されることにより、顧客端末と店舗端末との間だけでなく、顧客端末とバーコードスキャナー間においても紐付けが行われている。 (3) よって、被告製品は構成要件Dを充足する。 【被告らの主張】(1) 被告アプリは「アプリケーションのID」を表示しないこと 構成要件Dの「顧客端末の買物アプリケーションのID」とは、その文言上、アプリケーションの識別情報であって、顧客を識別する情報とは異なる(構成要件Dにも、「顧客識別情報」が、「アプリケーションのID」とは別個のものとして存在する。)。 被告アプリは、会員番号情報及びタイムスタンプを含む暗号化された情報 をバーコードとして表示するが、これは各顧客に対応した会員番号情報にすぎず、顧客のスマートフォン等にインストールされた被告アプリごとに何らかの固有の番号が付されているものではなく、ましてそのような番号がバーコードとして表示されるのでもない。 したがって、被告アプリは「アプリケーションのID」を表示しない。 (2) 被告製品は、「管理サーバ」による「紐付け」をしないこと 前記のとおり、被告製品においては、顧客端末を備えないから、顧客端末とカメラの紐付けを行うことはない。 また、被告製品において、管理サーバは、顧客のバ バ」による「紐付け」をしないこと 前記のとおり、被告製品においては、顧客端末を備えないから、顧客端末とカメラの紐付けを行うことはない。 また、被告製品において、管理サーバは、顧客のバーコード情報を基に顧客の情報を取得するが、顧客端末とカメラを自動的に紐付けすることはない。 被告製品においては、そもそも「顧客端末」は存在せず、店舗端末及びバーコードスキャナーはいずれも買物かごと一体となって構成されており、異なる組み合わせを持つことが想定されていないことから、顧客端末とカメラを「紐付け」る必要がない。 (3) したがって、被告製品は、構成要件Dを充足しない。 6 争点2-5(構成要件Eを充足するか)について【原告の主張】(1) 被告製品のバーコードスキャナーは、「前記管理サーバにアクセスすることで撮像始動の指示を受け」ていること商品の買物をするには、顧客端末の被告アプリに表示されているバーコー ドを店舗端末に必ず読み取りをさせることで、顧客端末と店舗端末をアクセスさせることを要し、当該アクセスがあって初めて、バーコードスキャナーは商品情報の撮像を行うことができる。 したがって、バーコードスキャナーは「前記管理サーバにアクセスすることで撮像始動の指示を受け」ている。 (2) 「撮像情報」には、商品バーコードが含まれること本件明細書(【0016】)の記載のとおり、構成要件Eの「撮像情報」には、商品バーコードが当然に含まれる。 【被告らの主張】構成要件Eは、「撮像始動の指示を受け・・・撮像情報を前記管理サーバに 送信し」であるところ、「撮像始動」の指示を受ける前には、撮像ができない と考えるのが自然な文言解釈であり、かつ本件明細書(【0020】)の記載にも合致す 像情報を前記管理サーバに 送信し」であるところ、「撮像始動」の指示を受ける前には、撮像ができない と考えるのが自然な文言解釈であり、かつ本件明細書(【0020】)の記載にも合致する。 被告製品はそのような「撮像始動の指示を受け」ることなく、バーコードを読み取る(=処理可能なデータとして受容する)ことができ、現に、顧客バーコードを読み取る前に商品のバーコードを読み取る(=処理可能なデータとし て受容する)ことができる。 7 争点2-6(非充足を争わない構成以外につき構成要件Fを充足するか)について【原告の主張】被告製品において、店舗端末に顧客情報が登録された状態で買物を行った場 合、バーコードスキャナーで商品バーコードを読み取ると、正常の場合は商品の明細が店舗端末の画面に表示される。商品バーコードの読み取りを行わずに(またはうまく読み取れずに)商品を買い物かごに投入したことを被告製品に備えられた重量センサーが検知した場合、店舗端末に『商品のスキャン忘れはありませんか?』とのメッセージとともに、買い物かご内の商品投入前と投入 後の画像が交互に表示される。 被告製品はこのような構成を備えるから、非充足を争わない構成(通知先が顧客端末ではなく店舗端末であること)以外は構成要件Fを充足する。 【被告らの主張】被告製品は、商品バーコードの読み取りを行わずに(又はうまく読み取れず に)いる状態のままでは、「異常状態」として判定する処理を行うことはないから、「正常に識別できないなら異常状態としてその旨を前記顧客端末に通知」することはないし、被告製品においては、バーコードスキャナーで商品バーコードを読み取らずに商品をかごに投入した場合、重量センサーがこれを検知しているのであって、「カメラから送信さ 記顧客端末に通知」することはないし、被告製品においては、バーコードスキャナーで商品バーコードを読み取らずに商品をかごに投入した場合、重量センサーがこれを検知しているのであって、「カメラから送信された撮像情報」を用いて「異常状 態」を判定していない。 したがって、被告製品は、原告が非充足を争わない構成以外の構成に関しても、構成要件Fを充足しない。 8 争点2-7(非充足を争わない構成以外につき構成要件Gを充足するか)について【原告の主張】 (1) 「顧客が承認すると、その承認情報が前記管理サーバに通知され、前記管理サーバが当該承認情報を受けると決済完了とする」を充足すること(均等侵害を主張する構成以外の構成の充足性)被告製品を使用し決済を行う場合、店舗端末の「お会計ボタン」をタップすると、「レジ袋の必要」→「ポイントの使用確認」→「係員のチェック」 などが表示され、緑のライトが点灯し、係員のチェックコーナーに進む。この様に会計ボタンを押した後は、顧客は決済を目的とする操作は全く無く、係員のチェックコーナーでも係員は、無作為に3~5個(買物の数量により変わる)の商品に対し、決済されているかの確認をするだけで、決済的な行為は全くない(甲30)。 よって、「お会計ボタン」をタップした時点でレジ袋以外の商品を購入する事は終了している。このチェックコーナーの通過工程は、上述したとおり、被告製品システムの構築を安易にしようとしたために生じたものと思われ、本件発明においては不要の工程である。 このことからすると、顧客による店舗端末の「お会計ボタン」のタップに より決済は完了しており、「顧客が承認すると、その承認情報が前記管理サーバに通知され、前記管理サーバが当該承認情報を受けると決済完了とす すると、顧客による店舗端末の「お会計ボタン」のタップに より決済は完了しており、「顧客が承認すると、その承認情報が前記管理サーバに通知され、前記管理サーバが当該承認情報を受けると決済完了とする」を充足する。 (2) 被告製品はこのような構成を備えるから、非充足を争わない構成(通知先が顧客端末ではなく店舗端末であること)以外は構成要件Gを充足する。 【被告らの主張】 (1) 被告製品には、「買物終了ボタン」は存在せず、「買物終了ボタンをタップすることにより買物商品の合計金額が表示され」ることはなく、それを顧客が「承認」することもないこと店舗端末には、買い物を行っている最中に表示される「お会計」のボタンはあるが、買い物終了後に表示される「買物終了ボタン」や類似のボタンは 存在しない。 また、バーコードスキャナーにて読み取った商品の総額は、顧客による買物の最中に、店舗端末にリアルタイムで表示されており、「買物終了ボタン」を押すことによってはじめて表示されるものではないから、「買物終了ボタンをタップすることにより買物商品の合計金額が表示され」を満たさな い。ましてそれを、顧客が「承認」することもない。 (2) 被告製品では、「顧客が承認すると、その承認情報が前記管理サーバに通知され、前記管理サーバが当該承認情報を受けると決済完了とする」ことはないことア原告の主張を否認する。 イ被告製品においては、商品の会計処理は、顧客のボタン操作によって行われるのではなく、ゲート付近に所在する店舗係員がスキャンチェック端末を用いて盗難のないことを確認した後、係員の同端末操作で会計処理が終了する(乙5、6及び12)。 顧客がお会計ボタンを押した後も、係員のスキャンチェック端末操作に より キャンチェック端末を用いて盗難のないことを確認した後、係員の同端末操作で会計処理が終了する(乙5、6及び12)。 顧客がお会計ボタンを押した後も、係員のスキャンチェック端末操作に より会計が終了するまでは、チャージされた残高は変動せず、また、顧客は店舗端末の「戻る」ボタンを押下することで、通常の買物プロセスへ戻ることができる(乙12)。 ウすなわち、顧客がお会計ボタンを押したのみの時点では会計処理は完了しておらず、お会計ボタンを押す行為が「承認」に当たらないことは明ら かである。また、お会計ボタンを押すことで「承認情報が前記管理サーバ に通知され」ないので、「前記管理サーバが当該承認情報を受けると決済完了と」はされないものである。 9 争点2-8(構成要件Lを充足するか)について【原告の主張】(1) 被告製品において、バーコードスキャナーから送信された情報だけで商 品を正常に識別できない場合(例えば、データにない商品のバーコードが読み取られた場合)、重量センサーによる検知に関係なく、管理サーバは買物カートの表示灯を異常状態に点灯表示させている(甲31)。 (2) バーコードスキャナーによって送信された撮像情報がなく、重量センサーが検知するとしても、「撮像情報が無い(読み取れない)」という意味にお いて、「カメラから送信された撮像情報より商品を正常に識別できない」場合に該当する。 (3) したがって、被告製品は、構成要件Lを充足する。 【被告らの主張】被告製品では、商品が登録されていないにもかかわらず商品がかごに入れら れた場合、重量センサーが買い物かごの重量の変化を検知して異常状態に点灯する。すなわち、被告製品において、異常状態に点灯するか否かの判定に際しては、重量センサー かかわらず商品がかごに入れら れた場合、重量センサーが買い物かごの重量の変化を検知して異常状態に点灯する。すなわち、被告製品において、異常状態に点灯するか否かの判定に際しては、重量センサーによる検知結果が用いられている。 バーコードスキャナーから送信された情報は、異常状態に点灯するか否かの判定には、関係がない。したがって、被告製品は、「前記カメラから送信され た撮像情報より商品を正常に識別できないなら」との構成を備えない。 10 争点3-1(本件発明の「カメラ」を「バーコードスキャナー」に置き換えた構成について、均等侵害が成立するか)について【原告の主張】(1) 第1要件 本件発明の本質的部分は、人手を煩わすことなく迅速な決済を完了させる ために、買物開始前に与信を行い、顧客が商品の識別を確実に行い、簡単な操作で決済を完了することにある。 「カメラ」か「バーコードスキャナー」かは、この本質的部分に係る差異には当たらず、第1要件を満たす。 (2) 第2要件 本件発明の作用効果は、撮像情報から商品種別を正常に識別できないなら異常状態としてその旨を顧客に通知することにあるところ、バーコードが読み取れない場合に、重量検知と相まって顧客にその旨通知を行うことは可能であるから、第2要件を満たす。 (3) 第3要件 バーコードスキャナーは、従前から商品識別ツールとして広く認知されており、置換は容易であるから、第3要件も満たす。 (4) 第4要件、第5要件第4要件、第5要件の被告の主張は否認し争う。 【被告らの主張】 (1) 第2要件を満たさないこと本件発明の作用効果は、商品の撮像が適切にされず撮像情報が不鮮明となった場合に、顧客は商品の買い物かごへの収納をやり直すことがで う。 【被告らの主張】 (1) 第2要件を満たさないこと本件発明の作用効果は、商品の撮像が適切にされず撮像情報が不鮮明となった場合に、顧客は商品の買い物かごへの収納をやり直すことができることにあるところ、被告カートのバーコードスキャナーでは、バーコードが読み取れなかった場合に顧客に適切に通知できず、この作用効果を発揮すること はない。 したがって、均等の第2要件(置換可能性)を欠く。 (2) 第3要件を満たさないこと本件発明は、「買い物かごに収納された商品を撮像部により撮像し、その画像とともに買物かごIDを受信し、受信した撮像画像から買い物かごに収 納された商品を認識し、認識した商品を記録したリストを買い物かご毎に作 成する」(【0002】)との背景技術を前提としているところ、このような機能の前提となる「カメラ」をあえて、バーコードを読み取る機能しか有しないバーコードスキャナーへ置換することについて、当業者が容易に想到することができたとはいえない。 したがって、均等の第3要件(置換容易性)も欠く。 (3) 第4、第5要件があること後記主張の乙8発明からすると、被告製品は乙8発明から容易に推考できたものであり、本件明細書上「カメラ」の撮像する「撮像情報」と「バーコード」が明確に区別して記載されていることからすると、「カメラ」からはバーコードスキャナーが意識的に除外されている 11 争点3-2(本件発明の「顧客端末」(ただし、構成要件F、Gに係るもののみ)を、「店舗端末」に置き換えた構成について、均等侵害が成立するか)について【原告の主張】(1) 第1要件 前記の本件発明の本質的部分に照らすと、商品の認識ができないことが発生した場合に、「買い物中の顧客に」即座 成について、均等侵害が成立するか)について【原告の主張】(1) 第1要件 前記の本件発明の本質的部分に照らすと、商品の認識ができないことが発生した場合に、「買い物中の顧客に」即座に知らせることによって商品の識別を確実に行うことであって、その媒体が顧客端末であるのか、店舗端末であるのかではないから、「顧客端末」か「店舗端末」かの違いは、本件発明の非本質的部分である(なお、決済の場面(構成要件G)における「顧客端 末」の「店舗端末」への置換について、第1要件の主張はない。)(2) 第2要件、第3要件(特段の主張がない。)【被告らの主張】(1) 第1要件 前記の本件発明の本質的部分に照らすと、「顧客端末」を「店舗端末」に 置き換えた場合には、本件発明の本質的部分を失うことになり、均等の第1要件を満たさない。 (2) 第2要件、第3要件原告は、第2要件、第3要件の主張をしない。 (3) 第4要件 後記主張の乙8発明からすると、被告製品は乙8発明から容易に推考できたものであるから、第4要件を欠く。 12 争点3-3(本件発明の「与信」を「現金チャージ」に置き換えた構成について、均等侵害が成立するか)について【原告の主張】 (1) 第1要件前記のとおり、本件発明の本質的部分は、人手を煩わすことなく迅速な決済を完了させるために、買物開始前に与信を行い、顧客が商品の識別を確実に行い、簡単な操作で決済を完了することであるが、事前に残高をチャージをする方法でも、一定の利用枠の確保をしておくことで当該金額を下回る買 物総額であれば、ボタン一つで決済ができるという意味においては、買物開始前に与信を行うことで簡単な操作で決済を完了できる方法といえるため、本質的部分の差 保をしておくことで当該金額を下回る買 物総額であれば、ボタン一つで決済ができるという意味においては、買物開始前に与信を行うことで簡単な操作で決済を完了できる方法といえるため、本質的部分の差異ではない。 (2) 第2要件銀行口座登録(バンクペイサービスを利用)による現金チャージもしくは チャージ機等による現金チャージを行ってさえいれば、一定額の利用可能枠が仮押さえされる意味においてカード決済与信と同じであり、これによって、チャージ残額が買物合計額を上回っていない限り、顧客の操作のみで迅速に決済することは可能であり、第2要件を充足する。 (3) 第3要件 一定額の利用可能枠が確保されるという意味において、カード決済与信 と、アプリケーションへの現金チャージは、同様の役割を有している。スマートフォン等の端末上にダウンロードしたアプリケーションへの現金チャージは、侵害時において、キャッシュレス決済の方法として周知であったから、置換は容易であった。 【被告らの主張】 (1) 本件発明におけるカード決済の与信の場合、その時点における銀行口座の残高が不足していたとしても、買物決済をすることができ、それゆえ「買物開始前に与信を行うことで簡単な操作で決済を完了できる」のであるが、他方で、被告製品においては、仮に銀行の残高が不足していた場合には、そもそもアプリに事前の残高チャージをすることができず、会計処理を行うこ とができない。 (2) 原告は、「買物開始前に与信を行う」ことが本件発明の本質的部分であることを認めているところ、「与信」と被告製品における「事前の残高チャージ」とは、全く異なる処理であり、与信を行わない被告製品は、本件発明の本質的部分において差異があり、置換可能性も容易性もない。 とを認めているところ、「与信」と被告製品における「事前の残高チャージ」とは、全く異なる処理であり、与信を行わない被告製品は、本件発明の本質的部分において差異があり、置換可能性も容易性もない。 (3) したがって、均等の第1要件、第2要件、第3要件を欠く。 13 争点3-4(本件発明2の「正常状態に点灯表示」を、「正常状態である場合に点灯しない」に置き換えた構成について、均等侵害が成立するか)について【原告の主張】 被告製品は正常状態では無灯火である点において、構成要件Kを充足しない。 しかし、前述の本件発明の効果を実現するためには、商品種別を正常に識別できない場合(異常状態)に顧客にそれを即座に伝えることが重要であり、正常状態と異常状態を明確に区別できることに意味がある。 よって、正常状態において無灯火であったとしても、それが異常状態(赤色 と緑色の点灯)と明確に区別して認識できる限りにおいて、上記効果を実現することができ、均等侵害が成立する。 【被告らの主張】本件明細書(【0021】)にもあるとおり、本件発明2において表示灯が、異常状態のみならず、正常状態であることも点灯によって示しているのは、顧 客が自己の状態を迅速かつ正確に認識することで、顧客端末での商品代金決済処理を迅速に行うためであると考えられる。 したがって、正常状態であることを通知するために表示灯を点灯させることのない被告製品の構成では、本件発明2の作用効果を奏することはできず、また当業者がその構成に容易に想到することもないから、少なくとも均等の第2 要件、第3要件を欠く。 14 争点4(本件特許に次の無効理由があるか)及び争点5(原告の被った損害額)について後記のとおり、当裁判所は上記争点について判断し ら、少なくとも均等の第2 要件、第3要件を欠く。 14 争点4(本件特許に次の無効理由があるか)及び争点5(原告の被った損害額)について後記のとおり、当裁判所は上記争点について判断しないので、その主張の骨子を別紙「争点4に関する被告の主張の概要」及び別紙「争点5に関する原告 の主張」のとおり摘示することとする。 第4 判断 1 判断の大要当裁判所は、被告製品は、少なくとも構成要件B(争点2-2)、D(争点2-4)、F(争点2-6)、G(争点2-7)を充足せず、「カメラ」を「バ ーコードスキャナー」に置き換える構成(争点3-1)及び本件発明の「顧客端末」(ただし、構成要件F、Gに係るもののみ)を、「店舗端末」に置き換えた構成(争点3-2)について均等侵害も成立しないから、被告製品は本件発明1及びこれの従属項である本件発明2の技術的範囲に属さず、抗弁(無効)について判断するまでもなく、原告の被告らに対する請求は理由がないと判断 する。 2 争点2-2(構成要件Bを充足するか)について(1) 本件発明における「カメラ」の意義構成要件Bにおける「カメラ」について、本件明細書において特段の説明はなく、「商品の撮像情報」を管理サーバに送信し、管理サーバが、撮像情報と商品データベースから、商品種別を識別する(構成要件E、F)前提と なる「撮像情報」を得るためのものとして規定されている。 そして、本件明細書において、上記商品種別の識別に用いられる商品情報データベースは、商品の「形状」が登録され(【0015】)、カメラは、商品が顧客により買い物かごに出し入れされるときに撮像し、その際、バーコードが読み取れなくても、鮮明な撮像情報であれば商品を正確に識別するこ とができるものが想定され 0015】)、カメラは、商品が顧客により買い物かごに出し入れされるときに撮像し、その際、バーコードが読み取れなくても、鮮明な撮像情報であれば商品を正確に識別するこ とができるものが想定されていること(【0016】)、顧客識別用ブレスには「ナンバー等」が印刷され、カメラがこれを撮像する(【0025】)とされていることなどからすると、本件発明においては、カメラが「画像」を取得することを前提としていることが明らかである。 したがって、本件明細書の記載及び当業者の通常の理解によると、本件発 明の「カメラ」は、光学系を用いて被写体の映像を撮影素子等の面上に結ばせる装置(広辞苑(第7版)参照)をいうものと認められる。 (2) 被告製品のバーコードスキャナーについて被告製品のバーコードスキャナーが、上記のような機能を果たすことを認めるに足りる証拠はなく、また一般に、バーコードスキャナーは、バーコー ドに化体した「情報」を取得するものであって、「画像」を取得、すなわち撮像をしないから、被告製品のバーコードスキャナーが構成要件Bにいう「カメラ」に該当することはない。 (3) 小括以上から、被告製品は構成要件Bを充足しない。 3 争点2-4(構成要件Dを充足するか)について (1) 構成要件Dにおける「アプリケーションのID」の意義ア構成要件Dは、本件発明1において、「カメラ」と「顧客端末」を紐付ける、すなわち、カメラと顧客端末との対応関係を確立させる手段を規定するものであるところ、その手段として、①顧客端末から管理サーバに、カメラのIDが送信されること、②顧客が装着した顧客識別情報をカメラ が撮像し送信すること、③顧客端末の買物アプリケーションのID若しくは店舗側が用意した店用端末のIDをカメ から管理サーバに、カメラのIDが送信されること、②顧客が装着した顧客識別情報をカメラ が撮像し送信すること、③顧客端末の買物アプリケーションのID若しくは店舗側が用意した店用端末のIDをカメラが取得し送信すること、の3種の手段を採用したものである。 そうすると、「カメラのID」、「顧客識別情報」、「買物アプリケーションのID」、「店用端末のID」は、それぞれ別個の構成であって、「買物 アプリケーションのID」とは、その文言からも、顧客端末にインストールされた個々のアプリケーションを識別することのできる情報ないし符号をいうものと解される。 イ被告アプリに示されるバーコード情報について原告はこの点、被告アプリで表示されるバーコードは、会員番号自体で はなく、セキュリティ強化目的のために暗号化された、会員番号情報を含むワンタイム顧客IDであるから、「アプリケーションのID」に該当すると主張するが、被告製品は、プリペイドカードでも同様に顧客情報を被告カートに登録できることも考慮すると、顧客端末に示されるワンタイム顧客IDもこれと同等の機能を持つもの、すなわち、顧客を識別できる情 報にすぎないものと考えられるから、上記の意味での「アプリケーションのID」に当たることは何ら主張立証されていないことになる。 ウしたがって、この点に係る原告の主張は理由がない。 (2) 顧客端末とカメラの「紐付け」について構成要件Dにおける「紐付け」の技術的意義に係る原告の主張は判然とし ないが、本件発明1は、購入しようとする商品の撮像情報をカメラが管理サ ーバに送信し(構成要件E)、管理サーバが商品の識別結果を顧客端末に通知すること(構成要件F)を構成要素とするものであり、その前提としてカメラと顧客端末の対応関 撮像情報をカメラが管理サ ーバに送信し(構成要件E)、管理サーバが商品の識別結果を顧客端末に通知すること(構成要件F)を構成要素とするものであり、その前提としてカメラと顧客端末の対応関係を確立することをいうものと解される。 この点、原告は、被告製品は、構成要件Fに係る処理が「店舗端末」で行われること(顧客端末では行われないこと)を争わないところ、前記のとお り、被告製品は、顧客端末がなくとも正常に買物が可能であること(顧客端末が被告製品の技術思想を実現するのに必須の構成ではないこと)も考慮すると、店舗端末が対応関係を確立するのは顧客識別情報(会員番号)のみであると認められ、これを超えて、「顧客端末」と、店舗端末のバーコードスキャナーが、上記の意味で「紐付く」ものとは認められない。 この点に係る原告の主張も、理由がない。 (3) 小括以上より、被告製品は、構成要件Dを充足しない。 4 争点2-6(非充足を争わない構成以外につき構成要件Fを充足するか)について (1) 被告製品の非正常状態の検知の態様前提事実記載のとおり、被告製品は、商品の識別をバーコードスキャナーで読み取る方法により行うものであるところ、一般に、バーコードスキャナーは、バーコードを読み取った場合にその「情報」を送信するものであって、「撮像情報」を送信することはなく、また、バーコードを読み取らせよ うとして読み取れない場合には、何らの情報も送信しない(何もしないことと情報的に等価)であることは技術常識に属し、被告製品のバーコードスキャナーがこれと異なる機能を有することを窺わせる事情は何ら認められない。 また、被告製品が、顧客がバーコードを読み取らせないで商品を買物かご に入れた場合には、重量センサーがこれを検知して ャナーがこれと異なる機能を有することを窺わせる事情は何ら認められない。 また、被告製品が、顧客がバーコードを読み取らせないで商品を買物かご に入れた場合には、重量センサーがこれを検知して、顧客に非正常状態を伝 える構成を備えることは争いがない。 (2) 構成要件Fとの対比構成要件Fは、「カメラから送信された撮像情報」と「あらかじめ格納している商品データベース」とから商品種別を識別することができるかどうかを条件とし、識別できる場合に正常状態、識別できない場合に異常状態をそ れぞれ顧客端末に通知するとの構成であるところ、上記の被告製品の検知の態様は、バーコードスキャナーによって商品種別の識別ができたか又はできなかったかではなく、重量センサーの変化によって行われるものであるから、構成要件Fの非正常状態を検知する構成を備えるとは認められない。 (3) 小括 以上の次第で、構成要件Fに係る原告の主張は、理由がない。 5 争点2-7(非充足を争わない構成以外につき構成要件Gを充足するか)について(1) 被告製品における決済の態様被告製品においては、店舗端末に「お会計」ボタンがあり、これを顧客が 押下し、レジ袋の購入及びポイント利用の有無につき操作した上で、ゲートの被告店舗係員のところに赴き(以後、顧客の操作はない。)、同係員が何らかの操作をする(この点原告は、登録漏れの商品がないかのチェックと主張し、被告はスキャンチェック端末の操作により会計がされると主張するが、係員の操作が存する限度では争いがない。)ことにより、買物が終了するこ とになる。 そして、「お会計ボタン」の押下によって商品代金の支払(プリペイド残高からの引き落とし)がされることを認めるに足りる証拠はなく、弁論の全趣旨による ことにより、買物が終了するこ とになる。 そして、「お会計ボタン」の押下によって商品代金の支払(プリペイド残高からの引き落とし)がされることを認めるに足りる証拠はなく、弁論の全趣旨によると、むしろ、被告主張のとおり、スキャンチェック端末の操作によって決済されることが推認される。 (2) 構成要件Gとの対比 構成要件Gは、その文言上から、「買物終了ボタン」のタップにより、「買物商品の合計金額が表示」され、これを顧客が「承認」すると、その情報が管理サーバを経由されることにより「決済完了」となる構成を備える必要がある。 なお、「決済完了」とは、当業者の通常の理解に従い、商品代金の支払 (財貨の移転)を意味すると解するほかはない。 原告は、店舗端末の「お会計」ボタンの押下が「買物終了ボタン」のタップに相当する旨主張するものと解されるが、このように解した場合には、顧客の合計金額の「承認」という構成がないこととなる。また、「お会計」ボタンの押下が、買物終了ボタンのタップと合計金額の承認を兼ねるものであ ると解したとしても、これによって前記の意味で「決済完了」となることはなく、被告店舗係員の操作によって決済がされると推認されることにも照らすと、この点において、構成要件Gを充足するものとは認められない。 (3) 小括したがって、構成要件Gに係る原告の主張は、理由がない。 6 争点3-1(本件発明の「カメラ」を「バーコードスキャナー」に置き換えた構成につき、均等侵害が成立するか)について(1) 本件発明の本質的部分(第1要件関係)本件発明は、「商品を買物かごに収納する際の商品の撮像が適切に行えずに商品の認識ができないようなことを未然に防止する」との課題解決の手段 として、「カメラから 明の本質的部分(第1要件関係)本件発明は、「商品を買物かごに収納する際の商品の撮像が適切に行えずに商品の認識ができないようなことを未然に防止する」との課題解決の手段 として、「カメラから送信された撮像情報から商品種別を正常に識別できないなら異常状態としてその旨を通知」して、顧客に商品の買物かごへの収納をやり直しさせる構成を採用したものである(【0004】【0006】)から、少なくとも、「カメラから送信された撮像情報から商品種別を正常に識別できないなら異常状態としてその旨を通知」できる構成を備えることは、 本件発明の本質的部分である。 (2) 「バーコードスキャナー」に置換した場合の検討被告製品における非正常状態の検知の態様は、前記4に説示のとおりであるところ、これを前提とすると、本件発明における「カメラ」を被告製品の「バーコードスキャナー」に置き換えると、「撮像情報から商品種別を正常に識別できない場合に異常状態としてその旨を通知」することができず、本 件発明の本質的部分を喪失することになる。 なお、異常状態の通知に関し、原告は、証拠(甲31・顧客が被告カートを操作する動画)を提出し、被告製品の「バーコードスキャナー」が異常検知機能を備える旨縷縷述べるが、同証拠及びその説明(甲35。ただし、その内容は甲31の状況と齟齬しており、的確な説明になっておらず、むしろ 誤導的である。)によっても、顧客のどのような挙動によって被告カートがどのような挙動をしたのかは不明であって、原告主張の事実を裏付けるものとはいえず、他に的確な証拠もないから、採用の限りでない。 (3) 小括本件発明の「カメラ」は、本質的部分に該当し、「バーコードスキャナ ー」に置換することは均等の第1要件を満たさず、均等侵害は えず、他に的確な証拠もないから、採用の限りでない。 (3) 小括本件発明の「カメラ」は、本質的部分に該当し、「バーコードスキャナ ー」に置換することは均等の第1要件を満たさず、均等侵害は成立しない。 7 争点3-2(本件発明の「顧客端末」(ただし、構成要件F、Gに係るもののみ)を、「店舗端末」に置き換えた構成につき、均等侵害が成立するか)について(1) 原告の主張の欠缺 原告は、構成要件F及びGの「顧客端末」が「店舗端末」に置換された構成について、本件発明1と均等なものとして技術的範囲に属する旨主張する。 しかし、原告は、この点に関し、第2、第3要件の主張を(構成要件Gに係る置換については、第1要件の主張も)しないから、そもそもその主張は 失当である。 (2) 第2、第3要件を満たさないことこの点を措いても、被告製品は、その構成のうちに顧客端末を含んでいるところ、原告の主張は、構成要件A、C、Dに関しては、被告製品の「顧客端末」は店舗端末に置換されず顧客端末として維持し、構成要件F、Gの「顧客端末」のみを「店舗端末」に置き換えるというものである(そもそも このような非統一的な置換の主張が、均等侵害の主張として妥当なものかは疑問もある。)。 本件発明の「顧客端末」は、「買物アプリケーション」により管理サーバ等へのアクセスや、カード決済与信を行う機能を備えることが前提とされると認められるところ、かかる顧客端末の存在を必須のものとしつつ、これと は別個に、いかなる機能、作用効果を果たすかも不明である「店舗端末」を導入することにより、本件発明と同様の作用効果を発揮させることはできないと認められ、かつ、当業者にとってもかかる置換は困難であるから、第2要件(置換可能性)、第3要件(置換 不明である「店舗端末」を導入することにより、本件発明と同様の作用効果を発揮させることはできないと認められ、かつ、当業者にとってもかかる置換は困難であるから、第2要件(置換可能性)、第3要件(置換容易性)を欠くものというべきである。 (3) 小括したがって、本件発明の「顧客端末」(ただし、構成要件F、Gに係るもののみ)を、「店舗端末」に置き換えた構成につき、均等侵害は成立しない。 第5 結論 以上のとおり、被告製品は、本件特許権の技術的範囲に属しないから、その余の争点を判断するまでもなく、原告の被告らに対する請求は、いずれも理由がない。 大阪地方裁判所第26民事部 裁判長裁判官 松阿彌隆 裁判官 阿波野右起 裁判官 西尾太一 (別紙)争点4に関する被告の主張の概要 1 明確性要件違反(争点4-1)について(1) 構成要件Eの「前記買物かごに出し入れされる商品の撮像情報」について 「前記買物かごに出し入れされる商品の撮像情報」には、商品が買い物かごに出し入れされる際の動画が含まれる(【0012】【0015】)ものと解されるが、特許請求の範囲の文言のみからは、当該動画以外にいかなる情報がそれに該当するのかが明らかではない。 特に、商品のバーコードの読取情報を含むのか、さらに商品のバーコード の読取情報のみ、そして、静止画1枚や、連続 のみからは、当該動画以外にいかなる情報がそれに該当するのかが明らかではない。 特に、商品のバーコードの読取情報を含むのか、さらに商品のバーコード の読取情報のみ、そして、静止画1枚や、連続で撮影されていない2以上の静止画であっても「前記買物かごに出し入れされる商品の撮像情報」に該当するのか否かが、本件明細書(前掲のほか【0009】【0016】【0021】)の記載に照らしても、不明である。 (2) 「前記管理サーバは、・・・、当該顧客端末と前記カメラとの紐付けを行 い」(構成要件D)について特許請求の範囲に規定される発明特定事項である「紐付け」は、その内容及び範囲が不明確である。特許請求の範囲の記載だけでは、「紐付け」は、「管理サーバ」が「顧客端末」及び「カメラ」を、それぞれの識別子で関連付ける構成、「管理サーバ」が「顧客端末」及び「カメラ」それぞれと通信 する構成、「管理サーバ」が「顧客端末」及び「カメラ」を互いに通信させる構成、「管理サーバ」が「顧客端末」及び「カメラ」に通知を送信できるように準備する構成や、他の構成など、多種多様な構成を含むかのように解され得る。 構成要件Dの「紐付け」は、「管理サーバ」、「顧客端末」及び「カメラ」 がどのような状態であるか明確ではないから、特許請求の範囲における「紐 付け」の範囲が不明確である。 (3) 構成要件D「前記管理サーバは、・・・顧客識別情報を前記カメラが撮像し送信すること・・・により、当該顧客端末と前記カメラとの紐付けを行い」及び構成要件E「前記カメラは、前記管理サーバにアクセスすることで撮像始動の指示を受け」について 特許請求の範囲に規定される発明特定事項である「紐付け」と「アクセス」、さらに、発明特定事項である「紐付け」 前記カメラは、前記管理サーバにアクセスすることで撮像始動の指示を受け」について 特許請求の範囲に規定される発明特定事項である「紐付け」と「アクセス」、さらに、発明特定事項である「紐付け」と「アクセスすることで撮像始動の指示を受け」ることは、それぞれ、技術的な関連がないため、発明を把握することができず、特許請求の範囲の記載が不明確である。 (4) 構成要件G「前記顧客端末は、当該顧客端末からの指示により前記管理 サーバを介してカード決済を承認する会社のサーバにカード決済処理を依頼してカード決済与信を行い、買物終了後に当該顧客端末に表示された買物終了ボタンをタップすることにより買物商品の合計金額が表示され、これを顧客が承認すると、その承認情報が前記管理サーバに通知され、前記管理サーバが当該承認情報を受けると決済完了とする」について 特許請求の範囲には、「カード決済与信」、「買物終了後」の「合計金額」の表示、及び「合計金額」を顧客が承認すると「決済完了」する3つの機能が発明特定事項として特定されている。しかしながら、「カード決済与信」の機能と、「合計金額」の表示、及び「決済完了」する機能との技術的な関連がないことから、発明を把握することができず、特許請求の範囲の記載が 不明確である。 特許請求の範囲に規定される「カード決済与信」について、本件明細書(【0020】から【0022】まで)では、それ自体が単体の機能で用いられる技術的事項ではなく、買物合計金額がカード決済与信により決定された与信額内にあれば、買物が終了し、決済できる構成とともに用いられるべ き技術的事項として示されている。しかし、特許請求の範囲には、「カード 決済与信」は特定されているが、「カード決済与信」で決定される与信額と 了し、決済できる構成とともに用いられるべ き技術的事項として示されている。しかし、特許請求の範囲には、「カード 決済与信」は特定されているが、「カード決済与信」で決定される与信額と買物合計金額とに関する構成は特定されていない。したがって、特許請求の範囲において、発明特定事項「カード決済与信」と、買物合計金額が与信額を超えているか否かを判定する構成と関連がない発明特定事項「買物終了後」の「合計金額」の表示、及び「合計金額」を顧客が承認すると「決済完 了」する構成との技術的な関連が存在しないため、発明を把握することができず、特許請求の範囲の記載が不明確である。 (5) 構成要件D「買物アプリケーションのID」について特許請求の範囲の記載における「買物アプリケーションのID」が具体的にどのような情報を意味しているのか明らかではなく、不明確である。 本件明細書(【0038】)に「ID」についての記載はあるが、「買物アプリケーションのID」及び「アプリケーションのID」の定義は存在しない。特許請求の範囲の記載からすると、「買物アプリケーションのID」は、ある買物アプリケーションを識別する識別子であるのか(例えば、ある買物アプリケーションが2以上の端末にインストールされた場合、2以上の 端末にインストールされた買物アプリケーションの「買物アプリケーションのID」は同じである)、それとも、インストールされた買物アプリケーションにおいて一意となる識別子であるのか(例えば、ある利用者が2以上の携帯端末を所有していて、それぞれに買物アプリケーションをインストールしている場合、それぞれの買物アプリケーションの「買物アプリケーション のID」は異なる)、それとも、別の識別子であるのか明確ではない。 2 サポー れぞれに買物アプリケーションをインストールしている場合、それぞれの買物アプリケーションの「買物アプリケーション のID」は異なる)、それとも、別の識別子であるのか明確ではない。 2 サポート要件違反(争点4-2)について(1) 構成要件E「買物かごに出し入れされる商品の撮像情報」について前記のとおり、「撮像情報」は、商品が買物かごに出し入れされたことを検知できる情報を含むべきであるところ、特許請求の範囲の記載のみによる と、商品のバーコードの読取情報など、商品が買物かごに出し入れされたこ とを検知しうる情報を含まないものであっても、「買物かごに出し入れされる商品の撮像情報」に該当し得るかのようにも解される。 しかし、仮に、「買物かごに出し入れされる商品の撮像情報」が商品のバーコードの読取情報のみ、又は、静止画1枚や、連続で撮影されていない2以上の静止画であるとすると、商品が買物かごに入れられること、及び商品 が買物かごから出されることが特定できないことから、そのような発明は、「商品を買物かごに収納する際の商品の撮像が適切に成されず商品の認識ができないことが発生しても、即座に顧客にそのことを知らせるようになっていない」という課題(【0003】)を解決できない。 本件発明は、この課題につき、当該商品の認識の前提として、買物かごへ の商品の出し入れを検知している(【0003】)。仮に、特許請求の範囲の「買物かごに出し入れされる商品の撮像情報」が、商品のバーコードの読取情報のみ、又は、静止画1枚や、連続で撮影されていない2以上の静止画からなるとした場合、そのような発明は、商品のバーコードなどを読み取ったことを識別できるが、買物かごへの商品の出し入れを検知できないことか ら、本件発明の課題を解 影されていない2以上の静止画からなるとした場合、そのような発明は、商品のバーコードなどを読み取ったことを識別できるが、買物かごへの商品の出し入れを検知できないことか ら、本件発明の課題を解決できない。すなわち、その場合には、商品のバーコードの読み取りができなかった場合に、ただ単に買い物かごに商品が出し入れされていないという判断をするほかなく、商品のバーコードの読み取りができなかったにもかかわらず買い物かごに商品が出し入れされたという異常を検知することができない。 したがって、本件発明は、発明の詳細な説明において発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものである。 (2) 構成要件D「前記管理サーバは、・・・、当該顧客端末と前記カメラとの紐付けを行い」についてア前記のとおり、「紐付け」は、「管理サーバ」が「顧客端末」及び「カメ ラ」を、それぞれの識別子で関連付けるだけの構成などの多種多様な構成 を含んでいる。しかしながら、「紐付け」が識別子で関連付けるだけの構成などを含むとすると、そのような発明は、本件発明の課題を解決できない。 イ本件発明の課題は、本件明細書(【0003】【0004】)に記載されているとおり、第1には、管理サーバが商品を認識できない場合、商品が 認識できないことを顧客へ通知できなかったことであり、第2に、店員による買い上げ商品の確認作業を行わなければ、決済ができなかったことである。 本件発明は、第1の課題の解決手段である構成要件Fの構成を備え、第2の課題の解決手段である構成要件Gの構成を備えている。そして、それ ら構成要件F及びGを実現するために、予め、構成要件D「前記管理サーバは、・・・、当該顧客端末と前記カメラとの紐付けを 、第2の課題の解決手段である構成要件Gの構成を備えている。そして、それ ら構成要件F及びGを実現するために、予め、構成要件D「前記管理サーバは、・・・、当該顧客端末と前記カメラとの紐付けを行い」における「紐付け」を行う。したがって、構成要件D「紐付け」は、本件発明1の少なくとも2つの課題を解決する構成要件Fにおける「管理サーバ」から「顧客端末」への「通知」、及び構成要件Gにおける「顧客端末」による 「管理サーバ」を介した「決済」を実現するためのものである。 ウしかしながら、特許請求の範囲の記載によると、「紐付け」は、「管理サーバ」が「顧客端末」及び「カメラ」を、それぞれの識別子で関連付ける構成などの多種多様な構成を含んでおり、そのような紐づけが行われたとしても、「管理サーバ」が「顧客端末」に「通知」できるようにならず、 さらに、「顧客端末」が「管理サーバ」を介した「決済」をできるようにもならない。 エしたがって、構成要件D「紐付け」は、本件発明の課題を解決できない構成を含んでいるから、本件発明は、発明の詳細な説明において発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超える ものである。 (3) 構成要件B「顧客によって買物かごに出し入れされる商品を撮像する・・・カメラ・・・」及び構成要件D「・・・前記顧客端末の買物アプリケーションのID・・・を前記カメラが取得し送信すること・・・」について構成要件B及びDにおいて、「買物かごに出し入れされる商品を撮像す る」「カメラ」が「顧客端末の買物アプリケーションのID」を「取得し送信する」構成が特定されている。しかしながら、このような構成は、発明の詳細な説明に記載も示唆もない(第1の実施形態(【0008】から【00 」が「顧客端末の買物アプリケーションのID」を「取得し送信する」構成が特定されている。しかしながら、このような構成は、発明の詳細な説明に記載も示唆もない(第1の実施形態(【0008】から【0023】)では、「顧客端末の買物アプリケーションのIDを取得し送信する構成について記載も示唆もなく、第3の実施形態(【0038】から【004 4】)では、「買物かご」を用いないとされている。)。したがって、本件発明は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものである。 (4) 構成要件D「前記管理サーバは、・・・前記顧客端末の買物アプリケーションのID若しくは店舗側が用意した店用端末のIDを前記カメラが取得し送信することにより、当該顧客端末と前記カメラとの紐付けを行い」につい て構成要件Dにおいて、「カメラ」が「顧客端末の買物アプリケーションのID若しくは店舗側が用意した店用端末のID」を「取得し送信する」ことによって、「管理サーバ」が「顧客端末と」「カメラとの紐付けを行」う構成が特定されている。しかしながら、このような構成は、発明の詳細な説明に 記載も示唆もない。したがって、本件発明は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものである。 (5) 構成要件D「前記顧客端末の買物アプリケーションのID若しくは店舗側が用意した店用端末のIDを前記カメラが取得し」について出願時の技術常識に照らしても、請求項に係る発明の範囲まで、発明の詳細 な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない場合、特許 請求の範囲の記載がサポート要件を満たさないとされる。本件明細書(【0039】には、近距離無線通信を介してIDを取得する方式しか記載がないところ、これ以外の方式を備えた構成要件Dを含む本件発明の範囲まで、発 の記載がサポート要件を満たさないとされる。本件明細書(【0039】には、近距離無線通信を介してIDを取得する方式しか記載がないところ、これ以外の方式を備えた構成要件Dを含む本件発明の範囲まで、発明の詳細な説明に記載された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。 (6) 構成要件D「前記管理サーバは、・・・、当該顧客端末と前記カメラとの 紐付けを行い」及び構成要件エ「前記カメラは、前記管理サーバにアクセスすることで撮像始動の指示を受け」について前記のとおり、構成要件D及びEによると、本件発明1は、「紐付け」及び「アクセス」の技術的な関連、そして、「紐付け」及び「アクセスすることで撮像始動の指示を受け」ることの技術的な関連が明確ではないことか ら、「紐付け」を行った後に「アクセス」が行われて「カメラ」が「撮像始動の指示を受け」る構成の他に、「紐付け」を行う前に「アクセス」が行われて「カメラ」が「撮像始動の指示を受け」る構成や、他の構成も含んでいる。したがって、「紐付け」及び「アクセス」の技術的な関連、そして、「紐付け」及び「アクセスすることで撮像始動の指示を受け」ることの技術的な 関連が明確ではない構成要件D及びEを含む本件発明は、発明の詳細な説明において発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものである。 (7) 構成要件D「前記管理サーバは、・・・、顧客が装着した顧客識別情報を前記カメラが撮像し送信すること・・・により、当該顧客端末と前記カメラ との紐付けを行い」について本件発明に関し、「管理サーバ」において、「顧客が装着した顧客識別情報」に基づいて、「当該顧客端末と前記カメラとの紐付けを行」う構成が規定されている。 本件明細書において、発明特定事項「顧客が装着した 発明に関し、「管理サーバ」において、「顧客が装着した顧客識別情報」に基づいて、「当該顧客端末と前記カメラとの紐付けを行」う構成が規定されている。 本件明細書において、発明特定事項「顧客が装着した顧客識別情報」に対 応する構成として、顧客識別のためのナンバーが記載され、顧客識別のため のナンバーが印刷される対象として、顧客識別用ブレス71が記載されている(【0025】)。発明の詳細な説明には、顧客識別用ブレス71に印刷されている顧客識別のためのナンバーに関し、顧客端末7が、顧客識別のためのナンバーを撮影し、撮影した顧客識別のためのナンバーをサーバ3に送信し、サーバ3が、顧客識別用ブレス71と顧客端末7とを関連付けする(発 明の詳細な説明において「顧客識別登録」と定義されている)構成が記載されている(図14、15、【0026】)。しかしながら、発明の詳細な説明には、カメラが顧客識別のためのナンバーを撮像する構成について、一切開示も示唆もなく、さらに、顧客端末によって撮影された顧客識別のためのナンバーに基づいて、構成要件Dに規定されるような、サーバが、カメラと顧 客端末とを紐付ける構成についても、一切開示も示唆もない。したがって、構成要件D「前記管理サーバは、・・・、顧客が装着した顧客識別情報を前記カメラが撮像し送信すること・・・により、当該顧客端末と前記カメラとの紐付けを行」う構成は、発明の詳細な説明に記載された事項ではない。 また、構成要件Dを実現する実施例についての発明の詳細な説明に関し、 顧客識別のためのナンバーを用いた場合、サーバにおいて、カメラと顧客端末とが紐付けられていないことから、サーバは、カメラから商品の情報を受信したとしても、商品を識別できたことや、商品を識別できなかったことを通知す ナンバーを用いた場合、サーバにおいて、カメラと顧客端末とが紐付けられていないことから、サーバは、カメラから商品の情報を受信したとしても、商品を識別できたことや、商品を識別できなかったことを通知する宛先である顧客端末を特定することができない。すなわち、サーバは、顧客端末に通知が行えないことから、構成要件Dを実現する発明の詳細 な説明に記載された実施例は、課題(【0003】)を解決できない。 したがって、本件発明は、発明の詳細な説明において発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものである。 (8) 構成要件D「前記管理サーバは、・・・、顧客が装着した顧客識別情報を前記カメラが撮像し送信すること・・・により、当該顧客端末と前記カメラ との紐付けを行い」及び構成要件E「前記カメラは、前記管理サーバにアク セスすることで撮像始動の指示を受け、前記買物かごに出し入れされる商品の撮像情報を前記管理サーバに送信し」について本件発明に関し、「管理サーバ」において、「顧客が装着した顧客識別情報」に基づいて、「当該顧客端末と前記カメラとの紐付けを行」う構成と、「カメラ」が「管理サーバにアクセスすることで撮像始動の指示を受け」る ことにより、「買物かごに出し入れされる商品の撮像情報を前記管理サーバに送信」する構成とが規定されている。 本件明細書において、構成要件Dにおける発明特定事項「顧客が装着した顧客識別情報」に対応する構成として、顧客識別のためのナンバーが記載され、顧客識別のためのナンバーが印刷されている対象として、顧客識別用ブ レス71が記載されている(【0025】)。発明の詳細な説明には、顧客識別用ブレス71に印刷されている顧客識別のためのナンバーに関し、顧客端末7が、顧客識 されている対象として、顧客識別用ブ レス71が記載されている(【0025】)。発明の詳細な説明には、顧客識別用ブレス71に印刷されている顧客識別のためのナンバーに関し、顧客端末7が、顧客識別のためのナンバーを撮影し、撮影した顧客識別のためのナンバーをサーバ3に送信し、サーバ3が、顧客識別用ブレス71と顧客端末7とを関連付けする(発明の詳細な説明において「顧客識別登録」と定義さ れている)構成が記載されている(図14、15、【0026】)。 しかしながら、発明の詳細な説明には、顧客端末によって撮影された顧客識別のためのナンバーに基づいて、何かしらの紐付けの処理がなされる実施例において、構成要件Eにおける「管理サーバにアクセスすることで撮像始動の指示を受け、前記買物かごに出し入れされる商品の撮像情報を前記管理 サーバに送信」する構成について、一切開示も示唆もない。 したがって、構成要件Dにおける「前記管理サーバは、・・・、顧客が装着した顧客識別情報を前記カメラが撮像し送信すること・・・により、当該顧客端末と前記カメラとの紐付けを行」った場合、構成要件Fにおけるカメラが「撮像始動の指示を受け、前記買物かごに出し入れされる商品の撮像情 報を前記管理サーバに送信」する構成は、発明の詳細な説明に記載された範 囲を超えるものである。 また、本件明細書に記載された実施例において、顧客端末によって撮影された顧客識別のためのナンバーを用いて、構成要件D及びFを実現する場合、カメラは、撮像始動の指示を受けないため、適切に商品の撮像ができないことから、商品の認識ができないことが発生しても、即座に顧客にそのこ とを知らせることができない。したがって、構成要件D及びFを実現する発明の詳細な説明に記載された実施例は、発課 撮像ができないことから、商品の認識ができないことが発生しても、即座に顧客にそのこ とを知らせることができない。したがって、構成要件D及びFを実現する発明の詳細な説明に記載された実施例は、発課題(【0003】)を解決できない。 したがって、本件発明は、発明の詳細な説明において発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものである。 (9) 構成要件D「前記管理サーバは、・・・、店舗側が用意した店用端末のIDを前記カメラが取得し送信することにより、当該顧客端末と前記カメラとの紐付けを行い」について本件発明に関し、「管理サーバ」において、「店舗側が用意した店用端末のID」に基づいて、「当該顧客端末と前記カメラとの紐付けを行」う構成が 規定されている。 本件明細書においては、「顧客端末」に相当する顧客端末7に関するIDではなく、「店舗側が用意した店用端末」に相当する店用端末15のIDに基づいて、サーバ3が、カメラ6と顧客端末7とを紐付ける構成について、一切開示も示唆もない。したがって、構成要件d「前記管理サーバ は、・・・、店舗側が用意した店用端末のIDを前記カメラが取得し送信することにより、当該顧客端末と前記カメラとの紐付けを行」う構成は、発明の詳細な説明に記載された事項ではない。 また、構成要件Dを実現する発明の詳細な説明に関し、店用端末のIDを用いた場合、サーバにおいて、カメラと顧客端末とが紐付けられていないこ とから、サーバは、カメラから商品の情報を受信したとしても、商品を識別 できたことや、商品を識別できなかったことを通知する宛先である顧客端末を特定することができない。すなわち、サーバは、顧客端末7に通知が行えないことから、構成要件Dを実現する発明の詳 識別 できたことや、商品を識別できなかったことを通知する宛先である顧客端末を特定することができない。すなわち、サーバは、顧客端末7に通知が行えないことから、構成要件Dを実現する発明の詳細な説明に記載された実施例は、課題(【0003】)を解決できない。 したがって、本件発明1は、発明の詳細な説明において発明の課題が解決 できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものである。 (10) 構成要件D「前記管理サーバは、・・・、前記顧客端末の買物アプリケーションのID若しくは店舗側が用意した店用端末のIDを前記カメラが取得し送信することにより、当該顧客端末と前記カメラとの紐付けを行い」及 び構成要件E「前記カメラは、前記管理サーバにアクセスすることで撮像始動の指示を受け、前記買物かごに出し入れされる商品の撮像情報を前記管理サーバに送信し」について本件発明に関し、「管理サーバ」において、「前記顧客端末の買物アプリケーションのID」又は「店舗側が用意した店用端末のID」に基づいて、 「当該顧客端末と前記カメラとの紐付けを行」う構成と、「カメラ」が「管理サーバにアクセスすることで撮像始動の指示を受け」ることにより、「買物かごに出し入れされる商品の撮像情報を前記管理サーバに送信」する構成とが規定されている。 本件明細書において、構成要件Dにおける発明特定事項「前記顧客端末の 買物アプリケーションのID」及び「店舗側が用意した店用端末のID」に対応する構成として、買物アプリを立ち上げた顧客端末のアプリナンバー又は顧客情報(以下、IDという)が記載されている(段落【0038】)。しかしながら、発明の詳細な説明には、買物アプリを立ち上げた顧客端末7のアプリナンバー又は顧客情報に基づいて、何かしらの ンバー又は顧客情報(以下、IDという)が記載されている(段落【0038】)。しかしながら、発明の詳細な説明には、買物アプリを立ち上げた顧客端末7のアプリナンバー又は顧客情報に基づいて、何かしらの紐付けの処理がなされ る実施例において、構成要件Eにおける「管理サーバにアクセスすることで 撮像始動の指示を受け、前記買物かごに出し入れされる商品の撮像情報を前記管理サーバに送信」する構成について、一切開示も示唆もない。したがって、本件発明が、構成要件Dにおける「前記管理サーバは、・・・、前記顧客端末の買物アプリケーションのID若しくは店舗側が用意した店用端末のIDを前記カメラが取得し送信することにより、当該顧客端末と前記カメラ との紐付けを行」った場合、構成要件Fにおけるカメラが「管理サーバにアクセスすることで撮像始動の指示を受け、前記買物かごに出し入れされる商品の撮像情報を前記管理サーバに送信」する構成は、発明の詳細な説明に記載された範囲を超えるものである。また、発明の詳細な説明に記載された実施例において、買物アプリを立ち上げた顧客端末のアプリナンバー又は顧客 情報を用いて、構成要件D及びFを実現する場合、カメラは、撮像始動の指示を受けないため、適切に商品の撮像ができないことから、商品の認識ができないことが発生しても、即座に顧客にそのことを知らせることができない。したがって、構成要件D及びFを実現する発明の詳細な説明に記載された実施例は、課題(【0003】)を解決できない。 したがって、本件発明は、発明の詳細な説明において発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものである。 3 実施可能要件違反(争点4-3)構成要件E「買物かごに出し入れされる商品の撮像情報」に関し 説明において発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものである。 3 実施可能要件違反(争点4-3)構成要件E「買物かごに出し入れされる商品の撮像情報」に関し、前記のとおり、「撮像情報」は、商品が買物かごから出されること、及び買物かごに入 れられることを検知できる情報を含むべきであるところ、特許請求の範囲の記載によると、商品が買物かごに出し入れされることを検知できる情報を示さない、商品のバーコード読取情報のみ、又は、静止画1枚や、連続で撮影されていない2以上の静止画であっても、「撮像情報」に該当することとなる。仮に、商品のバーコード読取情報のみ、又は、静止画1枚や、連続で撮影されて いない2以上の静止画が「撮像情報」に該当するとなると、そのような発明 は、商品のバーコードなどを読み取ったことを識別できるが、買物かごへの商品の出し入れを検知できない。 構成要件Eにおいて、「買物かごに出し入れされる商品の撮像情報」と特定され、「商品」は、「買物かごに出し入れされる」ことが検知されている。本件特許の発明の詳細な説明には、「撮像情報」が、商品が買物かごに出し入れさ れる情報を示さない、商品のバーコード読取情報のみ、又は、静止画1枚や、連続で撮影されていない2以上の静止画である場合に、異常状態(商品のバーコード情報の読み取りができなかったにもかかわらず商品が買い物かごに出し入れされた状態)を検知して顧客端末に通知することは不可能であり、そのような実施例の記載はない。 したがって、発明の詳細な説明は、請求項に係る発明について、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されていない。 4 乙8発明を主引用例とする新規性欠如又は進歩性欠如(争点4-4)(1) 乙8発明 、発明の詳細な説明は、請求項に係る発明について、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されていない。 4 乙8発明を主引用例とする新規性欠如又は進歩性欠如(争点4-4)(1) 乙8発明乙8号証には、次の乙8発明(なお、構成①aから構成①hを備える発明 を乙8発明1、構成①iから構成①nを備える発明を乙8発明2という。)が開示されている。 ショッピングカートに配置されたセンサが買い物中にカートに商品が出し入れされることを観察し、商品識別を実行するシステムである(要約)。システム10は、チェックアウトプロセス(小売店のレジにおける商品のスキ ャンや、支払いなどを行うプロセス)の遅延を防止するために(1頁9―15行)、ユーザのスマートフォン133と、カメラ24a、24bを備えたスマートカート12と、スマートカートサーバシステム126及び支払システムと備え、カートに配置されたシステムを介してスマートカートサーバシステム126にログオンし(図4のステップ108)、商品がカートに置か れることによって商品の識別が行われ(図4のステップ110、112)、 利用者が買物終了を示すと、購入アイテムのリストがスマートフォンに表示され(図4のステップ114)、利用者が支払を認証すると電子支払取引などが行われる(図4のステップ116)(図1、図2A、図2B,図2C、図3、図4、6頁15-34行)。 ア構成①a:スマートカートサーバシステム126及び支払いシステム は、買い物中に商品がカートに追加されると自動的に買い物リストを更新し、ショッピングプロセスの完了時に支払を実行するアプリケーションに基づき購入アイテムのリストを提示する支払いユーザインターフェースを提供し、ショッピングプロセスの完了により支払を実行す ストを更新し、ショッピングプロセスの完了時に支払を実行するアプリケーションに基づき購入アイテムのリストを提示する支払いユーザインターフェースを提供し、ショッピングプロセスの完了により支払を実行する。(要約、図1、3頁22―26行、6頁29行―7頁1行、8頁1―4行、8頁12 -18行、請求項12)イ構成①b:カメラ24a、24bは、ユーザによってバスケットに出し入れされる商品を撮像し、カメラ24a、24bを備えたスマートカート12に搭載された処理システム122とスマートカートサーバシステム126とはネットワークで接続され、通信する。(図1、図2C、6頁22 ―25行、7頁23―25行)ウ構成①c:スマートフォン132は、スマートカートサーバシステム126に接続され、アプリケーションがインストールされている。(図1、8頁1-4行、20頁9-12行)エ構成①d:スマートカートサーバシステム126は、カメラ24a、2 4bを備えたカートに搭載された処理システム122が、アプリケーションを含むシステム10におけるユーザID及びパスワードを近距離無線データ接続を介して取得して、スマートカートサーバシステム126に送信することにより、又は、カート搭載ハウジング22が備えるRFIDリーダ146が、店舗が発行した顧客IDタグに関連するユーザのIDを、近 距離無線データ接続を介して取得し、送信することにより、ユーザが許可 されたユーザであると識別されると、スマートフォン132とカートとを関連付けする。(図1、3頁15-31行、6頁15-21行、6頁22―26行、8頁4-7行、9頁1-4行、請求項13)オ構成①e:カメラ24a、24bを備えたカートに搭載された処理システム122は、スマートフォン 、3頁15-31行、6頁15-21行、6頁22―26行、8頁4-7行、9頁1-4行、請求項13)オ構成①e:カメラ24a、24bを備えたカートに搭載された処理システム122は、スマートフォン132とカートとが関連付けされるよう に、ユーザID及びパスワード、若しくはユーザのIDをスマートカートサーバシステム126に送信することで、カメラ24a、24b(画像センサ)がカートに出し入れされる商品を撮像し、撮像した情報をスマートカートサーバシステム126に送信する。(図3のステップ106及び108、6頁13-17行、6頁22-24行、7頁18―20行、7頁2 5―29行、9頁1―4行、10頁6-7行、10頁9-11行、16頁25―30行)カ構成①f:スマートカートサーバシステム126は、カメラ24a、24bが撮像した情報と、データベースに格納されている情報とから商品を識別する商品識別プロセスを実行し、商品が識別された後、カートに入れ られた商品の重量が正しい場合、商品を購入商品のリストに追加し、ユーザのレビューのために購入商品のリストがスマートフォン132に表示され、商品が識別されない場合、商品が識別されないことがユーザのスマートフォン132に通知される。(6頁1-5行、6頁29―32行、17頁7―10行、17頁15―19行、17頁27―28行、18頁4―1 3行)キ構成①g:スマートフォン132は、購入する商品の選択を完了したことを示す指示をユーザから受けると、購入商品のリストを表示し、ユーザが合計金額の電子決済取引、若しくは、店舗のクレジット口座又はデビット口座に合計金額の請求を承認すると、支払システムがユーザからの支払 を受け取り、支払を実行する。(3頁22―26行、6頁29―34行、 電子決済取引、若しくは、店舗のクレジット口座又はデビット口座に合計金額の請求を承認すると、支払システムがユーザからの支払 を受け取り、支払を実行する。(3頁22―26行、6頁29―34行、 8頁16―18行、請求項12)ク構成①h:構成①aから構成①gを備えたシステム10である。(図1など)ケ構成①i:カメラ24a、24bは、カートに装着される。(図2C)コ構成①j:カートは、購入取引/キャンセル取引、エラー条件、商品が 識別されたこと、又は、商品が識別できなかったことに応じて緑色及び赤色に点灯するライト142、144を備える。(図1、図2B、8頁29―31行、10頁25―29行、10頁33行)サ構成①k:スマートカートサーバシステム126は、スマートフォン132とカメラ24a、24bとの関連付けを行うと、カメラ24a、24 bを起動させ、カートのライト142、144が購入取引の状態/キャンセル取引の状態、エラー条件の状態、商品が識別された状態、又は、商品が識別できなかった状態に応じて点灯するように、カメラ24a、24bとの関連付けが行われた後にライト142、144を無灯化とする。(図1、図2B、6頁22―26行、8頁29―31行、10頁25―29 行、10頁33行)。 シ構成①l:スマートカートサーバシステム126は、カメラ24a、24bが撮像した情報より商品を正常に識別できないなら、カートのライトを赤色に点灯表示させる。(10頁33行)ス構成①m:スマートフォン132に表示された購入商品のリストに対し て、ユーザが合計金額の電子決済取引、若しくは、店舗のクレジット口座又はデビット口座に合計金額の請求を承認すると、支払いシステムは、ユーザからの支払いを受け取り された購入商品のリストに対し て、ユーザが合計金額の電子決済取引、若しくは、店舗のクレジット口座又はデビット口座に合計金額の請求を承認すると、支払いシステムは、ユーザからの支払いを受け取り、カートのライト142、144を購入取引の処理が成功したことを示すように緑色に点灯する。(3頁22―26行、6頁29―34行、8頁16―18行、8頁29―31行、請求項1 2) セ構成①n:構成①aから構成①h、さらに、構成①iから構成①mを備えたシステム10である。(図1など)」(2) 本件発明1と乙8発明1との対比次に述べるとおり、本件発明1と乙8発明1との間に相違点は存在しない。 したがって、本件発明1は乙8発明1と同一であり、新規性を欠き、特許法29条1項3号により、無効とされるべきものである。 万が一、本件発明1が、乙8発明1と相違していたとしても、その相違は技術的には微差又は設計事項に過ぎず、当業者であれば、乙8発明1に基づいて本件発明1に容易に想到できる。したがって、本件発明1に係る特許 は、特許法29条2項の規定により、進歩性を欠き、無効とされるべきである。 なお、本件発明及び乙8発明は、システムに関する発明であり、これらシステムが有する構成の対応関係は以下のとおりである。 本件発明1乙8発明1買物決済システムシステム10管理サーバスマートカートサーバシステム126及び支払システムカメラスマートカート12に設けられたカメラ24a、24b顧客端末スマートフォン132ア構成要件Aと構成①aとの対比 構成要件Aにおける「店舗での顧客による商品買物の決済を支援する買物アプリケーション」は、構成①aにおける「ショッピングプロセスの完了時に ォン132ア構成要件Aと構成①aとの対比 構成要件Aにおける「店舗での顧客による商品買物の決済を支援する買物アプリケーション」は、構成①aにおける「ショッピングプロセスの完了時に支払を実行するアプリケーション」に相当する。構成①aにおける「スマートカートサーバシステム126及び支払システム」は、「ショッ ピングプロセスの完了により支払を実行する」ことから、構成要件Aにおける「店舗での顧客による商品買物の決済を支援する買物アプリケーションに基づき商品代金の決済を処理する管理サーバ」は、構成①aにおける「スマートカートサーバシステム126及び支払システム」に相当する。 したがって、構成要件Aと構成①aは、一致する。 イ構成要件Bと構成①bとの対比構成要件Bにおける「顧客によって買物かごに出し入れされる商品を撮像する・・・カメラ」は、構成①bにおける「カメラ24a、24bは、ユーザによってバスケットに出し入れされる商品を撮像」する構成に相当する。構成①bにおいて、「スマートカート12に搭載された処理システ ム122」は、乙8号証の図1などに示されるとおり同じ筐体内の「カメラ24a、24b」と共同して動作することから、「処理システム122とスマートカートサーバシステム126とはネットワークで接続され、通信する」構成は、「カメラ24a、24b」と、「スマートカートサーバシステム126とはネットワークで接続され、通信する」ことと技術的に同 じである。したがって、構成要件Bにおける「前記管理サーバと通信可能なカメラ」は、構成①bにおける「カメラ24a、24bを備えたスマートカート12のカートに搭載された処理システム122とスマートカートサーバシステム126とはネットワークで接続され、通信する」 可能なカメラ」は、構成①bにおける「カメラ24a、24bを備えたスマートカート12のカートに搭載された処理システム122とスマートカートサーバシステム126とはネットワークで接続され、通信する」構成に相当する。 したがって、構成要件Bと構成①bは、一致する。 ウ構成要件Cと構成①cとの対比構成要件C「前記管理サーバにアクセスでき、前記買物アプリケーションをダウンロードした顧客の顧客端末と、を備え、」と、構成①c「スマートフォン132は、スマートカートサーバシステム126に接続され、 アプリケーションがインストールされている」とを対比すると、相違点は 存在しないことから、構成要件Cと構成①cは一致する。 エ構成要件Dと構成①dとの対比(ア) 構成①dにおける「アプリケーションを含むシステム10におけるユーザID」は、「アプリケーション」で用いられるIDであるから、本件発明1の構成要件dにおける「前記顧客端末の買物アプリケーショ ンのID」に相当する。なお、仮に、構成①dにおける「アプリケーションを含むシステム10におけるユーザID」が会員番号であったとすると、構成要件Dにおける「買物アプリケーションのID」は会員番号を含まないと解釈されることから、構成要件Dにおける「買物アプリケーションのID」は、構成①dにおける会員番号である場合の「アプリ ケーションを含むシステム10におけるユーザID」に該当しないが、構成要件Dにおける「買物アプリケーションのID」が会員番号を含むと解釈する原告の主張に基づくと、構成要件Dにおける「買物アプリケーションのID」は、構成①dにおける会員番号である場合の「アプリケーションを含むシステム10におけるユーザID」に該当する。 (イ) 構成要件D 基づくと、構成要件Dにおける「買物アプリケーションのID」は、構成①dにおける会員番号である場合の「アプリケーションを含むシステム10におけるユーザID」に該当する。 (イ) 構成要件Dにおける「店舗側が用意した店用端末」は、構成①dにおける「店舗が発行した顧客IDタグ」に相当することから、構成要件Dにおける「店舗側が用意した店用端末のID」は、構成①dにおける「店舗が発行した顧客IDタグに関連するユーザのID」に該当する。 (ウ) 構成要件Dにおける「前記顧客端末の買物アプリケーションのID 若しくは店舗側が用意した店用端末のIDを前記カメラが取得し」に関し、本件特許の発明の詳細な説明の段落【0039】の記載から、構成要件Dにおける「買物アプリケーションのID若しくは店舗側が用意した店用端末のIDを前記カメラが取得」する構成は、「カメラ」が「顧客端末」又は「店用端末」から近距離無線通信を介してIDを取得する 構成を含んでいる。 乙8発明1において、後述する「関連付け」に関し、8頁4-7行に「スマートフォン132などのユーザ移動通信装置とカートベースシステムと関連付けは、スマートフォンの通信リンク136を介して実行することができ、通信リンク136は例えばWIFI接続、Bluetooth接続、又はNFC接続の規格に従った無線接続とすることがで き、あるいは適切なUSBケーブル接続規格などを介した有線接続であってもよい」、6頁15―26行に「ユーザは、任意の適切な方法で、そのシステムに対して自分自身を識別する(ステップ108)。その任意の適切な方法は、例えば、カート搭載システムを介して、スマートフォンを介して、又は自立型カスタマーサービスステーションを介して、 ユーザID及びパスワードを使 する(ステップ108)。その任意の適切な方法は、例えば、カート搭載システムを介して、スマートフォンを介して、又は自立型カスタマーサービスステーションを介して、 ユーザID及びパスワードを使用してシステムにログオンすることや、店舗発行の磁気カード又はRFID顧客カードを提示することにより、あるいは、顔認識、指紋リーダ、虹彩リーダ、音声認識、又は生体認証の分野で知られているその他の独特の生体認証技術による直接的なユーザ認識などによって行われる。/ユーザが許可されたユーザとして識別 され、ショッピングカートがそのユーザに関連付けられると、ユーザは商品をショッピングカートに入れるだけで買い物を続行し(ステップ110)、各商品は画像センサによって撮像され、バスケットに出し入れされる物体の追跡と、商品の認識が実行される」と開示されているように、カートベースシステムは、スマートフォン132などから、Blu etooth接続、又はNFC接続の規格に従った無線接続を介して情報を取得する。 したがって、本件発明1及び乙8発明1は、「カメラ」が「顧客端末」又は「店用端末」からIDを取得する際に近距離無線通信を利用する点で一致するから、構成要件Dにおける「前記買物アプリケーション を起動した前記顧客端末からのアクセスにより前記カメラのIDが入 力・送信されること、又は、顧客が装着した顧客識別情報を前記カメラが撮像し送信すること、又は、前記顧客端末の買物アプリケーションのID若しくは店舗側が用意した店用端末のIDを前記カメラが取得し送信することにより、」のうち、「前記顧客端末の買物アプリケーションのID若しくは店舗側が用意した店用端末のIDを前記カメラが取得し送 信することにより」は、構成①dにおける「カメラ24a 得し送信することにより、」のうち、「前記顧客端末の買物アプリケーションのID若しくは店舗側が用意した店用端末のIDを前記カメラが取得し送 信することにより」は、構成①dにおける「カメラ24a、24bを備えたカートに搭載された処理システム122が、アプリケーションを含むシステム10におけるユーザID及びパスワードを近距離無線データ接続を介して取得して、スマートカートサーバシステム126に送信することにより、又は、カート搭載ハウジング22が備えるRFIDリー ダ146が、店舗が発行した顧客IDタグに関連するユーザのIDを、近距離無線データ接続を介して取得し、送信することにより」に相当する。 (エ) 構成要件Dにおける「前記管理サーバは、・・・当該顧客端末と前記カメラとの紐付けを行い、」は、構成①dにおける「スマートカートサ ーバシステム126は、・・・ユーザが許可されたユーザであると識別されると、スマートフォン132とカートとを関連付けする」に相当する。 したがって、構成要件D「前記管理サーバは、・・・前記顧客端末の買物アプリケーションのID若しくは店舗側が用意した店用端末のID を前記カメラが取得し送信することにより、当該顧客端末と前記カメラとの紐付けを行い、」は、構成①d「スマートカートサーバシステム126は、カメラ24a、24bを備えたカートに搭載された処理システム122が、アプリケーションを含むシステム10におけるユーザID及びパスワードを近距離無線データ接続を介して取得して、スマートカ ートサーバシステム126に送信することにより、又は、カート搭載ハ ウジング22が備えるRFIDリーダ146が、店舗が発行した顧客IDタグに関連するユーザのIDを、近距離無線データ接続を介して取得し ステム126に送信することにより、又は、カート搭載ハ ウジング22が備えるRFIDリーダ146が、店舗が発行した顧客IDタグに関連するユーザのIDを、近距離無線データ接続を介して取得し、送信することにより、ユーザが許可されたユーザであると識別されると、スマートフォン132とカートとを関連付けする」に相当する。 (オ) したがって、構成要件Dと構成①dは一致する。 オ構成要件Eと構成①eとの対比構成①eにおける「カメラ24a、24bを備えたカートに搭載された処理システム122は、スマートフォン132とカートとが関連付けされるように、ユーザID及びパスワード、若しくはユーザのIDをスマートカートサーバシステム126に送信することで、カメラ24a、24b (画像センサ)がカートに出し入れされる商品を撮像し」に関し、「カメラ24a、24bを備えたカートに搭載された処理システム122は、・・・ユーザID及びパスワード、若しくはユーザのIDをスマートカートサーバシステム126に送信」した後に「スマートフォン132とカートとが関連付けされ」、そして、「関連付け」されたことに応じて、 「カメラ24a、24b(画像センサ)がカートに出し入れされる商品を撮像」することを開始することから、乙8発明1において、「関連付け」により「撮像」が始動されている。 また、乙8発明1において、「関連付け」のために、「処理システム122」は、「ユーザID及びパスワード、若しくはユーザのIDをスマート カートサーバシステム126に送信」する、すなわち、「処理システム122」は、「スマートカートサーバシステム126」にアクセスしている。 したがって、構成要件Eにおける「前記カメラは、前記管理サーバにアクセスすることで撮像始動の指 る、すなわち、「処理システム122」は、「スマートカートサーバシステム126」にアクセスしている。 したがって、構成要件Eにおける「前記カメラは、前記管理サーバにアクセスすることで撮像始動の指示を受け」は、構成①e「カメラ24a、 24bを備えたカートに搭載された処理システム122は、スマートフォ ン132とカートとが関連付けされるように、ユーザID及びパスワード、若しくはユーザのIDをスマートカートサーバシステム126に送信することで、カメラ24a、24b(画像センサ)がカートに出し入れされる商品を撮像し」に相当する。 構成要件Eにおける「前記カメラは、・・・前記買物かごに出し入れさ れる商品の撮像情報を前記管理サーバに送信し」は、構成①eにおける「カメラ24a、24bを備えたカートに搭載された処理システム122は、・・・撮像した情報をスマートカートサーバシステム126に送信する」に相当する。 したがって、構成要件E及び構成①eは一致する。 カ構成要件Fと構成①fとの対比構成要件Fにおける「前記管理サーバは、前記カメラから送信された撮像情報と予め格納している商品データベースとから商品種別を識別し」は、構成①fにおける「スマートカートサーバシステム126は、カメラ24a、24bが撮像した情報と、データベースに格納されている情報と から商品を識別する商品識別プロセスを実行し」に相当する。なお、乙8号証には、構成①fにおける「商品識別プロセス」において、「カメラ24a、24bが撮像した情報」であるバーコードが商品の識別のために用いられることが開示されている(16頁25―32行)。 構成要件Fにおける「商品種別を識別し、・・・正常に識別できれば」 は、構成①fにおける「商品が識別された ーコードが商品の識別のために用いられることが開示されている(16頁25―32行)。 構成要件Fにおける「商品種別を識別し、・・・正常に識別できれば」 は、構成①fにおける「商品が識別された後、カートに入れられた商品の重量が正しい場合」に相当し、構成要件Fにおける「商品明細」は、構成①fにおける「購入商品のリスト」に相当することから、構成要件Fにおける「前記管理サーバは、前記カメラから送信された撮像情報と予め格納している商品データベースとから商品種別を識別し、正常に識別できれ ば、正常状態として前記顧客端末に商品明細を通知し」は、構成①fにお ける「スマートカートサーバシステム126は、カメラ24a、24bが撮像した情報と、データベースに格納されている情報とから商品を識別する商品識別プロセスを実行し、商品が識別された後、カートに入れられた商品の重量が正しい場合、商品を購入商品のリストに追加し、ユーザのレビューのために購入商品のリストがスマートフォン132に表示され」に 該当する。 構成要件Fにおける「正常に識別できないなら」は、構成①fにおける「商品が識別されない場合」に相当し、構成要件Fにおける「異常状態としてその旨」は、構成①fにおける「商品が識別されないこと」に相当することから、構成要件Fにおける「正常に識別できないなら異常状態とし てその旨を前記顧客端末に通知し」は、構成①fにおける「商品が識別されない場合、商品が識別されないことがユーザのスマートフォン132に通知される」に該当する。 したがって、構成要件Fと構成①fは、一致する。 キ構成要件Gと構成①gとの対比 (ア) 構成要件Gにおける「カード決済」は、構成①gにおける「電子決済取引」又は「店舗のクレジット口座又はデビット 、構成要件Fと構成①fは、一致する。 キ構成要件Gと構成①gとの対比 (ア) 構成要件Gにおける「カード決済」は、構成①gにおける「電子決済取引」又は「店舗のクレジット口座又はデビット口座」による取引に相当する。なお、構成要件Gにおける「カード決済」は、銀行口座による取引である銀行口座からのチャージを含まないと解釈されるが、構成要件Gにおける「カード決済」が銀行口座による取引である銀行口座か らのチャージを含むと解釈する原告の主張に基づくと、構成要件Gにおける「カード決済」は、銀行口座からのチャージのみに関連する場合の構成①gにおける「デビット口座」による取引に該当する。また、仮に、構成①gにおける「電子決済取引」が銀行口座による取引である銀行口座からのチャージのみであったとしても、原告の主張に基づくと、 構成要件Gにおける「カード決済」は、銀行口座からのチャージのみに 関連する構成①gにおける「電子決済取引」に該当する。 (イ) 構成要件Gにおける「買物終了後に当該顧客端末に表示された買物終了ボタンをタップすることにより」は、構成①gにおける「スマートフォン132は、購入する商品の選択を完了したことを示す指示をユーザから受けると」に相当し、構成要件Gにおける「買物商品の合計金額 が表示され」は、構成①gにおける「購入商品のリストを表示し」に相当する。構成①gにおける「購入商品のリスト」に関し、支払を行うときに購入商品の合計金額が表示されることは当然であるから、「購入商品のリスト」は、合計金額を含んでいる。 (ウ) 構成要件Gにおける「これを顧客が承認すると、その承認情報が前 記管理サーバに通知され、前記管理サーバが当該承認情報を受けると決済完了とする」は、構成①gにおける「ユーザが合 いる。 (ウ) 構成要件Gにおける「これを顧客が承認すると、その承認情報が前 記管理サーバに通知され、前記管理サーバが当該承認情報を受けると決済完了とする」は、構成①gにおける「ユーザが合計金額の電子決済取引、若しくは、店舗のクレジット口座又はデビット口座に合計金額の請求を承認すると、支払システムがユーザからの支払いを受け取り、支払を実行する」に相当する。 (エ) 構成要件Gにおける「当該顧客端末からの指示により前記管理サーバを介してカード決済を承認する会社のサーバにカード決済処理を依頼してカード決済与信を行い」に関し、その記載から、「カード決済処理」の「依頼」により「カード決済与信」が行われる。構成①gにおいて、「電子決済取引」又は「店舗のクレジット口座又はデビット口座」 を用いて支払の依頼が行われると、当然、支払を実行する前に与信は行われることから、構成①gにおける「ユーザが合計金額の電子決済取引、若しくは、店舗のクレジット口座又はデビット口座に合計金額の請求を承認すると、支払システムがユーザからの支払を受け取り、支払を実行する」は、構成要件Gにおける「当該顧客端末からの指示により前 記管理サーバを介してカード決済を承認する会社のサーバにカード決済 処理を依頼してカード決済与信を行」う構成を含んでいる。 (オ) したがって、構成要件Gと構成①gは、一致する。 ク構成要件Hと構成①hとの対比構成要件H「ことを特徴とした買物決済システム。」は、構成①h「構成①aから構成①gを備えたシステム10である」に相当するから、両者 は一致する。 (3) 本件発明2と乙8発明2(構成①aから構成①hを備える発明)との対比次に述べるとおり、本件発明2と乙8発明2との間に相違点は存在しない である」に相当するから、両者 は一致する。 (3) 本件発明2と乙8発明2(構成①aから構成①hを備える発明)との対比次に述べるとおり、本件発明2と乙8発明2との間に相違点は存在しない。 したがって、本件発明1は乙8発明1と同一であり、新規性を欠き、特許法29条1項3号により、無効とされるべきものである。 万が一、本件発明2が、乙8発明2と相違していたとしても、その相違は技術的には微差又は設計事項に過ぎず、乙8発明2に基づいて本件発明2に容易に想到できる。したがって、本件発明2に係る特許は、特許法29条2 項の規定により、進歩性を欠き、無効とされるべきである。 ア構成要件Iと構成①iとの対比構成要件I「前記カメラは、前記買物かごに装着され、」と、構成①i「カメラ24a、24bは、カートに装着される」とを対比すると、相違点は存在しないことから、構成要件I及び構成①iは一致する。 イ構成要件Jと構成①jとの対比構成要件Jにおける「正常状態か異常状態」は、構成①jにおける「購入取引/キャンセル取引、エラー条件、商品が識別されたこと、又は、商品が識別できなかった」に相当することから、構成要件Jにおける「前記買物かごは、正常状態か異常状態かに応じて複数の点灯状態で点灯する表 示灯をさらに備え」は、構成①jにおける「カートは、購入取引/キャン セル取引、エラー条件、商品が識別されたこと、又は、商品が識別できなかったことに応じて緑色及び赤色に点灯するライト142、144を備える」に該当する。したがって、構成要件Jと構成①jは、一致する。 ウ構成要件Kと構成①kとの対比構成要件Kにおける「前記管理サーバは、前記顧客端末と前記カメラと の紐付けが成されると、該当するカメラを起動さ たがって、構成要件Jと構成①jは、一致する。 ウ構成要件Kと構成①kとの対比構成要件Kにおける「前記管理サーバは、前記顧客端末と前記カメラと の紐付けが成されると、該当するカメラを起動させ」は、構成①kにおける「スマートカートサーバシステム126は、スマートフォン132とカメラ24a、24bとの関連付けを行うと、カメラ24a、24bを起動させ」に相当する。 構成要件Kにおける「前記顧客端末と前記カメラとの紐付けが成される と、該当するカメラを起動させ、かつ前記買物かごの表示灯を正常状態に点灯表示させ」るに関し、構成要件Kの「正常状態」は、乙8発明2において、「カメラ24a、24bを起動させ」、「ライト142、144」が「購入取引の状態/キャンセル取引の状態、エラー条件の状態、商品が識別された状態、又は、商品が識別できなかった状態に応じて点灯」を行え るように準備されている、「ライト142、144」が無灯火の状態に対応する。乙8発明2の構成要件k’において、「ライト142、144」が点灯される「購入取引の状態/キャンセル取引の状態、エラー条件の状態、商品が識別された状態、又は、商品が識別できなかった状態」と、それら以外の状態である「ライト142、144」が「無灯火」の状態(構 成要件Kにおける「正常状態」に相当)とは、本件発明2と同様に、区別されていることから、本件発明2と乙8発明2とを対比したときに、ライトが点灯されるか、又は無灯火であるかは、技術的には差異はない。 したがって、構成要件Kの「前記管理サーバは、前記顧客端末と前記カメラとの紐付けが成されると、該当するカメラを起動させ、かつ前記買物 かごの表示灯を正常状態に点灯表示させ、」は、構成①kの「スマートカ ートサーバシステム12 前記顧客端末と前記カメラとの紐付けが成されると、該当するカメラを起動させ、かつ前記買物 かごの表示灯を正常状態に点灯表示させ、」は、構成①kの「スマートカ ートサーバシステム126は、スマートフォン132とカメラ24a、24bとの関連付けを行うと、カメラ24a、24bを起動させ、カートのライト142、144が購入取引の状態/キャンセル取引の状態、エラー条件の状態、商品が識別された状態、又は、商品が識別できなかった状態に応じて点灯するように、カメラ24a、24bとの関連付けが行われた 後にライト142、144を無灯化とする」に相当し、構成要件Kと構成①kは一致する。 エ構成要件Lと構成①lとの対比構成要件L「前記管理サーバは、前記カメラから送信された撮像情報より商品を正常に識別できないなら、前記買物かごの表示灯を異常状態に点 灯表示させ、」と、構成①l「スマートカートサーバシステム126は、カメラ24a、24bが撮像した情報より商品を正常に識別できないなら、カートのライトを赤色に点灯表示させる」とを対比すると、相違点は存在しないことから、これらは一致する。 オ構成要件Mと構成①mとの対比 構成要件Mにおける「前記顧客端末に表示された買物商品の明細に対し顧客が承認すると」は、構成①mにおける「スマートフォン132に表示された購入商品のリストに対して、ユーザが合計金額の電子決済取引、若しくは、店舗のクレジット口座又はデビット口座に合計金額の請求を承認すると」に相当する。構成要件Mにおける「承認すると、前記管理サーバ にその情報が通知され」は、乙8発明2の構成①mにおける「承認すると、支払システムは、ユーザからの支払いを受け取り」に相当する。構成要件Mにおける「決済終了状態」は、商品の 、前記管理サーバ にその情報が通知され」は、乙8発明2の構成①mにおける「承認すると、支払システムは、ユーザからの支払いを受け取り」に相当する。構成要件Mにおける「決済終了状態」は、商品の購入取引の処理が成功したことを意味することから、構成①mにおける「購入取引の処理が成功したこと」に該当し、構成要件Mにおける「前記管理サーバは、前記買物かごの 表示灯を決済終了状態に点灯表示させる」は、構成①mにおける「支払い システムは、・・・、カートのライト142、144を購入取引の処理が成功したことを示すように緑色に点灯する」に相当する。 したがって、構成要件Mと構成①m、は一致する。 カ構成要件Mと構成①mとの対比構成要件N「ことを特徴とした請求項1に記載の買物決済システム。」 は、構成①n「構成①aから構成①h、さらに、構成①iから構成①mを備えたシステム10である」に相当するから、両者は一致する。 5 乙9発明を主引用例とする進歩性欠如(争点4-5)(1) 乙9発明乙9号証には、次の乙9発明(なお、構成②aから構成②hまでを備える 発明を乙9発明1、構成②iから構成②nまでを備える発明を乙9発明2という。)が開示されている。 乙9発明は、実店舗(104)における買物を支援する方法及びシステム100であって、ショッピングカート(108)への商品(114)の追加・除去を検出し、追加・除去された商品を識別し、ショッピングカートに 入っている商品の情報を生成する(要約、段落[0021]、段落[0066]、図1)。システム100において、顧客端末118の買物アプリケーション410により、カート108に表示されているカート108の識別子を顧客が顧客端末118のアプリケーション410に入力し、カー ]、図1)。システム100において、顧客端末118の買物アプリケーション410により、カート108に表示されているカート108の識別子を顧客が顧客端末118のアプリケーション410に入力し、カートシステム116と顧客端末118とがリンクされ(段落[0090]、[0092])、カートシステム 116は、起動信号を受信したことに応じて、カートに追加・除去された商品の映像を取得し、映像データをバックエンドシステム110に送信する(段落[0077])。バックエンドシステム110は、映像データの商品を識別し(段落[0078]、[0079])、商品の情報と商品の情報に基づく請求書とを顧客端末118に表示させ(段落[0085])、バックエンドシステム110は、顧 客が出口にいることを判定すると、支払を実行する(段落[0087]、[0088])。 ア構成②a:支払モジュール322を備えたバックエンドシステム110は、店舗での顧客による商品買物の支払を容易にする買物アプリケーション410に基づき商品代金の支払を処理する。(図3、図4、段落[0053]、[0061]、[0066])イ構成②b:カメラ202又はWi-Fiカメラは、顧客によってショッ ピングカートに追加し取り除かれる商品を撮像し、カメラ202を備えたカートシステム116又はWi-Fiカメラは、バックエンドシステム110と通信する。(図2、図3、段落[0021]、[0033]、[0034]、[0038]、[0044])ウ構成②c:買物を行う顧客の顧客装置118は、バックエンドシステム 110にアクセスでき、買物アプリケーション410がインストールされている。(図3、図4、段落[0064]、[0066])エ構成②d:バックエンドシステム110 は、バックエンドシステム 110にアクセスでき、買物アプリケーション410がインストールされている。(図3、図4、段落[0064]、[0066])エ構成②d:バックエンドシステム110は、顧客が、カートに表示されているカート識別子を読み取り、買物アプリケーション410を起動した顧客装置118にカート識別子を手入力する、又は、顧客が、顧客装置1 18の画像撮像装置416を用いて、QRコード又はバーコードの形態でカートに表示されているカート識別子を読み取ることで、顧客装置118が、手入力されたカート識別子又は画像撮像装置416が読み取ったカート識別子をバックエンドシステム110に送信することにより、カート識別子に関連するカートシステム116と顧客装置118とをリンクさせ る。さらに、バックエンドシステム110において、カートシステム116にインストールされた買物アプリケーションにより、カートシステム116がログインページを表示し、顧客が顧客装置118にもインストールされる買物アプリケーションのユーザ名及びパスワードをログインページに入力し、顧客が認証されると、顧客装置118の機能がカートシステム 116によって実行され、これにより、カートシステム116は顧客装置 118として機能する。(図2、図3、図4、図5、図6段落[0066]、[0090]、[0091]、[0092]、[00141]、[00142]、[00143])オ構成②e:カメラ202又はWi-Fiカメラを備えたカートシステム116は、セッションモジュール316を備えたバックエンドシステム110がカートシステム116とバックエンドシステム110との間に通信 経路を設定することによってショッピングセッションを確立することで、バック ョンモジュール316を備えたバックエンドシステム110がカートシステム116とバックエンドシステム110との間に通信 経路を設定することによってショッピングセッションを確立することで、バックエンドシステム110から、カメラ202の電源をオンにするためのアクティベーション信号を受け、ショッピングカートに出し入れされる商品の画像データをバックエンドシステム110に送信する。(図5のステップ504及び506、段落[0077]、段落[0093]、段落[0094]) カ構成②f:バックエンドシステム110は、カートシステム116から受信した画像データとデータベース304に保存されているストック画像とを比較し、最も一致した商品を識別し、最も一致した商品が識別された後、カート108の現在の商品の内容を顧客装置118に伝達し、商品が識別できない場合、カート108に追加されたアイテムが識別されていな いことを示すエラーメッセージを表すエラー信号を生成し、エラー信号を顧客装置118に伝達する。(段落[0083]、[0085]、[00114]、[00115])キ構成②g:顧客装置118は、カートにある商品の合計金額を表示し、支払モジュール322を備えたバックエンドシステム110は、カートが出口にあることを検出し、又はカートが出口にあることの通知を受けたこ とに応じて、顧客装置118にクレジットカードによる支払処理を開始することを通知した後、クレジットカードによる支払を実行する。(段落[00129]、[00130]、[00131]、[00133])ク構成②h:構成②aから構成②gを備えたシステム100である。(図1、段落[00136]など)」 ケ構成②i:カメラ202又はWi-Fiカメラは、カート108に装着 00133])ク構成②h:構成②aから構成②gを備えたシステム100である。(図1、段落[00136]など)」 ケ構成②i:カメラ202又はWi-Fiカメラは、カート108に装着 される。(図2、段落[0035])コ構成②j:カート108は、カートが利用不可である場合、赤色に点灯し、カートが利用できる場合、緑色に点灯し、エラーが発生している場合、青色に点灯し、及び、商品が識別できない場合、色を変更して点灯する1つ以上のライト224をさらに備えている(図2、段落[0043]、 [0080])。 サ構成②k:バックエンドシステム110は、カートシステム116と顧客装置118とをリンクさせると、カートシステム116にアクティベーション信号を伝達してカメラ202の電源をオンにし、カートシステム116が顧客装置118に正常にリンクされて使用可能であることを示すよ うに、ライトを緑色に点灯させる。(段落[0043]、[0093]、[0092]、[0094])シ構成②l:乙9発明において、バックエンドシステム110は、カメラ202又はWi-Fiカメラから送信された画像データにより商品を識別できない場合、ショッピングカートのライト224の色を変化させて点灯 する。(段落[0077]、[0079]、[0080])ス構成②m:カートが出口にあることを検出し、又はカートが出口にあることの通知を受けたことに応じて、バックエンドシステム110は、支払処理が実行中であることを示す情報が通知された場合、支払処理が実行中であることを示すように、ライト224の色を変更してライト224を点 灯させ、支払い処理が完了したことを示す情報が通知された場合、支払処理が完了したことを示すように、ライト2 支払処理が実行中であることを示すように、ライト224の色を変更してライト224を点 灯させ、支払い処理が完了したことを示す情報が通知された場合、支払処理が完了したことを示すように、ライト224の色を、支払処理が実行中であることを示す色と異なる色に変更してライト224を点灯させる。 (段落[00129]、[00130])セ構成②n:乙9発明は、構成②aから構成②h、さらに、構成②iから 構成②mを備えたシステム100である。(図1など) (2) 本件発明1と乙9発明1との対比本件発明1及び乙9発明は、システムに関する発明であり、これらシステムが有する構成の対応関係は以下のとおりである。 本件発明1乙9発明買物決済システムシステム100管理サーババックエンドシステム110カメラカートシステム116に設けられたカメラ202又はWi-Fiカメラ顧客端末顧客装置118ア構成要件Aと構成②aとの対比構成要件Aにおける「店舗での顧客による商品買物の決済を支援する買 物アプリケーション」は、構成②aにおける「店舗での顧客による商品買物の支払いを容易にする買物アプリケーション410」に相当する。 構成要件Aにおける「店舗での顧客による商品買物の決済を支援する買物アプリケーションに基づき商品代金の決済を処理する管理サーバ」は、構成②aにおける「支払モジュール322を備えたバックエンドシステム 110は、店舗での顧客による商品買物の支払を容易にする買物アプリケーション410に基づき商品代金の支払を処理する」構成に相当する。 したがって、構成要件Aと構成②aは一致する。 イ構成要件Bと構成②bとの対比構成要件Bにおける「顧客によって買物かごに出し入れされる商品 0に基づき商品代金の支払を処理する」構成に相当する。 したがって、構成要件Aと構成②aは一致する。 イ構成要件Bと構成②bとの対比構成要件Bにおける「顧客によって買物かごに出し入れされる商品を撮 像する・・・カメラ」は、構成②bにおける「カメラ202又はWi-Fiカメラは、顧客によってショッピングカートに追加し取り除かれる商品を撮像」する構成に相当し、構成要件Bにおける「前記管理サーバと通信可能なカメラ」は、構成②bにおける「カメラ202を備えたカートシス テム116又はWi-Fiカメラは、バックエンドシステム110と通信する」構成に相当することから、構成要件Bと構成②bは一致する。 ウ構成要件Cと構成②cとの対比構成要件Cにおける「前記管理サーバにアクセスでき(る)・・・顧客の顧客端末」は、構成②cにおける「買物を行う顧客の顧客装置118 は、バックエンドシステム110にアクセスでき」る構成に相当し、構成要件Cにおける「前記買物アプリケーションをダウンロードした顧客の顧客端末」は、構成②cにおける「買物を行う顧客の顧客装置118は、・・・買物アプリケーション410がインストールされている」構成に相当することから、構成要件Cと構成②cは一致する。 エ構成要件Dと構成②dとの対比(ア) 構成②dにおける「カート識別子」に関し、「カート識別子」は、カートを一意に識別する識別子であり、カートに搭載されたカメラ202はこのカートに関連付けされていることから、「カート識別子」に基づいてカメラ202を一意に識別することができるから、構成要件Dにお ける「前記カメラのID」は、構成②dにおける「カート識別子」に相当する。 したがって、構成要件Dにおける「前記買物アプリケーションを起動した前記 識別することができるから、構成要件Dにお ける「前記カメラのID」は、構成②dにおける「カート識別子」に相当する。 したがって、構成要件Dにおける「前記買物アプリケーションを起動した前記顧客端末からのアクセスにより前記カメラのIDが入力・送信されること」は、構成②dにおける「顧客が、カートに表示されている カート識別子を読み取り、買物アプリケーション410を起動した顧客装置118にカート識別子を手入力する、又は、顧客が、顧客装置118の画像撮像装置416を用いて、QRコード又はバーコードの形態でカートに表示されているカート識別子を読み取ることで、顧客装置118が、手入力されたカート識別子又は画像撮像装置416が読み取った カート識別子をバックエンドシステム110に送信すること」に相当す る。 (イ) 構成要件Dにおける「紐付けを行」う構成と、構成②dにおける「リンクさせる」構成とには技術的な差異は無いことから、構成要件Dにおける「前記管理サーバは、前記買物アプリケーションを起動した前記顧客端末からのアクセスにより前記カメラのIDが入力・送信される こと、・・・により、当該顧客端末と前記カメラとの紐付けを行い、」は、構成②dにおける「バックエンドシステム110は、顧客が、カートに表示されているカート識別子を読み取り、買物アプリケーション410を起動した顧客装置118にカート識別子を手入力する、又は、顧客が、顧客装置118の画像撮像装置416を用いて、QRコード又は バーコードの形態でカートに表示されているカート識別子を読み取ることで、顧客装置118が、手入力されたカート識別子又は画像撮像装置416が読み取ったカート識別子をバックエンドシステム110に送信することにより、カート識別子に関連す ているカート識別子を読み取ることで、顧客装置118が、手入力されたカート識別子又は画像撮像装置416が読み取ったカート識別子をバックエンドシステム110に送信することにより、カート識別子に関連するカートシステム116と顧客装置118とをリンクさせる」に相当する。 (ウ) 構成要件Dにおける「前記顧客端末の買物アプリケーションのID」に関し、構成②dにおける「買物アプリケーションのユーザ名」は、「買物アプリケーション」において一意であり、「買物アプリケーション」は、「カートシステム116にインストールされ」、「顧客装置118にもインストールされ」ることから、「カートシステム116」及 び「顧客装置118」の「買物アプリケーション」において、一意に識別されるIDである。したがって、構成要件Dにおける「前記顧客端末の買物アプリケーションのID」は、「顧客が顧客装置118にもインストールされる買物アプリケーションのユーザ名」に相当する。なお、仮に、構成要件Dにおける「買物アプリケーションのユーザ名」が会員 番号であったとすると、構成要件Dにおける「買物アプリケーションの ID」は会員番号を含まないと解釈されることから、構成要件Dにおける「買物アプリケーションのID」は構成②dにおける会員番号である場合の「買物アプリケーションのユーザ名」に該当しないが、構成要件Dにおける「買物アプリケーションのID」が会員番号を含むと解釈する原告の主張に基づくと、構成要件Dにおける「買物アプリケーション のID」は、構成②dにおける会員番号である場合の「買物アプリケーションのユーザ名」に該当する。 したがって、構成要件Dにおける「アプリケーションのID・・・を前記カメラが取得し送信することにより」は、構成②dにおける「 ける会員番号である場合の「買物アプリケーションのユーザ名」に該当する。 したがって、構成要件Dにおける「アプリケーションのID・・・を前記カメラが取得し送信することにより」は、構成②dにおける「カートシステム116にインストールされた買物アプリケーションにより、 カートシステム116がログインページを表示し、顧客が顧客装置118にもインストールされる買物アプリケーションのユーザ名及びパスワードをログインページに入力し、顧客が認証されると」に相当する。また、構成②dにおける「顧客装置118の機能がカートシステム116によって実行され」に関し、構成②dにおいて、「顧客装置118」と 「カートシステム116」との間で紐付けが行われているからこそ、「顧客装置118の機能がカートシステム116によって実行され」る。したがって、構成要件Dにおける「当該顧客端末と前記カメラとの紐付けを行い」は、乙9発明1の構成②dにおける「顧客装置118の機能がカートシステム116によって実行され」るに相当する。 よって、構成要件Dにおける「前記管理サーバは、・・・前記顧客端末の買物アプリケーションのID若しくは店舗側が用意した店用端末のIDを前記カメラが取得し送信することにより、当該顧客端末と前記カメラとの紐付けを行い」は、構成②dにおける「カートシステム116にインストールされた買物アプリケーションにより、カートシステム1 16がログインページを表示し、顧客が顧客装置118にもインストー ルされる買物アプリケーションのユーザ名及びパスワードをログインページに入力し、顧客が認証されると、顧客装置118の機能がカートシステム116によって実行され」るに相当する。また、構成②dにおいて、「顧客装置118の機能がカートシステ 及びパスワードをログインページに入力し、顧客が認証されると、顧客装置118の機能がカートシステム116によって実行され」るに相当する。また、構成②dにおいて、「顧客装置118の機能がカートシステム116によって実行され」ることによって、「カートシステム116は顧客装置118として 機能する」。 (エ) したがって、構成要件D「前記管理サーバは、前記買物アプリケーションを起動した前記顧客端末からのアクセスにより前記カメラのIDが入力・送信されること、・・・、又は、前記顧客端末の買物アプリケーションのID若しくは店舗側が用意した店用端末のIDを前記カメラ が取得し送信することにより、当該顧客端末と前記カメラとの紐付けを行い」は、構成②d「バックエンドシステム110は、顧客が、カートに表示されているカート識別子を読み取り、買物アプリケーション410を起動した顧客装置118にカート識別子を手入力する、又は、顧客が、顧客装置118の画像撮像装置416を用いて、QRコード又はバ ーコードの形態でカートに表示されているカート識別子を読み取ることで、顧客装置118が、手入力されたカート識別子又は画像撮像装置416が読み取ったカート識別子をバックエンドシステム110に送信することにより、カート識別子に関連するカートシステム116と顧客装置118とをリンクさせる。さらに、バックエンドシステム110にお いて、カートシステム116にインストールされた買物アプリケーションにより、カートシステム116がログインページを表示し、顧客が顧客装置118にもインストールされる買物アプリケーションのユーザ名及びパスワードをログインページに入力し、顧客が認証されると、顧客装置118の機能がカートシステム116によって実行され、これによ 置118にもインストールされる買物アプリケーションのユーザ名及びパスワードをログインページに入力し、顧客が認証されると、顧客装置118の機能がカートシステム116によって実行され、これによ り、カートシステム116は顧客装置118として機能する」に相当す る。 (オ) したがって、構成要件Dと構成②dは、一致する。 オ構成要件Eと構成②eとの対比構成②eにおける「バックエンドシステム110がカートシステム116とバックエンドシステム110との間に通信経路を設定する」に関し、 「カートシステム116」及び「バックエンドシステム110」は、互いに通信することによって、「カートシステム116とバックエンドシステム110との間に通信経路」が設定される。「カートシステム116」が「バックエンドシステム110」に通信を行う場合、「カートシステム116」が「バックエンドシステム110」にアクセスするから、構成要件 Eにおける「前記カメラは、前記管理サーバにアクセスする」は、構成②eにおける「バックエンドシステム110がカートシステム116とバックエンドシステム110との間に通信経路を設定する」に相当する。 構成要件Eにおける「撮像始動の指示」は、構成②eにおける「カメラ202の電源をオンにするためのアクティベーション信号」に相当し、構 成要件Eにおける「前記買物かごに出し入れされる商品の撮像情報を前記管理サーバに送信し」は、構成②eにおける「ショッピングカートに出し入れされる商品の画像データをバックエンドシステム110に送信する」に相当することから、構成要件E「前記カメラは、前記管理サーバにアクセスすることで撮像始動の指示を受け、前記買物かごに出し入れされる商 品の撮像情報を前記管理サーバに送信し」 10に送信する」に相当することから、構成要件E「前記カメラは、前記管理サーバにアクセスすることで撮像始動の指示を受け、前記買物かごに出し入れされる商 品の撮像情報を前記管理サーバに送信し」は、構成②e「カメラ202又はWi-Fiカメラを備えたカートシステム116は、セッションモジュール316を備えたバックエンドシステム110がカートシステム116とバックエンドシステム110との間に通信経路を設定することによってショッピングセッションを確立することで、バックエンドシステム110 から、カメラ202の電源をオンにするためのアクティベーション信号を 受け、ショッピングカートに出し入れされる商品の画像データをバックエンドシステム110に送信する」に相当する。 したがって、構成要件Eと構成②eは、一致する。 カ構成要件Fと構成①fとの対比構成要件Fにおける「前記管理サーバは、前記カメラから送信された撮 像情報と予め格納している商品データベースとから商品種別を識別し」は、構成②fにおける「バックエンドシステム110は、カートシステム116から受信した画像データとデータベース304に保存されているストック画像とを比較し、最も一致した商品を識別し」に相当し、また、構成要件Fにおける「正常に識別できれば、正常状態として前記顧客端末に 商品明細を通知し」は、構成②fにおける「最も一致した商品が識別された後、カート108の現在の商品の内容を顧客装置118に伝達し」に相当し、さらに、構成要件Fにおける「正常に識別できないなら異常状態としてその旨を前記顧客端末に通知し」は、構成②fにおける「商品が識別できない場合、カート108に追加されたアイテムが識別されていないこ とを示すエラーメッセージを表すエラー信号を生 異常状態としてその旨を前記顧客端末に通知し」は、構成②fにおける「商品が識別できない場合、カート108に追加されたアイテムが識別されていないこ とを示すエラーメッセージを表すエラー信号を生成し、エラー信号を顧客装置118に伝達する」に相当する。 したがって、構成要件Fと構成②fは一致する。 キ構成要件Gと構成①gとの対比構成要件Gにおける「カード決済」は、構成②gにおける「クレジット カードによる支払」に相当し、構成要件Gにおける「買物商品の合計金額が表示され」は、構成②gにおける「顧客装置118は、カートにある商品の合計金額を表示し」に相当する。構成要件Gにおける「決済完了とする」は、構成②gにおける「顧客装置118にクレジットカードによる支払処理を開始することを通知した後、クレジットカードによる支払を実行 する」に相当する。 構成要件Gにおける「前記管理サーバを介してカード決済を承認する会社のサーバにカード決済処理を依頼してカード決済与信を行い」に関し、その記載から、「カード決済処理」の依頼により「カード決済与信」が行われる。構成②gにおいて、「クレジットカード」を用いて支払が行われると、当然、支払を実行する前に与信は行われることから、構成②gにお ける「顧客装置118にクレジットカードによる支払処理を開始することを通知した後、クレジットカードによる支払を実行する」は、構成要件Gにおける「前記管理サーバを介してカード決済を承認する会社のサーバにカード決済処理を依頼してカード決済与信を行」う構成を含んでいる。 構成要件Gにおける「買物終了後に当該顧客端末に表示された買物終了 ボタンをタップすることにより買物商品の合計金額が表示され、これを顧客が承認すると、その承認情報が前記管理サ を含んでいる。 構成要件Gにおける「買物終了後に当該顧客端末に表示された買物終了 ボタンをタップすることにより買物商品の合計金額が表示され、これを顧客が承認すると、その承認情報が前記管理サーバに通知され、前記管理サーバが当該承認情報を受けると決済完了とする」に関し、乙9発明1では、構成②gとして「支払モジュール322を備えたバックエンドシステム110は、カートが出口にあることを検出し、又はカートが出口にある ことの通知を受けたことに応じて、顧客装置118にクレジットカードによる支払処理を開始することを通知した後、クレジットカードによる支払を実行する」。本件発明1は、「顧客端末」が顧客に「買物終了ボタン」の「タップ」及び「承認」を行わせることによって、「決済完了」が実現されるのに対し、乙9発明1は、「バックエンドシステム110」が「カー トが出口にあることを検出し、又はカートが出口にあることの通知を受けたことに応じて」「クレジットカードによる支払を実行する」ことから、本件発明1では、「決済」の処理が「顧客端末」の操作によって実行されるのに対して、乙9発明1では、本件発明1の「決済」に相当する「クレジットカードによる支払」が「カートが出口にあること」に応じて実行さ れる点で相違する。 ク構成要件Hと構成①hとの対比構成要件H「ことを特徴とした買物決済システム。」は、構成②h「構成②aから構成②gを備えたシステム100である」に相当するから、両者は一致する。 (3) 構成要件Gにかかる相違点の検討 上記のとおり、乙8号証は、乙8発明の構成①gを開示しているところ、乙8発明と乙9発明は店舗における買物システムという点で関連し、技術分野を共通にしており、両発明が解決しようとする課題は、繁忙 上記のとおり、乙8号証は、乙8発明の構成①gを開示しているところ、乙8発明と乙9発明は店舗における買物システムという点で関連し、技術分野を共通にしており、両発明が解決しようとする課題は、繁忙時のスーパーマーケットなどにおけるレジの混雑を解消することであり、同じである(乙8発明につき、1頁12-14行。乙9発明につき、段落[0003](1頁13 -15行))。 したがって、乙8発明1及び乙9発明1は、同じ技術分野であり、同じ課題を有していることから、乙8発明1を乙9発明1に用いることについて動機付けが存在している。したがって、当業者であれば、乙9発明1の構成②gを、乙8発明1の構成①gに置き換える、又は、乙9発明1の構成②要件 gの一部の要素を乙8発明1の構成①gの対応する一部の要素に置き換えることは容易であって、乙9発明1及び乙8発明1に基づいて本件発明1に容易に想到できる。 したがって、本件発明1に係る特許は、特許法29条2項の規定により、進歩性を欠き、無効とされるべきである。 (4) 本件発明2と乙9発明2との対比ア構成要件Iと構成②iとの対比構成要件I「前記カメラは、前記買物かごに装着され、」と、の構成②i「カメラ202又はWi-Fiカメラは、カート108に装着される」とを対比すると、相違点は存在しないことから、構成要件Iと構成②i は、一致する。 イ構成要件Jと構成②jとの対比構成要件Jにおける「正常状態か異常状態か」は、構成②jにおける「カートが利用不可である場合」、「カートが利用できる場合」、「エラーが発生している場合」及び「商品が識別できない場合」に相当することから、構成要件J「前記買物かごは、正常状態か異常状態かに応じて複数の 点灯状態で点灯する表示 カートが利用できる場合」、「エラーが発生している場合」及び「商品が識別できない場合」に相当することから、構成要件J「前記買物かごは、正常状態か異常状態かに応じて複数の 点灯状態で点灯する表示灯をさらに備え」は、構成②j「カート108は、カートが利用不可である場合、赤色に点灯し、カートが利用できる場合、緑色に点灯し、エラーが発生している場合、青色に点灯し、及び、商品が識別できない場合、色を変更して点灯する1つ以上のライト224をさらに備えている」に該当する。 したがって、構成要件Jと構成②jは、一致する。 ウ構成要件Kと構成②kとの対比構成要件Kにおける「前記管理サーバは、前記顧客端末と前記カメラとの紐付けが成されると、該当するカメラを起動させ」は、構成②kにおける「バックエンドシステム110は、カートシステム116と顧客装置1 18とをリンクさせると、カートシステム116にアクティベーション信号を伝達してカメラ202の電源をオンにし」に相当する。 構成要件Kにおける「正常状態」は、構成②kにおける「カートシステム116が顧客装置118に正常にリンクされて使用可能であること」に相当することから、構成要件Kにおける「前記管理サーバは、・・・、か つ前記買物かごの表示灯を正常状態に点灯表示させ、」は、構成②kにおける「バックエンドシステム110は、・・・カートシステム116が顧客装置118に正常にリンクされて使用可能であることを示すように、ライトを緑色に点灯させる」に相当する。 したがって、構成要件Kと構成②kは、一致する。 エ構成要件Lと構成②lとの対比 構成要件L「前記管理サーバは、前記カメラから送信された撮像情報より商品を正常に識別できないなら、前記買物かごの表示灯を異常状態 、一致する。 エ構成要件Lと構成②lとの対比 構成要件L「前記管理サーバは、前記カメラから送信された撮像情報より商品を正常に識別できないなら、前記買物かごの表示灯を異常状態に点灯表示させ、」と、構成②l「バックエンドシステム110は、カメラ202又はWi-Fiカメラから送信された画像データにより商品を識別できない場合、ショッピングカートのライト224の色を変化させて点灯す る」とを対比すると、相違点は存在しないことから、これらは一致する。 オ構成要件Mと構成②mとの対比構成要件Mにおける「前記管理サーバにその情報が通知され」は、構成②mにおける「支払処理が実行中であることを示す情報され」又は「支払処理が完了したことを示す情報が通知され」に相当することから、構成要 件Mにおける「前記管理サーバにその情報が通知され、前記管理サーバは、前記買物かごの表示灯を決済終了状態に点灯表示させる」は、構成②mにおける「バックエンドシステム110は、支払処理が実行中であることを示す情報が通知された場合、支払処理が実行中であることを示すように、ライト224の色を変更してライト224を点灯させ、支払処理が完 了したことを示す情報が通知された場合、支払処理が完了したことを示すように、ライト224の色を、支払処理が実行中であることを示す色と異なる色に変更してライト224を点灯させる」に相当する。 構成要件Mにおいて、「前記顧客端末に表示された買物商品の明細に対し顧客が承認すると」、「点灯表示させる」のに対し、構成②mにおいて、 「カートが出口にあることを検出し、又はカートが出口にあることの通知を受けたことに応じて」、「点灯させる」ことから、本件発明2では、「点灯」の処理が「顧客端末」の処理に応じて実行され いて、 「カートが出口にあることを検出し、又はカートが出口にあることの通知を受けたことに応じて」、「点灯させる」ことから、本件発明2では、「点灯」の処理が「顧客端末」の処理に応じて実行されるのに対して、乙9発明2では、「点灯」の処理が「カートが出口にあることを検出し、又はカートが出口にあることの通知を受けたことに応じて」、実行される点で相 違する。 カ構成要件Nと構成②nとの対比構成要件N「ことを特徴とした請求項1に記載の買物決済システム。」は、構成②n「構成②aから構成②h、さらに、構成②iから構成②mを備えたシステム100である」に相当するから、両者は一致する。 (5) 構成要件Mにかかる相違点の検討 上記のとおり、乙8号証は、乙8発明の構成①mを開示しているところ、前記と同様の事情が該当するから、乙8発明1を乙9発明1に用いることについて動機付けが存在している。 したがって、当業者であれば、乙9発明1の構成②mを、乙8発明1の構成①mに置き換える、又は、乙9発明1の構成②要件mの一部の要素を乙8 発明1の構成①mの対応する一部の要素に置き換えることは容易であって、乙9発明1及び乙8発明1に基づいて本件発明1に容易に想到できる。 したがって、本件発明2に係る特許は、特許法29条2項の規定により、進歩性を欠き、無効とされるべきである。 6 乙10発明を主引用例とする進歩性欠如(争点4-6) (1) 乙10発明乙10号証には、次の乙10発明が開示されている。 乙10発明は、小売店において、顧客の操作により、購入予定とする商品の登録が確実にできるようにするためのシステムである。システムにおいて、クリップ端末管理サーバ20Bを介して電子機器30とクリップ端末5 0とが接 おいて、顧客の操作により、購入予定とする商品の登録が確実にできるようにするためのシステムである。システムにおいて、クリップ端末管理サーバ20Bを介して電子機器30とクリップ端末5 0とが接続され、接続により商品検出処理が開始され(図5Act11、図6Act41、段落【0039】、【0040】)、顧客の電子機器30が商品のバーコードを読み取り(図5Act12、段落【0042】)、カートに配置されたカメラを有するクリップ端末50(電子機器50)は、商品がカートに入れられたことを検出すると、商品の画像を撮像し、撮像した情報と商 品辞書データとに基づいて、商品を識別し(図6Act52、段落【004 9】、【0054】、【0055】)、顧客による電子機器30の操作によって、決済情報が生成される(図5Act26、段落【0071】)。 ア構成③a:決済システム10Cを含むシステム10及びクリップ端末管理サーバ20Bは、小売店での顧客による商品買物の決済を支援するチェックプログラムを含むアプリケーションプログラムに基づき、買上商品の 決済処理を実行する(図2、段落【0008】、段落【0009】、段落【0010】、段落【0014】、段落【0016】、段落【0035】、段落【0071】)。 イ構成③b:クリップ端末50(電子機器50)に設けられたカメラ50Eは、顧客によってカート60に出し入れされる商品を撮影し、カメラ5 0Eを備えたクリップ端末50は、クリップ端末管理サーバ20Bと通信する。(図2、図3、図10、段落【0015】、段落【0022】、段落【0030】、段落【0031】、段落【0032】、段落【0049】、段落【0050】)ウ構成③c:電子機器30は、クリップ端末管理サーバ20Bにアクセス 015】、段落【0022】、段落【0030】、段落【0031】、段落【0032】、段落【0049】、段落【0050】)ウ構成③c:電子機器30は、クリップ端末管理サーバ20Bにアクセス でき、チェックプログラムを含むアプリケーションプログラムを起動させる。(図2、段落【0015】、段落【0035】)エ構成③d:クリップ端末管理サーバ20Bは、チェックプログラムを含むアプリケーションプログラムを起動した電子機器30に、クリップ端末50の固有コードを読み取らせて、電子機器30からクリップ端末管理サ ーバ20Bに送信することによって、所定の電子機器30と所定のクリップ端末50とを判別し、電子機器30とクリップ端末50との間でクリップ端末管理サーバ20Bを介して通信ができるようにする。(段落【0039】、段落【0039】、図5のAct11、図6のAct40)オ構成③e:カメラ50Eを備えたクリップ端末50は、電子機器30と クリップ端末50とがクリップ端末管理サーバ20Bを介して接続される と、カメラ50Eにより撮影された画像から商品に相当するオブジェクトを検出する処理である商品検出処理を開始する。(段落【0039】、段落【0040】、図6のAct540及びAct41)カ構成③f:109発明1において、カメラ50Eを備えたクリップ端末50は、カメラ50Eが撮影した画像と予め記憶している商品辞書データ とから商品を判別し、商品が判別された場合、電子機器30に商品リストを表示させ、判別されなかった場合、顧客に対して商品を登録することを促す商品登録要求メッセージを、電子機器30のタッチパネル30Dに表示させる。(段落【0040】、段落【0045】、段落【0054】、段落【0055】、段落【00 、顧客に対して商品を登録することを促す商品登録要求メッセージを、電子機器30のタッチパネル30Dに表示させる。(段落【0040】、段落【0045】、段落【0054】、段落【0055】、段落【0056】、段落【0061】、段落【0071】、図 6のAct540及びAct41)キ構成③g:電子機器30は、商品について登録処理が完了すると顧客による小計ボタンの操作により、商品の確認画面(商品リスト)を表示し、決済方法(クレジット、現金、口座引き落とし、電子マネーなど)を顧客に指定させ、決済方法が指定されたことに応じて、商品の情報をもとに決 済情報を生成する。決済システム10Cは、決済情報に基づいて決済処理を実行する。(段落【0010】、段落【0071】)ク構成③h:構成③aから構成③gを備えたシステムである。(図1、図2など)ケなお、乙10号証には、カートに設けられる表示灯に関する構成につい て、すなわち、本件発明2の構成要件IからNに対応する構成については開示がない。 (2) 本件発明1と乙10発明1との対比本件発明1及び乙10発明1は、システムに関する発明であり、これらシステムが有する構成の対応関係は以下のとおりである。 本件発明1乙10発明買物決済システムシステム管理サーバ決済システム10Cを含むシステム10及びクリップ端末管理サーバ20Bカメラクリップ端末50(電子機器50)に設けられたカメラ50E顧客端末電子機器30ア構成要件Aと構成③aとの対比構成要件Aにおける「店舗での顧客による商品買物の決済を支援する買物アプリケーション」は、構成③aにおける「小売店での顧客による商品買物の決済を支援するチェックプログ 構成要件Aと構成③aとの対比構成要件Aにおける「店舗での顧客による商品買物の決済を支援する買物アプリケーション」は、構成③aにおける「小売店での顧客による商品買物の決済を支援するチェックプログラムを含むアプリケーションプログラム」に相当する。 構成要件Aにおける「店舗での顧客による商品買物の決済を支援する買物アプリケーションに基づき商品代金の決済を処理する管理サーバ」は、構成③aにおける「決済システム10Cを含むシステム10及びクリップ端末管理サーバ20Bは、小売店での顧客による商品買物の決済を支援するチェックプログラムを含むアプリケーションプログラムに基づき、買上 商品の決済処理を実行する」構成に相当する。 したがって、構成要件Aと構成③aは一致する。 イ構成要件Bと構成③bとの対比構成要件Bにおける「顧客によって買物かごに出し入れされる商品を撮像する・・・カメラ」は、構成③bにおける「クリップ端末50(電子機 器50)に設けられたカメラ50Eは、顧客によってカート60に出し入れされる商品を撮影」する構成に相当し、構成要件Bにおける「前記管理サーバと通信可能なカメラ」は、構成③bにおける「カメラ50Eを備えたクリップ端末50は、クリップ端末管理サーバ20Bと通信する」構成 に相当することから、構成要件B乙と構成③bは一致する。 ウ構成要件Cと構成③cとの対比構成要件Cにおける「前記管理サーバにアクセスでき(る)・・・顧客の顧客端末」は、構成③cにおける「電子機器30は、クリップ端末管理サーバ20Bにアクセスでき」る構成に相当する。構成③cにおける「電 子機器30は、・・・チェックプログラムを含むアプリケーションプログラムを起動させる」に関し、電子機器30がアプリケーションプログラム 0Bにアクセスでき」る構成に相当する。構成③cにおける「電 子機器30は、・・・チェックプログラムを含むアプリケーションプログラムを起動させる」に関し、電子機器30がアプリケーションプログラムを起動できることから、アプリケーションプログラムは電子機器30にダウンロードされているといえる。したがって、構成要件Cにおける「前記買物アプリケーションをダウンロードした顧客の顧客端末」は、構成③c における「電子機器30は、・・・チェックプログラムを含むアプリケーションプログラムを起動させる」構成に相当する。よって、構成要件Cと構成③cは一致する。 エ構成要件Dと構成③dとの対比構成③dにおける「クリップ端末50の固有コード」は、クリップ端末 50に固有に与えられたコードであるから、「クリップ端末50の固有コード」により、クリップ端末50が備えるカメラ50Eを一意に識別することができる。したがって、構成要件Dにおける「カメラのID」は、構成③dにおける「クリップ端末50の固有コード」に相当する。 構成要件Dにおける「買物アプリケーションを起動した前記顧客端末か らのアクセスにより前記カメラのIDが入力・送信されること」は、構成③dにおける「チェックプログラムを含むアプリケーションプログラムを起動した電子機器30に、クリップ端末50の固有コードを読み取らせて、電子機器30からクリップ端末管理サーバ20Bに送信すること」に相当する。 構成要件Dにおける「当該顧客端末と前記カメラとの紐付けを行い」 は、「顧客端末」と「カメラ」とが通信を行えるようにする技術的意義も含んでいることから、構成③dにおける「電子機器30とクリップ端末50との間でクリップ端末管理サーバ20Bを介して通信ができるようにする」 客端末」と「カメラ」とが通信を行えるようにする技術的意義も含んでいることから、構成③dにおける「電子機器30とクリップ端末50との間でクリップ端末管理サーバ20Bを介して通信ができるようにする」に相当する。 したがって、構成要件D「前記管理サーバは、前記買物アプリケーショ ンを起動した前記顧客端末からのアクセスにより前記カメラのIDが入力・送信されること・・・により、当該顧客端末と前記カメラとの紐付けを行い」は、構成③d「クリップ端末管理サーバ20Bは、チェックプログラムを含むアプリケーションプログラムを起動した電子機器30に、クリップ端末50の固有コードを読み取らせて、電子機器30からクリップ 端末管理サーバ20Bに送信することによって、所定の電子機器30と所定のクリップ端末50とを判別し、電子機器30とクリップ端末50との間でクリップ端末管理サーバ20Bを介して通信ができるようにする」に相当する。 よって、構成要件Dと構成③dは、一致する。 オ構成要件Eと構成③eとの対比構成③eにおける「電子機器30とクリップ端末50とがクリップ端末管理サーバ20Bを介して接続される」に関し、「クリップ端末50」は、「クリップ端末管理サーバ20B」を介して「電子機器30」に接続されることから、クリップ端末50は、クリップ端末管理サーバ20Bに アクセスしているといえる。したがって、構成要件Eにおける「前記カメラは、前記管理サーバにアクセスすることで」は、乙10発明1の構成要件e’’’における「カメラ50Eを備えたクリップ端末50は、電子機器30とクリップ端末50とがクリップ端末管理サーバ20Bを介して接続されると」に相当する。 構成③eにおける「カメラ50Eにより撮影された画像から商品に相当 プ端末50は、電子機器30とクリップ端末50とがクリップ端末管理サーバ20Bを介して接続されると」に相当する。 構成③eにおける「カメラ50Eにより撮影された画像から商品に相当 するオブジェクトを検出する処理である商品検出処理を開始する」に関し、「商品検出処理を」実行するために、「カメラ50E」による「撮影」が開始される必要があるから、「商品検出処理を開始する」は、「カメラ50E」による「撮影」の開始を含む。したがって、構成要件Eにおける「前記カメラは、前記管理サーバにアクセスすることで撮像始動の指示を 受け」は、構成③eにおける「カメラ50Eを備えたクリップ端末50は、電子機器30とクリップ端末50とがクリップ端末管理サーバ20Bを介して接続されると、カメラ50Eにより撮影された画像から商品に相当するオブジェクトを検出する処理である商品検出処理を開始する」に相当する。 構成要件Eにおける「前記カメラは、・・・前記買物かごに出し入れされる商品の撮像情報を前記管理サーバに送信し」に関し、本件発明1において、「カメラは」、「撮像情報を前記管理サーバに送信」するのに対し、乙10発明1において、「カメラ50E」は、撮影した画像を送信しない。したがって、乙10発明1は、本件発明1とは、「撮像情報を前記管 理サーバに送信」する点で相違する。 カ構成要件Fと構成③fとの対比構成要件Fにおける「撮像情報」及び「予め格納している商品データベース」は、それぞれ、構成③fにおける「カメラ50Eが撮影した画像」及び「予め記憶している商品辞書データ」に相当する。 構成要件Fにおける「撮像情報と予め格納している商品データベースとから商品種別を識別し、正常に識別できれば、正常状態として前記顧客端末に商品明 予め記憶している商品辞書データ」に相当する。 構成要件Fにおける「撮像情報と予め格納している商品データベースとから商品種別を識別し、正常に識別できれば、正常状態として前記顧客端末に商品明細を通知し」は、構成③fにおける「カメラ50Eが撮影した画像と予め記憶している商品辞書データとから商品を判別し、商品が判別された場合、電子機器30に商品リストを表示させ」に相当し、構成要件 Fにおける「正常に識別できないなら異常状態としてその旨を前記顧客端 末に通知し」は、構成③fにおける「判別されなかった場合、顧客に対して商品を登録することを促す商品登録要求メッセージを、電子機器30のタッチパネル30Dに表示させる」に相当する。 構成要件Fにおける「商品種別を識別」する構成に関し、本件発明1では、「商品種別を識別」する主体は「管理サーバ」であるのに対し、乙1 0発明1では、本件発明1の「商品種別を識別」するに相当する「商品を判別」する処理の主体は、本件発明1の「管理サーバ」に相当する「クリップ端末管理サーバ20B」ではなく、「クリップ端末50」である。したがって、乙10発明は、本件発明1とは、「商品種別を識別」する主体が「管理サーバ」では無い点で相違する。 キ構成要件Gと構成③gとの対比構成要件Gにおける「買物終了後に当該顧客端末に表示された買物終了ボタンをタップすることにより」は、構成③gにおける「商品について登録処理が完了すると顧客による小計ボタンの操作により」に相当する。 構成③gにおける「商品の確認画面(商品リスト)を表示し」に関し、 買物で決済を行うための「商品の確認画面」を表示する際に、買物の合計金額を表示することは当然されるはずである。したがって、乙10発明1において、「商品の確認画 商品リスト)を表示し」に関し、 買物で決済を行うための「商品の確認画面」を表示する際に、買物の合計金額を表示することは当然されるはずである。したがって、乙10発明1において、「商品の確認画面」に表示される情報が合計金額を含んでいることは、乙10号証に開示されているに等しい事項であるから、構成要件Gにおける「買物商品の合計金額が表示され」は、構成③gにおける「商 品の確認画面(商品リスト)を表示し」に相当する。 構成③gにおける「決済方法(クレジット、現金、口座引き落とし、電子マネーなど)を顧客に指定させ、決済方法が指定されたことに応じて、商品の情報をもとに決済情報を生成する」に関し、「決済方法」が「指定」されると、「決済情報」が「生成」されることから、「決済方法」の 「指定」により決済が実行される。決済が実行されることを許可すること は、決済を承認することと同じである。したがって、構成要件Gにおける「買物商品の合計金額が表示され、これを顧客が承認すると」は、構成③gにおける「決済方法(クレジット、現金、口座引き落とし、電子マネーなど)を顧客に指定させ」に相当する。 構成③gにおける「決済システム10Cは、決済情報に基づいて決済処 理を実行する」に関し、「決済情報」は、「電子機器30」において「生成」されることから、乙10号証において、「電子機器30」にて「生成」された「決済情報」が、「決済処理を実行する」「決済システム10C」に「電子機器30」から通知されることは、乙10号証に開示されているに等しい事項である。したがって、構成要件Gにおける「その承認情 報が前記管理サーバに通知され、前記管理サーバが当該承認情報を受けると決済完了とする」は、構成③gにおける「決済システム10Cは、決済情報に ある。したがって、構成要件Gにおける「その承認情 報が前記管理サーバに通知され、前記管理サーバが当該承認情報を受けると決済完了とする」は、構成③gにおける「決済システム10Cは、決済情報に基づいて決済処理を実行する」に相当する。 構成要件Gにおける「前記管理サーバを介してカード決済を承認する会社のサーバにカード決済処理を依頼してカード決済与信を行い」に関し、 その記載から、「カード決済処理」の依頼により「カード決済与信」が行われる。構成③gにおいて、「クレジット」を用いて決済処理が実行されると、当然、決済処理を実行する前に与信は行われることから、構成③gにおける「商品の確認画面(商品リスト)を表示し、決済方法(クレジット、現金、口座引き落とし、電子マネーなど)を顧客に指定させ、決済方 法が指定されたことに応じて、商品の情報をもとに決済情報を生成する。 決済システム10Cは、決済情報に基づいて決済処理を実行する」は、構成要件Gにおける「前記管理サーバを介してカード決済を承認する会社のサーバにカード決済処理を依頼してカード決済与信を行」う構成を含んでいる。 したがって、構成要件Gと構成③gは、一致する。 ク構成要件Hと構成③hとの対比構成要件H「ことを特徴とした買物決済システム。」は、構成③h「構成③aから構成③gを備えたシステムである」に相当するから、両者は一致する。 (3) 相違点(構成要件E及びF)について ア本件発明1において、「カメラは」、「撮像情報を前記管理サーバに送信」するのに対し、乙10発明1において、「カメラ50E」は、撮影した画像を送信しない点である。 構成要件Eに係る相違点は、本件発明1において、「商品種別を識別」する主体は「管理サーバ」であるのに対し、乙1 に対し、乙10発明1において、「カメラ50E」は、撮影した画像を送信しない点である。 構成要件Eに係る相違点は、本件発明1において、「商品種別を識別」する主体は「管理サーバ」であるのに対し、乙10発明1において、「商 品を判別」する処理の主体は、本件発明1の「管理サーバ」に相当する「クリップ端末管理サーバ20B」ではなく、「クリップ端末50」である点である。これは、乙10発明1において、本件発明1における「商品種別を識別」に相当する乙10発明1における「商品を判別」が、サーバではなくカートに配置された「クリップ端末50」で実行される点(構成 要件Fに係る相違点)に起因する。すなわち、乙10発明1において、「クリップ端末50」が撮影した画像を処理することから、画像をサーバに送信しない。本件発明1と乙10発明の相違点は、結局のところ、サーバである「クリップ端末管理サーバ20B」が「商品種別を識別」するために画像を処理しない点である。したがって、本件発明1の進歩性につい ては、かかる相違点を検討すれば足りるものである。 そこで、この相違点を検討すると、本相違点は構成要件E及びFに関するものであるところ、前述のとおり、乙8号証は、構成要件E及びFに相当する構成をそれぞれ構成①e及び構成①fとして開示している。 乙8発明1の技術分野は、前述のとおり、店舗における買物システムに 関連しており(発明の名称、要約、1頁9―15行など)、乙10発明の 技術分野も、店舗における買物システムに関連していることから(段落【0001】、段落【0002】、段落【0003】、【0005】など)、乙8発明1及び乙10発明1の技術分野は共通し、課題も共通であって、適用への動機づけが存する。 そうすると、当業者であれば、乙10発 01】、段落【0002】、段落【0003】、【0005】など)、乙8発明1及び乙10発明1の技術分野は共通し、課題も共通であって、適用への動機づけが存する。 そうすると、当業者であれば、乙10発明1の構成③e及び構成③f を、乙8発明の構成①e及び構成①fに置き換える、又は、乙10発明の構成③e及び構成③fの一部の要素を乙8発明1の構成①e及び構成①fの対応する一部の要素に置き換えることは容易である。 したがって、当業者であれば、乙10発明及び乙8発明1に基づいて本件発明1に想到することは容易であり、本件発明1に係る特許は、特許法 29条2項の規定により、進歩性を欠き、無効とされるべきである。 (4) 本件発明2と乙10発明2との対比及び容易想到性乙10発明1は、カートに設けられる表示灯を備えていないことから、本件発明2の構成要件I、J、K、L、M及びNに関し、相違点を有する。 この点、前記のとおり、乙8発明2を、乙10発明1に用いることについ て動機付けがあるから、当業者であれば、乙10発明1に乙8発明2の構成①i、構成①j、構成①k、構成①l、構成①m及び構成①nを適用することにより、本件発明2に想到することは容易である。 したがって、本件発明2に係る特許は、特許法29条2項の規定により、進歩性を欠き、無効とされるべきである。 以上 (別紙)争点5に関する原告の主張 1 被告らは、遅くとも令和5年4月から令和6年3月末までの間、被告製品を使用している。 2 被告製品を使用することによる被告らの売上額 (1) 令和5年4月から同年6月被告トライアルホールディングスの令和5年6月度決算の売上は6531億円であり、そのうち、スーパーマーケット事業の売上が99.7パーセ による被告らの売上額 (1) 令和5年4月から同年6月被告トライアルホールディングスの令和5年6月度決算の売上は6531億円であり、そのうち、スーパーマーケット事業の売上が99.7パーセントを占めていた。よって、令和5年4月から同年6月までのスーパー事業における売上は1627億8517万5000円となる。 また、この時点におけるトライアルの店舗数は285店舗であり、そのうち、カート設置店は208店舗、カート設置店舗におけるカートを使用しての買物比率は44.8パーセントである。 よって、同期間における被告製品を使用することによる被告らの売上は532億2446万9288円となる。 (2) 令和5年7月から令和6年3月被告トライアルホールディングスの令和6年6月度決算の売上予想額は、7110億円である。その他の売上比率等は、上記(1)の値を採用すると、令和5年7月から令和6年3月までの間、被告製品を使用することによる被告らの売上は1738億2911万1915円となる。 (3) 実施料率スーパーマーケット等におけるキャッシュレス決済端末の手数料が3~4パーセントであることに鑑みれば、本件特許権の実施料率が決済金額(売上)の1パーセントを下回ることはない。 (4) 特許法102条3項に基づく損害額 (1)と(2)の合計に(3)の実施料率を乗じた22億7053万5812円 が、原告の被った損害と推定される。 (5) 弁護士費用被告らに対し、上記(4)の損害の賠償を求めるために必要かつ相当な弁護士費用は2200万円を下回らない。 (6) 合計 よって、原告は、被告らに対し、上記合計22億9253万5812円と遅延損害金の支払を求める。 以上 な弁護士費用は2200万円を下回らない。 合計 よって、原告は、被告らに対し、上記合計22億9253万5812円と遅延損害金の支払を求める。 以上 別紙特許公報(添付省略)
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