平成29年12月6日判決言渡平成27年(行ウ)第514号法人税更正処分取消請求事件主文 1 京橋税務署長が平成26年4月28日付けで原告に対してした平成24年4月1日から平成25年3月31日までの連結事業年度の法人 税の更正処分のうち,連結所得金額がマイナス149億6420万3607円を超え,翌期へ繰り越す連結欠損金額が295億2004万5412円を下回る部分を取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 事実 及び理由 第1 請求主文同旨第2 事案の概要本件は,内国法人である原告が,平成24年4月1日から平成25年3月31日までの連結事業年度(以下「本件連結事業年度」という。)において,外 国子会社から資本剰余金及び利益剰余金をそれぞれ原資とする剰余金の配当を受け,前者については法人税法(平成27年法律第9号による改正前のもの。 以下同じ。)24条1項3号にいう資本の払戻しの一態様である「剰余金の配当(資本剰余金の額の減少に伴うものに限る。)」に,後者については法人税法23条1項1号にいう「剰余金の配当(…資本剰余金の額の減少に伴うもの… を除く。)」に該当することを前提に本件連結事業年度の法人税の連結確定申告(以下「本件申告」という。)をしたところ,京橋税務署長から,平成26年4月28日付けで,これらの剰余金の配当は,それぞれの効力発生日が同じ日であることなどから,その全額が法人税法24条1項3号の資本の払戻しに該当するとして法人税の更正処分(以下「本件更正処分」という。)を受けたた め,本件更正処分のうち連結所得金額が本件申告に係る金額を超え,翌期へ繰 り越す連結欠損金額が本件申告に係る金額を下回る部分の取消しを求める事案 以下「本件更正処分」という。)を受けたた め,本件更正処分のうち連結所得金額が本件申告に係る金額を超え,翌期へ繰 り越す連結欠損金額が本件申告に係る金額を下回る部分の取消しを求める事案である。 1 剰余金の配当の受取りに係る法人税課税等の概要(1) 法人税法(以下(1)及び後記(2)において「法」という。)の定めア受取配当の益金不算入 (ア) 内国法人が法23条1項1号にいう「剰余金の配当(…資本剰余金の額の減少に伴うもの…を除く。)」の額(外国法人から受けるものを除く。)を受けるときは,その額は,その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上,益金の額に算入されない(同項柱書き)。 これは,支払法人の段階で課税済みの利益の配当について,これを受 ける法人に重複して法人税を課すことを避けるための制度であると解される。 (イ) また,内国法人が外国子会社から法23条1項1号にいう「剰余金の配当(…資本剰余金の額の減少に伴うもの…を除く。)」の額を受けるときは,その額から当該額に係る費用の額に相当するものとして政令で 定めるところにより計算した金額を控除した金額は,その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上,益金の額に算入されない(法23条の2第1項)。 これは,我が国の国際課税は全世界所得課税が原則であり,源泉地国で生じた所得に対して課税が行われる場合には,源泉地国と我が国の課 税権が競合し国際的な二重課税が生じるため,そのような二重課税を排除するための制度である(乙2)。 上記の費用の額に相当する金額は,法人税法施行令(平成26年政令第138号による改正前のもの。以下同じ。)22条の4第2項において,当該剰余金の配当の額の100分の5に である(乙2)。 上記の費用の額に相当する金額は,法人税法施行令(平成26年政令第138号による改正前のもの。以下同じ。)22条の4第2項において,当該剰余金の配当の額の100分の5に相当する金額とする旨が定 められている。 イ資本の払戻しのみなし配当(ア) 法人の株主等である内国法人が当該法人の法24条1項3号にいう資本の払戻しの一態様である「剰余金の配当(資本剰余金の額の減少に伴うものに限る。)」により金銭の交付を受けた場合において,その金銭の額が当該法人の資本金等の額のうちその交付の基因となった当該法人 の「株式又は出資に対応する部分の金額」を超えるときは,その超える部分の金額は,法23条1項1号の剰余金の配当の額とみなされる(法24条1項柱書き。以下,当該みなされる金額を「みなし配当の金額」という。)。そして,上記の「株式又は出資に対応する部分の金額」の計算の方法は,政令で定めることとされており(法24条3項),その定 めの内容は後記(2)アのとおりである。 これは,法人が資本の払戻しによりその株主等に交付した金銭の額の中に経済的にみて利益の配当と同一と考えられる金額が含まれる場合があり,そのような場合には,当該金額を利益の配当の額とみなして,上記アのとおり益金不算入とするものである(乙2)。 この点に関し,法24条1項3号と法23条1項1号が「剰余金の配当」を「資本剰余金の額の減少に伴うもの」とそうでないものとに分けて規定しているのは,会社法において,会社財産の払戻しについては,利益の配当は利益剰余金を原資とする剰余金の配当と,株式の消却を伴わない資本の減少は資本金の資本剰余金への振替え及び資本剰余金を原 資とする剰余金の配当と整理され 会社財産の払戻しについては,利益の配当は利益剰余金を原資とする剰余金の配当と,株式の消却を伴わない資本の減少は資本金の資本剰余金への振替え及び資本剰余金を原 資とする剰余金の配当と整理されたことを踏まえ,当該剰余金の配当の払戻し原資に着目して規律しているものである(甲2)。 (イ) なお,法においては,法人が株主等から出資を受けた金額を「資本金等の額」,法人の所得の金額で留保している金額を「利益積立金額」といい,いずれもその具体的な内容は政令で定めることとされている (法2条16号,18号)。 ウ有価証券の譲渡損益内国法人が法24条1項3号の資本の払戻しである剰余金の配当により交付を受けた金銭の額のうち,みなし配当の金額を除いた金額(株式又は出資に対応する部分の金額)については,法61条の2第1項1号にいう有価証券の譲渡に係る対価の額として認識され,その額と当該譲渡 に係る原価の額との差額である譲渡利益額又は譲渡損失額が,当該内国法人の所得の金額の計算上,益金の額又は損金の額に算入されることとなる(同項柱書き)。 (2) 法人税法施行令(以下(2)において「令」という。)の定めア 「株式又は出資に対応する部分の金額」の計算の方法 (ア) 法24条1項3号に掲げる資本の払戻し等の場合における同項柱書きに規定する「株式又は出資に対応する部分の金額」は,当該払戻し等を行った法人(以下「払戻法人」という。)の当該払戻し等の直前の払戻等対応資本金額等を当該払戻法人の当該払戻し等に係る株式の総数で除し,これに同項に規定する内国法人が当該直前に有していた当該払戻 法人の当該払戻し等に係る株式の数を乗じて計算される金額とされている(令23条1項3号柱書き)。 ( る株式の総数で除し,これに同項に規定する内国法人が当該直前に有していた当該払戻 法人の当該払戻し等に係る株式の数を乗じて計算される金額とされている(令23条1項3号柱書き)。 (イ) 上記の「払戻し等の直前の払戻等対応資本金額等」とは,当該直前の資本金等の額に令23条1項3号イに掲げる金額のうちに同号ロに掲げる金額の占める割合(当該割合に小数点以下3位未満の端数があると きはこれを切り上げる。)を乗じて計算した金額をいう(同号柱書き)。 令23条1項3号イに掲げる金額(上記割合の分母)は,当該払戻法人の前期期末時の資産の帳簿価額から負債の帳簿価額を減算した金額(当該前期期末時から当該払戻し等の直前の時までの間に資本金等の額又は利益積立金額が増加し,又は減少した場合には,その増加した金額 を加算し,又はその減少した金額を減算した金額)であり(以下,この 金額を「簿価純資産価額」という。),当該直前の資本金等の額(令8条1項)と利益積立金額(令9条1項)との合計額と等しくなる。 令23条1項3号ロに掲げる金額(上記割合の分子)は,資本の払戻しにおいては,当該資本の払戻しにより減少した資本剰余金の額であるが,この額が同号イに掲げる金額を超える場合には,同号イに掲げる金 額とすることとされており(同号ロ),この場合の上記割合は1となる。 なお,当該直前の資本金等の額が0以下である場合には,上記割合を0とし,当該直前の資本金等の額が0を超え,かつ,同号イに掲げる金額が0以下である場合には,上記割合を1とすることとされている(令23条1項3号柱書き)。 (ウ) 以上の計算の方法を算式で表すと,別紙のとおりとなる。 イ剰余金の配当による資本金等の額又は利 る場合には,上記割合を1とすることとされている(令23条1項3号柱書き)。 (ウ) 以上の計算の方法を算式で表すと,別紙のとおりとなる。 イ剰余金の配当による資本金等の額又は利益積立金額の減少法24条1項3号の「資本剰余金の額の減少に伴う」剰余金の配当が行われた場合には,その原資となった資本剰余金の額が,上記アの計算によって,当該直前の資本金等の額と利益積立金額とに比例的に配分さ れることとなり(ただし,資本金等の額に配分される額は当該資本金等の額が上限となる。),払戻法人において,当該資本金等の額に配分される金額(株式又は出資に対応する部分の金額)が資本金等の額から減算され(令8条1項16号),当該利益積立金額に配分される金額(みなし配当の金額)が利益積立金額から減算される(令9条1項11号)こと となる。 また,法23条1項1号の剰余金の配当が行われた場合には,当該配当を行った法人において,その配当に係る金額が利益積立金額から減算される(令9条1項8号)こととなる。 2 前提事実(当事者間に争いがないか,掲記の各証拠等により認めることがで きる事実) (1) 原告等についてア原告は,平成18年4月1日から平成19年3月31日までの事業年度から連結納税の承認を受け,本件連結事業年度においても連結親法人として法人税の連結確定申告(本件申告)をした(乙3)。なお,原告は,本件連結事業年度を通じてその商号をEとしていたところ,平成26年3月 1日付けで現在のものに変更した。 イ F社は,米国デラウェア州法に基づき組成された外国法人であり,原告が本件連結事業年度を通じてその出資の持分の全部を保有している原告の外国子会社(法人税法23条の2第1項)に 変更した。 イ F社は,米国デラウェア州法に基づき組成された外国法人であり,原告が本件連結事業年度を通じてその出資の持分の全部を保有している原告の外国子会社(法人税法23条の2第1項)に該当する(乙1,4)。 (2) F社から原告に対する配当金について ア原告は,平成24年10月以降,F社及びその傘下の子会社から資金を原告に還流させるため,以下のとおり,F社の担当者と検討を進めていた(甲20)。 (ア) 原告の担当職員は,2012年(平成24年)10月6日(ハワイ時間)の電子メール(甲18)により,F社の担当会計士に対し,F社 から原告に分配する資金の総額が6億2800万米ドル(以下単に「ドル」という。)となることを前提とした場合,利益の分配として5億1910万ドルを,資本の払戻しとして1億890万ドルを分配することが,原告における税務上の取扱いの観点からいえば最適である旨の連絡をした。 (イ) その後,F社から原告に分配する資金の総額が6億4400万ドルと決定されたところ,原告の担当職員は,2012年(平成24年)11月12日(ハワイ時間)の電子メール(甲19)により,F社の財務担当役員に対し,①総計6億4400万ドルを「(1)Returnofcapital:100,000,000」(資本の払戻しとしての1億ドル)と「(2)Dividend: 544,000,000」(利益の分配としての5億4400万ドル)とに切り分け て分配を行うべき旨,②この分配に関して「resolutions」(決議)を作成すべき旨,③資本の払戻しの額は追加払込資本勘定を原資とすべき旨,④そのため資本勘定の一部を追加払込資本勘定に振り替える必要があるところ,株式の額面金額を1ドルから0.5ドルに減額する 決議)を作成すべき旨,③資本の払戻しの額は追加払込資本勘定を原資とすべき旨,④そのため資本勘定の一部を追加払込資本勘定に振り替える必要があるところ,株式の額面金額を1ドルから0.5ドルに減額すること等を検討し,株式の額面金額の変更をする場合には追加の決議を作成する必要 がある旨の連絡をした。 イ F社は,平成24年11月12日付けで,その子会社であるG社から,G社及びその子会社等が海外で行う事業等からの利益の配当として6億4400万ドルの分配を受け,更にこれを原告に還流させるため,同日付けで,F社の設立準拠法である米国デラウェア州LLC法(甲6)及びF社 に係るLLC契約(甲7,乙16)に基づき,F社の唯一の社員である原告との間で,同意書(以下「本件同意書」という。甲5の1)及びその添付書類AからDまでの各決議書(以下,それぞれ「本件決議書A」などといい,併せて「本件各決議書」という。甲5の2~5)を取り交わした(甲20)。その内容は,要旨,以下のとおりであった。 (ア) 本件同意書(甲5の1)署名者(F社の役員ら及び原告の代表者)は,本件同意書に添付された本件各決議書について,その効力発生日を平成24年11月12日として採択することに同意する。 (イ) 本件決議書A(甲5の2) G社及びその傘下の複数子会社において配当によりF社に資金を還流させることを許可する権限を,F社に付与する。 (ウ) 本件決議書B(甲5の3)F社に対し,その発行する株式の額面金額を1ドルから0.5ドルに減額することにより資本金の額を減少させ,その減少額を追加払込資本 に振り替える権限を付与する。 (エ) 本件決議書C(甲5の4)F社に対し,追 ら0.5ドルに減額することにより資本金の額を減少させ,その減少額を追加払込資本 に振り替える権限を付与する。 (エ) 本件決議書C(甲5の4)F社に対し,追加払込資本の払戻しとして,原告に対して1億ドルの分配を行う権限を付与する(以下,この分配を「本件資本配当」という。)。 (オ) 本件決議書D(甲5の5) F社に対し,留保利益から,原告に対して5億4400万ドルの分配を行う権限を付与する(以下,この分配を「本件利益配当」といい,本件資本配当と併せて「本件配当」という。)。 ウ F社による本件配当の会計上の処理等(ア) F社は,平成24年11月13日に本件配当の総額である6億44 00万ドルの送金手続を行った(乙5)。 (イ) F社は,平成24年11月30日付けで,追加払込資本1億ドル及び留保利益5億4400万ドルをそれぞれ減少させる会計処理を行った(乙6)。追加払込資本は我が国における資本剰余金に,留保利益は我が国における利益剰余金にそれぞれ該当する。 エ原告による本件配当の会計上の処理等(ア) 原告の本件連結事業年度開始の日の直前の平成24年3月31日現在におけるF社に対する出資の帳簿価額は,208億6980万9622円であった(乙4・6枚目)。 (イ) 原告は,平成24年11月14日付けで,取引銀行から,本件配当 に係る配当金が到着した旨の連絡を受けた(乙7)。 (ウ) 原告は,平成24年11月30日付けで,①預金512億1088万円(F社から受領した6億4400万ドルを同月14日の電信売買相場の仲値で円換算した金額)を借方に,②関係会社株式(F社)79億5100万円 成24年11月30日付けで,①預金512億1088万円(F社から受領した6億4400万ドルを同月14日の電信売買相場の仲値で円換算した金額)を借方に,②関係会社株式(F社)79億5100万円(1億ドルを同月12日の電信売買相場の仲値で円換 算した金額),③受取配当金432億5344万円(5億4400万ド ルを同日の電信売買相場の仲値で円換算した金額),及び④為替損益644万円(上記①の金額と上記②及び③の合計額との差額)を貸方に,それぞれ仕訳をする会計処理をした(乙8の1,2)。 (エ) 原告は,平成24年12月31日付けで,①関係会社株式(F社)129億1880万9621円を貸方に,②関係株式評価損129億 1880万9621円を借方に,それぞれ仕訳をする会計処理をした(乙9)。これにより,原告のF社に対する出資の帳簿価格は,1円(備忘価額)となった。 オ原告による本件配当の税務上の処理原告は,本件連結事業年度の法人税について,以下のとおり本件配当の 税務上の処理をして,平成25年7月31日,別表1の連結確定申告の欄のとおり連結確定申告(本件申告)をした(乙1)。 (ア) 利益剰余金を原資として行われた本件利益配当の額に相当する前記エ(ウ)③の受取配当金432億5344万円について,法人税法23条の2第1項に基づき,当該金額から当該金額の100分の5に相当する 金額21億6267万2000円を控除した410億9076万8000円を益金不算入として連結所得金額から減算する(乙1・5及び27枚目)。 (イ) 資本剰余金を原資として行われた本件資本配当の額に相当する前記エ(ウ)②の関係会社株式(F社)79億5100万円につ 金不算入として連結所得金額から減算する(乙1・5及び27枚目)。 (イ) 資本剰余金を原資として行われた本件資本配当の額に相当する前記エ(ウ)②の関係会社株式(F社)79億5100万円については,法人 税法24条1項のみなし配当の金額となる部分がない。 (ウ) 前記エ(エ)②の関係株式評価損129億1880万9621円について,法人税法61条の2第1項に基づき,当該金額と同額の有価証券譲渡損失額を損金の額に算入して連結所得金額から減算する(乙1・5枚目)。 (3) 本件訴訟に至る経緯 ア京橋税務署長は,平成26年4月28日付けで,原告に対し,本件配当に係る同意の効力発生日が平成24年11月12日であり,本件資本配当及び本件利益配当のそれぞれの効力発生日が同一であることなどから,本件配当の全額が,法人税法24条1項3号の資本の払戻しに該当するなどとして,別表1の更正処分の欄のとおり,連結所得金額を増額し,翌期へ 繰り越す連結欠損金額を減額する本件更正処分をした(甲1)。 イ原告は,平成26年6月27日,本件更正処分につき別表1の審査請求の欄のとおり審査請求をしたところ,国税不服審判所長は,平成27年2月23日付けで,審査請求を棄却する旨の裁決をした。 ウ原告は,平成27年8月21日,本件訴えを提起した(顕著な事実)。 3 当事者の主張(被告の主張)(1) 法人税法23条1項1号及び24条1項3号にいう「資本剰余金の額の減少に伴うもの」の意義等についてア剰余金の配当は,会社が,株主に対し,その有する株式の数に応じて会 社の財産(配当財産)を分配する行為であるところ,会社法において,前記1(1)イ(ア)のとおり,利益の配当は利益 ア剰余金の配当は,会社が,株主に対し,その有する株式の数に応じて会 社の財産(配当財産)を分配する行為であるところ,会社法において,前記1(1)イ(ア)のとおり,利益の配当は利益剰余金を原資とする剰余金の配当とし,株式の消却を伴わない資本の減少は資本金の資本剰余金への振替え及び資本剰余金を原資とする剰余金の配当としつつ,いずれも剰余金の配当として整理され,利益の配当と出資の返還の双方の性質を持った配 当が統一的に「剰余金の配当」として規定されたことを踏まえ,法人税法は,剰余金の配当に関して,法人から株主に財産が払い戻された場合には,その手法にかかわらずその原資が基本的には資本と利益とからなるものと考え,例外的に利益のみからなることが明らかである場合にのみ利益部分のみからなる配当であると取り扱うこととし,これらを区分するために, 「資本剰余金の額の減少に伴うもの」という文言を用いることとした。こ こで「もの」は,「剰余金の配当」,すなわち,会社が株主に対しその有する株式の数に応じて会社の財産(配当財産)を分配する行為を意味し,「資本剰余金の額の減少に伴う部分の金額」というような規定振りとはなっていないことから,剰余金の配当に関しては,資本剰余金と利益剰余金の双方を原資とする場合であっても,原資ごとに区分することなく,株主 が剰余金の配当として受領する金額の全体を「資本剰余金の額の減少に伴うもの」に該当するものとして取り扱うことを示したものである。 イまた,資本剰余金を原資とする剰余金の配当と利益剰余金を原資とする剰余金の配当が同時に行われた場合,そのいずれの剰余金の配当を先に計算するかにより,受取配当の益金不算入の適用額が変わることとなるため, 恣意性が介在して公平性に問題が生じ,税制 を原資とする剰余金の配当が同時に行われた場合,そのいずれの剰余金の配当を先に計算するかにより,受取配当の益金不算入の適用額が変わることとなるため, 恣意性が介在して公平性に問題が生じ,税制が統一的な取扱いを定めないとすれば事後の調査等でこの後先について問題となることが想定されたところ,法人税法は,資本剰余金と利益剰余金の双方を同時に減少して剰余金の配当を行った行為を「資本剰余金の額の減少に伴うもの」として同法24条1項3号の資本の払戻しに該当するものと整理し,この問題の解決 を図ることとした。 ウしたがって,法人税法は,基本的には剰余金の配当全体を資本と利益が混合したものと考え,例外的に,その原資が利益剰余金のみであることが明らかな剰余金の配当に限って,利益部分の払戻しとして,同法23条1項1号の本来の配当とし,それ以外のもの,すなわち,その原資が資本剰 余金のみである剰余金の配当並びにその原資が資本剰余金及び利益剰余金の双方である剰余金の配当は,同法24条1項3号のみなし配当の金額を含み得る資本の払戻しとして取り扱うこととしたものである。これを言い換えれば,払戻法人が剰余金の配当を行うことにより,株主に剰余金の配当という経済的価値が一体的に流入した場合に,その一体的に流入した経 済的価値の全体が資本剰余金を原資としないものであることが明らかなも のは「資本剰余金の額の減少に伴うもの」には該当せず,その一体的に流入した経済的価値にわずかでも資本剰余金を原資とするものが含まれていれば,一体的に流入したその経済的価値の全体が「資本剰余金の額の減少に伴うもの」に該当することになるというべきである。 (2) 本件について ア F社から原告に対する本件配当は,本件同意書 済的価値の全体が「資本剰余金の額の減少に伴うもの」に該当することになるというべきである。 (2) 本件について ア F社から原告に対する本件配当は,本件同意書に添付された本件各決議書記載の一連の行為の結果として,F社及びその傘下の子会社から総額6億4400万ドルの資金を原告に還流させることを意図してなされたものである。そして,本件配当は,本件資本配当の効力発生日と本件利益配当の効力発生日を同日として,一つの本件同意書により,F社の役員会及び 同社の唯一の社員である原告により採択されたものであり,明確に別個に成立したものとはいえないことから,私法上,全体として1個の配当行為であると認められる。そうすると,全体として1個の配当行為である本件配当により,F社から原告に資本剰余金と利益剰余金の双方を原資とする本件配当がされたのであるから,本件配当は,その全体が「資本剰余金の 額の減少に伴うもの」に該当することになる。 イまた,仮に,本件配当が私法上1個の配当行為とはいえないとしても,F社の役員会及び同社の唯一の社員である原告の本件同意書に表された本件各決議書に対する同意が一つの本件同意書で行われていることからすれば,同意について前後関係は存在せず,これに基づく本件資本配当と本件 利益配当にも前後関係は存在しない。 さらに,本件資本配当と本件利益配当の効力発生日がいずれも平成24年11月12日と同日であり,これらの配当に係るF社における会計処理及び原告に対する支払が一括でなされていることも考慮すれば,本件配当により,原告には経済的価値の一体的な流入があったものと認められ,そ の一体的に流入した経済的価値の原資に資本剰余金が含まれていることか ら,本件配当の ていることも考慮すれば,本件配当により,原告には経済的価値の一体的な流入があったものと認められ,そ の一体的に流入した経済的価値の原資に資本剰余金が含まれていることか ら,本件配当の全体が「資本剰余金の額の減少に伴うもの」に該当することになる。 ウ以上のとおり,本件配当は「資本剰余金の額の減少に伴うもの」に該当し,その全額が法人税法24条1項3号の資本の払戻しにより交付された金銭の額となるから,これを前提として法人税法施行令23条1項3号の 定めに従った計算をすると,別表2-1のとおり,本件配当の額6億4400万ドルのうち,「株式又は出資に対応する部分の金額」がF社の直前の資本金等の額と同額の2億1105万7771.56ドル,みなし配当の金額が4億3294万2228.44ドル(344億2323万6583円)となる。 そして,以上を踏まえて本件連結事業年度の連結所得金額及び翌期へ繰り越す連結欠損金額を計算すれば,別表3のとおり,本件申告に係る連結所得金額から,受取配当金の過大計上額88億3020万3417円が減算される一方で,外国子会社から受ける配当等の益金不算入過大額83億8869万3246円及び関係会社株式譲渡損失の損金算入過大額88億 3020万3417円が加算されることなどにより,連結所得金額がマイナス69億0988万7134円,翌期へ繰り越す連結欠損金額が214億6572万8939円となり,これは本件更正処分における上記各金額と同額であるから,本件更正処分は適法である。 エなお,原告は,本件では本件資本配当と本件利益配当につき,先後関係 があるとした場合に,いずれを先に計算してもその結果に差異が生じないことをもって,本件利益配当への法人税法24条1項の適用が なお,原告は,本件では本件資本配当と本件利益配当につき,先後関係 があるとした場合に,いずれを先に計算してもその結果に差異が生じないことをもって,本件利益配当への法人税法24条1項の適用が許されないかのように主張するが,個々の事案において,資本剰余金及び利益剰余金を原資とする剰余金の配当について,いずれの剰余金の配当を先に計算してもその結果に差異が生じない場合があったとしても,そのような場合に 利益剰余金を原資とする部分に同項の規定を適用しなくてもよいとする適 用除外規定は存在せず,前述した同法の考え方は,全ての法人税の申告において一律に適用されるものであるから,かかる原告の主張は,到底採り得るものではない。 (原告の主張)(1) 法人税法23条1項1号及び24条1項3号にいう「資本剰余金の額の 減少に伴うもの」の意義等についてア法人税法においては,資本と利益の厳格な峻別という大原則が採られており,同法23条1項1号及び24条1項3号の各規定もかかる大原則に沿って解釈すべきであること,これらの規定にいう「剰余金の配当」とは,会社法等の私法上の「剰余金の配当」を意味するいわゆる借用概念であり, 利益剰余金を原資とする剰余金の配当と資本剰余金を原資とする剰余金の配当という,私法上別個独立した2つの行為は,租税法上も,別個独立の「剰余金の配当」という行為として解すべきことからすれば,同法24条1項3号の「資本剰余金の額の減少に伴うもの」とは,資本剰余金を原資とする剰余金の配当をいい,利益剰余金を原資とする剰余金の配当を含ま ないと解するのがごく自然かつ合理的であり,利益剰余金を原資とする剰余金の配当については同法23条1項1号の剰余金の配当として同項の規定が,資本剰余金を原資とする剰余金の 剰余金の配当を含ま ないと解するのがごく自然かつ合理的であり,利益剰余金を原資とする剰余金の配当については同法23条1項1号の剰余金の配当として同項の規定が,資本剰余金を原資とする剰余金の配当については同法24条1項3号の剰余金の配当として同項の規定がそれぞれ別個独立に適用されると解するのが論理的な帰結であるというべきである。 イそして,資本剰余金のみが原資である剰余金の配当と,利益剰余金のみが原資である剰余金の配当が,それぞれ別個の決議に基づき行われた場合は,納税者の選択した私法上の法形式は租税法上も尊重されるから,前者は法人税法24条1項3号で規律され,後者は同法23条1項1号で規律されることになり,また,私法上の決議が分かれている以上,議案の順番 等により相互に先後関係があると私法上評価されるものと解される。 ここで,課税庁において課税の公平の観点から対応が必要であるからといって,この2つの剰余金の配当の双方を併せて法人税法24条1項3号の「資本剰余金の額の減少に伴うもの」に該当すると解釈することは,明文の根拠に基づかずに納税者の選択した私法上の法形式を否認することであるから,許されないというべきである。 ウ(ア) また,1つの決議に基づく1つの剰余金の配当の原資が資本剰余金と利益剰余金の双方である場合については,そのうち利益剰余金を原資とする部分は法人税法24条1項3号の「資本剰余金の額の減少に伴うもの」には該当せず,資本剰余金が原資である部分のみが同号の「資本剰余金の額の減少に伴うもの」に該当するというべきである。 (イ) もっとも,上記の場合のうち,当該剰余金の配当の個別具体的な事実関係に照らして,課税上,上記の各部分のいずれが先行するかによって計算結果が変わるという先後 当するというべきである。 (イ) もっとも,上記の場合のうち,当該剰余金の配当の個別具体的な事実関係に照らして,課税上,上記の各部分のいずれが先行するかによって計算結果が変わるという先後関係の問題が生ずるときで,かつ,利益剰余金を原資とする部分が株式の譲渡対価に相当する資本金等の額の減少として取り扱われるという結果が生じないときに限っては,法人税法 24条1項3号の「資本剰余金の額の減少に伴うもの」とは,原資に資本剰余金が含まれている剰余金の配当の全体(利益剰余金を原資とする部分も含む。)をいうと解される。 (2) 本件についてア本件では,F社は,原告の意向も踏まえ,本件配当に先立ち,原資につ いて,本件資本配当と本件利益配当を区分し,前者が後者に先行するものとして配当することを検討し,平成24年11月12日付けで,私法上,つまりデラウェア州法上,2つの別個の,かつ,順次連続した(すなわち先後関係のある)剰余金の配当をしたものである。すなわち,本件資本配当及び本件利益配当は,同時に行われたものでもなければ,1つの決議に 基づく1つの剰余金の配当として行われたものでもない。そのことは,本 件各決議書の列挙順に加え,本件決議書A及び本件決議書Bは,本件資本配当に係る本件決議書C及び本件利益配当に係る本件決議書Dとの関係上,論理的に先行するものとして先に記載されていることも踏まえれば,本件決議書C及び本件決議書Dとの間も同様に前者が後者に先行するものというべきことからして,明らかである。 したがって,前記(1)イで述べたとおり,本件資本配当は法人税法24条1項3号で規律され,その後になされた本件利益配当は同法23条1項1号で規律されることになる。 本件資本配当及び本件利 したがって,前記(1)イで述べたとおり,本件資本配当は法人税法24条1項3号で規律され,その後になされた本件利益配当は同法23条1項1号で規律されることになる。 本件資本配当及び本件利益配当の2つの剰余金の配当の双方が併せて法人税法24条1項3号の「資本剰余金の額の減少に伴うもの」に該当する との被告の主張は,明文の根拠なく原告又はF社が選択した私法上の行為を否認するものであるから,失当である。 イまた,その点をおくとしても,本件資本配当及び本件利益配当については,①被告の主張によれば,本件利益配当の額5億4400万ドルのうち,みなし配当の金額4億3294万2228.44ドルを超える1億110 5万7771.56ドルが,利益剰余金からの配当であるにもかかわらず,F社の株式の譲渡対価に相当する資本金等の額の減少として取り扱われていることになり,かつ,②本件資本配当と本件利益配当とのいずれが先に行われたとして計算しても,別表4-1及び4-2のとおり,計算結果は同じであり,先後関係の問題は存在しないから,前記(1)ウ(イ)の解釈が 妥当する場合であるとはいえない。 ウ被告の主張する課税関係は,本件資本配当及び本件利益配当のどちらを先に行ったとしても決して生じ得ず,資本と利益の峻別という法人税法の大原則に反するものであるとともに,原告に対して本来であれば生じ得ない過重な税負担(欠損金額の減額)を課すものである。このような課税の 必要性は,皆無であるといわざるを得ない。 エしたがって,本件連結事業年度の連結所得金額及び翌期へ繰り越す連結欠損金額は本件申告のとおりとなるというべきであるから,本件更正処分は違法である。 第3 当裁判所の判断 1 法人税法23条1項1号の「剰余金の配当(…資 度の連結所得金額及び翌期へ繰り越す連結欠損金額は本件申告のとおりとなるというべきであるから,本件更正処分は違法である。 第3 当裁判所の判断 1 法人税法23条1項1号の「剰余金の配当(…資本剰余金の額の減少に伴う もの…を除く。)」との規定が,その文理上,資本剰余金を原資とせず,利益剰余金のみを原資とする剰余金の配当を意味するものであることは明らかであるから,同号にいう「剰余金の配当(…資本剰余金の配当の額の減少に伴うもの…を除く。)」とは,利益剰余金のみを原資とする剰余金の配当を指すものと解するのが相当である。 そして,法人税法24条1項3号の「剰余金の配当(資本剰余金の額の減少に伴うものに限る。)」との規定は,同法23条1項1号の「剰余金の配当(…資本剰余金の額の減少に伴うもの…を除く。)」との規定と対になった規定であり,このうち同法23条1項1号の規定が上記のとおり利益剰余金のみを原資とする剰余金の配当を意味するものであることからすれば,その文理の論理的 帰結として,同法24条1項3号の規定は,利益剰余金のみを原資とする剰余金の配当を除いた剰余金の配当,すなわち,資本剰余金のみを原資とする剰余金の配当及び資本剰余金と利益剰余金の双方を原資とする剰余金の配当を意味するものと解するのが自然である。また,同法24条1項柱書きの「株式又は出資に対応する部分の金額」の計算の方法は,同法の委任を受けて政令で定め ることとされているところ(同条3項),政令の定めの内容いかんによっては,資本剰余金と利益剰余金の双方を原資とする剰余金の配当が行われた場合に,資本剰余金を原資とする部分の剰余金の配当と利益剰余金を原資とする部分の剰余金の配当のいずれが先に行われたとみるかによって,上記の「株式又は出資に対応す 方を原資とする剰余金の配当が行われた場合に,資本剰余金を原資とする部分の剰余金の配当と利益剰余金を原資とする部分の剰余金の配当のいずれが先に行われたとみるかによって,上記の「株式又は出資に対応する部分の金額」及びみなし配当の金額が異なる結果となり,そこに 恣意性が介在して課税の公平性を損なうこととなる事態も想定され得ることか ら,資本剰余金と利益剰余金の双方を原資とする剰余金の配当を同法24条1項の適用を受ける剰余金の配当と整理することによりこの問題の解決を図ったものであるとする被告の主張には合理性が認められ,同法23条1項1号及び24条1項3号の規定が「資本剰余金を原資とするもの」という端的な規定振りではなく,「資本剰余金の額の減少に伴うもの」という含みを持たせた規定 振りとなっているのも,上記のような趣旨によるものと解することができる。 したがって,同法24条1項3号にいう「剰余金の配当(資本剰余金の額の減少に伴うものに限る。)」とは,資本剰余金のみを原資とする剰余金の配当及び資本剰余金と利益剰余金の双方を原資とする剰余金の配当を指すものと解するのが相当である。 2 しかしながら,前記のとおり,法人税法23条1項の規定が,支払法人の段階で課税済みの利益の配当について,これを受ける法人に重複して法人税を課すことを避けるために,また,同法23条の2第1項の規定が,源泉地国で課税済みの所得の配当に対して我が国が重ねて課税するという国際的な二重課税を排除するために,さらに,同法24条1項の規定が,法人の資本の払戻しの 中に含まれる経済的にみて利益の配当と同一と考えられる部分について,上記各規定と同様の取扱いとするために,当該各配当の額及びみなし配当の金額(外国子会社から受けるものについては費用の額に相当す 中に含まれる経済的にみて利益の配当と同一と考えられる部分について,上記各規定と同様の取扱いとするために,当該各配当の額及びみなし配当の金額(外国子会社から受けるものについては費用の額に相当する金額を控除した金額)を益金不算入としていることに鑑みると,同法は,利益剰余金を原資とする部分の剰余金の配当の額が,同法24条1項柱書きの「株式又は出資に対応 する部分の金額」に含まれて同法61条の2第1項1号にいう有価証券の譲渡に係る対価の額として認識され,法人税の課税を受けることとなる事態を想定していないものと解される。したがって,同法の委任を受けて政令で定める上記「株式又は出資に対応する部分の金額」の計算の方法に従って計算した結果,利益剰余金を原資とする部分の剰余金の配当の額が上記「株式又は出資に対応 する部分の金額」に含まれることとなる場合には,当該政令の定めは,そのよ うな計算結果となる限りにおいて同法の委任の範囲を逸脱した違法なものとして無効であると解するのが相当である。 これを法人税法施行令23条1項3号の規定についてみるに,同号の定める計算の方法に従って「株式又は出資に対応する部分の金額」を計算すると,払戻法人の簿価純資産価額が当該剰余金の配当直前の資本金等の額を下回る場合 (被告主張の別表2-1によれば,本件はこの場合に当たる。),すなわち,当該剰余金の配当直前の利益積立金額が0未満(マイナス)である場合には,減少した資本剰余金の額を超える「払戻し等の直前の払戻等対応資本金額等」が算出されることとなるから(別紙の最下段の算式参照),当該剰余金の配当が資本剰余金と利益剰余金の双方を原資とするものであった場合には,利益剰余 金を原資とする部分の剰余金の配当の額が上記「払戻し等の直前の払戻等対応 ら(別紙の最下段の算式参照),当該剰余金の配当が資本剰余金と利益剰余金の双方を原資とするものであった場合には,利益剰余 金を原資とする部分の剰余金の配当の額が上記「払戻し等の直前の払戻等対応資本金額等」に含まれることとなり,ひいては「株式又は出資に対応する部分の金額」に含まれることとなる。 この点,利益積立金額が0未満(マイナス)の状態の下で行われた剰余金の配当が利益剰余金を原資としていた場合に,当該利益剰余金を原資とする部分 の剰余金の配当の額を課税済みのものとして益金不算入とすることが相当といえるかどうかは一応問題となり得るところであるが,当該利益剰余金の原資とされた流入価値が利益としての性質を有するものである以上,当該剰余金の配当の時点ではいまだ課税されていなかったとしても,いずれは課税されるものというべきであるから(本件においては,F社がG社から受けた6億4400 万ドルの配当に係る利益がこれに当たると解される。),二重課税を避けるための益金不算入という法人税法の趣旨はこの場合にも妥当するものと解される。 したがって,法人税法施行令23条1項3号の定めは,資本剰余金と利益剰余金の双方を原資とする剰余金の配当への適用に当たり,当該剰余金の配当により減少した資本剰余金の額を超える「払戻し等の直前の払戻等対応資本金額 等」が算出される結果となる限りにおいて法人税法の委任の範囲を逸脱した違 法なものとして無効であるというべきであり,この場合の「払戻し等の直前の払戻等対応資本金額等」は,当該剰余金の配当により減少した資本剰余金の額と同額となるものと解するのが相当である。 3 被告主張の別表2-1によれば,本件の払戻法人であるF社の本件配当直前の資本金等の額(同表①欄)は2億1105万777 当により減少した資本剰余金の額と同額となるものと解するのが相当である。 3 被告主張の別表2-1によれば,本件の払戻法人であるF社の本件配当直前の資本金等の額(同表①欄)は2億1105万7771.56ドルであるのに 対し,簿価純資産価額(同表⑤欄)は9768万4743.50ドルであり,後者が前者を下回るため,法人税法施行令23条1項3号の定めのとおりに計算すると,「払戻し等の直前の払戻等対応資本金額等」(同表⑧欄)及び「株式又は出資に対応する部分の金額」(同表⑨欄)が共に上記直前の資本金等の額と同額の2億1105万7771.56ドルとなって,本件配当により減少し た資本剰余金の額(同表⑥欄)である1億ドルを超えることとなるから,上記「払戻し等の直前の払戻等対応資本金額等」(同表⑧欄)及び「株式又は出資に対応する部分の金額」(同表⑨欄)はいずれも上記減少した資本剰余金の額(同表⑥欄)と同額の1億ドルに修正されるべきこととなる。そうすると,本件配当の額のうちのみなし配当の金額(同表⑪欄)も5億4400万ドルに修 正されるべきこととなり,本件利益配当の額と同額となる。 したがって,本件配当の額のうちのみなし配当の金額が4億3294万2228.44ドルにとどまるとする被告の主張には理由がなく,その結果,本件連結事業年度の連結所得金額が本件申告に係る金額を超え,翌期へ繰り越す連結欠損金額が本件申告に係る金額を下回ることの証明がないことに帰するから, 本件更正処分のうち連結所得金額が本件申告に係る金額を超え,翌期へ繰り越す連結欠損金額が本件申告に係る金額を下回る部分は,違法な処分として取消しを免れない。 4 以上の次第で,原告の請求には理由があるからこれを認容することとし,主文のとおり判決する。 主文 以上の次第で,原告の請求には理由があるからこれを認容することとし,主文のとおり判決する。 理由 事実 争点 判断 東京地方裁判所民事第3部 裁判長裁判官古田孝夫 裁判官大畠崇史 裁判官古屋勇児 (別紙省略)(別表1省略)(別表2-1省略)(別表3省略)(別表4-1省略) (別表4-2省略)
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