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昭和30(ネ)72 否認の訴事件

裁判所

昭和31年10月12日 東京高等裁判所 棄却

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3,009 文字

主文 本件控訴はこれを棄却する。控訴費用は控訴人の負担とする。事実 控訴人は原判決をとりけす、被控訴人の請求を棄却する、訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とするとの判決を求め、被控訴人は控訴棄却の判決を求めた。当事者双方の事実上の主張、証拠の提出援用認否は、控訴人において当審における証人A、控訴人本人各尋問の結果を援用したほか、原判決事実らん記載と同一である。理由 静岡県国産織物工業協同組合は昭和二十八年七月二十三日破産の宣告を受け、同日被控訴人大石力がその破産管財人に選任されたことは当事者間に争がない。控訴人が昭和二十七年二月十五日破産者の専務理事Aと談合し、同年二月一日附証書をもつて債権額金五十万四千百八十五円弁済期同年八月三十日の消費貸借契約をし、この債権の担保として別紙目録記載の不動産に抵当権を設定する契約を結び同日抵当権設定登記を経たこと、控訴人は昭和二十七年九月十六日右抵当権実行の競売申立をし(静岡地方裁判所浜松支部昭和二十七年(ケ)第三九号)、この競売手続において、その申立債権者である控訴人みずから競買を申出で、代金四十万五千百円で競落し(競売期日は昭和二十七年十月二十一日、同月二十五日の競落期日において競落許可決定言渡)、同年十一月十八日前記競落許可決定による所有権取得登記をうけた(静岡法務局浜名出張所昭和二十七年十一月十八日受付第二二九六号)ことは当事者間に争がない。原審証人B同C同D同A当審証人Aの各証言及び本件における弁論の全趣旨をあわぜ考えると、前記抵当権設定当時破産者組合は資産として、右抵当権の目的たる別紙目録不動産を有するのみであるのに、この資産の額をこえる額の債務、その債権者は前記破産事件における破産債務者た 趣旨をあわぜ考えると、前記抵当権設定当時破産者組合は資産として、右抵当権の目的たる別紙目録不動産を有するのみであるのに、この資産の額をこえる額の債務、その債権者は前記破産事件における破産債務者たるべきものを負担しており、銀行も破産者組合にたいする貸出は極力さしひかえる状況であつたこと、この状況は控訴人が競売申立をし、みずから競買申出をして競落した当時にも引きつづいて存したことを認めることができる。 趣旨をあわぜ考えると、前記抵当権設定当時破産者組合は資産として、右抵当権の目的たる別紙目録不動産を有するのみであるのに、この資産の額をこえる額の債務、その債権者は前記破産事件における破産債務者たるべきものを負担しており、銀行も破産者組合にたいする貸出は極力さしひかえる状況であつたこと、この状況は控訴人が競売申立をし、みずから競買申出をして競落した当時にも引きつづいて存したことを認めることができる。したがつて、破産者組合がその有する資産のうち、もつとも主要な財産と認めるべき、別紙目録不動産について控訴人のために抵当権を設定し、控訴人がこの抵当権実行として競売申立をし、みずから競買申出をして競落した行為は、いずれも破産債権者一般を害する行為であつたことは明かであり、なんら反証のない本件においては、訴の提起によつて否認権を行つた当時においても前記行為の結果が破産債権者一般を害する状態にあつたと認めるべきである。破産者組合が前記の行為が、当時破産債権者を害するものであることを知つていたことは前記引用の各証人の証言によつて、これを認めるに十分である。控訴人は前記各行為の当時それが破産債権者を害すること(詐害の事実)を知らなかつたと主張するけれども、これを認めるに十分な証拠がない。のみならず、原審証人B同A当審証人Aの各証言によると、控訴人は破産者組合の財産状態のはなはだ悪化していることを知つていたことがうかがわれ、当審の控訴人本人尋問における控訴人はなんとかかんとか言いはぐらそうとするかに見えるが供述の全体からみると、やはり前記証人の供述からうかがわれるところはあやまりないとの印象をうける。原審の本人尋問における控訴人の供述中右の趣旨に反する部分は信用しない。<要旨第一>なお、破産法第七五条に「否認セムスル行為カ執行行為ニ基クモノ うかがわれるところはあやまりないとの印象をうける。原審の本人尋問における控訴人の供述中右の趣旨に反する部分は信用しない。<要旨第一>なお、破産法第七五条に「否認セムスル行為カ執行行為ニ基クモノナルトキ」というは、抵当権実行のた</要旨第一>めにする競売法上の競売手続にもとずくものをふくむと解すべきである。競売法による手続は国家機関によつて行われるものであり、そのうちでも、抵当権実行のためにする競売は、債務者目的物の所有者の意思に反しても強行し得ることからみて「執行シ得ヘキ債務名義」にもとずく「執行行為」と実質的には異るところないのみならず、「否認セムトスル行為」が否認の要件をそなえる以上、執行し得べき債務名義の存在を要件とする強制執行の行為にもとずくものでも否認をさまたげないとする法律の精神からいえは、かような債務名義なしで行われる競売法上の競売手続において競落することによる財産取得は、いつそうつよく否認をさまたげないということができるからである。 て「執行シ得ヘキ債務名義」にもとずく「執行行為」と実質的には異るところないのみならず、「否認セムトスル行為」が否認の要件をそなえる以上、執行し得べき債務名義の存在を要件とする強制執行の行為にもとずくものでも否認をさまたげないとする法律の精神からいえは、かような債務名義なしで行われる競売法上の競売手続において競落することによる財産取得は、いつそうつよく否認をさまたげないということができるからである。以上説明するとおりのわけで、前記の抵当権設定行為、並に競売手続申立及び競落による控訴人の財産取得は、いずれも否認される要件をそなえているので、本件訴による被控訴人の否認行使の意思表示によつて、破産管財人たる被控訴人が別紙目録不動産を管理処分するについては、前記抵当権は設定されなかつたと同視され、かつ、控訴人の所有権取得は無効と同視され、すなわち別紙目録不動産は前記抵当権の負担のないものとして破産財団に属することとなつたのである。<要旨第二>かように否認された行為の目的たる別紙目録不動産について、控訴人の所有権取得登記の存することは、前</要旨第二>段説示の否認の結果たる法律関係と両立せず、破産管財人の換価処分実行の妨害となるから、破産管財人は、控訴人にたいして右登記の抹消手続を求め て、控訴人の所有権取得登記の存することは、前</要旨第二>段説示の否認の結果たる法律関係と両立せず、破産管財人の換価処分実行の妨害となるから、破産管財人は、控訴人にたいして右登記の抹消手続を求め得ること明かである。したがつて、被控訴人の本件請求は全部正当としてこれを認容すべく、これと同旨の原判決は相当であるから、本件控訴を棄却し、控訴費用は敗訴者たる控訴人の負担とすべきものである。よつて主文のとおり判決する。(裁判長判事藤江忠二郎判事原宸判事浅沼武)不動産目録浜名郡a町b字cd番地のe一、宅地百坪5合九勺浜名郡a町bd番地のf一、宅地壱捨八坪同所d番のg家屋番号同所第h番一、コンクリート造瓦葺壱階建事務所壱棟建坪拾四坪弐階坪拾参坪五合

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