昭和51(行ウ)53 所得税決定処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
昭和54年11月29日 大阪地方裁判所 租税
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【DRY-RUN】○ 主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実 第一 当事者の求めた判決 一 原告 被告が昭和五〇年一月二五日付で原告に対していた、昭和四六年分及び昭和四七年 分の所得税の決

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○ 主文原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実第一当事者の求めた判決一原告被告が昭和五〇年一月二五日付で原告に対していた、昭和四六年分及び昭和四七年分の所得税の決定及び無申告加算税賦課決定を取り消す。 訴訟費用は被告の負担とする。 二被告主文同旨第二当事者の主張一原告の請求原因(一) 原告は昭和四六年分及び昭和四七年分の所得税の確定申告をしなかつたところ、被告は昭和五〇年一月二五日付で原告に対し、次の内容の所得税の決定及び無申告加算税の賦課決定(以下本件処分という)をした。 (1) 昭和四六年分事業所得の金額六万七、二八二円給与所得の金額一〇四万七、九五〇円雑所得の金額七一一万六、一二二円総所得金額八二三万一、三五四円納付すべき税額二一四万七、五〇〇円無申告加算税二一万四、七〇〇円(2) 昭和四七年分事業所得の金額五八万六、八二〇円給与所得の金額七六万〇、〇〇〇円雑所得の金額八五六万一、五二四円総所得金額九九〇万八、三四四円納付すべき税額二七三万六、〇〇〇円無申告加算税二七万三、六〇〇円(二) 本件処分には所得を過大に認めた違法があるから、この取消しを求める。 二請求原因に対する被告の認否請求原因(一)は認め、(二)は争う。 三被告の抗弁(一) 原告の昭和四六年分、昭和四七年分の所得金額は次のとおりである。 (1) 昭和四六年分事業所得の金額六万七、二八二円給与所得の金額一〇四万七、九五〇円配当所得の金額一〇万三、一二五円雑所得の金額七六三万四、〇五五円総所得金額八八五万二、四一二円(2) 昭和四七年分事業所得の金額五八万六、八二〇円給与所得の金額七六万〇、〇〇〇円配当所得の金額三〇万六、四三一円雑所得の金額八六六万四、八 五五円総所得金額八八五万二、四一二円(2) 昭和四七年分事業所得の金額五八万六、八二〇円給与所得の金額七六万〇、〇〇〇円配当所得の金額三〇万六、四三一円雑所得の金額八六六万四、八八二円総所得金額一、〇三一万八、一三三円(二) 原告の昭和四六年分、昭和四七年分の雑所得の内訳は次のとおりである。 (1) 昭和四六年分金銭貸付利息の所得一三九万一、七五〇円株式売買による所得六二四万二、三〇五円(2) 昭和四七年分金銭貸付利息の所得九六万四、〇二〇円株式売買による所得七七〇万〇、八六二円(三) 昭和四六年分の原告の株式売買による雑所得の内訳は次のとおりである。 (1) 現物取引現物取引の銘柄別の損益計算明細は別表1のとおりであり、その損益計算は別表2のとおりである。 ア収入金額二、五七二万三、四〇九円別表2の(4)欄の合計金額。この収入金額は、当該売却株式価額より、売却に伴う委託手数料及び有価証券取引税を差し引いた金額である。 イ収入原価二、〇一六万三、五七七円別表2の(5)欄の合計金額。この収入原価は、当該買入株式価額に、買入れに伴う委託手数料を加算した金額である。 ウ利益金額(アーイ) 五五五万九、八三二円(2) 信用取引信用取引計算の明細は別表4のとおりである。 ア信用取引決済額決済(利益)代金合計額八七万五、三四〇円別表4の(3)欄の合計金額決済(損失)代金合計額七万五、二四二円別表4の(1)欄の合計金額差引利益金額八〇万〇、〇九八円右の各信用取引決済額は、信用取引に伴う金利等を加減計算した金額である。 イ配当金または権利処理代金利益配当金等合計額九万六、一一一円別表4の(4)欄の合計金額損失配当金等合計額五一七円別表4の(2)欄の合計金額差引利益金額九万五、五九 算した金額である。 イ配当金または権利処理代金利益配当金等合計額九万六、一一一円別表4の(4)欄の合計金額損失配当金等合計額五一七円別表4の(2)欄の合計金額差引利益金額九万五、五九四円右の金額は配当落調整金を含んだ金額である。 ウ事務管理料二一万三、二一九円別表4の(5)欄の合計金額二利益金額(ア+イ-ウ) 六八万二、四七三円(3) 合計所得金額((1)+(2)) 六二四万二、三〇五円(四) 昭和四七年分の原告の株式売買による雑所得の内訳は次のとおりである。 (1) 現物取引現物取引の銘柄別の損益計算明細は別表1のとおりであり、その損益計算は別表6のとおりである。 ア収入金額二、〇二三万九、六七五円別表6の(4)欄の合計金額。この収入金額は、当該売却株式価額より、売却に伴う委託手数料及び有価証券取引税を差し引いた金額である。 イ収入原価一、二八九万一、八九四円別表6の(5)欄の合計金額。この収入原価は、当該買入株式価額に、買入れに伴う委託手数料を加算した金額である。 ウ利益金額(ア-イ) 七三四万七、七八一円別表6の(6)欄の合計金額(2) 信用取引信用取引計算の明細は別表8のとおりである。 ア信用取引決済額決済(利益)代金合計額一〇九万六、二三一円別表8の(3)欄の合計金額決済(損失)代金合計額五万一、二四八円別表8の(1)欄の合計金額差引利益金額一〇四万四、九八三円右の各信用取引決済額は、信用取引に伴う金利等を加減計算した金額である。 イ配当金または権利処理代金利益配当金等合計額六万一、六〇〇円別表8の(4)の合計金額損失配当金等合計額 〇円別表8の(2)欄の合計金額差引利益金額六万一、六〇〇円右の金額は配当落調整額を含んだ金額である。 ウ事務管理料二四万六、五〇二 、六〇〇円別表8の(4)の合計金額損失配当金等合計額 〇円別表8の(2)欄の合計金額差引利益金額六万一、六〇〇円右の金額は配当落調整額を含んだ金額である。 ウ事務管理料二四万六、五〇二円別表8の(5)欄の合計金額エ利益金額(ア+イ-ウ) 八六万〇、〇八一円(3) 特別経費五〇万七、〇〇〇円調達資金に対する支払利息(4) 合計所得金額((1)のウ+(2)のエ-(3))七七〇万〇、八六二円(五) 右(三)(四)の株式売買による雑所得に対しては、所得税法九条一項一一号イ、同法施行令二六条二項により所得税が課せられる。 (1) 右(三)(四)の株式売買は山一証券株式会社梅田支店(以下山一証券という)に委託してされた。 (2) 株式の売買が証券会社に委託してされた場合には、同令二六条二項一号の「売買の回数」は、証券会社に対する売買委託の回数により売と買をそれぞれ別にして算定すべきである。 (3) 原告の昭和四六年分、四七年分の売買委託回数、取引株数、その明細は次のとおりである。 昭和四六年分現物取引明細は別表3のとおり買一四回三万六、〇〇〇株売三三回一〇万〇、〇二〇株信用取引明細は別表5のとおり買三三回一六万八、〇〇〇株売二〇回一三万三、〇〇〇株以上計一〇〇回四三万七、〇二〇株昭和四七年分現物取引明細は別表7のとおり買一九回九万五、〇〇〇株売三七回一〇万四、一六六株信用取引明細は別表9のとおり買二一回一六万〇、〇〇〇株売一八回一四万三、〇〇〇株以上計九五回五〇万二、一六六株四抗弁に対する原告の認否(一) 抗弁(一)の事実のうち、事業所得、給与所得、配当所得の各金額は認めるが、雑所得の金額は争う。 (二) 抗弁(二)の事実のうち、金銭貸付利息の所得は認めるが、 六株四抗弁に対する原告の認否(一) 抗弁(一)の事実のうち、事業所得、給与所得、配当所得の各金額は認めるが、雑所得の金額は争う。 (二) 抗弁(二)の事実のうち、金銭貸付利息の所得は認めるが、株式売買による所得は争う。 (三) 抗弁(三)(四)の内容の株式売買取引が原告の名義で行われていることは認める。しかし、そのうち、別表10に記載の売買は、訴外Aが原告名義で行つたもの、別表11に記載の売買は、訴外Bが原告名義で行つたもの、別表12に記載の売買は、山一証券が原告の事前の了解を得ずに行つたものであつて、これらはいずれも原告が売買したものではない。その余の抗弁(三)(四)の事実は認める。 (四) 抗弁(五)の(1)(2)は認め、(3)は争う。 株式の売買回数は、顧客の委託注文の意思、すなわち、何回に亘り委託注文をする意思であつたかにより定まるものである。原告の株式売買回数は、昭和四六年分三五回、昭和四七年分二一回であり、その詳細は別表13のとおりである。したがつて、原告の株式売買による所得に対しては、所得税法九条一項一一号により所得税は課せられない。 第三証拠(省略)○ 理由一申告と更正原告が昭和四六年分及び昭和四七年分の所得税の確定申告をしなかつたところ、被告が昭和五〇年一月二五日付で本件処分をしたことは、当事者間に争いがない。 二争いがない所得原告は、昭和四六年分、昭和四七年分として、抗弁(一)の事業所得、給与所得、配当所得、及び抗弁(二)の金銭貸付利息の雑所得があり、したがつて、少なくとも、以上の合計額もある昭和四六年分二六一万〇、一〇七円、昭和四七年分二六一万七、二七一円の総所得があつたことは、当事者間に争いがない。 三株式売買による雑所得(一) 争いがない株式売買による所得について抗弁(三)(四)の株式売買によ 万〇、一〇七円、昭和四七年分二六一万七、二七一円の総所得があつたことは、当事者間に争いがない。 三株式売買による雑所得(一) 争いがない株式売買による所得について抗弁(三)(四)の株式売買による所得のうち、別表10ないし12に記載の売買による所得を除くその余の部分については、当事者間に争いがない。 (二) 原告が訴外Aの取引と主張する売買について原告は、別表10の売買はAが原告名義で行つたもので、原告が行つたものではないと主張している。 (1) 成立に争いがない甲第四号証の一ないし三、同第五号証の一ないし四、同第六号証の一ないし六、同第七号証の一ないし六、同第八号証の一、二、同第九号証、同第一〇号証の一ないし三、同第一二号証の一、二、同第一三号証の一ないし四、同第一四号証、同第一五号証の一ないし四、同第一六号証の一ないし三、同第一七号証の一ないし三、同第一八ないし第二〇号証の各一、二、同第二一号証及び同第二二号証の一ないし四、証人Cの証言及び弁論の全趣旨によつて成立が認められる乙第二号証の一ないし一六、同第三号証の一、二、同第四号証の一ないし二〇一及び同第五号証の一ないし三六、証人A種び同Cの各証言並びに原告本人尋問の結果によると、次の事実を認めることができ、この認定を覆すに足りる証拠はない。 (ア) 別表10の株式取引は、その売買の委託をした山一証券との間では、全て原告名義で行われ、Aの名義で行われたものはなかつた。 (イ) 右取引について、山一証券と売買委託をし、取引の成否を問い合わせ、買受代金の支払いや売却代金の受領を担当したものは、全て原告であつて、Aが行つたものはなかつた。 (ウ) 原告は、右取引がAのために行われることを山一証券に告げたことはなかつた。 (エ) 右取引により買い受けられた株式の株主名義は、原告に書き替えられ て原告であつて、Aが行つたものはなかつた。 (ウ) 原告は、右取引がAのために行われることを山一証券に告げたことはなかつた。 (エ) 右取引により買い受けられた株式の株主名義は、原告に書き替えられ、A名義に書き替えられたものはなかつた。したがつて、その株式の配当も原告に支払われた。 (オ) 原告は、右取引によつて買い受けた株式の株券を、Aに告げずに原告の信用取引の担保として山一証券に提供した。 (カ) 右取引の売却、購入代金が、A名義の預金口座より人出金されたことはなかつた。 (キ) Aは、原告の妻訴外Dの妹にあたり、原告夫婦と同居していた。Aは、昭和一八年生れで、昭和三七年以降資生堂に勤務して経理事務を担当していたものである。 (2) 右認定事実によると、原告は、右の株式取引を自己のために行い、それによる利益も自らが取得したものと推認することができ、この推認を覆すに足りる証拠はない。 (3) 証人Aの証言及び原告本人尋問の結果(以下両名の供述という)中には、右株式取引のうち現物売買は、Aが原告に依頼して原告名義で行つたもので、それによる利益はAに帰属するとの供述部分がある。しかし、これらは次の点を考慮すると到底信用することができない。 (ア) 両名の供述中には、Aはその当時二、三百万円もの金を姉のDに預け、株式買入代金はそのうちより支出して貰い、株式売却代金、配当金等の入金もそのまま姉に預つて貰つていたが、預り金の出入、現在高を記した帳簿は作らず、メモを時々作つていた、という部分がある。しかし、Aは、昭和四六、七年当時、既に二八、九歳になり、会社に勤務して経理事務を担当していたものであるから、姉に金銭を預つて貰つていたというのはいかにも不自然である。そのうえ、姉妹の関係にある者であつても、二、三百万円もの多額の金員を預り、しかも預り金 会社に勤務して経理事務を担当していたものであるから、姉に金銭を預つて貰つていたというのはいかにも不自然である。そのうえ、姉妹の関係にある者であつても、二、三百万円もの多額の金員を預り、しかも預り金の出入が多数に亘る場合は、別個の預金口座を設けるとか、少くとも帳簿により支出、受入、現在高を明らかにするのが通常であるのに、そのようなことはせず、ただ現在高を示すメモを時々作成していたというのであつて、このことは不合理というほかはない。 (イ) 両名の供述中には、Aは、原告の買う株の銘柄に「便乗し」、それに「大体ついて」行つたという部分がある。ところが、前記(一)の当事者間に争いがない事実によると、原告がAの取引であると主張する買受け計一三銘柄、二七回のうち、その買付委託日と同日又はそれ以前に原告が同一銘柄を買付委託しているのは四銘柄、八回に過ぎないことが認められる。そうすると、右供述はこの点で虚偽であり、このことは、両名の供述全体の信用性をも疑わせる理由となるのである。 (ウ) 両名の供述中には、原告主張の取引による取得株式はAに属するという部分がある。しかも、前記認定のとおりそれらの株式の名義は全て原告に書き替えられているのである。Aが株式取引に不慣れだとすれば、それはその手続を原告が代行する理由となつても、取得株式を原告名義としなければならない理由にはならない。そうして、他に原告名義に書き替えなければならない理由があつたことは本件全証拠によつても認められない。 (エ) 両名の供述中には、Aは姉に預けていた金のうち二〇〇万円を昭和四八年以降に返還を受け、それを一部預金したという部分がある。しかし、その預金の事実を裏付ける預金通帳などが書証として提出されていない。 (三) 原告が訴外Bの取引と主張する売買について原告は、別表11の売買はBが原 受け、それを一部預金したという部分がある。しかし、その預金の事実を裏付ける預金通帳などが書証として提出されていない。 (三) 原告が訴外Bの取引と主張する売買について原告は、別表11の売買はBが原告名義で行つたもので、原告が行つたものではないと主張している。 (1) 前記乙第二号証の一ないし一六及び同第三号証の一、二、証人B及び同Cの証言並びに原告本人尋問の結果によると、原告がBの取引と主張するものについても、Bの名ではなく原告名義で山一証券に売買の委託がされ、その売買差益差損も原告名義の口座で決済されたことが認められ、この認定を覆すに足りる証拠はない。 (2) 他方、証人Bの証言によつて成立が認められる甲第一号証、同証言、及び原告本人尋問の結果中には、右取引は、原告と山一証券の承諾のうえで、Bが原告名義で委託売買取引をしたもので、その差益もBが取得したとの供述部分がある。 (3) ところで、弁論の全趣旨によつて成立が認められる甲第二六号証、証人B及び同Cの各証言及び原告本人尋問の結果によると、次の事実を認めることができ、この認定を覆すに足りる証拠はない。 (ア) 原告とBとは同じ会社に勤める同僚であつた。原告は従前より山一証券に担保を差し入れて株式の信用取引を行つていた。Bも株式の信用取引をしたいと考えたが、山一証券に差し入れるべき担保が充分になかつた。そこでBは、山一証券と原告名義で信用取引の売買委託をし、原告がその責任を負うが、原告とBとの間ではその取引に関する損益は全てBに帰属するとすることについて原告と山一証券の社員訴外Cの承諾を取り付けた。 (イ) そこで、Bは、昭和四六、四七年中に、Cに電話をして、原告名義による株式信用取引の売買委託をし、その委託にもとづき売買が行われた。 (ウ) 右のとおり売買委託をした場合、Bは原告にその けた。 (イ) そこで、Bは、昭和四六、四七年中に、Cに電話をして、原告名義による株式信用取引の売買委託をし、その委託にもとづき売買が行われた。 (ウ) 右のとおり売買委託をした場合、Bは原告にその旨を連絡し、原告との間でその売買差益、差損金の精算をした。 (エ) Bは右のようにして信用取引として昭和四七年一月五日買い受けた東映株式四、〇〇〇株のうち二、〇〇〇株を同年七月三日売却し、残余の二、〇〇〇株は同日代金を支払つて株券を引き取り、同年八月二八日株主名義の書替えをした(被告が別表7、9で右同日付で原告の取引と主張する分)。 (4) 右認定の事実によると、(エ)の東映株式については原告ではなくBが売買し、その売買差損もBが負担したものであるし、その余の別表11の個々の売買取引の利益が原告の所得になつたとすることはできない。そうして、他に別表11の売買取引を原告が行い、それによる利益を原告が取得したものと認めるに足りる証拠はない。 (5) そうすると、別表11の売買による利益を原告の所得に算入することはできないことに帰着する。 (四) 原告が山一証券の取引と主張する売買について証人Cの証言によつて成立が認められる甲第二八号証の一ないし六、右証言、及び原告本人尋問の結果によると、山一証券の社員Cは原告の事前の承諾を受けないまま、別表12のとおり原告名義で株式の信用取引の売と買とを同一日中に行い、それによる利益を原告名義の口座に入金したこと、Cはその旨を当日又は翌日に原告に電話で連絡したこと、原告はその取引については全て利益が生じていたので、原告名義による取引を了承し、Cに礼を述べてその利益を取得したこと、以上のことが認められ、この認定を覆すに足りる証拠はない。 そうすると、右取引は事後ではあるが原告の了承(追認)があるからその効果は原告に帰 による取引を了承し、Cに礼を述べてその利益を取得したこと、以上のことが認められ、この認定を覆すに足りる証拠はない。 そうすると、右取引は事後ではあるが原告の了承(追認)があるからその効果は原告に帰属するし、その利益も原告が取得しているのであるから、その所得が原告に属することは明らかである。 (五) 原告の株式売買による雑所得の額について以上の次第で、原告の株式売買による雑所得は、被告主張の売買のうち、別表11の売買を除くその余のものより生じた所得ということになるから、その額は別表14の(2)ないし(12)欄に記載のとおり、昭和四六年分六〇四万九、〇八〇円、昭和四七年分七三一万三、八二二円であることは計算上明らかである。 四株式売買による所得に対する課税(一) 所得税法九条一項一一号イ、同法施行令二六条二項は、株式の譲渡による所得に対しては原則として所得税を課さないものとしながら、例外的に売買回数が五〇回以上であり、かつ、売買株数が二〇万株以上であるときには、所得税を課するものとしている。そこで、原告の所得がこの例外の場合に該当するかどうかについて判断する。 (二) 売買の回数(1) 所得税法施行令二六条二項一号の「売買の回数」とは、その売買を証券会社に委託して行つた場合には、各年ごとに、売の委託の回数と買の委託の回数を加算したものをいうのであつて、一の委託によつて数銘柄の売又は買の委託をしたとき又は一の委託に基づき数個の売又は買が成立したときでも、「売買の回数」は一回にすぎないものと解するのが相当である。 (2) 成立に争いがない乙第一号証、前記乙第四号証の一ないし二〇一及び同第五号証の一ないし三六、並びに証人Cの証言によると、山一証券において行われていた事務取扱は次のとおりであつたことが認められ、この認定を覆すに足りる証拠はない。 前記乙第四号証の一ないし二〇一及び同第五号証の一ないし三六、並びに証人Cの証言によると、山一証券において行われていた事務取扱は次のとおりであつたことが認められ、この認定を覆すに足りる証拠はない。 (ア) 顧客より株式売買の委託を受けたときは、それを受け付けた社員が、直ちに、株式売(買)付注文伝票に、顧客名、株式銘柄、数量、指値を記載し、この時点の時間をタイムレコーダーで印字する(昭和四六年七月ころまでは時間も手書していた)。 (イ) 右の株式売(買)付注文伝票は、各委託ごとに、売と買、現物取引と信用取引に分け、銘柄ごとに別個の用紙で作成する。しかし、これ以上に一個の委託による注文について別個の数枚の伝票を作成することはない。 株式売(買)付注文伝票を作成した後に、その顧客より売買注文株数を増加したい旨の申出があつた場合には、既に作成した伝票の株数の記載を変更することはしないで、増加分について別個の伝票を作成する。 (ウ) 顧客より委託を受けた株式売買の約定が成立したときは、約定の成立毎に、顧客名、銘柄、株数、単価、約定日などを記載した売買報告書を作成し、顧客に送付する。 売買報告書は、株式売(買)付注文伝票と対照して作成されるので、数枚分の伝票分の売買が一枚の売買報告書に記載されることはない。伝票に記載された売買委託株数のうちの一部についてのみ売買約定が成立したときは、委託株数のうち未だ約定の成立していないものがあることを示すため、売買報告書の欄外に、「(委託株数よりそれまでに約定の成立した株数を減じた株数、ただし同一日中に成立した約定の株数は減じない)ノウチ」と表示する。 (3) 右認定の事実によると、一の売買委託で数個の銘柄の注文をしたことがなく、かつ、売買報告書に「(・・・・)ノウチ」との記載がない場合は、その売買報告書に記載の売 減じない)ノウチ」と表示する。 (3) 右認定の事実によると、一の売買委託で数個の銘柄の注文をしたことがなく、かつ、売買報告書に「(・・・・)ノウチ」との記載がない場合は、その売買報告書に記載の売買は一の委託による売買の全てであり、売買報告書の数と売買委託の数とは一致することになる。 そして、原告本人尋問の結果によつて原告が作成したものと認められる甲第二三号証の一ないし三五及び同第二四号証の一ないし二一によると、原告は一の売買委託で、数個の銘柄の株式の売買の委託をしたり、同時に現物取引と信用取引の委託をしたりしたことのないことが認められる。 右認定の事実や、前記乙第三号証の二、同第四号証の一、同号証の四ないし二〇一(売買報告書)、同第五号証の一ないし三、同号証の一〇ないし一二、同号証の二四、二五、同号証の二七、二八、同号証の三二、及び同号証の三五、三六(株式売(買)付注文伝票)によると、原告が前記三に認定した株式売買について、山一証券に対してした売買委託の回数は、少なくとも次のとおりであることが認められ、この認定を覆すに足りる証拠はない。 昭和四六年分計七八回現物取引買九回売三二回信用取引買二〇回売一七回昭和四七年分計七〇回現物取引買一四回売三七回信用取引買九回売一〇回原告は、所得税法施行令二六条二項一号の「売買の回数」は、顧客が何回に亘り委託注文をする意思であつたかによつて定まるとし、原告の売買の回数を昭和四六年分三五回、昭和四七年分二一回と主張している。 しかし、「売買の回数」とは、前述したとおりに解釈されるべきであつて、原告のこの点に関する主張は、独自の見解であつて採用できない。なお、原告の主張が採用できない理由を以下に詳述する。 所得税法施行令二六条二項は、同条一項の納税者の目的により に解釈されるべきであつて、原告のこの点に関する主張は、独自の見解であつて採用できない。なお、原告の主張が採用できない理由を以下に詳述する。 所得税法施行令二六条二項は、同条一項の納税者の目的により決する実質的規定を補完し、形式的で明確な基準により課税の可否を決しようとする規定である。 原告主張のように解すると、極端な場合、納税者が一年分の委託が一回であると考えさえすれば課税を免れることができることになる。ところで、そのような意思は、散発的に少数回しか委託注文しない者よりも、多数の株式を継続して委託注文する者について推認されることになろうが、このような結果が同条や所得税法九条一項一一号の規定に照らして不合理であることは明らかである。 このようにみてくると、「売買の回数」とは、納税者が何回に亘り委託注文をする意思であつたかによつて定められるものではなく、証券会社との間で現に行われた株式売(買)付委託契約の回数によつて定められるべきものである。 そうすると、昭和四六年分、昭和四七年分のいずれについても、原告の売買の回数は五〇回以上であるから、原告の株式売買による所得は、同令二六条二項一号の要件に該当するとしなければならない。 (三) 売買の株数前記三に認定の事実からすると、原告が昭和四六年分、四七年分に売買をした株数は次のとおりである。 昭和四六年分現物取引買三万六、〇〇〇株売一〇万〇、〇二〇株信用取引買一四万四、〇〇〇株売一一万八、〇〇〇株以上計三九万八、〇二〇株昭和四七年分現物取引買八万六、〇〇〇株売九万五、一六六株信用取引買一一万三、〇〇〇株売八万九、〇〇〇株以上計三八万三、一六六株所得税法施行令二六条二項二号の「売買をした株数」とは、各年ごとに、売の株数と買の株数とを加算したものを指称し、一の株をある 引買一一万三、〇〇〇株売八万九、〇〇〇株以上計三八万三、一六六株所得税法施行令二六条二項二号の「売買をした株数」とは、各年ごとに、売の株数と買の株数とを加算したものを指称し、一の株をある年に買い入れて未だ売却していないときでも、その一株は「売買をした株数」に含まれるし、一の株を同一年に売買したときは、売買あわせて二株が「売買をした株数」に含まれるものと解するのが相当である。 そうすると、昭和四六年分、四七年分のいずれについても、売買をあわせた株数は二〇万株以上であるから、原告の株式売買による所得は同令二六条二項二号の要件に該当することになる。 (四) 以上のとおり、原告の株式の売買は、昭和四六年分、四七年分とも、所得税法施行令二六条二項一号、二号の各要件を充しているから、この売買による所得に対しては所得税法七条一項一号、九条一項一一号イにより所得税が課せられる。 五結論以上の次第で、原告の総所得金額は前記二の争いがない額に、前記三の株式売買による所得を加えたもの、即ち、別表14に記載のとおり、昭和四六年分八六五万九、一八七円、昭和四七年分九九三万一、〇九三円ということになる。 そうすると、この額は本件処分が認めた総所得金額を超えるし、原告が確定申告をしなかつたことは当事者間に争いがないから、本件処分はいずれも適法である。 そこで、原告の本件請求を棄却することとし、訴訟費用の負担について行政事件訴訟法七条、民訴法八九条に従い、主文のとおり判決する。 (裁判官古崎慶長井関正裕小佐田潔)

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