令和6(わ)67 入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律違反、公契約関係競売入札妨害被告事件

裁判年月日・裁判所
令和6年7月19日 和歌山地方裁判所
ファイル
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判決文本文2,652 文字)

- 1 - 主文 被告人両名をそれぞれ懲役1年6月に処する。 被告人両名に対し、この裁判が確定した日から3年間、それぞれその刑の執行を猶予する。 理由 【罪となるべき事実】被告人Aは和歌山県日高郡日高川町建設課長として、町道の維持管理に関する事務等を含む同課の業務を統括するなどの職務に従事していたもの、同Bは株式会社Cの代表取締役として同社を経営するとともに同町内の建設会社の多数が加入するD協同組合の理事長として同組合を運営していたものであるが、被告人両名は、同町建設課が令和5年9月20日に入札を執行した「令和4年度繰更新防災第2号-3 町道猪谷線堂浦橋橋梁補修工事」(以下「本件工事」という。)の指名競争入札に関し、同組合に加入する指名業者に本件工事を落札させようと考え、第1 被告人Aは、本件工事の指名競争入札に関し、前記職務に従事する者として適正に入札等に関する職務を行う義務があるのに、その職務に反し、被告人Bらと共謀の上、同月14日、和歌山県日高郡(住所省略)B方敷地内において、被告人Bに対し、本件工事の入札に関する秘密事項である、最低制限価格が設計金額である805万4000円(税抜き)のおおむね87.89パーセントから90.60パーセントの範囲内でいずれかの金額に定まる旨等を記載した書面を交付して、本件工事の最低制限価格が707万9195円から729万4805円の範囲内に定まる旨及び最低制限価格の算定基準となる金額である718万7000円の近似額を教示し、同月20日、同町大字土生160番地所在の同町役場において、同組合に加入するE株式会社に、前記教示内容に基づき最低制限価格711万8005円に近接した713万2000円で入札させて本件工事を落札させ、もって偽計を用いるとともに入札等に関する秘密を教示す 、同組合に加入するE株式会社に、前記教示内容に基づき最低制限価格711万8005円に近接した713万2000円で入札させて本件工事を落札させ、もって偽計を用いるとともに入札等に関する秘密を教示することにより、入札等の公正を害すべき行為を行い、- 2 - 第2 被告人Bは、被告人Aらと共謀の上、同月14日、前記B方敷地内において、被告人Bが、被告人Aから、前記書面の交付を受けて、本件工事の最低制限価格が707万9195円から729万4805円の範囲内に定まる旨及び最低制限価格の算定基準となる金額である718万7000円の近似額の教示を受け、同月20日、前記日高川町役場において、前記Eに、前記教示内容に基づき最低制限価格711万8005円に近接した713万2000円で入札させて本件工事を落札させ、もって偽計を用いて公の入札で契約を締結するためのものの公正を害すべき行為をした。 【証拠の標目】(省略)【法令の適用】(省略)【量刑の理由】 1 被告人Aについて被告人Aは、D協同組合関係者が確実に落札できるように、本件工事の最低制限価格の幅等の秘密事項を被告人Bに教示した。その経緯として、従前日高川町の元建設課長が、同組合を中心とする者らの談合によって公共工事の落札金額が高騰していたことに対し、同組合の理事長である被告人Bに入札の最低制限価格に近い金額を教示するなどして、落札予定業者に確実に落札させる代わりに町の希望する安価な金額での落札を行わせてきた中、被告人Aもこれを引き継ぐ形で犯行に及んだことが認められる。このような行為は、工事を発注する町の財政負担軽減や地元業者の育成といった一見正当な目的を達成しようとするものではあるが、談合に参加しない一部の入札者が如何に緻密な積算を行い、基準額に近い金額で入札し ような行為は、工事を発注する町の財政負担軽減や地元業者の育成といった一見正当な目的を達成しようとするものではあるが、談合に参加しない一部の入札者が如何に緻密な積算を行い、基準額に近い金額で入札しても、前記組合関係者が札を並べて入札して妨害できるという結果を招いており、同町における入札の公正を大きく害した悪質な犯行といえる。 被告人Aは、日高川町建設課長という入札の公正を守るべき立場にありながら、- 3 - 自らも不正を続けることが町の利益であるなどと安易に考えて犯行に及んだのであって、談合による個人的な利益を得ていないことを考慮しても、その動機・経緯に酌むべき点は乏しい。 以上の犯情によれば、事実を認めて反省の情を述べていること、交通事犯以外に前科・前歴がないことなど被告人Aに有利な事情を考慮しても、同人の刑事責任はなお重く、本件について懲役刑が科されることにより失職が見込まれることも踏まえても、懲役刑を選択することはやむを得ない。 2 被告人Bについて被告人Bの本件犯行が日高川町における入札の公正を大きく害する行為であることは、前記1のとおりである。 そして、被告人Bは、D協同組合の理事長として、長年にわたって同組合における談合を取り仕切っていた中、本件犯行に及んでいる。その目的も、落札価格の高騰を防ぐという同町の意向に協力することによって、組合員の入札価格が最低制限価格を下回って失格となることを免れたり、組合員が継続的に和歌山県や日高川町の公共工事の発注を受けられたりするという利益を得ることにあったのであり、落札価格を吊り上げて不当な利益を得ようとしたわけではないことを踏まえても、その動機・経緯に酌むべき点はない。 以上の犯情によれば、事実を認めて反省の情を述べていること、被告人Bから会社の代表 落札価格を吊り上げて不当な利益を得ようとしたわけではないことを踏まえても、その動機・経緯に酌むべき点はない。 以上の犯情によれば、事実を認めて反省の情を述べていること、被告人Bから会社の代表取締役を引き継いだ妻が出廷して監督を誓約していること、前科がないことなど被告人Bに有利な事情を考慮しても、同人の刑事責任は相応に重いといえる。 3 結論以上の諸事情を考慮して、被告人両名をそれぞれ主文の懲役刑に処した上、今回に限り、その刑の執行を猶予することとした。 (検察官の求刑・被告人両名につきそれぞれ懲役1年6月、被告人Aの弁護人の科刑意見・罰金刑、被告人Bの弁護人の科刑意見・刑の執行猶予)- 4 - 令和6年7月19日和歌山地方裁判所刑事部 裁判長裁判官福島恵子 裁判官小林薫 裁判官森谷拓朗

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