平成30(ワ)19852 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
令和元年10月31日 東京地方裁判所
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令和元年10月31日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成30年(ワ)第19852号損害賠償請求事件口頭弁論終結日令和元年9月5日判決 原告 A同訴訟代理人弁護士澤田雄二同新田裕子同海 老 原 輝同訴訟復代理人弁護士小池亮史 被告日本インテグレーテッドワークス株式会社(以下「被告会社」という。)B 被告 C(以下「被告C」という。)被告両名訴訟代理人弁護士福岡秀哉主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求被告らは,原告に対し,連帯して金3375万6000円及びこれに対する平成30年4月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 本件は,発明の名称を「エアゾール装置」とする特許及び発明の名称を「噴出ノズル管の製造方法並びにその方法により製造される噴出ノズル管」とする特許の特許権者である原告が,被告会社や解散前の被告会社の監査役で解散後は被告会社の代表清算人となった被告Cらが,原告の取引先である訴外日本オイルサービス株式会社(以下「訴外日本オイル」という。)に対し,3回にわたり,上記両 特許の特許権を被告会社が「保有する」などと記載し の代表清算人となった被告Cらが,原告の取引先である訴外日本オイルサービス株式会社(以下「訴外日本オイル」という。)に対し,3回にわたり,上記両 特許の特許権を被告会社が「保有する」などと記載した通知書(以下「本件各通知書」という。)を送付した行為について,「競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知・・・する行為」(不正競争防止法2条1項15号),いわゆる信用棄損行為に該当するとして,①被告会社に対し,不正競争防止法4条に基づき,②被告Cに対し,会社法487条1項に基づき,連帯して,損害賠 償金3375万6000円及びこれに対する不正競争行為後の日である平成30年4月9日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 1 前提となる事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実) 原告は,被告会社が平成19年1月23日に設立されてから解散して清算手続に入るまでの間,被告会社の代表取締役を務めていた(甲1)。 被告会社は,工場及び車両用環境浄化装置の製造,販売及び輸出入業務などを目的とする会社であり,自動車用の燃焼室クリーナー製品を開発するなどし ていたが,平成25年7月22日に解散して清算手続に入った(甲1)。 被告Cは,被告会社の解散前は被告会社の監査役を務めており,その解散後,被告会社の代表清算人となった(甲1,乙6)。 B(以下「訴外B」という。)は,被告会社の解散前は被告会社の取締役を務めており,解散後,被告会社の監査役となった(甲1,乙6)。 原告は,次の特許権(以下「本件エアゾール装置の特許権」といい,その特 許を「本件エアゾール装置の特許」という を務めており,解散後,被告会社の監査役となった(甲1,乙6)。 原告は,次の特許権(以下「本件エアゾール装置の特許権」といい,その特 許を「本件エアゾール装置の特許」という。)の特許権者である(甲3)。 特許番号第4619344号出願日平成18年11月10日登録日平成22年11月5日発明の名称エアゾール装置 原告は,次の特許権(請求項の数3。以下「本件ノズル管の特許権」といい,その特許を「本件ノズル管の特許」といい,「本件エアゾール装置の特許権」,「本件エアゾール装置の特許」とあわせて,それぞれ「本件両特許権」,「本件両特許」ということがある。)の特許権者である。本件ノズル管の特許権はもともと請求項の数は3であったが,無効審判請求がされ,平成30年6月11日, 請求項1及び3に係る発明についての特許を無効とし,請求項2に係る発明についての審判請求は成り立たないとする審決がされ,同審決がその後確定したことにより,もとの請求項1及び3に係る発明についての特許権は初めから存在しなかったものとみなされる(甲2,10,乙2ないし4,原告本人〔3頁〕)。 特許番号第4958194号 出願日平成23年6月8日登録日平成24年3月30日発明の名称噴出ノズル管の製造方法並びにその方法により製造される噴出ノズル管 訴外日本オイル及びその関連会社である訴外NUTECJAPAN(以下 「訴外NUTEC」という。)は,平成22年から,被告会社と協働して,エンジンの燃焼室内を清掃する燃焼室クリーナーの製品化に向けた開発を開始した。同年10月ないし11月頃,訴外NUTECにより燃焼室クリー NUTEC」という。)は,平成22年から,被告会社と協働して,エンジンの燃焼室内を清掃する燃焼室クリーナーの製品化に向けた開発を開始した。同年10月ないし11月頃,訴外NUTECにより燃焼室クリーナー「NC901」の販売が開始され,平成23年12月からは,訴外日本オイルにより燃焼室クリーナー「PITWORK エンジンリフレッシュ」の販売が開始 された。 被告C及び訴外Bは,平成24年11月29日,原告に対し,当時の代理人弁護士を通じて,本件ノズル管の特許の特許権者は被告会社であるから特許権者を被告会社に変更するように求める旨の通知書を送付した(甲25)。 原告は,平成25年2月8日,訴外日本オイルとの間で,本件エアゾール装置の特許について,専用実施権設定契約(以下「本件専用実施権設定契約」と いう。)を締結し,同年4月以降,本件エアゾール装置の特許のライセンス料として,訴外日本オイルから,両製品の販売本数に応じて1本当たり150円の支払を受けることとなった。本件専用実施権設定契約は5年ごとの自動更新とされ,また,最低販売本数を12万本として,販売数量がそれに満たない場合には,12万本分の対価との差額等を訴外日本オイルが支払うもので あった。 原告と訴外日本オイルは,平成26年1月14日には,本件専用実施権設定契約の対象製品として「オベロンカーボナイザー CN101」を上記と同額のライセンス料で加える旨合意し,平成28年12月16日には,「NC901」を本件専用実施権設定契約の対象外とする旨合意した(以下,本件専用 実施権設定契約の対象製品を併せて「本件燃焼室クリーナー」ということがある。)。(甲4ないし7) 訴外日本オイルに対し,平成25年5月から平成26年9月までの間に,3回にわ 本件専用 実施権設定契約の対象製品を併せて「本件燃焼室クリーナー」ということがある。)。(甲4ないし7) 訴外日本オイルに対し,平成25年5月から平成26年9月までの間に,3回にわたり,以下の通告行為(以下これらをまとめて「本件各通告行為」という。)がされた(甲8,9,26)。 ア平成25年5月15日付通知書(甲26)による通告行為(以下「第1通告行為」という。)被告C及び訴外Bは,平成25年5月15日,当時の代理人弁護士を通じて,訴外日本オイルに対し,本件ノズル管の特許について,①「特許権は,被告会社に帰属するものであります。」,②「本件ノズル管の製造を中止して くださいますようご連絡いたします。」などと記載された同日付の通知書を 送付した。 イ平成25年9月3日付通知書(甲8)による通告行為(以下「第2通告行為」という。)被告会社は,平成25年9月3日,当時の代理人弁護士を通じて,訴外日本オイルに対し,本件ノズル管の特許について,①「当社の保有する特許」, ②被告会社が清算手続に入るまでの間の「特許使用料を・・・会社宛にお支払いいただきますよう,通知いたします。」などと記載された同日付の通知書を送付した。 ウ平成26年9月24日付通知書(甲9)による通告行為(以下「第3通告行為」という。) 被告会社は,平成26年9月24日,当時の代理人弁護士を通じて,訴外日本オイルに対し,本件両特許について,①被告会社は両「特許を保有しております。」,②被告会社以外の「誰から,どのような形で本件各特許に基づくノズル等の製造及び販売の許諾を得ているのかについて,ご回答くださいますよう,申し入れいたします。」などと記載された同日付の通知書を送付 ②被告会社以外の「誰から,どのような形で本件各特許に基づくノズル等の製造及び販売の許諾を得ているのかについて,ご回答くださいますよう,申し入れいたします。」などと記載された同日付の通知書を送付 した。 平成23年12月から平成29年11月までの本件燃焼室クリーナーの販売数量の合計は,別紙(燃焼室クリーナーの販売本数)の表1のとおりである(甲13の1・2,14の1ないし14の11,16,22の1・2,23,24,67)。 2 争点 原告の営業上の信用を害する虚偽の事実が告知されたか(信用棄損行為該当性)(争点1) 本件各通告行為と損害の発生の有無及び額(争点2) 被告会社の故意又は過失の有無(争点3) 被告Cの悪意重過失による任務懈怠行為の有無及び損害の発生の有無等(争 点4) 消滅時効の成否(争点5)第3 争点に関する当事者の主張 1 原告の営業上の信用を害する虚偽の事実が告知されたか(信用棄損行為該当性)(争点1) 原告の主張本件各通告行為当時,本件両特許の特許権者は原告であった。原告は,平成25年4月以降,訴外日本オイルから本件エアゾール装置の特許のライセンス料の支払を受けていたのであるが,本件各通知書においては,本件ノズル管の特許権について,被告会社に「帰属する」(甲26),被告会社の「保有する」 (甲8),本件両特許権について被告会社が「保有する」(甲9)といった表現が用いられていることからすれば,本件各通告行為は被告会社が本件両特許の特許権者であると告知するものであり,原告の営業上の信用を害する虚偽の事実が告知されたことは明らかである。したがって,本件各通告行為は,いずれも信用棄損行為に該当する。 為は被告会社が本件両特許の特許権者であると告知するものであり,原告の営業上の信用を害する虚偽の事実が告知されたことは明らかである。したがって,本件各通告行為は,いずれも信用棄損行為に該当する。 これに対し,被告らは,本件各通告行為は,被告会社が本件両特許の独占的通常実施権者である旨を告知するものであると主張するが,本件各通知書の記載からそのように理解することはできないし,そもそも原告は本件両特許のいずれについても被告会社に対して独占的通常実施権を付与していないのであるから,被告らの主張は前提を欠いている。また,被告らは,第2通告行為に ついて,本件ノズル管の特許の独占的通常実施権に基づく正当な権利行使として違法性が阻却される旨主張しているが,本件ノズル管の特許の特許権者が被告会社ではないことを知りながら被告会社が特許権者であるなどと偽って特許の使用料を請求する行為は,何ら正当な権利行使ではなく,違法性は阻却されない。 被告らの主張 被告会社は原告から本件両特許について独占的通常実施権の設定を受けていたところ,本件各通告行為は,被告会社が本件両特許の独占的通常実施権者である旨を告知するものであり,「営業上の信用を害する虚偽の事実を告知」するものではないのであるから,いずれも信用棄損行為には該当しない。 仮に,第2通告行為が信用棄損行為に該当するとしても,被告会社が本件ノ ズル管の特許の独占的通常実施権者である旨及びその権利行使を検討する旨を告知するものであり,正当な権利行使として違法性が阻却される。 2 本件各通告行為と損害の発生の有無及び額(争点2) 原告の主張ア被告C及び訴外Bが原告に対して平成24年11月29日に送付した通 知書の内容が訴外日本 阻却される。 2 本件各通告行為と損害の発生の有無及び額(争点2) 原告の主張ア被告C及び訴外Bが原告に対して平成24年11月29日に送付した通 知書の内容が訴外日本オイルの担当者の知るところとなった結果,訴外日本オイルと被告会社の信頼関係に悪影響が生じ,同年12月以降の本件燃焼室クリーナーの販売本数は減少傾向となり,原告が訴外日本オイルとの間で本件専用実施権設定契約を締結した平成25年4月以降も,本件各通告行為がされたことにより,原告と訴外日本オイルとの間の信頼関係が損なわれたた めに,本件専用実施権設定契約当時に想定されていた程には販売本数は伸びなかった。原告は,本件専用実施権設定契約の更新について交渉中であった平成29年12月20日には,更新期間の見直しなどの厳しい条件変更を訴外日本オイルから要求されるに至っており,このことからも,原告と訴外日本オイルとの間の信頼関係が損なわれていることは明らかである。 本件各通告行為によって原告と訴外日本オイルとの間の信頼関係が損なわれ,その結果,本件専用実施権設定契約当時に想定されていた程には本件燃焼室クリーナーの販売本数が伸びなかったのであり,本件各通告行為と本件燃焼室クリーナーの販売減少との間には因果関係がある。 イ本件各通告行為による損害について,平成23年12月から平成29年1 1月までの間の本件燃焼室クリーナーの販売本数は別紙の表1のとおりで あるところ,本件の損害の発生の有無及び額を判断する上では,平成23年12月から平成24年11月までの販売本数と平成24年12月から平成29年11月までの販売本数とを比較するのが相当である。すなわち,本件各通告行為前の本件燃焼室クリーナーの販売本数を考えるに当たっては,訴外NU 24年11月までの販売本数と平成24年12月から平成29年11月までの販売本数とを比較するのが相当である。すなわち,本件各通告行為前の本件燃焼室クリーナーの販売本数を考えるに当たっては,訴外NUTECの製品に訴外日本オイルの製品が加わったことによって被告 会社がライセンス料を安定して得ることができるようになったのが平成23年12月からであることから,同月を始期とするのが相当である。また,会社の会計期間が通常1年間とされていることのほか,被告C及び訴外Bが平成24年11月29日に原告に送付した通知書(甲25)の内容が訴外日本オイルの担当者に知られることとなったことにより原告と訴外日本オイ ルとの間の信頼関係に悪影響が生じ,同年12月の販売本数が減少し,その後も販売本数が伸び悩むようになったことなどに照らすと,同年11月をその終期とするのが相当である。 そして,別紙の表2のとおり,平成23年12月から平成24年11月までの間の販売本数の合計は21万8952本であり,1か月当たりの平均販 売本数は1万8246本であったものの,平成24年12月から平成29年11月までの販売本数の合計は86万1984本であり,1か月当たりの平均販売本数は1万4366本となっており,1か月当たりの平均販売本数は3880本減少している。 したがって,本件燃焼室クリーナーの販売本数は,本件各通告行為によっ て,平成25年4月から平成30年1月までの58か月の間に,1か月当たり平均で3880本,合計で22万5040本減少していると推認できるのであるから,少なくとも,原告には,これに1本当たりのライセンス料150円を乗じた3375万6000円の損害が生じた。 被告らの主張 ア本件各通告行為は原告と訴外日本 認できるのであるから,少なくとも,原告には,これに1本当たりのライセンス料150円を乗じた3375万6000円の損害が生じた。 被告らの主張 ア本件各通告行為は原告と訴外日本オイルとの取引に何らの影響も与えて いない。 第2通告行為後の平成26年1月14日には本件専用実施権設定契約の対象製品に新製品を従前の製品と同様のライセンス料で追加する旨の合意がされていること,本件専用実施権設定契約の更新の際には訴外日本オイルが契約の更新を前提に交渉していることなどからすれば,本件各通告行為に よって原告と訴外日本オイルとの間の信頼関係は何ら損なわれていない。また,後記イのとおり,本件各通告行為によって本件燃焼室クリーナーの販売は減少していない。本件専用実施権設定契約の更新の際に訴外日本オイルが原告に更新期間の見直しなどの条件変更を求めたのは,訴外日本オイルの今後の製品販売見通し等に基づくものである。 イ本件各通告行為後,原告の本件燃焼室クリーナーの販売は減少していない。 第1通告行為後である平成25年6月,7月の本件燃焼室クリーナーの販売本数は同年4月,5月の販売本数と比べて増加し,第2通告行為後である同年10月,11月の販売本数は平成24年の同月の販売本数と比較すると減少してはいるものの,平成25年12月には販売本数は増加に転じている し,第3通告行為後の平成26年12月の販売本数は同年10月,11月の販売本数よりも増加している。 また,本件各通告行為による損害の発生の有無及び額を判断する上では,平成24年4月から平成25年3月までの販売本数と平成25年4月以降の販売本数とを比較するのが相当である。なぜなら,①逸失利益の算定にお いては,損害発生の直近の利益を基準とすべきであるこ ,平成24年4月から平成25年3月までの販売本数と平成25年4月以降の販売本数とを比較するのが相当である。なぜなら,①逸失利益の算定にお いては,損害発生の直近の利益を基準とすべきであることに加え,②平成24年4月以降は被告会社が訴外日本オイルの製品及び訴外NUTECの製品について,1製品当たり150円ないし200円のライセンス料の支払を受けるようになるなど平成25年4月以降との間に取引形態の同一性が認められるからである。別紙の表3のとおり,年度単位の販売本数をみると, 平成25年度以降の各年度の販売本数には多少の増減はあるものの大きな 差はなく,各年度の1か月当たりの平均販売本数は,平成24年度のそれを上回っていることなどからすれば,本件燃焼室クリーナーの販売は減少していない。 これに対し,原告は,被告C及び訴外Bが平成24年11月29日に原告に対して送付した通知書(甲25)の内容が訴外日本オイルの担当者の知る ところとなり,訴外日本オイルと被告会社との間の信頼関係に悪影響が生じたことによって同年12月以降の販売本数が減少したことを根拠に,同年11月から遡って1年間の販売本数を基準に損害の発生の有無及び額を判断すべきと主張する。しかし,原告に送付された同通知書の内容を訴外日本オイルの担当者が認識したと認めるに足りる証拠はなく,また,同通知書の影 響で同年12月以降の販売本数が減少したと認めるに足りる証拠もないのであるから,原告の主張は前提を欠いている。 3 被告会社の故意又は過失の有無(争点3) 原告の主張被告会社は,本件各通告行為の当時,本件両特許の特許権者がいずれも原告 名義であることは当然に認識していた上,被告会社自身が真の特許権者であると主張する法的 ) 原告の主張被告会社は,本件各通告行為の当時,本件両特許の特許権者がいずれも原告 名義であることは当然に認識していた上,被告会社自身が真の特許権者であると主張する法的手続を採るなどしておらず,また,平成26年11月には訴外Bが本件両特許の真の発明者は自分であるなどと主張して無効審判請求を申し立てていることなどに照らすと,各信用棄損行為について,被告会社には「故意又は過失」が認められる。 被告会社の主張本件各通告行為は,被告会社の業務ないし清算業務の一環として,本件両特許に関する権利関係の確認を行うためにしたものであり,本件各通知書はいずれも当時の代理人弁護士に相談の上,弁護士が代理して書面を作成して送付したものであるから,本件各通知書に虚偽が含まれていたとしても,各信用棄損 行為について,被告会社に「故意又は過失」は認められない。 4 被告Cの悪意重過失による任務懈怠の有無及び損害の発生の有無等(争点4) 原告の主張被告Cは,平成25年7月22日以降,被告会社の唯一の清算人であり,かつ,代表清算人であったのであるから,少なくとも,第2通告行為及び第3通告行為は,被告Cの職務としてされたものであることは明らかである。そして, 従前の経緯に加え,被告C自身,訴外Bが申し立てた無効審判請求事件等において訴外Bを支援するために証拠を提出するなど被告会社が特許権者であることと明らかに矛盾する行動をしていることからすれば,被告Cが,本件各通告行為の当時,本件両特許の特許権が原告に帰属するものであることを認識していたのは明らかである。また,被告会社が本件両特許についての独占的通常 実施権を有していないことは前記のとおりであり,被告Cも当然に認識してい 許の特許権が原告に帰属するものであることを認識していたのは明らかである。また,被告会社が本件両特許についての独占的通常 実施権を有していないことは前記のとおりであり,被告Cも当然に認識していた。 したがって,各信用棄損行為について,被告Cに悪意重過失による任務懈怠があることは明らかであり,原告に発生した損害及びその額,任務懈怠と損害との間の因果関係は,上記2で主張したとおりである。 被告Cの主張本件各通告行為は,被告会社の清算業務の一環として,本件両特許について被告会社が有する独占的通常実施権に基づき,訴外日本オイルに対して未払いのライセンス料の支払いを求めるなどしたものであり,いずれも代表清算人たる被告Cの職務であるし,いずれの通知書も,当時の代理人弁護士に相談の上, 弁護士が代理して書面を作成して送付したものであるから,本件各通知書に虚偽が含まれていたとしても,被告Cに悪意重過失による任務懈怠はない。 仮に,被告Cに悪意重過失による任務懈怠があったとしても,原告に損害が発生していないこと,任務懈怠と損害との間に因果関係がないことは,上記2で主張したとおりである。 5 消滅時効の成否(争点5) 被告らの主張原告の主張によると,本件各通告行為によって訴外日本オイルに対する状況確認の釈明に追われたとのことであるから,原告は,遅くとも平成26年10月から平成26年11月頃には加害者を知り,原告と訴外日本オイルとの取引は毎月末締めの翌月末払いであるから,仮に本件燃焼室クリーナーの販売本数 の減少が生じているとすれば,損害は毎月発生し,原告はこれを認識していたということができる。 本訴訟提起が平成30年3月20日であることからすると,原告が請求する 件燃焼室クリーナーの販売本数 の減少が生じているとすれば,損害は毎月発生し,原告はこれを認識していたということができる。 本訴訟提起が平成30年3月20日であることからすると,原告が請求する損害賠償のうち,少なくとも平成25年4月分から平成27年2月末支払分までの逸失利益については,原告が損害の発生を知ってから3年が経過している ため,同期間に生じた逸失利益については消滅時効を援用する。 原告の主張原告が被告会社の会計状況等を把握して本件に係る損害の発生及び加害者を知ったのは,平成29年9月19日に被告会社の各清算事務年度の貸借対照表等の謄本交付請求訴訟を提起したことによるのであるから,原告が損害の発 生及び加害者を知った日は,早くとも平成29年9月19日以降であり,時効期間は経過していないのであるから,被告らによる時効の援用の主張は争う。 第4 当裁判所の判断 1 争点1(原告の営業上の信用を害する虚偽の事実が告知されたか)に関する判断 上記第2の1の前提となる事実に加え,後掲の各証拠及び弁論の全趣旨によれば,本件に関し,次の事実が認められる。 ア被告会社は,自動車エンジン用の燃焼室クリーナー等を開発等するため,原告,被告C及び訴外Bを出資者として平成19年1月に設立された会社である。原告は,被告会社の設立後,解散するまで被告会社の代表取締役であ り,被告Cは,被告会社の解散前は被告会社の監査役で,解散後は代表清算 人であり,訴外Bは,被告会社の解散前は被告会社の取締役で,解散後は監査役である(甲65,乙6,7)。 イ原告は,本件エアゾール装置の特許の特許権者である。本件エアゾール装置の特許は,原告が出願したもので,原告以外の者が保有したことはない。 の取締役で,解散後は監査役である(甲65,乙6,7)。 イ原告は,本件エアゾール装置の特許の特許権者である。本件エアゾール装置の特許は,原告が出願したもので,原告以外の者が保有したことはない。 また,原告は,本件ノズル管の特許の特許権者である。本件ノズル管の特 許は,原告が出願したもので,原告以外の者が保有したことはない。なお,本件エアゾール装置の特許の請求項の数は登録時には3であったところ,訴外Bは,平成26年11月14日,本件ノズル管の特許について特許無効審判を請求し,平成30年6月11日,請求項1及び3に係る発明について原告を発明者と認めることはできず,その発明について原告が発明者から特許 を受ける権利を承継しているとはできないとして,請求項1及び3に係る発明についての原告の特許を無効とし,請求項2に係る発明についての審判請求は成り立たないとする審決がされて同審決はその後確定した。したがって,本件ノズル管の特許の請求項2以外の発明に係る特許は,特許を無効にすべき旨の審決により初めから存在しなかったものとみなされる。(甲2,乙2 ないし4,原告本人〔3頁〕)ウ訴外日本オイル及び訴外NUTECでは,被告会社と協働して,燃焼室クリーナーの開発がされ,平成22年10月ないし11月頃から,訴外NUTECにより燃焼室クリーナー「NC901」の販売が開始され,平成23年12月からは,訴外日本オイルにより燃焼室クリーナー「PITWORK エンジンリフレッシュ」の販売が開始された。 上記両製品に実施される本件エアゾール装置の特許の実施料は,被告会社が上記両製品に用いられる溶剤を上記訴外2社のために発注し,訴外NUTECがその代金に実施料相当額を上乗せした金額を被告会社に支払うことで支払うこととされた。 装置の特許の実施料は,被告会社が上記両製品に用いられる溶剤を上記訴外2社のために発注し,訴外NUTECがその代金に実施料相当額を上乗せした金額を被告会社に支払うことで支払うこととされた。 また,その後,上記溶剤を上記訴外2社が独自に調達するようになったた め,被告会社は,平成24年4月からは,上記両製品に実施される特許のライセンス料として,訴外NUTECの製品については1本当たり200円,訴外日本オイルの製品については1本当たり150円の支払を受けることとなった(甲65,乙7,原告本人〔21頁〕)。 エ被告C及び訴外Bは,平成24年11月29日,原告に対し,当時の代理 人弁護士を通じて,本件ノズル管の特許の特許権者が原告とされているところ,被告会社が費用をかけて発明した特許であり,特許権者を被告会社に変更するよう求める旨の通知書を送付した(甲25)。 オ原告は,平成25年2月8日,訴外日本オイルとの間で,本件専用実施権設定契約を締結し,同年4月以降,本件燃焼室クリーナーに実施される本件 エアゾール装置の特許のライセンス料として,販売本数1本当たり150円の支払を受けることとなった(甲4,5)。 カ訴外日本オイルに対し,平成25年5月から平成26年9月までの間に,3回にわたり,以下の通告行為がされた(甲8,9,26)。 第1通告行為 被告C及び訴外Bは,平成25年5月15日,当時の代理人弁護士を通じて,訴外日本オイルに対し,本件ノズル管の特許は,被告会社に帰属するものであり,被告会社と原告との間で協議が成立するまでの間,ノズル管の製造を中止するよう求める通知書を送付した。その通知書には,「貴社は,特許第4958194号で認定された特許(以下「本件特許」とい い 被告会社と原告との間で協議が成立するまでの間,ノズル管の製造を中止するよう求める通知書を送付した。その通知書には,「貴社は,特許第4958194号で認定された特許(以下「本件特許」とい います。)(判決注:本件ノズル管の特許)の技術を用いたノズル管(以下「本件ノズル管」といいます。)を製作しようとしておりますところ,本件ノズル管は,通知人Bが考案し,A氏名義で特許申請を行ったものであり,その特許権は,日本インテグレーテットワークス株式会社(以下「インテグレーテット社」といいます。)に帰属するものであります。」,「インテグ レーテット社の清算後,本件特許の権利者について,A氏との間での協議 が成立するまでは,本件ノズル管の製造を中止してくださいますようご連絡いたします。」という記載があった。 第2通告行為被告会社は,平成25年9月3日,当時の代理人弁護士を通じて,訴外日本オイルに対し,本件ノズル管の特許について,従前,訴外日本オイル は,本件ノズル管の特許の使用料を被告会社に支払っていたところ,平成25年4月分以降,その支払がないため,同月分以降の特許使用料の支払を求めるなどする通知書を送付した。その通知書には,「当社の保有する特許(特許番号:特許第4958194号,以下「本件特許」といいます。)(判決注:本件ノズル管の特許)」という記載や,「本年4月以降の本件特 許使用料を直ちに・・・通知人会社宛にお支払いいただきますよう,通知いたします。」という記載があった。 第3通告行為被告会社は,平成26年9月24日,当時の代理人弁護士を通じて,訴外日本オイルに対し,被告会社が本件両特許を保有しているところ,訴外 日本オイルは本件両特許に基づいて製造された 為被告会社は,平成26年9月24日,当時の代理人弁護士を通じて,訴外日本オイルに対し,被告会社が本件両特許を保有しているところ,訴外 日本オイルは本件両特許に基づいて製造された製品の販売を継続しているようなので,平成25年4月1日以降に未払いとなっている本件両特許の使用料の有無を回答することなどを求める通知書を送付した。その通知書には,「通知人会社は,特許番号:特許第4619344号及び特許第4958194号の特許(以下併せて「本件各特許」といいます。)(判決注: 本件両特許)を保有しております。」,「通知人会社以外の誰から,どのような形で本件各特許に基づくノズル等の製造及び販売の許諾を得ているのかについて,ご回答くださいますよう,申し入れいたします。」という記載があった。 上記認定事実によれば,本件各通知書には,本件両特許について,被告会社 が「特許を保有」するとの表現が用いられ,本件ノズル管の特許について,被 告会社に「帰属するもの」,「当社の保有する特許」との表現が用いられていた。 これらの表現によれば,本件各通告行為は,訴外日本オイルに対し,被告会社が本件両特許権又は本件ノズル管の特許権を保有するものであることを告知するものといえる。本件各通告行為当時,本件両特許の特許権者は原告であり,被告会社は特許権者ではなかったのであるから,本件各通告行為はいずれ も,「虚偽の事実を告知する」ものであると認められる。 これに対し,被告らは,本件各通告行為は,被告会社が本件両特許について独占的通常実施権を有すること及び権利者として当然の権利行使をする旨を告知するものであり,「虚偽の事実を告知する」ものではないと主張する。 しかし,本件各通知書の上記の記載に照らせば,本件各通 いて独占的通常実施権を有すること及び権利者として当然の権利行使をする旨を告知するものであり,「虚偽の事実を告知する」ものではないと主張する。 しかし,本件各通知書の上記の記載に照らせば,本件各通告行為が被告会社 が独占的通常実施権を有することを告知するものとはいえない。また,被告会社が本件両特許の独占的通常実施権を有していると認めるに足りる証拠もないのであるから,被告らの主張には理由がない。 そして,本件各通告行為は原告が特許権者として契約している契約の相手方である訴外日本オイルに対してされたもので,そこには原告が特許権者ではな いと受け取られる記載がされているのであるから,本件各通告行為は,「原告の営業上の信用を害」し得るものということができる。したがって,本件各通告行為は,不正競争防止法2条1項15号所定の信用棄損行為に該当し得るものである。なお,被告らは,第2通告行為に関し,正当な権利行使として違法性が阻却される旨主張するが,客観的な権利関係とは異なる虚偽の事実につい て,被告会社においてそれを真実であると信じる相当な理由もうかがわれないことなども踏まえると,被告らの主張には理由がない。 2 争点2(本件各通告行為と損害の発生の有無及び額)に関する判断 前提となる事実ア第1通告行為は平成25年5月15日にされたところ,第1通告行為以前 の同年2月から4月の本件燃焼室クリーナーの販売本数は,同年2月が1万 3620本,同年3月が0本,同年4月が6270本であり,第1通告行為後の同年6月から8月までの販売本数は,同年6月が1万4924本,同年7月が1万6446本,同年8月が1万5336本であった。 第1通告行為の後,訴外日本オイルの執行役員であるD(以下「 後の同年6月から8月までの販売本数は,同年6月が1万4924本,同年7月が1万6446本,同年8月が1万5336本であった。 第1通告行為の後,訴外日本オイルの執行役員であるD(以下「D」という。)は,当時の原告の代理人弁護士に対し,「内容を確認しますと販売に影 響が出てしまうこととなりますが,どのような事になっているのでしょうか。 内容が内容なので,当社本部へも至急の報告と対応について問い合わせをいたします。」とのメールを送信した(甲63)。 当時の原告代理人弁護士は,平成25年5月17日,訴外日本オイルのDに対し,「本件特許の特許権者はA個人です。C氏らは,本件特許がインテグ レーテッドワークス社に帰属するなどと述べていますが,法的根拠のない主張です。・・・上記については来週早々にも正式に書面で御社にご連絡したいと存じますが,取り急ぎ要点のみご連絡致します。」などと回答したところ,Dは,同日,同弁護士に対し,「メールの内容を拝読いたしまして不安な気持ちが治まりました。通知については,静観して参ります。」とのメールを返信 した(甲63)。 訴外日本オイルが,通知書の内容について直接原告本人に説明を求めることなどはなかった(原告本人〔33,34頁〕)。 イ第2通告行為は平成25年9月3日にされたところ,第2通告行為以前の同年6月から8月までの本件燃焼室クリーナーの販売本数は,同年6月が1 万4924本,同年7月が1万6446本,同年8月が1万5336本であり,第2通告行為後の同年10月から平成26年3月までの販売本数は,平成25年10月が1万1767本,同年11月が1万1266本,同年12月が1万5207本,平成26年1月が1万7288本,同年2月が1万9796本,同年 10月から平成26年3月までの販売本数は,平成25年10月が1万1767本,同年11月が1万1266本,同年12月が1万5207本,平成26年1月が1万7288本,同年2月が1万9796本,同年3月が1万9419本であった。 訴外日本オイルの担当者は,第2通告行為の後,当時の原告の代理人弁護 士に対し,送付を受けた通知書の内容について問い合わせをした。同弁護士は,訴外日本オイルに対し,通知書の内容は法律的には誤りであり,本件燃焼室クリーナーの販売を躊躇する必要はない旨の説明をしたところ,訴外日本オイルは本件燃焼室クリーナーの販売を継続し,通知書の内容について,原告本人に説明を求めることはなかった(原告本人〔30,31,33,3 4頁〕)。 ウ原告は,訴外日本オイルとの間で,平成26年1月14日,本件専用実施権設定契約の対象製品に「オベロンカーボナイザー CN101」を従前の製品と同様のライセンス料(1製品当たり150円)で加える旨を合意した(甲6)。 エ第3通告行為は平成26年9月24日にされたところ,第3通告行為以前の平成26年6月から8月までの本件燃焼室クリーナーの販売本数は,同年6月が1万3720本,同年7月が2万1287本,同年8月が1万0171本であり,第3通告行為後の同年10月から平成27年3月の販売本数は,平成26年10月が1万1850本,同年11月が1万2014,同年12 月が1万8690本,平成27年1月が1万3286本,同年2月が2万806本,同年3月が1万9021本であった。 第3通告行為後も,訴外日本オイルは本件燃焼室クリーナーの販売を継続し,通知書の内容について,原告本人に説明を求めることはなかった(原告本人〔31,33頁〕)。 1万9021本であった。 第3通告行為後も,訴外日本オイルは本件燃焼室クリーナーの販売を継続し,通知書の内容について,原告本人に説明を求めることはなかった(原告本人〔31,33頁〕)。 オ被告会社(代表清算人被告C)は,訴外日本オイルに対し,平成29年11月24日付け通知書を送付した。同通知書には,第2通告行為において被告会社が訴外日本オイルに本件ノズル管の特許の特許使用料等の請求をしたことが記載された上で,「本件ノズル管の特許のうち,請求項1及び3については,無効審決がされることがほぼ確実であるから,その際には,過去 の通知書における請求は撤回する予定である。」旨記載されていた。訴外日 本オイルは,同年12月初旬ころ,同通知書を受領した(甲27,51)。 上記通知を受けた訴外日本オイルの執行役員であるEは,原告に対し,同年12月20日,「12月初旬に添付書簡がC様より到着致しました。事実がどこにあるのか弊社にても困惑しております。ご周知されておられればお聞かせ願いたく。」との記載があるメールを送信した(甲51)。同メールは, 「前回にご来社ご商談させて頂きました特許専用実施権の契約更新に際し,以下二点の修正ご検討意向につきまして相違ございません。」として,本件専用実施権設定契約の契約期間が満了した後の契約について,①自動車構造の環境変化による外部環境要因に鑑み,現在の5年ごとの更新ではなく,2年ごとの更新を要求し,②①に連動して最低販売本数の撤廃を要求するとい う訴外日本オイルの意向を記載するものであり,その記載の後に,「別事案ですが,」として,被告会社からの平成29年11月24日付けの通知について,上記のとおりの記載があった(甲51)。 カ原告と訴外日本オ ルの意向を記載するものであり,その記載の後に,「別事案ですが,」として,被告会社からの平成29年11月24日付けの通知について,上記のとおりの記載があった(甲51)。 カ原告と訴外日本オイルは,平成30年3月20日,本件専用実施権設定契約を,要旨以下の内容で更新した。最低販売本数に関する条項はなかった(甲 46)。 期間:平成30年4月1日から平成33年3月31日ライセンス料:燃焼室クリーナー1本当たり150円キ訴外日本オイルが販売してきた燃焼室クリーナーは,原告の保有する特許を実施する製品のみである(原告本人[33頁])。 本件各通告行為に対して訴外日本オイルからは前記ア及びイの指摘はあったが,訴外日本オイルが,原告に対し,本件各通告行為により,本件燃焼室クリーナーの販売に問題が生ずることがあるとか,その販売を減少させたと述べたことや,本件専用実施権設定契約の対象となる燃焼室クリーナーの範囲を拡大することができないと述べたことを認めるに足りる証拠はない。 ア訴外日本オイルは,本件各通知書の送付を受けた際には,当時の原告の代 理人弁護士に対して通知書の内容に関する問合せをするなどした。しかし,同弁護士が通知書の内容は法律的な根拠のないものであり,燃焼室クリーナーの販売を躊躇する必要はない旨を説明すると,その説明に納得したことを述べるなどして,その後,本件各通知書の内容について原告本人に直接問い合わせをすることもなく,本件燃焼室クリーナーの販売を継続した。訴外日 本オイルが,原告に対し,本件各通告行為により,本件燃焼室クリーナーの販売に問題が生ずることがあるとか,その販売を減少させたと述べたことや,本件専用実施権設定契約の対象となる燃焼室クリーナーの範囲を拡大す ルが,原告に対し,本件各通告行為により,本件燃焼室クリーナーの販売に問題が生ずることがあるとか,その販売を減少させたと述べたことや,本件専用実施権設定契約の対象となる燃焼室クリーナーの範囲を拡大することができないと述べたことは認められない。 イ本件各通告行為の前後の本件燃焼室クリーナーの販売本数の合計を比較 すると,第1通告行為については,通告行為以前の3か月間の販売本数と比べて通告行為後3か月間の方が販売本数は増加したし,第2通告行為及び第3通告行為についても,通告行為以前の3か月間の販売本数と比べて通告行為後3か月間の販売本数は減少したものの,さらにその後3か月間の販売本数は通告行為以前の販売本数よりも増加した。 ウ第2通告行為後の平成26年1月14日には,原告と訴外日本オイルとの間で,新たな製品を本件専用実施権設定契約の対象製品とする旨の合意が成立した。平成29年には,訴外日本オイルは,本件専用実施権設定契約の更新を前提として契約条件について交渉し,その後,平成30年3月には,本件専用実施権設定契約について,対象製品のライセンス料について,従前と 同じ額で更新した。 エ原告は,訴外日本オイルとの間では,将来的にはNISSANブランドの燃焼室クリーナーだけでなく,マツダやダイハツといった他のブランドの燃焼室クリーナーにまで対象製品を拡大していくという話があったものの,本件各通告行為によって原告と訴外日本オイルとの間の信頼関係が損なわれ たために,対象製品が他のブランドにまで拡大せず,燃焼室クリーナーの販 売本数が想定されていた程には伸びなかったとか,その信頼関係が破壊されたことは本件専用実施権設定契約の更新に関する交渉の際の訴外日本オイルの要求から明らかである旨供述する(原告本人〔1 売本数が想定されていた程には伸びなかったとか,その信頼関係が破壊されたことは本件専用実施権設定契約の更新に関する交渉の際の訴外日本オイルの要求から明らかである旨供述する(原告本人〔13,18,32頁〕)。 しかし,ライセンスの対象となり得る新たな製品が製造されなかったとしても,その理由は証拠上明らかでなく,ライセンスの対象となり得る新たな 製品が製造されなかったことが本件各通告行為によるものであるとは認められない。また,原告は,本件各通告行為が本件専用実施権設定契約の更新の際の交渉に与えた影響についても指摘するが,訴外日本オイルからのメールには,本件専用実施権設定契約の更新の話と被告会社からの通告行為とは別事案である旨の記載があり,また,同メールの記載によっても,更新後の 契約の条件は外部環境要因の変化を踏まえて交渉がされたと認められるから,原告の主張には理由がない。 また,原告は,被告C及び訴外Bが原告に対して平成24年11月29日に送付した通知書の内容が訴外日本オイルの担当者の知るところとなった結果,訴外日本オイルと被告会社の信頼関係に悪影響が生じたと主張するが, 原告に対して送付された同通知書の内容が訴外日本オイルの担当者の知るところとなったことを認めるに足りる証拠はない。なお,その後の第1通告行為の後,訴外日本オイルの担当者が原告代理人の説明に納得したことを表明しているア),この点からも,原告に対する平成24年11月29日の書面の送付が原告と訴外日本オイルの信頼関係や本件燃焼 室クリーナーの販売に影響したと認めることはできない。 オ上記に照らせば,本件各通告行為によって原告と訴外日本オイルとの間の信頼関係が損なわれたと認めることはできず,本件各通告行為によって,訴 室クリーナーの販売に影響したと認めることはできない。上記に照らせば,本件各通告行為によって原告と訴外日本オイルとの間の信頼関係が損なわれたと認めることはできず,本件各通告行為によって,訴外日本オイルが本件燃焼室クリーナーの販売を躊躇するようになり,本件専用実施権設定契約当時に想定されていた程に販売本数が伸びなかったとは認めることはできない。 以上によれば,本件各通告行為と原告の主張する損害との間に因果関係がないことは明らかである。 3 結論以上のとおり,本件各通告行為と原告の主張する損害との間には因果関係がなく,その余の点について判断するまでもなく,原告の請求には理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第46部 裁判長裁判官柴田義明 裁判官安岡美香子 裁判官古川善敬 (別紙)省略

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