平成14(わ)3206 非現住建造物等放火未遂被告事件

裁判年月日・裁判所
平成15年12月25日 名古屋地方裁判所
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判決文本文8,692 文字)

主文 被告人を懲役3年に処する。 未決勾留日数のうち150日を刑に算入する。 この裁判確定の日から4年間刑の執行を猶予する。 理由 (犯罪事実)被告人は第1 平成14年6月25日午前3時30分ころ,現に人が住居として使用せず,かつ,人が現在しない宗教法人A教会が所有する,名古屋市a区bc丁目d番e号所在の同教会付属のB幼稚園園舎(鉄筋コンクリート造2階建て,延べ床面積約510.35平方メートル)が焼損するかもしれないことを認識しながら,あえて,同園舎事務室の床などに灯油を散布し,その上にタオルを置いた上,そこに火のついたキッチンペーパーなどを投下して放火したが,Cと共に自ら消火したため,床面を一部焦がしたにとどまり,焼損するに至らなかった。 第2 同月28日午前6時50分ころ,現に人が住居に使用せず,かつ,現に人がいない前記B幼稚園園舎が焼損するかもしれないことを認識しながら,あえて,同園舎事務室東側床上に置いてあった紙芝居用具や同事務室内に置いてあった書類などに点火棒式ガスライターで点火して放火したが,Cと共に自ら消火したため,同園舎廊下の壁面等を一部焦がしたにとどまり,焼損するに至らなかった。 (証拠)(省略)(事実認定の補足説明及び弁護人の主張に対する判断)第1 被告人は,判示各事実につき,いずれも補助金交付申請のための書類(以下「申請書類」という。)を燃やすことが目的であり,判示B幼稚園園舎(以下「園舎」という。)を燃やすつもりはなかったと弁解し,弁護人も同様に主張し,被告人には非現住建造物である園舎に放火する故意はなかったと主張するほか,仮に故意があったとしても,被告人には中止未遂が成立するし,また,被告人は本件各犯行当時外傷後ストレス障害(以下「PTSD」という。)及び抑うつ状態にあったので,責任無能力であったか限定責任能 か,仮に故意があったとしても,被告人には中止未遂が成立するし,また,被告人は本件各犯行当時外傷後ストレス障害(以下「PTSD」という。)及び抑うつ状態にあったので,責任無能力であったか限定責任能力であったと主張する。そこで,当裁判所が判示各事実を認定し,本件各犯行当時,被告人が完全責任能力状態であったと認定した理由を以下補足して説明する。 第2 被告人の認識について 1 客観的事実関係証拠によれば以下の事実が認められる。 (1) 平成11年4月,被告人は夫のCが判示宗教法人A教会に異動したのに伴い,家族とともに転居し,同年7月ころから教会付属B幼稚園の事務を担当するようになった。 (2) 同13年4月6日,園舎が放火されて全焼し,補助金申請に必要な帳簿等が焼失したため,被告人の事務である申請書類の提出期限を守ることができなかったが,前任者や公認会計士の協力を得て期限の約1か月後に必要書類を提出し,無事手続きを済ませることができた。 (3) この火災後,被告人は,D教区の婦人連盟会長としての仕事やボランティア活動などの従来の仕事に加えて,園舎再建のための仕事も手伝うようになったことから,仕事量が増加し,さらに,園舎が完成し,その引っ越しで忙しくなった同14年3月ころから,被告人はしばしば体調の不具合を感じるようになった。そのために被告人は幼稚園の事務になかなか集中できず,申請書類作成のための収支を合わせる仕事が進まなくなった。 (4) 同年6月19日,愛知県私立学校補助金事務説明会において,B幼稚園の必要書類の提出期限が1週間後の同月26日と指定されたが,被告人の申請書類作成の仕事は進んでいなかった。 (5) 同月25日午前2時ころ,被告人は自宅居間でうたた寝をしていたところ,火事の夢を見て目を覚ました。そのとき,被告人は前年に園舎が放火 されたが,被告人の申請書類作成の仕事は進んでいなかった。 (5) 同月25日午前2時ころ,被告人は自宅居間でうたた寝をしていたところ,火事の夢を見て目を覚ました。そのとき,被告人は前年に園舎が放火され全焼した際には書類の焼失により申請の遅れが許されたことを思い出し,申請書類を燃やして提出期限に間に合わない旨申し出ようと考えた。そこで,被告人は,500ミリリットルサイズのペットボトルと2リットルサイズのペットボトル各1本に灯油を入れ,マッチ箱を手に取り,園舎北側出入口のドアを解錠して園舎内に入った。そして,被告人は,申請書類が保管してある事務室に行き,書庫のかぎを開けて,その2段目あたりに灯油をまいた。さらに,事務室の机や床にも灯油をまき,事務室から出て反対側の壁にそっておいてある本箱,ホール北側出入口近辺の床,ホールの壁に掛けてあったタペストリーにも灯油をまいた。その後,被告人は事務室の床にまいた灯油の上にタオルを投げ,そこに向けて何本かマッチを擦って投げたが,火はタオルや灯油には燃え移らなかった。そこで,被告人はマッチを探しに台所に行ったところ,キッチンペーパーがあったので,それにガスコンロで火を付けて菓子箱に乗せ,台所から事務室の灯油のまかれた床の上に菓子箱ごと投げ入れ,すぐに園舎北側出入口から外に出て隣接する自宅居間に戻った。その一,二分後,園舎の火災報知器が作動し,Cが起きたのち,被告人はCと一緒に園舎に行き,手分けして消火した。 (6) 灯油がまかれた事務室床に投げられたキッチンペーパーや厚紙はそれぞれ半分程度焼損しており,その床のフローリングは約35センチメートル×45センチメートルの範囲が炭化していた。 (7) 同月28日午前6時30分ころ,被告人が台所にいたところ,Cが起きてきて風呂に入った。Cが風呂に入っている間に, フローリングは約35センチメートル×45センチメートルの範囲が炭化していた。 (7) 同月28日午前6時30分ころ,被告人が台所にいたところ,Cが起きてきて風呂に入った。Cが風呂に入っている間に,被告人は用意していた点火棒式ガスライター(以下「チャッカマン」という。)を持って園舎に行き,事務室の中の紙芝居の入った茶色段ボール箱,事務室の机の上にあった色紙,コピー機の横に積み重ねてあったコピー用紙,被告人の机の後ろに置いてあるスチールの2段式の棚の上段に置いてあった申請書類,被告人の机の下に置いてあった手提げ紙袋,廊下床に置いてあった籐の籠,壁に飾ってあったカーテン,タペストリーにチャッカマンで次々に火を付け,その後自宅台所に戻った。その後二,三分して園舎の火災報知器が作動し,被告人は風呂場に行って,Cに火災報知器が鳴っていることを知らせた。Cは被告人に先に行くように言ったため,被告人は先に園舎北側出入口まで行き,その後Cと一緒にバケツに水をくむなどして消火した。 (8) その結果,園舎の廊下西側の高さ94センチメートルの化粧壁のうち0.2368平方メートル,事務室南西方机の下にあった封筒,書類,その東側にあるパイプ式収納棚上段の申請書類等,その北東にあるコピー機の東側の段ボール箱に収納されたコピー紙上部,東方に並べられた机の上のパンフレットや段ボール箱に入った紙芝居がそれぞれ焼損したほか,事務室西側廊下の西側壁に接して置いてあった籐の籠,北側廊下の壁,木製ベンチの一部が焦げた。 (9) 同年7月3日,被告人は,愛知県の私学振興室に,書類が焼失したから提出できないと申し立て,同月16日,公認会計士に,火事で書類が燃えてしまったため決算書等がまだできていないことを相談して,その作成を依頼した。同月23日,申請書類は提出された。 2 被告人 たから提出できないと申し立て,同月16日,公認会計士に,火事で書類が燃えてしまったため決算書等がまだできていないことを相談して,その作成を依頼した。同月23日,申請書類は提出された。 2 被告人の園舎に対する放火の故意について(1) 前記認定事実によれば,判示第1の放火行為は,園舎の事務室の床などに灯油を散布し,灯油をまいた事務室の床にタオルを置き,その上に火のついたキッチンペーパーを投げ落としたものであり,その結果現に床も焦げたのであるから,そのまま放置すればキッチンペーパーの火が事務室の床に燃え移り園舎が焼損する可能性があったと認められ,被告人においても,このような行為をすれば園舎に火が燃え移り,園舎が焼損するかもしれないということは当然認識していたものと推認できる。また,判示第2の放火行為も,園舎廊下の壁際にあった籐の籠や,壁に飾られたカーテン等に点火して火を付けており,その結果現に化粧壁が焼損しているのであって,園舎が焼損する可能性があったことが認められ,被告人においても,このような行為をすればこれらの火が園舎の壁などに燃え移り,園舎が焼損することがあることを認識していたものと推認できる。そして,被告人が,第1,第2の各犯行において,火を付けた後園舎に火が燃え移らないようにするための措置をとることなくその場を立ち去り,火災報知器が作動するまでは消火活動に向かわなかったことも併せると,被告人が,園舎の床や壁などに火が燃え移って園舎が焼損してしまうかもしれないがそれも構わないと認識しながら,あえて火を放ったものと優に推認できる。 (2) この点,被告人は捜査段階において,判示第1及び第2のいずれについても,申請書類を燃やすことが目的であって園舎を全焼させるつもりまではなかったが,園舎の床や壁を焼損するかもしれないことは分かってい この点,被告人は捜査段階において,判示第1及び第2のいずれについても,申請書類を燃やすことが目的であって園舎を全焼させるつもりまではなかったが,園舎の床や壁を焼損するかもしれないことは分かっていた旨その心情も含めて具体的に供述しており,この供述は,前記客観的状況によく符合しており,特に不自然,不合理な点はなく信用できる。 (3) したがって,判示第1及び第2のいずれについても,被告人が園舎に燃え移るかもしれないがそれも構わないと認識しながら,あえて放火したものと認められるから,被告人には,非現住建造物である園舎に対する放火の故意があったと認められる。 3 被告人の弁解及び弁護人の主張(1) これに対して,被告人は以下のとおり弁解する。 判示第1及び第2のいずれについても,申請書類だけを燃やすことが目的であって,園舎を燃やそうとか,燃えても仕方がないなどとは思っていなかったし,前年園舎に放火した犯人のせいにするつもりで火を付けたものでもない。判示第1については,500ミリリットルサイズのペットボトルに灯油を準備したこと,マッチを擦って,廊下から事務室の中に投げ入れたこと,台所で目に付いたキッチンペーパーに火を付けて投げ入れたこと,判示第2については,初めに目に付いた段ボールに火を付けたこと,申請書類に火を付けたことぐらいしか覚えていない。第2のときは早く帰りたいという思いだけであり,一番最初に目に付いたものに火を付けただけで,申請書類であるとかそれ以外のものであるとかの区別はなかった。 しかし,そもそも,被告人の公判供述は,申請書類だけを燃やすつもりであったというが,それではなぜわざわざ灯油まで準備して申請書類以外にもまいたり,申請書類ではないものに火を付けるなどの園舎が焼損するおそれのある放火行為に及んだのかについて,納得のいく説 すつもりであったというが,それではなぜわざわざ灯油まで準備して申請書類以外にもまいたり,申請書類ではないものに火を付けるなどの園舎が焼損するおそれのある放火行為に及んだのかについて,納得のいく説明をしていないのであって,信用できない。 (2) 弁護人は,被告人は園舎の再建に尽力していたのであるから,完成した園舎を焼損しようとか,焼損しても構わないなどと考えることはあり得ないし,本件各犯行当時被告人は心神耗弱又はそれに極めて近い状態にあったから,通常人であれば園舎への延焼の可能性を認識予見し得たとしても被告人には認識できなかったとして,被告人には園舎を焼損することの故意はなかったなどと主張する。 しかし,床や壁など一部が燃えてしまうのは構わないが,全焼することまでは望んでいたわけではないという被告人の捜査段階の供述は,園舎の再建に尽力していた者の心情として十分理解できる。また,後述するとおり被告人は心神耗弱状態にはなかったと認められるし,床や壁に接したものに火を付ければ,床や壁に燃え移る可能性があることは容易に予見しうることであって,被告人に予見できなかったとは考えられない。弁護人の主張は採用できない。 第3 中止未遂の成否 1 弁護人は,被告人は本件各犯行のいずれについても,何ら外部的な要因に基づかない自己の任意の意思で消火行為に及び,結果発生の防止をしているのであるから,中止未遂が成立すると主張する。 2 しかしながら,被告人はもともと園舎を積極的に全焼させることまで望んでいたわけではなく,本件各犯行の実行行為後,消火活動を行うことを予定していたものと認められる。しかし,被告人は,実行行為後火災報知器が作動するまでの間いつでも消火に向かうことができたのに,これをせず,火災報知器が作動した後で,しかも,第1のときは,火災報知器の音で起き たものと認められる。しかし,被告人は,実行行為後火災報知器が作動するまでの間いつでも消火に向かうことができたのに,これをせず,火災報知器が作動した後で,しかも,第1のときは,火災報知器の音で起きてきたCが「どうしたんだ」などと話しかけてくるまで,また,第2のときは,わざわざ風呂に入っていたCに知らせ,Cから先に行くように言われるまで消火に向かうのを待っていたのである。このように被告人が,火災報知器の作動したことをCが関知するまで消火に向かわなかったのは,園舎での火災発生を外部的な事情で知りうる前に自分が消火してしまうと,自分が犯人であることが分かってしまうので,火災報知器が作動して初めて自分も火災発生を知ったということをCに示し,自分が犯人であることを隠すためであったと推認できる。つまり,被告人は,結果の発生を防止することよりも,自己が犯人であることを隠すことを優先させ,その結果,中止のための行為をする時期を遅らせたものである。そうすると,前記第2の1(5)(7)のとおり,被告人が現実にCとともに消火行為を行い,結果も発生しなかったことは認められるものの,上記のとおりの被告人が消火をするに至った経緯等を考慮すると,被告人は結果発生防止のため真摯な努力をしたとはいえず,被告人がした消火行為は中止未遂にいう中止行為とはいえない。 よって,本件各犯行のいずれについても,被告人に中止未遂は成立しない。 3 弁護人は,るる主張するが,いずれも中止行為があったことを前提とするものであるから,理由がない。 第4 責任能力について 1 弁護人は,被告人は本件各犯行当時PTSD及びうつ病に罹患していた可能性が高く,異常な心理状態に陥り,了解困難な動機に基づいて,被告人の通常の人格から離れた放火という重大犯行を行ったものであるから,被告人は心神喪失又は 件各犯行当時PTSD及びうつ病に罹患していた可能性が高く,異常な心理状態に陥り,了解困難な動機に基づいて,被告人の通常の人格から離れた放火という重大犯行を行ったものであるから,被告人は心神喪失又は心神耗弱であったと主張する。 2 しかしながら,信用できる被告人の捜査段階の供述調書によれば,被告人は,犯行状況や犯行に至る経緯,犯行後の状況等について記憶に基づき具体的に供述している。そして,火災のために申請書類が焼失したことで申請が遅れたが,無事手続きを済ませることができた前年を思い出し,他の方法ではなく放火を思いついたという犯行動機は,その後現に申請書類が焼失したことを申し立てていることからしても,十分了解可能である。また,申請書類だけを燃やすと怪しまれるので,灯油をいろいろなところにまいたり,申請書類以外のものにも火を付けたという犯行態様も合理的な行動といえる。また,第2の犯行においては,Cが風呂から出る前で子供達が起きるまでの間が申請書類を人に知られずに燃やす最後のチャンスであったと考えたため,直接申請書類に火を付けたというのであるが,この行動も十分合理的である。その上,被告人は,第1の犯行の際,自分が悪いことをしようとしているとの意識があったので,灯油をまくことをためらい,手が震えてなかなかまけなかったとか,第2の犯行の際には,火を付けるためにチャッカマンを用意してからも,悪いことであると分かっていたので,なかなか放火に踏み切れないまま朝を迎えたなどと供述している。これらの供述によれば,本件各犯行当時,被告人は自己の行為の違法性を認識したことから,実行をためらっていたことが認められるのであって,このことは,本件各犯行当時,被告人の判断能力が正常であったことを示している。そのほか,Cは本件各犯行当時被告人に格別異常を感じていないし たことから,実行をためらっていたことが認められるのであって,このことは,本件各犯行当時,被告人の判断能力が正常であったことを示している。そのほか,Cは本件各犯行当時被告人に格別異常を感じていないし,被告人にこれまで精神科の通院歴もない。 3 これに対し,弁護人は,平成13年に園舎が全焼した体験により,被告人はPTSDに罹患していたと主張する。しかし,同じ出来事が再度起こるのではないかとの恐怖,不安が頭から離れないというPTSDの三大症状の一つである体験の想起の特徴からすると,原因となった出来事を想起させるような行為をすること自体がこの症状と矛盾するといわざるを得ず,被告人がPTSDに罹患していたとの主張は採用できない。 また,弁護人は被告人がうつ病に罹患していたとも主張する。しかし,被告人は,上記のとおり,補助金の申請書類に関する仕事についてははかどらなかったものの,それ以外のボランティア活動などでは特に支障があったというわけではなく,すべての活動がおっくうであるとか集中できないという状況ではなかったものと認められる。また,被告人が寝不足であったことがうかがわれるが,この点も,仕事量の増加から,単に苦手な経理関係の仕事が手に負えなくなり,それでも何とかしようとしていた結果と考えられる。以上に加えて,上記のとおり,夫のCが被告人に格別異常を感じておらず,被告人に精神科の通院歴がないことも併せると,うつ病に罹患していたとする根拠は見当たらないというべきである。 4 以上の次第であるから,本件各犯行当時,被告人の事理弁識能力及び行動制御能力のいずれも欠如していなかったし,著しく減弱した状態にはなかったものと認められる。 (法令の適用)罰条第1,第2 いずれも刑法112条,109条1項併合罪の処理刑法45 れも欠如していなかったし,著しく減弱した状態にはなかったものと認められる。 (法令の適用)罰条第1,第2 いずれも刑法112条,109条1項併合罪の処理刑法45条前段,47条本文,10条,14条(犯情の重い第1の罪の刑に法定の加重をする。)未決勾留日数の算入刑法21条刑の執行猶予刑法25条1項(量刑の理由)本件は,幼稚園の事務をしていた被告人が,補助金申請の書類を期限までに提出できない状況となったため,その提出が遅れた正当な理由を作ろうと考え,2度にわたり幼稚園の園舎の床や書類等に放火したが,夫とともに消火したためいずれも未遂に終わったという事案であって,動機が短絡的かつ身勝手である。第1の犯行では,灯油を散布しており,第2の犯行では,数か所に火を放っているのであって,態様もよくない。また,現場は住宅密集地であって,同じ敷地内には被告人の家族が居住していた建物も隣接していたのであり,危険な犯行である。第1の犯行のわずか3日後に再び第2の犯行に及んでおり,連続して行った放火により周辺住民等に与えた不安感も軽視できない。 そうすると,被告人の刑事責任は軽くない。 一方,いずれの犯行も,未遂に終わっており,被告人自身も消火活動をしたこと,主たる目的は書類を焼失させることであって,建物を全焼させることまで考えていたわけではなく,建物の焼損についての故意は未必的なものにとどまること,本件各犯行により発生した損害については弁償していること,幼稚園を所有する教会の代表者が寛大な処分を求めているほか,多数の嘆願書が出ていること,被告人には犯罪歴はないことなどの事情も認められる。 そこで,これらの諸事情を総合考慮して,主文の量刑とし,刑の執行を猶予することとする。 (求刑-懲役3年 ているほか,多数の嘆願書が出ていること,被告人には犯罪歴はないことなどの事情も認められる。 そこで,これらの諸事情を総合考慮して,主文の量刑とし,刑の執行を猶予することとする。 (求刑-懲役3年)平成15年12月25日名古屋地方裁判所刑事第3部裁判長裁判官片山俊雄裁判官岩井隆義裁判官石井寛

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