主文 原判決を破棄し、本件を東京高等裁判所に差し戻す。理由 上告代理人半田和朗の上告理由について。上告人の本訴請求は、要するに、「上告人は有限会社Dタクシーの社員として同会社に対し、出資口数六〇〇口(一口一、〇〇〇円)に応ずる持分を有するものであるところ、右有限会社は、上告人不知の間に、昭和四一年一〇月一三日株式会社に組織変更されて被上告会社となり、同月二四日その旨の登記がされるに至つた。しかし、右組織変更による被上告会社の設立は、総社員の一致による総会の決議を欠き無効であるから、株式会社の設立無効の訴に関する商法四二八条の規定に則り、その設立無効の判決を求める。また、上告人の右持分は、同人がこれを他に譲渡したことがないのに、訴外Eの名義に変更されているので、被上告会社に対し、自己が有限会社Dタクシーに対する前記持分を有することの確認を求める。」というにある。これに対して、原判決は、上告人は、被上告会社の株主でも取締役でもないから、本件訴の当事者適格を有しないものであり、もし、事実が上告人の主張のとおりであるならば、有限会社Dタクシーは、登記簿上は抹消されても、なお存続している筈であるから、それを相手取り、組織変更の社員総会の決議の無効ないし不存在の確認の訴を提起すれば足り、その際、同会社の持分確認を求めればよい、したがつて、本訴請求は正当な利益をも欠くものであり、いずれにしろ却下を免れない、として、右請求を排斥している。しかしながら、会社の組織変更は、会社がその前後を通じて同一人格を保有するものとはいえ、法がそのために、総株主または総社員の一致による総会の決議等一定の厳格な手続を要求し、かつ、登記簿上は、旧会社の解散および新会社の設立の各登記を経ることとし、あたかも会社の設立または ものとはいえ、法がそのために、総株主または総社員の一致による総会の決議等一定の厳格な手続を要求し、かつ、登記簿上は、旧会社の解散および新会社の設立の各登記を経ることとし、あたかも会社の設立または合併の如き手続を規定している- 1 -こと、ならびに、組織変更が、会社と利害関係を有する多数の者との間における複雑な法律関係に影響を及ぼすため、その無効については画一的な処理を必要とすることを考え合せれば、その手続に重大な瑕疵があるとしてその無効を争う場合には、会社の設立無効の訴に関する商法四二八条の規定を準用し、組織変更後の会社の株主または取締役は、組織変更後の会社を被告として、その設立無効の訴を提起しうるものと解するのが相当である。 と、ならびに、組織変更が、会社と利害関係を有する多数の者との間における複雑な法律関係に影響を及ぼすため、その無効については画一的な処理を必要とすることを考え合せれば、その手続に重大な瑕疵があるとしてその無効を争う場合には、会社の設立無効の訴に関する商法四二八条の規定を準用し、組織変更後の会社の株主または取締役は、組織変更後の会社を被告として、その設立無効の訴を提起しうるものと解するのが相当である。そして、有限会社が株式会社に組織変更された場合において、組織変更当時有限会社の社員たる地位を有していた者は、当然株主たる地位を与えられるべきものであるから、なんらかの故なき理由で表面上株主として遇せられていないとしても、実質上は、なお株主としての地位を有するものというべきであり、商法四二八条の準用にあたつては、なお株主に準じて、右組織変更後の株式会社の設立無効の訴を提起しうべき原告適格を有するものと解すべきである。また、組織変更は、その前後を通じて会社の人格を異ならしめるものではないから、有限会社に対して社員がその地位の確認を求める場合のような会社組織の内部関係の問題については、組織変更後の会社も、その以前の会社と選ぶところはなく、また、上告人が組織変更前の有限会社の社員たる地位を有するかどうかは、本訴のような事由に基づいて組織変更の瑕疵をいう設立無効の訴においては、その前提要件として、その訴訟手続内で審理判断すべきことであるから、上告人は被上告会社を相手として、組織変更前の有限会社Dタクシーに対し、前記 由に基づいて組織変更の瑕疵をいう設立無効の訴においては、その前提要件として、その訴訟手続内で審理判断すべきことであるから、上告人は被上告会社を相手として、組織変更前の有限会社Dタクシーに対し、前記持分を有することの確認を求めることもできるというべきである。それゆえ、右と異なる見解のもとに、本訴請求を排斥した原判決は、この点に関する法令の解釈適用を誤つた違法があるものというべく、論旨はこの点において理由があり、原判決は破棄を免れない。そして、本件は、さらに本案について審理をする必要があるから、これを原審に差し戻すのが相当である。- 2 -よつて、民訴法四〇七条を適用して、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官関根小郷裁判官田中二郎裁判官下村三郎裁判官松本正雄- 3 -
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