主文 本件上告を棄却する。上告費用は上告人の負担とする。理由 上告代理人鈴木康隆の上告理由第一点について。被上告人は、昭和三八年三月上告人に対し農地である本件土地を一時的に賃貸することになり期間を一年とする賃貸借契約を締結してその引渡をし、昭和三九年二月および昭和四〇年二月の二回にわたりいずれも期間を一年として右賃貸借契約を更新し、その間本件土地は上告人において耕作しているが、当初の賃貸借契約およびその後の更新契約のいずれについても農地法所定の許可申請手続がとられず、したがつて、右の許可はされていない。しかるところ、被上告人は、昭和四一年二月ごろ上告人に本件土地の返還を求めた。右は、原審の認定するところであつて、右事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らし是認することができる。思うに、農地について賃貸借契約が締結された場合、締結行為自体は法律行為として完結しているが、その目的とした効果を生ずるには農地法所定の許可を必要とするのであつて、その許可は右の契約を完成させるためのいわゆる補充行為としての性質を有するものということができる。もつとも、右のとおり、許可がないかぎり契約の目的とした効果を生じないといつても、許可前の契約自体がなんらの効力をも有しないというものではなく、許可については法律上双方申請主義がとられている関係上、賃貸人は、特別の事情がないかぎり、賃借人に対し当該契約につき許可申請手続に協力すべき契約上の義務を負担するものと解すべきである。しかし、賃貸借契約自体に確定期限が付されている場合において許可申請手続がとられないままその期限が到来したときは、その後に該契約につき許可があつても賃貸借関係- 1 -を生ずるわけではないから、契約当事者としては許可申請をする目 が付されている場合において許可申請手続がとられないままその期限が到来したときは、その後に該契約につき許可があつても賃貸借関係- 1 -を生ずるわけではないから、契約当事者としては許可申請をする目的を失うに至るのであつて、賃貸人が貸借人に対して負担していた右協力義務は消滅するものと解するのが相当である。 き許可があつても賃貸借関係- 1 -を生ずるわけではないから、契約当事者としては許可申請をする目 が付されている場合において許可申請手続がとられないままその期限が到来したときは、その後に該契約につき許可があつても賃貸借関係- 1 -を生ずるわけではないから、契約当事者としては許可申請をする目的を失うに至るのであつて、賃貸人が貸借人に対して負担していた右協力義務は消滅するものと解するのが相当である。原審認定の前記事実によれば、本件賃貸借契約には確定期限が付されていたところ、すでにその期限が到来したというのであるから、もはや、被上告人は上告人に対し前記契約の許可申請についての協力義務を負担しないものというべきである。これと同旨と解される原審判断は正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。同第二点について。所論の点に関する原審判断は、その適法に確定した事実関係に照らし正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官岡原昌男裁判官小川信雄裁判官大塚喜一郎裁判官吉田豊- 2 -
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