主文 一原告の被告名張市水道事業管理者Aに対する本件訴えのうち、同被告が、被告日国工業株式会社、被告愛知時計電機株式会社、被告明治時計株式会社、被告東洋計器株式会社及び被告東光精機株式会社に対して一二五二万五二四六円を支払えとの請求を怠ることが違法であることの確認を求める部分を却下する。 二原告の被告日国工業株式会社、被告愛知時計電機株式会社、被告明治時計株式会社、被告東洋計器株式会社及び被告東光精機株式会社に対する本件訴えのうち、一二五二万五二四六円及びこれに対する被告日国工業株式会社、被告愛知時計電機株式会社、被告明治時計株式会社及び被告東光精機株式会社は平成一〇年五月二七日から、被告東洋計器株式会社は平成一〇年五月二八日からそれぞれ支払済みまで年五分の割合による金員の支払を求める部分を却下する。 三原告のその余の請求をいずれも棄却する。 四訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第一請求一被告名張市水道事業管理者Aが、被告日国工業株式会社、被告愛知時計電機株式会社、被告明治時計株式会社、被告東洋計器株式会社及び被告東光精機株式会社に対し、連帯して一六二三万円を支払えとの請求を怠ることが違法であることを確認する。 二被告日国工業株式会社、被告愛知時計電機株式会社、被告明治時計株式会社、被告東洋計器株式会社及び被告東光精機株式会社は、名張市に対し、連帯して一六二三万円及びこれに対する被告日国工業株式会社、被告愛知時計電機株式会社、被告明治時計株式会社及び被告東光精機株式会社は平成一〇年五月二七日から、被告東洋計器株式会社は平成一〇年五月二八日からそれぞれ支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 第二事案の概要一事件の要旨本件は、名張市の住民である原告及び選定者らが、名張市の平成六年度ない 洋計器株式会社は平成一〇年五月二八日からそれぞれ支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 第二事案の概要一事件の要旨本件は、名張市の住民である原告及び選定者らが、名張市の平成六年度ないし平成八年度の水道メーター購入について、被告日国工業株式会社、被告愛知時計電機株式会社、被告明治時計株式会社、被告東洋計器株式会社及び被告東光精機株式会社(以下、順に「被告日国工業」、「被告愛知時計」、「被告明治時計」、「被告東洋計器」及び「被告東光精機」といい、これらの被告らを併せて「被告会社ら」という。)が談合を行って、名張市に対して適正価格と納入価格との差額相当の損害を与えたとの共同不法行為を主張して、被告名張市水道事業管理者A(以下、「被告水道事業管理者」という。)が被告会社らに対して損害賠償請求を怠っていることの違法確認を求めるとともに、名張市に代位して被告会社らに対し、右損害及び遅延損害金の賠償を求めた住民訴訟である。 二前提となるべき事実(認定の基礎となる証拠を括弧内に掲げる。ただし、原告と被告水道事業管理者との間では争いがない。) 1 当事者原告及び選定者らは、名張市の住民である(弁論の全趣旨)。 被告水道事業管理者は、名張市が営む水道事業について、管理者として名張市を代表する地位にある執行機関である(弁論の全趣旨。ただし、原告と被告東洋計器との間では争いがない。)。 被告会社らは、水道メーターの製造、販売を行う株式会社である(弁論の全趣旨)。 2 名張市の水道メーター購入名張市は、平成八年度、名張市入札参加資格名簿に登載されている水道メーター業者のうち被告会社らを含む九社から単価見積書を徴する見積り合わせと呼ばれる方式により、口径別に最低見積価格を提出した業者を購入業者として選定し、これらの業者と随意契約を締結する ている水道メーター業者のうち被告会社らを含む九社から単価見積書を徴する見積り合わせと呼ばれる方式により、口径別に最低見積価格を提出した業者を購入業者として選定し、これらの業者と随意契約を締結する方法により水道メーターを購入した(甲第一号証の三、証人Bの証言。ただし、原告と被告日国工業、被告愛知時計及び被告東光精機との間では争いがない。)。 平成六年度ないし平成八年度における名張市の水道メーター購入の状況は、別紙記載のとおりである(乙イ第二号証、証人Bの証言、弁論の全趣旨)。 3 公正取引委員会の告発公正取引委員会は、被告会社らを含む水道メーター業者二五社とその受注担当者らについて、平成九年二月、東京都の水道メーター購入のための入札において私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下、「独占禁止法」という。)違反の行為(談合)を行ったとして告発した(甲第二号証の一。ただし、被告愛知時計は明らかに争わない。)。 これを受けて、名張市は、同月、被告会社らを含む名張市の指名業者一〇社について、県外において不当行為があったとして三か月の指名停止処分を行った(甲第一号証の三、証人Bの証言)。 4 原告及び選定者らの監査請求の経緯(一) 原告及び選定者らは、平成一〇年二月一〇日、名張市監査委員に対し、名張市の平成六年度ないし平成八年度の水道メーターの購入について、購入価格が不当に高かったことを理由として、被告水道事業管理者が水道メーター業者らに対して損害賠償請求を行うよう勧告することを求めて監査請求(以下、「本件監査請求」という。)を行った。 (二) 名張市監査委員は、原告及び選定者らに対し、同年四月一〇日付けの書面により、平成六年度及び平成七年度における購入に関する措置請求について却下し、平成八年度における購入に関する措置請求について (二) 名張市監査委員は、原告及び選定者らに対し、同年四月一〇日付けの書面により、平成六年度及び平成七年度における購入に関する措置請求について却下し、平成八年度における購入に関する措置請求について棄却する旨の監査結果を通知した(以上について甲第一号証の一及び三。ただし、被告愛知時計は明らかに争わない。)。 三争点 1 本件訴えの適法性(一) 本件監査請求の期間の起算点(二) 本件監査請求が期間経過後であった場合の正当な理由の有無 2 請求原因事実の存否(一) 名張市の被告会社らに対する損害賠償請求権の存否被告水道事業管理者の右損害賠償請求権の不行使の違法性四争点1(本件訴えの適法性)に関する当事者の主張 1 原告の主張(一) 本件監査請求の期間の起算点について談合は、まれに摘発されるもの以外、住民や地方公共団体職員に対して隠蔽されたままであるのが社会的実態である。これを前提にすると、談合に基づく損害の回復を求める住民の監査請求及び住民訴訟を行う権利が、談合の事実が誰にも知られなくても原則的に契約後一年で消滅し、例外的に談合が発覚しても地方公共団体が損害賠償請求を行うのに客観的に必要な期間も経過しないうちに消滅するという解釈は許されない。 最高裁判所平成九年一月二八日判決(民集五一巻一号二八七頁)によれば、財務会計上の行為のされた時点では損害賠償請求権がいまだ発生しておらず、又はこれを行使することができない場合には、右実体法上の請求権が発生し、これを行使することができることになった日を基準として監査請求期間を適用すべきであるとされる。 これを本件に適用すると、本件水道メーターの発注及び代金支払の時点では、被告水道事業管理者は損害の認識がなく、実体上損害賠償請求権を行使できない状態であった。本件では、被告水道事業管理者が公正 。 これを本件に適用すると、本件水道メーターの発注及び代金支払の時点では、被告水道事業管理者は損害の認識がなく、実体上損害賠償請求権を行使できない状態であった。本件では、被告水道事業管理者が公正取引委員会から通報を受けてから水道メーターの適正価格を見極めるために半年程度要したとして、怠る事実が発生したのは早くとも平成九年八月四日であると考えられる。したがって、監査請求期間は、平成六年度ないし平成八年度の水道メーター購入のいずれについても同日から一年間というべきであって、平成一〇年二月一〇日にした本件監査請求は適法である。 なお、発注及び支出が年度中いつされたかにかかわらず、それらは被告会社らの違法な高値での契約がもたらした一連の損害の一部であり、年一回の単価契約に基づく一連の財務会計行為として把握されるべきものであるから、この間の損害は全体として一体のものである。 (二) 正当な理由の有無について仮に原告の請求の一部が監査請求期間を徒過していたものとしても、以下に述べるとおり、正当な理由がある。 (1) 本件監査請求に至る経過は、次のとおりである。 平成九年二月四日、公正取引委員会は、東京都における談合事件に関係した二五社の受注業務従事者三四名を告発した。原告及び選定者らは、同日これを知った。 同年三月三日、原告及び選定者らは、α住民オンブズマン代表名をもって、名張市長に過去の水道メーター購入に関する情報提供を願い出たが、同月七日、被告水道事業管理者から、名張市に情報公開条例がないことを理由にこれを拒否する回答を得た。 同年三月五日、原告及び選定者らは、中日新聞の報道によって、名張市を含む三重県各市における口径二〇ミリメートルの水道メーターの購入価格は、公正取引委員会の告発後の東京都における価格を大きく上回る八四〇〇円ないし一 原告及び選定者らは、中日新聞の報道によって、名張市を含む三重県各市における口径二〇ミリメートルの水道メーターの購入価格は、公正取引委員会の告発後の東京都における価格を大きく上回る八四〇〇円ないし一万円という高値であること、三重市民オンブズマンが四日市市に対して監査請求を行ったこと、三重県各市への水道メーター納入業者と、東京都の事件に関して告発を受けた業者とが大きく重なっており、名張市を含む三重県各市では業者を一定期間指名停止処分にしていることを知った。 同年四月一六日、原告及び選定者らは、上野市に対し、過去五年間の水道メーター購入に関する情報の開示を請求し、同年五月二三日、上野市水道事業管理者から納入業者及び価格の一覧を入手した。 同年六月一八日、四日市市が水道メーターの納入業者選定に際して条件付一般競争入札を採用し、口径二〇ミリメートルの水道メーターを単価三一〇〇円で被告明治時計が落札した。原告及び選定者らは、翌一九日、右事実を知って上野市に対する監査請求を準備した。 同年六月二〇日、上野市で口径別種日別指名競争入札方式が採用され、訴外株式会社阪神計器製作所が口径二〇ミリメートルの水道メーターを単価三一〇〇円で落札した。α住民オンブズマンは、上野市に対して監査請求を行っていたが、上野市はこれに先立って納入方式を改善していたものである。右監査請求についての監査結果は、同年八月八日に得た。 同年一二月一九日、東京都水道局から、水道メーター指名業者二五社に対して損害賠償を求める旨の通知が出され、同月二二日、公正取引委員会は、右二五社に対して独占禁止法違反に基づいて課徴金を課した。同月二四日、東京高等裁判所は、業者二五社及び談合担当者に対して有罪判決を言い渡した。 同年一二月二四日、原告及び選定者らは、右の事実を知り、公正取引委員会 独占禁止法違反に基づいて課徴金を課した。同月二四日、東京高等裁判所は、業者二五社及び談合担当者に対して有罪判決を言い渡した。 同年一二月二四日、原告及び選定者らは、右の事実を知り、公正取引委員会から東京都における談合事件に関する書類を入手した。 平成一〇年二月四日、原告及び選定者らは、平成八年度の名張市の水道メーター納入のおよその数量と金額を知り、前提となるべき事実記載のとおり、同年二月一〇日に本件監査請求を行ったが、同年四月一〇日、監査委員から一部却下、一部棄却の監査結果を得た。 同年五月一日に至って、名張市の平成八年度における納入業者五社が原告及び選定者らに判明し、その後、一部のメーターの数量、金額の情報を入手した。 (2) 以上のとおり、原告及び選定者らは、平成九年三月五日の新聞報道によって初めて名張市の水道メーター購入が違法であることを知ったものである。 そして、被告水道事業管理者が水道メーター購入に関する情報の提供を拒否するといった行政の情報隠しが見られ、本件監査請求に対する監査委員にも調査内容を明らかにしないなど行政に同調した姿勢があるため、原告及び選定者らは、平成八年度のみの部分についてすら情報を入手するのが困難であった。 (3) 原告及び選定者らは、平成九年三月五日の時点では、名張市の水道メーター購入について談合があるのではないかとの疑念をもつのみであって、その規模、金額、業者名等の情報を得ないまま事実を証する書面を作成することは困難であった。 また、監査請求は住民訴訟の前提となるものであり、納入業者の名称を特定できないままでは住民訴訟を提起する見込みが立たず、その状態で監査請求を行うことはできない。監査の結果の通知から住民訴訟の提起までわずか三〇日と期間が限定されているのであるから、原告及び選定者らとしては、相手 までは住民訴訟を提起する見込みが立たず、その状態で監査請求を行うことはできない。監査の結果の通知から住民訴訟の提起までわずか三〇日と期間が限定されているのであるから、原告及び選定者らとしては、相手方や損害の程度を把握しておく必要がある。現に、本件監査請求において監査委員は、業者名、数量、金額等の事実解明を行っておらず、まず監査請求を行ってそれによって事実解明がされることは期待できない。 そして、監査請求は、同一内容で同一人が繰り返し行うことができない。そのため、情報を収集して事実関係を把握するのに時間を要したことはやむを得ないというべきである。 原告及び選定者らが被告水道事業管理者の怠る事実が名張市の財政に及ぼす損失について知り得たのは平成一〇年二月四日であり、業者名等の情報を得たのは同年五月一日であった。それまでは、行政の情報隠しのために、相当な注意力をもってしても事実関係を知り得なかったものである。したがって、本件監査請求の遅延には正当な理由があり、適法である。 2 被告水道事業管理者の主張(一) 本件監査請求の期間の起算点について監査請求が、当該普通地方公共団体の長その他の財務会計職員の特定の財務会計上の行為を違法であるとし、当該行為が違法、無効であることに基づいて発生する実体法上の請求権の不行使をもって財産の管理を怠る事実としているものであるときは、当該監査請求については、右怠る事実にかかる請求権の発生原因たる当該行為のあった日又は終わった日を基準として監査請求期間の制限を適用すべきである。 本件の場合、被告水道事業管理者に対する本件訴え及びこれに先立つ本件監査請求は、財務会計上の行為である単価契約又はこれに基づく発注行為が違法、無効であることに基づいて発生する実体法上の請求権の不行使を怠る事実として構成している。 する本件訴え及びこれに先立つ本件監査請求は、財務会計上の行為である単価契約又はこれに基づく発注行為が違法、無効であることに基づいて発生する実体法上の請求権の不行使を怠る事実として構成している。 したがって、本件訴えのうち、平成六年度及び平成七年度における水道メーター購入にあたり名張市が被った損害とする部分について、被告水道事業管理者が損害賠償請求を怠っていることの違法確認を求める部分は、適法な監査請求を経ておらず不適法である。 また、平成八年度については、単価契約及び発注行為は、平成九年二月二四日に被告日国工業に対して発注した一五五万八三九〇円分、同月二八日に被告東洋計器に対して発注した二三万二七八〇円分、同年三月五日に被告明治時計に対して発注した一四万八三二〇円及び同月六日に被告東光精機に対して発注した七万七二九一円の各発注行為を除いて平成九年二月一〇日までにすべて終了している。したがって、本件訴えのうち適法な監査請求を経たのは、原告が右各発注行為に相応する損害とする部分のみであり、その余の部分は不適法である。 (二) 正当な理由の有無について監査請求に添付すべき事実を証する書面は、それによって事実が一応推認できる程度で足り、また、地方公共団体が被る損害額や財務会計上の行為の担当者や相手方を明示する必要はない。原告及び選定者らは、納入業者、金額、規模等が不明の段階であっても、平成九年三月ないし六月の新聞記事を事実を証する書面として監査請求することができたというべきである。 住民訴訟のための調査に時間がかかるという理由で監査請求が遅れてもよいということになれば、地方公共団体の財務会計上の行為をめぐる法的関係を早期に安定させようとした監査請求手続の期間制限の趣旨に反する。そして、本件では、被告の特定と損害額の算定の根拠とする事実 もよいということになれば、地方公共団体の財務会計上の行為をめぐる法的関係を早期に安定させようとした監査請求手続の期間制限の趣旨に反する。そして、本件では、被告の特定と損害額の算定の根拠とする事実を除けば、請求原因の骨子は新聞報道及び公正取引委員会の審決書の範囲を出るものではなく、被告の特定及び納入金額は、監査手続の過程で明らかにすることもできたはずであるから、住民訴訟提起のために監査請求を差し控える理由はない。 原告及び選定者らは、遅くとも平成九年六月一九日には、相当な注意力をもってすれば監査請求の対象とすべき財務会計上の行為を知ることができたというべきであり、この日から七か月以上の期間が経過した後である平成一〇年二月一〇日にされた本件監査請求は、相当な期間内にされたものということはできない。 3 被告会社らの主張(一) 監査請求期間について財務会計上の行為が違法、無効であるということに基づき発生する実体法上の請求権の行使を違法に怠る事実に関する監査請求については、右財務会計上の行為のあった日又は終わった日を基準として一年の期間制限が適用される。 原告及び選定者らが本件監査請求を行ったのは平成一〇年二月一〇日であるから、平成九年二月九日以前に行われた水道メーター受注契約締結行為に関する監査請求は不適法であり、原告の本件訴えは適法な監査請求を経ないものとして不適法である。 被告愛知時計及び被告東洋計器は、平成九年二月一〇日以降同年三月末日までの間には、名張市から水道メーターの発注を受けていないから、同被告らに対する本件訴えは全部却下されるべきである。 (二) 正当な理由について監査請求期間の徒過に正当な理由があるというためには、住民が相当の注意力をもって調査して違法、不当な行為を知ることができたと解される時から相当な期間内に るべきである。 (二) 正当な理由について監査請求期間の徒過に正当な理由があるというためには、住民が相当の注意力をもって調査して違法、不当な行為を知ることができたと解される時から相当な期間内に監査請求をする必要がある。 そして、監査請求においては、財務会計行為をある程度具体的に特定し、当該行為が違法、不当である疑いを有するに至った所以を主張し、その事情を明らかにする資料等を提出して、違法、不当な行為についての疑惑を示せば足りる。 原告及び選定者らには、新聞報道に接した平成九年三月の時点で、東京都における水道メーターの納入に関して公正取引委員会による告発、勧告が行われたこと、名張市に水道メーターを納入している業者が名張市から指名停止の処分を受けたことが判明しており、原告及び選定者らとしては事実を証する書面として新聞記事を援用して右事情を主張し、監査請求の対象を特定することができたというべきであって、それから一一か月余も経過してから行われた本件監査請求の遅延に正当な理由があるとは到底いい得ない。 五争点2(請求原因事実の存否)に関する当事者の主張 1 原告の主張(一) 被告会社らを含む業者二五社は、全国的規模で談合グループを形成し、指名競争入札又は指名業者による見積り合わせに先立って、予め受注予定業者と予定価格を決定する談合を行って入札に臨んだ。談合を行うには被告会社らが一堂に会する必要はなく、他の事業者と共同して対価を決定し、維持し、若しくは引き上げるなど、公共の利益に反し、一定の取引分野における競争を実質的に制限することで足りるものである。 (二) 公正取引委員会は、右二五社等について、平成九年二月、東京都の水道メーター購入のための入札において談合を行ったとして告発した。名張市は、これを受けて、被告会社らを含む名張市の指名業者 ある。 (二) 公正取引委員会は、右二五社等について、平成九年二月、東京都の水道メーター購入のための入札において談合を行ったとして告発した。名張市は、これを受けて、被告会社らを含む名張市の指名業者一〇社について、三か月の指名停止処分を行った。また、告発を受けた二五社のうち、上野市でも一〇社、四日市市では一二社が指名業者とされていた。 公正取引委員会の告発を境に、水道メーターの価格は全国的に極端に低下した。 三重県では口径二〇ミリメートルの水道メーターが八四〇〇円ないし一万円であり、名張市では八九〇〇円であったが、告発から四か月後に行われた四日市市の一般競争入札では三一〇〇円で落札され、右適正価格に落ち着いている。このことからすれば、三重県各市における従前の価格は談合により高くつり上げられていたことは明らかである。 被告会社らを含む水道メーター納入業者は、平成五年一月にも公正取引委員会から談合の排除勧告を受け、審決に至っているが、それにもかかわらず同年一〇月から再び談合を開始している。このように、右談合グループは、平成元年ころから全国的規模で活躍しており、名張市にも一〇社が指名業者として参加しているから、ここでも談合が行われていたというべきである。 (三) 平成九年度以降においても、被告会社らの入札価格は、同一業者であっても地方によって不規則に大幅に上下している。これは、商品の生産原価に適正利潤を加えて設定した価格とはとても考えられず、話し合いが行われている疑いがある。 (四) このような談合行為は、違法に名張市に損害を与えるものである。このことは、公正取引委員会の審決及び課徴金納付命令並びに東京都の各社に対する損害賠償請求によって明らかである。 被告水道事業管理者は、平成五年の談合摘発の後においても、漫然と談合の復活を許し、東京都に とは、公正取引委員会の審決及び課徴金納付命令並びに東京都の各社に対する損害賠償請求によって明らかである。 被告水道事業管理者は、平成五年の談合摘発の後においても、漫然と談合の復活を許し、東京都における談合事件で告発があり名張市においても談合の疑いが生じた状況になっても、それに対処する努力をすることなく放置し、損害賠償を請求すべき義務を違法に怠っているものである。 (五) 名張市における口径二〇ミリメートルの水道メーターの価格は、平成八年度には八九〇〇円であったが、公正取引委員会の告発以降、三一七〇円にまで下げられている。このことからすれば、平成八年度以前の水道メーターの適正価格は、納入価格の三五パーセント相当額であるというべきであり、その差額である六五パーセント相当額が名張市の被った損害である。 そうすると、平成六年度に名張市が業者に支払った金額は六五三万円余、平成七年度は六四七万円弱であったので、損害額は合計で八四五万円である。平成八年度の購入代金は合計八二八万六三九一円(消費税を含む。)であるから、損害額は五三八万六〇〇〇円以上となる。 よって、被告会社らが談合によって違法に利得し、名張市に対して賠償すべき損害額は、一三八三万六〇〇〇円以上である。 被告水道事業管理者は、市場価格と納入価格との差がないこと等について主張するが、公正取引委員会の告発までは、談合によって市場が崩壊し、つり上げられていた受注予定価格が実質的に取引価格とされていたのであるから、これをそもそも自由な競争に基づく市場価格と評価することはできない。 2 被告水道事業管理者の主張(一) 名張市の被告会社らに対する損害賠償請求権について原告の主張は、具体的な談合行為の指摘を欠き、東京都における事件に関連して被告会社らが公正取引委員会から告発、審決を受けているこ 理者の主張(一) 名張市の被告会社らに対する損害賠償請求権について原告の主張は、具体的な談合行為の指摘を欠き、東京都における事件に関連して被告会社らが公正取引委員会から告発、審決を受けていること、三重県下の水道メーターの購入価格に右告発の前後で差がみられることを述べているのみであって、これだけで名張市に損害賠償請求権があるということはできない。 また、原告は、公正取引委員会の告発後の入札価格が適正価格であると主張するが、平成八年度当時の水道メーターの市場価格と購入価格との間に大幅な乖離は見られなかった。右告発後の市場価格は、告発前と比して下落したものの、購入価格の二倍以上であり、この告発後の購入価格が適正価格であると断ずる理由はない。 (二) 損害賠償請求権の不行使の違法性について仮に原告主張の談合行為があったとしても、被告水道事業管理者が損害賠償請求権を行使するためには、具体的な談合行為の事実を立証しなければならない。 東京都において損害賠償請求が可能になったのは、強制権限を伴う公正取引委員会の調査、検察当局の捜査及び刑事事件の審理を通じて独占禁止法違反行為が明らかになったことに負う。名張市においては、公正取引委員会の調査も行われず、刑事事件としての捜査も開始されていない。法令上の強制権限を有さず、限られた範囲で調査を行うことしかできない被告水道事業管理者が談合行為の事実を裏付ける資料の収集、調査を行うことはきわめて困難であるとともに、同被告に右範囲を超えて事実調査を行うべき法的義務は存しない。 したがって、被告水道事業管理者の損害賠償請求権の不行使に違法性はない。 また、損害賠償請求権の存在が明らかといえない以上、これを行使するかどうかは被告水道事業管理者の裁量に属する事項である。強力な調査権限をもたない被告水道事業管理 賠償請求権の不行使に違法性はない。 また、損害賠償請求権の存在が明らかといえない以上、これを行使するかどうかは被告水道事業管理者の裁量に属する事項である。強力な調査権限をもたない被告水道事業管理者の損害賠償請求を行わないとする判断が右裁量権を濫用し、その範囲を逸脱したということはできない。 3 被告東洋計器の主張被告東洋計器は、工場原価を算出し、一般管理費と開発費を加えたものを営業渡し値とし、営業部門の人件費、諸経費及び利益を考慮して右価格の一・二倍以上を販売指導価格として水道メーターの価格を定めている。 原告が適正価格と主張する金額は採算割れの赤字価格である。水道メーターの相場と比較すれば、被告東洋計器の落札価格が公正を欠く価格でないことは明らかである。したがって、被告東洋計器は、名張市に対して損害を与えたものではない。 第三当裁判所の判断一本件訴えの適法性について 1 本件監査請求の期間の起算点について(一) 地方公共団体の長その他の財務会計職員の財務会計上の行為が違法、無効であることに基づいて発生する実体法上の請求権の不行使をもって財産の管理を怠る事実としている監査請求については、右怠る事実に係る請求権の発生原因たる当該行為のあった日又は終わった日を基準として監査請求期間を適用すべきものと解するのが相当である。 本件においては、名張市は、平成六年度ないし平成八年度において、名張市入札参加資格名簿に登載されている水道メーター業者のうち数社に単価見積書を提出させ、口径別に最低見積価格を提出した業者を購入業者として選定し、これらの業者と年度中に随意契約を締結する方法により水道メーターを購入したこと、本件監査請求が、名張市の水道メーター購入価格が不当に高額であったことを理由として被告水道事業管理者が水道メーター業者らに対して損 と年度中に随意契約を締結する方法により水道メーターを購入したこと、本件監査請求が、名張市の水道メーター購入価格が不当に高額であったことを理由として被告水道事業管理者が水道メーター業者らに対して損害賠償を請求すべきであるとしたものであることは前記前提となるべき事実欄記載のとおりである。そうすると、本件監査請求は、被告水道事業管理者が被告会社らの談合行為に起因する損害賠償請求権を行使しないことをもって財産の管理を怠る事実とするものであるから、右請求権の発生原因である個々の発注行為を起算点として監査請求期間が適用されるものと解するのが相当である。 前記前提となるべき事実欄記載のとおり、原告及び選定者らが本件監査請求を行ったのは平成一〇年二月一〇日であるから、そのうち、平成九年二月九日までに行われた水道メーター発注行為に基づく損害賠償請求権に関する部分については、監査請求期間経過後にされた監査請求であるというべきである。 (二) 以上について、原告は、発注行為ないし代金支払の時点では、名張市又は被告水道事業管理者において損害を認識していないため損害賠償請求権を行使することができず、被告水道事業管理者が公正取引委員会から通報を受けて適正価格を見極め、損害賠償請求権を行使することができることになった日は早くとも平成九年八月四日であるから、これを起算点として監査請求期間を適用すべきであると主張する。しかし、原告主張の損害賠償請求権は前記のとおり発注行為をもって発生しており、名張市長又は被告水道事業管理者の認識のいかんは、その損害賠償請求権を行使するについての客観的な障害ではなく、単なる事実上の障害にすぎない。 原告は、その主張が前記最高裁判所判決により裏付けられるもののようにいうが、右判決の理解は独自のものに過ぎない。所論は採用できない。 2 正当 ての客観的な障害ではなく、単なる事実上の障害にすぎない。 原告は、その主張が前記最高裁判所判決により裏付けられるもののようにいうが、右判決の理解は独自のものに過ぎない。所論は採用できない。 2 正当な理由の有無について(一) 次に、前記のとおり本件監査請求のうち一部が監査請求期間を徒過してされたことについて、正当な理由があるかどうかについて検討する。 当該財務会計行為が秘密裡にされた場合において、右正当な理由は、特段の事情のない限り、普通地方公共団体の住民が、相当の注意力をもって調査したときに客観的にみて当該行為を知ることができたかどうか、また、当該行為を知ることができたと解される時から相当な期間内に監査請求をしたかどうかによって判断するのが相当である。 本件監査請求に先立つ経緯について、甲第一号証の一、同号証の二の一、二、同号証の三、第二号証の一、二、第三号証の一ないし三及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる(前記前提となるべき事実として摘示したものを含む。)。 (1) 公正取引委員会は、平成九年二月四日、東京都が発注した水道メーターの入札において談合があったと思料して、被告会社らを含む二五社の水道メーター業者らに対し、告発を行った。原告及び選定者らは、右同日ころ、これを知った。 (2) 原告及び選定者らは、α住民オンブズマン代表名において、平成九年三月三日、名張市長宛に、名張市において水道メーターが不当価格で購入されているかどうかを確認するため、過去五年間の水道メーター納入業者名と価格一覧、過去五年間の購入に際しての入札、落札一覧表又は業者選定の方法について情報提供を願い出た。被告水道事業管理者は、これに対し、同月七日、情報を提供できないとの通知をした。 (3) 平成九年三月五日付け中日新聞において、三重市民オンブズマンが同 又は業者選定の方法について情報提供を願い出た。被告水道事業管理者は、これに対し、同月七日、情報を提供できないとの通知をした。 (3) 平成九年三月五日付け中日新聞において、三重市民オンブズマンが同月三日、四日市市に対して水道メーターの購入価格が不当に高いとして監査請求をしたこと、名張市においても四日市市と同程度の価格で購入されていたこと、公正取引委員会の告発を受けた業者について、名張市を含む三重県各市で、指名停止処分がとられたこと等が報道された。 (4) 平成九年三月二〇日付け毎日新聞において、公正取引委員会が前日に被告会社らを含む東京都の指名業者二五社に対して独占禁止法違反で排除勧告を行ったことが報道された。 右によれば、原告及び選定者らは、相当の注意をもって調査すれば、平成九年三月五日の新聞報道に接した時点で、名張市の水道メーター購入が違法であったとの合理的疑いをもつことができたと考えられる。現に、原告も、名張市の水道メーター購入が違法であることを原告及び選定者らが知ったのは右平成九年三月五日付け新聞報道によると主張している(前記第二の四1(二)(1)(2))。 そうすると、原告及び選定者らが本件監査請求を行ったのは、右時点から一一か月余を経過した平成一〇年二月一〇日であるから、これが相当な期間内であったと評価することはできず、原告及び選定者らに監査請求期間の経過について正当な理由があったということはできない。 (二) この点につき、原告は、平成九年三月五日の新聞報道に接した時点では水道メーター購入の規模、金額、業者名等の情報を得ていなかったため、監査請求に添付すべき事実を証する書面を作成することができず、また、住民訴訟を提起する見込みが立たなかったのであるから監査請求の遅延に正当な理由があったと主張する。 しかし、監査請求 かったため、監査請求に添付すべき事実を証する書面を作成することができず、また、住民訴訟を提起する見込みが立たなかったのであるから監査請求の遅延に正当な理由があったと主張する。 しかし、監査請求をするには対象とすべき財務会計行為を特定する必要があるものの、それ以上に具体的な購入価格及び受注業者を明らかにする必要はないと解されるから、原告及び選定者らとしては、平成九年三月五日の時点で、対象を名張市の平成六年度ないし平成八年度の水道メーター購入の契約として特定し、新聞報道等を基礎にして事実を証する書面を準備することができたものと考えられる。 監査請求期間の制限の趣旨は、財務会計行為がたとえ違法、不当なものであったとしてもいつまでも監査請求又は住民訴訟の対象となり得るとしておくことが法的安定性を損なう点にあると解されるから、その例外である正当な理由の解釈に当たっても右趣旨を及ぼすのが相当であり、いかに監査請求後の住民訴訟の提起の可能性を考慮に入れるとしても、原告及び選定者らが水道メーター購入の違法性を知り、監査請求をすることが可能であった平成九年三月五日の時点から一一か月余も後にされた本件監査請求が相当な期間内にされたものということはできない。 3(一) 以上によれば、原告の本件訴えは、平成六年度及び平成七年度の水道メーター購入に関する部分、並びに、平成八年度の水道メーター購入のうち平成九年二月九日までに発注行為がされた部分については、適法な監査請求を経ていないというべきである。 (二) 原告が平成六年度及び平成七年度分の損害として主張するのは、合計で八四五万円である。 また、原告は、平成八年度分の損害は水道メーターの購入代金合計八二八万六三九一円(消費税を含む。)の六五パーセント相当額であると主張している。前判示のとおり、平成九年二月一〇 八四五万円である。 また、原告は、平成八年度分の損害は水道メーターの購入代金合計八二八万六三九一円(消費税を含む。)の六五パーセント相当額であると主張している。前判示のとおり、平成九年二月一〇日以降同年三月三一日までに行われた発注行為は、二月二四日、被告日国工業に対する一五五万八三九〇円、同月二八日、被告東洋計器に対する二三万二七八〇円、三月五日、被告明治時計に対する一四万八三二〇円、被告東光精機に対する七万七二九一円(いずれも消費税を含む。)の合計二〇一万六七八一円であるから、平成八年度分の購入代金のうち平成九年二月九日までに発注されたのは合計六二六万九六一〇円であり、うち原告主張の損害額は、平成八年度分の損害のうち右合計額の六五パーセントに相当する四〇七万五二四六円の部分が該当することになる。 したがって、原告の本件訴えのうち、被告水道事業管理者に対して平成六年度分及び平成七年度分の損害八四五万円と平成八年度分の損害のうち前記のとおり平成九年二月九日までに発注された分の四〇七万五二四六円との合計一二五二万五二四六円の損害があるとしてその賠償請求を怠る事実の違法の確認を求める部分及び被告会社らに対して右の損害賠償を請求する部分については、適法な監査請求を経ないものとして不適法というべきであり、却下を免れない。 (三) なお、被告愛知時計及び被告東洋計器は、同被告らが平成九年二月一〇日以降の発注行為を受けていないから、同被告らに対する訴えは全部却下されるべきであると主張するが、原告は、被告会社らが談合を行い、被告会社らが個々に受注したものでない部分の損害についても連帯して賠償すべきであると主張しているのであるから、これを前提にすれば、同被告らに対する訴えの全部を却下すべき理由はない。 二損害賠償請求権の存否について 1 次に、本 でない部分の損害についても連帯して賠償すべきであると主張しているのであるから、これを前提にすれば、同被告らに対する訴えの全部を却下すべき理由はない。 二損害賠償請求権の存否について 1 次に、本件訴えのうち、適法な監査請求を経たその余の部分について、原告主張の名張市の被告会社らに対する損害賠償請求権の存否について判断すると、甲第一号証の二の一、三、四、五、第二号証の一、二、第三号証の五、第四号証の一、第四号証の二の一ないし五、乙イ第二号証及び証人Bの証言によれば、次の事実が認められる(前記前提となるべき事実として摘示したものを含む。)。 (一) 名張市においては、平成八年度、財団法人建設物価調査会発行の「建設物価」という雑誌に掲載された水道メーターの価格を参考にし、過去の実績等を勘案して、予め予定価格(口径二〇ミリメートルのもので九二〇〇円)を決定した上で、入札参加者名簿に登録された水道メーター業者のうち九社を選び、年度中に発注予定の水道メーターの種類別に単価の見積りを提出させるという見積り合わせにより、種類別に予定価格以下の最低単価を提出した業者を納入業者として種類及び単価について合意する単価契約を締結した。名張市は、平成八年度中、右単価契約に基づいて随時水道メーターを発注して購入した。 (二) 公正取引委員会は、平成九年二月四日、被告会社らを含む水道メーター業者二五社及び同社らの従業員等について、東京都の平成六年度ないし平成八年度の水道メーター発注のための見積り合わせ及び指名競争入札に関して、受注予定者を決定し、その受注予定者が受注できるように予め定められた価格で入札することを合意した独占禁止法違反の行為があるとして告発した。検察庁は、これらの者を起訴し、東京高等裁判所は、平成九年一二月二四日、独占禁止法違反を認定して有罪判決を ように予め定められた価格で入札することを合意した独占禁止法違反の行為があるとして告発した。検察庁は、これらの者を起訴し、東京高等裁判所は、平成九年一二月二四日、独占禁止法違反を認定して有罪判決を下した。 右告発に連動して、名張市長は、右二五社のうち、名張市の指名業者として登録されていた被告会社らを含む一〇社を、県外において不当行為があった場合に当たるとして同年二月二〇日から五月一九日まで指名停止処分にした。 公正取引委員会は、同年三月一九日、右二五社に対し、東京都における独占禁止法違反の行為の排除勧告をし、右二五社がこれを応諾したことから、同年四月二八日、審決した。 また、公正取引委員会は、同年一二月一八日、右二五社に対し、東京都における独占禁止法違反の行為があったとして課徴金納付命令を行った。 東京都水道局は、平成六年度ないし平成八年度の発注分について、右二五社に対し、平成九年一二月一九日、談合に基づいて被った損害の賠償を請求した。 なお、東京都において水道メーター納入に関する談合行為が明るみに出たのは右が初めてではなく、公正取引委員会は、平成四年一二月一一日、被告会社らを含む水道メーター業者二四社に対し、東京都の平成二年度及び平成三年度の水道メーター発注のための指名競争入札について、最低入札単価や入札予定者等を定めるという独占禁止法違反の行為の排除勧告をし、右二四社がこれを応諾したことから、平成五年一月二九日、審決していた。被告会社らは、平成六年三月一〇日、右について、公正取引委員会から課徴金の納付命令を受けていた。 (三) 東京都においては、口径二〇ミリメートルの水道メーターが、従前、価格七一〇〇円で納入されていたが、平成九年二月の公正取引委員会の告発後、右価格は五五〇〇円に下落した。 (四) 名張市においては、平成六年度 おいては、口径二〇ミリメートルの水道メーターが、従前、価格七一〇〇円で納入されていたが、平成九年二月の公正取引委員会の告発後、右価格は五五〇〇円に下落した。 (四) 名張市においては、平成六年度ないし平成八年度には見積り合わせが行われ、平成九年度には指名競争入札に変更され、それぞれ八社、九社、九社、一〇社が参加した。その結果締結された単価契約の推移は、次のとおりである。 口径二〇ミリメートルの水道メーターについては、平成六年度は株式会社阪神計器製作所、被告愛知時計、被告東光精機との間で単価八九〇〇円、平成七年度は被告東光精機との間で単価八九〇〇円、平成八年度は被告日国工業との間で単価八九〇〇円、平成九年度は被告愛知時計との間で単価三一七〇円であった。 口径四〇ミリメートルについては、平成六年度は被告東光精機、被告愛知時計及び訴外リコー精器株式会社との間で単価三万六〇〇〇円、平成九年度はリコー精器株式会社との間で二万四八〇〇円であった。 口径五〇ミリメートルについては、平成七年度は被告東洋計器との間で単価一一万二九〇〇円、平成八年度は同被告との間で単価一一万三〇〇〇円、平成九年度はリコー精器株式会社との間で五万五〇〇〇円であった。 口径七五ミリメメートルについては、平成八年度は被告明治時計との間で単価一四万四〇〇〇円、平成九年度はリコー精器株式会社との間で六万五〇〇〇円であった。 (五) なお、四日市市における水道メーター購入は、平成九年度に、価格指定方式から条件付き一般競争入札に変更されたが、口径二〇ミリメートルの購入単価は、平成八年度は八八〇〇円であったものが、平成九年度には三一〇〇円に下落した。 (六) 被告会社らを含む二五社は、刑事事件において、東京都の水道メーター購入に際して受注予定者を合意するなどの独占禁止法違反の行為が 八八〇〇円であったものが、平成九年度には三一〇〇円に下落した。 (六) 被告会社らを含む二五社は、刑事事件において、東京都の水道メーター購入に際して受注予定者を合意するなどの独占禁止法違反の行為があったことを認めていた。しかし、被告会社ら名張市で指名停止処分を受けた各社は、名張市の水道メーター購入に関しては、平成九年二月二七日と平成一〇年二月一八日ないし二〇日に行われた名張市水道部の事情聴取に対し、見積り合わせに先立って業者間で打合せをしたことは否定した。名張市水道部は、右事情聴取において、価格が下落している要因について、各地で指名停止処分を受けているため在庫が増加していること、業界全体の供給も増加していること、受注を確保しなければならない実情にあること等の回答を得た。 以上の事実が認められ、これらに反する証拠はない。 2 以上の各事実、とりわけ公正取引委員会が告発した後の水道メーター価格は大幅に下落していることと四日市市において水道メーター調達方式を変更した後同様に価格が下落したこととを併せ考えると、遡って、平成八年度の水道メーター購入価格が妥当なものであったのかどうかについて、全く疑念が生ずる余地がないわけではない。しかしながら、だからといって、以上をもって、原告の主張する被告会社らが名張市の平成八年度の水道メーター購入に際しいわゆる談合行為をして価格を不当につり上げていたとの事実が証明されたということはできない。すなわち、原告の主張立証は、被告会社らが東京都の水道メーターの受注に関して独占禁止法違反行為を繰り返したことから、名張市においても談合したであろうと推測し、前記認定の水道メーターの価格の動きが必ずしも右推測と矛盾していないことから、右推測が裏付けられたと述べるにとどまっており、いわば単なる疑惑の提示の域を出ていないとい ても談合したであろうと推測し、前記認定の水道メーターの価格の動きが必ずしも右推測と矛盾していないことから、右推測が裏付けられたと述べるにとどまっており、いわば単なる疑惑の提示の域を出ていないといえる。前記告発後における水道メーターの在庫の増加や過当競争等が価格下落の要因となった可能性は、一概に否定し難いものがある。他に、原告の主張事実を裏付けるに足りる証拠はない。 したがって、被告会社らが名張市の平成八年度の水道メーター購入に際しいわゆる談合行為をして価格を不当につり上げていたとの事実が証明されていない以上、これを前提とする名張市の被告会社らに対する損害賠償請求権があるとは認められないから、被告水道事業管理者においてその行使を怠っていたとはいえないし、被告会社らにおいて名張市に損害賠償すべき義務があるともいえない。 以上によれば、原告の請求のうち前記却下を免れた部分については、理由がないものであるから、これを棄却することとする。 津地方裁判所民事部裁判長裁判官山川悦男裁判官増田周三裁判官永山倫代
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