令和4(ワ)9150 不正競争行為差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
令和5年1月27日 東京地方裁判所
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令和5年1月27日判決言渡同日原本交付裁判所書記官令和4年(ワ)第9150号不正競争行為差止等請求事件口頭弁論終結日令和4年12月13日判決原 告特定非営利活動法人日本綜合医学会 原告訴訟代理人弁護士吉 澤 雅 子被告一般社団法人日本綜合医学会被告訴訟代理人弁護士内田雅敏 主文 1 被告は、出版する刊行物に「日本綜合医学会」との標章を付してはならない。 2 被告は、別紙出版物目録記載1から3の出版物を頒布してはならない。 3 被告は、別紙出版物目録記載1から3の出版物を廃棄せよ。 4 被告は、「nihonsogoigakukai.com」のドメイン名を使用してはならない。 5 被告は、ドメイン名「nihonsogoigakukai.com」の抹消登録手続をせよ。 6 被告は、原告に対し20万円を支払え。 7 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 8 訴訟費用はこれを10分し、その3を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。 9 この判決は、第6項に限り、仮に執行することができる。 事実 第1 請求 1 被告は、その事業上の活動のために、「一般社団法人日本綜合医学会」の名称又は「日本綜合医学会」の文字を含む名称を使用してはならない。 2 被告は、東京法務局本局令和3年5月19日受付でされた被告の設立登記中、「一般社団法人日本綜合医学会」の名称の抹消登記手続をせよ。 3 被告は、別紙出版物目録記載1から3の出版物を頒布してはならない(主文第 2項同旨)。 4 被告は、別紙出版物目録記載1から3の出版物を廃棄せよ(主文第3項 登記手続をせよ。 3 被告は、別紙出版物目録記載1から3の出版物を頒布してはならない(主文第 2項同旨)。 4 被告は、別紙出版物目録記載1から3の出版物を廃棄せよ(主文第3項同旨)。 5 被告は、「nihonsogoigakukai」又は「nihonsogoigakukai」の文字を含むドメイン名を使用してはならない。 6 (主位的請求) 被告は、ドメイン名「nihonsogoigakukai.com」及び「http:// 以下省略」のウェブサイトの各抹消登録手続をせよ。 (予備的請求)被告は、別紙ウェブサイト目録記載のウェブサイトから「一般社団法人日本綜合医学会」の名称又は「日本綜合医学会」及び「nihonsogoigakukai」の文字を 含む名称を削除せよ。 7 被告は原告に対し100万円を支払え。 8 訴訟費用は被告の負担とする。 9 第1項から3項、5項、7項について仮執行宣言第2 請求の趣旨に対する答弁 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 第3 事案の概要 1 事案の概要本件は、原告が、「日本綜合医学会」の標章について原告の商品等表示として周 知、著名であり、また、商標権を有すると主張して、被告に対し、① 請求の趣旨1 項、2項被告がその事業に「一般社団法人日本綜合医学会」又は「日本綜合医学会」を含む名称を用いることが原告の商標権を侵害し、また、不正競争防止法2条1項1号又は2号の不正競争行為に当たるとして、被告に対し、商標法36条 1項又は不正競争防止法3条1項に基づき被告が事業活動にこれらの名称を 用いることの差止めを、不正競争防止法3条2項に基づき、被告の設立登記中の「一般社団法人日本綜合医学会」 36条 1項又は不正競争防止法3条1項に基づき被告が事業活動にこれらの名称を 用いることの差止めを、不正競争防止法3条2項に基づき、被告の設立登記中の「一般社団法人日本綜合医学会」の名称の抹消を請求し、② 請求の趣旨3項、4項被告が「一般社団法人日本綜合医学会」の題号を付した書籍を出版したことが、原告の商標権を侵害し、また、不正競争防止法2条1項1号又は2号の不 正競争行為に当たるとして、被告に対し、商標法36条1項又は不正競争防止法3条1項に基づき頒布の差止め及び商標法36条2項又は不正競争防止法3条2項に基づき書籍の廃棄を請求し、③ 請求の趣旨5項、6項被告が「nihonsogoigakukai」、「nihonsogoigakukai」の文字を含むドメイン 名を用いることが、原告の商標権を侵害し、また、不正競争防止法2条1項1号、2号又は19号の不正競争行為に当たるとして、被告に対し、商標法36条1項又は不正競争防止法3条1項に基づきこれらのドメイン名の使用の差止めを請求し、また、 ㋐主位的請求主位的に、被告に対し、不正競争防止法3条2項に基づき、「nihonsogoigakukai.com」のドメイン名及び「http:// 以下省略」のウェブサイト(以下「本件被告ウェブサイト」という。)の抹消登録を請求し㋑予備的請求 予備的に、被告に対し、不正競争防止法3条2項に基づき本件被告ウェブサイトにおける「一般社団法人日本綜合医学会」及び「日本綜合医学会」、「nihonsogoigakukai」を含む文字列(「nihonsogoigakukai@gmail.com」を含む。)の削除を請求し、④ 請求の趣旨7項 不正競争防止法4条に基づき弁護士費用相当損害金とし gakukai」を含む文字列(「nihonsogoigakukai@gmail.com」を含む。)の削除を請求し、④ 請求の趣旨7項 不正競争防止法4条に基づき弁護士費用相当損害金として100万円を請 求する事案である。 第4 当事者の主張 1 請求原因商標権に基づく請求 ア原告は、別紙商標権目録記載の商標権(以下、「本件商標権」といい、本件商標権に係る商標を「本件商標」という。)を有している。 イ被告は、医学関連雑誌である別紙出版物目録記載の出版物(以下「本件出版物」という。)を出版した。本件出版物の題号は、いずれも、「一般社団法人日本綜合医学会」である。 ウ被告は、「nihonsogoigakukai.com」のドメイン名を用いてウェブサイトを開設している。 エ「一般社団法人日本綜合医学会」及び「日本綜合医学会」の文字列を含む名称は、いずれも本件商標に類似している。 「nihonsogoigakukai.com」及び「nihonsogoigakukai」を含む文字列は いずれも本件商標に類似している。 オよって、原告は、被告に対し、商標法36条1項に基づき、被告がその事業上の活動のために「一般社団法人日本綜合医学会」の名称又は「日本綜合医学会」の文字列を含む名称を使用することの差止め(請求の趣旨1項)、 商標法36条1項に基づき、本件出版物の頒布の差止め(請求の趣旨2項)、同条2項に基づき、本件出版物の廃棄(請求の趣旨3項)、商標法36条1項に基づき、「nihonsogoigakukai」のドメイン名及び「nihonsogoigakukai」の文字列を含むドメイン名を用いることの差止め(請求の趣旨6項) をそれぞれ請求する。 き、「nihonsogoigakukai」のドメイン名及び「nihonsogoigakukai」の文字列を含むドメイン名を用いることの差止め(請求の趣旨6項) をそれぞれ請求する。 不正競争防止法に基づく請求ア原告は、昭和29年に設立された日本綜合医学会を前身として、平成12年に「特定非営利活動法人日本綜合医学会」の名称で設立された。原告には多数の会員、支部があり、毎年全国規模の大会を1回以上開催している。原告が発行し、販売している機関紙である「綜合医学」、ユーチューブにアップ ロードした原告の講演会等の動画、フェイスブック及びインスタグラム等における会員向けの情報等の掲載を通じて原告の活動を知ることができる。原告は、ウィキペディアにも掲載されており、インターネット上の国語辞書にも「綜合」の例として「日本綜合医学会」があげられており、「日本綜合医学会」の標章は、原告の医療関係、健康関連、自然食関連等の分野における商 品等表示として周知、著名である。 イ被告は、令和3年5月19日、「一般社団法人日本綜合医学会」の名称で設立され、その旨登記された。 ウ被告は、医学関連雑誌である本件出版物を出版した。本件出版物の題号は、いずれも、「一般社団法人日本綜合医学会」とされている。 エ被告は、「nihonsogoigakukai.com」のドメイン名を用いて本件被告ウェブサイトを開設している。これにより、被告は同ドメイン名を商品等表示として使用している。また、本件被告ウェブサイトには、「一般社団法人日本綜合医学会」、「日本綜合医学会」を含む文字列及び「nihonsogoigakukai」を含む文字列も表示される。 オ A(以下「A」という。)は、平成30年7月7日から原告の理事長を務め 綜合医学会」、「日本綜合医学会」を含む文字列及び「nihonsogoigakukai」を含む文字列も表示される。 オ A(以下「A」という。)は、平成30年7月7日から原告の理事長を務めていたが、原告の定款及び運営規則を遵守せず独断で不適切な業務の営業をしていたことから、令和3年1月31日に不信任の緊急動議が可決され、これを受けて原告の理事長を辞任した。その後、Aは、被告を設立した。被告について登記されている被告の目的は、「特定非営利活動に係わる事業とし て」の欄の記載を除いて、原告について登記されている「目的及び業務」「事 業の種類」の欄の記載と同一である。被告は、原告と混同させる不正の目的をもって「nihonsogoigakukai.com」を用いているといえる。 カ「一般社団法人日本綜合医学会」、「日本綜合医学会」を含む名称は、いずれも「日本綜合医学会」に類似している。 「nihonsogoigakukai.com」、「nihonsogoigakukai」を含む文字列はいず れも「日本綜合医学会」に類似している。 キ原告は、被告の不正競争行為により、弁護士に委任して本件訴えを提起して訴訟追行することを余儀なくされ、100万円の弁護士費用相当額の損害を被った。 クよって、原告は、被告に対し、 被告が「一般社団法人日本綜合医学会」、「日本綜合医学会」を含む名称の標章を被告の事業活動に用いることは不正競争防止法2条1項1号又は2号の不正競争行為に当たるから、同法3条1項に基づき、同標章の使用の差止め(請求の趣旨1項)、被告が「一般社団法人日本綜合医学会」の名称を被告の名称として登記 することは、不正競争防止法2条1項1号又は2号の不正競争行為に当たるから、同法3条2項に 用の差止め(請求の趣旨1項)、被告が「一般社団法人日本綜合医学会」の名称を被告の名称として登記 することは、不正競争防止法2条1項1号又は2号の不正競争行為に当たるから、同法3条2項に基づき、設立登記中の同名称の抹消登記手続(請求の趣旨2項)、被告が「一般社団法人日本綜合医学会」の題号で本件出版物を出版することは、不正競争防止法2条1項1号又は2号の不正競争行為に当たるか ら、同法3条1項に基づき、頒布の差止め(請求の趣旨3項)及び同条2項に基づき廃棄(請求の趣旨4項)、被告が「nihonsogoigakukai.com」のドメイン名を用いることが不正競争防止法2条1項1号、2号又は19号の不正競争行為に当たるため、不正競争防止法3条1項に基づき「nihonsogoigakukai.com 」及び 「nihonsogoigakukai」の文字列を含むドメイン名の使用の差止め(請求 の趣旨5項)、また、①主位的に不正競争防止法3条2項に基づき、「nihonsogoigakukai.com」のドメイン名及び「http:// 以下省略」のウェブサイトの抹消(請求の趣旨6項主位的請求)、②予備的に同項に基づき、同ウェブサイト中の「一般社団法人日本綜合医学会」、「日本綜合医学会」「nihonsogoigakukai」の文字列の削除(請求の趣旨6項予備的請求)、 不正競争防止法4条に基づき100万円(請求の趣旨7項)、をそれぞれ請求する。 2 請求原因に対する認否商標権に基づく請求についてアアについて認める。 イイからオについて被告が本件出版物を出版したこと、被告が、原告が主張するウェブサイトを開設していることは認めるが、その余は争う。被告は、その名称が「一般社団法人日 アについて認める。 イイからオについて被告が本件出版物を出版したこと、被告が、原告が主張するウェブサイトを開設していることは認めるが、その余は争う。被告は、その名称が「一般社団法人日本綜合医学会」であって、「日本綜合医学会」に「一般社団法人」を付しており、原告の名称と被告の名称とは別である。原告と被告の商品、役務が同じ領域にあるものであることは認めるが、それら が同一というわけではない。 不正競争防止法に基づく請求についてア原告の設立過程、原告が種々の活動をしてきたこと、被告の名称、登記の内容、被告が開設しているウェブサイトの内容、Aが原告の理事長を辞任して被告を設立したことは認めるが、その余は否認ないし争う。 イ 「日本綜合医学会」は、「日本」、「綜合」、「医学会」の日常使われる語句の組合せによるものであり、原告固有の名称ではない。 ウ原告の名称は「特定非営利活動法人日本綜合医学会」であるのに対し、被告の名称は「一般社団法人日本綜合医学会」であって両名称は異なり、被告に営業主体、活動主体の混同を惹起させようとする意図はない。被告代表者 であるAは、長年にわたり、「食を基本とした疾病の予防」の活動をしてき た者であり、新たな活動を立ち上げるに際して「日本綜合医学会」の名称を用いるのは自然である。 理由 1 原告は商標法及び不正競争防止法に基づく請求をするところ、原告が本件商標権を有することは当事者間に争いがないが、「日本綜合医学会」が原告の商品等 表示に当たるかや、その周知、著名性については争いがあるので、まず、これらについて検討する。 「日本綜合医学会」が原告の商品等表示に当たるか原告は、定期的に「綜合医学」という雑誌を、出版、販売(定価500円、 名性については争いがあるので、まず、これらについて検討する。 「日本綜合医学会」が原告の商品等表示に当たるか原告は、定期的に「綜合医学」という雑誌を、出版、販売(定価500円、850円等)し(甲18~20、弁論の全趣旨)、同雑誌には発行者として「N PO法人日本綜合医学会」と記載されている。「日本綜合医学会」はまとまりのある一つの表示といえるものであり、少なくとも、上記の使用の態様に照らし、原告の商品等表示として「日本綜合医学会」が用いられていたといえる。 「日本綜合医学会」が医療関係、健康関連、自然食関連等の分野における原告の商品等表示として周知、著名であったといえるか 証拠(甲1、2~4、6~20)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、「綜合医学」という名称の雑誌を少なくとも44号、販売してきたこと、昭和29年に設立された日本綜合医学会を前身とする組織であり、令和3年1月当時、会員数が500名を超えていたこと、毎年1回以上の大会を開催し、それ以外にも講演等を行ってきたこと、講演の様子をユーチューブで見ること が可能なこと、フェイスブックやインスタグラムを通じて会員向けの情報及び写真等を掲載してきたこと、ウィキペディアに被告が掲載されていることなどが認められる。 しかし、原告の会員数500名であることによって、相当多数の者がいることが明らかな医療関係、健康関連、自然食関連等の分野の需要者において 「日本綜合医学会」が周知又は著名であると認めるには足りない。また、他 に原告が挙げる事情も、同様の行為を相当多数の団体、個人が行っているのであり、原告が主張している事情自体によって「日本綜合医学会」が上記の分野の需要者において広く知られていたことを示すものとまではいえない。 そして、原告 同様の行為を相当多数の団体、個人が行っているのであり、原告が主張している事情自体によって「日本綜合医学会」が上記の分野の需要者において広く知られていたことを示すものとまではいえない。 そして、原告主張の事情を総合的に考慮しても、「日本綜合医学会」との表示が、商品等表示として、医療関係、健康関連、自然食関連等の分野で周知又 は著名であったとは認めるに足りない。 2 以上を前提に、原告の各請求について検討していく。 請求の趣旨1項、3項、4項について商標権に基づく請求について、請求原因アについて当事者間に争いがない。 被告が、本件出版物を出版し、本件出版物が販売されていることは当事者間 に争いがない。 本件出版物の表紙には、題号として、中央上部に大きな48ポイントの活字で「日本綜合医学会」と記載され、その上部にそれより相当小さい14ポイントの活字で「一般社団法人」と記載され、その下に、当該雑誌の内容や絵が表示されている(甲24、25、弁論の全趣旨)。本件商標と本件出版物において 使用されている上記の「一般社団法人日本綜合医学会」との標章を比較すると、被告が使用する「一般社団法人日本綜合医学会」のうち、「一般社団法人」の部分は、「日本綜合医学会」との文字より相当小さい。これによれば、上記標章において、強く注意を引くのは「日本綜合医学会」の部分であり、この部分において本件商標と上記標章は一致する。そうすると、本件商標と上記標章は類似 する。被告は、本件商品の指定商品である「印刷物、書籍、雑誌」に当たる本件出版物に上記標章を付して出版し、本件出版物が販売されており(定価999円等甲26の1、2)、商品に本件商標と類似した標章を付した。被告の上記行為は本件商標権を侵害するものであるといえ(上記標章はその使用態様 標章を付して出版し、本件出版物が販売されており(定価999円等甲26の1、2)、商品に本件商標と類似した標章を付した。被告の上記行為は本件商標権を侵害するものであるといえ(上記標章はその使用態様に照らし、被告の名称を普通に用いられる方法で表示したものではない。)、被告 の対応や本件出版物における上記標章の使用態様に照らし、本件出版物の頒布 の差止め、廃棄の必要性も認められる。 原告は、「一般社団法人日本綜合医学会」との標章の使用の差止めを求めるところ、「一般社団法人日本綜合医学会」は、被告の名称であって、これを普通に用いられる方法で表示した場合には商標権の効力は及ばない(商標法26条1項1号)。また、原告は、「日本綜合医学会」の文字を含む名称についても使 用の差止めを求めるが、「日本綜合医学会」に付加された文字列、その他の符号によっては、必ずしも本件商標に類似するとはいえない名称もあり得るため、原告の使用差止請求の全てを認めることはできない。もっとも、上記請求には「日本綜合医学会」との標章の使用差止請求を含むと解されるところ、上記は本件商標と一致する。上記標章が被告の略称といえるとしても、被告の略称が 著名とは認められず、それに商標権の効力が及ばないとはいえない(同号参照)。 そして、原告は被告が行っている事業は刊行物の販売であると主張し、また、現に被告が本件出版物を出版しているところ、被告が他に具体的な事業を行っていることを認めるに足りる証拠はないことなどに照らせば、原告の上記請求のうち、被告が出版する刊行物に「日本綜合医学会」との標章を使用すること を差し止める必要性が認められる。 よって、原告の請求の趣旨1項、3項、4項に係る請求は、被告が出版する刊行物への「日本綜合医学会」との標章を付すこ 日本綜合医学会」との標章を使用すること を差し止める必要性が認められる。 よって、原告の請求の趣旨1項、3項、4項に係る請求は、被告が出版する刊行物への「日本綜合医学会」との標章を付すことの差止め、本件出版物の頒布の差止め及び廃棄を請求する限度で理由がある。 不正競争防止法2条1号又は2号の不正競争に当たることを理由とする請 求は、前記1のとおり、「日本綜合医学会」が周知又は著名な標章と認められないため理由がない。 請求の趣旨2項について原告は、被告が「一般社団法人日本綜合医学会」の名称で登記されている点について、「日本綜合医学会」との表示が、医療関係、健康関連、自然食関連等 の分野で原告の商品等表示として著名であることを前提に、不正競争防止法2 条1項1号又は2号の不正競争行為に当たることに基づき請求の趣旨第2項の請求をする。しかし、前記1のとおり、同表示が、原告が主張する分野において周知、著名であったとはいえない。したがって、原告の被告の設立登記に係る抹消登記手続の請求は、その前提を欠くため、理由がない。 請求の趣旨5項について 被告による「nihonsogoigakukai.com」のドメイン名の使用が不正競争防止法2条1項19号の不正競争行為に当たるか否かについて検討する。 前記1で説示したとおり、「日本綜合医学会」は、原告の商品等表示であると認められる。また、「日本綜合医学会」と被告がドメイン名として用いている「nihonsogoigakukai.com」の類否について、「nihonsogoigakukai.com」のう ち、「.com」の部分は、商業分野において用いられる一般的なドメインであり、当該部分の自他識別力は弱く、「nihonsogoigakukai nihonsogoigakukai.com」のう ち、「.com」の部分は、商業分野において用いられる一般的なドメインであり、当該部分の自他識別力は弱く、「nihonsogoigakukai.com 」のうち、「nihonsogoigakukai」の部分が強く注意を引くといえる。「日本綜合医学会」と「nihonsogoigakukai」を比較するとその呼称は「にほんそうごういがくかい」で一致し、観念についても医学会の一種である日本綜合医学会であるとの 観念が生じる。外観については、「日本綜合医学会」は漢字で、「nihonsogoigakukai」はアルファベットで表記されているという違いがある。 これらによれば、「日本綜合医学会」と「nihonsogoigakukai.com」のうち、強く注意を引く部分は、その呼称と観念において一致し、また、外観は異なるものの、「nihonsogoigakukai」との表記が「日本綜合医学会」の呼称である「に ほんそうごういがくかい」をローマ字表記にしたものであることを考慮すると、「日本綜合医学会」と「nihonsogoigakukai.com」は類似しているというべきである。 そして、原告は、昭和29年に設立された日本綜合医学会を前身として平成12年に特定非営利法人として設立され、雑誌を出版したり講演等を行ってき た。被告は平成30年7月から令和3年1月まで原告の理事長であったAが同 年5月に設立した、Aが代表者の法人である。原告の名称が「特定非営利活動法人日本綜合医学会」であるのに対し被告の名称は「一般社団法人日本綜合医学会」というものであり、被告の設立目的は、基本的に原告の設立目的と同じ内容である(当事者間に争いなし。)。また、上記ドメイン名のウェブサイトには、 あるのに対し被告の名称は「一般社団法人日本綜合医学会」というものであり、被告の設立目的は、基本的に原告の設立目的と同じ内容である(当事者間に争いなし。)。また、上記ドメイン名のウェブサイトには、令和4年2月14日時点で、本件出版物の表紙が大きく掲載されているが (甲22)、本件出版物の表紙には「一般社団法人日本綜合医学会」という題号が2段にわたり記載され、その「日本綜合医学会」の記載に比べて「一般社団法人」の記載は相当に小さい。これらによると、被告は、「日本綜合医学会」として一定の歴史や活動実績がある原告についてのウェブページであると誤信させるという不正の利益を得る目的で「nihonsogoigakukai.com」のドメイン 名を使用していると認められる。 よって、請求の趣旨5項についての原告の請求のうち、被告の行為が不正競争防止法2条1項19号の不正競争行為に当たることを前提に、同法3条1項に基づき「nihonsogoigakukai.com」のドメイン名を用いることの差止めを求める部分については理由がある。その余の不正競争防止法に基づく請求及び商 標権に基づく請求は、不正競争防止法2条1項19号の不正競争行為に係る請求が認められるため判断しない。 他方、請求の趣旨5項のうち、「nihonsogoigakukai」を含む文字列に係るドメイン名を用いることの差止めを求める部分については、「nihonsogoigakukai」に付加された文字列によっては、必ずしも「日本綜合医学会」の標章に類似し ているとはいえないドメイン名もあり得るため、その使用の差止めを認めることはできない。また、上記差止めを求める部分については、原告が商標権に基づいてドメイン名の使用の差止めを求める場合も同様に判断され、この部分につ ドメイン名もあり得るため、その使用の差止めを認めることはできない。また、上記差止めを求める部分については、原告が商標権に基づいてドメイン名の使用の差止めを求める場合も同様に判断され、この部分について、原告の商標権に基づく請求は他の点を判断するまでもなく理由がない。 請求の趣旨6項について 原告は、被告の行為が不正競争防止法2条1項1号、2号又は19号の不正 競争であると主張して、請求の趣旨6項の請求をする。 主位的請求について、前記で説示したとおり、被告が「nihonsogoigakukai.com」のドメイン名を用いることは不正競争防止法2条1項19号の不正競争行為に当たるといえる。原告が同不正競争行為の停止のために同ドメイン名の抹消登録を請求することには理由がある。 他方、被告がウェブサイトを運営すること自体は、不正競争防止法2条1項19号の不正競争行為に当たるとはいえないし、ウェブサイトの抹消自体が不正競争行為の停止等のために必要な範囲の行為であるとはいえない。また、原告は、「日本綜合医学会」との表示が、医療関係、健康関連、自然食関連等の分野で原告の商品等表示として周知、著名であることを前提に、被告の行為が同 項1号又は2号の不正競争行為に当たると主張するが、前記1で説示したとおり、同表示が、原告が主張する分野において周知、著名であったとはいえないから、原告の主張はその前提を欠く。 予備的請求についても、同様に、ウェブサイト上で「日本綜合医学会」等の表示をすることは、不正競争防止法2条1項19号の不正競争行為には当たら ず、同項1号又は2号の不正競争行為に当たるとの主張は、主位的請求と同様の理由でその前提を欠く。 よって、請求の趣旨6項に係る請求については、原告が「 項19号の不正競争行為には当たら ず、同項1号又は2号の不正競争行為に当たるとの主張は、主位的請求と同様の理由でその前提を欠く。 よって、請求の趣旨6項に係る請求については、原告が「nihonsogoigakukai.com」のドメイン名の抹消登録を請求する限度で理由がある。 請求の趣旨7項について原告は不正競争防止法4条に基づいて弁護士費用相当損害金を請求する。 本件において、被告が「nihonsogoigakukai.com」のドメイン名を使用したことが不正競争防止法2条1項19号の不正競争行為に当たるところ、被告は不正の利益を得る目的で「nihonsogoigakukai.com」のドメイン名を使用して 原告の利益を侵害し、原告は原告の利益を保護するため弁護士に委任して訴え を提起することを余儀なくされたと認められ、そのための弁護士費用として20万円が相当と認める。 3 以上のとおり、原告の請求は、被告が出版する刊行物に「日本綜合医学会」との標章を付すことの差止め、本件出版物の頒布の差止め及び廃棄、「nihonsogoigakukai.com」のドメイン名の使用の差止め及び同ドメイン名の抹 消登録、損害賠償金20万円の支払を請求する限度で理由があるが、その余の請求には理由がないから棄却することとし、訴訟費用については民事訴訟法64条を適用し、仮執行宣言は、損害賠償の請求以外の請求について相当ではないからこれを付さないこととして主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第46部 裁判長裁判官柴田義明 裁判官佐伯良子 裁判官仲田憲史 裁判長 裁判官柴田義明 裁判官佐伯良子 裁判官仲田憲史 別紙出版物目録 1 書籍の題号一般社団法人日本綜合医学会初号/2021年発行日令和3年7月4日 発行者新舩海三郎発行所株式会社本の泉社 2 書籍の題号一般社団法人日本綜合医学会第2号/2021年 発行日令和3年12月22日発行者新舩海三郎発行所株式会社本の泉社 3 書籍の題号一般社団法人日本綜合医学会 2022年第3号発行日令和4年7月7日発行者濱田和子発行所株式会社本の泉社 別紙ウェブサイト目録 http:// 以下省略 別紙商標権目録 登録第6576332号商標日本綜合医学会(標準文字)出願日令和3年7月21日 登録日令和4年6月23日指定商品又は指定役務第16類印刷物、書籍、雑誌、定期刊行物、出版物、小冊子、ニューズレター、パンフレット 第41 食事・栄養・食生活・健康・予防医学に関する知識の教授及びこれらに関する情報の提供、インターネットによる食事・栄養・食生活・健康・予防医学に関する知識の教授及びこれらに関する情報の提供、通信 食事・栄養・食生活・健康・予防医学に関する知識の教授及びこれらに関する情報の提供、インターネットによる食事・栄養・食生活・健康・予防医学に関する知識の教授及びこれらに関する情報の提供、通信教育による知識の教授、通信講座の運営、個人に対する知識の教授、インターネットまたは携帯電話による通信を用い て行う画像・動画の提供及びこれらに関する情報の提供、セミナーの企画・運営又は開催、研修会の企画・運営又は開催、シンポジウムの企画・運営又は開催、教育フォーラムの手配及び運営、電子出版物の提供、図書及び記録の供覧、図書の貸与、書籍の制作、教育・文化用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く)

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