判決平成13年12月12日神戸地方裁判所平成9年(行ウ)第20号換地処分取消請求事件 主文 1 被告が原告Aに対して平成9年4月17日付けでした,別表Ⅰ「従前の土地」欄記載の土地を従前地とし,同「換地」欄記載の土地を換地とする換地処分(加経農第16号37)を取り消す。 2 被告が原告Bの父である亡Gに対して平成9年4月17日付けでした,別表Ⅱ「従前の土地」欄記載の土地を従前地とし,同「換地」欄記載の土地を換地とする換地処分(加経農第16号11)を取り消す。 3 被告が原告Cの父である亡Hに対して平成9年4月17日付けでした,別表Ⅲ「従前の土地」欄記載の土地を従前地とし,同「換地」欄記載の土地を換地とする換地処分(加経農第16号40)を取り消す。 4 被告が原告Dに対して平成9年4月17日付けでした,別表Ⅳ「従前の土地」欄記載の土地を従前地とし,同「換地」欄記載の土地を換地とする換地処分(加経農第16号45)を取り消す。 5 被告が原告Eに対して平成9年4月17日付けでした,別表Ⅴ「従前の土地」欄記載の土地を従前地とし,同「換地」欄記載の土地を換地とする換地処分(加経農第16号44)を取り消す。 6 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判(原告ら)主文同旨。 (被告) 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 第2 事案の概要等被告は,平成9年4月17日付けで,原告A,同D,同E,原告Bの父である亡G及び原告Cの父である亡Hに対し,同和対策特別措置法及び土地改良法に基づき兵庫県加西市内で施行している同和対策農業基盤整備事 被告は,平成9年4月17日付けで,原告A,同D,同E,原告Bの父である亡G及び原告Cの父である亡Hに対し,同和対策特別措置法及び土地改良法に基づき兵庫県加西市内で施行している同和対策農業基盤整備事業(以下「本件事業」という。)についての各換地処分(以下,合わせて「本件各処分」という。)を通知した。本件は,原告らが被告に対し,本件各処分は手続的にも実体的(照応の原則)にも違法なものであると主張して,本件各処分の取消しを求めた事案である。 1 前提となる事実以下の事実は,いずれも当事者間に争いがない。 (1) 当事者ア原告らは,いずれも加西市a町p地区所在の農地の耕作者である。 イ被告は,本件事業の施行者たる普通地方公共団体である。 (2) 本件事業被告は,同和対策特別措置法及び土地改良法に基づいて,加西市内のa町(なお,従来,現在のa町のp地区はq町,a町のr地区はy町と呼ばれていた。 以下,それぞれについて「a町p地区」,「a町r地区」という。)r地区,同p地区,s町,t町,u町,v町,w町,x町の合計8地区(以下,合わせて「本件事業施行地区」という。)所在の農地に係る本件事業を施行している。 (3) 本件各処分ア原告Aに対する換地処分被告は,平成9年4月17日付けで,原告Aに対し,別表Ⅰ各筆換地等明細書記載のとおり,「従前の土地」欄記載の土地(以下,これらの土地を「第1従前地」という。)を「換地」欄記載の土地(以下,これらの土地を「第1換地」という。)に換地する旨の処分(加経農第16号37。以下「第1処分」という。)を行い,原告Aはその旨の通知(甲1)を受け取った。 イ亡Gに対する換地処分被告は,平成9年4月17日付けで,亡Gに の処分(加経農第16号37。以下「第1処分」という。)を行い,原告Aはその旨の通知(甲1)を受け取った。 イ亡Gに対する換地処分被告は,平成9年4月17日付けで,亡Gに対し,別表Ⅱ各筆換地等明細書記載のとおり,「従前の土地」欄記載の土地(以下,これらの土地を「第2従前地」という。)を「換地」欄記載の土地(以下,これらの土地を「第2換地」という。)に換地する旨の処分(加経農第16号11。以下「第2処分」という。)を行ったが,同人は,既に死亡していたため,同人の子である原告Bがその旨の通知(甲2)を受け取った。 ウ亡Hに対する換地処分被告は,平成9年4月17日付けで,亡Hに対し,別表Ⅲ各筆換地等明細書記載のとおり,「従前の土地」欄記載の土地(以下,これらの土地を「第3従前地」という。)を「換地」欄記載の土地(以下,これらの土地を「第3換地」という。)に換地する旨の処分(加経農第16号40。以下「第3処分」という。)を行ったが,同人は,既に死亡していたため,同人の子である原告Cがその旨の通知(甲3)を受け取った。 エ原告Dに対する換地処分被告は,平成9年4月17日付けで,原告Dに対し,別表Ⅳ各筆換地等明細書記載のとおり,「従前の土地」欄記載の土地(以下,これらの土地を「第4従前地」という。)を「換地」欄記載の土地(以下,これらの土地を「第4換地」という。)に換地する旨の処分(加経農第16号45。以下「第4処分」という。)を行い,原告Dがその旨の通知(甲4)を受け取った。 オ原告Eに対する換地処分被告は,平成9年4月17日付けで,原告Eに対し,別表Ⅴ各筆換地等明細書記載のとおり,「従前の土地」欄記載の土地(以下,これらの土地を「第5従前 オ原告Eに対する換地処分被告は,平成9年4月17日付けで,原告Eに対し,別表Ⅴ各筆換地等明細書記載のとおり,「従前の土地」欄記載の土地(以下,これらの土地を「第5従前地」という。)を「換地」欄記載の土地(以下,これらの土地を「第5換地」という。)に換地する旨の処分(加経農第16号44。以下「第5処分」という。)を行い,原告Eがその旨の通知(甲5)を受け取った。 (4) 相続ア原告Bについて(ア) 原告Bは,Gの子である。 (イ) 第2処分以前の平成5年10月13日にGは死亡し,同処分に関係する土地の権利義務は,すべて原告Bが相続した。 イ原告Cについて(ア) 原告Cは,Hの子である。 (イ) 第3処分以前の平成8年6月17日にHは死亡し,同処分に関係する土地の権利義務は,すべて原告Cが相続した。 (5) 本件各処分における換地交付率本件各処分における換地交付率は,次のとおりである。 ア原告A(但し,自作地の換地交付率) 97.04666%イ亡G(但し,自作地の換地交付率) 96.3165 %ウ亡H 96.3848 %エ原告D 97.6972 %オ原告E 96.99883% 2 争点本件における争点は,抽象的には「本件各処分の適法性」であるが,具体的には次のとおりである。 (1) 本件事業は,手続上違法であるか。 ア余裕率の設定イ入札の実施ウ地元の換地委員らによる換地の選定エ売買契約書の作成に基づく処理オ清算手 (1) 本件事業は,手続上違法であるか。 ア余裕率の設定イ入札の実施ウ地元の換地委員らによる換地の選定エ売買契約書の作成に基づく処理オ清算手続(2) 本件各処分は,それぞれ照応の原則(土地改良法96条の4,53条1項2号)に違反するか。 第3 争点に関する当事者の主張 1 被告の主張以下のとおり,本件各処分には手続上違法な点はなく,照応の原則にも違反しないから,いずれも適法である。 (1) 手続の適法性原告らは,本件事業において,余裕率を設定した点,入札を実施した点,地元の換地委員らが換地を決定した点,余裕地を売買契約書を作成して処分した点,清算金を被告が徴収していない点が違法である旨主張するが,これらの手続に違法はない。 ア余裕率の設定について(ア) 換地処分においては,初めから換地交付率に従って配分していくと,配分面積と換地区画の不一致等のため,換地に不足が生じることがある。そこで,このような換地面積の不足が生じないようにして換地の選定を円滑に行うため,1%から3%程度の余裕率が設けられる(乙12)。 余裕率設定の法律上の根拠は,土地改良法52条の5を受けて農林水産省が定めた換地設計実施要領(乙3)である。本件事業においても,換地設計基準書(乙4)4項②記載のとおり,余裕率として換地交付率から3%以内を減ずることができる旨定められている。 (イ) a町p地区の換地選定過程においては2%を余裕率とし,これを実質換地交付率99%から差し引き,従前地面積の97%を換地配分面積として各権利者に対し換地選定作業を行った。 イ入札について前記アの余裕地につき,換地委員は,隣接地の権利者等と個別に交渉して配分 %から差し引き,従前地面積の97%を換地配分面積として各権利者に対し換地選定作業を行った。 イ入札について前記アの余裕地につき,換地委員は,隣接地の権利者等と個別に交渉して配分先を選定していったが,配分先が決まらない土地2筆について,a町p地区内の権利者に換地としての取得の機会を公平に提供するため,入札を実施した。 a町p地区では,毎年1月15日に同地区の世帯全員が参加して開催される同地区初参会(以下「初参会」という。)が最高議決機関であるが,平成9年1月15日の初参会において,欠席した原告らを除く全権利者に対し,区長が余裕地の処理について入札を行うことを提案し,その了承を得た。その上で,区長は,上記入札を本件事業に係る事務の一つとして実施し,被告は上記のような地元の意向や入札の結果の報告を受けている。 このように,上記入札は,後記ウの地元での協議の過程での,換地配分先を決定するための手法の一つにすぎないのであって,違法ではない。 ウ地元の換地委員らによる換地の決定について(ア) 本件事業において,a町p地区の区長が同地区の地元代表者として,被告と地元との連絡・調整を行ってきたという実態に基づき,区長は,本件事業に関する地元の事務を管理する代表者としての権限がある。 そして,一般に,ほ場整備事業においては,自治体が事業主体であっても地元の意向を無視して事業を遂行することはできず,地元意見の調整・集約が必要不可欠である。そして,地元意見の調整・集約は,地元代表者である区長の上記権限に含まれる。 (イ) 本件事業において,被告からの依頼に基づき,地元で換地委員会等の地元協力機関を組織し,各町内での権利者間の利害調整,各町間における耕作界等の調整のための協議が重 に含まれる。 (イ) 本件事業において,被告からの依頼に基づき,地元で換地委員会等の地元協力機関を組織し,各町内での権利者間の利害調整,各町間における耕作界等の調整のための協議が重ねられた。そして,最終的には区長によって地元意見が集約された。 (ウ) 被告は,a町p地区の区長によって調整・集約された上記の協議の結果(地元での換地配分の結果)を踏まえて,余裕地を残さないように換地配分をなし,これを内容に含む換地計画につき,土地改良法52条5項・6項,96条の4に基づき,平成9年2月16日開催の権利者会議の議決を経て換地計画の決定に至ったもので,その手続に違法はない。 エ売買契約書について原告らは,25筆,合計面積約1万1000㎡の土地について,正規の換地がなされず,売買によって処分されていると主張するが,誤りである。 (ア) まず,換地設定を円滑に行うために設けられた余裕率によって発生した余裕地は,別表Ⅵ記載①ないし⑪の土地(合計面積3155㎡)であり,これらの土地につき最終的にはいずれも換地配分をなしており,売買によって売却処分されたものではない。 (イ) 前記(ア)の①ないし⑪の土地以外の土地も,最終的にはいずれも本件換地計画に基づき換地がなされており,売買によって処分されたものではない。 (ウ) 買主12人との間の13通の各土地売買契約書(甲A11の1~13頁。以下「本件各契約書」という。)は,地元における清算のための内部的な確認資料の意味で覚書として作成されたものであり,被告が作成に関与した文書ではない。 オ清算手続について原告らは,本件事業において,被告が清算金を徴収していないことが違法であると主張するが,次のとおり違法ではない。 (ア) が作成に関与した文書ではない。 オ清算手続について原告らは,本件事業において,被告が清算金を徴収していないことが違法であると主張するが,次のとおり違法ではない。 (ア) a町p地区の余裕地に係る清算金については,その金額を明確にし支払の確実を期するため,前記エのとおり,本件各契約書が,地元において内部的な確認資料の意味で覚書として作成された。なお,本件各契約書においては,1㎡当たり2000円という一律の正当な基準により清算金額が算出されている。 内部的な確認資料という性質から,被告は本件各契約書に基づき金員を徴収すべき義務はない。また,本件各契約書記載の金員は,被告が本件換地処分の清算金として取り扱うべきものでない以上,かかる金員を含めて照応しているかを検討する必要もない。 (イ) 余裕地に関するものも含め本件事業において清算の必要がある場合,その清算は地元においてすることが地元と被告の間で確認され,本件事業に関する権利者会議において,被告の担当者から出席権利者に対し,各筆換地明細書記載の清算金については地元での清算に委ね,被告は徴収を行わない旨説明し,その了解を得ている。 (2) 照応の原則について本件各処分は,次のとおり,いずれも照応の原則に違反しない。 ア換地交付率について換地交付率は,従前の地区の総地積から,不換地等の地積(土地改良法53条の2の2参照)を差し引いて算出される(乙3の141頁,142頁)。したがって,不換地等の地積が多いほど,分母に加える従前地が小さくなって換地交付率が大となり,計算上は換地することができる土地の面積が増えることとなる。 a町p地区において,従前地のうち不換地の地積は,合計1万3915.39㎡である。この地積 地が小さくなって換地交付率が大となり,計算上は換地することができる土地の面積が増えることとなる。 a町p地区において,従前地のうち不換地の地積は,合計1万3915.39㎡である。この地積を含まない各地権者の各筆換地等明細書の(1)に掲げた土地,すなわち,換地の対象となる各地権者の従前地面積の合計42万5489. 51㎡を分母とし,これに対する換地面積の合計43万3996.51㎡を分子として計算すると,前記換地交付率101.9993442%が算出される。 しかし,本件事業で不換地となっても,隣接する他のほ場整備事業で換地を配分される者もいるため,不換地といっても権利者が入れ替わるだけで実質的には不換地となった者も換地を受けていることとなる。したがって,上記換地交付率によって実際の換地配分をすることはできない。a町p地区の換地配分において,99%を実質換地交付率とし,余裕率を2%とみて,従前地の合計面積の97%に当たる土地を各地権者に対して配分した点は不合理なものではない。 上記の理由で,照応の原則に適合するか否かは,原告らの換地面積の従前地面積に対する割合が,上記97%とどれだけ格差があるかどうかによって判断すべきことになるところ,原告らの換地交付率は約96.3%から約97.7%の範囲内であり,換地交付率が少ないという原告らの主張は誤っている。 イ個別的な照応関係について土地改良法53条1項2号にいう「照応」関係は,同一地権者に対する従前の土地全体と換地全体を総合的にみてその間に認められれば足りるところ,原告らが主張するのは個別的な土地の条件等であり,これらの事由によって照応関係が否定されるものではない。しかも,原告らの照応の原則違反の各主張は,次のとおりいずれも理由がない。 (ア) 原 原告らが主張するのは個別的な土地の条件等であり,これらの事由によって照応関係が否定されるものではない。しかも,原告らの照応の原則違反の各主張は,次のとおりいずれも理由がない。 (ア) 原告Aⅰ 原告らは,第1換地が1区画の面積が小さく分割されている旨主張する。 しかし,第1換地は,a町α812-1,同812-2及び同人の母Jの換地である同813を含む1区画1115㎡,a町β800-1及び同800-2の1区画1146㎡,小作地として,w町γ701の1区画483㎡,a町δ1016,同1017及び同1018の1区画1099㎡,並びにw町γ710及び同711の1区画1171㎡となっている(乙2の1・2)。 したがって,上記w町γ701以外は1000㎡を超える区画となっており,同701もa町δの区画の北東に位置し集団化が図られているのであって,原告Aの換地が細分化されているとの主張は事実に反している。 ⅱ 原告Aは,a町β800-1及び同800-2について田から水が抜けてしまうと主張するが,検甲第1ないし3号証,検乙第1号証の17・18によれば,耕作に支障がないことが明らかである。 (イ) 亡G原告らは,第2換地のt町ε556の土地が,ほぼ1日中田の9割が日蔭になっており,全く収穫が期待できない旨主張する。 しかし,稲作に必要な時季・時間帯において,1日中同土地の9割が日陰になるということはない。検乙第1号証の21・22は,平成9年6月27日に撮影された写真であるが,稲作にとって日照の影響が大きいこの時季において,上記土地の大部分は日陰になっていない。また,同土地の西側には建物や樹木など日照を遮るようなものはない。 (ウ) 亡H であるが,稲作にとって日照の影響が大きいこの時季において,上記土地の大部分は日陰になっていない。また,同土地の西側には建物や樹木など日照を遮るようなものはない。 (ウ) 亡H原告らは,第3換地のa町ζ771の田への進入路の勾配が急傾斜であると主張する。 しかし,上記進入路の施工は,兵庫県のほ場整備工事の標準図面に準拠してなされており(高さ対底辺が1対3の割合。検乙1の31),特に急な勾配の工事を行ったものではない。 (エ) 原告D原告らは,a町ζ114番3の土地(田。3.33㎡)が,登記簿上も字限図も存在しているとして,第4従前地から抜かれていると主張する。 しかし,登記簿や字限図にあるからといって,本件事業の対象区域に入っているとは限らない。原告A本人は,乙第1号証の2(本件各処分の従前地図)の図面上,同土地は地番16ー1の土地の一部である旨供述するが,甲A第5号証の字限図からは,114番3の土地が,乙第1号証の2の図面上,原告Aが供述するような場所にあるとはいえない。同土地は,換地処分前の一時利用地の指定においても従前地に記載がないことから(甲24),本件事業の当初から対象地域外であったものである。 (オ) 原告Eⅰ 原告Eは,第5換地のほとんどの田の形状が六角形であるなど不整形である旨主張する。 しかし,土地改良工事によって農地の区画形状を変更改良するといっても,すべての農地の形状を長方形にしなければならないというものではなく,道路及び用排水施設の配置,高低差等の地形等によっては,長方形にすることができない場合もある。そして,原告Eが不整形であると主張するのは,水路や枡によって,農地の一角が欠けているため六角形になっているというもので 施設の配置,高低差等の地形等によっては,長方形にすることができない場合もある。そして,原告Eが不整形であると主張するのは,水路や枡によって,農地の一角が欠けているため六角形になっているというもので,しかも,区画全体からみれば欠けていると主張する部分は小さく,ほぼ長方形の形状が保たれている。 ⅱ また,原告Eは,県営のほ場整備事業に比べ,畦畔の高さが低いなど工事上の不備を主張している。 しかし,本件事業における工事は,兵庫県と同じ規格基準に基づき実施され,県及び被告の検査も経ており,県営の場合よりも畦畔の高さが低い形で工事をした事実はない。 ⅲ むしろ,原告Eは,自宅のすぐ近くに第5換地を指定されており,有利な指定がされているのである。 ウ公平の原則について(ア) Kらの換地原告らが,極端な増換地がされていると主張する権利者につき,従前地面積に対し換地面積が多くなっている理由は次のとおりである。 ⅰ K(但し,換地処分は同人の父L宛にされている。以下,便宜上,L宛にされた換地処分についても「K」の名を用いる。)は,余裕地を取得したことにより,1㎡当たり金2000円の清算金を負担することになる。そして,Kは,既に他の換地分も含め清算金内金として100万円を支払っている。 なお,原告Aは,第1換地に隣接する土地(a町β799。165㎡)が余裕地として入札が実施されたのであるから,応札していれば取得する機会があったにもかかわらずこれをしなかったのであり,上記余裕地を取得できなかったことをもって公平の原則に反するとはいえない。 ⅱ また,K以外の後記2(2)イ(ア)ⅱないしⅴの4名も,いずれも余裕地を換地配分された結果,増換地となっているのである。そして できなかったことをもって公平の原則に反するとはいえない。 ⅱ また,K以外の後記2(2)イ(ア)ⅱないしⅴの4名も,いずれも余裕地を換地配分された結果,増換地となっているのである。そして,本件各契約書記載のとおり,Kと同様,余裕地に対して清算金を支払うことになっている。 ⅲ このように,地元において,清算金によって余裕地に係る清算がなされるのであるから,実質的にみて,余裕地の換地配分を受けた者と他の権利者との間で不公平が生ずるものではない。 (イ) Mの換地原告らは,Mに対する換地処分につき,19㎡の従前地に対し,1957㎡が換地されている点を問題にする。しかし,次のような理由で,かかる点も,本件各換地処分を取り消すまでの事由とはならない。 a町p地区においては,分割田の畔作り等本件事業で補助対象とならず地元負担となる補完工事費用を捻出する必要があった。そこで,やむを得ず土地を売却して,その売却代金から上記費用を捻出することとし,できる限り高額で売却するため入札を実施した。その結果,Mがa町η875の土地を4000万円で買うことになった(甲A11の1頁)。なお,前記(ア)の余裕地の清算金は,1㎡当たり2000円を基準としており,これによれば同土地の清算金は391万4000円にしかならず,これでは前記補完工事費用を全額まかなうことができない。 そして,上記代金額は地元にとって有利な金額である反面,Mは,19㎡の従前地に対し1957㎡の換地を受けるとはいえ,実質的には,換地処分に伴う清算金と比べて10倍以上もの高額な対価を負担しているのであるから,有利な取扱いを受けているとはいえない。 このような事情の下で,被告は,a町p地区の区長らより,上記土地をMに売却したので同人に換地し 0倍以上もの高額な対価を負担しているのであるから,有利な取扱いを受けているとはいえない。 このような事情の下で,被告は,a町p地区の区長らより,上記土地をMに売却したので同人に換地してほしい旨の要望を受けて,Mに対する換地としたのである。 2 原告らの主張以下のとおり,本件各処分はいずれも,手続的に違法である上,従前地と換地が照応しない点でも違法である。 (1) 手続の違法性本件事業は,法律上の根拠なく余裕率を設定し,余裕地の一部について入札を行い,地元が売買契約を締結して売却処分し,地元の換地委員らが権限なく換地配分を決定し,さらに被告が清算金を徴収しないなど,手続的に違法である。 ア余裕率の設定について被告が余裕地と称しているのは別表Ⅵ記載の番号①から⑪までの土地であるが,そもそも余裕地とは,土地改良事業の施行を技術的に円滑にするために,2~3%の土地を残しておいて換地までの調整に使い,最終的に換地の際になくしておかなければならないというものである。本件で被告が余裕地と呼んでいるのは,換地直前に切り取って作った土地であるから,余裕地とはいえないものである。 イ地元の換地委員らによる換地の決定,売買について本件事業において,換地の決定を事業施行者である被告ではなく,地元の換地委員らが決定している。たとえ被告から要請を受けた委員会という形をとっていても,一部の地権者の代表として選任された者に,法律上換地配分を決定する権限はない。 しかも,N(a町p地区の前区長)らは,別表Ⅵのとおり,合計25筆の土地(総面積約1万1000㎡)について,売買によって売却処分し,その売買代金を被告に報告せずに管理している。 このように,土地の処分権限がないNらが らは,別表Ⅵのとおり,合計25筆の土地(総面積約1万1000㎡)について,売買によって売却処分し,その売買代金を被告に報告せずに管理している。 このように,土地の処分権限がないNらが,勝手に対象土地を売却したりして換地配分を決定した以上,それに従う形で被告が最終的に換地処分をしたのだとしても,手続上明らかに違法である。 ウ入札について被告は,別表Ⅵ記載⑧及び⑩の土地は,a町p地区の初参会で入札を決定したと主張する。 しかし,a町p地区は法律上任意団体たる自治会であり,同地区で本件事業に参加した地権者は35名であるところ,a町p地区には60数戸で本件事業に参加していない者が多数いるから,入札を実施する権限はない。また,入札や価格の決定が公平に行われたか判断する資料もないから,被告の主張は採用できない。 エ清算について清算の手続を法律上の根拠なくNらが行っており,本件各処分は違法である。 本件各契約書のある分についても入札の分についても,代金をどのようにして決定したのか,その代金がどこへ流れたのかについて被告は把握していない。1㎡当たり2000円という一応正当と思われるような清算金を地元に支払っても,その金員を被告が徴収していないから,照応するという計算は成り立たないのである。 オまとめ以上のように,被告は,Nらに換地の決定を完全に任せ,原告らの換地を削って,土地を浮かせて処分しても代金の回収もせず,やりたい放題を許したのである。そのために,原告らの換地交付率が平均よりはるかに低くなったのであり,本件各処分に違法があることは明らかである。 (2) 照応の原則違反本件各処分は,いずれも照応の原則に反するもので違法である。 ア照応関係 率が平均よりはるかに低くなったのであり,本件各処分に違法があることは明らかである。 (2) 照応の原則違反本件各処分は,いずれも照応の原則に反するもので違法である。 ア照応関係について(ア) 原告Aア原告Aに対する換地交付率は,前記第2の1(5)記載のとおり,97.04666%であるが,地区総計表記載の換地交付率101.9993442%と比べて,極めて低い数字である。 イまた,換地交付率の点以外にも,以下のように従前地と換地が照応していない。 ⅰ 自作地に係る第1換地は,合作り,すなわち1区画の田を数人で分割して細切れで指定がされたので,農作業が不便で,ほ場整備事業の目的に反する指定である。 第1従前地は合作りがなく,枚数は11枚であったが田が続いており3か所にまとまっていたのが,第1換地では4か所に分散して不便になっている。他の地権者でこのように合作りを指定されている地権者はいない。 ⅱ また,第1換地であるa町β800-1,同800-2は,畦や田を削って十分な補強をしなかったので,全体的に水や肥料がもれてしまう田になった。朝,水を入れても夜に抜けてしまい,草が生えて困る等著しく不便な田になっている。 (イ) 亡Gⅰ 亡Gに対する換地交付率は,前記第2の1(5)記載のとおり,96. 3165%であるが,地区総計表記載の換地交付率101.9993442%と比べて,極めて低い数字である。 ⅱ また,換地交付率の点以外にも,以下のように従前地と換地が照応していない。 第2換地のt町ε556は,北を除く三方が竹やぶで,北も高さ2mの土手なので,1日のほとんどは田の9割が日陰となっており,収穫が期待 外にも,以下のように従前地と換地が照応していない。 第2換地のt町ε556は,北を除く三方が竹やぶで,北も高さ2mの土手なので,1日のほとんどは田の9割が日陰となっており,収穫が期待できない。日陰のため畦に苔が生えるような悪条件の田である。検甲第6ないし9号証によれば,ほとんど日陰になっていることが明白である。 (ウ) 亡Hⅰ 亡Hに対する換地交付率は,前記第2の1(5)記載のとおり,96. 3848%であるが,地区総計表記載の換地交付率101.9993442%と比べて,極めて低い数字である。 ⅱ また,換地交付率の点以外にも,以下のように従前地と換地が照応していない。 第3従前地の進入路は何の不便もなかったのに,第3換地のa町ζ771に作られた高さ2mの進入路は急傾斜で,農作業に危険が予想される悪条件の田である。 (エ) 原告Dⅰ 原告Dに対する換地交付率は,前記第2の1(5)記載のとおり97. 6972%であるが,地区総計記載の換地交付率101.9993442%と比べて,極めて低い数字である。 ⅱ また,換地交付率の点以外にも,以下のように従前地と換地が照応していない。 原告D所有の加西市a町字ζ114の3(田。3.30㎡)は,登記簿上も字限図上も存在していたのに,第4従前地から抜かれてしまっている。 (オ) 原告Eⅰ 原告Eの換地交付率は,前記第2の1(5)記載のとおり96.99883%であるが,地区総計表記載の換地交付率101.9993442%と比べて,極めて低い数字である。 ⅱ また,換地交付率の点以外にも,以下のように従前地と換地が照応していない。 (a) 総計表記載の換地交付率101.9993442%と比べて,極めて低い数字である。 ⅱ また,換地交付率の点以外にも,以下のように従前地と換地が照応していない。 (a) 第5換地のうち田の形状が長方形になっているのはs町θ498-1の土地1筆だけで,他の7筆のうち2筆は六角の田,5筆は大きく湾曲して耕耘,田植え,稲刈りが横にしかできないため,極めて農作業に不便な田である。 (b) 本件事業では,県営のほ場整備事業に比べ,畦畔の高さが低いという工事上の不備がある。したがって,このような不備がある第5換地の指定は不利な換地である。 (c) 第5従前地の4筆は,地目原野のものも含め,一等級のいわゆる黒土の肥沃田であるのに比べ,換地は三等級の赤土の田である。黒土の方が田として上等であり,米の質も良く,100㎡当たり40~60㎏も米の収穫量に差が出ることからすれば,不利な換地である。 (d) 第5従前地のs町θ11,同3,同4,同5,同9,同14の計6筆を第5換地のa町ζ762-1,同762-2に換地しているが,これらの換地は,従前地と町が違うのみならず,田へ入れる水,田の高低も異なり,不利な換地となっている。 イ公平の原則について次のとおり,本件各処分は,公平の原則にも反する。 (ア) Kらの換地Kら5名は,次のとおり,極端な増換地を受けている。 ⅰ K(L)従前地 6038㎡換地 7537㎡ⅱ P従前地 4265㎡換地 4600㎡ⅲ Q従前地 537㎡ⅱ P従前地 4265㎡換地 4600㎡ⅲ Q従前地 1507㎡換地 1712㎡ⅳ R従前地 3518㎡換地 3672㎡ⅴ S従前地 3229㎡換地 3545㎡(イ) Mの換地地権者でもないMを道路19㎡の地権者だったことにして,100倍以上の増換地となる畑1957㎡を換地している(甲B8)。これは,土地売買契約書(甲A11の1頁)だけでは登記ができないので,被告が所有権移転登記手続ができるように協力したものである。 そして,被告は,Mの清算金を徴収しないということであるが,清算金を徴収せずに帳尻が合うはずがないのである。 第4 当裁判所の判断 1 事実の認定前記第2の1の前提となる事実,証拠(甲1ないし5,甲A2の2,3の1,4の1,7,10,11,16,甲B1,2,8,検甲1ないし32,乙1の1・2,2の1・2,3ないし5,7の1ないし15,9ないし11,13ないし17,18の1ないし21,検乙1ないし3〔枝番を含む。〕,証人T,同N,同U,原告本人A,同E)及び弁論の全趣旨を総合すると,以下の事実が認められる。 (1) 本件事業本件事業は,被告を事業主体として,本件事業施行地区(a町p地区,a町r地区,w町,x町,s町,t町,u町,v町の8地区)を対象地区とする「同和対策農業基盤整備事業・a地区」とし 本件事業本件事業は,被告を事業主体として,本件事業施行地区(a町p地区,a町r地区,w町,x町,s町,t町,u町,v町の8地区)を対象地区とする「同和対策農業基盤整備事業・a地区」として,昭和53年7月22日付けで兵庫県知事のほ場整備事業認可を受けたほ場整備事業である。 本件事業は,国,兵庫県及び被告からの補助金で運営されている。 (2) 一時利用地の指定a町p地区において,昭和54年から昭和58年(同年に工事が完了)にかけて,土地改良工事が終わる都度,被告は,各地権者に対し,工区ごとに一時利用地指定通知を行っていった。 (3) 初参会と区長初参会は,毎年1月15日ころ開催されるa町p地区の住民の定期総会であり,同地区の最高議決機関である。初参会はa町p地区約61戸で構成されており,そのうち本件事業に参加した地権者の世帯は35名で,初参会構成世帯のうち約半数の世帯は非農家又は本件事業に参加していない農家である。 Nは,昭和61年1月15日,初参会でa町p地区の区長に選任され,平成9年1月15日まで同地区の区長に就いていた。そして,Vは,平成9年1月15日,初参会で同地区の区長に選任され,現在までその職に就いている。なお,Vは,本件事業に参加する地権者ではない。 被告は,本件事業において,a町p地区の区長をもって本件事業に係る同地区の代表者とし,具体的には本件事業に関する地区内の取りまとめをして被告と交渉する窓口として取り扱ってきた。 (4) 換地委員等の選任被告は,a町p地区に対し,本件事業について,工事委員,換地委員,評価委員の各委員を選任することを要請した。上記要請を受け,a町p地区では,初参会での決議等の手続を経ることなく,区長ないしは一部の地権 告は,a町p地区に対し,本件事業について,工事委員,換地委員,評価委員の各委員を選任することを要請した。上記要請を受け,a町p地区では,初参会での決議等の手続を経ることなく,区長ないしは一部の地権者によって各委員が選任された。例えば,Uは,平成5年か6年ころ,a町p地区の区長(当時はN)の依頼により換地委員に就任し,さらに,N外約10名の地権者により換地委員長(換地委員会の委員長)に推され,その職に就くことになった。 上記各委員の職務であるが,工事委員は工事の補助・監督,評価委員は従前地及び工事が終わった土地の評価,そして,換地委員は換地の選定である。 なお,a町p地区では,後記(7)のとおり,評価委員も換地の選定に関与してきた。 そして,各委員に対しては,被告から各委員手当が交付されてきた。 (5) 統一換地交付率の決定平成7年8月末ころまでに,本件事業施行地区内の各町間で換地配分の目安となる各町間の耕作界及び大字界(各町界)の協議が整った。これを受けて,本件事業施行地区の各区長(ないし農会長)及び各換地委員は,協議の上,本件事業施行地区の統一換地交付率を99%と決定した。 これは,本件事業においては,同和対策事業の一環である性格上,同和地区の混在率が40%以上の8町を本件事業施行地区とした関係から,まず,各町ごとの地権者の従前地合計面積の99%を基準として,まず各町単位で換地すべき土地を割り当てた上,各町の中で各地権者に対する換地配分をする手順としたためである。 平成8年1月,本件事業施行地区の区長は,連名で,被告に対し,上記決定した統一換地交付率について報告をした。 (6) 余裕率の設定換地設計基準書(a地区。乙3)において,円滑な換地配分を図るための余裕率とし 施行地区の区長は,連名で,被告に対し,上記決定した統一換地交付率について報告をした。 (6) 余裕率の設定換地設計基準書(a地区。乙3)において,円滑な換地配分を図るための余裕率として,換地交付率から3%以内を減ずることができる旨規定された。この範囲内で,a町p地区の換地委員らは,協議の上,同地区内で2%の余裕率を設定することを決定した。 (7) 換地の選定作業a町p地区の換地委員及び評価委員らは,上記(6)の余裕率2%を統一換地交付率99%から減じ,97%の換地交付率を基準として同地区内の地権者の換地配分を進めていった。 a町p地区においては,換地委員及び評価委員らが協議を重ね,換地委員長及び評価委員長が最終的に換地の配分を決定した。なお,上記換地委員らの協議の際に,被告職員が同席したことがあったが,同職員は具体的な換地配分について関与していない。 上記換地配分の過程で,前記の余裕率により発生したいわば余った土地(余裕地)が,別紙Ⅶ記載の①ないし⑪のとおり発生した。 (8) 余裕地の売却及び入札の実施ア ①ないし⑦,⑨,⑪の土地について換地先が決まらないで余った前記余裕地について,その処理を換地委員らで検討した結果,余裕地の各隣接地権者らに売却する方針を決定し,換地委員らが該当する各地権者らと折衝し,了承を得られた地権者らに配分していった。(もっとも,余裕地の隣接地権者が複数いる場合に,それらの者すべてに取得の機会が公平に与えられたわけではない。例えば,別表Ⅶ⑧記載の土地について,同土地の隣接地権者であるKは買受けを打診されたが,同じく隣接地権者である原告Aには何らの打診がされていない。なお,Kは,上記最初の打診については断っている。)この方法によって,別表 土地について,同土地の隣接地権者であるKは買受けを打診されたが,同じく隣接地権者である原告Aには何らの打診がされていない。なお,Kは,上記最初の打診については断っている。)この方法によって,別表Ⅶの①ないし⑦,⑨,⑪記載の各土地(余裕地)について,それぞれ隣接地権者の中から買うことを了承する者が現れた。 上記了承を受けて,a町p地区の区長V及び会計Nは,別表Ⅶ売買契約一覧表の①ないし⑦,⑨,⑪記載のとおり,権利者会議後の平成9年2月25日から同年6月26日までに,余裕地を買うことを了承した地権者ら9名との間で,各余裕地について売買契約を締結し,本件各契約書(ただし,甲A第11号証の13通の契約書中の9通)を作成した。 なお,別表Ⅶ記載⑤の土地を買ったWは地権者ではない(従前地を有していない。)。また,同表記載⑨の土地を買ったXは,a町p地区ではなくa町r地区の者で,当時のa町r地区の区長である。 そして,前記①ないし⑦,⑨,⑪の土地の買主は,買い受けた各土地について,いずれも被告から換地処分を受けた。 イ ⑧,⑩の土地についてしかし,上記アの方法によっても,a町β799及びa町ε551-4の2筆の土地(別表Ⅶ記載の⑧と⑩の土地)の売却先が決まらなかった。 そこで,a町p地区の区長らの役員及び換地委員らで協議した結果,a町β799及びa町ε551-4の2筆の余裕地の換地配分先について入札に付するとの意見があり,この意見について,平成9年1月15日開催の初参会において,区長から参加地権者に提案され,異議がなかったので,入札を実施することになった。 上記入札は,平成9年1月18日に実施され,同日午前中,換地委員長らが入札場所で待機していたが,誰からも応 ,区長から参加地権者に提案され,異議がなかったので,入札を実施することになった。 上記入札は,平成9年1月18日に実施され,同日午前中,換地委員長らが入札場所で待機していたが,誰からも応札はなかった。 そこで,換地委員らが協議した結果,a町β799及びa町ε551-4の2筆の土地を同土地に隣接する換地を配分されたKに買ってもらうこととし,再度,同人と交渉してその了承を得た。 その結果,a町p地区の区長V及び会計Nは,Kとの間で,別表Ⅶの⑧及び⑩記載のとおり,上記a町β799及びa町ε551-4の2筆の土地の売買契約を締結した。但し,上記Kとの売買については,本件各契約書のような売買契約書は作成されていない。なお,Kは,a町p地区の換地委員で,Nとは兄弟の関係にある。 そして,Kも,別表Ⅶの⑧,⑩の土地について,被告から換地処分を受けた。 (9) 余裕地以外の土地の売却余裕地以外の別表Ⅶ記載の⑫ないし⑰の土地についても,後記(12)の権利者会議後,同別表記載のとおりの各売買契約によって処分された。⑬ないし⑮,⑰の土地について,売買の経緯はそれぞれ次のとおりである。 ア ⑬の土地についてx町字κ504の土地(別表Ⅶの⑬の土地)は,a町p地区の区長とx町の区長の間で,同土地をx町で配分すべき換地とすることを決定し,代金54万4000円でx町に売ったものである(甲A11の6頁)。 イ ⑭の土地についてa町η875の土地(別表Ⅶの⑭の土地)は,a町r地区・p地区の共有地であったが,a町r地区・p地区の各区長の間で,分割田の畦作り等の補完工事費用に充てるために同土地を売却することを決定した。そして,できるだけ高く売却するために入札を行った結果2名の応札があり,その であったが,a町r地区・p地区の各区長の間で,分割田の畦作り等の補完工事費用に充てるために同土地を売却することを決定した。そして,できるだけ高く売却するために入札を行った結果2名の応札があり,その結果,Mに対して4000万円で同土地を売ることにしたものである(甲A11の1頁)。 地権者でない(従前地を有しない)Mに対して,換地処分によって所有権移転登記手続をするため,a町p地区の区長は,a町λ537-2の土地・公衆用道路・19㎡をMに対して売って,まず同人を地権者とした上(所有権移転登記平成9年4月30日受付),本件事業によってMにη875の土地を換地処分して欲しい旨被告に報告した。これに応じて,被告は,Mに対し,上記19㎡の公衆用道路を従前地とし,a町η875の土地・1957㎡を換地として換地処分を行った(甲B8)。 ウ ⑮の土地についてa町δ1006-1の土地(別表Ⅶの⑮の土地)は,当初w町のYに換地配分しようとした土地であるが,同人が不要であると申し出たため,a町p地区でこれを買い取って他に売却することとしたものである。そして,Zからa町p地区に対し,上記a町δ1006-1の土地の買い取りの申し出があったので,a町p地区の区長らは,Yから同土地を買い,Zに対して同土地を売った(甲A11の2頁)。 エ ⑰の土地についてa町ζ767の土地(別表Ⅶの⑰の土地)は,当初甲に換地配分しようとした土地であるが,乙の小作権解消に伴う代償として金銭の代わりに同人に土地を換地することにし,その用地として甲から買い取ることに決定したものである。 換地面積の方が小作権相当面積より多く,差額25万8000円を清算する必要があったので,a町p地区の区長らは,上記額を売買代金として,乙に同土地を売った(甲A11の9 取ることに決定したものである。 換地面積の方が小作権相当面積より多く,差額25万8000円を清算する必要があったので,a町p地区の区長らは,上記額を売買代金として,乙に同土地を売った(甲A11の9頁)。 (10) 一時利用地指定変更被告は,前記(8)及び(9)の売買の結果を含む前記(7)の換地選定の最終的な結果について,a町p地区の区長及び換地委員長からの報告を受けた。被告は,上記報告の換地配分に従って,平成8年2月1日付けで一時利用地指定変更の事前通知を行い,さらに同年6月8日付けで一時利用地指定変更通知を行った。 (11) 原告らの異議申立て原告らは,被告に対し,平成8年8月3日付けで,原告A,同D,同E,亡G,亡Hに対する前記各一時利用地指定変更通知について異議を申し立てたが,被告は,平成9年2月10日付けで上記異議を棄却する旨の決定をした。 (12) 権利者会議及び換地処分被告は,本件事業に係る権利者会議開催の通知を行い,平成9年2月16日に開催された同権利者会議において,換地計画決定等につき可決された(土地改良法96条の4,52条5項前段・6項,5条7項参照)。上記権利者会議には,出席資格を有する者総数215名のうち181名の出席があった(その内訳は,本人出席23名,書面議決出席151名,委任状出席7名である。)。しかし,原告らは上記権利者会議に出席しなかった。 上記権利者会議における換地計画決定等の可決を受けて,被告は,兵庫県知事に対し,平成9年2月25日付けでa地区換地計画認可申請をし,同月26日付けで同知事による同換地計画の認可適否決定がなされ,公告,縦覧及び異議申立期間を経て,同年4月16日に認可された。そして,被告は,平成9年4月17日付けで,各権利者に対して換地処分 し,同月26日付けで同知事による同換地計画の認可適否決定がなされ,公告,縦覧及び異議申立期間を経て,同年4月16日に認可された。そして,被告は,平成9年4月17日付けで,各権利者に対して換地処分通知(本件各処分の通知を含む。)をなし,同月30日,同換地処分の公告がなされた。 別表Ⅶの①ないし⑰の土地の売却に関する詳細(個々の土地の売買代金額,その総額,その使途,その管理主体,管理方法)については,換地計画に明記されていなかった。そのため,上記権利者会議では,上記土地の売却に関する詳細については,土地改良法96条の4,52条5項前段・6項所定の議決をしていない。 (13) 売買代金,清算金の処理手続余裕地等を含め本件事業の関係で清算の必要がある場合,その清算は地元のa町p地区において行う旨,同地区の区長と被告の間で確認された。本件事業に係る前記権利者会議においても,被告職員は,出席した地権者に対して各筆換地等明細書記載の清算金については地元での清算に委ね,被告が交付・徴収を行わない旨説明している。これを根拠として,被告は,清算金を徴収しておらず,今後徴収する予定もない(証人T第13回口頭弁論,弁論の全趣旨)。 a町p地区における清算金は,原則として1㎡当たり2000円であり,これは同地区の換地委員及び評価委員らが決定した。 別表Ⅶ記載の各土地の売買代金は,その大部分が1㎡当たり2000円であり,時価よりも著しく安い価格である。その内金は,既にa町p地区に対して支払われている(例えば,Kは売買以外の清算金を含めて内金100万円を,Mは内金1000万円をそれぞれ既に支払った。)。 上記の売買代金内金は,「apr農業基盤整備事業代表 N」の預金口座に全額入金された。そして,上記売買代金内金は,本件ほ 内金100万円を,Mは内金1000万円をそれぞれ既に支払った。)。 上記の売買代金内金は,「apr農業基盤整備事業代表 N」の預金口座に全額入金された。そして,上記売買代金内金は,本件ほ場整備事業の対象外の工事で,被告等から費用が補助されない後記(14)の補完工事(一区画の土地を分割し畦を作る工事等)に既に一部支出された。 (14) 補完工事の実施上記(13)の預金口座からの支出に係る分割田の畦作り等の補完工事は既に行われた。 その工事の一部として,a町p地区の区長は,丙建設こと丁,戊ことVとの間で,少なくとも請負代金300万円以上でそれぞれ請負契約を締結して,同人らが工事を行い,上記額の各請負代金は既に支払われた。 なお,Vは,平成9年1月15日以降a町p地区の区長の職に就いている者である。また,丁は,前記(8)アのとおり,a町p地区から別表Ⅶ記載⑦土地を買い,同土地を換地配分された者であり,Nと兄弟の関係にある。 (15) 照応の原則が問題となる換地処分ア第2処分について亡Gが所有していた第2従前地には,日照の悪い田はなかった。他方,第2換地のうちa町ε556の田(259㎡)は,北が高さ約2mの土手で,北を除く三方は竹やぶで,日照条件が悪い田である(検甲6ないし9,検乙1の21・22)。 このように,第2処分については,一部日照条件の悪い土地があてがわれているが,その代償措置が講じられた形跡がない。 イ第3処分について亡H所有の第3従前地では,道路から田への進入路は,弓なりのほぼ平坦な道があったため,特に危険ではなかった。他方,第3換地のうちa町ζ771の田(731㎡)について,道路から田への進入路(高さ約1.5m,長さ約4m)の勾 ,道路から田への進入路は,弓なりのほぼ平坦な道があったため,特に危険ではなかった。他方,第3換地のうちa町ζ771の田(731㎡)について,道路から田への進入路(高さ約1.5m,長さ約4m)の勾配は急であり,かつ,前記旧進入路の一部(新しい進入路から道路に出る地点の西側)に家屋(乙の居宅)が建ったため,田から道路へ出る際の見通しが極めて悪い(検甲10,検乙1の30・31)。 このように,第3処分については,一部道路への出入りが極めて不便な土地があてがわれているが,その代償措置が講じられた形跡がない。 (16) 他の地権者に対する換地処分a町p地区の次の地権者は,本件事業において増換地を受けている。 ⅰ K従前地 6038㎡換地 7537㎡ⅱ P従前地 4265㎡換地 4600㎡ⅲ Q従前地 1507㎡換地 1712㎡ⅳ R従前地 3518㎡換地 3672㎡ⅴ S従前地 3229㎡換地 3545㎡ 2 本件各処分の違法性の検討上記認定した事実及び前記第2の1の前提となる事実に基づき,本件各処分(第1ないし第5処分)が違法であるか否かについて検討する。 (1) 本件各処分の手続的違法の有無ア死者を名宛人とする換地処分について(ア) 前記第2の1(3)イ,ウのとおり,第2処分は,当時 違法であるか否かについて検討する。 (1) 本件各処分の手続的違法の有無ア死者を名宛人とする換地処分について(ア) 前記第2の1(3)イ,ウのとおり,第2処分は,当時既に死亡していたGに対して,第3処分は,当時既に死亡していたHに対し,それぞれ被告によってなされた換地処分である。 ところで,換地処分は,処分当時における従前地の所有者ないしは小作権者に対してなされなければならないことは当然であり,死者を名宛人としてなされた換地処分は違法であるというべきである。 (イ) もっとも,死者を名宛人とする農地買収処分について,その相続人がその処分を知り又は知り得べきときは,法律上当然には無効ではないとする最高裁判決がある(最高裁昭和29年1月22日判決・民集8巻1号172頁,最高裁昭和44年9月2日判決・裁判集民事96号475頁)。 しかし,これらの判決は,行政処分の重大かつ明白な瑕疵による無効が問題となった事例であり,行政処分の違法を理由とする取消しが問題となっている本件とは異なる上,いずれも,短期間の間に多数の行政処分をしなければならなかった農地買収処分に関する事例であり,時間的にも余裕のある本件の如き換地処分とは事例を異にするものというべきである。 (ウ) したがって,死者を名宛人とする農地買収処分について,その相続人がその処分を知り又は知り得べきときは,法律上当然には無効ではないとする最高裁判決があるからといって,死者を名宛人とする換地処分が違法と認めることの妨げとはならないものと解する。 以上の次第で,死者を名宛人としてなされた第2処分及び第3処分は,いずれも既にこの点において違法であり,取消しを免れないものと認める。 イ余裕率の設定について と解する。 以上の次第で,死者を名宛人としてなされた第2処分及び第3処分は,いずれも既にこの点において違法であり,取消しを免れないものと認める。 イ余裕率の設定について一般に,換地選定に当たっては,初めから換地交付率によって配分すると,配分面積と換地区画の不一致等から配分地が不足し,適切な換地を行うことができなくなることから,換地選定の過不足調整のため,3%程度以内の余裕地を設定することが認められている(昭和47年5月29日47農地B第821号。換地設計実施要領。乙3)。しかし,その場合も最終的には余裕地を残さないように配分しなければならないところ,上記の目的の範囲内で設定された余裕地も最終的に換地として配分されれば,適法であると解するのが相当である。 本件において,a町p地区の換地設計基準書(乙3)において余裕率を3%以内と定め,その範囲内で別表Ⅵ①ないし⑪の余裕地を設定したが,最終的にはいずれも換地として配分されていることからすると,手続上違法であるとの問題は生じない。したがって,本件事業のa町p地区における余裕率2%の設定自体は適法であると認めるのが相当である。 ウ換地委員らによる換地の配分について前認定のとおり,本件事業においては,被告からの要請に基づき,a町p地区の地元で換地委員会等の地元協力機関を組織し,換地委員及び評価委員らが協議を重ねながら同地区内の換地配分を行い,そして,被告が地元代表者として取り扱ってきた区長(及び換地委員長)によって上記換地配分が被告に報告され,それに従って被告により各換地処分がなされた。 確かに,本件事業のような土地改良事業においては,地元の各地権者間の利害の調整等を図るべきことはもちろんであって,換地の配分につい ,それに従って被告により各換地処分がなされた。 確かに,本件事業のような土地改良事業においては,地元の各地権者間の利害の調整等を図るべきことはもちろんであって,換地の配分についても事業主体の要請に基づき,地元で換地委員会のような委員会組織を結成して,地権者の利害調整等の協議を行うことは,事業を円滑・公平にすすめるためには有益であることは否定できないところである。 しかし,具体的に換地手続をすすめる換地委員等の委員には,その職務の公平性が要請される(全地権者の利害を調整する責務を有する)から,その公平性を担保するため,その選任についても適正さが要請される。 その選任の適正さを確保するためには,a町p地区に限っていうと,同地区での地権者の人数(前記1(3)のとおり35名)からすると,少なくとも地区内のすべての地権者に人選の機会を与える必要がある。しかし,本件事業での上記委員らの選任は,区長ないし一部の地権者が各委員ないし委員長を選任する方法でされたもので,a町p地区の最高議決機関である初参会の決議も経ていない(前記1(4))。 したがって,本件事業におけるa町p地区の換地委員等の選任については,適正さを欠いていることが明らかであるから,ひいては,換地配分自体の適正さを担保できないものといわざるを得ない。そうすると,同換地委員及び評価委員らの協議によって決定された上記換地配分の手続,さらには同配分を無条件に受け入れた上記各換地処分には,手続上の違法があるとの疑問を払拭することができない。 エ別表Ⅶの土地の売買契約について(ア) 売買契約の法的性質について前記1(8)(9)及び別表Ⅶのとおり,被告による換地処分の前に,a町p地区の区長及び会計らによって,別 表Ⅶの土地の売買契約について(ア) 売買契約の法的性質について前記1(8)(9)及び別表Ⅶのとおり,被告による換地処分の前に,a町p地区の区長及び会計らによって,別表Ⅶの①ないし⑰の土地(本件事業の対象土地)の売買契約が締結されている。このような換地処分前の余裕地ないし換地配分しない土地の売買契約は,当該各土地についての使用収益権の譲渡と換地処分を停止条件とした当該土地の譲渡とみることができ,私法上の売買契約であるといえる。 被告は,本件各契約書(甲A11)について,地元において内部的な確認資料の意味で清算金を明確にする覚書として作成されたものであると主張し,証人Nや同Tも,本件各契約書は清算のための内部資料としてNが作成した旨,これに沿った証言をしている(証人N16,17頁,証人T第13回口頭弁論30頁)。 被告の主張するところは,本件各契約書は清算のための覚書であって,いずれも別表Ⅶの①ないし⑰の土地を売買契約により売却処分したものではないとの趣旨と思われる。しかし,次のaないしdの各諸点に照らせば,本件各契約書が清算のための内部的な確認資料にすぎないとはいえず,被告の上記主張は採用できない。 ⅰ 被告自身,前記第3の1(2)ウ(イ)のとおり,Mに対しては別表Ⅶの⑭の土地を売却したことを認めた上で,同売買が本件各処分を取り消す理由とはならないと主張していること(被告平成12年11月24日付け準備書面28,29頁参照)。 ⅱ 上記Mに対する売買など,売買代金について必ずしも一律に1㎡当たり2000円で計算した金額となっているわけではないこと。 ⅲ 本件各契約書(甲A11)には,明確に不動産売買契約書と記載されていること。 ⅳ 証人Nも他方で ずしも一律に1㎡当たり2000円で計算した金額となっているわけではないこと。 ⅲ 本件各契約書(甲A11)には,明確に不動産売買契約書と記載されていること。 ⅳ 証人Nも他方では土地を売ったと証言し(証人N35,36,50,52,53,55,74頁),同人及びa町p地区の区長らの認識は,別表Ⅶの①ないし⑰の土地の売買であったものと思われること。 (イ) 本件売買契約の違法性-全般的ⅰ 土地改良法上は,事業主体が,土地改良事業に係る費用捻出などの目的で換地配分しない土地を留保し,その土地を売却して土地改良事業の費用に充てることは認められていない。その理由は,以下のとおりである。 (a) 土地区画整理法では保留地を事業施行者が取得して第三者に売却することが認められ(同法96条,104条,108条),土地改良法施行法1条により廃止された旧耕地整理法(明治42年法律第30号)でも替費地として許容されていた(同法30条2項)が,土地改良法には,上記保留地,替費地等に関する規定がないこと。 (b) 土地改良法は,従前地に対する換地としてではなく,対象地内の土地を第三者に取得させることができる場合としては,一定の条件の下で土地改良施設用地や道路用地等の公共用地として,土地改良区等が当該土地を取得する創設換地制度(同法53条の3,53条の3の2)を規定しているにすぎないこと。 (c) 農用地を第三者に処分することは,土地改良法ないし土地改良事業が農用地の造成及び集団化を目的とすることに反する上,農用地の処分には農業委員会の許可(農地法3条)などの規制を受けるのに,余裕地処分の名のもとに実質上の権利移転を認めることは,その潜脱のおそれがあること。 ⅱ a町p地区の区長及び会計 上,農用地の処分には農業委員会の許可(農地法3条)などの規制を受けるのに,余裕地処分の名のもとに実質上の権利移転を認めることは,その潜脱のおそれがあること。 ⅱ a町p地区の区長及び会計らが,換地配分しない土地(別表Ⅶの①ないし⑰の土地)を設定し,その売却代金を補完工事費に充てることを計画し,それを実行したこと(前記1(8)(9)(13)(14))は,上記aで説示したとおり,土地改良法の趣旨に反し違法であるといわざるを得ない。 また,a町p地区の区長及び会計らは本件事業の事業主体ではなく,したがって,同区長らが換地配分しない土地(別表Ⅶの①ないし⑰の土地)を設けてこれを売却することは,本件事業の事業主体である被告が,上記区長をして同地区内の意見の取りまとめ役として扱っていた実態ないし経緯があったとしても,同区長らに本件事業対象土地の処分権限がなく,この点からも同売却処分は違法である。 ⅲ しかも,別表Ⅶの①ないし⑰の土地の売却に関する詳細(個々の土地の売買代金額,その総額,その使途,その管理主体,管理方法)については,本件事業に係る権利者会議でも議決を得ていない(土地改良法96条の4,52条5項前段・6項,5条7項参照)(前記1(12))。 その上,a町p地区の区長及び会計らによって,別表Ⅶの①ないし⑰の土地の大部分が1㎡当たり2000円という著しく安い価格で売却され,その売却金の管理,使途等についても,同区長及び会計らが,何らの法的規制を受けることもなく私的に行っているに過ぎない(前記1(13)(14))。 以上の点からも,a町p地区の区長及び会計らによる上記土地の売却及びその売却金の管理処分等は,著しく不透明で違法なものといわざるを得ない。 (ウ) 本件売買契約の違 14))。 以上の点からも,a町p地区の区長及び会計らによる上記土地の売却及びその売却金の管理処分等は,著しく不透明で違法なものといわざるを得ない。 (ウ) 本件売買契約の違法性-Mに対する売却とりわけ,Mに対する別表Ⅶの⑭の土地の売買は,著しく違法なものである。 すなわち,a町p地区の区長及び会計らは,本来換地処分の対象となる地権者ではないMに対して,当初からその売買代金を補完工事費に充当するためできるだけ高額で売却する目的で,4000万円(1㎡当たり2万0439円)でη875の土地(別表Ⅶの⑭の土地)を売却した。 前記1(9)イ認定のとおり,a町p地区の区長は,地権者でない(従前地を所有しない)Mに対して,換地処分による所有権移転登記を実現するため,いったん,a町λ537-2の土地・公衆用道路・19㎡をMに売却して,まず同人を地権者とする形を整えた上,被告に対し,Mにη875の土地(別表Ⅶの⑭の土地,地目畑)を換地処分して欲しい旨依頼し,その意を受けた被告によってその旨の換地処分がされている。 これは,形式的には地権者に対する換地処分という形を装ったとしても,その実体を全体的にみると,実質的には,農用地を地権者でない第三者に売却処分したものといえる。このような農地の処分方法は,土地改良法ないし土地改良事業が農用地の造成及び集団化を目的とすることに反し,農用地の処分には農業委員会等の許可(農地法3条)を要するとする農地法の規制を潜脱するものである。 したがって,このような手続は,土地改良法及び農地法の趣旨に明確に反し,違法であることが明らかである。 この点,被告は,a町p地区では補助の対象とならない補完工事費用の捻出のため,できるだけ がって,このような手続は,土地改良法及び農地法の趣旨に明確に反し,違法であることが明らかである。 この点,被告は,a町p地区では補助の対象とならない補完工事費用の捻出のため,できるだけ高額でη875の土地(別表Ⅶの⑭の土地)を売却するためにやむを得ない措置であったとか,4000万円の売買代金はa町p地区にとって有利な金額であるなどと主張するが,そのような事情があったとしても,前記違法との結論が左右されるものでない。 (エ) 換地計画の違法と換地処分の違法の関係以上によると,別表Ⅶの①ないし⑰の土地の売却処分を前提としてなされた換地配分,その換地配分を踏襲した換地計画は,土地改良法の趣旨に反する違法のものであるというべきである。 ところで,土地改良法における換地計画と換地処分とは,同一の効果を目指した一連の手続中の一体の処分ともいうべきであるから,換地計画の違法は換地処分にも影響し,同処分も違法となる(違法性の承継)。 本件における換地計画と換地処分は,土地改良法に基づく各行為で,両者が相結合してほ場整備事業の完成を目的とするものであるから,上記換地計画の違法によって本件換地処分は違法性を帯びるものといわなければならない。 (2) 照応の原則違反の有無ア照応の原則の内容とその判断基準土地改良法53条1項2号は,「当該換地及び従前の土地について,農林水産省令の定めるところにより,それぞれその用途,地積,土性,水利,傾斜,温度その他の自然条件及び利用条件を総合的に勘案して,当該換地が,従前の土地に照応していること」を要求している(照応の原則)。そして,同条は,同法96条の4により,市町村が行う土地改良事業においても準用されている。 上記53条1項2号にいう換 該換地が,従前の土地に照応していること」を要求している(照応の原則)。そして,同条は,同法96条の4により,市町村が行う土地改良事業においても準用されている。 上記53条1項2号にいう換地と従前の土地との照応関係は,その従前地と換地を全体として捉え,それぞれの用途,地積等の諸条件を総合勘案して,これが概ね同一であることを意味するとともに,ある特定の権利者について,他の多数の権利者との比較によると,合理的理由もないのに著しく不公平・不利益な換地をしたり,故意に不公平・不利益な換地をすることを禁じる公平の原則を含むものというべきである。 そして,土地改良事業の目的に照らし,従前の土地に所有権及び地役権以外の権利又は処分の制限がある場合でない限り,同一所有者に対する従前の土地全体と換地全体とを総合的にみて,その間に照応関係が認められれば足りるものと解するのが相当である(最高裁昭和63年11月17日判決・判例時報1299号60頁参照)。 そこで,本件各処分につき,このような照応の原則違反があるか否かについて検討する。 イ換地交付率の点について(ア) 換地の対象となる各地権者の従前地面積の合計42万5489.51㎡を分母とし,これに対する換地面積の合計43万3996.51㎡を分子として計算すると,地区総計表記載の換地交付率101.9993442%が算出される(甲1)。 (イ) この点,被告は,a町p地区の換地配分において,99%を実質換地交付率とし,余裕率を2%とみて,従前地の合計面積の97%に当たる土地を各地権者に対して配分したのであるから,照応の原則に適合するか否かは,原告らの換地面積の従前地面積に対する割合が,上記97%とどれだけ格差があるかどうかによって判断すべきである旨主張する たる土地を各地権者に対して配分したのであるから,照応の原則に適合するか否かは,原告らの換地面積の従前地面積に対する割合が,上記97%とどれだけ格差があるかどうかによって判断すべきである旨主張する。 しかし,前示2(1)(イ)のとおり,余裕地を設けたとしても,最終的にはすべて地権者に換地配分しなければならないのであって,余裕率を考慮することなく換地交付率を比較すべきである。また,土地改良法53条1項1号は,当該土地とその従前地とを直接比較対照して,総合評価としておおむね同等といえることを要件とするものであるから,統一換地交付率が直接考慮の対象となるものでもない。 したがって,原告らの換地交付率が97%とどれだけ格差があるかによって判断すべきとする被告の主張は,合理性がなく,採用することができない。 (ウ) ところで,2%の余裕率を設けた結果発生した余裕地の売却のみならず,余裕率とは別に補完工事の費用を捻出する等のために行われた土地の売却も,別表Ⅶ記載のとおり,前者が合計3155㎡,後者が合計3638㎡であって,前記1(3)認定のとおり,a町p地区において本件事業に参加した地権者は35名と比較的少ないことも考慮すると,本件各処分に与える影響はかなり大きなものである。 そして,前記(1)エ(イ)(ウ)で検討したとおり,別表Ⅶの①ないし⑰の土地(余裕地等)の売却は違法であり,本来であれば,同土地の大部分を売却せずに地権者に換地として配分すべきであった。そうしておれば,a町p地区の地権者は,平均でも97%を上回る換地交付率となっていたはずであり,当然,原告らに対する換地交付率も,96.3%から97.7%(前記第2の1(5))を上回っていたものと推認できる。 そもそも,永続的な土地所有者にとっ る換地交付率となっていたはずであり,当然,原告らに対する換地交付率も,96.3%から97.7%(前記第2の1(5))を上回っていたものと推認できる。 そもそも,永続的な土地所有者にとって,土地の評価より利用状況がより重要であり,また,土地改良事業は農業生産の基盤の整備及び開発を図る目的で行われる農用地の改良等に関する事業であるから(土地改良法1条1項),換地を定めるに当たって考慮すべき事項は農業生産上の諸条件に限られ,農業生産力の観点から照応を判断すべきところ,特に重要な判断要素の一つが地積の照応であるといえる。 ところが,前記第2の1(5)のとおり,原告らの換地交付率は約96. 3%から約97.7%の範囲にあり,上記のとおり本来あるべき換地交付率を下回る点で,原告らに相当の負担を課すものとなっており,本件各処分は,この点で既に照応の原則に反する違法な換地処分であるといわざるを得ない。 ウ個別的な照応関係について(ア) 第2処分について前記1(15)ア認定のとおり,第2従前地には,日照の悪い田はなかったのに,第2換地のうちa町ε556の田(259㎡)は,北が高さ約2mの土手で,北を除く三方は竹やぶであり,稲作のためには極めて日照が悪いことが認められる。 前示イのとおり,永続的な所有者にとって土地の評価より利用状況がより重要であること,農業生産力の観点から照応を判断すべきことから,日照条件も照応の重要な判断要素の一つであるということができるが,第2処分に関しては,第2換地は第2従前地に比して相当不利なものであるというべきである。 この点,被告は,検乙1号証の21・22によると,1日中a町ε556の田の9割が日陰になることはないと主張するが,正確に1日中田の9 前地に比して相当不利なものであるというべきである。 この点,被告は,検乙1号証の21・22によると,1日中a町ε556の田の9割が日陰になることはないと主張するが,正確に1日中田の9割が日陰になるかどうかはともかく,日照の条件が悪いことはむしろ同号証からも裏付けられるのであるから,被告の主張は失当である。 このように,第2処分については,日照条件の悪い土地が一部あてがわれているが,その代償措置が講じられた形跡がないので(前記1(15)ア),第2従前地全体と第2換地全体とを総合的にみても,照応関係があるものとは認められない。この点からも,第2処分は違法であるといえる。 (イ) 第3処分について前記1(15)イ認定のとおり,第3従前地では,道路から田への進入路は不便ではなかったのに,第3換地のうちa町ζ771の田(731㎡)について,道路から田への進入路の勾配は急であり,かつ,同進入路から道路に出る地点の西側すぐに家屋が建っているため,道路への出入りが極めて不便な土地であることが認められる。 前示イのとおり,永続的な所有者にとって土地の評価より利用状況がより重要であること,農業生産力の観点から照応を判断すべきこと,さらに加えて,第3換地は,集団化された田として稲作に供される土地であって,農業用機械の出入り口となる進入路は必要欠くべからざるものであることからすると,田への進入路も照応の判断の要素として軽視できないものということができる。そうすると,第3換地は,第3従前地に比して相当不利なものであるというべきである。 この点,被告は,上記進入路の施工は,兵庫県のほ場整備工事の標準図面に準拠してなされていると主張するが,上記標準図面に準拠しているかどうかと従前地と であるというべきである。 この点,被告は,上記進入路の施工は,兵庫県のほ場整備工事の標準図面に準拠してなされていると主張するが,上記標準図面に準拠しているかどうかと従前地と換地の照応の有無は別の問題であることは明らかであるから,被告の主張は失当である。 このように,第3処分についても,道路への出入りが極めて不便な土地が一部あてがわれているが,その代償措置が講じられた形跡がないので(前記1(15)イ),第3従前地全体と第3換地全体とを総合的にみても,照応関係があるものとは認められない。この点からも,第3処分は違法であるといえる。 エ公平の原則について(ア) a町p地区の地権者中,K,P,Q,R,Sの5名は,極端な増換地を受けている(前記1(16))。このような増換地となったのは,Kら5名が,a町p地区の区長及び会計らから,別表Ⅶの②,③,④,⑧,⑩,⑪の土地について,1㎡当たり2000円という極めて安い価格(ただし別表Ⅶの⑧,⑩の土地の売却価格は不明)で,違法な売却処分を受けたからである(前記1(8)(13),2(1)エ(イ))。 原告らは,a町p地区の区長及び会計らから,このような有利な条件での違法な土地の売却処分を受けていなかったため,Kら5名よりも相当低い換地交付率(97%前後)となったのであり,Kらが有利な取扱いを受けた分だけ,原告らを始めとする他のa町p地区の地権者が不利益な取扱いを受けたものといえる。 (イ) W,X,Mの3名は,a町p地区内の地権者でもないのに,別表Ⅶの⑤,⑨,⑭の土地を買い受け,被告から換地処分を受けているのであり,従前地を所有していなかったにもかかわらず換地処分を受けたものである(前記1(8)ア,(9)イ)。 権者でもないのに,別表Ⅶの⑤,⑨,⑭の土地を買い受け,被告から換地処分を受けているのであり,従前地を所有していなかったにもかかわらず換地処分を受けたものである(前記1(8)ア,(9)イ)。 その分,原告らを始めとするa町p地区の地権者が本来取得できたはずである換地が減少しているのである。 (ウ) 以上の次第で,Kら5名は極端な増換地を受けている点で,Wら3名は従前地を所有していなかったのに換地を交付されている点で,いずれも公平の原則に反するものといえる。 (3) 総括以上の認定判断によると,本件各処分は,手続的にも実体的(照応の原則)にも違法なものであり,取消しを免れないことが認められる。 第5 結論よって,原告らの本訴請求はいずれも理由があるので認容することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 神戸地方裁判所第2民事部裁判長裁判官紙浦健二 裁判官中村哲裁判官今井輝幸 ・
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