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昭和39(オ)586 立木贈与契約無効確認、杉丸太所有権確認、損害賠償請求

裁判所

昭和43年1月25日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 仙台高等裁判所 昭和34(ネ)674

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6,070 文字

主文 本件上告を棄却する。上告費用は上告人らの負担とする。理由 上告代理人市井茂、同藤井英男の上告理由一について。所論の点に関する原審の事実認定は、原判決挙示する証拠関係に照らし是認することができる。そして、原審は、本件贈与契約成立の経緯に照らせば、所論被上告人Bの所有財産の額、上告人A1の相続分の割合等を顧慮するまでもないとして原判示の事実を認定したものであることが容易に窺われるのであつて、その判断の過程にも何ら所論の違法はない。したがつて、論旨は採用できない。同二について。原判決は、上告人らと被上告人らとの間で争いのある本件贈与契約の内容を確定するにつき、証人Dおよび上告人A2本人の原判示各供述中原審の認定した事実に反する部分を排斥したにすぎないもので、所論のように、上告人らにおいて本件贈与契約の対象が主木三、〇〇〇本である旨を主張していることを前提にして判断を加えたものでないことは、その判文に照らして明らかである。したがつて、原判決に所論の違法はなく、論旨は、原判決の趣旨を正解しないでこれを非難するものにすぎず、採用するに足りない。同三について。原判決は、本件贈与契約においては、その目的物である杉立木三、〇〇〇本を特定する方法についていまだ当事者間に合意が成立していなかつた旨を判示しているのであつて、右の認定判断は、挙示の証拠関係に照らして十分是認することができる。したがつて、論旨は、原審の認定にそわない事実を前提として原判決を非難するものにすぎず、採用できない。- 1 -同四(1)および(2)について。原審の適法に確定した事実関係によれば、被上告人Bと上告人らとの間に成立した本件贈与契約によつては、贈与の目的である杉立木三、〇〇〇本は具体的に特定 - 1 -同四(1)および(2)について。原審の適法に確定した事実関係によれば、被上告人Bと上告人らとの間に成立した本件贈与契約によつては、贈与の目的である杉立木三、〇〇〇本は具体的に特定せず、その後も特定された事実がないため、本件山林内の杉立木は、なお被上告人Bの所有に属するものであつたところ、上告人らは、本件贈与契約成立の際、右Bから受け取つた杉立木無償譲渡証書に贈与の対象物件として杉立木三、〇〇〇本と記載されているのみで何らの限定もないのを幸い、間伐でなく全伐を目的として売却伐採しようと企て、訴外Eに請負わせて伐採に着手したが、まもなく、被上告人Bの知るところとなり、同人は上告人A2とその兄Dに対し、伐採の中止方、およびすでに伐採した分の処分方を被上告人Bに一任し、上告人ら側においてこれを搬出する等の行為をしてはならない旨を申し入れたが、上告人A2および右Dはこれをきき入れず、その数日後から本格的伐採を敢行するに至つたため、被上告人Bは福島地方裁判所平支部にA2およびDを債務者とする右伐採禁止および伐採木搬出禁止の仮処分を申請し、その旨の仮処分命令を得てこれを執行したが、上告人らは、すでにそのころまでに、本件伐採木二、四七三本を伐採してしまつていたというのである。 ら側においてこれを搬出する等の行為をしてはならない旨を申し入れたが、上告人A2および右Dはこれをきき入れず、その数日後から本格的伐採を敢行するに至つたため、被上告人Bは福島地方裁判所平支部にA2およびDを債務者とする右伐採禁止および伐採木搬出禁止の仮処分を申請し、その旨の仮処分命令を得てこれを執行したが、上告人らは、すでにそのころまでに、本件伐採木二、四七三本を伐採してしまつていたというのである。右事実関係によれば、上告人らが本件山林の杉立木の伐採を中止し、また、その後伐採木の搬出をしなかつたのは、一に被上告人Bの申請した前記仮処分命令が執行された結果であつて、原判決およびその引用する第一審判決の摘示する上告人らの主張に照らすと、上告人らは、少なくとも前記贈与にかかる杉立木三、〇〇〇本の範囲では、将来なお、本件山林内の杉立木に対する選択、伐採の権利と伐採木に対する権利を主張して本件山林に立入り、伐採を続行する等の行為に出るおそれのあることは明らかであつて かる杉立木三、〇〇〇本の範囲では、将来なお、本件山林内の杉立木に対する選択、伐採の権利と伐採木に対する権利を主張して本件山林に立入り、伐採を続行する等の行為に出るおそれのあることは明らかであつて、原判文自体により将来そのおそれのあることを認定判示した趣旨が窺われるのであるから、これに加えて、ことさら被上告人Bの所有権を侵害するおそれがある旨を判示しなかつたからといつて、原判決に所論の違- 2 -法があるということはできない。したがつて、この点に関する論旨も採用できない。同四(3)について。仮処分の目的物に関して提起された本案訴訟の係属中に、執行吏の保管する仮処分の目的物が執行裁判所の換価命令によつて換価され、その売得金が供託されるに至つた場合においても、右の換価は、仮処分の目的物が滅失毀損するおそれがあり、または著しい価額の減少を生じ、もしくは貯蔵に不相当の費用を必要とするようなときに、その経済的価値を保全する目的でなされるものであるから、その売得金は仮処分の目的物に代わるものとして、その間になお同一性を保持しているものと解するのが相当である。したがつて、本案訴訟の目的物ないしはこれに対する審理の対象たる権利ないし法律関係はなお消滅したものでなく存在しているものと解すべきであるから、本案裁判所は、本件のように、搬出禁止の請求の目的となつた伐採木について換価が行なわれ、その売得金が供託された場合においても、直ちに訴訟の目的物が滅失し、これに対する権利ないし法律関係も消滅したものとしてその請求を棄却すべきものではなく、右換価が行なわれなかつた場合とひとしく、本来の訴訟物たる権利ないし法律関係について審理し、判決するを妨げないものと解するのが相当である。 るものと解すべきであるから、本案裁判所は、本件のように、搬出禁止の請求の目的となつた伐採木について換価が行なわれ、その売得金が供託された場合においても、直ちに訴訟の目的物が滅失し、これに対する権利ないし法律関係も消滅したものとしてその請求を棄却すべきものではなく、右換価が行なわれなかつた場合とひとしく、本来の訴訟物たる権利ないし法律関係について審理し、判決するを妨げないものと解するのが相当である。そうだとすると、本件において所論のように仮処分執行裁判所の換価命令によつて本件 つた場合とひとしく、本来の訴訟物たる権利ないし法律関係について審理し、判決するを妨げないものと解するのが相当である。そうだとすると、本件において所論のように仮処分執行裁判所の換価命令によつて本件伐採木二、四七三本が換価され、その売得金が供託された事実があつたとしても、それにかかわることなく、被上告人Bの請求を認容した原判決に所論の違法はなく、論旨は採用できない。上告代理人藤井英男、同市井茂の上告理由第一点について。論旨の理由がないことは、すでに上告代理人市井茂、同藤井英男の上告理由四(1)、(2)について説示したところにより明らかである。なお、上告人らが本件贈与契約により取得した権限以外の権限に基づいて本件山林に立入り、立木の伐採または伐採木の搬出をする権利を有することは、上告人らにおいてこれを主張、立証- 3 -すべき事項であるから、その主張がない以上、原判決がその点について判断を示さなかつたのは当然である。したがつて、原判決に所論の違法はなく、論旨は採用できない。同第二点について。本訴請求中前記伐採木二、四七三本の搬出禁止を求める部分を除くその余の本件山林への立入りおよび右山林中の立木伐採の禁止を求める請求部分は、所論伐採木の換価とは何ら関係がないのであるから、右の換価がなされたからといつて訴の利益を失い、また訴の目的を欠くに至る性質のものでないことは多言を要しない。また、右伐採木の搬出禁止を求める請求についても、右伐採木とその換価による売得金とが同一性を有し、かつ、上告人らが伐採木に対する侵害行為を中止したのは仮処分命令の執行の結果によるものであることは、さきに説示したとおりであるから、これが換価されたからといつて直ちに訴の利益を消滅したものといえず、また訴の目的を欠くものといえないこともさきに説示したとおりであ に至る性質のものでないことは多言を要しない。また、右伐採木の搬出禁止を求める請求についても、右伐採木とその換価による売得金とが同一性を有し、かつ、上告人らが伐採木に対する侵害行為を中止したのは仮処分命令の執行の結果によるものであることは、さきに説示したとおりであるから、これが換価されたからといつて直ちに訴の利益を消滅したものといえず、また訴の目的を欠くものといえないこともさきに説示したとおりであ の執行の結果によるものであることは、さきに説示したとおりであるから、これが換価されたからといつて直ちに訴の利益を消滅したものといえず、また訴の目的を欠くものといえないこともさきに説示したとおりである。それ故、原判決に所論の違法はなく、論旨は採用できない。同第三点(一)について。仮処分の目的物が換価され、その売得金が供託された場合においても、換価前の目的物は滅失したものでなく、したがつて、本案裁判所は換価前の目的物に対する権利ないし法律関係の存否について審理をし、本案判決をなすを妨げないものであることは、すでに上告代理人市井茂、同藤井英男の上告理由四(3)について説示したとおりである。したがつて、右の換価により訴訟の目的物が滅失に帰し、これに対する権利ないし法律関係が消滅したことを前提とし、原審の釈明義務違反または審理不尽ないしは理由不備の違法をいう論旨はその前提を欠くものであつて、採用できない。同第三点(二)および(三)について。- 4 -所論の点に関する原審の事実認定が是認さるべきことは、すでに、上告代理人市井茂、同藤井英男の上告理由一について説示したとおりである。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するに帰し、採用するに足りない。上告代理人中島清の上告理由第一点について。原判決は、上告人らの主張にこたえ、本件贈与の目的である杉立木三、〇〇〇本の特定に関し、その選択権が上告人A2に与えられた事実は認められない旨を判示しているのであつて(原判文をみれば、原審は、右贈与によつて被上告人Bが負担した債務をもつていわゆる選択債務と解したことが窺われるが、その判断は、その確定した事実関係に照らし正当である。)、右贈与契約について第三者であるDに対し、選択権が与えられたことは、原審において 担した債務をもつていわゆる選択債務と解したことが窺われるが、その判断は、その確定した事実関係に照らし正当である。 認められない旨を判示しているのであつて(原判文をみれば、原審は、右贈与によつて被上告人Bが負担した債務をもつていわゆる選択債務と解したことが窺われるが、その判断は、その確定した事実関係に照らし正当である。)、右贈与契約について第三者であるDに対し、選択権が与えられたことは、原審において 担した債務をもつていわゆる選択債務と解したことが窺われるが、その判断は、その確定した事実関係に照らし正当である。)、右贈与契約について第三者であるDに対し、選択権が与えられたことは、原審において主張、判断を経ない事実であるから、論旨はいずれにしても前提を欠くものである。それ故、原判決に所論の適法はなく、論旨は採用できない。同第二点について。原判決は、被上告人Bから上告人らに対し、本件山林に生立する杉立木のうち細木三、〇〇〇本を贈与する旨の合意が成立したが、いまだ贈与の目的たる杉立木が具体的に特定された事実は認められないから、本件山林中の杉立木および伐採木二、四七三本はなお被上告人Bの所有に属する旨認定、判示して右Bの所有権を前提とする本訴請求を認容しているのであつて、その認定、判断が是認さるべきことは、すでに説示したところにより明らかである。したがつて、本件贈与が所論のような意味における負担付贈与と解すべきかどうかは、本訴請求の当否を判断するについて影響のないことがらであるから、原判決が所論の点に言及しなかつたことは当然であつて、原判決に所論の違法はない。その余の論旨も、原審において主張せず、または原審の認定にそわない事実を前提として原判決を非難するものにすぎず、論- 5 -旨はいずれも採用できない。同第三点について。所論の点に関する原審の事実認定の是認できることは、上告代理人市井茂、同勝井英男の上告理由一および三について説示したとおりであつて、原判決に所論の違法はない。論旨は、原審が適法にした証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用するに足りない。同第四点について。原判決は、その理由第一において、本件贈与の目的物が杉立木のうち細木三、〇〇〇本であると認定すべき所以および右のように認定することが鑑 するものにすぎず、採用するに足りない。同第四点について。原判決は、その理由第一において、本件贈与の目的物が杉立木のうち細木三、〇〇〇本であると認定すべき所以および右のように認定することが鑑定の結果と矛盾しない旨を判示しており、右判断は相当であるから、原判決に所論の違法はない。 その理由第一において、本件贈与の目的物が杉立木のうち細木三、〇〇〇本であると認定すべき所以および右のように認定することが鑑 するものにすぎず、採用するに足りない。同第四点について。原判決は、その理由第一において、本件贈与の目的物が杉立木のうち細木三、〇〇〇本であると認定すべき所以および右のように認定することが鑑定の結果と矛盾しない旨を判示しており、右判断は相当であるから、原判決に所論の違法はない。したがつて、論旨は採用のかぎりでない。同第五点について。原判決は、本件贈与契約においては細木三、〇〇〇本を贈与する旨の合意が成立した事実を確定しており、また被上告人Bの負担した債務をもつて選択債務と解すべきことは、さきに論旨第一点において説示したとおりであるから、種類債務に関する民法四〇一条の規定の適用を主張する論旨はその前提を欠くものといわなければならない。したがつて、原判決には所論の違法はなく、論旨は採用できない。よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官入江俊郎裁判官長部謹吾裁判官松田二郎裁判官岩田誠- 6 -裁判官大隅健一郎- 7 -

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