平成23年7月5日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成22年(行ウ)第4号行政文書一部開示決定一部取消等請求事件口頭弁論終結日平成23年4月5日判決 主文 1 山梨県知事が原告に対して平成22年2月5日付けでした行政文書一部開示決定(中病第1535号-1)のうち,評価表の審査評価及び評価点の各欄の記載を不開示とした部分を取り消す。 2 被告は,原告に対し,評価表の審査評価及び評価点の各欄の記載を開示する旨の決定をせよ。 3 原告のその余の請求を棄却する。 4 訴訟費用は,これを6分し,その5を原告の負担とし,その余は被告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 山梨県知事が原告に対して平成22年2月5日付けでした行政文書一部開示決定(中病第1535号―1)のうち,不開示とされた部分(ただし,電子メールアドレス,印影及び議事録の発言者名を除いた部分)を取り消す。 2 被告は,原告に対し,平成22年2月5日付け行政文書一部開示部分のうち,不開示とされた部分(ただし,電子メールアドレス,印影及び議事録の発言者名を除いた部分)の開示決定をせよ。 第2 事案の概要本件は,A病院の売店業務運営事業者の公募による選定に際し,運営事業者に選定されなかった原告が,山梨県情報公開条例(平成11年山梨県条例第54号,以下「本件条例」という。)に基づき,決定業者の提案内容全般,各業者の評価・点数一覧等について行政文書開示請求を行ったところ,山梨県知事が一部開示とする 旨の決定をしたにとどまったことから,これを不服として,一部不開示とする旨の決定の取消とその不開示部分の開示決定の義務付けを求めた事案である。 1 前提となる事実(証拠を記載したもの以 る 旨の決定をしたにとどまったことから,これを不服として,一部不開示とする旨の決定の取消とその不開示部分の開示決定の義務付けを求めた事案である。 1 前提となる事実(証拠を記載したもの以外は争いがない。) 本件条例の内容本件条例のうち,本件訴訟に関連する規定は以下のとおりである(甲2)。 第3条 (条例の解釈及び運用)実施機関は,行政文書の開示を求める県民の利益が十分に尊重されるようにこの条例を解釈し,及び運用するものとする。この場合において,実施機関は,個人情報(山梨県個人情報保護条例(平成17年山梨県条例第15号)第2条第2項に規定する個人情報をいう。)がみだりに公にされることのないよう最大限に配慮しなければならない。 第5条 (開示請求権)何人も,この条例の定めるところにより,実施機関に対し,当該実施機関の保有する行政文書の開示を請求することができる。 第7条 (開示請求の手続)第5条の規定による開示の請求(以下「開示請求」という。)は,次に掲げる事項を記載した書面(以下「開示請求書」という。)を実施機関に提出してしなければならない。ただし,実施機関が特別の理由があると認めるときは,この限りでない。 一開示請求をする者の氏名又は名称及び住所又は居所並びに法人その他の団体にあっては代表者の氏名二行政文書の名称その他の開示請求に係る行政文書を特定するに足りる事項第8条 (行政文書の開示義務)実施機関は,開示請求があったときは,開示請求に係る行政文書に次の各号に掲げる情報(以下「不開示情報」という。)のいずれかが記録されてい る場合を除き,開示請求者に対し,当該行政文 実施機関は,開示請求があったときは,開示請求に係る行政文書に次の各号に掲げる情報(以下「不開示情報」という。)のいずれかが記録されてい る場合を除き,開示請求者に対し,当該行政文書を開示しなければならない。 一個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって,当該情報に含まれる氏名,生年月日その他の記述等により,特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより,特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定の個人を識別することはできないが,公にすることにより,なお,個人の権利利益を害するおそれがあるもの。ただし,次に掲げる情報を除く。 イ法令の規定により又は慣行として公にされ,又は公にすることが予定されている情報ロ人の生命,健康,生活又は財産を保護するため,公にすることが必要であると認められる情報ハ当該個人が公務員等(国家公務員法(昭和22年法律第120号)第2条第1項に規定する国家公務員(独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第2条第2項に規定する特定独立行政法人の役員及び職員を除く。),独立行政法人等(独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成13年法律第140号)第2条第1項に規定する独立行政法人等をいう。以下同じ。)の役員及び職員,地方公務員法(昭和25年法律第261号)第2条に規定する地方公務員並びに地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成15年法律第118号)第2条第1項に規定する地方独立行政法人をいう。以下同じ。)の役員及び職員をいう。)である場合において,当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは,当該情報のうち,当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に に規定する地方独立行政法人をいう。以下同じ。)の役員及び職員をいう。)である場合において,当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは,当該情報のうち,当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分二法人その他の団体(国,独立行政法人等,地方公共団体及び地方独立行政法人を除く。以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって,次に掲げるもの。ただし,人の生命, 健康,生活又は財産を保護するため,公にすることが必要であると認められる情報を除く。 イ公にすることにより,当該法人等又は当該個人の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの三法令の規定又は法的拘束力のある指示により,公にすることができないものとされている情報六国の機関,独立行政法人等,地方公共団体又は地方独立行政法人の機関が行う事務又は事業に関する情報であって,公にすることにより,次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上,当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものホ国若しくは地方公共団体が経営する企業,独立行政法人等又は地方独立行政法人に係る事業に関し,その企業経営上の正当な利益を害するおそれ第9条 (部分開示)実施機関は,開示請求に係る行政文書の一部に不開示情報が記録されている場合において,不開示情報が記録されている部分を容易に区分して除くことができるときは,開示請求者に対し,当該部分を除いた部分につき開示しなければならない。ただし,当該部分を除いた部分に有意の情報が記録されていないと認められるときは,この限りでない。 2 開示請求に係る行政文書に前条第1 し,当該部分を除いた部分につき開示しなければならない。ただし,当該部分を除いた部分に有意の情報が記録されていないと認められるときは,この限りでない。 2 開示請求に係る行政文書に前条第1号の情報(特定の個人を識別することができるものに限る。)が記録されている場合において,当該情報のうち,氏名,生年月日その他の特定の個人を識別することができることとなる記述等の部分を除くことにより,公にしても,個人の権利利益が害されるおそれがないと認められるときは,当該部分を除いた部分は,同号の情報に含まれないものとみなして,前項の規定を適用する。 第12条 (開示請求に対する措置) 実施機関は,開示請求に係る行政文書の全部又は一部を開示するときは,その旨を決定し,開示請求者に対し,その旨及び開示の実施に関し規則で定める事項を書面により通知しなければばらない。 当事者等原告は,文教施設,公共施設内の喫茶店,食堂,日用品雑貨店舗,書籍文具店等の営業等を目的とする株式会社である。 被告は,医療の提供,医療に関する調査・研究,医療に関する地域への支援,災害時における医療救護等を行う地方独立行政法人である。 山梨県は,A病院を運営してきたが,平成22年4月1日以降は,被告が同病院を運営している(弁論の全趣旨)。 原告による行政文書開示請求原告は,同年1月6日,山梨県知事に対し,本件条例5条及び7条に基づき,以下の行政文書について開示請求をした。 ア A病院売店運営事業者募集に係る決定業者の提案内容全般(添付資料含む。)イ各応募業者の評価・点数一覧ウその他関連する内容(決定に係わる物) 行政文書の範囲原告の開示 店運営事業者募集に係る決定業者の提案内容全般(添付資料含む。)イ各応募業者の評価・点数一覧ウその他関連する内容(決定に係わる物) 行政文書の範囲原告の開示請求の対象となるのは,株式会社B(以下「B」という。)の企画提案書,企画提案内容書(以下「本件企画提案内容書」という。)及び価格提案書ならびに評価表,審査表集計結果及び第1回ないし第3回地方独立行政法人山梨県立病院機構A病院テナント業者選定委員会(以下「テナント業者選定委員会」という。)議事録である。 山梨県の処分山梨県知事は,同年2月5日,原告に対し,本件条例12条1項に基づき,以下の部分を不開示とする一部開示決定をした(以下「本件一部開示決定」という。)。 ア企画提案書のうち,個人の電子メールアドレス及び法人印の印影 イ本件企画提案内容書の全ての情報ウ価格提案書のうち,個人の電子メールアドレス及び法人印の印影エ評価表のうち,審査評価及び評価点の各欄の記載オ審査表集計結果のうち,落選事業者の評価事項ごとの得点及び順位カ第1回テナント業者選定委員会議事録のうち,発言者名及び発言内容欄の記載の中で発言者名を特定する手がかりとなる部分並びに応募業者以外の特定の企業名及び当該企業名を特定する手がかりとなる部分キ第2回テナント業者選定委員会議事録のうち,発言者名,応募業者のプレゼンテーションに関する質疑応答の内容及び決定事項欄の記載中特定の応募業者の名称ク第3回テナント業者選定委員会議事録のうち,発言者名及び各応募業者の企画提案内容に対する委員の印象・感想 本件訴訟の提起原告は,同年3月29日,本件一部開示決定処分を不服として本件訴訟を提起した。 会議事録のうち,発言者名及び各応募業者の企画提案内容に対する委員の印象・感想 本件訴訟の提起原告は,同年3月29日,本件一部開示決定処分を不服として本件訴訟を提起した。 被告の地位の承継本件条例の一部を改正する条例(平成22年山梨県条例第12号)附則2項に基づき,改正前の条例の規定により同県知事が行った開示決定等のうち被告の業務に係るものは,同年4月1日以降は,被告が行ったものとみなされるため,山梨県から被告へ訴訟承継がなされた。 2 争点及び争点に関する当事者の主張 本件企画提案内容書が本件条例8条3号の不開示情報に該当するか(被告の主張)ア著作権法上の公表権の保障と情報公開制度との関係著作権法18条3項は,著作権法上の権利の保護と情報公開の要請とを調整する趣旨であり,同法は,情報公開条例による文書の開示も同法の公表に当た るとの前提で設計されていると考えるのが合理的である。 したがって,著作権法上の公表権の保障は情報公開制度にも及ぶ。 イ本件企画提案内容書の著作物該当性著作物と認められるために必要な創作性の要件については,著作者の個性が何らかの形で発揮されていれば足りると解される。 本件企画提案内容書は,その作成に当たり,提案者の考えを分かりやすく印象的に表現するための工夫として,掲載情報が厳選され,簡潔な言葉が用いられるとともに,使用する文字の配列が工夫され,イラスト図,表,写真画像が使用されるなど視覚に訴える表現方法が取り入れられているのであって,作者の力量によって出来映えに差を生じるものであるから,思想が創造的に表現され,かつ,文化の範囲に属するものとして,著作権法2条1項1号の「著作物」に該当する。 れられているのであって,作者の力量によって出来映えに差を生じるものであるから,思想が創造的に表現され,かつ,文化の範囲に属するものとして,著作権法2条1項1号の「著作物」に該当する。 そして,全体として公表権の保障が及ぶ著作物について,一文一文ごとに創作性の有無を判断し,創作性のない部分は開示するという取扱いは不合理であり,そもそも不可能である。 本件企画提案内容書は,Bが企画する売店運営の考え方に係るプレゼン資料として作成されたものであり,表紙,目次,提案内容の各項目,イラスト及び写真画像等から構成される全体としてまとまりのある一個の著作物なのであって,その内容の部分ごとに著作物性を判断すべきではない。 ウ Bによる著作権法18条3項3号の「別段の意思表示」著作権者たるBは,企画提案内容を開示することに支障がある旨の意見を述べている。著作権法18条3項3号の「別段の意思表示」といえるためには,情報公開条例に基づく開示に同意しない旨の意思を表示すれば足り,著作者として公表されていない著作物の公表に同意しない旨の意思を明確に表示することまでは要しないと解されるから,当該Bの意見は,同号の「別段の意思表示」に該当する。 なお,A病院における売店運営希望者募集要項の9項には,「事業者が提出した書類は,県情報公開条例に基づく開示文書の対象となる。」と記載されているが,これは,開示請求された文書については,当該文書に記載された第三者情報の情報主体がその開示に反対の意思を表示したとしても,本件条例の不開示事由に該当する場合を除いて開示される場合があるということを注意的に規定したものにすぎず,企画提案内容書の開示に関するBの具体的な同意を求めたものではない。 エ企画提案内容書 条例の不開示事由に該当する場合を除いて開示される場合があるということを注意的に規定したものにすぎず,企画提案内容書の開示に関するBの具体的な同意を求めたものではない。 エ企画提案内容書の本件条例8条3号該当性本件企画提案内容書は著作物に該当し,Bによる著作権法18条3項3号の「別段の意思表示」がなされているため,著作権法18条1項及び119条1項の規定により公にすることができない情報として,本件条例8条3号に該当する。 (原告の主張)争う。 ア著作権法上の公表権の保障と情報公開制度との関係著作権法における公表権とはその著作物を出版する権利を意味するところ,情報公開制度においては文書を開示するのみであって出版するわけではないため,情報公開条例における文書の開示は著作権法18条1項にいう著作物を「公衆に提供し,又は提示する」ことには該当しない。 そうすると,著作権に基づく公表権は情報公開制度における文書の開示を禁止する効果を持たないというべきであり,Bの企画提案内容書が著作物であることは本件条例の定める不開示事由とはならない。 イ本件企画提案内容書の著作物該当性著作物性について,被告の主張のように緩やかに解釈すると,著作権の壁に阻まれて非公開となる文書の範囲が不当に拡大し,原則公開という情報公開制度の理念を没却するため,著作物と認められるための創作性については,厳格 に判断されなければならない。 本件企画提案内容書は営業上の提案にすぎず,思想又は感情を創作的に表現したものではないため,著作物ではない。 仮に,本件企画提案内容書の一部に著作物性が認められる部分があるとしても,創作性のない部分は著作権としての保護の対象外なの は感情を創作的に表現したものではないため,著作物ではない。 仮に,本件企画提案内容書の一部に著作物性が認められる部分があるとしても,創作性のない部分は著作権としての保護の対象外なのであるから,著作物に該当するか否かは,当該文書の部分ごとに検討されなければならない。 ウ Bによる著作権法18条3項3号の「別段の意思表示」Bは,売店運営希望者募集要項の9項に「事業者が提出した書類は,県情報公開条例に基づく開示文書の対象となる。」旨の記載があることを承知して企画提案内容書を提出したのであるから,情報公開条例によって開示されることに同意しており,情報公開制度の適用の限りにおいて公表権を放棄したものと評価することができる。したがって,開示に支障がある旨のBの意見は,法的に何らの意味を有しない。 また,憲法上の知る権利を基本とする情報公開請求権を尊重すべき見地から,著作権者の別段の意思表示の方式は明確でなければならないと解されるところ,Bの意見は,情報公開条例における法人情報に該当するという意見にすぎず,著作権法18条3項の「別段の意思表示」には該当しないというべきである。 仮に,当該意見が同項の「別段の意思表示」に該当するとしても,ほかの多くの企業は企画提案内容書の開示に同意していることから,Bが,支障があるとして開示を拒むのは権利の濫用である。 本件企画提案内容書が本件条例8条6号ホ及び同条2号イの不開示情報に該当するか(被告の主張)ア本件条例8条6号ホ該当性本件企画提案内容書に記載された情報は,「地方公共団体又は地方独立行政 法人の機関が行う事務又は事業に関する情報」であり,その一部を公衆に提供し,又は,提示した場合,提出業 当性本件企画提案内容書に記載された情報は,「地方公共団体又は地方独立行政 法人の機関が行う事務又は事業に関する情報」であり,その一部を公衆に提供し,又は,提示した場合,提出業者及び同業他社等の不信や不安を招くこととなり,今後,被告が同様の募集事業を実施する場合に応募に躊躇する業者が現れるなどの事態の発生が予測される結果,優れたテナント運営事業者を確保し利用者に良質のサービスを提供しようとする被告の取組みが阻害されるおそれが生じる。そのような弊害は,業者選定過程の透明性向上,虚偽申請等の不正防止という開示による利益を考慮してもなお看過しえない程度のものである。 したがって,本件企画提案内容書に記載されている情報は,本件条例8条6号ホに該当する。 イ本件条例8条2号イ該当性本件企画提案内容書のうち,「収支見込みの客単価・客数,収支見込表」,「業務を希望する理由」,「店舗の運営方針」,「利用者満足度の把握と反映方法」,「衛生面と安全面の確保」,「従業員の職種,業務経験,雇用形態,服装,接遇等教育方針(業務従事中の制服及び名札の着用方針を除く)」,「品揃え,価格及びレイアウト」及び「自由提案」の項目は,「法人に関する情報」に当たる。 これらの情報は,Bの販売能力や販売促進能力に係る営業上のノウハウに関する情報であり,そのノウハウに関する内容が本件募集事業に係る企画競争において評価対象とされていることから,競合他社にとって,競争上最も関心の高い情報の一つであって,公にすると,他の同様の企画競争において競合関係にある他社等が,当該情報に加工・改善を加えたり,そのアイデアを流用したりすることを容易にさせるおそれがある。 したがって,前記各情報は,本件条例8条2号イに当たり,同号ただし書 争において競合関係にある他社等が,当該情報に加工・改善を加えたり,そのアイデアを流用したりすることを容易にさせるおそれがある。 したがって,前記各情報は,本件条例8条2号イに当たり,同号ただし書の要件も満たさないため,不開示情報に該当する。 (原告の主張)争う。 本件条例8条2号イ及び同条6号ホの「正当な利益を害するおそれ」について,抽象的な可能性で足りるという解釈をとると,不開示とされる情報の範囲が広範囲にわたり,原則公開主義を採用した情報公開制度の趣旨に反する結果となるため,この「おそれ」については,法的保護に値するほどの蓋然性があることを意味すると解すべきである。 被告の主張する不開示事由は,いずれも抽象的なおそれにすぎず,法的保護に値する蓋然性についての具体的論証がなされていない。 評価表のうち,不開示とした情報が本件条例の不開示情報に該当するか(被告の主張)ア本件条例8条1号該当性評価表の審査評価及び評価点の記載は,「個人に関する情報」であって,開示された他の情報と照合することにより特定の委員が特定の応募業者の企画提案内容をどう評価したのかを看取することができることとなるものであるから,本件条例8条1号の特定の個人を識別することができるものに当たる。 そして,当該情報は,同号ただし書イないしハのいずれにも当たらないから,不開示情報に該当する。 イ本件条例8条6号ホ該当性当該情報は,「地方公共団体又は地方独立行政法人の機関が行う事務又は事業に関する情報」である。そして,特定の選定委員が本件募集事業に係る応募業者の企画提案内容をどう評価したのかを示すものであって,委員の観察力,洞察力等の主観的要素によって左右 の機関が行う事務又は事業に関する情報」である。そして,特定の選定委員が本件募集事業に係る応募業者の企画提案内容をどう評価したのかを示すものであって,委員の観察力,洞察力等の主観的要素によって左右されるものである。このような情報を開示すれば,評価結果に不満を抱いた外部の利害関係者が当該委員に面会を強要したり,不満を訴えたりする可能性があるため,今後,被告が同様の募集事業を実施する場合に,かかる事態に至ることを懸念して委員への就任が辞退され,適材の確保が困難になったり,あるいは,客観的な評価・採点がされず必要な情報が入手できなくなるなどの事態の発生が予測される結果,優れたテナント 運営事業者を確保し利用者に良質のサービスを提供しようとする被告の取組みが阻害されるおそれが生じる。そのような弊害は事業者選定過程の透明性向上という開示による利益を考慮してもなお看過し得ない程度のものである。 したがって,当該情報は,本件条例8条6号ホに該当する。 (原告の主張)争う。 ア本件条例8条1号該当性評価表では審査委員であるCの名前が明らかにされている代わりに審査評価及び評価点が非公開となっている。しかし,「個人に関する情報」として非公開とすべきは審査委員の名前であって,審査評価及び評価点は何ら「個人に関する情報」ではないため,不開示情報には該当しない。 イ本件条例8条6号ホ該当性被告の主張する弊害はいずれも抽象的なおそれにすぎず,評価表が不開示情報に該当するということはできない。 不満を持った応募業者が委員に面会を強要するなどの圧力をかければ,当該業者の社会的評価が低下し,今後同様のテナント運営事業者募集の場面で排除されるのは明らかであるから,応募業者がそのよ 不満を持った応募業者が委員に面会を強要するなどの圧力をかければ,当該業者の社会的評価が低下し,今後同様のテナント運営事業者募集の場面で排除されるのは明らかであるから,応募業者がそのような行為に及ぶ可能性はない。 また,委員はみな専門家として自己の見識に基づいて判断しているのであるから,委員が圧力を受けることをおそれて就任を拒絶したり,客観的評価をなし得なくなるということは考えられない。 審査表集計結果のうち,不開示とした情報が本件条例の不開示情報に該当するか(被告の主張)ア本件条例8条2号イ該当性審査表集計結果のうち,落選事業者の評価事項ごとの得点及び順位は,「法人に関する情報」である。 そして,当該情報は,本件募集事業に係る応募業者が評価事項ごとにどのような評価を受けたのかを示すものであって,当該業者又はそのフランチャイザーが本件募集事業に係る店舗と同様の店舗を他の施設で経営していることに照らせば,開示によって情報がいわば一人歩きし,各業者のサービスの質,経営状況などについて憶測を招くなど,当該応募事業に対する評価にとどまらず,当該応募業者の業務運営全体に対する評価及び他の関連事業に対する評価にも影響を与えるおそれがある。 したがって,当該情報は,本件条例8条2号イに該当し,同号ただし書に当たらないから,不開示情報に該当する。 イ本件条例8条6号ホ該当性落選事業者の評価事項ごとの得点及び順位を開示することとなれば,当該業者及び同業他社等の不信や不安を招くこととなり,今後,被告が同様の募集事業を実施する場合に応募を躊躇する業者が現れるなどの事態の発生が予測される結果,優れたテナント運営事業者を確保し利用者に良質のサービスを提供しようと や不安を招くこととなり,今後,被告が同様の募集事業を実施する場合に応募を躊躇する業者が現れるなどの事態の発生が予測される結果,優れたテナント運営事業者を確保し利用者に良質のサービスを提供しようとする被告の取組みが阻害されるおそれが生じる。そのような弊害は,事業者選定過程の透明性向上という開示による利益を考慮してもなお看過しえない程度のものである。 したがって,当該情報は本件条例8条6号ホに該当する。 (原告の主張)争う。 応募事業者が審査項目ごとにそれぞれどのような点数を獲得したのかは公開されて失われるような正当な利益ではなく,応募する以上は自分の採点が公表されることを覚悟すべきである。むしろ,各応募業者がどのような評価を受けたのかが分かれば,今後,同様の事業者募集の機会に参考にすることができ,各応募業者が競ってより良い企画提案をしようと切磋琢磨するのであるから,公開することによる利益は大きい。 被告の主張する事由はいずれも抽象的な可能性にすぎず,審査表集計結果は不開示情報に該当しない。 第1回テナント業者選定委員会議事録のうち,不開示とした情報が本件条例の不開示情報に該当するか(被告の主張)ア発言者名を特定する手がかりとなる部分について不開示とした情報のうち,発言者名及び発言者名を特定する手がかりとなる部分は,「個人に関する情報」であり,開示された他の情報と照合することによりその発言が誰によってなされたのかを看取することができることとなるものであるから,本件条例8条1号の「他の情報と照合することにより,特定の個人を識別することができることとなるもの」に当たる。そして,当該情報は,同号ただし書イないしハのいずれにも当たらないから,不開示情報 るから,本件条例8条1号の「他の情報と照合することにより,特定の個人を識別することができることとなるもの」に当たる。そして,当該情報は,同号ただし書イないしハのいずれにも当たらないから,不開示情報に該当する。 イ応募業者以外の特定の企業名について不開示とした情報のうち,応募業者以外の特定の企業名及びその企業を特定する手がかりとなる部分は,「法人に関する情報」であり,その内容から特定企業に対する委員の個人的な意見・評価を看取することができるものであって,これを開示した場合,その法人や他社に対する誤解や誤った評価を招くおそれがある。 したがって,当該情報は,本件条例8条2号イに該当し,同号ただし書にも当たらないため,同号の不開示情報に該当する。 (原告の主張)争う。 第1回テナント業者選定委員会議事録については,発言者名を特定できる部分のみを不開示とすれば被告の主張する弊害を防止できるのであるから,被告の主張は不開示事由を拡大解釈するものであって理由がない。 第2回テナント業者選定委員会議事録のうち,不開示とした情報が本件条例の不開示情報に該当するか(被告の主張)ア本件条例8条2号イ該当性第2回テナント業者選定委員会議事録のうち,応募業者のプレゼンテーションに関する質疑応答の内容及び決定事項欄の特定の応募業者の名称は,「法人に関する情報」であり,企画提案内容書に記載された情報及びその周辺情報を含むものであって,競合他社にとって,競争上最も関心の高い情報の一つである。このような情報を公にすると,他の同様の企画競争において競合関係にある他社によって利用されるなど,営業上の競争結果を左右するおそれがある。 したがって,当該情報は,本件条例8条 い情報の一つである。このような情報を公にすると,他の同様の企画競争において競合関係にある他社によって利用されるなど,営業上の競争結果を左右するおそれがある。 したがって,当該情報は,本件条例8条2号イに該当し,同号ただし書に当たらないため,同号の不開示情報に該当する。 イ本件条例8条6号ホ該当性当該情報を公にすれば,企画提案内容書の提出業者及び同業他社等の不信や不安を招くこととなり,今後,被告が同様の募集事業を実施する場合に応募を躊躇する業者が現れるなどの事態の発生が予測される結果,優れたテナント運営事業者を確保し利用者に良質のサービスを提供しようとする被告の取組みが阻害されるおそれが生じる。そのような弊害は,事業者選定過程の透明性向上,虚偽申請の不正防止という開示による利益を考慮してもなお看過しえない程度のものである。 したがって,当該情報は本件条例8条6号ホに該当する。 (原告の主張)争う。 応募業者のプレゼンテーションの中でも開示できる情報は存在するはずである。本件条例における原則公開という趣旨を実現するよう発言を具体的に精査して開示できる情報は開示すべきである。 第3回テナント業者選定委員会議事録にうち,不開示とした情報が本件条例の不開示情報に該当するか(被告の主張)ア本件条例8条2号イ該当性第3回テナント業者選定委員会議事録のうち,各応募業者の企画提案内容に対する委員の印象・感想は,「法人に関する情報」である。 当該情報は,本件募集事業に係る応募業者の企画提案がどのような評価を受けたのかを示すものであり,応募業者又はそのフランチャイザーが本件募集事業に係る店舗と同様の店舗を他の施設で経営していることに照らせば,開示によって 事業に係る応募業者の企画提案がどのような評価を受けたのかを示すものであり,応募業者又はそのフランチャイザーが本件募集事業に係る店舗と同様の店舗を他の施設で経営していることに照らせば,開示によって情報がいわば一人歩きし,各業者のサービスの質,経営状況などについて憶測を招くなど,その応募事業に対する評価にとどまらず,当該業者の業務運営全体に対する評価及び他の関連事業に対する評価にも影響を与えるおそれがあるものといえる。 したがって,当該情報は,本件条例8条2号イに該当し,同号ただし書に当たらないため,同号の不開示情報に該当する。 イ本件条例8条6号ホ該当性当該情報を開示すれば,応募業者及び同業他社等の不信や不安を招くこととなり,今後,被告が同様の募集事業を実施する場合に応募を躊躇する業者が現れるなどの事態の発生が予測される結果,優れたテナント運営事業者を確保し利用者に良質のサービスを提供しようとする被告の取組みが阻害されるおそれが生じる。そのような弊害は,事業者選定過程の透明性向上という開示による利益を考慮してもなお看過しえない程度のものである。 したがって,当該情報は本件条例8条6号ホに該当する。 ウ部分開示本件条例9条1項は,最小限度の有意な情報をさらに細分化して,不開示事由に該当しない部分を開示すべきことまでも実施機関に義務付けているもの ではない。 第3回テナント業者選定委員会議事録のうち,不開示とした情報は,各応募事業者の企画提案内容に対する各委員の印象・評価をありのままに記載したものであり,これらがまとまって一体的な情報を形成している。 よって,これらは最小限度の有意な情報であり,これ以上の部分開示はなし得ない。 (原告の主張)争う。 に記載したものであり,これらがまとまって一体的な情報を形成している。 よって,これらは最小限度の有意な情報であり,これ以上の部分開示はなし得ない。 (原告の主張)争う。 第3回テナント業者選定委員会議事録はほぼ全面黒塗りにされているが,情報公開制度の趣旨に鑑み,不開示事由に該当する部分とその余の部分を分けて,可能な限り公開すべきである。 第3 当裁判所の判断 1 証拠(甲1~3,7,乙6)及び弁論の全趣旨を総合すると,以下の事実が認められる。 原告が開示を求める各行政文書が作成された経緯ア山梨県は,平成22年4月からA病院の運営が地方独立行政法人に移行することに伴い,A病院の売店,喫茶店等について従前の行政財産の使用許可を見直すこととした。 イ山梨県は,平成21年8月7日,D支配人E,A病院病棟ボランティア代表F,公認会計士C,G大学医学部管理局長Hの4名を委員とするテナント業者選定委員会を設置した。同日,テナント業者選定委員会の第1回会議が開催され,A病院の売店,喫茶店等について,新たに私法上の賃貸借契約により貸し付けること,最低賃借料を設定した上で,価格面とサービス企画面から評価し,最も有利な提案をした業者を選定すること,賃借料の提案価格と企画提案点を点数化し,それを合計した点数の最高得点の業者を選定すること,企画提案と価格提案の評価点の配分を7対3とすること等が決定された。 テナント業者選定委員会の第1回会議の内容を記録するため,第1回テナント業者選定委員会議事録が作成された。 ウ山梨県は,同月27日から同年9月7日までの間,A病院におけるテナント別の運営希望者募集要項を配布した。 この募集要項には,テナント運営希望者 者選定委員会議事録が作成された。 ウ山梨県は,同月27日から同年9月7日までの間,A病院におけるテナント別の運営希望者募集要項を配布した。 この募集要項には,テナント運営希望者は,同月17日までに参加申込書等を提出し,書類審査の結果,参加資格を満たしていると判断された場合には,同月30日までに企画提案書,企画提案内容書及び価格提案書を提出することが定められていた。 また,この募集要項の第9項には,書類の取扱上の留意点として,「事業者が提出した書類の著作権は,事業者に帰属する。」,「事業者が提出した書類は,県情報公開条例に基づく開示文書の対象となる。」と記載されていた。 この募集要項において,企画提案内容書については,以下の要領で作成することとされていた。 収支見込みa 「客単価」×「客数(1日平均)」×30日として月間売上見込額を記載すること。 b 人件費,材料費,光熱水費,賃料,その他費用の別に内訳を記載して月間費用を記載すること。 業務を希望する理由業務を希望する理由を記載すること。 店舗の運営方針コンセプト,サービス水準,サービスの特徴等,店舗運営の考え方を記載すること。 利用者満足度の把握と反映方法利用者の満足度調査の実施予定の有無,調査方法,サービスへの反映方法について記載すること。 衛生面と安全面の確保運営上の衛生面及び安全面の確保に対する取組方針及び具体的な対処方法について記載すること。 従業員の職種,業務経験,雇用形態,服装,接遇等教育方針a 配置する従業員の職種(正社員とパート)の別と各人数, に対する取組方針及び具体的な対処方法について記載すること。 従業員の職種,業務経験,雇用形態,服装,接遇等教育方針a 配置する従業員の職種(正社員とパート)の別と各人数,業務経験資格等の有無,従業員の配置計画を記載すること。 b 業務従事中の制服,名札の着用方針について記載すること。 c 従業員に対する接遇等教育方針及び従業員教育の具体的な取組方針について記載すること。 営業日と営業時間平日,土曜日,日曜日,祝日,年末年始の営業時間を記載すること。休業日の場合はその旨を記載すること。 品揃え,価格及びレイアウトa 主要な商品50品目について,価格を含めて記載すること。 b レジや陳列棚等のレイアウトを作成すること。 自由提案その他,利用者の利便性や満足度向上のため,事業者が自主的に行おうとするサービスがあれば記載すること。 エ原告,B等7社は,A病院の売店の運営事業者の募集に応募し,それぞれ企画提案書,企画提案内容書及び価格提案書を作成して提出した。 オ同年11月16日,テナント業者選定委員会の第2回会議が開催され,各応募業者によるプレゼンテーションが行われた。 テナント業者選定委員会の第2回会議の内容を記録するため,第2回テナント業者選定委員会議事録が作成された。 カ山梨県は,同年12月4日,テナント業者選定委員会の第3回会議を開催し,A病院の売店についてはBを運営事業者とすることを決定した。 テナント業者選定委員会の第3回会議の内容を記録するため,第3回テナント業者選定委員会議事録が,そして,運営事業者の決定に供するた についてはBを運営事業者とすることを決定した。 テナント業者選定委員会の第3回会議の内容を記録するため,第3回テナント業者選定委員会議事録が,そして,運営事業者の決定に供するため,評価表,審査表集計結果が作成された。 各行政文書の性質原告が開示を求める各行政文書の性質,内容は以下のとおりである。 ア本件企画提案内容書本件企画提案内容書は,表紙,目次及び本編によって構成されており,本編には,以下の各内容が記載されている。 収入見込み見込まれる客単価及び客数,収支見込みの表,写真画像等。 業務を希望する理由経営理念,病院内の売店が果たすべき役割,努力目標,これらの項目とA病院の基本理念との関係を説明した図表,写真画像等。 店舗の運営方針店舗運営の理念,他店にない強み,店舗デザイン,地元貢献に関する取り組み内容,これらの項目と利用者の利便性や満足度の向上との関連性を説明した図表,写真画像等。 利用者満足度の把握と反映方法継続的な業務改善の実施方法,利用者ニーズの把握及び活用の方法,品切れ防止方法,トラブル・苦情への対応方法,図表,写真画像等。 衛生面と安全面の確保安全・衛生管理に対する基本的な考え方,衛生管理の取組内容,商品の選定・鮮度管理の方法,環境に配慮した取り組みの内容(廃棄物管理,省エネ対策),図表,写真画像等。 従業員の職種,業務経験,雇用形態,服装,待遇等教育方針確実に業務を遂行するための運営体制の内容,配置する従業員の職種・業 務経験・雇用形態,従業員に対する接遇等教育方針に関する基本的な考え方及び具体的な取り組みの内容,図表,写真画像等。 に業務を遂行するための運営体制の内容,配置する従業員の職種・業 務経験・雇用形態,従業員に対する接遇等教育方針に関する基本的な考え方及び具体的な取り組みの内容,図表,写真画像等。 営業日と営業時間営業日・営業時間の提案内容,図表等。 品揃え,価格及びレイアウト取扱品目の数,病院内売店に相応しい商品,病院の利便性・利用者満足度の向上に繋がる商品・サービスについての提案内容,店内レイアウト図,写真画像等。 自由提案利用者の利便性や満足度の向上に繋がる商品やサービスに関する提案内容,図表,写真画像等。 イ評価表について評価表は,Bが提出した企画提案内容書及び価格提案書について,テナント業者選定委員会委員であるCが作成した採点表であり,採点欄には評価項目・評価事項ごとの評価点が記録されている。 なお,企画提案内容書に対する評価項目は,「経営状況」,「業務の運営方針及び手法」,「営業の工夫」及び「自由提案」から,それぞれ構成されている。 ウ審査表集計結果について審査表集計結果は,企画提案及び提案価格に関する評価結果を応募業者ごとに集計し順位付けをした文書である。このうち,企画提案に関する評価結果は,テナント業者選定委員会委員が作成した評価表に記録されている評価項目・評価事項ごとの評価点合計の平均点であり,一方,提案価格に関する評価結果は,各応募業者から提示された1年間の賃料の額の平均値と標準偏差をもとに数値化したものである。 エ議事録について議事録は,テナント業者選定委員会の議事録であり,第1回テナント業者選 定委員会議事録,第2回テナント業者選定委員会議事録及び第3回テナント業者選定委員会議事録 議事録について議事録は,テナント業者選定委員会の議事録であり,第1回テナント業者選 定委員会議事録,第2回テナント業者選定委員会議事録及び第3回テナント業者選定委員会議事録からなる。 第1回テナント業者選定委員会議事録は,企画提案及び提案価格の点数をどのように配分するか等について誰がどのような発言をしたのかを記録したものである。 第2回テナント業者選定委員会議事録は,応募業者によるプレゼンテーションに際して,委員がどのような質問をし,これに対し応募業者がどのような回答をしたのか等を記録したものである。 第3回テナント業者選定委員会議事録は,応募業者の企画提案に対する各委員の印象・感想のほか,いずれの応募業者にテナントの運営を任せるのかについての審議の状況及び結果を記載したものである。 いずれの議事録にも,表題,開催日時,開催場所,出席者名,発言者名及び発言内容が記載されている。 Bによる行政文書の開示に関する意見書の提出原告とは異なる第三者が平成21年12月22日に本件と同様の行政文書開示請求をしたことから,山梨県知事は,同月24日,各応募業者に対し,意見書を提出する機会を与えた。 Bは,平成22年1月5日,企画提案書類内に企業としての経営ノウハウ及び運営ノウハウが多く記載されていることを理由に,企画提案書,企画提案内容書,価格提案書について開示することに支障がある旨の意見書を提出した。 2 争点(本件企画提案内容書が本件条例8条3号の不開示情報に該当するか)について 著作権法上の公表権の保障と情報公開制度との関係について著作権法18条3項3号は,著作権者が未公表の著作物を地方公共団体ないし地方独立行政法人に提供し 報に該当するか)について 著作権法上の公表権の保障と情報公開制度との関係について著作権法18条3項3号は,著作権者が未公表の著作物を地方公共団体ないし地方独立行政法人に提供した場合には,情報公開条例により公衆に提供することに同意したものとみなすとし,かっこ書において,開示決定の時までに別段の意 思表示をした場合を除くとしている。このような規定の文理に照らせば,同条は,情報公開制度にも著作権法上の公表権の保障が及ぶことを前提として,著作権者の公表権の保障と情報公開制度による行政文書の開示の要請との調整を図ったものと解するのが相当である。 そうすると,情報公開制度のもとにおいても著作物の公表権の保障が及び,著作権者が開示することに同意しない旨の意思表示をすれば,著作権法18条1項及び119条1項の規定により公にすることができないとされている情報として,本件条例8条3号の不開示情報に該当する。 これに対し,原告は,情報公開によって開示することは著作権法における公表とは異なる旨を主張する。しかしながら,同法における「提供」とは,著作物を有形物として提供することを意味し,情報公開制度に基づく開示がこれに当たらないとは考え難い。したがって,原告の前記主張は採用することができない。 本件企画提案内容書の著作物該当性についてア著作物の要件著作権法2条1項1号において,「著作物」とは,思想又は感情を創作的に表現したものであって,文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するものをいうとされているところ,創作性の要件について高度の芸術性を要求すると,著作物性の認定が判断者の恣意に流され,保護の範囲が不明確となることから,創作性の程度については,芸術的に高い評価を受け得るものである必要はなく ところ,創作性の要件について高度の芸術性を要求すると,著作物性の認定が判断者の恣意に流され,保護の範囲が不明確となることから,創作性の程度については,芸術的に高い評価を受け得るものである必要はなく,著作者の個性が何らかの形で創作行為に表れていれば足りると解される。 イ著作物の該当性前記1エ及びアのとおり,本件企画提案内容書は,A病院の売店運営事業者募集に対し,応募業者であるBが自己の企画内容をアピールすることを目的として提出した文書である。そこには,Bの売店運営業務に対する理念,経営戦略,長所等が記載されており,図表や写真等も多く用いられている。 売店運営事業者の応募に係る文書である以上,他の応募業者との競争に勝ち 抜くため,採点員たるテナント業者選定委員会委員に好印象を与える必要がある。その結果,記載内容,文章,図表,写真の全てに渡って工夫を凝らすことが要求される。写真については,どのような対象をいかなる角度で撮影するかの違いによって,採点者が感じる印象が異なるのは自明である。図表についても同様に,いかなる内容をどのような形式の図表にし,いかなる配色を用いるかによって文書全体に対する印象が大きく変化するのもこれまた明らかである。 企画提案内容書においては,これらの写真や図表に加え,文章をどのような割合,配列で構成するかが重要な要素となり,文書全般に渡って作成者の個性に大きく依存しているといえる。 そうすると,本件企画提案内容書は,募集要項において作成要領が定められていたとはいえ,作成要領による制限の中で,Bの個性が創作行為に表現されたものと評価することができる。 したがって,本件企画提案内容書は,著作物として保護されるために必要な創作性の要件を充足する。 著作物性の他の要件に の個性が創作行為に表現されたものと評価することができる。 したがって,本件企画提案内容書は,著作物として保護されるために必要な創作性の要件を充足する。 著作物性の他の要件についてみると,本件企画提案内容書は,Bの営業理念等が記載されたものとして,思想又は感情を表現したものに該当する。 また,文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するものという要件についても,当該作品が例示されたいずれかの分野に属さなければならないという意味ではなく,知的,文化的精神活動の所産全般を指すものと解されるところ,本件企画提案内容書は,Bが,自己の営業理念や経営方針等を表現したものとして,文化的精神活動に包含されるというべきである。 よって,本件企画提案内容書は,「思想又は感情を創作的に表現したものであって,文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するもの」であるため,著作物に該当するものと認められる。 これに対し,原告は,本件企画提案内容書には創作性のない部分も多数含まれているため,著作物該当性の有無は文書の部分ごとに判断されなければなら ない旨を主張する。 確かに,本件企画提案内容書を各部分で細分化してみれば,営業時間,営業日及び収支見込み等,単なる事実の報告であって思想又は感情を創作的に表現したものではない箇所も存在するとはいい得る。 しかしながら,本件企画提案内容書は,Bが売店運営事業者として選定されるため,自己の経営方針等を創意工夫して表現したものであり,表紙,目次から具体的内容の各項目に至るまでを一貫した理念で作成したものであることから,企画提案内容書自体が一つの著作物であるといわざるを得ない。この場合に,文書の個々の記載内容を吟味して著作物性の要件を判断することは現実的 項目に至るまでを一貫した理念で作成したものであることから,企画提案内容書自体が一つの著作物であるといわざるを得ない。この場合に,文書の個々の記載内容を吟味して著作物性の要件を判断することは現実的に困難であり,不合理である。 したがって,原告の前記主張は採用できない。 Bの著作権法18条3項3号の「別段の意思表示」についてア売店運営希望者募集要項9項の記載の性質売店運営希望者募集要項9項の「事業者が提出した書類は,県情報公開条例に基づく開示文書の対象となる。」という規定は,文理上,事業者が提出した文書は一般的に情報公開条例に基づく開示文書の対象となり得ることを明示したものにすぎないというべきである。 したがって,売店運営希望者募集要項に上記記載があることをもって,Bが企画提案内容書に関する公表権を放棄したものと解することはできない。 イ Bの「別段の意思表示」前記1のとおり,Bは,原告とは異なる第三者が本件同様の行政文書開示請求をした際,山梨県知事に対し,企業としての経営ノウハウ及び運営ノウハウが多く記載されていることを理由に,企画提案書,企画提案内容書及び価格提案書について開示することに支障があるとの意見書を提出している。 著作権法18条3項3号の「別段の意思表示」について,同法上,方式に関する規定は何ら設けられていないのであるから,著作権者が何らかの形で公表 することに同意しない旨の意思を表示すれば足りると解される。 したがって,企画提案内容を開示することに支障がある旨のBの意見は,同号の「別段の意思表示」に該当する。 これに対し,原告は,他の多くの応募業者が文書を開示することに同意しているにもかかわらずBが開示を拒むのは権利の することに支障がある旨のBの意見は,同号の「別段の意思表示」に該当する。 これに対し,原告は,他の多くの応募業者が文書を開示することに同意しているにもかかわらずBが開示を拒むのは権利の濫用である旨を主張するが,そのような事情があるというだけで権利の濫用とされるいわれはないというべきであって,原告の前記主張は失当である。 本件企画提案内容書の本件条例8条3号該当性について前記2及びのとおり,本件企画提案内容書は著作物に該当し,Bは,著作権法18条3項3号の「別段の意思表示」をしているため,本件企画提案内容書は著作権法上公にすることができない情報に当たる。 よって,本件企画提案内容書は,本件条例8条3号の不開示情報に該当する。 3 争点(評価表のうち,不開示とした情報が本件条例の不開示情報に該当するか)について 本件条例8条1号について前記1イのとおり,評価表はテナント業者選定委員会委員Cの作成した採点表であり,Bの企画提案及び価格提案に対する審査評価及び評価点が記載されている。 これらの審査評価及び評価点は,Bに対する評価を数値化したものにすぎず,これ自体からCがBに対してどのような印象を抱き,どのような感想を持ったかを推知できるものではないため,これらの情報は,「個人に関する情報」であって特定の個人を識別することができるものには当たらない。 したがって,当該情報は,本件条例8条1号の不開示情報に該当しない。 本件条例8条6号ホについてア本件条例8条6号ホの意義同号が,地方公共団体ないし地方独立行政法人の行う事務又は事業の適正な 遂行の確保と行政文書の開示の要請との調整を趣旨としていることに鑑みれば,同号の「正当な利 8条6号ホの意義同号が,地方公共団体ないし地方独立行政法人の行う事務又は事業の適正な 遂行の確保と行政文書の開示の要請との調整を趣旨としていることに鑑みれば,同号の「正当な利益を害するおそれ」については,単に行政機関の主観においてそのおそれがあると判断されるだけでは不十分であり,客観的,具体的にそのおそれが存在していることが必要である。 イ本件条例8条6号ホ該当性評価表の審査評価及び評価点は,A病院のテナント運営事業者の募集に関し,テナント業者選定委員会がBに対する評価を記載したものであるため,地方独立行政法人の機関が行う事務に関する情報に当たる。 しかしながら,審査表集計結果において,Bに対する評価点が開示されており(甲1),評価表における審査評価も評価点から自ずと明らかになることから,これらの情報を新たに開示しても,テナント業者選定委員会委員が応募業者から面会を強要されたり,不満を訴えられて,今後のテナント運営事業で適正な評価をなし得なくなるおそれがあるとは認められない。 そうすると,評価表の審査評価及び評価点を開示することで,地方独立行政法人に係る事業に関し,その企業経営上の正当な利益を害するおそれが客観的に存在するということはできない。 したがって,当該情報は,本件条例8条6号ホの不開示情報に該当しない。 4 争点(審査表集計結果のうち,不開示とした情報が本件条例の不開示情報に該当するか)について 本件条例8条2号イの意義本件条例3条が,行政文書の開示を求める県民の利益が十分に尊重されるように条例を解釈・運用すべきとしていることに照らすと,不開示事由の範囲が不必要に拡大するような解釈は当該基本理念を没却することとなるため,本件条 ,行政文書の開示を求める県民の利益が十分に尊重されるように条例を解釈・運用すべきとしていることに照らすと,不開示事由の範囲が不必要に拡大するような解釈は当該基本理念を没却することとなるため,本件条例8条2号イの「正当な利益を害するおそれ」については,行政機関の主観においてそのおそれがあると判断されるだけでは不十分であり,客観的にそのおそれがあると認められることが必要であると解される。 もっとも,行政機関において,行政文書の個別具体的な記載文言等から開示によりどのような弊害が生じるかを具体的に明らかにしなければならないとすることは,結果的に当該行政文書を開示するのに等しく,不開示事由を定めた同条の趣旨に反することは明らかであるため,前記「おそれ」の有無を判断するにあたっては,当該情報がどのような法人等に関するどのような種類のものであるか等の一般的性質から判断することが相当である。 本件条例8条2号イ該当性前記1カ及びウのとおり,審査表集計結果は,テナント業者選定委員会が売店運営事業者を決定するための判断資料として作成したものであり,各応募業者の経営状況や提案内容に対する評価点と順位が一覧表に整理されている。 不開示とされた落選事業者の評価事項ごとの得点及び順位が,「法人に関する情報」に該当することは明らかである。 そして,審査表集計結果からは,各応募業者に対する評価及び順位が容易に見て取れる。A病院のテナント運営事業者募集に係る審査表という文書の性質上,これらの情報を公開すると,テナント業者選定委員会がA病院の売店運営事業者募集という独自の目的の下に独自の基準で各応募業者を評価したことが正確に理解されず,審査表集計結果に記載されている情報が各応募業者の経営状況や企画力に関する客観的評価であるとの誤 院の売店運営事業者募集という独自の目的の下に独自の基準で各応募業者を評価したことが正確に理解されず,審査表集計結果に記載されている情報が各応募業者の経営状況や企画力に関する客観的評価であるとの誤解を招来するおそれがある。本件における応募業者の中に,一般消費者を対象として事業を展開している企業が含まれており,これらの応募業者は消費者からの評価が直ちに売上に直結し得ることからすると,審査表集計結果を公開することで,低い評価であった応募業者の社会的評価に誤認を生じさせ,売上減少を招くなど,各応募業者の事業活動に不利益を与えるおそれがあることは客観的に明らかである。 そうすると,審査表集計結果の得点及び順位を開示すると,当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものと認められる。 よって,当該情報は,本件条例8条2号イに該当し,同号ただし書に該当する と認めるに足りる証拠はないため,不開示情報に当たる。 5 争点(第1回テナント業者選定委員会議事録のうち,不開示とした情報が本件条例の不開示情報に該当するか)について 発言者名を特定する手がかりとなる部分についてア 「他の情報と照合することにより,特定の個人を識別することができることとなるもの」の意義行政文書の開示と個人情報保護の要請を適切に調和させるという観点からすれば,本来は,公開によって個人の権利利益を害するおそれのある情報のみを不開示とすべきこととなるが,個々の情報ごとに個人の権利利益を害するか否かを吟味して開示の可否を判断することには多大な困難が伴うため,本件条例8条1号は,やむを得ず個人を識別しうる情報は,それが個人の権利利益を害するものか否かを問わず一律に不開示情報と定めている。 そうすると,同条が「他の情報と照合する は多大な困難が伴うため,本件条例8条1号は,やむを得ず個人を識別しうる情報は,それが個人の権利利益を害するものか否かを問わず一律に不開示情報と定めている。 そうすると,同条が「他の情報と照合することにより,特定の個人を識別することができることとなるもの」についても不開示情報とした点は,不開示の範囲を更に広げる付加的な規定であるから,これによって不開示情報の範囲が本来の個人識別情報の範囲を大きく超えて拡大することは,同条の予定しないところというべきである。 そこで,「他の情報と照合することにより,特定の個人を識別することができることとなるもの」については,本来の個人識別情報と同様に扱わざるを得ないという趣旨から限定的に解釈すべきであり,開示された情報のみでは特定の個人を識別できるとはいい難いが,一般人が容易に入手しうる情報と組み合わせることで特定の個人が識別され得る場合をいうと解するのが相当である。 イ本件条例8条1号該当性前記1イ及びエのとおり,第1回テナント業者選定委員会議事録は,テナント運営事業者の募集につき,条件,採点方法等について議論がなされたテナント業者選定委員会の第1回会議のやりとりを記録したものであり,発言者 の氏名,発言内容等が記載されている。 このような会議の性質上,委員が自己の経験や身分を活かした発言をすることも多く,その際,「教育者の立場から申し上げると」といった発言者自身の役職に関係する内容を含む発言等がなされているといえる。そして,テナント業者選定委員会委員の氏名や身分はテナント業者選定委員会設置要綱において明らかにされているため(甲1),発言者名を非公開としていても,上記のような発言と委員の身分等の情報とを照合することで,発言者名を特定することが可能となる。 業者選定委員会設置要綱において明らかにされているため(甲1),発言者名を非公開としていても,上記のような発言と委員の身分等の情報とを照合することで,発言者名を特定することが可能となる。 そうすると,第1回テナント業者選定委員会議事録のうち,発言者名及び発言者名を特定する手がかりとなる部分は,「個人に関する情報」であり,一般人が容易に入手できる他の情報と照らし合わせることで特定の個人を識別することができると認められる。 よって,当該情報は,本件条例8条1号に該当し,同号イないしハに該当すると認めるに足りる証拠はないため,不開示情報に当たる。 応募業者以外の特定の企業名についてテナント業者選定委員会の第1回会議においては,テナント運営事業者募集に係る要領等を決定するやりとりがなされており,同会議の議事録はその会議の内容を記録したものである。 このような文書の性質からすれば,この議事録には,他の運営事業者募集の事案で実施されている方法,応募業者以外の企業の運営方法及びそれに対する評価等に係わる委員の発言が含まれているといえ,これらの情報は「法人に関する情報」に該当する。 そして,応募業者以外の企業に関する委員の発言が公開されると,委員の個人的な意見や評価にすぎない情報が,当該企業に対する客観的な評価であるという誤った認識を招来して当該企業の社会的評価を低下させ,売上減少を招く等のおそれがあることは客観的に明らかである。 そうすると,第1回テナント業者選定委員会議事録のうち,応募業者以外の特定の企業名及びその企業名を特定する手がかりとなる部分を開示すると,その法人の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものと認められる。 よって,当該情報は,本件条例8条2号イに該当し,同号ただ びその企業名を特定する手がかりとなる部分を開示すると,その法人の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものと認められる。 よって,当該情報は,本件条例8条2号イに該当し,同号ただし書に該当すると認めるに足りる証拠はないため,不開示情報に当たる。 6 争点(第2回テナント業者選定委員会議事録のうち,不開示とした情報が本件条例の不開示情報に該当するか)について前記1オ及びエのとおり,テナント業者選定委員会の第2回会議においては,各応募業者による企画提案内容に関するプレゼンテーション及び各委員との質疑応答が実施されている。第2回テナント業者選定委員会議事録は,上記第2回会議の内容を記録したものであるから,この議事録には,その性質上,各応募業者の企業秘密にかかわる情報が多く含まれているといえる。 これらの情報は「法人に関する情報」に該当する。 そして,本件における応募業者らは,今後も同様のテナント運営事業者の募集に応募することが想定されることからすれば,第2回テナント業者選定委員会議事録を公開することで,各応募業者が多大な労力をかけて蓄積してきた競争を勝ち抜くための独自のノウハウ等が競業他社に知られることとなり,他の同様な企画競争においてそのノウハウが利用されるなど,応募業者の事業活動に支障を生じさせるおそれがあることは客観的に明らかである。 そうすると,第2回テナント業者選定委員会議事録の応募業者のプレゼンテーションに関する質疑応答の内容を開示すると,当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものと認められる。 よって,当該情報は,本件条例8条2号イに該当し,同号ただし書に該当すると認めるに足りる証拠はないため,不開示情報に当たる。 7 争点(第3回テナント業者選定委員 あるものと認められる。 よって,当該情報は,本件条例8条2号イに該当し,同号ただし書に該当すると認めるに足りる証拠はないため,不開示情報に当たる。 7 争点(第3回テナント業者選定委員会議事録のうち,不開示とした情報が本件条例の不開示情報に該当するか)について 本件条例8条2号イ該当性前記1カ及びエのとおり,テナント業者選定委員会の第3回会議においては,第2回会議における各応募業者との質疑応答を踏まえて,テナント運営事業者を決定する議論がなされている。第3回テナント業者選定委員会議事録は,同会議の内容を記録したものであることから,その性質上,各応募業者の企画提案に対する各委員の印象,感想等が多く掲載されているものと認められ,これらは「法人に関する情報」に該当する。 そして,第3回テナント業者選定委員会議事録が売店運営事業者決定の過程で作成された文書であること,各応募業者の企画力や経営実績等に対する各委員の印象,感想等が記録されていること,各応募業者には広く店舗を展開している企業も含まれていることからすれば,これらの情報が公になると,各委員の個人的な評価である発言が,各応募業者の客観的評価ないし格付であるとの誤認を生じ,応募業者の社会的評価を不当に低下させて売上減少を招く等のおそれがあることは客観的に明らかである。 そうすると,第3回テナント業者選定委員会議事録のうち,応募業者の企画提案内容に対する委員の印象,感想を開示すると,当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものと認められる。 よって,当該情報は,本件条例8条2号イに該当し,同号ただし書に該当すると認めるに足りる証拠はないため,不開示情報に当たる。 部分開示について本件条例8 と認められる。 よって,当該情報は,本件条例8条2号イに該当し,同号ただし書に該当すると認めるに足りる証拠はないため,不開示情報に当たる。 部分開示について本件条例8条1号及び9条2項が,「氏名,生年月日」等の記述を「情報」の一部分を成す構成要素にすぎないものとして取り扱っていることに照らせば,本件条例は,「情報」とこれを構成する文書中の「記載」とを明瞭に区別しており,記述等の複合した一定のまとまりを持った単位の意味において「情報」という概念を用いているといえる。そして,本件条例8条が不開示事由該当性の判断の対象を「情報」としており,本件条例9条も「不開示情報」が記録されている部分 を容易に区分して除くことができる場合の部分開示を規定していることに照らすと,同条は,情報単位での部分開示を実施機関に義務付けたものであり,非公開事由に該当する独立した一体的な情報を更に細分化し,その一部を非公開とし,その余の部分にはもはや非公開事由に該当する情報は記録されていないものとみなして,これを公開すべきことまでをも実施機関に義務付けているものと解することはできない(最高裁平成13年3月27日第3小法廷判決・民集55巻2号530頁)。 独立した一体的な情報であるか否かは,当該情報が記録された記載部分の物理的形状,その内容,作成名義,作成目的,当該文書の取得原因等を総合考慮の上,本件条例の非公開事由に関する定めの趣旨に照らし,社会通念に従って判断すべきである。 これを第3回テナント業者選定委員会議事録について判断すると,当該議事録は,テナント業者選定委員会の第3回会議の内容を記録するために作成されたものであり,各委員の発言等が記載されている。このうち不開示とされた情報は,各委員の各応募業者に対す いて判断すると,当該議事録は,テナント業者選定委員会の第3回会議の内容を記録するために作成されたものであり,各委員の発言等が記載されている。このうち不開示とされた情報は,各委員の各応募業者に対する評価ないし感想を含む発言である。 これらの事実からすると,当該議事録で情報としての意味を有するのは各委員の各発言である。委員の各発言のうち応募業者に対する評価ないし感想の部分のみを黒塗りにして開示すると,文章の主要部分がマスキングされて単語のみが羅列される結果となり,もはや情報としての意味を成さない。 そうすると,第3回テナント業者選定委員会議事録のうち,不開示とされた部分は,各委員の発言という一つの有意な情報であり,独立した一体的な情報であると認められる。 本件条例9条が,独立した一体的な情報をさらに細分化して部分開示をすべきことまで義務付けたものでないことは上記のとおりであり,一つの有意な情報であるとの判断の下,第3回テナント業者選定委員会議事録のうち,各応募業者の企画提案内容に対する印象,感想を含む委員の発言を不開示とした山梨県知事の 処分に違法はない。 8 結論以上のとおり,評価表の審査評価及び評価点の各欄の記載は,本件条例8条1号及び同条6号ホのいずれにも該当しないから,本件一部開示決定のうち,これらの情報を不開示とした部分は違法であり,その限度で原告の請求には理由がある。 よって,本件一部開示決定のうち,評価表の審査評価及び評価点の各欄の記載を不開示とした部分を取り消し,それらの情報の開示を義務付け,その余の請求を棄却することとして,主文のとおり判決する。 甲府地方裁判所民事部 裁判長裁判官林正宏 裁判 主文 の請求を棄却することとして,主文のとおり判決する。 理由 甲府地方裁判所民事部 裁判長裁判官林正宏 裁判官岡田紀彦 裁判官小川惠輔
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