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昭和26(う)1617 昭和二一年勅令第三一一号違反並びに関税法違反被告事件

裁判所

昭和26年6月9日 東京高等裁判所 棄却

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1,376 文字

主文 本件控訴はこれを棄却する。理由 本件控訴の趣意は末尾に添附した弁護人木戸実作成名義の控訴趣意書と題する書面のとおりで、これに対し当裁判所は次のとおり判断する。第一点原判決によればクロロホルム百瓩及び亜砒酸百瓩についても輸出したものと認定し、その証拠の標目中に(1)昭和二十五年十一月十八日附大蔵事務官の差押目録(クロロホルム)(2)同年十一月二十日附同上(亜砒酸)を掲げていることは所論のとおりである。しかし原判決挙示の証拠によれば右クロロホルム亜砒酸もその他の貨物とともに中華民国に輸出する目的で東京都中央区所在a岩壁からA株式会社所有B丸に積み込み中華民国へ向け出航して同国太沽港に到達し、同地で他の貨物はこれを陸揚げしたが右物件は陸揚げする必要がなくなつたのでこれを持ち<要旨第一>帰つたものであることを認めるに十分である。しからば貨物を輸出する目的で我国領土外に仕向けられた船に</要旨第一>積載した以上たとえこれを外国に陸揚げせず、そのまゝ我国へ持ち帰つたとしても輸出したものと認めるべきであるから、原判決の証拠に所論持ち帰つた貨物を大蔵事務官が差押えた目録を挙げても何等理由にくい違いを生ずるものではない。論旨は理由がない。第二点原判決によれば本件密輸出入については被告人及び原審相被告人C、同D等三名が共<要旨第二>同正犯であることを認定し、被告人だけから金二十二万九千十一円を追徴したことは所論のとおりである。し</要旨第二>かし関税法第八十三条第一項には「犯罪に係る貨物にして犯人の所有又は占有に係るものは之を没収する」旨規定され、同条第三項はこれをうけて「没収すべき物の全部又は一部を没収すること能はざるときはその没収すること能はざる物の原価に相当する金額を犯人より追徴する 所有又は占有に係るものは之を没収する」旨規定され、同条第三項はこれをうけて「没収すべき物の全部又は一部を没収すること能はざるときはその没収すること能はざる物の原価に相当する金額を犯人より追徴する」旨定められているから、共同正犯の場合であつてもその物の所有者が判明しておればその所有者である犯人から沒収し又は追徴すればよいので共同正犯の全員からそれを没収し又は追徴しなければならないものではない。 する 所有又は占有に係るものは之を没収する」旨規定され、同条第三項はこれをうけて「没収すべき物の全部又は一部を没収すること能はざるときはその没収すること能はざる物の原価に相当する金額を犯人より追徴する」旨定められているから、共同正犯の場合であつてもその物の所有者が判明しておればその所有者である犯人から沒収し又は追徴すればよいので共同正犯の全員からそれを没収し又は追徴しなければならないものではない。しかして原判決が挙示した証拠(被告人の原審公判廷における供述)によれば、本件貨物は被告人が自己の金で買いうけた物又はこれと交換したものであることが明らかであるから原審は本件貨物を被告人の所有にかゝるものと認めたので、他の共犯者からは追徴せず被告人だけから追徴したものであると認めるのが相当である。従つて、原判決には何等所論のような矛盾した判断はしてなく理由にくい違いは存しない。論旨は理由がないものである。(裁判長判事吉田常次郎判事石井文治判事鈴木勇)

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