-1-平成19年3月20日判決言渡東京簡易裁判所平成18年(ハ)第16345号損害賠償請求事件判決主文 本件訴えを却下する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1事案の概要 請求被告は,原告に対し,124万7732円及びこれに対する平成17年4月1日から支払済みまで年6パーセントの割合による金員を支払え。 請求原因の要旨(1)A社(以下「売主」という)は,平成16年9月8日,B社(以下,,。 「買主」という)に対し,レーザージェットパーツ245個(以下「本。 ,件商品」という)を5万8463.65米ドルで売り渡した。 。 (2)売主は,同日,C社(以下「集荷業者」という)との間で,本件商品,。 が梱包されたパレット17基(以下「本件貨物」という)について,売,。 主を荷送人,買主を荷受人とするアメリカ合衆国(以下「米国」とい,う)のメンフィスからシンガポールまでの運送契約(いわゆる利用運送契。 約)を締結し,集荷業者は,売主に航空運送状(番号a)を交付した。 (3)集荷業者は,同月10日,被告との間で,本件貨物について,集荷業者を荷送人,D社(以下「到着地荷受人」という)を荷受人とする米国メ,。 ンフィスからシンガポールまでの運送契約(いわゆる実行運送契約。以下,「本件運送契約」という)を締結し,被告は,集荷業者に航空運送状(番。 号b)を交付した。 (4)原告は,本件商品の運送に先立ち,集荷業者を代理する株式会社E(以-2-下「集荷業者代理人」という)との間で,本件商品を目的とした貨物海,。 上保険契約(以下「本件保険契約」という)を締結した。 ,。 (5)被告は,航空機c便で,本件貨物をシンガポールまで運送し(以下,「本件運送」という,同月11日,本件 を目的とした貨物海,。 上保険契約(以下「本件保険契約」という)を締結した。 ,。 (5)被告は,航空機c便で,本件貨物をシンガポールまで運送し(以下,「本件運送」という,同月11日,本件貨物は,到着地荷受人を経て買。)主に引き渡された。 (6)本件商品のうち45個について,本件運送中の降雨によると思われる水濡れの被害を受け,うち12個は商品価値がなく,その余の33個は修補せざるをえず,12個の商品購入代金相当額8968.44米ドル,修補費用2814.56米ドルの合計1万1810米ドルの損害を被った。 (7)原告は,集荷業者代理人に対し,平成17年3月31日,本件保険契約に基づき,124万7732円を支払ったので,集荷業者が有する債務不履行に基づく損害賠償請求権に代位して,被告に対し,124万7732円及びこれに対する保険代位の日の翌日である平成17年4月1日から支払済みまで商事法定利率年6パーセントの割合による遅延損害金の支払いを求める。 第2裁判管轄に関する当事者の主張 原告の主張損害賠償債務は持参債務であり,当事者間の公平,裁判の適正・迅速を期するという理念により条理にしたがえば,義務履行地の裁判管轄(民事訴訟法5条1号)に従って,我が国の裁判所に管轄権を認めるべきである。 被告の主張(1)本件運送は国際航空運送であり,改正ワルソー条約(以下,西暦1929年10月12日にワルソーで署名された「国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約」を「原ワルソー条約」といい,へーグ議定書及びモントリオール第4議定書により改正された原ワルソー条約を「改正ワルソー条約」という)が適用され,改正ワルソー条約28条1項,24条2項に。 より我が国の裁判所は管轄権を有しないので,本件訴えは不適法である。 -3-(2) り改正された原ワルソー条約を「改正ワルソー条約」という)が適用され,改正ワルソー条約28条1項,24条2項に。 より我が国の裁判所は管轄権を有しないので,本件訴えは不適法である。 -3-(2)当事者間の公平,裁判の適正・迅速を期するという理念により条理にしたがえば,裁判管轄は,関係者及び証拠資料が所在するシンガポールに認められるべきである。 第3理由 国際航空運送については条約が存在するところ,西暦1929年10月12日,原ワルソー条約がワルソーで署名され,原ワルソー条約は,同1955年9月28日,へーグ議定書により,同1975年9月25日,モントリオール第4議定書により,それぞれ改正され,同1999年5月28日,モントリオールで,新たに「国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約(以」下「モントリオール条約」という)が署名されたことは公知の事実である。 ,。 改正ワルソー条約にいう「国際運送」とは,当事者間の約定によれば,運送の中断又は積替えがあるかどうかを問わず,出発地及び到達地が,二の締約国の領域にある運送又は出発地及び到達地が単一の締約国の領域にあり,かつ,予定寄航地が他の国(改正ワルソー条約の締結国か否かを問わない)の領域。 にある運送である(改正ワルソー条約1条2項。そこで,本件訴訟記録及び)請求原因事実によれば,本件運送は,出発地を米国内(ただし,航空運送状(甲1)によれば,請求原因の要旨(3)記載の本件運送契約の出発地は米国のアトランタであることが認められる,到達地をシンガポール共和国内とす。)る国際航空運送契約によるものであるところ,米国は原ワルソー条約,へーグ議定書,モントリオール第4議定書及びモントリオール条約を批准し,シンガポール共和国は原ワルソー条約,ヘーグ議定書及びモントリオー 国際航空運送契約によるものであるところ,米国は原ワルソー条約,へーグ議定書,モントリオール第4議定書及びモントリオール条約を批准し,シンガポール共和国は原ワルソー条約,ヘーグ議定書及びモントリオール第4議定書を批准しているがモントリオール条約を批准していないので,本件運送にはモントリオール条約は適用されず,改正ワルソー条約が適用される。そして,請求原因の要旨(5)ないし(7)によれば,本件訴えは,原告が保険代位によって,本件貨物の毀損の原因となった事故が航空運送である本件運送中に生じたものであるとして運送人の国際航空運送契約に基づく責任を追及するものであるか-4-ら(改正ワルソー条約18条2項,24条2項,商法662条1項,改正ワ)ルソー条約28条1項にいう責任に関する訴えであり,その管轄裁判所は,運送人の住所地,運送人の主たる営業所の所在地もしくは運送人が契約を締結した営業所の所在地の裁判所又は到達地の裁判所のいずれかであるところ(同条約28条1項,本件運送契約の当事者は米国法人である集荷業者及び台湾法)人である被告であり,かつ,本件運送の到着地は我が国内ではなく,そうすると,我が国の裁判所は上記管轄裁判所のいずれにも該当しない。 我が国の裁判権の及ぶ範囲については,国際裁判管轄を直接規定する法規もなく,また,よるべき条約も一般に承認された明確な国際法上の原則もいまだ確立していない現状のもとにおいては,当事者間の公平,裁判の適正・迅速を期するという理念により条理にしたがって決定するのが相当であり,わが民訴法の国内の土地管轄に関する規定(民事訴訟法4条2項,義務履行地(同5)条1号,被告の財産所在地(同5条4号,不法行為地(同5条9号)その))他の裁判地についての規定のいずれかが我が国内にあるときは,これらに関する訴 規定(民事訴訟法4条2項,義務履行地(同5)条1号,被告の財産所在地(同5条4号,不法行為地(同5条9号)その))他の裁判地についての規定のいずれかが我が国内にあるときは,これらに関する訴訟事件につき,被告を我が国の裁判権に服させるのが条理に適うものというべきである(最高裁判所昭和56年10月16日判決・民集35巻7号1224頁参照。 )そして,我が国の民事訴訟法の規定する裁判籍のいずれかが我が国内にあるときは,原則として,我が国の裁判所に提起された訴訟事件につき,被告を我が国の裁判権に服させるのが相当であるが,我が国で裁判を行うことが当事者間の公平,裁判の適正・迅速を期するという理念に反する特段の事情があると認められる場合には,我が国の国際裁判管轄を否定すべきである(最高裁判所平成9年11月11日判決・民集51巻10号4055頁参照。 ) これを本件についてみると,原告は,本訴請求に係る損害賠償債務の履行地は債権者が住所を有する我が国内にあるとして,義務履行地としての我が国内の国際裁判管轄を肯定すべき旨を主張する。また,本件訴訟記録によれば,被-5-告は,外国法人であるが,日本における代表者を定め,東京都d区内に支店を有することが認められる。 しかし,本件運送については,改正ワルソー条約が適用されるのであるから,国際裁判管轄を直接規定する法規が存在し,本件訴訟の管轄も改正ワルソー条約28条1項にしたがって判断されるべきである。しかも,我が国は,経由地でも積替地でもなく,さらに,損害の発生地でも,本件貨物の到着地でもない。 また,本件運送契約は,被告の米国内の支店ないし営業所が担当したものと考えられる。そして,本件訴訟記録によれば,本件貨物についての検査は,シンガポール所在の原告の関連会社Fが日本海事検定協会に依頼し,同協 本件運送契約は,被告の米国内の支店ないし営業所が担当したものと考えられる。そして,本件訴訟記録によれば,本件貨物についての検査は,シンガポール所在の原告の関連会社Fが日本海事検定協会に依頼し,同協会シンガポール事務所において行われ,同事務所ゼネラルマネージャーであるG氏により検査報告書(甲6)が作成されているところ,同報告書は,本件商品の被害原因について「輸送中の,シンガポール,e空港の貨物専用施設から搬出さ,れる前のいずれかの段階で,真水もしくは雨水に接触したことが原因と考える」と記載されているが(訳文参照,本件商品が真水もしくは雨水に接触。 )した原因については記載されておらず,同報告書のみによって本件商品の被害原因を認定することはできない。そうすると,本件商品の被害原因を明らかにするためには,関係者の証言等の証拠方法が必要となるが,関係者ないし証拠方法はいずれもシンガポール共和国内に所在している。本件訴訟をシンガポールの裁判所で審理した場合,原告にある程度の負担を強いることになるが,原告は大規模保険会社であり,かつ,上記の事情を考慮すれば,義務履行地として我が国の裁判所において本件訴訟に応訴することを被告に強いることは,当事者間の公平,裁判の適正・迅速を期するという理念に反するものというべきであり,本件については,我が国の国際裁判管轄を否定すべき特段の事情があるということができる。 よって,本件訴えは,我が国の裁判所に管轄は認められないから,本件訴えを却下することとする。 -6-東京簡易裁判所民事第5室裁判官御家祝弘 申し訳ありませんが、提供されたテキストが不完全であるため、整形を行うことができません。完全なテキストを提供していただければ、整形を行います。
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