- 1 -主文 原告の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求 原告と被告らとの間において,原告が労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。 被告らは,原告に対し,各自金167万4684円及びこれに対する平成15年11月21日(本訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 被告らは,原告に対し,各自2003年11月以降毎月25日限り金35万1093円及びこれらに対する毎月26日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要本件は,人材派遣業者である被告株式会社マイスタッフ(以下「被告マイスタッ,フ」という)から被告一橋出版株式会社(以下「被告一橋出版」という)に派遣。 ,。 された原告が,被告らの間の労働者派遣契約が打ち切られたことによって被告マイスタッフとの間の派遣労働契約が終了したことの効力を争い,被告らは一体であるとして,被告らに対し,被告マイスタッフとの間の派遣労働契約の存在及び被告一橋出版との間の黙示の労働契約の成立を前提とする労働契約上の地位の確認及び労働契約終了後の賃金の支払を求めた事案である。 (,。) 前提事実当事者間に争いがないか後掲証拠及び弁論の全趣旨により認められる(1)被告ら被告一橋出版は,昭和31年2月29日設立された学術書,教科書,学習用教材の出版及び販売等を目的とする,発行済株式総数18万株,資本金9000万円の株式会社である(甲1の1。 )被告マイスタッフは,昭和53年4月19日設立された(昭和61年11月,現在の商号に変更)労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(以下「労働者派遣法」という)に基づく人材の派遣事業,,。 月19日設立された(昭和61年11月,現在の商号に変更)労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(以下「労働者派遣法」という)に基づく人材の派遣事業,,。 出版物の編集,制作,その他文書の分類,整理など事務処理業務の請負等を目的と,,()。 する発行済株式総数2万株資本金1000万円の株式会社である甲2の2被告一橋出版は,被告マイスタッフの株式を有しており,その出資比率は17. 5パーセントである(証人a・9頁。 )(2)原告原告は,平成13年5月21日から平成15年5月20日までの間,被告マイスタッフから被告一橋出版編集部に派遣労働者(以下「派遣社員」ともいう)と,。 して派遣され,高校家庭科教材の編集及びこれに付随する業務(以下「本件編集,業務等」という)に従事した。 。 (3)原告が被告一橋出版に派遣されるまでの経過ア被告マイスタッフは,平成13年4月初旬ころ,被告一橋出版から,被告一橋- 2 -出版との間の労働者派遣に関する基本契約に基づき,本件編集業務等の遂行のための派遣社員1名の派遣依頼を受けたが(乙B3,派遣希望登録者に適当な人)材がなかったことから,同月15日,新聞に派遣社員の募集広告を掲載した。 イ原告は,平成13年4月17日ころ,被告マイスタッフに履歴書を送付し,上記募集に応募し書類審査を経て同月25日同年5月8日及び同月14日甲,,,(5,乙B3,面接試験等を受けた。 )被告マイスタッフは,同年5月15日,原告の採用を決定した(乙B3。 )ウ被告マイスタッフは,被告一橋出版との間で,平成13年5月16日,派遣社員数を1名,派遣期間を同月21日から同年11月20日までの6か月間,就業場所を被告一橋出版,派遣料金を時間単価2625円,業務内 告マイスタッフは,被告一橋出版との間で,平成13年5月16日,派遣社員数を1名,派遣期間を同月21日から同年11月20日までの6か月間,就業場所を被告一橋出版,派遣料金を時間単価2625円,業務内容を本件編集業務等とする旨の労働者派遣契約を締結した。 そして,被告マイスタッフは,原告との間で,同年5月16日,原告を派遣社員として,派遣先を被告一橋出版,業務内容を本件編集業務等,雇用期間を同月21日から同年11月20日までの6か月,賃金を時間給2500円等とする条件で雇用する旨の派遣労働契約を締結し(甲6の1,同年5月21日から原告)を被告一橋出版に派遣して本件編集業務等に従事させた。 以後,被告らは,同年11月13日,平成14年5月13日及び同年11月11日,具体的な派遣期間を除く(ただし,6か月間であることは同じ)ほか上。 記同様の条件で労働者派遣契約を締結し(証人a・19~20頁,被告マイス)タッフは,原告との間で,同年11月13日,平成14年5月13日及び同年11月11日,具体的な雇用期間を除く(ただし,6か月間であることは同じ)。 ほか上記同様の条件で派遣労働契約を締結して(甲6の2,3,11,乙B3。 以下,原告と被告マイスタッフとの間で締結された上記各派遣労働契約を一括して「本件労働契約」という,原告を被告一橋出版に派遣して本件編集業務等。)に従事させた。 (4)本件労働契約の終了の通告被告一橋出版は,平成15年3月下旬,本件編集業務等が一段落したことから,同年5月20日の契約期間満了をもって本件編集業務等に関する被告マイスタッフとの間の労働者派遣契約を終了する旨通告した(乙B3,証人b・3,18頁,証人a・8~9頁。 )被告マイスタッフ取締役であり,被告一橋出版参与でもあるcは,本件労働契約の雇用期間満了前であ タッフとの間の労働者派遣契約を終了する旨通告した(乙B3,証人b・3,18頁,証人a・8~9頁。 )被告マイスタッフ取締役であり,被告一橋出版参与でもあるcは,本件労働契約の雇用期間満了前である同年4月16日,原告に対し,口頭で今後労働契約を締結しない旨通告した。 争点 (1)原告と被告一橋出版との間の黙示の労働契約の成否(2)原告と被告らとの間の労働契約終了の有効性(3)被告らの原告に対する未払賃金額 争点に対する当事者の主張の要旨(1)争点(1(原告と被告一橋出版との間の黙示の労働契約の成否)について)(原告の主張)- 3 -以下に述べる出版業務における被告らの一体性,原告の募集・採用手続,原告の就労状況,原告の派遣料と原告の賃金の関係等に鑑みれば,原告は,被告一橋出版に直接雇用されたものであって,原告と被告一橋出版との間に黙示の労働契約が成立している。 ア出版業務において被告らは一体である。 (ア)被告一橋出版は,人件費削減を企図して子会社である被告マイスタッフを人材派遣会社とした。平成15年5月20日当時,被告一橋出版の出版業務に従事する被告マイスタッフからの派遣,有期雇用労働者は35名にものぼっており,他社からの派遣はない。これら派遣,有期雇用労働者は,被告一橋出版の根幹をなす教科書編集業務等に従事していた。 (イ)被告一橋出版は,その相談役dのいわゆるオーナー会社である。dは,被告マイスタッフ代表取締役でもあり,被告らの従業員の採用に至るまで決定している。また,被告マイスタッフが人材派遣事業を開始した時点の取締役は,c及びeであった。cは,平成7年10月30日,被告一橋出版取締役を退任後,その参与となったが,平成15年11月現在も被告マイスタッフ取締役である。eは,平成元年10月,被告一橋出版 点の取締役は,c及びeであった。cは,平成7年10月30日,被告一橋出版取締役を退任後,その参与となったが,平成15年11月現在も被告マイスタッフ取締役である。eは,平成元年10月,被告一橋出版取締役に就任し,平成9年10月,同代表取締役となり,平成13年10月,同代表取締役及び取,。 締役を退任したが平成14年11月まで被告マイスタッフ取締役であった,,,,cは被告一橋出版参与としてeは被告一橋出版代表取締役社長として派遣を受ける者の面接に立ち会った。 イ原告の募集・採用手続の主体は被告一橋出版であって,被告一橋出版が原告を直接面接して採用決定したといえる。万一,被告一橋出版による募集・採用手続といえない場合でも,労働者派遣法26条7項違反の程度は著しく,被告一橋出版は厚生労働省見解の「事前面接により,派遣労働者の採用を決定した場合」に該当する。 (ア)被告マイスタッフの募集広告は,業務が家庭科教育書編集とされ,時給額・労働時間・休日等主な労働条件が記載されており,被告マイスタッフが被告一橋出版の代わりに募集広告を出したのと変わらない。 (),,(,「」イ原告は平成13年4月被告マイスタッフ業務部長a以下a部長。),,というから被告一橋出版への派遣募集に応募するように連絡を受けてこれに応募し,同月下旬,被告マイスタッフ会議室において,ペーパーテストとa部長による面接を受けた。 次に,原告は,同年5月8日,被告一橋出版本社会議室において,被告一橋出版参与cとa部長による第一次面接を受けた。 さらに,原告は,同月9日,被告マイスタッフから第二次面接の通知を受けたが,その通知には「今回は会長,社長ともご面談いただきます」等と記載されていた(会長」は被告一橋出版会長dを「社長」は被告一橋出版「 ,原告は,同月9日,被告マイスタッフから第二次面接の通知を受けたが,その通知には「今回は会長,社長ともご面談いただきます」等と記載されていた(会長」は被告一橋出版会長dを「社長」は被告一橋出版「,代表取締役社長eをさす。原告は,同月14日,被告一橋出版本社会議。)室において,被告一橋出版社長e,参与c及び被告一橋出版編集部長f(以下「f編集部長」という)による同面接を受け,これまでの仕事,家族,,。 - 4 -大学での専攻と今回の仕事との関係,残業に対する家族の理解の有無などを質問された。当日の会場案内等は被告一橋出版の社長秘書が行った。 (ウ)原告は,同月15日,被告マイスタッフから採用通知を受け,同月16日付けで派遣社員就業通知書を渡されたが,同通知書の「派遣先責任者」欄にはc参与の名前が記載されていた。 ウ原告の就労状況は正規労働者(以下「正社員」という)と同様であり,原告。 の賃金は実質的に被告一橋出版が決定したといえる。 (ア)原告の業務は,退職した正社員が担当していた新課程家庭科教科書関係が中心であり,原告は,その責任者であった。原告は,必要な会議の企画,設定,業務委託の交渉,関係者との折衝等のほか残業・休日出勤及びその届け出,被告一橋出版の建物の鍵の管理等も正社員と同様に行い,被告一橋出版の職員である旨記載された名刺び身分証明書の交付も受けていた。 (イ)被告一橋出版が被告マイスタッフに原告の派遣料名目で支払った額は原告の時給に5パーセント上積みしたものにすぎず,格段に低率であって,原告の賃金は実質的に被告一橋出版が決定した。 エなお,被告マイスタッフは,原告と被告一橋出版との間に労働契約が成立し,本件労働契約が形式にすぎず,無効であるとしても,自らの名で原告を募集して雇用している以上,信義則上,雇用主 版が決定した。 エなお,被告マイスタッフは,原告と被告一橋出版との間に労働契約が成立し,本件労働契約が形式にすぎず,無効であるとしても,自らの名で原告を募集して雇用している以上,信義則上,雇用主としての責任を負う。 (被告一橋出版の主張)被告一橋出版は,被告マイスタッフとの間の労働者派遣契約に基づき被告マイスタッフから派遣された原告を雇用先として使用しており,雇用主として使用し,あるいは賃金を支給した事実はなく,原告との間に雇用関係はない。 (被告マイスタッフの主張)被告マイスタッフが原告の労働契約上の雇用主であったことは認めるが,その余の原告の主張は否認ないし争う。 (2)争点(2(原告と被告らとの間の労働契約終了の有効性)について)(被告マイスタッフの主張)ア雇用期間満了による終了被告マイスタッフは,平成14年11月11日,原告を派遣社員として,雇用期間を同月21日から平成15年5月20日までの6か月,派遣先を被告一橋出版等とする条件で雇用した。 したがって,本件労働契約は,同日,雇用期間満了により終了した。 イ合意による終了cは,雇用期間満了前の平成15年4月16日,原告に対し,今後労働契約を締結しない旨通告したところ,原告は,同年5月初め,cに対し「私は,派遣,社員であるからやむを得ない」旨述べた。 。 したがって,本件労働契約は,同月20日,被告マイスタッフと原告との間の合意により終了した。 ウ派遣先の業務の不存在による終了被告マイスタッフは,平成15年3月末,被告一橋出版から,今後本件編集業- 5 -務等を被告一橋出版の正社員のみで行い,派遣要請を打ち切る方針である旨通告。 ,,,されたそのため被告マイスタッフは雇用期間満了前である同年4月16日原告に対し,今後労働契約を締結しない旨通告した。 ,, 出版の正社員のみで行い,派遣要請を打ち切る方針である旨通告。 ,,,されたそのため被告マイスタッフは雇用期間満了前である同年4月16日原告に対し,今後労働契約を締結しない旨通告した。 ,,,。 したがって本件労働契約は同年5月20日雇用期間満了により終了したエなお,原告には,本件労働契約が継続的なものであると解する合理性もなく,そもそもその旨の期待もなかった。これは,本件労働契約が雇用期間を6か月とするものであったことのほか原告が派遣社員であるから雇用終了もやむを得ない旨発言したことに照らしても明らかである。 (被告一橋出版の主張)被告一橋出版は,原告と労働契約関係になく,被告マイスタッフと別会社であるから,被告マイスタッフと原告との間の雇い止めの問題には無関係である。 (原告の主張)ア原告と被告らとの間の労働契約は,以下のとおり,実質的に期間の定めのない契約である。 (ア)募集広告に期間は「長期」と記載されていた。 (イ)採用試験の面接では,正社員に仕事を引き継ぐ形で1年間やってもらうことになる旨の話があり,6か月との雇用期間は形式にすぎなかった。 (ウ)原告の募集・採用手続は,被告一橋出版の正社員に対する以上に慎重な手続であった。 (エ)原告が採用時に派遣社員就業通知書とともに渡された補足説明文書には,「取り敢えず6ヶ月としましたが,特別の事情のない限り,当初の6ヶ月で終了ということはありません」と記載されていた。 。 (オ)原告は,就労後約1年を経た時点で,f編集部長に対し,引き続き仕事を継続したい旨申し出たところ,f編集部長は「そんなこと言わずにずっといてください」と言った。 (カ)書籍の編集業務は,性格上継続性を有し,まして本件編集業務等は長期間を要するから,被告一橋出版が原告を本件編集業務等に配置する f編集部長は「そんなこと言わずにずっといてください」と言った。 (カ)書籍の編集業務は,性格上継続性を有し,まして本件編集業務等は長期間を要するから,被告一橋出版が原告を本件編集業務等に配置することは雇用期間を1年に限定する意思がなかったことの証明である。 (キ)本件労働契約の更新手続は形式的であり,雇用期間満了前に原告へ更新についての問い合わせがなく,新たな雇用期間の始期が経過した後に派遣社員就業通知書が届けられたこともあった。 (ク)被告一橋出版は,景気の変動に関係なく派遣社員を就労させ,正社員と同様に有給休暇等の取得を認めたり,正社員に登用することもあった。 イcによる今後労働契約を締結しない旨の通告は実質的に解雇であるところ,被告らは,原告に対し,解雇の具体的理由を全く明らかにしておらず,原告を解雇する合理的理由はないから,解雇は無効である。 (3)争点(3(被告らの原告に対する未払賃金額)について)(原告の主張),,,原告の賃金は時給2500円支払時期は毎月15日締め当月25日払いであり本件解雇前3か月の平均賃金は月額35万1093円である。 - 6 -本件解雇後の平成15年6月分(本件解雇日までの8万01781円は支払済み)から同年10月分までの未払賃金は金167万4684円である。 (被告らの主張)原告の主張は否認ないし争う。 第3当裁判所の判断 争点(1(原告と被告一橋出版との間の黙示の労働契約の成否)について)労働契約は,労働者が使用者の指揮監督を受けて労務に服する義務を負い,その対価として賃金を受ける権利を取得することを内容とする契約であり,他の契約と同様。 ,,に契約を締結しようとする者の意思の合致によって成立するもっとも労働契約も黙示の意思の合致によって成立し得るのであって,本件のよう 権利を取得することを内容とする契約であり,他の契約と同様。 ,,に契約を締結しようとする者の意思の合致によって成立するもっとも労働契約も黙示の意思の合致によって成立し得るのであって,本件のように労働者が派遣元との間の派遣労働契約に基づき派遣元から派遣先へ派遣された場合でも,派遣元が形式的存在にすぎず,派遣労働者の労務管理を行っていない反面,派遣先が実質的に派遣労働者の採用,賃金額その他の就業条件を決定し,配置,懲戒等を行い,派遣労働者の業務内容・期間が労働者派遣法で定める範囲を超え,派遣先の正社員と区別し難い状況となっており,派遣先が,派遣労働者に対し,労務給付請求権を有し,賃金を支払っていると認められる事情があるときには,上記派遣労働契約は名目的なものにすぎず,派遣労働者と派遣先との間に黙示の労働契約が成立したと認める余地がある。 そこで,本件労働契約とは別個に原告と被告一橋出版との間で黙示の労働契約が成立したと認められるか否かについて,以下検討する。 (1)前提事実,後掲証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア被告らは,それぞれ別個の会社として営業を行っているが,被告らの創業者であり,筆頭個人株主であるdは,被告マイスタッフが労働者派遣を主目的とした,,昭和61年11月から平成12年7月25日まで被告らの代表取締役を兼任しそれ以降も被告マイスタッフの代表取締役である。cは,昭和61年11月から平成7年10月30日まで,被告らの取締役を兼任し,それ以降も被告マイスタッフ取締役であるとともに被告一橋出版取締役経験者の役職である参与に就任して,各種編集業務に従事しているほか,eも,平成元年から平成13年10月まで,被告らの取締役を兼任し,その間の平成9年10月から平成13年10月まで,被告一橋出版代表取締役であ 職である参与に就任して,各種編集業務に従事しているほか,eも,平成元年から平成13年10月まで,被告らの取締役を兼任し,その間の平成9年10月から平成13年10月まで,被告一橋出版代表取締役であった(甲1の1~9,2の1~10,証人g。 ・2~7頁)イ被告マイスタッフは,出版関連業界へ労働者を派遣しており,被告一橋出版以外に常時約100名あるいは140名程度派遣している。 被告一橋出版編集部の体制は,平成13年5月当時(原告採用時,担当役員)1名,管理職1名,正社員4名であり,平成15年5月当時(本件労働契約満了時,担当役員1名,管理職2名,正社員2名であった。平成13年5月当時の)被告マイスタッフの被告一橋出版に対する編集技能者の派遣者数は7名程度事,(務系の派遣社員を含めて二五,六名程度,平成15年5月当時(本件労働契約)満了の時期)の派遣数は6名であり,出版業界派遣総数の5パーセント弱であって(事務系の派遣社員は一八,九名,被告一橋出版に対する売上高の比率(業)務受託分を含む)は,平成13年5月当時,一六,七パーセント,平成15年。 - 7 -5月当時,約15パーセントであった。ただし,被告一橋出版に他社からの派遣。(,,,,,社員は1名もなかった甲1の12の1 乙B3証人a・9~1018~19頁)ウ被告マイスタッフは,平成13年4月初旬ころ,被告一橋出版から,本件編集業務等を担当する派遣社員1名の派遣依頼を受け,派遣希望登録者に適当な人材がなかったことから,同月15日,朝日新聞に派遣社員の募集広告を掲載した。 同広告には「急募!!派遣社員「資格大卒45歳位迄の編集経験者「業務,」」△家庭科教育書編集「時給2200円以上(能力経験考慮す)交通費不支△△」給社保完 募集広告を掲載した。 同広告には「急募!!派遣社員「資格大卒45歳位迄の編集経験者「業務,」」△家庭科教育書編集「時給2200円以上(能力経験考慮す)交通費不支△△」給社保完備「勤務9:00~17:00土・日・祝休「期間長期」」」△△等と記載されていた。 他方,被告マイスタッフa部長は,そのころ,原告のほか一,二名に対し,応募してはどうかと声をかけた。 原告は,これを受けて被告マイスタッフに応募書類を提出したところ,書類審査を通り,試験日の通知を受けた。 原告は,同月25日,被告マイスタッフ会議室において,他の受験者18名とともに適性試験及びa部長の面接を受け,原告を含む6名が同試験を通過した。 (甲4,19,乙B3,証人a・2頁,原告本人・1~3頁)エ原告は,同年5月初旬,被告マイスタッフから第一次面接の通知を受けた。同面接試験は,同月8日,被告一橋出版本社会議室において,c(被告マイスタッフ取締役兼被告一橋出版参与)及びa部長によって,原告を含む受験者6名に対し,行われた(甲5,19,乙B3,原告本人・3~5頁。なお,これらの証。 拠及び弁論の全趣旨に照らし,同面接を被告マイスタッフで行ったとする乙B3・3頁,証人b・5~6,14頁,証人a・3,11~12,23頁は採用できない。 。)オ原告は,同月9日,被告マイスタッフから第二次面接の通知を受けた。同通知には「一橋出版家庭科教科書編集二次面接ご出席のお願い」として「一橋出,版本社で最終面接を行います「今回は会長,社長ともご面談いただきますが,。」会長が高齢で,この日しか出社できませんので,諸事お繰り合わせの上,ご出席いただきますよう,重ねてお願い申し上げます」と記載されていた「会長」。 。 とは被告一橋出版会長であるdを「社長」とは 。」会長が高齢で,この日しか出社できませんので,諸事お繰り合わせの上,ご出席いただきますよう,重ねてお願い申し上げます」と記載されていた「会長」。 。 とは被告一橋出版会長であるdを「社長」とは被告一橋出版代表取締役社長で,あるeをさす。 第二次面接は,同月14日午後2時から,被告一橋出版本社会議室において,e(被告マイスタッフ取締役兼被告一橋出版代表取締役)及びcにより,原告を含む受験者3名に対し,行われた。その場には,f編集部長も出席したが,dは体調不良により欠席した。原告は,面接において,これまでの仕事,家族,大学での専攻と今回の仕事との関係,残業に対する家族の理解の有無などを質問された。当日の会場案内等は被告一橋出版の社長秘書が行った(甲5,19,乙B。 3,証人a・4,11~13頁,原告本人・5~8頁)カ原告は,同月15日,被告マイスタッフから採用通知を受け,同月16日付け被告マイスタッフ代表取締役d作成名義の派遣社員就業通知書及びa部長作成名- 8 -義の補足説明文書を渡された。 派遣社員就業通知書には,原告を「当社派遣社員として下記の条件で雇用します「1.派遣先一橋出版株式会社「2.派遣先編集部「3.雇用期間。」」」平成13年5月21日から同年11月20日まで(6ヶ月間「5.派遣先)」責任者参与c様「6.派遣先業務命令者編集部長f様「7.派遣元責任」」者業務部長a「8.就業条件「就業時間9時00分~17時00分(実」」働7時間00分「時間外勤務派遣社員の同意のもとに法定範囲内で命じる)」ことがある「休日勤務同上「9.賃金時間給2500円「12.①。」」」派遣社員は定期締切日または雇用期間終了後,速やかに派遣先承認済みの勤務記録票を当社に提出すること。②欠勤する場 」ことがある「休日勤務同上「9.賃金時間給2500円「12.①。」」」派遣社員は定期締切日または雇用期間終了後,速やかに派遣先承認済みの勤務記録票を当社に提出すること。②欠勤する場合は事前に派遣先および当社に届け出ること。無断欠勤は厳禁する「14.特定事項なし」等と記載されていた。 。」また,補足説明文書には「この度は当社派遣社員として,一橋出版(株)へ,の就業をご承諾いただき,まことに有難うございました「1.就業初日は,。」同社編集部(本館2階)f部長をお訪ねください「2.雇用期限取敢えず。」6ヶ月間としますが,特別の事情がない限り,当初の6ヶ月で終了ということはありません。終了の場合は極力,6ヶ月前に通知するようにします「3.出。」勤時間はタイムカードの打刻をお願いします「5.残業について:①残業は。」原則的に事前届け出制です。所定書式で部長に届け出,承諾を得てください。やむを得ない場合は事後でも可。②原則として,日常の残務処理的な10分,20分などの延長は残業扱いとはなりません「6.社会保険加入の場合は,年金。」,。」手帳過去加入されていた雇用保険の保険者証または離職票をご提出ください等と記載されていた(甲6の1,7,19)。 キ原告は,被告一橋出版本社2階編集部において,f編集部長,b(平成13年10月から編集部長代理として異動,他の正社員らとともに就労し,本件編集)業務等を行い,編集会議の設定,編集業務関連以外の会議の出席のほか被告一橋出版の建物の鍵の管理等も正社員とほぼ同様にしていた(甲19,乙A3,証人・g22~23頁,原告本人・10頁。 )本件編集業務等は,平成13年5月15日に退職した正社員h(以下「h」,という)が担当していた高校家庭科教科書の編集等を引き継ぐ いた(甲19,乙A3,証人・g22~23頁,原告本人・10頁。 )本件編集業務等は,平成13年5月15日に退職した正社員h(以下「h」,という)が担当していた高校家庭科教科書の編集等を引き継ぐものであって,。 hは,文部科学省に対し,同省が公表する指導要領をもとに作成して完成させた(),,申請図書表紙デザインがなされていない白表紙を提出していたため原告はそれ以後の同省の検定意見通知に基づく2次にわたる修正(各修正期間は35日以内であり,2次修正期間には同省の検定担当調査官と幾度か打ち合わせを行う,検定教科書として合格通知を受けた後40日以内に見本本(表紙デザイ。)ンがついたもの)を同省に提出し,さらに訂正申請を行って,その承認を得る業務に従事した(甲9,19,乙A3,9,証人b・1~2頁,原告本人・8~9頁。 )原告は,徹夜も含む残業や休日出勤をしつつ,上記申請図書について,平成13年10月12日から同年11月16日の35日間の第1次修正,同年11月17日から同年12月21日の35日間の第2次修正を経て,平成14年3月10- 9 -日,検定に合格させ,修正終了時点から準備していた訂正申請(2色刷りから4色刷りへの変更及び資料更新等の訂正申請)を行い,同年4月に見本本を完成させた。 このほか,原告は,関連の指導書,学習ノート,指導ノート等の編集,指導書作成の編集会議,引用転載許可に伴う著作権者との折衝等も行った(甲9,1。 9,乙A5~8,原告本人・9,16~17,22頁)被告一橋出版は,原告に対し「一橋出版株式会社編集部i」と印刷した,名刺及び「下記の者は,当社(店・校)の職員であることを証明する「氏名。」i「発行者社(店・校)名一橋出版株式会社」等と記載した同年7月4」日付け身分証明書を交付した i」と印刷した,名刺及び「下記の者は,当社(店・校)の職員であることを証明する「氏名。」i「発行者社(店・校)名一橋出版株式会社」等と記載した同年7月4」日付け身分証明書を交付した。原告は,これら名刺及び身分証明書を使用して,本件編集業務等に当たった(甲15の1,2,19,原告本人・12頁)。 ク原告に対する業務の指示は,主に,f編集部長からなされ,適宜,bらからもなされた。 ,,,,原告は出退勤時間を被告一橋出版のタイムカードに打刻し超過勤務休暇欠勤等を届け出るに当たっては,被告一橋出版の所定用紙を使用し,f編集部長,,あるいはbの認印を受けてそれを被告マイスタッフにファックス送信してから各届を被告一橋出版に提出していた。また,原告は,毎月15日,就業時間を記入した勤務記録票を被告マイスタッフにファックス送信し,その後,勤務記録票にf編集部長の認印を受けて,f編集部長に提出していた。 原告は,平成13年7月ころ,f編集部長から神戸出張を指示された際,a部長からf編集部長の指示を仰ぐように言われたため,以後,a部長の指示を仰ぐことはなく,a部長からも,被告一橋出版での勤務当初,仕事はどうかと問い合わせがあったものの,その後,被告一橋出版での業務に関する指示,問い合わせはなかったが,深夜残業が頻繁になったころ平成13年秋以降,被告マイスタッフから残業が多いことに関して確認の電話があった(甲19,乙A3,証人a。 ・17頁,原告本人・11,14,36~37頁)ケ被告マイスタッフは,通常,派遣労働者への賃金に20から30パーセント加算した派遣料を設定していたが,被告一橋出版からは,原告の派遣料として時間単価2625円(本件労働契約における賃金の時間単価2500円+その5パーセント相当額)にその消費税5パーセン 0パーセント加算した派遣料を設定していたが,被告一橋出版からは,原告の派遣料として時間単価2625円(本件労働契約における賃金の時間単価2500円+その5パーセント相当額)にその消費税5パーセントを加えた額の支払を受けていた(証人a・15~16,18頁。なお,証人b・9頁は,上記派遣料は,原告の賃金の時間単価2500円にその5パーセント相当額を上乗せした額であるとするが,証人b・11~14頁によれば,派遣料を十分に把握していないことがうかがわれ,この点に関する証人bの証言を直ちに採用することはできない。 。)被告一橋出版の一橋出版労働組合(以下「組合」という)は,被告一橋出,。 版に対し,派遣パート労働者についても正社員並みの賃金増額や一時金支給を要求していたところ,平成14年4月25日の春闘の際,当時の被告一橋出版の労務担当であったbは,組合に対し,時間給のパート労働者について,時給が20円(率は2パーセント)アップされる旨回答し,そのとおり実施された(証人g・10~11頁,証人b・11~13頁。 )- 10 -なお,被告マイスタッフは,原告に対し,賃金を支払い,健康保険,厚生年金保険,雇用保険についても原告を被告マイスタッフの派遣社員として加入し,所得税,社会保険等の徴収手続を行っていた(甲10の1~3,19,原告本人・36~37頁)が,原告に対して支払った平成13年6月分(原告雇用直後)から平成15年5月分(本件労働契約の期間満了時)までの賃金はいずれも時給2500円で計算されており,増額されていない(甲6の1~3,10の1~3,11。 )(2)原告は,上記の被告らの筆頭個人株主及び役員の共通性並びに被告マイスタッフの被告一橋出版に対する派遣状況等から,出版業務において被告らが一体であって,原告の募集・採用手続,原 ,11。 )(2)原告は,上記の被告らの筆頭個人株主及び役員の共通性並びに被告マイスタッフの被告一橋出版に対する派遣状況等から,出版業務において被告らが一体であって,原告の募集・採用手続,原告の就労状況及び原告の派遣料と原告の賃金の関係等に鑑み,被告一橋出版が原告の実質的使用者であり,原告と被告一橋出版との間に黙示の労働契約が成立している旨主張する。 しかしながら,以下に述べるところから,原告の主張は採用できない。 ア前提事実(1)及び前記(1)アイによれば,被告一橋出版の被告マイスタッフに対する出資比率,被告らの筆頭株主及び役員等の共通性から,被告らが密接な関係にあるといえるが,被告マイスタッフは,被告一橋出版と別個独立に存在して営業活動をしており,派遣先も被告一橋出版に限定されていないこと,被告一橋出版への派遣状況等に鑑みて,形式的存在とはいえず,出版業務において被告らが一体であるとは認められない。 イ(ア)原告の募集手続についてみるに,平成13年4月15日の新聞の募集広告には,被告マイスタッフが応募先とされており,派遣先が被告一橋出版である旨の記載はなく(甲4,被告マイスタッフa部長作成名義の平成)13年5月9日付け「ご連絡票」に「一橋出版,家庭科教科書編集(派遣就業)にご応募戴きました」との記載がある(甲5)ところ,乙B3,証人a・2~3頁及び弁論の全趣旨によれば,被告マイスタッフは,特定の派遣先から特定業務に対する派遣要請があった場合,これに適する人材を求めて募集し,採用試験を実施することが多く,本件においても,被告一橋出版から家庭科教材編集という特定業務に対する派遣要請があり,派遣希望登録者に適当な人材がなかったため,新たに募集したことが認められる。上記募集広告に,業務が家庭科教育書編集とされ,時給額・労働時間 版から家庭科教材編集という特定業務に対する派遣要請があり,派遣希望登録者に適当な人材がなかったため,新たに募集したことが認められる。上記募集広告に,業務が家庭科教育書編集とされ,時給額・労働時間・休日等主な労働条件が記載されていることをもって,直ちに被告マイスタッフが被告一橋出版の代わりに募集広告を出したのと変わらないと認めることはできず,他に一橋出版が原告の募集手続の主体であることを認めるに足りる証拠はない。 (イ)原告の採用手続についてみるに,本件のように派遣先及び派遣元の役員あるいは役員と役員に準ずる参与等という重要な立場以下一括して役(,「員等」という)を兼任している場合,形式的に派遣元の役員の立場で面。 接したといい得ても,派遣先の役員等の立場にあることにかわりなく,実質的に派遣先が派遣を受ける者を決定したとの疑念が生じ,あるいはそのように評価される余地があることは否めない。そのような疑念や評価を避- 11 -けるためには,派遣先の役員等を兼ねる派遣元の役員等が採用試験に関わらないことが望ましいといえるが,甲1の8及び9,2の9及び10並びに弁論の全趣旨によれば,原告の面接当時,被告らの役員等を兼任していない者はいなかったから,被告らの役員等を兼任しているc及びeが,その派遣元である被告マイスタッフの役員という立場で,面接を行ったとしても,やむを得なかったというほかなく,かかる事実をもって,直ちに被告一橋出版が実質的に原告の採用試験を行ったと認めることはできない。 また,被告マイスタッフは,原告の面接を派遣先である被告一橋出版本社会議室で行い,その際,被告一橋出版社長秘書が会場案内等をしたが,乙B3,証人b・7~8頁,証人a・4,22頁及び弁論の全趣旨によれば,普段,eは,被告一橋出版取締役として,cは,その参与 出版本社会議室で行い,その際,被告一橋出版社長秘書が会場案内等をしたが,乙B3,証人b・7~8頁,証人a・4,22頁及び弁論の全趣旨によれば,普段,eは,被告一橋出版取締役として,cは,その参与として,被告一橋出版において執務していたことから,その利便性を考慮して同会議室を無償で借り受けたことが認められる。この面接場所や会場案内等も,実質的に派遣先が派遣を受ける者を決定したとの疑念や評価を避けるという観点から相当であったとはいい難いが,上述したところに照らせば,このことから実質的に被告一橋出版が主体になって原告の採用試験を行ったことを推認することはできない。 なお,被告一橋出版取締役でもあるf編集部長が原告の面接に同席し,甲18及び原告本人・7頁によれば,c及びeと同様に,原告に対し,質,。 ,問をしたというがその具体的な質問内容や回数等は不明である乙B3証人b・2~3頁及び証人a・4頁によれば,被告マイスタッフが業務内容の説明のためにオブザーバーとして同席を要請したとするところ,上記と同様の疑念や評価を避けるという観点から相当であったとはいい難いが,f編集部長の同席をもって,直ちに被告一橋出版が実質的に原告の採用試験を行ったと推認することはできない。 (ウ)以上に加えて,被告マイスタッフa部長作成名義の平成13年5月16日付け補足説明文書には「この度は当社派遣社員として,一橋出版(株)への就業をご承諾いただき」との記載が,被告マイスタッフ代表取締役d作成名義の各派遣社員就業通知書には「派遣先一橋出版株式会社」等との記載がそれぞれあること(甲6の1~3,7,11)に照らせば,被告マイスタッフが,原告の募集,採用手続を行い,原告の採用を決定したと認められる。 かかる認定は,被告マイスタッフの第二次面接の通知に「今回は会長, あること(甲6の1~3,7,11)に照らせば,被告マイスタッフが,原告の募集,採用手続を行い,原告の採用を決定したと認められる。 かかる認定は,被告マイスタッフの第二次面接の通知に「今回は会長,社長ともご面談いただきます」と記載されており,通常「会長」とは被,告一橋出版会長dを「社長」とは被告一橋出版代表取締役社長eをさす,こと,各派遣社員就業通知書の「派遣先責任者」欄にc参与の名前が記載されていたこと(甲6の1~3,7,11)を考慮し,本件全証拠を検討しても左右されず,他に被告一橋出版が実質的に原告を募集・面接して,その採用を決定した事実を認めることはできない。 (エ)したがって,原告の募集・採用手続の主体が被告一橋出版であると認め- 12 -ることはできない。 ウ(ア)原告の就労状況についてみるに,原告に対する業務指示が派遣先である被告一橋出版のf編集部長らからなされたこと自体は,労働者派遣法の予定するところであり(同法2条1号,直ちに被告一橋出版が原告の実質)的使用者であることを基礎付け得るものではない。 (イ)原告は,被告一橋出版に対し,超過勤務,休暇,欠勤等の届け出及び勤務記録票を提出していたが,被告マイスタッフに対しても,これらをファックス送信していたのであって,前記(1)カのとおり,この取扱いは派遣社員就業通知書及び補足説明文書に記載され,本件労働契約の内容となっており,被告マイスタッフは,これにより原告の具体的な勤務状況を把握して,労務管理をしていたと認められる。 もっとも,甲19,証人a・6~7,17頁,原告・10~11頁及び弁論の全趣旨によれば,原告は,従前,残業等就業通知書に書かれていない事項について,逐一a部長等の指示を仰いでおり,本件においても,平成13年7月ころ,f編集部長から命じられた神戸出 0~11頁及び弁論の全趣旨によれば,原告は,従前,残業等就業通知書に書かれていない事項について,逐一a部長等の指示を仰いでおり,本件においても,平成13年7月ころ,f編集部長から命じられた神戸出張について,a部長に確認したところ,f編集部長の指示に従うように言われ,それは問い合わせても仕方がないというニュアンスのようであって,以後,a部長に指示を仰がなかったこと,a部長からも残業や出張等の労務実態について問い合わせがなかったことが認められ,被告マイスタッフが十分に適切な労務管理を行っていたか疑問がないではない。 しかし,甲6の2,3,11,19及び弁論の全趣旨によれば,深夜残業が頻繁になった平成13年秋以降,被告マイスタッフから残業が多いことについて確認の電話があり,そのころである同年11月13日付け以降の各派遣社員就業通知書(他は平成14年5月13日付け及び同年11月11日付け)には「14.特定事項時間外勤務及び休日勤務について。 ①原則として事前に業務命令者またはその代理人に文書で届け出て,承認を得ること」との記載が付加されたことが,甲12,13,19,乙B。 3,証人a・6~7頁及び弁論の全趣旨によれば,被告マイスタッフは,従前原告を派遣した場合と比べ,原告の就労状況の確認を細かくしなかったが,従前の原告の派遣は,短期が多く,一定期間に一定量の仕事をこなすことが厳格に義務付けられ,派遣先はわずかな遅刻,早退,欠勤にも神経質になっており,厳格に管理する必要があった反面,本件の場合は,期間が6か月であり,1日くらいの欠勤や遅刻があっても直ちに厳しい状況にならないことから,管理が甘くなったのであって,ただ,被告一橋出版,,,から特に残業について厳格に管理するよう要請があったため遅刻早退残業などについて被告一橋出版の用紙を提 直ちに厳しい状況にならないことから,管理が甘くなったのであって,ただ,被告一橋出版,,,から特に残業について厳格に管理するよう要請があったため遅刻早退残業などについて被告一橋出版の用紙を提出させていたことがそれぞれ認められる。 ,(),,,また前記 クのとおり被告一橋出版は原告に対する業務指示労働時間等の管理をしていたことが認められるが,原告を本件労働契約の内容と異なる別部署へ配置転換したり,あるいは懲戒・解雇等をする権限- 13 -を持っていたと認めるに足りる証拠はない。 (ウ)これらを総合すれば,前記のとおり,被告マイスタッフの原告に対する労務管理が十分に適切であったとはいい難いとしても,原告に対する業務指示,労務管理の観点から,直ちに被告一橋出版が原告の実質的使用者であることを基礎付け得るわけではない。 なお,本件編集業務等の中心である書籍等の制作編集は平成11年の労働者派遣法の改正以前から労働者派遣事業の適用対象業務として認められており(労働者派遣法施行令4条19号,派遣社員の担当業務が従前正)社員が担当していた派遣先の重要な業務であること,あるいは派遣先の正社員と同様の就労状況であることをもって,直ちに被告一橋出版が原告の実質的使用者である根拠とすることはできない。また,被告一橋出版が,原告に対し,名刺及び身分証明書を交付したことは,証人b・17~18頁,証人a・7~8頁及び弁論の全趣旨によれば,原告が教科書検定に必要な文部科学省への出入りなど対外的業務を遂行する上での便宜にすぎないと認められ,原告を正社員として取り扱う趣旨であったとはいえない。 エ原告の賃金についてみるに,前記(1)ケのとおり,被告マイスタッフが,原告に対し,賃金を支払い,所得税,社会保険等の徴収手続を行っていることが認 告を正社員として取り扱う趣旨であったとはいえない。 エ原告の賃金についてみるに,前記(1)ケのとおり,被告マイスタッフが,原告に対し,賃金を支払い,所得税,社会保険等の徴収手続を行っていることが認められる一方,平成14年春闘の際,当時の被告一橋出版の労務担当bが,組合との間の団体交渉において,派遣社員を含む時給労働者に対する時給が増額される旨回答したことが認められ,かかる事実自体は,被告一橋出版が原告の賃金を決定したとの主張に一応沿うといえる。 しかし,乙A9及び証人b・4~5頁によれば,bは,被告一橋出版への派遣社員の賃金を知らないのはおかしいという組合の指摘があったため,被告マイスタッフに確認の上回答したにすぎないというのであり,組合の2002年(平成14年)5月7日付け組合ニュースに,上記団体交渉において,被告「一橋出版は派遣について基本的に「マイスタッフと派遣の方々の関係であるため分からない」という対応」であったとしていること(甲17の1)からすれば,bの上記回答は不自然不合理とはいえない。また,証人a・5,14~15,18頁によれば,被告マイスタッフは,他の派遣社員とのバランス,業務内容に鑑みて原告の時給を2500円と決定したのであって,被告一橋出版から原告の賃金額について指示はなく,被告マイスタッフが通常20から30パーセントである利益分の上乗せを被告一橋出版について5パーセントとした理由は,被告一橋出版から財務的に苦しいという事情により派遣料を抑えてほしい旨の要請があったため,長期的視野に立ってそれを了承したというのであるが,前記アのとおり,被告らが密接な関係にあることからすれば,証人aの上記証言も不自然不合理とはいえず,かかる事情の存在を否定し得る証拠も存在しない。 これに対し,被告一橋出版が原告の賃金額を決定し,ある 記アのとおり,被告らが密接な関係にあることからすれば,証人aの上記証言も不自然不合理とはいえず,かかる事情の存在を否定し得る証拠も存在しない。 これに対し,被告一橋出版が原告の賃金額を決定し,あるいは原告に対し,実質的に賃金を支払っていることを認めるに足りる証拠はなく,被告マイスタッフが被告一橋出版の賃金支払代行機関であると認めることはできない。 オ上述したところからすれば,前記ウ(イ)のとおり,被告マイスタッフによる- 14 -,,,原告の労務管理に問題があったことは否めないが他方本件全証拠によっても被告らが出版業務について一体であり,被告一橋出版が実質的に原告の募集・採用を行い,賃金,労働時間等の労働条件を決定して原告に賃金を支払った事実を認めることはできない。 なお,乙B1,原告本人及び弁論の全趣旨によれば,原告は,平成15年4月16日にcから労働契約を新たに締結しない旨通告される前に,被告マイスタッフからの派遣社員ではなく,実質的に被告一橋出版と直接雇用関係があるという意識あるいは認識でいたとは認め難い。 (3)したがって,本件において,原告と被告一橋出版との間に黙示の労働契約が成立したと認めることはできない。 争点(2(本件労働契約終了の有効性)について)一般に,有期の労働契約が単に反復継続して更新されたとしても,特段の事情のない限り,当該契約が期間の定めのない契約に転化することは認められないが,有期の労働契約が当然更新を重ねるなどしてあたかも期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態で存在している場合,あるいは期間満了後も使用者が雇用を継続すべきものと期待することに合理性が認められる場合,当該労働契約の更新拒絶(いわゆる雇い止め)をするに当たっては,解雇の法理を類推すべきであり,当該労働契約が終了となって 満了後も使用者が雇用を継続すべきものと期待することに合理性が認められる場合,当該労働契約の更新拒絶(いわゆる雇い止め)をするに当たっては,解雇の法理を類推すべきであり,当該労働契約が終了となってもやむを得ない合理的理由がない限り,更新拒絶は許されないというべきである。 原告は,本件労働契約とは別個に原告と被告一橋出版との間で黙示の労働契約が成立したことを前提に,被告らとの間の労働契約は期間の定めのない契約であり,更新拒絶は実質的に解雇であると主張するが,後者の黙示の労働契約の成立が認められない以上,本件労働契約について,これが終了となってもやむを得ない合理的理由があるか否かについて,以下検討する。 (1)前提事実,後掲証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 アcは,平成13年5月14日の第二次面接の際,原告に対し,今後1年間に原,,告と一緒に担当する正社員を1名採用し仕事を引き継ぐ予定がある旨告げたが被告一橋出版は,原告採用後,新聞広告によって1回募集したものの,その後,募集も正社員の採用もしなかった(甲18,19,証人g・14~15頁,原告本人・8,16~17頁。 )イ原告が本件労働契約締結当初に派遣社員就業通知書とともに渡された補足説明文書(甲7)には「雇用期限取敢えず6ヶ月間としますが,特別の事情がな,い限り,当初の6ヶ月で終了ということはありません」と記載されていた。本。 件労働契約は,平成13年5月16日付け,同年11月13日付け,平成14年5月13日付け及び同年11月11日付け各派遣社員就業通知書(雇用期間はいずれも各日付の月の21日から6か月間)をもって更新され,a部長が,上記各作成日付ころ,被告一橋出版編集部まで赴き,原告に対し,上記各派遣社員就業通知書を交付したが,その交付は,雇用期間の 期間はいずれも各日付の月の21日から6か月間)をもって更新され,a部長が,上記各作成日付ころ,被告一橋出版編集部まで赴き,原告に対し,上記各派遣社員就業通知書を交付したが,その交付は,雇用期間の始期を過ぎたこともあった(甲6の1~3,甲11,証人a・21,23頁,原告本人・14~15,34~35頁。 )- 15 -ウ被告一橋出版は,被告マイスタッフとの間の労働者派遣契約の契約期間及び本件労働契約の雇用期間満了前である平成15年3月下旬ころ,被告マイスタッフに対し,本件編集業務等はほぼ収束状態にあり,若干残るとしても,正社員で片付けられると申し入れ,同労働者派遣契約の終了を通告した(乙B3,証人b・3,18頁,証人a・8~9頁。 )被告らは,同年5月20日の期間満了をもって,同労働者派遣契約を終了することとし,被告マイスタッフは,派遣社員である原告の雇用を継続できないこと,,,,から本件労働契約の雇用期間満了前である同年4月16日cが原告に対し今後労働契約を締結しない旨通告した。 (2)そもそも平成11年改正の労働者派遣法は書籍等の制作編集業務について派遣期間を1年に限定していなかったところ,上記(1)アイによれば,本件労働契約締結の当初から本件編集業務は6か月では終わらない見通しであったことが認められ,この事実は原告の期間の定めのない契約であるとの原告の主張に沿うものであるといえる。 しかし,派遣社員就業通知書には,契約の更新に関する記載はない(甲6の1~3,11。また,上記(1)イのとおり,被告マイスタッフは,派遣社員就業通)知書記載の雇用期間が終了する都度,新たに雇用期間を6か月とする派遣社員就業通知書を作成,交付していたが,原告本人・19~20頁及び弁論の全趣旨によれば,原告が,これに対し,契約の相手方,雇用 )知書記載の雇用期間が終了する都度,新たに雇用期間を6か月とする派遣社員就業通知書を作成,交付していたが,原告本人・19~20頁及び弁論の全趣旨によれば,原告が,これに対し,契約の相手方,雇用期間等に異議を述べたり,疑問を呈しなかったこと,証人a・5~6頁及び弁論の全趣旨によれば,業務が継続する場合,雇用期間の満了した派遣社員を同じ派遣先に派遣することはしばしばあるところ,契約期間満了の都度,被告一橋出版から派遣依頼があり,原告を代えてほしい旨の要請がなかったので引き続き本件労働契約を締結したことがそれぞれ認められる。これに対し,本件労働契約の内容として,当然に更新することになっていたことを認めるに足りる証拠はない。 また,甲9,19,乙A3,証人g・25~26頁,証人b・1~2頁及び弁論の全趣旨によれば,教科書検定スケジュールは,4年を1サイクルとする編集,検定,採択・供給の過程に分けることができるところ,本件編集業務等は,平成11年度から編集が始まり,平成12年度半ばから平成13年度末までの検定,平成14年度の採択・供給をもってサイクルが終了し,平成15年度から同様のスケジュールによる新たなサイクルが始まる予定であって,原告は,前任者であるhが上記サイクルの3年目に入った平成13年5月15日に退職したため,同月21日から被告一橋出版に派遣され,上記サイクルの終了時点で本件労働契約が期間満了により終了し,本件編集業務等によって完成した教科書は平成15年4月から学校現場において使用されたことが認められる。かかる事実からすれば,甲9,19,証人g・17,25~25頁及び弁論の全趣旨により,新たなサイクルによる次の教科書検定に向けた新しい教科書の企画・編集作業が始まった場合,それと平行して既刊の教科書(前のサイクルの教科書)の訂正申請 人g・17,25~25頁及び弁論の全趣旨により,新たなサイクルによる次の教科書検定に向けた新しい教科書の企画・編集作業が始まった場合,それと平行して既刊の教科書(前のサイクルの教科書)の訂正申請,読者照会への回答等従前からの業務があることが認められ,当初の予定に反して原告が引き継ぐべき正社員の採用がなされなかったとしても,原告について,平成15年度以降の新たなサイクルに- 16 -よる就業が当然予定されていたと認めることはできない。 そうであるとすれば,6か月間という期間の定めのある本件労働契約が4回締結され,原告が被告一橋出版で2年間就労したこと,各派遣社員就業通知書の交付が各雇用期間の始期を過ぎてなされたことがあった点で新たな契約締結手続が必ずしも厳格になされていたとはいい難いことその他原告の主張する事実をもって,本件労働契約があたかも期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態で存在している場合に当たるということはできない(なお,原告本人・15頁によれば,本件労働契約を更新する際,事前にa部長からその旨の打診はなかったというが,これに対し,証人a・20~21,23頁によれば,a部長は,雇用期間終了の1か月前か半月前に6か月間契約することについて口頭で原告に了承を得ていたと思うというのであり,原告の上記供述を裏付け,あるいは証人aの上記証言を否定するに足りる証拠がない以上,原告の上記供述を直ちに採用することはできない。 。)(3)もっとも,本件労働契約が2年間4回にわたり締結されたこと,当初の予定に反して原告が引き継ぐべき正社員の採用がなされなかったことなどからすれば,原告は,今後労働契約を締結しない旨通告された平成15年4月16日当時,新たな雇用の継続をある程度期待していたと推認できる。 しかし,労働者派遣法は,派遣労働者 用がなされなかったことなどからすれば,原告は,今後労働契約を締結しない旨通告された平成15年4月16日当時,新たな雇用の継続をある程度期待していたと推認できる。 しかし,労働者派遣法は,派遣労働者の雇用安定のみならず,派遣先の常用労働者の雇用安定も立法目的とし,派遣期間の制限規定を設ける(同法40条の2)などして上記目的の調和を図っており,同一の労働者を同一の派遣先へ長期間継続して派遣することは常用代替防止の観点から本来同法の予定するところではない。上記の観点から労働者派遣契約の派遣期間が制限的である以上,労働者派遣契約の存在を前提とする派遣労働契約について,派遣ではない通常の労働契約の場合と同様に雇用継続の期待に対する合理性を認めることは,一般的に困難であるといわざるを得ない。 ,。 本件労働契約も被告らの間の労働者派遣契約を前提として存在するものである前記(1)ウのとおり,被告マイスタッフは,同労働者派遣契約の契約期間及び本件労働契約の雇用期間満了前である平成15年3月下旬ころ,被告一橋出版から本件編集業務等への派遣打ち切りの申し入れを受け,同労働者派遣契約を同年5月20日の契約期間満了をもって終了することになったため,以後,派遣社員である原告の雇用を継続できないことから,本件労働契約の雇用期間満了前である同年4月16日,原告に対し,今後労働契約を締結しない旨通告したのであり,本件労働契約は,原告が雇用期間満了後も雇用が継続されると期待することに合理性が認められる場合に当たるということはできない(なお,甲19,原告本人・17,38頁によれば,原告は,採用から1年経過後,f編集部長に対し,仕事を継続したい旨申し出たところ,f編集部長は「そんなこと言わずにずっといてください」と言。 ったとするが,仮にf編集部長がそのように述べたとし れば,原告は,採用から1年経過後,f編集部長に対し,仕事を継続したい旨申し出たところ,f編集部長は「そんなこと言わずにずっといてください」と言。 ったとするが,仮にf編集部長がそのように述べたとしても,原告と被告一橋出版との間に黙示の労働契約の成立が認められない以上,原告が本件労働契約の継続を期待する合理性を基礎付け得る事実とはいえない。 。)(4)したがって,本件労働契約は,あたかも期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態で存在している場合,あるいは期間満了後も使用者が雇用を継続すべき- 17 -者と期待することに合理性が認められる場合に当たらないから,解雇の法理を類推すべきでなく,平成15年5月20日,雇用期間満了により有効に終了したと認められる。 争点(3(原告に対する未払賃金額)について),,,前記12のとおりである以上被告らの原告に対する未払賃金は存在しないから本争点については判断する必要はない。 第4 結論 以上によれば,原告の本件各請求は,いずれも理由がないから,これらを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第11部裁判官増田吉則
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