平成21(行ウ)99 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成24年6月8日 大阪地方裁判所
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判決文本文29,573 文字)

主文 1 被告は,別紙2相手方一覧表の相手方欄記載の各相手方に対し,それぞれ同相手方一覧表の認定額欄記載の金額及びこれに対する平成21年6月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を熊取町に支払うよう請求せよ。 2 原告らのその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用は,これを3分し,その1を原告らの負担とし,その余を被告の負担とし,補助参加によって生じた費用は,これを3分し,その1を原告らの負担とし,その余を被告補助参加人らの負担とする。 事実 及び理由第1 請求被告は,別紙2相手方一覧表の相手方欄記載の各相手方(以下,併せて「本件相手方ら」といい,同相手方一覧表の番号1から23までの相手方を併せて「本件建設業者ら」という。また,本件相手方らについては,それぞれ同相手方一覧表の略称欄記載の略称を用いる。)に対し,それぞれ同相手方一覧表の請求額欄記載の金額及びこれに対する平成21年6月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を熊取町に支払うよう請求せよ。 第2 事案の概要 1 事案の骨子本件は,熊取町の住民である原告らが,平成15年4月1日から平成20年3月31日までの間に熊取町が発注した別紙3工事一覧表記載の157件の公共工事(以下「本件請求対象工事」という。)に関し,熊取町の地元建設業者によって組織されるA協同組合(以下「本件組合」という。)の理事であったp1 及びp2 の主導により,本件建設業者ら(2個人を含む23者)の談合が行われた結果,熊取町が損害を被ったとして,同町の執行機関である被告に対 し,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,本件相手方らに対して不法行為に基づく損害賠償請求をすることを求めた住民訴訟である。 2 前提となる事実(当事者間に争いの ある被告に対 し,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,本件相手方らに対して不法行為に基づく損害賠償請求をすることを求めた住民訴訟である。 2 前提となる事実(当事者間に争いのない事実並びに証拠及び弁論の全趣旨により容易に認定することのできる事実。なお,書証番号については特に断りのない限り枝番号を含む。また,当事者間に争いのない事実については認定根拠を付していない。)(1) 当事者等ア原告らは,いずれも熊取町の住民である。 イ被告は,熊取町の町長であり,同町の執行機関である。 ウ本件組合は,中小企業等協同組合法に基づき,昭和61年1月14日に設立された事業協同組合であり,平成3年4月頃に官公需適格組合の証明を受け,熊取町内の建設業者によって構成されていた。 本件組合は,平成20年3月22日,総会の議決により解散し,平成21年12月7日に清算結了し,同月22日にその登記簿が閉鎖された(弁論の全趣旨)。 エ本件建設業者らは,いずれも建設業を営む法人又は個人であり,本件組合の加入業者であった者である。 オ p1 は,本件組合の設立当初は本件組合の専務理事,設立から2,3年後から平成21年3月頃までは代表理事の立場にあった者であり,平成20年5月2日以降,B建設の代表取締役の立場にある者である(甲4,5,丙B3,弁論の全趣旨)。 カ p2 は,本件請求対象工事の入札が行われた各時期において,本件組合の専務理事であった者であり,C組の代表者の子で同社の仕事に関与し,また,D組の取締役を務めていた者である(甲4,丙A8,弁論の全趣旨)。 (2) 熊取町における指名競争入札の方法等ア本件組合加入業者に対する評点加算 熊取町が発注する公共工事に係る指名競争入札の参加資格に関し,平成 丙A8,弁論の全趣旨)。 (2) 熊取町における指名競争入札の方法等ア本件組合加入業者に対する評点加算 熊取町が発注する公共工事に係る指名競争入札の参加資格に関し,平成11年5月頃,熊取町建設工事等請負業者資格審査要領が改訂され,本件組合の加入業者に対しては,経営事項審査の評点(以下「経審点」という。)を200点加算することとされた。熊取町発注の公共工事を受注できる建設業者の格付けには,AからDまでの4段階のランクがあり,建築一式工事の場合,熊取町建設工事等請負業者資格審査要綱上,8億円以上の工事についてはAランク(評点1500点以上),1500万円以上8億円未満の工事についてはBランク(評点900点から1499点まで),300万円以上1500万円未満の工事についてはCランク(評点800点から899点まで),300万円未満の工事についてはDランク(評点799点以下)との格付けによって入札参加資格が定められていたところ,上記の経審点加算により,本件組合加入業者はいずれもBランク工事の入札参加資格を有することとなった(甲4,11,弁論の全趣旨)。 イ最低制限価格の公表熊取町は,平成15年4月から,熊取町実施の指名競争入札において,最低制限価格の事前公表を開始した。また,予定価格については,事後に公表することとした(弁論の全趣旨)。 (3) 本件請求対象工事に係る入札の実施等熊取町は,平成15年4月1日から平成20年3月31日までの間に,別紙3工事一覧表記載のとおり,本件請求対象工事(建設工事,道路工事,下水道工事等)について,指名競争入札の方法により157件の入札を行い,入札の結果,同一覧表の業者名欄記載の建設業者が,同一覧表の落札価格欄記載の金額でそれぞれ落札した。熊取町は,落札した各建設業 下水道工事等)について,指名競争入札の方法により157件の入札を行い,入札の結果,同一覧表の業者名欄記載の建設業者が,同一覧表の落札価格欄記載の金額でそれぞれ落札した。熊取町は,落札した各建設業者に対して本件請求対象工事を発注し,上記落札価格欄記載の金額に消費税を加算した金額を工事代金としてそれぞれ支払った。 なお,熊取町においては,上記157件の本件請求対象工事のほか,平成 15年4月1日から平成20年3月31日までの間に,指名競争入札の方法により132件の公共工事に係る入札が行われた(甲13,弁論の全趣旨)。 (4) 熊取町営E住宅建替工事(第2期)(以下「E住宅第2期工事」という。)に関する入札談合事件の経緯等ア大阪府警察は,E住宅第2期工事に係る指名競争入札に関する談合(以下「E住宅第2期工事談合」という。)を被疑事実として,平成19年10月,p1,p2,本件組合の事務職員であったp3 及び当時B建設の代表取締役であったp4 を逮捕し,大阪地方検察庁は,同年11月9日,上記4名を刑法96条の3第2項の談合罪で大阪地方裁判所に起訴した(甲3)。 イ大阪地方裁判所は,平成20年3月28日,談合罪により,p1 に対し,懲役1年6月,4年間執行猶予の判決を,p2 に対し,懲役1年2月,3年間執行猶予の判決を,p3 に対し,懲役10月,3年間執行猶予の判決を,p4 に対し,懲役10月,3年間執行猶予の判決をそれぞれ言い渡し,同判決は,控訴期間の経過により確定した(甲6,弁論の全趣旨。以下,E住宅第2期工事談合に関する上記刑事手続を「本件刑事事件」という。)。 上記判決において認定された罪となるべき事実は,以下のとおりである。 「被告人p1 は,建築工事等を業とするB建設株式会社(以下「B建設」という。 上記刑事手続を「本件刑事事件」という。)。 上記判決において認定された罪となるべき事実は,以下のとおりである。 「被告人p1 は,建築工事等を業とするB建設株式会社(以下「B建設」という。)を実質的に経営し,同社が組合員として加入する建築工事の共同受注等を業とするA協同組合(以下「組合」という。)の代表理事であったもの,被告人p2 は,組合の専務理事であったもの,被告人p3 は,組合の事務責任者であったもの,被告人p4 は,B建設代表取締役であるが,大阪府泉南郡熊取町が平成18年8月22日を入札日として執行する「熊取町営E住宅建替工事(第2期)」の指名競争入札に関し,その指名通知を受けたB建設に落札させようと企て,同入札の指名通知を受けた株式会社F工務店代表取締役p5 ほか指名業者3社の代表取締役ら数名と共謀の上,公正な価格を害する目的で,同工事の指名競争入札に際し,同月21日ころから 同月22日までの間,同町a○丁目△番×号所在のB建設事務所内及び同町b◎丁目■番▽号所在の熊取町役場付近において,B建設に同工事を落札させることで合意するとともに,上記株式会社F工務店ほか3社の入札金額をB建設の入札金額を超える金額とする旨協定し,もって入札の公正な価格を害する目的で談合したものである。」(5) 監査請求及び本件訴訟の提起ア原告らを含む21名の熊取町の住民らは,平成21年3月3日,熊取町監査委員に対し,平成15年度(平成15年4月1日から平成16年3月31日までの期間をいう。以下同様。)から平成19年度までに行われた指名競争入札のうち,本件組合に所属する建設業者が落札した186件に関して談合が行われ,熊取町に損害が生じたとして,建設業者らに対する損害賠償請求等の必要な措置を請求することを求める住民監査請求を 指名競争入札のうち,本件組合に所属する建設業者が落札した186件に関して談合が行われ,熊取町に損害が生じたとして,建設業者らに対する損害賠償請求等の必要な措置を請求することを求める住民監査請求を行った(甲1)。 これに対し,熊取町監査委員は,平成21年5月1日,監査請求の対象となった工事について談合が行われ,熊取町に損害が発生している可能性を排除することはできないものの,その損害賠償請求額の算定は極めて困難であることなどを理由に,上記監査請求を棄却した(甲2)。 イ原告らは,平成21年5月28日,本件訴訟を提起した(顕著な事実)。 第3 争点本件の争点は次のとおりである。 1 本件請求対象工事に係る談合行為の有無 2 熊取町に生じた損害の有無及び額 3 過失相殺の可否及びその割合第4 争点に関する当事者の主張 1 争点1(本件請求対象工事に係る談合行為の有無)について【原告らの主張】 (1) 談合事件における立証の程度について原告らは,本件において,被告及び被告補助参加人らがいうところの「基本的・抽象的合意」等というものを主張したこともないし,個々の本件請求対象工事についてそれぞれ受注予定業者の決定がされたこと,個別の話し合いにおいて決定された受注業者,入札において予め決定された受注業者が落札したことについては主張立証を行っている。 談合に基づく損害賠償請求事件においては,個別の談合行為の正確な日時,場所,内容を主張立証する必要はない。談合行為を実行する関係者が,個々の工事に係る個別具体的な談合行為の存在を明確に示すような証拠を残しておくことは通常考えられず,個別の談合行為の存在は,様々な間接証拠及び間接事実によって合理的に推認できる範囲でその存在を認めることができれば足りるというべきだ 為の存在を明確に示すような証拠を残しておくことは通常考えられず,個別の談合行為の存在は,様々な間接証拠及び間接事実によって合理的に推認できる範囲でその存在を認めることができれば足りるというべきだからである。 そして,談合行為は,落札者の決定が複数関与者の協議によるものであり,特定関与者間で談合行為が繰り返されるということを本来的な特質としているのである。したがって,談合は単独では存在し得ず,談合が1件あるということは,そのグループの関与する入札は全て談合であるとの推定がなされるといっても過言ではない。 本件においては,以下に述べるような事情に照らし,本件請求対象工事において談合が行われたことは十分に推認されるというべきである。 (2) 本件組合における談合の方法について本件刑事事件の判決確定後,原告らが本件刑事事件の判決書や確定記録を入手したところ,E住宅第2期工事談合のほか,熊取町の公共工事の入札において,本件組合が,昭和61年の設立当初から,恒常的に自ら率先主導して談合行為を行ってきたことが発覚した。 すなわち,本件組合では,熊取町発注の建設工事等を,予め定めた順番に従って順次落札し,2巡目からは落札金額が低かった業者から順次落札する というルールを定め,組合員が均等に落札できるようにする一方,チャンピオンと呼ばれる落札予定業者は,町役場の担当部署に行き,積算書類等を示しながらその示唆を得て設計金額を探り出し(以下「ボーリング」という。),これを基に予想される入札予定価格に近い入札金額を決め,他の指名業者にはこれよりも高額の入札金額を決めてこれで入札するように指示し,あるいは,各指名業者が提出する参考内訳書(工事見積書のまとめに相当する。甲4の1参照。)の原案を渡すという方法での談合を繰り返していたのである。 も高額の入札金額を決めてこれで入札するように指示し,あるいは,各指名業者が提出する参考内訳書(工事見積書のまとめに相当する。甲4の1参照。)の原案を渡すという方法での談合を繰り返していたのである。 本件で問題となっている談合行為は,本件組合が主導してきたものであり,p1 及びp2 は,それぞれ本件組合の理事長,専務理事として,いわゆる星取り表を作成するなどして,持ち回りでチャンピオンを決める談合システムを運営してきた。 (3) 各談合行為の存在について平成15年4月1日から平成20年3月31日までの間に熊取町が発注した公共工事(合計289件)のうち,別紙3工事一覧表記載の157件の建設工事,道路工事,下水道工事等(本件請求対象工事)について,談合が行われた。本件請求対象工事は,本件組合の構成員である建設業者が落札した工事のうち,落札率(入札予定価格に対する落札価格の割合をいう。以下同じ。)が95パーセントを超えるもの及び落札率が95パーセント以下であっても,E住宅第2期工事に関する本件刑事事件の捜査過程において,p1,p2らが談合行為の存在を認めた工事である。これらの工事に関する入札の結果,別紙3工事一覧表記載のとおり,本件建設業者らがそれぞれ落札し,熊取町とそれぞれ契約を締結し,熊取町は,同一覧表の落札価格欄記載の金額に消費税を加算した額を工事代金としてそれぞれ支払った。 (4) 本件請求対象工事に係る談合の存在を示す事実等についてア本件刑事事件に係る捜査及び公判において,関係者が恒常的な談合の存在を認めていること 本件刑事事件の関係者(p1,p2,p3,p4,p6,p7)は,E住宅第2期工事以外にも恒常的に談合行為が行われていたことを認めており,恒常的談合の事実を疑う余地はない。特に,談合の中心的役 本件刑事事件の関係者(p1,p2,p3,p4,p6,p7)は,E住宅第2期工事以外にも恒常的に談合行為が行われていたことを認めており,恒常的談合の事実を疑う余地はない。特に,談合の中心的役割を果たした本件組合の代表理事であったp1,本件組合の専務理事であったp2,本件組合の事務責任者であったp3 の供述内容は重要である。 また,本件刑事事件の判決においても,本件組合は談合を繰り返してきた旨の事実が認定されており,同判決は控訴されることなく確定している。 イ熊取町が自らの調査に基づき,E住宅第2期工事以外の工事についても談合があったことを認めていること本件請求対象工事の発注者である熊取町は,自らの調査結果を踏まえ,平成19年11月12日,E住宅第2期工事の談合に関与した本件組合に対して2年間,同工事を落札したB建設に対して2年間,同工事におけるB建設以外の入札業者に対して6か月間の指名停止措置を講じるとともに,本件組合に加入する他の建設業者18社(本件における被告補助参加人らを含む。)に対して3か月間の指名回避措置を講じており(甲9),本件組合の主導でE住宅第2期工事に関する談合が行われたことのみならず,それ以前から談合が行われていたことを明らかにした。 ウ談合発覚前後の落札率の顕著な差E住宅第2期工事談合が平成19年10月に発覚したため,それ以降は談合ができなくなり,公共工事は自由な指名競争入札になった結果,平成19年度の工事のうち同年10月以降の公共工事の落札率は平均76.7パーセントとなった。また,平成20年度の公共工事の落札率は,最低制限価格が設定されたものについて,平均80.9パーセントとなった。 このように,自由な指名競争入札になって以降の落札率は,本件請求対象工事の落札率がほぼ95パ 0年度の公共工事の落札率は,最低制限価格が設定されたものについて,平均80.9パーセントとなった。 このように,自由な指名競争入札になって以降の落札率は,本件請求対象工事の落札率がほぼ95パーセント以上であったことと比較し,劇的に低下したのである(甲12から15まで)。 エ賦課金の徴収本件組合の加入業者は,加入時に入会金170万円,出資金330万円の合計500万円を支払い,会費として月2万円,公共工事を落札した場合には,落札金額の1パーセントを賦課金として本件組合に支払うことが取り決められていた。加入業者がこのような負担をしてまで本件組合に加入するのは,談合により大きな利益を得るためであり,また,落札金額の1パーセントの賦課金を支払うのは,本件組合主導による指名業者間の談合のおかげで落札できたことに対する報酬を意味するものである。 被告補助参加人らは,賦課金徴収の趣旨について,経審点200点加算の対価であるとするが,そうであれば,それは入札機会の拡大の対価であるから,各業者一律の年会費とすべきである。にもかかわらず,賦課金が実際の落札価格に対する割合となっているのは,談合が成立して落札価格が入るからである。 オ談合事件発覚直後の本件組合の解散平成19年10月にE住宅第2期工事に関する談合事件が発覚し,そのわずか5か月後に本件組合の解散決議がされている。 本件組合が組合員の技能の向上等の正当な目的を実現する組織であれば,談合事件が発覚したからといって解散する必要は全くない。要は,長年にわたり本件組合が談合の中心的役割を果たし,各組合員は談合による利益を享受していたところ,E住宅第2期工事に関する談合事件の発覚により,本件組合が以後談合の主導的役割,組合員間の調整機能を果たすことができ 件組合が談合の中心的役割を果たし,各組合員は談合による利益を享受していたところ,E住宅第2期工事に関する談合事件の発覚により,本件組合が以後談合の主導的役割,組合員間の調整機能を果たすことができなくなり,組合員も何ら利益を享受できなくなることが明らかになったため,本件組合の存在意義がなくなって解散したのである。 カいわゆる見え見え談合について例えば,平成16年7月2日に入札が実施された公面汚水官渠第16-3工区布設工事(別紙3工事一覧表番号48)をみると,落札価格と最高 入札価格との差は1.6パーセントの範囲内であり,極めて近接した価格の中で14業者が入札している。この工事について,落札業者であるG工務店は,積算した実行価格に,予測し得ない障害要因に備えた12パーセントから15パーセントの極めて大雑把な利益を上乗せして算出して入札価格としているとのことであるが,その大雑把な価格が,他の業者の算出金額と極めて近接するなど,あり得ないことである。 この他にも,別紙3工事一覧表記載の本件請求対象工事の中には,同じく落札価格と最高入札価格の差が極めて近接した範囲内であったり,全ての入札が予定価格を超える高額な価格でされたりするなど,談合が見え見えと思われるものが多く存在する(甲24)。 キ非組合員の参加した入札について別紙3工事一覧表記載の工事には,非組合員であるH及びIが入札に参加している工事が4件(番号60,115,155,157)存在するが,上記2業者は町内業者であり,本件組合あるいはその組合員の影響力が及ぶ業者であるから,これらの業者が参加した入札においても,組合業者のみが参加する入札と同様,談合が行われていた。 すなわち,上記4件の工事についての各業者の入札額は,落札価格から数パーセン 及ぶ業者であるから,これらの業者が参加した入札においても,組合業者のみが参加する入札と同様,談合が行われていた。 すなわち,上記4件の工事についての各業者の入札額は,落札価格から数パーセント以内に集中しており,談合の存在が強く推認される。 【被告及び被告補助参加人らの主張(なお,被告は本件各談合行為の有無については不知と認否しており,この点に関する主張は被告補助参加人らの主張に基づく。)】(1) 談合事件における立証の程度について競争入札において,事前に受注予定業者を決定していたことを主張して発注者が入札参加業者に対して損害賠償を請求するためには,請求原因事実として,基本的・抽象的な談合の合意のみならず,個々の工事について,それぞれ受注予定業者の決定がされたこと,個別の話し合いにおいて決定された 受注業者,入札において予め決定された受注業者が落札したことを主張立証しなければならない(東京地判平成14年7月15日(平成6年(ワ)第18372号)参照)。 しかしながら,原告らが談合行為が存在する根拠とするところは,①本件組合は談合を目的として作られたものである,②本件刑事事件における供述調書に,恒常的に談合があった旨の記載がある,③そもそも談合そのものが特定関与者間で繰り返されるということを本来的な特質としているのであるから,談合が1件あればそのグループの関与する入札は全て談合であるなどというものであって,以下に述べるとおり,いずれの根拠によっても,個々の談合の存在を立証し得ないことは明らかである。 (2) 本件刑事事件記録について本件組合は,談合を行うことを目的としていたものではなく,組合員の参加した入札において恒常的に談合が行われていたということはない。 原告らの主張は,本件刑事事件記録である関係者 事事件記録について本件組合は,談合を行うことを目的としていたものではなく,組合員の参加した入札において恒常的に談合が行われていたということはない。 原告らの主張は,本件刑事事件記録である関係者の各供述調書に基づくものと思われるが,いうまでもなく,これらの供述調書はE住宅第2期工事談合を立証するために作成されたものであり,本件組合の設立経緯や関係者の加入目的等に関する供述は背景事情に関する供述にすぎない。E住宅第2期工事談合に関する供述調書の中の抽象的かつ一般的な文言を捉えて,過去の個々の入札行為について談合の存在を推測することは不当というほかない。 加えて,供述調書はいずれも取調官の作文であり,とりわけ身体拘束下における被疑者の供述調書についてそのまま信用性を付与できるものではない。 本件刑事事件記録においても,供述者の認識と異なる事実が検察官のストーリーに沿うように記載されており,信用性がない。 (3) 落札率の差について原告らは,E住宅第2期工事談合が発覚した平成19年10月の前後における落札率の差をもって談合が存在したことの根拠とするが,平成19年1 0月の前後で社会の景気動向は異なっている。すなわち,平成16年から平成18年頃は景気の拡大期であり,材料費,人件費ともに高値であったため,工事予算は必然的に高額とならざるを得ず,最低制限価格ではとても利益が出ない状況にあった。ところが,平成19年以降,国内の景気は急激な後退傾向となり,現在もそれは回復するに至っていない。 また,平成19年10月の談合発覚以前は,熊取町発注のBランク工事において町外業者が指名されることはなかったため,談合の有無にかかわらず,現実問題としてさほど競争が熾烈とはならないという状況があったが,談合発覚後,熊取町は本件組合に加入してい 発注のBランク工事において町外業者が指名されることはなかったため,談合の有無にかかわらず,現実問題としてさほど競争が熾烈とはならないという状況があったが,談合発覚後,熊取町は本件組合に加入していたほとんどの町内業者を指名停止あるいは指名回避としたため,これをチャンスと見た町外業者が軒並み最低制限価格での入札を行い,以後,熊取町発注の工事では最低制限価格での入札でなければ落札できない状況となっている。 そもそも,予定価格は,会計法29条の6,予算決算及び会計令79条,80条によって,取引の実例価格,需給の状況,履行の難易,数量の多寡,履行期間の長短等を考慮して適正に定めなければならないとされており,現場の条件に照らして最も妥当性がある標準的な工法で施工するのに必要な価格となっている。したがって,いかに企業努力を行っても,入札額が予定価格を大きく下回ることはできず,正常な自由競争が行われていれば,落札額が予定価格から大きく外れることはないのであって,95パーセント前後の落札率はまさしく自由競争が行われていた証左である。現在の熊取町において,最低制限価格に近い額で落札される状況が続いているというのは,正常な競争が行われていない異常な状態というべきである。 (4) 賦課金の徴収について本件組合は,加入組合員が200点の経審点加算という利益を享受していることに鑑み,落札した際に組合運営費として1パーセントの賦課金を徴収しているにすぎない。 本件組合は,事務所を設置し,事務員も雇用していたことから,その運営には当然に日常経費が発生する。そのため,本件組合運営のために賦課金という名目で運営費を徴収することは極めて自然なことである。仮に,各業者一律に同額の経費を負担させるような制度とした場合には,たまたま年間を通じて公共工 生する。そのため,本件組合運営のために賦課金という名目で運営費を徴収することは極めて自然なことである。仮に,各業者一律に同額の経費を負担させるような制度とした場合には,たまたま年間を通じて公共工事を落札しなかった業者や,小規模な工事しか落札しなかった業者まで大きな利益を上げている業者と同額の経費を負担することになり,かえって不公平な結果となることは明らかである。 なお,G工務店は,落札した3件の工事につき賦課金を徴収されていない。 (5) 談合事件発覚後の本件組合の解散についてE住宅第2期工事談合が発覚した約5か月後に本件組合が解散した点については,本件組合を舞台とする談合事件が発覚した以上,熊取町の本件組合に対する信頼は失墜し,また,本件組合の存続は社会的責任という意味でも適切ではなかったことから解散したものであり,本件組合が解散したことをもって,恒常的な談合の存在を推認するのは論理の飛躍というほかない。 また,G工務店については,本件組合の解散決議に反対していたのであるから,G工務店が本件組合を利用して恒常的談合を行ったと認定することはできない。 (6) 非組合員の参加した入札について別紙3工事一覧表記載の工事のうち,番号60,115,155,157については,本件組合の組合員ではないH,Iが入札に参加している。いうまでもなく,談合が功を奏するためには,入札に参加した業者の全員で価格調整を行う必要があるのであって,非組合員が参加する入札においては,いくら組合員間で価格調整を行っても,非組合員である業者の協力がなければ,受注予定者を定める仕組みが成就しないことになるのであるから,不法行為は成立しない。この点につき,原告らは,非組合員である業者らに対する具体的な協力依頼の事実等について何ら主張立証をしない。 者を定める仕組みが成就しないことになるのであるから,不法行為は成立しない。この点につき,原告らは,非組合員である業者らに対する具体的な協力依頼の事実等について何ら主張立証をしない。 【G工務店の主張】G工務店は,入札までの間に,現場説明会において交付される設計図書を詳細に検討し,自社の過去の施工実績,市場の状況に照らして当該工事について予想される実行予算(実際にかかるであろう経費をいう。)を入念に積算している。そして,入札価格は,かかる実行予算に企業の利益活動として是認される範囲の僅かな利益を乗せて決定している。また,時には,工事実績を作ることを第1目標として,利益を度外視し実行予算ぎりぎりの価格で入札を行ったこともある。 このように,G工務店は独自の積算によって入札価格を決定しているのであり,談合によって高い入札価格を設定したということはない。G工務店は,熊取町職員に一切知己がないため,自らボーリングを行うことは不可能であり,本件組合の理事やその他の加入業者に頼んでボーリングを行ってもらった事実も一切ない。 2 争点2(熊取町に生じた損害の有無及び額)について【原告らの主張】(1) 本件各談合行為により,熊取町に生じた損害は,落札価格(消費税抜き)から最低制限価格(消費税抜き)を差し引いた額に消費税を加算したものである。熊取町の公共工事の入札においては,事前に最低制限価格が公表されており,自由競争が行われた場合,最低制限価格に入札が集中することは経験則上明らかであるから,談合行為がなければ想定される落札価格は,最低制限価格に等しい。 (2) 以上の方法により算定される工事ごとの具体的な損害額は別紙3工事一覧表の主張損害額欄記載のとおりであり,熊取町は合計8億5983万9750円の損害を被ってい 格は,最低制限価格に等しい。 (2) 以上の方法により算定される工事ごとの具体的な損害額は別紙3工事一覧表の主張損害額欄記載のとおりであり,熊取町は合計8億5983万9750円の損害を被っている。また,本件建設業者らは,それぞれ落札した工事に係る損害を賠償すべきであり,各相手方ごとの落札工事に係る損害額合計は,別紙4相手方別工事一覧表の主張損害額欄記載のとおりであり,熊取 町は,各相手方に対し,それぞれ別紙2相手方一覧表の請求額欄記載の金額の損害賠償請求をすべきである。 (3) また,熊取町は,本件組合幹部であったp1,p2 に対して,談合行為により生じた損害の合計金額である8億5983万9750円の損害賠償請求権を有している。被告は,上記損害の一部として,p1 に対し5000万円,p2 に対し4000万円の損害賠償請求をすべきである。 【被告の主張】仮に本件請求対象工事について談合の存在が認められたとしても,損害額の認定については,民事訴訟法248条の規定により,裁判所が口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき,多種多様な間接事実を総合判断した上で相当な損害額を認定することが必要である。とりわけ本件においては,入札に参加したのは大手業者ではなく零細の業者であり,仮に談合の存在が認定された場合でも,損害額の判断において,事案に即した合理的,説得的な算定根拠が要請される。 【被告補助参加人らの主張】最低制限価格とは,これ以下の価格では適正な内容の工事がされるとは考え難いとされる限度額であり,過当競争の結果,手抜き工事となることを防ぐため,たとえ入札価格が低くてもこれ以下の価格では受注させないとして設定された額にすぎない。すなわち,最低制限価格イコール適正価格ではない。最低制限価格で入札を行うのは,最低制 工事となることを防ぐため,たとえ入札価格が低くてもこれ以下の価格では受注させないとして設定された額にすぎない。すなわち,最低制限価格イコール適正価格ではない。最低制限価格で入札を行うのは,最低制限価格でも十分に利益が出せるからでも,採算が合うからでもなく,そうしないと仕事を得られないからやむを得ず入札しているにすぎないのである。 指名競争入札においては,入札に係る工事の規模,種類や特殊性のほか,入札指名業者の数や各業者の事業規模,さらに入札当時の社会情勢,入札が行われた地域の特性など様々な要因が複雑に影響し合って落札価格が形成されるのであるから,これらの要因にかかわらず,一般的に談合がされなかった場合 の落札価格が最低制限価格に近づくとの客観的経験則は存在しないというべきである。 3 争点3(過失相殺の可否及びその割合)について【被告補助参加人らの主張】仮に,本件請求対象工事について談合が認められるとしても,損害の発生及び拡大には熊取町自身の義務懈怠行為,違法な便宜供与行為も寄与しているというべきであり,損害額の認定後,相当の過失相殺が行われるべきである。 この点,p1 及びp2 の本件刑事事件における供述調書によれば,熊取町の職員らが談合の存在を知っていたか,当然に想像がついていたという状況があったとされている。そうであれば,熊取町の担当職員らは,当然そのような談合をやめるよう指導,監督をすべき義務,あるいは少なくとも事実調査を行うべき義務があったにもかかわらずそれを怠っていたことになる。 加えて,ボーリングといわれる作業をp2 が行う際には,熊取町の担当原課職員が設計金額の予想に示唆を与えており,しかも職員のうち1名については飲食接待や現金の授受などの違法な利益供与まで受けていたというのであるから,仮 われる作業をp2 が行う際には,熊取町の担当原課職員が設計金額の予想に示唆を与えており,しかも職員のうち1名については飲食接待や現金の授受などの違法な利益供与まで受けていたというのであるから,仮にこれが真実であれば,熊取町の帰責性は決して小さくない。 【原告らの主張】被告補助参加人らが行ってきた行為は,談合という故意の不法行為である。 仮に入札価格等の漏えいがあったとしても,故意の不法行為を行うのは談合業者であり,彼らが自らの損害賠償債務を減じるために過失相殺の主張を行うことは,信義則にもとる身勝手な主張といわなければならない。 第5 当裁判所の判断 1 争点1(本件請求対象工事に係る談合行為の有無)について(1) E住宅第2期工事談合の状況についてア認定事実前記前提となる事実並びに証拠(甲4,5,11,15,19,20, 証人p2,同p3,同p5,同p6,同p8)及び弁論の全趣旨によれば,以下の各事実が認められる。 (ア) 町営E住宅工事は,1期から3期に分かれており,平成16年頃,その第1期工事をAランク業者であるJ組が落札した。p1 は,第2期及び第3期工事に関しては本件組合や地元業者に落札させたいと考え,第1期工事が着工した平成16年秋頃から,熊取町長や総務部長らに対し,E住宅第2期工事はBランクの建設業者が入札に参加できるよう何度も陳情を行った。 (イ) 平成18年4月頃,それまでBランクの建設業者が入札に参加することについて消極的な態度を取っていた総務部長が,方針を変更して積極的な態度を示したため,p1 は,E住宅第2期工事においてBランク業者が入札に参加できる可能性が高まったと考え,その頃から本件組合の会合等においてその旨の発言をするようになった。 (ウ) p1 は,同年6月下旬頃に開 ,p1 は,E住宅第2期工事においてBランク業者が入札に参加できる可能性が高まったと考え,その頃から本件組合の会合等においてその旨の発言をするようになった。 (ウ) p1 は,同年6月下旬頃に開催された本件組合の会合において,参加した組合員に対し,「E住宅第2期工事については,正式にBランク業者でやることになった」,「この件は組合預かりにしてほしい」,「現場説明会で配布される設計図書等は説明会が終わり次第回収する」などと説明した。p1 の上記説明は,E住宅第2期工事において談合を行い,B建設に落札させてほしいこと,積算に必要な設計図書等の回収は談合破りを防ぐためであることを趣旨としており,上記会合に参加した組合員もその趣旨で理解し,異議を述べる者はいなかった。 (エ) 同年8月3日,熊取町役場から,M工業,K組,L建設,B建設及びF工務店の5業者に対し,E住宅第2期工事の入札参加の指名が通知された。 (オ) p1 は,同日頃,p2 に対し,設計金額の推定,ボーリング,入札参加各社の参考内訳書の作成,入札金額の決定,入札金額の指示等を依頼す る趣旨で,「今回頼むで。」と述べた。p2 は,p1 の上記発言の意味を理解し,B建設がE住宅第2期工事を落札するために必要な段取りを行うことを了承した。 (カ) p1 は,同月4日,全員協議会の開催後に,E住宅第2期工事の入札に指名された5業者を小会議室に集め,上記5業者に対し,現場説明会の後で設計図書等の資料を回収する旨を再度伝えた。 (キ) 同月7日,E住宅第2期工事に関する現場説明会が開催された。現場説明会において配布された設計図書等の積算に必要な書類は,現場説明会の直後,p1 及びp2 の指示により,本件組合の事務責任者であるp3がB建設を除く各指名業者から回収した( 明会が開催された。現場説明会において配布された設計図書等の積算に必要な書類は,現場説明会の直後,p1 及びp2 の指示により,本件組合の事務責任者であるp3がB建設を除く各指名業者から回収した(なお,上記設計図書等については,入札前日の同月21日,p1 の指示により,p3 が各指名業者に返還した。)。 (ク) p2 は,現場説明会の後で,熊取町建築課職員であるp9 からE住宅第2期工事の設計金額を聞き出したり,同課を訪れてボーリングを行ったりするなどして,設計金額を6億8000万円台と推定した。 (ケ) p1 とp2 は,同月21日頃,B建設事務所において会談し,B建設の入札金額を6億3000万円とすること,他の入札業者に対しては,B建設の入札金額を推測されないよう,いずれも7億円以上の入札金額を指示することを決めた。また,p1 は,同日,p4 に対し,B建設の参考内訳書を渡した上,B建設の入札金額を指示した。さらに,p1 は,B建設の落札を確実なものとするため,熊取町総務部のp10 課長と連絡を取り,予定価格に対する最低制限価格の割合が83%であることを聞き出した。 (コ) p2 は,同日,B建設以外の指名業者4者(F工務店のp5,K組のp8,M工業のp6,L建設のp11)に連絡をし,入札当日にp2 が参考内訳書と入札金額の指示を渡すこと,参考内訳書の表紙に会社の記名判を押し て持参してほしいこと等を伝えた。 (サ) 同月22日,E住宅第2期工事に係る入札が行われた。入札には,B建設のp4,F工務店のp12,K組のp8,M工業のp7,L建設のp11がそれぞれ参加した。p2 は,入札会場である熊取町役場付近に赴き,B建設以外の指名業者の各担当者から,記名判を押した参考内訳書の1枚目を受け取り,予め積算金額を記載 ,M工業のp7,L建設のp11がそれぞれ参加した。p2 は,入札会場である熊取町役場付近に赴き,B建設以外の指名業者の各担当者から,記名判を押した参考内訳書の1枚目を受け取り,予め積算金額を記載した参考内訳書の2枚目をホッチキスで留めた上,指名業者の各担当者に渡した。また,p2 は,各担当者に対し,それぞれ7億円以上の金額が記載された付箋を見せ,入札金額を指示した。B建設を除く指名業者の各担当者は,p2 から受け取った参考内訳書を熊取町に提出し,また,p2 から見せられた付箋に記載された金額と同額かそれよりもやや高い額で入札した。その結果,B建設が6億3000万円,F工務店が7億0500万円,K組が7億0700万円,M工業が7億1000万円,L建設が7億2300万円で入札し,B建設が落札した。なお,E住宅第2期工事の設計価格は6億8647万2000円,予定価格は6億5700万円,最低制限価格は5億4900万円であった。 (シ) p2 は,平成19年1月頃,E住宅第2期工事の談合に関する謝礼として,B建設からC組が架空の工事を請け負ったこととして,525万円を受け取った。なお,p2 は,上記談合の発覚後,上記金員をp1 に返済した。 (ス) E住宅第2期工事談合事件の発覚後,熊取町は,B建設や本件組合等に対し,同事件の損害賠償として8505万円を請求し,E住宅第2期工事の請負代金と上記金額とを相殺する旨B建設に対して通知した。 イ事実認定の補足説明上記認定事実に対し,p1 は,E住宅第2期工事に関して談合を行ったことはなく,本件刑事事件における供述は全て虚偽である旨供述する(証人 p1)。 しかしながら,本件刑事事件の捜査段階におけるp1 の供述は,E住宅第2期工事に関して行われた談合の方法について 件刑事事件における供述は全て虚偽である旨供述する(証人 p1)。 しかしながら,本件刑事事件の捜査段階におけるp1 の供述は,E住宅第2期工事に関して行われた談合の方法について極めて具体的に述べられており,他の関係者供述とも矛盾なく合致していること,p1 は,本件刑事事件の公判段階においても,上記談合が行われたことを前提とする供述をし,これを争った形跡はうかがわれないことなどの事実に照らし,本件刑事事件におけるp1 の供述が虚偽であったとは認められない。本件における証人p1 の上記供述は採用できず,E住宅第2期工事談合の状況について,上記認定事実のとおり認定することができる。 ウ検討上記認定事実によれば,p1 は,E住宅第2期工事談合を行うことについて,談合の方法等を具体的に説明することなく,組合員が参加する会合において「この件は組合預かりにしてほしい。」,「設計図書等は説明会が終わり次第回収する。」などと述べたのみであり,他の組合員はその説明で談合が行われることを理解し,そのことについて異議を述べた者はいなかったこと,p2 は,p1 からの「今回頼むで。」との発言から,B建設を落札者とするために必要な設計金額の推定やボーリング等の作業を行うことを理解したこと,E住宅第2期工事の入札に参加したB建設以外の4業者は,入札当日にp2 らが用意した参考内訳書を熊取町に提出し,p2 に指示されたとおりの金額かそれを上回る金額で入札を行っていることなどの事実が認められ,p1,p2 及びE住宅第2期工事談合に参加した指名業者らの上記行動は,E住宅第2期工事談合以前に,本件組合の指示又は主導による日常的・反復的な談合行為があったことを推認させるものである。 (2) 恒常的な談合行為の有無に関する関係者の供述について 者らの上記行動は,E住宅第2期工事談合以前に,本件組合の指示又は主導による日常的・反復的な談合行為があったことを推認させるものである。 (2) 恒常的な談合行為の有無に関する関係者の供述についてア本件刑事事件におけるp1,p2,p3 及びp4 の供述内容本件組合が主導する恒常的な談合行為について,本件組合の代表理事で あったp1,専務理事であったp2,事務責任者であったp3 及びp1 の子でB建設の代表取締役であるp4(以下,併せて「p1 ら」という。)の本件刑事事件における供述を総合すると,要旨次のとおりである(甲4,5,11)。 (ア) 本件組合は,建前上は組合員の経済的地位の向上,共同受注等を目的としているが,その実態は談合するために設立された組織であり,昭和61年の本件組合設立当初から,本件組合の主導の下,本件組合加入業者の間で談合を繰り返していた。 (イ) 落札予定業者(チャンピオン)を誰にするかは,本件組合内部の取り決めによって星取り表を作成し,本件組合加入業者の持ち回りで決めていた。星取り表は,本件組合加入業者が集まって作成していたが,最終的な調整はp2 が行っていた。 (ウ) チャンピオンに決まった業者は,設計図書に基づく積算を行い,また,熊取町役場に赴いてボーリングを行うなどして設計金額を予想した。 チャンピオン以外の指名業者は,自ら積算することはなく,ボーリングに行くこともなかった。 (エ) p3 は,E住宅第2期工事以外においても,p1 の指示により,設計図書等を指名業者から回収したことがあった。 (オ) p2 は,土木工事については積算することができ,熊取町役場にもよく顔を出していたため,チャンピオンの代わりに,あるいはチャンピオンと一緒になってボーリングをすることもあった。 あった。 (オ) p2 は,土木工事については積算することができ,熊取町役場にもよく顔を出していたため,チャンピオンの代わりに,あるいはチャンピオンと一緒になってボーリングをすることもあった。 (カ) チャンピオンは,予想した設計金額に基づき,他の指名業者が入札時に役場に提出する参考内訳書の原案を作成したり,他の指名業者に対して入札金額の指示を出したりしていた。チャンピオンが作成した他の指名業者の参考内訳書の原案と入札金額の指示は,入札日の1日か2日前の午前中に,本件組合事務所でチャンピオンが各指名業者に渡すこと が通例となっていた。指定の時間に来られなかった指名業者については,p3 がチャンピオンから参考内訳書を預かって代わりに渡すなどしていた。 (キ) p3 は,チャンピオンから依頼を受けて,他の指名業者の参考内訳書を代筆することもあった。 (ク) 熊取町発注の公共工事のうち,Bランク業者が落札率95%以上の高率で落札した工事は,正に談合の結果である。 (ケ) 本件組合加入業者が熊取町発注の公共工事を落札受注した場合,賦課金として受注金額の1%を本件組合に納めることとなっていた。 イ上記供述の信用性の検討p1 らの上記供述内容は,本件組合が主導して行ってきた談合の方法を具体的に述べるものであり,それぞれの供述が矛盾なく整合しているのであって,これらが虚偽であるとは考え難い。また,本件組合加入業者であるM工業,K組,F工務店,L建設の各代表者及び従業員も,本件刑事事件の供述調書において,E住宅第2期工事談合が初めての談合ではなく,E住宅第2期工事談合以前にも繰り返し談合を行ってきたことを前提とする供述をしていることが認められ(甲4,11,19),このことは,p1らの上記供述を裏付けるものである。さら 初めての談合ではなく,E住宅第2期工事談合以前にも繰り返し談合を行ってきたことを前提とする供述をしていることが認められ(甲4,11,19),このことは,p1らの上記供述を裏付けるものである。さらに,前記(1)のとおり,E住宅第2期工事談合の状況は,E住宅第2期工事談合以前に,本件組合の指示又は主導による日常的・反復的な談合行為があったことを推認させるものであって,p1 らの上記供述と整合的である。 以上によれば,p1 らの上記供述は十分に信用することができ,本件組合の主導による恒常的な談合行為があったことを認めることができる。 ウ被告補助参加人らの主張について(ア) 被告補助参加人らは,p1 らの上記供述はE住宅第2期工事談合に関する刑事事件記録で述べられたものにすぎず,過去の全ての入札につい て恒常的な談合があったことを前提にするものではない旨主張する。 確かに,p1 らの上記供述は,E住宅第2期工事談合に関する取調べの中で述べられたものではあるが,E住宅第2期工事談合に至る経緯として,恒常的に談合が繰り返されてきたかどうかという点は本件刑事事件においても重要な事実であり,E住宅第2期工事談合の具体的状況以外の事実に係る供述部分が信用できないということはできない。そして,p1 らの上記供述が,過去全ての入札について談合が行われた趣旨のものではないとしても,本件組合の主導による談合が日常的に繰り返し行われてきたことを述べるものであることは明らかであって,恒常的な談合行為の推認が妨げられるものではない。 (イ) また,被告補助参加人らは,本件刑事事件における供述調書の内容はいずれも事実や供述者の認識と異なる取調官の作文であり,信用性がない旨主張し,証人p3,同p1,同p2,同p6 及び同p8 の各証言並びに た,被告補助参加人らは,本件刑事事件における供述調書の内容はいずれも事実や供述者の認識と異なる取調官の作文であり,信用性がない旨主張し,証人p3,同p1,同p2,同p6 及び同p8 の各証言並びに同人らの陳述書(丙A6,8,9,丙B3,丙D1)においても,これに沿う供述がある。 しかしながら,p1 らは,本件刑事事件の公判段階においても特に供述調書の内容を否認することなく,E住宅第2期工事談合以外にも談合が繰り返し行われていたことを前提として任意に供述していることが認められ(甲5),恒常的に談合が繰り返されてきたかどうかという点は量刑事情としても重要な事実であることも併せ考えれば,恒常的な談合の有無についてのp1 らの供述が虚偽であるとは認められず,被告補助参加人らの上記主張は採用できない。 (ウ) なお,G工務店は,談合の事実を否定した上,落札後の本件組合に対する賦課金について,これを本件組合から請求されたことはなく,支払ったこともない旨主張し,証人p13(以下「p13」という。)もこれに沿う供述をする。 しかしながら,証拠(甲4,11,19,丙A8,証人p3)によれば,本件組合においては,一般的に落札者が1%の賦課金を納めることが慣行となっていたことが認められるところ,G工務店のみこれを免除する合理的な理由は見当たらず,証人p13 の証言を裏付ける的確な証拠もないのであって,他の関係者の供述に照らして同証言を信用することはできず,G工務店の上記主張を採用することはできない。 (3) E住宅第2期工事談合発覚前後の落札率の変化についてア認定事実後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の各事実が認められる。 (ア) 平成15年度以降E住宅第2期工事談合が発覚する前である平成19年10月以前 の落札率の変化についてア認定事実後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の各事実が認められる。 (ア) 平成15年度以降E住宅第2期工事談合が発覚する前である平成19年10月以前に熊取町で実施された指名競争入札における平均落札率は,平成15年度(74件)が97.5%,平成16年度(64件)が96.5%,平成17年度(54件)が97.7%,平成18年度(53件)が93.6%,平成19年4月1日から同年10月31日まで(26件)が92.0%であり,平成15年4月1日から平成19年10月31日まで(271件)の合計平均値は96.0%であった(甲14)。 (イ) 熊取町は,E住宅第2期工事談合が発覚した後である平成19年11月12日,本件組合及びB建設に対して2年間の指名停止措置を,F工務店,K組,M工業及びL建設に対して6か月間の指名停止措置を,その他本件組合に加入する建設業者18者に対して3か月間の指名回避措置をそれぞれ行った(甲9,16)。 (ウ) 熊取町は,同年12月11日,11件の公共工事について指名競争入札を実施したところ,上記のとおり指名停止措置等を受けた建設業者の入札参加はなく,いずれも最低制限価格と同額で落札された(甲9,14,17)。 (エ) 上記(ウ)の指名競争入札を含め,平成19年12月1日から平成20 年3月31日までに実施された指名競争入札(18件)の平均落札率は76.7%,平成20年度に実施された指名競争入札(48件)の平均落札率は80.9%であった。なお,平成20年度に実施された指名競争入札においては,全て最低制限価格で落札された(甲14)。 イ検討上記認定事実によれば,E住宅第2期工事談合の発覚前における過去約5年間の公共工事の落札率の平均は96.0%と極めて高 競争入札においては,全て最低制限価格で落札された(甲14)。 イ検討上記認定事実によれば,E住宅第2期工事談合の発覚前における過去約5年間の公共工事の落札率の平均は96.0%と極めて高い数値であった一方,E住宅第2期工事談合の発覚直後に実施され,本件組合加入業者が参加しなかった入札においてはいずれも最低制限価格で落札され,その後の平均落札率は76.7%,80.9%と大きく低下したことが認められる。 このようにE住宅第2期工事談合が発覚した平成19年10月前後で平均落札率が大きく変化したのは,E住宅第2期工事談合が発覚したことにより,本件組合を中心とする談合が不可能となった結果であり,E住宅第2期工事談合の発覚以前における高い落札率は,恒常的な談合によって維持されていたものとみるのが合理的かつ自然である。 この点,被告補助参加人らは,同月前後において社会の景気動向は変化しており,国内の景気が急激な後退傾向となったことが落札率の変化の原因である旨主張するが,仮に景気の変動があったとしても,それがわずか数か月の間に上記のような顕著な落札率の変化をもたらす原因になるとは考え難い上,平成20年度においても,落札率は一定して80%前後の低水準を保っているのであって,このような落札率の推移状況を景気変動のみによって説明することは困難である。したがって,被告補助参加人らの上記主張は採用できない。 また,被告補助参加人らは,予定価格は最も妥当性がある標準的な工法で施工するのに必要な価格であり,正常な自由競争の下では落札額が予定 価格を大きく外れることはないのであって,最低制限価格に近い価格で落札される状況が異常である旨主張する。しかしながら,本件刑事事件の供述調書において,E住宅第2期工事の入札に参加した指 価格を大きく外れることはないのであって,最低制限価格に近い価格で落札される状況が異常である旨主張する。しかしながら,本件刑事事件の供述調書において,E住宅第2期工事の入札に参加した指名業者の各代表者及び従業員が,E住宅第2期工事談合がなければ予定価格に近い金額で落札することはできず,最低制限価格で落札されていた可能性もあった旨供述していること(甲19),E住宅第2期工事を落札したB建設は,同工事を最低制限価格に近い5億6000万円で下請け業者に丸投げしていること(甲4)などに照らすと,最低制限価格に近い価格で落札されることが異常な状態であるとは認められず,被告補助参加人らの上記主張は採用できない。 (4) 本件請求対象工事に係る談合行為についての推認の可否についてア以上検討したところを総合すれば,熊取町が実施した指名競争入札において,本件組合加入業者の間で,本件組合の主導による談合が日常的・恒常的に行われていたものと認められる。このことは,本件組合加入業者が入札に参加した全ての公共工事において談合が行われたことを示すものではないが,本件組合加入業者のみが参加した入札で高い落札率で落札した工事において談合が行われたことを推認させる事実であるというべきである。そして,正常な自由競争の下では,落札価格は,たたき合いによって予定価格を相当下回る額となるのが自然であること,p1 は,本件刑事事件での供述調書において,95%以上の落札率は正に談合の結果である旨供述していること(甲4),他方で,E住宅第2期工事談合発覚後においても,90%を超え,又は90%に近い落札率で落札された公共工事も存在すること(甲14)などに照らすと,少なくとも95%以上の落札率をもって落札された工事については,談合が行われたとみて不合理でない。 90%を超え,又は90%に近い落札率で落札された公共工事も存在すること(甲14)などに照らすと,少なくとも95%以上の落札率をもって落札された工事については,談合が行われたとみて不合理でない。 したがって,本件請求対象工事のうち,本件組合加入業者のみが入札に参加し,かつ,落札率が95%以上であるものについては,落札価格が予 定価格に近づくことが合理的と認められる等の特段の事情がない限り,本件組合の主導による談合行為が存在したと推認することができると解するのが相当である。 一方,本件請求対象工事のうち,本件組合加入業者ではない業者(H及びI)が入札に参加した工事(別紙3工事一覧表の番号60,115,155,157)及び落札率が95%未満の工事(別紙3工事一覧表の番号16,20,21,23,45,48,107,140,141)については,入札参加業者において談合をしていない,又は談合が成立しなかったなどの可能性が否定できないというべきで,上記各工事について談合の存在を推認することはできない。 イ上記推認を覆す特段の事情の有無について(ア) G工務店の主張についてG工務店は,本件請求対象工事のうち,G工務店が落札した3工事(別紙3工事一覧表の番号48,55,148)について,入札金額を独自の積算によって決定しており,談合の結果落札したものではない旨主張し,上記3工事についての実施予算書(丙C1から3まで)を提出するほか,証人p13 もこれに沿う供述をする。 しかしながら,上記実施予算書は,当該工事の実行予算(実際にかかるであろう経費)について積算がされたことを示すものではあるが,最終的な入札金額(落札金額)を決定した過程については,実行予算に上乗せした利益の根拠が必ずしも明らかではないから,実施予算書の にかかるであろう経費)について積算がされたことを示すものではあるが,最終的な入札金額(落札金額)を決定した過程については,実行予算に上乗せした利益の根拠が必ずしも明らかではないから,実施予算書の存在から直ちに談合によらずに入札金額を決定したと認めることはできない。 そして,証人p13 は,G工務店が落札した上記3工事も含め,本件組合において談合がされたことは一切ない旨供述するが,証拠(甲4)によれば,平成17年5月30日から平成18年12月8日までの間に9 5%以上の高い落札率でB建設が落札した5件の工事(これらの工事については,本件刑事事件の供述調書においてp1 が談合行為の存在を認めている。)のうち3件の工事についてG工務店が入札に参加しているのであって,少なくともこれらの工事についてはG工務店が談合に協力しているものと認められるから,証人p13 の上記供述は信用することができない。 したがって,G工務店の上記主張は採用できず,落札率が95%を超える別紙3工事一覧表番号55及び148の工事について,談合があったことの推認を覆すことはできない。 (イ) その他の被告補助参加人らについてG工務店を除く被告補助参加人らは,上記特段の事情の存在について主張立証をしないから,上記特段の事情の存在は認められない。 ウ原告らの主張について(ア) 原告らは,本件請求対象工事のうち,本件組合加入業者ではないH及びIが入札に参加した4工事についても,上記2業者は町内業者であって本件組合あるいは組合員の影響力が及んでいるから,上記4工事についても談合が行われていた旨主張する。 しかしながら,H及びIが本件組合又は本件組合加入業者と特別な関係を有しているという事情は証拠上うかがわれず,本件組合に加入して いるから,上記4工事についても談合が行われていた旨主張する。 しかしながら,H及びIが本件組合又は本件組合加入業者と特別な関係を有しているという事情は証拠上うかがわれず,本件組合に加入していなければ,談合に協力することによって他の工事の落札者となるという利益を得ることはできないのであるから,本件組合加入業者でない業者が入札に参加している工事について,落札率が高いということのみから談合行為の存在を推認することはできない。 (イ) また,原告らは,本件請求対象工事のうち落札率が95%未満の工事は,本件刑事事件の捜査過程において,p1 らが談合行為の存在を認めたものである旨主張するが,本件刑事事件におけるp1 らの供述調書(甲 4)によれば,上記各工事における個別的な談合行為の存在を認めた趣旨のものとはいえず,上記供述調書のみによって談合行為の存在を認めることはできない。 (ウ) さらに,原告らは,本件請求対象工事の中には,落札率が95%未満であっても,落札価格と最高入札価格との差が極めて近接した範囲内であるなど,談合が行われたことが明らかであるものが存在する旨主張する。 しかしながら,落札価格と最高入札価格との差が近接することは,談合が行われていない場合であっても生じ得ることであり,逆に,談合が行われた場合,自然な入札が行われたように見せかけるため,あえてそれぞれの入札金額を近接させないこととすることも十分に考えられるのであるから,落札価格と最高入札価格との差が近接していることと談合行為の存在とが必ずしも結びつくものではなく,落札価格と最高入札価格との差が近接しているから談合の存在が明らかであるということはできない。 (5) 小括以上によれば,本件請求対象工事のうち,本件組合加入業者ではない業者 のではなく,落札価格と最高入札価格との差が近接しているから談合の存在が明らかであるということはできない。 (5) 小括以上によれば,本件請求対象工事のうち,本件組合加入業者ではない業者が入札に参加した工事(別紙3工事一覧表の番号60,115,155,157)及び落札率が95%未満の工事(別紙3工事一覧表の番号16,20,21,23,45,48,107,140,141)を除く工事(以下「本件談合認定工事」という。)については,本件組合の主導により,入札に参加した本件組合加入業者の間で談合が行われたものと認められる。 2 争点2(熊取町に生じた損害の有無及び額)について(1) 損害の認定についてア前記のとおり,本件談合認定工事について,本件組合が主導する談合が行われたことが認められるところ,当該談合に関与した本件相手方らは, それぞれ関与した談合に係る工事について,熊取町に対して,公正な競争の下に形成されたであろう想定落札価格と現実の落札価格との差額相当額の損害を与えたとみることができる。 もっとも,談合がなければ公正な自由競争によって形成されたであろう想定落札価格は,談合の結果,現実には形成されなかった価格であり,しかもこの想定落札価格は,当該工事の種類,規模,特殊性,地域の特性,入札参加者の数及び各業者の受注意欲・財政状況,入札当時の経済情勢等の多種多様な要因が複雑に絡み合って形成されるため,証拠に基づいて具体的に想定落札価格を認定することは極めて困難である。そうすると,本件においては,熊取町に損害が生じたことは認められるものの,損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるときに該当するといえるから,民事訴訟法248条を適用して,相当な損害額を認定するのが相当である。 イ上記の見地か じたことは認められるものの,損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるときに該当するといえるから,民事訴訟法248条を適用して,相当な損害額を認定するのが相当である。 イ上記の見地から,本件における相当な損害額を検討するに,前記認定事実(1(3)ア)のとおり,平成19年12月1日から平成20年3月31日までに実施された指名競争入札(18件)の平均落札率は76.7%,平成20年度に実施された指名競争入札(48件)の平均落札率は80. 9%であったことが認められ,このようなE住宅第2期工事談合発覚後の入札状況に照らせば,同談合発覚前後の景気動向を考慮したとしても,本件談合認定工事について,仮に談合が行われなかったならば,いずれも予定価格の80%程度に近い価格で落札された蓋然性が高いというべきである。このことに加え,本件談合認定工事の際用いられた工事請負契約書50条1項6号において,地方自治法施行令167条の4第2項2号(競争入札又はせり売りにおいて,その公正な執行を妨げたとき又は公正な価格の成立を害し,若しくは不正の利益を得るために連合したとき。)に該当した場合の賠償額の予定として,請負代金額の20%に相当する金額と 定められていること(甲31),本件談合認定工事の各入札時及びE住宅第2期工事談合発覚後における景気動向,上記のとおり想定される落札価格と実際の落札率との差等,本件に現れた一切の事情を総合考慮すると,本件談合認定工事において行われた談合により想定落札価格と実際の落札価格の差額として熊取町が被った損害(民事訴訟法248条による相当な損害額)は,本件談合認定工事の各落札価格(税抜き)の15%相当額に消費税相当額を加算した額であると認めるのが相当である。 ウこれに対し,原告らは,想定落札価格は最低制限 訟法248条による相当な損害額)は,本件談合認定工事の各落札価格(税抜き)の15%相当額に消費税相当額を加算した額であると認めるのが相当である。 ウこれに対し,原告らは,想定落札価格は最低制限価格に等しいから,熊取町に生じた損害は,落札価格(税抜き)から最低制限価格(税抜き)を差し引いた額に消費税を加算した金額である旨主張する。 しかしながら,証拠(甲14)によれば,E住宅第2期工事談合が発覚した後の指名競争入札においても,全てが最低制限価格で落札されたわけではなく,最低制限価格を超える金額で落札された工事も存在することが認められるのであって,本件談合認定工事において談合がなかったならば確実に最低制限価格で落札されていたことを認めるに足りる証拠はないから,原告らの上記主張は採用することができない。 (2) 具体的な損害額の算定以上に従い,本件談合認定工事に関して熊取町に生じた損害額を算定すれば,別紙3工事一覧表の認定損害額欄記載のとおり,合計5億5732万4775円の損害が生じていると認められる。 3 本件相手方らの責任について(1) 本件建設業者らの責任について原告らは,各工事について落札業者に対する損害賠償請求を求めているところ,上記の熊取町に生じた損害を各落札業者ごとにまとめると,別紙4相手方別工事一覧表の認定損害額欄記載のとおりとなる。したがって,本件建設業者らは,熊取町に対し,不法行為(民法709条)に基づき,それぞれ 別紙4相手方別工事一覧表の認定損害額欄及び別紙2相手方一覧表の認定額欄記載の金額の損害賠償責任を負う。 (2) p1 及びp2 の責任について前記認定のとおり,本件談合認定工事に係る談合は,いずれも本件組合加入業者の間で行われ,チャンピオン業者を決める星取り表 載の金額の損害賠償責任を負う。 (2) p1 及びp2 の責任について前記認定のとおり,本件談合認定工事に係る談合は,いずれも本件組合加入業者の間で行われ,チャンピオン業者を決める星取り表は本件組合内部の取り決めによって作成されていた。また,p1 及びp2 の指示により,p3 が設計図書等を指名業者から回収したことがあり(甲5),チャンピオン業者が作成する参考内訳書は,本件組合事務所において,チャンピオン業者又はp3から他の指名業者に渡されていたほか,p3 が参考内訳書を作成したり,p2がチャンピオン業者と一緒に,あるいはチャンピオン業者に代わってボーリングを行ったりするなど(甲4),組合ぐるみで談合が行われていたことが認められる。 そして,p1 は,本件談合認定工事に係る談合がされた各時期において,本件組合の代表理事の立場にあった者であり,その指示によって本件組合における談合のシステムが構築され,かつ運営されてきたものと認められるから,本件談合認定工事における個々の談合行為によって熊取町に生じた損害について,共同不法行為責任を負うというべきであり,その損害額は5000万円を下らないと認められる。 また,p2 は,本件談合認定工事に係る談合がされた各時期において,本件組合の専務理事の立場にあった者であり,前記認定のとおり,談合の成立を容易にするためにボーリングを行ったり,p1 からの指示に基づいて,チャンピオン業者以外の指名業者に対する入札金額の指示等を行ったりしていたというのであるから,p1 と同様,本件談合認定工事における談合を主導する立場にあった者として,本件談合認定工事における個々の談合行為によって熊取町に生じた損害について,共同不法行為責任を負うというべきであり,その損害額は4000万円を下らないと認め ける談合を主導する立場にあった者として,本件談合認定工事における個々の談合行為によって熊取町に生じた損害について,共同不法行為責任を負うというべきであり,その損害額は4000万円を下らないと認められる。 なお,本件談合認定工事における談合行為は,それぞれ工事ごとに入札参加者も異なる別個の不法行為であると解されるところ,原告らは,p1 及びp2 に対する請求額について,各工事(不法行為)ごとの請求額を明らかにしていないが,上記各工事ごとに,認定損害額に応じて請求額を按分した額をもって請求する趣旨のものと理解することができ,各工事ごとに同額をもって落札業者である本件建設業者らと不真正連帯責任を負うものと解される。 4 争点3(過失相殺の可否及びその割合)について被告補助参加人らは,仮に本件請求対象工事において談合の存在が認められるとしても,熊取町の担当職員らは談合の存在を知っていたか,当然に想像がついていたのであるから,熊取町の担当職員らには,談合をやめるよう指導監督すべき義務又は少なくとも事実調査を行うべき義務があったにもかかわらずこれを怠った過失があるから,相当の過失相殺が行われるべきである旨主張する。 確かに,本件刑事事件におけるp1 及びp2 の供述調書には,落札率の高さやボーリング作業等から,熊取町の担当職員らが談合の存在に気づかないはずがないとか,設計金額の概数を教えてもらう見返りとして,当該担当職員に対して飲食接待や現金授受等を行っていた旨の供述がある(甲4)。 しかしながら,仮にそのような事情があったとしても,本件相手方らは,自らの判断であえて談合行為という故意の不法行為に及んだものであり,これを正当化すべき事情とはなり得ない。また,熊取町に生じた損害額を過失相殺によって減ずることは があったとしても,本件相手方らは,自らの判断であえて談合行為という故意の不法行為に及んだものであり,これを正当化すべき事情とはなり得ない。また,熊取町に生じた損害額を過失相殺によって減ずることは,最終的には地方公共団体の住民の犠牲に帰するものであることにも鑑みれば,本件において,熊取町側の過失に基づいて過失相殺を行うことが損害の公平な分担の見地から妥当であるということはできない。 したがって,被告補助参加人らの上記主張を採用することはできない。 5 結論以上のとおり,本件談合認定工事に係る談合により,熊取町は,本件相手方 らに対し,それぞれ別紙2相手方一覧表の認定額欄記載の金額の損害賠償請求権を有しているところ,被告は,E住宅第2期工事談合に関する損害賠償請求を除き,現在まで本件相手方らに対して損害賠償請求権を行使していないのであって,その行使を違法に怠っているといわざるを得ない。 そうすると,原告らの請求は,主文1項の限度で理由があるからこれを認容し,その余の請求は理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第2民事部 裁判長裁判官山田明 裁判官内藤和道 裁判官徳地淳は,転補のため署名押印することができない。 裁判長裁判官山田明

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