令和6(わ)41 過失運転致死傷

裁判年月日・裁判所
令和6年6月4日 広島地方裁判所 福山支部
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判決文本文1,656 文字)

主文 被告人を禁錮3年に処する。 この裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、令和4年6月18日午後8時25分頃、普通乗用自動車を運転し、広島県福山市a町b丁目c番d号先の信号機により交通整理の行われている交差点を、同市e町方面から同市f町g丁目方面に向かい直進するに当たり、同所は道路標識等によりその最高速度が50km毎時と指定されていたのであるから、同最高速度を遵守して進行すべき自動車運転上の注意義務があるのにこれを怠り、同最高速度を遵守せず、漫然時速約120kmで進行した過失により、折から同交差点内を対向右折進行してきたA(当時63歳)運転の普通乗用自動車(軽自動車)を前方約38.5mの地点に認め、急制動の措置を講じたが間に合わず、同車左側部に自車前部を衝突させ、その衝撃により同人運転車両を右前方に逸走させて同交差点南東角付近歩道上に設置された低圧分岐箱に衝突させるとともに、同車の同乗者であるB(当時9歳)を車外に放出させて同歩道上に転倒させ、さらに、同車との衝突により倒壊した同低圧分岐箱を同歩道上に佇立していたC(当時63歳)に衝突させ、よって、上記Aに入院加療27日間を要する左腰椎横突起骨折等の傷害を、上記Cに加療約4週間を要する胸部打撲傷等の傷害を、上記Bに多発外傷の傷害をそれぞれ負わせ、同日午後10時50分頃、同市h町i丁目j番k号D病院において、同人を上記傷害により死亡させた。 (証拠の標目)省略(法令の適用)罰条被害者ごとに自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律5条本文 科刑上一罪の処理刑法54条1項前段、10条(1罪として犯情の最も重い過失運転致死罪の刑で処断) 被害者ごとに自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律5条本文 科刑上一罪の処理刑法54条1項前段、10条(1罪として犯情の最も重い過失運転致死罪の刑で処断)刑種の選択禁錮刑を選択刑の執行猶予刑法25条1項(量刑の理由)本件は、被告人が、交差点を直進する際、指定最高速度を超過して交差点に進入し、交差点を右折進行しようとした対向車と衝突し、対向車の同乗者1名を死亡させ、対向車の運転手及び交差点付近に居合わせた者を負傷させたという事案である。 被告人は、最高速度を遵守して自動車を進行させるという自動車運転者としての基本的な注意義務を怠り、指定最高速度の2倍以上の速度で自動車を走行させたものであり、過失の程度は大きい。当時9歳の被害者1名を死亡させ、被害者2名に判示の重傷を負わせたという結果は誠に重大である。死亡した被害者の家族の悲しみは深く、その処罰感情が厳しいのも当然である。被告人には速度超過の交通違反歴もあり、交通規範意識が低いこともうかがわれる。これらの事情からは、本件は、実刑の選択も視野に入る事案であるといえなくもない。他方で、本件は、弁護人が指摘するとおり、交差点を右折するに当たり、対向直進してくる車両を十分に確認しなかったことなどの対向車側の事情も結果に影響を及ぼしているとみることができるから、被告人の過失に対しては厳しい非難は免れないとしても、被告人を直ちに実刑に処することは躊躇される。 これらに加えて、被告人が公訴事実を認めていること、任意保険による損害の填補が将来見込まれること、被告人の妻が証人として出廷して被告人の監督等を約束していること、被告人にはこれまでに前科がないことなどの事情を考慮すると、被告人に対しては、主文の刑を量定するとともに、法 補が将来見込まれること、被告人の妻が証人として出廷して被告人の監督等を約束していること、被告人にはこれまでに前科がないことなどの事情を考慮すると、被告人に対しては、主文の刑を量定するとともに、法律上最長の期間を定めてその刑の執行を猶予するのが相当である。(求刑・禁錮3年)令和6年6月4日広島地方裁判所福山支部 裁判官松本英男

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