主文 1 本件各控訴をいずれも棄却する。 2 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実 及び理由第1 控訴の趣旨 1 原判決を次のとおり変更する。 2 被控訴人は,控訴人Aに対し,3070万0810円及びこれに対する平成10年4月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被控訴人は,控訴人Bに対し,3384万0883円及びこれに対する平成10年4月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 訴訟費用は第1,2審とも被控訴人の負担とする。 5 仮執行宣言第2 事案の概要以下,略称については,原判決のそれに従う。 1 請求,争点及び各審級における判断の各概要本件(平成19年6月19日訴え提起)は,被控訴人に懲戒解雇された(本件各懲戒解雇)ものの,判決により解雇無効が確定して復職した控訴人らが,被控訴人に対し,控訴人らを解雇したこと及び控訴人らの社会保険資格等の回復措置ないし適切な説明を怠ったことが債務不履行ないし不法行為を構成すると主張して,債務不履行ないし不法行為に基づき,損害賠償金及びこれに対する不法行為の日である平成10年4月10日からそれぞれ支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 本件の主たる争点は,(1)本件各懲戒解雇が債務不履行ないし不法行為を構成するか,(2)被控訴人が控訴人らの年金資格を遡及回復させなかったことないし資格回復方法等について適切な説明を行わなかったことが債務不履行ないし不法行為を構成するか,(3)控訴人らの損害の3点である。 原判決(平成21年9月28日言渡し)は,争点(1)につき,本件各懲戒解雇が控訴人らに対する債務不履行ないし不法行為を構成するとはいえない旨の,争点(2) )控訴人らの損害の3点である。 原判決(平成21年9月28日言渡し)は,争点(1)につき,本件各懲戒解雇が控訴人らに対する債務不履行ないし不法行為を構成するとはいえない旨の,争点(2)につき,被控訴人は,控訴人らに対し,社会保険の被保険者資格等の回復方法及びその利害得失等について具体的に説明する義務を負っていたところ,これを怠った過失があり,債務不履行ないし不法行為に基づき,これにより控訴人らの被った損害を賠償する義務を負う旨の,争点(3)につき,控訴人らは,解雇時に遡って加入していた場合に得られた年金額と復職時に再加入したことにより得られた年金額との差額分の損害を被ったものであり,その損害額は控訴人Aにつき9万7991円,控訴人Bにつき92万0194円とそれぞれ認められ,また,弁護士費用は控訴人Aにつき1万円,控訴人Bにつき9万円がそれぞれ相当である旨の各判断をして,控訴人Aの請求を,被控訴人に対し,10万7991円及びこれに対する不法行為日である平成17年10月20日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で,控訴人Bの請求を,被控訴人に対し,101万0194円及びこれに対する不法行為日である平成17年10月20日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で,いずれも認容し,その余はいずれも理由がないとして棄却した。 これに対し,控訴人らがそれぞれ自己の敗訴部分に関する判断を不服として本件各控訴に及んだものであるが,本判決は,原判決と同旨の判断をしてこれらをいずれも棄却するものである。 2 前提事実この点は,以下のとおり付加・訂正するほかは,原判決2頁19行目から4頁8行目までに記載のとおりであるから,これを,ここに引用する。 (1) 原判決3 れも棄却するものである。 2 前提事実この点は,以下のとおり付加・訂正するほかは,原判決2頁19行目から4頁8行目までに記載のとおりであるから,これを,ここに引用する。 (1) 原判決3頁23行目の「当庁」を「宮崎地方裁判所」と改める。 (2) 原判決4頁2行目の「上告した」を「上告及び上告受理の申立てをした」と,3行目の「上告が棄却され」を「上告棄却及び上告審として事件を受理 しない旨の決定がされ」とそれぞれ改める。 3 当事者の主張の骨子この点は,以下のとおり付加・訂正するほかは,原判決4頁9行目から11頁15行目までに記載のとおりであるから,これを,ここに引用する。 (1) 原判決4頁22行目の次に行を改め「 そもそも,控訴人らが入手した顧客の信用情報は,被控訴人の全従業員が自由にアクセスできるものであり,控訴人らは,自己の業務を遂行する上で必要な顧客の信用情報を入手したにすぎず,かかる信用情報について被控訴人の占有を侵害したものではない。仮に被控訴人に対する占有侵害が観念し得るとしても,控訴人らが入手した信用情報ないしこれが転載された用紙は財物性の要件を充たさないものであり,本件情報収集行為は窃盗罪の客観的構成要件に該当しないか,あるいは可罰的違法性がないというべきである。仮に,本件情報収集行為が窃盗罪の客観的構成要件に該当し得るとしても,控訴人らには不法領得の意思はない。したがって,控訴人らが顧客の信用情報を入手した行為は,本件就業規則75 条2 項4 号の「窃盗」には当たらない。」を,25行目の次に行を改め「(ウ) 原判決は,控訴人らが入手した情報の管理を怠った旨説示するが,そのような事実はなく,仮に控訴人らに情報管理につき過失があったとしても,過失行為が本件就業規則75 条2 項11 行を改め「(ウ) 原判決は,控訴人らが入手した情報の管理を怠った旨説示するが,そのような事実はなく,仮に控訴人らに情報管理につき過失があったとしても,過失行為が本件就業規則75 条2 項11 号所定の懲戒解雇事由に当たらないことは,別件解雇訴訟の控訴審判決が判示するとおりであるから,控訴人らの行為は,同号の懲戒解雇事由には該当しない。」を加え,26行目の「(ウ)」を「(エ)」と改める。 (2) 原判決5頁18行目の次に行を改め「エ Cへの情報提供について原判決は,本件各懲戒解雇が債務不履行ないし不法行為を構成するか 否かについての判断において,控訴人AのCに対する情報提供の事実を一事情として考慮している。しかしながら,被控訴人が控訴人らに送付した解雇通知書(甲83 の1,2)によれば,本件各懲戒解雇の事由は,控訴人らがDに重要機密書類を流出させた行為が,本件就業規則75 条2項4 号,同8 号及び同11 号に該当するというものであるから,上記Cへの情報提供の事実は,本件各懲戒解雇事由とは無関係である。しかも,上記事実は,本件各懲戒解雇の当時,被控訴人において明らかになっていなかった。したがって,本件各懲戒解雇が債務不履行ないし不法行為を構成するか否かについての判断において,上記事実を考慮することは許されないというべきである。」を加える。 (3) 原判決6頁17行目の「(なお,」から19行目末尾までを削る。 (4) 原判決7頁22行目の「(なお,」から24行目末尾までを削る。 第3 当裁判所の判断この点は,以下のとおり付加・訂正するほかは,原判決11頁17行目から33頁7行目までに記載のとおりであるから,これを,ここに引用する。 1 原判決11頁19行目の「,43」を削る。 2 原判決12頁4行目の「 のとおり付加・訂正するほかは,原判決11頁17行目から33頁7行目までに記載のとおりであるから,これを,ここに引用する。 1 原判決11頁19行目の「,43」を削る。 2 原判決12頁4行目の「なお」から6行目末尾まで,11行目及び20行目の「,43」をそれぞれ削る。 3 原判決14頁10行目の「,43」を削り,25行目の「平成10 年3 月26 日」を「平成10 年3 月24 日」と改める。 4 原判決15頁5行目から6行目にかけての「見覚えのないものもある」の後に「,車のドアが壊され資料がなくなったと思ったことが2度ほどあった」を加え,16行目から17行目にかけての「平成10 年4 月10 日」を「平成10年4 月9 日,常勤理事会において」と改め,18行目の「決議し」の後に「,翌10 日」を加え,22行目の「乙25」を「乙25,26」と改める。 5 原判決17頁17行目の「(ちなみに,」から18行目から19行目にかけての「含まれている。)」までを削る。 6 原判決18頁1行目冒頭から11行目末尾までを削り,12行目の「また」の後に「,上記1認定事実のとおり」を加え,同行目の「,原告らが」から13行目の「怠ったため」までを削り,同行目から14行目にかけての「受けていたものである」を「受けていたものであるところ,本件持込文書の中に本件各信用情報の一部が含まれていること及び当該信用情報は控訴人らによりオンライン端末機から取得されたものであることが判明したこと,Dから文書提供者が不安に感じているとして調査を止めるよう求められたことから,控訴人らがDに対して本件持込文書を提供したのではないかとの疑いを抱き,その後の本件委員会による調査の結果も踏まえて,本件持込文書の外部流出については控訴人らが関与しており,控訴人らが本件就業 ら,控訴人らがDに対して本件持込文書を提供したのではないかとの疑いを抱き,その後の本件委員会による調査の結果も踏まえて,本件持込文書の外部流出については控訴人らが関与しており,控訴人らが本件就業規則75 条2 項8 号(業務上の重要な機密を他に漏らしたとき)の懲戒解雇事由に該当する行為を行ったとの判断に至ったことは,相当の根拠に基づくものであったといえる」と,24行目の「原告らの」から26行目末尾までを「被控訴人において,控訴人らが本件就業規則75 条2 項11 号(その他職務の内外を問わず,金庫の名誉と信用を著しく失墜し,若しくは取引関係に悪影響を与える行為があったとき)に該当する行為を行ったとの判断に至ったことも,相当の根拠に基づくものであったといえる。」とそれぞれ改める。 7 原判決20頁2行目冒頭から4行目の「しかしながら」までを「(ア) 控訴人らは,控訴人らの行為は,本件就業規則75 条2 項4 号,同8号及び同11 号所定の懲戒解雇事由に該当するどころか,同条1 項の規定に照らし,出勤停止にとどまる行為にすぎない上,被控訴人の過去の処分例に照らしても,本件各懲戒解雇は著しく不相当な処分である旨主張する。 しかしながら,控訴人らが権限なく被控訴人の機密情報(本件各信用情報及び本件各管理文書)を入手し,これを外部に持ち出した行為は本件就 業規則75 条2 項4 号に該当し得るものであり,また,被控訴人において,控訴人らが同8 号及び同11 号に該当する行為を行ったとの判断に至ったことが,相当の根拠に基づくものであったことは,前記アに説示のとおりである上」と,5行目から6行目にかけての「原告らの本件情報収集行為及び第三者への過失による流出行為」を「本件各懲戒解雇の事由とされた控訴人らの行為」と,19行目から2 は,前記アに説示のとおりである上」と,5行目から6行目にかけての「原告らの本件情報収集行為及び第三者への過失による流出行為」を「本件各懲戒解雇の事由とされた控訴人らの行為」と,19行目から20行目にかけての「原告らが被告の機密情報の流出に関与したことを把握していた」を「被控訴人の機密情報が外部に流出していることを把握するとともに,控訴人らが上記流出に関与しているとの疑いを抱くに至った」とそれぞれ改める。 8 原判決22頁8行目から9行目にかけての「及び機密情報の過失による外部流出行為」を削る。 9 原判決25頁15行目の「(被保険者資格等の」から17行目の「認められない。)」までを削り,同行目の「もってしても」の後に「,被控訴人が控訴人らに対し,被保険者資格等の回復に必要な金額及び回復により得られる年金額等,各加入方法の利害得失について具体的に説明を行っていたとは認められず」を加える。 原判決27頁24行目から25行目にかけての「特別支給の」を削る。 11 原判決28頁6行目及び17行目の「393 万1313 円」を「393 万1312 円」と,24行目の「3,931,313」を「3,931,312」とそれぞれ改める。 12 原判決31頁4行目から5行目にかけての「特別支給の」を削る。 第4 結論よって,当裁判所の上記判断と同旨の原判決は相当であり,本件各控訴はいずれも理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。 福岡高等裁判所宮崎支部 裁判長裁判官横山秀憲 裁判官川崎聡子 裁判官山口和宏 裁判官 川崎聡子 裁判官 山口和宏
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