平成22(行ケ)10236 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成23年3月23日 知的財産高等裁判所 3部 判決 請求棄却
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平成23年3月23日判決言渡平成22年(行ケ)第10236号審決取消請求事件平成23年2月28日口頭弁論終結判決 原告 X 被告特許庁長官 指定代理人溝本安展同吉村博之同千葉輝久同田部元史同小林和男 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求特許庁が不服2008-25792号事件について平成22年5月24日にした審決を取り消す。 第2 争いのない事実 1 特許庁における手続の経緯原告は,平成19年8月12日,発明の名称を「音楽と一体化した形式でメールを画面に表示する方法」とする発明について,特許出願(特願2007-210584。優先権主張平成19年2月5日,同月6日。平成20年9月18日出願公開, 特開2008-216965。以下「本願」という。)をしたが,平成20年3月31日付けで拒絶理由通知を受け,同年6月19日付けで意見書及び手続補正書を提出したが,同年8月15日付けで拒絶査定を受けたので,同年10月7日,これに対する不服の審判(不服2008-25792号事件)を請求するとともに,手続補正書を提出した(以下「本件補正」という。)。 特許庁は,平成22年5月24日,本件補正を却下の上,「本件審判の ,これに対する不服の審判(不服2008-25792号事件)を請求するとともに,手続補正書を提出した(以下「本件補正」という。)。 特許庁は,平成22年5月24日,本件補正を却下の上,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(以下「審決」という。)をし,その謄本は,同年6月27日に原告に送達された。 2 特許請求の範囲本件補正による補正前(平成20年6月19日付け手続補正後)の本願の特許請求の範囲,明細書及び図面(甲2。以下,これを「本願明細書」という。)の特許請求の範囲の請求項1及び2の記載は次のとおりである(以下,請求項2記載の発明を「本願発明」という。また,本願の特許請求の範囲の記載の請求項1,2を,順に「本願の請求項1」,「本願の請求項2」という場合がある。)。 「【請求項1】音楽再生の開始情報を受けて,一つの音楽のすべてのパート(フレーズ又はフレーズの集合)について,パートの順番,パート毎の歌詞及びパート毎の演奏時間の電子情報をコンピュータのデータテーブルに読み込み,当該データテーブルから音楽のパート順に歌詞を画面に出力すると同時に表示時間を計測してパート毎の演奏時間に等しくなるまで歌詞を表示するプログラム(音楽と同期して歌詞を表示するプログラム)における,パート毎の歌詞に相当する文章をコンピュータの文書入力機能を用いてメールといった当該音楽と関係しない独自に作成した文章に編集するプログラム(歌詞を独自の文章に編集するプログラム)により編集し,編集後の電子情報を用いて音楽と同期して歌詞を表示するプログラムを実行することにより,音楽をBGMとしながら独自の文章をパート毎に音楽と同期して画面に表示する方法【請求項2】音楽と同期して歌詞を表示するプログラム及び歌詞を独自の文章に編 集するプログラムを組み込 より,音楽をBGMとしながら独自の文章をパート毎に音楽と同期して画面に表示する方法【請求項2】音楽と同期して歌詞を表示するプログラム及び歌詞を独自の文章に編 集するプログラムを組み込み,両方のプログラムを実行して,音楽再生に合わせて音楽と同期した歌詞を表示しながら同じ画面に文章を編集する画面を表示する機能及び音楽と同期して歌詞を表示するプログラムにおいて元の歌詞と独自の文章を選択するコード(訳詞コード)の入力機能を有する電子機器」 3 審決の理由(1) 別紙審決書写しのとおりであり,その判断の概要は,次のとおりである。 ア本件補正は,特許請求の範囲の減縮に該当せず,特許法17条の2第5項所定の要件を充足しないので,同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきである。 イ本願発明は,本願の優先権主張日前に頒布された刊行物である特開2003-177766号公報(甲1。以下「引用例」という。)に記載された発明(以下「引用発明」という。)に基づいて,当業者が容易に発明することができたものであるから,同法29条2項の規定により,特許を受けることができない。 特許出願は,特許請求の範囲に記載された請求項に係る発明のいずれか一つにおいて,拒絶の理由が存在する場合,当該特許全体として,特許を受けることができないから,本願の請求項1について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきである。 (2) 上記判断に際し,審決が認定した引用発明の内容並びに本願発明と引用発明との一致点及び相違点は,以下のとおりである。 ア引用発明の内容歌詞入力画面には,楽譜に対応したオリジナルの歌詞,該楽譜に対応する歌詞を新たに入力するための歌詞入力部が表示され,歌詞入力の際に,前記歌詞入力画面に表示された楽譜の前 ア引用発明の内容歌詞入力画面には,楽譜に対応したオリジナルの歌詞,該楽譜に対応する歌詞を新たに入力するための歌詞入力部が表示され,歌詞入力の際に,前記歌詞入力画面に表示された楽譜の前後1小節分を含む範囲で該曲のカラオケ演奏を行い,ユーザはオリジナル歌詞表示や曲のつながりや流れを参考にして歌詞入力部に新たに歌詞を順次入力していくことで,該曲に対しての歌詞作成を行い,歌詞選択画面には,楽譜に対応した各ユーザが作成した歌詞が,それぞれの歌詞 に対応して表示される記号と共に表示され,ユーザはそれぞれの歌詞に対応して表示される記号を指定することによって歌詞選択を行う作詞支援装置及びそれに用いる作成支援プログラムイ一致点音楽と同期して歌詞を表示するもの及び歌詞を独自の文章に編集するものであって,音楽再生に合わせて音楽と同期した歌詞を表示しながら同じ画面に文章を編集する画面を表示する機能及び独自の文章を選択するコード(訳詞コード)の入力機能を有する電子機器ウ相違点(ア) 相違点a音楽と同期して歌詞を表示する機能及び歌詞を独自の文章に編集する機能を,本願発明では,それぞれ個別の「プログラム」としたものであって,表示する機能は「その両方を実行」することで実現され,入力機能は音楽と同期して歌詞を表示するプログラムにおいて実現されるのに対し,引用発明ではその点特定されていない点。 (イ) 相違点b入力機能における選択に際し,本願発明は,独自の文章と「元の歌詞」とを選択するものであるのに対し,引用発明は各ユーザが作成した歌詞の選択である点。 第3 当事者の主張 1 審決の取消事由に係る原告の主張審決は,(1) 本願発明と引用発明との一致点の認定の誤り(取消事由1),(2)本願発明 発明は各ユーザが作成した歌詞の選択である点。 第3 当事者の主張 1 審決の取消事由に係る原告の主張審決は,(1) 本願発明と引用発明との一致点の認定の誤り(取消事由1),(2)本願発明と引用発明との相違点を看過した誤り(取消事由2),(3) 容易想到性の判断の誤り(取消事由3),(4) 本願発明の効果に関する認定の誤り(取消事由4),(5) 本願の請求項1について検討しなかった判断の誤り(取消事由5)があり,これらの誤りは,審決の結論に影響を及ぼすから,審決は取り消されるべきで ある。 (1) 本願発明と引用発明との一致点の認定の誤り(取消事由1)審決は,本願発明と引用発明について,「音楽と同期して歌詞を表示するもの及び歌詞を独自の文章に編集するものであって,音楽再生に合わせて音楽と同期した歌詞を表示しながら同じ画面に文章を編集する画面を表示する機能及び独自の文章を選択するコード(訳詞コード)の入力機能を有する電子機器」であることを一致点として認定した。 しかし,審決の一致点の認定は誤りである。すなわち,ア 「独自の文章を編集する」点について,引用発明は,楽譜の小節を単位として音符と関係づけて編集を行うのに対し,本願発明では音符とは無関係に編集するものであり,編集方法において異なる。 したがって,審決は,上記の点を一致点と認定した誤りがある。 イ 「歌詞を表示しながら同じ画面に文章を編集する画面を表示する機能」について,引用発明では電子機器の画面表示が1箇所である(編集部分のみの画面表示で静的な表示であり,本願発明における動的な表示に相当するものがない)のに対して,本願発明では編集中のパートの静的な表示(音楽演奏と連動しない編集中のパートの歌詞表示)と音楽の全パートの動的な表示(音楽演奏と同期した ,本願発明における動的な表示に相当するものがない)のに対して,本願発明では編集中のパートの静的な表示(音楽演奏と連動しない編集中のパートの歌詞表示)と音楽の全パートの動的な表示(音楽演奏と同期した歌詞をパート毎に順次表示)を画面の2箇所で表示するものであり,表示内容が異なる。 また,参照用の画面に表示する内容について,引用発明では編集部分の楽譜と元の歌詞であるのに対し,本願発明では音楽全体の各パートの歌詞と編集部分のパート番号とパート毎の歌詞であり,表示内容において相違する。 したがって,審決は,「歌詞を表示しながら同じ画面に文章を編集する画面を表示する機能」を一致点と認定した誤りがある。 (2) 本願発明と引用発明との相違点を看過した誤り(取消事由2)審決は,本願発明と引用発明の対比につき,以下の相違点を看過した誤りがある。 ア文章編集中に編集部分を参照するための音楽について,引用発明では一つの パートの編集中に再生する音楽の範囲はその前後数小節に限られ,その範囲を繰返し再生するものであり,全パート(音楽全体)について再生しても,前後1小節を含めて再生するため音楽は断続的となり,元の音楽とは異なるものとなるが,本願発明では音楽の最初のパートからパート毎の表示時間経過後は次のパートを自動的に表示する方法により,音楽全体を連続して再生する点において相違する。 イ参照する音楽について,引用発明では音楽と同期して歌詞を表示するものではないが,本願発明では音楽と同期して歌詞を表示するものである点において相違する。 (3) 容易想到性の判断の誤り(取消事由3)本願発明と引用発明とは,課題解決方法及び効果等において相違するから,本願発明が引用発明から容易想到とした審決の判断は,誤りである。すなわち,ア本願発明の課 易想到性の判断の誤り(取消事由3)本願発明と引用発明とは,課題解決方法及び効果等において相違するから,本願発明が引用発明から容易想到とした審決の判断は,誤りである。すなわち,ア本願発明の課題は,音楽全体の中でどのパートにおいてメールの文章を同期表示するかを選択する際にその判断を容易にするために,編集中のパート番号と歌詞の静的な画面表示や音楽と同期して動的に表示される歌詞を,画面の2箇所に表示するもので,部分的な理解ではなく音楽全体のパートの理解をすすめるものである。なお,本願発明において,同期表示する対象は,本願の請求項1の記載から,メールの文章といった音楽に関係しない独自に作成した文章と理解されるのであり,引用発明において表示される音楽の一部を構成する文章とは異なるものである。 他方,引用発明の課題は,作詞支援や替え歌という音楽に関する創作支援であり,音楽の数小節単位で音符と関係づけて当該部分の前後をリピートして再生して部分毎に音楽の理解をすすめるものである。 したがって,両者は,課題解決方法において相違する。 イ本願発明は,音楽を聴きながら当該音楽と同期したメールなどの文章を表示するもので,同期する音楽パートは間奏部を含めた音楽全体の中からユーザが任意に選択することを課題の一つとする。そして,パート番号を用いることで歌詞のない間奏部についても,パート番号が画面表示される間に流れる音楽が当該パートの 音楽と理解することができ,歌詞のない音楽パートを可視化することにより,課題の解決を図るものである。なお,本願発明における「音楽と同期して歌詞を表示するプログラム」及び「歌詞を独自の文章に編集するプログラム」は,本願の請求項1に記載された各プログラムを指す。 他方,引用発明においては,音楽パートを仮に数小節ととらえ 「音楽と同期して歌詞を表示するプログラム」及び「歌詞を独自の文章に編集するプログラム」は,本願の請求項1に記載された各プログラムを指す。 他方,引用発明においては,音楽パートを仮に数小節ととらえるとしても,パート番号に相当するものがなく,楽譜のみの表示となる。 以上のとおり,本願発明は,引用発明から容易に想到できたものとはいえない。 ウ本願発明は,音楽演奏と同期して順次パート毎の歌詞を表示するとともに編集中のパート番号及び歌詞を同一画面に表示する機能を有するものであり,音楽パートの理解を促すという進歩性を有するものであり,本願発明の訳詞コードは,音楽と同期して歌詞を表示するプログラムを実行する際に,表示する文章について歌詞と編集後の文章を切り替えるものであって,同技術も,引用発明から容易に想到することはできない。 (4) 本願発明の効果に関する認定の誤り(取消事由4)本願発明には,以下の顕著な効果があるから,本願発明の効果が引用発明から想定される範囲を超えるものでないとした審決の判断に誤りがある。 すなわち,音楽パート(メロディや詞をいい,前後のパートとの関係を含む。)を理解するとき,歌詞カードなど全体的に歌詞を表示するものを見ながら音楽を聴く,或いは,メロディを口ずさんで歌詞を順次追うなどしないと,パートの歌詞を断片的に読むのみでは困難である。パート毎の歌詞を独自の文章に編集する際も同様であるが,携帯電話などの小画面では,歌詞全体を一度に表示することが物理的に難しいという問題がある。そこで,本願発明は,携帯電話などの画面に対応できるよう,パート単位で歌詞などをコンパクトに表示するために歌詞表示の方法について静的表示と動的表示の2つを同時に表示し,2つの歌詞表示とパート番号をもとに音楽パートについての理解をすすめることとし るよう,パート単位で歌詞などをコンパクトに表示するために歌詞表示の方法について静的表示と動的表示の2つを同時に表示し,2つの歌詞表示とパート番号をもとに音楽パートについての理解をすすめることとしたものである。 したがって,本願発明は,画面2箇所に表示される歌詞が一致する間に流れる音 楽が当該パートであることを明確に示し,歌詞と合わせてパート番号を表示することで,携帯電話などの小画面で音楽パートの理解をすすめることができるという,引用発明にない顕著な効果を有するから,本願発明の効果について,引用発明から想定される範囲を超えるものでないとした審決の認定は誤りである。 (5) 本願の請求項1について検討しなかった判断の誤り(取消事由5)審決は,本願の請求項1について検討するまでもなく,拒絶すべきと判断した。 しかし,審決の判断は誤りである。 すなわち,本願発明は,音楽と同期して歌詞を表示するプログラムを用いて音楽演奏に合わせて順次流れるパート毎の歌詞と編集中のパート番号と歌詞を同一画面に表示する機能を有する電子機器という物自体の発明で,音楽パートの理解をすすめるという進歩性を有するものである。主に請求項1はソフトウェアを用いた方法,請求項2はそれをハードウェアにより具体的に実現するものであり,請求項1も含めて,音楽と一体化してメールの文章を表示することで,メールの付加価値を高めるという顕著な効果作用を奏するものである。 したがって,審決は,本願の請求項1について検討しなかった判断の誤りがある。 2 被告の反論原告の主張する取消事由は,以下のとおり,いずれも理由がなく,審決に取り消されるべき違法はない。 (1) 取消事由1(本願発明と引用発明との一致点の認定の誤り)に対しア原告は,「『独自の文章を編集する』点につ 消事由は,以下のとおり,いずれも理由がなく,審決に取り消されるべき違法はない。 (1) 取消事由1(本願発明と引用発明との一致点の認定の誤り)に対しア原告は,「『独自の文章を編集する』点について,引用発明は,楽譜の小節を単位として音符と関係づけて編集を行うのに対し,本願発明では音符とは無関係に編集するものであり,編集方法は異なる。」と主張する。 しかし,原告の主張は,以下のとおり失当である。 すなわち,本願の請求項2には,文章の編集に関して,「歌詞を独自の文章に編集するプログラム」及び「音楽再生に合わせて音楽と同期した歌詞を表示しながら同じ画面に文章を編集する画面を表示する機能」と記載されている。そして,「音 楽再生に合わせて音楽と同期した歌詞を表示しながら同じ画面に文章を編集する画面を表示する機能」については,文章の編集と歌詞の表示を同じ画面に表示するに当たり,歌詞は音楽と同期して表示されるものであるから,間接的とはいえ文章の編集と音楽との関係が示唆されていると捉えることができる。また,音楽がメロディ(旋律),リズム,ハーモニー(和音)をその構成要素として有し,音符を用いてこれらメロディ(旋律),リズム,ハーモニー(和音)を表現(表示)することは自明であるから,音楽と音符は一体不可分であり,音楽と同期するということは,音符の動きに合わせることといえる。そうすると,本願発明の「音楽再生に合わせて音楽と同期した歌詞を表示しながら同じ画面に文章を編集する画面を表示する機能」は,文章の編集と音符との関係を示唆したものと理解できる。 また,本願明細書の段落【0009】には,「図4は,・・・画面上部に音楽と同期した歌詞を順次表示することで文章編集作業の中で編集中のパートが音楽のどの部分であるかをわかりやすくするためのもので, また,本願明細書の段落【0009】には,「図4は,・・・画面上部に音楽と同期した歌詞を順次表示することで文章編集作業の中で編集中のパートが音楽のどの部分であるかをわかりやすくするためのもので,音楽と同期して歌詞を表示するプログラム及び歌詞を独自の文章に編集するプログラムを組み込み,図6の照合エリアで訳詞コードの選択をするためのキーを入力する機能を有する電子機器である。」と記載されている。 したがって,本願発明について,文章の編集を「音符とは無関係に編集するものであ」ることを前提とする原告の主張は失当である。 イ(ア) 原告は,「『歌詞を表示しながら同じ画面に文章を編集する画面を表示する機能』について,引用発明では電子機器の画面表示が1箇所であるのに対して,本願発明では編集中のパートの静的な表示と音楽の全パートの動的な表示を画面の2箇所で表示するものであり,表示内容が異なる。」と主張する。 しかし,原告の上記主張は,以下のとおり失当である。 すなわち,引用例(甲1)の段落【0050】の記載からすると,引用発明は,「作詩対象としての曲に関する楽譜と,該楽譜に対応したオリジナルの歌詞」を表示しながら,同じ画面に「該楽譜に対応する歌詞を新たに入力するための歌詞入力 部」を表示するもの,換言すると,画面の2箇所で表示するものと認められる。したがって,引用発明と本願発明とは,格別相違するものとはいえない。 また,引用例の段落【0051】及び【0041】の記載によると,引用発明は,「歌詞入力の際に該曲のカラオケ演奏を行う場合には,停止指示があるまで該歌詞入力画面に表示された楽譜の前後1小節分を含む範囲でカラオケ演奏を繰り返し行う」ことから,音楽再生に合わせて音楽と同期した歌詞を表示しながら同じ画面に歌詞入力画面を表示するものであ があるまで該歌詞入力画面に表示された楽譜の前後1小節分を含む範囲でカラオケ演奏を繰り返し行う」ことから,音楽再生に合わせて音楽と同期した歌詞を表示しながら同じ画面に歌詞入力画面を表示するものであって,それにより,「ユーザは実際に曲を聞きながら作詞を行うことができるので,曲イメージにあった歌詞を生成することができるようになる」ものと認められる。そうすると,引用発明は,歌詞入力の際に,歌詞入力画面に表示された楽譜の前後1小節分を含む範囲で該曲のカラオケ演奏を行うものであるから,「歌詞入力画面」で表示される歌詞は,曲のカラオケ演奏に合わせて曲と同期して表示されているといえる。 したがって,引用発明では電子機器の画面表示が1箇所であることを前提として,本願発明と表示内容が異なるとする原告の主張は失当である。 (イ) 原告は,「参照用の画面に表示する内容について,引用発明では編集部分の楽譜と元の歌詞であるのに対し,本願発明では音楽全体の各パートの歌詞と編集部分のパート番号とパート毎の歌詞であり,表示内容が異なる。」と主張する。 しかし,本願の請求項2には,「音楽全体の各パートの歌詞」,「編集部分のパート番号」及び「パート毎の歌詞」を表示することは記載されていないから,原告の主張は,請求項2の記載に基づくものでなく,失当である。 (2) 取消事由2(本願発明と引用発明との相違点を看過した誤り)に対しア原告は,「文章編集中に編集部分を参照するための音楽について,引用発明では一つのパートの編集中に再生する音楽の範囲はその前後数小節に限られ,その範囲を繰返し再生するものであり,全パート(音楽全体)について再生しても,音楽は断続的となり,元の音楽とは異なるものとなるのに対し,本願発明では音楽の最初のパートからパート毎の表示時間経過後は次の 範囲を繰返し再生するものであり,全パート(音楽全体)について再生しても,音楽は断続的となり,元の音楽とは異なるものとなるのに対し,本願発明では音楽の最初のパートからパート毎の表示時間経過後は次のパートを自動的に表示する方法 により,音楽全体を連続して再生する点において相違する」旨を主張する。 しかし,原告の主張は,以下のとおり失当である。 本願の請求項2には,文章編集中に編集部分を参照するための音楽に関して,「音楽再生に合わせて音楽と同期した歌詞を表示しながら同じ画面に文章を編集する画面を表示する機能」と記載されているが,その音楽の再生について,再生する範囲が音楽全体であるのか部分的であるのか特定はなく双方を包含するものといえるから,再生する音楽の範囲の違いは,相違点とはなり得ない。なお,原告は,「本願発明では音楽の最初のパートからパート毎の表示時間経過後は次のパートを自動的に表示する方法により,音楽全体を連続して再生するものである」と主張するが,請求項2に係る発明の認定に当たり,請求項1の記載に基づいて解釈することは許されず,原告の主張は失当である。 また,引用例(甲1)の段落【0039】ないし【0042】,及び,図7の記載,特に段落【0042】の「ステップS43では,楽譜及び歌詞のデータを小節単位に進める。・・・小節単位に歌詞入力画面に表示する楽譜や歌詞を進めていくことによって,小節単位にユーザ作成の歌詞を記録することができるようになっている。・・・なお,歌詞入力は小節単位に限らず,複数小節単位で歌詞入力できるものであってもよいことは言うまでもない。」の記載によると,歌詞入力を小節単位(複数小節単位)に順次進めていくことから,その曲(音楽)全体にわたって曲(音楽)を聞きながら作詞を行うことができるのであり,引用発明 もよいことは言うまでもない。」の記載によると,歌詞入力を小節単位(複数小節単位)に順次進めていくことから,その曲(音楽)全体にわたって曲(音楽)を聞きながら作詞を行うことができるのであり,引用発明においても音楽全体について再生するといえる。したがって,「引用発明では4小節という限られた範囲を繰返し再生するものであるが,本願発明では音楽全体について再生するものである点が相違する」との原告の主張は失当である。 イ原告は,「参照する音楽について,引用発明では音楽と同期して歌詞を表示するものではないが,本願発明では音楽と同期して歌詞を表示するものである点で相違する。」と主張する。 しかし,原告の主張は失当である。 上記(1) イのとおり,引用発明も音楽と同期して歌詞を表示するものであり,本願発明と相違しないから,原告の主張は失当である。 (3) 取消事由3(容易想到性の判断の誤り)に対し原告は,本願発明と引用発明とは,課題解決方法及び効果等に相違があり,本願発明が引用発明から容易想到とした審決の判断は誤りである,と主張する。 しかし,原告の主張は,以下のとおり理由がない。すなわち,ア原告は,「引用発明の課題は,作詞支援や替え歌という音楽に関する創作支援であり,音楽の数小節単位で音符と関係づけて当該部分の前後をリピートして再生して部分毎に音楽の理解をすすめるものであるが,本願発明の課題は,音楽全体の中でどのパートにおいてメールの文章を同期表示するかを選択する際にその判断を容易にするために,編集中のパート番号と歌詞の静的な画面表示や音楽と同期して動的に表示される歌詞を,画面の2箇所に表示するもので,部分的な理解ではなく音楽全体のパートの理解をすすめるものである。なお,本願発明において,同期表示する対象は,本願の な画面表示や音楽と同期して動的に表示される歌詞を,画面の2箇所に表示するもので,部分的な理解ではなく音楽全体のパートの理解をすすめるものである。なお,本願発明において,同期表示する対象は,本願の請求項1の記載から,メールの文章といった音楽に関係しない独自に作成した文章と理解され,引用発明において表示される音楽の一部を構成する文章とは異なるものである。したがって,両者は,課題解決方法において大きく相違する。」と主張する。 しかし,原告の主張は失当である。 本願発明を特定した本願の請求項2には,「同期表示」に関して,「音楽と同期して歌詞を表示するプログラム」及び「音楽再生に合わせて音楽と同期した歌詞を表示しながら同じ画面に文章を編集する画面を表示する機能」という記載があるだけで,同期表示する対象がメールの文章であること,及び,同期表示する対象を音楽全体の中でパート毎に選択することを特定する記載はなく,それらは自明な事項でもないから,本願発明において,原告主張の課題に対応した構成が示されているとはいえない。 また,本願の請求項2には,音楽と同期した歌詞を表示しながら編集される文章 の対象物は何か,それを音楽全体の中でどのような単位(まとまり)で選択して表示されるのかについて特定する記載はない。そうすると,編集される文章の対象物には,原告主張の「メール」の文章のみならず,引用発明におけるユーザ自身が作詞した独自の文章も包含されると解される。加えて,選択して表示される単位については,表示する画面の制約から,音楽全体ではなく,画面に適合した単位であることは容易に認識できるところであり,原告主張の「パート」のみならず,引用発明における複数小節単位も包含され,それらが音楽(曲)全体にわたった音楽(曲)の理解に寄与することも認められる た単位であることは容易に認識できるところであり,原告主張の「パート」のみならず,引用発明における複数小節単位も包含され,それらが音楽(曲)全体にわたった音楽(曲)の理解に寄与することも認められる(引用例の段落【0041】)。 したがって,原告主張の本願発明の課題は,本願の請求項2によって特定される本願発明の構成に基づかないものであり,また,その課題が引用発明に示されていないともいえないから,原告の主張は失当である。 なお,原告は,「本願の請求項1の記載から,本願発明において,同期表示する対象はメールの文章といった音楽に関係しない独自に作成した文章であり,引用発明のような,音楽の一部を構成する文章とは異なる」と主張するが,請求項2に係る発明の認定に当たり,請求項1の記載に基づいて解釈することは許されず,原告の主張は失当である。 イ原告は,「本願発明は,音楽を聴きながら当該音楽と同期したメールなどの文章を表示するもので,同期する音楽パートは間奏部を含めた音楽全体の中からユーザが任意に選択することを課題の一つとし,パート番号を用いることで歌詞のない間奏部についても,パート番号が画面表示される間に流れる音楽が当該パートの音楽と理解することにより,課題の解決を図るものである。なお,本願発明における「音楽と同期して歌詞を表示するプログラム」及び「歌詞を独自の文章に編集するプログラム」は,本願の請求項1記載の各プログラムを指すのに対して,引用発明においては,パート番号に相当するものがなく,楽譜のみの表示であるから,引用発明から本願発明を容易に想到できるとはいえない」旨主張する。 しかし,原告の主張は失当である。 本願の請求項2には,「音楽と同期して歌詞を表示するプログラム」及び「音楽再生に合わせて音楽と同期した歌詞を表示しなが るとはいえない」旨主張する。 しかし,原告の主張は失当である。 本願の請求項2には,「音楽と同期して歌詞を表示するプログラム」及び「音楽再生に合わせて音楽と同期した歌詞を表示しながら同じ画面に文章を編集する画面を表示する機能」との記載はあるものの,原告の主張に係る「音楽パート」や「パート番号」については,何らの記載もない。 なお,原告は,本願明細書の請求項2における「音楽と同期して歌詞を表示するプログラム」及び「歌詞を独自の文章に編集するプログラム」は,請求項1記載の各プログラムを指す旨主張するが,上記アのとおり,請求項2に係る発明の認定に当たり,請求項1の記載に基づいて解釈することは許されず,原告の主張は失当である。したがって,原告の主張は,本願の請求項2の記載に基づくものではなく,失当である。 ウ原告は,「本願発明の訳詞コードは,音楽と同期して歌詞を表示するプログラムを実行する際に,表示する文章について歌詞と編集後の文章を切り替えるものであって,同技術も,引用発明から容易に想到することはできない。」と主張する。 しかし,原告の主張は失当である。 訳詞コードは,本願の請求項2において「音楽と同期して歌詞を表示するプログラムにおいて元の歌詞と独自の文章を選択するコード(訳詞コード)」と記載されるとおり,元の歌詞と独自の文章を選択するためのコードであり,本願発明を引用発明に基づいて発明することを困難とするものではない。 (4) 取消事由4(本願発明の効果に関する認定の誤り)に対し原告は「本願発明は,画面2箇所に表示される歌詞が一致する間に流れる音楽が当該パートであることを明確に示し,歌詞と合わせてパート番号を表示することで,携帯電話などの小画面で音楽パートの理解をすすめることができるという,引用発明にない顕著 る歌詞が一致する間に流れる音楽が当該パートであることを明確に示し,歌詞と合わせてパート番号を表示することで,携帯電話などの小画面で音楽パートの理解をすすめることができるという,引用発明にない顕著な効果を有するから,本願発明の効果について,引用発明から想定される範囲を超えるものでないとした審決の認定は誤りである。」と主張する。 しかし,原告の主張は理由がない。 本願の請求項2には,歌詞の表示の方法に関して,「音楽に同期して歌詞を表示 する」及び「音楽再生に合わせて音楽と同期した歌詞を表示しながら同じ画面に文章を編集する画面を表示する」という記載があるだけで,パート単位で歌詞などを表示することについての記載はないから,「画面2箇所に表示される歌詞が一致する間に流れる音楽が当該パートであることを明確に示し,歌詞と合わせてパート番号を表示することで,音楽の中のパートの位置などの理解をすすめることができる」という効果は,請求項2に係る本願発明の効果とはいえない。 なお,本願発明は,再生する音楽に同期して表示する歌詞の長さと表示する画面の大きさの物理的制約に照らすと,その音楽を構成する一定のまとまりを単位として表示するものといえるが,引用発明も,ユーザ自身が作成した歌詞を音楽全体の中で小節単位(複数小節単位)毎に同期表示するものである(引用例の段落【0042】)から,原告の主張に係る効果があったとしても,本願発明が困難となるものではない。 したがって,原告の主張は失当である。 (5) 取消事由5(本願の請求項1について検討しなかった判断の誤り)に対し原告は「本願発明は,請求項1も含めて,音楽と一体化してメールの文章を表示することで,メールの付加価値を高めるという顕著な効果作用を奏するものであるから,審決は,本願の請求項1につ の誤り)に対し原告は「本願発明は,請求項1も含めて,音楽と一体化してメールの文章を表示することで,メールの付加価値を高めるという顕著な効果作用を奏するものであるから,審決は,本願の請求項1について検討しなかった判断の誤りがある。」と主張する。 しかし,原告の主張は,以下のとおり理由がない。 特許法49条は,特許出願に係る発明が,同法29条等の規定に該当し,特許をすることができないものであるときは,審査官は,その特許出願について拒絶査定をしなければならないと規定し,同法51条は,特許出願について拒絶の理由を発見しないときは,特許をすべき旨の査定をしなければならないと規定し,一つの特許出願について,拒絶査定か特許査定かのいずれかの行政処分をすべきものとする。 これに対して,特許無効の審判については,「二以上の請求項に係るものについては,請求項ごとに請求することができる。」(同法123条1項柱書)と規定され るから,各請求項ごとに,無効審判の申立てをすることができる。以上の出願審査に関する対応及び無効審判との対比を総合すれば,同法49条は,一つの特許出願における複数の請求項に係る発明のいずれか一つが,同法29条等の規定に該当するときは,その特許出願全体を拒絶すべきことを規定しているものと解すべきである。 したがって,「本願の請求項1について検討するまでもなく,本件特許出願を拒絶すべきものである。」との審決の判断に違法はない。 第4 当裁判所の判断当裁判所は,原告主張の取消事由はいずれも理由がなく,審決に取り消すべき違法はないものと判断する。その理由は以下のとおりである。 1 取消事由1(本願発明と引用発明との一致点の認定の誤り)について以下のとおり,審決のした本願発明と引用発明との一致点の認定に誤りはない。 (1 ものと判断する。その理由は以下のとおりである。 1 取消事由1(本願発明と引用発明との一致点の認定の誤り)について以下のとおり,審決のした本願発明と引用発明との一致点の認定に誤りはない。 (1) 原告は,「『独自の文章を編集する』点について,引用発明は,楽譜の小節を単位として音符と関係づけて編集を行うのに対し,本願発明では音符とは無関係に編集するものであり,編集方法において相違する」旨主張する。 しかし,原告の主張は失当である。すなわち,ア認定事実(ア) 本願の請求項2は,上記第2,2記載のとおりである。 (イ) 他方,引用例(甲1)には,次の記載がある。 「【0049】・・・「歌詞入力画面」及び「歌詞選択画面」について,それぞれ図を用いて簡単に説明する。まず,「替歌作成サービス」選択時における作詞支援の際にクライアント装置に表示する「歌詞入力画面」(図7のステップS33参照)について,図10(判決注:別紙【図10】記載の図面である。)を用いて説明する。図10は,歌詞入力画面の一実施例を示す概念図である。 【0050】図10から理解できるように,歌詞入力画面には,作詞対象としての曲に関する楽譜と,該楽譜に対応したオリジナルの歌詞(あるいはユーザが過去 に作成した歌詞),該楽譜に対応する歌詞を新たに入力するための歌詞入力部(図10においては実線の四角で囲んだ領域)とが所定の曲範囲に相当する分だけ表示される。この実施例では点線の四角で囲んだ領域が歌詞入力画面として実際に表示される部分であり,「ワンワンワワン…」が歌詞作成の際にユーザが参考とするオリジナル歌詞(又は1番の歌詞)として,「ニャンニャンニャニャン」が今回ユーザが新たに入力する歌詞(又は2番の歌詞)として表示されている。この歌詞入力画面として 作成の際にユーザが参考とするオリジナル歌詞(又は1番の歌詞)として,「ニャンニャンニャニャン」が今回ユーザが新たに入力する歌詞(又は2番の歌詞)として表示されている。この歌詞入力画面として実際に表示される部分はユーザ操作に従って左右にスクロールすることから,ユーザは画面をスクロールすることで曲の所望位置に対しての歌詞入力を行うことができるようになっている。ユーザはこうした楽譜表示やオリジナル歌詞表示等を参考にして歌詞入力部に新たに歌詞を順次に入力していくことで,該曲に対しての歌詞作成を行うことができる。こうした歌詞入力の際に,既に歌詞を入力済みのメロディと同様のメロディに対して歌詞を入力する場合には,既に入力されている歌詞と同様の歌詞を歌詞入力部に仮の歌詞として仮表示する。・・・こうした歌詞の仮表示は,既にユーザが入力済みの歌詞と表示態様を異ならせて表示する。・・・ユーザはこうして仮表示された歌詞をそのまま当該メロディに対する歌詞としてそのまま用いてもよいし,仮表示された歌詞と異なる歌詞を新たに入力してもよい。こうすると,歌詞入力画面として表示されていない部分の箇所に対してユーザがどのような歌詞を入力したかをわざわざ歌詞入力画面を当該楽譜部分まで戻して確認しなくても,当該メロディに対して入力した歌詞をその場で確認することができ,また同じ歌詞を新たに入力する手間が省けることから便利である。 【0051】なお,入力した歌詞の表示位置は楽譜における各音符表示位置に対応するようにして自動的に配置できるようにしてもよいし,ユーザ自らが適宜の位置に配置できるようにしてもよいことは言うまでもない。また,歌詞を仮表示する場合には歌詞入力部に歌詞を仮表示することに限らず,歌詞入力部を空欄表示しておいて,その近辺に歌詞を仮表示するようにしてもよい に配置できるようにしてもよいことは言うまでもない。また,歌詞を仮表示する場合には歌詞入力部に歌詞を仮表示することに限らず,歌詞入力部を空欄表示しておいて,その近辺に歌詞を仮表示するようにしてもよい。こうした場合には,ユーザは仮表示された歌詞を参考にして,空欄となっている歌詞入力欄に新たに歌詞を 入力することができるようになり便利である。なお,歌詞入力の際に該曲のカラオケ演奏を行う場合には,停止指示があるまで該歌詞入力画面に表示された楽譜の前後1小節分を含む範囲でカラオケ演奏を繰り返し行う(上述した図7のステップS37~ステップS40参照)。すなわち,図10に示した実施例の場合には,歌詞入力画面として2小節分の楽譜が表示されていることから,カラオケ演奏指示を行った場合には表示されている2小節分と表示されている小節に前後する各1小節の計4小節分の楽譜に関してのカラオケ演奏が繰り返し行われることになる。このように歌詞入力画面に表示されている楽譜のみでなく,表示されている楽譜に相前後する小節までを含めてカラオケ演奏することによって,ユーザは曲のつながりや流れなどを参考にして歌詞を作成することができるようになる。」イ判断上記ア(イ) によれば,引用例の段落【0050】に,「歌詞入力画面には,作詞対象としての曲に関する楽譜と,該楽譜に対応したオリジナルの歌詞(あるいはユーザが過去に作成した歌詞),該楽譜に対応する歌詞を新たに入力するための歌詞入力部(図10においては実線の四角で囲んだ領域)とが所定の曲範囲に相当する分だけ表示される。」と記載されていることから,引用発明においては,歌詞入力部は楽譜に対応しており,音符と関係づけて編集を行う技術が開示されていると認められる。 したがって,本願発明と引用発明とは,「音楽と同期して歌 と記載されていることから,引用発明においては,歌詞入力部は楽譜に対応しており,音符と関係づけて編集を行う技術が開示されていると認められる。 したがって,本願発明と引用発明とは,「音楽と同期して歌詞を表示するもの及び歌詞を独自の文章に編集するものであって,音楽再生に合わせて音楽と同期した歌詞を表示しながら同じ画面に文章を編集する画面を表示する機能及び独自の文章を選択するコード(訳詞コード)の入力機能を有する電子機器」との点において一致するから,審決の認定に誤りはない。 この点,原告は,本願発明においては,文章を「音符とは無関係に」編集するものであると主張する。しかし,本願の請求項2には,文章の編集に関して,「歌詞を独自の文章に編集するプログラム」及び「音楽再生に合わせて音楽と同期した歌 詞を表示しながら同じ画面に文章を編集する画面を表示する機能」との記載はあるものの,「音符」に関する記載はなく,文章の編集と音符との関係については,何ら特定されていないから,原告の上記主張は,請求項2の記載に基づかない主張であり,その主張自体失当である。 (2) 原告は,「①『歌詞を表示しながら同じ画面に文章を編集する画面を表示する機能』について,引用発明では電子機器の画面表示が1箇所である(編集部分のみの画面表示で静的な表示であり,本願発明における動的な表示に相当するものがない)のに対して,本願発明では編集中のパートの静的な表示(音楽演奏と連動しない編集中のパートの歌詞表示)と音楽の全パートの動的な表示(音楽演奏と同期した歌詞をパート毎に順次表示)を画面の2箇所で表示するものであり,表示内容が異なる。②参照用の画面に表示する内容について,引用発明では編集部分の楽譜と元の歌詞であるのに対し,本願発明では音楽全体の各パートの歌詞と編集部分の )を画面の2箇所で表示するものであり,表示内容が異なる。②参照用の画面に表示する内容について,引用発明では編集部分の楽譜と元の歌詞であるのに対し,本願発明では音楽全体の各パートの歌詞と編集部分のパート番号とパート毎の歌詞であり,表示内容が異なる。」旨主張する(なお,原告主張の「静的な表示」及び「動的な表示」は,本願明細書に記載されていないが,上記原告主張の括弧内に示された意味を前提とする。)。 しかし,原告の主張は,以下のとおり失当である。 ア上記①の原告の主張について本願の請求項2には,歌詞の表示に関して,「音楽と同期して歌詞を表示する」及び「音楽再生に合わせて音楽と同期した歌詞を表示しながら同じ画面に文章を編集する画面を表示する」と記載されるのみであり,音楽全体を各パートの単位で歌詞を表示することも,編集部分にパート番号とパート毎の歌詞を表示することも,記載されていない。また,請求項2の電子機器は,「歌詞を独自の文章に編集するプログラム」を組み込み,「文章を編集する画面を表示する」ものであるが,文章を編集する際に,編集部分に参照用のパート毎の歌詞が表示されることまでは特定されていない。さらに,本願明細書の段落【0004】に,「ユーザが編集する際に音楽再生と併せて音楽と同期した歌詞を表示する画面及び文章編集画面を同時に 表示する機能・・・を有する電子機器を用いることで編集をより容易なものにするものである。」との記載があり,「音楽と同期した歌詞を表示する画面」と「文章編集画面」が同時に表示されることは開示されているといえるが,このことから,「音楽演奏と連動しない編集中のパートの歌詞」と「音楽演奏と同期したパート毎の歌詞」が画面の2箇所で表示されるとまではいえないから,本願発明が,参照用の歌詞として,音楽全体の各パー ,このことから,「音楽演奏と連動しない編集中のパートの歌詞」と「音楽演奏と同期したパート毎の歌詞」が画面の2箇所で表示されるとまではいえないから,本願発明が,参照用の歌詞として,音楽全体の各パートの歌詞と編集部分のパート毎の歌詞とを,画面の2箇所で表示するものであるとの原告の主張は,請求項2の記載に基づくものではなく,採用することができない。 なお,本願明細書には,実施の形態として,電子機器の画面上部に音楽と同期した歌詞を順次表示し,画面下部にパートの文章編集画面を表示して,その上段に曲名と元の歌詞を,下段にパートの順番と文章編集部を表示することが開示されているが(段落【0006】,図4),請求項の記載を離れて,本願発明の構成を限定して解釈することはできない。 したがって,参照用の画面に表示する内容について,引用発明と本願発明では表示内容における相違点はない。 イ上記②の原告の主張について上記(1)ア(イ)によれば,引用例の段落【0050】に,「歌詞入力画面には,作詩対象としての曲に関する楽譜と,該楽譜に対応したオリジナルの歌詞・・・,該楽譜に対応する歌詞を新たに入力するための歌詞入力部(図10においては実線の四角で囲んだ領域)とが所定の曲範囲に相当する分だけ表示される。」との記載があり,段落【0051】に,「歌詞入力の際に該曲のカラオケ演奏を行う場合には,停止指示があるまで該歌詞入力画面に表示された楽譜の前後1小節分を含む範囲でカラオケ演奏を繰り返し行う」との記載があることから,引用発明は,「作詩対象としての曲に関する楽譜と,該楽譜に対応したオリジナルの歌詞」を表示しながら,同じ画面に「該楽譜に対応する歌詞を新たに入力するための歌詞入力部」を表示するものと認められ,カラオケ演奏の範囲は楽譜の表示範囲より前後1小節広いとし 譜に対応したオリジナルの歌詞」を表示しながら,同じ画面に「該楽譜に対応する歌詞を新たに入力するための歌詞入力部」を表示するものと認められ,カラオケ演奏の範囲は楽譜の表示範囲より前後1小節広いとし ても,表示された楽譜と演奏される音楽(カラオケ)は一致しており,楽譜と音楽は同期しているといえる。また,上記「該楽譜に対応したオリジナルの歌詞」は,音楽再生に合わせて表示される「音楽と同期した歌詞」であり,「該楽譜に対応する歌詞を新たに入力するための歌詞入力部」は,「文章を編集する」ための画面であるといえる。 そうすると,引用発明は,歌詞入力画面に,音楽と同期した「該楽譜に対応したオリジナルの歌詞」を表示するとともに,「該楽譜に対応する歌詞を新たに入力するための歌詞入力部」を表示するものであるから,「音楽再生に合わせて音楽と同期した歌詞を表示しながら同じ画面に文章を編集する画面を表示する」ものであり,引用発明と本願発明とは,格別相違するものではない。 したがって,「歌詞を表示しながら同じ画面に文章を編集する画面を表示する機能」について,引用発明と本願発明とは,表示内容において相違しない。 (3) 以上のとおり,審決の一致点の認定に誤りがあるとは認められない。 2 取消事由2(本願発明と引用発明との相違点を看過した誤り)について以下のとおり,審決に,原告主張に係る本願発明と引用発明との相違点を看過した誤りはない。 (1) 原告は,「文章編集中に編集部分を参照するための音楽について,引用発明では一つのパートの編集中に再生する音楽の範囲はその前後数小節に限られ,その範囲を繰返し再生するものであり,全パート(音楽全体)について再生しても,音楽は断続的となり,元の音楽とは異なるものとなるが,本願発明では音楽の最初のパートからパート毎 その前後数小節に限られ,その範囲を繰返し再生するものであり,全パート(音楽全体)について再生しても,音楽は断続的となり,元の音楽とは異なるものとなるが,本願発明では音楽の最初のパートからパート毎の表示時間経過後は次のパートを自動的に表示する方法により,音楽全体を連続して再生する点が相違する。」と主張する。 しかし,原告の主張は,以下のとおり失当である。 本願の請求項2には,音楽の再生に関して,「音楽再生に合わせて音楽と同期した歌詞を表示しながら同じ画面に文章を編集する画面を表示する機能」と記載されているが,その音楽の再生について,再生する範囲が音楽全体であるのか部分的で あるのか,パートから次のパートへの連続的な音楽再生であるのか繰り返し再生であるのか,何らの特定もない。したがって,本願発明と引用発明との相違点に係る原告の主張は,主張自体失当である。 この点,原告は,請求項2に記載の「音楽再生」の意義について,本願の請求項1の記載に基づいて限定して解釈すべきであると主張するが,請求項2に係る発明の認定に当たり,他の請求項の記載に基づいて解釈することは許されない。 また,原告は,本願発明が最初のパートから連続してパートの処理を行い,音楽再生は音楽全体について連続して行うことを主張するが,これは本願明細書の段落【0010】及び【0011】に記載された実施の態様にすぎず,本願発明の構成をこのようなものに限定して解釈することはできない。 そして,引用例には,「・・・演奏指示が行われていると判定した場合には(ステップS37のYES),入力済みの前のフレーズから未入力のフレーズまでの演奏データをクライアント装置に対して送信する(ステップS38)。すなわち,歌詞入力画面として歌詞を入力するために表示されている楽譜及びその表示されてい 力済みの前のフレーズから未入力のフレーズまでの演奏データをクライアント装置に対して送信する(ステップS38)。すなわち,歌詞入力画面として歌詞を入力するために表示されている楽譜及びその表示されている楽譜前後の所定部分に関しての演奏データのみを送信して,クライアント側において該演奏データに基づくカラオケ演奏を行わせる。ステップS39では,演奏停止の指示があるか否かを判定する。演奏停止の指示があると判定した場合には(ステップS39のYES),演奏を停止して(ステップS40),ステップS41の処理へ行く。こうすることにより,ユーザは実際に曲を聞きながら作詞を行うことができるので,曲イメージにあった歌詞を生成することができるようになる。」(段落【0041】),「・・・ステップS43では,楽譜及び歌詞のデータを小節単位に進める。・・・こうして,小節単位に歌詞入力画面に表示する楽譜や歌詞を進めていくことによって,小節単位にユーザ作成の歌詞を記録することができるようになっている。つまり,ユーザは所定範囲毎に歌詞を入力する。なお,歌詞入力は小節単位に限らず,複数小節単位で歌詞入力できるものであってもよいことは言うまでもない。」(段落【0042】)と記載されているから,引用発明は,歌 詞入力を小節単位(複数小節単位)に順次進めていくものであり,演奏データに基づくカラオケ演奏も,繰り返して演奏するか否かは,クライアント側(ユーザ)からの指示に基づくものであることを考慮すると,引用発明も,その曲(音楽)全体にわたって,曲の演奏とともに作詞を行うものであるといえる。したがって,引用発明においても音楽全体について再生するといえ,また,その演奏範囲(歌詞入力の単位(まとまり))や演奏形態(繰り返し)も選択できるものであるから,本願発明と引用発明の音 るといえる。したがって,引用発明においても音楽全体について再生するといえ,また,その演奏範囲(歌詞入力の単位(まとまり))や演奏形態(繰り返し)も選択できるものであるから,本願発明と引用発明の音楽再生に関して,格別の相違はないというべきである。 したがって,原告の主張は失当である。 (2) 原告は,「参照する音楽について,引用発明では音楽と同期して歌詞を表示するものではないが,本願発明では音楽と同期して歌詞を表示するものである点で相違する。」と主張する。 しかし,原告の主張は,以下のとおり失当である。 引用例(甲1)には,「歌詞入力の際に該曲のカラオケ演奏を行う場合には,停止指示があるまで該歌詞入力画面に表示された楽譜の前後1小節分を含む範囲でカラオケ演奏を繰り返し行う」(段落【0051】)ことが記載されているから,楽譜と音楽(カラオケ演奏)は同期しているといえ,「該楽譜に対応したオリジナルの歌詞」も音楽と同期しており,引用発明も,音楽と同期して歌詞を表示するものである(上記1(2) のとおり)。 したがって,原告の主張は失当である。 (3) 以上のとおり,審決に相違点の看過は認められない。 3 取消事由3(容易想到性の判断の誤り)について本願発明は引用発明から容易に想到することはできないとの原告の主張は,以下のとおり採用できない。すなわち,(1) 原告は,「引用発明の課題は,作詞支援や替え歌という音楽に関する創作支援であり,音楽の数小節単位で音符と関係づけて当該部分の前後をリピートして再生して部分毎に音楽の理解をすすめるものであるが,本願発明の課題は,音楽全体 の中でどのパートにおいてメールの文章を同期表示するかを選択する際にその判断を容易にするために,編集中のパート番号と歌詞の静的な画面表示や音楽と ものであるが,本願発明の課題は,音楽全体 の中でどのパートにおいてメールの文章を同期表示するかを選択する際にその判断を容易にするために,編集中のパート番号と歌詞の静的な画面表示や音楽と同期して動的に表示される歌詞を,画面の2箇所に表示するもので,部分的な理解ではなく音楽全体のパートの理解をすすめるものである。なお,本願発明において,同期表示する対象は,本願明細書の請求項1の記載から,メールの文章といった音楽に関係しない独自に作成した文章と理解され,引用発明において表示される音楽の一部を構成する文章とは異なるものである。したがって,両者は,課題解決方法において大きく相違する。」と主張する。 しかし,原告の主張は,以下のとおり失当である。 ア本願の請求項2には,「音楽と同期して歌詞を表示するプログラム及び歌詞を独自の文章に編集するプログラムを組み込み,両方のプログラムを実行して,音楽再生に合わせて音楽と同期した歌詞を表示しながら同じ画面に文章を編集する画面を表示する機能」との記載があるだけで,文章の種類や表示される単位(まとまり)についての記載はなく,同期表示する対象がメールの文章であることも,メールと音楽の同期を音楽全体の中においてパート単位で選択することも,特定されていないから,原告の主張は,本願の請求項2の記載に基づいた主張とはいえない。 なお,原告は,本願の請求項1の記載から,同期表示する対象がメールの文章であると主張するが,請求項2に係る発明の認定に当たり,他の請求項の記載に基づいて解釈することは許されない。 そして,請求項2の記載からすると,編集する文章は,原告が主張する「メール」の文章のみに限定されるものではなく,引用発明におけるユーザ自身が作詞した独自の文章も包含されると理解され,また,表示される単位につい 求項2の記載からすると,編集する文章は,原告が主張する「メール」の文章のみに限定されるものではなく,引用発明におけるユーザ自身が作詞した独自の文章も包含されると理解され,また,表示される単位については,原告が主張する「パート」のみに限定されるものではなく,引用発明における複数小節単位も包含されると理解される。 イまた,原告は,本願発明は,音楽と同期する歌詞と編集部分のパート毎の歌詞とを,画面の2箇所で表示するとの特有の課題解決方法があると主張するが,本 願の請求項2には,編集中のパート番号と歌詞(参照用の元の歌詞)を画面表示することは記載されていないから,原告の上記主張は,請求項2の記載に基づくものではなく,採用することができない(上記1(2) のとおり)。 ウしたがって,原告のいう本願発明と引用発明との課題解決方法の相違は認められず,容易想到性の判断に誤りがあるとの主張は失当である。 (2) 原告は,「本願発明は,音楽を聴きながら当該音楽と同期したメールなどの文章を表示するもので,同期する音楽パートは間奏部を含めた音楽全体の中からユーザが任意に選択することを課題の一つとし,パート番号を用いることで歌詞のない間奏部についても,パート番号が画面表示される間に流れる音楽が当該パートの音楽と理解することにより,課題の解決を図るものであり,また,本願発明における『音楽と同期して歌詞を表示するプログラム』及び『歌詞を独自の文章に編集するプログラム』は,本願の請求項1にいう各プログラムを指すものであるのに対し,引用発明においては,パート番号に相当するものがなく,楽譜のみの表示であるから,本願発明は,引用発明から容易に想到できたとはいえない」と主張する。 しかし,原告の主張は失当である。 すなわち,本願の請求項2には,音楽の再生 番号に相当するものがなく,楽譜のみの表示であるから,本願発明は,引用発明から容易に想到できたとはいえない」と主張する。 しかし,原告の主張は失当である。 すなわち,本願の請求項2には,音楽の再生に関して,「音楽と同期して歌詞を表示するプログラム」及び「音楽再生に合わせて音楽と同期した歌詞を表示しながら同じ画面に文章を編集する画面を表示する機能」という記載があるのみで,原告が主張する「パート番号」については何ら記載されておらず,歌詞のない間奏部(歌詞のない音楽パート)について,どのような処理や表示が行われるかも特定されていない。この点,原告は,請求項2における「音楽と同期して歌詞を表示するプログラム」及び「歌詞を独自の文章に編集するプログラム」は,本願の請求項1に記載された各プログラムを指す旨主張するが,上記のとおり,請求項2に係る発明の認定に当たり,他の請求項の記載に基づいて解釈することは許されない。 したがって,本願発明が,パート番号を用いることで歌詞のない間奏部についても,パート番号が画面表示される間に流れる音楽が当該パートの音楽と理解するこ とができるものであることを前提とする原告の上記主張は失当である。 (3) 原告は,「本願発明は,音楽演奏と同期して順次パート毎の歌詞を表示するとともに編集中のパート番号及び歌詞を同一画面に表示する機能を有するものであり,音楽パートの理解を促すという進歩性を有するものであり,本願発明の訳詞コードは,音楽と同期して歌詞を表示するプログラムを実行する際に,表示する文章について歌詞と編集後の文章を切り替えるものであって,同技術も,引用発明から容易に想到することはできない。」旨主張する。 しかし,原告の主張は失当である。 訳詞コードは,本願の請求項2において「音楽と同期して歌詞を表示 章を切り替えるものであって,同技術も,引用発明から容易に想到することはできない。」旨主張する。 しかし,原告の主張は失当である。 訳詞コードは,本願の請求項2において「音楽と同期して歌詞を表示するプログラムにおいて元の歌詞と独自の文章を選択するコード(訳詞コード)」と規定されているとおり,元の歌詞と独自の文章を選択するためのコードである。訳詞コードが,音楽と同期して歌詞を表示するプログラムを実行する際に,表示する文章について歌詞と編集後の文章を切り替える機能を有するものであるとしても,本願発明ないし訳詞コードは,引用発明に基づいて容易に想到することができるというべきである。 4 取消事由4(本願発明の効果に関する認定の誤り)について原告は,「本願発明は,画面2箇所に表示される歌詞が一致する間に流れる音楽が当該パートであることを明確に示し,歌詞と合わせてパート番号を表示することで,携帯電話などの小画面で音楽パートの理解をすすめることができるという,引用発明にない顕著な効果を有するから,本願発明の効果について,引用発明から想定される範囲を超えるものでないとした審決の判断は誤りである。」と主張する。 しかし,原告の主張は失当である。 本願明細書には,発明の効果に関し,「音楽再生と合わせて音楽と同期した歌詞を表示する画面及び文章編集画面を同時に表示することで編集中のパートが音楽の中でどのフレーズであるかをわかりやすくな(る)」(段落【0005】),また,発明の実施の形態について,「図4の画面下部の当該パートの文章編集画面を表示 し,その上段には曲名と元の歌詞を表示,下段にはパートの順番と文章編集部を表示し,文章編集部にコンピュータの文書入力機能で独自の文章を入力する。」(段落【0006】)との記載がある。 しかし,本 し,その上段には曲名と元の歌詞を表示,下段にはパートの順番と文章編集部を表示し,文章編集部にコンピュータの文書入力機能で独自の文章を入力する。」(段落【0006】)との記載がある。 しかし,本願の請求項2には,歌詞の表示に関しては,「音楽と同期して歌詞を表示する」及び「音楽再生に合わせて音楽と同期した歌詞を表示しながら同じ画面に文章を編集する画面を表示する」との記載があるのみで,パート単位で歌詞などを表示することや歌詞と合わせてパート番号を表示することは記載されていないから,本願発明は,パート番号等に基づいた特別の作用・効果を奏するものとはいえない。 また,本願発明の電子機器は,「歌詞を独自の文章に編集するプログラム」を組み込み,「文章を編集する画面を表示する」ものであるとしても,文章を編集する「画面」に,編集中のパートに対応する元の歌詞が表示されることは特定されておらず,「音楽と同期した歌詞」との一致を比較すべき編集部分の「歌詞」の存在が明らかではない。 そうすると,原告の主張する「画面2箇所に表示される歌詞が一致する間に流れる音楽が当該パートであることを明確に示すことができること」及び「歌詞と合わせてパート番号を表示することで音楽の中のパートの位置などの理解をすすめる」という効果は,本願の請求項2に係る発明の構成に基づく効果とはいえない。 したがって,原告の主張は失当である。 5 取消事由5(本願の請求項1について検討しなかった判断の誤り)について原告は「本願発明は,請求項1も含めて,音楽と一体化してメールの文章を表示することで,メールの付加価値を高めるという顕著な効果作用を奏するものであるから,審決は,本願の請求項1について検討しなかった判断の誤りがある。」と主張する。 しかし,原告の主張は,以下のとおり失当であ で,メールの付加価値を高めるという顕著な効果作用を奏するものであるから,審決は,本願の請求項1について検討しなかった判断の誤りがある。」と主張する。 しかし,原告の主張は,以下のとおり失当である。 すなわち,本願の請求項2が特許されるべきか否かを判断するに当たり,請求項 1項の内容を含めて判断することは許されない。本願の請求項2に係る発明が,引用発明に基づいて容易に想到し得るものである以上,請求項1に係る発明の内容を考慮にいれて判断しなかったことをもって,違法ということはできない。 6 小括以上のとおり,原告主張の取消事由はいずれも理由がなく,審決に取り消すべき違法は認められない。その他,原告は縷々主張するが,いずれも採用の限りでない。 第5 結論よって,原告の請求は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官飯村敏明 裁判官齊木教朗 裁判官武宮英子 別紙【図10】

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