- 1 -平成17年(ハ)第4372号損害賠償請求事件主文 被告は,原告に対し,金20万2276円及びこれに対する平成16年8月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 原告のその余の請求を棄却する。 訴訟費用は,これを5分し,その1を被告の負担とし,その余は原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求被告は,原告に対し,金111万9380円及びこれに対する平成16年8月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要本件は,持ち上がっていたU形側溝の蓋に足を取られて転倒して負傷した原告が,道路管理者である被告に対し,道路管理に瑕疵があるとして,国家賠償法に基づいて損害賠償及び遅延損害金の支払を求めている事案である。 争いのない事実等( ) 原告は,平成16年8月22日午前5時30分ころ,名古屋市A区BC丁 目D番地先の歩道(以下「本件歩道」という。)を東方から西方に向けて散歩していた。そのとき,原告は,対面方向から市道上を走行してきた自転車を認めたので,この自転車を避けるため,本件歩道の一部である蓋付U形側溝(以下「本件側溝」という。)上に退避した。(原告本人)( ) 原告は,本件側溝上において,5センチメートルほど持ち上がっていた蓋 (以下「本件蓋」という。)に足を取られて転倒し,右手首,顔面,両膝に傷害を負った(以下「本件事故」という。)。 ( ) 本件事故現場は,別紙図面1のとおり市道E線(以下「本件道路」とい う。)の本件歩道であり,被告が管理している道路である。 - 2 -本件事故現場付近の状況は別紙図面2のとおりで,①と表示の本件蓋が②の蓋にかかるように5センチメートルほど持ち上がっていた。 本件側溝と本来の歩道部分との間に段差はない。(甲13の1 る。 - 2 -本件事故現場付近の状況は別紙図面2のとおりで,①と表示の本件蓋が②の蓋にかかるように5センチメートルほど持ち上がっていた。 本件側溝と本来の歩道部分との間に段差はない。(甲13の1,2)( ) 原告は,本件事故直後,名古屋市F区所在のG病院緊急外来に救急車で搬 送され,当直の内科医による応急処置を受け,頭部CTスキャン,点滴などをして,痛み止めの投薬を受けて帰宅した。(甲11)( ) 原告は,平成16年8月23日G病院整形外科にて受診した結果,右橈骨 骨折が判明したので,同日右手首をギプスで固定する施術を受けた。 ( ) 原告は,平成16年9月22日,前記ギプスを外す施術を受けて,同日か らリハビリを開始し,以後同年12月1日まで19回リハビリを行い,同年12月8日医師から骨折箇所は完治した旨の診断を受けた。 ( ) 原告の本件事故による通院期間は109日間であり,通院実日数は合計2 5日間である。 主な争点( ) 本件歩道の管理に瑕疵があったか。 ( ) 原告の損害額 ( ) 過失相殺 当事者の主張( ) 争点( )(道路管理の瑕疵) (原告の主張)ア本件側溝の蓋は,本来の歩道部分でないものの歩道とほぼ同一地表面になるよう設計し設置されており,本件歩道は,北側にH公園が隣接するため,人が多数歩行することもしばしばで,繁雑時には本件側溝の上を人が通行することも当然想定されている。 イ被告は,道路管理者として本件歩道を適正に管理する義務があるにもかかわらず,本件側溝に土砂が溜まりやすい事実,及び本件事故現場の本件- 3 -側溝に大量の土砂が堆積していた事実を看過し,堆積した土砂の除去作業も一切行わなかった結果,雨水による本件蓋の持ち上がりという危険な状態を招き,しかもこの危険な状 及び本件事故現場の本件- 3 -側溝に大量の土砂が堆積していた事実を看過し,堆積した土砂の除去作業も一切行わなかった結果,雨水による本件蓋の持ち上がりという危険な状態を招き,しかもこの危険な状態をも看過しており,道路管理者として通常必要とされる管理行為を行っていなかった。 ウ本件蓋は,被告の管理不十分により約5センチメートル不自然に持ち上がっていた。それは,隣の蓋にかかって持ち上がるという異常な持ち上がりであり,瑕疵に当たることは明白である。 (被告の主張)ア「瑕疵」とは,営造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいい,その判断は,営造物の構造,用法,場所的環境及び利用状況等諸般の事情を総合考慮して具体的個別的にすべきものとされている。また,当該事故が,一般の人が通常の注意を払っていれば,回避可能であるか否かという判断要素も重視される。 イ以下の本件歩道の客観的状況などから,一般の歩行者が通常の注意をもって歩行すれば,本件蓋の状態に気づいて転倒事故の回避が期待でき,十分に安全性は確保されているのであるから,本件歩道が通常有すべき安全性を欠いている状態とはいえない。 (ア)本件蓋が持ち上がっていた程度は5センチメートルほどである。 (イ)本件蓋は幅員2.5メートルの本件歩道上の一番端に位置する。本件歩道は,本件蓋の幅0.4メートルを除いても歩行部分は2.1メートル存し,仮に自転車が本件歩道上を走行したとしてもなお十分な歩行スペースが確保されている。 (ウ)本件歩道の本件事故現場付近は非常に見通しが良く,本件蓋付近の視界を遮るものはない。(エ)甲9によれば,「向こうから自転車が来るのを認めて,私は,その人が通り抜けやすいように左へ寄って,親切心から道をゆずってあげ- 4 -たのです」と,原告自ら述べるとおり,本件事故に ない。(エ)甲9によれば,「向こうから自転車が来るのを認めて,私は,その人が通り抜けやすいように左へ寄って,親切心から道をゆずってあげ- 4 -たのです」と,原告自ら述べるとおり,本件事故に急迫性は認められない。 ウ本件事故現場は,雨水等の排水を目的とする側溝上であり,蓋は人が転落することを防ぐものである。側溝蓋上は本来的には人の歩行を目的としていない。また,その蓋は取り外しが可能な幅40センチメートル,長さ60センチメートルのコンクリートブロックが連続する構造となっており,アスファルト舗装された本来の歩道部分とは明らかに構造が異なる。その構造,用法等の諸般の事情を総合考慮すれば,本件側溝及び側溝蓋が通常有すべき安全性を欠いていたとはいえない。 エ本件道路の管理(ア)本件蓋が持ち上がった原因は,本件蓋下のU形側溝内部に土砂や異物が堆積して側溝の流水断面を狭め,そこへ容量を超える雨水が流れ,その水圧によって浮き上がったものと推測される。 しかし,本件歩道は全部にわたり舗装してあり,また,本件歩道に存する側溝にはすべて蓋がしてあるから,土砂や異物等が侵入することを予測することは困難であり,まして傾斜する本件歩道において,異物等が流下しないまま側溝内に堆積することを予測することは不可能である。 (イ)被告は,被告が管理する道路の構造を保全し,円滑な交通を確保するため,「名古屋市道路パトロール要綱」(以下「パトロール要綱」という。)及び定期パトロール実施計画作成基準(以下「パトロール基準」という。)に従い,実施計画を作成し,それに基づき道路の定期パトロールを行っている。そして,本件道路は主要道路であり,パトロール基準により,週1回程度のパトロールを実施することとされている。 そして,被告は,本件事故が発生した平成16年8月に き道路の定期パトロールを行っている。そして,本件道路は主要道路であり,パトロール基準により,週1回程度のパトロールを実施することとされている。 そして,被告は,本件事故が発生した平成16年8月において,事- 5 -故発生日の22日までの間に,2日午後,3日午後,6日午前,12日午前,13日午後,18日午後及び19日午後の計7回,パトロールを実施しており,その際,本件道路に円滑な交通の障害となる危険箇所等は発見されていない。 (ウ)被告が管理する道路の総延長は,名古屋市域全体で6138キロメートル余にも及んでおり,そのすべての道路を市内16区に配置された各土木事務所において,限られた職員で対応している現状では,自ずとその頻度,方法には限界がある。通常予測される安全性の程度を越える安全基準を設定し,これにわずかでも及ばない状況に逐一対応することはおよそ不可能なのであり,わずかな蓋のずれまでも発見することは,困難と言わざるを得ない。 (エ)本件事故が発生する以前,本件道路において,本件蓋が持ち上がっている,あるいは,その他本件道路の危険等を指摘する市民からの通報は一切なく,被告は,本件蓋の持ち上がりを確知し,補修等の対応をする余地はなかった。 (オ)したがって,被告は,本件道路ないし歩道について,通常予測される安全性の欠如に対する管理行為は尽くしており,本件蓋持ち上がりの出現は,その管理行為が及び得ない事態であったというほかない。 ( ) 争点( )(原告の損害額) (原告の主張)原告の損害総合計111万9380円ア医療費2万0090円イ通院交通費合計1万6150円タクシー代7350円公共交通機関による通院費1日当たり400円×20日=8000円- 6 -片道当たり200円×4日=800円通院交通費 2万0090円イ通院交通費合計1万6150円タクシー代7350円公共交通機関による通院費1日当たり400円×20日=8000円- 6 -片道当たり200円×4日=800円通院交通費については,マイカーを使用した場合の交通費は公共交通機関を利用した場合における交通費に引き直して請求するのが通例である。 ウ眼鏡修理費(レンズ破損)2万8140円エ通院慰謝料95万円財団法人日弁連交通事故相談センター発行にかかる交通事故損害額算定基準19訂版100頁記載の入・通院慰謝料表による金額オ弁護士費用10万5000円原告は,本件事件処理を原告代理人に委任するに当たり,着手金10万5000円を支払,かつ報酬として被告から支払を受けた金額の15%相当額を支払う旨約束した。よって,被告は,上記弁護士費用のうち少なくとも着手金相当額を負担すべきである。 (被告の主張)ア医療費については,原告がその費用を支払った事実は認める。ただし,損害賠償の対象となるのは,相当通院期間における医療費に限定される。 イ通院交通費は,否認する。 原告は,名古屋市内の市バス,地下鉄等の公共交通機関を無料で利用できる敬老パスを所持しており,市バスを無料で乗車できた。 マイカーを利用した日もあり,通院交通費は実費が原則であり,自家用車の場合には,実費相当額(ガソリン代等)である。 ウメガネ修理費は,同費用を要した事実自体は認める。 エ通院慰謝料は,否認する。 オ弁護士費用は,知らない。 ( ) 争点( )(過失相殺) (被告の主張)本件事故は原告の過失によるものであるから,過失相殺(原告9割,被告- 7 -1割)を予備的に主張する。 ア本件事故当日の名古屋市の天気は晴れ,日の出時刻は,本件事故発生時刻より前の午前5時17分であり,本件事故 失によるものであるから,過失相殺(原告9割,被告- 7 -1割)を予備的に主張する。 ア本件事故当日の名古屋市の天気は晴れ,日の出時刻は,本件事故発生時刻より前の午前5時17分であり,本件事故発生当時,本件歩道は歩行に支障のない明るさがあったのであるから,本件蓋の位置,周囲の状況等の客観的状況を併せ考えると,歩行者が本件蓋を目視すれば,蓋が持ち上がり段差が存することを容易に確認できた。 イ歩道上の舗装された部分においては平坦であることは期待されるであろうが,十分な幅員を有する歩道の隅に存する側溝の蓋まで常に平坦であることが期待されるとまでいえるか疑問である。 取り外しが可能な蓋である以上,ずれは当然生じうるし,隙間も存することも不自然ではない。また,側溝蓋の構造上,蓋と蓋との間には隙間が存し,各ブロックには取り外す際に手を入れることができるだけの手掛け部分が存し,蓋設置状態においては,かかる手掛け部分は完全に穴となるものである。このように側溝部分は,他のアスファルト舗装部分とは構造が異なる。 何らかの事情でかかる側溝上を歩行する場合には,自ずと歩行者に課される注意義務は高まり,ずれによる段差や隙間に注意して歩行することが求められ,歩行者においても側溝であることは容易に判別できるのであるから,そのような注意義務を尽くすことの期待可能性も十分に存する。 ウ原告は,自転車をやり過ごした後,側溝上にいることを認識した上,本来の歩道に戻ることも可能であったのに,敢えて側溝上を進行し,本件側溝上に移動した位置から本件蓋まで視界を遮るものはないのに,本件蓋の持ち上がりを見逃して,漫然と進行した過失がある。 (原告の主張)ア歩行者は,歩道脇の蓋付きU形側溝は平坦なものであるとの認識で通行するのが通常であり,側溝の蓋が5センチメートルも持ち上 本件蓋の持ち上がりを見逃して,漫然と進行した過失がある。 (原告の主張)ア歩行者は,歩道脇の蓋付きU形側溝は平坦なものであるとの認識で通行するのが通常であり,側溝の蓋が5センチメートルも持ち上がっている状- 8 -況など予測しておらず,もちろん歩行者にはそのような異常な事態を予測すべき義務もない。 イ歩道上を歩行する際,一歩一歩進行するたびに足下の道路状況を詳細に確認する注意義務を認めることは非現実的であり,そのような注意義務を原告が負うとする被告の主張の不当性は明白である。 ウ本件事故発生時の状況(ア)本件事故発生時における本件歩道の通行状況は早朝散歩の人,犬の散歩の人,ジョギングの人,太極拳愛好家グループの人,鳩にえさを与える人,ゲートボール愛好家など多数の人が頻繁に行き交っている状況であり,原告の前にも後ろにも横にも交互に人が絶え間なく行き交っていた。 (イ)本件側溝上を人が通行することも想定されていることは,争点( ) の原告の主張アのとおり(ウ)原告は,本件歩道を東方から西方へ夫の後を歩行してきたが,対向方向から通行してくる新聞を前後の荷台に積載した自転車を発見し,危険回避が必要であると判断したが,原告の右側には女性が1人,原告とほぼ並行して歩行中であったため,本件側溝上へ退避した。その後,原告は,自転車が通り過ぎた後,歩道に沿って本件側溝の上を1,2歩南西方向へ進行した途端,本件蓋につまずき,転倒した。 (エ)以上の状況等からすれば,原告の本件側溝上を1,2歩進行した行為は,歩行者としての過失に当たらないことは明白である。 第3当裁判所の判断 争点( )について ( ) 本件事故現場の状況は,争いのない事実等( )のとおりである。側溝は, 雨水等の排水を本来の目的とするものであるが,本件 は明白である。 第3当裁判所の判断 争点( )について ( ) 本件事故現場の状況は,争いのない事実等( )のとおりである。側溝は, 雨水等の排水を本来の目的とするものであるが,本件側溝は歩道の一部であって,蓋がされて本来の歩道部分と段差がないのであるから,人が歩くこと- 9 -も当然予想される。そうすると,本件蓋が5センチメートルほど持ち上がっている状態は,歩行者がそれにつまずいて転倒する危険性は十分にあり,本件歩道には通常有すべき安全性を欠いていたと一応認定することができる。 被告は,一般の歩行者が通常の注意を払っていれば,本件蓋の持ち上がりに気づき,転倒事故は回避できるから,瑕疵は存在しない旨主張する。 しかし,通常の歩道において,歩行者に足下の道路の状況に常に注意を払う義務を認める法的根拠はなく,また,本件事故当時,本件歩道において歩行者にそのような注意を払うことを求め得るような事情はうかがわれないので,一般の歩行者が通常の注意を払えば,常に本件蓋の持ち上がりに気づいて転倒事故を回避できるとまでは認められず,被告の主張は採用できない。 ( ) 次に,本件歩道について,通常予測される安全性の欠如に対する管理行為 は尽くしており,本件蓋の持ち上がりの出現は,管理行為が及び得なかった旨の被告の主張について,判断する。 証人I,甲12の3,甲13の1~6,乙6,乙7,乙8及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ア争点( )の被告の主張エ(イ)及び(エ)のとおり,パトロールが実施され たこと,本件事故が発生する以前,本件蓋が持ち上がっていることを指摘する市民からの通報がなかったこと。 イ被告は,本件事故が発生するまで,本件蓋の状態を認識していなかった。 ウ本件事故発生当時,本件側溝の蓋は,取り外し可能な手掛け 件蓋が持ち上がっていることを指摘する市民からの通報がなかったこと。 イ被告は,本件事故が発生するまで,本件蓋の状態を認識していなかった。 ウ本件事故発生当時,本件側溝の蓋は,取り外し可能な手掛け部分のあるコンクリート製のブロックであった。 エ本件事故発生当時,本件蓋が持ち上がっている状態について,その付近の本件歩道や車道からの見通しを妨げるものは存在しなかった。 オ本件蓋の持ち上がりの状態は,本件事故の翌日平成16年8月23日,A土木事務所の職員によって,補修された。 ( ) 以上の事実によれば,市民からの通報もなく,定期パトロールで本件蓋の - 10 -状態を発見できなかったのであるが,本件側溝の蓋の構造上,異物が混入したり,隙間が生じたり何らかの異常が生ずることは当然予想されるところであり,本件側溝を目視さえすれば(それは現状のパトロールでも十分に可能と思われる。),本件蓋の持ち上がり状態を発見することは十分に可能であり,発見すればその補修も容易に可能であった。 次に,本件蓋の持ち上がり状態の発生の時期によっては,本件事故発生前に本件蓋の状態を発見可能であったか問題となるが,その本件蓋の状態は,本件事故発生日の直近に実施した同年8月19日のパトロール実施後に発生した旨の主張立証がないので,それ以前に本件蓋の状態が発生し,本件事故発生前のパトロールで発見可能であったものと認める。 したがって,本件蓋の持ち上がり状態が生じてから,本件事故発生までの間に,被告においてその状態を発見し,補修することは,十分に可能であったと思われる。 争点( )について 原告は,本件事故により,次のとおり合計91万1380円の損害を受けたことが認められる。 ( ) 医療費2万0090円 原告が医療費として支払った金額には争いがないところ, 点( )について 原告は,本件事故により,次のとおり合計91万1380円の損害を受けたことが認められる。 ( ) 医療費2万0090円 原告が医療費として支払った金額には争いがないところ,原告本人,甲1から甲3まで及び甲5の1~25によれば,その金額を認めることができる。 ( ) 通院交通費1万3150円 原告本人,甲5の19~25,甲9,甲11及び弁論の全趣旨によれば,平成16年10月まではタクシー又はマイカーで,同年11月からは名古屋市営地下鉄で通院したこと,平成16年11月以降の通院回数は7日であること,原告が名古屋市内の市バスや名古屋市営地下鉄を無料で利用できる敬老パスを所持していること,以上の事実が認められるところ,通院交通費について,原告の年齢,負傷の状況等からみてタクシーの利用は相当と認めら- 11 -れるので,領収書のある範囲でタクシー代相当額を,領収書のないタクシー及びマイカー利用については,低廉なバス代料金相当額を認めることが相当である。地下鉄の利用(14回)については,無料で利用できるので,その分については通院交通費は認められず,この認定を覆すに足る証拠はない。 したがって,全部の通院片道回数49回(本件事故当日は救急車により搬送)のうち,タクシー代相当額7350円(甲6の1~6。6回)及びバス代料金相当額5800円(200円×29回)の合計1万3150円の範囲で認めることができる。 ( ) 眼鏡修理費2万8140円 ( ) 通院慰謝料85万円 原告本人,甲1及び争いのない事実等によれば,原告は,本件事故により,右橈骨遠位端骨折,顔面挫創,両膝挫傷の傷害を負い,通院期間109日間で通院回数25日の通院治療を受けたことが認められ,これを慰謝するには85万円が相当である。 争点( )につい 件事故により,右橈骨遠位端骨折,顔面挫創,両膝挫傷の傷害を負い,通院期間109日間で通院回数25日の通院治療を受けたことが認められ,これを慰謝するには85万円が相当である。 争点( )について ( ) 原告本人,甲11及び甲13の1~6によれば,以下の事実が認められる。 ア原告は,本件事故発生前,自転車を待避するため,本件側溝上に移動して立ち止まり,自転車をやり過ごした後,側溝上であることを認識しながら,本件側溝上を歩き始め,1,2歩南西方向へ進行したところで本件蓋につまずき,転倒した。 本件事故現場付近の本件歩道は,本件側溝部分を除いても,相当程度の歩行スペースがあり,原告が本件側溝上を歩き始めてから本件事故発生時までの間,そのスペースの歩行を妨害するような障害物等は存在せず,また,再びそのスペースに戻るのに支障はなかった。 なお,原告は,本件訴え当初,散歩中突然前方から走行してきた新聞配達人の自転車を認めた際,衝突の危険を感じ,同自転車を避けようとして- 12 -歩道左側の側溝方向へ反射的に体を退避した際,約5センチメートル不自然に持ち上がっていた側溝の蓋に足を取られて転倒し受傷したものであり,とっさの危険回避行動である旨主張していたが,先に認定のとおりで,原告のこの主張は採用できない。 イ原告は,本件事故発生当時,本件蓋が持ち上がっていることに気付いていなかった。 ウ本件事故発生当時,本件蓋が持ち上がっている状態について,その付近の本件歩道上からの見通しを妨げるものは存在しなかった。 ( ) 以上の認定事実に争いのない事実等を総合すると,原告が,本件蓋の持ち 上がっている状態を発見することは十分に可能であったのであり,何ら合理的な理由なく本件側溝を歩行したことが本件事故発生の一つの原因であるから,過失相殺が認 実等を総合すると,原告が,本件蓋の持ち 上がっている状態を発見することは十分に可能であったのであり,何ら合理的な理由なく本件側溝を歩行したことが本件事故発生の一つの原因であるから,過失相殺が認められてしかるべきであり,その過失割合は原告8割と認めるのが相当である。 そうすると,被告が原告に対して負う損害賠償義務は,原告の損害91万1380円のうち,その2割である18万2276円となる。 弁護士費用事案の内容,認容額その他の事情を総合考慮すると,弁護士費用のうち2万円が本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。 以上によれば,原告の請求は金20万2276円及び本件事故の日である平成16年8月22日から民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから,その範囲で認容することとし,仮執行宣言については,相当でないからこれを付さないこととする。 名古屋簡易裁判所裁判官鈴木章夫
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