昭和43(ネ)135 転勤命令の効力停止仮処分申請事件

裁判年月日・裁判所
昭和44年4月7日 仙台高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      控訴人らの本件控訴をいずれも棄却する。      控訴費用は控訴人らの負担とする。          事    実  控訴代理人は「原判決を取消す。本件を福島地方裁判所に差戻す

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主文 控訴人らの本件控訴をいずれも棄却する。 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実 控訴代理人は「原判決を取消す。本件を福島地方裁判所に差戻す。」との判決を求め、被控訴代理人は主文同旨の判決を求めた。 当事者双方の事実上の主張および立証関係は左記事項を附加するほか原判決事実摘示のとおりであるからこれを引用する。 第一、 一、原判決一一枚目表二行目から同一四枚目表六行目までを削除する。 二、 原判決一四枚目表七行目の(五)を(三)と、同一六枚目表二行目の(六)を(四)と、同一七枚目裏四行目の(七)を(五)とそれぞれ訂正する。 三、 原判決二一枚目裏一〇行目より同二二枚目表五行目までを削除する。 四、 原判決二二枚目裏三行目の(一)を削除する。 五、 原判決二二枚目裏一一行目から同二三枚目表三行目の「これについてみると、」までを削除する。 六、 原判決二三枚目裏一二行目から同二四枚目裏七行目までを削除する。 第二、 控訴代理人の主張一、三公社や地方公営企業職員の勤務関係を規律する実定法並びに五現業公務員の勤務関係を規律する実定法を仔細に検討すると両者の間には大差がないことは後述するとおりであり、五現業公務員の勤務関係の法律関係の実質は、三公社、地方公営企業職員の勤務関係同様、当事者対等、私的自治の取引関係というべきである。 以下、(一)勤務関係の概念、(二)五現業公務員の勤務関係を規律する実定法、(三)三公社、地方公営企業職員の勤務関係を規律する実定法との関係について控訴人らの主張を述べる。 (一) 一口に勤務関係といつてもその内容を分折すると「労働力の提供と対価支払の関係」および「従事する業務内容等から生ずる特殊な地位に基づいて発生する権利義務関係」の二つの側面がある。そ 述べる。 (一) 一口に勤務関係といつてもその内容を分折すると「労働力の提供と対価支払の関係」および「従事する業務内容等から生ずる特殊な地位に基づいて発生する権利義務関係」の二つの側面がある。そして後者の権利義務関係が法律によつて規定され、かつその法律が公法に属するとしても、それが直ちに前者即ち「労働力の提供と対価支払の関係」の側面を公法関係化するものではない。 ところで五現業公務員に対しては国家公務員法(以下国公法という)第一〇〇条第一ないし第三項、第一〇二条、第一〇三条等で規定する義務があるが、それはいずれも前述した「特殊な地位に基づく権利義務関係」の規定であつて、そのために五現業公務員の勤務関係全部が公法関係であるとはいえない。 このように一口に勤務関係といつても「労働力の提供と対価支払の関係」の側面が公法関係か否かは該側面が本質的に取引関係であるか否か、また該側面を規定する実定法の規定がどうなつているかを検討しなければ決せられない。 (二) よつて次に五現業公務員の勤務関係を規律する実定法について検討する。 (1) ある法律関係を規定する実定法という場合当該実定法全体を体系的に把握し、統一的に矛盾のないよう解釈すべく、本件の場合には労働基準法(以下労基法という)公共企業体等労働関係法(以下公労法という)をも考慮に入れないわけには行かない。 (2) 五現業公務員に対しては労基法が適用されるものであるところ、右労基法は労働者の勤務関係中「労働力の提供と対価支払の関係」の側面を当事者対等の取引関係として把握しているし、公労法第八条もまた労働条件に関する事項を団体交渉事項、協議事項として当事者対等の合意により決すべきものとしている。 さらに国公法と労基法、公労法との関係について検討するに、(イ) まず右各法律が互に排斥しない た労働条件に関する事項を団体交渉事項、協議事項として当事者対等の合意により決すべきものとしている。 さらに国公法と労基法、公労法との関係について検討するに、(イ) まず右各法律が互に排斥しないものとの前提に立つて考える。 労働者の勤務関係を「労働力の提供と対価支払の関係」(前者の関係という)と「特殊な地位に基づく権利義務関係」(後者の関係という)との二側面に分けて考えると、前者の関係では国公法と労基法とは排斥せず、後者の関係では労基法は無関係である。そして前者の関係では国公法には当事者対等の取引関係を否定する規定は見当らない。即ち国公法の競争試験の原則は一種の資格試験であり、合格者の採否は不確定である。また任用における能力実証の原則(同法第三三条第一項)も「労働力の提供と対価支払の関係」が取引関係であると把握する妨げとはならない。もつとも文言上、任用、免職等命令服従関係を窺わせるものが見受けられるが、同法律には採用、雇用なる文言も使用されており(同法第五一条、第五五条第三項等)免職については公労法では解雇という文言になつており(公労法第一八条)、文言の差のみでは勤務関係の本質を律しえない。 (ロ) 次に国公法と労基法、公労法とが互に排斥するものとの前提に立つて考える。 労基法は基本法であり、憲法第二七条第二項を直接らけて成立しているものであるから、労基法を一般法として特別法たる国公法が優先するとの考方で律するわけには行かない。むしろ労働条件の基準に関する限り労基法が優先すべきである。また少くとも公労法は五現業職員について国公法の特別法であり、公労法において労働条件が団体交渉事項および協約事項として規定されている限り、五現業公務員の労働条件は当事者対等、私的自治の原則によつて決せらるべきである。 (三) 三公社、地方公営企業職員 あり、公労法において労働条件が団体交渉事項および協約事項として規定されている限り、五現業公務員の労働条件は当事者対等、私的自治の原則によつて決せらるべきである。 (三) 三公社、地方公営企業職員と五現業公務員との各勤務関係を律する実定法を比較検討するに別表1ないし12の国公法の規定に対応する三公社、地方公営企業職員に対する規定は同表各欄記載の各条文であるが、結局国公法の規定に対応する規定の存しないのは(1) 別表2(免職について法定事由を要する規定)についてであるが、地方公務員法第二七条には「この法律で定める事由による場合でなければ免職されない」と規定されており、また日本国有鉄道法等には「左の各号の一に該当する場合を除き免職されない」(同法第二九条、日本電信電話公社法第三一条等)との規定があり、結局法律に定めた事由に基づかなければ免職されないことになつており、国公法と実質的に異なつていない。 (2) 政治的行為の制限規定については「労働力の提供と対価支払関係」とは別問題である。 (3) 三公社についてのみ対応規定のない別表3、4、8、9、12の規定も労働力の提供と対価支払面における勤務関係とは別問題であることを考えると、五現業公務員の勤務関係を規律する実定法と三公社および地方公営企業職員の勤務関係を規律する実定法とは大差がない。従つてこの点からも五現業公務員の勤務関係もまた当事者対等、私的自治の取引関係といわざるをえない。 以上の理由により結局労基法施行規則第五条各号の労働条件は本来公労法第八条第四号により当事者対等、当事者の合意により決めることのできる事項であり、少くとも五現業公務員にとつて私的自治の分野に属する法律関係というべきである。 二、 控訴人らの主張に対する被控訴人の反論について(一) 被控訴人は、控訴人らが より決めることのできる事項であり、少くとも五現業公務員にとつて私的自治の分野に属する法律関係というべきである。 二、 控訴人らの主張に対する被控訴人の反論について(一) 被控訴人は、控訴人らが主張する「労働力の提供と対価支払の関係」についても国公法およびその規定に基づく人事院規則によつて詳細な規定が設けられている点を挙げ、公労法第八条による団体交渉事項も結局はそれらの規定を前提とし、それに制約されるものと主張する。 しかし国が行政処分であれ、私法処分であれ、いかなる行為をするにも法律または法律を前提とした何らかの規定によることを要するのは、国の意思決定が法律の根拠を必要とする以上当然である。これは何も行政処分即ち公法関係についてだけ適用することではない。国がその行政目的を達するためには私法上の行為をなす必要を生ずるが、その私法上の行為はすべて法律又は予算に基づいてなされる。国の行為はすべて法律の根拠を要するのは国という組織構成上当然のことで、逆に法律の規定に基づく行為はすべて公法であるとはいいえないことも明らかである。被控訴人の主張は右の理を解しないもので理由がない。 (二) 本件の就業の場所に関する労働条件に関する法律関係が被控訴人主張のように公法関係であるといろためには、国公法の適用される分野はすべて公法関係であり、五現業公務員については国公法がすべての規定に優先して適用されるという二重のドグマを承認しなければならないものであり、かような見解には合理性がない。 (三) 次に被控訴人は本件配置換えは国公法第八九条にいう「いちじるしく不利益な処分」に当るから行政事件訴訟法第三条第二項の行政庁の処分に当ると主張する。ところで右主張はその理論的前提として採用、昇任と降給、降任、休職、免職とは本質的に相異があるものでないことを挙げて 利益な処分」に当るから行政事件訴訟法第三条第二項の行政庁の処分に当ると主張する。ところで右主張はその理論的前提として採用、昇任と降給、降任、休職、免職とは本質的に相異があるものでないことを挙げているが、これは論理の飛躍である。同条は、職員の意に反する不利益な取扱を問題としているのであるから採用、昇任と降任、休職等とは本質的に異なるものといわねばならない。 三、 本件配置換えを行政処分として抗告訴訟の対象とするのは不当である。 (一) 公務員の勤務関係が法律によつて規律されている労働契約関係である以上、民事訴訟法によつて裁判所に出訴することができるものといわなければならない。行政事件訴訟法は問題の多い存在であり、一般的にいつて同法の対象とされる事項はできるだけ制限的に解釈されなければならない。 (二) 本件配置換えは「いちじるしく不利益な処分」には当らない。即ち「いちじるしく不利益な処分」とは降給、降任、休職、免職その他懲戒処分のような処分の一般的形態そのものが不利益な取扱とみなされるものをいうのであつて、一般的には格別の不利益をもたらすものでなく、他に不当な因子が加わることによつてはじめて不利益な取扱となるものまでを含むものではない。何となれば降給、降任、休職、免職、懲戒処分は審査の結果その理由ありとしてこれらの処分が是認されても結局不利益な取扱であることには変りはない。本件配置換えの場合右配置換えが不当労働行為的意図に基づくような不当性がないならば何ら不利益処分とはならない筈のものであるからである。 (三) なお国公法第九二条の二は同法第八九条の処分について仮処分もしくは執行停止等を禁ずる規定であるから、「いちじるしく不利益な処分」という概念は制限的に降給、降任、休職、免職等と同視すべき懲戒処分たる性質を有するものをいうと解す 第八九条の処分について仮処分もしくは執行停止等を禁ずる規定であるから、「いちじるしく不利益な処分」という概念は制限的に降給、降任、休職、免職等と同視すべき懲戒処分たる性質を有するものをいうと解すべきである。さらに右第八九条、第九二条の二は本来極めて不当な規定であるから、その対象とされるものはできるだけ制限されるべきであり、この点からも本件配置換えは前記不利益処分には該当しないというべきである。 (四) 被控訴人主張のように公務員に対する「いちじるしい不利益な処分」に対する訴訟を抗告訴訟と解するとしたら、それらの国公法の規定は本来有すべくもない効力を法政策上それらの行為に与えているものといわなければならない。しかしそれが法政策上のものであるとすればその合理的根拠は右規定が公務員の権利救済制度として被処分者のためのものであり、救済を受けんとする公務員の側からみて好ましいと思われる救済方法でなければならない。そうだとすると同法第八九条に該当する処分に公定力が認められるのはそれを取消訴訟として争う場合のことであつて、公務員はその選択によりそれと併列的に民事訴訟法によつても争うことができるものというべきである。 (五) 控訴人らは本件配置換えは人事院に提訴しなくとも裁判所に救済を求めうるという前提に立つているのであり、裁判所に提訴できないことを前提とする解釈を問題とする余地はない。 (六) 被控訴人は、控訴人らの主張は職員の権利を拡大すると主張しながら結果としては逆にこれを制限するものであるというが、控訴人らの主張を理解していない言分である。 控訴人らはスト権剥奪に始る、一連の不当な公務員労働者に加えられている権判制限の一環である国家公務員であることを理由に民間労働者と差別して民事救済を否定せんとする理論を打破し国家公務員にも広く民事救済 訴人らはスト権剥奪に始る、一連の不当な公務員労働者に加えられている権判制限の一環である国家公務員であることを理由に民間労働者と差別して民事救済を否定せんとする理論を打破し国家公務員にも広く民事救済の道を開かんとして本件控訴に及んでいるものである。行政救済は公益を理由に民事救済にはない様々な制約が課せられている。このように不当な制約はまさに課税処分とか警察下命のような私法に類をみない関係(行政処分)にのみ限らるべきであつて、労働契約関係のような民事関係にまで無批判におよぼされる理由はないのである。 控訴人らの主張は職員の権利を拡大するものである。民事救済が求められないことを前提とした上で、職員の権利を制限することになるなどということは本末を転倒した理解の仕方という外はない。 第三、 被控訴代理人の主張一、 公務員の任用、昇任、分限処分、懲戒処分および服務に関する特別の義務について規定した国公法の諸規定が国と公務員との対等および両者間の契約自由の思想に基づくものではなく、行政の主体としての国家の公務員に対する優越的地位を認め、公務員に対して特別の義務を課するもの、即ち公法上の権利義務に関する規定であることは明白である。(控訴人ら自身も本件仮処分申請理由第四の二の(3)において「公共企業体等の職員と任用権者間の労働関係は対等者間の合意の支配する分野であつて、一般の公務員の身分が国公法上の分限によつて定められているのとは法制上の性質を異にしている。」と主張し、国公法によつて定められている一般国家公務員と国家との権利義務関係が公法上のものであることを自認していた。)二、 従つて国公法上の任用、分限、懲戒等に関する規定に基づく任用、分限、懲戒等の処分が行政事件訴訟法第三条第二項にいわゆる行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為であるこ を自認していた。)二、 従つて国公法上の任用、分限、懲戒等に関する規定に基づく任用、分限、懲戒等の処分が行政事件訴訟法第三条第二項にいわゆる行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為であることは実定法上も明白なところである。 即ち国公法第九〇条は職員が同法第八九条第一項所定の各処分を受けた場合人事院に対してのみ行政不服審査法による不服申立をすることができる旨規定し、国公法第九〇条の二ないし第九二条の二において不服申立の手続、申立に対し人事院の採るべき措置、不服申立と訴訟との関係について規定しており、この点から見ても前記第八九条第一項の各処分は行政不服審査法第一条の明文上当然行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為に該当するものというべきである。 三、 そうだとすると国公法第八九条第一項所定の各処分が行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関する訴訟手続の一般法である行政事件訴訟法第四四条にいう行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為に該当することもまた明白である。 四、 ところで本件配置換えの処分は国公法第三五条、人事院規則八―一二に定める官職の欠員補充のための任用処分であつて、これらの法律、規則が欠員補充の方法として定める採用、昇任、降任、転任の処分と同じ性質の処分である。 五、 控訴人ら主張のいわゆる「労働力の提供と対価支払の関係」と「従事する業務内容等から生ずる特殊な地位に基づいて発生する権利義務関係」について(一) 控訴人らは五現業公務員の勤務関係は前記二つの側面を有するものであると主張し、国公法第一〇〇条第一ないし第三項、第一〇二条、第一〇三条等の義務は右にいわゆる「特殊な地位に基づいて発生する権利義務関係」の規定であつて、これらの関係は公法関係と解すべきであるが、これがためにその勤務関係全部 〇条第一ないし第三項、第一〇二条、第一〇三条等の義務は右にいわゆる「特殊な地位に基づいて発生する権利義務関係」の規定であつて、これらの関係は公法関係と解すべきであるが、これがためにその勤務関係全部が公法関係であるとはいえない。「労働力の提供と対価支払の関係」の側面は本質的に取引関係であり、実定法も当事者対等、私的自治の分野として規定していると主張するが、控訴人らの主張する右二つの側面あるいは二つの権利義務関係の間には本質的な区別はなく、いずれも公法上の関係である。即ち前記国公法第一〇〇条第一ないし第三項、第一〇二条、第一〇三条等の義務がなぜ前記のよろな権利義務関係の範囲に入るのか明らかでないし、また「従事する業務内容から生ずる特殊な地位」とはいかなる業務内容、いかなる地位をさしているのか明白でない。 (二) また控訴人らは公労法第八条が団体交渉事項として規定している賃金その他の給与、労働時間、休憩、休日および休暇等の取扱関係、昇職、降職、転職、免職、休職、先任権および懲戒の基準を決定する関係、労働に関する安全、衛生および災害補償の取扱関係等を純然たる私法関係であると主張するもののようであるが、五現業公務員の昇職、降職、転職、休職および懲戒の基準については国公法第三三条、第三七条、第七五条、第七八ないし第八〇条、第八二条、第八三条の諸規定およびこれらの規定に基づく人事院規則等によつて詳細な規定が設けられている。さらに災害補償、退職金等についても国家公務員災害補償法、国家公務員等退職手当法に詳細な規定が設けられている。そしてこれら特別の規定も結局は五現業公務員が国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務するという特殊な地位があるため設けられた規定と考えられるのであつて、この意味では職務上の秘密を守る義務等を定めた服務に関する諸規定とこ は五現業公務員が国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務するという特殊な地位があるため設けられた規定と考えられるのであつて、この意味では職務上の秘密を守る義務等を定めた服務に関する諸規定とこれら国公法上の諸規定との間には本質的な差異はないといわなければならない。従つて五現業公務員の勤務関係に二つの側面があり一方には公法、他方には私法の適用があるとの所論は相当ではない。 (三) 次に控訴人ら主張の前記「労働力の提供と対価支払の関係」も当事者対等、私的自治の分野ではない。即ち公労法第八条によつて団体交渉事項とされている事項に関しては、国公法、国家公務員災害補償法、国家公務員退職手当法等において特別の規定が設けられており、従つてこの側面も完全な当事者対等、私的自治の関係にはなつていない。公労法第八条に基づく団体交渉も当然このような法律、規則の定めを前提とするものであつて、両当事者の合意する労働協約もこれら法律、規則に反しない限度においてその締結が認められるものである。 従つて、行政の主体としての国の優越的地位は、これら労働条件決定の面においても実定法上明らかにされているといわざるをえない。 (四) 控訴人らが主張するように、五現業公務員に対しては労基法が適用され労基法第二条第一項は労働条件は労使対等の立場で決定すべきものであると規定し、さらに同法施行規則第五条第一項は労働契約の締結に際して就業の場所および従事すべき業務に関する事項を含む労働条件を明示すべきことを定め、一方また公労法第八条各号は労働条件に関する事項を団体交渉事項としている。 しかし前記の通り団体交渉にまかされているのはこれら労働条件に関する法律、規則の定めに牴触しない限りにおいてである。しかも団体交渉によつて決定するのは公労法第八条第二号の規定によつても明らかなとおり しかし前記の通り団体交渉にまかされているのはこれら労働条件に関する法律、規則の定めに牴触しない限りにおいてである。しかも団体交渉によつて決定するのは公労法第八条第二号の規定によつても明らかなとおり労働条件に関する基準である。国は五現業公務員の労働条件に関する前記のような法律、規則の定めおよび団体交渉によつて決定された労働条件の基準に基づいて個々の職員の労働条件を決定する。従つて、このような個別的な労働条件の決定は国と労働組合との間の労働条件決定の基準に関する合意に拘束されるとはいえ、その本質においては法律、規則によつて与えられた国の優越的地位に基づく一方的な決定即ち行政処分たる性質を失らものではない。たとえばこの関係を実定法の規定に即して考えてみると、公労法第八条第二号によつて懲戒の基準に関する事項は団体交渉事項とされているが、団体交渉によつて定めうる懲戒の基準はあくまでも国公法第八二条ないし第八四条の懲戒に関する規定を前提とするものでなければならない。そしてこのような団体交渉によつて定められた懲戒の基準および国公法の懲戒規定に基づいて行なわれる個別の懲戒処分は行政庁の処分その他公権力の行使にあたる行為として国公法第九〇条により人事院に対してのみ行政不服審査法による不服申立てができると規定されているのである。 (五) 控訴人らはまた労基法第二条第一項の労働条件の対等決定の原則、労基法が憲法第二七条を根拠とすること、公労法が労働条件に関する事項を団体交渉事項としていることおよび公労法が国公法の特別法であることなどを根拠として、労使の対等決定でない国公法その他の法律、規則による労働条件の規定の効力を認めないかのような主張をしているが、労基法第二条第一項の趣旨は労働条件は使用者が一方的に決定すべきものでないことを明らかにした規定であつて、 ない国公法その他の法律、規則による労働条件の規定の効力を認めないかのような主張をしているが、労基法第二条第一項の趣旨は労働条件は使用者が一方的に決定すべきものでないことを明らかにした規定であつて、具体的な五現業公務員の労働条件を使用者ではなく国民全体の意思である国の法律をもつて決定することまで禁止しようとするものではない。 従つて国公法、人事院規則等で定められた規定の効力は、右労基法等の規定によつて何らの影響もうけるものでないことはいうまでもない。 六、 以上のべて来たところから、五現業公務員に対する配置換えの処分が、いかなる法律的性質を有するものであるかが明らかである。 即ち公労法第八条第二号によれば職員の配置換えを含む転職の基準は団体交渉事項とされ、また労基法第一五条同施行規則第五条によれば就業の場所および従事すべき業務に関する事項は労働契約の締結にあたつて明示すべき労働条件とされているけれども、職員の配置換えは団体交渉およびこれに基づく労働協約によつてのみ行なわれるものではなく、あくまでも国公法第三五条および人事院規則八―一二(職員の任免)に基づいて官職の欠員補充のために任命権者によつて行なわれる任命行為であつて、その法律的性質は他の欠員補充の方法である採用、昇任、降任等と同様、国の優越的地位に基づく行政処分といわなければならない。 七、 被控訴人が本件のような配置換え処分を国公法第八九条の「いちじるしく不利益な処分」に該当すると主張したことを捉えて控訴人らは被控訴人が本件配置換え処分を不当労働行為の意図をもつて行なつたことを自白したものであるとか、また同条所定の「いちじるしく不利益な処分」の解釈は制限的に理解すべきであり、従つて降給、降任、休職、免職、その他懲戒処分のような処分の一般的形態そのものが不利益な取扱と見做される ものであるとか、また同条所定の「いちじるしく不利益な処分」の解釈は制限的に理解すべきであり、従つて降給、降任、休職、免職、その他懲戒処分のような処分の一般的形態そのものが不利益な取扱と見做されるもの、あるいは降給、降任、休職、免職等と同視できるような懲戒処分としての性質を有するものがこれにあたるのであつて、本件配置換え処分のよろなものはこれに該当しないと主張している。 しかしながら、被控訴人が主張した趣旨は、配置換え一般を「いちじるしく不利益な処分」とするものではなく、また本件配置換え処分が実質的に控訴人らに対する不利益取扱であり、かつ不当労働行為に該当することを認めるものでないことは本件訴訟の全経過から見て明白である。被控訴人の主張は、本件配置換え処分が、控訴人らの主張するような個人的理由等により、控訴人らにとつて不利益な取扱であるとしてその処分の効力を争うのであれば、その場合には配置換え処分は、国公法第八九条の「いちじるしく不利益な処分」に該当することになるという趣旨である。いいかえれば、配置換えの処分は一般的には控訴人らがいろように職員に対して特に不利益をおよぼすものでないが、しかし万一違法又は不当な配置換えが職員に対してなされた場合には、これを救済する保障措置は国公法第八九条以下に規定されている「いちじるしく不利益な処分」に対する保障措置の規定に求めらるべきであるという意味である。 八、 控訴人らは国公法第八九条、第九二条の二の規定が職員の権利を制限する不当な規定であり、従つて右第八九条にいう「いちじるしく不利益な処分」の解釈もできる限り制限的であるべきであり、本件のような配置換え処分はこれに含まれないと主張するが、この主張は国公法の右規定の趣旨を正解しないものといわなければならない。即ち右規定は職員に対してなされた不利益 きる限り制限的であるべきであり、本件のような配置換え処分はこれに含まれないと主張するが、この主張は国公法の右規定の趣旨を正解しないものといわなければならない。即ち右規定は職員に対してなされた不利益な処分についてできる限り広く救済の途を認めよらとするものであり、従つて「いちじるしく不利益な処分」の意味もできる限り広く解釈すべきものであるからである。 もし控訴人らの主張するように「いちじるしく不利益な処分」という意味を狭く解釈し、配置換え処分等はこれに含まれないということになれば不当な配置換え処分をされたと主張する者は人事院に対して公開口頭審理の請求を主張することも、自ら権利として審理に出席することも、弁護士以外の代理人を選任して事案を争うこともできないし(国公法第九一条)、また人事院規則一三―一(不利益処分についての不服申立て)によつて不利益処分の審査請求者に与えられる公平委員会に対する証拠調の申請(同規則第四一条)証拠資料の提出(同規則第三九条)等の権利も認められないこととなるのである。 控訴人らの主張は、国公法を正しく理解しないものであり、職員の権利を拡大すると主張しながら結果としては逆にこれを制限するものであるといわなければならない。 九、 被控訴人が国公法等において欠員補充の方法として定める採用、昇任、降任、転任の処分は……国公法第八九条が定める降給、降任、休職、免職等の処分と本質的な相異のある処分ではないと主張したことに対して、これは論理の飛躍であり、国公法第八九条は職員の意に反する不利益取扱を問題としているのであるから、この観点からするときには採用、昇任と降給、降任、休職、免職とは本質的に異なると主張している。 しかし、被控訴人が右のように採用、昇任等とその他の処分の間に本質的な相異がないと主張したのは、これら処分が職 からするときには採用、昇任と降給、降任、休職、免職とは本質的に異なると主張している。 しかし、被控訴人が右のように採用、昇任等とその他の処分の間に本質的な相異がないと主張したのは、これら処分が職員の意に反する不利益な取扱であるか否かの観点からではない。これら処分がいずれも法律、規則に基づいて任命権者が行なら行政処分であるという点において本質的に異ならないと主張したものである。 即ち、人事院規則八―一二(職員の任免)において任用の処分として規定されている採用、昇任、降任、転任の処分は、国公法第三五条および人事院規則によつて任命権者が国公法および人事院規則に基づいて行なう任命行為とされており、国公法第七五条以下に規定されている職員に対する分限処分としての休職、免職の処分も任命権者がこの法律(国公法)および人事院規則に従い、これを行なうものと規定され(国公法第六一条)、また懲戒処分も国公法第八二条、第八三条および人事院規則等に基づき任命権者がこれを行なう(国公法第八四条第一項)ものと規定されているのである。 さらにまた同じ内容をもつ降任の処分が官職の欠員補充のための任命行為としても、また分限上の処分としても行なわれること(国公法第三五条、同第七八条参照)、同様免職の処分が分限上の処分としてもまた懲戒処分としても行なわれること(国公法第七八条、同第八二条参照)などもこれらの処分が本質的に異なるものでないことを示している。 従つて官職の欠員補充のために行なう任命行為、分限処分、懲戒処分はそれぞれそれら処分を行なう理由や、それが職員におよぼす利益、不利益の点では相異があるが、任命権者がその任命権に基づいて行なら行政上の処分であるという性質は全く同じものであるといわなければならない。 以上によつて明らかなように控訴人らの主張は、国公法第八九条 利益の点では相異があるが、任命権者がその任命権に基づいて行なら行政上の処分であるという性質は全く同じものであるといわなければならない。 以上によつて明らかなように控訴人らの主張は、国公法第八九条第一項に規定する処分を受けた職員は人事院に対してのみ行政不服審査法による不服申立てをすることができると規定した国公法第九〇条の規定を無視する主張であつて到底認められるものではない。 理由 一、 控訴人らはいずれも農林省林野庁所属の農林技官であつて、控訴人Aは林野庁前橋営林局福島営林署に、控訴人Bおよび同Cは同営林局白河営林署に勤務していたところ、被控訴人は昭和四二年四月一日付をもつて控訴人Aを同営林局事業部土木課根利林道事業所に、控訴人Bを同営林局浪江営林署事業課椚平製品事業所に、控訴人Cを同営林局沼田営林署経営課に配置換えする旨発令し、同月四日控訴人らに対して右配置換えの各辞令を交付したことは当事者間に争がない。 二、 (一)これに対して控訴人らは、被控訴人の右配置換えは控訴人らがその所属する各組合分会において指導的な役割を行つてきたこと、即ち労働組合の正当な行為をしたことの故をもつてなされた不利益な処分ないし被控訴人の不当な支配介人であるとの理由により被控訴人の右配置換えは不当労働行為であると主張し、各控訴人に対する配置換えの意思表示の効力の停止を求めるために本件仮処分申立に及んだことはその主張自体から明白である。 (二) ところで行政事件訴訟法第四四条によれば行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為については民事訴訟法による仮処分をなしえないことと規定されているので、被控訴人のなした右配置換えの意思表示(以下本件配置換えという)が行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為に当たるかどうかについて判断する。 訟法による仮処分をなしえないことと規定されているので、被控訴人のなした右配置換えの意思表示(以下本件配置換えという)が行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為に当たるかどうかについて判断する。 (三) 国家公務員の国に対する勤務関係は公権力関係しかもいわゆる特別権力関係、即ち特別の法的根拠に基づいて成立する国と国家公務員との関係で国法上の特定の目的のために必要な限度において国家に対し包括的な支配権が与えられ、国家公務員がこの支配権に服する義務を認められている関係である。公権力関係の本質はそれが一般権力関係であると特別権力関係であるとを問わず、元来国家共同体の本質ないし使命に内在するものとして国法が国家の行政の主体に特定の目的の範囲において優越的地位を認め、この地位に基づく国家の行政権の発動行為に優越的効力を認めている関係である。近代法は国家の行政権の意思発動を厳重に羈束する反面において、法律関係の形成、実現の過程において国家の行政権の意思に優越性を認め、国家公務員の意思いかんにかかわらず一方的に命令して国家公務員をしてこれに服従せしめ、又は一方的に法律関係を形成、変更、消滅せしめうるのみならず、その行為にいわゆる公定力を与え、行政事件訴訟法による訴訟の結果否定されるまでいわゆる自力執行力を認められているのである。 これをわが国現在の実定法規について見るに、(1) 憲法第一五条第一、二項において、公務員を選定および罷免するのは国民固有の権利であり、すべて公務員は全体の奉仕者であり、一部の奉仕者でないと宣言し、同法第七三条第四号には、内閣は法律の定める基準に従い官吏に関する事務を掌理すると規定し、また同法第九九条には、公務員はこの憲法を尊重し擁護する義務を負うと規定しており、(2) これらの規定をうけた国公法は、職員の任免の根 は法律の定める基準に従い官吏に関する事務を掌理すると規定し、また同法第九九条には、公務員はこの憲法を尊重し擁護する義務を負うと規定しており、(2) これらの規定をうけた国公法は、職員の任免の根本基準、ことに免職基準(同法第三三条)、官職の欠員補充の方法としての採用、昇任、降任、転任等(同法第三五条、第三六条、第三七条)、任命権者(同法第五五条)、休職、復職、退職、免職手続(同法第六一条)、分限、懲戒、保障の根本基準、ことにその意に反する降任、休職、免職、降給の場合、これらに対する不服申立と訴訟との関係(同法第七四条、第七五条、第七八条、第七九条、第八二条、第八四条第一項、第八九条、第九〇条、第九二条の二)服務の根本基準、ことに法令および上司の命令に従う義務、信用失墜行為の禁止、秘密を守る義務、職務に専念の義務(同法第九六条第一項、第九七条、第九八条第一項、第九九条、第一〇〇条第一ないし第三項、第一〇一条)、政治的行為の制限その他の制約(同法第一〇二条、第一〇三条、第一〇四条)、勤務条件その他服務に関する必要事項(同法第一〇五条、第一〇六条)に関する諸規定を定め、(3) 国公法のこれらの規定をうけて人事院規則も職員の任免(昭和二七年五月二三日人規八―一二)、勤務評定(同年四月一九日人規一〇―二)、職員の身分保障(同年五月二三日人規一一―四)、職員の懲戒(同日人規一二―〇)、不利益処分についての不服申立(同年九月二六日人規一三―一)、営利企業への就職(昭和二四年六月一〇日人規一四―四)、政治的行為(同年九月一九日人規一四―七)、営利企業の役員等との兼業(昭和二五年一〇月二日人規一四―八に)関する詳細な諸規定を定め、(4) また農林省設置法第九〇条には、農林省に置かれる職員の任免、昇任、懲戒その他人事管理に関する事項は国公法の定 役員等との兼業(昭和二五年一〇月二日人規一四―八に)関する詳細な諸規定を定め、(4) また農林省設置法第九〇条には、農林省に置かれる職員の任免、昇任、懲戒その他人事管理に関する事項は国公法の定めるところによると規定し、同法および農林省組織令、同省組織規定によると、控訴人ら国有林野事業に従事する公務員、いわゆる五現業公務員の勤務関係に対しても前記国公法および人事院規則の諸規定の適用あることが明らかであり、<要旨>右(1)ないし(4)の国公法人事院規則等の諸規定により定められている控訴人らと農林省との間の勤務関係は、当</要旨>事者対等私的自治の原則の支配する私法規定の関係とだけとは解釈しえない、前述の公権力的規律体制となつており、公労法により五現業公務員が公労法の規律に引下げられ、その勤務関係中には控訴人ら主張のような私法関係規律の適用を認められている分野のあることをも考慮してもなお、わが国の実定法規上前掲記の各国公法人事院規則による規律の適用を排除されてはいない。これが控訴人ら五現業公務員に対する勤務関係法規の実状である。 しかして控訴人らに対する本件配置換えは原本の存在およびその成立の認められる甲第一ないし第三号証によれば、控訴人らの任命権者である林野庁前橋営林局長森博によつてなされたものであることが認められるから、同営林局長が前記法規に基づき国公法第三五条、前記人事院規則八―一二第六条に定める欠員補充方法の一としてなされた任命権者の処分というべく、これら法規が他の方法として定めている採用、昇任、転任、降任の処分の場合と同様ひとしく同営林局長が行政権の主体としてなした処分その他公権力の行使に当たる行為といわなければならない。 控訴人らは五現業公務員の勤務関係は当事者対等、私的自治を原則とする私法関係であるとるる強調力説する 同営林局長が行政権の主体としてなした処分その他公権力の行使に当たる行為といわなければならない。 控訴人らは五現業公務員の勤務関係は当事者対等、私的自治を原則とする私法関係であるとるる強調力説するが、前記法律、規則等の諸規定を通覧検討するときは右勤務関係をその主張のような私法関係ということはできない。 (四) もつとも公労法第四〇条第四項において五現業公務員に対する処分については労働組合法第七条各号に該当するものについては行政不服審査法による不服審査の申立をすることができないと規定されているが、それは右第七条各号に該当する処分については公労法第三条により公共企業体等労働委員会(以下公労委という)に対して救済を求めることを認めているので二重の救済方法を講ずる必要がないことから出たものであつて、これがために公労委に対して救済を求めうる事項は行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為と認めない趣旨であるとは即断できない。 さらに公労法第八条には昇職、降職、転職等の基準に関する事項が団体交渉事項とされているが、これらの事項については公共企業体の組織法および国公法に規定のあるものについてはそれに違反しないかぎりにおいて団体交渉の余地が認められているに過ぎないから、右規定から本件配置換えが行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為と認むべきでないというのも当をえない。 (五) なお控訴人らは五現業公務員の勤務関係には「労働力の提供と対価支払の関係」と「従事する業務内容等より生ずる特殊な地位に基づいて発生する権利義務関係」との二つの側面があると主張し、後者の関係から公法的権利義務を生ずることがあつても、その故に前者の関係をも公法関係とみることは誤りであることをるる主張するが、右のような理論の構成の是非はとも角として、前述のように実定法上五現業公 者の関係から公法的権利義務を生ずることがあつても、その故に前者の関係をも公法関係とみることは誤りであることをるる主張するが、右のような理論の構成の是非はとも角として、前述のように実定法上五現業公務員に対する本件配置換えのような行政庁の行為が公権力の行使に当る行為とされていることを否定する論拠として十分なものと認められない。 控訴人らの所論は前記のような勤務関係の分析を前提として結局五現業公務員の配置換えは「労働力の提供と対価支払の関係」であり、この分野については国公法等の規定の適用はなく、労基法が優先的に適用があるというに帰着するが独自の見解であつてもとより採用できない。 また控訴人らは別表掲記の国家公務員に関する各規定は地方公営企業の職員および三公社の職員に対してもそれと同様な規定が存在するから五現業公務員のみ勤務関係等について特別な取扱を受ける理由がないことをいうが、本件配置換えが行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為であるか否かは右表掲記のような諸規定が三公社職員にも存在するか否かのみで決せらるべき事柄ではないのでこの点に関する所論もまた採用できない。 また前述のように五現業公務員については公労法の適用があり、国公法の一部の適用除外があり(公労法第四〇条)、さらにその労働組合には団体交渉権、労働協約締結権等が認められており、国家公務員の場合とは異なつた取扱を受けているけれども、しかしそれだからといつて前段説明のとおり任免、分限、懲戒等に関する関係については他の国家公務員と同様な規律に服することには変りはない。結局右のような差異が存する事実もまた本件配置換えが行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為でないことの根拠とはなりえないといわなければならない。 三、 以上本件は不当労働行為を理由として本件配置換えの効力の停止を求 存する事実もまた本件配置換えが行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為でないことの根拠とはなりえないといわなければならない。 三、 以上本件は不当労働行為を理由として本件配置換えの効力の停止を求めているものであるが、これについては公労法第三条による公労委に対する救済申立と裁判所に対する訴の提起とがあるところ、後者の場合には本件配置換えが前認定のとおり行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為である結果これが効力を争う方法は行政訴訟によるべきであつて民事訴訟による仮処分申立はなしえないものと解する。 控訴人らは行政事件訴訟法は問題の多い存在であるから出訴事項は制限的に解すべきであるというが独自の見解に過ぎない。 四、 以上説示のとおり本件配置換えはいわゆる行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為であるからこれが効力の停止を求める仮処分申請は不適法というべく控訴人らの右仮処分申請を却下した原判決は相当というべきである。 よつて民事訴訟法第三八四条により本件控訴を棄却し、控訴費用の負担につき同法第九五条第八九条第九三条を適用して主文のとおり判決する。 (裁判長判事村上武判事松本晁平判事伊藤和男)別表<記載内容は末尾1添付>

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