平成22(行ウ)757 建築確認取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成24年5月17日 東京地方裁判所 警察関係
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判決文本文50,931 文字)

主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告が株式会社A(以下「本件建築主」という。)に対してした別紙1建築物目録記載の建築物(以下「本件建築物」という。)に係る平成24年1月10日付け建築確認処分(第○-○-○-○号。以下「本件建築確認処分」という。)を取り消す。 第2 事案の概要本件は,本件建築主が建築を計画した本件建築物につき,被告が,本件建築主に対し,建築基準法6条の2第1項に基づき,本件建築物の建築計画(以下「本件建築計画」という。)に係る本件建築確認処分をしたところ,本件建築物の周辺住民である原告らが,本件建築確認処分には建築基準法48条(用途制限)違反及び東京都建築安全条例(昭和25年東京都条例第89号)4条違反の違法等があると主張し,本件建築確認処分の取消しを求めている事案である。 1 前提事実(争いのない事実,顕著な事実並びに末尾記載の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 当事者等ア原告ら(ア) 原告Bは,別紙2物件目録記載1の建物(以下「原告B建物」という。)を所有し,同所に居住している。 (甲14,16)(イ) 原告Cは,別紙2物件目録記載2の土地及び同記載3の建物(以下「原告C建物」という。)を所有し,同所に居住している。 (甲14,17,18)(ウ) 原告B建物及び原告C建物と本件建築物等との位置関係は,別紙3(甲15の写し)のとおりであり,その距離は次のとおりである。 a 原告B建物(a) 本件建築物との距離約25m(b) 本件建築物の敷地との距離約21m 15の写し)のとおりであり,その距離は次のとおりである。 a 原告B建物(a) 本件建築物との距離約25m(b) 本件建築物の敷地との距離約21mb 原告C建物(a) 本件建築物との距離約14m(b) 本件建築物の敷地との距離約7m(甲15)イ被告被告は,建築基準法の規定により指定を受けた指定確認検査機関である。 (2) 本件建築確認処分等ア第1回建築確認処分(ア) 被告は,平成22年1月7日,本件建築主に対し,本件建築計画に係る建築確認処分(以下「第1回建築確認処分」という。)をした。 (イ) 原告らを含む近隣住民は,平成22年2月23日,港区建築審査会に対し,第1回建築確認処分につき審査請求をした。 (ウ) 港区建築審査会は,平成22年6月30日,原告らを含む近隣住民に対し,上記(イ)の審査請求を棄却する旨の裁決をし,同年7月7日,当該近隣住民に対し,当該裁決に係る裁決書の謄本(甲2)を交付した。 (甲2)イ第2回建築確認処分(ア) 被告は,平成22年11月16日,本件建築主に対し,第1回建築確認処分に係る計画の変更の確認申請について建築確認処分(以下「第2回建築確認処分」という。)をした。 (イ) 原告らは,平成22年12月28日,港区建築審査会に対し,第2回建築確認処分につき審査請求をした。 (ウ) 港区建築審査会は,平成23年7月25日,原告らに対し,上記(イ)の審査請求を棄却する旨の裁決(乙5)をした。 (乙5)ウ第3回建築確認処分及び本件建築確認処分(ア) 被告は,平成23年9月21日,本件 7月25日,原告らに対し,上記(イ)の審査請求を棄却する旨の裁決(乙5)をした。 (乙5)ウ第3回建築確認処分及び本件建築確認処分(ア) 被告は,平成23年9月21日,本件建築主に対し,第2回建築確認処分に係る計画の変更の確認申請について建築確認処分(第○-○-○-○号。以下「第3回建築確認処分」という。)をした。 (甲45)(イ) 被告は,平成24年1月10日,本件建築主に対し,第3回建築確認処分に係る計画の変更の確認申請について本件建築確認処分をした。 (甲46)(ウ) 原告らは,平成24年1月18日,平成23年12月20日に第3回建築確認処分がされたことを,平成24年1月16日に本件建築確認処分がされたことをそれぞれ初めて知ったと主張して,港区建築審査会に対し,これらの処分につき審査請求をした。 (3) 本件訴えの提起等ア原告らは,平成22年12月28日,第2回建築確認処分の取消しを求めて本件訴えを提起した。 イ原告らは,平成24年1月19日,本件訴えの請求の趣旨を本件建築確認処分の取消しを求めるものに変更する旨の民事訴訟法143条1項(行政事件訴訟法7条)に基づく訴えの変更の申立てをした。 なお,原告らは,本件建築確認処分の取消しの訴えにつき,本件建築確認処分についての審査請求に対する裁決を経ていないが,上記(2)の認定事実及び証拠(甲2,乙5)によれば,原告らが,港区建築審査会に対し, 本件建築確認処分と主たる理由が共通する第1回建築確認処分及び第2回建築確認処分につき,専らその共通する理由を攻撃対象とする審査請求をしたところ,いずれについても,港区建築審査会から,審査請求を棄却する旨の裁決を受けたことが認められるから,仮に原告らが本 び第2回建築確認処分につき,専らその共通する理由を攻撃対象とする審査請求をしたところ,いずれについても,港区建築審査会から,審査請求を棄却する旨の裁決を受けたことが認められるから,仮に原告らが本件建築確認処分についての審査請求をしたとしても,もはや当該各裁決における港区建築審査会の判断に変更の余地はないものと推認できること,原告らが平成24年1月18日に本件建築確認処分について審査請求をしていることに照らすと,行政事件訴訟法8条2項3号所定の「その他裁決を経ないことにつき正当な理由があるとき」に該当するものと認められる。 (以上につき,顕著な事実)(4) 本件建築計画の概要本件建築計画は,本件建築主が被告に提出した計画変更建築計画概要書(甲46)及び設計概要書(甲4,乙79)その他の書類において,要旨次のとおり記載されている。 ア地名地番東京都港区α×番1外イ本件建築物の敷地(ア) 敷地面積6922.02㎡(イ) 用途地域等第1種中高層住居専用地域。なお,都市計画区域内(市街化区域),準防火地域,第2種高度地区,日影規制4m/3h・2h及び下水道処理区域内でもある。 (ウ) 建築基準法52条1項及び2項の規定による建築物の容積率180.40%(エ) 建築基準法53条1項の規定による建築物の建ぺい率60.00% (オ) 敷地に建築可能な延べ面積を敷地面積で除した数値180.40%(カ) 敷地に建築可能な建築面積を敷地面積で除した数値70.00%ウ本件建築物(ア) 主要用途共同住宅・長屋(住戸数3) 0.40%(カ) 敷地に建築可能な建築面積を敷地面積で除した数値70.00%ウ本件建築物(ア) 主要用途共同住宅・長屋(住戸数3)(イ) 工事種別新築(ウ) 建築面積・建ぺい率1673.27㎡・24.17%(エ) 延べ面積① 建築物全体 9823.84㎡② 地階の住宅の部分 3168.38㎡③ 共同住宅の共用の廊下等の部分 87.21㎡④ 自動車車庫等の部分 299.45㎡⑤ 住宅の部分 9505.15㎡⑥ 延べ面積 6268.80㎡⑦ 容積率 90.56%(オ) 建築物の数① 申請に係る建築物の数 2② 同一敷地内の他の建築物の数 0(カ) 建築物の高さ等① 最高の高さ 15.00m② 階数地上4階,地下2階③ 構造鉄筋コンクリート造,一部鉄骨造 ④ 建築基準法56条7項の規定による特例の適用の有無等有(道路高さ制限不適用)(キ) 建築物の配置等a 本件建築物は,計画建物1と計画建物2(管理室)で構成されており,その配置は別紙4配置図のとおりである。 b 計画建物1は,別紙5(乙89の写し)のとおり,次のような庭園地下部分(以下「アネックス棟」という。別紙5の赤色部分)並びに地上建物の北側部分(以下「本館棟共同住宅部分」という。別紙5の黄緑色部分)及び南側部分(以下「本館棟専用住宅部分」という。別紙5の青色部分)により構成されている(以下,本館棟共同住宅部分及 びに地上建物の北側部分(以下「本館棟共同住宅部分」という。別紙5の黄緑色部分)及び南側部分(以下「本館棟専用住宅部分」という。別紙5の青色部分)により構成されている(以下,本館棟共同住宅部分及び本館棟専用住宅部分を併せて「本館棟」ともいう。)。 (a) 本館棟共同住宅部分本館棟共同住宅部分は,1階に共用部分であるロビーがあり,エレベーター又は階段で各階に移動できる構造で,各階段室に面して存する玄関から各住戸(トイレ,流し台(台所),浴室,寝室が設置されている。)に入る形式となっており,設計概要書の「室の用途等について」欄には「共同住宅:賃貸住宅」と記載されている。 (b) 本館棟専用住宅部分本館棟専用住宅部分は,次のような構造になっており,設計概要書の「室の用途等について」欄には「本館:専用住宅。本館2階の住宅居住エリアはゲストルームであり,賃貸として使用しない」旨の記載がある。 ① 1階の居室及び部屋は,主要な出入口,ホール,廊下,ピロティー,鉄板焼きコーナーを有するダイニング及びキッチン,洋室,ホール2,コート,男女別のトイレ等で構成される。 ② 2階は,ホールとバルコニーがあり,<ア> リビング,寝室, 和室,キッチン,洗面バスルーム及び便所を有する右翼(北側)の住戸と<イ> リビング,寝室,キッチン,洗面バスルーム及びトイレを有する左翼(南側)の住戸がある。 ③ 3階は,中央部分の居間,主寝室,書斎,和室,クローゼット,浴室,トイレ,テラス,乾燥室,洗濯室,脱衣室,サウナ,浴室及びシャワーを有する1住戸があり,南側のダイニング,ホール,キッチン及びパントリー等がある。 ④ 4階は,リビングルー ,浴室,トイレ,テラス,乾燥室,洗濯室,脱衣室,サウナ,浴室及びシャワーを有する1住戸があり,南側のダイニング,ホール,キッチン及びパントリー等がある。 ④ 4階は,リビングルーム,テラス,キッチン,和室,バスルーム及び露天風呂を有する1住戸があり,南側の書庫,前室及び洋室がある。 ⑤ 各階の共通する部分として,1階から4階に通じる階段3(なお,階段1で屋上階(塔屋階)に通じている。),1階から4階に通じる階段4,1階から屋上階に通じるエレベーター1及び地階からアネックス棟へ接続するエレベーター2がある。 (c) アネックス棟アネックス棟は,設計概要書の「室の用途等について」欄には「アネックス棟フィールド:ゴルフ練習場でゴルフ打放し場であり,燃え草のないものとする。アネックス棟:家族にて使用(不特定多数の利用は無い。)」旨の記載がある。 エ許可・認定等建築基準法68条の26構造方法等の認定オ工事着工予定平成22年1月23日カ工事完成予定平成25年1月7日キなお,アネックス棟の建築に伴い,地下22mの深さまで親杭横矢板工 法によって掘削することとされている。 (甲5~7,46,乙79~89) 2 争点(1) 原告らの原告適格の有無(本案前の争点)(2) 本件建築確認処分の適法性 3 争点に関する当事者の主張の要旨(1) 争点(1)(原告らの原告適格の有無)について(原告らの主張の要旨)ア建築確認処分の取消しについては,少なくとも,建築確認処分の対象となった建築物の倒壊,炎上等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築 (原告らの主張の要旨)ア建築確認処分の取消しについては,少なくとも,建築確認処分の対象となった建築物の倒壊,炎上等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住し又はこれを所有する者及び当該建築物の建築によって日照を害される者は,建築基準法がその生命,身体の安全等又は財産として建築物を個別的利益としても保護しているから,当該建築確認処分の取消しを求める原告適格を有する(すなわち,行政事件訴訟法9条所定の「法律上の利益を有する者」に該当する)と解すべきである。 イこれを本件についてみると,原告らは,次の点に照らして,本件建築確認処分の取消しを求める原告適格を有し,行政事件訴訟法9条所定の「法律上の利益を有する者」に該当することが明らかである。 (ア) 本件建築物の日影は,冬至日において,原告B建物に1時間以上,原告C建物には3時間程度それぞれ生ずることになるから(甲13),本件建築物が建築されることにより,建築基準法上保護された原告らの日照という個別的利益が侵害されるおそれがある。 なお,日照を阻害されるおそれがあることを理由として,建築確認処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有するというためには,その者に対する日照が当該建築物の建築によって直接阻害されるという関係 があることをもって足り,その阻害の程度が受忍限度を超えるかどうかや当該建築確認処分が建築基準関係規定における日影規制に適合しているかどうかという点は,当該建築確認処分が違法であるかどうかという本案の問題であるというべきである。 (イ) 本件建築計画では,地階を22mも掘削してこれをH鋼横矢板で土留めする計画になっているところ,一般に,掘削した深さと同じ距離の範囲においては地盤沈 案の問題であるというべきである。 (イ) 本件建築計画では,地階を22mも掘削してこれをH鋼横矢板で土留めする計画になっているところ,一般に,掘削した深さと同じ距離の範囲においては地盤沈下発生の蓋然性が高いと考えられており(社団法人日本建築学会編「山留め設計施工指針」(甲37)でも,根切り山留め計画における敷地内外の計測対象範囲として,掘削深さに対して洪積地盤(注:約200万年から1万年前の洪積期に堆積した地盤)では1倍程度,沖積地盤(注:1万年前から現在の沖積期に堆積した地盤)で1.5倍~2倍程度が現実的な目安となるとされている。),とりわけ本件建築計画で地下を約22m掘削する部分はN値(地盤強度の指標)が極めて小さく軟弱な地層であるから,地盤沈下が発生する蓋然性が高く,本件建築物の敷地から約21mの地点にある原告B建物及び本件建築物の敷地から約7mの地点にある原告C建物が地盤沈下等による被害を受け,建築基準法上保護された原告らの生命,健康及び財産という個別的な利益が侵害されるおそれがある。 (ウ) 原告らは,前提事実(1)ア(ウ)のとおり,本件建築物の敷地(及び本件建築物の壁面)からその高さの2倍(30m)以内に建物を所有して居住している(具体的には,原告B建物は本件建築物の敷地から約21mの地点(本件建築物の北側設備機械スペースの目隠し部分(高さ13.2m)からみても30m以内),原告C建物は本件建築物の敷地から約7mの地点(上記目隠し部分からみても20m以内)にある。)ところ,建築物が地震等で倒壊した場合,高さの範囲に限らず,倒壊した建築物の一部がその範囲外に飛散することが十分考えられるから,本件 建築物が倒壊した場合には,建築基準法上保護された原告らの生命,健康及び財産という個別的な利益を侵害 範囲に限らず,倒壊した建築物の一部がその範囲外に飛散することが十分考えられるから,本件 建築物が倒壊した場合には,建築基準法上保護された原告らの生命,健康及び財産という個別的な利益を侵害されるおそれがある。 (エ) 特定行政庁である港区が定めた港区中高層建築物等の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例(昭和54年港区条例第15号。以下「港区建築紛争予防条例」という。甲19)は,敷地境界線から建築物の高さの2倍の水平距離の範囲内にある土地又は建築物に関して権利を有する者及び当該距離内に居住する者を「近隣関係住民」とし(2条7号),近隣関係住民に特別に説明会を求める権利(7条)及び話し合う機会(7条の2)を付与し,あっせん等を申し立てる権利(8条)を与えているのであって,港区建築紛争予防条例の趣旨目的(1条)と建築基準法の目的との共通性も考慮すると,港区建築紛争予防条例における「近隣関係住民」は,当該中高層建築物の建築確認処分の取消しを求めるにつき原告適格が認められると解すべきであるところ,前提事実(1)ア(ウ)の事実に照らすと,原告らが「近隣関係住民」に該当することは明らかである。 (オ) 本件建築計画に基づく工事により,原告らを始めとする近隣住民には,原告らが通勤等の日常生活において頻繁に用いる道路等で交通上の著しい危険が発生し,また,粉塵等の発生により原告ら所有の自動車等が傷むなどの被害が発生しており,建築基準法上保護された原告らの生命,健康及び財産という個別的な法益が侵害されている。 (被告の主張の要旨)ア原告らは,次のとおり,本件建築確認処分により原告らの保護すべき法律上の利益を侵害されたとはいえない。 (ア) 原告らの主張によっても,① 原告Cが居住する土地建物には,冬 )ア原告らは,次のとおり,本件建築確認処分により原告らの保護すべき法律上の利益を侵害されたとはいえない。 (ア) 原告らの主張によっても,① 原告Cが居住する土地建物には,冬至日でさえ3時間程度しか日照が阻害されず,その阻害される範囲も非常に限定されていること,② 原告Bが居住する建物も,冬至日でさえ 1時間程度しか日照が阻害されないことに照らすと,日照阻害の程度が軽微である。 (イ) 原告らの主張によっても,本件建築主から工事を請け負った大手ゼネコンが,本件建築主の所有する土地を22m掘ったからといって,周辺地域で地盤沈下が起こる蓋然性が高いとはいえず,近隣住民の生命,健康及び財産が侵害されるおそれがあるともいえない。 (ウ) 問題となっている建築物が直立したまま90度倒れることを想定したとしても,直接被害が及ばない場合には,原告適格が認められないところ,本件建築物の実際の高さは,原告らの居住地側は10.6mしかなく,原告らが本件建築物から15m以上外側に居住していることからすると,原告B建物及び原告C建物は,本件建築物の倒壊,炎上等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に該当しない。 (エ) 原告らの主張によっても,港区建築紛争予防条例所定の「近隣関係住民」であることから原告らに保護される個別的利益が明らかでない。 (オ) 原告らの主張に係る粉塵等による自動車等への被害は,そもそも建築基準法上近隣住民の個別的利益として保護されるものとは解されないし,仮にこれらが建築基準法上個別的利益として保護されるものであったとしても,原告らが実際にそのような被害を受けているかは明らかではない。 イ以上によれば,原告らが,本件建築確認処分の取 し,仮にこれらが建築基準法上個別的利益として保護されるものであったとしても,原告らが実際にそのような被害を受けているかは明らかではない。 イ以上によれば,原告らが,本件建築確認処分の取消しを求める原告適格を有せず,行政事件訴訟法9条所定の「法律上の利益を有する者」に該当しないことは明らかである。 (2) 争点(2)(本件建築確認処分の適法性)について(原告らの主張の要旨)ア用途制限違反 (ア) 被告は,建築確認の対象となった建築物の用途が当該用途地域に適合するものであること(建築基準法48条)を確認しなければならず,特に本件建築計画の対象地がある第1種中高層住居専用地域では,当該建築物の用途が建築基準法48条3項及び別表第二(は)項において限定列挙された用途に含まれていると明確に判断することができない場合には,建築確認処分をすることはできないと解すべきところ,その際には,建築主が確認申請書及び建築計画概要書の用途欄に記載した内容のみならず,確認申請書及び確認申請の際に提出された図面から客観的に用途を判断すべきである。 (イ) これを本件についてみると,建築計画概要書の用途欄の記載のみならず,建築確認申請図面等によれば,次のとおり判断することができる。 a 本館棟専用住宅部分(a) 共用部分1階の構成及び機能共用部分1階は,トイレが男性用・女性用に分かれ,宿泊客等が利用する共用の食堂として機能する大規模なキッチンやダイニングが設置されていることからすれば,不特定多数の者が利用するものとなっている。 (b) 各居室・個室の構成及び機能本件建築物の2階以上の部分は,独立した居室としての機能を有してい いることからすれば,不特定多数の者が利用するものとなっている。 (b) 各居室・個室の構成及び機能本件建築物の2階以上の部分は,独立した居室としての機能を有している(長屋部分の2階にある二つの居室は,リビング・ベッドルームのほか,キッチン・バスルーム・トイレを独自に備えており,同部分の3階及び4階も,螺旋階段で接続されている。また,共同住宅とされる北側部分も2階及び3階に同じ間取りのダイニング・リビング・トイレ・ユニットバスを備えた居室が配置されている。)から,(滞在型)ホテルの客室の機能を有している(この点は,本館棟地下1階の広大な倉庫・電気室・機械室等や本館棟1階 の更衣室・ユーティリティーといったサービス提供側のバックヤードの部屋があることからも明らかである。)。 他方,被告主張の「ホテル又は旅館」該当性を否定する事情については,① 本件建築物は,多数の公共交通機関を用いることができる立地にあるし,本館棟の玄関前のスペースや広大な庭園部分を駐車場として用いることも可能であり,上記の居室数(本館棟2階に客室2室,3階及び4階に客室各1室)も考慮すれば,4台分の駐車場で「ホテル又は旅館」として機能するに十分であること,②インターネットを通じた予約等を行う「ホテル又は旅館」であれば,ロビーやフロントという設備がなくてもその機能を十分果たすことができるし,1階の別棟の管理室をロビーや受付に利用することや本館棟1階のホールや地下1階の風除室やホールに簡易なロビーやフロントを設置することも可能であることに照らし,駐車場が少ないことや,ロビーやフロントがないことは,いずれも「ホテル又は旅館」でないことの根拠とならない。 b アネックス棟(a) アネック とも可能であることに照らし,駐車場が少ないことや,ロビーやフロントがないことは,いずれも「ホテル又は旅館」でないことの根拠とならない。 b アネックス棟(a) アネックス棟は,深さ20m,水平投影面積約2200㎡の巨大な空間であって,プール,ボーリングスペース,フィールドを有するほか,シャワー・サウナ・化粧室を独自に有し,建築物の規模からみて巨大な設備であり,社会通念上長屋に居住する家族が使う規模のものではないこと等に照らすと,独立した機能を有するスポーツ施設に当たることは明らかである。 (b) また,地下1階のデッキと称される部分は,フィールドと称される広大な空間に向かって椅子が設置されており,その先の西側から北側,さらに東側にかけて「スクリーン」という巨大なスクリーン(西側壁に幅約24m,北側壁に幅24.5m,東側壁に幅24 m,高さは約11.5m~13.5m)が設置されていること,被告自身がアネックス棟壁面に設けたスクリーンに映像を投影するための設備であることを認めていることに照らすと,これらの施設の用途が「映画館」又は「劇場」であることは明らかである。 (c) 仮に,本館棟専用住宅部分が長屋に該当するとしても,建築基準法別表第二(は)項8号の「前各号の建築物に附属するもの」とは,当該建築物より規模の小さいものであり,かつ,当該建築物との関係で機能として必要不可欠であるものをいうと解すべきであるところ,① アネックス棟の体積が本館棟のそれよりも大きく,アネックス棟と本館棟の床面積比も2対3であること,② 本館棟の用途(長屋)からして,アネックス棟が機能上必要不可欠なものでないこと,③ アネックス棟は西側の階段1及び階段2から出入りが可能であり,本館棟の地下駐車場 の床面積比も2対3であること,② 本館棟の用途(長屋)からして,アネックス棟が機能上必要不可欠なものでないこと,③ アネックス棟は西側の階段1及び階段2から出入りが可能であり,本館棟の地下駐車場からアネックス棟のスポーツ施設・劇場・映画館に出入りすることも可能であることからすると,本館棟に「附属するもの」とはいえない。 (ウ) 上記(イ)の諸点を総合すれば,本件建築物の用途を「共同住宅・長屋」,「住宅」と判断することはできず,むしろ客観的には(会員制)リゾートホテル・(会員制)スポーツクラブと判断されるものである(なお,本件建築主の説明(本件建築主は,近隣説明会において,米国人の複数の家族がAに出資しており,出資比率に基づいて本件建築物を利用すると説明している。)等によっても,本件建築物の利用者である米国人らはこれに住むのではなく,持分に応じて滞在するにとどまるというのであるから,本件建築物の用途が住宅又は長屋ではなくホテルであることは明らかである。)。 そうすると,本件建築確認処分には,本件建築物の用途が第1種中高層住居専用地域に建設することが許されないものである点で建築基準法 48条に違反する違法がある。 イ本館棟専用住宅部分の「共同住宅」としての建築基準関係規定違反(ア) 仮に前記アの用途制限違反が認められないとしても,「共同住宅」とは,「2以上の住戸を有する一の建築物で,隣接する住戸間又は上下で重なり合う住戸間で内部での行き来ができない完全分離型の構造を有する建築物のうち,廊下・階段等を各住戸で共有する形式のもの」をいうとされているところ,本館棟専用住宅部分は,前提事実のとおりの建物の構成に照らすと,2階から4階までがそれぞれ住戸として独立している反面,共通の階段とエレベ 段等を各住戸で共有する形式のもの」をいうとされているところ,本館棟専用住宅部分は,前提事実のとおりの建物の構成に照らすと,2階から4階までがそれぞれ住戸として独立している反面,共通の階段とエレベーター,男女別のトイレを有していることのほか,次の事情を認めることができる。 a 本館棟専用住宅部分は,電気,水道,ガスメーター等の設備系統は,各戸別に系統されている蓋然性が高い。 b 計画建物2の管理室は,その出入口が本館棟専用住宅部分の直通階段及び避難経路を監視できる方向にあるから,その監視を目的とする施設である。 c 本館棟専用住宅部分の図面等(甲21,22,26)には,次のとおり,その用途が共同住宅であれば必要であるが,長屋であれば不要な事項の指示等がされている。 (a) 避難距離本件では,図面上に,明確に避難距離が示され,50m以下との記載がされ,更には重複距離の算定がされている(建築基準法35条,建築基準法施行令120条)。 (b) 2以上の直通階段の設置及び共用廊下幅員本件では,屋内階段が二つ設置され(建築基準法35条,建築基準法施行令121条),共用廊下の幅員が1.2mとされている(建築基準法35条,建築基準法施行令119条)。 (イ) 上記(ア)の諸点を総合すれば,本館棟専用住宅部分の用途が共同住宅であることは明らかである。 そうすると,本館棟専用住宅部分は,消防法の防火対象物に該当し,かつ,延べ面積が6000㎡を超えているので,自動火災報知設備(消防法施行令21条1項4号),屋内消火栓設備(消防法施行令11条1項3号),共用廊下部分に非常用照明(建設基準法施行令126条の4),地階には誘導灯( 000㎡を超えているので,自動火災報知設備(消防法施行令21条1項4号),屋内消火栓設備(消防法施行令11条1項3号),共用廊下部分に非常用照明(建設基準法施行令126条の4),地階には誘導灯(消防法施行令26条1項各号)などの設置が義務付けられており,また,車いす使用者用駐車施設の設置が必要である(高齢者,障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律,同法施行令17条,東京都高齢者,障害者が利用しやすい建築物の整備に関する条例)が,以上の設備等の設置が明らかにされていないから,以上の各建築基準関係規定に違反するというべきである。 ウ一建物一敷地の原則違反(ア) 一建物一敷地の原則(建築基準法施行令1条1項1号)における「一の建築物」に当たるか否かは,法令の趣旨及び目的の観点から検討すべきものであるから,建築物を一体性のある建築物として許容することが法令の趣旨及び目的に反すると認められるときは,「一の建築物」として許容することはできないと解すべきである。 (イ) これを本件についてみると,① アネックス棟は,西側の直通階段からの避難が可能であり,本館棟専用住宅部分との避難上の一体性はないこと,② 本館棟専用住宅部分は前記ア又はイのとおり「ホテル又は旅館」又は「共同住宅」に当たるから,プールやボーリング施設のようなアネックス棟との関係では,その用途が異なり,旅館業又は居住に必要不可欠なものではないこと,③ 本館棟専用住宅部分とアネックス棟は,地下1階の廊下のエキスパンション・ジョイントで接続しているだけで,外観上も構造上も切り離されており,全体の建築面積及び床面積 からして極めて微小な接続にすぎず,本館棟専用住宅部分は地上部分が中心であるのに対してアネックス棟は地下2層の建築物であることに照らす も構造上も切り離されており,全体の建築面積及び床面積 からして極めて微小な接続にすぎず,本館棟専用住宅部分は地上部分が中心であるのに対してアネックス棟は地下2層の建築物であることに照らすと,本館棟専用住宅部分とアネックス棟との間に機能上,外観上及び構造上の一体性を欠くから,一建物一敷地の原則に違反する。 エ東京都建築安全条例4条違反(ア) 建築基準法施行令2条1項6号ロに基づく建築物の屋上部分についてa 屋上部分の設備機械スペース屋上部分の設備機械スペースについては,① 設備機械スペースを覆う目隠しが「建築物に設ける電気,ガス,給水,排水,換気,暖房,冷房,消化,排煙若しくは汚物処理の設備」の一部として「建築設備」に当たり,建築物に該当すること,② 仮にこれが建築物に該当しないとしても,当該目隠しは,その荷重を本件建築物の屋根が支えており,その風荷重(横からの風圧)を支えるために当該目隠しの柱が本件建築物の屋根スラブにアンカーボルト等で連結されているものと考えられるから(乙9),機能上の一体性があり,外壁とも同一の仕上げであるから建築物の外壁の一部として外観上の一体性を有する上(甲28),その規模が大きく,「建設設備」である設備機械の目隠しとして機能し,周辺に日影等の影響を発生させるから,本件建築物と構造上一体のものとして,その全体が建築基準法施行令2条1項6号ロの「階段室,昇降機塔,装飾塔,物見塔,屋窓その他これらに類する建築物の屋上部分」に該当すると解すべきことからすれば,建築基準法の趣旨に照らし,設備機械自体のみならずその周囲の目隠し部分を含めて水平投影面積を算出すべきである。 b 本館棟中央の巨大な構造物本館棟中央の巨大な構造物(以下「 築基準法の趣旨に照らし,設備機械自体のみならずその周囲の目隠し部分を含めて水平投影面積を算出すべきである。 b 本館棟中央の巨大な構造物本館棟中央の巨大な構造物(以下「本件パーゴラ」という。)は, ① 建築物のために屋上から突出した構成物であるから,建築基準法2条3号の「煙突」に該当すること,② これが「煙突」に当たらないとしても,本館棟のための設備であり,建築設備に該当することに照らし,本件建築物と構造上又は外観上一体的なものとして屋上部分の水平投影面積に含まれるべきである。 c ペントハウス階(塔屋階)屋上のペントハウス階(以下「PH階」という。)の部分A(別紙4の赤色で囲った部分。以下同じ)は,階段室と思われるが,屋根があり,階段の大きさと比較して面積が大きいこと,PH階の部分B(別紙4の青色で囲った部分。以下同じ。)は,昇降機塔と思われるが,エレベーターの塔屋として通常の乗降に必要な規模以上の大きさであること等から,通常必要とされる規模を超えて余分な屋内的用途があることが明らかであり,そもそも建築基準法施行令2条1項6号ロの「屋上部分」に該当するものではなく,その高さは本来的に「建築物の高さ」に加えられるべきものである。 (イ) 以上によれば,建築基準法施行令2条1項6号ロに基づく建築物の屋上部分としては,上記(ア)a(屋上部分の設備機械スペース)及び上記(ア)b(本件パーゴラ)の水平投影面積約321.5㎡(=(9.4m×11.7m)+(11.3m×8.4m)+(11.0m×10.6m))をも算入すべきであり,その点だけ見ても全体の建築面積の8分の1(206.75㎡)を大きく超過しているから,上記(ア)a及びbの各部分の高さも本件建築物の高さに算入し +(11.0m×10.6m))をも算入すべきであり,その点だけ見ても全体の建築面積の8分の1(206.75㎡)を大きく超過しているから,上記(ア)a及びbの各部分の高さも本件建築物の高さに算入しなければならず,また,上記(ア)cの部分の高さも,当然のことながら本件建築物の高さとして算入する必要がある。そこで,上記(ア)の各部分の高さを算入すると,本件建築物の実際の高さは18.47mとなる。 そうすると,本件建築物の延べ面積が3000㎡を超え,かつ,その 高さが15mを超えることから,本件建築物の敷地に関しては,東京都建築安全条例4条1項,2項により幅員6m以上の道路に10m以上の長さで接しなければならないが,本件建築計画上,当該敷地に接している道路の幅員は北4.51m,東4.33m,西4.19mにすぎないから,本件建築確認処分には,東京都建築安全条例4条1項,2項に違反する違法がある。 (ウ) 本件建築計画は,平均グラウンドレベルからパラペット天井までを本件建築物の「最高の高さ」としているが,本件建築物の敷地は,北側道路が高く,それよりも南側が低い形状(その高低差は2m以上ある)であるにもかかわらず,平均地盤面算定図(確認申請図面のA012。 甲30)の領域A-1では,玄関部分等で人工的に削られて極めて平坦な地盤面とされ,道路境界の地盤の形状と建物の平均地盤面の形状が著しく異なるから,意図的な盛土が行われた疑いが強く,このような意図的な盛土に基づいて設定された本件建築物の高さは,違法である。 オ容積対象床面積の過小算定の違法次の各部分については,本件建築物の容積対象床面積として算入すべきであるのに,建物求積図(甲31,32)では,当該階段1及び階段2の床面積が算定されていないから 象床面積の過小算定の違法次の各部分については,本件建築物の容積対象床面積として算入すべきであるのに,建物求積図(甲31,32)では,当該階段1及び階段2の床面積が算定されていないから,容積対象床面積の算定を過小に行っている違法がある。 (ア) アネックス棟西側に設置された階段1及び階段2(甲23,24参照)は,いずれも屋根が存在し,高さも十分であるから,屋内的な用途があることに照らすと,それらの本館棟免震ピット階及び本館棟地下1階(B1階)に相当する床面積(乙83,84の「屋内避難階段1」及び「屋内避難階段2」とある部分の各床面積)も本件建築物の容積対象床面積として算入すべきである。 (イ) アネックス棟の本館棟免震ピット階にある広大なキャットウォーク (甲23参照)は,網の目のように全面に広がっており,幅が1mを超える部分もあり,全体として,物を設置したり,他の用途に用いたりするといった屋内的用途があり,継続的に用いることができるから,本件建築物の容積率対象床面積に算入すべきである。 (ウ) 本館棟専用住宅部分の1階全面に設置された免震ピット(甲23,29参照)は,免震層下端からB1FLまでの高さが2650㎜となっていて物を置くなどするのに十分であり,屋内的用途に用いることが可能であるから,全面的に本件建築物の容積率対象床面積に算入すべきである。 カ建築基準法施行令121条違反建築基準法施行令121条の「直通階段」とは,同令120条に基づく歩行距離の制限内にある直通階段をいうと解すべきところ,本件建築物においては,アネックス棟B1で階段室までで細い通路を伝って92.53m(甲22)であり,アネックス棟B2で階段室までで最大55.05m(甲21)であるから,建 段をいうと解すべきところ,本件建築物においては,アネックス棟B1で階段室までで細い通路を伝って92.53m(甲22)であり,アネックス棟B2で階段室までで最大55.05m(甲21)であるから,建築基準法施行令120条に基づく歩行距離の制限内にある直通階段を2方向に有しないことが明らかである。 したがって,本件建築物には,建築基準法施行令121条に違反する違法がある。 キ本件建築計画には開発許可を経ていない違法があること本件建築物の敷地は,平成16年1月1日当時,その南側に森が存在し,土地に起伏があったにもかかわらず(甲42,43),平成21年11月当時若しくは現在,上記森が存在せず,土地も平坦になっているから,土地の形質変更(都市計画法4条12項)を内容とする開発行為が行われたといえる。 しかしながら,本件建築物の敷地については,当該開発行為の許可がされていないから,本件建築確認処分には,都市計画法29条に違反する違 法がある。 なお,仮に,本件建築主の前所有者が当該開発行為をその許可を受けずに行ったとしても,本件建築確認処分との関係では,開発許可を適法に取得しなかった違法は,その取消事由になると解すべきである。 ク 「軽微な変更」に該当しないことによる違法本件建築主が軽微な変更として行った変更は,法適合性について危険側への変更を伴う実質的な判断を伴うものであり,軽微な変更(建築基準法6条1項,建築基準法施行規則3条の2)に該当しないから,これらの変更が行われた本件建築確認処分は,違法である。 (被告の主張の要旨)ア用途制限に違反しないこと(ア)a 指定確認検査機関は,申請された建築物について建築主の属性・建築物の規模・構 れた本件建築確認処分は,違法である。 (被告の主張の要旨)ア用途制限に違反しないこと(ア)a 指定確認検査機関は,申請された建築物について建築主の属性・建築物の規模・構造等から,申請外の用途に使用されるおそれを判断した上,建築確認を行うかあるいは不適法処分を行うかについての裁量判断を行う権限は与えられておらず,申請された用途として使用することが可能であれば,そのような用途として使用される建築物であることを前提として,審査を行うべきであるところ,建物が「住宅」と「ホテル又は旅館」とのいずれに該当するかについては,法令上判断基準が示されていないから,被告としては,建築確認の対象となった建築物がその構造・建築設備の内容からみて,確認申請書に記載されたとおりの用途に使用されることが認められ,これが法令の関係規定に合致していれば,建築確認処分をすることになる。 b 建築物の用途としての「長屋」とは,住宅のうち「2以上の住戸を有する一の建築物で,隣接する又は上下で重なり合う住戸間で内部での行き来ができない完全分離型の構造を有する建築物のうち,廊下・階段等を各住戸で共有しない形式のもの」をいうとされている(乙1 の2)。 また,建築物の用途としての「ホテル又は旅館」に関しては,ウィークリーマンション,サービスアパートメント,会社の寮及び保養所等の「ホテル又は旅館」に該当するかどうかが書面のみでは必ずしも明らかでない建築物については,当該施設が旅館業法の適用対象となる「人を宿泊させる営業」に該当するか否かにつき,① 施設の管理・経営形態を総合的に見て,宿泊者のいる部屋を含め施設の衛生上の維持管理責任が営業者にあるものと社会通念上認められること,②施設を利用する宿泊者がその宿泊する部屋 当するか否かにつき,① 施設の管理・経営形態を総合的に見て,宿泊者のいる部屋を含め施設の衛生上の維持管理責任が営業者にあるものと社会通念上認められること,②施設を利用する宿泊者がその宿泊する部屋に生活の本拠を有さないことを原則として営業しているものであることという条件を有しているか否かを判断の目安とし,事前に保健所に相談するなどして,総合的に判断する必要があるとされている(乙1の1)。 (イ) これを本件についてみると,本件建築主が被告に提出した建築確認申請書等(なお,被告は,本件建築物の用途につき,その設計者であるD株式会社の担当者から詳細な聞き取りも行っている。)によれば,本件建築物の主要用途は「共同住宅・長屋」とされていることのほか,次のとおり認めることができる。 a 本館棟共同住宅部分本館棟共同住宅部分は,前提事実のとおりの構造であり,賃貸住宅として使用するものとされている。 また,本館棟共同住宅部分は,計画建物1の北側出入口が主要な出入口であり,本館棟専用住宅部分との間で内部で往来することはできない。 b 本館棟専用住宅部分本館棟専用住宅部分は,その主要な出入口である玄関が計画建物1の1階東側にあり,各階に配置された室は,設計概要書(甲4,乙7 9)の「室の用途等について」という右下欄に,あくまで専用住宅として使用され,本館2階の住宅居住エリアはゲストルームであり,賃貸として使用しない旨が明記され,駐車場も少なく,ホテルであれば当然あるはずのフロントやクロークもなく,旅館業法2条所定の旅館業(ホテル・旅館等の設備において,宿泊料を受けて,人を宿泊させる営業)を行うことをうかがわせる事情はない。 また,上記の点に加え, のフロントやクロークもなく,旅館業法2条所定の旅館業(ホテル・旅館等の設備において,宿泊料を受けて,人を宿泊させる営業)を行うことをうかがわせる事情はない。 また,上記の点に加え,本館棟専用住宅部分の構造等に照らすと,本館棟専用住宅部分は,① 施設の管理・経営形態を総合的にみて,宿泊者のいる部屋を含め施設の衛生上の維持管理責任が営業者にあるものと社会通念上認められること,② 施設を利用する宿泊者がその宿泊する部屋に生活の本拠を有さないことを原則として営業しているものであることという条件のいずれも満たさないことが明らかである。 c アネックス棟アネックス棟は,プール,ボーリング及びゴルフの練習ができるとはいえ,そもそもこれが本館棟専用部分の「附属建物」に該当するか否かは,アネックス棟が本館棟専用住宅部分から独立しているといえるか否か(使用方法についての設計者による図面への記載,独立した出入口の有無等)によって判断すべきものであるところ,アネックス棟は,① 直接の出入口がなく,本館棟専用住宅部分の玄関を使用しなければならず,独立した建築物でもないこと,② その駐車場も本件建築物全体で4台分程度しかなく,スポーツクラブであれば当然にあるはずのフロントが存在しないこと,③ 設計概要書(甲4)には「アネックス棟:家族にて仕様(不特定多数の利用は無い。)」と記載されていること,④ 本館棟専用住宅部分の延べ面積(約5200㎡)は,アネックス棟の延べ面積(約3700㎡)の約1.4倍であることからすると,長屋(専用住宅)に附属する運動施設であると判 断することができる。 また,アネックス棟は,スクリーンが設定されているものの,フィールドは個人用スポーツ施設であって映画鑑賞等のための 用住宅)に附属する運動施設であると判 断することができる。 また,アネックス棟は,スクリーンが設定されているものの,フィールドは個人用スポーツ施設であって映画鑑賞等のための観客席等の設置は予定されておらず,デッキにも規模からして家族での利用を超える多数の観客席が設置されるとは考えられないから,これをもって「映画館」又は「劇場」に該当するとはいえない。 (ウ) 上記(イ)の諸点を総合すれば,本館棟共同住宅部分及び本館棟専用住宅部分がそれぞれ独立した出入口を有し,共有部分を有しないことをも併せ考慮すると,本館棟共同住宅部分は「共同住宅」,本館棟専用住宅部分は「長屋」,アネックス棟は本館棟専用住宅部分に附属する運動施設にそれぞれ該当すると判断することができる。 そうすると,本件建築物の敷地の用途地域は,第1種中高層住居専用地域であり,建築し得る建物に住宅及び共同住宅が含まれ(建築基準法別表第二(は)項),このような建築物に附属するもので建築基準法施行令130条の5の5に該当しないものの建築も認められている(同項8号)から,本件建築物の上記用途は,いずれの点においても建築基準法48条に違反しない。 イ本館棟専用住宅部分が「共同住宅」に該当しないこと前記ア(イ)の諸点によれば,本館棟専用住宅部分は,一戸建て住宅を多数世帯で利用するものであり,これと本館棟共同住宅部分との間が内部で往来することができない構造であって,それぞれ独立した出入口があり,共有部分がないことのほか,次の点を併せ考慮すれば,本館棟専用住宅部分の用途が「長屋(専用住宅)」に該当し,「共同住宅」に該当しないことは明らかである。 a 本館棟専用住宅部分の設備系統は,次のとおりである。 (a) 慮すれば,本館棟専用住宅部分の用途が「長屋(専用住宅)」に該当し,「共同住宅」に該当しないことは明らかである。 a 本館棟専用住宅部分の設備系統は,次のとおりである。 (a) 水道については,確認申請図である「衛生設備系統図(給水・給 湯・ガス)」(乙12)によれば,給水本管が二つに分岐し,それぞれの配管に「50Φ給水メーター(レジデンス,アネックス用)」,「32Φ給水メーター(アパート用)」が設置されているところ,後者の先には「32Φ給水メーター」が二つ設置されている(したがって,各住戸にメーターが設置されている。)が,前者の先にはメーターが付いていない(したがって,各住戸にはメーターが設置されていない。)。 (b) ガスについても,確認申請図である「衛生設備系統図(給水・給湯・ガス)」(乙12)によれば,本管が二つに分岐し,共同住宅部分の配管にはガスメーターが二つ設置されているが,長屋(専用住宅)用の配管にはガスメーターが一つしか設置されていない。 (c) 電気系統については,確認申請図である「送電系統図」(乙13)によれば,<ア> 送電系統図の左上部分から計画建物に引き込まれ,<イ>送電系統図の中央やや左上の「Wh」と記載された部分にメーターが一つ設置されているが,<ウ> 本館棟専用住宅部分の電気系統に関する記載はない。また,被告は,平成23年11月11日,本件建築物の設計者であるD株式会社から,各戸別に電気設備を系統する設計はされていないことを確認した。 b 計画建物2の管理室は,計画建物全体の出入口付近に設置されており,当該出入口側を向いているから,管理人が計画建物全体の管理を行うためのものであることが予想される。したがって,当該管理室が上記のような位置関係で 管理室は,計画建物全体の出入口付近に設置されており,当該出入口側を向いているから,管理人が計画建物全体の管理を行うためのものであることが予想される。したがって,当該管理室が上記のような位置関係で設置されることは,管理室の出入口の向きも含め,本館棟専用住宅部分が長屋であることと矛盾するものではない。 c 原告らが指摘する図面等の指示等をもって,本館棟専用住宅部分が共同住宅であるとはいえない。 ウ一建物一敷地の原則に反しないこと ① 本館棟専用住宅部分とアネックス棟は,地下1階(B1階)の廊下のエキスパンション・ジョイントで接続されているだけでなく,地下での接続部分が相互に連絡しており(甲22),構造上,外観上及び形態上一体と判断するに十分な接続を有していること,② アネックス棟は,避難用出入口を除き,直接出入りする出入口がなく,本館棟専用住宅部分の玄関を使用しなければならないこと,③ アネックス棟は,本館棟専用住宅部分に居住する家族のレクリエーション施設として利用されるものとされていること及び上記②の事実をも併せ考慮すれば,アネックス棟の主要な用途に即した機能は本館棟専用住宅部分の居住者のみにより使用されることが想定されており,本館棟専用住宅部分とアネックス棟との間に機能上の一体性が認められること,④ 避難上の一体性は考慮要素に含まれるとしても,重要性は高いものではないと考えられることに照らすと,本館棟専用住宅部分とアネックス棟は,一体性のある建築物として「一の建築物」に該当するというべきである。 したがって,計画建物1(本館棟専用住宅部分及びアネックス棟)は,一建物一敷地の原則に反するものではない。 エ東京都建築安全条例4条に違反しないこと(ア) 建築基準法施行 したがって,計画建物1(本館棟専用住宅部分及びアネックス棟)は,一建物一敷地の原則に反するものではない。 エ東京都建築安全条例4条に違反しないこと(ア) 建築基準法施行令2条1項6号ロに基づく建築物の屋上部分についてa 屋上部分の設備機械スペースそもそも屋上部分の設備機械自体は,建築基準法2条3号の「建設設備」であって建築物に該当する。他方,設備機械スペース周辺の目隠し部分は,建築物屋上に基礎を設け,独立して設置されているものであって工作物であり,建築物の構造体である柱を延長して目隠しの支柱にするなどして,建築物と構造上一体になるよう構成されているものではないから,建築基準法施行令2条1項6号ロの「階段室,昇 降機塔,装飾塔,物見塔,屋窓その他これらに類する建築物の屋上部分」に該当するものではない。 そうすると,原告らが指摘する本件建築物の設備機械スペースの範囲は,屋根で覆われているわけでもなく,建築物から独立した目隠しのための工作物(塀)に囲まれているにすぎないから,その全ての部分を設備機械の水平投影面積として算出する必要はなく,設備機械自体等の水平投影面積のみを算出すればよい。 b 本件パーゴラ本館棟中央の本件パーゴラは,建築物とは独立した装飾のための工作物であって,柱と上部の棚で構成される屋根のない工作物であるから,建築基準法2条3号の「建設設備」に該当せず(また,建築基準法2条4号の「煙突」とは,一般に,空筒で,燃料の燃焼を助ける通風の役をし,また煤煙を空中に排出させる設備をいうと考えられるところ,上記のような工作物である本件パーゴラがこれに該当しないことは明らかである。),かつ,外観上は骨組みだけであり,建築物屋 助ける通風の役をし,また煤煙を空中に排出させる設備をいうと考えられるところ,上記のような工作物である本件パーゴラがこれに該当しないことは明らかである。),かつ,外観上は骨組みだけであり,建築物屋上に基礎を設け,独立して設置されているものであること(乙9)からすると,建築物と構造上一体ではないから,建築基準法施行令2条1項6号ロの「階段室,昇降機塔,装飾塔,物見塔,屋窓その他これらに類する建築物の屋上部分」に該当せず,本件建築物の高さに算入すべき部分ではない。 cPH階の部分A及び部分BPH階の部分Aは,階段室であってその踊り場部分が階段の大きさと比較して面積が極端に大きいとは考えられず,PH階の部分Bも,エレベーターの塔屋であって,通常の乗降に必要な規模以上の大きさであるとはいえないから,これらはいずれも建築基準法2条1項6号ロの「屋上部分」に該当する。 (イ) 以上によれば,建築基準法施行令2条1項6号ロに基づく建築物の屋上部分としては,階段室・昇降機塔の部分のほか,設備機械自体等の水平投影面積,天窓等の屋上部分及び本件については屋上突起物である工作物の基礎や軽微でないためハト小屋(乙3の青色部分)の屋上突出部分を算入することになるから,これらを合計した面積181.60㎡(乙11参照)は,本件建築物(本館棟・アネックス棟)の建築面積(1654.03㎡)の8分の1(206.75㎡)を明らかに下回っており,本件建築物の屋上部分をその高さに算入する必要はない。 そうすると,本件建築物の高さは,15m以下であると認められるから,原告らの主張に係る東京都建築安全条例4条違反の違法はない。 (ウ) なお,原告らは,本件建築物の敷地に意図的な盛土があった旨主張するが,そ 築物の高さは,15m以下であると認められるから,原告らの主張に係る東京都建築安全条例4条違反の違法はない。 (ウ) なお,原告らは,本件建築物の敷地に意図的な盛土があった旨主張するが,そもそも本件建築物が建築される部分の地盤面はおよそ平坦であり(甲20,乙6),本件建築主が港区環境街づくり支援部開発指導課に対して事前相談を行い,当該敷地の整備が開発行為に該当しないとの回答を得ていること(乙7)等に照らし,そのような事実はなく,被告の判断に係る本件建築物の高さに違法はない。 オ容積対象床面積の算定が過小ではないこと原告らの主張に係る各部分は,次のとおり本件建築物の容積対象床面積として算入する必要がないから,容積対象床面積の算定を過小に行った違法はない。 (ア) 原告らの主張に係るアネックス棟西側に設置された階段1及び階段2(甲23,24)については,そもそも延べ面積は建築物の各階の床面積の合計によるとされているところ(建築基準法施行令2条1項4号),原告らが算入すべきと主張する床面積部分(甲23,24)はアネックス棟地下1階(B1階。甲22)の中の上方空間を示しているにすぎないから,建築物の階に当たらない当該床面積部分を容積対象床面 積に算入すべきものではない。 (イ) 原告らの主張に係るアネックス棟のキャットウォークは,天井裏内に設置された天井全体に設けた照明設備の保守点検用の通路(ただし,このうち幅が広くなった部分は,アネックス棟壁面に設けたスクリーンに映像を投影するための設備の保守点検用の通路である。)にすぎず,アネックス棟内部を眺めることができるようなギャラリー(甲39)等ではなく,人が一定時間以上そこに滞留し,継続して使用されるものでないから,その全体が容積対象床面 守点検用の通路である。)にすぎず,アネックス棟内部を眺めることができるようなギャラリー(甲39)等ではなく,人が一定時間以上そこに滞留し,継続して使用されるものでないから,その全体が容積対象床面積に算入されるものではない。 (ウ) 原告らの主張に係る免震ピットは,免震装置の保守点検を行うために免震装置の周りにある程度の空間が予定されているものであり,出入りのための階段及びタラップにも「点検用」と記載されている(甲23)から,屋内的用途に使用されるものと判断することはできず,容積対象床面積に算入すべきものではない。 カ建築基準法施行令121条に違反しないこと建築基準法施行令120条は,その文言上,全ての直通階段が「表の数値以下となるように設けなければならない」と規定していないことが明らかであるところ,原告らの主張に係るアネックス棟地下1階(B1階)において,直通階段である階段2までの歩行距離が35.89mであり(甲21の破線部分参照),アネックス棟地下2階(B2階)において,直通階段である階段1 までの歩行距離が24.31mであるから(甲22の破線部分参照),いずれも建築基準法施行令120条に基づく歩行距離の制限内(40m)であり,同条に違反しない。 そして,アネックス棟は,直通階段が階段1及び階段2の二つ設置されているから,建築基準法施行令121条にも違反しない。 キ本件建築計画に開発許可は不要であることそもそも開発許可は,開発行為をしようとする者(都市計画法29条1 項柱書き)が受けなければならない許可であり,開発行為とは主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更をいう(同法4条12項)ところ,原告らの主張によっても上記 項柱書き)が受けなければならない許可であり,開発行為とは主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更をいう(同法4条12項)ところ,原告らの主張によっても上記目的で行う土地の区画形質の変更があったことは具体的に明らかにされておらず(そもそも土地の区画形質の変更が上記目的で行われない限り,原則として都市計画法上の開発行為に該当せず,開発許可を要しない。),本件建築物の敷地は本件建築主が取得した時点までに更地になっており,本件建築主が港区環境街づくり支援部開発指導課に対して事前相談を行ってその整備が開発行為に該当しないとの回答を得ていることに照らすと,本件建築物の敷地について開発許可を適法に受けていないという事実はない。 ク 「軽微な変更」に該当することなど第3回建築確認処分が第2回建築確認処分から変更された内容は,別紙6のとおりであり,本件建築確認処分が第3回建築確認処分から変更された内容は,別紙7のとおりであるところ,本件建築主が行った変更内容は,数字の誤記(図面との不整合)の訂正(甲35)や計算の誤りの修正(甲34)にすぎず,原告らの主張するような,建築物の高さが上昇したり,屋上部分の水平投影面積が増加するようなものではない。仮に,上記変更内容が建築基準法6条1項及び建築基準法施行規則3条の2所定の「軽微な変更」に該当しないとしても,それが違法であれば当該変更について効力が生じないだけであり,これをもって本件建築確認処分を取り消すことはできない。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(原告らの原告適格の有無)(1) 行政事件訴訟法9条は,取消訴訟の原告適格について規定するが,同条1項にいう当該処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは,当該処分に 点(1)(原告らの原告適格の有無)(1) 行政事件訴訟法9条は,取消訴訟の原告適格について規定するが,同条1項にいう当該処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは,当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され, 又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうのであり,当該処分を定めた行政法規が,不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には,このような利益もここにいう法律上保護された利益に当たり,当該処分によりこれを侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者は,当該処分の取消訴訟における原告適格を有するものというべきである。そして,当該処分の相手方以外の者について上記の法律上保護された利益の有無を判断するに当たっては,当該処分の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく,当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮し,この場合において,当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たっては,当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌し,当該利益の内容及び性質を考慮するに当たっては,当該処分がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案すべきものである(同条2項参照)(以上につき,最高裁平成16年(行ヒ)第114号同17年12月7日大法廷判決・民集59巻10号2645頁参照)。 そこで,以下,上記の観点から,本件建築確認処分の相手方以外の者である原告らが,本件建築確認処分の取消しを求める原告適格を有するか否かについて検討する。 巻10号2645頁参照)。 そこで,以下,上記の観点から,本件建築確認処分の相手方以外の者である原告らが,本件建築確認処分の取消しを求める原告適格を有するか否かについて検討する。 (2) 建築基準法は,52条及び57条の2において建築物の容積率制限,55条及び56条において高さ制限を定めているところ,これらの規定は,本来,建築密度,建築物の規模等を規制することにより,建築物の敷地上に適度な空間を確保し,もって,当該建築物及びこれに隣接する建築物等における日照,通風,採光等を良好に保つことを目的とするものであるが,そのほか,当該建築物に火災その他の災害が発生した場合に,隣接する建築物等に 延焼するなどの危険を抑制することをもその目的に含むものと解するのが相当である。そして,同法6条1項は,建築主は,建築物を建築しようとする場合等においては,当該工事に着手する前に,その計画が建築基準関係規定に適合するものであることについて,確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け,確認済証の交付を受けなければならないものとし,また,同法6条の2第1項は,上記建築物の計画が建築基準関係規定に適合するものであることについて指定確認検査機関の確認を受け,確認済証の交付を受けたときは,当該確認は建築主事による確認と,当該確認済証は建築主事の確認済証とみなすとしている。容積率制限や高さ制限の規定の上記の趣旨・目的等をも考慮すれば,上記の各規定は,建築物及びその周辺の建築物における日照,通風,採光等を良好に保つなど快適な居住環境を確保することができるようにするとともに,当該建築物が地震,火災等により倒壊,炎上するなど万一の事態が生じた場合に,その周辺の建築物やその居住者に重大な被害が及ぶことがないよう適切な設計がされていることなどを審査し るようにするとともに,当該建築物が地震,火災等により倒壊,炎上するなど万一の事態が生じた場合に,その周辺の建築物やその居住者に重大な被害が及ぶことがないよう適切な設計がされていることなどを審査し,安全,防火,衛生等の観点から支障がないと認められる場合にのみ建築確認をすることとしているものと解される(最高裁平成9年(行ツ)第7号同14年1月22日第三小法廷判決・民集56巻1号46頁参照)。以上のような,上記の各規定の趣旨・目的,同項が建築確認を通して保護しようとしている利益の内容・性質等に加え,同法が建築物の敷地,構造等に関する最低の基準を定めて国民の生命,健康及び財産の保護を図ることなどを目的とするものである(1条)ことに鑑みれば,上記の各規定は,(a) 建築確認に係る建築物の倒壊,炎上等による被害が直接的に及ぶことが想定される周辺の一定範囲の地域に存する他の建築物について,その居住者の生命,身体の安全等及び財産としてのその建築物を,(b) 当該建築物により日照,通風を阻害される周辺の他の建築物について,その居住者の健康を,それぞれ個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むものと解すべきである。そう すると,① 建築確認に係る建築物の倒壊,炎上等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住し又はこれを所有する者及び② 当該建築物により日照,通風を阻害される周辺の他の建築物に居住する者は,それぞれ当該建築確認の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として,その取消訴訟における原告適格を有すると解するのが相当である(前掲最高裁平成14年1月22日第三小法廷判決,最高裁平成9年(行ツ)第159号同14年3月28日第一小法廷判決・民集56巻3号613頁参照)。 そして,上記 すると解するのが相当である(前掲最高裁平成14年1月22日第三小法廷判決,最高裁平成9年(行ツ)第159号同14年3月28日第一小法廷判決・民集56巻3号613頁参照)。 そして,上記①の建築物の炎上,倒壊等により直接的な被害が及ぶことが予想される範囲は,<ア> 高さ2mを超えるがけの下端からの水平距離ががけ高の2倍以内のところに建築物を建築する場合等に高さ2mを超える擁壁を設けなければならない旨を規定する東京都建築安全条例6条2項の規定や,<イ> 中高層建築物の敷地境界線からその高さの2倍の水平距離の範囲内にある土地又は建築物に関して権利を有する者及び当該範囲内に居住する者等を近隣関係住民とし,建築主の近隣関係住民に対する説明会の開催等,建築主と近隣関係住民との間の中高層建築物の建築に伴って生ずる日照,通風及び採光の阻害,風害,電波障害等並びに工事中の騒音,振動等の周辺の生活環境に及ぼす影響に関する紛争に係るあっせん及び調停について規定する港区建築紛争予防条例2条7号,7条,7条の2,8条及び10条の規定等をも併せ考慮すると,その敷地から当該建築物の高さの2倍の程度の距離の範囲内をいうと解すべきである。 (3) これを本件についてみると,前提事実及び証拠(甲13)によれば,次の事情を指摘することができる。 ア本件建築物は,その高さが15mであるところ,原告Bが居住する原告B建物との距離は約25m(本件建築物の敷地と原告B建物との距離は約21m)であり,原告Cが居住する原告C建物との距離は約14m(本件 建築物の敷地と原告B建物との距離は約7m)である。 イ本件建築物が完成した場合,本件建築物の北側に居住する原告らは,少なくとも冬至日において,その日影により,原告Bが1時間程度,原告Cが3 築物の敷地と原告B建物との距離は約7m)である。 イ本件建築物が完成した場合,本件建築物の北側に居住する原告らは,少なくとも冬至日において,その日影により,原告Bが1時間程度,原告Cが3時間程度,日照阻害を受けることになる。 (4) 上記の各事実を総合すれば,原告らは,① 本件建築物の倒壊,炎上等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住する者に該当するとともに,② 本件建築物により日照阻害を受ける周辺の建築物に居住する者に該当するから,原告らの主張するその余の点を検討するまでもなく,上記①及び②の各観点において,本件建築確認処分の取消しにつき原告適格を有するものと認められる。 (5) これに対し,被告は,① 原告らの上記日照阻害は,その程度が軽微であるから,原告らの原告適格を基礎付けるに足りず,また,② 本件建築物は,原告らの居住地側における実際の高さが10.6mしかなく,これが直立したまま90度に倒れたと想定しても,原告B建物及び原告C建物が本件建築物の倒壊,炎上等により直接的な被害を受けることが予想されない旨主張するが,①の点については,原告らは,前記(3)で認定したとおり,本件建築物が完成した場合には現に日照阻害を受ける以上,少なくとも本件建築確認処分により自己の法律上保護された利益を必然的に侵害されるおそれがあるといわざるを得ないから,日照阻害の程度等をもって原告適格を否定することはできず,また,②の点については,前記(2)に説示したところに照らして首肯することができず,いずれも採用することができない。 (6) 以上によれば,原告らは,本件建築確認処分の取消しにつき原告適格を有するものと認められる。 2 争点(2)(本件建築確認処分の適法性)(1) 用途制限違 することができない。 (6) 以上によれば,原告らは,本件建築確認処分の取消しにつき原告適格を有するものと認められる。 2 争点(2)(本件建築確認処分の適法性)(1) 用途制限違反の有無についてア建築基準法は,(ア) 第一種中高層住居専用地域内においては,別表第 二(は)項に掲げる建築物以外の建築物は,特定行政庁が第一種中高層住居専用地域における良好な住居の環境を害するおそれがないと認め,又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合を除き,建築してはならない旨を規定し(48条3項),(イ) 別表第二(は)項に掲げる建築物として,①住宅,② 住宅で事務所,店舗その他これらに類する用途を兼ねるもののうち政令で定めるもの,③ 共同住宅,寄宿舎又は下宿,④ 学校(大学,高等専門学校,専修学校及び各種学校を除く。),図書館その他これらに類するもの,⑤ 神社,寺院,教会その他これらに類するもの,⑥老人ホーム,保育所,身体障害者福祉ホームその他これらに類するもの,⑦ 公衆浴場(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律2条6項1号に該当する営業に係るものを除く。),⑧ 診療所,⑨ 巡査派出所,公衆電話所その他これらに類する政令で定める公益上必要な建築物のほか(同項1号,(い)項1号~9号),⑩ 大学,高等専門学校,専修学校その他これらに類するもの(同表(は)項2号),⑪ 病院(同項3号),⑫ 老人福祉センター,児童厚生施設その他これらに類するもの(同項4号),⑬ 店舗,飲食店その他これらに類する用途に供するもののうち政令で定めるものでその用途に供する部分の床面積の合計が500㎡以内のもの(3階以上の部分をその用途に供するものを除く。同項5号),⑭自動車車庫で床面積の合計が300㎡以内のもの又は都市計画 うち政令で定めるものでその用途に供する部分の床面積の合計が500㎡以内のもの(3階以上の部分をその用途に供するものを除く。同項5号),⑭自動車車庫で床面積の合計が300㎡以内のもの又は都市計画として決定されたもの(3階以上の部分をその用途に供するものを除く。同項6号),⑮ 公益上必要な建築物で政令で定めるもの(同項7号),⑯ ①~⑮の建築物に附属するもの(建築基準法施行令130条の5の5所定の自動車車庫,畜舎及び危険物の貯蔵又は処理に供するものを除く。同項8号)を規定している。これは,都市計画法に基づいて都市計画区域に定められた地域及び地区(同法8条)が,都市の健全な発展と秩序ある整備を図り,国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的として定め られたものであることから(同法1条参照),そのような土地利用計画を実現するとともに,市街地の環境の保全等を図るため,原則として,当該地域又は地区の別に応じてその地域又は地区内に建築することができる建築物を制限した上,当該地域又は地区内における住居の環境を害するおそれや公益上の必要等に応じて,特定行政庁の許可を条件として,その例外を許容することとしたものと解される。 そして,建築確認は,建築基準法6条1項に基づき,建築主事又は指定確認検査機関が,建築物の建築等の工事が着手される前に,当該建築物の計画が建築基準関係規定に適合するものであることについて公権的に判断する行為であるところ,建築主事(指定確認検査機関)の上記判断は,建築主が提出した確認の申請書(確認の申請)に基づいて行われることを予定している(このことは,建築基準法6条13項及び6条の2第9項において,建築主事(指定確認検査機関)が申請書の記載(申請の内容)によって建築基準関係規定に適合するかどう に基づいて行われることを予定している(このことは,建築基準法6条13項及び6条の2第9項において,建築主事(指定確認検査機関)が申請書の記載(申請の内容)によって建築基準関係規定に適合するかどうかを決定することができない場合を予定していることからも明らかである。)。その確認の申請書(確認の申請)は,① 建築基準法施行規則別記第2号様式による正本(これには,主要用途欄に,主たる用途をできるだけ具体的に記入することとされている(「(注意)」欄4⑩参照)。)及び副本に,a 付近見取図,配置図,各階平面図,床面積求積図,二面以上の立面図,二面以上の断面図,地番面算定表,基礎伏図,各階床伏図,小屋伏図及び構造詳細図を添えるほか,b 当該建築物に適用される建築基準関係規定に応じて必要とされる図書及び書類(建築基準法48条の規定が適用される建築物については,敷地の位置を(平成23年国土交通省令第37号による改正前においては,併せて,隣地にある建築物の位置及び用途をも)明示した付近見取図,用途地域の境界線を明示した配置図,危険物の種類及び数量を明示した危険物の数量表,事業の種類を明示した工場・事業調書(同規則1条の3第1項 の表二(二二)の項参照))を添えたもの,② 同規則別記第3号様式による建築計画概要書等とされている(同規則1条の3,3条の3参照)。 以上のような建築基準法その他の法令の各規定の文言,趣旨及び目的等に加え,そもそも建築物の用途は,同一の形状の建築物であっても建築主の使用目的によって変わり得るから,必ずしもその形状等から客観的に判別することはできず,現に,確認の申請書(確認の申請)として建築基準法施行規則別記第2号様式による正本等に添えられる上記①bの図書及び書類をみても,確認の申請の対象となった建築物の用途 ら客観的に判別することはできず,現に,確認の申請書(確認の申請)として建築基準法施行規則別記第2号様式による正本等に添えられる上記①bの図書及び書類をみても,確認の申請の対象となった建築物の用途によっては,その用途が客観的に明らかになるものもあるものの,その建築物の用途を問わず全ての建築物につきその用途を客観的に明らかにするに足りるものとまではいえないことをも併せ考慮すれば,建築主事又は指定確認検査機関は,建築物の計画が建築基準関係規定に適合するものであることについて建築基準法6条1項又は同法6条の2第1項の確認をするに当たり,当該建築物が同法48条により建築を制限される建築物であるかどうかを判断するに際しては,建築主が提出した確認の申請書(確認の申請)に基づき,当該確認の申請書の主要用途欄に記載された用途が当該建築物の主たる用途であるかどうかを,当該確認の申請書の主要用途欄の記載を始めとして当該建築物の用途を示す目的でされた記載を中心に添付書類を含む申請書の記載に照らして客観的に判断すれば足り,構造等から当該用途に供することが不可能であって他の用途に供されることが明らかであるなど,異なる用途に供されるものと判断すべき特段の事情がない限り,当該確認の申請書の記載のうち当該建築物の用途を示す目的でされた記載以外のものを殊更に重視してこれを判断することや,当該確認の申請書の記載を離れた他の事情を考慮してこれを判断することまでは要しないと解すべきである。 以上の説示に反する限りで原告らの主張(前記第2の3(2)(原告らの主張の要旨)ア(ア))は,採用することができない。 イ以上の解釈を踏まえ,本件についてみると,前提事実によれば,本件建築物は,本件建築確認処分に係る計画変更建築計画概要書(甲46)において ア(ア))は,採用することができない。 イ以上の解釈を踏まえ,本件についてみると,前提事実によれば,本件建築物は,本件建築確認処分に係る計画変更建築計画概要書(甲46)において,その主要用途が「共同住宅・長屋(住戸数3)」とされているところ,① 「共同住宅」は,2以上の住戸を有する一の建築物であって隣接する住戸間又は上下で重なり合う住戸間で内部での行き来ができない完全分離型の構造を有するもののうち,廊下・階段等を各住戸で共有する形式のものをいい,② 「長屋」は,上記建築物のうち,廊下・階段等を各住戸で共有しない形式のものをいうものと解されるから(乙1の2),以下,上記のような「共同住宅・長屋」が本件建築物の主たる用途であるかどうかにつき,本件建築主が提出した確認の申請書に基づいて検討する。 (ア) 本館棟共同住宅部分前提事実及び証拠(乙85,86)並びに弁論の全趣旨によれば,本館棟共同住宅部分(別紙5の黄緑色部分)は,1階から3階まであり,① 1階には,主要な出入口と共用のロビー等があり(乙85),②2階及び3階には,それぞれ階段室に面する玄関を出入口とする住戸(トイレ,流し台(台所),浴室,寝室がある。)が各1戸存在するが,2階の住戸と3階の住戸との間で内部での行き来ができない完全分離型の構造を有しており(乙86),③ 1階の共用のロビー及び1階から3階までの階段室を2階及び3階の各住戸で共有する形式となっているところ,設計概要書における「室の用途等について」欄には「共同住宅:賃貸住宅」と記載されていることが認められる(そして,本件全証拠によっても,本館棟共同住宅部分の用途について当該確認の申請書(確認の申請)の他の記載内容等からこれと異なる用途に供されるものと判断すべき特段の事情は されていることが認められる(そして,本件全証拠によっても,本館棟共同住宅部分の用途について当該確認の申請書(確認の申請)の他の記載内容等からこれと異なる用途に供されるものと判断すべき特段の事情は認められない。)。 以上の事実によれば,本館棟共同住宅部分は,「共同住宅」に当たるというべきである。 (イ) 本館棟専用住宅部分a 前提事実及び証拠(乙12,13,84~87)並びに弁論の全趣旨によれば,本館棟専用住宅部分(別紙5の青色部分)について,次の事実を認めることができる。 (a) 本館棟専用住宅部分の1階には,東側(乙85の下側)に住宅の主要な出入口があり,ホール,廊下,ピロティー,鉄板焼きコーナーを有するダイニング及びキッチン,洋室,ホール2,コート,男女別のトイレ等がある(乙85)。 (b) 本館棟専用住宅部分の2階には,中央の階段から上がったところにホール及びこれに隣接する西側バルコニーがあるほか,当該ホールをはさんで北側と南側(乙86下段の右側と左側)に住戸部分がそれぞれ存在する。そして,<ア> 北側の住戸部分には,リビング,寝室,和室,キッチン,洗面バスルーム及び便所があり,<イ>南側の住戸部分には,リビング,寝室,キッチン,洗面バスルーム及びトイレがある(以上につき,乙86)。 (c) 本館棟専用住宅部分の3階は,中央から北側(乙86上段の右側)にかけて住戸部分があるほか,南側(乙86上段の左側)にダイニング,ホール,キッチン及びパントリー等がある。当該住戸部分には,居間,主寝室,書斎,和室,クローゼット,浴室,トイレ,テラス,乾燥室,洗濯室,脱衣室,サウナ,浴室及びシャワーがある(以上につき,乙86)。 (d) 本館 がある。当該住戸部分には,居間,主寝室,書斎,和室,クローゼット,浴室,トイレ,テラス,乾燥室,洗濯室,脱衣室,サウナ,浴室及びシャワーがある(以上につき,乙86)。 (d) 本館棟専用住宅部分の4階は,中央から北側(乙87下段の右側)にかけて住戸部分があるほか,南側(乙87下段の左側)に書庫,前室及び洋室がある。当該住戸部分には,リビングルーム,テラス,キッチン,和室,バスルーム及び露天風呂がある(以上につき,乙87)。 (e) 本館棟専用住宅部分は,上記のほか,1階から4階に通じる階段3(なお,階段1で屋上階(塔屋階)に通じている。),1階から4階に通じる階段4,1階から屋上階に通じるエレベーター1及び地階からアネックス棟へ接続するエレベーター2等があるが,本館棟共同住宅部分と共有する廊下・階段等はない(乙85~87)。 (f) 本館棟専用住宅部分と本館棟共同住宅部分とは,それらの住戸間で内部での行き来ができない完全分離型の構造を有している。 なお,本館棟専用住宅部分には,ホテルに通常設置されているフロントやクロークに類する設備は存在せず,また,駐車場に関しては,地下1階(B1階)に約2台分の駐車スペースがある(乙84)にすぎない(なお,本館棟共同住宅部分には2台分の駐車場がある(乙85)。)。 (g) 本館棟専用住宅部分の設備系統については,次のとおりである。 ① 水道については,本館棟共同住宅部分につながる配管(32Φ給水メーター(アパート用)より先の部分)には二つのメーターが設置されているが,本館棟専用住宅部分につながる配管(50Φ給水メーター(レジデンス,アネックス用)より先の部分)にはメーターが設置されていない(乙12)。 ト用)より先の部分)には二つのメーターが設置されているが,本館棟専用住宅部分につながる配管(50Φ給水メーター(レジデンス,アネックス用)より先の部分)にはメーターが設置されていない(乙12)。 ② ガスについても,本館棟共同住宅部分につながる配管には二つのガスメーターが設置されているが,本館棟専用住宅部分につながる配管に設置されたガスメーターは一つである(乙12)。 ③ 電気系統についても,送電系統図(乙13)上,本館棟専用住宅部分の各住戸部分にメーターを設置する旨の記載はない。 (h) 設計概要書の「室の用途等について」欄には「本館:専用住宅。 本館2階の住宅居住エリアはゲストルームであり,賃貸として使用しない」旨の記載がある。 b 以上の事実によれば,確かに,本館棟専用住宅部分(別紙5の青色部分)の2階から4階にかけての各住戸部分のうち,特に2階部分の住戸部分は,上記のような間取りに鑑みると,それぞれ起臥寝食の場所として独立に用いることが可能であるとも考えられるが,これらの住戸部分は,本館棟共同住宅部分と異なり,そのいずれもが内部で相互に行き来することが可能であるし,その設備系統についても1戸の住戸であることが前提とされていること等に鑑みると,客観的にみて,これらの住戸部分が独立していることが明白であるとまではいえないから,設計概要書中の「これらの住戸部分が1戸の専用住宅である」旨の記載部分に不自然不合理な点はないというべきである。他方,本館棟専用住宅部分のトイレが男女別となっていることやキッチンやダイニングの規模が大きいことも,本館棟専用住宅部分の全体の規模や全体的な間取り等に鑑みれば,必ずしもホテル又は旅館であることを客観的に基礎付けるものとはいえないし,か となっていることやキッチンやダイニングの規模が大きいことも,本館棟専用住宅部分の全体の規模や全体的な間取り等に鑑みれば,必ずしもホテル又は旅館であることを客観的に基礎付けるものとはいえないし,かえって,本館棟専用住宅部分にはホテルに通常設置されているフロントやクロークに類する設備は存在せず,駐車場も約4台分にとどまるなどの事情が認められ,本件全証拠によっても,他に,これらの住戸部分が宿泊施設であり,本館棟専用住宅部分がホテル又は旅館であることをうかがわせる事情は認められず,本館棟専用住宅部分の用途について当該確認の申請書の他の記載内容等から長屋(専用住宅)とは異なる用途に供されるものと判断すべき特段の事情も認められない。 以上の諸点を総合すれば,本館棟専用住宅部分は,1戸の専用住宅として,隣接する本館棟共同住宅部分の各住戸とは内部での行き来ができない完全分離型の構造を有しており,廊下・階段等を各住戸で共有しない形式のものといえるから,「長屋」に当たるというべきである。 c これに対し,原告らは,前記第2の3(2)(原告らの主張の要旨)アのとおり,① 本館棟専用住宅部分の各住戸部分が滞在型ホテルの客室の機能を有するから,本館棟専用住宅部分は「ホテル又は旅館」に該当し,② 駐車場が4台分しかないこと及びロビーやフロントという設備がないことは,本館棟専用住宅部分の「ホテル又は旅館」該当性を否定するものではない旨主張する。 しかし,①の点について,原告らが主張する上記各住戸部分の形状や設備等のみをもって,これらの住戸部分がホテル等の宿泊施設であるとはいえず,また,②の点に関して原告らが主張する諸点が少なくとも本館棟専用住宅部分の「ホテル又は旅館」該当性を積極的に基礎付けるものといえず みをもって,これらの住戸部分がホテル等の宿泊施設であるとはいえず,また,②の点に関して原告らが主張する諸点が少なくとも本館棟専用住宅部分の「ホテル又は旅館」該当性を積極的に基礎付けるものといえず,確認の申請書の主要用途欄や「室の用途について」欄に記載された用途とは異なり,「ホテル又は旅館」の用途に供されるものと判断すべき特段の事情があるとはいえないことは,上記bのとおりであるから,原告らの上記主張を採用することはできない。 (ウ) アネックス棟a 前提事実及び証拠(甲29,乙2,79~82,85)並びに弁論の全趣旨によれば,アネックス棟(別紙5の赤色部分)について,次の事実を認めることができる。 (a) アネックス棟は,深さ約20mの地下2階建ての建物であり(その地上部分は,庭園(芝)になっている(乙85)。),①地下2階(B2階)には,フィールドと呼ばれる大きな空間(これは,地下1階までの吹き抜けとなっている。),ボーリングレーン及びボーリングスペース並びに機械室等があり(乙81),② 地下1階(B1階)には,プール,シャワー,サウナ,更衣室及びデッキ等があるほか,本館棟専用住宅部分に接続する廊下等があり,本館棟専用住宅部分との間でエキスパンション・ジョイントで接続 されているだけでなく,地下で接続部分が相互に連絡している(乙79,82)。 なお,アネックス棟は,その西側に屋内避難階段1が,その南西側に屋内避難階段2がそれぞれ設置されており,これらの階段から地上に出ることができる(乙80~82)。 (b) 上記(a)①(B2階)のフィールドには,その先の西側から北側,さらに東側にかけて「スクリーン」という巨大なスクリーン(西側壁に幅約24m,北側壁に幅 できる(乙80~82)。 (b) 上記(a)①(B2階)のフィールドには,その先の西側から北側,さらに東側にかけて「スクリーン」という巨大なスクリーン(西側壁に幅約24m,北側壁に幅24.5m,東側壁に幅24m,高さは約11.5m~13.5m)が設置されている(乙82)。 (c) 被告の算出結果(乙2)によれば,アネックス棟の延べ面積は約3700㎡であるのに対し,本館棟専用住宅部分の延べ面積は約5200㎡である。 (d) 設計概要書の「室の用途等について」欄には「アネックス棟フィールド:ゴルフ練習場でゴルフ打放し場であり,燃え草のないものとする。アネックス棟:家族にて使用(不特定多数の利用は無い)」旨の記載がある。 b 以上の事実によれば,アネックス棟は,① ゴルフ練習場,プール及びボーリング場としての設備を有するが,② 本館棟専用住宅部分に面する庭園の地下に位置する地下2階建ての建築物であって,独立した直接の出入口を有しておらず(なお,屋内避難階段1及び屋内避難階段2は,いずれも建築基準法施行令120条,122条及び123条等の規定に基づいて設置される地上に通ずる直通階段であるから,これらをもって独立した直接の出入口とみることは相当ではない。),③ 本館棟専用住宅部分との間で,エキスパンション・ジョイントで接続されているだけでなく,地下で接続部分が相互に連絡しており,アネックス棟の利用者は本館棟専用住宅部分の玄関を主たる出入口と して利用することが予定されていることに照らすと,設計概要書中の「アネックス棟が,本館棟専用住宅部分の居住者家族においてゴルフ練習場,プール及びボーリング場として利用するものである」旨の記載部分に不自然不合理な点はないというべきであり,居住者と関 計概要書中の「アネックス棟が,本館棟専用住宅部分の居住者家族においてゴルフ練習場,プール及びボーリング場として利用するものである」旨の記載部分に不自然不合理な点はないというべきであり,居住者と関係のない不特定多数の者の利用を予定していることが明らかであるとはいえず,他に,アネックス棟の用途について当該確認の申請書(確認の申請)の他の記載内容等から上記用途と異なる用途に供されるものと判断すべき特段の事情も認められない(なお,アネックス棟が建築基準法施行令130条の5の5所定の自動車車庫,畜舎及び危険物の貯蔵又は処理に供するものに当たらないことは明らかである。)。 以上の諸点を総合すれば,アネックス棟は,運動施設であって本館棟専用住宅部分に附属するもの(建築基準法別表第二(は)項8号参照)に当たるというべきである。 c これに対し,原告らは,前記第2の3(2)(原告らの主張の要旨)アのとおり,前記アネックス棟が,① その規模等に照らすと,独立した機能を有するスポーツ施設に当たる,② スクリーンの存在やデッキの構造等に照らすと,「映画館」又は「劇場」に当たる,③ その機能や出入口等に照らすと,本館棟専用住宅部分に附属するものとはいえないなどと主張する。 しかし,①の点については,上記bで指摘した諸点に加え,アネックス棟は,その延べ面積が本館棟専用住宅部分のそれと比べて小さいし,上記b①のとおり,地下のスポーツ施設としてゴルフ練習場やプール等を設けるものであるから,その水平投影面積が大きくなることもやむを得ないことをも併せ考慮すれば,原告らが指摘するアネックス棟の大きさ(深さや水平投影面積)等の点のみをもって,独立した機能を有するスポーツ施設ということはできない。②の点については, ア を得ないことをも併せ考慮すれば,原告らが指摘するアネックス棟の大きさ(深さや水平投影面積)等の点のみをもって,独立した機能を有するスポーツ施設ということはできない。②の点については, アネックス棟の間取り等に鑑みれば,前記a(b)で説示したスクリーンの存在や地下1階(B1階)のデッキに観客席を設ける余地があることをもって,これが客観的にみて「映画館」又は「劇場」に当たることが明らかであるとまではいえないし,③の点についても,上記bで説示したところに照らし,原告らが主張する点のみをもって本館棟専用住宅部分に「附属するもの」に当たらないとはいえない。 したがって,原告らの上記主張を採用することはできない。 (エ) 小括以上によれば,本件建築物は,①「共同住宅」である本館棟共同住宅部分(住戸は2戸),②「長屋」である本館棟専用住宅部分(住戸は1戸),③本館棟専用住宅部分に附属するものであるアネックス棟により構成されるから,その主要用途が「共同住宅・長屋(住戸数3)」であると認められるところ,本件建築物の敷地の用途地域である第一種中高層住居専用地域内において建築することが許される「住宅」(建築基準法48条3項,別表第二(は)項1号,(い)項1号)・「共同住宅」(同表(は)項1号,(い)項3号)・「これらの建築物に附属するもの」(同表(は)項8号)に当たる。 したがって,これと同旨の判断をした本件建築確認処分には,建築基準法48条違反の違法は認められない。 (2) 本館棟専用住宅部分の「共同住宅」としての建築基準関係規定違反の有無について原告らは,前記第2の3(2)(原告らの主張の要旨)イのとおり,本館棟専用住宅部分は,その用途が「共同住宅」に該当することを前提とし 「共同住宅」としての建築基準関係規定違反の有無について原告らは,前記第2の3(2)(原告らの主張の要旨)イのとおり,本館棟専用住宅部分は,その用途が「共同住宅」に該当することを前提として,これが消防法上の「防火対象物」に該当し,かつ,延べ面積が6000㎡を超えているにもかかわらず,自動火災報知器等の設置がされていないから,消防法その他の建築基準関係規定に違反する旨を主張する。 しかしながら,本館棟専用住宅部分が「長屋」に該当することは,前記(1)イ(イ)で説示したとおりであり(なお,原告ら指摘に係る① 計画建物2の管理室が本館棟専用住宅部分の監視を目的とすることや,② 本館棟専用住宅部分の図面等に共同住宅であれば必要な事項の指示があることは,そのような事実が認められたとしても,本館棟専用住宅部分が「長屋」であることと矛盾するものではないから,前記(1)イ(イ)の判断を左右しない。),これに反する事実を前提とする原告らの上記主張は,その余の点を検討するまでもなく,採用することができない。 したがって,本件建築確認処分には,原告らの主張の違法は認められない。 (3) 一建物一敷地の原則違反の有無について原告らは,前記第2の3(2)(原告らの主張の要旨)ウのとおり,本館棟専用住宅部分とアネックス棟が外観上及び構造上の一体性を欠くことをもって,一建物一敷地の原則(建築基準法施行令1条1項)に違反する旨主張するが,アネックス棟が,運動施設であって本館棟専用住宅部分に附属するもの(建築基準法別表第二(は)項8号参照)に当たることは,前記(1)イ(ウ)のとおりであるから,これに反する原告らの上記主張は,その余の点を検討するまでもなく,採用することができない。 したがって,本件建築確認 (は)項8号参照)に当たることは,前記(1)イ(ウ)のとおりであるから,これに反する原告らの上記主張は,その余の点を検討するまでもなく,採用することができない。 したがって,本件建築確認処分には,一建物一敷地の原則違反の違法は認められない。 (4) 東京都建築安全条例4条違反の有無についてア関係法令の定め(ア) 東京都建築安全条例は,建築基準法40条(同法88条1項において準用する場合を含む。)による建築物の敷地,構造及び建築設備並びに工作物に関する制限の附加,同法43条2項による建築物の敷地及び建築物と道路との関係についての制限の附加等については,この条例で定めるところによる(1条)とし,延べ面積(同一敷地内に2以上の建 築物がある場合は,その延べ面積の合計とする。)が1000㎡を超える建築物の敷地は,① その延べ面積が3000㎡を超えるものは,長さ10m以上道路に接しなければならず(4条1項),② その延べ面積が3000㎡を超え,かつ,建築物の高さが15mを超えるものについては,長さ10m以上幅員6m以上の道路に接しなければならない(4条1項及び2項)旨を規定している。 ここでいう建築物の「高さ」については,原則として,地盤面からの高さによる(建築基準法施行令2条1項6号)が,建築基準法56条1項3号に規定する高さ等を算定する場合を除き,階段室,昇降機塔,装飾塔,物見塔,屋窓その他これらに類する建築物の屋上部分の水平投影面積の合計が当該建築物の建築面積の8分の1以内の場合においては,その部分の高さは,12m(建築基準法55条1項及び2項 ,56条の2第4項 ,59条の2第1項(55条1項に係る部分に限る。)並びに別表第四(ろ)欄2の項,3の項及び4の項ロの場合には,5m は,その部分の高さは,12m(建築基準法55条1項及び2項 ,56条の2第4項 ,59条の2第1項(55条1項に係る部分に限る。)並びに別表第四(ろ)欄2の項,3の項及び4の項ロの場合には,5m)までは,当該建築物の高さに算入しないこととされている(建築基準法施行令2条1項6号ロ)。 (イ) 建築基準法2条は,① 「建築物」とは,土地に定着する工作物のうち,屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。),これに附属する門若しくは塀,観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所,店舗,興行場,倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨線橋,プラットホームの上家,貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい,建築設備を含むものとするとし(1号),②「建築設備」とは,建築物に設ける電気,ガス,給水,排水,換気,暖房,冷房,消火,排煙若しくは汚物処理の設備又は煙突,昇降機若しくは避雷針をいう(3号)と規定している。 イ本件建築物の高さ(ア) 原告らは,本件建築物の高さを算定するに当たり,① 屋上部分の設備機械スペース,② 本件パーゴラ,③ PH階の部分A及び部分Bの高さを算入すべきである旨を主張するから,以下,順次検討する。 (イ) 屋上部分の設備機械スペースa 証拠(甲28,29,乙9,11,87,88)及び弁論の全趣旨によれば,本件建築物の屋上部分のうち設備機械スペース(乙87及び乙88の「設備機械スペース」部分参照。)は,その中に,①様々な大きさの設備機械(これらがいずれも「建築物に設ける電気,ガス,給水,排水,換気,暖房,冷房,消化,排煙若しくは汚物処理の設備」(建築基準法2条3号) スペース」部分参照。)は,その中に,①様々な大きさの設備機械(これらがいずれも「建築物に設ける電気,ガス,給水,排水,換気,暖房,冷房,消化,排煙若しくは汚物処理の設備」(建築基準法2条3号)に該当することは,当事者間に争いがない。)が多数設置され,その周囲を広く覆うように,② 目隠し壁が設置されるところ,この②の目隠し壁は,本件建築物の屋上に基礎を設け,独立して設置されるものであること,個々の①の設備機械と②の目隠し壁との間には場所によって相当の空間が確保されていることが認められる(なお,原告らは,当該目隠し壁の柱が本件建築物の屋根スラブから立ち上がっている基礎にアンカーボルト等で連結されている旨主張するが,これを認めるに足りる証拠はない。)。 b 以上の事実によれば,上記a①の設備機械は,建築設備(建築基準法2条3号)に該当するから,建築物に当たる(同条1号参照)が,同②の目隠し壁は,個々の設備機械や本件建築物の構造体である柱等とは構造的一体性を欠く独立の工作物として設置されるものであり,かつ,個々の設備機械の目隠しではなく,その周囲を含む設備機械スペース全体の目隠しとしての機能を果たすものであることに照らすと,建築基準法施行令2条1項6号ロの「階段室,昇降機塔,装飾塔,物見塔,屋窓その他これらに類する建築物の屋上部分」には当たらない というべきである(この点,甲36には,階段室,昇降機塔,装飾塔,屋窓その他これらに類する建築物の屋上部分の例として「キュービクル等の電気設備機械(周囲の目隠し部分を含む。)」を掲げているが,これは典型的な事例として,電気設備機械とその周囲を直接に覆う目隠し部分がある場合を例示したものと解されるから,上記のような本件とは事案が異なるというべきである。)。 し ているが,これは典型的な事例として,電気設備機械とその周囲を直接に覆う目隠し部分がある場合を例示したものと解されるから,上記のような本件とは事案が異なるというべきである。)。 したがって,原告らの主張(前記第2の3(2)(原告らの主張の要旨)エ(ア)a)は,採用することができない。 (ウ) 本件パーゴラa 証拠(甲28,乙9,11,88)及び弁論の全趣旨によれば,本件パーゴラは,つるを匍わせて日陰棚を作ることができるように屋根に当たる部分に一定の間隔を置いて棒を並べ,この屋根部分を柱で支える構造の工作物であり,本件建築物の屋上に基礎を設け,本件建築物と構造上一体とされることなく,独立して設置されるものであると認められる。 b 以上の事実によれば,本件パーゴラは,その構造上,建築基準法2条3号の「煙突」に当たらないことは明らかであり,その他同号所定の建築設備に該当することを基礎付ける事情(なお,原告らは,本件建築物のために設置されたものであれば本件建築物の建築設備に該当する旨主張するが,同号が建築設備に該当する建築物に設けられた設備等を具体的に列挙していることに鑑みれば,同号に該当する設備等というためには抽象的に当該建築物のための設備というだけでは足りないというべきであり,原告らの上記主張を採用することはできない。)も認められない上,本件建築物の屋上部分とは構造上独立して設置される工作物であるから,建築基準法施行令2条1項6号ロの「階段室,昇降機塔,装飾塔,物見塔,屋窓その他これらに類する建 築物の屋上部分」には当たらないというべきである。 したがって,原告らの主張(前記第2の3(2)(原告らの主張の要旨)エ(ア)b)は,採用することができない。 ( 築物の屋上部分」には当たらないというべきである。 したがって,原告らの主張(前記第2の3(2)(原告らの主張の要旨)エ(ア)b)は,採用することができない。 (エ) PH階の部分A及び部分B証拠(甲20,乙9,11,84~88)及び弁論の全趣旨によれば,① PH階の部分A(別紙4の赤色で囲った部分)は,階段室であるが,その水平投影面積(22.281㎡。乙11参照)は,本館棟専用住宅部分の地下1階(B1階)からの階段室と比較してその面積が大きく異なるものとはなっていないこと,② PH階の部分B(別紙4の青色で囲った部分)は,エレベーターの塔屋であり,建築基準法施行令2条1項6号ロの「昇降機塔」には,昇降機の乗降ロビーであって通常の乗降に必要な規模程度のものが含まれると解されるところ(甲36参照),PH階の部分Bの水平投影面積(17.402㎡。乙11参照)は,その約半分をエレベーター用の空間が占め,その余が通常の乗降用の空間であることに照らすと,通常の乗降に必要な規模程度のものであることが認められる。 そうであるとすれば,PH階の部分A及び部分Bは,いずれも建築基準法施行令2条1項6号ロの「階段室,昇降機塔,装飾塔,物見塔,屋窓その他これらに類する建築物の屋上部分」に当たるというべきであり,これに反する原告らの主張(前記第2の3(2)(原告らの主張の要旨)エ(ア)c)は採用することができない。 (オ) 以上によれば,被告が本件建築物につき建築基準法施行令2条1項6号ロに基づく建築物の屋上部分として算出した水平投影面積(181.60㎡。乙11)については,その算出の前提となった事実及び計算方法に誤りは認められないというべきである。 そうすると,本件建築 づく建築物の屋上部分として算出した水平投影面積(181.60㎡。乙11)については,その算出の前提となった事実及び計算方法に誤りは認められないというべきである。 そうすると,本件建築物の屋上部分の水平投影面積181.60㎡は, 本件建築物(本館棟・アネックス棟)の建築面積1673.27㎡(前提事実(4)ウ(ウ)参照)の8分の1(209.19㎡。小数点以下第3位を四捨五入。)を明らかに下回っているから,その屋上部分の高さは,本件建築物の高さに算入しないこととなり(建築基準法施行令2条1項6号ロ),本件建築物の高さは15mとなる。 なお,原告らは,前記第2の3(2)(原告らの主張の要旨)エ(ウ)のとおり,意図的な盛土に基づいて設置された本件建築物の高さが違法であると主張するが,原告らの主張に係る意図的な盛土の事実が認められないことは後記(7)イで説示するとおりであるから,原告らの上記主張を採用することはできない。 ウ小括以上に説示したところ及び前提事実によれば,本件建築物(延べ面積6268.80㎡,高さ15m)は,延べ面積3000㎡を超えるが,その高さが15mを超えないことから,東京都建築安全条例4条1項の適用があるところ,その敷地の北側,西側及び東側において長さ10m以上で道路に接していることは明らかであって,同項の要件を満たしている。 したがって,本件建築確認処分には,東京都建築安全条例4条に違反する違法は認められない。 (5) 容積対象床面積の過小算定の違法の有無についてア関係法令の定め等延べ面積は,原則として,建築物の各階の床面積の合計によるが,建築基準法52条1項に規定する延べ面積(建築物の容積率の最低限度に関する規制に係る当該容 いてア関係法令の定め等延べ面積は,原則として,建築物の各階の床面積の合計によるが,建築基準法52条1項に規定する延べ面積(建築物の容積率の最低限度に関する規制に係る当該容積率の算定の基礎となる延べ面積を除く。)には,自動車車庫その他の専ら自動車又は自転車の停留又は駐車のための施設(誘導車路,操車場所及び乗降場を含む。)の用途に供する部分の床面積を算入しないこととされ(建築基準法施行令2条1項4号),また,床面積は, 建築物の各階又はその一部で壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積によることとされている(同項3号)。 そして,国土交通省の建設省住指発第115号昭和61年4月30日付け住宅局建築指導課長通知(甲39)は,ピロティ,ポーチ等で壁,扉,柱等を有しないものを床面積に算入するかどうかは,当該部分が居住,執務,作業,集会,娯楽,物品の保管又は格納その他の屋内的用途に供する部分であるかどうかにより判断するものとし,「体育館等のギャラリー等は,原則として床面積に算入するが,保守点検等一時的な使用を目的としている場合は,床面積に算入しないこととしている。 イアネックス棟西側の階段1及び階段2について原告らは,アネックス棟西側の階段1及び階段2について,それらの本館棟免震ピット階及び本館棟地下1階(B1階)に相当する床面積(乙83,84の「屋内避難階段1」及び「屋内避難階段2」とある部分の各床面積)も本件建築物の容積対象床面積として算入すべきである旨を主張する。 しかしながら,前記アのとおり,床面積は,建築物の各階又はその一部を対象として算定すべきところ,前記(1)イ(ウ)a(a)で認定した事実によれば,アネックス棟は,地下2階建ての建物であり,原告 しかしながら,前記アのとおり,床面積は,建築物の各階又はその一部を対象として算定すべきところ,前記(1)イ(ウ)a(a)で認定した事実によれば,アネックス棟は,地下2階建ての建物であり,原告らの主張する本館棟免震ピット階及び本館棟地下1階(B1階)に相当する階は存在せず,かつ,屋内避難階段1及び屋内避難階段2は,いずれも建築基準法施行令120条,122条及び123条等の規定に基づいて設置される地上に通ずる直通階段であり,原告らが算入すべきと主張する部分はアネックス棟地下1階の中の上方空間を示しているのにすぎないと認められるから,原告らの主張の上記部分をアネックス棟の床面積に算入する必要はないというべきである。 したがって,原告らの上記主張を採用することはできない。 ウアネックス棟のキャットウォークについて原告らは,アネックス棟のキャットウォーク部分を床面積に算入すべきである旨を主張する。 しかしながら,前記(1)イ(ウ)aで認定した事実及び証拠(甲29,乙5,83)並びに弁論の全趣旨によれば,アネックス棟の地下1階(B1階)の天井裏内に,その天井全体に設けた照明設備の保守点検用の通路が設置されており,このうち幅が広くなった部分は,アネックス棟壁面に設けたスクリーンに映像を投影するための設備の保守点検用の通路であることが認められる。 以上の事実によれば,原告らの主張のキャットウォーク部分は,天井の照明設備又はスクリーンに映像を投影するための設備の保守点検を用途とするものであり,地下1階の運動施設(プールやゴルフ練習場等)のギャラリー等としての使用を目的とするものではないから,建築基準法施行令2条1項3号所定の「各階又はその一部で壁その他の区画の中心線で囲まれた部 あり,地下1階の運動施設(プールやゴルフ練習場等)のギャラリー等としての使用を目的とするものではないから,建築基準法施行令2条1項3号所定の「各階又はその一部で壁その他の区画の中心線で囲まれた部分」として,アネックス棟の床面積に算入する必要はないというべきである。 したがって,以上の説示に反する原告らの主張を採用することはできない。 エ本館棟専用住宅部分の免震ピットについて原告らは,本館棟専用住宅部分の免震ピットを本件建築物の床面積に算入すべきである旨を主張する。 しかしながら,証拠(甲29,乙67の2,83)及び弁論の全趣旨によれば,本館棟専用住宅部分の地下の免震ピットは,免震装置に加え,その保守点検用の空間により構成されていることが認められるから,免震ピット内に原告らの主張に係る相当の空間があることのみをもって,これが屋内的用途に用いるものとはいえない。 そうであるとすれば,免震ピットは,建築基準法施行令2条1項3号所定の「各階又はその一部」として本館棟専用住宅部分の床面積に算入する必要はないというべきである。 したがって,以上の説示に反する原告らの主張を採用することはできない。 オ小括以上に加え,本件全証拠によっても,他に被告による容積対象床面積の算定が過小であると認めるに足りる事情はうかがわないことに照らすと,本件建築確認処分には,容積対象床面積の算定を過小に行った違法はないものと認められる。 (6) 建築基準法施行令121条違反の有無についてア建築基準法等の定め等(ア) 建築基準法35条は,別表第一(い)欄(1)項から(4)項までに掲げる用途に供する特殊建築物,階数が3以上である建築物,政令で定め 反の有無についてア建築基準法等の定め等(ア) 建築基準法35条は,別表第一(い)欄(1)項から(4)項までに掲げる用途に供する特殊建築物,階数が3以上である建築物,政令で定める窓その他の開口部を有しない居室を有する建築物又は延べ面積(同一敷地内に2以上の建築物がある場合においては,その延べ面積の合計)が1000㎡を超える建築物については,廊下,階段,出入口その他の避難施設,消火栓,スプリンクラー,貯水槽その他の消火設備,排煙設備,非常用の照明装置及び進入口並びに敷地内の避難上及び消火上必要な通路は,政令で定める技術的規準に従って,避難上及び消火上支障がないようにしなければならない旨を規定しており,その委任を受けて定められた建築基準法施行令120条1項は,直通階段の設置として,「建築物の避難階以外の階(地下街におけるものを除く。)においては,避難階又は地上に通ずる直通階段(傾斜路を含む。)を居室の各部分からその一に至る歩行距離が次の表の数値以下となるように設けなければならない」旨を規定している。これは,建築物の上層階又は地階の直通階段 から居室の最も遠い部分までの距離を一定の範囲に制限することにより,非常時において直通階段による屋外への速やかな避難を可能とすることを目的とするものと解される。 構造 居室の種類 主要構造部が準耐火構造であるか又は不燃材料で造られている場合(単位m) 上欄に掲げる場合以外の場合(単位m) (1) 116条の2第1項1号に該当する窓その他の開口部を有しない居室又は建築基準法別表第一(い)欄(4)項に掲げる用途に供する特殊建築物の主たる用途に供する居室 116条の2第1項1号に該当する窓その他の開口部を有しない居室又は建築基準法別表第一(い)欄(4)項に掲げる用途に供する特殊建築物の主たる用途に供する居室 (2) 建築基準法別表第一(い)欄(2)項に掲げる用途に供する特殊建築物の主たる用途に供する居室 (3) (1)又は(2)に掲げる居室以外の居室 (イ) 同じく建築基準法35条の委任を受けて定められた建築基準法施行令121条1項は,2以上の直通階段を設ける場合として,「建築物の避難階以外の階が,① 劇場,映画館,演芸場,観覧場,公会堂又は集会場の用途に供する階でその階に客席,集会室その他これらに類するものを有するもの(1号),② ホテル,旅館若しくは下宿の用途に供する階でその階における宿泊室の床面積の合計,共同住宅の用途に供する階でその階における居室の床面積の合計又は寄宿舎の用途に供する階でその階における寝室の床面積の合計が,それぞれ100㎡を超えるもの(5号)又は③ 同項1号から5号までに掲げる階以外の階であって,5階以下の階でその階における居室の床面積の合計が避難階の直上階にあっては200㎡を,その他の階にあっては100㎡を超えるもの(6号ロ)に該当する場合においては,その階から避難階又は地上に通ずる2以上の直通階段を設けなければならない」旨を規定し,同条3項は,「1項の規定により避難階又は地上に通ずる2以上の直通階段を設ける場合において,居室の各部分から各直通階段に至る通常の歩行経路のすべてに共通の重複区間があるときにおける当該重複区間の長さは,居室の各部分から,当該重複区間を経由しないで,避難上有効なバルコニ ける場合において,居室の各部分から各直通階段に至る通常の歩行経路のすべてに共通の重複区間があるときにおける当該重複区間の長さは,居室の各部分から,当該重複区間を経由しないで,避難上有効なバルコニー,屋外通路その他これらに類するものに避難することができる場合を除き,建築基準法施行令120条に規定する歩行距離の数値の2分の1を超えてはならない」旨を規定している。これは,2以上の直通階段を設けて2方向に避難路を確保することにより,火災時に一方が通行不能になった場合の避難を可能とし,より安全性を高めることを目的とするものと 解される。 (ウ) 以上のような建築基準法35条,建築基準法施行令120条1項並びに121条1項及び3項の文言及びこれらの規定の目的等に鑑みれば,建築基準法35条所定の建築物の避難階以外の階については,居室の各部分から直通階段(複数ある場合はその一)に至る歩行距離が建築基準法施行令120条1項の要件を満たす直通階段を設けるものとした上で,更に建築基準法施行令121条1項所定の階については,2方向の避難路を確保するため,2以上の直通階段を設けることを義務付けたにすぎない(そのため,建築基準法施行令121条3項は,居室の各部分から各直通階段に至る通常の歩行経路についての共通の重複区間の長さに関する制限をするにとどめている。)というべきであるから,同条1項により2以上の直接階段を設ける場合においても,そのいずれもが建築基準法施行令120条1項の要件を満たすことまでは要しないものと解するのが相当である。 原告らの前記主張(前記第2の3(2)(原告らの主張の要旨)カ)は,以上の説示したところ(殊に,建築基準法施行令120条1項の文言)に反するから,採用することができない。 イこれを本件 原告らの前記主張(前記第2の3(2)(原告らの主張の要旨)カ)は,以上の説示したところ(殊に,建築基準法施行令120条1項の文言)に反するから,採用することができない。 イこれを本件のアネックス棟についてみると,前提事実,前記(1)イ(ウ)aで認定した事実及び証拠(乙81,82)並びに弁論の全趣旨によれば,アネックス棟については,① 地下1階(B1階)及び地下2階(B2階)のいずれにも屋内避難階段1及び屋内避難階段2という直通階段が二つ設けられているところ,② 地下2階(B2階)については,居室の各部分から屋内避難階段1又は屋内避難階段2までの歩行距離が最も遠い部分で36.98m又は39.7m(乙81の破線部分参照。なお,共通の重複区間の長さも10m又は12.92mである。)であり,③ 地下1階(B1階)については,居室の各部分から屋内避難階段1までの歩行距離 が最も遠い部分で24.31m(乙82の破線部分参照。なお,共通の重複区間の長さも14.15mである。)であり,いずれも40m以下(建築基準法施行令120条1項表(3)項下欄参照。共通の重複区間の長さについては,その2分の1である20m以下)であると認められる。 以上の事実によれば,アネックス棟は,建築基準法120条1項の要件を満たす直通階段が設置されており,かつ,建築基準法121条1項に基づき同条3項に適合する直通階段が2以上設置されているから,本件建築確認処分には,建築基準法120条1項及び121条1項違反の違法はないものと認められる。 (7) 開発許可の要否についてア都市計画法は,都市計画区域又は準都市計画区域内において開発行為をしようとする者は,あらかじめ,国土交通省令で定めるところにより,都道府県知事等の許可を受けなけ 開発許可の要否についてア都市計画法は,都市計画区域又は準都市計画区域内において開発行為をしようとする者は,あらかじめ,国土交通省令で定めるところにより,都道府県知事等の許可を受けなければならず(29条1項),ここでいう「開発行為」とは,主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行なう土地の区画形質の変更をいう(4条12項)旨を規定している。 したがって,都市計画法29条1項の許可を受けるべき「開発行為」とは,土地の区画形質の変更のうち「主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的」で行われるものに限られることが明らかである。 イこれを本件についてみると,証拠(甲30,42~44,乙6~8)及び弁論の全趣旨によれば,① 本件建築主は,平成20年7月29日,本件建築物の敷地である港区α×番1の土地(地目宅地,地積5637.62㎡)を同日付け売買により取得し,その所有権移転登記(乙8)を経由したところ,同土地は,平成16年頃はその敷地の南側に森が存在したが,遅くとも本件建築主が取得するまでの間に更地になっていたこと,② 本件建築物の東側道路は,北側が高く,南側が低くなるよう傾斜しているが, 第1回建築確認処分に係る確認の申請がされた当時,本件建築物の敷地となる上記土地の地盤面はおおむね平坦であったこと(乙6。なお,原告らは,本件建築物の東側道路と本件建築物の敷地との地番面の形状の違いから,意図的な盛土がされた旨主張するが,意図的な盛土がされたことを認めるに足りる証拠はなく,以上の認定事実をも併せ考慮すれば,原告らの主張の上記事実のみをもって意図的な盛土がされたことを推認することもできない。),③ 本件建築主は,港区環境街づくり支援部開発指導課に対し,本件建築計画につい の認定事実をも併せ考慮すれば,原告らの主張の上記事実のみをもって意図的な盛土がされたことを推認することもできない。),③ 本件建築主は,港区環境街づくり支援部開発指導課に対し,本件建築計画について開発行為に係る事前相談をしたところ,同課から,切土・盛土等の整備が開発行為に該当しないとの回答を得たこと(乙7)が認められる。 以上の事実によれば,本件建築主が本件建築物の敷地となる土地を取得する前に当該土地が更地になっていたことは明らかであるから,仮に当該土地を更地にする行為が土地の区画形質の変更に該当するとしても,当該行為は本件建築主が主として本件建築物の建築の用に供する目的で行ったものとはいえないし,本件建築主の前主が行った当該行為をもって,本件建築主が本件建築物の建築の用に供する目的で行ったものとすることもできない。他に,本件建築主が本件建築計画に関して主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行なう土地の区画形質の変更をしたと認めるに足りる事情もない。 したがって,本件建築確認処分には,都市計画法29条に違反する違法はないものと認められる。 以上の説示に反する原告らの前記主張(前記第2の3(2)(原告らの主張の要旨)キ)は採用することができない。 (8) 「軽微な変更」の違法について前記第2の3(2)(原告らの主張の要旨)クの原告らの主張は,要するに,本件建築確認処分に至るまでの間に,建築基準法6条1項,建築基準法施行 規則3条の2所定の軽微な変更に該当しない計画の変更があったことをもって,本件建築確認処分の違法があるというものと解される。 この点,建築基準法6条1項後段,6条の2第1項は,建築主事又は指定確認検査機関の確認を受けた建築計画の変更を 変更があったことをもって,本件建築確認処分の違法があるというものと解される。 この点,建築基準法6条1項後段,6条の2第1項は,建築主事又は指定確認検査機関の確認を受けた建築計画の変更をして、建築物を建築しようとする場合に,当該建築計画の変更が建築基準法施行規則3条の2が定める「軽微な変更」に当たるときを除いて,建築主事又は指定確認検査機関の確認を受けなければならないものとしている。したがって,建築計画の変更が「軽微な変更」に当たらない場合には,改めて建築主事又は指定確認検査機関の確認を受けることなくそのような変更をして建築物を建築することは違法であることになるが,そのことは当初の建築確認処分の適法性や効力を何ら左右するものではない。そうすると,原告らが「軽微な変更」に当たらない建築計画の変更があることを建築確認処分の取消事由として主張することは,主張自体失当というべきである。 また,建築基準法6条1項及び6条の2第1項の文言及び趣旨に照らすと,これらの規定は,当初の建築物の計画についての確認の効力がそのまま存続することを前提として,その変更部分についてのみ,建築主事又は指定確認検査機関の確認を受ければ足りるとしているものではなく,変更に係る建築計画の全体について建築主事又は指定確認検査機関の確認を受けることを義務付けているというべきであるから,建築計画の変更をして建築物を建築しようとする場合の確認処分は,建築主事又は指定確認検査機関が,変更に係る部分以外の部分を含む変更後の建築計画の全体につき,改めて建築基準法令の規定等に適合するか否かを判断し,適合すると判断した場合に既にされた建築確認処分に代えてされる確認処分であると解される。前提事実によれば,本件建築確認処分は,第3回建築確認処分に係る建築計画の変更の確認 等に適合するか否かを判断し,適合すると判断した場合に既にされた建築確認処分に代えてされる確認処分であると解される。前提事実によれば,本件建築確認処分は,第3回建築確認処分に係る建築計画の変更の確認申請についてされたものであるが,その時点における変更に係る部分以外の部分を含む変更後の建築計画の全体につき,改めて建築基準法令の規定等に 適合するか否かを判断し,適合すると判断したものであると認められるから,仮に,それ以前にされたものも含めた建築計画の変更につき原告らの主張する「軽微な変更」に該当しない変更があったとしても,それらの変更後の建築計画について本件建築確認処分がされたものであって,軽微な変更に該当しない変更があることそれ自体が本件建築確認処分の取消事由になり得ないことは明らかである。 原告らの上記主張は,以上に説示したところに反するから,その余の点を検討するまでもなく,採用することができない。 (9) まとめ以上によれば,本件建築確認処分は,適法であると認められる。 3 結語よって,原告らの請求は,いずれも理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条,65条1項本文を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部裁判長裁判官川神裕 裁判官内野俊夫 裁判官林史高は差し支えのため署名押印できない。 裁判長裁判官川神裕

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