平成14(わ)529 虚偽有印公文書作成被告

裁判年月日・裁判所
平成14年12月25日 岡山地方裁判所
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判決文本文2,119 文字)

主文 被告人を懲役1年6月に処する。 この裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,軽自動車検査協会甲事務所検査課主任として,軽自動車の検査,自動車検査証の作成,交付等の職務に従事しているものであるが,乙及び分離前の相被,()告人丙と共謀の上不正に入手した軽自動車車台番号MC22S-○○○○○○につき,内容虚偽の自動車検査証を作成しようと企て,被告人において,分離前の相被告人丙の指示により,平成13年2月8日,丁市a番地b所在の軽自動車検査協会甲事務所で行使の目的をもってほしいままに真実は同車の車両番号は○,,,「○せ○○○○,有効期間の満了する日は平成16年1月9日,使用者は「A」で」あるのに,自動車検査証用紙の車両番号欄に,同事務所備え付けの車両番号指示器を使用して「○○せ○○○○」と刻印し,同用紙の有効期間の満了する日欄に,,有効期間日付印を使用して「16.2-1」と押印し,同用紙右上部に,手動式押出しスタンプを使用して「軽自動車検査協会・甲」などと押印した上,乙におい,て,同日ころ,同市a所在のB株式会社で,同用紙の車台番号欄に「MC22S-○○○○○○,使用者欄に「C」などと記入して,軽自動車検査協会の押印のあ」る内容虚偽の自動車検査証1通を作成し,もって,公務員とみなされる軽自動車検査協会職員の職務に関し,虚偽の有印公文書を作成したものである。 (証拠の標目)省略(法令の適用)被告人の判示所為は刑法60条,156条,155条1項に該当するので,その所定刑期の範囲内で被告人を懲役1年6月に処し,情状により同法25条1項を適用してこの裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予することとする。 (量刑の理由)本件は,借金等により金銭に窮した共犯者ら 刑期の範囲内で被告人を懲役1年6月に処し,情状により同法25条1項を適用してこの裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予することとする。 (量刑の理由)本件は,借金等により金銭に窮した共犯者らが,盗難軽自動車の所有者名義を偽って,これを担保に金を借りようとして,平素から暴力団員ないしその関係者であることを利用し,その職務に関して無理難題を行わせていた被告人に対して,一部事項を空欄にした内容虚偽の自動車検査証の作成を指示し,被告人がこれに応じ,その後,共犯者らにおいて更に空欄に虚偽の内容を記載したという虚偽公文書作成の事案である。 自動車検査証は,軽自動車の検査状況のみならず,所有関係等を確認する公的書類として広く信頼されている文書であるところ,被告人は,外形上,不正が判別できない虚偽の内容のものを作成し,自動車検査証に対する信頼を著しく害した。そして,現実に,被告人作成の虚偽の自動車検査証は,盗難軽自動車の換金のために所有者を偽る手段に用いられ,これによる被害を発生させている。被告人は,軽自動車の検査に携わるという職責を忘れ,共犯者らの求めるままに,押し出しスタンプによる押印,日付印の押印や,車両番号の打刻を行う一方,その余の欄を空白にして共犯者らのほしいがままの記載を許し,不正取引の手段を提供するに至ったのであり,その刑責は軽いものではない。被告人に関しては,共犯者らから具体的に暴力を受けたりしたこともないのに,その職責上当然求められる毅然とした拒絶をせず,唯々諾々とその要求に応じて犯行に加わったもので,犯情も芳しくない。 しかしながら,本件は,軽自動車検査協会甲事務所において,共犯者らが暴力団組員ないしその関係者として平素から傍若無人に振る舞っていたところ,被告人がその共犯者から犯行をそそのかされて敢行したもので,被告人自身は何 本件は,軽自動車検査協会甲事務所において,共犯者らが暴力団組員ないしその関係者として平素から傍若無人に振る舞っていたところ,被告人がその共犯者から犯行をそそのかされて敢行したもので,被告人自身は何ら利益を得ておらず,その約束もなかった。 本件の背景には,かねてより同事務所自体において,暴力団関係者が人気のある車両番号を得るために,車両番号と暴力団組名を記載したメモ用紙を公然と窓口に置くことを容認していたこと,本件犯行前にも,被告人の上司である検査課長や同事務所長らにおいて,暴力団関係者が被告人に対して無理難題を押しつけても適切な対策をとらないばかりか,かえってその要求に従うよう指示していたこと等の事情が窺われ,本件は,この同事務所の暴力団関係者に対して甘くて弱腰の体質の下で行われた犯行である。そして,被告人には前科前歴がないこと,逮捕後は罪を認め,反省していること,懲戒解雇により失職と相当額の退職金の逸失が見込まれるほか,本件が新聞報道されたことにより社会的制裁を受けていること,両親や交際女性が更生に協力することを約束していること等被告人に有利に斟酌すべき事情も認められる。 以上の点を考慮して,主文の刑が相当であると判断した。 平成14年12月25日岡山地方裁判所第2刑事部裁判長裁判官榎本巧裁判官中川綾子裁判官足立堅太

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