平成20(む)733

裁判年月日・裁判所
平成20年6月3日 大阪地方裁判所
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判決文本文3,343 文字)

20む733大阪地裁平成20・6・3316条の20第1項一部開示命令 主文 検察官に対し,(1)本件犯行時刻前後の,本件犯行現場付近の居住者,稼働者及び通行人(既に開示されているものを除く。)の供述録取書並びにこれらの者の供述を記録している捜査報告書(2)本件犯行時刻前後の,高速道路出入口,高速道路上,高速道路サービスエリアにおける被告人の所在,動向に関する証拠(供述録取書,捜査報告書,ビデオ,写真,その他の証拠物など)を開示することを命じる。 その余の本件請求を棄却する。 理由 第1本件請求の趣旨及び理由本件基本事件は,被告人がAと共謀の上,自動車1台を窃取したという公訴事実によって起訴された事案である。 本件請求の趣旨及び理由は,弁護人作成の平成20年5月27日付け「裁定請求書」記載のとおりであり,要するに,被告人のアリバイを主張しているため,検察官に対し,本件犯行時刻前後の被告人のアリバイ主張に関する証拠として,本件犯行現場付近の居住者等の供述録取書等(以下「本件供述録取書等」という。),高速道路等における被告人の所在等に関する証拠(以下「本件所在証拠」という。)及びその他被告人のアリバイ主張に関する証拠の開示を求め,また,被告人とAとの間の窃盗の共謀を争う主張をしているため,検察官に対し,Aについて作成された取調べ状況記録書面の全て(以下「本件取調べ状況記録書面」という。)の開示を求めるというものである。 第2当裁判所の判断 本件供述録取書等について弁護人は,本件公訴事実記載の日時ころには,被告人は大阪府にある自宅において友人らと食事するなどしていたという,いわゆるアリバイを主張することを明らかにし,刑事訴訟法316条の20第1項の主張関連証拠には,当該主張の存否を判断する ころには,被告人は大阪府にある自宅において友人らと食事するなどしていたという,いわゆるアリバイを主張することを明らかにし,刑事訴訟法316条の20第1項の主張関連証拠には,当該主張の存否を判断するに資する証拠が含まれ,被告人のアリバイ主張と矛盾しない証拠や,それを否定する証拠も含まれると主張する。 これに対し,検察官は,弁護人が開示を請求する本件供述録取書等の中には,被告人が自宅にいたことを示す内容が含まれ得ず,被告人が自宅にいたとする弁護人主張のアリバイを裏付けるものでないことは明らかであり,関連性及び必要性がない旨主張する。 刑事訴訟法316条の20第1項の規定は,弁護人にいわゆる証拠あさりを認めるものではないから,同項による証拠開示が認められるためには,主張と開示請求に係る証拠との関連性が具体的に認められる必要があると解すべきところ,開示される証拠が主張を裏付けるものであれば,被告人側の防御に資するものであり,関連性が認められることはいうまでもない。 そうすると,本件供述録取書等については,その内容が本件犯行時刻前後に被告人が本件犯行現場付近にいなかったことを示すものであれば,弁護人のアリバイ主張との関連性がないとはいえず,これを認めることができる。 もっとも,関連性が認められても,その程度,開示の必要性,開示による弊害等を考慮した上で,開示が相当と認められない場合には,同項による開示を認めることができないことはいうまでもない。その判断にあたっては,弁護人が,同項の開示証拠により開示された証拠と矛盾しない範囲で予定主張を変更する目的で,同項の証拠開示を利用するおそれなども考慮されるべきところ,本件においては,弁護人は,前記のとおり,アリバイ主張を明示しており,かかる主張を立証するために既に3人の証人を請求しているのであって,本件証拠 証拠開示を利用するおそれなども考慮されるべきところ,本件においては,弁護人は,前記のとおり,アリバイ主張を明示しており,かかる主張を立証するために既に3人の証人を請求しているのであって,本件証拠開示により弁護人が主張を変遷させる可能性は乏しいといえる。また,弁護人のアリバイ主張に関連する証拠は,被告人の有罪無罪にかかわるものであり,特に本件供述録取書等については,たとえば,犯行の一部始終を目撃していた者がいるとして,その者が犯人の中に被告人は含まれていなかったと述べているなど,アリバイ主張を裏付ける証拠が含まれている可能性もなくはないことからすると,関連性及び開示の必要性が小さいとはいえず,居住者等のプライバシーの侵害など,開示による弊害があり得ることを考慮しても,本件供述録取書等開示の相当性を認めることができる。 したがって,検察官の主張には理由がなく,本件供述録取書等については,開示を命ずるべきである。 本件所在証拠について弁護人は,前記のとおり,アリバイを主張することを明らかにし,検察官の,被告人が高速道路を利用して本件犯行現場に行ったという主張を争うため,高速道路等において被告人の存在を確認できる証拠の開示を求め,検察官は,弁護人の開示請求する証拠は,犯行時刻前後の被告人の動向に関する一切の証拠であり,弁護人の請求は特定性を欠いている旨主張する。 弁護人の本件所在証拠についての請求は,要するに,本件犯行時刻前後の,高速道路上等における被告人の動向に関する証拠と解することができ,本件で問題となる高速道路は,捜査対象となった被告人の自宅のある大阪府と本件犯行現場とされるB県との間に限られると考えられるので,そのような範囲においては,特定性に欠けるところはない。 そして,前記1におけるのと同様,犯行現場に向かうのに利用したとされる高 のある大阪府と本件犯行現場とされるB県との間に限られると考えられるので,そのような範囲においては,特定性に欠けるところはない。 そして,前記1におけるのと同様,犯行現場に向かうのに利用したとされる高速道路において,被告人の所在が確認できないというものであれば,弁護人のアリバイ主張との関連性がないとはいえない。そして,相当性についても,本件所在証拠は,本件供述録取書等と同様に,関連性の程度及び開示の必要性は小さくないといえるし,開示による弊害は,本件所在証拠が被告人の動向等に関するものであることから,それほど大きいものとはいえない。 したがって,本件所在証拠についても,開示を命ずるべきである。 その他被告人のアリバイ主張に関する証拠について弁護人は,アリバイを主張することを明らかにした上で,前記本件供述録取書等及び本件所在証拠のほか,その他,被告人のアリバイ主張に関する証拠の開示を請求しているが,「その他被告人のアリバイ主張に関する証拠」についてはその類型,内容が広範に過ぎ,かかる請求が特定性を欠くことはいうまでもなく,弁護人の主張には理由がない。 本件取調べ状況記録書面について前記のとおり,刑事訴訟法316条の20第1項の主張関連証拠の開示に関する規定による証拠開示が認められるためには,主張と開示請求に係る証拠との関連性が具体的に認められる必要があると解すべきところ,弁護人は前記のとおり,被告人とAとの共謀を全面的に争う旨主張することを明らかにしてはいるが,Aの供述調書の信用性に疑いを生じさせる具体的な事情について何ら主張していない。そのような弁護人の主張がない以上,主張と開示請求に係る本件取調べ状況記録書面との関連性はいまだ明らかにされていないものといわざるをえない。 したがって,本件取調べ状況記録書面については,弁護人の主張との うな弁護人の主張がない以上,主張と開示請求に係る本件取調べ状況記録書面との関連性はいまだ明らかにされていないものといわざるをえない。 したがって,本件取調べ状況記録書面については,弁護人の主張との関連性が認められない。 結論 以上によれば,弁護人の本件裁定請求は,本件供述録取書等及び本件所在証拠の開示を求める限度で理由がある。 よって,刑事訴訟法316条の26第1項により,主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官・水島和男,裁判官・山﨑威,裁判官・寺村隼人)

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