昭和58(行コ)9 法人税更正処分取消請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
昭和59年6月29日 大阪高等裁判所 租税
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【DRY-RUN】○ 主文 1 原判決を取消す。 2 被控訴人が、控訴人の昭和四五年一月一日から同年一二月三一日までの事業年 度分の法人税について、昭和四九年二月二八日付でした更正処分、及び過少申告加 算税決定処分を取

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○ 主文 1 原判決を取消す。 2 被控訴人が、控訴人の昭和四五年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度分の法人税について、昭和四九年二月二八日付でした更正処分、及び過少申告加算税決定処分を取消す。 3 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。 ○ 事実一当事者の求める判決(控訴人)主文と同旨。 (被控訴人) 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 二当事者の主張次に付加するほか、原判決事実摘示のとおりであるからこれを引用する(ただし、原判決七枚目裏一〇行目の「ミキ勧光」を「ミキ観光」と改める)。 (被控訴人の主張) 1 本件土地の時価六億〇一八八万〇八九〇円と控訴人の買受価額との差額四億二八三九万二三五五円は、控訴人がミキ観光株式会社から「実質的に贈与を受けた金額(法人税法三七条六項)」である。 2 控訴人のいう転売特約は、恣意的な価額で、関連会社間の内部的な取決めにより、租税回避の目的で行われたものであるから、これを認めると租税回避が意のままとなつて著しく不合理な結果が生ずる。 3 本件土地の時価六億〇一八八万〇八九〇円と控訴人の売却価額との差額三億七五六五万六四九五円は、控訴人が買受人株式会社フードサプライに実質的に贈与をした金額である。 4 法人税法三七条六項が「実質的に」贈与をしたと認められる金額との文言を用いているのは、譲渡人が取引に不精通であるために、譲渡価額が相当と信じて、時価よりも低額に譲渡した場合には、「実質的に」贈与をしたと認められる金額はないとする趣旨であつて、本件のような場合に「実質的に」贈与をしたと認められる金額がないとする趣旨ではない。 三証拠(省略)○ 理由一法人税の申告と更正処分等控訴人が、その昭和四五年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度(以下、本件事 に」贈与をしたと認められる金額がないとする趣旨ではない。 三証拠(省略)○ 理由一法人税の申告と更正処分等控訴人が、その昭和四五年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度(以下、本件事業年度という)の法人税について、所得金額及び税額とも〇円とする確定申告をしたこと、被控訴人は昭和四九年二月二八日付で、控訴人の本件事業年度の法人税について所得金額を三億三〇〇六万四八一二円、法人税額を一億二一〇三万六〇〇〇円とする更正処分、及び過少申告加算税六〇五万一八〇〇円の決定処分をしたこと、これらの内容は原判決別紙1のとおりであること、以上の事実は当事者間に争いがない。 二課税の根拠事実の確定次の4の事実は当事者間に争いがなく、1、2、3、5の事実は成立に争いのない甲二号証、三号証の一ないし五、四号証の一ないし三、五号証の一ないし五、乙一号証、二号証の一、二、証人Aの証言、及び弁論の全趣旨により認めることができ、この認定を覆すに足る証拠はない。 1 ミキ観光株式会社、控訴人、株式会社フードサプライは、いずれもその株主、役員の一部を同じくし、ピーエル教団が実質上支配している会社であつた。右三会社の昭和四五年三月当時の代表取締役はBであつたが、同人は右三会社の経営の全てをCとAに委ねていた。 2 昭和四五年三月三一日時点における本件土地の時価(何らの制限物権、負担もなく、売買に当り特別の約定もない場合の価額)は、六億〇一八八万〇八九〇円(坪当り三〇〇〇円)であつた。 3 CとAとは、本件土地の価額が右のとおり高価であることを知り、これをミキ観光株式会社から控訴人へ、次いで株式会社フードサプライへ、次いで近畿日本鉄道株式会社へ、順次に高価に売却することを計画した。その目的は、ミキ観光株式会社、控訴人、株式会社フードサプライがいくらかずつ譲渡益 会社から控訴人へ、次いで株式会社フードサプライへ、次いで近畿日本鉄道株式会社へ、順次に高価に売却することを計画した。その目的は、ミキ観光株式会社、控訴人、株式会社フードサプライがいくらかずつ譲渡益を得ることにより、ミキ観光株式会社のみならず、他の二社についても繰越欠損金を消滅させること、ミキ観光株式会社が近畿日本鉄道株式会社に時価で直接本件土地を売却した場合に納付すべき法人税額に比して、同会社が納付すべき法人税額のみならず、右三会社全体が納付すべき法人税額をも減少させて、全体としての法人税納付を回避することの二点にあつた。 4 控訴人は、昭和四五年三月三一日、ミキ観光株式会社からその所有の本件土地を、一億七三四八万八五三五円(坪当り八六九円)で買受け、直ちにこれを株式会社フードサプライに、二億二六二二万四三九五円で売却した。なお株式会社フードサプライは同年九月近畿日本鉄道株式会社に対し本件土地の一部を売却した。 5 右4の売買は右3の目的に出たものであるから、順次売買されることが条件であつて、控訴人にとつては、ミキ観光株式会社から本件土地を買受けたのち、これを直ちに右4の価額で株式会社フードサプライに売却することが、ミキ観光株式会社との売買契約の一内容となつていた。仮に、控訴人が右転売約束を承諾しなければ、控訴人は本件土地を買受けることができないものであつた。 三控訴人の本件土地の買受にともなう収益と原価右二認定の事実によれば、控訴人は本件土地の買受によつて、転売を拘束された価額二億二六二二万四三九五円相当額の収益を得、同時に買受価額一億七三四八万八五三五円相当額の原価を要したが、収益の額は右を上廻るものではないというべきである。 被控訴人は、時価六億〇一八八万〇八九〇円と右買受価額との差額四億二八三九万二三五五円が、控訴人がミキ観 四八万八五三五円相当額の原価を要したが、収益の額は右を上廻るものではないというべきである。 被控訴人は、時価六億〇一八八万〇八九〇円と右買受価額との差額四億二八三九万二三五五円が、控訴人がミキ観光株式会社より実質的に贈与を受けた額(法人税法三七条六項)であると主張する。しかし、右にいう時価は何の特約もない場合の時価であるところ、右主張は右売買契約に前記のような転売特約があることを無視しているから、採用することはできない(なお、控訴人の買受にともなう法人税法上の取扱は、同法三七条六項の問題ではなく、二二条二項の問題である)。 法人税法二二条二項の収益の額を判断するに当つて、その収益が契約によつて生じているときは、法に特別の規定がない限り、その契約の全内容、つまり特約をも含めた全契約内容に従つて収益の額を定めるべきものである。もし、契約のうち、民法等に定めのない特別の約定の部分を全て省いて収益の額を判断するというのでは、実質的には収益がないのに課税が行われ、あるいは実質的には収益があるのに課税が行えないという不合理が生ずるであろう。例えば、二〇年の期間に亘り駐車場として使用する目的で賃貸されている土地についての売買契約に際し、買受人は対抗力のない右賃貸借を承認し、転売のときには転買人に同様の承認をさせる義務を負う旨の特約をし、その交換条件として、売買価額を右のような特約のない更地としての時価より低い価額を定めたときは、買受人の右売買による収益の額は、右賃貸借を承認せねばならないことを前提として算出した土地の時価となるべきことは明らかである。 行政通達においても、販売業者等が製造業者等から広告宣伝用品を安価で譲受けた際には、法人税法上は、その低額譲受による受贈益を軽減して算出するか、受贈益がないものとしている(昭和四四年五月一日付国税庁長官 通達においても、販売業者等が製造業者等から広告宣伝用品を安価で譲受けた際には、法人税法上は、その低額譲受による受贈益を軽減して算出するか、受贈益がないものとしている(昭和四四年五月一日付国税庁長官直審(法)二五号法人税基本通達四-三-一)が、このことは、広告宣伝用品は、その商品等の宣伝の目的で用いねばならず、他に転売することを制限する特約があることが多いところ、このような自由な転売を制限する特約は、収益の額を算定する上で考慮すべきものとしたと解される。本件においても時価による自由な転売を制限する特約がなされている点で、右通達の挙げる事例と共通している。また、贈与税に関するものではあるが、負担付贈与の場合の贈与税の課税価額は、負担がないとした場合における贈与財産の価額ではなく、それから負担額を控除した価額によるとしている(昭和三四年一月二八日付国税庁長官直資一〇号相続税基本通達二一-二-四)が、このことは贈与税の受贈額を判断するに当り、その特約、つまり負担を考慮に入れるべきこととしていると解される。 被控訴人は、右の転売特約は、租税回避の目的で、恣意的に定められた価額で、関連会社間の内部的取決めにより行われたものであるから、これを認めると租税回避が意のままとなつて著しく不合理であると主張する。 しかしながら、租税回避の目的で行われた取引行為であつても、どの限度でこれを否認できるかは、法の明文の規定、租税法の一般原則や解釈に従つて行われるべきもので、租税回避行為であるだけの理由でその効果を全て否定できるものではない。本件で問題となる法人税法二二条二項は一般的には前記のように解されるところ、本件において別異に解すべき理由は見出すことはできない。なお付言すると、租税回避を計つたのはミキ観光株式会社であるが、控訴人は本件土地の買受、売却を行つた 項は一般的には前記のように解されるところ、本件において別異に解すべき理由は見出すことはできない。なお付言すると、租税回避を計つたのはミキ観光株式会社であるが、控訴人は本件土地の買受、売却を行つたことにより自らの法人税額が減少する訳のものではないから、右売買に際し自らの法人税を回避する目的があつたとすることはできない。控訴人にとつては、前記転売特約の受入れを拒否して買受ができないこととなるよりは、右転売特約を承諾して五〇〇〇万円余の転売利益を得ることを選ぶことの方が、経済人としては合理的な行動であると評価できる。もつとも、控訴人は、ミキ観光株式会社の租税回避目的の行動を幇助したとの側面があることは否定できないが、ミキ観光株式会社はその目的は有していても、その目的を達することは法律上不可能であることは次に判断のとおりである。 右のように解したとしても、ミキ観光株式会社は、控訴人と株式会社フードサプライの両者に対して、あわせると、何の特約も存しないときの本件不動産の時価と、控訴人への売却価額との差額を贈与したものとされ、その差額部分は損金の額に算入されない(法人税法三七条六項)ことになるから、被控訴人の主張のように租税回避が意のままになるということはできない(本件においても、ミキ観光株式会社の租税回避的行為は同法三七条六項の適用により否認されている)。法人税法は原則として現実に行われた経済取引に応じて課税する方針をとつているが、これでは不合理な対価による取引を恣意的に行うことにより租税を回避することが行われるので、そのような不合理な対価による取引が行われたときでも、合理的な対価による取引が行われた場合におけると同様の、又はそれに近い税収を確保する目的で同法三七条が立法されたものと解されるが、被控訴人の主張は同法三七条の解釈により、合理的な 行われたときでも、合理的な対価による取引が行われた場合におけると同様の、又はそれに近い税収を確保する目的で同法三七条が立法されたものと解されるが、被控訴人の主張は同法三七条の解釈により、合理的な対価による取引が行われた場合以上の税収を得ることができるとするものであつて、同条の解釈の範囲を超えている。 四控訴人の本件土地の売却にともなう収益と原価前記二認定の事実によれば、控訴人の本件土地の売却にともなう収益、原価はいずれも二億二六二二万四三九五円であつて、売却差益は存しないと解される。 被控訴人は、本件土地の前記時価と株式会社フードサプライへの売却額との差額は、控訴人が同会社に実質的に贈与したものであると主張する。しかしながら、控訴人が本件土地について有していた利益、価値は前記のとおり二億二六二二万四三九五円にすぎなかつたから、控訴人はこれを超える額の利益を他に贈与により与えることができる筈はない。もつとも、株式会社フードサプライは本件土地を取得し、右額を超える利益を得ているものであるが、その超える部分の利益は控訴人から与えられたと評価することはできず、ミキ観光株式会社からその転売特約により与えられたものと評価すべきである。 低額譲渡があつた場合には、その差額部分にも収益があり、それが譲受人に実質的に贈与されたものとする法人税法二二条二項、三七条六項は、譲渡人が譲渡価額よりもより高価に譲渡できるのに、経済人としては不合理にも、それよりも低額に譲渡した場合に適用されるのであつて、譲渡価額よりも高額に譲渡できる利益、権利、地位を有していなかつたときは、より高額に譲渡しなかつたからといつて、自己の有していたところを不当にも低く譲渡したとして同法三七条六項を適用することはできない。例えば、前記二掲記の駐車場用貸地の売買の事例で、買受人が転買人 は、より高額に譲渡しなかつたからといつて、自己の有していたところを不当にも低く譲渡したとして同法三七条六項を適用することはできない。例えば、前記二掲記の駐車場用貸地の売買の事例で、買受人が転買人に同様に賃貸借を承認することを条件としたうえ、それを前提とする価額で、即ち前記の特約、賃貸借の制限のない場合の土地の時価よりも低い価額で売却しても、その差額が転買人に実質的に贈与されたものと評価することはできないことは明らかである。 五そうすると、控訴人の本件土地の買受及び売却に関して本件事業年度の益金の額に算入すべき収益の額は計四億五二四四万八七九〇円、損金の額に算入すべき原価の額は計三億九九七一万二九三〇円であつて、この点に限つた差益金は控訴人が申告したと同じ額である五二七三万五八六〇円となる。他に控訴人に確定申告額以上の所得があつたことの主張、立証はないから、被控訴人の本件更正処分と過少申告加算税決定処分は取消されるべきである。 よつて、控訴人の請求を棄却した原判決を取消したうえ、控訴人の請求を認容することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民訴法八九条を適用して主文のとおり判決する。 (裁判官上田次郎広岡保井関正裕)(原裁判等の表示)○ 主文原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実第一当事者の求める裁判一原告会社(一) 被告が、原告の昭和四五年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度分法人税につき、昭和四九年二月二八日付でした更正処分および過少申告加算税賦課決定処分を取り消す。 (二) 訴訟費用は被告の負担とする。 との判決。 二被告主文同旨の判決。 第二当事者の主張一原告会社の本件請求の原因事実(一) 原告会社は、被告に対し、昭和四五年一月一日から同年一二月三一日までの事 費用は被告の負担とする。 との判決。 二被告主文同旨の判決。 第二当事者の主張一原告会社の本件請求の原因事実(一) 原告会社は、被告に対し、昭和四五年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度(以下本件事業年度という)分の法人税として、所得金額〇円、税額〇円という確定申告をした。その内容は、別紙1のとおりである。 被告は、昭和四九年二月二八日、原告会社に対乙、所得金額を三億三、〇〇六万四、八一二円、法人税額を一億二、一〇三万六、〇〇〇円と更正する(以下本件更正処分という)とともに、過少申告加算税として六〇五万一、八〇〇円の賦課決定をし(以下本件賦課決定処分という)、同日、原告会社に通知した。本件更正処分の内容は、別紙1のとおりである。 原告会社は、同年三月二八日、国税不服審判所に審査請求の申立をしたが、同審判所は、三か月以上にもなるのに裁決をしない。 (二) しかし、本件更正処分は、原告会社の所得を過大に認定した違法がある。 (三) そこで、原告会社は、被告に対し、本件更正処分とこれに伴なう本件賦課決定処分の取消しを求める。 二被告の答弁(一) 本件請求の原因事実中(一)の事実は、認める。 (二) 同(二)の主張は、争う。 三被告の主張(一) 原告会社、訴外ミキ観光株式会社(以下ミキ観光という)、訴外株式会社フードサプライ(以下フードサプライという)は、いずれも関連会社(以下ミキグループという)である。 (二) 原告会社は、昭和四五年三月三一日、ミキ観光から三重県上野市<地名略>山林ほか一八筆の保安林、山林(以下本件土地という)を、一億七、三四八万八、五三五円(坪当たり八六九円)で買い受け、直ちにこれを、フードサプライに、二億二、六二二万四、三九五円で譲渡した。 フードサプライは、同年九月、訴外近畿日本鉄道株式会社(以下近鉄とい 七、三四八万八、五三五円(坪当たり八六九円)で買い受け、直ちにこれを、フードサプライに、二億二、六二二万四、三九五円で譲渡した。 フードサプライは、同年九月、訴外近畿日本鉄道株式会社(以下近鉄という)に対し、本件土地の一部を売却した。 (三) しかし、本件土地の昭和四五年三月三一日当時の時価は、坪当たり三、〇〇〇円が相当であるから、本件土地の当時の時価は、六億〇、一八八万〇、八九〇円が正当である。そうすると、この価格と、実際の取得価格との差額四億二、八三九万二、三五五円は、原告会社がミキ観光から実質的に贈与を受けたものと認められる。したがつて、この額は、原告会社の本件事業年度分の所得に計上されるべきである。 他方、本件土地の前記時価とフードサプライへの譲渡額との差額三億七、五六五万六、四九五円は、原告会社がフードサプライに対し実質的に贈与したものと認められる。したがつて、このうち寄付金の損金算入限度額を超える三億七、〇八一万九、八三五円は損金に算入されない。 以上の次第で、原告会社の本件事業年度分の加算は、右の合計七億九、九二一万二、一九〇円となる。 (四) フードサプライに譲渡した土地の正当な時価は、六億〇、一八八万〇、八九〇円であるから、原告会社が計上した原価一億七、三四八万八、五三五円との差額四億二、八三九万二、三五五円を損金に算入しなければならない。 (五) 原告会社の本件事業年度分の所得金額は、別紙1のとおり、三億三、〇〇六万四、八一二円となる。 したがつて、本件更正処分は適法であり、これに伴なう本件賦課決定処分も適法である。 四被告の主張に対する原告会社の反論(一) 被告の主張中(一)、(二)の各事実は、認める。 (二) 本件土地の時価が、坪当たり三、〇〇〇円であることは、争う。 (三) 原告会社は、ミキ観光から本件土地を譲り の主張に対する原告会社の反論(一) 被告の主張中(一)、(二)の各事実は、認める。 (二) 本件土地の時価が、坪当たり三、〇〇〇円であることは、争う。 (三) 原告会社は、ミキ観光から本件土地を譲り受けたとき、これをフードサプライに直ちに譲渡することが義務づけられていた。したがつて、仮に取得価額が時価に比し低廉であつたとしても、この転売義務という負担がついていたことを考慮すれば、その差額のすべてが実質的に贈与されたものと考えることはできず、転売価額二億二、六二二万四、三九五円と取得価額一億七、三四八万八、五三五円との差額五、二七三万五、八六〇円(原告会社の申告額)がそれに該当するにすぎない。 (四) 法人税法(以下法という)三七条六項が規定する「実質的に贈与したと認められる」かどうかの判断基準は、当該資産を一旦他に時価で売却したうえその売却代金の一部を贈与したと同視できるかどうかである。 ところで、原告会社の本件土地の譲受けとその譲渡は、同一の担当者によつてその価額も含めてあらかじめ企画されそのとおり実行されたのである。つまり、原告会社は、フードサプライへの右価額での転売義務つきでミキ観光から本件土地の譲渡を受けたのである。したがつて、このような場合には、原告会社は、フードサプライに「実質的に贈与した」ものではない。ミキ観光が、原告会社に対し前述した五、二七三万五、八六〇円を、フードサプライに対し三億七、五六五万六、四九五円(前記四億二、八三九万二、三五五円から右五、二七三万五、八六〇円を控除した額)を、それぞれ実質的に贈与したのである。 (五) 被告は、ミキ観光に対し課税する際、法三七条六項を適用しながら、本件更正処分でも、同条項に基づいて更正をした。したがつて、本件更正処分は、二重課税になる。すなわち、本件土地の処分と同様の経済的目 被告は、ミキ観光に対し課税する際、法三七条六項を適用しながら、本件更正処分でも、同条項に基づいて更正をした。したがつて、本件更正処分は、二重課税になる。すなわち、本件土地の処分と同様の経済的目的を達するためには、ミキ観光が直接近鉄に売却してその代金のうちから、原告会社が約五、〇〇〇万円、フードサプライが約三億八、〇〇〇万円をそれぞれ贈与する方法及びミキ観光が原告会社に対し、近鉄への売却によつて原告会社が約五、〇〇〇万円の譲渡益をあげるに足りる本件土地の一部を売却し、フードサプライに対しても同様に約三億八、〇〇〇万円の譲渡益をあげるに足りる本件土地の一部を売却する方法がある。このいずれの方法も、ミキ観光が課税されるだけである。ところが、本件では、ミキ観光に対し、法三七条六項によつて加算されるうえ、原告会社まで本件更正処分によつて同様の加算がされたわけで、これは、実質課税をはずれた二重課税である。 五被告の反駁(一) 被告が、法三七条六項を適用するとき、原告会社が主張するミキグループの内部的取りきめにそつた税務処理をしなければならない理由はない。 原告会社が主張する転売義務づきで本件土地を譲り受けたということは、原告会社らが本件土地の譲渡に際し譲渡益に対する課税を極力回避するにあつた。すなわち、当初ミキグループが意図したのは、原告会社の取得価額約一億七、〇〇〇万円も、原告会社の譲渡価額二億二、〇〇〇万円も共に譲渡時の時価であるという前提により売買を行い、各法人の欠損に見合う売買益を配分して本件土地の譲渡益に対する課税を回避するというものであつた。 ところが、時価がそのよう仁都合よく変動する筈もなく、ミキ観光の本件土地の処分に関する訴訟で、時価は、すべて約六億円であるとの判決が確定した(大阪地判昭和五四年六月二八日、控訴審大阪高判昭和 つた。 ところが、時価がそのよう仁都合よく変動する筈もなく、ミキ観光の本件土地の処分に関する訴訟で、時価は、すべて約六億円であるとの判決が確定した(大阪地判昭和五四年六月二八日、控訴審大阪高判昭和五六年二月五日、上告審最判昭和五七年三月九日)ので、各譲渡が低廉譲渡に該当することになつた。 したがつて、原告会社が実質的に贈与を受けた金額は、あくまでも時価約六億円と取得価額約一億七、〇〇〇万円との差額約四億三、〇〇〇万円であり、同時に原告会社が義務づけられたとはいえ、本件土地を約二億二、〇〇〇万円でフードサプライへ譲渡したのであるから、この取引により原告会社はフードサプライに対して、時価約六億円と右対価約二億二、〇〇〇万円との差額約三億八、〇〇〇万円を実質的に贈与したことになる。 このように、低廉譲渡という取引を経済的実質という観点で分析すると、対価相当額の売買契約と、時価と対価との差額相当額の贈与契約とが混在した契約による取引であるといえる。 以上の次第で、前述した内部的取り決めの有無には関係なく、時価より低い対価で行われた本件取引には贈与部分が含まれることになるから、原告会社が実質的に贈与を受けた金額は、あくまでも原告会社がミキ観光から買いフードサプライへ売つた売買差額約五〇〇〇万円であるという原告会社の主張は、法三七条六項の解釈を誤つている。 (二) 原告会社は、フードサプライへの実質的贈与者が、ミキ勧光であると主張しているが、フードサプライと売買契約をしていないミキ観光が、形式的にも実質的にもフードサプライに対する贈与者となる余地はない。 (三) ミキ観光に対する課税と、原告会社に対する課税とは、全く別個の取引について別個の納税者に対して行つたものであつて、実質的にも形式的にも二重課税であるはずがない。 第三証拠関係(省略)○ 理 三) ミキ観光に対する課税と、原告会社に対する課税とは、全く別個の取引について別個の納税者に対して行つたものであつて、実質的にも形式的にも二重課税であるはずがない。 第三証拠関係(省略)○ 理由一本件請求の原因事実中(一)の事実、被告の主張中(一)、(二)の各事実は、当事者間に争いがない。 二法三七条六項のおかれた趣旨は、法人がその資産を低額譲渡することが、資産の時価との差額を贈与することと実質的に同じであることに着目し、低額譲渡の形式で租税回避を企図する弊害を防ぎ公平な課税を期することにある。 なお、ここにいう時価とは、客観的な市場価格を指称し、取引当事者が、これを認識していたと否とを間わない。 もつとも、同項によると、低額譲渡の場合であつても、時価との差額が当然に同条五項の寄付金の額とされるのではなく、時価との差額のうち「実質的に贈与したと認められる金額」が、同条五項の寄付金の額に含まれるものとされるのである。したがつて、時価との差額があつても実質的に贈与したとみるのが相当でない場合は除外すべきであるが、「実質的に贈与したと認められる」ためには、当該取引に伴なう経済的な効果が、贈与と同視しうるものであれば足りるのであつて、必ずしも、贈与者が贈与の意思を有していたことを必要とせず、時価との差額を認識していたことも必要としないと解するのが相当である。 そうすると、譲渡者が、時価を認識しながら、差額を贈与する意思でことさらに低額で譲渡した場合には、その差額を実質的に贈与したものと認め、法三七条六項によつて税務処理をするのが正当であることは、いうまでもない。 そして、このことは、原告会社が、その主張のような転売義務つきで本件土地を譲り受けたことによつて変わるものではない。 三この視点に立つて本件を観る。 (一) 前記争いがない事実、成 いうまでもない。 そして、このことは、原告会社が、その主張のような転売義務つきで本件土地を譲り受けたことによつて変わるものではない。 三この視点に立つて本件を観る。 (一) 前記争いがない事実、成立に争いがない乙第一号証、同第二号証の一、二及び弁論の全趣旨を総合すると次の事実が認められ、この認定に反する成立に争いがない甲第二号証の記載の一部は採用しないし、ほかにこの認定に反する証拠はない。 (1) ミキグループの三社の経理部長は、いずれも、訴外Aであつた。 (2) Aは、本件土地の時価が、昭和四五年三月当時坪当たり三、〇〇〇円であることを知りながら、ミキ観光が直接近鉄に売却した場合にミキ観光に課せられる多大の法人税を免れ、かつ、原告会社、フードサプライの欠損を補填する目的で、本件土地を、ミキ観光から原告会社、原告会社からフードサプライ、フードサプライから近鉄へと順次譲渡しようと企図した。 (3) そこで、ミキ観光は、同月三一日、原告会社に対し、本件土地を一億七、三四八万八、五三五円(坪当たり八六九円)で、原告会社は、直ちにフードサプライに対し、これを二億二、六二二万四、三九五円(坪当たり一、一一八円)で譲渡した。 (4) ミキ観光及び原告会社の各取締役会は、その後、Aのした右の各譲渡を承認した。 (二) 以上認定の事実によると、本件土地の昭和四五年三月当時の時価は、六億〇、一八八万〇、八九〇円(坪当たり三、〇〇〇円)であり、ミキ観光は、原告会社に対しこれより著しい低額である一億七、三四八万八、五三五円で譲渡したことに帰着する。 そうすると、原告会社は、この差額である四億二、八三九万二、三五五円をミキ観光から実質的に贈与されたとするほかはない。したがつて、この額は、原告会社の本件事業年度分の所得に計上するのが正当である。 他方、本件土地の時 社は、この差額である四億二、八三九万二、三五五円をミキ観光から実質的に贈与されたとするほかはない。したがつて、この額は、原告会社の本件事業年度分の所得に計上するのが正当である。 他方、本件土地の時価とフードサプライへの譲渡額二億二、六二二万四、三九五円との差額三億七、五六五万六、四九五円は、原告会社がフードサプライに対し実質的に贈与したものと認めるほかはない。したがつて、法三七条二項、五項、六項、法人税法施行令七三条一項により、このうち寄付金の損金算入限度額を超える三億七、〇八一万九、八三五円は、原告会社の本件事業年度分の損金に算入されないとするのが正当である。 そして、本件土地の時価と原告会社が計上した原価一億七、三四八万八、五三五円との差額四億二、八三九万二、三五五円は、原告会社の本件事業年度分の損金として算入されるべきことは、当然である。 (三) そこで、成立に争いがない乙第四号証(原告会社の本件事業年度分の確定申告書)を手掛りに、原告会社の本件事業年度分の所得金額を計算すると、別紙2の所得金額の計算書のとおり三億三、〇〇六万四、八一二円になる。 (四) まとめ以上の次第で、原告会社の本件事業年度分の所得金額は、本件更正処分のとおりの額であることに帰着する。 四原告会社は、本件更正処分が二重課税であると主張しているが、被告は、ミキ観光の昭和四四年四月一日から昭和四五年三月三一日までの事業年度分の所得として、寄付金の損金算入限度額を超える四億二、二六二万一、二七八円(時価六億〇、一八八万〇、八九〇円から原告会社への譲渡価格一億七、三四八万八、五三五円を控除した額などによつて算出)を益金に加算してミキ観光に対して更正処分をした(前掲乙第一号証による)のに対し、本件では、ミキ観光から原告会社に対する本件土地の譲渡価格と時価との差額が受 、五三五円を控除した額などによつて算出)を益金に加算してミキ観光に対して更正処分をした(前掲乙第一号証による)のに対し、本件では、ミキ観光から原告会社に対する本件土地の譲渡価格と時価との差額が受贈益になるとともに、原告会社からフードサプライに対する本件土地の譲渡価格と時価との差額が法三七条六項にいう「実質的な贈与と認められる場合」に該当することにより損金扱いが受けられず、原告会社の本件事業年度分の所得となるかが問題になつているのである。したがつて、納税者を異にするミキ観光の課税が、原告会社に対し二重課税となる理由は、どこにもない。 五むすび被告のした本件更正処分及び本件賦課決定処分は、正当であるから、その取消しを求める原告会社の本件請求は、失当として棄却を免れない。そこで、行訴法七条、民訴法八九条に従い、主文のとおり判決する。

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