主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人は別紙物件目録記載の土地について,一般廃棄物処理施設を建設してはならない。 第2 事案の概要本件は,福岡県久留米市内の高良内町などに居住する控訴人らが,入会権及び人格権に基づき,被控訴人が同町内に設置を計画し,現在建設を進めている一般廃棄物の最終処分場の建設禁止を求めた事案である。 1 基礎的事実以下の事実は当事者間に争いがないか,末尾掲記の証拠により容易に認定しうる。 (1) 控訴人ら控訴人らは,肩書住所地に居住する。本件処分場と直近の控訴人宅との距離は約1.8㎞である(甲149,乙278)。 (2) 本件計画の概要ア設置場所(以下「本件計画地」という。)久留米市高良内町字蛭谷外の地域。同所は,久留米市役所の東南東約9.5㎞の耳納山地の南側斜面(標高約200メートルないし230メートル)に位置し,筑後川の支流である高良川の上流の寺尾川の沢筋に当たっている(乙88,211)。 イ埋立廃棄物本件処分場に埋立処理が予定されている一般廃棄物は不燃物及び焼却灰(主灰及び飛灰)である。 ウ全体計画被控訴人は,本件計画地において,埋立期間15年,埋立容量約20万6000奄フ一般廃棄物の最終処分場の設置を計画しているが,そのうち平成12年12月26日に廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃掃法」という。)9条の3に基づく福岡県知事に対する届出が受理されたのは,第1期の埋立予定地であって保安林を含まない第1処分場部分(本件処分場。埋立容量は8万2032堰C埋立期間は5年間。以下「本件処分場」という。)であり(乙85,88,2 対する届出が受理されたのは,第1期の埋立予定地であって保安林を含まない第1処分場部分(本件処分場。埋立容量は8万2032堰C埋立期間は5年間。以下「本件処分場」という。)であり(乙85,88,202,207,211,213),その余の第2処分場部分は,現時点では実施設計は未了であり,施設計画も未確定である。 エ本件処分場の概要(ア) 処理能力埋立面積 7700㎡埋立容量 8万2032・(イ) 本件処分場は,山間の谷間の地形を一部利用する形で,西側(右岸側)と北側(上流側)は,山の斜面に切土を行い,南側(下流側)に本堤である重力式コンクリートダム(以下「本堤」という。),東側(左岸側)に逆T型鉄筋コンクリート擁壁(以下「区画堤」といい,本堤と併せて「貯留構造物」という。)を設置して,これらの山の斜面と貯留構造物とで囲んだ空間の中に廃棄物を埋め立てる計画である。その設計の概略は,別紙「全体計画平面図」,「本体標準横断図(1)」及び「本体縦断図」のとおりである。 (ウ) 上記のとおり,本件処分場の貯留構造物は,埋立地最下流部に谷の横断方向に設置される本堤と,埋立地を縦方向に仕切る東側の区画堤である。本堤は高さ20メートル,上辺の長さ26.8メートルの重力式コンクリートダム,区画堤は高さ12メートル,延長143.225メートルの逆T型鉄筋コンクリート擁壁である。 (エ) 右岸側斜面部は,切土を行う。その切土勾配は垂直:水平=1:0.7であり,切土部の中段に設置される管理用道路より上の部分は,一部には永久アンカーを岩部まで打ち込んで固定した上で吹付法枠工を施工し,その余の部分にはロックボルト工と簡易法枠工を施工する。 (オ) 埋立地内の遮水工の内容は以下のとおりである。 ① 埋立地底部については,地山上に厚さ50㎝のコ ち込んで固定した上で吹付法枠工を施工し,その余の部分にはロックボルト工と簡易法枠工を施工する。 (オ) 埋立地内の遮水工の内容は以下のとおりである。 ① 埋立地底部については,地山上に厚さ50㎝のコンクリート版(鉄筋金網敷設)を敷設し,その上に厚さが50㎝であり,透水係数が毎秒10nm以下である不透水性改良地盤を敷設し,その上に二重シートを敷設し,二重シートの上下には不織布を敷設し,さらにその上部に厚さ50㎝の保護砂を施す。 ② 右岸側斜面部(切土部)については,地山上に厚さ10㎝のコンクリート吹きつけを施工(鉄筋金網敷設)し,その上にゴムアスファルトの吹きつけを施工する。 ③ 本堤及び区画堤については,コンクリート本体の表面にゴムアスファルトの吹きつけを施工する。 (カ) 浸出水排水設備として,埋立地底部の二重シートの上部に,不織布等により二重シートを保護したうえで,縦横断方向に,高密度ポリエチレン製の有孔ポリエチレン管(管径・幹線450㎜,枝線250㎜)を敷設する。管は分枝型で,枝線については約15メートル間隔に配置し,管の周囲は粒径50~150㎜の割栗石で覆う。また,すべての浸出水排水管は,ガス抜き管と兼用する。法面部,鉛直方向については,いずれも有孔ポリエチレン管(管径200㎜)を設置し,鉛直方向集排水管は自立できるよう,ふとん籠を管の周りに巻いて立ち上げる。配置間隔は法面部は10~30メートル,鉛直方向は約50メートル程度とする。 本堤の下流に浸出水を一旦貯留する浸出水調整槽を設ける。調整槽は有蓋式コンクリート製貯水槽で,容量は2400奄ナある。 (キ) 地下水集排水設備として,埋立地底部のコンクリート版の下に縦横断方向に,高密度ポリエチレン製の有孔管(管径・幹線300㎜,支線150㎜)による地下水集排水管を15メートル間 400奄ナある。 (キ) 地下水集排水設備として,埋立地底部のコンクリート版の下に縦横断方向に,高密度ポリエチレン製の有孔管(管径・幹線300㎜,支線150㎜)による地下水集排水管を15メートル間隔で敷設する。法面の遮水工の下に,幅200㎜,厚さ30㎜の透水マットを約4m間隔で敷設する。 (ク) 本件処分場へ流れてくる地表水のうち,本件処分場上流からの地表水及び東外側の地表水は,本件処分場の下を貫き設置する付替水路(アーチカルバート)及び区画堤の外側部に設置する仮設水路によって下流へ流し,北西外側の地表水は,管理用道路に沿って設置された側溝によって下流へ流す(乙213の552~568頁,原審証人A)。 本堤の下流にこれらの雨水を受け入れる水槽式で容量は3100奄フ雨水調整池を設置する。 (3) 一般廃棄物最終処分場に関する法規制ア廃掃法廃掃法は,一般廃棄物の最終処分場を設置しようとする者は都道府県知事の許可を受けなければならず(8条),都道府県知事は当該計画が総理府令・厚生省令(「一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める命令」,以下「共同命令」という。甲150,乙245)で定める技術上の基準に適合し,かつ,周辺地域の生活環境の保全等に適正な配慮がなされたものであると認めるときでなければ許可してはならないこととして(8条の2),安全性を含む一般廃棄物の最終処分場の設置の適正を確保しようとしている。ただし,市町村が一般廃棄物処理計画に従ってその区域内における一般廃棄物を処分するために一般廃棄物の最終処分場を設置するときは,この許可を受ける必要はなく,その計画内容等を記載した書類に環境影響調査の結果を添えて都道府県知事に届け出ることとし,都道府県知事は当該計画が共同命令で定める技術上の基 最終処分場を設置するときは,この許可を受ける必要はなく,その計画内容等を記載した書類に環境影響調査の結果を添えて都道府県知事に届け出ることとし,都道府県知事は当該計画が共同命令で定める技術上の基準に適合していないと認めるときは,当該届出を受理した日から60日以内に限り,計画の変更又は廃止を命ずることができることとしている(9条の3第3項)が,この場合においても共同命令で定める技術上の基準に照らして市町村の設置する一般廃棄物の最終処分場の安全性を含む設置の適正を確保しようとしていることは明らかである。また,廃掃法は,8条の許可を受けた者は,共同命令で定める技術上の基準に従い,一般廃棄物の最終処分場の維持管理をしなければならず(8条の3),都道府県知事は,その維持管理が共同命令で定める技術上の基準に適合していないと認めるときは,許可を取り消し,又は改善命令,使用停止命令を発することができることとしている(9条の2)が,このことは,一般廃棄物の最終処分場の設置者が市町村である場合においても同様である(9条の3第9項)。 イ共同命令上記廃掃法の規定を受けて,昭和52年に共同命令が制定され,数次の改正を経た後,平成10年6月16日に,管理型最終処分場の遮水シートから汚水が浸み出て周辺の生活環境を悪化させるのではないかとの不安が持たれていたり,埋立処分を終了した最終処分場からガスの排出等がみられる例もあるなど,最終処分場に対する国民の信頼が損なわれかねない状況にあるため,最終処分場の構造及び維持管理の基準を強化し,安全性をより高める必要があるとして,一般廃棄物の最終処分場等の遮水工や浸出水の処理に係る基準の強化,明確化等を内容とする改正命令が公布され,翌17日から施行された(甲150,乙245~247)。共同命令は,第1条1項に あるとして,一般廃棄物の最終処分場等の遮水工や浸出水の処理に係る基準の強化,明確化等を内容とする改正命令が公布され,翌17日から施行された(甲150,乙245~247)。共同命令は,第1条1項において,廃掃法8条の2第1項1号の規定による一般廃棄物の最終処分場の技術上の基準について定め,同条2項において,廃掃法8条の3の規定による一般廃棄物の最終処分場の維持管理の技術上の基準について定めている。 ウ指針及び指針解説厚生省は,昭和52年に廃棄物処理施設整備国庫補助事業の基準として「廃棄物処理施設構造指針」を制定し,昭和53年に社団法人全国都市清掃会議から「廃棄物処理施設構造指針解説」(乙209)が発刊された。廃棄物処理施設構造指針は,埋立廃棄物の組成の変化やこれに伴い発生した種々の現象への対応の必要並びに埋立処分に関する研究の進展に伴い,遮水工の充実や埋立管理の徹底を主体として昭和63年に廃棄物最終処分場指針として改正され(甲151の2,乙171。以下「指針」という。),廃棄物処理施設構造指針解説も同解説から最終処分場部分を分離独立させて廃棄物最終処分場指針解説(甲153,乙82,乙172,乙201,乙206,乙250。以下「指針解説」という。)が制定された。そして,その後の技術開発や上記遮水シートの破損疑惑に対応して,上記のとおり平成10年に共同命令が改正されたが,指針解説は現在のわが国における最終処分場の計画・設計のガイドラインとされている(甲151の2) 。 第3 争点Ⅰ 入会権の存否(控訴人ら)控訴人らは,入会集団である高良内部落の住民であり,別紙物件目録記載の土地について,共有入会権又は地役入会権を有している。本件処分場が建設されれば,控訴人らは,別紙物件目録記載の土地を入会山として利用し,収益するこ 団である高良内部落の住民であり,別紙物件目録記載の土地について,共有入会権又は地役入会権を有している。本件処分場が建設されれば,控訴人らは,別紙物件目録記載の土地を入会山として利用し,収益することが不可能となる。 (被控訴人ら)入会集団としての高良内部落は存在しないし,控訴人らの主張する入会権は存在しない。 Ⅱ 人格権に基づく本件処分場建設差し止め請求の可否(控訴人ら)1(1) 人格権に基づく差し止め請求権について① 本件処分場に搬入される一般廃棄物には,重金属類,発癌性のある揮発性物質,種々の毒性を有するダイオキシン類,その他の内分泌作用攪乱物質(いわゆる環境ホルモン)等,各種有害物質が含まれる。これらの有害物質のうちダイオキシン類等は,ほんの微量でも人体に悪影響をもたらす。本件処分場内の浸出水には,それら有害物質が必ず含有されており,本件処分場から浸出水が漏出すると,地下水に混入して控訴人らが利用する井戸水に混入し,また,高良川を通じて最終的には筑後川の上水道取水口上流付近に流れ込み,水道水として取水される。そして本件処分場から浸出水が漏出する蓋然性は極めて高い。② したがって,控訴人らは,有害物質が含まれる井戸水ないし水道水の飲用により,有害物質を体内に摂取することとなり,その結果,控訴人らの生命・身体・健康に被害が生じる。そうでないとしても,その危険性が高いと思われる水を飲用せざるを得なくなり,人格権の一内容である「一般通常人の感覚に照らして飲用・生活用に供するのを適当とする水を確保する権利」が侵害される。 (2) 立証責任についてア控訴人らが,上記①の点を主張・立証すれば,上記②の蓋然性が高いことを主張・立証したことになり,被控訴人において,「本件処分場からは,未処理の浸出水を一滴も漏らさないこと」につき,主張 についてア控訴人らが,上記①の点を主張・立証すれば,上記②の蓋然性が高いことを主張・立証したことになり,被控訴人において,「本件処分場からは,未処理の浸出水を一滴も漏らさないこと」につき,主張・立証責任を負うというべきである。 また,後記のとおり,ダイオキシン類が,超微量,短期間の暴露で人体に悪影響を与える可能性が高いことが明らかになっているが,同時に,現段階では,それが科学的に確実であるとまではいえないこともまた確かである。しかし,人体被害が出るおそれがある場合には,それが出る前に,予め防止することが絶対不可欠であり,他方,本件処分場の建設・操業を停止しても,代替案はいくらでもあり,何も困ることはないのであるから,取り返しのつかない被害の発生を予防するために,被控訴人において,本件処分場が無害であることの証明義務を負うべきである。 イ本件処分場の必要性,公共性について本件処分場により侵害される利益は,代替性のない,そしてかけがえのない生命,身体,健康であるから,本件処分場の必要性,公共性は問題となりえない。 仮に,控訴人らの生命・身体・健康の安全・自由と,本件処分場の必要性,公共性を比較衡量しうるとしても,本件処分場は,控訴人らの生命・身体・健康の安全・自由に優越するほどの必要性,公共性を有しない。 本件処分場を建設しなくても,北九州市などの他地域に持ち出すなどの方法をとればよいし,ごみの減量についてもっと努力すべきである。また,被控訴人は本件計画地以外の代替案を真剣に検討していない。久留米市内であっても,少なくとも本件処分場のような水源地は避けて平地に建設することは十分に可能であり,久留米市等が筑後川の筑後大堰手前で水道水を取水している実情に鑑みれば,その下流地点に建設すべきである。 2 埋立物の危険性について のような水源地は避けて平地に建設することは十分に可能であり,久留米市等が筑後川の筑後大堰手前で水道水を取水している実情に鑑みれば,その下流地点に建設すべきである。 2 埋立物の危険性について本件処分場に搬入される一般廃棄物には,水銀,カドミウム,鉛,六価クロム,ひ素,セレン等の重金属,トリクロロエチレン,テトラクロロエチレン等の発癌性のある揮発性物質,種々の毒性を有するダイオキシン類,その他の環境ホルモン等,各種有害物質が含まれる。 このうち,ダイオキシン類の毒性は多種多様であり,一般毒性(急性毒性,慢性毒性),生殖毒性,発ガン性,免疫毒性,環境ホルモンとして作用する毒性などを有し,ごく微量で被害を引き起こす。環境ホルモンとしての毒性には,「閾値」(その用量以下になると対象に反応が見られなくなる数値)は存在しない。すなわち,一般に認識されている無作用量(慢性毒性試験において実験対象に何ら有害な影響が認められなかった用量のうちで最も大きいもの)の何万分の一というごくごく微量の摂取で(逆U字現象),反復摂取なしに(シングルヒット),摂取者に長期間にわたって重大な障害を残すことが知られている。 したがって,ダイオキシン類にはそもそも安全摂取量はありえない。仮に,ダイオキシン類摂取の限界となる値が想定しうるとしても,それは「その量以下であれば安全」であることを意味するものではなく,それ以上摂取すれば現在の科学的知見に照らして明らかに危険であるということを意味するにすぎない。国が定めている耐容一日摂取量(TDI。長期にわたり体内に取り込むことにより健康影響が懸念される化学物質について,その量までは人が一生涯にわたり摂取しても健康に対する有害な影響が現れないと判断される1日体重1㎏当たりの摂取量)4pgTEQ/kg/日は,現在の科学的知 により健康影響が懸念される化学物質について,その量までは人が一生涯にわたり摂取しても健康に対する有害な影響が現れないと判断される1日体重1㎏当たりの摂取量)4pgTEQ/kg/日は,現在の科学的知見に照らすと明らかに高すぎるのであり,これを超えることがないとしても,安全とはいえない。 仮に,上記耐容一日摂取量を基準とするにせよ,日本人は,すでに通常の生活において,これを超えるダイオキシン類に暴露され,蓄積し,摂取し続けているから,さらに多くのダイオキシン類の摂取を強要されることはそれだけで人格権の侵害にあたる。それゆえ,本件処分場からは,未処理の浸出水を一滴たりとも排出・漏出することは許されない。 3 浸出水漏洩の蓋然性について(1) 最終処分場の法規制について廃掃法施行規則4条1項6号は,「ごみの保有水及びごみの処理に伴い生ずる汚水または廃液が,漏れだし,及び地下に浸透しない構造のものであること」と規定している。この規定は,「ごみに触れた水は未処理では一滴も処分場外に漏らしはいけない」と命じていることは明らかである。共同命令,指針及び平成10年7月16日付環境庁・厚生省通達「一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める命令の運用に伴う留意事項について」(甲150のC256頁以下,乙247。以下「留意事項」という。)は,あくまでも,この目的を達成する手段として定められた最低限の基準であり,これらを形式的に遵守したとしても,上記目的を達成することができないのであれば,それは廃掃法・同施行規則に違反している。したがって,被控訴人が共同命令を遵守していることは抗弁とはなりえない。 しかも,被控訴人は,共同命令さえ遵守していない。共同命令・指針・留意事項に適合するか否かの判断を行う基準としては,廃掃 る。したがって,被控訴人が共同命令を遵守していることは抗弁とはなりえない。 しかも,被控訴人は,共同命令さえ遵守していない。共同命令・指針・留意事項に適合するか否かの判断を行う基準としては,廃掃法施行規則4条1項6号を実行できる効力が存するか否かでなければならず,形式的に適合するようにみえても,その有効性が十分ではなく,保有水が一滴でも浸出するおそれがあるのであれば,それは同施行規則に違反しており,共同命令等にも適合していないと判断されるべきである。以下,保有水浸出のおそれがあることを諸処の点から具体的に指摘して,本件処分場が,共同命令及び指針に従っていないことを明らかにする。 (2) 本件計画地盤の問題点本件計画地の地盤は以下のとおり,極めて脆弱で,本堤や区画堤を建造するには極めて不適切な土地である。 ア本件計画地は耳納山地の南斜面の谷であるが,その基礎地盤を構成している岩石は結晶片岩であり,片理が発達し,その片理の方向は南落ちで岩盤滑りを起こしやすい流れ目(流れ盤)となっているため,南側(下流側)に向けて地盤が滑りやすい。加えて,これらの岩石の風化部は軟弱化され,覆瓦構造を呈し,流動しやすい状態になっている。 イ本件計画地には,活断層とこれに付随する複数の小断層が存在し,この断層運動により,本件計画地の構成岩石は破壊され,破砕帯が生じたり,また,破砕帯にまでは至っていないが,褶曲運動により弱くなっていた構成岩石が断層運動でさらに弱体化し,縦横に割れ目を生じたり,粘土を生じたりしていて,計画地全域が軟弱地盤となっている。 本堤は,南下がりの地形で,しかも片理の傾斜も全体的に南下がりという,滑りや崩壊の危険性の高い流れ盤の岩盤上に建造されるだけでなく,その岩盤の下には,本堤建造予定箇所より北側(上流側)から同様に南下が は,南下がりの地形で,しかも片理の傾斜も全体的に南下がりという,滑りや崩壊の危険性の高い流れ盤の岩盤上に建造されるだけでなく,その岩盤の下には,本堤建造予定箇所より北側(上流側)から同様に南下がりに発達した破砕帯が存在し,さらに地盤の滑りや崩壊の危険性を高めている。また,本堤のすぐ南側(下流側)には,断層が存在し,これに付随する断層破砕帯が本堤の基礎地盤たる岩盤を上から下に向けて断ち切るかのように発達しているため,南側(下流側)からの支える力も期待しがたい。また,破砕帯を構成している岩片はただでさえ危うくなっているのに本堤の荷重でさらに破砕されて,地盤沈下を起こす危険性もある。また,本堤の西側側面が接し,その荷重を受けそれを支える役目を果たすべき右岸斜面部分にも破砕帯が存在し,滑りや崩壊の危険性が高いから,本堤の荷重で破砕帯の危うくなっている岩片がさらに破砕され地盤沈下する危険性もある。 (3) 地盤の問題点による遮水工破損の危険性ア本堤や区画堤が,基礎地盤に適合した設計になっていなければ,不等沈下や倒壊,あるいは傾く危険性があり,そうするとこれらの貯留構造物自体が破損し,それに設置された遮水工が破損されてしまう危険性がある。 さらに,底部の基礎地盤の一部が,コンクリート版等の遮水工や廃棄物の荷重に対して耐えられるだけの強度を持たない場合には,その部分が沈下しようとし,その上のコンクリート版に剪断力が働き,破壊されて,地盤とともに不等沈下を起こし,その結果,その上に設置されている多重シートにも剪断力が働いて,多重シートが破損する危険性がある。 そこで,共同命令や指針は,貯留構造物や遮水工は,その基礎地盤に適合し,基礎地盤の不等沈下や崩壊等を生じさせないように安全に設計することを要求している。しかるに,以下のとおり,被控訴人の本件 る。 そこで,共同命令や指針は,貯留構造物や遮水工は,その基礎地盤に適合し,基礎地盤の不等沈下や崩壊等を生じさせないように安全に設計することを要求している。しかるに,以下のとおり,被控訴人の本件処分場計画は,支持地盤,基礎地盤に関する共同命令に適合しているとはいえない。 イ許容支持力について被控訴人は,本堤の支持地盤の許容支持力を60tf/㎡と算出しているが,その算出方法は,以下のとおり明らかに誤りであり,信頼性のないものである。 被控訴人は,3箇所のボーリング箇所のコアから採取した4個の岩石のみを供試体として一軸圧縮試験を行っているが,岩石の一軸圧縮試験においては,1つの岩石ブロックあたり10個以上の供試体を用いるべきであり,被控訴人の実施した同試験は,支持地盤全体の許容支持力を求めるには供試体数が不足している。また,本件処分場の基礎地盤として計画されているCL級(軟岩のうち強度が弱いもの)の岩盤の大半は,一軸圧縮試験の供試体としてすら使用できないような割れ目,亀裂が多く,破砕されているのに,被控訴人は,ボーリング箇所のコアの中から岩石の状態が良く,強度を持った岩石部分を意図的に選択して一軸圧縮試験を実施したものであって,その結果は基礎地盤の強度を代表するものとして信用することはできない。計画支持地盤の広さや支持地盤の岩盤の不均一性から考えて,被控訴人が試料として用いた4箇所のボーリングコアは,支持地盤を「代表する」とはいえないのであり,これらの試料に対する一軸圧縮試験結果で支持地盤の許容支持力を設定して,擁壁の設置を計画することは極めて危険である。また,被控訴人のように平均値を用いたり,一部の弱い地盤を無視して計画することは,擁壁の不等沈下を生じさせる結果になる。本当に安全性を考えて計画するのであれば,計画支持地盤の とは極めて危険である。また,被控訴人のように平均値を用いたり,一部の弱い地盤を無視して計画することは,擁壁の不等沈下を生じさせる結果になる。本当に安全性を考えて計画するのであれば,計画支持地盤の中で一番強度の弱いところを探し出し,そこの許容支持力を求めるべきである。 本件計画地の基礎地盤の軟岩の許容支持力は,せいぜい30tf/㎡以下である。この30tf/㎡を基礎地盤の許容支持力と考えると,本堤,区画堤,底部及び法面に,許容支持力を超える荷重がかかることになって危険である。 なお,採取されたコア中には,風化が進んで指でも崩れてしまう部分があるところ,被控訴人は,原位置ではコアのように解放された状態ではないため岩盤自体が指で崩れるようなことはないと主張するものの,その根拠を示す資料を提出せず,その場合の強度について主張立証はない。また,被控訴人は,施工時に支持地盤に不適とされる地盤があれば,コンクリートに置き換える等の対策を行うと主張するが,その場合の現場での許容支持力の判断基準は明らかにされていない。また,本件計画地の支持地盤より下に,破砕帯や強風化層が存在する危険性も高い。さらに,標準貫入試験のN値によっては,土質地盤の強度は求められても,岩盤の良し悪しを見ることはできない。 ウ設計基準の誤り被控訴人の貯留構造物の許容支持力の算出方法は指針に反する。すなわち,被控訴人は,「せん断抵抗角φ」と「粘着力c」の設定や「道路橋示方書・同解説Ⅳ下部構造編」の式(支持力推定式)による算出を省いて,一軸圧縮試験結果と「道路橋示方書・同解説Ⅳ下部構造編」の「岩盤の最大地盤反力度の上限値」や「道路土工・擁壁工指針」の「支持地盤の種類と許容支持力度(常時)」とを比較するだけで許容支持力を決定しているが(乙213の87頁以下参照),この Ⅳ下部構造編」の「岩盤の最大地盤反力度の上限値」や「道路土工・擁壁工指針」の「支持地盤の種類と許容支持力度(常時)」とを比較するだけで許容支持力を決定しているが(乙213の87頁以下参照),この方法は,明らかに,指針が準拠して設計しなければならないとしている「道路土工・擁壁工指針」及び「道路橋示方書・同解説Ⅳ下部構造編」の許容支持力の求め方に違反している。 エ本堤の設計の誤り(ア) 本堤の設計基準の誤り指針解説では,本堤のような重力式コンクリート堤を貯留構造物として建造する場合には,ダムの設計基準,すなわち「建設省河川局監修,日本河川協会編:建設省河川砂防技術基準(案)設計編[1]第2章ダムの設計」(以下「建設省ダム基準」という。)を基準として設計しなければならないとされている。しかるに,被控訴人は,本堤の安定性について,同基準を用いずに擁壁の設計基準(道路土工・擁壁工指針)を用い,その結果,「基礎地盤について剪断に対して安全であること」の調査検討を行わずに設計しており,極めて危険な設計である。 (イ) 破砕帯を検討していない誤り被控訴人の設計は,本堤の下をくぐる形で存在する破砕帯について検討していない。本堤や区画堤の設置を予定している河床部分のC級の地盤は,地形,地層,片理も南落ち,即ち上流から下流に向けて下がっているという流れ盤になっており,しかもこの岩盤には,断層の影響で縦横に割れ目が生じており,細片化して流出しやすく,崩れやすい状態にある。このような谷底に遮水工を施し,上流に廃棄物の山が築かれるから,本件処分場自体が常に上流から下流の本堤に向けて滑ろうとする力が働いており,しかもその処分場の地盤は滑りやすい構造になっている。また,破砕帯が本堤の基礎地盤の下を,南下がりの傾斜で通っており,さらに地下水も北側の上流 上流から下流の本堤に向けて滑ろうとする力が働いており,しかもその処分場の地盤は滑りやすい構造になっている。また,破砕帯が本堤の基礎地盤の下を,南下がりの傾斜で通っており,さらに地下水も北側の上流から南側の下流に向けて流れており,この地下水が破砕帯を通り道にして,破砕帯のところで水量と流速を増し,破砕帯を構成している細かな粒子を抜け出させるというパイピング現象によりさらに破砕帯を空洞化させる危険性も極めて高い。このため本堤は下流側に向かって倒壊する危険性がある。この危険は,地下水集排水管の設置や地盤のコンクリート置き換え工事によっては防ぐことができない。 (ウ) 本堤の形態を考慮していない誤り本堤は,底辺部分よりも上辺部分が大きい台形で,しかも右岸側に張り出すため,長方形に直角三角形の袖を付けたような極めて不安定な形状になっている。したがって,この袖が接する部分の右岸斜面は本堤の荷重を支えることになるが,被控訴人は,この本堤の不安定な形状を考慮した安定性の検討をしていない。 オ透水マットによる不等沈下の危険性と法面部崩壊の危険性(ア) 透水マットによる不等沈下の危険性の増大被控訴人の計画では,斜面の遮水工の下地は地盤のところだけでなく,透水マットのところもあることになる。したがって,共同命令上,被控訴人は,透水マットが,遮水工や埋立廃棄物の荷重や土圧の負荷に耐えられるだけの支持力(強度)を有しているか,その透水マット部分が沈下して遮水工の不等沈下を生じる危険性がないかの検討を行わなければならないのに,被控訴人は,この検討を全く行っていない。 (イ) 斜面崩壊の危険性留意事項においては,滑りによる斜面崩壊とそれによる遮水工崩壊を防止するために,法面勾配は50パーセント未満を原則としている。ところが,被控訴人の計画では,遮水 いない。 (イ) 斜面崩壊の危険性留意事項においては,滑りによる斜面崩壊とそれによる遮水工崩壊を防止するために,法面勾配は50パーセント未満を原則としている。ところが,被控訴人の計画では,遮水工の設置される斜面の勾配は,北側斜面で1:1,右岸(西側)斜面で1:0.7と,いずれも急な斜面になっている。加えて,本件計画地に地滑り崩壊地が多数存在すること,南側斜面が流れ盤であること,断層や破砕帯の存在する極めて脆弱な斜面であることからすると,被控訴人が遮水工を計画している斜面,とりわけ右岸斜面の切土法面が崩壊する危険性が存在する。 被控訴人は,アンカー工,ロックボルトとコンクリート吹き付けとによる補強で対応すると主張し,法面の円弧滑りによる安定計算を行っているが,本件処分場の予定地の土砂層には砂や粘土の他に角礫が多く混入し,地層にばらつきがあるから,均一地層を前提とする円弧すべりによる安定解析は妥当ではなく,複合すべりによる安定解析を行うべきである。また,より根本的な問題は,被控訴人は前記地盤の脆弱性を全く考慮していないことである。したがって,この安定解析に基づくアンカー工等の計画も信頼性がない。 カ現実の工事状況本件処分場工事現場の撮影写真によれば,現実に,区画堤建設場所の基礎地盤は岩盤ではなく,土砂,砂混じりの礫等,まったく脆弱な地盤であり,このような脆弱な地盤に巨大な擁壁構造がまるで水に浮かぶように,文字通り浮いて乗っていることが明かとなっている。 (4) 区画堤からの保有水漏出の危険性区画堤が鉄筋コンクリート構造物であり,かつ表面にゴムアスファルトを吹き付けたからといって,それだけで共同命令,指針に適合するとはいえない。すなわち,一般的に,コンクリート構造物は,アルカリ骨材反応,生コンへの不法加水,手抜き工事など かつ表面にゴムアスファルトを吹き付けたからといって,それだけで共同命令,指針に適合するとはいえない。すなわち,一般的に,コンクリート構造物は,アルカリ骨材反応,生コンへの不法加水,手抜き工事などの原因により,数年でひび割れ,水漏れが生じる。現に,被控訴人が設置している久留米市高良内町内野地区にある最終処分場(以下「内野処分場」という。)のコンクリート擁壁は,ひび割れ,あるいは腐食し,そこから浸出水が流出し,擁壁の継ぎ目部分からも浸出水が流出している。また,ゴムアスファルト吹付けがひび割れ,腐食の防止策にならないことは自明である。したがって,被控訴人において,区画堤が一般の鉄筋コンクリート構造物とは異なり,ひび割れ,腐食等が生じない特別な理由が存すること,ゴムアスファルトや止水版の強度・効果とその持続期間,維持管理の具体的な対策等について,主張立証しない限り,区画堤は共同命令や指針に適合しているとはいえない。 なお,そもそも,保有水と接するコンクリート構造物について,アスファルト吹付けだけでは,遮水工として共同命令に適合しない。 (5) 底部遮水工からの浸出水漏水の危険性ア遮水シートの破損について本件に使用される遮水シートは結審時点では決定されておらず,その性能はまったく証明されていない。また,不織布の性能についても何らの主張立証はない。 遮水シートは,施工作業や埋立作業にともなう損傷,シート自身の劣化,接合部分の接合不良,荷重の不均等及び地盤の不等沈下により発生する剪断力などにより必ず破損する。 漏水検知システム及びシート修復装置については確立した技術は存在せず,現実の効果は証明されていない。被控訴人が採用するとする遮水シートの漏水検知システム(T&OH)は,異常を常時監視するシステムではなく,自ら検査をしないと破損箇 置については確立した技術は存在せず,現実の効果は証明されていない。被控訴人が採用するとする遮水シートの漏水検知システム(T&OH)は,異常を常時監視するシステムではなく,自ら検査をしないと破損箇所が分からない上,異常ありとの判定基準が明確ではなく,操業者の恣意に流れやすく役に立たない。また,損傷箇所が大きいときはシートの修復自体が不可能である。 イ不透水性改良地盤について被控訴人が計画している透水係数毎秒10nm以下の不透水性改良地盤を施工することが実行可能であることは,証明されていない。しかも,この改良地盤自体は,上記数値以下ではあるにしても,そもそも浸出水を漏出することが前提なのである。 そこで,その下のコンクリート版による遮水が重要となるが,前述したコンクリート自体に存する弱点及びコンクリート版下の基礎地盤が弱くかつ均一の強度でないために必然的に生じる地盤の不等沈下により,コンクリート版には必ず割れ目が生じる。さらに,処分場底部には,上流部と下流部の中間付近に約3.5メートルの段差があるが,この部分において,コンクリート版がどのように設置されるかは全く不明であり,設置の仕方によっては,荷重の差により,上段部と下段部の接合部斜面(勾配1:2)に割れ目が生じる危険性はますます大きい。区画堤等との接合部についても同様である。そして,コンクリート版に割れ目が生じれば,その上部に存する不透水性改良地盤にも割れ目や不等沈下が生じ,浸出水が流出する。 底部コンクリート版の継ぎ目の止水版は,各型枠の四隅や段差斜面部分においては,止水版を切断しなければ挿入することは不可能であって,この切断部分から浸出水が外部へ漏れることは自明である。 ウ遮水工の破損時期と廃棄物の「無害化」の時期埋立廃棄物が安全と判断されるまで,遮水工の機能は保 しなければ挿入することは不可能であって,この切断部分から浸出水が外部へ漏れることは自明である。 ウ遮水工の破損時期と廃棄物の「無害化」の時期埋立廃棄物が安全と判断されるまで,遮水工の機能は保たれていなければならないが,本件においては,遮水シートのみでなく,区画堤,右岸斜面部の遮水工の耐用年数はまったく証明されておらず,将来いずれは破損する危険性があることは自明である一方,被控訴人は,埋立廃棄物が遮水工の破損する時期までに無害化することについて主張立証していない。 被控訴人は,埋立処分する焼却灰をセメント固化し,キレート剤を注入して有害物質が流出しないようにすると主張する。しかし,セメント固化やキレート剤処理は,けっして重金属を無害化したわけではなく,一定期間閉じ込めたにすぎないのであり,いずれはセメント固化がこわれ,あるいはキレート剤の効果を失い,重金属が溶出してくる。そうであれば,キレート剤処理やセメント固化によって有害物質が溶け出す時期を先延ばしすることにより,遮水工の寿命が尽きた後にセメント固化あるいキレート剤処理の効果が失われて,有害物質や重金属が流出する危険性が極めて高いのである。 (6) 浸出水集排水管についてア浸出水集排水管等本件処分場の浸出水集排水管は,カルシウムスケールによって,内径と表面の浸出水取込み孔とを目詰まりさせるおそれがあるが,被控訴人は,これに対する対策をまったく考慮しておらず,指針解説が地下水集排水管について指摘している目詰まり防止のための3条件の検討もしていない。 集排水管に目詰まりが生じた場合は,修復はまったく不可能である。また,集排水管周辺のフィルター材や埋立廃棄物の中でも目詰まりが生じる(ゴミの山の中の浸出水が集排水管までそもそも到達しない事態となる。)が,このような目詰まりの修 は,修復はまったく不可能である。また,集排水管周辺のフィルター材や埋立廃棄物の中でも目詰まりが生じる(ゴミの山の中の浸出水が集排水管までそもそも到達しない事態となる。)が,このような目詰まりの修復も不可能である。 内野処分場では,浸出水は常時,継続して滞留し,地表水はごみの覆土部分を一部洗い流し,ごみにふれた汚水となり,ごみ自体を浸出水と共に処分場外へ流出させているのであり,地下の集排水管によって排出されてはいない。また,「廃棄物埋立場における集水管の実態について」と題する第3回全国都市清掃研究発表会における講演論文(乙242)中に記載された実験結果に関する数値は,浸出水集排水管が短期間に容易に目詰まりすることを示している。 イ浸出水調整槽被控訴人は,処分場外の地表水が処分場内に流入することはありえないとの前提に立って,浸出水調整槽の容量を算出している。しかし,処分場外の流域面積(とりわけ右岸谷部分)及びそこから流れてくる流水量に十分対応しうる排水路が設置されているという計算値は示されていない。したがって,万一,処分場外の排水路容量が不足し,あるいは土砂の流出により排水路が埋められる状況が発生した場合には,排水路をこえて本件処分場内に流水が流入し調整槽容量を超える事態が生じるのであって,他方,調整槽から公共下水道への放水量は制限されているから,この点においても浸出水が本件処分場内に滞留する事態が生じうる。 浸出水調整槽は,コンクリート構造物であるにもかかわらず,ひび割れ,腐食等防止対策を十分に考えていない。さらにカルシウムスケールによるバルブ等の機能の障害対策についてもなんの検討も行われていない。 (7) 地下水集排水管についてア本件処分場の地下水集排水設備は,地下水の湧水箇所,湧水量,地下水量等の地下水の動向を確認しな よるバルブ等の機能の障害対策についてもなんの検討も行われていない。 (7) 地下水集排水管についてア本件処分場の地下水集排水設備は,地下水の湧水箇所,湧水量,地下水量等の地下水の動向を確認しないで計画されたものであるから,本件処分場の計画は共同命令に違反する。 本件処分場は寺尾川の流水内に設置されるのであり,底部及び区画堤は,川の真ん中に存しているところ,川には表流水だけでなくその下の地中に地下水が流れていることは自明であり,少なくとも底部には多量の地下水が存していることは自明である。本件計画地の岩石は,片理,節理ぞいに風化が進行しており,亀裂や土砂が地中の深さには関係なしに混在しているのであるから,当然にみず道が存在している。この地下水が,例えば切土により地表近くに存することになり,あるいは従来のみず道が何らかの人工物によって塞がれれば,当然地表に湧水として出てくることになる。現実に,本件計画地には湧水点が存在し,区画堤工事現場では,湧き水が常時流出している。 イまた,地下水集排水管のフィルター材の選定について, 指針解説の示す計算式に則った計算結果が示されておらず,地下水集排水管が目詰まりしないことの根拠が示されていない。地下水集排水管の必要強度を検討するに当たり区画堤の荷重が考慮されていない。地下水集排水設備全体の耐用年数も不明である。 (8) 維持管理・監視態勢について被控訴人は,内野処分場において,① 埋立廃棄物の飛散流出防止,②擁壁,遮水工,排水ポンプ等の点検,修復,③ 各種検査結果データの市民に対する周知徹底を実行しておらず,本件処分場においても,維持管理についての共同命令を厳守することはできない。また,反対運動を行っている市民団体のメンバーや同団体が推薦する学者が参加しなければ,監視組織も実効性がな 実行しておらず,本件処分場においても,維持管理についての共同命令を厳守することはできない。また,反対運動を行っている市民団体のメンバーや同団体が推薦する学者が参加しなければ,監視組織も実効性がない。 (被控訴人) 1 立証責任について(1) 本件訴訟は,控訴人らの人格権侵害を理由とする差止請求訴訟事件であるから,要件事実についての立証責任は控訴人らが負担するべきことは当然である。したがって,本件処分場の建設が控訴人らの人格権を侵害する危険性が存在することについて,控訴人らが主張立証責任を負うべきである。 (2) 被控訴人は,ごみ減量,リサイクルに積極的に取り組んできたが,中間処理をしても残る再利用不可能な残渣は最終処分場で埋め立てざるをえない。 したがって,ごみの安定的な最終処分のために埋立地はどうしても必要不可欠な公共施設であり,埋立地は清掃行政における不可欠の基幹公共施設である。他の自治体も埋立地の確保に苦慮しており,地域外からのごみの持ち込みに対して住民の反対運動が生じている状況の中では,ごみ処理は自地域内処理が原則である。被控訴人においては,内野処分場の埋立残余容量の減少に伴い,昭和62年から焼却灰の市外への持ち出し処理などを行い,平成11年からは焼却灰等の処理を民間業者に委託処理し,同業者はこれを熊本県菊地市内に搬入していたが,同市の議会や住民から抗議が寄せられた。内野処分場は,平成12年3月には埋立てを終了せざるをえず,その後は,久留米市内のごみは市域内での最終処分ができない空白期間が続いており,本件処分場の建設は,久留米市民,被控訴人にとって喫緊の課題となっている。 このような公共的な目的を有する事業の差止訴訟が認容されるためには,差止めの対象とされた事業の実施によって,控訴人らの排他的な権利が侵害され,又は将来侵害 被控訴人にとって喫緊の課題となっている。 このような公共的な目的を有する事業の差止訴訟が認容されるためには,差止めの対象とされた事業の実施によって,控訴人らの排他的な権利が侵害され,又は将来侵害されるおそれがあり,その侵害行為によって控訴人らに回復しがたい明白かつ重大な損害が生じ,その損害の程度が,当該事業によってもたらされるべき公共の利益を上回るほどのものであって,その権利の保全がその事業を差し止めることによってのみ実現されることを高度の蓋然性をもって立証することを要するものと解するべきである。しかも,当該事業によってもたらされる公共の利益を犠牲にしても,なおかつその事業を差止めることによって控訴人らの権利を保全することが,社会,公共の見地からも容認されるものであることをも必要とすると解するのが相当である。 2 埋立廃棄物の安全性本件処分場の埋立廃棄物は,不燃物と被控訴人の設置運営する一般廃棄物焼却施設である上津クリーンセンターで焼却後に排出される焼却灰であり,各種検査の結果は,これに含まれる有害物質の量はダイオキシン類を含め,いずれも基準値を下回っている。被控訴人は,さらに安全性を高めるために,焼却灰についてセメント固化及びキレート剤処理を実施することにしている。 ダイオキシン類については,専門家,研究者においても,そもそも現状のダイオキシン濃度ではまったく人体に影響がなく,今日のダイオキシン問題はごみ処理に起因するのではなく,過去の農薬によるものであって,法律で規制するほどの問題ではないとの見解も存在するなど,様々な意見が存在する。環境ホルモンについては,その有害性,内容,影響について,国が現在,情報の収集及び調査にかかっている段階で,その実体はいまだ明かではない。とはいえ,被控訴人としては,財政状況を踏まえた上で,環境 。環境ホルモンについては,その有害性,内容,影響について,国が現在,情報の収集及び調査にかかっている段階で,その実体はいまだ明かではない。とはいえ,被控訴人としては,財政状況を踏まえた上で,環境影響のリスクを可能な限り回避して,快適な市民生活維持に必要な施設の整備を図っていくことが重要であり,それが公共の利益であると認識している。 3 施設の安全性(1) 本件処分場設置計画の内容は,前記第2の1エのとおりであり,共同命令及び指針を遵守していて,十分な安全性を備えている。共同命令や指針を定めた旧厚生省が整備計画書を承認し,「施設設置届」を審査する福岡県が,それを受理していることからも,専門的知見から公的に見ても施設の安全性は明らかである。 (2) 控訴人らの主張のうち,本件計画地の地盤に関する主張に対する反論は以下のとおりである。 被控訴人の実施したボーリング調査及びパイプ歪計による動態観測の結果,本件計画地で地滑り活動は認められない。仮に,埋立地の建設に伴って斜面を切り取る箇所で地滑りや法面崩落を誘発する可能性があったとしても,その防止のために,アンカー工法やロックボルト工法による防止工を施すことにより安定させられる。 一軸圧縮試験の試料については,ボーリングコアの観察により,同一層であることを確認して,CL級を代表する部分を選定した。仮に,現地で支持地盤として不適な地盤が確認できたときは,コンクリートによる置換えを行う予定であり,安全確保になんら問題はない。また,本件計画地の基礎地盤は,N値が50以上の岩盤が3~5m程度連続しており,基礎地盤と評価することに問題はない。 被控訴人が行った現地踏査や地質調査で,本件計画地において平常時において湧水は存在していない。降雨時には,本件計画地は,基礎面が浅く,斜面が急峻であるため ,基礎地盤と評価することに問題はない。 被控訴人が行った現地踏査や地質調査で,本件計画地において平常時において湧水は存在していない。降雨時には,本件計画地は,基礎面が浅く,斜面が急峻であるため雨水の流出が多いことが予想されるが,本件計画では雨水を排水する設備や斜面部に透水マット,底部には地下水集排水管を施し,雨水や地下水を適切に排水する計画であるため地下水や湧水が本件処分場構造物等に影響を与えるようなことはない。 (3) 監視体制の充実被控訴人は,本件処分場の将来にわたる安全監視のため,「久留米市杉谷最終処分場連絡協議会」(平成12年12月発足)と「久留米市ごみ処理施設等監視委員会」(平成13年7月発足)の2つの機関を設けている。このように本件処分場の安全監視については,地元住民・専門家などによる2つの監視機関の設置,漏水検知システムをはじめとした幾重にも行われるモニタリング体制,データの公開等により,万全の体制を確保しており,周辺環境への影響に対し最高レベルの監視が可能となっている。 第4 争点Ⅰ(入会権の存否)に対する判断入会集団としての高良内部落の存在ないし控訴人らの主張する入会権の存在については,これを認めるに足りる証拠はない。 第5 争点Ⅱ(人格権に基づく請求)に対する判断 1 差止請求権の要件(1) 被保全権利-人格権人の生命の安全・身体の健康はその存在にとって最も基本的な事柄であって,法律上人格権として保護されるべきものであり,これらに対する侵害に対しては法律上これを排除する権能が認められなければならない。したがって,人は,他人の一定の行為が疾病の招来その他個人の生命・身体に対する侵害をもたらしているときは当該行為の差止めを求めることができ,また,その侵害が現実化していない場合であってもその危険が切 たがって,人は,他人の一定の行為が疾病の招来その他個人の生命・身体に対する侵害をもたらしているときは当該行為の差止めを求めることができ,また,その侵害が現実化していない場合であってもその危険が切迫しているときは,あらかじめ当該行為の禁止を求めることができるものと解するべきである。 なお,控訴人らは,本件における人格権の内容として,「一般通常人の感覚に照らして,飲用・生活用に供するのを適当とする水を確保する権利」をも主張するが,これも生命の安全・身体の健康を保全する権利の一内容としてのみ理解されるのであって,これと関連なしに(生命,健康の侵害,侵害のおそれとは無関係に),差止請求権の根拠となるような人格権として,これを認めることはできない。したがって,以下では,飲用,生活用の水に関連して生命の安全・身体の健康を維持する人格権の問題として,判断を進める。 (2) 人格権に基づく差止請求の判断基準人は,社会生活を営む以上,相互の生存のための活動,社会経済活動の影響をまったく免れることは不可能であり,自らの生命・健康の安全になんらかの影響があるからといって,直ちに他人の活動を止めさせることができないのは自明であり,他人の権利,自由との関連において,人格権に基づく差止請求権の成立範囲の確定に当たっては,侵害行為の態様と侵害の程度(侵害発生のおそれを含む),被侵害利益の性質とその内容(被害発生のおそれを含む)等を比較することによってその被害が受忍すべき限度を超えるか否かが考えられなければならない。そして,人の生活,社会経済活動のうち,公益性,公共性を持つものは,その程度に応じて,多くの人の生活,生存に利益,利便をもたらし,その停止はその生存,生活に影響するところが大きいから,その侵害行為の原因となる活動,事業に公共性,公益性があること 共性を持つものは,その程度に応じて,多くの人の生活,生存に利益,利便をもたらし,その停止はその生存,生活に影響するところが大きいから,その侵害行為の原因となる活動,事業に公共性,公益性があること,また,その程度が高いことは,それにより侵害を受けるおそれのある側の受忍限度を高める方向に作用すると考えるべきである。 したがって,公共施設である本件処分場の設置により,飲用,生活用の水が有害物により汚染されて,生命の安全・身体の健康が侵害され,あるいは侵害されるおそれがあるとの主張から,その建設差止めが求められている本件においても,本件処分場の建設・稼動による控訴人らの生命の安全・身体の健康への被害発生のおそれの程度,発生する被害の内容,性格,本件処分場の公共性ないし公益上の必要性の内容,程度等を吟味して,被害の防止に関して採り得る措置の有無及び効果等の事情も総合的に考慮して,同施設の建設及び稼動により,控訴人らの受忍すべき限度を超えて,生命の安全・身体の健康が侵害される蓋然性が大きい場合と判断しうる場合において,その人格権による差止請求は認められるべきである。 (3) 立証責任ア人格権に基づき,将来の人格権侵害を理由として他人に対して一定の不作為を求める場合においては,民事訴訟の一般原則に基づき,当該他人の行為に基づいて,将来,自己に対する人格権の侵害(受忍限度を超えた侵害)が発生すると認められること及び差し止めの必要性について,請求する側が主張・立証責任を負うべきものである。これを本件についてみると,本件処分場の建設・稼動により控訴人らが受忍限度を超える被害を受ける蓋然性が大きいことについての主張・立証責任は,控訴人らが負うべきものである。 イしたがって,本件処分場の埋立廃棄物の危険性,本件処分場からの浸出水などの有害物質の漏洩 忍限度を超える被害を受ける蓋然性が大きいことについての主張・立証責任は,控訴人らが負うべきものである。 イしたがって,本件処分場の埋立廃棄物の危険性,本件処分場からの浸出水などの有害物質の漏洩により,個々の控訴人らの健康等を害する蓋然性が大きいことなどについては,控訴人らにおいて立証すべきである。しかし,前記第2の1(3)のとおり,廃掃法は,一般廃棄物の最終処分場の設置の必要性があることを前提として,廃棄物の最終処分場の安全性を含む設置の適正を確保しようとして,共同命令の遵守の有無を基準として一般廃棄物の最終処分場の設置の可否や設置許可の取消しなどを判断するとしていること及び共同命令は現時点における科学的知見及び技術水準を踏まえて,最終処分場に対する国民の不安感の払拭も考えた上で,最終処分場の安全性を確保するために策定されていること(甲151の2,乙246)からすると,共同命令の遵守は,最終処分場の設置者である被控訴人にとって当然果たさなければならない行政上の義務であり,さらに,それが求められた前記の趣旨からすると,国民に対する関係においてもその安全を確保すべき責務を負うべきものであるから,被控訴人が本件処分場が共同命令に適合していることを立証しなければ,本件処分場からの浸出水などの漏洩により近隣住民に健康被害が生じる蓋然性が大きいものと事実上推定されるものというべきである。そして,被控訴人が本件処分場が共同命令に適合していることを立証した場合には,上記事実上の推定は破れ,控訴人らにおいて,この蓋然性が大きいことにつき,更なる立証を行わなければならないものと解する。 ウこの点に関し,控訴人らは,本件処分場の埋立廃棄物が,ほんの微量でも人体に悪影響を及ぼす有害物質を含んでいることを前提に,本件処分場から保有水あるいは浸出水が僅 なければならないものと解する。 ウこの点に関し,控訴人らは,本件処分場の埋立廃棄物が,ほんの微量でも人体に悪影響を及ぼす有害物質を含んでいることを前提に,本件処分場から保有水あるいは浸出水が僅かでも漏洩すれば,控訴人らの生命,身体に対して被害が生じることが立証されたことになるとして,本件処分場が共同命令に適合していることは抗弁となりえず,被控訴人において「本件処分場からは,未処理の浸出水を一滴も漏らさないこと」について主張・立証責任を負うと主張する。確かに,本件処分場の埋立廃棄物がほんの微量でも人体に甚大な影響を及ぼすことが立証された場合には,本件処分場が共同命令に適合していても,本件処分場から保有水あるいは浸出水がほんの僅かでも漏洩することが立証されれば,控訴人らに健康被害が生じる蓋然性が大きいと認めうることになろうが,この場合でも,本件処分場から保有水あるいは浸出水がほんの僅かでも漏洩することについての立証責任は控訴人らにおいて負うものというべきであり,被控訴人において,「本件処分場からは,未処理の浸出水を一滴も漏らさないこと」について主張・立証責任を負うとの控訴人らの主張は採用することができない。 2 埋立廃棄物の有害性(1) ダイオキシン類,環境ホルモンについてア中央環境審議会環境保健部会等は,平成11年6月報告の「ダイオキシンの耐容一日摂取量(TDI)について」(甲128)において,「ダイオキシンの毒性については,動物実験においては,発ガン性,肝毒性,免疫毒性,生殖毒性などが認められたとの学術発表があり,人に対する影響については,事故などにより多量のダイオキシン類に暴露した事例において,クロルアクネ(塩素ざ瘡)の発生やガン死亡率の上昇が認められたが,食事等による通常レベルの暴露において明かな健康影響を示す知見は については,事故などにより多量のダイオキシン類に暴露した事例において,クロルアクネ(塩素ざ瘡)の発生やガン死亡率の上昇が認められたが,食事等による通常レベルの暴露において明かな健康影響を示す知見は示されていない。平成10年5月開催のWHOの専門家会合の最終報告書概要においては,「現在の先進国における暴露状況は2~6pgTEQ/kg/日のレベルであり,この暴露レベルにおいても微細な影響は生じているかもしれないが,現時点では明確な毒性影響の発現は報告されておらず,また,観察されている影響についても他の化学物質の影響が否定できないことから,1~4pgTEQ/kg/日を当面の最大許容摂取量とし,究極的には摂取量が1pgTEQ/kg/日未満となるよう努めるべき。」とされている。これらの科学的知見を対象とした論議を踏まえ,ダイオキシンには遺伝子障害性はないとの判断から,無毒性量あるいは最小毒性量に不確実係数を適用して,コプラナーPCBを含め,4pgTEQ/kg/日を当面のTDIとすることが適当である。」旨報告した。これを受けて,平成11年7月12日に成立し,同月16日に公布されたダイオキシン類対策特別措置法は,ダイオキシン類の耐容一日摂取量(TDI)を4pgTEQ/kg/日以下と設定した(乙303)。 イ控訴人らは,ダイオキシン類は,人に対しても,ごく微量で毒性を有し,環境ホルモンとして作用する毒性は,「閾値」が存在せず,逆U字現象,シングルヒットなどの特性を有するから,ダイオキシン類にはそもそも安全摂取量はありえず,国が定めている上記耐容一日摂取量4pgTEQ/kg/日を超えることがないとしても安全とはいえない旨主張し,同主張に沿う見解,文献等が存在する(甲15,25,97~102,130,137,223,227,231の1~4,232, pgTEQ/kg/日を超えることがないとしても安全とはいえない旨主張し,同主張に沿う見解,文献等が存在する(甲15,25,97~102,130,137,223,227,231の1~4,232,乙263,原審証人B,当審証人C)。しかし,これらの見解も,人に対するそのような毒性が科学的に立証されていると断定するものではなく,動物実験の結果等から人に対する影響が強く推認されるとするにとどまっており,一般的には,低濃度(環境中に存在する程度の濃度)のダイオキシン類や環境ホルモンの人体に対する影響については,因果関係は立証されていないとする見解が有力であり(甲187の6,238,乙262,294,296,303,324),控訴人らの上記見解は科学的に確立しているとはいえない状況である。(なお,上記耐容一日摂取量4pgTEQ/kg/日は,ダイオキシンの毒性に最も感受性の高いと考えられる胎児期における暴露を指標としたものであり(甲128),胎児に対しても,これより微量のダイオキシンが影響を与えると認めるに足りる証拠はない。)また,控訴人らは,仮に,上記耐容一日摂取量を基準とするにせよ,日本人は,すでに通常の生活において,これを超えるダイオキシン類に暴露され,蓄積し,摂取し続けている旨主張する。しかし,平成13年の国の調査結果(乙303)によれば,環境中でのダイオキシンの平均濃度は,大気中約0.13pg-TEQ/堰C公共用水域の水質では0.25pg-TEQ/香C土壌中では約6.2pg-TEQ/gであり,一般的な生活においては,食事や呼吸等を通じて,毎日平均して約1.63pg-TEQ/kgのダイオキシン類を摂取しているが,これらを総合しても,通常の日本人の暴露しているダイオキシン類は4pgTEQ/kg/日を下回っていること,食品からの摂取量 ,毎日平均して約1.63pg-TEQ/kgのダイオキシン類を摂取しているが,これらを総合しても,通常の日本人の暴露しているダイオキシン類は4pgTEQ/kg/日を下回っていること,食品からの摂取量の濃度は最近約20年間で3分の1に減少し、母乳中のダイオキシン濃度は最近約20年間で半減していることが認められる。そして,魚などダイオキシン含有量の多い食品を多量に摂取する場合などには,4pgTEQ/kg/日を超えるダイオキシン類に暴露される可能性は否定できない(甲108,223,224)が,平均的な日本人が,すでに通常の生活において,4pgTEQ/kg/日を超えるダイオキシン類に暴露されているとの証拠(甲223)は,反対の趣旨の証拠(甲108,142,144,224,226,228,230,237,乙295,303)に照らし採用することができず,また,控訴人ら各自が,すでに4pgTEQ/kg/日を超えるダイオキシン類に暴露されていることを認めるに足りる証拠もない。 したがって,ダイオキシンや環境ホルモン物質の毒性及びその特質の解明努力とその危険性への警戒は,今後とも続ける必要があることはもちろんであり,その毒性等が未解明であるからといって,指摘されている事柄の重大性に照らし,とるに足りないものと即断してよいものでもないが,ダイオキシン類,環境ホルモン物質の漏出問題をめぐる受忍限度の判断に当たり,控訴人らの主張する危険性,人体影響を所与の前提とみるわけにはいかないのである。 (2) 本件埋立廃棄物の有害性についてア本件処分場での埋立処理が予定されている一般廃棄物は,家庭等から排出される可燃物を上津クリーンセンターで焼却した後の焼却残渣(主灰と飛灰)及び不燃物である。被控訴人は,主灰と飛灰(ばいじん)を分離して収集し,主灰は薬剤処理を, れている一般廃棄物は,家庭等から排出される可燃物を上津クリーンセンターで焼却した後の焼却残渣(主灰と飛灰)及び不燃物である。被控訴人は,主灰と飛灰(ばいじん)を分離して収集し,主灰は薬剤処理を,飛灰は薬剤処理及びセメント固化を行う重金属溶出防止施設を同センター内に建設し,平成13年6月に完成させた(乙177の1,211,280)。薬剤処理は,焼却残渣中の重金属と反応してキレート結合を形成する液体キレート剤を焼却残渣に添加し,不溶性の重金属キレート化合物とする方法であり(乙177の2),また,セメント固化は, セメント中のケイ酸カルシウム等の組成鉱物が水と結合し,水和物結晶(エトリンガイト)を生じて硬化する過程で,アルミニウム原子等が金属原子等と置換して,重金属を固定する方法であって,固化物は透水性が低く物理的及び化学的な安定性が高いので,有害物質の封じ込めに優れた効果を発揮するとされている(乙177の2)。 また,被控訴人は,不燃物については破砕選別機により,不燃ごみに混ざっている可燃物と鉄やアルミを取り出し,可燃物は焼却,鉄・アルミは有価物としてリサイクルし,本件処分場で埋め立てるのは,こうして残った不燃物である(乙96,211,233)。 イ上津クリーンセンターでは,厚生省通知「一般廃棄物処理事業に対する指導に伴う留意事項について」(乙171)に従い,又は自主的に,各種検査が行われている。そのうち,平成10年から平成12年までの間に4回行われた焼却灰についての重金属(アルキル水銀,水銀又はその化合物,カドミウム又はその化合物,鉛又はその化合物,有機リン化合物,六価クロム化合物,ひ素又はその化合物,シアン化合物,PCB,トリクロロエチレン,テトラクロロエチレン,セレン等合計24種類)の溶出試験結果は,すべての項目について,廃 その化合物,有機リン化合物,六価クロム化合物,ひ素又はその化合物,シアン化合物,PCB,トリクロロエチレン,テトラクロロエチレン,セレン等合計24種類)の溶出試験結果は,すべての項目について,廃掃法に基づく総理府令に定められた埋立判定基準を下回り,さらに報告下限価をも下回っている(乙217の1~5)。また,被控訴人は,平成12年3月まで埋立処分を行っていた内野処分場においても,平成10年から平成12年まで,上記重金属等を含む合計34項目の物質について浸出水の水質検査を行っているが,その結果は,すべて下水道法に基づく政令に定められた下水道排除基準を満たすものである(乙227の1~16)。 ダイオキシン類については,ダイオキシン類対策特別措置法施行規則(平成12年1月15日施行)による特定施設(焼却能力50㎏/時以上)から公共用水域への水質排出基準(基準値は2-3-7-8・4塩化ジベンゾ・パラ・ジオキシン毒性当量換算値)は10pg-TEQ/香i0.01ng-TEQ/・であり(甲138,140),共同命令もこれに応じて廃棄物最終処分場からの放流水の排出基準をこれと同一としたが(甲140,甲141),平成6年から平成11年までの上津クリーンセンターにおける焼却残渣の溶出試験の結果は,平成6年及び平成8年はいずれも0.00ng-TEQ/香C平成9年は0.00023ng-TEQ/・乙176の1~4),平成10年は0.00027ng-TEQ/香C平成11年は検出せず(0.0080ng-TEQ/壕ネ下)であり(乙228の1~4),平成12年における内野処分場の浸出水の水質試験の結果は,コプラナーPCBを含め1.1pg-TEQ/高ナあり(乙228の1及び5),いずれも排出基準を下回っている。また,共同命令は,ダイオキシン類を3ng-TEQ/g以上 分場の浸出水の水質試験の結果は,コプラナーPCBを含め1.1pg-TEQ/高ナあり(乙228の1及び5),いずれも排出基準を下回っている。また,共同命令は,ダイオキシン類を3ng-TEQ/g以上含むばいじん,燃え殻等を特別管理一般廃棄物に指定し,埋立処分の対象から除外したが(甲140,141),平成6年から平成12年までの上津クリーンセンターにおける主灰又は飛灰中のダイオキシン類の含有量は,飛灰については平成6年(但し,80%の主灰混合)が0.18ng-TEQ/g,平成8年が平均1.17ng-TEQ/g,平成9年が平均0.92ng-TEQ/g,平成10年が平均0.81ng-TEQ/g,平成11年が平均0.59ng-TEQ/g,平成12年がコプラナーPCBを含め平均1.3ng-TEQ/gであり,主灰については平成12年がコプラナーPCBを含め平均0.047ng-TEQ/gであって(乙176の1~4,228の1~4),いずれも基準値を下回っている。 当審証人Cは,平成11年に内野処分場周辺の側溝等から採取した水中に,高濃度の環境ホルモンであるビスフェノールA及びノニルフェノールが検出されたと証言するが(甲74の1~3,188,196,当審証人C),その採取場所や採取方法を裏付けるに足りる客観的な証拠はなく,直ちに採用しがたいうえ,環境ホルモンの人に対する毒性についての科学的知見が確立していないことは前述のとおりである。 ウ控訴人らによる問題点の指摘について(ア) 控訴人らは,薬剤処理の問題点として,キレート剤の運用は対象重金属に適合する種類の薬剤を選択することが困難である,キレート剤を使用しても全く溶出しないわけではないし,永久に固定されるわけでもない,ダイオキシン類及び化学物質には無力であると主張し,また,セメント固化も効果が低 の薬剤を選択することが困難である,キレート剤を使用しても全く溶出しないわけではないし,永久に固定されるわけでもない,ダイオキシン類及び化学物質には無力であると主張し,また,セメント固化も効果が低いうえ,将来の崩壊が予想されると主張する。そして,原審証人Bもこれに沿う証言をし,その旨の意見書(甲100)を提出している。 しかし,薬剤処理及びセメント固化は,「特別管理一般廃棄物及び特別管理産業廃棄物の処分又は再生の方法として厚生大臣が定める方法」(厚生省告示平成4年194号)において重金属の溶出防止の方法として定められている方法であり(乙218の1),現在,いずれも技術的に確立されていると評価されている方法である(乙269)。そして,溶出試験の結果も,キレート剤(NEWエポルバ800)で処理したばいじんについて,10年間にわたり鉛,カドミウム,六価クロムの溶出試験を行った結果は良好な成績を示していることが認められるし(乙218の2),普通ポルトランドセメントとごみ焼却飛灰の混練物について5年間にわたり総水銀,鉛,六価クロム,カドミウム,ひ素の溶出試験を行った結果も良好な成績を示していることが認められる(乙244)。また,薬剤処理及びセメント固化はダイオキシン類の溶出も抑制する効果があるとの報告がある(乙229の2)。 なお,前記イの検査結果は,いずれも,上津クリーンセンターにおいて,重金属溶出防止施設が稼働する以前の検査結果であり,薬剤処理及びセメント固化をする前であっても,焼却残渣の重金属及びダイオキシン類の含有量は,基準値を下回っていることは,前述のとおりであって,前記の報告等に鑑みれば,薬剤処理,セメント固化を加えることにより,ダイオキシン類についてはその効果は検証未了としても,重金属等についてはその溶出がさらに大きく抑制 ることは,前述のとおりであって,前記の報告等に鑑みれば,薬剤処理,セメント固化を加えることにより,ダイオキシン類についてはその効果は検証未了としても,重金属等についてはその溶出がさらに大きく抑制されるとみることができる。 (イ) 控訴人らは,被控訴人のした上記溶出試験は昭和48年環境庁告示13号(産業廃棄物に含まれる金属等の検定方法。以下「告示法」という。)に定められた方法で行われているが,溶出試験において有害物質が検出されなくても,現実の処分場においては,酸性雨の浸透等により,有害物質が溶出する可能性が高いと主張する。そして,告示法は溶媒のpHを5.8ないし6.3(陸水の場合)と定めるだけで,振とう時における混合液のpHを規定していない(乙230)ところ,燃え殻,ばいじん,コンクリート固化物等の溶出試験対象廃棄物(試料)はすべてアルカリ性であるから,試料と溶媒を混合した瞬間に混合液のpHが高くなり,溶解度がpHに大きく左右される重金属の水酸化物等は振とう時には溶出が大幅に抑制されることになるが,これら廃棄物が埋立処分された場合には雨水の浸透等によりアルカリ分が流亡するため,溶出試験時のpHとは隔たりが生じる可能性があることが指摘されている(甲72,乙266)。 しかし,告示法が上記のような方法を採用するに至ったのは,当初は,振とう時における混合液のpHを5.8ないし6.3と定めたものの,これが多くの試料に対して実現困難であるとのクレームが相次ぎ改正したためであり(甲72,乙266),現在の告示法について問題点が議論されているが,改正に至ってはいない。また,すべての廃棄物試料で再現性が悪いという問題が起こるわけではないとの指摘もあり(甲75),文献(甲71)によれば,シュレッダーダストに関する溶出試験の結果,告示法に基づいて6 至ってはいない。また,すべての廃棄物試料で再現性が悪いという問題が起こるわけではないとの指摘もあり(甲75),文献(甲71)によれば,シュレッダーダストに関する溶出試験の結果,告示法に基づいて6時間振とうして得た溶出液のpHは7.0前後であることが認められるところからすると,内野処分場で行われた平成10年6月から平成12年6月までの間計5回の水質測定結果によれば,同処分場の浸出水のpHは7を超えていること(乙227の1)に照らすと,告示法に定められた方法による検査結果と処分場の現状との間に懸隔があると認めることはできない。また,溶出試験の方法としては,アメリカにおいてはアメリカ環境保護庁が定めるTCLP法があり,同法においては,pHを5.0±0.2に調整し,24時間連続振とうを行うが(甲71,72),シュレッダーダストについてTCLP法と告示法で対照実験した結果によれば,TCLP法は,カドミム,鉛,クロムについては,告示法より高濃度であるが,ひ素や水銀については低くなったことが紹介されており,同実験者は,TCLP法で得られた重金属類の溶出が埋立地で実際に起こるとまでは断定できないとも指摘している(甲71)。 また,控訴人らは,被控訴人のした上記含有試験は検査対象物が全体を代表するよう適正かつ丁寧に採取されたかどうか不明であると主張するが,証拠(乙176の3,4,228の4)によれば,含有試験は厚生省監修の「廃棄物処理におけるダイオキシン類標準測定分析マニュアル」や「特別管理一般廃棄物及び特別管理産業廃棄物に係る基準の検定方法」(平成4年厚生省告示192号)に準拠して行われたものと認められ,これを左右するに足りる証拠はない。 (3) 結論以上によれば,本件処分場で埋立の対象となる一般廃棄物については,一応の安全性を肯定す 年厚生省告示192号)に準拠して行われたものと認められ,これを左右するに足りる証拠はない。 (3) 結論以上によれば,本件処分場で埋立の対象となる一般廃棄物については,一応の安全性を肯定することができる。しかし,前判示のとおり,ダイオキシン類や環境ホルモンの人に対する毒性等については未解明な部分が多く,動物実験の結果から推測して人体への影響を肯定する見解も存在するところであって,本件処分場で埋立られる一般廃棄物が,およそ,人体に悪影響を及ぼさないと断言することは困難である。そして,控訴人らの主張する権利が,人の生命の安全・身体の健康という人にとって最も根本的な権利であることからすると,この点についての知見が確立しておらず,控訴人らにおいて科学的な立証ができないとしても,本件処分場の必要性の程度,本件処分場からダイオキシン類,環境ホルモン等人体に対して有害である可能性のある物質が漏出する蓋然性の程度等を総合判断することを経るまでもなく,人格権による本件処分場の建設の差し止めが認められないということはできないのであって,さらに,判断を進める。 3 本件処分場の公共性,必要性(1) 本件処分場建設計画の経緯証拠(甲4,190,乙88,89,91ないし96,101~103,202,207,212,226,233,280,289,原審証人A)及び弁論の全趣旨によれば,本件処分場建設計画の経緯について,以下の事実が認められる。 ア被控訴人は,昭和47年から,内野処分場において,ごみの焼却施設から出る焼却灰,不燃ごみ及び可燃ごみの一部(ただし,平成5年に上津クリーンセンターが稼働を開始した後は可燃ごみの埋立ては行っていない。)の埋立てを行っていた。被控訴人は,内野処分場の使用について,内野地区等の関係地区及び汐井川地区水利組合と使 し,平成5年に上津クリーンセンターが稼働を開始した後は可燃ごみの埋立ては行っていない。)の埋立てを行っていた。被控訴人は,内野処分場の使用について,内野地区等の関係地区及び汐井川地区水利組合と使用期限の更新を繰り返していたが,平成8年4月1日以来,地元関係者のうち,内野地区からは使用期限延長の同意を得ることができないまま,使用を継続していた。 イ被控訴人は,内野処分場の埋立残余容量の減少に伴い,新たな埋立地建設の必要に迫られ,昭和60年ころから用地選定を行い,昭和63年ころには杉谷地区(本件計画地は,この地区内である。)に,埋立期間約50年,埋立容量約200万平方メートルの処分場を計画し(旧計画),同年12月に同処分場予定地の地権者である高良内財産区議会協議会に対して協力要請を行い,平成3年度に基本計画を策定して,環境アセスメントを実施し,平成5,6年度には,測量調査,地質調査,立木調査を実施し,平成6年12月に第1期計画の実施設計を完了した。 ウその一方,被控訴人は,内野処分場の延命化施策として,昭和62年3月から,可燃ごみの焼却灰の市外への持ち出し処理を民間業者に委託するとともに,不燃ごみについても,平成4年2月から6月まで市外への持ち出し処理を民間業者に委託し,平成元年から,事業者が排出する不燃ごみ(一般廃棄物)の処分場への受け入れ停止措置をとった。 エ平成7年2月,旧計画の見直しを公約に掲げた前市長Dが市長に就任し,埋立地問題について市民との協議を行うことにした。これを受けて,平成7年7月,市民団体,学識経験者,久留米市議会,行政各層からの委員34名によって構成される「ごみ問題協議会」が発足し,23回にわたって協議が重ねられた。その結果,同協議会は,平成7年9月13日の中間報告及び同年11月14日の最終報告により,ごみ 政各層からの委員34名によって構成される「ごみ問題協議会」が発足し,23回にわたって協議が重ねられた。その結果,同協議会は,平成7年9月13日の中間報告及び同年11月14日の最終報告により,ごみ処理最終処分場に関し,「ごみ減量やリサイクルなどの方策を検討すべきだが,これらの方策を採っても最終的に残る不燃物や焼却灰の安定的処理のためには,最終処分場はどうしても必要であるが,現埋立地(処分場)は物理的な限界が近づいており,市内に新規埋立地を早急に確保しなければならない。新規埋立地については,1つの埋立地の埋立期間については15年を限度とすること。早急に次期埋立地を確保すること。新規埋立地の立地については,斜面を有することが望ましいが,山間・丘陵・平地いずれの地域が最適の場所であるかの特定には至らなかったので,立地についてはさらに検討を要するが,新規埋立地は極めて高い緊急性を有しているから,受け入れ地区住民,地権者と十分な協議・合意を早急に得ることが最重要である。」旨の提言を市長宛提出した。 オそこで,被控訴人は,6カ所の候補地を検討し,従前の計画地である杉谷地区に処分場を建設することに再決定し,ごみ問題協議会の提言を踏まえ,埋立期間を15年以内とし,処分場の規模を縮小し(埋立容量46万8000立方メートル,埋立面積3.2ヘクタール),平成8年2月4日に杉谷埋立地計画を発表した(新計画)。なお,被控訴人は,以後,市内各地に15年以内の埋立期間の埋立地を順次設置することを予定している。 カ控訴人らは,平成9年5月16日に,本件訴えを提訴した。 キ被控訴人は,平成3年度から資源ごみ分別収集を,平成5年度から有料指定ごみ袋制度を,平成9年度から粗大ごみ戸別単品有料収集,事業系ごみ有料指定袋制度を,平成10年度から17種分別収集を,平成1 キ被控訴人は,平成3年度から資源ごみ分別収集を,平成5年度から有料指定ごみ袋制度を,平成9年度から粗大ごみ戸別単品有料収集,事業系ごみ有料指定袋制度を,平成10年度から17種分別収集を,平成13年度から18種分別収集を次々に導入,実施に移して,ごみ減量,リサイクル施策を進めた結果,平成10年度の可燃・不燃ごみ処理量を平成4年度の処理量の78パーセントとする減量に成功した。 ク被控訴人は,平成11年4月から焼却灰を,平成12年4月からは不燃ごみを廃棄物処理業者である九州産廃株式会社に委託処理してきたが,これに対し,同社の搬入先である菊池市,菊池市議会,市民団体から抗議を受けた。また,平成12年3月で内野処分場での埋立てを終了した。 ケそこで,被控訴人は,将来にわたるごみ量の予測を見直すと共に,保安林の指定解除が当面は困難な状況にあると判断し,現在の市域外持出し(菊池市への持出し)という非常事態の早期解決を図るため,すみやかな杉谷埋立地の建設を目指して,新計画を第一処分場(保安林以外の部分)と第二処分場(保安林を含んだ部分)とに分け,第一処分場を先行して建設し,第一処分場を使用している間に第二処分場を建設し,長期的なごみの市域内での安定的な処理を確立するとして,平成11年8月23日,新計画を,埋立容量20万6000立法メートル,処分場本体面積1.7ヘクタールに縮小することを発表した(新・新計画。この計画に基づく第一処分場が本件処分場である。)。 コ新・新計画については,平成11年の市議会で関連補正予算の議決を経て,現地での測量や地質調査等を実施し,平成12年7月末に実施設計が終了した。被控訴人は,平成13年1月の着工を目指し,平成12年10月25日に本件処分場の施設設置届を福岡県知事に提出し,同年12月25日付けで,福岡県知事 等を実施し,平成12年7月末に実施設計が終了した。被控訴人は,平成13年1月の着工を目指し,平成12年10月25日に本件処分場の施設設置届を福岡県知事に提出し,同年12月25日付けで,福岡県知事が本件処分場の一般廃棄物処理施設設置届出書を受理した旨の通知を受けた。 (2) ところで,人が多数集まって社会生活を営む以上,どんなに廃棄物の排出を抑制し,廃棄物の再利用及び再生に社会全体として取り組んだとしても,また,中間処理による減量を図っても,その最終処分としての埋立処分が不要になることは考えがたいのであり,将来にわたり一般廃棄物の最終処分の必要性が失われる見通しがないことは明らかである。そして,廃掃法の規定によれば,一般廃棄物の最終処分については,市町村がその責任を負っているところ,前記(1)のとおり,被控訴人も,ごみ減量,リサイクルに積極的に取り組み,減量化という点ではかなりの成果を挙げていると評価することができるが,中間処理をしても残る再利用不可能な残渣や不燃物は最終処分場で埋め立てざるをえないところ,平成12年3月以後は市内に埋立場がないため,市外において処理せざるをえない事態に立ち至っているのであって,本件処分場建設の公共性,必要性は大きいというべきである。この点について,控訴人らは,被控訴人は本件計画地以外の代替案を真剣に検討していないし,本件計画地は,水源地に存在するから処分場設置場所としては不適切である旨主張する。しかし,前記のとおり,被控訴人は,平成7年に「ごみ問題協議会」を発足して,実施設計まで完了していた処分場計画を見直し,その結果,ごみの減量対策を推進するなどして,処分場計画を大幅に縮小しているし,他の候補地についても検討をしたうえで,本件計画地に決定したものである。そして,被控訴人が本件計画地を選択した理由と ,その結果,ごみの減量対策を推進するなどして,処分場計画を大幅に縮小しているし,他の候補地についても検討をしたうえで,本件計画地に決定したものである。そして,被控訴人が本件計画地を選択した理由となっている,他の候補地と比較して早期の着工が可能である(乙96)との理由も,他の候補地との間にさほどの優劣がない場合は合理的な理由となりうるというべきである。なお,ごみ問題協議会の最終報告も,立地は斜面を有することが望ましいとしているのであって,平地に立地する方が望ましいとの見解は採りがたく,山間部を選定したことだけを捉えて,不当であるとはいえない。 控訴人らは,最終処分場としては筑後大堰の下流地点の平野が適しているとの見解のようであるが,そうなると,用地取得費用や地下水対策の問題が大きくなるばかりでなく,埋立廃棄物が危険であるという控訴人らの主張を前提とすれば,今度は海水汚染の問題も生じうるのであり(原審証人B),控訴人らの主張に合理性があるとはいいがたい。 特に,一般廃棄物としてのゴミが,人の社会生活に必然的に随伴するものであり,その減量化をはかり,中間処理を充実させても,最終処分としての埋立てはどうしても必要であることは,前判示のとおりであって,また,前記菊池市住民等の反発からも明らかなように,その最終処分は,発生地域内で行うことが大原則とみるべきものであるから,被控訴人が,市内に最終処分場を設置しえないとの事態が生ずることは,控訴人らを含む久留米市民が円滑に日常生活を送り,健康を維持する重大な支障となるとみられるのであって,本件処分場の公共性,必要性は,控訴人らが主張する人格権の基礎(生命の安全,身体の健康)にも連なる内容,性格を持つ重要なものであるというべきである。 4 共同命令の適合及び浸出水漏洩の蓋然性次に,本件処分場が共 ,必要性は,控訴人らが主張する人格権の基礎(生命の安全,身体の健康)にも連なる内容,性格を持つ重要なものであるというべきである。 4 共同命令の適合及び浸出水漏洩の蓋然性次に,本件処分場が共同命令に適合しているか,適合しているとしてもなお浸出水漏洩の蓋然性が認められるか,について判断する。(なお,控訴人らは,控訴人らが具体的に指摘した以外の点については,被控訴人において共同命令の適合性を主張立証する必要性がないことを認めている(当審における平成13年11月16日進行協議期日調書参照)。)なお,控訴人らは,廃掃法施行規則4条1項6号の「ごみの保有水及びごみの処理に伴い生ずる汚水または廃液が漏れ出し,及び地下に浸透しない構造のものであること」との規定を根拠に,共同命令適合性の判断にあたっては,被控訴人において,本件処分場からは,未処理の浸出水を一滴も漏らさないことについて主張・立証責任を負うと主張する。しかし,前記第2の1(3)で判示した廃掃法の趣旨からすると,同施行規則は,処分場からの浸出水により公共の水域及び地下水が汚染されることを防止するために有効な措置をとるべきことを命じているものと解されるのであって,同施行規則が「最終処分場からは,未処理の浸出水を一滴も漏らさない。」ことを要求しているとの控訴人らの主張は独自の見解であって採用することができない。 (1) 本件計画地の地盤ア控訴人らは,「本件計画地の基礎地盤を構成している岩石は結晶片岩であり,片理が発達し,その片理の方向は南落ちで流れ目になっているため,南側(下流側)に向けて地盤が滑りやすい。これらの岩石の風化部は軟弱化され,覆瓦構造を呈し,流動しやすい状態になっている。本件計画地には,活断層とこれに付随する複数の小断層が存在し,この断層運動により,本件計画地の構成岩 盤が滑りやすい。これらの岩石の風化部は軟弱化され,覆瓦構造を呈し,流動しやすい状態になっている。本件計画地には,活断層とこれに付随する複数の小断層が存在し,この断層運動により,本件計画地の構成岩石は破壊され,破砕帯が生じており,また,褶曲運動により弱くなっている構成岩石をさらに弱体化し,縦横に割れ目を生じたり,粘土を生じたりしていて,現地全域が軟弱地盤となっている。」と主張するところ,原審証人E(同人作成の意見書(甲59)も同旨),当審証人C(同人作成の意見書(甲188)も同旨),同F(同人作成の意見書(甲193,203及び265)も同旨)及び同G(同人作成の意見書(甲200の1及び217)も同旨)の各証言中には,同主張に沿う部分がある。 イ本件計画地の基盤岩そして,被控訴人が平成3年に行った環境影響調査の結果(乙88の12~26頁),平成6年に行った地質調査の結果(乙207の地質調査報告書),これらの調査結果を基本として実施された実施設計の際の地質調査の結果(乙213の656頁以下)によれば,本件計画地の基盤岩は砂質片岩,泥質片岩等を主体とする三郡変成岩類に属すること, この変成岩は,堆積岩等が地下の高温高圧下で再結晶したことにより生じた片状構造を有するため,薄く剥げやすい片理面を有していること, 右岸側は流れ盤(流れ目),左岸側が受け盤・攻撃斜面となること, 砂質片岩や緑色片岩は,この片理面の走行と不規則に斜交する節理(割れ目)を有しているため,予定地付近の結晶片岩はブロック状に割れやすい性質を有していること,本件計画地周辺には,片理面に沿った流れ盤により発生したと考えられる地滑り地や崩壊地が数カ所存在すること,本件計画地の右岸側斜面の上流側には地滑り地形が見られ,また,右岸側泥質片岩部に地すべりの懸念される地形がある ,片理面に沿った流れ盤により発生したと考えられる地滑り地や崩壊地が数カ所存在すること,本件計画地の右岸側斜面の上流側には地滑り地形が見られ,また,右岸側泥質片岩部に地すべりの懸念される地形があることが認められる。さらに,上記各調査後,本件計画地より北方の寺尾川上流付近に,地滑りが発生した場所があることは,被控訴人も争っていない。 ウ地滑りの危険性についてしかし,平成3年の環境影響調査において,右岸斜面に地滑り地形が指摘されたことを受けて,平成6年に,右岸斜面の地すべり懸念地で3孔のボーリング調査が行われ,動態観測を目的として孔内にパイプ歪計(設置後に累積観測を行うことにより累積歪曲線からすべり面の存在を推定する手法)を設置し,今後,定期観測を行い,地すべり懸念地の動態について把握することになった(乙207の地質調査報告書)。 そして, 被控訴人は,平成12年,本件処分場の設計に先立ち,後記のとおりボーリング調査を行っているが,そのうち,右岸斜面の地すべり懸念地のボーリング孔(別紙ボーリング位置図表示の11-4,11-5,11-9,11-10,11-13,R-4の各地点。以下,ボーリング孔の特定は,すべて同図表示による。)において行われたパイプ歪計を用いた調査の結果によれば,観測期間中に1孔を除くその余の孔では累積変動は認められず,累積変動の認められた1孔においても,その変動量は100ms以下であって,地すべり面と判断される1000msに達しなかった(乙213の706~708頁)。また,ボーリング調査の結果によっても本件処分場の予定地付近のボーリング孔において過去に地すべりを起こしたことを示す連続した粘土層の存在は確認されていない(乙200の2の11~14,200の3の8~11,213の718~740頁)。そして,地すべりに 付近のボーリング孔において過去に地すべりを起こしたことを示す連続した粘土層の存在は確認されていない(乙200の2の11~14,200の3の8~11,213の718~740頁)。そして,地すべりに関する専門的研究者であるHは,現地踏査,地形図等の調査,地質調査の結果等を総合して,本件処分場の予定地の三郡変成岩は一般に大きな地すべりを発生させる傾向は少なく,予定地内に存在する広さ0. 4ha以下,厚さ5~10mの小規模の地すべり地形についても, パイプ歪計による動態観測結果を考察すると現時点では地すべり活動は認められず,予定地内に分布する地すべり地形のほとんどは右岸側の切土工で大部分の土塊を失って安定化し,その後も残るものはアンカー工等の防止工により安定化が可能であり,崩壊についてもロックボルト工等による法面工により安定化が可能であると指摘し(乙274の1・2),地質学者であるIも,資料の検討により,同様の指摘をしている(乙304)。 エ活断層,破砕帯等の存在についてIの同意見書(乙304)によれば,当審証人Fが指摘するとおり,本件計画地の北側に,東西に走る断層破砕帯が横切っていることが認められ,証拠(甲209,乙213の723頁)によれば,ボーリング孔11-6の深度16.60~18.40m中の岩には,鏡肌(断層運動に伴う摩擦のために断層の両側の岩盤上に生じた光沢のある面。甲239)が存在することが認められる。また,本件計画地内に小規模の破砕帯が存在することは,被控訴人も争っていない。 しかし,当審証人F及び同人作成の各意見書(甲193及び203)中,本件計画地内に活断層が存在し,断層運動により,現地全域は軟弱地盤となっていて,本件計画地に土木工事を行うことは危険であるとの部分は,これまで発表された地質調査研究において,本件計画地 203)中,本件計画地内に活断層が存在し,断層運動により,現地全域は軟弱地盤となっていて,本件計画地に土木工事を行うことは危険であるとの部分は,これまで発表された地質調査研究において,本件計画地内に活断層が存在するとの報告はなされていないこと(乙292の1・2,297~300,304),仮に,本件計画地内の断層が活断層とされる水縄断層系に連なる断層であるとしても,水縄断層の活動周期は約12,000年であり,次の活動は当分先と予測されること(乙298~300,304),本件計画地北側に存在する前記断層は大規模なものではなく,ボーリング調査結果・地質踏査・処分場建設に伴う岩盤の露出状況などを総合すると,本件計画地は破砕帯や軟弱地盤の分布地ではないし,岩石の風化部にも覆瓦構造や断層粘土帯の存在は認められないとのIの意見書(乙304)に照らし,採用することができない。また,証拠(乙304,310の1・2,312)によれば,地盤に小規模な断層や断層運動によって生じた破砕帯,鏡肌などが存在していても,そのことだけで,大規模建造物の建造に適さないとはいえず,支持岩盤に当該構造物の建設上十分な支持力があれば,大規模建造物の建造も問題がないことが認められる。なお,「建設省ダム基準」においても,断層など軟弱部分を有する基礎地盤にダムを建造する場合はコンクリート置き換え工事をすることを原則とする旨記載されており(甲216の176頁以下,181頁以下),断層が存在すればダム建設が不適当であるとはされていない。 (2) 本件計画地の地盤と本堤,区画堤,斜面の安全性ア共同命令(ア) 共同命令1条1項3号は次のとおり定めている。 地盤の滑りを防止し,又は最終処分場に設けられる設備の沈下を防止する必要がある場合においては,適当な地滑り防止 全性ア共同命令(ア) 共同命令1条1項3号は次のとおり定めている。 地盤の滑りを防止し,又は最終処分場に設けられる設備の沈下を防止する必要がある場合においては,適当な地滑り防止工又は沈下防止工が設けられていること。 (イ) 共同命令1条1項4号は次のとおり定めている。 埋め立てる一般廃棄物の流出を防止するための擁壁,えん堤その他の設備であって,次の要件を備えたものが設けられていること。 イ自重,土圧,水圧,波力,地震力等に対して構造耐力上安全であること。 イ本件計画地の許容支持力(ア) ボーリング調査の結果本件処分場付近の地質構造は,砂質片岩類を地質基盤とし,これを崖錐堆積物,沖積層,現河床堆積物等の未固結堆積物が覆う成層構造であり,埋立予定地の基盤をなす三郡変成岩(結晶片岩類)の層厚は3000メートルに達する(乙213の676頁)。地耐力の評価のため,ボーリング調査資料(コア)を観察して行う岩盤等級区分としては電研式岩盤分類が一般的であるが,これを修正した菊池・斉藤式岩盤分類は,岩質や割れ目の状態,風化の程度等を評価要素として,岩盤の堅固さの程度を堅固なものから崩壊し易いものまで,中硬質岩ではB,CH,CM,CL,Dの各級に分類している(乙213の663頁)。本件処分場建設予定地付近の地質調査の状況についてみると,被控訴人は,平成3年の環境影響調査時に合計11地点,平成6年の実施設計時に合計14地点について地質調査のためのボーリング調査を行ったが,その位置は,当時の計画に照らして,平成3年には本件処分場予定地の左岸及び下流地域を含む広い範囲で行われ(乙88の27頁,200の1,200の2の1~22,207の地質調査報告書),平成6年には主として本件処分場予定地及びその下流右岸側を主とする 処分場予定地の左岸及び下流地域を含む広い範囲で行われ(乙88の27頁,200の1,200の2の1~22,207の地質調査報告書),平成6年には主として本件処分場予定地及びその下流右岸側を主とする広い範囲で行われた(乙200の1,200の3の1~14,207の地質調査報告書)。さらに被控訴人は本件処分場の計画に当たり,平成11年に合計23地点についてボーリング調査を行ったが,その位置は本件処分場付近及び取付道路建設予定地付近の上流右岸側である(乙213の694頁)。以上の調査のうち,本件処分場の支持地盤に近接する地点のボーリング調査は,平成3年調査に係るものが2孔,平成6年調査に係るものが4孔,平成11年調査にかかるものが23孔合計29孔である(乙234。別紙ボーリング位置図参照)。被控訴人は,上記各ボーリング調査に基づき,菊池・斉藤式岩盤分類(中硬質岩)に則して,本件処分場付近の岩級区分を判定した。これによれば,本件処分場付近の岩盤は,深度約2~7メートル付近まではD級だが,それ以深は,一部D級を含むものの,概ねCM級及びCL級に属することが判明した(乙88の26~38頁,200の1,200の2の1~22,200の3の1~14,207の地質調査報告書,213の「地質調査」部分(特に677頁以下))。 そして,取壊し工計画平面図(乙223の1-12/195) により認められる本件処分場予定地付近の現況と, 別紙ボーリング位置図, 本堤構造図(乙223の1-38/195),本堤横断図(乙213の74頁)を対比すると, 本件処分場の本堤及び区画堤の直近の地盤のボーリング孔は,11-18,11-8,H6B-23,№7,H6B-22,11-11の各孔であると認められる。これらのボーリング柱状図によれば,№7では深度2.30mないし10. 画堤の直近の地盤のボーリング孔は,11-18,11-8,H6B-23,№7,H6B-22,11-11の各孔であると認められる。これらのボーリング柱状図によれば,№7では深度2.30mないし10.30mがCL級(乙88の32頁,乙200の2の14), H6B-22では深度2.14mないし4. 60mがCL級,4.60mないし10mがCM級(乙200の3の10,207),H6B-23では深度5.50mないし8.10mがCL級,8.10mないし9.50mがCM級,9.50mないし11.30mがCL級(乙200の3の11,207),11-8では深度4. 10mないし8mがCM級,8mないし9.12mがCL級,9.12mないし10mがCM級(乙213の725頁),11-11では深度4.21mないし8mがCL級(乙213の728頁),11-18では深度7.32mないし12.70mがCL級,12.70mないし15mがCM級,15mないし20mがCL級(乙213の735頁) の岩級区分である。 (イ) 一軸圧縮試験被控訴人が,本件計画地のボーリングコアの内,ボーリング孔11-8,11-11,11-18(2箇所)から岩盤等級CL級(一部CM級)に属する岩石を採取して実施した一軸圧縮試験の結果によれば,これらの一軸圧縮強度(岩石が破壊する強度)は,11-11の地点の岩盤で97.88㎏f/№ナあったほかは,いずれも100㎏f/〟i1000tf/ ㎡)以上を示した(乙213の705頁,302)。 (ウ) 標準貫入試験結果道路土工軟弱地盤対策工指針(社団法人日本道路協会)では,地盤の地耐力を判定するための標準貫入試験は土層の種類にかかわりなくN値15ないし20以上の層が連続して確認されるまで行うこととされているが(乙221),本件処分 指針(社団法人日本道路協会)では,地盤の地耐力を判定するための標準貫入試験は土層の種類にかかわりなくN値15ないし20以上の層が連続して確認されるまで行うこととされているが(乙221),本件処分場建設予定地の基礎地盤の標準貫入試験の結果によるN値は,ボーリング孔11-13及びR2においてD級ないしCL級の岩盤の位置において30ないし40Nの値を示したのを除き,CL級の岩盤の下部に存在するD級の岩盤部分を含めて,いずれも40N以上(大部分は50N以上)の値を示した(乙200の2の11・13,200の3の8~11,213の719頁~740頁)。 (エ) 被控訴人の許容支持力判断指針は,最終処分場の貯留構造物の構造について,埋立地の地形,地質,土質の条件及び貯留構造物の必要高さ等を勘案して決定するものとする旨定め(甲153,乙171),指針解説は,貯留構造物の適切な種類・構造形式を選定したうえで,具体的な仕様・寸法等の決定(設計)を行うものとし,設計に当たっては選定した種類・構造形式に類似の構造物の既存の設計基準に準拠して行うことを原則とするとし,擁壁については日本道路協会の定める道路土工・擁壁工指針に準拠することとしている(甲153の58頁)。そして,道路土工・擁壁工指針は,地盤の許容支持力は,原位置試験などを行って決定することを原則とし,標準貫入試験によるN値,一軸圧縮試験,三軸圧縮試験などの結果を検討して決定したせん断抵抗角φ,粘着力cを用いて同じく日本道路協会の「道路橋示方書・同解説Ⅳ下部構造編」により求める場合と,平板載荷試験により地盤の直接的な降伏荷重を求める(ただし,支持力を決定するときは,平板載荷試験の結果だけではなく,N値,土質試験結果など総合的に判断して求めなければならない。)場合があるとしている(乙2 試験により地盤の直接的な降伏荷重を求める(ただし,支持力を決定するときは,平板載荷試験の結果だけではなく,N値,土質試験結果など総合的に判断して求めなければならない。)場合があるとしている(乙222の1)。そして,道路橋示方書・同解説Ⅳ下部構造編は,地盤の許容鉛直支持力は地盤の極限支持力に対して常時3,地震時2の安全率を確保するものとし,地盤の極限支持力を算出する静力学公式(荷重の偏心傾斜を考慮したもの)を与え,同公式には地盤の粘着力cが変数として含まれ,また,地盤の極限支持力を平板載荷試験により求める場合には,載荷試験の結果により確認した地盤の粘着力c及びせん断抵抗角φを用いて同公式により算出するものとしているが,その一方,上記公式の解説中において,岩盤の極限支持力は亀裂,割れ目等により左右されるため地盤定数の評価には不確定な要素が多く,上記公式により極限支持力を推定することは困難であるから,岩盤においては設計の実績を考慮し,母岩の一軸圧縮強度を目安として,最大地盤反力度の上限値内において岩盤の支持力を見積もるべきであるとし,亀裂の多い硬岩の一軸圧縮強度が100㎏f/№フ場合の最大地盤反力度を常時100tf/㎡,地震地150tf/㎡とし,軟岩・土丹の一軸圧縮強度が10㎏f/№フ場合の最大地盤反力度を常時60tf/㎡,地震時90tf/㎡としている(乙222の2)。 被控訴人は,前記(ア)から(ウ)の調査結果に基づき,本件処分場の支持地盤がCL級(一部CM級)の岩盤に属し,岩石の一軸圧縮強度は最低でも97.88㎏f/〟i978.8tf/㎡)であり,N値は50以上であることなどを総合して,本件処分場の貯留構造物(本堤及び区画堤)の支持地盤の許容支持力度を常時60tf/㎡,地震時は90tf/㎡と判断し,埋立物及び覆土の土質定数を基に )であり,N値は50以上であることなどを総合して,本件処分場の貯留構造物(本堤及び区画堤)の支持地盤の許容支持力度を常時60tf/㎡,地震時は90tf/㎡と判断し,埋立物及び覆土の土質定数を基に,本堤及び区画堤を設計した(乙213の87頁~551頁)。さらに,本堤及び区画堤の建設工事において掘削を行った際に,支持地盤となる位置に岩盤等級がCL級を下回る土砂等が存在していた場合は,これをコンクリートに置き換える等の対策を行う計画であり,既に本堤及び区画堤の一部の基礎部分に一部土砂が存在するものと見込まれているため,これをコンクリートに置き換える予定である(乙213の72頁,223の1-38~42/195,233の16・18・55項,原審証人A)。また,被控訴人は,このようにして決定した許容支持力が実際の地盤で確保できるかどうかについて,区画堤の施工時に,平板載荷試験を適宜実施しており,これまで問題となるような試験結果はない(乙320の1~3)。 以上によれば,被控訴人の算出した許容支持力及びこれに基づく本堤及び区画堤の設計施工は,指針及び道路土工・擁壁工指針に適合し,共同命令1条1項3号及び4号の要件を充足すると認められる。 (オ) 控訴人らの主張について控訴人らは,被控訴人の行った許容支持力の算出方法は信頼性がないと主張し,原審証人E及び同G(同人作成の意見書(甲200の1及び217)も同旨)の証言中には,同主張に沿う部分がある。しかし,被控訴人が実施した一軸圧縮試験の供試体の採取箇所は,いずれも本堤ないし区画堤の設置個所に近接したボーリング孔から採取したコアのうち,支持基盤とする予定であるCL級(一箇所はCM級)の岩盤であること,被控訴人が実施したボーリング調査の結果からすると,本件計画地の地盤は,本堤や区画堤の基 接したボーリング孔から採取したコアのうち,支持基盤とする予定であるCL級(一箇所はCM級)の岩盤であること,被控訴人が実施したボーリング調査の結果からすると,本件計画地の地盤は,本堤や区画堤の基礎底面高付近では,一部にD級部分が含まれるもののほとんどがCL級以上であり,基盤岩の種類もほぼ同じであると認められること,被控訴人は,一軸圧縮試験の結果のみから許容支持力を算出したものではなく,同試験結果は許容支持力決定のための目安として使用されたにとどまること,被控訴人は,一軸圧縮試験結果の平均値から許容支持力を算出したわけではなく,最も低い値の近似値である100㎏f/〟i1000tf/㎡)を目安にし,さらにその10分の1の10㎏f/№ノ相当する軟岩・土丹の最大地盤反力度を採用していること,本件計画地の支持地盤のN値はほとんど40N以上(大部分は50N以上)の値を示していることなどからすると,本件計画地の支持地盤の許容支持力についての前記被控訴人の判断は十分信頼することができるものである。 なお,前記ボーリング調査の各ボーリング柱状図には,CL級の岩盤中にも指圧で容易に崩れるなどの記載があり,また,CL級の岩盤の下にD級の岩盤が存在する箇所もあるし(乙200の1,200の2の1~22,200の3の1~14,207の地質調査報告書,213の「地質調査」部分),これらのボーリングコアの写真を見ると,コアが瓦礫状に崩れているように見える箇所がある(甲208,209)ところ,当審証人F及び同Gは,これらは本件計画地の地盤が風化していることを物語っており,このような地盤に本件処分場を建設することには無理がある旨証言する。しかし,前記のとおり,これらの指圧で崩れるような岩盤も,N値は概ね50以上であり,片理岩は片理沿いに剥離した岩片は指圧で崩せ り,このような地盤に本件処分場を建設することには無理がある旨証言する。しかし,前記のとおり,これらの指圧で崩れるような岩盤も,N値は概ね50以上であり,片理岩は片理沿いに剥離した岩片は指圧で崩せても,片理が密着した岩塊状態では相当の強度を有するものであって,原位置ではコアのように解放された状態ではないため,岩盤自体が指で崩れるようなことはなく,実際には岩塊としての強度を有するものと考えられるのであり(乙188,213の705頁,233),前記当審証人F及び同Gの証言部分は採用することができない。 また,控訴人らは,本件計画地の支持地盤より下に破砕帯等が存在する危険性が高いと主張するが,「建設省ダム基準」は,断層その他の軟弱層が地下深くにまで続いている場合であっても,ダムの高さ,断層の位置及び規模等を解析して決定した深さのコンクリートで置き換えることで基礎地盤の強度が得られるとしており(甲216の181頁以下),断層その他の軟弱層が存在しても,コンクリートによる置換え等の適切な処理によりダムのような大型建造物を建設することは十分に可能であると認められる。 そして,被控訴人は,このようにして決定した許容支持力が実際の地盤で確保できるかどうかについて,平板載荷試験を施工時に適宜実施し,その結果に応じてコンクリート置き換え工事を実施している(乙305,320の1~3)のであって,本件処分場の貯留構造物は,本件計画地の地盤強度への適合性,構造上の安全性に問題はないと認められる。なお,控訴人らは,本件処分場工事現場の撮影写真(甲262の1~5)によれば,区画堤建設場所の基礎地盤は岩盤ではなく,脆弱な地盤である旨主張するが,同写真から,そのような事実を見取ることはではない。 なお,控訴人らは,N値では岩盤の善し悪しは分からないとも主張す によれば,区画堤建設場所の基礎地盤は岩盤ではなく,脆弱な地盤である旨主張するが,同写真から,そのような事実を見取ることはではない。 なお,控訴人らは,N値では岩盤の善し悪しは分からないとも主張するが,前判示のとおり,被控訴人は基礎地盤の許容支持力判定の一つの資料としてN値を参照したのであって,もっぱらN値により判定したわけではないから,この主張は,前記判断を左右するものとはいえない。 ウ本堤の設計の誤り(ア) 設計基準について控訴人らは,指針解説により,本堤のような重力式コンクリート堤を貯留構造物として建造する場合には,「建設省ダム基準」を基準にして設計しなければならないと主張する。そして,指針解説は,「貯留構造物の種類・構造形式とその選定」の「設計基準」の項目で,「構造物の設計に当たっては,選定した種類・構造形式に類似の構造物の設計基準がすでにあるので,それに準じて行うことを原則とする。貯留構造物の種類に対応する既存の設計基準は次のとおりである。」として,コンクリート堤については,「建設省ダム基準」を挙げており(甲153の58頁),当審証人Gの証言中には,控訴人らの主張に沿う部分がある。 しかし,指針解説は,「最終処分場施設のうち,例えば,貯留構造物が貯水ダムに類似しているとはいえ,保有する機能や目的に相異点は少なくない。このため施設の計画・設計に関しては,その施設の持つ目的と必要な機能に応じた設計基準が採用されるべきである。」(甲153の30頁)ともしているのであって,証拠(乙305,317)によれば,「建設省ダム基準」は貯水を目的としたダムに適合するものであり,指針解説がコンクリート堤の設計基準として「建設省ダム基準」を挙げていたのは,処分場内に保有水が滞留することを想定していたからであって,処分場内に保有水が滞留し 目的としたダムに適合するものであり,指針解説がコンクリート堤の設計基準として「建設省ダム基準」を挙げていたのは,処分場内に保有水が滞留することを想定していたからであって,処分場内に保有水が滞留しない構造の処分場の場合は,その貯留構造物の設計基準を「建設省ダム基準」とする根拠は失われており,必ずしもこれを基準とする必要はないと認められ,控訴人らの上記主張は採用することができない。 (イ) 本堤下の破砕帯の存否及びその危険性控訴人らは,被控訴人の設計は,本堤の下をくぐる形で存在する破砕帯の危険性について検討していないと主張し,当審証人F及び同Gは,その旨証言する。しかし,前記ボーリング調査の結果によれば,本堤の下に一部土砂が存在することが認められるが,同部分に断層粘土や地滑り運動が認められないことは前判示のとおりである。また,前記のとおり,被控訴人は,土砂が存在すると見込まれる本堤及び一部の区画堤の基礎部分をコンクリートに置き換える予定であり,本堤の下に土砂化した層があると仮定して,区画堤全体を含む広い範囲での滑り破壊に対する安定検討を円弧滑りにより実施したところ,十分安全な値が得られている(乙318)。 なお,当審証人Fは,本堤の下を通る破砕帯ではパイピング現象が生じる危険性が極めて高い旨証言するが,前記のとおり,本堤下の基礎部分はコンクリートに置き換えるうえ,本件計画地のボーリング孔を利用した現場透水試験結果では,本件計画地の基礎地盤の透水性は10マイナス3乗ないし10マイナス4乗㎝/secオーダーであって透水性は低く(乙213の713頁),後記のような地下水集排水設備を備えた本件処分場において,本堤の下にみず道ができ,パイピング現象が生じる危険性があるとは認められない。 (ウ) 本堤の形態を考慮しない許容支持力の検 13の713頁),後記のような地下水集排水設備を備えた本件処分場において,本堤の下にみず道ができ,パイピング現象が生じる危険性があるとは認められない。 (ウ) 本堤の形態を考慮しない許容支持力の検討当審証人Gは,本堤は,底辺部分よりも上辺部分が大きい台形で,不安定な形になっているのに,被控訴人は,この本堤の不安定な形状を考慮した安定性の検討をしていない旨証言する。しかし,実施設計では,本堤の張り出し部に対する本堤底面の支持力については計算の上,本堤底面により張り出し部を支える構造としている(乙213の181頁)のであって,本堤が張り出し部に傾くなどして上記安定計算の結果を超える荷重が張り出し部にかかることを認めるに足りる証拠はない。 (エ) 控訴人らは,本堤及び区画堤の基礎について,本件計画においては土砂部分をコンクリートに置き換える計画であることについて,これにより不等沈下が生じるおそれがあると主張する。 前記のとおり,本件計画においては,既に本堤及び一部の区画堤の基礎部分に一部土砂が存在するものと見込まれているため,被控訴人はこれをコンクリートに置き換える予定である(乙223の1-38・51/195)。また, 現在の計画においては, その余の区画堤の基礎部分はすべて軟岩Ⅰ(土砂・岩区分の軟岩Ⅰは基本的に岩盤等級区分のCL級に相当するものとされている。乙213の665頁)以上の岩盤に接する見通しである(乙223の1-21~24/195)。もっとも, 逆T擁壁展開図(乙223の1-49/195)によれば,区画堤のフーチングの底部の標高は同図の①ないし④区画堤が206m,⑤ないし⑩区画堤が大部分210mとされているところ,前記のとおりこれら区画堤に近接すると認められるボーリング孔の柱状図によれば,ボーリング孔No7においては21 同図の①ないし④区画堤が206m,⑤ないし⑩区画堤が大部分210mとされているところ,前記のとおりこれら区画堤に近接すると認められるボーリング孔の柱状図によれば,ボーリング孔No7においては210.90m以下がCL級(乙200の2の14),同H6B-22においては210.44m以下がCL級(乙200の3の10),同11-11においては213.85m以下がCL級(乙213の728頁) であるものの,ボーリング孔H6B-23においては標高206m付近はD級の岩盤(土砂・岩区分における土砂)であり,CL級の岩盤は標高205.36m以下に存在するものとされている(乙200の3の11)。したがって, 現実の工事においては,ボーリング孔H6B-23に近接する②擁壁のフーチングの底部にCL級の岩盤が接しないこともありうるものとは考えられるが,前記のとおり本件処分場の基礎地盤の岩石試験の結果によれば,CL級に属する岩石の一軸圧縮強度は概ね1000tf/㎡であると認められることに照らすと, 施工されるコンクリート置換工事の影響により区画堤の基礎部分の置換えコンクリートを含めた全体の荷重が地盤の地耐力を超え, 不等沈下が生じるおそれがあると推認することはできない。 エ斜面の地滑り防止策(ア) 被控訴人の実施する地滑り防止策被控訴人は,切土による法面勾配は垂直:水平=1:0.7で計画しているところ,平成3年の環境影響調査において,同程度の勾配の場合は,法面保護工を施工すべきであるとされた(乙88の42頁~45頁)ことなどを受けて,被控訴人は,法面について,次のとおりの地滑り防止工事をすることとしている(乙213の21頁)。 右岸側斜面部は,埋立容量確保のため切土を行う。その切土勾配は垂直:水平=1:0.7であり,法面部の安定勾配を確保できない部 ,次のとおりの地滑り防止工事をすることとしている(乙213の21頁)。 右岸側斜面部は,埋立容量確保のため切土を行う。その切土勾配は垂直:水平=1:0.7であり,法面部の安定勾配を確保できない部分が生じる。これによる円弧滑りを防止するため,その一部(その箇所は実施設計図の法面工展開図(乙223の1―28/195)表示のとおり)には永久アンカーを岩部まで打ち込んで固定し,法面表面にコンクリート枠を施工して, 表面と岩部を一体化させて法面の安定を図る永久アンカー工を施工する。また, 他の部分(その箇所は同展開図表示のとおり)には,法面の表土の小崩落対策として, 切土補強土工法設計・施工要領(日本道路公団)に基づき,ロックボルト(鋼棒)工を施工する(乙203,213 の21頁~66頁,223の1-14・15・28/195)。 そして,証拠(乙213の21頁~66頁,224の1・2,238,239)によれば,被控訴人は,上記アンカー工及びロックボルト工の設計に当たって,円弧滑り計算や強度計算をした上,設置個所,設置本数等を決定したことが認められ,前記環境影響調査及び専門家の意見(乙274の1・2,304,305)によれば,本件計画地の基盤岩が片理面を有し,右岸側が流れ盤であり,基盤岩が片理面と斜交する節理によりブロック状に割れやすいこと,その割に勾配がやや急であること(「道路土工のり面工・斜面安定工指針」には「一般に流れ盤の場合,全直行10m以上の法面では1:0.8より急な勾配は採用しない方がよい。」との記載がある。甲160の150頁)などを考慮しても,被控訴人の上記工法は,本件計画地の法面の地滑り防止対策として十分であり,共同命令1条1項3号を充足するものと認められる。 控訴人らは,本件処分場の予定地の土砂層には砂や粘土の他に どを考慮しても,被控訴人の上記工法は,本件計画地の法面の地滑り防止対策として十分であり,共同命令1条1項3号を充足するものと認められる。 控訴人らは,本件処分場の予定地の土砂層には砂や粘土の他に角礫が多く混入し,地層にばらつきがあるから,被控訴人の行った均一地層を前提とする円弧すべりによる法面の安定解析の方法は信頼性がなく,複合すべりによる安定解析を行うべきであると主張する。しかし,控訴人らは,複合すべりによる安定解析によれば,被控訴人の予定している永久アンカー工等の法面工法が安全性の基準を満たしていないことになると主張・立証しているわけではなく,控訴人らの上記主張は,本件処分場の法面工事が危険であることを裏付けるに足りるものとはいえない。 (イ) 透水マットによる不等沈下の可能性控訴人らは,本件処分場の埋立地の法面部分に敷設される透水マットによる不等沈下の危険性についての検討がなされていないと主張する。 しかし,本件処分場の埋立地の法面部分の施工は,地山上に幅20㎝,厚さ3㎝,長さ約20ないし30mの透水マットを4m間隔で上下方向に設置し,これを含めた地山全体に厚さ10㎝(したがって透水マット上は厚さ7㎝)のコンクリートの吹きつけを金網入りで施工し,その上部に基布を含む状態でゴムアスファルトを吹きつけるものである(乙223の1-10・114・183/195) 。したがって,その施工状況断面は別紙地下水集排水工構造図のとおりであり,透水マット上部のコンクリートは,その周囲のコンクリートに支えられている形になっている。そして,透水マット周囲への荷重は,埋立廃棄物と7㎝厚さのコンクリートであることなどからすると,透水マット周囲のコンクリートは上載荷重を支えきれずに不等沈下を起こすことは考えがたいというべきであって,控訴人 水マット周囲への荷重は,埋立廃棄物と7㎝厚さのコンクリートであることなどからすると,透水マット周囲のコンクリートは上載荷重を支えきれずに不等沈下を起こすことは考えがたいというべきであって,控訴人らの主張は採用することができない。 (3) 貯留構造物(本堤及び区画堤)からの保有水漏出の危険性ア(ア) 擁壁等の腐食防止措置について,共同命令1条1項4号は次のとおり定めている。 4号埋め立てる一般廃棄物の流出を防止するための擁壁,えん堤その他の設備であって,次の要件を備えたもの(略)が設けられていること。 ロ埋め立てる一般廃棄物,地表水,地下水及び土壌の性状に応じた有効な腐食防止のための措置が講じられていること。 (イ) また,擁壁等の有すべき遮水設備について,共同命令1条1項5号は次のとおり定めている。 5号埋立地(略)からの浸出液による公共の水域及び地下水の汚染を防止するための次に掲げる措置が講じられていること(略)。 イ埋立地(略)には,一般廃棄物の投入のための開口部及びニに規定する保有水等集排水設備の部分を除き,一般廃棄物の保有水及び雨水等(保有水等)の埋立地からの浸出を防止するため,次の要件を備えた遮水工又はこれと同等以上の遮水の効力を有する遮水工を設けること(略)。 (1) 次のいずれかの要件を備えた遮水層又はこれらと同等以上の効力を有する遮水層を有すること。ただし,遮水層が敷設される地盤(基礎地盤)のうち,その勾配が50%以上であって,かつ,その高さが保有水等の水位が達するおそれがある高さを超える部分については,当該基礎地盤に吹きつけられたモルタルの表面に,保有水等の浸出を防止するために必要な遮水の効力,強度及び耐久力を有する遮水シート(遮水シート)若しくはゴムアスファル る高さを超える部分については,当該基礎地盤に吹きつけられたモルタルの表面に,保有水等の浸出を防止するために必要な遮水の効力,強度及び耐久力を有する遮水シート(遮水シート)若しくはゴムアスファルト又はこれらと同等以上の遮水の効力,強度及び耐久力を有する物を遮水層として敷設した場合においては,この限りでない。 (ウ) 留意事項は, 上記の共同命令1条1項4号ロに関して,「コンクリート,鋼材等は接触する水等の性状により腐食される場合があり,コンクリートについては,酸,海水,塩類,動植物油類等が影響を及ぼすことが知られているので十分注意することが必要である。コンクリートの腐食防止対策として,その配合設計,打ち込み,養生等の施工管理での対応のほか,樹脂等による被覆,塗装,アスファルト被覆等の措置がある。」とし,指針解説も「コンクリートの腐食対策は,コンクリートがアルカリ性を失わないように化学物質との接触を断つこと及び水密なコンクリートをつくり,化学物質が内部へ侵入しないようにすることが基本となる。このためにはコンクリートの配合設計,コンクリートの打込み,養生等の施工管理が重要である。このほかの腐食対策としては,コンクリート塗装,アスファルト被覆がある。」としている(甲153の70頁)。 イ本件処分場の貯留構造物(本堤及び区画堤)及び斜面の腐食防止措置及び遮水工は,次のとおりであると認められる。 (ア) 本件処分場の本堤及び区画堤については,コンクリート本体の表面にゴムアスファルトの吹きつけが施工される(乙213の584頁~586頁,乙223の1-116/195)。ゴムアスファルト吹き付けの手順は,①基布敷設工,②ゴムアスファルト吹き付け,③トップコート吹き付けからなる(乙203,233の28項)。また,本堤及び区画堤は,鉄筋コンクリー -116/195)。ゴムアスファルト吹き付けの手順は,①基布敷設工,②ゴムアスファルト吹き付け,③トップコート吹き付けからなる(乙203,233の28項)。また,本堤及び区画堤は,鉄筋コンクリートであり,ひび割れには,鉄筋による抵抗と一定間隔に継目を設けて対応し,継目には止水版を施す(乙223の1-38・51~60/195,233の61項)。 (イ) 埋立地斜面部については,地山上に厚さ10㎝のコンクリート吹きつけ(鉄筋金網敷設)を施工し,その上にゴムアスファルトの吹きつけを施工する(乙213の584~586頁,223の1-114・115/195)。その法面の勾配は切土部(西側斜面)が垂直:水平=1:0.7,盛土部(北側斜面)が垂直:水平=1:1.0を原則とし(乙213の586頁,223の1-1・13・16・19~23/195),これらの勾配はいずれも50%(垂直:水平=1:2)を超える。 (ウ) そして,後記のとおり,本件処分場の貯留構造物及び埋立地斜面部は,保有水等の水位が達する高さ(これは浸出水集排水管の位置と認められる)を超える部分であり(乙223の1-14・15/195。別紙本体標準横断図(1)参照),かつ,その法面の勾配はいずれも50%を超えると認められる(乙223の1-14・15・38・49~60/195。別紙本体標準横断図(1),本体縦断図参照)ことからすると,本件処分場の貯留構造物の遮水工計画は共同命令1条1項4号及び5号の要件を充足するものと認められる。 ウ控訴人らは,「一般的に,コンクリート構造物は,アルカリ骨材反応,生コンへの不法加水,手抜き工事などの原因により,数年でひび割れ,水漏れが生じる。したがって,被控訴人において,区画堤が一般の鉄筋コンクリート構造物とは異なり,ひび割れ,腐食等が生じない特別な 応,生コンへの不法加水,手抜き工事などの原因により,数年でひび割れ,水漏れが生じる。したがって,被控訴人において,区画堤が一般の鉄筋コンクリート構造物とは異なり,ひび割れ,腐食等が生じない特別な理由が存することについて主張立証責任を負う。」旨主張する。 確かに,不適当な骨材の使用等によるアルカリ骨材反応(コンクリート中で,素材である岩石(骨材)中のシリカ分が強アルカリによって溶解する現象),不法加水,鉄筋の接合や配筋不良などの手抜き工事,塩化物イオンによる鉄筋の腐食,欠陥セメントの使用などにより,コンクリート建造物が短期間に劣化し,ひび割れたり崩壊することを指摘する文献が存在する(甲147)。また,前記ア(ウ)記載のとおり,留意事項や指針解説も,化学物質との接触等によりコンクリートが腐食する危険性を有することを指摘している。 しかし,上記文献も,設計どおりの品質のコンクリートは十分な強度と耐用年数を有しうることを前提とした上で(甲147の第2章),上記のような違法,不当なコンクリートの生産や施工が広く行われている現状を告発しているのであって,建築材料としてコンクリートを使用すること自体に危険性があるとしているわけではない。そして,コンクリートの品質は,JIS規格などで定められており,定められた製法や施工方法を遵守すれば,設計強度を有するものであり(甲216の187頁),上記文献が指摘する現状を考慮しても,コンクリート構造物は数年でひび割れ,水漏れが生じて使用に耐えなくなったり崩壊することが通常であるということはできない。したがって,本件処分場のコンリートから水漏れが生じると主張する控訴人らにおいて,その立証責任を負うというべきであるが,この点を認めるに足りる的確な証拠はない。なお,本件実施設計においては,使用するコンクリート 件処分場のコンリートから水漏れが生じると主張する控訴人らにおいて,その立証責任を負うというべきであるが,この点を認めるに足りる的確な証拠はない。なお,本件実施設計においては,使用するコンクリートの強度が記載されているところ(乙213の101頁,188頁,589頁など),前記のとおり,コンクリートの品質については規格が存在するから,上記記載により,使用すべきコンクリートの品質は明らかであると解される。結局,コンクリートが設計どおりの品質を保持するかどうかは,設計段階の問題ではなく,現実に施工される際に設計どおりの正しい施工がなされるか否かの問題であって,現時点では,本件擁壁が必ずひび割れをし,かつ,その補修が不可能で,そこから浸出水が漏出して控訴人らの健康を害すると認めるに足りる証拠はないというほかはない。 なお,控訴人らは,内野処分場の擁壁のひび割れ部分,腐食部分,継ぎ目部分から現実に浸出水が漏洩していると主張する。そして,控訴人ら側が撮影した同擁壁の写真には,擁壁ないしその継ぎ目部分からの漏水の模様が撮影されている(甲63の1~8,84の3,原審証人A)。しかし,同処分場が建設されたのは昭和47年ころ以前であり,同処分場と本件処分場とでは,最終処分場に対する法規制(内野処分場建設時の法規制について乙208,209)も,処分場の構造もごみの有害性に対する社会的認識も相当異なり,内野処分場の現状をもって,本件処分場の貯留構造物が必ずひび割れして浸出水が漏出するものと推認することはできないというべきである。そのうえ,内野処分場は被控訴人が昭和47年から平成12年3月まで焼却灰や不燃ゴミ等の埋立処理を行ってきた一般廃棄物の最終処分場であるが,平成10年から平成13年までの内野処分場周辺地下水の23項目の物質についての水質測定結果によ 和47年から平成12年3月まで焼却灰や不燃ゴミ等の埋立処理を行ってきた一般廃棄物の最終処分場であるが,平成10年から平成13年までの内野処分場周辺地下水の23項目の物質についての水質測定結果によれば,同地下水からはひ素以外は検出されておらず(乙284の1~5),ひ素については環境基準を上回っているが,乙288号証によれば,福岡県南地域の広範囲にわたって,地下水のひ素濃度が環境基準を上回っているところ,これは自然的要因によるものであると考えられることが認められる。そして,内野処分場からの浸出水により,その周辺地域の水や土壌等が汚染されたとか,周辺地域の住民について,これらの浸出水との因果関係を疑わせる何らかの健康被害がこれまでに発生したことを認めるに足りる証拠はない。 エ控訴人らは,ゴムアスファルトや止水版の強度と効果,維持管理の具体的な対策について,主張立証がないと主張する。 しかし,前記のとおり,ゴムアスファルトの使用は共同命令に適合しており,止水版の使用は共同命令において義務づけられていないから,これらの強度や効果等について問題があり,貯留構造物から浸出水が漏出して控訴人らの健康を害する蓋然性があることは,控訴人らにおいて具体的に主張,立証すべきであるところ,同事実を認めるに足りる証拠はない。 なお,指針解説は,アスファルト系シートは,急斜面,岩斜面に適用し,吹付けの管理をよくすれば遮水性は完全であり,材料の耐久性はかなりあると考えられていて,最終処分場の遮水工として適しているとしている(乙172の78頁)。そして,証拠(乙223の1-115・116/195,233の28~30項・65項)及び弁論の全趣旨によれば,本堤及び区画堤のゴムアスファルトは,直接コンクリートに吹き付けられるものではなく,コンクリートの上に釘等 23の1-115・116/195,233の28~30項・65項)及び弁論の全趣旨によれば,本堤及び区画堤のゴムアスファルトは,直接コンクリートに吹き付けられるものではなく,コンクリートの上に釘等により固定された基布の上に吹き付けられるのであって,基布との組み合わせにより,擁壁側面からのずれ落ちは防止され,さらにその上に施される保護層(トップコート)により,耐候性や防水機能も向上すること及びゴムアスファルトは,メーカーによれば,20年間屋外に暴露された場合においても性能を維持するとされていることが認められる。また,「建設省ダム基準」によれば,ダムの止水装置として本件と同様の止水版の使用が提唱されている(甲216の203頁)。 オ控訴人らは,本堤,区画堤及び埋立地斜面部分のコンクリート本体の表面にゴムアスファルトの吹きつけを施工することでは共同命令の基準を満たさないと主張する。 しかし,共同命令1条1項5号イ(1)但書は,遮水層が敷設される基礎地盤のうち,その勾配が50%以上であって,かつ,その高さが保有水等の水位が達するおそれがある高さを超える部分については,当該基礎地盤に吹きつけられたモルタルの表面に,保有水等の浸出を防止するために必要な遮水の効力,強度及び耐久力を有する遮水シート若しくはゴムアスファルトまたはこれらと同等以上の遮水の効力,強度及び耐久力を有する物を遮水層として敷設した場合においては,同項(イ)ないし(ハ) の遮水層を設けることを要しない旨規定しているところ,本件処分場の計画における浸出水集排水管の敷設される位置は埋立地底部の二重シートの上部に接しているから,本堤,区画堤及び埋立地斜面部分のうち埋立地底部以上の高さの部分は保有水等の水位が達する高さを超える部分であると認められ(乙223の1-14・15/195 地底部の二重シートの上部に接しているから,本堤,区画堤及び埋立地斜面部分のうち埋立地底部以上の高さの部分は保有水等の水位が達する高さを超える部分であると認められ(乙223の1-14・15/195。別紙本体標準横断図(1)参照),かつ,本堤,区画堤及び埋立地斜面部分の勾配は前記のとおりいずれも50%を超えると認められる(乙213の74頁・194頁,乙223の1-38・49~60/195)。控訴人らは,上記但書は保有水等が触れないと考えられる部分の遮水工について定めたものであるとの趣旨の主張をするが,一般に水位とは常時水が存在する水面の高さをいうのであり,また,そもそも保有水等が触れない部分について遮水工を施す意味はないうえ,廃棄物の間隙等に一時的に滞留する水が,50%以上の勾配をもって敷設された遮水層と廃棄物等との間隙を流下せずに遮水層中に浸透するのは水圧その他どのような条件が存在する場合であるのかについて,何らの立証はないから,控訴人らの解釈は合理性を欠き採用することができない。また,控訴人らは,埋立地内に保有水等が滞留すると主張するが,本件処分場の浸出水集排水設備及び浸出水調整槽の計画は,留意事項に従い,久留米市における降雨状況を勘案して策定され,埋立地内に滞留水を発生させない計画とされていることは後に認定するとおりであるから,控訴人らの主張は採用することができない。 また,控訴人らは,モルタルとコンクリートを比較すると,コンクリートには粗骨材が含まれるので遮水の効力が劣るとも主張するが,一般にコンクリートは透水係数が毎秒0.01nm以下(乙213の589頁)とされるが, モルタルはコンクリートの構成要素から粗骨材を除外したものに過ぎないから,コンクリートがモルタルより水を透しやすいと考えることはできず,採用しがたい。 以下(乙213の589頁)とされるが, モルタルはコンクリートの構成要素から粗骨材を除外したものに過ぎないから,コンクリートがモルタルより水を透しやすいと考えることはできず,採用しがたい。 (4) 底部遮水工ア共同命令1条1項5号は,底部遮水工について,次のとおり定めている。 5号埋立地(略)からの浸出液による公共の水域及び地下水の汚染を防止するための次に掲げる措置が講じられていること(略)。 イ埋立地(略)には,一般廃棄物の投入のための開口部及びニに規定する保有水等集排水設備の部分を除き,一般廃棄物の保有水及び雨水等(保有水等)の埋立地からの浸出を防止するため,次の要件を備えた遮水工又はこれと同等以上の遮水の効力を有する遮水工を設けること(略)。 (1) 次のいずれかの要件を備えた遮水層又はこれらと同等以上の効力を有する遮水層を有すること。(ただし書き省略)(イ) 厚さが50㎝以上であり,かつ,透水係数が毎秒10nm以下である粘土その他の材料の層の表面に遮水シートが敷設されていること。 (ロ) 厚さが5㎝以上であり,かつ,透水係数が毎秒1nm以下であるアスファルト・コンクリートの層の表面に遮水シートが敷設されていること。 (ハ) 不織布その他の物(二重の遮水シートが基礎地盤と接することによる損傷を防止することができるものに限る。)の表面に二重の遮水シート(当該遮水シートの間に,埋立処分に用いる車両の走行又は作業による衝撃その他の負荷により双方の遮水シートが同時に損傷することを防止することができる十分な厚さ及び強度を有する不織布その他の物が設けられているものに限る。)が敷設されていること。 (2) 基礎地盤は,埋め立てる一般 水シートが同時に損傷することを防止することができる十分な厚さ及び強度を有する不織布その他の物が設けられているものに限る。)が敷設されていること。 (2) 基礎地盤は,埋め立てる一般廃棄物の荷重その他予想される負荷による遮水層の損傷を防止するために必要な強度を有し,かつ,遮水層の損傷を防止することができる平らな状態であること。 (3) 遮水層の表面を,日射によるその劣化を防止するために必要な遮光の効力を有する不織布又はこれと同等以上の遮光の効力及び耐久力を有する物で覆うこと(略)。 イ本件処分場の遮水工の要件である底部遮水層の計画は次のとおりであると認められる。 (ア) 埋立地底部については,地山上に厚さ50㎝のコンクリート版(鉄筋金網敷設)を敷設し,その上に厚さが50㎝であり,透水係数が毎秒10nm以下である不透水性改良地盤を敷設し,その上に二重シートを敷設し,二重シートの上下には不織布を敷設する(乙213の13頁・584~588頁,223の1-14・15/195)。なお,共同命令1条2項8号は,一般廃棄物の最終処分場の維持管理の基準として,埋め立てる一般廃棄物の荷重その他予想される負荷により(略)遮水工が損傷するおそれがあると認められる場合には,一般廃棄物を埋め立てる前に遮水工の表面を砂その他の物により覆うこととしているところ,被控訴人は,二重シートの上に厚さ50㎝の保護砂を敷設する計画である(乙223の1-14・15/195)。不透水性改良地盤は,粘土等の土質材料にセメント,ベントナイト等の安定剤を添加する方法が予定されている(乙213の584~588頁)。 (イ) 本件処分場付近の地質構造及び岩盤の強度は前記のとおりであり,本件処分場の埋立地底部の岩盤に対する鉛直荷重は,埋立予定廃棄物の土 加する方法が予定されている(乙213の584~588頁)。 (イ) 本件処分場付近の地質構造及び岩盤の強度は前記のとおりであり,本件処分場の埋立地底部の岩盤に対する鉛直荷重は,埋立予定廃棄物の土質試験結果(乙213の89・90頁) を基に算定すると49.8tf/㎡である(乙220)。また,遮水シート下の不透水性改良地盤の下には厚さ50㎝のコンクリート版が敷設され,平滑に整形される(乙213の13頁,223の1-14・15・117/195)。 (ウ) 埋立地底部の二重シートは,遮光の効果を有する不織布で全面を覆い,その上に保護砂を敷設し,埋立地斜面部等のゴムアスファルト吹きつけ部は,その表面に遮光の効果を有するトップコート(保護層)を吹きつける計画である(乙203,213の13頁)。 以上によれば,本件処分場の底部遮水工は,共同命令1条1項5号の要件を充足すると認められる。 ウ(ア) 控訴人らは,本件処分場に使用される遮水シートは未だ決定されておらず,その性能はまったく証明されていないと主張する。しかし,証拠(乙280)及び弁論の全趣旨によれば,被控訴人は,遮水シートの性能の進歩性にかんがみ,現時点において使用製品を決定しておらず,当該工事施工前に請負業者から提出される承認願により,当該製品の性能や使用実績を審査したうえ,決定する予定であることが認められる。 また,被控訴人は,現在実用に供されている数種類の遮水シートのパンフレットを証拠として提出している(乙181~184)から,被控訴人は,少なくともこれらのパンフレットのシートと同程度以上の性能を有するシートを使用する予定であることが認められる。ところで,遮水シートの性能については,留意事項において,その材質に応じた厚さ,強度,耐久力,施工性について詳細な指示がされている(甲150の 能を有するシートを使用する予定であることが認められる。ところで,遮水シートの性能については,留意事項において,その材質に応じた厚さ,強度,耐久力,施工性について詳細な指示がされている(甲150のC256頁以下,乙247)が,控訴人らは,被控訴人がパンフレットを提出したシートが留意事項の上記指示に適合していないとの主張はしていないから,被控訴人の採用するシートは,共同命令及び留意事項に適合するものと推認することができる。なお,証拠(甲44)によれば,遮水シートは,現場では各種の条件が複合的に作用するため,実験結果より劣化が速いといわれているものの,少なくとも,評価試験においては,太陽光線,熱,オゾン,酸,アルカリに対して50年以上の耐久性を有していることが認められる。 控訴人らは,不織布の性能についても立証がないと主張するが,共同命令は,不織布について具体的な指定はしていないから,本件のような工事において,通常使用されている性能を有するものを使用することにより,共同命令の要件は充足するものと解される。 (イ) 控訴人らは,遮水シートは必ず破損すると主張する。そして,原審証人Eはこれに沿う証言をし,その旨の意見書を提出している(甲80)。 ところで,遮水シートは合成ゴム,合成樹脂,アスファルトなどから作られている(甲150Cの260頁)こと,処分場に敷かれるシートの面積が広大であること及び前記のとおり処分場現場では諸々の悪条件が複合的に作用する可能性があることなどからすると,シートが破損する可能性がまったくないとは断定できない。そこで,共同命令も,1条1項5号において,遮水シートの敷設以外に,地下水集排水設備,浸出水集排水設備,地表水の流入防止設備の設置を要求し,同条2項10号で処分場周縁の地下水の水質検査について規定し,これら 同命令も,1条1項5号において,遮水シートの敷設以外に,地下水集排水設備,浸出水集排水設備,地表水の流入防止設備の設置を要求し,同条2項10号で処分場周縁の地下水の水質検査について規定し,これらの総合的な対策によって,埋立地からの浸出液による公共水域及び地下水の汚染を防止しようとしているものと解されるし,被控訴人の底部遮水工の計画は,底部につき,遮水シートの下に不透水性改良地盤,さらにその下にコンクリート版を敷設して,これらが一体となって浸出水漏洩を防ごうとしているのである。したがって,控訴人らとしては,一般的に,遮水シートが破損する可能性があることを主張・立証するだけでは足りず,本件処分場においては,遮水シートの破損が必至であり,しかも,遮水シートの破損により,処分場から浸出水が漏洩し,公共の水域及び地下水が汚染され,控訴人らに被害が生じるおそれがあることを具体的に主張・立証すべきである。しかし,本件処分場において,遮水シートの破損が必至であり,これが破損すれば直ちに浸出水が漏洩することを認めるに足りる的確な証拠はなく,まして,これにより公共の水域や地下水が汚染されて控訴人らの健康が害されることについては,これを認めるに足りる証拠はない。 また,控訴人らは,埋立地底部の中央付近段差部分(別紙本体縦断図参照) について,コンクリート版の敷設の仕方によっては下端部と上端部の荷重の差によりコンクリートの割れ目が生じ,また,コンクリート版と埋立地斜面部との接合部及びコンクリート版と区画堤との接合部についても割れ目が生じると主張するが,同事実を認めるに足りる的確な証拠はない。コンクリート版も,その上の不透水性改良地盤,遮水シートと一体をなして遮水機能を果たすものであるから,コンクリート版に割れ目が生じたら,直ちに浸出水が漏洩すると即 を認めるに足りる的確な証拠はない。コンクリート版も,その上の不透水性改良地盤,遮水シートと一体をなして遮水機能を果たすものであるから,コンクリート版に割れ目が生じたら,直ちに浸出水が漏洩すると即断することはできないのである。 (ウ) シートの漏水の検知修復機能としては,前記シートのパンフレット(乙181~184)によれば,二重シートを袋構造とし,内部の真空圧を利用してシートの破損を検知し,注入剤を管理ホースを通じて送り込み,損傷部を塞ぐもの,粘着シートの粘着剤をシートと突起物との間に介在させ漏水を防ぐもの,パイプダクトを設置して自然流下方式で漏水を検知し,止水剤を注入するもの,遮水シートが損傷したとき,高吸水性樹脂が膨張して貫入物の周囲を塞ぐもの等があることが認められるところ,控訴人らは,この検知修復機能には実効性がない旨縷々主張する。しかし,共同命令は,遮水シートに検知修復機能が備わっていることを要求していないから,そもそも,検知修復機能の実効性の有無は,共同命令適合性判断に影響しない。なお,証拠(甲252,253の1・2,254)によれば,遮水シートの検知修復機能は,現段階ではいまだ完璧とはいいがたいが,検査体制が充実すれば一定の効果を発揮しうるものと認められる。 エ控訴人らは,不透水性改良地盤,底部のコンクリート版及び同コンクリート版の目地に施すゴム製止水版の各施工方法が不明で,いずれの施工も不可能である旨主張するが,これらの施工方法に関しては設計図が存しており(乙223の1-114~117/195),その実行が不可能であると認めるに足りる証拠はない。また,コンクリート自体の強度及び底部を含む本件計画地の支持地盤の強度についての判断は前記のとおりであり,底部のコンクリート版に割れ目が生じると認めるに足りる証拠はない。 認めるに足りる証拠はない。また,コンクリート自体の強度及び底部を含む本件計画地の支持地盤の強度についての判断は前記のとおりであり,底部のコンクリート版に割れ目が生じると認めるに足りる証拠はない。 オ控訴人らは,埋立廃棄物をセメント固化あるいはキレート処理しても,いずれは壊れたり効果を失ったりし,かえって,遮水工の寿命が尽きた後に有害物質が流出する危険性が高いと主張し,原審証人Bの証言中には同主張に沿う部分がある。しかし,その証言内容は,「キレート剤の効果は,その処理物の置かれた条件によって異なり,ミリグラム,ピコグラムというオーダーでは分解の可能性がある。セメント固化については専門分野ではないので分からないが,数十年のオーダーで安定しているかについては疑問がある。」とするにとどまり,他方,前記のとおり,セメント固化物の長期安定性を示唆する実験結果が存在すること(乙177の2,218の2,244)に照らすと,同証人の証言をもって,埋立廃棄物をセメント固化あるいはキレート処理しても,いずれは壊れたり効果を失って有害となると認定するには足りず,他に同事実を認めるに足りる証拠はない。そして,たとえキレート処理,セメント固化が半永久的に効力を有することはなく,これに過剰な期待をすることには問題があるとしても,より安全な最終処理のために,これらを行うことの相当性は疑う余地はないのであり,しかも,そもそも,本件処分場の埋立廃棄物は,セメント固化あるいはキレート剤処理前であっても,一応の安全性を認められることは前述のとおりであるから,控訴人らの主張は,前提を欠くというべきである。 (5) 浸出水排水設備についてア共同命令1条1項5号は次のとおり規定する。 ニ埋立地には,保有水等を有効に集め,速やかに排出することができる堅固で耐 ,前提を欠くというべきである。 (5) 浸出水排水設備についてア共同命令1条1項5号は次のとおり規定する。 ニ埋立地には,保有水等を有効に集め,速やかに排出することができる堅固で耐久力を有する構造の管渠その他の集排水設備(保有水等集排水設備)を設けること(略)。 ホ保有水等集排水設備により集められ,ヘに規定する浸出液処理設備に流入する保有水等の水量及び水質を調整することができる耐水構造の調整池を設けること(略)。 ヘ保有水等集排水設備により集められた保有水等(略)に係る放流水の水質を排水基準を定める総理府令(略)1条に規定する排水基準(略)及び廃掃法8条2項7号に規定する一般廃棄物処理施設の維持管理に関する計画に放流水の水質について達成することとした数値が定められている場合における当該数値(略)に適合させることができる浸出液処理設備を設けること。ただし,保有水等排水設備により集められた保有水等を貯留するための十分な容量の耐水構造の貯留槽が設けられ,かつ,当該貯留槽に貯留された保有水等が当該最終処分場以外の場所に設けられた本文に規定する浸出液処理設備と同等以上の性能を有する水処理設備で処理される最終処分場にあっては,この限りでない。 イ(ア) 本件処分場の保有水等集排水設備は次のとおりであると認められる。 埋立地底部の二重シートの上部に,不織布等により二重シートを保護したうえで,縦横断方向に,高密度ポリエチレン製の浸出水集排水管を敷設する。管径は,幹線内径が450㎜,支線内径が250㎜であり,孔径は5ないし9㎜程度であり,支線の敷設間隔は約10mである。浸出水集排水管の周囲はフィルター材として粒径50ないし150㎜の割栗石で覆う。これらの各要素の決定は指針解説に基づくものである(乙172,213の 9㎜程度であり,支線の敷設間隔は約10mである。浸出水集排水管の周囲はフィルター材として粒径50ないし150㎜の割栗石で覆う。これらの各要素の決定は指針解説に基づくものである(乙172,213の590~598頁,223の1-8・186・187/195,乙233の35・37・46項。別紙全体計画平面図,本体標準横断図(1)参照)。 (イ) 本件処分場の調整池は次のとおりであると認められる。 本件処分場では,原則として1日当たり2000沿ネ下の浸出水を夜間の8時間で公共下水道へ放流する計画であるため,浸出水を一旦貯留する浸出水調整槽を設ける。調整槽は有蓋式コンクリート製貯水槽である。その容量を算出する根拠となる降雨データについては,指針解説は原則として過去20年以上のデータを使用するものとし,また,降雨量時系列についても年降雨量の20年平均値にもっとも近似している年のそれを使用するものとしているが(乙250),本件処分場の計画では,これらについて久留米市における過去40年間の日降雨量の最大値(1990年6月15日・227㎜/日)に基づき算出される最大浸出水量(2398堰^日)を基礎として,これに基づき本件処分場(第1期)及び第2期に予定される第2処分場に係る浸出水量を合算した浸出水量に対応する容量として浸出水調整槽の容量を2400奄ニした(乙213の608頁,223の2-51~82/104,233の46項)。 (ウ) 本件処分場の浸出水は上記のとおり公共下水道へ放流し,終末処理場で処理するため,共同命令1条1項5号ヘ本文の浸出液処理設備は設置しない。 (エ) 以上によれば,本件処分場の浸出水(保有水)集排水設備及び浸出水調整槽は共同命令1条1項5号ニないしヘの要件を充足すると認められる。 ウ控訴人らは,本件処分場の浸出水集排水管及び しない。 (エ) 以上によれば,本件処分場の浸出水(保有水)集排水設備及び浸出水調整槽は共同命令1条1項5号ニないしヘの要件を充足すると認められる。 ウ控訴人らは,本件処分場の浸出水集排水管及び埋立廃棄物内は,カルシウムスケールやごみ等によって目詰まりするおそれがあるが,これに対する対策が考慮されていないので,本件処分場は共同命令に適合しないと主張する。 そして,控訴人らの指摘する文献(甲151の3)には,浸出水にはカルシウム分を多く含むこともあり,スケールが付着して排水管の内径が小さくなることがあるので余裕を持たせた管径にしておくのがよいとの記載があり(43頁),指針解説も,浸出水処理施設へ導水する送水管の項においてではあるが,スケールの発生のおそれについて記載している(乙172の101頁)。 しかし,前記本件処分場の集排水管の管径は,予想される浸出水量を速やかに排水するに必要な管径を十分上回っている(乙213の592頁~595頁)。また,フィルター材についても,指針解説が,浸出水集排水管の被覆材の選定に当たっては,ゴミ等による目詰まりが生じにくい粒度分布を有する材料であること,集水孔を塞いだり,被覆材が管内に流入しない大きさの粒径であること,埋め戻し材としての強度を有し耐久性の大きなものであることの諸点を考慮し,上記のとおり,フィルター材として粒径50ないし150㎜の割栗石が適当であるとしていること(乙172の102頁)に従っている。したがって,本件処分場の浸出水集排水管やフィルター材は,指針解説にも適合していると認められる(なお,控訴人らは,浸出水集排水管について,指針解説が地下水集排水管の目詰まり防止について挙げる3条件が検討されていないとも主張するが,指針解説は,浸出水集排水管については同3条件ではなく,上記のとお ,控訴人らは,浸出水集排水管について,指針解説が地下水集排水管の目詰まり防止について挙げる3条件が検討されていないとも主張するが,指針解説は,浸出水集排水管については同3条件ではなく,上記のとおりに記載しているのであるから,その目詰まりについては,前記の検討で足りるというべきである。)。 そして,カルシウムスケールについての上記文献の記述も,集排水管の管径に余裕を持たせ,フィルター材を使用することにより,集排水設備が十分機能することを前提としており,カルシウムスケールの発生により,浸出水集排水管や埋立廃棄物内が完全に目詰まりし,保有水が処分場内に滞留する事態が発生するおそれがあるとまでは記載しておらず,他にそのような事態が発生することを認めるに足りる証拠はない。 控訴人らは,内野処分場では,浸出水は常時,継続して滞留し,地下の集排水管は機能していない旨主張するところ,控訴人らが平成11年10月17日ころ撮影した内野処分場の写真には,処分場内に浸出水が滞留している模様が撮影されている(甲85の29~35,原審証人A)。しかし,証拠(乙233の66項・70項,287)によれば,被控訴人は,内野処分場内の浸出水排水用の第1号ポンプの能力が低下してきたため,平成10年4月25日ころ,外付けポンプを設置していたところ,平成11年6月23日第1号ポンプが故障したので外付けポンプだけを稼動させたこと,外付けポンプだけによる排水中には,浸出水が処分場内に滞留してしまっていたこと,しかし,同年11月11日に第1号ポンプの修理を完了し,その後は,浸出水が処分場内に滞留する事態は生じていないことが認められる。上記認定に反し,被控訴人が第1号ポンプの修理を完了したとする平成11年11月11日以降にも,内野処分場内に浸出水が滞留していると認めるに足り 処分場内に滞留する事態は生じていないことが認められる。上記認定に反し,被控訴人が第1号ポンプの修理を完了したとする平成11年11月11日以降にも,内野処分場内に浸出水が滞留していると認めるに足りる証拠はない。 なお,控訴人らは,「廃棄物埋立場における集水管の実態について」と題する第3回全国都市清掃研究発表会(昭和57年2月)における講演論文(乙242)中に記載された実験結果に関する数値は浸出水集排水管が短期間に容易に目詰まりすることを示していると主張する。しかし,同論文に記載された実験結果は,集水管とフィルター材の最適な組合せを調査するために行われた実験であって,集水効果に関しては,フィルター管又は有孔管と栗石との組合せによる集水管構造が最適であり,この場合には3年後においても集水効果は低下しなかったことは示されているものの,浸出水排水管による浸出水排水率自体を調べるための実験ではないため,蒸発水量や廃棄物の保有水量は測定等をしておらず(乙280参照),同論文を根拠に浸出水集排水管は短期間に容易に目詰まりすると認定することはできない。 エ控訴人らは,浸出水調整槽の容量について,処分場外の地表水,とりわけ右岸谷部分からの地表水の流入を考慮していないから排水路の容量不足のおそれがあると主張する。しかし,右岸部分の地表水の処理については後記(6)のとおりであるから,同主張は採用することができない。 なお,浸出水調整槽がコンクリート構造物であることによるひび割れ,腐食等のおそれに対する判断は,前述のとおりである。 また,控訴人らは,カルシウムスケールによるバルブ等の機能障害のおそれがあると主張するが,これに対する対策としては,浸出水に炭酸ソーダを添加して炭酸カルシウムの生成を除去する炭酸ソーダ添加凝集沈殿法や浸出水にアクリル ルシウムスケールによるバルブ等の機能障害のおそれがあると主張するが,これに対する対策としては,浸出水に炭酸ソーダを添加して炭酸カルシウムの生成を除去する炭酸ソーダ添加凝集沈殿法や浸出水にアクリル酸等のスケール防止剤を添加して炭酸カルシウムの析出抑制等を図る方法により,カルシウムスケールによる被害を防止する方法があるところ(甲151の5の67頁),被控訴人は,浸出水圧送管については,圧送管の起点付近よりスケール防止用薬液を注入する計画であり(乙223の6-2・3/4),同主張は理由がない。 また,浸出水調整槽の表面処理にエキポシ樹脂が用いられ,その保証期間が10年間とされている(乙223の2-53/104)ことは控訴人ら主張のとおりであるが,耐用年数経過後の補修が不可能であると認めるに足りる証拠はない。 (6) 雨水等排水路についてア共同命令1条1項6号は次のとおり定めている。 6号埋立地の周囲には,地表水が埋立地の開口部から埋立地へ流入するのを防止することができる開渠その他の設備が設けられていること。 イ本件処分場の雨水等排水路は次のとおりであると認められる。 本件処分場より上流側の地表水は,管理棟上方から本堤下流まで埋立地底部の下を貫いて設置される付替水路(アーチカルバート)(乙223の1-154~173/195。別紙本体縦断図及び全体計画平面図参照)及び区画堤外部に設置される仮設水路(乙223の1-185/195。別紙全体計画平面図参照)により寺尾川に流入する。取付道路(乙223の7-1/59,乙232)の雨水はこれに沿って設置される側溝及び前記付替水路(アーチカルバート)により寺尾川に放流する。右岸側の管理用道路及び及びその上部法面の雨水も管理用道路に沿って設置される側溝により寺尾川に放流 2)の雨水はこれに沿って設置される側溝及び前記付替水路(アーチカルバート)により寺尾川に放流する。右岸側の管理用道路及び及びその上部法面の雨水も管理用道路に沿って設置される側溝により寺尾川に放流する( 乙223の1-5・27・175~180/195)。最終処分場本体部建設に伴い,降雨時の当該集水域の雨水の流出増が予想されるので,計画施設最下端部に雨水調整池を設置する。雨水調整池の計画は林地開発基準(福岡県)に従い,下流の流下能力と30年確率の洪水のピーク流量を基礎として,その計画調整容量を3100奄ニする(乙213の552~568頁,570~580頁,223の1-1・5・118~153/195)。 ウ以上によれば,本件処分場の計画は共同命令1条1項6号の要件を充足するものと認められる。 エ(ア) 控訴人らは,本件処分場より上流側の地表水が処分場内に流入する危険性があると主張する。しかし,本件処分場より上流側の右岸(西側)谷の流域(23.2ha)の雨水は前記付替水路(アーチカルバート)により寺尾川に放流される計画であること,同付替水路(アーチカルバート)は高強度コンクリートを使用したプレキャスト製品であり,構造上十分な耐力を有していること,その断面積は,将来的な断面変更が不可能であるとの認識に立って,建設省河川砂防技術基準(案)を準用して100年確率を用いて流出量を算定し,計画流量は計画高水流量の130%を見込み,計画断面は必要な断面積のほかに15%を下らない空面積を有するものとされていることが認められる(乙213の559~567頁)。また, 本件処分場より上流側の左岸(東側)谷の流域(12.3ha)の雨水は前記仮設水路により寺尾川に放流される計画であること,この流域は将来の第二処分場の背後流域であること,したがっ 567頁)。また, 本件処分場より上流側の左岸(東側)谷の流域(12.3ha)の雨水は前記仮設水路により寺尾川に放流される計画であること,この流域は将来の第二処分場の背後流域であること,したがって,同流域は上記付替水路(アーチカルバート)の集水域として予定されておらず,当該処分場の実施設計時に前記付替水路(アーチカルバート)とは別にその最終処理方針が決定されるものであることが認められる(乙213の563頁)。よって,控訴人らの上記主張は理由がない。 (イ) 控訴人らは,とりわけ本件処分場西側(右岸側)斜面の地表水の処理について流域面積及び集水量が不明であると主張する。しかし,本件処分場の西側斜面の地表水は,開発区域及び未開発区域の双方について上記雨水調整池に流入させる計画であり,当該区域の流域面積は雨水排水計画面積割平面図(乙213の558頁)に従い10.95ha(開発区域3.23ha,未開発区域7.72ha)と算出され, これを基礎として上記のとおり計画調整容量が決定されているから(乙213の552頁~558頁),上記主張は理由がない。 なお,控訴人らは,本件処分場の整備計画書(乙207)の雨水調整池の説明に記載された流域面積11.68ha,開発面積2.83haと本件処分場の実施計画において雨水調整池の設計の基礎とされた開発に係る面積10.95ha,開発面積3.23ha(乙213の572頁)との関係が不明であると主張する。しかし,整備計画書作成時の流域図(乙214)と実施設計等概要書の流域図(乙213の572頁)及び雨水調整池設計の基本方針の記載(乙213の570頁) とを対照すると,本件処分場の計画は,整備計画書作成段階においては取付道路に関する部分をも雨水調整池の流域面積に含めていたが,実施設計時において 水調整池設計の基本方針の記載(乙213の570頁) とを対照すると,本件処分場の計画は,整備計画書作成段階においては取付道路に関する部分をも雨水調整池の流域面積に含めていたが,実施設計時においては,取付道路に関する部分の流量は直接に寺尾川に放流することとして雨水調整池の容量の算定基礎には加えない(なお,これに伴い寺尾川の流量増加分は雨水調整池の許容放水量から差し引く。)こととしたことにより一方においては雨水調整池の流域面積は減少したが,他方,第2期処分場の造成時に新たに調整池を設置することが施工上困難であるため,本件処分場の計画において第2期処分場の造成工事に伴う雨水量の増加分をも見込んで調整池の容量を決定することとしたことにより雨水調整池の流域面積は増大し,結局において,本件処分場の雨水調整池の流域面積及び開発面積は前記のとおりとなったことが認められるから,上記主張は理由がない。 (ウ) 控訴人らは,本件処分場より下流の水路狭窄部に当たる寺尾橋地点の流下能力との関係において雨水調整池の計画調整容量の合理性について疑問があると主張する。しかし,寺尾橋地点の流下能力は,その流水断面積及び流速に照らして毎秒23.86奄ニ算出されるところ,この値はその流域95haを基礎とする30年確率の洪水量より大きいこと,開発後における洪水のピーク流量の調整のための許容放出量は10年確率洪水量に相当する流量とし,これを前提として上記雨水調整池の計画調整容量が算出されていることが認められるから(乙213の570頁~580頁),上記主張は理由がない。 (7) 地下水集排水管についてア共同命令1条1項5号ハは次のとおり定めている。 ハ地下水により遮水工が損傷するおそれがある場合には,地下水を有効に集め,排出することができる堅固で耐久力 地下水集排水管についてア共同命令1条1項5号ハは次のとおり定めている。 ハ地下水により遮水工が損傷するおそれがある場合には,地下水を有効に集め,排出することができる堅固で耐久力を有する管渠その他の集排水設備(地下水集排水設備)を設けること。 イ本件処分場の地下水集排水設備は次のとおりであると認められる。 (ア) 埋立地底部のコンクリート版の下に縦横断方向に,高密度ポリエチレン製の有孔管による地下水集排水管を敷設する。管径は,幹線内径が300㎜,支線内径が150㎜であり,孔径は5ないし9㎜程度であり,支線の敷設間隔は約15mである。地下水集排水管の周囲はフィルター材として粒径20ないし30㎜の単粒砕石で覆う。これらの各要素の決定は指針解説に基づくものであり,有孔管の耐圧性にも問題はない(乙172, 213の569頁,223の1-10・183・184/195,乙233の35・37・50・51項,乙243の1・2。別紙本体標準横断図(1)・全体計画平面図参照)。 (イ) 埋立地斜面部には高密度ポリエチレン製の透水マット(片面不透水性)を敷設する。透水マットは幅200㎜,厚さ30㎜であり,約4m間隔で敷設される。目詰まり防止のため,マットの周囲にフィルター材を施した製品が使用される予定である(乙213の569頁,223の1-114・183/195,233の39・40項,乙235~237)。 ウ(ア) 控訴人らは,本件処分場の地下水集排水設備が,地下水の湧水箇所,湧水量,地下水量等の地下水の動向を確認しないで計画されたものであるから,本件処分場の計画は共同命令に違反すると主張する。 (イ) 指針解説は,遮水工を設けるかどうか,遮水工を鉛直遮水工とするか表面遮水工とするかを決定するに当たっては地下水層の位置と水位,地下水流の ら,本件処分場の計画は共同命令に違反すると主張する。 (イ) 指針解説は,遮水工を設けるかどうか,遮水工を鉛直遮水工とするか表面遮水工とするかを決定するに当たっては地下水層の位置と水位,地下水流の方向と水量とが重要な判断材料になるとし,特に湧水の多い部分は埋立地とすることを避ける等の配慮が必要であること,表面遮水工の場合は,地下水や湧水による遮水工に対する揚圧力を軽減するため,遮水工の下に地下水集排水施設を設けなければならず,この排水暗渠としては直径15ないし30㎝の有孔ヒューム管が使用されることが多いとし,また,地下水集排水施設に機能障害が生じると埋立地に不測の事態を招くことがあるので,管の強度や断面には十分な余裕を持つものを採用するよう求めている(乙172の76~79・86・87頁)。 そのうえで,指針解説は,土中水の動きは地形や土質等によって異なるので予測しがたいうえ,一般に地下水集排水設備の設計を行う場合には計算を行わず,経験的な実施例等を参考にして定めることが多いとし,最小管径を15㎝程度とし,暗渠の間隔を20m程度を目安とすべきことを示している(乙172の88頁)。 (ウ) 平成3年の環境影響調査においては,本件計画地内の地盤の透水性は,中位~低位であり,降雨等の流水はほとんど表面付近に見られ,岩盤内ではあまり見られず,谷部では地形が細長く底勾配が急なところが多いため流速が速く,浸透水は少ないものと考えられる,岩盤には亀裂が多いが亀裂には粘性土が充填しており透水性は悪いと考えられるとしたうえ,本件処分場の計画地を含む地域について行った前記ボーリング調査において,本件処分場の予定地内の谷部分の2孔(No6,No7)を含む5孔において約半年間にわたり地下水位を調査して,地下水位が地下2ないし3mの片岩上部にあることを確認し, った前記ボーリング調査において,本件処分場の予定地内の谷部分の2孔(No6,No7)を含む5孔において約半年間にわたり地下水位を調査して,地下水位が地下2ないし3mの片岩上部にあることを確認し,地下水はこの片岩の上部の表土もしくは崖錐堆積物層を流れており,調査期間中水位の変動が見られないことから,本件計画地に降った雨は,ただちに河川に流入していると推察し,また,本件処分場の予定地内の上記2孔を含む3孔において方位計を内蔵した水中カメラを用いて粒子の移動方向等を調査して,地下水の流向は地形(寺尾川)に沿った方向であることを確認している(乙88の39~41頁,46頁)。そして,平成6年の地質調査でも,「本件計画地の片岩の透水性は良くなく,斜面部のボーリングでも地下水は観測されないので,片岩類中地下水の賦存は限られていると考えられるが,風化部は,片理や節理沿いに開口し,空隔も多いことが考えられるので,透水性も良く,降雨時などに一時的な地下水の帯水層となり得ることが推察される。この場合,地下水位は風化部から新鮮部まで次第に低下するものと考えられ,地下水は谷底レベル近くまで低下している可能性がある。なお,本件計画地は,基礎岩が浅く,斜面は急峻であるため,降雨時には雨水の流出は多いことが予想される。」としている(乙207の地質調査報告書)。そして,これらの調査に基づき,被控訴人は,本件処分場の地下水集排水設備を前記のとおり計画しているのであるから,本件処分場の計画は前記共同命令の要件を充足し,指針解説に適合していると認められる。 エ控訴人らは,本件処分場予定地に湧水点,その他特に湧水が多い地点が存在すると主張し,その地点を撮影したとする写真(甲172の5~8,173,186の1,262の5・6・7・9)を提出し,当審証人C及び同Gはその 件処分場予定地に湧水点,その他特に湧水が多い地点が存在すると主張し,その地点を撮影したとする写真(甲172の5~8,173,186の1,262の5・6・7・9)を提出し,当審証人C及び同Gはその旨証言する。しかし,上記写真や各証人の証言によっても,その指摘する地点が,地下水の湧水点であるのか,雨水の流出地点であるのかは判然としないといわざるをえないから,前記ウの各調査結果に照らすと,本件計画地内に湧水点が存在するとの主張はいまだ採用するに足りない。 オ控訴人らは,地下水集排水管のフィルター材の選定について, 指針解説の示す計算式に則った計算結果が示されておらず,地下水集排水管が目詰まりしないことの根拠が示されていないので,本件処分場は共同命令に適合しないと主張する。 しかし,指針解説は,地下水集排水管の周囲が土が多い場合を想定して控訴人らの主張する粒径に関する計算式を参考にして計算するのがよいとし,しかも,各計算条件を満足するのが望ましいとしているのであって(乙172の88頁),本件処分場の地下水集排水管はコンクリート版下部の岩盤又は置換コンクリート部分に設置される(乙223の1-14・15/195)予定であって,目詰まりを誘発する細粒分が少ないと考えられることに照らすと,この計算結果に基づくことなく, 一般に用いられるフィルター材を使用することとしたとしても本件処分場の計画が共同命令に違反するということはできない。 さらに,控訴人らは,地下水集排水管は必要強度を満たしていないと主張する。しかし,本件地下水集排水管に使用される高密度ポリエチレン管は,管自体の剛性が高く,かつ,変形に対する対応性を有し,パイプ全面にわたって外圧荷重を分布させる性質を有するから,大きな土圧・外圧に耐えるものであり,耐圧性検討の結果も,幹線,支線共に エチレン管は,管自体の剛性が高く,かつ,変形に対する対応性を有し,パイプ全面にわたって外圧荷重を分布させる性質を有するから,大きな土圧・外圧に耐えるものであり,耐圧性検討の結果も,幹線,支線共に,その上部の不透水性改良地盤,埋立廃棄物及び車両の荷重に対して十分な強度を有することが認められる(乙243の1・2)。また,控訴人らは,同耐圧性検討においては,区画堤の荷重が考慮されていないと主張するが,地下水集排水管の敷設される位置は区画堤の下部でないから(乙223の1-10・11・14・15・21~23・184/195),上記主張は理由がない。 (8) 安全監視体制についてア共同命令1条2項は,次のとおり定めている。 9号前項第5号イ又はロの規定により設けられた遮水工を定期的に点検し,その遮水効果が低下するおそれがあると認められる場合には,速やかにこれを回復するために必要な措置を講ずること。 10号埋立地からの浸出液による最終処分場の周縁の地下水の水質への影響の有無を判断することができる2以上の場所から採取され,又は地下水集排水設備により排出された地下水の水質検査を次により行うこと。 (以下,イ~ニにおいて,検査時期,回数,検査項目について規定している。)11号前号イ,ロ又はニの規定による地下水等検査項目に係る水質検査の結果,水質の悪化が認められる場合には,その原因の調査その他の生活環境の保全上必要な措置を講ずること。 13号前項第5号ホの規定により設けられた調整池(浸出水調整槽)を定期的に点検し,調整池が損傷するおそれがあると認められる場合には,速やかにこれを防止するために必要な措置を講ずること。 イ(ア) 被控訴人は,本件処分場のモニタリング計画に基づき,埋立廃棄物については焼却灰の熱しゃく減量検査や重金属及びダイオキシ られる場合には,速やかにこれを防止するために必要な措置を講ずること。 イ(ア) 被控訴人は,本件処分場のモニタリング計画に基づき,埋立廃棄物については焼却灰の熱しゃく減量検査や重金属及びダイオキシン類の溶出試験等を,浸出水についてはその水質測定や埋立地内の状況を把握する指標となる水素イオン濃度その他の諸数値の計測を,地下水については施設内の4箇所のモニタリング井戸や地下水集排水管や施設外の下流域における井戸等において水質等の測定を,河川水については寺尾川と高良川において水質の測定を,それぞれ行い, その結果を市民に公表する予定である(乙251)。 (イ) 被控訴人は, 平成9年に,本件処分場の地元である高良内町杉谷地区住民及び同町一ノ瀬地区住民との間で,浸出水の下水道への排水基準,埋立地の悪臭,騒音,振動の規制基準を設定してその遵守を約束し,各基準項目の測定結果の公表や住民の立入調査権,被控訴人の損害賠償義務等を定めた公害防止協定を締結した(乙189,190)。また,被控訴人は,平成12年12月21日,本件処分場における廃棄物処理の適正及び地域の環境保全の監視組織として,地元住民の代表,市議会議員,市職員を構成員(委員)とし,地下水や河川等の水質に関する問題並びに埋立物及び埋立施設の安全性に関する問題を協議する「久留米市杉谷最終処分場連絡協議会」を設け(乙252,280),平成13年7月30日,被控訴人が設置するごみ処理施設全般について専門的観点から安全監視する組織として,廃棄物関係の専門家や学識経験者を中心とした「久留米市ごみ処理施設等監視委員会」を設けた(乙280)。 (ウ) 以上によれば,被控訴人が実施するという本件処分場の監視体勢は,共同命令1条2項の要件を充足すると認められる。 ウ控訴人らは,被控訴人の現在までの内野処 監視委員会」を設けた(乙280)。 (ウ) 以上によれば,被控訴人が実施するという本件処分場の監視体勢は,共同命令1条2項の要件を充足すると認められる。 ウ控訴人らは,被控訴人の現在までの内野処分場の維持管理状況に照らし,被控訴人が本件処分場を共同命令第1条2項の基準に従って維持管理することは期待することができないと主張する。しかし,内野処分場の維持管理状況から直ちに本件処分場の維持管理状況を判断することはできないし,前記のとおり被控訴人の維持管理が共同命令の基準に適合しないときは,都道府県知事により,本件処分場の設置の許可が取り消され,又は改善命令,使用停止命令が発せられることとされているのであって,被控訴人が,本件処分場を適切に維持管理することが期待できないと認めるに足りる証拠はない。 なお,証拠(乙233の63項)によれば,確かに内野処分場におけるコンクリートのひび割れやゴムシートの破損に対する被控訴人の対応は迅速とは言い難いというべきであるが,一応の修復はなされているし(乙233の63項),平成10年から平成13年までの内野処分場周辺地下水の23項目の物質についての水質測定結果によれば,有害物質は検出されていないことは,前記(3)ウのとおりであって,被控訴人が内野処分場の管理,補修を怠ったために,住民に健康被害やそのおそれが生じた事実は認められない。また,控訴人らは,被控訴人が内野処分場の各種検査結果のデータを市民に公表していないと主張するが,同事実を認めるに足りる証拠はない。 (9) 結論以上によれば,本件処分場は共同命令の各規定に適合しているというべきであり,本件処分場が共同命令に適合しているとしても,なお,本件処分場から浸出水が漏洩し,控訴人らの生命・健康に被害が生じる蓋然性が高いと認めるに足りる証拠はな 命令の各規定に適合しているというべきであり,本件処分場が共同命令に適合しているとしても,なお,本件処分場から浸出水が漏洩し,控訴人らの生命・健康に被害が生じる蓋然性が高いと認めるに足りる証拠はないのである。 第6 結論以上のとおり,本件埋立廃棄物は埋立てまでの処理により現時点の科学的知見を前提とする限り一応安全であるといえるのであり,また,本件処分場は,久留米市民の日常生活上の必要度が高い施設であって,その公共性,必要性は大きく,設置場所の選定も不当とはいえないのであって,さらに,本件処分場は,一般廃棄物処分場の安全性確保を目的として現時点の科学的知見及び技術水準を踏まえて規定された共同命令に適合しているのであり,それにもかかわらず本件処分場から人体に対して有害である可能性のある物質が漏洩して控訴人らの生命・健康に被害が生じる蓋然性が高いと認めることはできないのである。 そうであれば,なお本件処分場から有害物質が多少なりとも漏洩する可能性をまったく否定することはできないとしても,本件処分場の建設により,控訴人らが受忍限度を超えて生命の安全・身体の健康を侵害される蓋然性が高いと判断することはできないのであって,控訴人らの主張する人格権を根拠に,本件処分場の建設を差し止めることはできないというべきである。 よって,本件控訴は理由がない。 福岡高等裁判所第3民事部裁判長裁判官小林克已裁判官内藤正之裁判官白石史子別紙目録及び図面省略 裁判官 白石史子 別紙目録及び図面省略
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