平成27(行ケ)10213 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成28年8月25日 知的財産高等裁判所 3部 判決 請求棄却
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平成28年8月25日判決言渡平成27年(行ケ)第10213号審決取消請求事件口頭弁論終結日平成28年6月21日判決 原告ゼネラル・エレクトリック ・カンパニイ 訴訟代理人弁護士城山康文同山内真之同小 山 悠美子訴訟代理人弁理士重森一輝同荒川聡志同小倉 博同黒川俊久同田中拓人 被告特許庁長官指定代理人松下 聡同槙原 進同加藤友也同長馬 望同田中敬規主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は,原告の負担とする。 3 この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日と定める。 事実 及び理由第1 請求特許庁が不服2014-18222号事件について平成27年6月1日にした審決を取り消す。 第2 事案の概要本件は,特許出願に対する拒絶査定不服審判請求を不成立とした審決の取消訴訟である。争点は,進歩性判断の当否である。 1 特許庁における手続の経緯(1) 原告は,平成19年7月27日,発明の名称を「ガスタービンエンジンアセンブリ」とする特許出願をした(特願2007-195873号。以下「本願」という。甲4)。 本願は,パリ条約の優先権主張を伴う出願であり,その優先日は平成18年(2006年)7月31日,優先権主張国は米国である。 (2) 原告は,平成23年10月4日付け,平成24年10月5日付け及び平成25年10月15日付けで拒絶理由通知を受けたのに対し,平成24年4月10日付け手続補正書(甲6),平成25年4月16日付け手続補正書(甲 平成23年10月4日付け,平成24年10月5日付け及び平成25年10月15日付けで拒絶理由通知を受けたのに対し,平成24年4月10日付け手続補正書(甲6),平成25年4月16日付け手続補正書(甲9)及び平成26年4月17日付け手続補正書(甲12)でそれぞれ特許請求の範囲の補正を行ったが,同年5月2日付けで拒絶査定を受けた(甲14)。 (3) 原告は,平成26年9月12日,拒絶査定に対する不服審判を請求した(甲15)。 特許庁は,これを不服2014-18222号事件として審理し,平成27年6月1日,別紙審決書(写し)記載のとおり,「本件審判の請求は,成 り立たない。」との審決をした(出訴期間の付加期間90日。以下「本件審決」という。)。 本件審決の謄本は,同月16日,原告に送達された。 (4) 原告は,平成27年10月13日,本件審決の取消しを求めて本件訴訟を提起した。 2 特許請求の範囲前記各補正後の特許請求の範囲(請求項の数は4)の請求項1の記載は,次のとおりである(甲12。以下,この請求項1に記載された発明を「本願発明」といい,本願の明細書〔甲4〕及び図面〔甲17〕を併せて「本願明細書」という。)。 「タービンエンジンアセンブリであって,高圧圧縮機(14),燃焼器(16)及び高圧タービン(18)を含むコアガスタービンエンジン(13)と;前記コアガスタービンエンジンから軸方向後方に結合された低圧タービン(20)と;前記コアガスタービンエンジンから軸方向前方に結合されたファンアセンブリ(12)と;前記低圧タービンに結合されたブースタ圧縮機(22)と;駆動軸(31)と歯車箱(100)との間に結合され,前記低圧タービン(20)及び前記ブースタ圧縮機(22)により発生されたスラスト荷重を土台へ伝達するよ ビンに結合されたブースタ圧縮機(22)と;駆動軸(31)と歯車箱(100)との間に結合され,前記低圧タービン(20)及び前記ブースタ圧縮機(22)により発生されたスラスト荷重を土台へ伝達するように構成された第1のスラスト軸受アセンブリ(110)と,前記歯車箱(100)と前記ファンアセンブリ(12)との間に結合され,前記ファンアセンブリにより発生されたスラスト荷重を土台へ伝達するように構成された第2のスラスト軸受アセンブリ(120)とを具備し,前記ファンアセンブリ(12)は,前記歯車箱(100)と前記駆動軸(31) とを介して前記ブースタ圧縮機(22)に結合されて,前記駆動軸(31)が第1の回転方向で回転するとき,前記ブースタ圧縮機(22)が前記低圧タービンと共に第1の回転速度で前記第1の回転方向に回転し,前記ファンアセンブリ(12)が前記第1の回転速度とは異なる第2の回転速度で第2の回転方向に回転するように構成され,前記第1の回転方向は前記第2の回転方向と逆であり,前記第1の回転速度は前記第2の回転速度より速く,前記第2の回転速度が常に前記第1の回転速度の2分の1となるように,前記歯車箱(100)が2.0対1の歯車比を有し,前記タービンエンジンアセンブリは,前記駆動軸と前記歯車箱との間に結合された撓み結合部(108)をさらに有することを特徴とする,タービンエンジンアセンブリ。」 3 本件審決の理由の要旨(1) 本件審決の理由は,別紙審決書(写し)記載のとおりであるが,その要旨は,本願発明は,本願の優先日前に頒布された刊行物である米国特許第4827712号明細書(甲1。以下「刊行物1」という。)に記載された発明(以下「引用発明」という。) 及び特表平9-512079号公報(甲2。 以下「刊行物2」とい 頒布された刊行物である米国特許第4827712号明細書(甲1。以下「刊行物1」という。)に記載された発明(以下「引用発明」という。) 及び特表平9-512079号公報(甲2。 以下「刊行物2」という。)に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができず,したがって本願は拒絶すべきである,というものである。 (2) 本件審決が認定した引用発明,本願発明と引用発明との一致点及び相違点は,以下のとおりである。 ア引用発明「ターボファンガスタービンエンジンであって,圧縮機手段14,燃焼器手段16,第1のタービン手段18とを含むエンジンと, 圧縮機手段14,燃焼器手段16,第1のタービン手段18とを含むエンジンから軸方向の下流側に結合された第2のタービン手段20と,圧縮機手段14,燃焼器手段16,第1のタービン手段18とを含むエンジンから軸方向の上流側に結合されたファンアセンブリ72と,第2のタービン手段20に結合されたブースタ圧縮機手段と,第2シャフト56の上流端とギアアセンブリ62との間に位置し,それぞれに固定されたスタブシャフト60を,ギアハウジング82に回転可能に支持するベアリング88と,ギアアセンブリ62とファンアセンブリ72との間に位置し,それぞれに固定されたシャフト70を,ギアハウジング82に回転可能に支持するローラベアリング84及びボールベアリング86とを具備し,ファンアセンブリ72は,ギアアセンブリ62と第2シャフト56を介してブースタ圧縮機手段に結合されており,ブースタ圧縮機手段は,第2シャフト56を介して第2のタービン手段20により駆動され,ブースタ圧縮機手段の回転数は,ファンアセンブリ72の回転数よりも高 てブースタ圧縮機手段に結合されており,ブースタ圧縮機手段は,第2シャフト56を介して第2のタービン手段20により駆動され,ブースタ圧縮機手段の回転数は,ファンアセンブリ72の回転数よりも高く,かつ,回転方向が逆であるターボファンガスタービンエンジン。」イ本願発明と引用発明との一致点「タービンエンジンアセンブリであって,高圧圧縮機,燃焼器及び高圧タービンを含むコアガスタービンエンジンと,前記コアガスタービンエンジンから軸方向後方に結合された低圧タービンと,前記コアガスタービンエンジンから軸方向前方に結合されたファンアセンブリと,前記低圧タービンに結合されたブースタ圧縮機と, 駆動軸と歯車箱との間に結合された軸受アセンブリと,歯車箱とファンアセンブリとの間に結合された軸受アセンブリとを具備し,前記ファンアセンブリは,前記歯車箱と前記駆動軸とを介して前記ブースタ圧縮機に結合されて,前記駆動軸が第1の回転方向で回転するとき,前記ブースタ圧縮機が前記低圧タービンと共に第1の回転速度で前記第1の回転方向に回転し,前記ファンアセンブリが前記第1の回転速度とは異なる第2の回転速度で第2の回転方向に回転するように構成され,前記第1の回転方向は前記第2の回転方向と逆であり,前記第1の回転速度は前記第2の回転速度より速い,タービンエンジンアセンブリ。」ウ本願発明と引用発明との相違点(相違点1)「駆動軸と歯車箱との間に結合された軸受アセンブリ」に関し,本願発明においては,「低圧タービン及びブースタ圧縮機により発生されたスラスト荷重を土台へ伝達するように構成された」ものであるのに対して,引用発明においては,低圧タービン及び前記ブースタ圧縮機により発生されたスラスト荷重をギアハウジン ブースタ圧縮機により発生されたスラスト荷重を土台へ伝達するように構成された」ものであるのに対して,引用発明においては,低圧タービン及び前記ブースタ圧縮機により発生されたスラスト荷重をギアハウジング82(土台)へ伝達するものであるか不明である点。 (相違点2)「歯車箱とファンアセンブリとの間に結合された軸受アセンブリ」に関し,本願発明においては,「ファンアセンブリにより発生されたスラスト荷重を土台へ伝達するように構成」されたものであるのに対して,引用発明においては,ファンアセンブリ72により発生されたスラスト荷重をギアハウジング82(土台)へ伝達するものであるか不明である点。 (相違点3)本願発明においては,「第2の回転速度が常に第1の回転速度の2分の1となるように,歯車箱が2.0対1の歯車比」を有するのに対して,引用発明においては,ギアアセンブリ62がそのような歯車比を有しているか不明である点。 (相違点4)本願発明においては,「タービンエンジンアセンブリは,駆動軸と歯車箱との間に結合された撓み結合部をさらに有する」のに対して,引用発明においては,第2シャフト56とギアアセンブリ62との間にそのような撓み結合部を有するか不明である点。 4 取消事由(1) 相違点3に関する容易想到性の判断の誤り(取消事由1)(2) 相違点4に関する容易想到性の判断の誤り(取消事由2)第3 取消事由に関する原告の主張 1 取消事由1(相違点3に関する容易想到性の判断の誤り)について(1) 相違点3について,本件審決は,引用発明においてギアアセンブリ62の歯車比は,当業者が設計を行う際に適宜決定し得るものであるとして,これを2.0対1とすることは当業者であれば容易になし得たことであると判断した(本件審決15頁2~12 明においてギアアセンブリ62の歯車比は,当業者が設計を行う際に適宜決定し得るものであるとして,これを2.0対1とすることは当業者であれば容易になし得たことであると判断した(本件審決15頁2~12行目)。 しかし,本件審決の当該判断には以下のとおり誤りがある。 (2) 本願発明の歯車箱における歯車比の技術的意義本願発明は,ガスタービンエンジンアセンブリに関するものである(本願明細書・段落【0001】)。ガスタービンエンジンのエンジン効率を向上させるためには,ファン効率を改善させるようにファンアセンブリを相対的に低速で動作させつつ,同時に,タービン効率を改善させるために,高圧タービンを相対的に高速で動作させることが望ましい(同【0003】)。す なわち,エンジン効率は,ファン効率とタービン効率という2つの変数によって定まるため,エンジン効率全体を向上させるためには,ファン効率に影響を与えるファン速度(ファンアセンブリの速度)と,タービン効率に影響を与える高圧タービン速度(高圧タービンの速度)とを,同時に最適化し,エンジン効率を最大化することが求められる。しかし,ファン速度と高圧タービン速度は,完全に独立な変数ではない。 すなわち,ガスタービンエンジンアセンブリにおいては,コアエンジンに入った空気が燃料と混合され点火されて高エネルギーガス流れを形成し,これが高圧タービンを通って流れ,高圧タービンを回転方向に駆動し,かつ圧縮機も回転方向に駆動する。同時に,ガス流れが高圧タービンを通って流れる間に膨張することで,低圧タービンの駆動が補助され,これが第2の駆動軸を介してファンアセンブリを回転方向に駆動する(同【0002】)。このように,高エネルギーガス流れが直接的に高圧タービンを回転駆動すると同時に,間接的にファンアセンブリを 助され,これが第2の駆動軸を介してファンアセンブリを回転方向に駆動する(同【0002】)。このように,高エネルギーガス流れが直接的に高圧タービンを回転駆動すると同時に,間接的にファンアセンブリをも駆動するため,両者の回転速度は,独立して決定することはできない。 ここで,低圧タービンとファンアセンブリとの間に歯車箱を設置することで,ファンアセンブリの動作速度を低下させることは可能である。しかし,ファンアセンブリの速度を低下させ過ぎると,ブースタ圧縮機へ搬送される気流の量が減少して,結局エンジン効率が低下し,これを防ぐためにはブースタ圧縮機の段を追加せざるを得ず,エンジンの総重量の増加や構造の複雑化,製造コストの増加という問題が生じる(同【0004】)。 以上のとおり,ガスタービンエンジンにおいては,エンジン効率を向上させるためにファン速度を低下させつつ高圧タービン速度を向上させるという要請があり,そのために歯車箱を低圧タービンとファンアセンブリとの間に設置することは可能であるものの,歯車箱の歯車比によっては,目的であるエンジン効率の向上が実現できず,また,エンジン効率が向上してもエンジ ンの総重量の増加や構造の複雑化,製造コストの増加という問題が生じる,という課題が存在していた。 そこで,本願発明では,低圧タービンに結合されたファンアセンブリの回転速度(第2の回転速度)が同じく低圧タービンに結合されたブースタ圧縮機の回転速度(第1の回転速度)の2分の1となるように,ファンアセンブリとブースタ圧縮機を介する歯車箱の歯車比を2.0対1と特定する構成を採用し,エンジン効率の向上を図りながら,エンジンの総重量の増加や構造の複雑化,製造コストの増加という問題を防止したものである。 (3) 刊行物1には,ギアアセンブリ62の歯車 対1と特定する構成を採用し,エンジン効率の向上を図りながら,エンジンの総重量の増加や構造の複雑化,製造コストの増加という問題を防止したものである。 (3) 刊行物1には,ギアアセンブリ62の歯車比を2.0対1とすることについて記載も示唆もなく,かかる歯車比を採用することの動機付けも存在しないこと刊行物1には,ギアアセンブリ62についての記載はあるが,その歯車比については何ら具体的な数値は記載されておらず,歯車比を2.0対1とすることについての記載や示唆は,刊行物1上に一切存在しない。 むしろ,刊行物1では,ブースタ圧縮機の回転数が10000rpm台のときにファンの回転数を3000rpm台とすることで,大幅な軽量化が実現できると記載しており(甲1・明細書第6欄14~19行目,抄訳3頁4~6行目参照),当該記載に接した当業者は,ギアアセンブリ62の歯車比を,約3.3対1とすることが望ましいと理解するのであり,これを大幅に変更して2.0対1と特定する動機付けを有するものではない。 また,そもそも刊行物1におけるファンの回転速度に関する記載としては,「ファンは,最大効率を得るため,その先端速度を低くすることを要求」すること(甲1・明細書第6欄1行目,抄訳2頁28行目)や,「ファンブレードの先端速度が,直接駆動した場合と比較して低減されており,これにより先端速度が高いことにより生じる騒音の問題を克服」できること(甲1・明細書第6欄10~13行目,抄訳3頁2,3行目)の記載があるのみであ る。すなわち,刊行物1では,ファンの回転速度を低下させることに重点が置かれている。他方で,本願明細書の段落【0004】で指摘されている,ファンアセンブリの速度を低下させ過ぎることによる弊害(ブースタ圧縮機へ搬送される気流の量が減少して,結 を低下させることに重点が置かれている。他方で,本願明細書の段落【0004】で指摘されている,ファンアセンブリの速度を低下させ過ぎることによる弊害(ブースタ圧縮機へ搬送される気流の量が減少して,結局エンジン効率が低下し,これを防ぐためにはブースタ圧縮機の段を追加せざるを得ず,エンジンの総重量の増加や構造の複雑化,製造コストの増加を招く)については,何ら記載がない。 よって,刊行物1の記載に接した当業者は,ファンアセンブリの速度は低いほど利点があると理解する(ただし,ファンアセンブリの速度として実効的な速度の範囲内で,できる限り低い速度を選択することに利点があることを理解するとの意味であり,被告が指摘するようなファンアセンブリの速度がゼロ又は極めてゼロに近いものが最も有利という意味ではない。)から,歯車比を刊行物1で示唆された約3.3対1よりも大きくする動機付けはあっても,これを小さくして2.0対1にすることの動機付けはない(むしろ,減速歯車の歯車比をより小さいものとすることは,刊行物1に明記された課題である最大効率の実現や騒音及び鳥の衝突による影響の軽減とは相反するから,当業者において引用発明の減速歯車の歯車比をより小さくすることに対する阻害要因が存在する。)。 (4) 特開平2-245455号公報(甲3。以下「甲3公報」という。)の記載に照らしても,相違点3は想到容易といえないこと本件審決は,歯車箱の歯車比を2.0対1とすることは,例えば甲3公報の記載(甲3・第5頁左下欄2~13行目)に照らせば格別なことではない,と述べた(本件審決15頁7~9行目)。 しかし,前述のとおり,刊行物1の記載に接した当業者は,歯車比を約3. 3対1よりも大きく(例えば4.0対1等)する動機付けを有することはあっても,これを小さくする動機付け 決15頁7~9行目)。 しかし,前述のとおり,刊行物1の記載に接した当業者は,歯車比を約3. 3対1よりも大きく(例えば4.0対1等)する動機付けを有することはあっても,これを小さくする動機付けを有するものではない。よって,甲3公報に,内側軸36と外側軸38の回転速度の比として2.0対1という数字 が開示されているからといって,引用発明におけるギアアセンブリ62の歯車比を2.0対1とすることを,当業者が容易に想到し得たとはいえない。 (5) 被告は,歯車比を2.0対1に限定したことから格別な効果が得られるものではないと指摘する。 しかし,本願明細書の段落【0004】にあるとおり,従来技術において,低圧タービンとファンアセンブリとの間に歯車箱を設置することで,ファンアセンブリの動作速度を低下させることは可能であったが,ファンアセンブリの速度を低下させ過ぎると,ブースタ圧縮機へ搬送される気流の量が減少して,結局エンジン効率が低下し,これを防ぐためにはブースタ圧縮機の段を追加せざるを得ず,エンジンの総重量の増加や構造の複雑化,製造コストの増加という問題が生じていたところ,本願発明は,かかる問題を解決するための歯車比として2.0対1という具体的な構成を採用したものである。 すなわち,2.0対1という歯車比によって,ファンアセンブリの速度を過度に低下させず,したがって,ブースタ圧縮機の段追加を避けることができ,エンジンの総重量の増加,構造の複雑化及び製造コストの増加を避けられるという効果が本願発明には認められるのであり,当該効果は本願発明の進歩性を基礎付ける。 (6) 小括以上のとおり,引用発明においてギアアセンブリ62の歯車比を2.0対1とすることについて,刊行物1には記載も示唆もなく,また,動機付けも存在しない 願発明の進歩性を基礎付ける。 (6) 小括以上のとおり,引用発明においてギアアセンブリ62の歯車比を2.0対1とすることについて,刊行物1には記載も示唆もなく,また,動機付けも存在しない。そして,本願発明の歯車比2.0対1という構成は,エンジンの総重量の増加,構造の複雑化及び製造コストの増加を避けるという効果を与えるものである。 したがって,当業者であっても,引用発明において相違点3に係る発明特定事項を採用することは,容易になし得たことではなく,これを想到容易であるとした本件審決の判断には誤りがある。 2 取消事由2(相違点4に関する容易想到性の判断の誤り)について(1) 相違点4について,本件審決は,刊行物2に記載の技術は「駆動軸と歯車箱との間に,シャフトのずれに適応するために撓み結合部を設けた」ものであるとの理解に基づき,引用発明に刊行物2に記載の技術を適用して相違点4に係る本願発明の発明特定事項とすることは,当業者であれば容易になし得たことであると判断した(本件審決15頁13~23行目)。 しかし,本件審決の当該判断には以下のとおり誤りがある。 (2) 刊行物2に記載の技術における「柔軟区画」の技術的意義刊行物2には,太陽歯車36とコンプレッサー・ドライブ・シャフト24とを連結する太陽歯車カップリング32に波状柔軟区画62を設ける技術が記載されている。波状柔軟区画62には,排液穴65を有する円筒リング64が含まれる。排液穴は,波状柔軟区画62の内部に油が漏れ,これが溜まって回転不均衡を生じることを防ぐために,円筒リング64の全周にわたって配置されるものである(甲2・11頁10~14行目)。 ここで,刊行物2に記載の発明は,遊星歯車列の構成要素を外部装置に連結し,同時に,それらの間のずれに適応す めに,円筒リング64の全周にわたって配置されるものである(甲2・11頁10~14行目)。 ここで,刊行物2に記載の発明は,遊星歯車列の構成要素を外部装置に連結し,同時に,それらの間のずれに適応する簡素で信頼できる無給油のカップリング・システムを提供することを目的としており,そのため,遊星歯車列の太陽歯車とリング・ギヤー・ハウジングが,平行ずれと角度ずれに適応する波状断面を有するユニークなカップリングで外部シャフトに連結する構成を採用している(甲2・8頁21~27行目)。 すなわち,刊行物2に記載された波状柔軟区画62は,歯車列構成要素の破損のリスク減少及び磨耗減少による歯車列のメンテナンスコストを減少させ,信頼性を向上させることを目的としている(甲2・9頁19,20行目)。 (3) 刊行物2に記載の技術における「柔軟区画」を引用発明に適用する動機付けはないこと他方,刊行物1は,スタブシャフト60に固定されるギアアセンブリ62 を開示している(甲1・明細書第3欄30,31行目,抄訳1頁27行目参照)が,ギアアセンブリの構成要素とスタブシャフトとの間に柔軟性を有する部材を配置することが望ましいとの記載や示唆は一切存在しない。また,ギアアセンブリ構成要素の破損のリスク減少及び磨耗減少といった問題の指摘も,刊行物1には存在せず,課題の共通性は認められない。よって,引用発明に刊行物2に記載の技術における「柔軟区画」を適用し,スタブシャフト60とギアアセンブリ62との間の回転トルクを吸収する部材とする動機付けは存在しない。 仮に,被告が主張するように,構成要素破損という抽象的課題が当業者において認識されていたとしても,当業者が,当該課題を解決するために,刊行物2に記載の柔軟区画を採用する動機付けや,当該柔軟区画を,駆動軸と 告が主張するように,構成要素破損という抽象的課題が当業者において認識されていたとしても,当業者が,当該課題を解決するために,刊行物2に記載の柔軟区画を採用する動機付けや,当該柔軟区画を,駆動軸と歯車箱との間に配置するという具体的な構成を選択する動機付けは何ら存在しない。 また,刊行物2記載のカップリングは,「平行ずれと角度ずれに適応する波状断面を有するユニークなカップリング」(甲2・8頁25,26行目)であり,「歯車列縦軸を中心とする捻れに対して剛性であるが,垂直軸および左右軸を中心とする捻れに,そして三本の軸の全てに沿った並進(移行)に追従可能」(甲2・8頁28行目~9頁2行目)であるという特殊なカップリング・システムである。一方,刊行物1には,かかる特殊なカップリング・システムを採用する動機付けとなる記載又は示唆は一切認められない。 (4) 小括以上のとおり,刊行物2記載の技術における「柔軟区画」を引用発明に適用する動機付けはなく,また,この点を措くとしても,刊行物2記載の特殊なカップリングを引用発明に組み合わせることは想到容易ではなかった。 したがって,これを想到容易であるとした本件審決の判断には誤りがある。 第4 被告の反論 1 取消事由1(相違点3に関する容易想到性の判断の誤り)に対し(1) 本件審決が述べるように,引用発明において,第2のタービン手段20,ブースタ圧縮機手段の回転を減速してファンアセンブリ72に伝達するためのギアアセンブリの62の歯車比は,タービンエンジンのバイパス比,ファンブレードの大きさと,それに伴うファンアセンブリにおけるファンの先端部の速度などを考慮しつつ,ファンアセンブリにおいて最適な回転数が得られるように当業者がタービンエンジンの設計を行う際に適宜決定し得るものであ きさと,それに伴うファンアセンブリにおけるファンの先端部の速度などを考慮しつつ,ファンアセンブリにおいて最適な回転数が得られるように当業者がタービンエンジンの設計を行う際に適宜決定し得るものである(本件審決15頁3~7行目)。 ところで,刊行物1(甲1・第6欄1~30行目・抄訳2頁27行目~3頁13行目)には,ファンの最大効率を得るためや,騒音,鳥の衝突による衝撃を低減するために,ファンブレードの先端速度,ひいてはファンブレードの回転速度を低圧タービンのシャフト56によってファンアセンブリ72を直接駆動した場合と比較して低減すること,そのために,低圧タービンのシャフト56がファンアセンブリ72を,ギアアセンブリ62を介して減速して駆動することについて記載されており,減速して駆動することの一例として,「ブースタ圧縮機の回転数が10000rpm台の時にファンの回転数を3000rpm台とす(る)」(減速比約3.3対1)ことが記載されている。 そして,刊行物1の記載である,「ファンは,最大効率を得るため,その先端速度を低くすることを要求し,ファンは,コアエンジンの上流側に位置し,ファンは,コアエンジンの効率低下に関係するコアエンジンのハブと先端の直径比においての過剰な妥協を行うことなしに,低圧タービンによって直接駆動することができない。・・・ファンブレードの先端速度が,直接駆動した場合と比較して低減されており,これにより先端速度が高いことにより生じる騒音の問題を克服している。」は,ファンブレードを低圧タービンのシャフト56によって直接駆動した場合と比較して,ファンブレードを減 速して駆動する場合の有利な効果について述べているのであって,原告が主張するように,「ファンアセンブリの速度が低いほど利点がある」と述べているわけではない 合と比較して,ファンブレードを減 速して駆動する場合の有利な効果について述べているのであって,原告が主張するように,「ファンアセンブリの速度が低いほど利点がある」と述べているわけではない。 そもそも,原告が主張するとおりに「ファンアセンブリの速度が低いほど利点がある」というのであれば,ファンアセンブリの速度がゼロまたは極めてゼロに近いものが最も有利ということになるが,その場合には,ファンアセンブリは単なる障害物となり,ファンアセンブリによって実用的な推進力が得られないと考えられることからみても,ファンアセンブリの速度は,ターボファンエンジンの実用的な運転領域に対応した低過ぎない速度が選択されることは明らかである。 すなわち,刊行物1に記載されている「ファンは,最大効率を得るため,その先端速度を低くすることを要求」すること等は,最大効率が得られる程度にまで低圧タービンのシャフト56によって直接駆動した場合と比較して,先端速度を低くするという意味であるといえる。 そして,ファンアセンブリを減速して駆動するタービンエンジンアセンブリにおいて,ファンアセンブリの速度が低いほど利点があるのではなく,ファンアセンブリが低過ぎない速度で駆動される場合に,効率の良い速度となることは,技術常識である。このことは,上記のようにファンアセンブリの速度がゼロに近い速度であるときには,ファンアセンブリは単なる障害物となってしまうことや,特表2005-513371号公報(乙1。以下「乙1公報」という。)の段落【0023】における「ギアードターボファンエンジンは,一般に,ファンおよび低圧タービンの間のギアセットを特徴とし,これが両要素を各々の最適な速度で運転することを可能にする減速装置の役目を果たす結果,エンジンの効率を向上させる。」との記載から明 ジンは,一般に,ファンおよび低圧タービンの間のギアセットを特徴とし,これが両要素を各々の最適な速度で運転することを可能にする減速装置の役目を果たす結果,エンジンの効率を向上させる。」との記載から明らかである。したがって,刊行物1の記載に接した当業者は,「ファンアセンブリの速度が低いほど利点がある」とは理解せず,ファンアセンブリの速度は低過 ぎない効率の良い速度にすべきであると理解するから,「刊行物1の記載に接した当業者は,ファンアセンブリの速度は低いほど利点があると理解する」という原告の主張は失当である。 (2) また,刊行物1における,前記「ブースタ圧縮機の回転数が10000rpm台の時にファンの回転数を3000rpm台とす(る)」(減速比約3. 3対1)ことは,タービンエンジンのバイパス比,ファンブレードの大きさと,それに伴うファンの先端部の速度などの条件により最適なファンブレードの速度が変わり得る状況において,ブースタ圧縮機の回転数とファンの回転数の一例を単に示したにすぎない。 したがって,刊行物1に接した当業者は,タービンエンジンの設計を行う際,ブースタ圧縮機の回転数とファンの回転数の具体的な数値から得られる値,すなわち減速比について,両者の回転数が最適な値となるように,適宜決定するべきものと認識するし,その際に減速比が約3.3対1よりも大きい範囲に限定されるとは認識しない。 そして,刊行物1の記載は,ファンアセンブリを,ギアアセンブリを介して低圧タービンのシャフト56によって駆動することにより,低圧タービンによって直接駆動されるブースタ圧縮機をブースタ圧縮機にとっての最適な回転数としつつ,同時に,ファンアセンブリもファンアセンブリにとっての最適な回転数とすることで,ファンを最大効率で駆動しつつ,「ブースタ圧縮機 動されるブースタ圧縮機をブースタ圧縮機にとっての最適な回転数としつつ,同時に,ファンアセンブリもファンアセンブリにとっての最適な回転数とすることで,ファンを最大効率で駆動しつつ,「ブースタ圧縮機の段数を,コアエンジンへの空気流の圧の上昇を生みながら,低減」でき,さらに,騒音や鳥の衝突による影響を克服できることに関するものである。これらの効果は,低圧タービンのシャフト56の回転をギアアセンブリにより減速してファンアセンブリに伝達することにより,ブースタ圧縮機とファンアセンブリの回転数をそれぞれの最適な回転数とすることが可能となることにより得られる効果である。 この点につき,前記乙1公報の記載(段落【0023】)によれば,低圧 タービンとファンアセンブリをそれぞれ最適な回転数とすることは当業者によく知られた事項であって,特開2004-211895号公報(乙2。以下「乙2公報」という。)の段落【0009】における「例示的な減速比は,2:1から13:1である。」との記載(減速比として例示された範囲に2:1を含んでいる。)及び甲3公報における歯車箱の歯車比を2.0対1とすることに関する記載(5頁左下欄2~13行目)を併せみると,減速歯車により減速するに当たって,ファンアセンブリとブースタ圧縮機における最適な回転数を各々検討した結果,減速比として2.0対1を選択することは格別なことではない。また,本願明細書の記載をみても,「ファンアセンブリ12が低圧タービン20の回転速度の約2分の1の回転速度で回転するように,歯車箱100は約2.0対1の歯車比を有する」ことが一実施形態として記載され,「そのため,本実施形態においては,ファンアセンブリ12は,低圧タービン20の回転速度より常に遅い回転速度で回転する」ことも明記されているが(段落【00 比を有する」ことが一実施形態として記載され,「そのため,本実施形態においては,ファンアセンブリ12は,低圧タービン20の回転速度より常に遅い回転速度で回転する」ことも明記されているが(段落【0013】),歯車比を2.0対1に特定したことの効果は何ら示されていないのであるから,歯車比を2.0対1に限定したことから格別な効果が得られるものでもない。 (3) 原告は,さらに,刊行物1にはファンアセンブリの速度を低下させ過ぎることによる弊害について何ら記載がないと主張する。 しかしながら,刊行物1に記載されたガスタービンエンジンは,ファンアセンブリの速度を低くし過ぎると,実用的な推進力が得られないばかりか,ファンアセンブリの下流にブースタ圧縮機が設けられる構造となっていることから,ブースタ圧縮機の入口での空気流量が減少してタービン効率が悪化することは明らかであって,ファンアセンブリの速度を低くし過ぎた場合に効率が低下すれば,それを避けるようにファンアセンブリがより高い速度となるように減速比を設定することは当業者であれば当然に行い得ることである。 そして,本件審決において減速比を2.0対1とすることの周知例として挙げた甲3公報(5頁左下欄2~13行目)には,軸38(低圧タービンの軸)と軸36(ファンと結合する軸)の回転速度の比は,コストや重量を考慮して変更することができ,2.5対1から2対1とすることにより,「重量が減りそして一層小型の減速歯車を得る」こと,及び該回転速度の最適な比を,「特定エンジンの運転範囲内で各用途に対して選択できる」との記載がある。 したがって,引用発明において,ギアアセンブリの減速比を前記周知例に照らして2.0対1とする動機付けはあり,当業者であれば容易になし得たとした相違点3に係る審決の判断に誤りは 」との記載がある。 したがって,引用発明において,ギアアセンブリの減速比を前記周知例に照らして2.0対1とする動機付けはあり,当業者であれば容易になし得たとした相違点3に係る審決の判断に誤りはない。 (4) また,仮に,引用発明におけるファンの減速比が「ブースタ圧縮機の回転数が10000rpm台の時にファンの回転数を3000rpm台とす(る)」ものであって約3.3対1であることが前提であるとしても,タービンエンジンにおいて小型軽量化を行うことは自明の課題であるから,引用発明においても,小型軽量化の課題は当然存するものと認められ,減速歯車の減速比をより小さいものとすれば減速歯車の小型軽量化ひいてはタービンエンジン全体の小型軽量化が図れるのは明らかである。しかも,前記周知例には,タービンエンジンにおいて「より一層小型の減速歯車を得る」ために回転速度の比を2.5対1から2.0対1と,より小さい回転速度の比とすることが示唆されており,少なくとも「一層小型の減速歯車を得る」ということにおいて,回転速度の比を約3.3対1から,より小さい2.0対1とする動機付けはあるというべきであるから,相違点3に係る本件審決の判断に誤りはないことに変わりはない。 2 取消事由2(相違点4に関する容易想到性の判断の誤り)に対し(1) 刊行物1の記載における第2シャフト56とギアアセンブリ62とは,刊行物1のFig.1において図示されるように,互いに軸方向において接合 されたものであって,かつ,共に回転するものであるから,その構造から見て,平行方向及び角度方向のずれが生じると,ギアアセンブリの歯車構成要素の摩耗を加速(促進)して,運転中に構成要素が破損するという課題を内在することは,当業者にとって明らかである。 そして,本件審決における「刊行物2 方向のずれが生じると,ギアアセンブリの歯車構成要素の摩耗を加速(促進)して,運転中に構成要素が破損するという課題を内在することは,当業者にとって明らかである。 そして,本件審決における「刊行物2に記載の技術」は,「コンプレッサードライブシャフト24と遊星歯車列の太陽歯車36との間に,シャフトのずれに適応するための柔軟区画を有する太陽歯車カップリング32を介在させたタービン・エンジン10」であるところ,刊行物2の記載において太陽歯車カップリング32を設けることにより解決する課題は,歯車構成要素の摩耗を加速(促進)して,運転中に構成要素が破損するという課題である。 このことは,刊行物2の記載である「遊星歯車列の太陽歯車,遊星歯車キャリアーおよびリング・ギヤーの縦軸は,太陽歯車を回転させる外部シャフトの縦軸と同軸であることが理想的である。しかし,そのような完全同軸整合は,回転ハードウエアの不均衡,製造上の欠陥,および航空機の操縦(または運動)に起因するシャフトおよび支持枠の過渡一時的屈曲を含む多くの要因により稀である。その結果として生じる平行方向及び角度方向のずれ(misalignment)は,歯車の歯,遊星歯車を遊星歯車キャリアー内で支持している軸受,および前記キャリアー自体にモーメントおよび力を負荷する。負荷された力とモーメントは,歯車構成要素の摩耗を加速(促進)し,運転中に構成要素が破損する可能性を増す。構成要素の破壊は,どんな用途においても望ましくないことは自明であるが,特に航空エンジンでは望ましくない。 さらに,構成要素の摩耗が加速されると,頻繁な検査および部品交換が必要になり,その結果,エンジンおよび航空機の運転が不経済になりうる。」(7頁16行目~8頁1行目)から明らかである。 そして,刊行物1の記載における第2シャフト56 と,頻繁な検査および部品交換が必要になり,その結果,エンジンおよび航空機の運転が不経済になりうる。」(7頁16行目~8頁1行目)から明らかである。 そして,刊行物1の記載における第2シャフト56とギアアセンブリ62は,刊行物2記載の技術におけるコンプレッサードライブシャフト24と遊 星歯車列の太陽歯車36と,軸と歯車構成要素とを軸線方向において結合した構造であって,共に回転することにおいて共通するものであって,両者は平行方向及び角度方向のずれが生じると,ギアアセンブリの歯車構成要素の摩耗を加速(促進)して,運転中に構成要素が破損するという課題においても共通するから,引用発明において刊行物2に記載の技術を適用する動機付けは存在するといえ,「引用発明において,シャフトの軸線のずれなどに対応するために,刊行物2に記載の技術を適用し,第2シャフト56とギアアセンブリ70(判決注:ギアアセンブリ62の誤記と認める。)との間に撓み結合部を設けることにより上記相違点4に係る本件発明(本願発明)の発明特定事項とすることは,当業者であれば容易になし得たことである。」とした本件審決の判断に誤りはない。 なお,本願明細書には,「動作中,撓み結合部108は,歯車箱100と駆動軸31との間で伝達される回転トルクを吸収し,それにより歯車箱100及び駆動軸31の双方の動作寿命を延ばすことができる。更に,撓み結合部108は,エンジン動作中に歯車箱100と駆動軸31との整列を助けるために利用されてもよい。」(段落【0012】)と記載されているが,回転トルクを吸収し,歯車と駆動軸の動作寿命を延ばすと共に,動作中に歯車箱100と駆動軸31との整列を助けるという効果は,刊行物2の前記記載から明らかな効果であって,格別なものではない。 (2) 以上のとおり,原 し,歯車と駆動軸の動作寿命を延ばすと共に,動作中に歯車箱100と駆動軸31との整列を助けるという効果は,刊行物2の前記記載から明らかな効果であって,格別なものではない。 (2) 以上のとおり,原告主張の取消事由2は理由がない。 第5 当裁判所の判断 1 本願発明について(1) 本願発明の特許請求の範囲の請求項1は,前記第2の2に記載のとおりであるところ,本願明細書(甲4,17)には,発明の詳細な説明として,次の各事項が記載されている(図面は別紙1のとおりである。)。 ア技術分野に関し 「【0001】本発明は,一般にガスタービンエンジンに関し,特に,ガスタービンエンジンアセンブリ及びそれを組立てる方法に関する。」イ従来技術とその課題に関し「【0002】少なくともいくつかの周知のガスタービンエンジンは,ファンアセンブリ,コアエンジン及び低圧タービン又は出力タービンを含む。コアエンジンは,少なくとも1つの圧縮機と,燃焼器と,高圧タービンとを含み,それらの構成要素は,互いに直列流れ関係で結合される。コアエンジンに入った空気は,燃料と混合され且つ点火されて,高エネルギーガス流れを形成する。高エネルギーガス流れは高圧タービンを通って流れ,高圧タービンを回転自在に駆動し,更に第1の駆動軸を介して圧縮機を回転自在に駆動する。ガス流れは,高圧タービンを通って流れる間に膨張し,低圧タービンの駆動を補助する。低圧タービンは,第2の駆動軸を介してファンアセンブリを回転自在に駆動する。 【0003】エンジン効率を向上するためには,ファン効率を改善するようにファンアセンブリを相対的に低速で動作させると共に,タービン効率を改善するように高圧タービンを相対的に高速で動作させることが望ましい。従って,総エンジン効率を向上する は,ファン効率を改善するようにファンアセンブリを相対的に低速で動作させると共に,タービン効率を改善するように高圧タービンを相対的に高速で動作させることが望ましい。従って,総エンジン効率を向上するために,ファン速度及び高圧タービン速度はいずれも完全には最適化されない。 【0004】そこで,ファンアセンブリの動作速度を低下するのを助けるために,少なくとも1つの周知のガスタービンエンジンは,低圧タービンとファンアセンブリとの間に結合された歯車箱を含む。しかし,ファンアセンブリの速度を低下し,それによりファンアセンブリの効率を向上するために歯車 箱を利用すると,ブースタ圧縮機へ搬送される気流の量が減少してしまう。 その結果,適正な圧力を実現するために,ブースタ圧縮機に更に段が追加される。それにより,エンジンの総重量が増し,エンジン構造が複雑になり且つ/又はエンジンの製造コストが増加する。」ウ課題を解決するための手段に関し「【0005】1つの面においては,タービンエンジンアセンブリが提供される。タービンエンジンアセンブリは,高圧圧縮機,燃焼器及びタービンを含むコアガスタービンエンジンを含む。タービンエンジンアセンブリは,コアガスタービンエンジンから軸方向後方に結合された低圧タービンと,コアガスタービンエンジンから軸方向前方に結合されたファンアセンブリと,低圧タービンと共に第1の回転速度で回転するように,低圧タービンに結合されたブースタ圧縮機とを更に含む。」エ発明の実施の形態に関し「【0007】図1は,長手方向軸11を有するガスタービンエンジンアセンブリ10の一実施形態を示した概略図である。ガスタービンエンジンアセンブリ10は,ファンアセンブリ12及びコアガスタービンエンジン13を含む。 コアガスタービンエン を有するガスタービンエンジンアセンブリ10の一実施形態を示した概略図である。ガスタービンエンジンアセンブリ10は,ファンアセンブリ12及びコアガスタービンエンジン13を含む。 コアガスタービンエンジン13は,高圧圧縮機14,燃焼器16及び高圧タービン18を含む。本実施形態においては,ガスタービンエンジンアセンブリ10は,低圧タービン20及びブースタ圧縮機22を更に含む。 【0008】ファンアセンブリ12は,回転翼円板26から半径方向外側へ延出するファンブレード24のアレイを含む。エンジンアセンブリ10は,吸気側28及び排気側30を含む。ブースタ圧縮機22及び低圧タービン20は,第1の駆動軸31により互いに結合され,高圧圧縮機14及び高圧タービ ン18は,第2の駆動軸32により互いに結合される。ファンアセンブリ12は,新規のフレーム126で支持され,減速歯車箱100を介して駆動軸31により駆動される。 【0009】図2は,図1に示されるガスタービンエンジンアセンブリ10の一部を示した概略図である。図2に示されるように,ガスタービンエンジンアセンブリ10に入った気流をブースタ圧縮機22を経て下流側へ搬送するのを助けるために,ブースタ圧縮機22は,複数の周囲方向に互いに離間して配置された入口案内羽根(IGV)34を含む。本実施形態においては,ガスタービンエンジンアセンブリ10は,ブースタ圧縮機22から下流側に結合された複数の出口案内羽根(OGV)アセンブリ36を更に含む。 一実施形態においては,ブースタ圧縮機22は,対応する回転翼円板44にそれぞれ結合された回転翼羽根42の段40を1つ~3つ含む。本実施形態においては,ブースタ圧縮機22は,回転翼羽根42の2つの段40を含む。 【0010】本実施形態においては,ブース 板44にそれぞれ結合された回転翼羽根42の段40を1つ~3つ含む。本実施形態においては,ブースタ圧縮機22は,回転翼羽根42の2つの段40を含む。 【0010】本実施形態においては,ブースタ圧縮機22は,駆動軸31を介して低圧タービン20に結合される。例えば本実施形態においては,ガスタービンエンジンアセンブリ10は,図2に示されるように,駆動軸31により駆動される第1の端部又は前端部52において複数のスプライン76を利用して結合され且つ第2の端部又は後端部54においては回転翼円板44に結合されるコーン又は円板50を含む。すなわち,ブースタ圧縮機22及び低圧タービンが同一の回転速度で第1の回転方向60に回転するように,ブースタ圧縮機22は低圧タービン20に結合される。特に,ガスタービンエンジンアセンブリ10は軸延長部70を含む。軸延長部70は,円板50に結合された第1の端部又は前端部72と,スプライン76を介 して駆動軸31に結合され,従って低圧タービン20にも結合された第2の端部又は後端部74とを含む。 【0011】本実施形態においては,ファンアセンブリ12を回転させるのを助けるために,ガスタービンエンジンアセンブリ10は,ファンアセンブリ12と駆動軸31との間に結合された歯車箱100を更に含む。一実施形態においては,歯車箱100は,低圧タービン20及びブースタ圧縮機22がそれぞれ回転する回転方向60に関して逆の回転方向62にファンアセンブリ12を回転させるように構成された遊星歯車箱である。歯車箱100は,ほぼ環状体形を有し,駆動軸31の周囲に配置されて,ほぼ駆動軸31の周囲を取り囲んで延出するように構成される。図2に示されるように,歯車箱100は,支持構造102を含む。支持構造102は,歯車箱100がガスタ を有し,駆動軸31の周囲に配置されて,ほぼ駆動軸31の周囲を取り囲んで延出するように構成される。図2に示されるように,歯車箱100は,支持構造102を含む。支持構造102は,歯車箱100がガスタービンエンジンアセンブリ10の内部のほぼ固定された位置に維持されるように,歯車箱100を支持する構造を形成する。歯車箱100は,軸延長部70を介して駆動軸31に結合された入力端104と,ファンアセンブリ12の駆動を補助するようにファンアセンブリ12に結合された出力端106とを含む。 【0012】本実施形態においては,ガスタービンエンジンアセンブリ10は撓み結合部108を更に含む。歯車箱100と駆動軸31との間に軸方向支持構造及び半径方向支持構造の双方を形成するように,撓み結合部108は,入力端104と軸延長部70との間に結合される。例えば,動作中,撓み結合部108は,歯車箱100と駆動軸31との間で伝達される回転トルクを吸収し,それにより歯車箱100及び駆動軸31の双方の動作寿命を延ばすことができる。更に,撓み結合部108は,エンジン動作中に歯車箱100と駆動軸31との整列を助けるために利用されてもよい。 【0013】一実施形態においては,ファンアセンブリ12が低圧タービン20の回転速度の約2分の1の回転速度で回転するように,歯車箱100は約2. 0対1の歯車比を有する。そのため,本実施形態においては,ファンアセンブリ12は,低圧タービン20の回転速度より常に遅い回転速度で回転する。 【0014】スラスト軸受アセンブリ110などの第1の軸受アセンブリは,駆動軸31及び/又は長手方向軸11の周囲に配置される。スラスト軸受アセンブリ110は,駆動軸31とコアガスタービンエンジン13のフレーム111とを結合し且つ/又は駆 などの第1の軸受アセンブリは,駆動軸31及び/又は長手方向軸11の周囲に配置される。スラスト軸受アセンブリ110は,駆動軸31とコアガスタービンエンジン13のフレーム111とを結合し且つ/又は駆動軸31とフレーム111との間に装着される。スラスト軸受アセンブリ110は,駆動軸31に関して装着された半径方向に位置決めされた内レース112を含む。図2に示されるように,内レース112は,長手方向軸11に関して駆動軸31と共に回転自在であるように,駆動軸31に動作自在に結合された駆動軸延長部70に装着される。スラスト軸受アセンブリ110は,フレーム111に結合された半径方向外側のレース114を更に含む。外レース114は,歯車箱100により発生されるスラスト荷重及び/又は力を伝達するための土台として作用する。スラスト軸受アセンブリ110は,内レース112と外レース114との間に移動自在に配置された複数の軸受116などの少なくとも1つのローラ要素を更に含む。 【0015】ファンアセンブリ12と歯車箱出力端106との間に,スラスト軸受アセンブリ120などの第2の軸受アセンブリが配置される。すなわち,スラスト軸受アセンブリ120は,ファンアセンブリ12を歯車箱100に動作自在に結合し,ファンアセンブリ12により発生されるスラスト荷重 及び/又は力が歯車箱100へ伝達されるのを防止するように作用する。 スラスト軸受アセンブリ120は,歯車箱出力端106に関して装着された半径方向に位置決めされた内レース122と,フレーム126に結合された半径方向外側のレース124とを含む。外レース124は,ファンアセンブリ12により発生されるスラスト荷重及び/又は力を伝達するための土台として作用する。スラスト軸受アセンブリ120は,内レース122と外レ 外側のレース124とを含む。外レース124は,ファンアセンブリ12により発生されるスラスト荷重及び/又は力を伝達するための土台として作用する。スラスト軸受アセンブリ120は,内レース122と外レース124との間に移動自在に配置された複数の軸受128などの少なくとも1つのローラ要素を更に含む。フレーム126は,軸受128及び136から発生されるファンの半径方向モーメント,スラストモーメント及び転倒モーメントを搬送する。更に,フレーム126は,それらの荷重を外側エンジン構造及びエンジンマウントへ伝達する。フレーム126を使用することにより,フレーム111全体の軸方向寸法に関してフレーム111を最小にすることができ,その結果,エンジン系統の重量を最小限に抑えることができる。 【0016】スラスト荷重及び/又は力をスラスト軸受アセンブリ120へ伝達した結果,ファンアセンブリ12に動作自在に結合された歯車箱100を介するスラスト荷重及び/又は力の伝達は阻止されるか又は制限される。別の実施形態においては,当業者に周知であり且つ本明細書の教示により指示される任意の適切な軸受アセンブリを軸受アセンブリ110及び/又は軸受アセンブリ120の代わりに,あるいはそれらに加えて使用できる。 【0017】歯車箱出力端106をほぼ固定された半径方向位置に維持するのを助けるために,ガスタービンエンジンアセンブリ10は,ころ軸受アセンブリ130を更に含む。ころ軸受アセンブリ130は,歯車箱出力端106と支持構造102との間に結合される。特に,ころ軸受アセンブリ130は, 歯車箱出力端106に結合された回転内レース132と支持構造102に結合された静止外レース134及び内レース132と外レース134との間にそれぞれ配置された複数のローラ要素136 30は, 歯車箱出力端106に結合された回転内レース132と支持構造102に結合された静止外レース134及び内レース132と外レース134との間にそれぞれ配置された複数のローラ要素136を含む。 【0018】本実施形態においては,スラスト軸受アセンブリ120及びころ軸受アセンブリ130は,ファンアセンブリ12及び歯車箱出力端106が支持構造102及び104に関して自在に回転できるように,ファンアセンブリ12に対して回転支持を行うのに好都合である。従って,軸受アセンブリ120及び130は,ガスタービンエンジンアセンブリ10の内部の相対的に固定された半径方向位置にファンアセンブリ12を維持するのを助ける。 【0019】本実施形態においては,ガスタービンエンジンアセンブリ10は,ブースタ圧縮機22の上流側を油だめ170から密封する第1の1対のラビリンスシール190と,ブースタ圧縮機22の下流側を油だめ171から密封する第2の1対のラビリンスシール192とを更に含む。 【0020】ガスタービンエンジンアセンブリ10を組立てるために,高圧圧縮機,燃焼器及びタービンを含むコアガスタービンエンジンが提供される。低圧タービンは,コアガスタービンエンジンから軸方向後方に結合され,ファンアセンブリは,コアガスタービンエンジンから軸方向前方に結合される。 次に,ブースタ圧縮機及び低圧タービンが第1の回転速度で回転するように,ブースタ圧縮機は低圧タービンに結合される。 【0021】特に,駆動軸は低圧タービンに結合され,ファンアセンブリが第1の回転速度とは異なり且つ/又は第1の回転速度より遅い第2の回転速度で回 転するように,歯車箱は駆動軸とファンアセンブリとの間に結合される。 スラスト荷重を吸収するのを助けるために,歯車箱 1の回転速度とは異なり且つ/又は第1の回転速度より遅い第2の回転速度で回 転するように,歯車箱は駆動軸とファンアセンブリとの間に結合される。 スラスト荷重を吸収するのを助けるために,歯車箱により発生されるスラスト荷重が土台へ伝達されるように,第1のスラスト軸受アセンブリは駆動軸と歯車箱との間に結合され,ファンアセンブリにより発生されるスラスト荷重が土台へ伝達されるように,第2のスラスト軸受アセンブリは歯車箱とファンアセンブリとの間に結合される。 【0022】動作中,駆動軸31が回転すると,駆動軸延長部70は,歯車箱入力端104を第1の回転方向60に回転させる。その結果,歯車箱出力端106は,第1の回転方向とは逆の第2の回転方向62に回転する。歯車箱出力端106はファンアセンブリ12に結合されるため,駆動軸31は,歯車箱100を介してファンアセンブリ12を逆の第2の回転方向62に,すなわち低圧タービン20及びブースタ圧縮機22の双方の回転方向とは逆の方向に回転させる。一実施形態においては,油だめ170の中の潤滑流体が歯車箱100の少なくともいくつかの部分を潤滑するために利用されるように,歯車箱100は油だめ170の中に配置される。例えば,動作中,歯車箱100は,油だめ170の内部で絶えず潤滑される。」オ発明の効果に関し「【0023】本明細書において説明されるガスタービンエンジンアセンブリは,ファンアセンブリの回転速度より速い回転速度でブースタ圧縮機を動作させることを可能にするために,駆動軸を介して低圧タービンに直接結合されたブースタ圧縮機を含む。更に,本発明のガスタービンエンジンアセンブリは,低圧タービンとファンアセンブリとの間に結合された歯車箱を含む。 その結果,ファンアセンブリ及びブースタ圧縮機の双方の回転 されたブースタ圧縮機を含む。更に,本発明のガスタービンエンジンアセンブリは,低圧タービンとファンアセンブリとの間に結合された歯車箱を含む。 その結果,ファンアセンブリ及びブースタ圧縮機の双方の回転速度を最適化できる。特に,ファンアセンブリにより発生される気流を最適化するた めに,ファンアセンブリの速度を減速でき,また,ブースタ圧縮機の段の数を最適化し且つタービン段の数を少なくするために,ブースタ圧縮機の速度を増加できる。その結果,ファンブースタは低圧タービンの速度で駆動されるので,ブースタ段の数が減少すると共に,タービン効率が向上する。この効率の向上を電気補助航空機において出力を抽出するために使用できる。」(2) 以上の記載によれば,本願発明は,次の特徴を有するものと認められる。 ア本願発明は,ガスタービンエンジンアセンブリに関するものである(段落【0001】)。 イ周知のガスタービンエンジンは,ファンアセンブリと,コアエンジンと,低圧タービンとを含む。コアエンジンは,少なくとも一つの圧縮機と,燃焼器と,高圧タービンとを含み,これらの構成要素は,互いに直列に結合される。コアエンジンに入った空気は,燃料と混合されて点火され,高エネルギーガス流れを形成する。高エネルギーガス流れは,高圧タービンを通過するときに高圧タービンを回転させ,その回転が第1の駆動軸で圧縮機に伝えられて圧縮機を回転させる。同時に,高エネルギーガス流れは,高圧タービンを通過する間に膨張し,低圧タービンを回転させ,その回転が第2の駆動軸でファンアセンブリに伝えられてファンアセンブリを回転させる(同【0002】)。 ウガスタービンエンジンの効率向上のためには,ファンアセンブリを相対的に低速で回転させてファン効率を改善するとともに,高圧タービンを相対 られてファンアセンブリを回転させる(同【0002】)。 ウガスタービンエンジンの効率向上のためには,ファンアセンブリを相対的に低速で回転させてファン効率を改善するとともに,高圧タービンを相対的に高速で回転させてタービン効率を改善することが望ましい。しかし,ファンアセンブリを回転させるのも,高圧タービンを回転させるのも,同じ高エネルギーガス流れなので,ファンアセンブリの回転速度及び高圧タービンの回転速度を完全に最適化することはできない(同【0003】)。 エそこで,低圧タービンとファンアセンブリとの間に歯車箱を結合し,フ ァンアセンブリの回転速度を低下させたガスタービンエンジンも周知である。しかし,ファンアセンブリの回転速度を低下させてファン効率を向上させるために歯車箱を利用すると,ブースタ圧縮機へ搬送される気流の量が減少する結果,適正な圧力を得るためには,ブースタ圧縮機に更に段を追加しなければならず,エンジンの総重量の増加,エンジン構造の複雑化,エンジン製造コストの上昇という問題を招く(同【0004】)。 オ本願発明は,以上の課題を解決するために,駆動軸を介して低圧タービンに直接結合されたブースタ圧縮機と,低圧タービンとファンアセンブリとの間に結合された歯車箱とを含む。これにより,ファンアセンブリ及びブースタ圧縮機の双方の回転速度を最適化することができる。特に,ファンアセンブリにより発生される気流を最適化するために,ファンアセンブリの速度を減速させる一方で,ブースタ圧縮機の段の数を最適化し,かつ,タービン段の数を少なくするために,ブースタ圧縮機の速度を増加できる。 その結果,ブースタ圧縮機を直接回転させる低圧タービンの段を少なくし,タービン効率を向上させることができるという効果を奏する(同【0023】)。 2 引 ために,ブースタ圧縮機の速度を増加できる。 その結果,ブースタ圧縮機を直接回転させる低圧タービンの段を少なくし,タービン効率を向上させることができるという効果を奏する(同【0023】)。 2 引用発明について(1) 刊行物1に前記第2の3(2)アのとおりの引用発明が記載されていることは,当事者間に争いがない。 (2) また,刊行物1(甲1)には,次の各記載がある(ただし,原告が提出した翻訳文による。図面は別紙2のとおりである。)。 ア 「本発明は,高い推進効率,実質的に少ない重量および実質的に低い抵抗を有するギア付きターボファンガスタービンを提供することを目的とする。 したがって,本発明は,軸流方向に沿って連なっている,1個のファン,ブースタ圧縮機手段,圧縮機手段,燃焼器手段と,第1のタービン手段お よび第2のタービン手段であって,第1のタービン手段は,第1の軸手段を介して圧縮機を駆動するように適合され,第2のタービン手段は,第2のシャフト手段を介してブースタ圧縮機手段を駆動するように適合され,さらに第2のタービン手段は,ファンを第2のシャフト手段とギア手段を介して駆動するように適合されたものからなるターボファンガスタービンを提供する。」(甲1・明細書第1欄60行目~第2欄4行目,抄訳1頁2~10行目)イ 「ターボファンガスタービンエンジン10は,図1と図2に示されており,コアエンジン12とファンアセンブリ72とからなる。コアエンジン12は,軸流方向に沿って連なっている,圧縮機手段14,燃焼器手段16,第1のタービン手段18および第2のタービン手段20からなる。コアエンジン12は,同軸コアケーシング22によって囲まれている。」(甲1・明細書第2欄43~48行目,抄訳1頁12~16行目)ウ 「第1のタービン手段 18および第2のタービン手段20からなる。コアエンジン12は,同軸コアケーシング22によって囲まれている。」(甲1・明細書第2欄43~48行目,抄訳1頁12~16行目)ウ 「第1のタービン手段18のロータ36は,第1シャフト40を通して圧縮機手段14のロータ28を駆動するようなされている。シャフト40は,軸方向に離間したボールベアリング44とローラベアリング46によって静止構造体42に回転可能に支持されている。静止構造体42は,圧縮機手段14の静止翼ケーシング24と,タービン手段18の静止翼ケーシング32に固定される。シャフト40の上流端は,ベアリング47によって回転可能に支持されている。」(甲1・明細書第2欄61行目~第3欄2行目,抄訳1頁18~23行目)エ 「スタブシャフト60は,例えばスプライン結合または他の適切な手段によってシャフト56の上流側の端部に固定されており,スタブシャフト60は,ギアアセンブリ62を駆動する。ギアアセンブリ62は,スタブシャフト60に固定され,かつ,駆動される太陽ギア64と,太陽ギア64に噛み合っており駆動される複数の遊星ギア66と,遊星ギア66に噛 み合っており駆動される環状ギア68と,からなる。環状ギア68は,ギアアセンブリ62から上流側に延在するシャフト70に固定あるいは一体化されている。シャフト70は,ファンアセンブリ72に固定されるとともに,それを駆動する。」(甲1・明細書第3欄27~38行目,抄訳1頁25~32行目)オ 「ファンアセンブリ72は,複数の径方向外方に延在するファンブレード76を設けたファンロータ74からなる。ファンアセンブリはコアエンジン12の上流側に位置し,それと同軸上において回転するように配置されている。ファンロータ74は,スプライン結合,カービック ブレード76を設けたファンロータ74からなる。ファンアセンブリはコアエンジン12の上流側に位置し,それと同軸上において回転するように配置されている。ファンロータ74は,スプライン結合,カービックカップリングまたは,その他の適切な手段によりシャフト70に固定されている。ファンブレード76は,いかなる適切な形状であってもよいが,好ましくは,広い翼弦を持つ層流超臨界翼型であり,好ましくは,ハニカム充填材を伴ったチタンシートから形成されてもよい。 遊星キャリア78は,ギアアセンブリ62を囲むギアハウジング82に固定されている。スタブシャフト60は,ベアリング88によってギアハウジング82に回転可能に支持されており,シャフト70は,軸方向に離間して配置されたローラベアリング84とボールベアリング86によってギアハウジング82に回転可能に支持されている。ギアハウジング82は,ファンアセンブリの下流に向かって,コアエンジン12へインレットダクト92を通して空気を供給するための開口部を形成する複数の径方向に延在する複数の翼90によって,エンジンケーシング22の上流端に固定される。」(甲1・明細書第3欄42~61行目,抄訳2頁2~16行目)カ 「ブースタ圧縮機手段は,軸方向において,ファンアセンブリ72とコアエンジン12との間に位置し,インレットダクト92の中で,コアエンジン12へ供給される空気の圧力を高くする。ブースタ圧縮機手段は,複数の半径方向外側に延在するブレード96を設けたブースタロータ94か らなる。ブースタロータ94は,ブレード96を1段のみ備え,ブレードは,広い翼弦をもっており,空気流を接線方向に方向づける。ブースタロータ94は,円錐型のシャフト98を通して接続され,あるいは一体化されたスタブシャフト60によって駆動さ 6を1段のみ備え,ブレードは,広い翼弦をもっており,空気流を接線方向に方向づける。ブースタロータ94は,円錐型のシャフト98を通して接続され,あるいは一体化されたスタブシャフト60によって駆動される。ブレード96の数は,先端部が音速を超えて回ることにより生じる騒音の周波数が,可聴域を超えるものとなるように選定される。」(甲1・明細書第3欄62行目~第4欄6行目,抄訳2頁18~26行目)キ 「ファンは,最大効率を得るため,その先端速度を低くすることを要求し,ファンは,コアエンジンの上流側に位置し,ファンは,コアエンジンの効率低下に関係するコアエンジンのハブと先端の直径比においての過剰な妥協を行うことなしに,低圧タービンによって直接駆動することができない。ギアアセンブリ62が,ファン72が要求する高い動力需要を,比較的小径であって,比較的高回転である低圧タービンのシャフト56から供給することを可能とするために含まれている。 ファンブレードの先端速度が,直接駆動した場合と比較して低減されており,これにより先端速度が高いことにより生じる騒音の問題を克服している。 また,ファンアセンブリは,回転数を低減して,鳥の衝突による影響がそれほど深刻でなくなり,例えば,ブースタ圧縮機の回転数が10000rpm台の時にファンの回転数を3000rpm台とすれば,大きく軽量化した構造となりうる。 ブースタ圧縮機手段は,シャフト56,60そして98を通じて第2タービン手段20によって直接駆動されている。それに対して,ファンアセンブリ72は,ギアアセンブリ62を介して駆動されている。 ブースタ圧縮機は,故に,ファンアセンブリ72より高い回転数で駆動されており,この例によると,逆方向であり,ブースタ圧縮機の段数を, コアエンジンへの空気 リ62を介して駆動されている。 ブースタ圧縮機は,故に,ファンアセンブリ72より高い回転数で駆動されており,この例によると,逆方向であり,ブースタ圧縮機の段数を, コアエンジンへの空気流の圧の上昇を生みながら,低減できる。このことは,ガスタービンエンジンの長さ,重量,抵抗を低減することを生み出す。」(甲1・明細書第6欄1~30行目,抄訳2頁28行目~3頁13行目)(3) (2)の記載によれば,刊行物1には,引用発明に関し,以下の点が開示されているものと認められる。 ア引用発明は,高い推進効率,実質的に少ない重量及び実質的に低い抵抗を有するギア付きターボファンガスタービンである(前記(2)ア)。 イターボファンガスタービンにおいて,ファンの効率を最大化するには,ファン(ファンブレード)の先端速度を低下させる必要があるが,コアエンジンの上流側に位置するファンを低圧タービンで直接駆動するには,コアエンジンのハブと先端との直径比について過剰な妥協をする必要があり,これは,コアエンジンの効率低下を招く(前記(2)キ)。 ウ引用発明は,ギアアセンブリ62を含むので,(前記イの過剰な妥協をすることなく,)ファンアセンブリ72に駆動に必要な動力を比較的小径かつ比較的高回転である低圧タービン(第2のタービン手段20)のシャフト(第2シャフト56)から供給することができる(前記(2)キ)。 エ引用発明は,ファンアセンブリ72を低圧タービン(第2のタービン手段20)で直接駆動した場合に比べてファンブレードの先端速度が低減されるので,ファンブレードの大きな先端速度に起因する騒音の問題を克服することができる(前記(2)キ)。 オ引用発明は,ファンアセンブリ72の回転数が低減する結果,鳥の衝突による影響がそれほど深刻でなくなるので, ブレードの大きな先端速度に起因する騒音の問題を克服することができる(前記(2)キ)。 オ引用発明は,ファンアセンブリ72の回転数が低減する結果,鳥の衝突による影響がそれほど深刻でなくなるので,例えばブースタ圧縮機の回転数が10000rpm台のときにファンアセンブリ72の回転数を3000rpm台にすれば,ファンアセンブリ72を大幅に軽量化することができる(前記(2)キ)。 カ引用発明は,ブースタ圧縮機手段が第2シャフト56,スタブシャフト 60及び円錐型のシャフト98を通じて第2のタービン手段20によって直接駆動されるのに対し,ファンアセンブリ72がギアアセンブリ62を介して駆動されるので,ブースタ圧縮機がファンアセンブリ72より高い回転数で,また,ファンアセンブリ72と逆方向に駆動され,少ない段数でコアエンジンに向かう空気流の圧力を上げることができる結果,ガスタービンエンジンの長さ,重量及び抵抗を低減することができる(前記(2)キ)。 3 刊行物2記載の技術について(1) 刊行物2(甲2)には,次の各記載がある(図面は別紙3のとおりである。)。 ア特許請求の範囲「1. シャフトにより回転可能な太陽歯車と,リング・ギヤー・ハウジングに固定されたリング・ギヤーと,遊星歯車キャリアー内に回転可能に取り付けられ且つ前記太陽歯車および前記リング・ギヤーのそれぞれと噛み合っている複数の遊星歯車と,を有する遊星歯車列のカップリング・システムであって,前記太陽歯車を前記シャフトに連結する太陽歯車カップリングを有し,この太陽歯車カップリングは,前記太陽歯車と前記シャフトのずれに適応するために非柔軟スピンドルに結合された少なくとも一つの波状柔軟区画を有し,前記リング・ギヤー・ハウジングを非回転機械的グラウンドに連 陽歯車カップリングは,前記太陽歯車と前記シャフトのずれに適応するために非柔軟スピンドルに結合された少なくとも一つの波状柔軟区画を有し,前記リング・ギヤー・ハウジングを非回転機械的グラウンドに連結するリング・ギヤー・カップリングを有し,このリング・ギヤー・カップリングは,前記リング・ギヤー・ハウジングと前記機械的グラウンドのずれに適応するために非柔軟ハブに結合された少なくとも一つの波状柔軟部分を有することを特徴とするカップリング・システム。」(2頁2~14行目)イ発明の詳細な説明(ア) 技術分野 「本発明は遊星歯車列に関し,特に,ギヤー・システム構成要素の信頼性と耐久性を改善するために,前記歯車列の太陽歯車およびリング・ギヤーをそれぞれ回転軸および非回転機械的グラウンド(枠体,母体)に柔軟(可撓)連結するカップリング(継手)システムに関する。本発明は特に,信頼性,耐久性および単純性が大いに望ましい航空エンジンにおいて有用である。」(7頁4~8行目)(イ) 発明の背景「遊星歯車列は,二つの回転軸またはローター間で回転速度を減少,または時により増加させる複雑な機構である。遊星歯車列は構成が簡素であり,この点は,スペースが貴重である航空エンジンでの使用に関して遊星歯車列は利点となる。 遊星歯車列で伝達される力およびトルクは,理想的な状態でさえも,遊星歯車列構成要素におびただしい応力を加え,前記構成要素を破損および摩耗しやすくする。実際問題として,たいていの場合,状態は決して理想的なものではなく,歯車構成要素に付加応力をかける。例えば,遊星歯車列の太陽歯車,遊星歯車キャリアーおよびリング・ギヤーの縦軸は,太陽歯車を回転させる外部シャフトの縦軸と同軸であることが理想的である。しかし,そのような完全同軸整合は, 力をかける。例えば,遊星歯車列の太陽歯車,遊星歯車キャリアーおよびリング・ギヤーの縦軸は,太陽歯車を回転させる外部シャフトの縦軸と同軸であることが理想的である。しかし,そのような完全同軸整合は,回転ハードウエアの不均衡,製造上の欠陥,および航空機の操縦(または運動)に起因するシャフトおよび支持枠の過渡一時的屈曲を含む多くの要因により稀である。 その結果として生じる平行方向及び角度方向のずれ(misalignment)は,歯車の歯,遊星歯車を遊星歯車キャリアー内で支持している軸受,および前記キャリアー自体にモーメントおよび力を負荷する。負荷された力とモーメントは,歯車構成要素の摩耗を加速(促進)し,運転中に構成要素が破損する可能性を増す。構成要素の破壊は,どんな用途にお いても望ましくないことは自明であるが,特に航空エンジンでは望ましくない。さらに,構成要素の摩耗が加速されると,頻繁な検査および部品交換が必要になり,その結果,エンジンおよび航空機の運転が不経済になりうる。 構成要素破損のリスクは,歯車列構成要素をより大きく,従ってより強くすることにより減少できる。サイズが増大すると,それに対応して拡大した表面に伝達力を分散させることにより,摩耗も減少する。しかし,サイズの増大は,航空エンジンでの使用に関して遊星歯車列の利点であるコンパクト性を相殺する。また,これによる重量増加もまた望ましくない。高強度材料および耐摩耗コーティングの使用も有益ではあるが,歯車列のコストが上昇することから,摩耗を減らす要求を少なくすることにならない。 ずれに起因する応力も,歯車列を回転軸または非回転支持体のような外部ディバイスに連結するたわみ継手の使用により減少できる。例えば,太陽歯車を駆動軸に連結しているたわみ継手は,たとえ駆動軸 ない。 ずれに起因する応力も,歯車列を回転軸または非回転支持体のような外部ディバイスに連結するたわみ継手の使用により減少できる。例えば,太陽歯車を駆動軸に連結しているたわみ継手は,たとえ駆動軸の中心が完全整合方位に対して斜めでも,または変位していても,太陽歯車が,それと噛み合っている遊星歯車に対して,その理想的方向の近くに留まるように曲がる。しかし,多くの先行技術の継手は,潤滑を必要とする多くの部品を含み,そして継手自体が摩耗しやすい。先行技術の継手には,高いトルクのかかる用途で有用となる,縦軸を中心とした捻れに対する,十分な剛性と強度が不足していることもある。中心のずれ,即ちアラインメントのくるいには,スプライン結合によっても対応できる。 しかし,スプライン結合部の接触しているスプライン刃間で起こる運動では,摩擦が大きく変動し,そして,そのような結合部の柔軟性を変動する。 これらの欠点に鑑み,遊星歯車列の構成要素を外部装置に連結し,同 時に,それらの間のずれに適応する簡素で信頼できる無給油のカップリング・システムが求められている。」(7頁10行目~8頁23行目)(ウ) 発明を実施するための最良形態「図1を参照すると,タービン・エンジン10は,その主要な構成部分として,一つ以上のコンプレッサー12,13,コンプレッサーに動力を供給する一つ以上のタービン14,15,燃焼室16,ファン18,一次排気ノズル20,およびファン排気ノズル22を含む。各タービンから延びているシャフト24,25により,それぞれ対応するコンプレッサーを駆動する。コンプレッサーの一つの回転運動が,以下により完全に説明するように,遊星歯車列26を通ってファン18へ伝達される。 遊星歯車列は,コンプレッサーの回転速度を,ファンの効率的な作動のために を駆動する。コンプレッサーの一つの回転運動が,以下により完全に説明するように,遊星歯車列26を通ってファン18へ伝達される。 遊星歯車列は,コンプレッサーの回転速度を,ファンの効率的な作動のためにより適した速度に下げる。主要なエンジン構成部分は,理想的には,中心縦軸28と同心である。」(10頁6~14行目)「図2は,図1の遊星歯車列26および,そのエンジンおよび本発明のカップリング・システムとの関係をより詳細に示す。コンプレッサー・ドライブ・シャフト24の前端は,スプライン30により太陽歯車カップリング32の後端に連結されている。カップリング32の前端も,スプライン34により,遊星歯車列26の太陽歯車36に連結されている。 シャフト24の回転運動は,このようにして太陽歯車36に伝達される。 太陽歯車は複数の遊星歯車と噛み合っており,図示された遊星歯車40がこれらの遊星歯車を表わしている。 各遊星歯車は,ジャーナル・ピン44等の適当なベアリングにより回転可能に遊星歯車キャリアー42内に取り付けられており,太陽歯車の回転運動により各遊星歯車はその縦軸46を中心として回転する。各遊星歯車は非回転リング・ギヤー48とも噛み合っている。ギヤー48はスプライン52によりリング・ギヤー・ハウジング50内に取り付けら れている。リング・ギヤー・カップリング54がリング・ギヤー・ハウジングを機械的グラウンド(枠体,母体)に結合している。 本実施例では,このグラウンドは,非回転のローラー・ベアリング支持体56であるが,ハウジングの,従ってリング・ギヤー48の回転に抵抗できればどんなグラウンドでも良い。遊星歯車は非回転リング・ギヤーと回転太陽歯車の両方に噛み合っているので,遊星歯車はその軸46を中心として自転するだけでなく,太陽歯車のまわり ヤー48の回転に抵抗できればどんなグラウンドでも良い。遊星歯車は非回転リング・ギヤーと回転太陽歯車の両方に噛み合っているので,遊星歯車はその軸46を中心として自転するだけでなく,太陽歯車のまわりを回転し,それにより遊星歯車キャリアー42が軸28を中心として回転する。遊星歯車キャリアーの運動は,図示されない適当な手段によりファン18(図1)に伝達される。」(10頁15行目~11頁8行目)「本発明のカップリング・システムは,太陽歯車カップリング32とリング・ギヤー・カップリング54を含む。太陽歯車カップリングは,非柔軟スピンドル60と少なくとも一つの波状柔軟区画62を有する。柔軟区画62に含まれる円筒リング64は排液穴65を有する。排液穴は,偶然に波状区画62の内部に漏れる油がその中に溜まって回転不均衡を生じないように,各リング64の全周にわたって配置されている。リング64はスピンドル60より大きい直径を有し,縦に間隔を置いたダイアフラム66,68によりスピンドルに結合されている。 ダイアフラムとスピンドルの接合部70もダイアフラムとリングの接合部72も,カップリング32の柔軟性を改善し,そして接合部における応力集中を最小にするために曲線断面外形を有する。太陽歯車36とシャフト24の角度ずれに対する適応(調節)には単一の柔軟区画で十分である。平行ずれに対する適応または角度ずれと平行ずれの組み合わせに対する適応には,縦に間隔を置いた二つ以上の柔軟区画が使用される。」(11頁9~22行目)「本発明のカップリング・システムには,先行技術のカップリングでは 得られないユニークな作用効果がある。太陽歯車カップリングとリング・ギヤー・カップリングは,中心縦軸を中心とした捻れに関して剛性であり,従って,この縦軸を中心とした高いト カップリングでは 得られないユニークな作用効果がある。太陽歯車カップリングとリング・ギヤー・カップリングは,中心縦軸を中心とした捻れに関して剛性であり,従って,この縦軸を中心とした高いトルクを伝達するか又はそれに抵抗する。両カップリングの構成に使用される材料の弾性限度内で,両カップリングは,左右軸および垂直軸を中心とした捻れに関して,そして三軸の全てに沿った並進に関して柔軟である。 もし,例えば,ドライブ・シャフト(駆動軸)24が縦軸28とずれると,太陽歯車カップリングは曲がり,太陽歯車の中心軸が確実にその理想方位に,またはその理想方位の近くにとどまることにより,太陽歯車の歯と遊星歯車の歯の最適接触が維持される。たわみ継手が存在しなければ,シャフト24のずれは太陽歯車の方位を変え,そして噛み合っている太陽歯車の歯と遊星歯車の歯に付加応力をかける結果となる。本発明のカップリング・システムは,幾つかの先行技術に特有な多数構成部分の機械的複雑性を伴わずに,そのような柔軟性を達成する。さらに,本システムの両カップリングは潤滑を必要とせず,しかも半径方向にコンパクトである。」(15頁27行目~16頁14行目)(2) (1)の記載によれば,刊行物2には,次の技術が記載されているものと認められる(この点は,本件審決が認定するとおりである。)。 「コンプレッサー・ドライブ・シャフト24と遊星歯車列の太陽歯車36との間に,シャフトのずれに適応するための柔軟区画を有する太陽歯車カップリング32を介在させたタービン・エンジン10。」(3) また,(1)の記載によれば,刊行物2記載の技術について,以下の点が開示されているものと認めることができる。 ア刊行物2に記載の技術は,航空エンジンの遊星歯車列の太陽歯車及びリング・ギヤーをそれぞ た,(1)の記載によれば,刊行物2記載の技術について,以下の点が開示されているものと認めることができる。 ア刊行物2に記載の技術は,航空エンジンの遊星歯車列の太陽歯車及びリング・ギヤーをそれぞれ回転軸及び非回転支持体に柔軟連結するカップリング・システムに関するものである(前記(1)イ(ア))。 イ遊星歯車列は,構成が簡素という利点を有するので,スペースが貴重な航空エンジンに用いられる。 遊星歯車列の構成要素は,理想的な状態でも,その遊星歯車列で伝達される力及びトルクによるおびただしい応力を受けるので,破損したり摩耗したりしやすいが,大抵の場合,状態は理想的ではないので,付加的な応力を受ける。例えば,遊星歯車列の太陽歯車,遊星歯車キャリアー及びリング・ギヤーの縦軸は,太陽歯車を回転させる外部シャフトの縦軸と同軸であることが理想的であるが,そのような完全同軸整合は,回転ハードウエアの不均衡や,製造上の欠陥や,航空機の操縦又は運動に起因するシャフト及び支持枠の過渡一時的屈曲や,その他の多くの要因によりまれにしか実現しない。 その結果,平行方向及び角度方向のずれが生じ,歯車の歯,遊星歯車を遊星歯車キャリアー内で支持する軸受,及び遊星歯車キャリアー自体にモーメント及び力がかかるため,遊星歯車列の構成要素は,摩耗が促進され,運転中に破損する可能性が増す。 遊星歯車列の構成要素は,サイズを増して強くすれば,破損のリスクを減らすことができるが,遊星歯車列の利点であるコンパクト性が損なわれるし,重量の増加という望ましくない結果を招く。高強度材料及び耐摩耗コーティングの使用は有益だが,遊星歯車列のコストが上昇する。 ずれに起因する応力は,遊星歯車列を回転軸又は非回転支持体に連結するたわみ継手の使用によって減少させる を招く。高強度材料及び耐摩耗コーティングの使用は有益だが,遊星歯車列のコストが上昇する。 ずれに起因する応力は,遊星歯車列を回転軸又は非回転支持体に連結するたわみ継手の使用によって減少させることもできるが,従来のたわみ継手は,潤滑が必要な多くの部品を含む,摩耗しやすい,縦軸を中心とする捻れに対する剛性及び強度が足りないなどの欠点を有する。中心のずれには,スプライン結合で対処することもできるが,スプライン結合部の互いに接触するスプライン刃間で起こる運動では摩擦が大きく変動し,スプライン結合部の柔軟性が変動してしまう(前記(1)イ(イ))。 ウ刊行物2に記載の技術は,前記イの欠点を解消するものである。すなわち,太陽歯車カップリングは,中心縦軸を中心とする捻れに関して剛性であり,したがって,中心縦軸を中心とする高いトルクを伝達することができる一方,左右軸及び垂直軸を中心とした捻れ並びに三軸のすべてに沿った並進に関しては,使用された材料の弾性限度内で柔軟である。 例えば,コンプレッサー・ドライブ・シャフト24がずれると,たわみ継手が存在しなければ,太陽歯車36の向きが変わり,互いに噛み合う太陽歯車36及び遊星歯車40のそれぞれの歯に付加応力がかかることになる。しかし,刊行物2に記載の技術では,太陽歯車カップリング32が曲がることで,太陽歯車36の中心軸がその理想方位又はその近くにとどまるので,太陽歯車36の歯と遊星歯車40の歯との最適接触が維持される(前記(1)イ(ウ))。 4 取消事由1(相違点3に関する容易想到性の判断の誤り)について(1)ア前記認定のとおり,引用発明はギア付きターボファンガスタービンに関するものであるところ,一般に,ギア付きターボファンガスタービンは,ファンと低圧タービンとの間に減速ギア装置を )について(1)ア前記認定のとおり,引用発明はギア付きターボファンガスタービンに関するものであるところ,一般に,ギア付きターボファンガスタービンは,ファンと低圧タービンとの間に減速ギア装置を設置したターボファンガスタービンであり,ファン及び低圧タービンをそれぞれ最適な回転速度で運転することが可能になるという特徴を有する(このことは,乙1公報の段落【0023】における「ギアードターボファンエンジンは,一般に,ファンおよび低圧タービンとの間のギアセットを特徴とし,これが両要素を各々の最適な速度で運転することを可能にする減速装置の役目を果たす結果,エンジンの効率を向上させる」との記載や,乙2公報の段落【0002】における「高バイパスターボファンエンジンにおいては,タービンは,減速ギア装置を通してファンを駆動するのが有利である。これによって,タービンは,タービン効率のよい相対的に早い速度で作動できると同時に,いっそうより大きな直径のファンは,ファン効率のよい相対的に遅い速度 で作動する。」との記載からも明らかである。)。 そして,ファンと低圧タービンとが機械的に結合されているにもかかわらず,それぞれの回転速度を独立に決めることができるのは,減速ギア装置の歯車比(減速比)を適切に選択することによって,低圧タービンの回転速度とその低圧タービンによって駆動されるファンの回転速度との比を任意に変更できるからであり,換言すれば,ギア付きターボファンガスタービンにおける減速ギア装置の歯車比(減速比)は,同タービンに用いるファンと低圧タービンを選択した上で,当該ファン及び低圧タービンがそれぞれ最適な回転速度で回転するように当業者が適切な値を設定することができるものである(本件審決が例示的に引用する甲3公報〔引用発明と同じギア付きターボ 選択した上で,当該ファン及び低圧タービンがそれぞれ最適な回転速度で回転するように当業者が適切な値を設定することができるものである(本件審決が例示的に引用する甲3公報〔引用発明と同じギア付きターボファンガスタービンに関するものと認められる。〕の5頁左下欄11~13行目においても,軸36の回転速度〔判決注:ファン部分12の回転速度〕と軸38の回転速度〔判決注:低圧タービン装置が有する二重反転タービン20の回転速度〕との最適な比〔判決注:減速歯車42の歯車比〕は特定のエンジンの運転範囲内で各用途に対して選択できることが記載されている。)。 したがって,引用発明においても,ギアアセンブリ62の歯車比は,引用発明に用いるファン(ファンアセンブリ72)及び低圧タービン(第2のタービン手段20)がそれぞれ最適な回転速度で回転するように,当業者が適切な値に設定できるものと認められる。 イところで,引用発明は,低圧タービンでファンを直接駆動しつつ,ファンブレードの先端速度を低下させてファンの効率を最大化しようとすると,コアエンジンの効率低下を招くという課題を解決するために,低圧タービン(第2のタービン手段20)とファン(ファンアセンブリ72)との間にギアアセンブリ62を設けるという解決手段を採用し,回転数が比較的高い低圧タービン(第2のタービン手段20)によってファン(ファンア センブリ72)を低い回転数で回転させることで,ファンの効率を最大化できるようにしたものである。 かかる引用発明を具体化しようとすれば,使用するファンアセンブリ72及び第2のタービン手段20を具体的に選択(設計)しなければならず,それらの回転数も,それぞれの性能を十分に発揮させるという観点から具体的に決定される必要がある。しかし,引用発明では,使用すべきフ 2及び第2のタービン手段20を具体的に選択(設計)しなければならず,それらの回転数も,それぞれの性能を十分に発揮させるという観点から具体的に決定される必要がある。しかし,引用発明では,使用すべきファンアセンブリ72及び第2のタービン手段20について,それらの回転数も含めて何ら特定されていないため,使用するファンアセンブリ72及び第2のタービン手段20の選択(設計)は,引用発明を具体化しようとする当業者に任されることになる。 ここで,引用発明は,単に前記の課題を解決できるだけでなく,特定の効果(前記第5の2(3)エ~カ)を奏するものとされているから,引用発明を具体化しようとする当業者は,引用発明が奏するこれらの効果を認識した上で,その効果を損なったり,その効果と矛盾したりすることのないように,使用するファンアセンブリ72及び第2のタービン手段20を選択(設計)すると認められる。 ウそこで,引用発明が奏する効果とファンアセンブリ72及び第2のタービン手段20との関係について検討するに,以下のことが指摘できる。 第1に,引用発明は,ファンアセンブリ72を第2のタービン手段20で直接駆動した場合に比べてファンブレードの先端速度が低減されるので,ファンブレードの大きな先端速度に起因する騒音の問題を克服することができるという効果を奏する(前記第5の2(3)エ)。 ここで,ファンブレードの先端速度はファンアセンブリ72の回転数に比例するから,引用発明が奏する騒音抑制の効果は,(第2のタービン手段20で直接駆動した場合に比べて)ファンアセンブリ72の回転数が低減されることそれ自体によるものであって,それ以上に,同回転数を何ら かの具体的な値に特定することによるものではない。 第2に,引用発明は,ファンアセンブリ72の回転数が リ72の回転数が低減されることそれ自体によるものであって,それ以上に,同回転数を何ら かの具体的な値に特定することによるものではない。 第2に,引用発明は,ファンアセンブリ72の回転数が低減する結果,鳥の衝突による影響がそれほど深刻でなくなるので,例えばブースタ圧縮機の回転数が10000rpm台のときにファンアセンブリ72の回転数を3000rpm台にすれば,ファンアセンブリ72を大幅に軽量化することができるという効果を奏する(前記第5の2(3)オ)。 ここで,ファンアセンブリ72の軽量化をもたらすのは,その回転数の低減であり,その回転数の低減は,第2のタービン手段20とファンアセンブリ72との間にギアアセンブリ62を設けたことによって生ずる。要するに,引用発明が奏するファンアセンブリ72の軽量化という効果は,(第2のタービン手段20で直接駆動した場合に比べて)ファンアセンブリ72の回転数が低減されることそれ自体によるものであって,それ以上に,同回転数を何らかの具体的な値に特定することによるものではない。 したがって,ブースタ圧縮機の回転数が10000rpm台のときにファンアセンブリ72の回転数を3000rpm台にすることは,飽くまで例示にすぎないというべきであり,ブースタ圧縮機の回転数は10000rpm台に限られるものではないし,ファンアセンブリ72の回転数も3000rpm台に限られるものではない。このことは,引用発明における前記回転数のくだりにわざわざ「例えば」との文言が付されていることや,前記甲3公報に,引用発明とは異なる回転数(回転速度),すなわち,ファン部分12を駆動する軸36の回転速度を2000rpmとし,ブースタ圧縮機14を駆動する軸38の回転速度を5000rpmとする例が記載されている(5頁左上欄2~19 転数(回転速度),すなわち,ファン部分12を駆動する軸36の回転速度を2000rpmとし,ブースタ圧縮機14を駆動する軸38の回転速度を5000rpmとする例が記載されている(5頁左上欄2~19行目。かかる例は飽くまで例示であって限定の意味でないことも明記されている。)ことなどからも明らかである。 第3に,引用発明は,ブースタ圧縮機手段がファンアセンブリ72より 高い回転数で,また,ファンアセンブリ72と逆方向に駆動され,少ない段数でコアエンジンに向かう空気流の圧力を上げることができる結果,ガスタービンエンジンの長さ,重量及び抵抗を低減することができるという効果を奏する(前記第5の2(3)カ)。 ここで,引用発明のブースタ圧縮機手段は,第2のタービン手段20に結合され,第2のタービン手段20で直接駆動されるから,ブースタ圧縮機手段がファンアセンブリ72より高い回転数で駆動されるのは,第2のタービン手段20がファンアセンブリ72より高い回転数で駆動されるからにほかならない。そして,第2のタービン手段20がファンアセンブリ72より高い回転数で駆動されるのは,ファンアセンブリ72の回転数が第2のタービン手段20で直接駆動した場合に比べて低減される結果,第2のタービン手段20の回転数の方が相対的に高くなるからである。すなわち,引用発明が奏するガスタービンエンジンの長さ,重量及び抵抗の低減の効果は,(第2のタービン手段20で直接駆動した場合に比べて)ファンアセンブリ72の回転数が低減されることそれ自体によるものであって,それ以上に,同回転数を何らかの具体的な値に特定することによるものではない。 エ以上のとおり,引用発明が奏する効果は,いずれも,第2のタービン手段20とファンアセンブリ72との間にギアアセンブリ62を設けた結果 転数を何らかの具体的な値に特定することによるものではない。 エ以上のとおり,引用発明が奏する効果は,いずれも,第2のタービン手段20とファンアセンブリ72との間にギアアセンブリ62を設けた結果,第2のタービン手段20で直接駆動した場合に比べてファンアセンブリ72の回転数が低減されることそれ自体によるものであって,それ以上に,同回転数を何らかの具体的な値に特定することによるものではない。 そうすると,引用発明を具体化しようとする当業者は,第2のタービン手段20とファンアセンブリ72との間にギアアセンブリ62を設けることにより,第2のタービン手段20で直接駆動した場合に比べてファンアセンブリ72の回転数が低減されていれば,課題を解決でき,また,効果 を奏すると理解する一方で,ファンアセンブリ72及び第2のタービン手段20の回転数については,少なくとも引用発明による課題解決及び引用発明が奏する効果の観点からは,何らかの具体的な値に特定する必要はないと理解するものといえる。 したがって,当業者は,引用発明を具体化する際,使用するファンアセンブリ72及び第2のタービン手段20の回転数を何らかの具体的な値に特定しなければならないとは考えず,それらを,ターボファンガスタービンのバイパス比や,ファンアセンブリ72のファンブレードの大きさなど,ターボファンガスタービンの効率に影響を及ぼす様々な観点に基づいて適宜選択(設計)するものと認められる。 そして,そのようにして選択(設計)されたファンアセンブリ72及び第2のタービン手段20については,それぞれ自ずと最適な回転数が決まることになるが,それらの最適な回転数が具体的にどのような値になるとしても,それは,当業者がファンアセンブリ72及び第2のタービン手段20を適宜選択(設計) いては,それぞれ自ずと最適な回転数が決まることになるが,それらの最適な回転数が具体的にどのような値になるとしても,それは,当業者がファンアセンブリ72及び第2のタービン手段20を適宜選択(設計)したことの単なる結果にすぎず,また,ギアアセンブリ62の歯車比も,前記アのとおり,選択(設計)されたファンアセンブリ72及び第2のタービン手段20がそれぞれ最適な回転速度で回転するように,当業者が適切な値に設定できるものであるから,その具体的な値も,当業者がファンアセンブリ72及び第2のタービン手段20を適宜選択(設計)したことの単なる結果として得られるものにすぎないものである。 オ他方,本願発明の歯車箱の歯車比(2.0対1)に,従来のそれにはない格別の技術的意義が認められるかという点を検討してみても,かかる歯車比は,甲3公報が示す2.5対1又は2.0対1(5頁左下欄2~11行目)や,乙2公報が示す2対1ないし13対1(段落【0009】)といった,ギア付きターボファンガスタービンの減速ギア装置に関する従来 の歯車比からかけ離れた特異なものとは認められず,また,本願明細書には,「一実施形態においては,ファンアセンブリ12が低圧タービン20の回転速度の約2分の1の回転速度で回転するように,歯車箱100は約2.0対1の歯車比を有する。そのため,本実施形態においては,ファンアセンブリ12は,低圧タービン20の回転速度より常に遅い回転速度で回転する。」(段落【0013】)との記載があるものの,ファンが低圧タービンより低速で回転することは前記従来の歯車比を採用した場合も同様であるから,この記載を参酌しても,本願発明の歯車箱の歯車比(2. 0対1)に,従来の歯車比にはない格別の技術的意義があるということはできない。そして,本願明細書において, 歯車比を採用した場合も同様であるから,この記載を参酌しても,本願発明の歯車箱の歯車比(2. 0対1)に,従来の歯車比にはない格別の技術的意義があるということはできない。そして,本願明細書において,ほかに歯車箱の歯車比を2.0対1と特定したことの技術的意義をうかがわせる記載は見当たらない。 カ以上によれば,本願発明の歯車箱の歯車比(2.0対1)は,引用発明を具体化しようとする当業者がファンアセンブリ72及び第2のタービン手段20を適宜選択(設計)したことの単なる結果として得られるものにすぎないというべきである。 そうすると,引用発明のギアアセンブリ62の歯車比を2.0対1とすることは,当業者が容易になし得たことであり,その結果,ファンアセンブリ72の回転速度がブースタ圧縮機及び第2のタービン手段20の回転速度の2分の1となることも明らかである。 したがって,相違点3に係る本願発明の構成は,当業者が容易に想到し得るものというべきである。 (2) 原告の主張についてア原告は,本願発明の歯車箱の歯車比に認められる技術的意義について,要旨次のとおり主張する。 すなわち,ガスタービンエンジンにおいてはエンジン効率の向上のためにファンアセンブリの回転速度を低下させつつ高圧タービンの回転速度を 向上させるという要請があり,そのために歯車箱を低圧タービンとファンアセンブリとの間に設置してファンアセンブリの回転速度を低下させることは可能であるものの,①歯車箱の歯車比によってはファンアセンブリの回転速度が低下し過ぎてブースタ圧縮機へ搬送される気流の量が減少し,結局エンジン効率が低下するため,これを防ぐためにブースタ圧縮機の段を追加せざるを得ず,エンジンの総重量の増加,構造の複雑化,製造コストの増加という問題が生じていたので, 送される気流の量が減少し,結局エンジン効率が低下するため,これを防ぐためにブースタ圧縮機の段を追加せざるを得ず,エンジンの総重量の増加,構造の複雑化,製造コストの増加という問題が生じていたので,②本願発明は低圧タービンに結合されたファンアセンブリの回転速度が同じく低圧タービンに結合されたブースタ圧縮機の回転速度の2分の1となるように歯車箱の歯車比を2.0対1と特定することで,エンジン効率の向上を図りながら上記の問題を防止したものである,というのである。 しかしながら,次のとおり,かかる原告の主張は本願明細書の記載に基づくものではなく失当である。 前記①の点に関し,本願明細書(段落【0004】)の記載によれば,ブースタ圧縮機へ搬送される気流の量が減少し,ブースタ圧縮機の段を追加しなければならなくなるのは,ファンアセンブリの回転速度を低下させるために歯車箱を利用するからである。すなわち,ブースタ圧縮機へ搬送される気流の量が減少する原因は,歯車箱を利用してファンアセンブリの回転速度を低下させたことそれ自体にあるのであって,原告が主張するように歯車箱の歯車比によってファンアセンブリの回転速度が低下し過ぎることにあるのではない。 したがって,歯車箱の歯車比によって前記①の問題(課題)が生じるとの前提は誤りである。 前記②の点に関し,本願明細書(段落【0023】)の記載によれば,本願発明がファンアセンブリの回転速度を下げてファンアセンブリによって発生される気流を最適化すると同時に,ブースタ圧縮機の回転速度を上 げてブースタ圧縮機の段の数を最適化することができるという効果を奏する結果,ブースタ圧縮機の段の追加が不要になり,エンジンの総重量の増加,構造の複雑化,製造コストの増加という問題を防止できるのは,ブースタ圧 タ圧縮機の段の数を最適化することができるという効果を奏する結果,ブースタ圧縮機の段の追加が不要になり,エンジンの総重量の増加,構造の複雑化,製造コストの増加という問題を防止できるのは,ブースタ圧縮機を駆動軸で低圧タービンに直接結合する一方,ファンアセンブリと低圧タービンとの間に歯車箱を結合したからであって,原告が主張するように歯車箱の歯車比を2.0対1と特定したからではない。 また,前記のとおり,本願明細書(段落【0013】)には,歯車箱の歯車比を2.0対1としたことでファンアセンブリ12が低圧タービン20の回転速度より常に遅い回転速度で回転するかのような記載があるが,ファンアセンブリ12は,歯車箱の歯車比を2.0対1と特定した場合に限らず,歯車箱の歯車比が1より大きければ,低圧タービン20の回転速度より常に遅い回転速度で回転することが明らかであるから,歯車箱の歯車比を2.0対1と特定したことの技術的意義がこの点にあるとは認められない。そして,本願明細書において,ほかに歯車箱の歯車比を2.0対1と特定したことの技術的意義をうかがわせる記載が見当たらないことは前記のとおりである。 したがって,前記②のとおり,歯車箱の歯車比を2.0対1と特定することによって前記①の問題(課題)を解決したとする点もまた誤りである。 以上のとおり,原告の主張は,前記①②のいずれの点においても,本願明細書の記載に基づかないものであるから,失当である。 イ原告は,刊行物1にはブースタ圧縮機の回転数が10000rpm台のときにファンの回転数を3000rpm台とすることで大幅な軽量化が実現できる旨の記載があり,この記載に接した当業者はギアアセンブリ62の歯車比を約3.3対1とすることが望ましいと理解するから,これを大幅に変更して2.0対1と特定する 台とすることで大幅な軽量化が実現できる旨の記載があり,この記載に接した当業者はギアアセンブリ62の歯車比を約3.3対1とすることが望ましいと理解するから,これを大幅に変更して2.0対1と特定する動機付けがないと主張する。 しかしながら,かかる原告の主張も失当である。 すなわち,そもそも,本願発明の歯車箱の歯車比(2.0対1)が,引用発明を具体化しようとする当業者がファンアセンブリ72及び第2のタービン手段20を適宜選択(設計)したことの単なる結果として得られるものにすぎないことは,前記(1)で検討したとおりであるから,本件において,歯車比の選択に関する動機付けを問題にする必要があるのかは疑問であると言わざるを得ない。 この点を措くとしても,ブースタ圧縮機の回転数が10000rpm台のときにファンアセンブリ72の回転数を3000rpm台にすることが飽くまで例示にすぎないこと(したがって,ブースタ圧縮機の回転数は10000rpm台に限られるものではないし,ファンアセンブリ72の回転数も3000rpm台に限られるものではないこと)は,前記(1)ウのとおりである。したがって,かかる記載に接した当業者が,ギアアセンブリ62の歯車比を約3.3対1とすることが望ましいと理解することはない。 もっとも,鳥の衝突による影響は,鳥とファンアセンブリ72との相対速度が大きいほど深刻になると解されるから,鳥の衝突による影響がそれほど深刻でなくなるのは,ファンアセンブリ72の回転数が第2のタービン手段20で直接駆動した場合に比べて低減されるからではなく,3000rpm台(又はそれより低い値)という特定の値までに低減されるからであると解する余地はある。 しかし,その場合でも,鳥の衝突による影響を考える際に問題になるのは,ギア るからではなく,3000rpm台(又はそれより低い値)という特定の値までに低減されるからであると解する余地はある。 しかし,その場合でも,鳥の衝突による影響を考える際に問題になるのは,ギアアセンブリ62の歯車比ではなく,ファンアセンブリ72の回転数それ自体である。そして,ファンアセンブリ72はギアアセンブリ62を介して第2のタービン手段20によって駆動されるから,ファンアセンブリ72の回転数が第2のタービン手段20の回転数とギアアセンブリ62の歯車比との組合せによって決まることは技術常識といえる。そうすると,刊行物1の前記記載に接した当業者は,第2のタービン手段20の回 転数とギアアセンブリ62の歯車比との組合せを変えて,ファンアセンブリ72の回転数それ自体を3000rpm台又はそれより小さくすることが望ましいと理解することはあるとしても,ギアアセンブリ62の歯車比のみに着目し,それを約3.3対1とすることが望ましいと理解するとは認められない。 したがって,いずれにしても原告の主張は失当である。 ウ原告は,刊行物1には,「ファンは,最大効率を得るため,その先端速度を低くすることを要求」すること(甲1・明細書第6欄1行目,抄訳2頁28行目)や,「ファンブレードの先端速度が,直接駆動した場合と比較して低減されており,これにより先端速度が高いことにより生じる騒音の問題を克服」できること(甲1・明細書第6欄10~13行目,抄訳3頁2,3行目)が記載されているのみであり,ファンの回転速度を低下させることに重点が置かれている一方で,本願明細書の段落【0004】で指摘されている,ファンアセンブリの速度を低下させ過ぎることによる弊害(ブースタ圧縮機へ搬送される気流の量が減少して,結局エンジン効率が低下し,これを防ぐためには で,本願明細書の段落【0004】で指摘されている,ファンアセンブリの速度を低下させ過ぎることによる弊害(ブースタ圧縮機へ搬送される気流の量が減少して,結局エンジン効率が低下し,これを防ぐためにはブースタ圧縮機の段を追加せざるを得ず,エンジンの総重量の増加や構造の複雑化,製造コストの増加を招く)については記載がないから,刊行物1に接した当業者はファンアセンブリの速度は低いほど利点があると理解するのであり,したがって,歯車比を刊行物1で示唆された約3.3対1よりも大きくする動機付けはあっても,小さくして2.0対1にする動機付けはなく,むしろ阻害要因が存在する旨主張する。 しかし,かかる原告の主張も失当である。 すなわち,刊行物1の記載は,ファンの効率を最大化したり騒音を抑制したりするためにはファンの先端速度を低くする必要があるというものであるところ,ファンの先端速度はファンの回転数に比例するから,当業者 は,ファン効率の最大化や騒音抑制のためにファンの回転速度を低下させる必要があることを理解すると認められることは事実である。 しかし,ファンの先端速度はファンの直径にも依存するから,ファンの回転数を具体的な値(3000rpm台)に特定すること自体がファンの効率の最大化や騒音の抑制といった効果を奏するわけではない。その意味でも刊行物1に記載されたブースタ圧縮機の回転数(10000rpm台)及びファンの回転数(3000rpm台)はいずれも例示にすぎず,それらから算出される歯車比(約3.3対1)もまた例示にすぎないというべきである。 一方,引用発明のファンアセンブリ72はギアアセンブリ62を介して第2のタービン手段20によって駆動されるから,ファンアセンブリ72の回転数が第2のタービン手段20の回転数とギアアセンブリ 。 一方,引用発明のファンアセンブリ72はギアアセンブリ62を介して第2のタービン手段20によって駆動されるから,ファンアセンブリ72の回転数が第2のタービン手段20の回転数とギアアセンブリ62の歯車比との組合せによって決まることは技術常識といえる。そうすると,刊行物1の上記記載に接した当業者は,第2のタービン手段20の回転数とギアアセンブリ62の歯車比との組合せを変えて,ファンアセンブリ72の回転数を小さくすることが望ましいと理解することはあるとしても,ギアアセンブリ62の歯車比のみに着目し,それを約3.3対1又はそれより大きくすることが望ましいと理解するとは認められない。 そして,ファンの先端速度を低くし過ぎれば,実用的な推進力が得られないばかりか,ファンアセンブリの下流に設けられたブースタ圧縮機の入口での空気流量が減少してタービン効率が悪化するのは論理的に明らかなのであるから,ファンの先端速度を低くすることが望ましいといっても,それには限度があることも明らかである。したがって,刊行物1に,ファンアセンブリの速度を低下させることの弊害について具体的な記載がないとしても,引用発明を実施しようとする当業者がファンアセンブリの速度を低くすることのみに着目して歯車比を決定するとは到底考えられないの であって,この点からしても,原告の主張は失当である。 以上によれば,歯車比を刊行物1で示唆された約3.3対1よりも大きくする動機付けはあっても,これを小さくして2.0対1にする動機付けはなく,むしろ阻害要因が存在するとの原告の主張が失当であることもまた明らかである。 (3) 小括以上の次第であるから,相違点3に係る本願発明の構成は,当業者が容易に想到し得るものであるとした本件審決の判断に誤りはなく,取消事由1に 主張が失当であることもまた明らかである。 (3) 小括以上の次第であるから,相違点3に係る本願発明の構成は,当業者が容易に想到し得るものであるとした本件審決の判断に誤りはなく,取消事由1に関する原告の主張は理由がない。 5 取消事由2(相違点4に関する容易想到性の判断の誤り)について(1)ア引用発明は,ギア付きターボファンガスタービンであり,ギアアセンブリ62を備えるものである。ここで,ギア付きターボファンガスタービンが航空機のジェットエンジンの一種であることは技術常識であり,また,刊行物1における引用発明のギアアセンブリ62は,太陽ギア64と複数の遊星ギア66と環状ギア68とからなる旨の記載(前記2(2)エ)から明らかなように,具体的には遊星歯車列である。そうすると,引用発明は遊星歯車列を備える航空エンジンにほかならない。 他方,刊行物2に記載の技術は,航空エンジンの遊星歯車列の太陽歯車及びリング・ギヤーをそれぞれ回転軸及び非回転支持体に柔軟連結するカップリング・システムに関するものである(前記3(3)ア)。 したがって,引用発明と刊行物2に記載の技術とは,いずれも遊星歯車列を備える航空エンジンに関するものであり,技術分野が共通するものと認められる。 イところで,航空エンジンの遊星歯車列の構成要素は,その遊星歯車列で伝達される力及びトルクによるおびただしい応力を受けて破損したり摩耗したりしやすいだけでなく,太陽歯車,遊星歯車キャリアー及びリング・ ギヤーの縦軸と太陽歯車を回転させる外部シャフトの縦軸とが同軸であるという理想的な状態がまれにしか実現せず,その結果として生じる平行方向及び角度方向のずれによる付加的な応力を受けて摩耗が促進され,運転中に破損する可能性が増すという課題を有する。そこで,①遊星歯車 という理想的な状態がまれにしか実現せず,その結果として生じる平行方向及び角度方向のずれによる付加的な応力を受けて摩耗が促進され,運転中に破損する可能性が増すという課題を有する。そこで,①遊星歯車列の構成要素のサイズを増して強くして破損のリスクを減らす,②遊星歯車列を回転軸又は非回転支持体に連結するたわみ継手を使用してずれに起因する応力を減少させる,③スプライン結合を使用して中心のずれに対処するといった対策が考えられていたが,それぞれ欠点がある(前記3(3)イ)。 刊行物2に記載の技術は,これらの欠点を解消するものであり(前記3(3)ウ),航空エンジンの遊星歯車列の構成要素の摩耗を抑制して運転中の破損の可能性を減らすものである。 そうすると,刊行物2に記載の技術に接した当業者は,刊行物2に記載の技術は遊星歯車列を備える航空エンジンへの適用を意図したものであると理解することが明らかである。 ウ前記アのとおり,引用発明は遊星歯車列を備える航空エンジンであり,刊行物2に記載の技術の適用対象そのものである。したがって,刊行物2に記載の技術を引用発明に適用することは,引用発明と刊行物2に記載の技術とに接した当業者にとって自明のことといえる。 エ引用発明の「第2シャフト56」及び「ギアアセンブリ62」は,それぞれ刊行物2に記載の技術の「コンプレッサー・ドライブ・シャフト24」及び「遊星歯車列」に相当し,引用発明の「ギアアセンブリ62」は太陽ギア64(刊行物2に記載の技術の「遊星歯車列26の太陽歯車36」に相当する。)を有するから,引用発明に刊行物2に記載の技術を適用すると,引用発明の「第2シャフト56」と「ギアアセンブリ62」の太陽ギア64との間に,シャフトのずれに適応するための柔軟区画を有する太陽歯車カップリング32を介在さ 明に刊行物2に記載の技術を適用すると,引用発明の「第2シャフト56」と「ギアアセンブリ62」の太陽ギア64との間に,シャフトのずれに適応するための柔軟区画を有する太陽歯車カップリング32を介在させることになる。 その結果,引用発明は,相違点4に係る本願発明の構成を備えることになると認められる。 オ以上によれば,相違点4に係る本願発明の構成は,引用発明と刊行物2に記載の技術に基づいて当業者が容易に想到し得るものといえる。 (2) 原告の主張についてア原告は,①刊行物1は,スタブシャフト60に固定されるギアアセンブリ62を開示している(甲1・明細書第3欄30,31行目,抄訳1頁27行目参照)が,ギアアセンブリの構成要素とスタブシャフトとの間に柔軟性を有する部材を配置することが望ましいとの記載や示唆は一切存在せず,また,ギアアセンブリ構成要素の破損のリスク減少及び磨耗減少といった問題の指摘もしておらず,課題の共通性は認められないから,引用発明に刊行物2に記載の技術における「柔軟区画」を適用し,スタブシャフト60とギアアセンブリ62との間の回転トルクを吸収する部材とする動機付けは存在しない,②刊行物2記載のカップリングは,「平行ずれと角度ずれに適応する波状断面を有するユニークなカップリング」(甲2・8頁25,26行目)であり,「歯車列縦軸を中心とする捻れに対して剛性であるが,垂直軸および左右軸を中心とする捻れに,そして三本の軸の全てに沿った並進(移行)に追従可能」(甲2・8頁28行目~9頁2行目)であるという特殊なカップリング・システムである一方で,刊行物1には,かかる特殊なカップリング・システムを採用する動機付けとなる記載又は示唆は一切認められない,などと主張する。 イしかしながら,次のとおり,原告の主張はいずれ ・システムである一方で,刊行物1には,かかる特殊なカップリング・システムを採用する動機付けとなる記載又は示唆は一切認められない,などと主張する。 イしかしながら,次のとおり,原告の主張はいずれも失当である。 すなわち,刊行物1に記載された発明(引用発明)に,刊行物2に記載の技術を適用することが当業者にとって容易想到か否かは,刊行物1の記載のみによって決まるものではない。 そして,前記(1)アないしオのとおり,刊行物2に記載の技術に接した当 業者は,刊行物2に記載の技術は遊星歯車列を備える航空エンジンへの適用を意図するものであると理解する一方,引用発明は遊星歯車列を備える航空エンジンであり,刊行物2に記載の技術の適用対象そのものであるから,刊行物2に記載の技術を引用発明に適用することは,引用発明と刊行物2に記載の技術とに接した当業者にとって自明のことというべきである。 この点は,刊行物2に記載されたカップリングが,原告が指摘するとおり特殊なものであったとしても,何ら左右されるものではない。 よって,刊行物1の記載に動機付けや示唆があるかどうかのみを問題にする原告の主張は失当であり,採用できないというべきである。 また,原告は,構成要素破損という抽象的課題が当業者において認識されていたとしても,当業者が当該課題を解決するために刊行物2に記載の柔軟区画を採用する動機付けや,当該柔軟区画を駆動軸と歯車箱との間に配置するという具体的な構成を選択する動機付けは何ら存在しないとも主張するが,刊行物2に記載の技術の適用対象そのものである引用発明に,刊行物2の発明を適用する動機付けは十分にあるというべきであるから,この主張も失当である。 (3) 小括以上の次第であるから,相違点4に係る本願発明の構成は,当業者が容易 のである引用発明に,刊行物2の発明を適用する動機付けは十分にあるというべきであるから,この主張も失当である。 主文 以上のとおり,原告主張の取消事由1及び2はいずれも理由がなく,本件審決に取り消されるべき違法はない。 よって,原告の請求を棄却することとし,主文のとおり判決する。 理由 (3) 小括以上の次第であるから,相違点4に係る本願発明の構成は,当業者が容易に想到し得るものであるとした本件審決の判断に誤りはなく,取消事由2に関する原告の主張は理由がない。 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官鶴岡稔彦 裁判官大西勝滋 裁判官寺田利彦 (別紙1)本願明細書の図面図1 図2 (別紙2)刊行物1の図面図1 図2 (別紙3)刊行物2の図面図1 図2

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