- 1 -平成20年1月17日宣告平成18年(わ)第428号道路交通法違反,危険運転致死(予備的訴因業務上過失致死)被告事件判決要旨主文被告人を懲役4年に処する。 未決勾留日数中330日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,第1酒気を帯び,呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上のアルコールを身体に保有する状態で,平成18年7月20日午前6時58分ころ,愛媛県今治市a番地付近道路において,普通乗用自動車(軽四)を運転した第2前記日時ころ,業務として前記車両を運転し,前記道路を愛媛県今治市b方面から同市c方面に向かい進行するに当たり,同所は最高速度が50キロメートル毎時と指定されていた上,右方に湾曲した道路であったから,上記最高速度を遵守するはもとより,上記道路状況に応じて適宜減速し,ハンドル,ブレーキを的確に操作して進路を適正に保持して進行すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り,道路状況に応じた減速をせず,ハンドル,ブレーキを的確に操作することなく,漫然時速約80キロメートルで進行し,自車を左斜め前方に逸走させた過失により,道路左側の電柱等に激突させ,よって,自車同乗者であるA(当時22歳)に脳挫傷の傷害を負わせ,同日午前9時5分ころ,d病院において同傷害により死亡させ,自車同乗者であるB(当時27歳)に心破裂等の傷害を負わせ,同日午前9時46分ころ,e病院において,同傷害による外傷性ショックにより死亡させたものである。 - 2 -(証拠の標目)省略(判示第2の事実につき,主位的訴因を認定しなかった理由)第1 争点 判示第2の公訴事実に関し,検察官は,主位的訴因として,被告人が「時,速50キロメートルと指定された右方に湾曲した道路を,その進行を制御することが困難な時速約10 認定しなかった理由)第1 争点 判示第2の公訴事実に関し,検察官は,主位的訴因として,被告人が「時,速50キロメートルと指定された右方に湾曲した道路を,その進行を制御することが困難な時速約100キロメートルの高速度で車両を走行させたことにより,自車を道路の湾曲に応じて進行させることができず,左斜め前方に暴走させ,道路左側の電柱等に激突させ」て同乗者2名を死亡させた危険運転致死罪を,予備的訴因として,判示第2に沿う業務上過失致死罪(ただし,速度につ。),,,いては時速約100キロメートルとするを主張しこれに対し弁護人は主位的訴因に関し,車両の速度は時速100キロメートルも出ておらず,その速度は制御困難なものではない旨主張し(なお,業務上過失致死罪の成立は争わない,被告人も時速約70ないし80キロメートルであった旨述べ,弁。)護人の主張に沿う供述をする。 当裁判所は,検察官の主位的訴因を認めず,判示第2のとおり業務上過失致死罪が成立するに止まると判断した。その理由は次のとおりである。 第2検討 前提となる事実関係証拠によると,以下の事実が明らかに認められる。 ( ) 本件事故現場は,愛媛県今治市a番地先路上で,同市内の頓田川土手上を 南北に通じる広域農道上にある。事故現場付近の車道は幅員約6.4メートルのアスファルト舗装された道路で,b方面からc方面(本件事故の際の車両の進行方向)にかけて緩やかな右カーブとなっていた。 ( ) 上記広域農道は,愛媛県公安委員会により最高速度が時速50キロメート ルと指定されていた。 - 3 -( ) 本件事故が発生した当時,天候は雨天であり,本件事故現場付近の路面は 湿った状態であった。 ( ) 被告人は,事故前日の平成18年7月19日午後11時30分ころから翌 20日午 3 -( ) 本件事故が発生した当時,天候は雨天であり,本件事故現場付近の路面は 湿った状態であった。 ( ) 被告人は,事故前日の平成18年7月19日午後11時30分ころから翌 20日午前1時ころまでの間,知人のBと2人で居酒屋で飲酒し,その後,当時同居していたAと合流し被害女性が運転する普通乗用自動車以下本,(「件車両」という)で愛媛県今治市fにあるカラオケ店を訪れ,午前1時3。 0分ころから午前6時ころまでの間,同人らとカラオケや飲食をするなどして過ごした。 ( ) 被告人らは,相当量の飲酒をしていたため,上記カラオケ店を出た後,タ クシーか代行運転で帰ろうと考え,タクシー等を拾うため場所を移動し,しばらくの間通行車両を見ていたものの,タクシーはつかまらず,結局,本件車両で帰宅することとした。そして,被害女性の酔いの程度が大きかったので,被告人がその代わりに運転することとした。 ( ) 被告人は,上記カラオケ店駐車場から県道38号線を北上して頓田川橋を 渡り左折し,上記広域農道を時速50ないし60キロメートルの速度で走行した。そして,前方に原動機付自転車(以下「原付」という)を認め,こ。 れに追い付き,一旦減速した後,原付を追い越すため,時速40キロメートルくらいの速度から加速を始め,反対車線に出た。すると,前方に対向車を発見したため,衝突しないようにハンドルを左に切り,左車線に入り,更に加速を続けた。 ( ) その後,本件事故現場手前で本件車両と甲運転の対向車両(以下「甲車」 という)とが擦れ違った。 。 ( ) 本件車両は,本件事故現場の右カーブを曲がりきれず,左側路外に両車輪 を脱輪させて進行し,前方の電柱に車両を激突させて大破する本件事故を惹起した。 ( ) 上記右カーブの道路の中央(R=225メート 件車両は,本件事故現場の右カーブを曲がりきれず,左側路外に両車輪 を脱輪させて進行し,前方の電柱に車両を激突させて大破する本件事故を惹起した。 ( ) 上記右カーブの道路の中央(R=225メートル)を車両が走行した場合 - 4 -(. . 。)の限界旋回速度は道路が湿った状態摩擦係数を03ないし05とするを前提として,時速93ないし120キロメートルである。 ()上記カラオケ店駐車場から本件事故現場までの走行距離は約2.8キロメ ートルであり,被告人が原付を追い越すため加速を開始した地点から甲車を発見するまでの距離は約188.6メートル,上記加速開始地点から本件事故現場の衝突地点までの距離は約320.4メートルである。 ()本件事故現場付近の左側路外には,本件車両が衝突した電柱の設置場所に 向かってほぼまっすぐのタイヤ痕が残っていた。 ()警察の調査によると,本件事故当時とほぼ同様の路面の状況で,午前6時 40分ころから午前9時ころまでの間に,本件事故現場付近を走行した車両384台の走行速度を計測したところ,その平均速度は時速51.4キロメートルであったが,時速60キロメートル台で走行していた車両も相当数あり,時速約70キロメートルで走行した車両も2台あった。 ()被告人及び甲は,普段,本件事故現場を時速50ないし60キロメートル くらいで走行していた。 本件車両の事故直前の速度について( ) 検察官の主張 検察官は,本件車両は事故直前に時速約100キロメートルに達していたと主張し,その根拠として,( )愛媛県警察本部刑事部科学捜査研究所研究a(「」。)(「」員乙以下鑑定人というによる速度鑑定結果以下本件速度鑑定という)の存在,( )本件車両が横揺れを起こしていたこと,( 媛県警察本部刑事部科学捜査研究所研究a(「」。)(「」員乙以下鑑定人というによる速度鑑定結果以下本件速度鑑定という)の存在,( )本件車両が横揺れを起こしていたこと,( )被告人が。 bc捜査段階において時速約100キロメートルで走行していた事実を認めていること,( )甲車の移動距離との比較から100キロメートル以上速度が出dていたと考えられることを挙げる。 そこで,以下,これらに関する証拠の信用性を吟味する。 ( ) ( )(本件速度鑑定)について a- 5 -本件速度鑑定は,(ア)本件車両の変形量から,有効衝突速度を時速69から84キロメートルと推定し,(イ)これを基に電柱への衝突時の速度を時速72から86キロメートルと推定した上,(ウ)更にこれを基に,事故現場の路外法面にタイヤ痕が残っていた点に着目し,遅くとも2本のタイヤ痕が残,,った地点以降は運転者が脱輪に気付きブレーキをかけたであろうと推測しその地点以降のブレーキによる減速分を考慮し,時速80から97キロメートルが走行時の速度であると推定している。 しかしながら,事故現場に残ったタイヤ痕の状況からは,被告人がブレーキをかけた痕跡は客観的に認められず,被告人は捜査,公判を通じ,一貫してブレーキを踏んでいない旨述べている。鑑定人が,本件車両にブレーキがかかったと考えた根拠は,結局のところ,左右の前輪が路外に脱輪すれば,通常であれば運転者はブレーキをかけるであろうという推測に基づくものである。しかしながら,被告人は,前日からの飲酒と夜更かしにより注意力,判断力が一定程度低下していたことがうかがえるのであって,脱輪から衝突までの間に,判断や動作の遅れでブレーキをかけなかったということも十分考え得るところである。そうすると,その減速分を考慮 注意力,判断力が一定程度低下していたことがうかがえるのであって,脱輪から衝突までの間に,判断や動作の遅れでブレーキをかけなかったということも十分考え得るところである。そうすると,その減速分を考慮した(ウ)の走行速度を採用することはできず,走行速度は衝突速度である(イ)の範囲内であるとみるのが合理的である。なお,鑑定人は,本件速度鑑定においては,電柱に衝突した際の電柱の変形に要したエネルギーについては,実験データが存在しないことや,実験の困難性等からこれを考慮していないが,仮に考慮するとすれば時速10キロメートル程度は加算されるであろうと述べている。しかしながら,その数値は科学的根拠に基づくものではなく,電柱の剛性によっても左右されると考えられるので,上記鑑定人が述べる数値をそのまま加えるわけにはいかない。 ( ) ( )(本件車両の横揺れ)について b検察官は,甲が捜査,公判において,本件車両が走行中に車体がぶるぶる- 6 -横揺れするのを見た旨述べているところ,同供述は信用でき,被告人が以前に本件車両で横揺れを体験したのは時速110キロメートルにさしかかるくらいであったと述べていることからすると,本件車両も時速100キロメートルに達していたとみるべきであると主張する。 しかしながら,本件車両が横揺れしたことについては,被告人が時速100キロメートルで走行していた事実を認めていた捜査段階においても一切述べられていない。また,仮にそのような事実があったとしても,そのことから当然に本件車両の具体的な速度が判明するわけではなく,被告人の上記体験を踏まえても,直ちに本件車両が時速約100キロメートルを超える速度で走行したと認めることはできない。結局,甲の上記供述からは,本件車両の速度が時速100キロメートルに達していたとの推認までは 体験を踏まえても,直ちに本件車両が時速約100キロメートルを超える速度で走行したと認めることはできない。結局,甲の上記供述からは,本件車両の速度が時速100キロメートルに達していたとの推認まではできない。 ( ) ( )(捜査段階の自白)について c被告人は,捜査段階において,大要「原付を追い越すため,時速40キ,ロメートルくらいの速度から加速し始め,反対車線に出た。すると,前方に1台目の対向車を発見したため,衝突しないように更に加速しながらハンドルを左に切り,左車線に戻った。そのときの速度は,大体時速70から80。 ,キロメートルくらいは出ていたと思うその後もアクセルを踏み続けており2台目の対向車両(甲車)を発見したときは,時速100キロメートル前後の速度で走っていた」と供述している。 。 しかしながら,被告人は,運転中に速度計を確認したわけではなく,上記速度に関する供述は感覚的なものに過ぎないものであり,その証明力はさほど高くはない。そして,被告人は,公判廷において,時速70ないし80キロメートルであったと供述を変遷させた上,捜査段階で時速100キロメートル出ていたことを認めた理由について「警察官から車が壊れた写真を見,せられて『これは70から80キロではない,100キロは出ているぞ』。 と言われたり『鑑識の人も100キロぐらい出とると言いよるぞ』など,。 - 7 -と言われた。自分が70キロや80キロと言い張っても無理だと思い,警察官の言うとおり認めた。速度によって罪名が変わるとは思わなかった」な。 どと一応首肯し得る内容を述べている。 そうすると,時速が100キロメートルに達していたか否かに関しては,被告人の捜査段階の供述にさほど重きをおくことはできない。 ( ) ( )(対向車両との関係)について d検察 容を述べている。 そうすると,時速が100キロメートルに達していたか否かに関しては,被告人の捜査段階の供述にさほど重きをおくことはできない。 ( ) ( )(対向車両との関係)について d検察官は,甲の供述及び実況見分の際の指示説明によると,甲車が12. 6メートル移動する間に本件車両は36.7メートル移動しており,甲車が時速40ないし50キロメートルで走行していたことからすると,本件車両は時速116キロメートルないし145キロメートルであると主張する。 しかしながら,同人の述べる自車と対向車との位置関係から車両の正確な速度を推認しようとするのは,証拠の性質上到底無理であると言わざるを得ない。 ( ) ( )の主張に対する判断 以上からすると,本件車両の走行速度が時速100キロメートルに達していたとする上記( )ないし( )の根拠はいずれも決め手にはならない。 adそして,本件車両の製造元のによる速度の算定結果によると,本件車両の事故時の条件を前提として,時速40キロメートルからフル加速した場合,約188.6メートルの地点では時速約82キロメートルであり,時速100キロメートルに達するまでには約468メートルを要するとされている。 同数値はあくまで机上計算によるものであって,実車による実走行との誤差が生じることは当然の前提であるが,それでも車両の製造元が,当該車両の,。 性能を踏まえ客観的に計算した数値は信頼を置くことができるものであるこれを前提にすると,被告人が捜査段階で述べるように,甲車を発見するまでに時速100キロメートルに達することはおよそ困難であるというだけでなく,被告人が原付を追い越そうとして加速を開始した地点から衝突地点ま- 8 -でフル加速し続けたとしても,時速100キロメートルに到達しなかったのではない することはおよそ困難であるというだけでなく,被告人が原付を追い越そうとして加速を開始した地点から衝突地点ま- 8 -でフル加速し続けたとしても,時速100キロメートルに到達しなかったのではないかとの疑問を持たざるを得ない。 ( ) 本件車両の走行速度 ,,,そして関係証拠を勘案して本件車両の走行速度を検討するに被告人は公判廷において,本件事故現場における走行速度は時速70から80キロメートルくらいだったと思う旨述べている。その供述もまた感覚的なものに過ぎないが,本件速度鑑定(イ)の衝突速度(時速72キロメートルから86キロメートル)や,上記製造元からの回答(加速開始から甲車の発見までフル),加速した場合に時速約82キロメートルに達することに概ね符合しており他にこれと矛盾する証拠はない以上,その供述に沿った速度を認定するのが相当である。そして,上記のとおり,本件速度鑑定では,電柱に衝突して吸収されたエネルギーを一切考慮していないことからすると,上記速度鑑定の下限よりは速度が上回っていたものと考えられ,製造元からの回答数値に近い時速約80キロメートルで走行していたものと認められる。 危険運転の該当性上記1,2の認定を前提として,本件が「進行を制御することが困難な高速度」による走行か否か,すなわち,速度が速すぎるため,道路の状況に応じて進行させることが困難な状態で自車を走行させていたといえるかを検討する。 前記のとおり,本件事故現場付近の道路は緩やかな右カーブであり,その指定速度は時速50キロメートル,その限界旋回速度は時速93ないし120キロメートルであり,通常の車両は,同所を時速50ないし60キロメートルで走行している。本件車両の速度は時速約80キロメートルであるから,指定速度を時速約30キロメートル,車両の通常の走 いし120キロメートルであり,通常の車両は,同所を時速50ないし60キロメートルで走行している。本件車両の速度は時速約80キロメートルであるから,指定速度を時速約30キロメートル,車両の通常の走行速度を時速約20ないし30キロメートル上回るものであるが,その一方で,限界旋回速度の下限を約13キロメートル下回っており,現に,時速約70キロメートルで走行した車両も存在するところである。 - 9 -,,,,加えて事故に至るまでの走行経過をみると前記認定のとおり被告人は運転開始後原付を追い越すまでの間,危険な走行をしていた形跡はなく,その後加速して時速約80キロメートルに至ったのであるが,その速度で走行していた時間帯は非常に短い。 そうすれば,本件車両は,事故当時,いまだ進行を制御することが困難な状態に陥っていたとは認め難い。 検察官は,本件事故現場にはタイヤ痕がほぼまっすぐに残っており,スリップ痕も認められないにもかかわらず,被告人が車両を路外に逸走させた原因は高速走行にあったとしか考えられないと主張する。しかしながら,被告人は,前記のとおり,本件事故当時,前日からの飲酒と夜更かしによりその注意力,判断力が一定程度低下していたことがうかがえるのであって,上記の逸走の原因は高速走行に帰するとは言い切れない。 第3 結論 以上からすれば,本件事故を惹起した被告人の行為につき,危険運転致死罪,,,,の成立を認めることはできず本件事故については被告人の過失すなわち道路の形状に応じてハンドル,ブレーキを的確に操作して進路を適正に保持して進行すべき注意義務があるのにこれを怠って,ハンドル,ブレーキ操作を的確に行うことなく自動車を走行させて道路左側の電柱等に衝突させて被害者らを死亡させたという判示の業務上過失致死罪が成立するに して進行すべき注意義務があるのにこれを怠って,ハンドル,ブレーキ操作を的確に行うことなく自動車を走行させて道路左側の電柱等に衝突させて被害者らを死亡させたという判示の業務上過失致死罪が成立するに止まり,被告人はその限度で罪責を負うこととなる。 (法令の適用)被告人の判示第1の所為は,平成19年法律第90号附則12条により同法による改正前の道路交通法117条の4第3号,65条1項,平成19年政令第266号附則3項により同政令による改正前の道路交通法施行令44条の3に,判示第2の所為は被害者ごとにいずれも刑法211条1項前段(法令の適用に関しては,平成19年法律第54号の前後で同条項の改正はないと解する)にそれぞれ該当す。 - 10 -るところ,判示第2の罪は1個の行為が2個の罪名に触れる場合であるから,同法54条1項前段,10条により1罪として犯情が被害者ごとに異ならないので,その一を選ぶことをせずに業務上過失致死罪の刑で処断し,各所定刑中いずれも懲役刑を選択し,以上は同法45条前段の併合罪であるから,同法47条本文,10条により重い判示第2の罪の刑に同法47条ただし書の制限内で法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役4年に処し,同法21条を適用して未決勾留日数中330日をその刑に算入し,訴訟費用は,刑事訴訟法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させないこととする。 (量刑の理由)本件は,被告人が酒気帯びで自動車を運転し(判示第1,その運転する自動車)を過失により路外に逸走させて電柱に衝突させるなどし,同乗していた男女2名を死亡させた(判示第2)道路交通法違反,業務上過失致死の事案である。 事故の際の衝撃の強さ,凄まじさは,事故現場の状況や車両の破損状況をみれば明らかであり,被害者らが身体に受けた衝撃も相当大きかったものと させた(判示第2)道路交通法違反,業務上過失致死の事案である。 事故の際の衝撃の強さ,凄まじさは,事故現場の状況や車両の破損状況をみれば明らかであり,被害者らが身体に受けた衝撃も相当大きかったものと認められる。 被害者らは,車内で眠っていた際に被害に遭い,自らの置かれた状況を理解することのないままその2,3時間後に死亡するに至っている。被害者らはいずれも20代の若者で,その前途が一瞬にして失われたものであり,もとより生じた結果は非常に重大である。被害女性の遺族が被告人に対し厳重処罰を求めているのも理解できる。 本件過失は,自動車運転者としての基本的な注意義務を怠ったことに起因するものである。被告人は,被害者らを含む友人と飲酒後,帰宅する際に,タクシー等を見つけることができず,結局被告人自らが本件車両を運転することにしたもので,その判断は軽率のそしりを免れない。事故から約3時間が経過した時点において呼気1リットルにつき0.33ミリグラムと比較的高いアルコールが検出されていることや,本件事故現場において制限速度を30キロメートル上回る速度で走行していたことなどに照らすと,その運転は刑法208条の2第1項後段の高速度類型に- 11 -係る「危険運転」にこそ該当しないものの,悪質で厳しい非難に値するものであることは明らかである。被告人には酒気帯び運転による罰金前科があることに照らしても,交通法規を軽視する態度がみてとれる。 飲酒運転の根絶,重大事故の防止が叫ばれ,平成19年には自動車運転過失致死傷罪の新設や,飲酒運転に関する法定刑の引上げを含む道路交通法の改正がなされ,,るなど悪質危険な運転行為に対しては国民の一層の厳しい視線が向けられており一般予防の見地からも,この種事犯に対しては厳しい態度で臨む必要がある。 以上の事情からすれば,被告人の の改正がなされ,,るなど悪質危険な運転行為に対しては国民の一層の厳しい視線が向けられており一般予防の見地からも,この種事犯に対しては厳しい態度で臨む必要がある。 以上の事情からすれば,被告人の刑事責任は相当重い。 他方,本件車両は被害女性が飲酒現場まで運転して行き,酔いが深かった同女の代わりに被告人が運転するに至った経過があること,被害者らはいずれも被告人とともに長時間飲酒しており,飲酒運転になることを知りながら車両に同乗し,今回の被害に遭っていることを考えると,被害者らにも落ち度が認められ,このような,。 被害者らの落ち度は被告人の刑事責任を考える上で相当程度考慮せざるを得ない上記に加え,被害者らに対し,本件車両に付された保険により,一定額の保険金が支払われていること,被害男性の遺族からは寛大な処分を願う旨の嘆願書を得ていること,被告人が本件につき反省と謝罪の弁を繰り返し述べていること,これまでに体刑前科がないことなどの,被告人のために酌むべき事情もある。 これらを総合勘案し,主文のとおり判決する。 (求刑・懲役6年)平成20年1月17日松山地方裁判所刑事部村越一浩裁判長裁判官- 12 -西前征志裁判官渡辺健一裁判官
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