平成17(行ウ)597 法人税更正処分等取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成19年1月31日 東京地方裁判所 租税
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判決文本文67,948 文字)

主文 名古屋東税務署長が原告に対して平成16年4月27日付けでした原告の同13年4月1日から同14年3月31日までの事業年度の法人税についての更正及び過少申告加算税賦課決定のうち,更正については納付すべき法人税額613億1901万2000円を超える部分,賦課決定については過少申告加算税752万4000円を超える部分をいずれも取り消す。 名古屋東税務署長が原告に対して平成16年4月27日付けでした原告の同14年4月1日から同15年3月31日までの事業年度の法人税についての更正並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定のうち,更正については納付すべき法人税額659億0265万6300円を超える部分,賦課決定については過少申告加算税4036万8000円を超える部分及び重加算税1982万7500円を超える部分をいずれも取り消す。 訴訟費用は,被告の負担とする。 事実 及び理由第1請求主文同旨第2事案の概要本件は,電気事業者である原告が,その保有する5基の火力発電設備について,電気事業法等に基づく廃止のための手続を執った上で,各発電設備ごとに一括してその設備全部につき,いわゆる有姿除却(対象となる固定資産が物理的に廃棄されていない状態で税務上除却処理をすること)に係る除却損を計上し,これを損金の額に算入して確定申告をしたところ,処分行政庁である税務 署長から,各発電設備を構成する個々の資産のすべてが固定資産としての使用価値を失ったことが客観的に明らかではなく,今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないとは認められないなどとして,上記損金算入を否定され,増額更正及び過少申告加算税の賦課決定を受けたため,これらの更正処分等は有姿除却等に関する法令の解釈を誤った違法なものであると主張して,当該更正処分等の られないなどとして,上記損金算入を否定され,増額更正及び過少申告加算税の賦課決定を受けたため,これらの更正処分等は有姿除却等に関する法令の解釈を誤った違法なものであると主張して,当該更正処分等のうち上記発電設備の除却損の損金算入に係る部分について,取消しを求める事案である。 前提事実本件の前提となる事実は,以下のとおりである。いずれも当事者間に争いのない事実又は証拠及び弁論の全趣旨等により容易に認めることのできる事実であるが,括弧内に認定根拠を付記している。 (1)当事者原告は,昭和26年5月1日に設立され,同日付けで事業許可を受けた一般電気事業者である電力会社である。原告は,愛知,岐阜(一部を除く。),三重(一部を除く。),長野及び静岡(富士川以西に限る。)の中部5県を営業区域とし,その発電設備は,平成17年3月31日現在,火力発電所が11箇所(認可最大出力2236万9720キロワット),水力発電所が182箇所(同521万8630キロワット)及び原子力発電所が1箇所(同499万7000キロワット)で構成されている。 なお,平成13年3月31日当時の発電設備は,火力発電所が13箇所(認可最大出力2294万0720キロワット),水力発電所が180箇所(同521万3210キロワット)及び原子力発電所が1箇所(同361万 7000キロワット)で構成されていた。(甲1,2,弁論の全趣旨)(2)原告が保有していた火力発電設備原告は,平成13年当時,次の火力発電設備(以下,これらを併せて「本件火力発電設備」という。)を保有していた(甲15,22から25まで)。 アα火力発電所第1号発電設備(以下「α1号機」という。)所在地愛知県知多郡β運用開始時期昭和41年8月認可出力22万キロワットイγ火力発電所第5号発電設備(以下 22から25まで)。 アα火力発電所第1号発電設備(以下「α1号機」という。)所在地愛知県知多郡β運用開始時期昭和41年8月認可出力22万キロワットイγ火力発電所第5号発電設備(以下「γ5号機」という。)所在地愛知県名古屋市δ運用開始時期昭和39年1月認可出力22万キロワットウγ火力発電所第6号発電設備(以下「γ6号機」という。)所在地愛知県名古屋市δ運用開始時期昭和39年7月認可出力22万キロワットエεLNG冷熱発電設備(以下「εLNG冷熱」という。)所在地三重県四日市市運用開始時期平成元年12月認可出力7000キロワットオζ火力発電所第6号発電設備(以下「ζ6号機」という。)所在地愛知県海部郡η 運用開始時期昭和50年4月認可出力50万キロワット(3)本件火力発電設備の廃止に至る経緯ア原告においては,平成3年度以降,高効率の新規発電設備の運転が順次開始されていたが,他方で,いわゆる平成不況の影響により最大電力の伸び率が鈍化していたため,平成3年から5年にかけて,急速に最大電力需要に比べて供給力が過大となりつつあった。その後も,長引く不況による需要低迷に加えて,同8年度以降,発電効率が極めて高いθ火力発電所3号,4号系列(いずれも出力165万キロワット)などの最新鋭の大規模発電設備が順次運転を開始したため,最大電力需要に比べて供給力が過大となり,同10年ころには,設備余剰の状態が一層顕著となっていた。 このような状況を受け,原告は,①適切な需給バランスを確保すること,②保守保安費用を低減させること,③発電所運転要員を有効活用することを目的に,平成10年度以降,本件火力発電設備(εLNG冷熱を除く。)を始めとする低効率の既存発電設備について,年間を通じて運用を停止す 保安費用を低減させること,③発電所運転要員を有効活用することを目的に,平成10年度以降,本件火力発電設備(εLNG冷熱を除く。)を始めとする低効率の既存発電設備について,年間を通じて運用を停止する長期計画停止を行ってきた。(甲16,19から21まで)イ本件火力発電設備のうち,εLNG冷熱を除いた4基の火力発電設備は,原子力,LNG(液化天然ガス),石炭等に比べ価格が高い石油を燃料としており,また,運用開始後26年ないし38年が経過し,法定耐用年数である15年を大幅に超えて運用がされていた。 これらの発電設備の経済性は,高効率の新規発電設備と比較すると相対的に劣っていた一方で,前記のとおり,原告においては設備余剰が継続し ていたため,γ5号機については平成11年3月11日以降,γ6号機については同年10月1日以降,α1号機については同年11月24日以降,ζ6号機については同年3月18日以降,いずれも長期計画停止の措置が執られていた。(甲16)ウ原告の保有するεLNGセンターでは,液体状態のLNGを気化し,これを近隣のLNG火力発電所に発電用燃料として送り出している。冷熱発電設備とは,液体LNGが気化する際の膨張力を利用して発電するものであり,εLNG冷熱により発電された電力は,同LNGセンターの所内用消費電力として利用されるほか,一般使用者にも供給されていた。 しかし,平成8年から同9年にかけて,同LNGセンターの気化設備及び冷熱発電設備を利用しない高効率ガスタービンコンバインドユニットであるθ火力発電所3号,4号系列の運用が開始されたことに伴い,同LNGセンター近隣のLNG火力発電所の稼働率が低下することとなり,εLNG冷熱の設備稼働率も必然的に低下した。このため,εLNG冷熱については,発電メリットが保守費用を下回る状況が ことに伴い,同LNGセンター近隣のLNG火力発電所の稼働率が低下することとなり,εLNG冷熱の設備稼働率も必然的に低下した。このため,εLNG冷熱については,発電メリットが保守費用を下回る状況が続くと見込まれていた。 (甲16,21,22)エ原告においては,平成12年3月の電力小売部分自由化の実施等の経営環境の変化を受け,経年火力発電設備対策が重要な経営課題とされており,同年10月には関係部署から構成される経年火力対策検討会が立ち上げられ,非効率な経年火力発電設備の取扱いが検討された。そして,経年火力発電設備について,変動費,運用性,系統制約,年間の維持費等が総合的に比較検討され,廃止ユニット候補として本件火力発電設備が選定された。 こうして,平成14年1月28日の常務会において本件火力発電設備の廃止を取締役会に提案することが承認され,同年2月26日の取締役会において本件火力発電設備の廃止が承認された。同年3月4日には,本件火力発電設備の廃止を盛り込んだ平成14年度電力供給計画(長期)が常務会で承認され,同計画は,同月26日,取締役会に付議され,承認された。 (甲26から29まで)オ原告は,平成14年3月29日に,γ5号機,γ6号機,α1号機及びεLNG冷熱について,電気事業法9条1項に基づき,同月31日を廃止の年月日とする電気工作物変更届出書を中部経済産業局長(当時の名称。 以下同じ。)に提出し,同日までに,これらの発電設備の遮断器の投入・遮断回路の配線を切断した。また,同年12月20日には,ζ6号機についても,同項に基づき,同月31日を廃止の年月日とする電気工作物変更届出書を同経済産業局長に提出し,同日までに,その発電設備の遮断器の投入・遮断回路の配線を切断した。(甲22から25まで,32から36まで)(4)課税処分 1日を廃止の年月日とする電気工作物変更届出書を同経済産業局長に提出し,同日までに,その発電設備の遮断器の投入・遮断回路の配線を切断した。(甲22から25まで,32から36まで)(4)課税処分等の経緯ア原告は,平成14年6月27日,本件火力発電設備(ζ6号機を除く。)の有姿除却により43億5712万6591円が同13年4月1日から同14年3月31日までの事業年度(以下「平成14年3月期」という。)において損金算入が認められるとして,別表の「平成14年3月期」のとおり,平成14年3月期に係る法人税の確定申告をした(甲38)。 イ原告は,平成15年6月27日,ζ6号機(γ5号機及びγ6号機の一部を含む。以下「ζ6号機等」という。)の有姿除却により20億4773万1952円が同14年4月1日から同15年3月31日までの事業年度(以下「平成15年3月期」といい,平成14年3月期と併せて「本件各事業年度」という。)において損金算入が認められるとして,別表の「平成15年3月期」のとおり,平成15年3月期に係る法人税の確定申告をした(甲39)。 ウこれに対し,名古屋東税務署長は,本件火力発電設備の有姿除却による損金算入は,実際に解体済みと認められる部分を除きいずれも認められないなどとして,平成14年3月期については35億7578万1777円を,平成15年3月期については18億6465万6058円をそれぞれ損金に算入されないものとし,本件各事業年度に係る法人税について,平成16年4月27日付けで,別表のとおり,各更正処分(以下,これらを併せて「本件各更正処分」という。)並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分(以下,過少申告加算税に係る各賦課決定処分を「本件各賦課決定処分」という。)をした(甲38,39)。 エ原告は,本件 て「本件各更正処分」という。)並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分(以下,過少申告加算税に係る各賦課決定処分を「本件各賦課決定処分」という。)をした(甲38,39)。 エ原告は,本件火力発電設備の有姿除却による損金算入はいずれも認められるべきであり,本件各更正処分及び本件各賦課決定処分には不服があるとして,平成16年6月16日,別表のとおり,審査請求をした。これに対して,国税不服審判所長は,同17年6月14日付けで,上記審査請求を棄却する旨の裁決をした。(甲44)オ原告は,平成17年12月12日,本件訴訟を提起した(当裁判所に顕 著な事実)。 被告が主張する原告の法人税額等被告が本件訴訟において主張する原告の本件各事業年度の所得金額並びに納付すべき法人税,過少申告加算税及び重加算税の額は,別表の「更正及び賦課決定」の欄に記載したとおりであり,その算出過程及び算出根拠は,以下のとおりである。原告は,このうち,本件火力発電設備の廃止による除却損の損金算入に係る部分について争うものであり,その余の算出根拠となる数額及び計算関係については争っていない。 (1)平成14年3月期分の法人税ア所得金額2089億6262万6709円上記金額は,次の(ア)の金額に(イ)から(カ)までの各金額を加算し,(キ)の金額を控除した金額である。 (ア)申告所得金額2049億1591万4621円上記金額は,原告が提出した平成14年3月期の法人税の確定申告書(以下「平成14年3月期確定申告書」という。)に記載された所得金額である。 (イ)交際費等の損金不算入額1億4552万9891円上記金額は,次のa及びbの各金額を加算した金額である。 a交際費等の損金不算入額1億4423万1721円原告が送電線建設に伴い各種補償費等とし 交際費等の損金不算入額1億4552万9891円上記金額は,次のa及びbの各金額を加算した金額である。 a交際費等の損金不算入額1億4423万1721円原告が送電線建設に伴い各種補償費等として支出し,建設仮勘定に計上した上記金額は,あたかも正当な補償額等であるかのように仮装して支出されたものであり,送電線通過地域の地元住民等の協力を得 るためのいわゆる「地元対策費」であることから,交際費等に該当し,損金の額に算入されない。 b交際費等の損金不算入額129万8170円原告が送電線新設工事に伴う立木補償として支出し,建設仮勘定に計上した上記金額は,送電線新設工事に対して協力的であったことに対する謝礼金を立木補償に仮装して支払ったものであるから,交際費等に該当し,損金の額に算入されない。 (ウ)雑損失のうち損金の額に算入されない金額2億4820万4626円上記金額は,次のaからcまでの各金額を加算した金額である。 a雑損失のうち損金の額に算入されない金額6952万6050円原告が平成14年2月にι線新設の廃案を決定し,建設仮勘定に計上していた当該案件に係る補償費の額を同月に雑損失として損金の額に算入した金額のうち,上記金額は,当該案件に係る地権者からの土地買収金額の上積み要求額を立木補償に仮装して支払ったものであり,土地の取得価額に算入すべきものであるから,損金の額に算入されない。 b雑損失のうち損金の額に算入されない金額504万8720円原告が上記aの案件に係る補償費の額を雑損失として損金の額に算入した金額のうち,上記金額は,当該案件に係る地役権の設定に際し, 地権者からの当該設定価額の上積み要求額を実害補償に仮装して支払ったものであり,地役権の取得価額に算入すべきものであるから,損金の額に算入されない。 額は,当該案件に係る地役権の設定に際し, 地権者からの当該設定価額の上積み要求額を実害補償に仮装して支払ったものであり,地役権の取得価額に算入すべきものであるから,損金の額に算入されない。 c雑損失のうち損金の額に算入されない金額1億7362万9856円原告が上記aの案件に係る工事用短期借地料について雑損失として損金の額に算入した金額のうち,上記金額は,地権者との賃貸借契約が解除されていないため,地権者との間で合意した借地期間の未経過部分の借地料であり,前払費用に該当するから,損金の額に算入されない。 (エ)除却損のうち損金の額に算入されない金額35億7578万1777円原告は,α1号機,γ5号機,γ6号機及びεLNG冷熱について有姿除却に係る除却損43億5712万6591円を計上し,損金の額に算入しているが,これらの発電設備を構成する個々の資産のすべてが固定資産としての命数や使用価値を失ったことが客観的に明らかではなく,今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないとは認められないため,当該除却損の金額から実際に解体済みと認められる部分の金額及び通常のメンテナンスを行っていたと認められる平成14年3月までの減価償却費の金額を控除した後の金額である35億7578万1777円は,損金の額に算入されない。 (オ)減価償却超過額3523万1524円 (カ)雑収益計上漏れ4219万6349円(キ)一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入限度超過額の過大額23万2079円イ所得金額に対する法人税額626億8878万7800円上記金額は,上記アの所得金額(国税通則法(以下「通則法」という。)118条1項の規定に基づき1000円未満の端数を切り捨てた後のもの。以下同じ。)に法人税法66条1項に規定する税率を乗じ 800円上記金額は,上記アの所得金額(国税通則法(以下「通則法」という。)118条1項の規定に基づき1000円未満の端数を切り捨てた後のもの。以下同じ。)に法人税法66条1項に規定する税率を乗じて計算した金額である。 ウ法人税額から控除される所得税額等2億9704万1105円上記金額は,法人税法68条に規定する法人税額から控除される所得税等の金額であり,平成14年3月期確定申告書に記載された金額と同額である。 エ納付すべき税額623億9174万6600円上記金額は,上記イの金額から上記ウの金額を控除した金額(通則法119条1項の規定に基づき100円未満の端数を切り捨てた後のもの。以下同じ。)である。 オ確定申告に係る税額611億7773万3000円上記金額は,平成14年3月期確定申告書に記載された法人税額である。 カ差引納付すべき税額12億1401万3600円上記金額は,上記エの金額から上記オの金額を差し引いた金額であり,平成14年3月期に係る更正処分により原告が新たに納付することとなる法人税額である。 (2)平成15年3月期分の法人税ア所得金額2229億5115万4004円上記金額は,次の(ア)の金額に(イ)から(コ)までの各金額を加算し,(サ)から(ソ)までの各金額を控除した金額である。 (ア)申告所得金額2195億5178万6706円上記金額は,原告が提出した平成15年3月期の法人税の確定申告書(以下「平成15年3月期確定申告書」という。)に記載された所得金額である。 (イ)交際費等の損金不算入額3億6289万6449円上記金額は,次のaからcまでの各金額を加算した金額である。 a交際費等の損金不算入額1億8856万6054円原告が送電線建設に伴い各種補償費等として支出し,建設仮勘定に 3億6289万6449円上記金額は,次のaからcまでの各金額を加算した金額である。 a交際費等の損金不算入額1億8856万6054円原告が送電線建設に伴い各種補償費等として支出し,建設仮勘定に計上した上記金額は,あたかも正当な補償額等であるかのように仮装して支出されたものであり,送電線通過地域の地元住民等の協力を得るためのいわゆる「地元対策費」であることから,交際費等に該当し,損金の額に算入されない。 b交際費等の損金不算入額30万0360円原告が送電線新設工事に伴う立木補償として支出し,建設仮勘定に計上した上記金額は,送電線新設工事に対して協力的であったことに対する謝礼金を立木補償に仮装して支払ったものであるから,交際費等に該当し,損金の額に算入されない。 c交際費等の損金不算入額1億7403万0035円 原告が自治会等に支出した寄付金のうち上記金額は,原告の送電線工事に伴い支出されたものであり,当該工事に係る地元住民の同意を得るためのいわゆる「地元対策費」であることから,交際費等に該当し,損金の額に算入されない。 (ウ)寄附金のうち損金に算入されない金額2億1071万1500円(エ)雑損失のうち損金の額に算入されない金額950万6523円(オ)除却損のうち損金の額に算入されない金額19億9786万3485円上記金額は,次のaからcまでの各金額を加算した金額である。 a除却損のうち損金の額に算入されない金額18億6465万6058円原告は,ζ6号機等について有姿除却に係る除却損20億4773万1952円を計上し,損金の額に算入しているが,これらの発電設備を構成する個々の資産のすべてが固定資産としての命数や使用価値を失ったことが客観的に明らかではなく,今後通常の方法により事業の用に供する可能性がない 上し,損金の額に算入しているが,これらの発電設備を構成する個々の資産のすべてが固定資産としての命数や使用価値を失ったことが客観的に明らかではなく,今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないとは認められないため,当該除却損の金額から実際に解体済みと認められる部分の金額及び通常のメンテナンスを行っていたと認められる平成14年12月までの減価償却費の金額を控除した後の金額である18億6465万6058円は,損金の額に算入されない。 b除却損のうち損金の額に算入されない金額8276万0803円 原告は,平成15年3月の火力発電所定期点検時に8778万1062円の除却損を計上しているが,平成15年3月期末までには除却の事実がなく,かつ,除却損計上の直前まで稼働しており,処分見込価額の算定や使用可能性の判断もできない状況にあることから有姿除却が認められる合理的理由がなく,翌事業年度の除却損の引当て計上をしたにすぎないことから,当該除却損の金額から平成15年3月期の減価償却費の金額を控除した後の金額である8276万0803円は,損金の額に算入されない。 c除却損のうち損金の額に算入されない金額5044万6624円原告は,火力発電所の資産の帳簿価額のうち工費に対応する部分の額1億4929万8256円のみを除却損として計上しているが,当該資産は,平成15年3月期末までには除却の事実がなく,かつ,除却損計上の直前まで稼働しており,有姿除却や評価損が認められる合理的理由がないことから,当該除却損の金額から平成15年3月期の減価償却費の金額を控除した後の金額である5044万6624円は,損金の額に算入されない。 (カ)修繕費のうち損金の額に算入されない金額6億8143万2675円(キ)減価償却超過額1億6812万9110円( 控除した後の金額である5044万6624円は,損金の額に算入されない。 (カ)修繕費のうち損金の額に算入されない金額6億8143万2675円(キ)減価償却超過額1億6812万9110円(ク)雑収益の計上漏れ3164万5305円(ケ)収用等に伴い計上した特別勘定の益金算入漏れ 1780万0100円(コ)前事業年度で損金の額に算入した貸倒引当金繰入限度超過額の戻入益の益金算入額23万2079円(サ)前事業年度に益金の額に算入した借地料の減算額7075万0745円(シ)修繕費加算不当額142万4796円(ス)減価償却費の損金算入額771万9760円(セ)一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入限度超過額の過大額40万6127円(ソ)事業税の損金算入額54万8500円イ所得金額に対する法人税額668億8534万6200円上記金額は,上記アの所得金額に法人税法66条1項に規定する税率を乗じて計算した金額である。 ウ法人税額から控除される所得税額等4億2329万2718円上記金額は,法人税法68条に規定する法人税額から控除される所得税等の金額であり,平成15年3月期確定申告書に記載された金額と同額である。 エ納付すべき税額664億6205万3400円上記金額は,上記イの金額から上記ウの金額を控除した金額である。 オ確定申告に係る税額654億4224万3000円上記金額は,平成15年3月期確定申告書に記載された法人税額である。 カ差引納付すべき税額10億1981万0400円 上記金額は,上記エの金額から上記オの金額を差し引いた金額であり,平成15年3月期に係る更正処分により原告が新たに納付することとなる法人税額である。 (3)平成14年3月期の重加算税及び過少申告加算税ア重 上記エの金額から上記オの金額を差し引いた金額であり,平成15年3月期に係る更正処分により原告が新たに納付することとなる法人税額である。 (3)平成14年3月期の重加算税及び過少申告加算税ア重加算税2311万0500円原告は,前記(1)ア(イ),(ウ)a,bのとおり,平成14年3月期の法人税の課税標準の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を仮装し,その仮装したところに基づき平成14年3月期確定申告書を提出していたことから,通則法68条1項の規定に基づき,過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額に係る過少申告加算税に代え,当該基礎となるべき税額に100分の35を乗じて計算した金額に相当する重加算税が課されることとなる。 したがって,平成14年3月期の法人税に係る重加算税の額は,上記仮装に係る税額6603万1200円を基礎として,通則法68条1項を適用し,6603万円(通則法118条3項の規定に基づき1万円未満の端数金額を切り捨てた後のもの)に100分の35の割合を乗じて算出した金額2311万0500円となる。 イ過少申告加算税1億1479万8000円平成14年3月期に係る更正処分に伴って賦課されるべき過少申告加算税の額は,前記(1)カの差引納付すべき税額12億1401万3600円から,前記アのとおり過少申告加算税に代えて重加算税が課されることとなる税額6603万1200円を控除した11億4798万2400円を基 礎として,通則法65条1項の規定を適用し,11億4798万円(通則法118条3項の規定に基づき1万円未満の端数金額を切り捨てた後のもの)に対して100分の10の割合を乗じて算出した金額1億1479万8000円となる。 (4)平成15年3月期の重加算税及び過少申告加算税ア重加算税1983万1000円 額を切り捨てた後のもの)に対して100分の10の割合を乗じて算出した金額1億1479万8000円となる。 (4)平成15年3月期の重加算税及び過少申告加算税ア重加算税1983万1000円原告は,前記(2)ア(イ)a,bのとおり,平成15年3月期の法人税の課税標準の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を仮装し,その仮装したところに基づき平成15年3月期確定申告書を提出していたことから,通則法68条1項の規定に基づき,過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額に係る過少申告加算税に代え,当該基礎となるべき税額に100分の35を乗じて計算した金額に相当する重加算税が課されることとなる。 したがって,平成15年3月期の法人税に係る重加算税の額は,上記仮装に係る税額5666万0100円を基礎として,通則法68条1項を適用し,5666万円(通則法118条3項の規定に基づき1万円未満の端数金額を切り捨てた後のもの)に100分の35の割合を乗じて算出した金額1983万1000円となる。 イ過少申告加算税9630万8000円平成15年3月期に係る更正処分に伴って賦課されるべき過少申告加算税の額は,前記(2)カの差引納付すべき税額10億1981万0400円から,過少申告加算税が賦課されないこととなる前記(2)ア(コ)の益金算入額 23万2079円に係る税額6万9600円及び前記アのとおり過少申告加算税に代えて重加算税が課されることとなる税額5666万0100円を控除した9億6308万0700円を基礎として,通則法65条1項の規定を適用し,9億6308万円(通則法118条3項の規定に基づき1万円未満の端数金額を切り捨てた後のもの)に対して100分の10の割合を乗じて算出した金額9630万8000円となる。 争点 (1)本件火力 9億6308万円(通則法118条3項の規定に基づき1万円未満の端数金額を切り捨てた後のもの)に対して100分の10の割合を乗じて算出した金額9630万8000円となる。 争点 (1)本件火力発電設備の除却損を損金に算入することができるか。 (2)本件各更正処分は信義則に反する違法なものというべきか。 (3)本件各賦課決定処分について通則法65条4項所定の正当な理由があるか。 当事者の主張の要旨別紙「当事者の主張の要旨」記載のとおり第3争点に対する判断 本件火力発電設備の除却損を損金に算入することができるかについて(1)電気事業固定資産の除却に関する公正処理基準ア一般の場合における公正処理基準法人税法22条1項は,内国法人の各事業年度の所得の金額は,当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする旨規定し,同条3項は,内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は,別段の定めがあるものを除き,①当該事業年度の収益に係る売上原価,完成工事原価その他これらに準ずる原価の額(同項1号),②同号のほか,当該事業年度の販売費,一般管理費 その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額(同項2号),③当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの(同項3号)とする旨定めている。そして,同条4項は,これらの額は,一般に公正妥当と認められる会計処理の基準(いわゆる公正処理基準)に従って計算すべきものとしている。 この公正処理基準とは,一般社会通念に照らして公正で妥当であると評価され得る会計処理の基準を意味し,その中心となるのは,企業会計原則や商法及び証券取引法の計算規定並びにこれらの実施省令である旧計算書類規則,商法施 とは,一般社会通念に照らして公正で妥当であると評価され得る会計処理の基準を意味し,その中心となるのは,企業会計原則や商法及び証券取引法の計算規定並びにこれらの実施省令である旧計算書類規則,商法施行規則及び財務諸表等規則の規定であるが,確立した会計慣行をも含んでいる。 イ電気事業者が従うべき公正処理基準ところで,電気事業者における会計の整理(会計処理)について,電気事業法34条1項は,「電気事業者(括弧内省略)は,経済産業省令で定めるところにより,その事業年度並びに勘定科目の分類及び貸借対照表,損益計算書その他の財務計算に関する諸表の様式を定め,その会計を整理しなければならない。」と規定しているところ,上記経済産業省令として,電気事業会計規則が定められている。 電気事業会計規則は,電気事業経営の基盤である会計整理を適正にし,その事業の現状を常に適確に把握し得るようにしておく必要があり,このためには適正かつ統一的な会計制度を確立しておく必要があるとして,電気事業法34条の委任により制定されたものであるところ(乙7参照),株式会社の貸借対照表,損益計算書,営業報告書及び附属明細書に関する 規則の特例に関する省令(商法施行規則附則2条5号による廃止前のもの)5条,商法施行規則(平成18年法務省令第12号による改正前のもの)98条,財務諸表等規則2条などの規定によれば,電気事業会計規則は,公正処理基準の中心となる旧計算書類規則,商法施行規則及び財務諸表等規則の特則として位置付けられているということができる。 このような電気事業会計規則の位置付けに加えて,同規則1条4号において,電気事業者は,一般に公正妥当であると認められる会計の原則によってその会計を整理しなければならない旨定められていること,さらには,膨大な電気事業者の会計の中に生起 に加えて,同規則1条4号において,電気事業者は,一般に公正妥当であると認められる会計の原則によってその会計を整理しなければならない旨定められていること,さらには,膨大な電気事業者の会計の中に生起する複雑多岐にわたる現象をすべて規則をもって律することはもとより不可能であることを考慮すると,電気事業者が従うべき公正処理基準とは,電気事業会計規則の諸規定のほか,一般に公正妥当と認められる会計処理の基準を含むものというべきである。 ウ一般の場合における固定資産の除却の意義と会計処理固定資産の除却の意義については,一般的には,「まだ使用に耐える固定資産について,将来にわたってその使用を廃止することを,除却という。 除却には,物理的な解撤,破砕,廃棄等をする場合と,現状有姿のまま保有する場合がある(有姿除却)。除却が行われた場合に,その資産は事業に対する物的給付能力を失ったのであるから,企業会計では,その資産を貸借対照表から除去し,除却時の帳簿価額(除却価額)を除却損として計上しなければならない。」(岡村忠生・法人税法講義(乙2)114頁),あるいは,「固定資産が,その用途を廃して除却,廃棄され,又は使用途中で災害その他の理由で滅失し,若しくは他に譲渡された場合には,その 除却,廃棄,滅失又は譲渡(以下「譲渡等」という。)があった時における当該固定資産の帳簿価額が,除却損失や譲渡原価等として損金の額に算入されることになる。」(渡辺淑夫・法人税法─その理論と実務〈平成17年度版〉(乙3)379頁)とされている。 エ電気事業固定資産の除却の意義ところで,電気事業会計規則は,4条において,電気事業固定資産勘定を設けるべきことを定めた上で,第2章第2節第4款(14条から20条まで)において,電気事業固定資産の除却に関する定めを置いている。前記 ろで,電気事業会計規則は,4条において,電気事業固定資産勘定を設けるべきことを定めた上で,第2章第2節第4款(14条から20条まで)において,電気事業固定資産の除却に関する定めを置いている。前記のとおり,電気事業会計規則の諸規定は,旧計算書類規則,商法施行規則及び財務諸表等規則の特則として位置付けられるものであるから,電気事業者における会計の整理(会計処理)においては,電気事業会計規則の規定が,これらの一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に優先して適用されるというべきである。 そこで,このような観点から電気事業会計規則の規定を見ると,同規則4条は,「一般電気事業(括弧内省略)及び卸電気事業(以下「電気事業」という。)の用に引き続き供するために建設,購入その他の事由によつて取得した土地,建物,構築物,機械装置その他の資産は,電気事業固定資産勘定をもつて整理しなければならない。」とし,同規則14条は,「電気事業固定資産を除却した場合は,当該除却物品に関する帳簿原価並びに工事費負担金及び減価償却累計額の金額をそれぞれの当該勘定から減額しなければならない。」と規定している。 同規則14条における「除却」の意義については,「解体,撤去(移設 を含む。),破かい,等の自己の意志による具体的な物品の除去を伴うものと売却,現場廃棄,交換,贈与のごとく設備の除去を伴わないもの,火災,盗難等の災害の場合のように自己の意志によらないものを含むが,要するに既存の施設場所におけるその物品としての固有の用途を廃止して電気事業固定資産から減額することを指すのである。」(通商産業省公益事業局編・電気事業会計規則の概要(甲5)68頁)と解説され,あるいは,「電気事業固定資産の除却固定資産の除却とは,既存の施設場所において資産としての固有の用途を廃止するこ る。」(通商産業省公益事業局編・電気事業会計規則の概要(甲5)68頁)と解説され,あるいは,「電気事業固定資産の除却固定資産の除却とは,既存の施設場所において資産としての固有の用途を廃止することであり,会計的には,固定資産勘定から減額することである。「除却」には,解体,撤去など自己の意思により資産の除去を伴うものや,現場放棄や土地の売却のように設備の除去を伴わないもの,台風,火災などの災害の場合のように,自己の意思によらないものがある。」(電気事業講座編集委員会編・電気事業の経理(平成9年版)(乙10)106頁)と解説されている。 前述のとおり,電気事業会計規則は,電気事業経営の基盤である会計整理を適正にし,その事業の現状を常に適確に把握し得るようにしておく必要から,電気事業法34条の委任により制定された経済産業省令であることに照らすと,その解釈に当たっては,一般に公正妥当と認められる会計処理の基準のほか,電気事業の所管官庁等によるこのような解説の趣旨を十分に考慮に入れるべきであり,したがって,同規則にいう「電気事業固定資産の除却」とは,「既存の施設場所におけるその電気事業固定資産としての固有の用途を廃止する」ことを意味するものと解するのが相当である。 オ電気事業固定資産の除却についての会計処理前記のとおり,電気事業会計規則14条は,電気事業固定資産を除却した場合には,その帳簿原価等を当該勘定から減額すべきものと定めているところ,この規定により減額された帳簿原価等を他のいかなる勘定に振り替えるべきかを検討すると,次のとおりである。 (ア)物品差損の算出(電気事業会計規則18条1号)a電気事業会計規則18条は,その柱書きにおいて,「第14条及び前条の規定によつて減額した場合における当該除却物品に関する整理手続は,次の 。 (ア)物品差損の算出(電気事業会計規則18条1号)a電気事業会計規則18条は,その柱書きにおいて,「第14条及び前条の規定によつて減額した場合における当該除却物品に関する整理手続は,次の各号によつて行わなければならない。」と規定した上で,まず,1号において,物品差損の算出について,「物品帳簿原価からその工事費負担金の金額及び減価償却累計額の金額を控除した価額と当該物品が貯蔵品勘定その他の勘定へ振り替えられた場合における振替価額との差額を算出すること。」と規定している。 b上記規定において,物品差損の算出の基礎となる「物品帳簿原価からその工事費負担金の金額及び減価償却累計額の金額を控除した価額」とは,次のとおり,除却時点における除却物品の帳簿価額(未償却残高)を意味するものである(通商産業省公益事業局編・電気事業会計規則の概要(甲5)69頁の表参照)。 (a)すなわち,上記の「物品帳簿原価」とは,「物品の取得に直接に要した価額から当該物品の取得に直接に要した工費の価額を控除した価額の帳簿原価をいう。」(電気事業会計規則15条)とされている。これは,要するに,帳簿原価のうち,工費以外の「除却さ れた物品本体の取得原価」を意味しているものと解される(上記電気事業会計規則の概要69頁参照)。 (b)また,上記の「工事費負担金」とは,電気事業法19条1項の認可を受けた供給約款の定めるところによって器具,機械その他の用品の工事費を負担するために電気使用者が提供した金銭,資材その他の財産上の利益をいうものであり(電気事業会計規則10条),その金額は,そもそも資産の価額を構成しないという考え方が採られている(電気事業講座編集委員会編・電気事業の経理(昭和43年版)(甲49)103頁参照)。そのため,同規則18条1号においても, ,その金額は,そもそも資産の価額を構成しないという考え方が採られている(電気事業講座編集委員会編・電気事業の経理(昭和43年版)(甲49)103頁参照)。そのため,同規則18条1号においても,除却物品の帳簿価額を算定する上で,工事費負担金の金額が物品帳簿原価(物品本体の取得原価)に含まれている場合には,これを控除する扱いとされている。 (c)さらに,上記の「減価償却累計額」とは,既に減価償却によって費用化され,償却済みとなっている金額の累計額である。物品帳簿原価(物品本体の取得原価)から減価償却累計額を控除することにより,除却時における除却物品の帳簿価額(未償却残高)が算出されることになる。 (d)したがって,「物品帳簿原価からその工事費負担金の金額及び減価償却累計額の金額を控除した価額」とは,除却時における除却物品の帳簿価額(未償却残高)をいうものと解される。 cそして,物品差損の算出に当たり,上記の帳簿価額(未償却残高)から控除されるべき「当該物品が貯蔵品勘定その他の勘定へ振り替え られた場合における振替価額」(電気事業会計規則18条1号)は,上記の帳簿価額を限度とした「適正な見積価額」とされている(同規則19条,31条1号)。 dよって,物品差損とは,除却物品の除却時における帳簿価額と適正な見積価額との差額であるといえる。 (イ)旧工費差損の算出(電気事業会計規則18条2号)また,電気事業会計規則18条2号は,旧工費差損の算出について,「工費帳簿原価からその工事費負担金の金額及び減価償却累計額の金額を控除した金額を算出すること。」と規定している。 ここで,「工費帳簿原価」とは,「物品の取得に直接に要した工費の価額及び間接に要した価額の帳簿原価をいう。」(同規則15条)とされている。 (ウ)除却損の計上(電気事 すること。」と規定している。 ここで,「工費帳簿原価」とは,「物品の取得に直接に要した工費の価額及び間接に要した価額の帳簿原価をいう。」(同規則15条)とされている。 (ウ)除却損の計上(電気事業会計規則18条3号)その上で,電気事業会計規則18条3号は,「前2号の合計額を固定資産除却費勘定へ振り替えること。ただし,当該除却が天災その他の不測の事由によって発生した電気事業固定資産の損害の整理を目的として行われた場合は,事業外費用勘定又は特別損失勘定へ振り替えること。」と定めている。 上記の「固定資産除却費勘定」及び「事業外費用勘定又は特別損失勘定」は,いずれも費用又は損失に係る勘定であることからすれば,電気事業会計規則18条3号は,電気事業固定資産の除却により電気事業固定資産勘定が減額された場合に,その減額分のうち,同条1号及び2号 により算出された物品差損及び旧工費差損の金額の合計額を除却損として計上する趣旨の規定であるということができる。 カ小括以上において述べたことをまとめれば,電気事業固定資産の除却,すなわち,既存の施設場所におけるその電気事業固定資産としての固有の用途の廃止をした場合には,除却時点における除却物品の帳簿価額を電気事業固定資産勘定から減額するとともに,当該除去物品の適正な見積価額をもって貯蔵品勘定その他の勘定へ振り替えることとし,当該帳簿価額と適正な見積価額との差額(物品差損)及び旧工費差損の金額の合計額を除却損として計上すべきことになる。 (2)本件火力発電設備の廃止への当てはめア本件火力発電設備の廃止が電気事業会計規則にいう除却に当たるか(ア)前記前提事実及び弁論の全趣旨によると,本件火力発電設備を構成する個々の資産は,電気事業者である原告が電気事業の用に引き続き供するために建設その他の 止が電気事業会計規則にいう除却に当たるか(ア)前記前提事実及び弁論の全趣旨によると,本件火力発電設備を構成する個々の資産は,電気事業者である原告が電気事業の用に引き続き供するために建設その他の事由によって取得した資産であると認められるから,電気事業会計規則にいう電気事業固定資産に該当する。したがって,本件火力発電設備の除却損を損金に算入することの可否を判断するに当たっては,本件火力発電設備を構成する個々の電気事業固定資産について,同規則14条にいう除却の要件が充足されているか否かを検討すべきこととなる。 (イ)前記前提事実のとおり,①原告においては,平成8年度以降,発電効率が極めて高い最新鋭の大規模発電設備が順次運転を開始したため, 最大電力需要に比べて供給力が過大となり,同10年ころには,設備余剰の状態が一層顕著となっていたこと,②本件火力発電設備(εLNG冷熱を除く。)は,他の燃料に比べて高価な石油を燃料としており,高効率の新規発電設備と比較して経済性が劣っていたこと,③本件火力発電設備(εLNG冷熱を除く。)は,運用開始後26年ないし38年が経過し,法定耐用年数である15年を大幅に超えて運用がされていたこと,④このため,平成11年以降,本件火力発電設備(εLNG冷熱を除く。)については,年間を通じて運用を停止する長期計画停止を行ってきたこと,⑤εLNG冷熱は,同LNGセンター近隣のLNG火力発電所の稼働率低下に伴い,発電メリットが保守費用を下回る状況が続くと見込まれていたこと,⑥原告では,平成12年3月の電力小売部分自由化の実施等の経営環境の変化を受け,経年火力発電設備対策が重要な経営課題とされていたことから,廃止ユニット候補として本件火力発電設備が選定され,所定の社内手続及び電気事業法に基づく届出の手続を経て, の実施等の経営環境の変化を受け,経年火力発電設備対策が重要な経営課題とされていたことから,廃止ユニット候補として本件火力発電設備が選定され,所定の社内手続及び電気事業法に基づく届出の手続を経て,遮断器の投入・遮断回路の配線が切断され,廃止に至ったものである。 仮に,本件火力発電設備を再稼働させるとすると,新規に火力発電所を建設する場合と同様に,多大の費用と時間を投じて,電気事業法48条に基づく工事計画の届出,環境影響評価法に基づく環境影響評価の実施その他の手続を経なければならない上,廃止した設備及び機器の全面的な点検,修理必要箇所の工事,検査,試運転等を行う必要がある。これらに伴い必要となる費用は,正確な推計は困難であるが,通常の定期 点検に要する費用だけでも1ユニット当たり約10億円を要すること,廃止後に保守又は保全の措置が執られていないために腐食が進行していることを考慮すると,再稼働には通常の点検を大幅に超える費用と時間が必要になると想定される。しかも,このような費用と時間をかけて再稼働したとしても,低効率で経済性が劣る経年火力発電設備が再稼働されるにすぎないから,原告がこのような選択をするはずがないことは,社会通念上明らかということができる。(甲11及び弁論の全趣旨により認められる。)さらに,P1株式会社,P2株式会社,P3株式会社,原告,P4株式会社,P5株式会社,P6株式会社,P7株式会社,P8株式会社及びP9株式会社の電力会社10社においては,昭和39年度から平成16年度までの41年間に合計169基の本件火力発電設備と同種の発電設備が廃止されたところ,それらのうち廃止後に再稼働されたものは1基も存在しない(甲15により認められる。)。 以上の諸点を総合すれば,本件火力発電設備については,電気工作物変更届出書に記 種の発電設備が廃止されたところ,それらのうち廃止後に再稼働されたものは1基も存在しない(甲15により認められる。)。 以上の諸点を総合すれば,本件火力発電設備については,電気工作物変更届出書に記載された廃止日の時点で,将来再稼働される可能性はないというべきである。 (ウ)前記(1)において判示したとおり,電気事業会計規則上,電気事業固定資産の除却とは,既存の施設場所におけるその電気事業固定資産としての固有の用途を廃止したことをいうところ,本件火力発電設備を構成する電気事業固定資産の「施設場所」とは,α,γ及びζの各火力発電所並びにεLNGセンターであり,その「固有の用途」とは,発電の用 に供されることであるから,前記(イ)のとおり,本件火力発電設備がその廃止により発電という機能を二度と果たすことがなくなった以上,本件火力発電設備を構成する電気事業固定資産の「既存の施設場所」における「固有の用途」も完全に失われたことになる。 したがって,本件火力発電設備を構成する電気事業固定資産については,「既存の施設場所におけるその電気事業固定資産としての固有の用途を廃止」することという除却の要件が充足されているので,その有姿除却が認められるというべきである。 (エ)これに対して被告は,電気事業会計規則14条に規定する電気事業固定資産の「除却」の要件が満たされているか否かの判断は,各発電設備ごとに設備全体について一括して行うのではなく,発電設備等を構成する個々の資産ごとに行うことが予定されているとした上で,本件火力発電設備を構成する個々の資産は,結果的に見れば,流用,活用又は中古品としての売却がされた事例が少数であるとしても,平成14年3月期末及び平成15年3月期末の各時点では,いまだその本来の用法に従って事業の用に供される可能性がないと 果的に見れば,流用,活用又は中古品としての売却がされた事例が少数であるとしても,平成14年3月期末及び平成15年3月期末の各時点では,いまだその本来の用法に従って事業の用に供される可能性がないと客観的に認められるに至っていなかったというべきであるから,本件各事業年度において,電気事業会計規則14条にいう除却があったということはできない旨主張する。 しかしながら,前判示のとおり,電気事業会計規則上,電気事業固定資産の除却とは,既存の施設場所におけるその電気事業固定資産としての固有の用途を廃止したことをいうものと解すべきであり,本件火力発電設備が廃止され,将来再稼働の可能性がないと認められる以上,本件 火力発電設備を構成する個々の電気事業固定資産についても,本件火力発電設備の廃止の時点でその固有の用途が廃止されたものと認められ,同規則にいう除却の要件を満たすことになるから,被告の上記主張は失当である。 イ除却損として計上すべき金額について(ア)前記(1)において判示したとおり,電気事業会計規則は,電気事業固定資産が除却された場合には,除却の時点における除却物品の帳簿価額と適正な見積価額との差額である物品差損及び旧工費差損の金額の合計額を除却損として計上すべきことを定めている。このため,本件において除却損として計上すべき金額を算定するに当たっては,本件火力発電設備の廃止により除却された電気事業固定資産の除却の時点における適正な見積価額が問題となる。 (イ)この点について,被告は,物品差損は,除却物品の除却時における帳簿価額と適正な見積価額との差額であるから,仮に,除却物品の適正な見積価額がその帳簿価額と同額であるならば,物品差損は0円となり,別途,旧工費差損が生じない限り,除却損の計上は認められないことになるとした上で,適正 価額との差額であるから,仮に,除却物品の適正な見積価額がその帳簿価額と同額であるならば,物品差損は0円となり,別途,旧工費差損が生じない限り,除却損の計上は認められないことになるとした上で,適正な見積価額の意義について,「再使用可能な物品についてはその中古品の時価をいい,再使用不可能物品については,その屑化物品としての見積価額をいうとされている。もっとも,中古品の時価というものは,非常には握しがたいこと,さらには直接流用して引き続き電気事業の用に供される物品について,流用を機に特に帳簿価額を減額する理由は認められないことから,特に著しい減損が生じていな い限り帳簿価額で振り替えるのが適当であろう。」(電気事業の経理(昭和43年版)(甲49の118,119頁)と解されているとして,除却損の計上が認められるためには,当該電気事業固定資産が「再使用不可能」であること,すなわち,もはやその本来の用法に従って事業の用に供される可能性がないと客観的に認められることを要するとする。 そして,①本件火力発電設備を構成する資産の有効活用を図るため,社内での活用又は流用を積極的に検討していたこと,②実際に社内において流用を行っていること,③本件火力発電設備を構成する個々の資産を有効活用するため,商社等への売却の準備及び交渉をしていたことを挙げて,本件火力発電設備を構成する個々の資産は,本件各事業年度末の時点では,実際に解体済みであったものを除き,いまだその本来の用法に従って事業の用に供される可能性がないと客観的に認められるような状態には至っていなかったと主張する。 (ウ)しかしながら,証拠(甲56)及び弁論の全趣旨によると,そもそも,火力発電設備を構成する機器等を流用するには,他の火力発電設備で使用している機器等とその型式及び規格が合致すること 主張する。 (ウ)しかしながら,証拠(甲56)及び弁論の全趣旨によると,そもそも,火力発電設備を構成する機器等を流用するには,他の火力発電設備で使用している機器等とその型式及び規格が合致することが大前提となるところ,火力発電設備の仕様は画一的なものではなく,建設の都度設計が行われて決定されるものであって,特に本件火力発電設備(εLNG冷熱を除く。)は,大容量化による高度成長時代の需要増への対応,熱効率の向上,環境対策等の様々な課題に対応するため,火力発電技術の革新が著しかった昭和40年から50年代にかけて建設されたもので,その建設の都度,最新技術が反映された設備として設計されていたこと から,同一仕様の設備や機器はほとんど存在せず,εLNG冷熱に至っては,原告における唯一の冷熱発電設備であって,同じ種類の設備は他に存在しておらず,このため,本件火力発電設備を構成する部品等を流用することは,当初から極めて困難であったことが認められる。 さらに,証拠(甲41,56,57,59,乙11,12,13,19)及び弁論の全趣旨によると,①原告においては,部門長や支店長が「チャレンジ性の高い目標」を達成することを目的として,翌年度に部門や支店等としてチャレンジする目標を設定し,翌年度にその結果を報告するという活動が行われており,原告の火力部長は,平成14年度のチャレンジ目標の1つとして,「経年火力設備機器の売却」を掲げ,本件火力発電設備の廃止により不要となる機器の売却を試みたこと,②原告では,これまで,スクラップ以外の方法で火力設備機器を売却したことはほとんどなく,また,当該目標を設定した時点では,売却に関する具体的な計画やめどはなかった上,火力発電設備の使用可能性に着目した売却は非常に困難であると認識していたこと,③原告は,火力発電設 とはほとんどなく,また,当該目標を設定した時点では,売却に関する具体的な計画やめどはなかった上,火力発電設備の使用可能性に着目した売却は非常に困難であると認識していたこと,③原告は,火力発電設備の廃止を検討するに当たり,当該火力発電設備と同型の機器等を使用している他の火力発電設備があるときは,同型機器等の修繕用部品等として利用することができる可能性があるため,検討用資料として,「ユニット・共用設備別機器有効利用一覧表」(甲57)を作成しているが,原告においては同一仕様の設備や機器はほとんど存在しない上,仮に他の火力発電設備に同一仕様の設備や機器が使用されていたとしても,劣化や腐食等の理由から流用が困難な場合が多く,また,流用可能な物が あったとしても個々の部品レベルのものが通常であり,個々の資産について資産単位物品の単位で流用や活用が検討されていたわけではないこと,④原告の火力部運営グループ長は,「廃止火力品の有効活用検討会議の開催について(依頼)」と題する書面(乙11)により,関係部門に検討会議の開催を通知したが,同グループ長の認識としては,火力発電設備のほとんどは他部門での汎用性がなく,仮に使用可能なものがあったとしても,些末な部品程度であろうというものであり,検討会議の結果,実際に使用された機器及び部品もわずか2品目であり,その使用目的も史料館での展示や研究機材であって,火力発電設備の通常の方法としての使用ではないこと,⑤原告が作成した「廃止火力活用品一覧表」(乙12)の内容は,廃止済みないし廃止予定火力発電設備を構成する資産単位物品を機械的に一覧表にしたもので,原告において「除却物品一覧表」と称しているものであり,平成14年度のチャレンジ目標の一環として,いわば体裁を整えるために付けられた表題にすぎないこと,⑥「 産単位物品を機械的に一覧表にしたもので,原告において「除却物品一覧表」と称しているものであり,平成14年度のチャレンジ目標の一環として,いわば体裁を整えるために付けられた表題にすぎないこと,⑥「平成14年度チャレンジ「火力設備機器の活用・売却について」(第2回中間報告)」(乙13)と題する書面は,「廃止火力品の有効活用検討会議の開催について(依頼)」と題する書面により行われた検討会議のフォローアップとして中間報告がされているにとどまり,見るべき成果はほとんどなかったこと,⑦「石油火力発電所廃止に伴う税務上の取扱いについて(税務相談)」(甲41,乙19別紙1)に記載された質問の趣旨は,廃止時においてスクラップ評価したものを社内において流用した場合の申告計算の方法につき照会したにすぎないこと, ⑧本件火力発電設備を構成する機器や部品が他の発電設備等に流用された数は,全体で40品にとどまり,1つの火力発電設備が500個余りの資産単位物品とこれを構成する数十万個以上の部品から構成されていることを考慮すると,この数は微々たるものにすぎないこと,⑨原告とP10,P11及びP12株式会社との間の売却交渉は,スクラップあるいは資産単位物品以下のレベルでの検討にすぎなかったもので,結局のところ,いずれも交渉は立ち消えとなったこと,⑩以上のとおり,チャレンジ目標が主目的としていた「経年火力設備機器の売却」については,何ら成果がなかったことが認められる。 以上の諸点を総合すれば,本件火力発電設備の廃止の時点で,各発電設備を構成する個々の資産は,そのほとんどが,社会通念上,その本来の用法に従って事業の用に供される可能性がなかったもの,すなわち,再使用が不可能であったものと認めるのが相当であるから,実際に解体済みであったものを除き,いまだその本来の用 が,社会通念上,その本来の用法に従って事業の用に供される可能性がなかったもの,すなわち,再使用が不可能であったものと認めるのが相当であるから,実際に解体済みであったものを除き,いまだその本来の用法に従って事業の用に供される可能性がないと客観的に認められるような状態には至っていなかったとする被告の主張は,採用することができない。 (エ)そして,証拠(甲41,62)及び弁論の全趣旨によると,原告は,当初から流用する見込みの物品については除却損を計上しない処理を行ったものであること,すなわち,原告は,本件火力発電設備を廃止するに際し,これを構成する個々の物品については,①他の発電所へ流用する見込みの物品については廃止時の帳簿価額を,②発電設備の全面撤去後に社外へスクラップとして売却する見込みの物品についてはスクラッ プ価額を,それぞれその見積価額として算定し,当該見積価額と帳簿価額との差額を除却損として計上したことが認められ,これを左右するに足りる証拠はない。 そうすると,本件火力発電設備を構成する個々の物品は,当該発電設備の廃止の時点において,他の発電所へ流用する見込みの物品については物品差損が計上されておらず,スクラップとして売却する見込みの物品については適正な見積価格であるスクラップ価額と帳簿価額の差額である物品差損が除却損として計上されていることになる(なお,甲65及び弁論の全趣旨によると,本件各更正処分により損金不算入とされた本件火力発電設備の有姿除却に係る除却損のうち,旧工費差損の価額は,平成14年3月期については13億5287万6197円,平成15年3月期については6億8048万7201円であることがそれぞれ認められる。)。 したがって,本件火力発電設備の除却に際して原告が除却損として計上した金額は,除却損として適 7万6197円,平成15年3月期については6億8048万7201円であることがそれぞれ認められる。)。 したがって,本件火力発電設備の除却に際して原告が除却損として計上した金額は,除却損として適正な金額を超えてはいないというべきである。 原告の納付すべき法人税等の額以上によれば,本件において正当な法人税等の額は次のとおりとなる。 (1)平成14年3月期分の法人税ア所得金額2053億8684万4932円上記金額は,次の(ア)の金額に(イ)から(カ)までの各金額を加算し,(キ)の金額を控除した金額である。 (ア)申告所得金額2049億1591万4621円(イ)交際費等の損金不算入額1億4552万9891円(ウ)雑損失のうち損金の額に算入されない金額2億4820万4626円(エ)除却損のうち損金の額に算入されない金額0円(オ)減価償却超過額3523万1524円(カ)雑収益計上漏れ4219万6349円(キ)一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入限度超過額の過大額23万2079円イ所得金額に対する法人税額616億1605万3200円上記金額は,上記アの所得金額に法人税法66条1項に規定する税率を乗じて計算した金額である。 ウ法人税額から控除される所得税額等2億9704万1105円エ納付すべき税額613億1901万2000円上記金額は,上記イの金額から上記ウの金額を控除した金額である。 オ確定申告に係る税額611億7773万3000円上記金額は,平成14年3月期確定申告書に記載された法人税額である。 カ差引納付すべき税額1億4127万9000円上記金額は,上記エの金額から上記オの金額を差し引いた金額であり,平成14年3月期に係る更正処分により原告が新たに納付することとなる法人税 である。 カ差引納付すべき税額1億4127万9000円上記金額は,上記エの金額から上記オの金額を差し引いた金額であり,平成14年3月期に係る更正処分により原告が新たに納付することとなる法人税額である。 (2)平成15年3月期分の法人税 ア所得金額2210億8649万7946円上記金額は,次の(ア)の金額に(イ)から(コ)までの各金額を加算し,(サ)から(ソ)までの各金額を控除した金額である。 (ア)申告所得金額2195億5178万6706円(イ)交際費等の損金不算入額3億6289万6449円(ウ)寄附金のうち損金に算入されない金額2億1071万1500円(エ)雑損失のうち損金の額に算入されない金額950万6523円(オ)除却損のうち損金の額に算入されない金額1億3320万7427円上記金額は,次のaからcまでの各金額を加算した金額である。 a除却損のうち損金の額に算入されない金額0円ζ6号機等についての有姿除却に係る金額b除却損のうち損金の額に算入されない金額8276万0803円c除却損のうち損金の額に算入されない金額5044万6624円(カ)修繕費のうち損金の額に算入されない金額6億8143万2675円(キ)減価償却超過額1億6812万9110円(ク)雑収益の計上漏れ3164万5305円(ケ)収用等に伴い計上した特別勘定の益金算入漏れ1780万0100円 (コ)前事業年度で損金の額に算入した貸倒引当金繰入限度超過額の戻入益の益金算入額23万2079円(サ)前事業年度に益金の額に算入した借地料の減算額7075万0745円(シ)修繕費加算不当額142万4796円(ス)減価償却費の損金算入額771万9760円(セ)一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の 度に益金の額に算入した借地料の減算額7075万0745円(シ)修繕費加算不当額142万4796円(ス)減価償却費の損金算入額771万9760円(セ)一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入限度超過額の過大額40万6127円(ソ)事業税の損金算入額54万8500円イ所得金額に対する法人税額663億2594万9100円上記金額は,上記アの所得金額に法人税法66条1項に規定する税率を乗じて計算した金額である。 ウ法人税額から控除される所得税額等4億2329万2718円エ納付すべき税額659億0265万6300円上記金額は,上記イの金額から上記ウの金額を控除した金額である。 オ確定申告に係る税額654億4224万3000円上記金額は,平成15年3月期確定申告書に記載された法人税額である。 カ差引納付すべき税額4億6041万3300円上記金額は,上記エの金額から上記オの金額を差し引いた金額であり,平成15年3月期に係る更正処分により原告が新たに納付することとなる法人税額である。 (3)平成14年3月期の重加算税及び過少申告加算税 ア重加算税2311万0500円イ過少申告加算税752万4000円平成14年3月期に係る更正処分に伴って賦課されるべき過少申告加算税の額は,前記(1)カの差引納付すべき税額1億4127万9000円から,前記第2の2(3)アのとおり過少申告加算税に代えて重加算税が課されることとなる税額6603万1200円を控除した7524万7800円を基礎として,通則法65条1項の規定を適用し,7524万円(通則法118条3項の規定に基づき1万円未満の端数金額を切り捨てた後のもの)に対して100分の10の割合を乗じて算出した金額752万4000円となる。 (4)平成15年3月期の重 ,7524万円(通則法118条3項の規定に基づき1万円未満の端数金額を切り捨てた後のもの)に対して100分の10の割合を乗じて算出した金額752万4000円となる。 (4)平成15年3月期の重加算税及び過少申告加算税ア重加算税1982万7500円平成15年3月期における納付すべき法人税額は,前記(2)エのとおり659億0265万6300円であり,この金額から隠ぺい又は仮装されていない事実に基づく税額として国税通則法施行令28条1項に基づき計算した金額である658億4599万6500円を控除した結果の5665万9800円が重加算税の額の計算の基礎となる。 したがって,平成15年3月期の法人税に係る重加算税の額は,5665万9800円を基礎として,通則法68条1項の規定を適用し,5665万円(通則法118条3項の規定に基づき1万円未満の端数金額を切り捨てた後のもの)に100分の35の割合を乗じて算出した金額1982万7500円となる。 イ過少申告加算税4036万8000円平成15年3月期に係る更正処分に伴って賦課されるべき過少申告加算税の額は,前記(2)カの差引納付すべき税額4億6041万3300円から,過少申告加算税が賦課されないこととなる前記(2)ア(コ)の益金算入額23万2079円に係る税額6万9600円及び前記アのとおり過少申告加算税に代えて重加算税が課されることとなる税額5665万9800円を控除した4億0368万3900円を基礎として,通則法65条1項の規定を適用し,4億0368万円(通則法118条3項の規定に基づき1万円未満の端数金額を切り捨てた後のもの)に対して100分の10の割合を乗じて算出した金額4036万8000円となる。 まとめ以上によれば,平成14年3月期に係る更正処分及び過少申告加算税 き1万円未満の端数金額を切り捨てた後のもの)に対して100分の10の割合を乗じて算出した金額4036万8000円となる。 まとめ以上によれば,平成14年3月期に係る更正処分及び過少申告加算税賦課決定のうち,更正処分については納付すべき法人税額613億1901万2000円を超える部分,賦課決定については過少申告加算税752万4000円を超える部分はいずれも違法であり,また,平成15年3月期に係る更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定のうち,更正処分については納付すべき法人税額659億0265万6300円を超える部分,賦課決定については過少申告加算税4036万8000円を超える部分及び重加算税1982万7500円を超える部分はいずれも違法であるから,その余の争点について判断するまでもなく,原告の請求はいずれも理由がある。 第4 結論 よって,原告の請求はいずれも理由があるから認容することとし,訴訟費用 の負担につき,行政事件訴訟法7条,民訴法61条を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部杉原則彦裁判長裁判官市原義孝裁判官島村典男裁判官 (別紙)当事者の主張の要旨 本件火力発電設備の除却損を損金に算入することができるか。 (1)被告の主張ア除却の意義法人税法は,「除却」という文言を用いておらず,特にこれについて規定を置いていないが,一般的には,まだ使用に耐える固定資産について,将来にわたってその使用を廃止することを,除却という。除却には,物理的な解撤,破砕,廃棄等をする場合と,現状有姿のまま保有する場合(有姿除却)とがあり,除却が行われた場合には,その資産は事業に対する物的給付能力を失ったのであるから,企業会計においては,その資産を貸借対照表から除 廃棄等をする場合と,現状有姿のまま保有する場合(有姿除却)とがあり,除却が行われた場合には,その資産は事業に対する物的給付能力を失ったのであるから,企業会計においては,その資産を貸借対照表から除去し,除却時の帳簿価額(除却価額)を除却損として計上しなければならないとされている。 イ固定資産の除却損の損金算入が認められる法的根拠上記のとおり,企業会計上,まだ使用に耐える固定資産について,将来にわたってその使用を廃止した場合には,その資産を貸借対照表から除去し,除却時の帳簿価額を除却損として計上しなければならないとされている。かかる除却損は,法人税法上,22条3項3号に規定する「当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの」に該当すれば,同号の規定により損金の額に算入されることになる。そして,同号に定められ た「損失」については,同法がその定義ないし具体的な計算方法を規定しておらず,また,除却に関する「別段の定め」も存在しないことから,除却損は,同条4項の規定に従って,公正処理基準により計算されるべきことになる。 企業会計原則や商法(平成17年法律第87号による改正前のもの。以下同じ。)及び証券取引法の計算規定は,公正処理基準の中心となるものと解されているが,企業会計原則においては,固定資産の除却損に関する取扱いは明記されていない。また,商法中改正法律施行法(平成14年法律第44号による改正前のもの)49条,商法281条5項,証券取引法5条等による委任に基づく計算規定である①株式会社の貸借対照表,損益計算書,営業報告書及び附属明細書に関する規則(商法施行規則附則2条1号による廃止前のもの。平成14年3月期に適用される。以下「旧計算書類規則」という。),②商法施行規則(平成15年法務省令第7号による改正前のもの。平成1 明細書に関する規則(商法施行規則附則2条1号による廃止前のもの。平成14年3月期に適用される。以下「旧計算書類規則」という。),②商法施行規則(平成15年法務省令第7号による改正前のもの。平成15年3月期に適用される。以下同じ。)及び③財務諸表等の用語,様式及び作成方法に関する規則(平成14年3月期に適用されるものとして,平成14年内閣府令第9号による改正前のもの。平成15年3月期に適用されるものとして,平成15年内閣府令第28号による改正前のもの。以下,単に「財務諸表等規則」という。)においても,除却損の取扱いについて,明文の定めは設けられていない。 しかし,一般的には,前記のとおり,固定資産について除却が行われた場合,その固定資産は事業に対する物的給付能力を失ったのであるから,企業会計では,その資産を貸借対照表から除去し,除却時の帳簿価額を除 却損として計上しなければならないと解されている。 このように,一般的な場合においては,上記のような企業会計上の慣行が公正処理基準に該当するものと解されるから,法人税法上も,固定資産の除却損は,同法22条3項3号に規定する「損失」に該当するものとして取り扱われることになる。 ウ電気事業者における除却損の損金算入(ア)電気事業者の作成すべき財務諸表等については,次のように,旧計算書類規則,商法施行規則及び財務諸表等規則の特則が定められている。 すなわち,平成14年3月期に適用される株式会社の貸借対照表,損益計算書,営業報告書及び附属明細書に関する規則の特例に関する省令(商法施行規則附則2条5号による廃止前のもの)5条は,「電気事業法(括弧内省略)に定める一般電気事業者及び卸電気事業者である株式会社(括弧内省略)の作成すべき商法第281条第1項の貸借対照表,損益計算書及び附属明細書の記載 よる廃止前のもの)5条は,「電気事業法(括弧内省略)に定める一般電気事業者及び卸電気事業者である株式会社(括弧内省略)の作成すべき商法第281条第1項の貸借対照表,損益計算書及び附属明細書の記載方法については,計算書類規則第1条の規定にかかわらず,(中略)電気事業会計規則(括弧内省略)の定めるところによる。」と規定している。 また,平成15年3月期に適用される商法施行規則98条は,「電気事業法(括弧内省略)に定める一般電気事業者及び卸電気事業者である株式会社(括弧内省略)の作成すべき商法第281条第1項の貸借対照表,損益計算書及び附属明細書の記載又は記録の方法については,第22条の規定にかかわらず,(中略)電気事業会計規則(括弧内省略)の定めるところによる。」と規定している。 さらに,本件各事業年度を通じて適用される財務諸表等規則2条も,「別記に掲げる事業(括弧内省略)を営む株式会社又は指定法人が,当該事業の所轄官庁に提出する財務諸表の用語,様式及び作成方法について特に法令の定めがある場合又は当該事業の所轄官庁が,この規則に準じて制定した財務諸表準則(以下「準則」という。)がある場合には,当該事業を営む株式会社又は指定法人が法の規定により提出する財務諸表の用語,様式及び作成方法については,(中略)その法令又は準則の定めによるものとする。」と規定し,同別記12において,「電気業」を掲げている。 そして,電気事業者における会計の整理(会計処理)について,電気事業法34条は,「電気事業者(括弧内省略)は,経済産業省令で定めるところにより,その事業年度並びに勘定科目の分類及び貸借対照表,損益計算書その他の財務計算に関する諸表の様式を定め,その会計を整理しなければならない。」と規定しているところ,上記経済産業省令として,電気事業会計 その事業年度並びに勘定科目の分類及び貸借対照表,損益計算書その他の財務計算に関する諸表の様式を定め,その会計を整理しなければならない。」と規定しているところ,上記経済産業省令として,電気事業会計規則が定められている。 (イ)電気事業会計規則は,電気事業経営の基盤である会計整理を適正にし,その事業の現状を常に適確に把握し得るようにしておく必要があり,このためには適正かつ統一的な会計制度を確立しておく必要があるとして,電気事業法34条の委任により制定されたものである。そして,概して,旧計算書類規則,商法施行規則及び財務諸表等規則は会計の一般的取扱いを示しているが,電気事業については,電気事業会計規則により具体的な細目的事項,電気事業の固有の事項について規定されており, 電気事業会計規則は,いわばそれらの特則と考えることができ,実際に旧計算書類規則,商法施行規則及び財務諸表等規則に基づく貸借対照表,損益計算書等財務諸表の記載,作成方法については,これらの規則の特則として位置付けられているところであるとされている。 このように,電気事業会計規則は,公正処理基準の中心となる旧計算書類規則,商法施行規則及び財務諸表等規則の特則と位置付けられるところ,第2章第2節第4款(14条から20条まで)において,「電気事業固定資産の除却」に関する定めを置いている。すなわち,電気事業会計規則14条は,「電気事業固定資産を除却した場合は,当該除却物品に関する帳簿原価並びに工事費負担金及び減価償却累計額の金額をそれぞれの当該勘定から減額しなければならない。」と規定し,除却の場合における帳簿原価等の当該勘定からの減額について定めており,同規則18条は,上記規定によって帳簿原価等を減額した場合において固定資産除却費勘定等へ振り替えるべき金額等の会計処理につい し,除却の場合における帳簿原価等の当該勘定からの減額について定めており,同規則18条は,上記規定によって帳簿原価等を減額した場合において固定資産除却費勘定等へ振り替えるべき金額等の会計処理について規定している。これらの規定は,要するに,電気事業固定資産について除却があった場合には,その帳簿価額から除却物品評価額を控除した残額を固定資産除却費勘定へ振替処理し,除却損を計上するという趣旨のものである。 また,本件各事業年度の当時,電気事業において,電気事業会計規則に定めのある事項について,これと異なる会計慣行が確立されていたという事情は認められない。 したがって,電気事業者の場合においては,かかる電気事業会計規則 の規定が電気事業固定資産の除却に関する公正処理基準に該当するものと解すべきことは明らかであり,法人税法上,電気事業固定資産の除却損を同法22条3項3号に規定する「損失」として計上するためには,当該除却損の計算が,電気事業会計規則の定めに従って行われたことを要するものと解すべきである。 エ電気事業会計規則14条による除却の対象となる資産の単位電気事業会計規則14条が,「電気事業固定資産を除却した場合は」と定めていることからも明らかなように,同条における「除却」の対象は,「電気事業固定資産」である。 そして,後記のとおり,電気事業会計規則における電気事業固定資産とは,発電設備一式ではなく,電気事業の用に引き続き供するために建設,購入その他の事由によって取得した土地,建物,構築物,機械装置その他の個々の資産をいうものとされているのであるから(同規則4条,6条1項),この点のみをもってしても,電気事業会計規則14条に規定する除却の対象となる資産が,「建物」,「構築物」,「機械装置」等に該当する個々の資産であり,除却が認められ あるから(同規則4条,6条1項),この点のみをもってしても,電気事業会計規則14条に規定する除却の対象となる資産が,「建物」,「構築物」,「機械装置」等に該当する個々の資産であり,除却が認められるか否かの判断も当然これらの個々の資産ごとに行われることが同規則上予定されていることは,上記各規定の文言上明らかというべきである。 その上,電気事業会計規則3条は,同規則別表第一によって勘定科目を分類しなければならない旨を規定している。そして,同別表第一は,「資産」,「(1)固定資産」のうちの「(Ⅰ)電気事業固定資産」については,その備考欄において,「各項ごとに物品帳簿原価及び工費帳簿原価の別に 区分して整理する。」と定めた上で,設備の種類ごとに「科目」を分類し,その「科目」に分類される個々の資産について「項」を定めており,例えば,「汽力発電設備」の科目については,「土地」,「建物」,「構築物」,「機械装置」,「諸装置」,「備品」,「無形固定資産」,「工事費負担金(貸方)」及び「減価償却累計額(貸方)」の各項を掲げている。 このように,電気事業会計規則は,電気事業固定資産を,同規則別表第一の各項に掲げられた資産ごとに,「物品帳簿原価」及び「工費帳簿原価」の別に区分して整理することを予定しているのであるから,その除却の有無の判断は,発電設備一式等の単位で行うのではなく,これら各項に掲げられた区分に応じ,発電設備等を構成する個々の資産ごとに行うことが同規則上予定されていることは,これらの規定からしても一層明らかである。 しかも,電気事業会計規則15条が,同規則14条の規定によって減額すべき帳簿原価は,「物品帳簿原価」及び「工費帳簿原価」の合計額とする旨を規定していることも,同規則が,その14条に規定する「除却」の有無の判断を,同別表第一の各 が,同規則14条の規定によって減額すべき帳簿原価は,「物品帳簿原価」及び「工費帳簿原価」の合計額とする旨を規定していることも,同規則が,その14条に規定する「除却」の有無の判断を,同別表第一の各項に掲げられた区分に応じ,個々の資産ごとに行うことを予定していることを裏付けている。 さらに,電気事業会計規則11条は,「電気事業固定資産に対する減価償却の金額は,その計上のつど,個々の資産に適正に配付しなければならない。」と規定しているところ,「ここで「個々の資産」とは,厳密には資産単位物品表に掲げられている1品ごとの物品をいうのである。」とされている(通商産業省公益事業局編・電気事業会計規則の概要58頁。)。 以上に加え,電気事業会計規則について述べた文献等においても,除却に関する整理は,除却された物品ごとに行うと記述されていることからすると,電気事業会計規則14条に規定する電気事業固定資産の「除却」の要件が満たされているか否かの判断は,各発電設備ごとに設備全体について一括して行うのではなく,資産単位物品のような,発電設備等を構成する個々の資産ごとに行うことを同規則は予定しているものというべきである。 オ電気事業会計規則における除却の要件(ア)電気事業会計規則14条は,「電気事業固定資産を除却した場合は,当該除却物品に関する帳簿原価並びに工事費負担金及び減価償却累計額の金額をそれぞれの当該勘定から減額しなければならない。」と定めている。 そして,同条における「除却」の意義については,「解体,撤去(移設を含む。),破かい,等の自己の意志による具体的な物品の除去を伴うものと売却,現場廃棄,交換,贈与のごとく設備の除去を伴わないもの,火災,盗難等の災害の場合のように自己の意志によらないものを含むが,要するに既存の施設場所におけるその よる具体的な物品の除去を伴うものと売却,現場廃棄,交換,贈与のごとく設備の除去を伴わないもの,火災,盗難等の災害の場合のように自己の意志によらないものを含むが,要するに既存の施設場所におけるその物品としての固有の用途を廃止して電気事業固定資産から減額することを指すのである。」(通商産業省公益事業局編・電気事業会計規則の概要68頁)と解説され,あるいは,「固定資産の除却とは,既存の施設場所において資産としての固有の用途を廃止することであり,会計的には,固定資産勘定から減額することである。「除却」には,解体,撤去など自己の意思により資産 の除去を伴うものや,現場放棄や土地の売却のように設備の除去を伴わないもの,台風,火災などの災害の場合のように,自己の意思によらないものがある。」とされている(電気事業講座編集委員会編・電気事業の経理(平成9年版)106頁)。 (イ)固定資産は,本質的に,使用のための資産(使用資産)ないし生産準備手段と位置づけられ,企業利益の主要な源泉となるものであるところ,物理的な滅失その他種々の原因によってその使用が廃止され,もはやその本来の用法によって使用される可能性がなくなったと認められる場合には,その固定資産が当該事業において利益を生み出す余地は一切なくなるのであるから,これをそのまま固定資産として計上しておくことは適切でなく,その帳簿価額を減額して,除却損を計上すべきであると考えられる。しかしながら,なお本来の用法に従って事業の用に供される可能性がないとは認められないのに,単に事業者において当該固定資産を使用しないこととしたということのみで除却損の計上が許されるとすれば,これによって容易に簿外資産を創出し得ることになりかねないとともに,事業者の選択する任意の時期に損失を計上し得ることになって,真実 用しないこととしたということのみで除却損の計上が許されるとすれば,これによって容易に簿外資産を創出し得ることになりかねないとともに,事業者の選択する任意の時期に損失を計上し得ることになって,真実性の原則(企業会計原則第1の1)の観点からも相当でないというべきである。 したがって,電気事業固定資産の除却については,物理的な滅失や第三者への譲渡など,当該電気事業者においてその本来の用法によって使用される可能性がなくなったことが外形的にも明確な場合のほか,現場における廃棄又は放棄のように,外形的な事実が必ずしも伴わない場合 を含むものとされているが,後者のような場合には,単に電気事業者において当該電気事業固定資産を使用しないという意思決定をして,その使用を停止したというだけでは足りないのであって,飽くまでも当該電気事業固定資産がその本来の用法に従って事業の用に供される可能性が客観的にもなくなったと認められる必要があるものと解される。 (ウ)以上によれば,電気事業会計規則14条に規定する電気事業固定資産の「除却」があったと認められるためには,当該電気事業固定資産が,もはやその本来の用法に従って事業の用に供される可能性がないと客観的に認められるに至った場合であることを要するものと解すべきである。 カ本件火力発電設備に係る除却損の損金算入の可否(ア)前記のとおり,法人税法上,電気事業固定資産の除却損を同法22条3項3号に規定する「損失」として計上するためには,当該除却損の計算が,電気事業会計規則の定めに従って行われたことを要するところ,同規則14条に規定する電気事業固定資産の「除却」の要件が満たされているか否かの判断は,発電設備一式を単位としてその設備全体について一括して行うのではなく,発電設備を構成する個々の資産ごとに行うべきもの 14条に規定する電気事業固定資産の「除却」の要件が満たされているか否かの判断は,発電設備一式を単位としてその設備全体について一括して行うのではなく,発電設備を構成する個々の資産ごとに行うべきものと解される。 そして,本件火力発電設備を構成する個々の資産は,構築物,機械装置及び備品であり,これらは,電気事業の用に引き続き供するために建設,購入その他の事由によって取得した構築物,機械装置その他の資産と認められるから,電気事業固定資産に該当する。 したがって,本件においても,電気事業会計規則14条に規定する除 却が行われたといえるか否かについては,本件火力発電設備のような発電設備一式を単位としてその設備全体について一括して判断することは許されず,本件火力発電設備を構成する個々の資産ごとに判断すべきことになる。 そこで検討するに,以下に述べる事実関係によれば,本件において,本件火力発電設備を構成する個々の資産のすべてについて,電気事業会計規則14条に規定する「除却」の要件が満たされているとは認められないから,原告が,本件各事業年度において,本件火力発電設備ごとの単位で除却があったとして,その除却損を損金の額に算入したことは,公正処理基準に合致しないというほかなく,法人税法上,当該除却損の損金算入は認められない。 (イ)原告火力部が作成した「経年石油火力におけるユニット・共用設備撤去工事費用の算出結果について」と題する平成13年8月付け書面(甲37)には,「廃止設備の有効活用について取り纏めた。」,「廃止設備の有効活用が可能な範囲および有効利用先については,添付資料(3)を参照。」と記載され,添付資料(3)として,「経年火力ユニット・共用設備別機器有効利用一覧表」と記載されている。 これらの記載によれば,原告は,本件火力発電設備等の発電 先については,添付資料(3)を参照。」と記載され,添付資料(3)として,「経年火力ユニット・共用設備別機器有効利用一覧表」と記載されている。 これらの記載によれば,原告は,本件火力発電設備等の発電設備の廃止後に,それらを構成する個々の資産のうち有効活用の可能なものの範囲及びその有効利用先を取りまとめ,「経年火力ユニット・共用設備別機器有効利用一覧表」を作成していたものと認められる。 原告火力部運営グループ長は,平成14年6月6日ころ,「廃止火力 品の有効活用検討会議の開催について(依頼)」と題する同日付け書面(乙11)をもって,技術開発本部等6部門の管理職らに対し,上記検討会議の開催等を告知した。上記書面3項には,「議題」として,「廃止火力品の有効活用について」,「今後の進め方について」,「各部門担当個所の確認について」との記載があり,また,4項にも,「主旨」として,「廃止火力設備には,十分な機能を有している機器が多数ある。 一部機器については火力部門内での流用を検討しているが,他部門にも活用検討を依頼し,より一層の有効活用を図る。」と記載されている。 これらの記載によれば,本件火力発電設備を構成する資産について,「十分な機能を有している機器が多数ある」こと,すなわちその本来の用法により事業の用に供することが可能であることを前提に,原告火力部門内のみならず,他部門においても,流用し,又は活用することが積極的に検討されていたものと認められる。 また,上記開催告知には,「廃止火力活用品一覧表」(乙12)が添付されているところ(乙11の7項参照),同一覧表には,本件火力発電設備等を構成する個々の資産である資産単位物品について,「勘定科目」,「資産単位物品c(コード)」,「資産単位物品名称」,「取次年次c(コード)」,「資産台帳管理番号」 ,同一覧表には,本件火力発電設備等を構成する個々の資産である資産単位物品について,「勘定科目」,「資産単位物品c(コード)」,「資産単位物品名称」,「取次年次c(コード)」,「資産台帳管理番号」,「数量」,「単位」,「帳簿原価」及び「記録事項」が記載されている。 これによれば,原告内部においては,本件火力発電設備を構成する個々の資産について,資産単位物品の単位で,その流用又は活用の可否が検討されていたものと認められる。 さらに,原告火力部運営グループが作成した「平成14年度チャレンジ「火力設備機器の活用・売却について」(第2回中間報告)」と題する平成14年6月14日付け書面(乙13)には,「廃止火力発電設備の活用・売却について,売却先の調査結果や社内活用の進捗状況等について中間報告する。」として,「火力センター管内事業所での活用は,火力センターで検討中である。他部門への活用については,「廃止火力設備機器一覧表」を作成し,検討を依頼する。(6/18正式依頼予定)」と記載されている。 これらの記載からも,原告は,本件火力発電設備を構成する個々の資産について,なおその資産本来の用法により事業の用に供することが可能であることを前提に,社内での活用を積極的に検討していたものと認められる。 なお,原告が作成した「石油火力発電所廃止に伴う税務上の取扱いについて(税務相談)」と題する平成14年2月28日付け書面(乙19別紙1。以下「本件照会文書」という。)にも,本件火力発電設備を構成する個々の資産は,本件火力発電設備の廃止後においてもなおその資産本来の用法により事業の用に供することが可能であることを前提にした記載がある。 このように,原告自身,本件火力発電設備を構成する個々の資産は,「有効活用」が可能であることを認めている。 (ウ)また, 来の用法により事業の用に供することが可能であることを前提にした記載がある。 このように,原告自身,本件火力発電設備を構成する個々の資産は,「有効活用」が可能であることを認めている。 (ウ)また,原告ζ火力発電所保修課においては,「ζ火力発電所6号設備流用品一覧」と題する表(乙14)を作成するなどして,ζ6号機を 構成する個々の資産について,原告の他の設備に流用した実績又はその予定を管理し,把握していた。 このように,原告は,本件各事業年度の当時,実際にも,本件火力発電設備を構成する個々の資産を他の発電設備に流用していたのである。 (エ)原告火力部運営グループは,平成14年4月19日ころ,γ火力発電所環境保安課長に対し,「廃止ユニットの設備劣化状況の調査について」と題する同日付け業務連絡・報告書(乙15)を送付しているが,この文書には,「廃止ユニットの有効活用方法について,種々の検討を行っていますが,今回,P10から廃止ユニットの設備・機器の購入を検討している旨,連絡があったことから,現状設備の劣化状況調査を行うこととしました。つきましては,現場調査の実施に協力をお願いいたします。」と記載されている。 これによれば,原告は,本件火力発電設備を構成する個々の資産について,なおその資産本来の用法により事業の用に供することが可能であることを前提に,その「有効活用方法」を検討していたところ,大手商社であるP10株式会社(以下「P10」という。)から,本件火力発電設備等を構成する設備・機器の購入を検討している旨の連絡を受け,同社による現場調査の実施に協力していたものであり,本件火力発電設備を構成する資産の有効活用の検討の一環として,外部の商社に対する売却の準備及び交渉を行っていたものと認められる。 (オ)また,原告火力部運営グループが作 施に協力していたものであり,本件火力発電設備を構成する資産の有効活用の検討の一環として,外部の商社に対する売却の準備及び交渉を行っていたものと認められる。 (オ)また,原告火力部運営グループが作成した前記の平成14年6月14日付け書面(乙13)には,「H14.4から売却先および売却の可 能性についての調査を,次の2社について実施中であり,機器等は中古品としての売却は可能との感触を得ている。」として,P10による現場調査及び打合せの状況,同じく大手商社であるP11株式会社(以下「P11」という。)との打合せ状況が記載されているほか,P12株式会社知多製造所による現場調査の状況等も報告されている。 このように,本件火力発電設備を構成する資産が,中古品としての売却が可能であると考えられる状況であったことに加え,P11との交渉については,「売却は下記を除き,ほとんど可能」と記載されており,今後の方針として,「売却メリット検討(鉄屑単価以上の売却益目標)」と記載されていること(乙13)からすれば,原告,P10及びP11の三者は,本件火力発電設備を構成する個々の資産は,単なる鉄屑として取り扱われるべきものではなく,なおその本来の用法に従って事業の用に供することが可能な状態であると認識していたものと認められる。 (カ)前記のとおり,電気事業会計規則14条に規定する電気事業固定資産の「除却」があったと認められるためには,当該電気事業固定資産が,もはやその本来の用法に従って事業の用に供される可能性が客観的にもないと認められるに至った場合であることを要するものと解される。 そして,以上検討したところによれば,原告は,本件火力発電設備を構成する個々の資産について,なおその本来の用法に従って事業の用に供することが可能な状態であることを前提に,原告の するものと解される。 そして,以上検討したところによれば,原告は,本件火力発電設備を構成する個々の資産について,なおその本来の用法に従って事業の用に供することが可能な状態であることを前提に,原告の他の発電設備への流用,他部門での流用,活用,更には外部への売却等を広くかつ積極的 に検討し,実際にもその一部を社内で流用していたものと認められる。 そうであるならば,本件火力発電設備を構成する個々の資産は,本件各事業年度末の時点では,実際に解体済みであったものを除き,いまだその本来の用法に従って事業の用に供する可能性がないと客観的に認められるような状態には至っていなかったものと認められるから,本件各事業年度において,電気事業会計規則14条に規定する「除却」があったということはできない。 したがって,原告が,本件各事業年度において,本件火力発電設備ごとに設備全体について一括して除却があったとして,その除却損を損金の額に算入したことは,公正処理基準に反するものであるから,法人税法上,このような除却損の損金算入は認められない。 キ原告による除却損計上額のうち損金の額に算入することができない金額(ア)前記のとおり,本件火力発電設備を構成する個々の資産は,本件各事業年度末の時点では,基本的には,いまだその本来の用法に従って事業の用に供する可能性がないと認められるような状態には至っていなかったものと客観的に認められるから,電気事業会計規則14条に規定する「除却」があったということはできない。しかし,以下に述べるとおり,これらの資産のうちには,本件各事業年度末の時点において,実際に解体済みであったものも含まれていることから,それらについては,除却があったものとして,除却損を計上すべきである。 また,本件火力発電設備を構成する個々の資産のうち,除却が 度末の時点において,実際に解体済みであったものも含まれていることから,それらについては,除却があったものとして,除却損を計上すべきである。 また,本件火力発電設備を構成する個々の資産のうち,除却があったとは認められず,除却損の計上が許されないものについては,それが現 に事業の用に供されていたと認められる限り,減価償却費を別途計上する必要がある(法人税法2条23号,法人税法施行令13条柱書きの括弧書き参照)。 本件各事業年度ごとの原告による除却損計上額のうち損金の額に算入することができない金額は,以下のとおりである。 (イ)平成14年3月期分平成14年3月期末の時点において,α1号機,γ5号機,γ6号機及びεLNG冷熱を構成する個々の資産のうち,実際に解体済みであったと認められるものは,甲第38号証別紙3-1及び2記載のとおりであり,これらに係る除却損の計上額は,合計2億9271万5968円である。 また,α1号機,γ5号機,γ6号機及びεLNG冷熱を構成する個々の資産のうち,除却があったとは認められず,除却損を計上すべきでないものについては,平成14年3月までは通常のメンテナンスが行われ,事業の用に供されていたものと認められるところ,それまでの減価償却費の金額及びその明細は,甲第38号証別紙4-1ないし29のとおりであり,その合計額は,4億8862万8846円である。 したがって,平成14年3月期確定申告書における除却損計上額43億5712万6591円のうち,同額から上記各金額を控除して算出された35億7578万1777円については,損金の額に算入することはできない。 (ウ)平成15年3月期分 平成15年3月期末の時点において,ζ6号機等を構成する個々の資産のうち,実際に解体済みであったと認められるものは,甲第39号証 損金の額に算入することはできない。 (ウ)平成15年3月期分 平成15年3月期末の時点において,ζ6号機等を構成する個々の資産のうち,実際に解体済みであったと認められるものは,甲第39号証別紙3-1及び2記載のとおりであり,これらに係る除却損の計上額は,合計6868万6578円である。 また,ζ6号機を構成する個々の資産のうち,除却があったとは認められず,除却損を計上すべきでないものについては,平成14年12月までは通常のメンテナンスが行われ,事業の用に供されていたものと認められるところ,それまでの減価償却費の金額及びその明細は,甲第38号証別紙4-1ないし9のとおりであり,その合計額は,1億1438万9316円である。 したがって,平成15年3月期確定申告書における除却損計上額20億4773万1952円のうち,同額から上記各金額を控除して算出された18億6465万6058円については,損金の額に算入することはできない。 ク本件各更正処分が法人税基本通達7-7-2に反するとの原告の主張が失当であること(ア)原告は,本件火力発電設備はそれぞれの廃止日において法人税基本通達(以下「法基通」という。)7-7-2に定められた有姿除却の要件を満たしており,本件火力発電設備に係る除却損は本件各事業年度における損金の額に算入されるべきであるから,これを否認した本件各更正処分は,重大な事実誤認及び法令の適用の誤りにより法令に違反する旨主張する。 (イ)しかしながら,前記のとおり,電気事業者の場合においては,かかる電気事業会計規則の規定が電気事業固定資産の除却に関する公正処理基準に該当するものと解すべきであり,法人税法上,電気事業固定資産の除却損を同法22条3項3号に規定する「損失」として計上するためには,当該除却損の計算が, が電気事業固定資産の除却に関する公正処理基準に該当するものと解すべきであり,法人税法上,電気事業固定資産の除却損を同法22条3項3号に規定する「損失」として計上するためには,当該除却損の計算が,電気事業会計規則の定めに従って行われたことを要するものと解するのが相当である。 また,本件各更正処分は,法基通7-7-2の定めに何ら反するものではないが,通達は,元来,法規の性質を持つものではないから,行政機関が通達の趣旨に反する処分をした場合においても,そのことが直ちに処分の適法性を左右するものではない。 (ウ)さらに,以下のとおり,本件各更正処分は,そもそも法基通7-7-2の定めに反するものではないから,この点においても原告の前記主張には理由がない。 すなわち,法基通7-7-2に定める「有姿除却」とは,使用を廃止した固定資産につき解撤,破砕,廃棄等を行っていない場合であっても,既に固定資産としての命数なり使用価値が尽きていることが明確なものについては,その現状有姿のまま除却処理をすることができるという意味であるとされている。そして,法基通7-7-2が,「次に掲げるような固定資産については」と規定していることからも明らかなように,法基通において有姿除却の対象となるのは,飽くまでも「固定資産」であり,これが有姿除却の対象となる資産の単位であることは,その規定上明白である。したがって,有姿除却の可否は,法人税法2条23号, 法人税法施行令13条の定める固定資産ごとに,法基通7-7-2(1)又は(2)の掲げる場合に当たるか否かを検討して判断すべきである。 これを本件についてみると,原告が有姿除却の要件を満たしたと主張する本件火力発電設備が,極めて多数の構築物,機械装置及び備品によって構成されていることは明らかである。したがって,本件火力発電 ある。 これを本件についてみると,原告が有姿除却の要件を満たしたと主張する本件火力発電設備が,極めて多数の構築物,機械装置及び備品によって構成されていることは明らかである。したがって,本件火力発電設備については,法基通7-7-2の適用上も,それらを構成する個々の資産ごとに有姿除却の可否を判定すべきである。 前述のとおり,原告は,本件火力発電設備を構成する個々の資産について,なおその本来の用法に従って事業の用に供することが可能な状態であることを前提に,原告の他の発電設備への流用,他部門での流用又は活用,更には外部への売却等を広くかつ積極的に検討し,実際にもその一部を流用していたものと認められる。そうであるならば,本件火力発電設備を構成する個々の資産は,本件各事業年度末の時点では,いまだ固定資産としての命数なり使用価値が尽きていたとは認められず,またそのことが明確になっていたとも認められないのであるから,法基通7-7-2(1)所定の「その使用を廃止し,今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないと認められる固定資産」に該当せず,この通達の定めによっても,有姿除却をすることはできないというべきである。 したがって,原告が,本件各事業年度において,本件火力発電設備ごとにその設備全体を一括して有姿除却があったとして,その除却損を損金の額に算入したのに対し,処分行政庁がこれを否認して本件各更正処分を行ったことは,何ら法基通7-7-2の定めに反するものではない。 ケ電気事業会計規則14条に規定する「除却」の意義(ア)ところで,確かに,電気事業会計規則14条に規定する「除却」の意義については,「解体,撤去(移設を含む。),破かい,等の自己の意志による具体的な物品の除去を伴うものと売却,現場廃棄,交換,贈与のごとく設備の除去を伴わないも 会計規則14条に規定する「除却」の意義については,「解体,撤去(移設を含む。),破かい,等の自己の意志による具体的な物品の除去を伴うものと売却,現場廃棄,交換,贈与のごとく設備の除去を伴わないもの,火災,盗難等の災害の場合のように自己の意志によらないものを含むが,要するに既存の施設場所におけるその物品としての固有の用途を廃止して電気事業固定資産から減額することを指すのである。」(通商産業省公益事業局編・電気事業会計規則の概要68頁)と解説され,あるいは,「固定資産の除却とは,既存の施設場所において資産としての固有の用途を廃止することであり,会計的には,固定資産勘定から減額することである。「除却」には,解体,撤去など自己の意思により資産の除去を伴うものや,現場放棄や土地の売却のように設備の除去を伴わないもの,台風,火災などの災害の場合のように,自己の意思によらないものがある。」(電気事業講座編集委員会編・電気事業の経理(平成9年版)106頁)と説明されている。 しかしながら,仮に,上記のように,電気事業会計規則14条所定の「除却」が,「既存の施設場所において資産としての固有の用途を廃止すること」を意味する概念であるとしても,以下に述べるとおり,同条は,そのような「除却」の事実により直ちに除却損を計上し得る旨を定めた規定ではないから,上記のように解説されている意味での「除却」があったからといって,当然に除却損の計上が認められるものではない。 (イ)すなわち,電気事業会計規則14条は,「(除却の場合における帳簿原価等の減額)」との見出しを付した上で,「電気事業固定資産を除却した場合は,当該除却物品に関する帳簿原価並びに工事費負担金及び減価償却累計額の金額をそれぞれの当該勘定から減額しなければならない。」と規定している。 このよ を付した上で,「電気事業固定資産を除却した場合は,当該除却物品に関する帳簿原価並びに工事費負担金及び減価償却累計額の金額をそれぞれの当該勘定から減額しなければならない。」と規定している。 このように,電気事業会計規則14条は,「電気事業固定資産を除却した」という要件に該当する場合において,電気事業固定資産勘定(同規則4条)に計上されている「当該除却物品に関する帳簿原価」等を「当該勘定から減額しなければならない。」という効果が生じることを定めた規定であると解される。 しかし,「除却」により当該除却物品に関する帳簿原価等を電気事業固定資産勘定から減額するということと,その減額された金額を他のいかなる勘定に振り替え,いかなる会計処理をするのかということとは,全くの別問題である。そして,電気事業会計規則14条が後者の問題について何も規定していないことはその文理上明らかであるところ,後記のとおり,この点については,同規則18条(除却物品に関する整理手続)等の規定が設けられている。 したがって,電気事業会計規則14条が「除却」の事実により直ちに除却損を計上すべき旨を定めた規定でないことは明白である。 (ウ)また,仮に,上記(ア)で引用した解説書のように,電気事業会計規則14条所定の「除却」の意義を「既存の施設場所において資産としての固有の用途を廃止すること」と解した場合には,例えば,電気事業固 定資産が,既存の施設場所から移設され,他の施設場所において使用されることになったというだけでも,同条所定の「除却」があったということになる(通商産業省公益事業局編・電気事業会計規則の概要68頁参照)。 これに対し,企業会計において通常用いられる意味での「除却」とは,「まだ使用に耐える固定資産について,将来にわたってその使用を廃止すること」をいい, 事業局編・電気事業会計規則の概要68頁参照)。 これに対し,企業会計において通常用いられる意味での「除却」とは,「まだ使用に耐える固定資産について,将来にわたってその使用を廃止すること」をいい,「その資産は事業に対する物的給付能力を失った」ことを意味するものとされているのであり,また,そのように解されているからこそ,「除却」があった場合には,当然に「その資産を貸借対照表から除去し,除却時の帳簿価額(除却価額)を除却損として計上しなければならない」とされているのである。そうである以上,ある固定資産が,既存の施設場所から移設され,他の施設場所において使用されることになったというだけでは,その資産の事業に対する物的給付能力は依然として失われていないのであるから,企業会計上,「除却」があったとは認められず,除却損の計上も到底認められないというべきである。 このように,上記解説書に記載された電気事業会計規則14条所定の「除却」の定義は,企業会計において通常用いられる意味での「除却」とは明らかに異なる内容の概念であるから,同条所定の「除却」があったからといって,必ずしも除却損を計上することができないのは,むしろ当然であると考えられる。 (エ)さらに,電気事業会計においては,「除却」された物品を再使用す る例が多いとされているところ,仮に,「除却」の事実によって直ちに除却損の計上が認められるとするならば,「除却」された物品は,たとえ「既存の施設場所」以外の場所で再使用される場合であっても,貸借対照表上の資産の部から除去されることになってしまう。 このことは,再使用される物品が簿外資産となることを意味しているのであるが,電気事業経営の基盤である会計整理を適正にし,その事業の現状を常に適確に把握し得るようにしておく必要があり,このためには適 このことは,再使用される物品が簿外資産となることを意味しているのであるが,電気事業経営の基盤である会計整理を適正にし,その事業の現状を常に適確に把握し得るようにしておく必要があり,このためには適正かつ統一的な会計制度を確立しておく必要があるとして電気事業法34条の委任により制定された電気事業会計規則が,上記のようにして恒常的に簿外資産を発生させる事態を容認しているとは到底解し得ない。 このような観点からも,電気事業会計規則が,「除却」の事実により直ちに除却損が計上されることを予定していないことは明らかである。 (オ)よって,電気事業固定資産について,「既存の施設場所において資産としての固有の用途を廃止すること」という意味での「除却」があったとしても,当該電気事業固定資産について除却損を計上し,これを損金の額に算入するためには,当該電気事業固定資産が,もはやその本来の用法に従って事業の用に供される可能性がないと客観的に認められるに至った場合であることを要するものと解すべきである。 コ電気事業会計規則18条等が定める除却物品に関する整理手続(ア)電気事業会計規則が,同規則14条の規定により減額すべきものとした帳簿原価等を他のいかなる勘定に振り替えるべきものとしているの かを検討すれば,次のとおりであり,この点からも,電気事業固定資産の除却損を計上し,これを損金の額に算入するためには,当該電気事業固定資産が,もはやその本来の用法に従って事業の用に供される可能性がないと客観的に認められるに至った場合であることを要することが裏付けられる。 (イ)電気事業会計規則18条は,その柱書きにおいて,「第14条及び前条の規定によつて減額した場合における当該除却物品に関する整理手続は,次の各号によつて行わなければならない。」と規定した上で,ま (イ)電気事業会計規則18条は,その柱書きにおいて,「第14条及び前条の規定によつて減額した場合における当該除却物品に関する整理手続は,次の各号によつて行わなければならない。」と規定した上で,まず,1号において,「物品帳簿原価からその工事費負担金の金額及び減価償却累計額の金額を控除した価額と当該物品が貯蔵品勘定その他の勘定へ振り替えられた場合における振替価額との差額を算出すること。」と規定している(以下,同号の規定により算出される金額を「物品差損」という。)。 電気事業会計規則18条1号の上記規定において,物品差損の算出の基礎となる「物品帳簿原価からその工事費負担金の金額及び減価償却累計額の金額を控除した価額」とは,除却時点における除却物品の帳簿価額(未償却残高)を意味するものである。そして,物品差損の算出に当たり,上記の帳簿価額(未償却残高)から控除されるべき「当該物品が貯蔵品勘定その他の勘定へ振り替えられた場合における振替価額」(電気事業会計規則18条1号)は,上記の帳簿価額を限度とした「適正な見積価額」とされている(同規則19条,31条1号)。 よって,物品差損とは,除却物品の除却時における帳簿価額と適正な 見積価額との差額であるといえる。 (ウ)他方,電気事業会計規則18条2号は,「工費帳簿原価からその工事費負担金の金額及び減価償却累計額の金額を控除した金額を算出すること。」(以下,当該規定により算出される金額を「旧工費差損」という。)と規定している。ここで,「工費帳簿原価」とは,「物品の取得に直接に要した工費の価額及び間接に要した価額の帳簿原価をいう。」(電気事業会計規則15条)とされている。 (エ)その上で,電気事業会計規則18条3号は,「前2号の合計額を固定資産除却費勘定へ振り替えること。ただし,当該除却が天 に要した価額の帳簿原価をいう。」(電気事業会計規則15条)とされている。 (エ)その上で,電気事業会計規則18条3号は,「前2号の合計額を固定資産除却費勘定へ振り替えること。ただし,当該除却が天災その他の不測の事由によって発生した電気事業固定資産の損害の整理を目的として行われた場合は,事業外費用勘定又は特別損失勘定へ振り替えること。」と定めている。 上記の「固定資産除却費勘定」及び「事業外費用勘定又は特別損失勘定」は,いずれも費用又は損失に係る勘定であることからすれば,電気事業会計規則18条3号は,電気事業固定資産の「除却」により電気事業固定資産勘定が減額された場合に,その減額分のうち,同条1号及び2号により算出された物品差損及び旧工費差損の金額の合計額を除却損として計上する趣旨の規定であるということができる。 (オ)上記(イ)のとおり,物品差損は,除却物品の除却時における帳簿価額と適正な見積価額との差額であるから,仮に,除却物品の「適正な見積価額」がその帳簿価額と同額であるならば,物品差損は0円となり,別途,旧工費差損が生じない限り,除却損の計上は認められないことに なる。 そして,電気事業会計規則19条,31条1号所定の「適正な見積価額」の意義については,「再使用可能な物品についてはその中古品の時価をいい,再使用不可能物品については,その屑化物品としての見積価額をいうとされている。もっとも,中古品の時価というものは,非常には握しがたいこと,さらには直接流用して引き続き電気事業の用に供される物品について,流用を機に特に帳簿価額を減額する理由は認められないことから,特に著しい減損が生じていない限り帳簿価額で振り替えるのが適当であろう。」(電気事業講座編集委員会編・電気事業の経理(昭和43年版)118,119頁)と解されてい 額する理由は認められないことから,特に著しい減損が生じていない限り帳簿価額で振り替えるのが適当であろう。」(電気事業講座編集委員会編・電気事業の経理(昭和43年版)118,119頁)と解されている。 上記の記載からも明らかなように,「再使用可能な物品」の場合には,「適正な見積価額」は,帳簿価額と同額になると解されているのであるから,この場合には,旧工費差損がなければ,除却損の計上は認められないことになる。 したがって,旧工費差損が生じていない限り,除却損の計上が認められるためには,「再使用不可能」な物品であることを要するものと解される。 (カ)以上のとおり,電気事業会計規則18条等が定める除却物品の整理手続によれば,同規則14条に規定する「除却」がされた電気事業固定資産については,旧工費差損が生じない限り,それが「再使用可能な物品」である場合には,除却損の計上は認められず,除却損の計上が認められるためには,当該電気事業固定資産が「再使用不可能」であること, すなわち,もはやその本来の用法に従って事業の用に供される可能性がないと客観的に認められるに至った場合であることを要するというべきである。 (2)原告の主張ア「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」としての電気事業会計規則電気事業会計規則は,「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」(法人税法22条4項)を構成するものである。しかし,このことは,「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」が電気事業会計規則の明文規定ないし文言のみであってそれらに尽きるということを意味するものではない。 なぜなら,電気事業会計規則1条4号は,「その他一般に公正妥当であると認められる会計の原則」により,その会計を整理するものと定めているが,この定めが存在することからして,電気事業 るものではない。 なぜなら,電気事業会計規則1条4号は,「その他一般に公正妥当であると認められる会計の原則」により,その会計を整理するものと定めているが,この定めが存在することからして,電気事業会計規則の明文規定ないし文言は,電気事業会計規則における公正処理基準を網羅的に定めているわけではないことがわかる。実際,電気事業会計規則は,電気事業者が,その会計を整理するに当たって採るべき方法を極めて詳細かつ精密に規定しているが,膨大な電気事業者の会計の中に生起する複雑多岐な現象をすべて一片の規則をもって律しきることはもとより不可能であり,規則の足らざるところはどうしても公正妥当なる解釈と運用をもって補っていかざるを得ないと一般に理解されている。 すなわち,電気事業者が従うべき会計基準とは,電気事業会計規則の明 文規定ないし文言に限定されるものではなく,電気事業における「その他一般に公正妥当であると認められる会計の原則」をも法令上当然に包含するものなのである。 イ電気事業会計規則の明文の規定についてまずは,電気事業固定資産の除却の実体的要件を定めた電気事業会計規則の明文規定の有無を検討する。 この点につき,被告は,電気事業会計規則の明文規定の文言を根拠として,個々の資産が本来の用法に従って事業の用に供する可能性がないと客観的に認められるような状態に至ったことが除却の要件であると主張する。 しかし,被告が挙げている電気事業会計規則の規定は,いずれも何ら除却の実体的要件を規定したものではなく,むしろ除却や減価償却がその実体的要件を満たして行われたことを前提として,ではいかなる記帳を行うべきかという具体的な会計処理における記帳の方法を規定したものにすぎないから,それらは,電気事業固定資産の除却の実体的要件とは無関係である。 電気事業会計規 ことを前提として,ではいかなる記帳を行うべきかという具体的な会計処理における記帳の方法を規定したものにすぎないから,それらは,電気事業固定資産の除却の実体的要件とは無関係である。 電気事業会計規則4条は,土地,建物,構築物,機械装置その他の資産を「電気事業固定資産勘定」に整理することを定めており,それを受けて,同規則6条1項は,電気事業固定資産勘定に整理される資産のことを「電気事業固定資産」という旨規定している。さらに,電気事業会計規則別表第一において,同資産の勘定項目には,「科目」と「項」とが設けられており,このうち「科目」は,水力発電設備や汽力発電設備など発電設備全体を,「項」は,土地,建物,構築物,機械装置などを指す単位としてそ れぞれ置かれている。 これらの規定,特に同規則6条1項が「電気事業固定資産」を「電気事業固定資産勘定に整理される資産」であると定めていることから明らかなとおり,「電気事業固定資産」という用語は,電気事業会計規則別表第一における,「項」における土地,建物,構築物,機械装置その他の資産を指す場合もあれば,「科目」における各発電設備(水力発電設備,汽力発電設備)を指す場合もある用語であると理解することができる。換言すると,「電気事業固定資産」の単位は「項」レベルの資産に限るとか,「科目」レベルの資産に限るとかいうように硬直的,一義的に定まっているものではない。「電気事業固定資産」といっても,それが意味するものは,あるいは条文の文脈により,あるいは適用場面により異なるのであって,それが必ず個々の物品を指すわけではない。 このことは,電気事業会計規則9条に「建設中の電気事業固定資産の試運転によって発生した電気の販売」という規定があることからも明らかである。ここにいう「電気事業固定資産」は,建設中の発電設備 はない。 このことは,電気事業会計規則9条に「建設中の電気事業固定資産の試運転によって発生した電気の販売」という規定があることからも明らかである。ここにいう「電気事業固定資産」は,建設中の発電設備全体を指していることは明白である。なぜなら個々の物品単体では発電という機能を果たすことはできないからである。 このように,電気事業会計規則にいう電気事業固定資産が一義的に個々の資産を指すという被告の条文解釈は誤りである。また,条文の文脈上電気事業固定資産が個々の資産を指す場合があったとしても,それらの条文は,いずれも除却の実体的要件とは無関係である。 電気事業会計規則14条では,「除却」という文言が用いられているが, この規定は,除却がその実体的要件を充足し,除却がされたことを前提として,それを受けて当該された除却に従い電気事業固定資産につきいかなる記帳をすべきかという会計技術的問題につき規定した条文であって,いかなる場合に除却が認められるかという除却の実体的要件の問題について規定したものではない。 電気事業会計規則3条及び別表第一は,電気事業固定資産の勘定科目の分類方法を定めたものにすぎず,これらは,除却の実体的要件や除却の対象となる資産単位とは何ら関係がない。 電気事業会計規則15条は,除却の際に減額すべき帳簿価額の内訳を定める規定である。そもそも,電気事業会計規則別表第一の備考欄に記載されているとおり,電気事業固定資産は,勘定科目の各項ごとに,物品帳簿原価と工費帳簿原価とに分けて整理すべきものとされている。その趣旨は,除却された物品本体の取得原価を基として貯蔵品その他勘定への振替えを行うことにより,除却された振替原価の中に工費相当価額が混入することを排除することにある。このように,同条は,除却の実体的要件を規定しているわけではない 得原価を基として貯蔵品その他勘定への振替えを行うことにより,除却された振替原価の中に工費相当価額が混入することを排除することにある。このように,同条は,除却の実体的要件を規定しているわけではないし,ましてや除却の対象となる資産単位とは何ら関係のない条文である。 電気事業会計規則11条は,減価償却の金額を個々の資産に適正に配付することによって,除却に際して物品差損又は貯蔵品への庫入価額,その他勘定への振替価額を正確に算定する趣旨で設けられている規定である。 かかる趣旨からすれば,同条にいう個々の資産が資産単位物品を指すとしても,それは至極当然である。しかし,そのことが電気事業固定資産の除 却は資産単位物品等の個々の資産について行うべきであるという根拠になるものではない。このことは,電気事業固定資産の減価償却については,個々の資産単位物品等の資産ごとにではなく,耐用年数を異にするが共通的な用途に用いられる多数の異種資産につき平均耐用年数を用いて一括的に償却計算を行う総合償却の方法が実務的に採られることが多く,かつ,かかる総合償却が電気事業会計において建前とされていることからも明らかである。 このように,電気事業会計規則14条を始めとする電気事業会計規則の定めは,いかなる記帳をすべきかという会計技術的問題について規定した条文にすぎず,電気事業会計上いかなる場合に除却が認められるかという除却の実体的要件につき規定したものでないことは明らかであって,除却の実体的要件は,上記の減価償却の場合と同様の理に従い,同規則1条4号にいう「その他一般に公正妥当であると認められる会計の原則」から導くほかないのである。 ウ電気事業における「その他一般に公正妥当であると認められる会計の原則」の下における電気事業固定資産の除却の実体的要件電気事業における 当であると認められる会計の原則」から導くほかないのである。 ウ電気事業における「その他一般に公正妥当であると認められる会計の原則」の下における電気事業固定資産の除却の実体的要件電気事業における「その他一般に公正妥当であると認められる会計の原則」の内容を示すものとして,電気事業会計に係る各種文献が重要であるところ,それら文献において,除却とは,「既存の施設場所におけるその物品としての固有の用途を廃止して電気事業固定資産から減額すること」(電気事業の経理(昭和43年版)115頁)又は「既存の施設場所において資産としての固有の用途を廃止すること」(電気事業の経理(平成9 年版)106頁)と説明されている。 なお,かかる説明においては,具体的な物品の廃棄又は除去を伴う除却と,有姿除却のように設備の除去を伴わない除却とは区別されず同様に記載されている。また,上記の各説明では,「物品」と「資産」という用語は同じ意味を有するものとして用いられており,かつ,「資産」とは電気事業固定資産を指すものと解される。 これらの説明から,電気事業固定資産の除却とは,「既存の施設場所におけるその電気事業固定資産としての固有の用途を廃止する」ことを意味するものであり,これが除却の実体的要件であるということができる。 上記除却の実体的要件を理解するに当たって,重要な文言は,①「既存の施設場所における」という文言,及び②「用途」という文言である。つまり,「既存の施設場所における」「用途」という文言が意味していることは,除却の実体的要件として廃止することが求められるのは,あくまでも「既存の施設場所における」電気事業固定資産としての固有の用途,つまり,「既存の施設場所」との関係での本来の使いみちである。すなわち,電気事業固定資産の「使いみち」は,あくまでも「既存の施 くまでも「既存の施設場所における」電気事業固定資産としての固有の用途,つまり,「既存の施設場所」との関係での本来の使いみちである。すなわち,電気事業固定資産の「使いみち」は,あくまでも「既存の施設場所」との関係で問題とされなければならない。このように解さなければ,除却の説明においてわざわざ「既存の施設場所における」という文言を無視して除却の実体的要件を解釈することは許されない。また,「用途」という文言の意義は,まさに文字どおり,使いみちという意味であって,それを用いる対象や目的と無関係な電気事業固定資産それ自体の客観的な使用可能性を意味するものではない。 このことの論理的帰結として,既存の施設場所やそこにおける固有の用途と無関係に存在し得る,ある電気事業固定資産のみを単独で取り出した場合のそれ自体の客観的な使用可能性といったことは,当該電気事業固定資産の除却の実体的要件充足の判断には全く関係がない。 そして,かかる電気事業固定資産の除却の実体的要件が充足されているかどうかはもっぱら事実認定に係る問題であるが,当該電気事業固定資産を取り巻く諸事情を総合的に考慮して,「既存の施設場所におけるその電気事業固定資産としての固有の用途を廃止」したと社会通念上認められるかどうか,という判断によるべきである。 これに対し,被告は,除却の実体的要件について,「電気事業固定資産が,もはやその本来の用法に従って事業の用に供される可能性がないと客観的に認められるに至った場合であることを要するものと解すべきである」と主張する。しかし,被告の上記主張は,①廃止されるべき電気事業固定資産の用途はあくまでも「既存の施設場所」との関係で問題とされなければならないこと,及び②「用途」すなわち「使いみち」はそれを用いる対象や目的と無関係な電気事業固定資産それ自 されるべき電気事業固定資産の用途はあくまでも「既存の施設場所」との関係で問題とされなければならないこと,及び②「用途」すなわち「使いみち」はそれを用いる対象や目的と無関係な電気事業固定資産それ自体の客観的な使用可能性を意味しないことをいずれも理由なく無視するものであって失当である。 エ本件火力発電設備の廃止への当てはめ(ア)本件で原告が有姿除却したのは,本件火力発電設備という電気事業固定資産にほかならない。本件火力発電設備の「施設場所」は,正に,α,γ及びζの各発電所並びにεLNGセンターである。本件火力発電設備の「固有の用途」は,いうまでもなく発電である。 本件火力発電設備が廃止されるということは,廃止以後は本件火力発電設備は発電という機能を二度と果たすことがないということを意味する。①昭和39年度以降41年間で,全国の電力会社により,本件火力発電設備と同種の発電設備が廃止された例が169件ある中で,廃止後再稼働された例はそれこそ1件もなく,また,②実際にも,廃止された本件火力発電設備が再稼働されることは,多大な費用,時間,手間等の制約要因にかんがみると,社会通念上あり得なかったものである。つまり,当該発電設備は,企業の財務上又は経営上,意味のある生産目的を達成することができない状態になったということである。 本件火力発電設備についていえば,本件火力発電設備がその廃止により発電という機能を二度と果たすことがなくなった以上,社会通念上,発電という本件火力発電設備の「既存の施設場所」における「固有の用途」は,完全に失われたのである。 したがって,本件火力発電設備については,「既存の施設場所におけるその電気事業固定資産としての固有の用途を廃止」することという有姿除却の要件が充足されているので,その除却は認められる。 (イ)仮 したがって,本件火力発電設備については,「既存の施設場所におけるその電気事業固定資産としての固有の用途を廃止」することという有姿除却の要件が充足されているので,その除却は認められる。 (イ)仮に,本件火力発電設備を構成する個々の物品について見た場合でも,それを構成する個々の物品の「既存の施設場所」におけるその物品としての「固有の」「用途」(本件火力発電設備を構成し,その構成部分として機能することを通じ,その施設場所たる本件火力発電設備の発電という機能を発揮させること)は,社会通念上,本件火力発電設備の廃止をもって廃止されたことになるので,除却の実体的要件を充足する 事実関係が認められることになるのである。したがって,本件火力発電設備を構成する個々の物品のすべてについても,電気事業における「その他一般に公正妥当であると認められる会計の原則」の下での除却の実体的要件が充足されている。これはそのような個々の物品の総体である本件火力発電設備につき除却の実体的要件が充足されているのと同じことである。 そうである以上,本件火力発電設備の廃止による有姿除却に基づく除却損の計上が会計上認められる。したがって,法人税法22条4項の「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」に従い,本件火力発電設備の有姿除却とそれに基づく除却損は税務上損金として認められる。 オ本件火力発電設備の除却の実体的要件が充足された時期について火力発電設備の廃止は,電気事業法上の電気工作物(発電用のもの)の出力変更に該当するため,電力会社が火力発電設備を廃止する場合には,同法9条1項に基づき,その旨を経済産業大臣に届け出ることが義務付けられており,届出をしなかった場合には罰則が科される。 すなわち,当該届出は,原告における当該火力発電設備の廃止が単なる会社内部の意思と 9条1項に基づき,その旨を経済産業大臣に届け出ることが義務付けられており,届出をしなかった場合には罰則が科される。 すなわち,当該届出は,原告における当該火力発電設備の廃止が単なる会社内部の意思としてされただけのものではなく,その廃止が対外的かつ客観的なものであることを示しているのである。前記のとおり,廃止された本件火力発電設備と同種の火力発電設備が再稼働された例はこれまで全国で1件も存在せず,また,本件火力発電設備の再稼働の可能性は社会通念上存在しなかったのである。このことから分かるように,電力会社によるこの廃止届の提出は,届出書記載の廃止日をもって廃止火力発電設備が 以後発電の用に供することがないという会社の決定を対外的に表明する行為であり,当該廃止火力発電設備が以後発電の用に供されることがないことが客観的に明らかになった証左と解するべきである。 したがって,本件火力発電設備の廃止に係る「電気工作物変更届出書」を提出したという事実は,当該届出書記載の廃止日をもって,本件火力発電設備の発電という「既存の施設場所」における「固有の用途」が完全に失われたことを示すものである。 電気事業会計規則取扱要領5項は,電気事業固定資産の建設により取得した資産が「電気事業固定資産」となる時は,電気事業法上の使用前検査を受けるべきものについては,その使用前検査の合格日であることを規定する。このことは,電気事業会計規則上の「電気事業固定資産」該当性が,会計とは関係のない電気事業法という規制行政法及びそれに基づく使用前検査の合格認定という監督官庁の規制行政上の行為によってのみ決定されていることを意味する。「電気事業固定資産」の「誕生」がそのように判断される以上,「電気事業固定資産」のいわば「終焉」である設備の廃止に伴う除却の実体的要件についても,そ の行為によってのみ決定されていることを意味する。「電気事業固定資産」の「誕生」がそのように判断される以上,「電気事業固定資産」のいわば「終焉」である設備の廃止に伴う除却の実体的要件についても,そのような「電気工作物変更届出書」を提出したという事実が,除却の実体的要件が充足されているか否かを判断するために重要な要素となると解すべきである。 よって,かかる届出書記載の廃止日をもって,当該火力発電設備を構成する電気事業固定資産は電気事業固定資産でなくなった,つまり除却されたものと解すべきである。 カ原告は,流用する見込みの物品については,そもそも除却損を計上しな い処理を行ったものであること原告は,本件火力発電設備を廃止するに際し,これを構成する個々の物品については,①他の発電所へ流用する見込みの物品については,廃止時の帳簿価額,②発電設備の全面撤去後に社外へスクラップとして売却する見込みの物品についてはスクラップ価額として,それぞれその評価価額を算定し,当該額と帳簿価額との差額を除却損として計上した。 前記のとおり,除却後に個々の物品につき流用の事実又はその可能性があったという事実は,そもそも除却の適否に何ら影響を与えるものではない。原告は,これに加えて,除却損の計上については上記のように自発的に「謙抑的」な処理の方針を採っていたものである。このような判断過程を経た末に原告が最終的に計上した除却損の計上が否定されるべきいわれはない。 キ廃止後個々の資産単位で流用可能なものが大半であるかのような被告の主張は誤りであること前記のとおり,除却された資産の再使用や流用の可能性を主張することはそもそも主張自体失当であるが,そのことをひとまずおいても,廃止後個々の資産単位で流用可能なものが大半であるかのような被告の主張は,全くの誤りであ 却された資産の再使用や流用の可能性を主張することはそもそも主張自体失当であるが,そのことをひとまずおいても,廃止後個々の資産単位で流用可能なものが大半であるかのような被告の主張は,全くの誤りである。 原告においては,部門長や支店長が,「チャレンジ性の高い目標」を達成することを目的として,翌年度に各部門,支店等としてチャレンジする目標を,経営トップ層と意見交換の上設定し,翌年度にその結果を報告するという活動が行われていた。その活動の中で設定する目標は,まさしく 「挑戦」すべきものであり,目標設定時点では,単なるアイデアであっても構わず,必ずしも実現が可能であるかを考慮する必要はない。 原告の火力部長は,平成14年度のチャレンジ目標として,「新規事業分野への積極的な取組み」を設定し,その中の1項目として「経年火力設備機器の売却」を挙げた。しかし,原告においては,これまで,スクラップ以外の方法で火力設備機器を売却したことはほとんどなく,また当該目標を設定した時点では売却に関する具体的な計画やめどはなかった上,火力発電設備の使用可能性に着目した売却は非常に困難であると認識していたのであるから,当該目標は正しくチャレンジングなものであった。 結局のところ,原告の火力部が平成14年のチャレンジ目標として行った検討活動からは,売却という成果はなく,結果として「部品」程度の単位において,本件火力発電設備から他の発電所等へのわずかな品目の流用があったにすぎず,チャレンジ目標の当該項目については,ほとんど成果がなかった。 ク本件において,電気事業会計規則上の「除却」と通常の企業会計上の「除却」の比較を持ち出すことがそもそも論理矛盾であること被告は,電気事業会計規則の各規定が,電気事業固定資産の除却に関する「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準 の「除却」と通常の企業会計上の「除却」の比較を持ち出すことがそもそも論理矛盾であること被告は,電気事業会計規則の各規定が,電気事業固定資産の除却に関する「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」を構成すると主張してきたものであり,本件における「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」の内容として,通常の企業会計上の基準なるものを主張したことはなかった。 しかしながら,被告は,その後,「企業会計において通常用いられる意 味での「除却」」という表現を用い,初めて通常の企業会計の基準なるものを持ち出した。そして,かかる通常の企業会計の基準に基づいた場合,会計上は,本件火力発電設備の除却については除却は認められず除却損を計上できないという結論を導いている,そして,かかる結論を前提に,それと同様の会計上の結論を電気事業会計規則に基づく除却の場合にも導くため,電気事業会計規則上の除却については別途「除却損の計上」の要件を満たすことが必要と解すべきであると主張するに至っている(以下,この主張を「被告の新主張」という。)。 しかし,被告のこれまでの立場のように,電気事業会計規則の各規定が,電気事業固定資産の除却に関する「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」を構成するというのであれば,「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」の解釈論として,電気事業会計規則と区別して,通常の企業会計の基準を持ち出す必要などそもそもなく,端的に,電気事業会計規則上の除却についてのみ検討すればよいはずである。 結局のところ,被告の主張は,「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」という概念につき,それが電気事業会計規則を意味すると解しているのか,それとも通常の企業会計の基準を意味すると解しているのか,という基本的な点について,全く論理的な一貫性を欠い れる会計処理の基準」という概念につき,それが電気事業会計規則を意味すると解しているのか,それとも通常の企業会計の基準を意味すると解しているのか,という基本的な点について,全く論理的な一貫性を欠いているという致命的な欠陥を有するものである。 ケ被告の新主張は,租税法の解釈として成り立たないこと一般に,租税法上,ある取引の租税法上の効果を判断するプロセスは,①まず,当該取引が所得又は損失を実現させる実現事由を構成するか否か を判断し,②当該取引が実現事由を構成する場合は,原則として当該実現した所得又は損失は認識されるのであるが,かかる認識を例外的に繰り延べる規定があるか否かを判断し,③そのような例外的規定がなく,当該取引により所得又は損失が実現しかつ認識される場合には,当該所得又は損失の具体的な金額を計算する,というものである。 電気事業会計規則上のものであれ,通常の企業会計上のものであれ,除却についても同様の理が妥当する。 被告の新主張からは必ずしも明らかではないが,被告も,電気事業会計規則上のものであれ,通常の企業会計上のものであれ,除却が租税法上の損失の実現事由であることは争わないものと思われる。 除却が損失の実現事由である以上,また,上記②については,除却により実現した損失の認識を繰り延べるような例外的規定で本件に適用されるべき租税法の規定はない以上,上記③のとおり,後は除却損の額を計算するという過程が問題となるのみである。そして,電気事業会計規則上の除却についていうと,かかる除却損の額の計算方法を規定しているのが,電気事業会計規則18条である。つまり,かかる計算においては,電気事業会計規則18条に従い,物品帳簿原価からその工事費負担金の金額及び減価償却累計額の金額を控除した価額から当該物品が貯蔵品その他の勘定へ振り替え 則18条である。つまり,かかる計算においては,電気事業会計規則18条に従い,物品帳簿原価からその工事費負担金の金額及び減価償却累計額の金額を控除した価額から当該物品が貯蔵品その他の勘定へ振り替えられた場合における「適正な見積価額」を控除した価額である物品差損と,工費帳簿価額からその工事費負担金の金額及び減価償却累計額の金額を控除した価額である旧工費差損の合計額を,除却損として計上すべきことになる。 しかるに,被告は,除却損の計上につき,「もはやその本来の用法に従って事業の用に供される可能性がないと客観的に認められるに至った場合であること」という要件が充足されない限り,除却損の計上は認められないと主張している。 しかしながら,かかる被告の新主張の租税法上の位置付けは必ずしも明らかではなく,仮に,その趣旨が,除却損が実現し認識される場合であっても,「もはやその本来の用法に従って事業の用に供される可能性がないと客観的に認められるに至った場合であること」という別個独立の要件が充足されない限り,除却損の計上は認められない,というものであるとすれば,上記のとおり,除却損の計上というプロセスは,電気事業会計規則18条に従い除却損の金額を計算するというプロセスにすぎず,そこには「もはやその本来の用法に従って事業の用に供される可能性がない」などという実体的な「要件」を観念する余地はないのであるから,被告の主張は誤りというほかない。 このように,被告の新主張は,税法上確立された,実現しかつ認識された損失の額を算出するための理論的な分析と相容れず,租税法の解釈として成り立たないのであって,失当である。 コ「再使用可能性」に関する被告主張の誤りについて除却損の計上の段階においては,いったん除却の要件が充足されたと認められる以上は,除却損は実現しか 解釈として成り立たないのであって,失当である。 コ「再使用可能性」に関する被告主張の誤りについて除却損の計上の段階においては,いったん除却の要件が充足されたと認められる以上は,除却損は実現しかつ認識されるのであるから,専ら除却損の額の計算のみが問題となる。かかる除却損の計算につき,重要な数額は,物品差損の計算の前提であるところの当該資産の「適正な見積価額」 (電気事業会計規則19条,31条1号)である。 この点について,被告は,本件火力発電設備及びこれを構成する個々の資産は,もはやその本来の用法に従って事業の用に供される可能性がないと客観的に認められるに至った場合であるとは認められず,再使用可能な物品に当たるから,その適正な見積価額は帳簿価額となるので,除却損を計上することができない旨主張する。 しかしながら,本件火力発電設備を構成する各物品について原告が行った再使用可能性の判断が社会通念上不合理であったことをうかがわせる事情はない。すなわち,原告は,本件火力発電設備を廃止するに際し,これを構成する個々の物品については,①他の発電所へ流用する見込みの物品(流用見込品。原告はこれを「甲品」と呼んでいる。)については廃止時の帳簿価額,②発電設備の全面撤去後に社外にスクラップとして売却する見込みの物品(スクラップ見込品。原告はこれを「乙品」と呼んでいる。)についてはスクラップ価額としてそれぞれの評価価額を算定し,当該額と帳簿価額との差額を除却損として計上した。すなわち,原告は,電気事業に特殊かつ専門的な電気事業者の事業上又は経営上の観点からの総合判断の結果として,甲品については再使用可能性が肯定できたため,他の発電所への流用を前提としていることから,「適正な見積価格」を帳簿価額とした上で,除却損の計上を行っていない。他方,原告は, の総合判断の結果として,甲品については再使用可能性が肯定できたため,他の発電所への流用を前提としていることから,「適正な見積価格」を帳簿価額とした上で,除却損の計上を行っていない。他方,原告は,そのような総合判断の結果として,乙品の「適正な見積価格」をスクラップ価額として評価した上で除却損を計上したのである。 被告は,上記のとおり合理的であると認められる原告の甲品又は乙品の 判断,すなわち再使用可能性の判断を覆すに足りるような,すなわち,本件火力発電設備を構成する個々の物品(実際に解体済みであったものを除く。)すべてにつき再使用可能性を認定するに足りるような事実関係の主張立証は行っていない。よって,本件火力発電設備を構成する各物品(実際に解体済みであったものを除く。)のすべてにつき再使用可能性が認められるのであるから,その「適正な見積価格」は帳簿価額となるので除却損は計上することができないという被告の主張には理由がない。原告がその合理的な判断に基づき社会通念上再使用可能性がないと判断した乙品については,「適正な見積価格」はスクラップ価額となり,除却損の計上が認められるのである。 なお,被告は,本件火力発電設備を構成する個々の資産について,旧工費差損が生じていたことを示す証拠はないと主張しているが,これは誤りであり,本件各更正処分により損金不算入とされた本件火力発電設備の有姿除却に係る除却損のうち,旧工費差損の価額は,平成14年3月期については13億5287万6197円,平成15年3月期については6億8048万7201円である。 本件各更正処分は信義則に反する違法なものというべきか。 (1)原告の主張ア原告は,本件火力発電設備の有姿除却に先立って,平成14年3月6日及び同月11日の2度にわたり,廃止対象発電設備の有姿除却 件各更正処分は信義則に反する違法なものというべきか。 (1)原告の主張ア原告は,本件火力発電設備の有姿除却に先立って,平成14年3月6日及び同月11日の2度にわたり,廃止対象発電設備の有姿除却による除却損の損金算入の可否の確認を目的として,名古屋国税局調査審理課に事前照会を行った。同照会において原告は,設備廃止時の処置として,発電機 遮断器の解放(発電機と送電線を電気的に切り離すこと。),電源オフ,操作ロックに加えて,発電機遮断器の操作電源の配線を切断することを説明し,同年3月20日に同課より「法基通7-7-2の有姿除却が認められる範ちゅうである」旨の回答を得た。 さらに,同照会の際,原告は,「廃止時において社外へ売却すると見込んでいた物品が社内で流用することになった場合は,流用時に当初処分見込価額(括弧内省略)と廃止時の帳簿価額との差額を収益計上(括弧内省略)することを考えております。」と記載した書面を同課に提出した。これに対し同課は,平成14年3月20日,本件火力発電設備が廃止された場合,「発電設備」単位で有姿除却通達に基づいた除却を認める旨の回答をした。原告から上記書面を受領していた以上,同課が本件火力発電設備を構成する機器又は部品の流用を認識した上でこの回答をしたことは明らかである。また,このとき同課は,本件火力発電設備を構成する個々の資産単位で除却の可能性の可否を判断するなどとは回答の中で一切述べていなかった。 原告は,原処分庁の上位組織である名古屋国税局調査審理課の上記回答を信頼して,本件火力発電設備を廃止し,除却損を計上し,それを損金算入した。このように,本件で同課がいったんは本件火力発電設備について有姿除却を認める旨の回答をしておきながら,原処分庁が後になってこれを認めずに本件各更正処分をするに至ったもので 上し,それを損金算入した。このように,本件で同課がいったんは本件火力発電設備について有姿除却を認める旨の回答をしておきながら,原処分庁が後になってこれを認めずに本件各更正処分をするに至ったものであり,かかる更正処分は信義則に反し違法であるから,取消しを免れない。 イ被告は,本件照会において,名古屋国税局調査審理課が発電設備単位で 有姿除却を認める旨の回答をしたことを全く事実に反するものであると主張して,その主張に沿う同課連絡調査官P13(肩書は当時のもの。以下「P13調査官」という。)の陳述書(乙19)を援用する。 しかしながら,同陳述書の内容は,現実にP13調査官が採った対応と全く異なっており,単に被告に都合の良い点のみをつなぎあわせたものであって,極めて不正確な内容といわざるを得ない。実際にP13調査官が採った対応は,原告の主張する有姿除却の実体的要件を踏まえた的確な指導及び回答であったのであり,この点に関する被告の主張は不正確な事実関係に基づく明白な誤りを多々含んでいる。 (2)被告の主張ア原告からの照会及びこれに対する名古屋国税局担当者の回答の経緯は,次のとおりである。 (ア)名古屋国税局調査部調査審理課のP14主査及びP13調査官は,平成14年3月初めころ,同局7階の同課打合せコーナーにおいて,原告経理部決算グループのP15副長らより,本件照会文書(甲41の2枚目,乙19別紙1)を交付され,本件照会文書に記載された石油火力発電設備の廃止に伴う税務上の取扱いについて,照会を受けた。 (イ)また,後日,P13調査官は,同課打合せコーナーにおいて,P15副長らより,「石油火力発電設備廃止に伴う手続き等について」と題する書面(甲42の2枚目,乙19別紙2。以下「本件説明文書」という。)を交付され,本件説明文書に記載さ 打合せコーナーにおいて,P15副長らより,「石油火力発電設備廃止に伴う手続き等について」と題する書面(甲42の2枚目,乙19別紙2。以下「本件説明文書」という。)を交付され,本件説明文書に記載された事項の説明を受けた。 (ウ)P13調査官は,前記(ア)の照会から約2週間後のころ,P15副 長に対し,本件照会文書記載の照会事項について,電話で回答した。 その際,P13調査官は,照会者の提出文書(本件照会文書及び本件説明文書)と説明を前提とすれば,法基通で規定している有姿除却に該当するものとして取り扱って差し支えない旨,及び控除する処分見込価額の算定については,①他の発電所へ発電設備として流用する物品については,照会者意見のとおり,廃止時の帳簿価額として差し支えないが,②社外へ売却するもの及び展示品,教育訓練設備等として流用する物品については,スクラップ価額ではなく帳簿価額とすべきである旨を回答した。 イこのように,P13調査官は,飽くまでも本件照会文書及び本件説明文書の記載並びにP15副長らの説明を前提に,本件照会文書記載の照会事項について回答したものである。 そして,P13調査官は,上記回答に際し,除却処理をするということは,当然,発電設備の中に使用可能なものがあれば,その使用可能な資産を除いたところの,全く使用価値がなく,かつ,今後一切使用しない資産に限って行うものと理解していた(乙19)。 また,そうである以上,P13調査官が,前記のとおり,法基通で規定している有姿除却に該当するものとして取り扱って差し支えない旨回答したことについても,本件説明文書の「廃止した設備は,保管処置を実施しないため,すぐに腐食し使用することはできなくなります。」との記載を前提とする限り,「すぐに腐食し使用することはできなくなる」物品に関しては, ても,本件説明文書の「廃止した設備は,保管処置を実施しないため,すぐに腐食し使用することはできなくなります。」との記載を前提とする限り,「すぐに腐食し使用することはできなくなる」物品に関しては,将来活用し,又は流用することができず,今後通常の方法により 事業の用に供する可能性がなく,法基通7-7-2(1)の要件を満たすと考えられるという趣旨を回答したものと理解すべきであり,上記回答の内容には,これと前提が異なる場合まで含まれるものではない。 原告の主張する回答内容は,全く事実に反するものであって,原告の信義則違反の主張は,その前提となる事実を欠くといわざるを得ない。 ウ信義則の法理の適用の是非を検討する基礎を欠くこと(ア)最高裁昭和62年10月30日第三小法廷判決(裁判集民事152号93頁)は,「租税法規に適合する課税処分について,法の一般原理である信義則の法理の適用により,右課税処分を違法なものとして取り消すことができる場合があるとしても,法律による行政の原理なかんずく租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係においては,右法理の適用については慎重でなければならず,租税法規の適用における納税者間の平等,公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合に,初めて右法理の適用の是非を考えるべきものである。そして,右特別の事情が存するかどうかの判断に当たっては,少なくとも,税務官庁が納税者に対し信頼の対象となる公的見解を表示したことにより,納税者がその表示を信頼しその信頼に基づいて行動したところ,のちに右表示に反する課税処分が行われ,そのために納税者が経済的不利益を受けることになったものであるかどうか,また,納税者が税務官庁の右表示 税者がその表示を信頼しその信頼に基づいて行動したところ,のちに右表示に反する課税処分が行われ,そのために納税者が経済的不利益を受けることになったものであるかどうか,また,納税者が税務官庁の右表示を信頼しその信頼に基づいて行動したことについて納税者の責めに帰すべき事由がないかどうかという点の考慮は不 可欠のものであるといわなければならない。」と判示している。 このように,同判決は,租税法規に適合する課税処分に対する信義則の法理の適用については,「租税法規の適用における納税者間の平等,公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合に,初めて」その適用の是非を考えるべきものであるとしている。また,同判決が掲げている事項,すなわち,①税務官庁が納税者に対し信頼の対象となる公的見解を表示したこと,②納税者がその表示を信頼しその信頼に基づいて行動したこと,③後に上記表示に反する課税処分が行われ,そのために納税者が経済的不利益を受けることになったこと,④納税者が税務官庁の上記表示を信頼し, その信頼に基づいて行動したことについて納税者の責めに帰すべき事由がないことは,上記特別の事情が存するというために必要な判断事項として考慮されなければならないものとされ,これが信義則の法理の適用の十分条件とされたものではない。したがって,判示の諸点が充足されるだけで直ちに信義則の法理の適用が認められるものと解されてはならない。 (イ)前記(ア)において述べた信義則の法理の適用の前提として考慮されるべき事項のうち,①税務官庁による信頼の対象となる公的見解の表示については,租税職員の見解の表示がすべて信頼の対象となるのではなく,原則として,一定の責任ある立場の者の の適用の前提として考慮されるべき事項のうち,①税務官庁による信頼の対象となる公的見解の表示については,租税職員の見解の表示がすべて信頼の対象となるのではなく,原則として,一定の責任ある立場の者の正式の見解の表示のみが信頼の対象となると解すべきである。例えば,税務当局が行う税務相談は,専ら行政サービスの一環として納税者のため税法の解釈,運用又は申告 手続等についてその相談に応ずるもので,具体的な課税処分とは関わりがないから,その意味で,ここにいう公的見解の表示に当たらないと解されている。 これを本件についてみると,P13調査官が原告からの照会に対して電話で回答を行ったことは,税務相談における口頭での助言にほかならないのであるから,これをもって一定の責任ある立場の者の正式の見解の表示であるということはできない。 そうであれば,仮に,P13調査官が原告の主張するような回答を行ったことを前提としても,本件において,税務官庁が原告に対し信頼の対象となる公的見解を表示したということはできない。 (ウ)また,前記(ア)のとおり,信義則の法理の適用の是非を検討するためには,単に納税者が税務官庁による公的見解の表示を信頼したというだけでは,合法性の原則を犠牲にしてまで納税者の利益を保護する理由はなく,その信頼に基づいて何らかの行動をしたことが必要であるが,誤った表示に従って申告をすること,あるいは申告をしないことは,ここにいう行動に含まれないと解すべきである。 これを本件についてみると,前記イのとおり,P13調査官は,「本件火力発電設備が廃止された場合,「発電設備」単位で有姿除却通達に基づいた除却を認める旨の回答」を行ってはいないのであるから,原告がこれを信頼したということもできない。 また,仮に,P13調査官が原告の主張するような回答を行った ,「発電設備」単位で有姿除却通達に基づいた除却を認める旨の回答」を行ってはいないのであるから,原告がこれを信頼したということもできない。 また,仮に,P13調査官が原告の主張するような回答を行ったと仮定しても,原告が,その回答を信頼し,その信頼に基づいて本件火力発 電設備を廃止した(換言すれば,上記回答がなければ本件火力発電設備を廃止していなかった)とは認められず,そのほかに,原告が上記信頼に基づいて何らかの保護に値する行動をしたという事情は認められない。 (エ)これらに加え,本件では,原告が,本件各更正処分を受けたことにより,何らかの経済的不利益を受けたものとは認められない。 なお,本件各更正処分により新たに納付すべき税額は,それが本来納付すべきものである以上,ここにいう経済的不利益に当たらないことは明らかである。 (オ)以上によれば,その余の点について検討するまでもなく,本件は,そもそも信義則の法理を適用すべきか否かを検討する基礎を欠くというべきであるから,信義則違反をいう原告の主張が失当であることは明らかである。 本件各賦課決定処分について通則法65条4項所定の正当な理由があるか。 (1)原告の主張ア「正当な理由」すなわち,過少申告が真にやむを得ない理由によるものであり,過少申告加算税を賦課することが不当又は酷になる場合に当たるかどうかの判断は,結局諸事情を総合的に勘案して個別具体的に決するほかはない。 そして,一般的に,税務職員による誤指導があった場合には,「正当な理由」があると認められる。 イ前記2で述べたとおり,P13調査官による前記回答に当たっては,発電設備全体を判定単位とすることが当然の前提とされていたことは明らか である。 そして,本件では,処分庁の上位組織が,発電設備全体を判定単位とすることを 13調査官による前記回答に当たっては,発電設備全体を判定単位とすることが当然の前提とされていたことは明らか である。 そして,本件では,処分庁の上位組織が,発電設備全体を判定単位とすることを当然の前提として,有姿除却が認められる旨の本件回答を行い,原告はかかる回答に従い,有姿除却を行っている。 ウ原告は,P13調査官の回答を信頼し,本件火力発電設備の有姿除却が認められるものと確信して有姿除却を行ったものであり,またそう信じたことに原告の責めに帰すべき事由はないから,その信頼は保護されなければならない。とりわけ,本件では,法令によって明確に定められていない事項が問題となっており,正にその点につき回答がされているのであるから,原告は本件回答に依拠せざるを得なかったのであって,その信頼を保護する必要性が特に高い。 したがって,本件では,過少申告が真にやむを得ない理由によるものであり,過少申告加算税を賦課することが不当又は酷になる場合に当たるということができるから,「正当な理由」が認められ,本件各賦課決定処分は違法である。 (2)被告の主張ア過少申告加算税は,過少申告による納税義務違反の事実があれば,原則としてその違反者に対し課されるものであり,これによって,当初から適法に申告し納税した納税者との間の客観的不公平の実質的な是正を図るとともに,過少申告による納税義務違反の発生を防止し,適正な申告納税の実現を図り,もって納税の実をあげようとする行政上の措置である。このような過少申告加算税の趣旨に照らせば,通則法65条4項にいう「正当 な理由があると認められる」場合とは,真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり,上記のような過少申告加算税の趣旨に照らしても,なお,納税者に過少申告加算税を課することが不当又は酷になる 理由があると認められる」場合とは,真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり,上記のような過少申告加算税の趣旨に照らしても,なお,納税者に過少申告加算税を課することが不当又は酷になる場合をいうものと解するのが相当である。 イこれを本件についてみると,そもそも税務相談における回答は課税庁の公的見解を示すものとはいえない上に,原告の照会に対し,P13調査官が「本件火力発電設備が廃止された場合,「発電設備」単位で有姿除却通達に基づいた除却を認める旨の回答をした」事実は全くない。 また,本訴において被告が主張する法令の解釈は,いずれも電気事業会計規則等の関係法令の規定や関連する文献から容易に導かれるものであり,これらを熟知しているはずの原告が,本件各事業年度の確定申告において,発電設備ごとの単位で有姿除却があったとして本件火力発電設備に係る除却損を計上し,過少申告を行ったのは,結局のところ,原告側の主観的事情,すなわち法の不知や解釈の誤りによるものというほかない。 したがって,原告の上記過少申告に,真に原告の責めに帰することのできない客観的な事情があると認められないことは明らかであり,また,本件が,上記のような過少申告加算税の趣旨に照らしても,なお原告に過少申告加算税を課することが不当又は酷になる場合に当たるとは到底認められない。 よって,原告の上記過少申告に「正当な理由がある」とは認められないから,本件各賦課決定処分は適法である。 以上

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