- 1 -主文 本件訴えのうち,原告らが被告に対して,Aに対する1万円及びこれに対する被告のAに対する請求日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払請求の義務付けを求める部分を却下する。 原告らのその余の請求を棄却する。 訴訟費用は,原告らの負担とする。 事実 及び理由第1請求被告は,別紙「費用弁償一覧表」の「議員名」欄記載の各人に対し,同表の「合計」欄記載の各金員及びこれに対する被告の同各人に対する請求日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求める請求をせよ。 第2事案の概要本件は,地方自治法が規定する常任委員会,議会運営委員会及び特別委員会(以下「法定委員会」という。)以外の委員会又は会議に出席した県議会議員に対して,兵庫県が費用弁償を行ったことは,条例に基づくものであったとしても違法であるとして,兵庫県の住民である原告らが,兵庫県知事である被告に対し,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,費用弁償を受けた各議員に対する,不当利得額(費用弁償を受けた額)及びこれに対する被告の同各議員に対する将来の不当利得の返還請求の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払請求の義務付けを求めている事案である。 法令等の定め(1)地方自治法ア(ア)地方自治法203条1項は,「普通地方公共団体は,その議会の議員・・・に対し,報酬を支給しなければならない。」旨規定している。 (イ)同条3項は,「第1項の者は,職務を行うため要する費用の弁償を受けることができる。」旨規定している。 - 2 -(ウ)同条5項は,「報酬,費用弁償及び期末手当の額並びにその支給方法は,条例でこれを定めなければならない。」旨規定している。 イ地方自治法204条の2は,「普通地方公共団 している。 - 2 -(ウ)同条5項は,「報酬,費用弁償及び期末手当の額並びにその支給方法は,条例でこれを定めなければならない。」旨規定している。 イ地方自治法204条の2は,「普通地方公共団体は,いかなる給与その他の給付も法律又はこれに基づく条例に基かずには,これを第203条第1項の職員・・・に支給することができない。」旨規定している。 (2)兵庫県条例(甲34,乙1,2)ア(ア)兵庫県において地方自治法203条5項に基づき制定された「議会の議員の報酬及び費用弁償等に関する条例」(昭和35年条例第55号。 以下「本件条例」という。)1条は,「この条例は,議会の議員(以下「議員」という。)の報酬,費用弁償及び期末手当の支給に関して必要な事項を定めるものとする。」旨規定している。 (イ)a本件条例3条1項は,「議員が招集に応じ,若しくは委員会に出席するため旅行したとき又は公務のため旅行したときは,費用弁償として旅費を支給する。」旨規定している。 b同条4項は,「第1項の旅行が招集に応じるための旅行である場合においては,第2項の旅費に代え,本会議に出席した日1日につき別表に掲げる議員の居住地の区分に応じて定める招集交通費を旅費として支給する。」旨規定している。なお,別表に掲げられた招集交通費は,2500円から1万9000円まで12区分されている。 c同条5項は,「前項の場合において,議員が本会議の議案審議の準備等のために招集地に宿泊したときは,宿泊料を支給する。この場合において,本会議開催日に宿泊したときは,その翌日の招集交通費は支給しない。」旨規定している。 d同条6項は,「議員が委員会又は議長の招請に応じて議会の運営に必要な会議に出席するための旅行をする場合の旅費については,前2項の規定を準用する。」旨規定している。 - しない。」旨規定している。 d同条6項は,「議員が委員会又は議長の招請に応じて議会の運営に必要な会議に出席するための旅行をする場合の旅費については,前2項の規定を準用する。」旨規定している。 - 3 -e同条9項は,「議員が本会議,委員会又は議長の招請に応じて議会の運営に必要な会議に出席したときは,費用弁償として1日につき2500円の会議諸費を支給する。」旨規定している。 イ兵庫県議会委員会条例(昭和38年条例第65号。以下「委員会条例」という。)28条は,「この条例及び会議規則に定めるもののほか,委員会の会議の運営については,委員会において決める。」旨規定している。 前提となる事実(争いのない事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1)兵庫県議会における委員会又は会議の種類等ア兵庫県議会には,本会議(地方自治法102条の定例会及び臨時会)並びに同法が明文において規定している法定委員会である常任委員会(同法109条),議会運営委員会(同法109条の2)及び特別委員会(同法110条)以外の委員会又は会議(以下「法定外会議」という。)として,各会派政務調査会長会,地方議会協議会,広報委員会,正副常任委員長会議,及び,各会派代表者会議(以下「本件各会議」という。)が設置されている。 イまた,兵庫県議会には,少子化対策調査特別委員会理事会(以下「少子化理事会」という。)が設置されている(なお,これが法定外会議に当たるか否かについては,後記のとおり,当事者間に争いがある。)。 (2)費用弁償の経緯等平成18年4月17日から同年11月13日までの間,兵庫県議会において,別紙「費用弁償一覧表」記載のとおり,本件各会議及び少子化理事会が開催され(なお,同別紙に「特別委理事少子化対策」とあるのは少子化理事 年4月17日から同年11月13日までの間,兵庫県議会において,別紙「費用弁償一覧表」記載のとおり,本件各会議及び少子化理事会が開催され(なお,同別紙に「特別委理事少子化対策」とあるのは少子化理事会のことを指す。また,平成18年7月6日開催の「各会派代表者会」とあるのは各会派代表者会議のことを指す。),同年6月1日から同年12月15日までの同別紙の「支払日」欄記載の各日に,「議員名」欄記載の各出席- 4 -議員に対して,対応する各欄記載の各金員が本件条例3条1項,4項ないし6項,及び,9項に基づき費用弁償として支給された(以下「本件費用弁償」という。)。 (3)議員の死亡別紙「費用弁償一覧表」の「議員名」欄(番号21)記載のA議員は,平成▲年▲月▲日に死亡している(乙3,4)。 (4)告示の制定等兵庫県議会は,平成19年3月30日,「議会の議員の報酬及び費用弁償等に関する条例第3条第6項に定める議会の運営に必要な会議を定める規程」(平成19年兵庫県議会告示第4号。以下「本件告示」という。)を告示し,同年4月1日から施行している。本件告示においては,本件条例3条6項に定める議会の運営に必要な会議として,「各会派代表者会議」「政務調査会長会」「広報委員会」「正副常任委員長会議」「地方議会協議会」「新議会世話人会設置準備会」「新議会世話人会」「兵庫県議会情報公開審査会」の8つが個別列挙されている。(以上,丙10)(5)住民監査請求の経緯等ア原告らは,平成19年5月10日,兵庫県監査委員に対し,本件費用弁償について住民監査請求をしたが,同監査委員は,同年7月9日付けで,監査請求には理由がないとの監査結果を出し,そのころ,原告らはその通知を受けた(甲1)。 イそこで,原告らは,平成19年8月6日,本訴を提起した。 なお,原告らは 同監査委員は,同年7月9日付けで,監査請求には理由がないとの監査結果を出し,そのころ,原告らはその通知を受けた(甲1)。 イそこで,原告らは,平成19年8月6日,本訴を提起した。 なお,原告らは,死亡したA議員に対する支払請求の義務付けを求める訴えについて,当裁判所からの釈明にもかかわらず,何ら相続人らに対する支払請求の義務付け等の訴えに訴えの変更をすることなく,そのままの形で維持する旨を明らかにしている。 争点 - 5 -本件の主要な争点は,本件費用弁償の違法性の有無(法定外会議への出席はおよそ地方自治法203条3項の「職務」ないしは本件条例3条1項の「公務」又は同条6項若しくは9項の「議会の運営に必要な会議」には当たらないといえるか否か。)である。 当事者等の主張本件争点に関する当事者等の主張は次のとおりである。 (1)原告らの主張ア地方公共団体の議会が法定外会議を設置できるとすると,法定外会議で法の厳格な手続きによらず実質的に審理や議決がなされ,それが議会や委員会の審理及び議決と同視されたり,それに代替的役割が与えられたりする危険性が生じかねず,ひいては法の規定する議会制度の趣旨が潜脱される恐れがある。また,法定外会議を許すとなると,その範囲が際限なく広がる危険性があり,合理的な範囲に限定するとしても,その範囲は不明確とならざるを得ず,上記弊害を防止できない。憲法ないし地方自治法は,地方公共団体の意思決定方法につき可能な限り議会の法定の議決をもって行うものとし,その運営のため議会が必要と判断した場合に限り法定委員会のみを設置することができると規定しているものと解され(憲法92条,93条,地方自治法89条ないし110条,112条ないし123条),かかる憲法ないし地方自治法の趣旨からすれば,地方公共団体の議会は, を設置することができると規定しているものと解され(憲法92条,93条,地方自治法89条ないし110条,112条ないし123条),かかる憲法ないし地方自治法の趣旨からすれば,地方公共団体の議会は,法定委員会たる常任委員会,議会運営委員会及び特別委員会以外の法定外会議を設置することはできないというべきである。B企業団議会議員に対して法定外の議員協議会等への出席についてなされた費用弁償が違法であるとされた大阪高等裁判所平成16年▲月▲日判決(平成▲年(行コ)第▲号損害賠償請求控訴事件。甲2)においても同旨が判示され,同判決に対する上告は棄却され,上告受理申立ては受理されていない(最高裁判所平成18年▲月▲日第三小法廷決定(平成▲年(行ツ)第▲号,同年(行- 6 -ヒ)第▲号。甲3)。以下「別件判決」という。)。 そうすると,地方自治法203条3項にいう「職務」や本件条例3条1項にいう「公務」とは,地方自治法に規定のある正規の会議に出席する場合等に限られるものというべきであり,法定外会議はあくまでも事実上の集会というほかなく,「職務」や「公務」には当たらないということとなる。 イ同様の見解は,各種の行政実例においても示されている。 ウ参加人の指摘する最高裁判所昭和63年3月10日第一小法廷判決(裁判集民事153号491頁。以下「最高裁昭和63年判決」という。)は,地方公共団体の意思決定方法に直接関係する議会・委員会等の地方公共団体の組織・運営に関して判断されたものではないから,参加人の主張は失当である。また,当該事案において,当時法令上明文の定めがなかった議会運営委員会は,議員の海外派遣の是非について正副議長にゆだねただけであり,費用弁償を決定したのは議会である点でも,参加人の主張は失当である。 エしたがって,法定外会議への出席等が めがなかった議会運営委員会は,議員の海外派遣の是非について正副議長にゆだねただけであり,費用弁償を決定したのは議会である点でも,参加人の主張は失当である。 エしたがって,法定外会議への出席等が上記「職務」又は「公務」に当たるとして支給された本件費用弁償は違法であり,その支給を受けた各議員は,支給を受けた額を法律上の原因なくして不当に利得していることになる。 オなお,本訴は,法定外会議への出席は当該会議の具体的な目的や内容等のいかんにかかわらず,法定外会議であることの一事をもって,前記理由によりおよそ議員の「職務」ないしは「公務」とはいえないとの理由のみを請求原因とするものであり,かかる理由が採用されなかった場合に,法定外会議の中にはその出席が「職務」ないしは「公務」となり得る場合があることを前提に,本件各会議ないしは少子化理事会が,その具体的な議題その他の内容等からして,個別的に「職務」ないしは「公務」に当たら- 7 -ないものであるとの仮定主張は行わない。 (2)被告及び参加人の主張ア少子化理事会は,地方自治法及び委員会条例に基づき設置された特別委員会である少子化対策調査特別委員会(以下「少子化特別委員会」という。)の内部機関として,委員会条例28条に基づき,少子化特別委員会の議決を経て設置されたものであり,その一部を構成するものである。これは,少子化特別委員会が一定期間内に少子化対策について調査,検討,報告の取りまとめを行うため,計画的かつ効率的な運営が求められていることから,設置されたものである。 イまた,普通地方公共団体の長は,当該普通地方公共団体における予算を執行する権限等を有するところ,普通地方公共団体の議会は,当該普通地方公共団体の議事機関として,その機能を果たすために必要な限度で広範な権能を有するもの 体の長は,当該普通地方公共団体における予算を執行する権限等を有するところ,普通地方公共団体の議会は,当該普通地方公共団体の議事機関として,その機能を果たすために必要な限度で広範な権能を有するものであって,普通地方公共団体の長は,議会の活動について,財務会計上の事務を執行するにとどまり,議会を指揮監督し,議会の自律的行為を是正する権限を有するものではない。 そうすると,議会が設置した法定外会議への議員の参加については,普通地方公共団体の長としては,これが著しく合理性を欠き,そのために予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵がある場合でない限り,議会の決定を尊重し,その内容に応じた財務会計上の措置を執る義務があるものというべきである。 (3)被告の主張ア前記のように少子化理事会は法定委員会に他ならず,また,本件各会議は「議長の招請に応じて」各議員が出席することとなった「議会の運営に必要な会議」(本件条例3条6項,9項)であり,「職務」(地方自治法203条3項)ないし「公務」(本件条例3条1項)に当たるから,それぞれ,同項,及び,同条6項の準用する同条4項に基づく旅費,並びに,- 8 -同条9項に基づく会議諸費が支給されることになり,これに基づいて,本件各会議及び少子化理事会に出席した各議員に対して,被告がその出席を確認の上,他と重複とならない範囲で支給した本件費用弁償は,適法である。 イ原告らの指摘する別件判決は,B企業団議会の各市別議員協議会,議員協議会代表者会議及び全体議員協議会会議に出席した各議員への費用弁償が違法であると判示したものにすぎず,本件とは事案を異にする。 (4)参加人の主張ア普通地方公共団体の議会には,意思決定を始めとする法令上明文の定めのある権限のほか,法令上明文の定めこそないが,議会という合議体 示したものにすぎず,本件とは事案を異にする。 (4)参加人の主張ア普通地方公共団体の議会には,意思決定を始めとする法令上明文の定めのある権限のほか,法令上明文の定めこそないが,議会という合議体を適正かつ効率的に管理・運営していく上で,各種制度や事務事業,議会全体に関わる庶務的事項等のように,議会自身が自主的,自律的に協議,調整し,決定していかなければならない事項も多数ある。前者の意思決定に当たっては地方自治法の規定する本会議及び法定委員会における議決という法定の形式によることとされているものの,後者の自律的調整事項については協議及び決定手続きは法定されておらず,地方自治の本旨に基づいて,それぞれの議会が法定外会議を設け,そこでの協議,調整,決定によることとすることは,法の趣旨に何ら反するものではない。そして,このような法定外会議への出席を議員の「職務」ないしは「公務」として,条例の定めるところにより費用弁償をすることは,議会に認められた裁量の範囲内の行為であって,何ら違法ではないものというべきである。 イ原告らの指摘する別件判決は,上告理由に該当しないなどとされただけであって,最高裁判所が大阪高等裁判所で判示された法令解釈を是認する判断を直接下したものではない。 むしろ,最高裁昭和63年判決は,当時,法令上明文の定めがなかった議会運営委員会において,同じく法令上明文の定めがなかった議員の海外- 9 -派遣について決定したことを受けて,議会の有する広範な権能を適切に果たす上で必要なものであるとして,適法との判断を下しているところである。 ウなお,参加人としては,費用弁償の対象のより一層の明確化と透明化を図るため,本件告示を制定しているところである。 第3当裁判所の判断 A議員に対する支払請求の義務付けを求める訴えについて 。 ウなお,参加人としては,費用弁償の対象のより一層の明確化と透明化を図るため,本件告示を制定しているところである。 第3当裁判所の判断 A議員に対する支払請求の義務付けを求める訴えについて(1)前記前提となる事実(第2,2)(3)及び(5)イのとおり,原告は,死亡したA議員に対する支払請求の義務付けを求める訴えについて,当裁判所からの釈明にもかかわらず,何ら相続人らに対する支払請求の義務付け等の訴えに訴えの変更をすることなく,そのままの形で維持する旨を明らかにしている。 (2)そして,このようなA議員に対する支払請求の義務付けを求める訴えが,訴えの変更等の手続きを経ることなく,当然に,氏名や人数等が不詳なままで,その相続人らに対する支払請求の義務付けを求める訴えの趣旨を含むとみる余地はない以上,かかる死者に対する支払請求の義務付けを求める訴えは,法の予定した住民訴訟の類型には存しない(なお,原告らは,A議員が存命であるとして係争しているわけではない。)から,かかる訴えは不適法であるといわざるを得ない。 少子化理事会について(1)原告らは,少子化理事会は法定外会議である旨主張するが,前記法令等の定め(第2,1)及び前提となる事実(第2,2)のほか,証拠(丙21ないし24)及び弁論の全趣旨によれば,少子化理事会は,地方自治法及び委員会条例に基づき設置された特別委員会である少子化特別委員会の内部機関として,同条例28条に基づき,同委員会の議決を経て,同委員会の円滑な運営を図るために設置された同委員会の内部機関であって,同委員会の一- 10 -部を構成するものであることが認められるから,これも法定委員会であるということができる。 (2)したがって,少子化理事会が法定外会議であることを前提とする原告らの主張には,その余 一- 10 -部を構成するものであることが認められるから,これも法定委員会であるということができる。 (2)したがって,少子化理事会が法定外会議であることを前提とする原告らの主張には,その余の点について判断するまでもなく(なお,原告らは,各議員の少子化理事会への出席の有無,費用弁償の額の適正,重複支給の有無等については,一切,争っていない。),理由がないことに帰着する。 本件各会議について(1)原告らは,法定外会議の設置を許すと法の厳格な手続きによらず実質的に審理や議決がなされる危険性が生じかねず,ひいては法の規定する議会制度の趣旨が潜脱される恐れがあるから,憲法ないし地方自治法の趣旨からすれば,その設置はおよそ許されないというべきである旨主張し,被告及び参加人は,普通地方公共団体の長は,議会を指揮監督し,議会の自律的行為を是正する権限を有するものではなく,法定外会議への議員の参加については,これが著しく合理性を欠き,そのために予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵がある場合でない限り,その内容に応じた財務会計上の措置を執る義務がある旨主張するとともに,参加人は,法令上明文の定めこそないが,議会という合議体を適正かつ効率的に管理・運営していく上で,各種制度や事務事業,議会全体に関わる庶務的事項等のように,議会自身が自主的,自律的に協議,調整し,決定していかなければならない事項について,法定外会議において協議,調整,決定することも,法の趣旨に何ら反するものではない旨主張するので,以下,検討する。 (2)地方自治法は,憲法92条を受けて,「地方自治の本旨に基づいて,地方公共団体の区分並びに地方公共団体の組織及び運営に関する事項の大綱を定め」ることを目的とし(地方自治法1条),組織及び運営の中核的事項を規律しているが, 条を受けて,「地方自治の本旨に基づいて,地方公共団体の区分並びに地方公共団体の組織及び運営に関する事項の大綱を定め」ることを目的とし(地方自治法1条),組織及び運営の中核的事項を規律しているが,なお,議会の自律権を尊重し,本会議の運営等の詳細については会議規則に(同法120条),法定委員会の設置の有無やその所管事- 11 -項,委員会における審査及び調査に関する具体的な手続き等の詳細については条例に(同法109条,109条の2,110条,111条),それぞれゆだねるなど,法においては,議会の組織,運営に関する基本的な事項を規定し,地方公共団体の行政が広範かつ多岐にわたるとともに,各種行政が専門化している実情にかんがみ,具体的かつ詳細な事項については,審議の徹底と効率的な議事運営を図るため,議会の実情に応じた自主的・自律的な運営に任せているところである。そして,議会が,歴史的にみれば各議員個人が独立して個別的に意思を表明して議論をする場であったものの,これによる場合には多くの時間と労力とを要する上に手続きも煩雑になることが避けられなかったのに対して,近年の議会においては,政治上の主義や政策を同じくする議員が集まり,議会活動を共に行うことを目的とした会派が結成され,これを中心に議事が運営されており,効率的な議事の進行が図られるようになるとともに,議会における適正,円滑,効率的な協議・運営を図るためには,会派との連絡調整が不可欠な状況にまでなってきている。そうすると,議会を適正かつ効率的に管理・運営していく上で,会派の有する意見集約機能を活用しながら,議会の適正かつ効率的な管理・運営のために必要な会派間での手続面での打ち合わせ等をも含めた庶務的事項について協議,調整,決定するための場として法定外会議が必要とされるのであれば,その限り しながら,議会の適正かつ効率的な管理・運営のために必要な会派間での手続面での打ち合わせ等をも含めた庶務的事項について協議,調整,決定するための場として法定外会議が必要とされるのであれば,その限りにおいて法定外会議を活用することも議会の自律権の行使として地方自治法は許容しているものと解すべきである。法定外会議が議会制度を形骸化させる危険性を孕むことは運用上十分留意されるべきであるが,その危険性故に法が法定外会議の設置を一切許さない趣旨であるとまで解されない。そして,上記のような有用な会議である限り,それへの出席も,「議会の運営に必要な会議」(本件条例3条6項,9項)に該当する可能性があり,前記法令等の定め(第2,1)のとおり,同条6項及び9項が,同条1項の「公務」の内容を適法に具現化している規定であることにかんがみれば,「議会- 12 -の運営に必要な会議」に該当するのであれば,当然に,同項の「公務」にも該当することになる上,上記のとおり,地方自治法203条3項の「職務」が法定外会議への出席をおよそ一律に除外しているものとは解されないことからすれば,本件各会議が法定外会議であることの一事をもって本件費用弁償が直ちに違法となるものではないといわざるを得ない。 (3)そして,証拠(甲1)及び弁論の全趣旨によれば,本件各会議は,各会派間において,議会運営上の重要事項及び議会全体に関わる庶務的事項の協議を行う各会派代表者会議や本会議に上程する意見書案及び決議案の調整を行う各会派政務調査会長会のほか,年間広報計画の策定及び広報の重要事項についての協議・決定を行う広報委員会,市議会及び町議会代表者との交流,連携及び政策課題の共有のための協議を行う地方議会協議会,常任委員会運営要領の協議,年間行事予定の策定及び共通事項の確認を行う正副常任委員 議・決定を行う広報委員会,市議会及び町議会代表者との交流,連携及び政策課題の共有のための協議を行う地方議会協議会,常任委員会運営要領の協議,年間行事予定の策定及び共通事項の確認を行う正副常任委員長会議から成っていることが認められ,これらの会議における個別具体的な協議内容等に全く触れずに,当該会議の一般的抽象的な性質自体をもって,およそ一律に当該会議は本件条例3条6項又は9項の「議会の運営に必要な会議」に該当し得ず,それへの出席は地方自治法203条3項の「職務」ないしは本件条例3条1項の「公務」には当たらないとはいえない本件事案においては,本件各会議それぞれの一般的抽象的な性質自体から,直ちに本件費用弁償が違法であることを導き出すこともできないものといわざるを得ない。 (4)この点,原告らは,別件判決についてるる述べるが,同判決は,一部事務組合であるB企業団の議会の議員が協議会等に出席したことについて,B企業団報酬並びに費用弁償に関する条例に基づく費用弁償として支給された費用の支出が問題とされた事案に関するものであり,同条例の内容も本件条例とは異なっているのであって,事案を異にする。 (5)また,原告らは行政実例についてもるる述べるが,行政実例は,都道府- 13 -県又は市町村において法令の解釈,運用についての疑義が生じた場合に,関係する中央各省庁の見解を文書によって求めるのに対して,照会を受けた各省庁が示した見解にすぎず,それ自体に特段法的拘束力があるものではなく,また,当裁判所の法令解釈を拘束するものでもない。 (6)したがって,本件各会議が法定外会議であることのみを請求原因とする原告らの主張には,その余の点について判断するまでもなく(なお,原告らは,各議員の本件各会議への出席の有無,費用弁償の額の適正,重複支給の有無等に 件各会議が法定外会議であることのみを請求原因とする原告らの主張には,その余の点について判断するまでもなく(なお,原告らは,各議員の本件各会議への出席の有無,費用弁償の額の適正,重複支給の有無等については,一切,争っていない。),理由がないこととなる。 第4 結論 以上の次第で,原告らの本件訴えのうち,主文1項掲記の部分は不適法であるからこれを却下し,その余の請求には理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。 神戸地方裁判所第2民事部佐藤明裁判長裁判官菊池章裁判官- 14 -重高啓裁判官
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