1 主 文1 原判決を次のとおり変更する。 2 被控訴人は,Aに対し,110万3107円の賠償命令をせよ。 3 控訴人らのその余の請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は,第1,第2審を通じてこれを10分し,その1を被控訴人の負担とし,その余を控訴人らの負担とする。 事 実 及 び 理 由第1 控訴の趣旨1 原判決を取り消す。 2 被控訴人は,Aに対し,1億3363万9152円の賠償命令をせよ。 第2 事案の概要1 本件は,愛知県の住民である控訴人ら及び控訴取下げ前控訴人ら13名が,愛知県警察本部長であったAが,沖縄県公安委員会の警察法60条1項に基づく援助の要求を受けて,沖縄県東村高江(以下「高江」という。)におけるヘリコプター着陸帯(以下「ヘリパッド」という。)移設工事の警備活動に愛知県警察の警察官を派遣することを専決により決定し,派遣された警察官に対する給与及び超過勤務手当の支出決定及び支出命令をしたことに関し,原因行為であるAによる派遣決定が違法であるために,それに続く支出決定及び支出命令も違法となるなどと主張して,被控訴人に対し,地方自治法242条の2第1項4号ただし書に基づき,故意又は重大な過失により,原因行為の違法を看過して支出決定及び支出命令に及んだAに対して,支出された給与及び超過勤務手当の合計額である1億3363万9152円の賠償命令をすることを求めた住民訴訟である。 原審は,控訴人ら及び控訴取下げ前控訴人らの請求をいずれも棄却した。これに対し,控訴人ら及び控訴取下げ前控訴人らが控訴した。なお,控訴取下げ前控訴人ら13名は,控訴を取り下げた。また,当審において,控訴人らは,2 賠償命令の対象に の請求をいずれも棄却した。これに対し,控訴人ら及び控訴取下げ前控訴人らが控訴した。なお,控訴取下げ前控訴人ら13名は,控訴を取り下げた。また,当審において,控訴人らは,2 賠償命令の対象について,給与,時間外勤務手当及び特殊勤務手当の合計相当額1億3363万9152円と変更した。 2 関係法令等の定め,前提事実,主要な争点及び主要な争点に関する当事者の主張の要旨は,3のとおり補正し,4のとおり控訴人らの当審における補充主張を付加するほかは,原判決の「事実及び理由」中の第2の1ないし4に記載のとおりであるから,これを引用する。 3 原判決の補正⑴ 原判決4頁14行目の「「本件各派遣決定」という。」の後に「上記ウ,オ及びカの援助要求を「本件各援助要求」という。」を加える。 ⑵ 同5頁15行目末尾を改行して次のとおり加える。 「エ 控訴人らは,令和3年8月26日に行われた当審における第5回口頭弁論期日において,上記賠償命令の対象について,給与相当額1億2958万8247円,時間外勤務手当相当額111万0905円及び特殊勤務手当相当額294万円の合計1億3363万9152円と変更した(当裁判所に顕著な事実)。」4 控訴人らの当審における補充主張⑴ 本件各派遣決定の違法が,本件支出の違法事由となり得るか(争点1)についてア 地方公務員法24条1項は,単に職員の出勤,欠勤のみならず,広く地方公共団体に対する貢献度に応じて職員の給与が決定されるべきことを定めているものと解される。そして,職員の職務執行が,当該職員の所属する都道府県の職務に従事したものと評価する根拠を欠くこととなる場合には,当該職員の所属する都道府県に対する貢献度は皆無であるから,このような場合には当該職員に対して給与を支給される 当該職員の所属する都道府県の職務に従事したものと評価する根拠を欠くこととなる場合には,当該職員の所属する都道府県に対する貢献度は皆無であるから,このような場合には当該職員に対して給与を支給されるべきでない。給与条例29条も,職員の職務執行がその所属する都道府県の職務に従事したものと評価する根拠を欠くこととなる場合には,当該職務執行に対する給与は3 支給されるべきでないとする趣旨であると解される。 イ 本件各派遣決定が違法であれば,当然に派遣された職員に対する給与支出等も違法となる。 本件各派遣決定について権限を有する者とその後の給与支出等の財務会計上の行為について権限を有する者は同じ愛知県警察本部長であり,本件各派遣決定が違法である場合にはこれを取り消すなどして是正をする権限を有している。 そのため,愛知県警察本部長が,本件各派遣決定が違法であるにもかかわらず,その判断を誤ってこれを行ったのであるから,その後に給与支出等の財務会計上の行為を行ったことも当然に違法であると評価されるべきである。 ウ なお,職員に対する特殊勤務手当,時間外勤務手当,本件各派遣決定に伴う交通費及び備品の準備・移動に係る経費の支出については,本件各派遣を行わなければ当然に支出を要しなかった費用である。そのため,本件各派遣決定が違法である場合には,少なくともこれらの費用の支出も違法となる。 ⑵ 本件各派遣決定の実体的違法の有無(争点2)についてア 警備活動の必要性・相当性の欠如による本件各派遣決定の違法について 判断枠組み都道府県警察が援助要求に応じるかどうかは,援助要求を受けた都道府県警察が自主的に判断すべきである。警察法59条及び60条は,援助要求を受けた都道府県警察に 判断枠組み都道府県警察が援助要求に応じるかどうかは,援助要求を受けた都道府県警察が自主的に判断すべきである。警察法59条及び60条は,援助要求を受けた都道府県警察に対してこれに応じる具体的義務を根拠づけるものではない。 また,裁判所が事後的に派遣決定の適法性を判断する際は,派遣の必要性について援助要求を行った都道府県警察や公安委員会の裁量を尊重すべきではなく,証拠に照らして厳密に客観的に判断を行うべきであ4 る。そして,警察比例の原則に照らせば,派遣の必要性のみならず相当性が必要である。 特に,北部訓練場におけるヘリパッド移設工事は,沖縄県民の意思を無視して,政府により強行されたものであり,機動隊の大量派遣は,政府の意を受けた警察庁警備局の主導のもとに行われた。このことも考慮すれば,本件各派遣決定が適法であるというためには,その目的が真に必要不可欠なものであったこと,その手段が最小限度のものであることを要し,その司法判断は厳格に行われるべきである。 抗議活動上記ヘリパッド移設工事現場付近における参加者による抗議行動は,テント・車両を工事ゲート前に設置・駐車して行われた監視活動と,説得活動を中核とする非暴力の抗議活動であり,実際に現地の治安や道路交通の安全を損なうものではなかった。参加者は,工事現場の出入口付近を閉鎖してはおらず,また,座り込みも道路交通法違反に当たらない態様で平穏に抗議を行っていた。 少なくとも本件各派遣決定がされる以前の段階では,沖縄県警察のみでは対処できない程度の参加者の違法行為や衝突は存在せず,仮にヘリパッド移設工事の再開にあたって多少の衝突が予想されたとしても,沖縄県警察だけで十分対処できる程度であった の段階では,沖縄県警察のみでは対処できない程度の参加者の違法行為や衝突は存在せず,仮にヘリパッド移設工事の再開にあたって多少の衝突が予想されたとしても,沖縄県警察だけで十分対処できる程度であったものであり,全国から数百名もの機動隊員を派遣しなければならない必要性はなかった。 テント及び車両の強制撤去a 警察は,平成28年7月22日,ヘリパッド移設予定地への通路の入り口であるN1ゲート前に参加者が置いていた車両2台及びテント(以下,上記車両2台を「本件車両」と,上記テントを「本件テント」という。)を強制的に撤去した。 すなわち,前夜からN1ゲート付近に残っていた地元住民と参加者5 は100人から200人程度で,この人たちによりN1ゲート前の県道には100台程度の車両が駐車されていた。その後,同日午前4時台に警察が動き出し,N1ゲートを真ん中に,それぞれ数キロ離れた南北2か所で県道を封鎖し,応援に来る参加者が現地に近づけないようにした。そして,午前5時頃に,現地に機動隊が到着し,まず一隊がN1ゲート前に半円形の人垣を作って,ゲート前に止められている本件車両及び本件テントに参加者が近づけないようにした後,別の大量の部隊がハンドレッカーで車道上に止められている車両を次々と移動し,さらに別の部隊が座り込んでいる参加者を排除した。その後,N1ゲートの北側と南側のそれぞれ20ないし30mの県道上に機動隊による人垣を作って,その中に参加者が入れないようにした上で,本件車両の上に上っていた参加者10ないし15人を強制的に引きずり下ろし,レッカー車で本件車両を撤去した。最後に,機動隊が本件テントを囲み,誰も本件テントに近づけないようにしたところに,防衛局の職員が現れて,本件テントとその中にあった動産を 人を強制的に引きずり下ろし,レッカー車で本件車両を撤去した。最後に,機動隊が本件テントを囲み,誰も本件テントに近づけないようにしたところに,防衛局の職員が現れて,本件テントとその中にあった動産を強制的に搬出したのである。 b 本件車両及び本件テントの撤去は,それなくしてはヘリパッド移設工事に着工することができないという工事再開のための最大の課題であった。 そして,本件各援助要求に応じてされた派遣(以下「本件各派遣」という。)に係る警察官が現地で最初に確認されたのが同月19日であるところ,同月22日に行われた上記警察行動は,本件各派遣に係る警察官の最初の組織的な行動であり,かつ,組織的な準備と訓練を経て行われたことからすれば,派遣された警察官と沖縄県警察が総力を挙げて行ったものであることは明らかである。 c 車両,テント撤去の違法性6 県道路側帯であるN1ゲート出入口前に設置された本件車両及び本件テントが,道路交通法47条3項の「他の交通の妨害」又は同法76条3項の「交通の妨害」に当たるかどうかについては,以下のとおり解すべきである。 すなわち,同法47条3項の「他の交通の妨害」の中には,同法45条1項1号の規定の趣旨から,道路外に設けられた車庫等に出入りするため,路側帯を横断する車両の通行を妨害する場合も含まれるところ,同45条1項1号で駐車を禁止している「人の乗降,貨物の積卸し,駐車又は自動車の格納若しくは修理のため道路外に設けられた施設又は場所」というのは,例示ではなく限定規定なので,ここに列挙されていない例えばガソリンスタンドのような施設は含まれない。そうすると,北部訓練場は同法45条1項の法定駐車禁止場所には当たらないから,本件N1ゲート出 は,例示ではなく限定規定なので,ここに列挙されていない例えばガソリンスタンドのような施設は含まれない。そうすると,北部訓練場は同法45条1項の法定駐車禁止場所には当たらないから,本件N1ゲート出入口前に置かれた本件車両には,道路交通法47条3項は適用されない。 N1ゲート出入口前に設置されたテントも,同様に,同法76条3項が適用されないと解すべきである。 本件各派遣の沖縄県警察側の実務担当者と称するB沖縄県警察警備部警備二課次席(当時)は,東京地方裁判所平成28年(行ウ)第584号違法公金支出損害賠償住民訴訟事件の証人尋問において(以下,Bの同事件における証言を「B証言」という。),本件車両の撤去につき,「沖縄県警察の交通部で検討されて,道路交通法上撤去するものだという判断をしたというのは承知しているが,詳細は分からない。」旨証言し,その法的根拠を明確に答えることができなかった。 また,B証言は,本件テントの撤去につき,防衛局と警察との間で必要な調整を行ったことは認めながら,テントの撤去について警7 察がどのような警護を行ったかは,自分は現場に行っておらず,見ていないのでわからないとの内容に終始した。 よって,本件車両撤去及び本件テントの撤去は,いずれも違法である。 d 派遣によって警察官の身分的取扱いに変更はなく,愛知県警察所属の警察官に対しては,派遣元である愛知県警察(あるいは愛知県)が引き続き任免権を持ち,懲戒権を有している。したがって,派遣された警察官が,派遣先の沖縄県公安委員会及び沖縄県警察の管理下で職権を行使するものであっても,その職務行為の適正性の確保については,沖縄県警察とともに愛知県警察(あるいは愛知県)もその責任を負ってい た警察官が,派遣先の沖縄県公安委員会及び沖縄県警察の管理下で職権を行使するものであっても,その職務行為の適正性の確保については,沖縄県警察とともに愛知県警察(あるいは愛知県)もその責任を負っている。 平成28年7月22日の本件車両及び本件テントの撤去は, ヘリパッド移設建設を遂行する上で,不可欠の基幹的課題であり,派遣された警察官と沖縄県警察所属の警察官が総力を挙げて取り組む最初の行動であった。このような枢要な課題について,派遣元の都府県警察に説明もせず,これらと協議もしていないなどということはあり得ない。したがって,愛知県警察も違法な強制撤去に加担しているというべきである。 機動隊員らによる強制的排除,無断撮影,検問等機動隊員らは,平成28年7月22日,非暴力で抵抗しようと座り込んでいる参加者を暴力的に排除し,警察車両などの間に,閉じ込め,出られなくした。その後も,機動隊員らは,組織的に検問,留め置き,無断での写真・ビデオ撮影を断続的に行った。県道を事実上封鎖し,新聞・テレビ等の記者の取材活動を妨害した。 本件派遣の全期間を通じて行われたこれらの検問・留め置き,写真・ビデオ撮影,市民の強制的な排除・身体拘束は,ヘリパッド移設工事を8 強行するための組織的かつ基幹的な行動であり,それらの警察活動は,看過できないほどの極めて重大な違法行為であった。ヘリパッド移設工事再開後に,参加者と機動隊等との間に大きな衝突が発生したのは,むしろ機動隊による種々の違法行為が行われたからである。 派遣決定が予定した警察活動は,最初の重大な課題として行われた行動やその基幹的な行動に重大な違法行為があったものであり,本件各派遣決定は,そのような違法な活動が行われることを認識してされ 派遣決定が予定した警察活動は,最初の重大な課題として行われた行動やその基幹的な行動に重大な違法行為があったものであり,本件各派遣決定は,そのような違法な活動が行われることを認識してされたものであって,それ自体違法である。少なくとも,2回目,3回目の派遣決定の際には,愛知県警察は,警備活動の報告によって,上記の異様な違法な警察活動を認識,認容して,派遣決定をしたことが明らかである。 イ ヘリパッド移設工事に対する抗議活動が正当なものであることによる本件各派遣決定の違法について参加者のヘリパッド移設工事に対する抗議活動は,言論の自由,集会の自由として憲法上保障された基本的人権を行使した正当なものであり,仮に抗議活動の一部に道路交通法等の刑罰法規に形式的に該当するものが含まれていたとしても,その行動は,オスプレイ飛行訓練による墜落や過酷な騒音被害から住民の生命と安全(人格権),やんばるの森という豊かな自然環境(環境権),及び,沖縄県民の平和的生存権が脅かされることを阻止するためにされたやむにやまれぬ行動であるから,自救行為として違法性が阻却されるものであり,また抵抗権の行使として正当であるから,本件派遣は根本的に必要性がない。 表現の自由の行使高江における参加者の座り込みは,民主的手段をもって反対されていても工事が強行され,また司法的には事後的に争えなくなる危険性があるという他に手段が断たれた中で,平和的生存権の実現のための表現の自由の行使としてやむにやまれぬ必要な行為であった。したがって,仮9 に形式的に刑法等の構成要件該当性があったとしても,違法性が阻却される。 思想の自由市場が機能不全を起こしている状態において,断固としてこれに対抗し抗議する国民の意思 て,仮9 に形式的に刑法等の構成要件該当性があったとしても,違法性が阻却される。 思想の自由市場が機能不全を起こしている状態において,断固としてこれに対抗し抗議する国民の意思があることを表明し,民主的議論の対象とするために必要な行為であり,これに対する制約・制限の合憲性は厳格に判断されなければならない。 住民らの行為は,積極的に他者に対する加害をすることが予定されない平和的なものであり,他方,これにより侵害される国の側の利益は,住民らの抗議にもかかわらず工事を強行することができないというものに過ぎず,表現の自由の制約根拠として不十分である。 自救行為又は抵抗権の行使高江の住民らは,騒音によって身体への悪影響を受け,あるいはそれを避けるための引越しを余儀なくされる事態に陥っていた。また,住民らは,米軍ヘリやオスプレイの墜落による自らの生命や住居等の財産に対する現実的具体的危険が発生していた。米軍基地に対して日本の司法府で争う道がない以上,住民らは,北部訓練場工事現場出入口付近において座り込みを行い,ヘリパッド移設工事に対する抗議と抵抗の行動を行わざるを得なかったものであり,自救行為として違法性が阻却される。 ヘリパッド移設工事が行われれば,戦争の準備行為等に当たる軍事訓練によって,個人の生命,自由が侵害され又は侵害の危機にさらされることとなるのであるから,ヘリパッド移設工事は,住民の具体的権利たる平和的生存権を侵害する結果を招くものにほかならない。したがって,これに反対して行われる座り込みは,当該具体的な平和的生存権を実現するための行為である。 平和的生存権の憲法における重要性に鑑みれば,これに対する制約の合憲性は厳格に審査されなければならない。 対して行われる座り込みは,当該具体的な平和的生存権を実現するための行為である。 平和的生存権の憲法における重要性に鑑みれば,これに対する制約の合憲性は厳格に審査されなければならない。住民らの行為が平和的なも10 のであったことに照らし,これを暴力的態様によって排除することが公共の福祉をもって許容される余地はない。 ⑶ 本件各派遣決定の手続的違法の有無(争点3)についてア 本件規程2条が無効であることについて公安委員会は,県警本部当局から諸事情について情報提供を受けた上で,援助要求に対して同意すべきかどうかを自ら判断することが十分可能である。援助要求に迅速な判断が必要な場合であっても,公安委員会は,持ち回り決議によって対応することが可能であるし,仮に緊急の処理を要する場合があれば,これを要件として例外的に県警本部長の専決を認めると定めるべきである。 そうであるにもかかわらず,派遣決定を一般的,包括的に愛知県警察本部長の専決に委ねる本件規程2条は,公安委員会が,住民を代表する合議体であり,警察の民主的運営と政治的中立性を確保することを本質とし,警察の管理を最も重要な権限とすることを没却するものであって違法である。 イ 本件規程2条ただし書の要件に該当することについて本件派遣は,北部訓練場のヘリパッド移設工事について沖縄県及び沖縄県民と沖縄防衛局及び政府の間で鋭い政治的対立が存在していた中で,愛知県警察の機動隊員を派遣するものであって警察の政治的中立性を害するとの社会的な批判,紛議を引き起こす可能性があり,そのことは十分予見することができた。 したがって,本件各派遣決定は,「異例又は重要と認められるもの」に該当する。 ウ 本件派遣が実質的に愛 な批判,紛議を引き起こす可能性があり,そのことは十分予見することができた。 したがって,本件各派遣決定は,「異例又は重要と認められるもの」に該当する。 ウ 本件派遣が実質的に愛知県公安委員会の意思決定に基づかないことについて本件各派遣決定は,本件規程2条ただし書に当たるため公安委員会の事11 前の承認を要するにもかかわらず,愛知県公安委員会のあらかじめの承認を受けずに愛知県警察本部長の専決によって行われたものであるから,警察法に反し違法である。 警察法60条に基づく他の都道府県公安委員会からの警察官の派遣要請及び派遣決定は本来的に公安委員会の管理権に属するものであるにもかかわらず,本件各派遣決定は,補助機関が決裁をしたものであるから,その瑕疵は重大である。 愛知県公安委員会では,個別審議でこれが報告されたに過ぎず,本件各派遣決定が専決によってされた具体的経緯も認識されず,その違法性について審議の対象となっていなかった。したがって,愛知県公安委員会において実質的審査が行われたといえず,多数意思が形成されたともいえないから,報告があったことをもって上記違法性は治癒されない。 ⑷ 損害についてア 時間外勤務手当愛知県から開示された機動隊超勤総括表によれば,以下のとおり計算され,合計は111万0905円となる。 〔計算式〕平成28年7月分 41,496 円×14.5/14.5=41,496 円同年8月分 203,117 円×33/63=106,394 円同年9月分 1,533,970 円×362/639.75=867,990 円同年11月分 1,454,759 円×38/581.7 ×33/63=106,394 円同年9月分 1,533,970 円×362/639.75=867,990 円同年11月分 1,454,759 円×38/581.75=95,025 円イ 特殊勤務手当本件各派遣決定に基づいて愛知県警察から派遣された機動隊員に対しては,職員の給与に関する条例,職員の特殊勤務手当に関する条例に基づき,特殊勤務手当が支給された。 特殊勤務手当に関する規則第19条によれば,警察業務手当について定12 められている特殊勤務手当のうち最も低い金額は280円である。通常の機動隊の派遣部隊の中隊編成は70人であり,本件派遣の期間は5か月と数日であるから150日とする。そうすると,本件派遣において支出された特殊勤務手当は,294万円と計算される。 〔計算式〕280 円×70 人×150 日=2,940,000 円ウ 給与愛知県警察職の地方公務員の平均基本給月額である37万1174円を基準として,70人5か月分を計算すれば,1億2991万0900円となり,そのうち1億2958万8247円の賠償命令を求める。 〔計算式〕371,174 円×70 人×5 か月=129,910,900 円第3 当裁判所の判断1 当裁判所は,控訴人らの請求は,111万0905円の賠償命令を命ずる範囲で理由があると判断する。その理由は,2のとおり補正し,3のとおり控訴人らの当審における補充主張に対する判断を加えるほかは,原判決の「事実及び理由」中の第3の1ないし5に記載のとおりであるから,これを引用する。 2 原判決の補正⑴ 原判決32頁4行目末尾を改行して次のとおり加える。 「エ 平成2 ほかは,原判決の「事実及び理由」中の第3の1ないし5に記載のとおりであるから,これを引用する。 2 原判決の補正⑴ 原判決32頁4行目末尾を改行して次のとおり加える。 「エ 平成28年7月13日の時点で,ヘリパッド移設工事に関し,防衛省がこれを推進しようとし,反対派が抗議活動を展開していることについては,新聞及びインターネットニュースにおいて報じられていた。同月22日の前後には,住民等の反対がある中でヘリパッド移設工事が再開されたこと,北部訓練場付近で全国から派遣された約500人の機動隊員が投入され,参加者との間で衝突が生じたことが,沖縄県の地元紙のほか,全国紙や,愛知県を主たる販売地域とする中日新聞においても大きく報じられた。 (甲13 22~25,171,乙18)オ 沖縄県議会は,平成28年7月21日,内閣総理大臣等に対し,全国から警察官を大量動員してヘリパッド移設工事を進めようとする日本政府の姿勢に厳重に抗議し,同工事の中止を強く要請する旨の意見書を可決した(甲13)。 国会議員の中には,平成28年8月上旬,警察官の沖縄県への派遣や現地での警察活動に関する法的根拠等を政府に問う質問主意書を提出した者がいた(甲10,乙22)。 平成28年9月6日,愛知県議会議員を含む者らは,愛知県警察本部に対し,国が一方的に強行するヘリパッド移設工事に愛知県警察が助力するのは他県の地方自治を著しく侵害するものであるなどとして,機動隊の派遣中止を求める申入書を交付した(甲14)。」⑵ 同35頁5行目から6行目にかけての「愛知県公安委員会は,これらに応じて,」を「愛知県警察本部長は,専決によりこれらに同意することをそれぞれ決定し,愛知県公安委員会の名で,」と改める。 ⑶ 同35頁7行 行目から6行目にかけての「愛知県公安委員会は,これらに応じて,」を「愛知県警察本部長は,専決によりこれらに同意することをそれぞれ決定し,愛知県公安委員会の名で,」と改める。 ⑶ 同35頁7行目末尾を改行して次のとおり加える。 「 平成28年当時,愛知県警察機動隊の定数は249名であり,中部管区機動隊のうち愛知県警察に所属する警察官をもって編成する人員の基準は340人である。本件各派遣決定による派遣されたのは,愛知県警察機動隊及び中部管区機動隊のうち愛知県警察に所属する警察官であったが,その員数は明らかにされていない。(甲110の1,132,乙36,弁論の全趣旨)。 なお,平成28年4月に発生した災害のため熊本県に派遣された愛知県警察職員の人員は,多い時で,同月25日から同月26日までの間の220人であり,その内訳は,愛知県警察災害派遣隊緊急災害警備隊146人及び愛知県警察災害派遣隊広域緊急援助隊交通部隊74人であ14 った(乙37)。」⑷ 同35頁26行目末尾を改行して次のとおり加える。 「⑸ 愛知県公安委員会への報告1回目の派遣決定については,平成28年7月22日に行われた愛知県公安委員会の定例会の個別審議において,案件外の報告として,愛知県警察警備部の警備課長から,沖縄県公安委員会から警戒警備のため愛知県公安委員会に対して警察法60条1項に基づく援助要求があり,それぞれ必要な警察職員を派遣する旨の報告がされ,派遣に係る期間,人数,業務内容について報告がされた(甲41の1,原審における証人C,当審における証人D)。 2回目の派遣決定については,その後である平成28年8月19日に,愛知県公安委員会の定例会の個別審議の最後に案件外の報告として同様の報告がされ,また ける証人C,当審における証人D)。 2回目の派遣決定については,その後である平成28年8月19日に,愛知県公安委員会の定例会の個別審議の最後に案件外の報告として同様の報告がされ,また,3回目の派遣決定については,その後である同年9月30日に,愛知県公安委員会の定例会の個別審議の案件として同様の報告がされた(甲41の2,乙13,原審における証人C,当審における証人D)。 公安委員会個別審議は,公安委員執務室において行われる。案件は,決裁,裁決,決定及び報告の種類があるところ,そのうち報告案件は,担当官が公安委員に対して内容を説明するものであり,特段の意思決定行為はされない。(甲41,乙13,原審における証人C,当審における証人D)」⑸ 同44頁9行目の「大規模な抗議活動の予防・取締り」を「大規模な抗議活動に伴う違法行為の予防・取締り」と改める。 ⑹ 同44頁14行目冒頭から47頁16行目末尾までを次のとおり改める。 「 控訴人らは,沖縄県に派遣された機動隊員によって現に行われた組織的な警察活動は,違法な人権侵害行為であるから,必要性を欠くことが明らかであり,したがって本件各派遣決定は,違法なものである旨主張する。 15 そこで検討するに,平成28年7月19日頃以降,前記1⑶イ及びエのとおり,機動隊員が複数回にわたって車両検問を実施し,運転者に行き先や目的を尋ねたり運転免許証の提示を求めたりしたこと,前記1⑶エのとおり,警察職員がビデオカメラで抗議活動の様子等を撮影したことが何度もあったことが認められる。そして,証拠(甲26)によれば,一人の弁護士が,県道70号線において検問を行っていた警察官によって平成28年11月3日に道路に留め置かれビデオ撮影されたことが違法であるとして,沖 ことが認められる。そして,証拠(甲26)によれば,一人の弁護士が,県道70号線において検問を行っていた警察官によって平成28年11月3日に道路に留め置かれビデオ撮影されたことが違法であるとして,沖縄県に対して損害賠償を請求する訴訟を提起し,那覇地方裁判所は,上記留め置き及びビデオ撮影がいずれも国家賠償法上違法な措置であったと認めて請求を一部認容したことが認められ,このことからすれば,上記訴訟の対象となった行為以外の警察職員の検問や撮影等の行為についてもその適法性あるいは相当性については疑問が生じ得るところである。 また,前記1⑶ウのとおり,同年7月22日,N1ゲート前において,機動隊員が座り込むなどしていた参加者を強制的に排除したこと,また,機動隊員において,道路上に置いてあった車両を強制的に移動させたこと,沖縄防衛局職員において,機動隊員の警護を受けながら,N1ゲート前に置かれていたテントを撤去したこと,これらの間に負傷した参加者がいて,中には救急搬送された者もあったことが認められるところ,本件全証拠によるも,機動隊員が警護して行われた沖縄防衛局職員による上記テントの撤去が法的根拠に裏付けられた措置であったかどうかについて疑義があるといわざるを得ないほか,車両の撤去についても,撤去された全ての車両について現に道路交通法に違反した状態で置かれていたかどうかは明らかでない。 そうすると,派遣された機動隊員を含む警察職員による平成28年7月以降の職務行為については,適法な範囲を超えた部分があったことを否定できず,必ずしも全て適正に行われていたとは評価することができないものといわざるを得ない。 16 しかし,現に行われた行為について上記のとおりの評価を免れないことを前提としても,沖縄県公安委員会による本件 正に行われていたとは評価することができないものといわざるを得ない。 16 しかし,現に行われた行為について上記のとおりの評価を免れないことを前提としても,沖縄県公安委員会による本件各援助要求が,上記のような違法又は不相当な職務行為を組織的に行うことを目的としてされたことを認めるに足りる証拠はない。 そして,本件各援助要求に基づき沖縄県に派遣中の警察官は,沖縄県公安委員会の管理の下において職務行為を行うものであるから,派遣中の警察官についても,その職務行為の適法性及び相当性を確保する職責を負うのは,沖縄県公安委員会及び沖縄県警察である。そうすると,本件各援助要求を受けた愛知県公安委員会としては,沖縄県公安委員会及び沖縄県警察が,派遣された警察官の職務行為を適法に管理することができないことが客観的に明らかであったとすれば,本件各援助要求の全部又は一部につき必要性がないことが客観的に明らかであるものとして本件各派遣決定をすべきでなかったものと解されるが,現に行われた警察としての職務活動の一部に仮に違法な部分があったとしても,沖縄県公安委員会及び沖縄県警察が管理能力に欠くことが客観的に明らかであったとはいえないから,本件各援助要求の一部に必要性がないことが客観的に明らかな部分があったと認めることはできない。なお,平成28年7月22日前後の職務行為に上記認定のとおり適法性に疑義のある部分があったとしても,2回目,3回目の派遣決定の際に,今後行われるべき職務行為の全部又は一部につき,沖縄県公安委員会及び沖縄県警察において,派遣された警察官の職務行為を適法に管理することができないことが客観的に明らかであったとはいえず,これらについての援助要求にも必要性がないことが客観的に明らかであったと認めることはできない。 された警察官の職務行為を適法に管理することができないことが客観的に明らかであったとはいえず,これらについての援助要求にも必要性がないことが客観的に明らかであったと認めることはできない。 したがって,現に行われた警察活動の違法性を理由として,本件各派遣決定の全部又は一部が違法であるとする控訴人らの主張は採用することができない。」17 同57頁7行目末尾に次のとおり加える。 「そして,警察が公共の安全と秩序の維持に当たることをその責務とし,その責務の遂行に当たっては,不偏不党且つ公平中正を旨とし,いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあってはならない(警察法2条)ものとされていることに照らすと,政治的な中立性に対して疑念を投げかけられかねないものや,個人の権利及び自由の干渉の有無について批判を受ける恐れのあるものについては,「異例又は重要」なものに当たると解するのが相当である。」⑻ 同57頁12行目の「実際,」から59頁20行目末尾までを次のとおり改める。 「 現に,平成28年7月21日,沖縄県議会は,警察官を大量動員してヘリパッド移設工事を進めようとする政府に抗議し,同年8月上旬,国会でも本件派遣や沖縄県での警察活動について質問がされ,同年9月6日,愛知県においても愛知県警察本部に対し機動隊の派遣中止を求める申入れがあったことが認められる(上記1⑵オ(補正後))。 そして,本件各派遣決定当時以前から,北部訓練場におけるヘリパッド移設工事の問題が政治的・社会的に大きな対立を生んでおり,防衛省がヘリパッド移設工事を推進しようとし,住民等が現地において抗議活動を行っていることは新聞等によって報道されており(上記1⑵エ(補正後)),そ の問題が政治的・社会的に大きな対立を生んでおり,防衛省がヘリパッド移設工事を推進しようとし,住民等が現地において抗議活動を行っていることは新聞等によって報道されており(上記1⑵エ(補正後)),その現地に機動隊員が派遣されて警備等に当たることは,社会的に大きい反響を呼ぶことも十分に予想され,現に,平成28年7月22日の前後には全国紙を含む新聞において大きく報じられている(上記1⑵エ(補正後))。 全国から派遣された機動隊員の員数の詳細は明らかにされてはいないものの,新聞報道によれば500人規模であるとされているところ(上記1⑵エ(補正後)),沖縄県警察において援助要求に関与した警察官は,全国の6都府県から機動隊を500名,5か月間呼ぶことはよくあることかと18 問われ,員数を明言しないもののあまりないことである旨述べたこと(甲93),原審における証人Cも,愛知県警察において,近時,米軍基地に関係した警備が問題となったことが本件派遣以外に記憶にない旨供述したことに鑑みれば,本件各派遣決定は,愛知県警察にとって前例の乏しいものであったことがうかがわれる。 以上によれば,本件各派遣決定は,その処理によって後日紛議を生ずることが予想され,かつ,社会的に反響の大きい事案に関するものであったということができるから,本件規程2条ただし書にいう「異例又は重要と認められるもの」に当たると解するのが相当である。 ウ 被控訴人は,本件派遣が実質的に愛知県公安委員会の意思決定に基づくものであるから,手続的違法があったといえない旨主張する。 しかし,都道府県公安委員会は,都道府県警察の民主的な管理に当たるものであるから,警察法上,援助要求に同意するかどうかは都道府県公安委員会が合議体として審議して判断すべきであるの する。 しかし,都道府県公安委員会は,都道府県警察の民主的な管理に当たるものであるから,警察法上,援助要求に同意するかどうかは都道府県公安委員会が合議体として審議して判断すべきであるのが原則であるものと解される。上記1⑸(補正後)の認定事実によれば,本件各派遣決定は,愛知県公安委員会に報告されているものの,それは,いずれも事後的なものであることはもとより,期間,人数,業務内容の説明を伴うものの,個別審議において単に報告されたものに過ぎず,他の決裁・裁決・決定の案件と異なって,特段の意思決定行為があったものでない。証拠(当審における証人D)によれば,愛知県公安委員においては,上記報告の当時,本件各派遣決定が本件規程2条ただし書に該当し,これが専決によって行われたことの手続的違法について想到していなかったことが認められ,そうすると,上記報告の際に愛知県公安委員会において実質的に審議を行って事後的な援助同意を行い,あるいは専決したことに対する追認を行ったものと評価することはできない。 したがって,本件各派遣決定が愛知県公安委員会の実質的意思決定に基19 づくものと認めることはできず,本件各派遣決定は,専決で処理することが許されないものであったのに専決をもって行われたものであって,違法であるといわざるを得ない。被控訴人の上記主張は採用することができない。」⑼ 同60頁5行目末尾の後を改行して次のとおり加える。 「6 争点5(Aの故意又は重大な過失の有無)上記4(補正後)のとおり,本件各派遣決定は手続的に違法であるというべきところ,本件各派遣決定が異例又は重要と認められるのは,北部訓練場におけるヘリパッド移設工事を含む米軍基地の問題が政治的・社会的に大きな対立を生んでいるという公知の事実 手続的に違法であるというべきところ,本件各派遣決定が異例又は重要と認められるのは,北部訓練場におけるヘリパッド移設工事を含む米軍基地の問題が政治的・社会的に大きな対立を生んでいるという公知の事実を前提に,後日紛議を生ずることが予想され,また,現地で抗議活動が展開されており,全国から合計で数百名規模で機動隊員が派遣される内容であるという援助要求の前提となる事実自体から,社会的反響を呼ぶことが予想されることによるものである。 そうすると,専決に当たるAとしては,本件各派遣決定が本件規程2条ただし書に当たるものであることを容易に認識することができたものと認められるから,これを看過して専決によって違法に本件各派遣決定をし,これを是正しないまま漫然と財務会計上の行為を行ったことについては,重大な過失があったものといわざるを得ない。 7 損害についてAの行った支出決定及び支出命令に係る本件支出に起因して愛知県の被った損害について検討する。 ⑴ 時間外勤務手当控訴人らは,本件派遣において支出された平成28年7月分ないし11月分の時間外勤務手当が損害に当たると主張するところ,証拠(甲3)によれば,本件派遣に係る機動隊員に対し,派遣中に時間外勤務手当が20 支給されたことが認められ,その額は,証拠(甲3)及び弁論の全趣旨によれば,以下のとおり,月別の各執行金額のうち本件派遣に係る人員の延べ時間に比例した金額を求めて計算し,計110万3107円であったものと推認することができ,これを左右するに足りる証拠はない。 〔計算式〕平成28年7月分 41,496 円×14.5/14.5=41,496 円同年8月分 132,771 円×8/38=27,951 円 る証拠はない。 〔計算式〕平成28年7月分 41,496 円×14.5/14.5=41,496 円同年8月分 132,771 円×8/38=27,951 円同月分 70,346 円×25/25=70,346 円同年9月分 158,623 円×26/46=89,656 円同月分 1,375,347 円×336/593.75=778,301 円同年11月分 409,241 円×17/161.25=43,144 円同月分 1,045,518 円×21/420.5=52,213 円⑵ 特殊勤務手当証拠(甲174,175)及び弁論の全趣旨によれば,本件派遣に係る機動隊員に対し,特殊勤務手当が支給されたことが認められるが,本件全証拠によっても,本件派遣中警察業務手当の支給事由(職員の特殊勤務手当に関する条例20条1項各号に定める場合)が適用になる人数及び日数を具体的に認めることができず,損害を認めることができない。 ⑶ 給与控訴人らは,本件派遣に係る機動隊員に対して支給された給与が損害となると主張するが,本件各派遣決定が違法であるため本件支出に係る支出決定及び支出命令が違法であり,そのため上記給与の支出をすべきでなかったということがいえるとしても,仮に本件各派遣決定がされず,あるいは取り消されたとすれば,上記機動隊員に対してはその期間中同額の給与が支給されていた蓋然性が認められるから,上記給与に相当する本件支出が愛知県の損害となるとはいえない。したがって,給与に係21 る損害の発生を認めることはできない。」3 控訴人らの当審における補充主張に対する が認められるから,上記給与に相当する本件支出が愛知県の損害となるとはいえない。したがって,給与に係21 る損害の発生を認めることはできない。」3 控訴人らの当審における補充主張に対する判断⑴ 本件各派遣決定の実体的違法の有無(争点2)についてア 控訴人らは,平成28年7月22日の本件車両及び本件テントの撤去はいずれも違法であり,愛知県警察はこれに加担しているから,本件各派遣決定は違法である旨主張する。 イ そこで検討するに,証拠(甲90)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 北部訓練場のN1ゲートは,県道の路側帯に面し,北部訓練場に至る通路の入り口である。 平成28年7月21日夜,N1ゲート付近に残っていた参加者は100人から200人程度であり,これらの人々によりN1ゲート前の県道には100台程度の車両が駐車されていた。 その後,同月22日午前4時台に警察が動き出し,N1ゲートを真ん中に,それぞれ数キロ離れた南北2か所で県道を封鎖し,応援に来る参加者が現地に近づけないようにした。 同日午前5時頃,N1ゲート付近に機動隊が到着し,まず一隊がN1ゲート前に半円形の人垣を作って,ゲート前に止められている本件車両及び本件テントに参加者が近づけないようにした後,別の部隊がハンドレッカーで車道上に止められている車両を次々と移動し,さらに別の部隊が座り込んでいる参加者を排除した。 その後,機動隊は,N1ゲートの北側と南側のそれぞれN1ゲートから20ないし30m離れた県道上に人垣を作って,N1ゲート側に参加者が近づけないようにした上で,N1ゲート前の路側帯に駐車されていた本件車両の上に上がっていた参加者10ないし15人を強制的に引きず ら20ないし30m離れた県道上に人垣を作って,N1ゲート側に参加者が近づけないようにした上で,N1ゲート前の路側帯に駐車されていた本件車両の上に上がっていた参加者10ないし15人を強制的に引きずり下ろし,レッカー車で本件車両を撤去した。 22 最後に,機動隊がN1ゲート前の路側帯に置かれていた本件テントを囲み,誰も本件テントに近づけないようにしたところに,沖縄防衛局の職員が現れて,本件テントとその中にあった動産を強制的に搬出した。 ウ 上記認定事実によれば,本件車両及び本件テントは,N1ゲート前の県道の路側帯に駐車されていたことが認められる。 ところで,路側帯に駐車された車両は,道路交通法47条3項により,「他の交通の妨害」となる場合には違法駐車となる。そして,同法47条3項の「他の交通の妨害」となる場合としては,同法45条1項1号の規定の趣旨から,道路外に設けられた人の乗降,貨物の積卸し,駐車又は自動車の格納もしくは修理のため道路外に設けられた施設又は場所の道路に接する自動車用の出入口への車両の通行を妨害する場合も含まれると解される。しかし,北部訓練場は,上記施設又は場所には該当しないから,N1ゲート前の路側帯に駐車された車両は,同法47条3項に違反するものではなく,同項は,本件車両を撤去する根拠とはならない疑いが強い。 また,N1ゲート前の路側帯に置かれていた本件テントは,同法76条3項により,「交通の妨害」となるような方法で道路に置かれた場合には同項に違反する。しかし,北部訓練場は同法45条1項1号の施設又は場所には該当しないから,北部訓練場への車両の通行を妨害することが「交通の妨害」とはならず,同法76条3項は,本件テントを撤去する根拠とはならない疑いが強い。 そし 条1項1号の施設又は場所には該当しないから,北部訓練場への車両の通行を妨害することが「交通の妨害」とはならず,同法76条3項は,本件テントを撤去する根拠とはならない疑いが強い。 そして,他に本件車両及び本件テントを強制的に撤去する法的根拠は見当たらない。 そうすると,平成28年7月22日の本件車両及び本件テントの撤去は,違法である疑いが強い。 エ そして,上記認定の本件車両及び本件テントの撤去を含む警察の行動の態様等によれば,同撤去を含む警察の行動は,沖縄県警察の警察官,平成23 28年7月12日に沖縄県公安委員会が行った援助要求に応じて派遣された都府県警察の警察官及び沖縄防衛局の職員が,組織的,計画的に行ったものであり,上記の警察官を指揮した沖縄県警察においては,上記撤去が違法である疑いが強いことを認識しながら,敢えて上記撤去を含む行動を計画し,上記援助要求を行ったものと推認することができる。 そうすると,上記援助要求には,重大な瑕疵があるというべきである。 しかし,上記援助要求において,本件車両及び本件テントの撤去を行う計画など具体的な行動内容を示したことを認めるに足りる証拠はないから,援助要求を受けた愛知県警察において,同援助要求に重大な瑕疵があることを認識し得たとは認めるに足りない。また,引用に係る原判決の「事実の時点においても,ヘリパッド移設工事に対して想定される大規模な抗議活動に伴う違法行為の予防・取締りのために他の都道府県警察から警察官の派遣による援助を受けることは合理的であったといえる。これらのことに鑑みると,上記援助要求に対して愛知県警察が行った第1回の派遣決定が違法となるとは,認めるに足りない。 オ その他,控訴人らが主張する点については,引用に係 的であったといえる。これらのことに鑑みると,上記援助要求に対して愛知県警察が行った第1回の派遣決定が違法となるとは,認めるに足りない。 オ その他,控訴人らが主張する点については,引用に係る原判決の「事実及び理由」中の第3の3(補正後)の認定判断に照らして,採用できない。 ⑵ 本件各派遣決定の手続的違法の有無(争点3)について控訴人らは,本件規程2条が違法であるから無効である旨主張するが,これが認められないのは,引用に係る原判決「事実及び理由」中の第3の4⑴の判断のとおりである。 ⑶ 損害について控訴人らは,時間外勤務手当のほか,特殊勤務手当及び給与について損害となると主張するが,引用に係る原判決「事実及び理由」中の第3の7(補正後)のとおり,特殊勤務手当については,本件派遣に係る機動隊員に対し24 て支給された金額を認めることができず,また,給与については,愛知県において生じた損害と認めるに足りないから,控訴人らの上記主張は採用できない。 第4 結論よって,上記と異なる原判決を変更することとし,主文のとおり判決する。 名古屋高等裁判所民事第1部 裁判長裁判官 倉 田 慎 也 裁判官 永 山 倫 代 裁判官 入 江 克 明
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